JP7120773B2 - 非水電解質二次電池用電解液及び非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解質二次電池用電解液及び非水電解質二次電池に関する。
特許文献1に開示されているリチウムイオン(lithium ion)二次電池をはじめとする非水電解質二次電池は、ノート型パソコン(note PC)や携帯電話などのポータブル(portable)機器の電源として広く用いられている。近年では、これらの用途に加え、電気自動車やハイブリッド(hybrid)自動車等のxEV向けの需要も近年活発に伸びてきており、更なる需要拡大に大きな期待が寄せられている。
特開2014-241198号公報
Wang J、外5名、「Supercocentrated electrolytes for a high-voltage lithium-ion battery.」、Nature Communications、2016年、第7巻、12032
ところで、近年では、非水電解質二次電池のさらなる性能改善が求められており、このような要求に応えるために、電解液中の電解質塩濃度を高めることが検討されている。特許文献1、非特許文献1には、リチウム塩濃度を高めることが開示されている。リチウム塩濃度を高めることで、電解液中の大半の溶媒をイオンに配位させることができる。言い換えれば、フリー(free)溶媒(すなわち、電解液中のイオンに配位していない溶媒)の濃度を低減することができる。この結果、電解液の電気化学的安定性の向上が期待できる。しかし、単に電解質塩濃度を高めただけでは、サイクル寿命が低下する可能性があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、電解液中のフリー溶媒の濃度を低い値に維持しつつ、サイクル寿命を高めることが可能な、新規かつ改良された非水電解質二次電池用電解液及びリチウムイオン二次電池を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、2.0M(mol/L)以上5.0M(mol/L)以下の電解質塩と、電解質塩を溶解するベース(base)溶媒と、環状カーボネート(carbonate)とを含む環状カーボネート含有溶媒とを含み、環状カーボネート含有溶媒は、環状カーボネートを、ベース溶媒と環状カーボネートとの総体積に対して1体積%以上15体積%以下で含み、環状カーボネート含有溶媒は、電解質塩から電離したイオンに配位した配位溶媒と、電解質塩から電離したイオンに配位していないフリー溶媒とを含み、ラマン(raman)分光法によって特定される全フリー溶媒のピーク(peak)面積比が1%以上25%以下であり、全フリー溶媒のピーク面積比は、ラマン分光法によって特定されるフリー溶媒のピーク面積と配位溶媒のピーク面積との総面積に対する全フリー溶媒のピーク面積の比であり、ピーク面積は、ピーク分離処理により分離されたピークと予め設定されたベースラインとで囲まれる面積であることを特徴とする、非水電解質二次電池用電解液が提供される。
本観点によれば、電解液中のフリー溶媒の濃度を低い値に維持しつつ、サイクル寿命を高めることが可能となる。
ここで、電解質塩の濃度は、2.3M(mol/L)以上3.0M(mol/L)以下あってもよい。
本観点によれば、非水電解液二次電池の特性が更に向上する。
また、環状カーボネートは、エチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネート(VC)、及びフルオロエチレンカーボネート(FEC)からなる群から選択されるいずれか1種以上であってもよい。
本観点によれば、非水電解液二次電池の特性が更に向上する。
また、電解質塩にはリチウム塩が含まれていてもよい。
本観点によれば、非水電解液二次電池の特性が更に向上する。
本発明の他の観点によれば、上記の非水電解質二次電池用電解液を含むことを特徴とする、非水電解質二次電池が提供される。
本観点によれば、電解液中のフリー溶媒の濃度を低い値に維持しつつ、サイクル寿命を高めることが可能となる。
以上説明したように本発明によれば、電解液中のフリー溶媒の濃度を低い値に維持しつつ、サイクル寿命を高めることが可能となる。
リチウムイオン二次電池の構成を概略的に示す側断面図である。 電解液のラマンスペクトルを電解液の種類毎に示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.リチウムイオン二次電池の構成>
まず、図1に基づいて、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池10の構成について説明する。
リチウムイオン二次電池10は、正極20と、負極30と、セパレータ40と、環状カーボネート含有電解液とを備える。リチウムイオン二次電池10の充電到達電圧(酸化還元電位)は、例えば4.0V(vs.Li/Li)以上5.0V以下、特に4.2V以上5.0V以下となる。リチウムイオン二次電池10の形態は、特に限定されない。即ち、リチウムイオン二次電池10は、円筒形、角形、ラミネート(laminate)形、ボタン(button)形等のいずれであってもよい。
(1-1.正極20)
正極20は、集電体21と、正極活物質層22とを備える。集電体21は、導電体であればどのようなものでも良く、例えば、アルミニウム(aluminium)、ステンレス(stainless)鋼、及びニッケルメッキ(nickel coated)鋼等で構成される。
正極活物質層22は、少なくとも正極活物質を含み、導電剤と、正極用バインダとをさらに含んでいてもよい。正極活物質は、例えばリチウムを含む固溶体酸化物であるが、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵及び放出することができる物質であれば特に制限されない。固溶体酸化物は、例えば、LiMnCoNi(1.150≦a≦1.430、0.45≦x≦0.6、0.10≦y≦0.15、0.20≦z≦0.28)、LiMnCoNi(0.3≦x≦0.85、0.10≦y≦0.3、0.10≦z≦0.3)、LiMn1.5Ni0.5となる。
導電剤は、例えばケッチェンブラック(Ketjenblack)、アセチレンブラック(acetylene black)等のカーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛等であるが、正極の導電性を高めるためのものであれば特に制限されない。
正極用バインダは、例えばポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride)、エチレンプロピレンジエン(ethylene-propylene-diene)三元共重合体、スチレンブタジエンゴム(Styrene-butadiene rubber)、アクリロニトリルブタジエンゴム(acrylonitrile-butadiene rubber)、フッ素ゴム(fluororubber)、ポリ酢酸ビニル(polyvinyl acetate)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリエチレン(polyethylene)、ニトロセルロース(cellulose nitrate)等であるが、正極活物質及び導電剤を集電体21上に結着させることができるものであれば、特に制限されない。
正極活物質層22は、例えば、以下の製法により作製される。すなわち、まず、正極活物質、導電剤、及び正極用バインダを乾式混合することで正極合剤を作製する。ついで、正極合剤を適当な有機溶媒に分散させることで正極合剤スラリー(slurry)を作製し、この正極合剤スラリーを集電体21上に塗布し、乾燥、圧延することで正極活物質層が作製される。
(1-2.負極30)
負極30は、集電体31と、負極活物質層32とを含む。集電体31は、導電体であればどのようなものでも良く、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、及びニッケルメッキ鋼等で構成される。負極活物質層32は、非水電解質二次電池の負極活物質層として使用されるものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、負極活物質層32は、負極活物質を含み、負極用バインダをさらに含んでいてもよい。負極活物質は、例えば、黒鉛活物質(人造黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛と天然黒鉛との混合物、人造黒鉛を被覆した天然黒鉛等)、ケイ素もしくはスズもしくはそれらの酸化物の微粒子と黒鉛活物質との混合物、ケイ素もしくはスズの微粒子、ケイ素もしくはスズを基本材料とした合金、及びLiTi12等の酸化チタン系化合物、リチウム窒化物等が考えられる。ケイ素の酸化物は、SiO(0≦x≦2)で表される。負極活物質としては、これらの他に、例えば金属リチウム等が挙げられる。なお、本実施形態では、負極用バインダが以下の構成を有するので、充放電の際に大きく膨張収縮する負極活物質、例えばケイ素系活物質を使用した場合であっても、電極の膨れを抑制することができる。
負極用バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene difluoride)、エチレンプロピレンジエン三元共重合体(ethylene-propylene-diene terpolymer)、スチレンブタジエンゴム(styrene-butadiene rubber、SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(acrylonitrile-butadiene rubber)、フッ素ゴム(fluoroelastomer)、ポリ酢酸ビニル(polyvinyl acetate)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate)、ポリエチレン(polyethylene)、ニトロセルロース(nitrocellulose)等である。なお、負極用バインダは、負極活物質および導電助剤を負極集電体31上に結着させることができるものであれば、特に制限されない。また、負極用バインダの含有量は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池の負極活物質層に適用される含有量であればいずれであってもよい。
(1-3.セパレータ)
セパレータ40は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池のセパレータとして使用されるものであれば、どのようなものであってもよい。セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。セパレータを構成する樹脂としては、例えばポリエチレン(polyethylene),ポリプロピレン(polypropylene)等に代表されるポリオレフィン(polyolefin)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate),ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate)等に代表されるポリエステル(Polyester)系樹脂、PVDF、フッ化ビニリデン(VDF)-ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、フッ化ビニリデン-パーフルオロビニルエーテル(par fluorovinyl ether)共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン(trifluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン-フルオロエチレン(fluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロアセトン(hexafluoroacetone)共重合体、フッ化ビニリデン-エチレン(ethylene)共重合体、フッ化ビニリデン-プロピレン(propylene)共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロプロピレン(trifluoro propylene)共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)-ヘキサフルオロプロピレン(hexafluoropropylene)共重合体、フッ化ビニリデン-エチレン(ethylene)-テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)共重合体等を挙げることができる。
(1-4.環状カーボネート含有電解液)
つぎに、本実施形態に係る環状カーボネート含有電解液の構成について説明する。環状カーボネート含有電解液は、2.0M(mol/L)以上5.0M(mol/L)以下の電解質塩と、環状カーボネート含有溶媒とを含む。環状カーボネート含有溶媒は、電解質塩を溶解するベース溶媒と、環状カーボネートとを含む。
環状カーボネート含有溶媒は、電解質塩から電離したイオン(例えばリチウムイオン)に配位した配位溶媒と、電解質塩から電離したイオンに配位していないフリー溶媒とに区分される。ここで、ベース溶媒及び環状カーボネートのいずれもが電解質塩を溶解する。したがって、ベース溶媒は、フリー溶媒(フリーのベース溶媒)及び配位溶媒(イオンに配位したベース溶媒)の何れにもなりうるし、環状カーボネートもフリー溶媒(フリーの環状カーボネート)及び配位溶媒(イオンに配位した環状カーボネート)の何れにもなりうる。
ここで、図2に基づいて、本実施形態に係る環状カーボネート含有電解液について詳細に説明する。上述したように、リチウムイオン二次電池10の性能を向上するための方策の1つとして、電解液中の電解質塩濃度を高めることが提案されている。電解液中の電解質塩濃度を高めることで、電解液中のフリー溶媒の濃度を低減することができ、ひいては、電解液の電気化学的安定性の向上が期待できる。
しかし、単に電解質塩濃度を高めただけでは、電解液の導電性が低下してしまい、ひいては、サイクル寿命が低下する可能があった。
そこで、本発明者は、電解液中のフリー溶媒濃度を維持したまま電解液の導電性を高める技術について鋭意検討した。この結果、本発明者は、電解質塩がベース溶媒に高濃度で溶解した電解液に環状カーボネートを添加することに想到した。環状カーボネートは、電解質塩から電離した陽イオン、特にリチウムイオンとの親和性が高い。つまり、環状カーボネートが配位したリチウムイオンは、電解液中をよりスムーズに移動することが期待できる。したがって、導電性が向上する。ただし、環状カーボネートは電解液の粘性を高めるという特性も有する。したがって、環状カーボネートを電解液に添加しすぎると、電解液の粘性が過剰に高くなり、サイクル寿命が低下しうる。したがって、環状カーボネートには適正な添加量が存在する。本発明者が環状カーボネートの添加量について鋭意検討したところ、環状カーボネートの添加量は、ベース溶媒及び環状カーボネートの総体積に対して1体積%以上15体積%以下である必要があることがわかった。したがって、本実施形態に係る環状カーボネート含有溶媒は、環状カーボネートを環状カーボネート含有溶媒の総体積に対して1体積%以上15体積%以下の割合で含む。環状カーボネートの添加量は、好ましくは3体積%以上10体積%以下である。
上述したように、フリー溶媒の濃度が低いことも重要である。電解液中のフリー溶媒濃度は、ラマン分光法により特定することが可能になる。図2を用いてラマン分光法によるフリー溶媒濃度の特定方法について説明する。グラフL1は、本実施形態に対応する電解液、すなわち環状カーボネート含有電解液のラマンスペクトルを示す。グラフL1では、電解質塩がLiFSA、ベース溶媒がジメチルカーボネート(DMC)、環状カーボネートがエチレンカーボネート(EC)となっている。LiFSAの濃度は4.6M(mol/L)となっており、環状カーボネートの添加量は環状カーボネート含有溶媒の総体積に対して5体積%となっている。
グラフL2は、LiFSAがエチレンカーボネートに2M(mol/L)で溶解した電解液のラマンスペクトルを示す。グラフL3は、LiFSAがジメチルカーボネートに2.0M(mol/L)で溶解した電解液のラマンスペクトルを示す。グラフL4は、LiFSAがジメチルカーボネートに4.6M(mol/L)で溶解した電解液のラマンスペクトルを示す。
ジメチルカーボネート分子のO-CH伸縮振動に基づくピークは、ジメチルカーボネートの状態に応じて異なる位置で観測される。また、エチレンカーボネート分子のO-CH伸縮振動に基づくピークは、エチレンカーボネートの状態に応じて異なる位置で観測される。
まず、グラフL2について検証する。グラフL2では、895cm-1前後、905cm-1前後のそれぞれにピークが観測される。図示は省略するが、エチレンカーボネートのみで構成される溶媒のラマンスペクトルを測定した場合、895cm-1前後のみにピークが観測される。エチレンカーボネートのみで構成される溶媒中では、全てのエチレンカーボネートはフリー溶媒として存在している。したがって、895cm-1前後のピークはフリー溶媒(所謂フリーEC)に対応し、905cm-1前後のピークは配位溶媒(所謂配位EC)に対応すると考えられる。
つぎに、グラフL3について検証する。グラフL3では、910cm-1前後、930cm-1以上935cm-1以下でそれぞれピークが観測される。非特許文献1によれば、910cm-1前後のピークはフリー溶媒(所謂フリーDMC)に対応し、930cm-1以上935cm-1以下のピークは配位溶媒(所謂配位DMC)に対応する。
グラフL4では、グラフL3よりもLiFSAの濃度が高い。すなわち、フリー溶媒濃度が低くなっている。このため、配位溶媒に対応するピークは観測されるものの、フリー溶媒に対応するピークはほとんど観測されない。
つぎに、グラフL1について検証する。グラフL1では、エチレンカーボネートに対応するピーク、ジメチルカーボネートに対応するピークがそれぞれ観測される。ただし、LiFSA濃度が高いために、配位溶媒(すなわち、配位EC、配位DMC)に対応するピークは観測されるものの、フリー溶媒(すなわち、フリーEC、フリーDMC)に対応するピークはほとんど観測されない。
いずれにしても、電解液のラマンスペクトルからは、配位溶媒に対応するピークとフリー溶媒に対応するピークとが観測される。したがって、ラマンスペクトルに対してピーク分離処理を行うことで、各ピークを分離し、各ピークの強度を特定することができる。フリー溶媒濃度が低い場合、フリー溶媒に対応するピーク強度は小さくなる。
そこで、本実施形態では、フリー溶媒のピーク面積比によってフリー溶媒濃度を規定する。すなわち、本実施形態では、ラマン分光法によって特定されるフリー溶媒のピーク面積と、ラマン分光法によって特定される配位溶媒のピーク面積とを算出する。ここで、ピーク面積は、ピーク分離処理により分離されたピークと予め設定されたベースラインとで囲まれる面積を意味する。ついで、フリー溶媒のピーク面積と配位溶媒のピーク面積との総面積に対するフリー溶媒のピーク面積比を算出する。
ここで、本実施形態に係る環状カーボネート含有電解液には、ベース溶媒及び環状カーボネートが含まれている。ベース溶媒はフリー溶媒及び配位溶媒の何れにもなりうるし、環状カーボネートもフリー溶媒及び配位溶媒の何れにもなりうる。つまり、ベース溶媒及び環状カーボネートのそれぞれに対してフリー溶媒のピーク面積比が規定される。したがって、本実施形態に係る全フリー溶媒のピーク面積比は、以下の数式(1)で算出される。
Figure 0007120773000001
数式(1)において、A0_allは、全フリー溶媒のピーク面積比である。A0_baseは、フリーのベース溶媒のピーク面積であり、Ac_baseはイオンに配位したベース溶媒のピーク面積である。V_baseは環状カーボネート含有溶媒の総体積に対するベース溶媒の体積%である。A0_CCは、フリーの環状カーボネートのピーク面積であり、Ac_CCはイオンに配位した環状カーボネートのピーク面積である。V_CCは環状カーボネート含有溶媒の総体積に対する環状カーボネートの体積%である。そして、本実施形態では、全フリー溶媒のピーク面積比が1%以上25%以下となる。全フリー溶媒のピーク面積比は、好ましくは3%以上20%以下である。
つぎに、本実施形態に係る環状カーボネート含有電解液の具体的な組成について説明する。電解質塩としては、従来のリチウムイオン二次電池に使用されるものを特に制限なく使用することができる。電解質塩としては、例えば、LiN(SOF)(リチウムビスフルオロスルホニルアミド、LiFSA、=リチウムビスフルオロスルホニルイミド、LiFSI)、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF,LiPF6-x(C2n+1[但し、1<x<6,n=1or2],LiSCN,LiBr,LiI,LiSO,Li10Cl10,NaClO,NaI,NaSCN,NaBr,KClO,KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCFSO,LiN(CFSO,LiN(CSO,LiN(CFSO)(CSO),LiC(CFSO,LiC(CSO,(CHNBF,(CHNBr,(CNClO,(CNI,(CNBr,(n-CNClO,(n-CNI,(CN-maleate,(CN-benzoate,(CN-phtalate、ステアリルスルホン酸リチウム(stearyl sulfonic acid lithium)、オクチルスルホン酸リチウム(octyl sulfonic acid)、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム(dodecyl benzene sulphonic acid)等の有機イオン塩等が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。電解質塩の好ましい例はリチウム塩である。
電解質塩の濃度は2.0M(mol/L)以上5.0M(mol/L)以下となる。電解質塩の濃度は、好ましくは2.3M(mol/L)以上3.0M(mol/L)以下であり、より好ましくは2.5M(mol/L)以上2.7M(mol/L)以下である。なお、ここでの濃度は環状カーボネート含有電解液全体に対する濃度である。
ベース溶媒は、電解質塩に対する良溶媒である。ベース溶媒の電解質塩に対する25℃での溶解度は100g以上であることが好ましい。ここで、溶解度は、溶媒100gに溶解する電解質塩の質量を意味する。なお、ベース溶媒の電解質塩に対する25℃での溶解度の上限値は、特に限定されないが、例えば、400gとすることができる。
また、ベース溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、酢酸エチル(EA)、プロピオン酸メチル(MP)、及び酢酸メチル(MA)からなる群から選択される何れか1種以上を含むことが好ましい。
環状カーボネートは、エチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネート(VC)、及びフルオロエチレンカーボネート(FEC)からなる群から選択されるいずれか1種以上であることが好ましい。これらの環状カーボネートは、電解質塩から電離した陽イオン、特にリチウムイオンとの親和性が高い。つまり、環状カーボネートが配位したリチウムイオンは、ベース溶媒が配位したリチウムイオンよりも電解液中をよりスムーズに移動することが期待できる。したがって、導電性が向上する。
なお、環状カーボネート含有電解液には、電解質塩に対する25℃での溶解度が1g以下である貧溶媒をさらに投入しても良い。この場合、環状カーボネート含有電解液中のフリー溶媒濃度を低い値に維持しつつ、環状カーボネート含有電解液の粘性を低下させることができる。なお、貧溶媒の電解質塩に対する25℃での溶解度の下限値も特に限定されず、例えば0gであることができる。
具体的には、環状カーボネート含有電解液に貧溶媒を投入した場合、貧溶媒は環状カーボネート含有電解液に溶解せず、環状カーボネート含有電解液中に分散して存在する。言い換えれば、環状カーボネート含有電解液は、電解質塩が高濃度で溶解した電解液と、電解液中に分散した貧溶媒とを含むことになる。電解液の溶媒はフリー溶媒及び環状カーボネートである。したがって、電解液の領域内では、電解質塩が高濃度で存在するため、フリー溶媒(具体的には、フリーのベース溶媒及びフリーの環状カーボネート)の濃度は低い値に維持される。貧溶媒は、電解液中で分散するものであることが好ましく、例えば、ベンゾトリフルオライド(CFPh)、及びフルオロベンゼン(FB)からなる群から選択される何れか1種以上であることが好ましい。
さらに、環状カーボネート含有電解液には、各種の添加剤を添加してもよい。このような添加剤としては、負極作用添加剤、正極作用添加剤、エステル系の添加剤、炭酸エステル系の添加剤、硫酸エステル系の添加剤、リン酸エステル系の添加剤、ホウ酸エステル系の添加剤、酸無水物系の添加剤、及び電解質系の添加剤等が挙げられる。これらのうちいずれか1種を環状カーボネート含有電解液に添加しても良いし、複数種類の添加剤を環状カーボネート含有電解液に添加してもよい。
<2.リチウムイオン二次電池の製造方法>
次に、リチウムイオン二次電池10の製造方法について説明する。正極20は、以下のように作製される。まず、正極活物質、導電剤、及び正極用バインダを混合したものを、溶媒(例えばN-メチル-2-ピロリドン)に分散させることでスラリーを形成する。次いで、スラリーを集電体21上に塗布し、乾燥させることで、正極活物質層22を形成する。なお、塗布の方法は、特に限定されない。塗布の方法としては、例えば、ナイフコーター(knife coater)法、グラビアコーター(gravure coater)法等が考えられる。以下の各塗布工程も同様の方法により行われる。次いで、プレス(press)機により正極活物質層22をプレスする。これにより、正極20が作製される。
負極30も、正極20と同様に作製される。まず、負極活物質、及び負極用バインダを混合したものを、溶媒(例えば水)に分散させることでスラリーを形成する。次いで、スラリーを集電体31上に塗布し、乾燥させることで、負極活物質層32を形成する。乾燥時の温度は150℃以上が好ましい。次いで、プレス機により負極活物質層32をプレスする。これにより、負極30が作製される。
環状カーボネート含有電解液は、ベース溶媒と環状カーボネートとの混合液、すなわち環状カーボネート含有溶媒に電解質塩を溶解させることで作製される。なお、環状カーボネート含有電解液の作製方法はこの方法に限られない。例えば、環状カーボネート含有電解液は、以下の方法で作製されても良い。すなわち、電解質塩をベース溶媒に溶解させることで、電解液を作製する。ついで、電解液に環状カーボネートを投入することで、環状カーボネート含有電解液を作製する。
次いで、セパレータ40を正極20及び負極30で挟むことで、電極構造体を作製する。次いで、電極構造体を所望の形態(例えば、円筒形、角形、ラミネート形、ボタン形等)に加工し、当該形態の容器に挿入する。次いで、当該容器内に環状カーボネート含有電解液を注入することで、セパレータ40内の各気孔に電解液を含浸させる。これにより、リチウムイオン二次電池が作製される。
以上により、本実施形態によれば、電解液中のフリー溶媒の濃度を低い値に維持しつつ、サイクル寿命を高めることができる。
<1.実施例1>
(1-1.リチウムイオン二次電池の作製)
つぎに、本実施形態の実施例について説明する。実施例1では、以下の工程によりリチウムイオン二次電池10を作製した。
(1-2.正極の作製)
正極活物質としてLiNi0.88Co0.1Al0.02で表されるリチウムニッケルコバルト酸化物を準備した。この正極活物質と、導電材である炭素粉末と、バインダであるポリフッ化ビニリデンとを94:4:2の質量比で混合した。この混合物にN-メチル-2-ピロリドンを加えて混練することで、正極合剤スラリーを調整した。
次いで、厚み12μm、長さ238mm、幅29mmのアルミニウム箔からなる正極集電体を用い、上記の正極スラリーを正極集電体の片面に長さ222mm、幅29mmで塗布した。一方、正極集電体の反対側の面には正極合剤スラリーを長さ172mm、幅29mmで塗布した。これを乾燥させて圧延することで、正極を作製した。ここで、上記の正極厚みは125μmであり、正極集電体上の正極合剤の量は42.5mg/cmであり、正極合剤の充填密度は3.75g/cmであった。そして、上記の正極において、正極合剤スラリーが塗布されていない部分に、厚み70μm、長さ40mm、幅4mmのアルミニウム平板からなる正極集電タブを取り付けた。
(1-3.負極の作製)
負極活物質として人造黒鉛及びシリコン含有炭素を準備した。人造黒鉛と、シリコン含有炭素と、バインダであるカルボキシメチルセルロースと、同じくバインダであるスチレンブタジエンゴムとを92.2:5.3:1.0:1.5の質量比で混合した。この混合物に水を加えて混練することで、負極合剤スラリーを調整した。
次いで、厚み8μm、長さ271mm、幅30mmの銅箔からなる負極集電体を準備し、上記の負極合剤スラリーを負極集電体の片面に長さ235mm、幅30mmで塗布した。一方、負極集電体の反対側の面に負極合剤スラリーを長さ178mm、幅30mmで塗布した。これを乾燥させて圧延することで、負極を作製した。ここで、上記の負極厚みは152μmであり、負極集電体上の負極合剤の量は23.0mg/cmであり、負極合剤の充填密度は1.6g/cmであった。そして、上記の負極において、正極合剤スラリーが塗布されていない部分に、厚み70μm、長さ40mm、幅4mmのニッケル平板からなる負極集電タブを取り付けた。
(1-4.環状カーボネート含有電解液の作製)
エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを10:90の体積比で混合することで、環状カーボネート含有溶媒を作製した。この環状カーボネート含有溶媒にLiFSAを2.7M(mol/L)の濃度になるよう溶解させた。これにより、環状カーボネート含有電解液を作製した。
(1-5.環状カーボネート含有電解液のラマン分光測定)
環状カーボネート含有電解液のラマン分光測定を行った。測定装置は顕微ラマン分光測定は日本分光社製装置 NRS-4001型を用いた。測定条件は、励起波長 532nm、対物レンズ50倍、露光時間 10秒、積算回数64回、レーザー強度 5.0mWとした。測定対象である環状カーボネート含有電解液が測定中に組成変化することを避けるため、露点-40℃の乾燥雰囲気中で石英製密閉セル中に環状カーボネート含有電解液を封止し、測定を行った。
ついで、得られたラマンスペクトルのピーク分離処理を行った。ジメチルカーボネート分子のO-CH伸縮振動に基づくピークは、ジメチルカーボネートの状態に応じて異なる位置で観測される。また、エチレンカーボネート分子のO-CH伸縮振動に基づくピークは、エチレンカーボネートの状態に応じて異なる位置で観測される。
上述したように、フリーDMCのピークは910cm-1前後で観測される。一方、配位DMCのピークは、930cm-1以上935cm-1以下で観測される。また、ベンゾトリフルオライドは、920cm-1にごく微小なピークが存在する。一方、フリーECのピークは895cm-1前後で観測され、配位ECのピークは905cm-1前後で観測される。これらの知見に基づき、中心波長を895cm-1、905cm-1、910cm-1、935cm-1、および920cm-1におき、ピークを分離した。ピーク分離は、日本分光社製スペクトル解析ソフトウェア スペクトルマネージャー・カーブフィッテッィングプログラムを用いて行った。ローレンツ曲線/ガウシアン曲線割合は任意とした。これにより、フリーDMC、配位DMC、フリーEC、及び配位ECのピークを特定した。ローレンツ曲線/ガウシアン曲線割合は任意とした。
ついで、各ピークのピーク面積を算出した。ここで、ピーク面積は、ピーク分離処理により分離されたピークと予め設定されたベースラインとで囲まれる面積を意味する。ついで、上述した数式(1)に基づいて、全フリー溶媒のピーク面積比を算出した。この結果、全フリー溶媒のピーク面積比は20%となった。
(1-6.導電性)
つぎに、環状カーボネート含有電解液の導電性(導電率)を以下の方法で測定した。導電率測定は東亜ディーケーケー社製電気伝導率計CM25Rに同社製の電気伝導率セルCT57101Bを接続し測定した。測定は温度が23℃で保たれた、露点-40℃の乾燥雰囲気中で行った。室温において液5mLに電気伝導率セルを浸漬し、導電率(mS・cm-1)を測定した。
(1-7.粘性)
つぎに、環状カーボネート含有電解液の粘性を以下の方法で測定した。粘度はSEKONIC社製の振動式粘度計ビスコメイトVM-100Aに同社製プローブPR-110-Lを接続し計測した。測定は気温が23℃で保たれた、露点-40℃の乾燥雰囲気中で行った。電解液5mLにプローブを浸漬し表示値を読み取った。VM-100A振動式粘度計での表示値は(粘度)×(比重)であるため、表示値を別途測定した比重の値で割ることで粘度(mPa・s)を算出した。
(1-8.リチウムイオン二次電池の作製)
上記で作製した正極、負極、及び環状カーボネート含有電解液を用いてリチウムイオン二次電池を作製した。具体的には、セパレータを介して正極と負極とを対向するように配置し、これらを所定の位置で折り返して巻回した。これをプレスして扁平型の電極構造体を作製した。セパレータには、長さ350mm、幅32mmのポリエチレン製多孔体からなるセパレータを2枚用いた。ついで、アルミラミネートからなる電池容器に電極構造体を収納し、上記で作製した環状カーボネート含有電解液を加えた。このとき、正極および負極の集電タブは外部に取り出せるようにした。作製した電池の設計容量は480mAhである。
(1-9.サイクル寿命特性の評価)
作製されたリチウムイオン二次電池のサイクル寿命を以下の方法で評価した。25℃の環境下において、リチウムイオン二次電池を48mAの定電流で電圧が4.3Vになるまで充電し、さらに4.3Vの定電圧で電流値が24mAになるまで充電した。ついで、リチウムイオン二次電池を48mAの電流で電圧が2.8Vになるまで放電した。このときの放電容量を初期容量とした。
ついで、上記のように初期充放電を行ったリチウムイオン二次電池を、25℃の環境下で以下のように充放電した。すなわち、リチウムイオン二次電池を、240mAの定電流で電圧が4.3Vになるまで充電し、さらに4.3Vの定電圧で電流値が24mAになるまで充電した。ついで、リチウムイオン二次電池を240mAの電流で電圧が2.8Vになるまで放電した。これを1サイクルとし、50サイクルの充放電を繰り返し行った。そして、50サイクル目の放電容量Q[0.5C]50を初期の放電容量Q1で除算することで、容量維持率(%)を求めた。結果を表1にまとめて示す。
<2.実施例2>
エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを12:88の体積比で混合することで、環状カーボネート含有溶媒を作製した他は、実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
<3.実施例3>
エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを5:95の体積比で混合することで、環状カーボネート含有溶媒を作製した他は、実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
<4.実施例4>
エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを3:97の体積比で混合することで、環状カーボネート含有溶媒を作製した他は、実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
<5.実施例5>
LiFSAの濃度を3.9M(mol/L)とした他は実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
<6.実施例6>
実施例1で作製した環状カーボネート含有電解液にベンゾトリフルオライドを投入した。これにより、環状カーボネート含有電解液を作製した。これ以外は実施例1と同様の処理を行った。ここで、実施例1の環状カーボネート電解液とベンゾトリフルオライドとの体積比は90:10とした。結果を表1にまとめて示す。
<7.実施例7>
実施例5で作製した環状カーボネート含有電解液にベンゾトリフルオライドを投入した。これにより、環状カーボネート含有電解液を作製した。これ以外は実施例1と同様の処理を行った。ここで、実施例5の環状カーボネート電解液とベンゾトリフルオライドとの体積比は80:20とした。結果を表1にまとめて示す。
<8.比較例1>
エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの体積比を0:100とした(すなわち、エチレンカーボネートを使用しなかった)他は、実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
<9.比較例2>
エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを16:84の体積比で混合することで、環状カーボネート含有溶媒を作製した他は、実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
<10.比較例3>
LiFSAの濃度を4.6M(mol/L)とした他は実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
<11.比較例4>
エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの体積比を0:100とした(すなわち、エチレンカーボネートを使用しなかった)他は、実施例5と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
Figure 0007120773000002
表1において、「Li塩濃度」は、環状カーボネート含有電解液全体に対する濃度であり、「ECの体積比」は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの総体積に対する体積比(体積%)である。
実施例1~7のいずれにおいても、導電率及び容量維持率が高くなった。特に、Li塩濃度が2.3M(mol/L)以上3.0M(mol/L)以下、より具体的には2.5M(mol/L)以上2.7M(mol/L)以下となる場合に、容量維持率が85%以上となった。なお、実施例5、7の導電率は他の実施例及び一部の比較例に対して低いが、これは電解質塩濃度が高いためである。実施例5、7の導電率は、Li塩濃度が同程度である比較例4と比較して大きくなっている。さらに、実施例5、7の容量維持率は、比較例1~4に対して向上している。
一方で、比較例1~4では、良好な結果が得られなかった。比較例1では、エチレンカーボネートが使用されていないので、導電率が低下し、結果として容量維持率も低下した。比較例2では、エチレンカーボネートの投入量が多すぎて、粘性が増大し、容量維持率が低下した。比較例3では、Li塩濃度が高すぎて、粘性が極めて増大し、容量維持率が低下した。比較例4では、エチレンカーボネートが使用されていないので、導電率が低下し、結果として容量維持率も低下した。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、本発明をリチウムイオン二次電池に適用する例について説明したが、他の種類の非水電解質二次電池に本発明を適用しても良いことは勿論である。
10 リチウムイオン二次電池
20 正極
30 負極
40 セパレータ

Claims (5)

  1. 2.0M(mol/L)以上5.0M(mol/L)以下の電解質塩と、
    前記電解質塩を溶解するベース溶媒と環状カーボネートとを含む環状カーボネート含有溶媒と、貧溶媒と、を含み、
    前記貧溶媒は、ベンゾトリフルオライド及びフルオロベンゼンからなる群から選択される1種以上であり、
    前記環状カーボネート含有溶媒は、前記環状カーボネートを、前記ベース溶媒と前記環状カーボネートとの総体積に対して1体積%以上15体積%以下で含み、
    前記環状カーボネート含有溶媒は、前記電解質塩から電離したイオンに配位した配位溶媒と、前記電解質塩から電離したイオンに配位していないフリー溶媒とを含み、
    ラマン分光法によって特定される全フリー溶媒のピーク面積比が1%以上25%以下であり、
    全フリー溶媒のピーク面積比は、ラマン分光法によって特定される前記フリー溶媒のピーク面積と前記配位溶媒のピーク面積との総面積に対する全フリー溶媒のピーク面積の比であり、
    前記ピーク面積は、ピーク分離処理により分離されたピークと予め設定されたベースラインとで囲まれる面積であることを特徴とする、非水電解質二次電池用電解液。
  2. 前記電解質塩の濃度は、2.3M(mol/L)以上3.0M(mol/L)以下であることを特徴とする、請求項1記載の非水電解質二次電池用電解液。
  3. 前記環状カーボネートは、エチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネート(VC)、及びフルオロエチレンカーボネート(FEC)からなる群から選択されるいずれか1種以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の非水電解質二次電池用電解液。
  4. 前記電解質塩にはリチウム塩が含まれることを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の非水電解質二次電池用電解液。
  5. 請求項1~4の何れか1項に記載の非水電解質二次電池用電解液を含むことを特徴とする、非水電解質二次電池。
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