JP7131923B2 - 非水電解質二次電池用電解液及び非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
まず、図1に基づいて、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池10の構成について説明する。
正極20は、集電体21と、正極活物質層22とを備える。集電体21は、導電体であればどのようなものでも良く、例えば、アルミニウム(aluminium)、ステンレス(stainless)鋼、及びニッケルメッキ(nickel coated)鋼等で構成される。
負極30は、集電体31と、負極活物質層32とを含む。集電体31は、導電体であればどのようなものでも良く、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、及びニッケルメッキ鋼等で構成される。負極活物質層32は、非水電解質二次電池の負極活物質層として使用されるものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、負極活物質層32は、負極活物質を含み、負極用バインダをさらに含んでいてもよい。負極活物質は、例えば、黒鉛活物質(人造黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛と天然黒鉛との混合物、人造黒鉛を被覆した天然黒鉛等)、ケイ素もしくはスズもしくはそれらの酸化物の微粒子と黒鉛活物質との混合物、ケイ素もしくはスズの微粒子、ケイ素もしくはスズを基本材料とした合金、及びLi4Ti5O12等の酸化チタン系化合物、リチウム窒化物等が考えられる。ケイ素の酸化物は、SiOx(0≦x≦2)で表される。負極活物質としては、これらの他に、例えば金属リチウム等が挙げられる。なお、本実施形態では、負極用バインダが以下の構成を有するので、充放電の際に大きく膨張収縮する負極活物質、例えばケイ素系活物質を使用した場合であっても、電極の膨れを抑制することができる。
セパレータ40は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池のセパレータとして使用されるものであれば、どのようなものであってもよい。セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。セパレータを構成する樹脂としては、例えばポリエチレン(polyethylene),ポリプロピレン(polypropylene)等に代表されるポリオレフィン(polyolefin)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate),ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate)等に代表されるポリエステル(Polyester)系樹脂、PVDF、フッ化ビニリデン(VDF)-ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、フッ化ビニリデン-パーフルオロビニルエーテル(par fluorovinyl ether)共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン(trifluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン-フルオロエチレン(fluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロアセトン(hexafluoroacetone)共重合体、フッ化ビニリデン-エチレン(ethylene)共重合体、フッ化ビニリデン-プロピレン(propylene)共重合体、フッ化ビニリデン-トリフルオロプロピレン(trifluoro propylene)共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)-ヘキサフルオロプロピレン(hexafluoropropylene)共重合体、フッ化ビニリデン-エチレン(ethylene)-テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)共重合体等を挙げることができる。
つぎに、本実施形態に係る貧溶媒含有電解液(非水電解質二次電池用電解液)の構成について説明する。貧溶媒含有電解液は、0.5M(mol/L)以上3.8M(mol/L)以下の電解質塩と、第1の溶媒と、第2の溶媒とを含む。第1の溶媒の電解質塩に対する25℃での溶解度は100g以上であり、第2の溶媒の電解質塩に対する25℃での溶解度は1g以下である。ここで、溶解度は、溶媒100gに溶解する電解質塩の質量を意味する。したがって、第1の溶媒は電解質塩の良溶媒であり、第2の溶媒は電解質塩の貧溶媒である。
次に、リチウムイオン二次電池10の製造方法について説明する。正極20は、以下のように作製される。まず、正極活物質、導電剤、及び正極用バインダを混合したものを、溶媒(例えばN-メチル-2-ピロリドン)に分散させることでスラリーを形成する。次いで、スラリーを集電体21上に塗布し、乾燥させることで、正極活物質層22を形成する。なお、塗布の方法は、特に限定されない。塗布の方法としては、例えば、ナイフコーター(knife coater)法、グラビアコーター(gravure coater)法等が考えられる。以下の各塗布工程も同様の方法により行われる。次いで、プレス(press)機により正極活物質層22をプレスする。これにより、正極20が作製される。
(1-1.リチウムイオン二次電池の作製)
つぎに、本実施形態の実施例について説明する。実施例1では、以下の工程によりリチウムイオン二次電池10を作製した。
正極活物質としてLiNi0.88Co0.1Al0.02O2で表されるリチウムニッケルコバルト酸化物を準備した。この正極活物質と、導電材の炭素粉末と、バインダのポリフッ化ビニリデンとを94:4:2の質量比で混合した。この混合物にN-メチル-2-ピロリドンを加えて混練することで、正極合剤スラリーを調整した。
負極活物質として人造黒鉛及びシリコン含有炭素を準備した。人造黒鉛と、シリコン含有炭素と、バインダであるカルボキシメチルセルロースと、同じくバインダであるスチレンブタジエンゴムとを92.2:5.3:1.0:1.5の質量比で混合した。この混合物に水を加えて混練することで、負極合剤スラリーを調整した。
第1の溶媒としてジメチルカーボネート、電解質塩としてLiFSAを準備した。そして、ジメチルカーボネートにLiFSAを3.9M(mol/L)の濃度になるよう溶解させた。この電解液(3.9M(mol/L) LiFSA DMC溶液)に第2の溶媒としてベンゾトリフルオライドを投入した。ここで、電解液と第2の溶媒との体積比は50:50とした。これにより、貧溶媒含有電解液を作製した。貧溶媒含有電解液では、LiFSAの見かけ上の濃度(すなわち、貧溶媒含有電解液全体に対する濃度)が1.9M(mol/L)となっており、ジメチルカーボネートとベンゾトリフルオライドとが39:61(体積比)で混合されていることになる。
貧溶媒含有電解液のラマン分光測定を行った。測定装置は日本分光社製装置 NRS-4001型を用いた。測定条件は、励起波長 532nm、対物レンズ50倍、露光時間 10秒、積算回数64回、レーザー強度 5.0mWとした。貧溶媒含有電解液が測定中に組成変化することを避けるため、露点-40℃の乾燥雰囲気中で石英製密閉セル中に貧溶媒含有電解液を封止し、測定を行った。
つぎに、貧溶媒含有電解液の粘性(粘度)を以下の方法で測定した。粘度はSEKONIC社製の振動式粘度計ビスコメイトVM-100Aに同社製プローブPR-110-Lを接続して計測した。測定は気温が23℃で保たれた、露点-40℃の乾燥雰囲気中で行った。電解液5mLにプローブを浸漬し表示値を読み取った。VM-100A振動式粘度計での表示値は(粘度)×(比重)であるため、表示値を別途測定した比重の値で割ることで粘度(mPa・s)を算出した。
上記で作製した正極、負極、及び貧溶媒含有電解液を用いてリチウムイオン二次電池を作製した。具体的には、セパレータを介して正極と負極とを対向するように配置し、これらを所定の位置で折り返して巻回した。これをプレスして扁平型の電極構造体を作製した。セパレータには、長さ350mm、幅32mmのポリエチレン製多孔体からなるセパレータを2枚用いた。ついで、アルミラミネートからなる電池容器に電極構造体を収納し、上記で作製した貧溶媒含有電解液を加えた。このとき、正極および負極の集電タブは外部に取り出せるようにした。作製した電池の設計容量は480mAhである。
作製されたリチウムイオン二次電池のサイクル寿命を以下の方法で評価した。25℃の環境下において、リチウムイオン二次電池を48mAの定電流で電圧が4.3Vとなるまで充電し、さらに4.3Vの定電圧で電流値が24mAになるまで充電した。ついで、リチウムイオン二次電池を48mAの電流で電圧が2.8Vとなるまで放電した。このときの放電容量を初期放電容量とした。
電解液(3.9M(mol/L) LiFSA DMC溶液)と第2の溶媒(ベンゾトリフルオライド)との体積比を90:10とした他は、実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
電解液(3.9M(mol/L) LiFSA DMC溶液)と第2の溶媒(ベンゾトリフルオライド)との体積比を80:20とした他は、実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
電解液(3.9M(mol/L) LiFSA DMC溶液)と第2の溶媒(ベンゾトリフルオライド)との体積比を70:30とした他は、実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
電解液(3.9M(mol/L) LiFSA DMC溶液)と第2の溶媒(ベンゾトリフルオライド)との体積比を25:75とした他は、実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
電解液の電解質塩濃度を3.0M(mol/L)とし(すなわち、電解液を3.0M(mol/L) LiFSA DMC溶液とし)、電解液と第2の溶媒(ベンゾトリフルオライド)との体積比を50:50とした他は、実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
電解液(3.9M(mol/L) LiFSA DMC溶液)と第2の溶媒(ベンゾトリフルオライド)との体積比を100:0とした(すなわち、第2の溶媒を使用しなかった)他は、実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
貧溶媒含有電解液の代わりに2.0M(mol/L) LiFSA DMC溶液を使用した他は実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
電解液(3.9M(mol/L) LiFSA DMC溶液)と第2の溶媒(ベンゾトリフルオライド)との体積比を12:88とした他は、実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
電解液として2.8M(mol/L) LiFSA DMC溶液を準備し、この高濃度溶液と第2の溶媒(ベンゾトリフルオライド)とを95:5の体積比で混合することで貧溶媒含有電解液を得た。これ以外は実施例1と同様の処理を行った。結果を表1にまとめて示す。
20 正極
30 負極
40 セパレータ
Claims (7)
- 0.5M(mol/L)以上3.8M(mol/L)以下の電解質塩と、
前記電解質塩に対する25℃での溶解度が100g以上400g以下である第1の溶媒と、
前記電解質塩に対する25℃での溶解度が0g以上1g以下である第2の溶媒と、を含み、
前記第1の溶媒は、前記電解質塩から電離したイオンに配位した配位溶媒と、前記電解質塩から電離したイオンに配位していないフリー溶媒とを含み、
ラマン分光法によって特定される前記フリー溶媒のピーク面積比が20%未満であり、
前記フリー溶媒のピーク面積比は、ラマン分光法によって特定される前記フリー溶媒のピーク面積と前記配位溶媒のピーク面積との総面積に対する前記フリー溶媒のピーク面積の比であり、
前記ピーク面積は、ピーク分離処理により分離されたピークと予め設定されたベースラインとで囲まれる面積であることを特徴とする、非水電解質二次電池用電解液。 - 前記電解質塩の濃度は、1.7M(mol/L)以上3.0M(mol/L)以下であることを特徴とする、請求項1記載の非水電解質二次電池用電解液。
- 前記第1の溶媒は、ジメチルカーボネート(DMC)、酢酸エチル(EA)、プロピオン酸メチル(MP)、及び酢酸メチル(MA)からなる群から選択される何れか1種以上を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の非水電解質二次電池用電解液。
- 前記第2の溶媒は、ベンゾトリフルオライド(CF3Ph)、及びフルオロベンゼン(FB)からなる群から選択される何れか1種以上を含むことを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の非水電解質二次電池用電解液。
- 前記フリー溶媒のピーク面積比が1%以上であることを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載の非水電解質二次電池用電解液。
- 前記電解質塩にはリチウム塩が含まれることを特徴とする、請求項1~5の何れか1項に記載の非水電解質二次電池用電解液。
- 請求項1~6の何れか1項に記載の非水電解質二次電池用電解液を含むことを特徴とする、非水電解質二次電池。
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