JP2014067610A - 非水電解質二次電池の製造方法及び製造された電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れたサイクル安定性を発現する非水電解質二次電池の製造方法及び製造された電池を提供する。
【解決手段】負極10b、正極10a、セパレータ10c、及び非水電解質15を備える非水電解質二次電池10の製造方法であって、負極10bがチタン酸リチウムであり、前処理段階において、負極10bに対する正極10aの電位を2.6〜3.0Vの範囲に設定して初回充電した後に一定時間保持し、発生したガスを抜く。
【選択図】図1
【解決手段】負極10b、正極10a、セパレータ10c、及び非水電解質15を備える非水電解質二次電池10の製造方法であって、負極10bがチタン酸リチウムであり、前処理段階において、負極10bに対する正極10aの電位を2.6〜3.0Vの範囲に設定して初回充電した後に一定時間保持し、発生したガスを抜く。
【選択図】図1
Description
本発明は、非水電解質二次電池の製造方法及び製造された電池に関するものである。
近年、携帯機器、ハイブリッド自動車、電気自動車、家庭用蓄電用途に非水電解質二次電池の研究開発が盛んに行われている。これらの分野に用いられる非水電解質二次電池は、長期間充放電サイクルを繰り返す必要がある。しかしながら、従来の非水電解質二次電池では、充放電サイクルを繰り返すとリチウムの挿入・脱離に伴う体積変化により、カーボン系材料から成る負極が劣化し、電池の容量が低下する問題がある。
この問題点を解決するために、非特許文献1のような、負極材料としてリチウムの挿入・脱離による体積変化のほとんどない堅牢な材料であるスピネル構造を有するチタン酸リチウムを用いた非水電解質二次電池が提案されている。
また、非水電解質二次電池の製造の最終段階で行う初回充電時に、電池内部でガスが発生することが知られており、これを放置しておくと二次電池の外装ケースが膨らむとともに、電極の活物質の劣化等が起こり、充放電特性や電池寿命特性を低下させる原因となる。このため、初回充放電後に発生したガスを電池ケースの外部へ逃がすガス抜き工程が行われている( 例えば、特許文献1,2を参照)。
また、非水電解質二次電池の製造の最終段階で行う初回充電時に、電池内部でガスが発生することが知られており、これを放置しておくと二次電池の外装ケースが膨らむとともに、電極の活物質の劣化等が起こり、充放電特性や電池寿命特性を低下させる原因となる。このため、初回充放電後に発生したガスを電池ケースの外部へ逃がすガス抜き工程が行われている( 例えば、特許文献1,2を参照)。
Ohzuku 他, "Lead-Free Accumulators for Renewable and Clean Energy Technologies" Chemistry Letters, 35巻8号, 848-849頁(2006)
しかしながら現状では、ガス抜き工程を行う前の、二次電池初回充電時の充電電圧と、該二次電池の充放電特性や電池寿命特性との関係が正確に把握されていない。初回充電時の充電電圧が高すぎると、すなわち過充電に近い状態まで充電すると、発生したガスの圧力が増加して電解液や電極の活物質の中にまで入り込んで、ガスが抜けにくくなる。また充電電圧が少なすぎると十分な量のガスが発生しきれず、ガス抜き工程を行った後も、ガスの発生が続くことになる。
本発明の課題は、ガス抜き工程を行う前の、初回充電時の充電電圧を最適化し、優れたサイクル安定性を発現する非水電解質二次電池の製造方法及び製造された電池を提供することである。
本発明者は、負極に対する正極の電位が、2.6〜3.0Vの範囲まで充電した後に一定時間保持し、発生したガスを抜く工程を含む製造方法を用いることで、サイクル安定性に優れる非水電解質二次電池を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は正極と負極と前記正極と負極の間に介在する非水電解質を有し、前記負極活物質のリチウムの脱離及び挿入が0.3V(vs.Li+/Li)以上2.0V(vs.Li+/Li)で進行する非水電解質二次電池の前処理方法であって、負極に対する正極の電位が2.6〜3.0Vの範囲まで充電した後に一定時間保持し、発生したガスを抜くことを特徴とする電池の製造方法である。ここで(vs.Li+/Li)とは、リチウム金属電極のLi+/Li平衡電位を0Vとしたときの電位を表す。
すなわち、本発明は正極と負極と前記正極と負極の間に介在する非水電解質を有し、前記負極活物質のリチウムの脱離及び挿入が0.3V(vs.Li+/Li)以上2.0V(vs.Li+/Li)で進行する非水電解質二次電池の前処理方法であって、負極に対する正極の電位が2.6〜3.0Vの範囲まで充電した後に一定時間保持し、発生したガスを抜くことを特徴とする電池の製造方法である。ここで(vs.Li+/Li)とは、リチウム金属電極のLi+/Li平衡電位を0Vとしたときの電位を表す。
本発明の非水電解質二次電池は、前記負極活物質がチタン酸リチウムであることが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池は、前記チタン酸リチウムがスピネル構造を有することが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池は、前記正極が活物質としてリチウムマンガン化合物を含むことが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池は、前記チタン酸リチウムがスピネル構造を有することが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池は、前記正極が活物質としてリチウムマンガン化合物を含むことが好ましい。
前記リチウムマンガン化合物は、Li1+xMyMn2―x―yO4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、MはAl、Mg、Zn、Co、Fe、及びCrからなる群から選ばれる少なくとも1種である)であることが好ましい。
前記MがAlであることがさらに好ましい。
本発明の電池は、本発明の非水電解質二次電池の製造方法により製造される電池である。
前記MがAlであることがさらに好ましい。
本発明の電池は、本発明の非水電解質二次電池の製造方法により製造される電池である。
本発明の非水電解質二次電池の製造方法により製造された電池は、サイクル安定性に優れる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。
<電極>
本発明の非水電解質二次電池は、負極活物質としてチタン酸リチウムを含む負極を有する。
<電極>
本発明の非水電解質二次電池は、負極活物質としてチタン酸リチウムを含む負極を有する。
本発明の非水電解質二次電池に用いる負極は、リチウムイオンの挿入・脱離反応が0.3V(vs.Li+/Li)以上2.0V(vs.Li+/Li)以下で進行する活物質を含む。このように0.3V(vs.Li+/Li)以上2.0V(vs.Li+/Li)以下である場合、実用的な電池電圧を発現できる。
リチウムイオンの挿入反応が0.3V(vs.Li+/Li)以上2.0V(vs.Li+/Li)以下で進行するとは、負極活物質へのリチウムイオン挿入が2.0V(vs.Li+/Li)以下で開始し、0.3V(vs.Li+/Li)以上で終了することである。一方、リチウムイオンの脱離反応が0.3V(vs.Li+/Li)以上2.0V(vs.Li+/Li)以下で進行するとは、負極活物質からのリチウムイオン脱離が0.3V(vs.Li+/Li)以上で開始し、2.0V(vs.Li+/Li)以下で終了することである。
リチウムイオンの挿入反応が0.3V(vs.Li+/Li)以上2.0V(vs.Li+/Li)以下で進行するとは、負極活物質へのリチウムイオン挿入が2.0V(vs.Li+/Li)以下で開始し、0.3V(vs.Li+/Li)以上で終了することである。一方、リチウムイオンの脱離反応が0.3V(vs.Li+/Li)以上2.0V(vs.Li+/Li)以下で進行するとは、負極活物質からのリチウムイオン脱離が0.3V(vs.Li+/Li)以上で開始し、2.0V(vs.Li+/Li)以下で終了することである。
リチウムイオン挿入・脱離反応の電圧値(vs.Li+/Li)は、例えば、負極活物質を用いた動作極、リチウム金属を対極とした半電池の充放電特性を測定し、プラトー開始時、及び終了時の電圧値を読み取ることによって求めることができる。プラトーが2箇所以上あった場合は、もっとも低い電圧値のプラトーが0.3V(vs.Li+/Li)以上であればよく、もっとも高い電圧値のプラトーが2.0V(vs.Li+/Li)以下であればよい。前記半電池に用いる動作極、電解液、セパレータは後述のものと同様のものを用いることができる。
リチウムイオンの挿入・脱離反応が0.3V(vs.Li+/Li)以上2.0V(vs.Li+/Li)以下で進行する負極活物質は、チタン酸リチウム、二酸化チタン、五酸化ニオブ及び二酸化モリブデンなどが好ましく、負極活物質の安定性が高い点から、チタン酸リチウム、二酸化チタンがより好ましく、チタン酸リチウムがさらに好ましい。これら負極活物質は1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。
チタン酸リチウムとしては、分子式としてLi4Ti5O12で表されるものが好ましい。スピネル構造であれば、リチウムイオンの挿入・脱離の反応における活物質の膨張収縮が小さく、特に好ましい。チタン酸リチウムには、たとえばNbなどのリチウム、チタン以外の元素が微量含まれていてもよい。
チタン酸リチウムは、CuKαによる粉末X線回折の(400)面の半値幅が0.5°以下であることが好ましい。0.5°より大きいと、チタン酸リチウムの結晶性が低いため、電極の安定性が低下する場合がある。
チタン酸リチウムは、CuKαによる粉末X線回折の(400)面の半値幅が0.5°以下であることが好ましい。0.5°より大きいと、チタン酸リチウムの結晶性が低いため、電極の安定性が低下する場合がある。
チタン酸リチウムは、X線回折によるリートベルト解析法による8aサイトに占めるリチウム含有率が90%以上であることが好ましい。90%未満であると、チタン酸リチウムの結晶中の欠陥が多いため、電極の安定性が低下する場合がある。
チタン酸リチウムは、リチウム化合物、チタン化合物を500℃以上1500℃以下で加熱処理することによって得ることができる。500℃未満、又は1500℃より高いと、所望の構造をしたチタン酸リチウムを得ることができにくい傾向がある。チタン酸リチウムの結晶性を向上させるため、加熱処理後、再び500℃以上1500℃以下で再加熱処理してもよい。再加熱処理の温度は、最初におこなった温度と同じでもよいし、違っていてもよい。加熱処理は、空気存在下でもよいし、窒素あるいはアルゴンなどの不活性ガスの存在下でおこなってもよい。加熱処理には、特に限定されないが、例えば、箱型炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等を用いることができる。
チタン酸リチウムは、リチウム化合物、チタン化合物を500℃以上1500℃以下で加熱処理することによって得ることができる。500℃未満、又は1500℃より高いと、所望の構造をしたチタン酸リチウムを得ることができにくい傾向がある。チタン酸リチウムの結晶性を向上させるため、加熱処理後、再び500℃以上1500℃以下で再加熱処理してもよい。再加熱処理の温度は、最初におこなった温度と同じでもよいし、違っていてもよい。加熱処理は、空気存在下でもよいし、窒素あるいはアルゴンなどの不活性ガスの存在下でおこなってもよい。加熱処理には、特に限定されないが、例えば、箱型炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等を用いることができる。
リチウム化合物としては、例えば、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、シュウ酸リチウム、ハロゲン化リチウムなどを用いることができる。これらリチウム化合物は、1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。
チタン化合物としては、特に限定されないが、例えば、二酸化チタン、一酸化チタンなどのチタン酸化物を用いることができる。
チタン化合物としては、特に限定されないが、例えば、二酸化チタン、一酸化チタンなどのチタン酸化物を用いることができる。
リチウム化合物、及びチタン化合物の配合比は、原料の性状や加熱条件によってリチウム、及びチタンの原子比、Ti/Li=1.25前後で多少の幅をもたせてもよい。
チタン酸リチウムの粒子径は、0.5μm以上50μm以下であることが好ましく、1μm以上30μm以下であることは取り扱いの観点からさらに好ましい。前記粒子径はSEM、TEM像から各粒子の大きさを測定し、平均粒子径を算出した値である。
チタン酸リチウムの粒子径は、0.5μm以上50μm以下であることが好ましく、1μm以上30μm以下であることは取り扱いの観点からさらに好ましい。前記粒子径はSEM、TEM像から各粒子の大きさを測定し、平均粒子径を算出した値である。
チタン酸リチウムの比表面積は、0.1m2/g以上50m2/g以下であることは所望の出力密度を得やすいことから好ましい。前記比表面積は、水銀ポロシメータ、BET法での測定により算出するのがよい。
チタン酸リチウムの嵩密度は、0.2g/cm3以上1.5g/cm3以下であることが好ましい。0.2g/cm3未満の場合では後述のスラリー作製時に多量の溶媒が必要となるため経済的に不利となる傾向があり、1.5g/cm3より大きいと後述の導電助材、バインダーとの混合が困難となる傾向がある。
チタン酸リチウムの嵩密度は、0.2g/cm3以上1.5g/cm3以下であることが好ましい。0.2g/cm3未満の場合では後述のスラリー作製時に多量の溶媒が必要となるため経済的に不利となる傾向があり、1.5g/cm3より大きいと後述の導電助材、バインダーとの混合が困難となる傾向がある。
本発明の非水電解質二次電池の正極は特に限定されるものではないが、正極活物質としてリチウムマンガン化合物を含むものが好ましい。
リチウムマンガン化合物としては、例えば、Li1+xMyMn2―x―yO4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、MはAl、Mg、Zn、Co、Fe、及びCrからなる群から選ばれる少なくとも1種である)で表されるリチウムマンガン化合物が挙げられる。ここでのMは、安定性向上の効果が大きい点から、Al、Mg、Zn、Co、Fe及びCrが好ましく、Al、Mg、Zn及びCrがより好ましく、Alがさらに好ましい。
リチウムマンガン化合物としては、例えば、Li1+xMyMn2―x―yO4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、MはAl、Mg、Zn、Co、Fe、及びCrからなる群から選ばれる少なくとも1種である)で表されるリチウムマンガン化合物が挙げられる。ここでのMは、安定性向上の効果が大きい点から、Al、Mg、Zn、Co、Fe及びCrが好ましく、Al、Mg、Zn及びCrがより好ましく、Alがさらに好ましい。
ここで、x<0の場合は、正極活物質の容量が減少する傾向がある。また、x>0.2の場合は炭酸リチウムなどの不純物が多く含まれるようになる傾向がある。y=0の場合は、正極活物質の安定性が低くなる傾向がある。また、y>0.6の場合はMの酸化物などの不純物が多く含まれるようになる傾向がある。
Li1+xMyMn2―x―yO4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、MはAl、Mg、Zn、Co、Fe、及びCrからなる群から選ばれる少なくとも1種である)は、スピネル構造であることが好ましい。スピネル構造の場合、リチウムイオンの挿入・脱離の反応における活物質の膨張収縮が小さいので好ましい。
Li1+xMyMn2―x―yO4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、MはAl、Mg、Zn、Co、Fe、及びCrからなる群から選ばれる少なくとも1種である)は、スピネル構造であることが好ましい。スピネル構造の場合、リチウムイオンの挿入・脱離の反応における活物質の膨張収縮が小さいので好ましい。
Li1+xMyMn2―x―yO4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、MはAl、Mg、Zn、Co、Fe、及びCrからなる群から選ばれる少なくとも1種である)は、CuKαによる粉末X線回折の(400)面の半値幅が0.5°以下であることが好ましい。0.5°より大きいと、正極活物質の結晶性が低いため、電極の安定性が低下する場合がある。
Li1+xMyMn2―x―yO4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、MはAl、Mg、Zn、Co、Fe、及びCrからなる群から選ばれる少なくとも1種である)は、X線回折によるリートベルト解析法による8aサイトに占めるリチウム含有率は、90%以上であることが好ましい。90%未満であると、正極活物質の結晶中の欠陥が多いため、電極の安定性が低下する場合がある。
Li1+xMyMn2―x―yO4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、MはAl、Mg、Zn、Co、Fe、及びCrからなる群から選ばれる少なくとも1種である)の粒子径は、0.5μm以上50μm以下であることが好ましく、1μm以上30μm以下であることは取り扱いの観点からさらに好ましい。ここでの粒子径はSEM、TEM像から各粒子の大きさを測定し、平均粒子径を算出した値である。
Li1+xMyMn2―x―yO4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、MはAl、Mg、Zn、Co、Fe、及びCrからなる群から選ばれる少なくとも1種である)の比表面積は、0.1m2/g以上50m2/g以下であることは所望の出力密度を得やすいことから好ましい。比表面積はBET法での測定により算出できる。
Li1+xMyMn2―x―yO4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、MはAl、Mg、Zn、Co、Fe、及びCrからなる群から選ばれる少なくとも1種である)の嵩密度は、0.2g/cm3以上2.0g/cm3以下であることが好ましい。0.2g/cm3未満の場合では後述のスラリー作製時に多量の溶媒が必要となるため経済的に不利となり、2.0g/cm3より大きい場合では後述の導電助材、バインダーとの混合が困難となる傾向がある。
Li1+xMyMn2―x―yO4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、MはAl、Mg、Zn、Co、Fe、及びCrからなる群から選ばれる少なくとも1種である)の嵩密度は、0.2g/cm3以上2.0g/cm3以下であることが好ましい。0.2g/cm3未満の場合では後述のスラリー作製時に多量の溶媒が必要となるため経済的に不利となり、2.0g/cm3より大きい場合では後述の導電助材、バインダーとの混合が困難となる傾向がある。
Li1+xMyMn2―x―yO4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、MはAl、Mg、Zn、Co、Fe、及びCrからなる群から選ばれる少なくとも1種である)は、リチウム化合物、マンガン化合物、Mの化合物を500℃以上、1500℃以下で加熱処理することによって得ることができる。500℃未満、又は1500℃より高いと、所望の構造をした正極活物質を得ることができない場合がある。加熱処理は、リチウム化合物、マンガン化合物、及びMの化合物を混合して加熱処理もよいし、マンガン化合物とMの化合物とを加熱処理した後に、リチウム化合物と加熱処理してもよい。正極活物質の結晶性を向上させるため、加熱処理後、再び500℃以上、1500℃以下で再加熱処理してもよい。再加熱処理の温度は、最初におこなった温度と同じでもよいし、違っていてもよい。加熱処理は、空気存在下でもよいし、窒素あるいはアルゴンなどの不活性ガスの存在下でおこなってもよい。加熱処理には、特に限定されないが、例えば、箱型炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等を用いることができる。
リチウム化合物としては、例えば、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、シュウ酸リチウム、ハロゲン化リチウムなどを用いることができる。これらリチウム化合物は、1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。
マンガン化合物としては、例えば、二酸化マンガン等のマンガン酸化物、炭酸マンガン、硝酸マンガン、マンガン水酸化物などを用いることができる。これらマンガン化合物は、1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。
マンガン化合物としては、例えば、二酸化マンガン等のマンガン酸化物、炭酸マンガン、硝酸マンガン、マンガン水酸化物などを用いることができる。これらマンガン化合物は、1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。
Mの化合物としては、例えば、炭酸化物、酸化物、硝酸化物、水酸化物、硫酸化物などを用いることができる。Li1+xMyMn2―x―yO4に含まれるMの量は、加熱処理時におけるMの化合物の量で制御することができる。Mの化合物は、1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。
リチウム化合物、マンガン化合物及びMの化合物の配合比は、リチウム、マンガン及びMの原子比をそれぞれ1+x(リチウム)、2−x−y(マンガン)、及びy(M)、但し、0≦x≦0.2、0<y≦0.6を満たす範囲で選択される。例えば、Mn/Liの原子比1.5の正極活物質を作製する場合、原料の性状や加熱条件によって前記配合比1.5前後で多少の幅をもたせてもよい。
リチウム化合物、マンガン化合物及びMの化合物の配合比は、リチウム、マンガン及びMの原子比をそれぞれ1+x(リチウム)、2−x−y(マンガン)、及びy(M)、但し、0≦x≦0.2、0<y≦0.6を満たす範囲で選択される。例えば、Mn/Liの原子比1.5の正極活物質を作製する場合、原料の性状や加熱条件によって前記配合比1.5前後で多少の幅をもたせてもよい。
本発明の負極及び/又は正極(以下、単に「電極」と称することがある。)に用いる負極活物質及び/又は正極活物質(以下、単に「活物質」と称することがある。)の表面は、導電性向上、あるいは安定性向上のため、炭素材料、金属酸化物、あるいは高分子等で覆われてもよい。
本発明の活物質に使用できる導電助材としては、特に限定されないが、炭素材料が好ましい。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、及びファーネスブラックなどが挙げられる。これら炭素材料は1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。
本発明の活物質に使用できる導電助材としては、特に限定されないが、炭素材料が好ましい。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、及びファーネスブラックなどが挙げられる。これら炭素材料は1種類でもよいし、2種類以上用いてもよい。
本発明において、導電助材の量は、活物質100重量部に対して、好ましくは1重量部以上30重量部以下、より好ましくは2重量部以上15重量部以下である。前記範囲であれば、電極の導電性が確保される。また、後述のバインダーとの接着性が維持され、集電体との接着性を十分に得ることができる。
本発明の活物質に使用できるバインダーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイミド及びそれらの誘導体からなる群からえらばれる少なくとも1種を用いることができる。バインダーは電極の作製しやすさから、非水溶媒又は水に、溶解又は分散されていることが好ましい。非水溶媒は、特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、及びテトラヒドロフランなどを挙げることができる。これらに分散剤、増粘剤を加えてもよい。
本発明の活物質に使用できるバインダーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイミド及びそれらの誘導体からなる群からえらばれる少なくとも1種を用いることができる。バインダーは電極の作製しやすさから、非水溶媒又は水に、溶解又は分散されていることが好ましい。非水溶媒は、特に限定されないが、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、及びテトラヒドロフランなどを挙げることができる。これらに分散剤、増粘剤を加えてもよい。
バインダーの量は、活物質100重量部に対して、好ましくは1重量部以上30重量部以下、より好ましくは2重量部以上15重量部以下である。前記範囲であれば、活物質と導電助材との接着性が維持され、集電体との接着性が十分に得ることができる。
本発明の電極は、活物質、導電助材及びバインダーの混合物を集電体上に塗工することによって作製されるが、作製方法の容易さから、前記混合物及び溶媒でスラリーを作製し、得られたスラリーを集電体上に塗工した後に、溶媒を除去することによって電極を作製する方法が好ましい。
本発明の電極は、活物質、導電助材及びバインダーの混合物を集電体上に塗工することによって作製されるが、作製方法の容易さから、前記混合物及び溶媒でスラリーを作製し、得られたスラリーを集電体上に塗工した後に、溶媒を除去することによって電極を作製する方法が好ましい。
本発明の電極に用いることのできる集電体は、0.3V(vs.Li+/Li)以上2.0V(vs.Li+/Li)以下で安定な金属材料、例えば、銅、SUS、ニッケル、チタン、アルミニウム又はそれらの合金が好ましく、安定性が高いことからアルミニウムであることが特に好ましい。アルミニウムの種類は特に限定されないが、正極及び負極の電極反応雰囲気下で安定であることから、JIS規格1030、1050、1085、1N90、1N99等に代表される高純度アルミニウムであることが好ましい。
集電体として、アルミニウム以外の金属材料(銅、SUS、ニッケル、チタン、及びそれらの合金)の表面に前記アルミニウムを被覆したものも用いることもできる。
集電体の表面粗度Raは、0.05μm以上0.5μm以下であることが好ましい。0.05μm未満であると、電極との接着性が低下する場合があり、0.5μmより大きいと、電極を均一に形成することが困難となる場合がある。なお、表面粗度Raは、光波干渉式表面粗さ測定器を用いて測定できる。
集電体の表面粗度Raは、0.05μm以上0.5μm以下であることが好ましい。0.05μm未満であると、電極との接着性が低下する場合があり、0.5μmより大きいと、電極を均一に形成することが困難となる場合がある。なお、表面粗度Raは、光波干渉式表面粗さ測定器を用いて測定できる。
集電体の電気抵抗は、5μΩ・cm以下であることが好ましい。5μΩ・cmより高い場合は、電池の性能が低下する恐れがある。電気抵抗は、四端子法で測定することができる。
集電体の厚みは、特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。10μm未満では作製の観点から取り扱いが困難となる場合があり、100μmより厚い場合は経済的観点から不利になる場合がある。
集電体の厚みは、特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましい。10μm未満では作製の観点から取り扱いが困難となる場合があり、100μmより厚い場合は経済的観点から不利になる場合がある。
スラリーの作製は、特に限定されないが、活物質、導電助材、バインダー及び溶媒を均一に混合できることから、ボールミル、プラネタリミキサ、ジェットミル、薄膜旋回型ミキサーを用いることが好ましい。スラリーの作製は、特に限定されないが、活物質、導電助材、及びバインダーを混合した後に溶媒を加えて作製してもよいし、活物質、導電助材、バインダー、及び溶媒を一緒に混合して作製してもよい。
スラリーの固形分濃度は、30wt%以上80wt%以下であることが好ましい。30wt%未満の場合、スラリーの粘度が低すぎる傾向があり、一方、80wt%より高い場合は、スラリーの粘度が高すぎる傾向があるため、後述の電極の形成が困難となる場合がある。
スラリーに用いる溶媒は、非水溶媒、あるいは水であることが好ましい。非水溶媒は、特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、及びテトラヒドロフランなどを挙げることができる。また、これらに分散剤、増粘剤を加えてもよい。
スラリーに用いる溶媒は、非水溶媒、あるいは水であることが好ましい。非水溶媒は、特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、及びテトラヒドロフランなどを挙げることができる。また、これらに分散剤、増粘剤を加えてもよい。
集電体上への電極の形成は、特に限定されないが、例えば前記スラリーをドクターブレード、ダイコータ、コンマコータ等により塗布した後に、溶剤を除去する方法、あるいはスプレーにより塗布した後に溶剤を除去する方法が好ましい。溶媒を除去する方法は、オーブンや真空オーブンを用いた乾燥が簡単であり好ましい。溶媒を除去する雰囲気としては室温、あるいは高温とした空気、不活性ガス、真空状態などが挙げられる。溶媒を除去する温度は、特に限定されないが、60℃以上250℃以下であることが好ましい。60℃未満では溶媒の除去に時間を要する場合があり、250℃より高いと、バインダーが劣化する場合がある。電極作製後、ロールプレス機などを用いて電極を圧縮させてもよい。
本発明において、電極の厚みは、10μm以上200μm以下であることが好ましい。10μm未満では、所望の容量を得ることが難しい場合があり、200μmより厚い場合は、所望の出力密度を得ることが難しい場合がある。
本発明において、電極の密度は、1.0g/cm3以上4.0g/cm3以下であることが好ましい。1.0g/cm3未満であれば、活物質、導電助材との接触が不十分となり電子伝導性が低下する場合がある。4.0g/cm3より大きい場合は、後述の電解液が電極内に浸透しにくくなり、リチウム伝導性が低下する場合がある。電極は、所望の厚み、密度まで圧縮させてもよい。圧縮は、特に限定されないが、例えば、ロールプレス、油圧プレス等を用いておこなうことができる。
本発明において、電極の密度は、1.0g/cm3以上4.0g/cm3以下であることが好ましい。1.0g/cm3未満であれば、活物質、導電助材との接触が不十分となり電子伝導性が低下する場合がある。4.0g/cm3より大きい場合は、後述の電解液が電極内に浸透しにくくなり、リチウム伝導性が低下する場合がある。電極は、所望の厚み、密度まで圧縮させてもよい。圧縮は、特に限定されないが、例えば、ロールプレス、油圧プレス等を用いておこなうことができる。
本発明において、負極の1cm2あたりの電気容量は、0.5mAh以上3.6mAh以下であることが好ましい。0.5mAh未満である場合は所望する容量の電池の大きさが大きくなる場合があり、一方、3.6mAhより多い場合は所望の出力密度を得ることが難しい場合がある。
本発明において、正極の1cm2あたりの電気容量が0.5mAh以上3.0mAh以下であることが好ましい。0.5mAh未満である場合は所望する容量の電池の大きさが大きくなる傾向があり、一方、3.0mAhより多い場合は所望の出力密度を得ることが難しくなる傾向がある。
本発明において、正極の1cm2あたりの電気容量が0.5mAh以上3.0mAh以下であることが好ましい。0.5mAh未満である場合は所望する容量の電池の大きさが大きくなる傾向があり、一方、3.0mAhより多い場合は所望の出力密度を得ることが難しくなる傾向がある。
負極及び正極の各1cm2あたりの電気容量の算出は、各電極作製後、リチウム金属を対極とした半電池を作製した後に、充放電特性を測定することによって算出できる。
電極1cm2あたりの電気容量は、特に限定されないが、集電体単位面積あたりに形成させる電極の重量で制御する方法、例えば、前述の電極塗工時の塗工厚みで制御することができる。
電極1cm2あたりの電気容量は、特に限定されないが、集電体単位面積あたりに形成させる電極の重量で制御する方法、例えば、前述の電極塗工時の塗工厚みで制御することができる。
<セパレータ>
本発明の非水電解質二次電池に用いるセパレータは、前述の正極と負極との間に設置され、電子伝導性がなくかつリチウムイオン伝導性を有する物質であればよく、例えば、ナイロン、セルロース、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、及びそれらを2種類以上複合したものの織布、不織布、微多孔膜などが挙げられる。セパレータには、各種可塑剤、酸化防止剤、難燃剤が含まれてもよいし、金属酸化物等が被覆されていてもよい。
本発明の非水電解質二次電池に用いるセパレータは、前述の正極と負極との間に設置され、電子伝導性がなくかつリチウムイオン伝導性を有する物質であればよく、例えば、ナイロン、セルロース、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、及びそれらを2種類以上複合したものの織布、不織布、微多孔膜などが挙げられる。セパレータには、各種可塑剤、酸化防止剤、難燃剤が含まれてもよいし、金属酸化物等が被覆されていてもよい。
セパレータの厚みは、10μm以上100μm以下であることが好ましい。10μm未満であると正極と負極との接触する場合があり、100μmより厚いと電池の抵抗が高くなる場合がある。経済性及び取り扱いの観点から、15μm以上50μm以下であることがより好ましい。
<非水電解質>
本発明の非水電解質二次電池に用いる非水電解質は、特に限定されないが、非水溶媒に溶質を溶解させた電解液、非水溶媒に溶質を溶解させた電解液を高分子に含浸させたゲル電解質を用いることができる。
<非水電解質>
本発明の非水電解質二次電池に用いる非水電解質は、特に限定されないが、非水溶媒に溶質を溶解させた電解液、非水溶媒に溶質を溶解させた電解液を高分子に含浸させたゲル電解質を用いることができる。
非水溶媒としては、環状の非プロトン性溶媒及び/又は鎖状の非プロトン性溶媒を含むことが好ましい。環状の非プロトン性溶媒としては、環状カーボネート、環状エステル、環状スルホン及び環状エーテルなどが例示される。鎖状の非プロトン性溶媒としては、鎖状カーボネート、鎖状カルボン酸エステル及び鎖状エーテルなどが例示される。また、前記に加えアセトニトリルなどの一般的に非水電解質の溶媒として用いられる溶媒を用いても良い。より具体的には、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、スルホラン、ジオキソラン、プロピオン酸メチルなどを用いることができる。これら溶媒は1種類で用いてもよいし、2種類以上混合しても用いてもよいが、後述の溶質を溶解させやすさ、リチウムイオンの伝導性の高さから、2種類以上混合した溶媒を用いることが好ましい。例えばジメチルカーボネートとエチレンカーボネートが、好ましい組み合わせとして例示される。また、高分子に電解液をしみこませたゲル状電解質も用いることができる。
溶質は、特に限定されないが、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiCF3SO3、LiBOB(Lithium Bis (Oxalato) Borate)、LiN(SO2CF3)2などは溶媒に溶解しやすいことから好ましい。電解液に含まれる溶質の濃度は、0.5mol/L以上2.0mol/L以下であることが好ましい。0.5mol/L未満では所望のリチウムイオン伝導性が発現しない場合があり、一方、2.0mol/Lより高いと、溶質がそれ以上溶解しない場合がある。非水電解質には、難燃剤、安定化剤などの添加剤が微量含まれてもよい。
<非水電解質二次電池の構造>
本発明の非水電解質二次電池の正極及び負極は、集電体の両面に同じ電極を形成させた形態であってもよく、集電体の片面に正極、一方の面に負極を形成させた形態、すなわち、バイポーラ電極であってもよい。例えば、バイポーラ電極である場合は、隣り合うバイポーラ電極の正極側と負極側との間にセパレータを配置し、各正極側と負極側とが対向した層内は、液絡を防止するため正極及び負極の周辺部に絶縁材料が配置されている。
本発明の非水電解質二次電池の正極及び負極は、集電体の両面に同じ電極を形成させた形態であってもよく、集電体の片面に正極、一方の面に負極を形成させた形態、すなわち、バイポーラ電極であってもよい。例えば、バイポーラ電極である場合は、隣り合うバイポーラ電極の正極側と負極側との間にセパレータを配置し、各正極側と負極側とが対向した層内は、液絡を防止するため正極及び負極の周辺部に絶縁材料が配置されている。
本発明の非水電解質二次電池は、正極側と負極側との間にセパレータを配置したものを倦回したものであってもよいし、積層したものであってもよい。正極、負極、及びセパレータには、リチウムイオン伝導を担う非水電解質が含まれている。
本発明の非水電解質二次電池における正極の電気容量と負極の電気容量との比は、下記式(1)を満たすことが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池における正極の電気容量と負極の電気容量との比は、下記式(1)を満たすことが好ましい。
1≦B/A≦1.2 (1)
但し、前記式(1)中、Aは正極1cm2あたりの電気容量を示し、Bは負極1cm2あたりの電気容量を示す。
B/Aが1未満である場合は、過充電時に負極の電位がリチウムの析出電位になる場合があり、一方、B/Aが1.2より大きい場合は電池反応に関与しない負極活物質が多いために副反応が起こる場合がある。
但し、前記式(1)中、Aは正極1cm2あたりの電気容量を示し、Bは負極1cm2あたりの電気容量を示す。
B/Aが1未満である場合は、過充電時に負極の電位がリチウムの析出電位になる場合があり、一方、B/Aが1.2より大きい場合は電池反応に関与しない負極活物質が多いために副反応が起こる場合がある。
本発明の非水電解質二次電池における正極と負極との面積比は、特に限定されないが、下記式(2)を満たすことが好ましい。
1≦D/C≦1.2 (2)
(但し、Cは正極の面積、Dは負極の面積を示す。)
D/Cが1未満である場合は、例えば先述のB/A=1の場合、負極の容量が正極よりも小さくなるため、過充電時に負極の電位がリチウムの析出電位になる恐れがある。一方、D/Cが1.2より大きい場合は、正極と接していない部分の負極が大きいため、電池反応に関与しない負極活物質が副反応を起こす場合がある。正極及び負極の面積の制御は特に限定されないが、例えば、スラリー塗工の際、塗工幅を制御することによって行うことができる。
1≦D/C≦1.2 (2)
(但し、Cは正極の面積、Dは負極の面積を示す。)
D/Cが1未満である場合は、例えば先述のB/A=1の場合、負極の容量が正極よりも小さくなるため、過充電時に負極の電位がリチウムの析出電位になる恐れがある。一方、D/Cが1.2より大きい場合は、正極と接していない部分の負極が大きいため、電池反応に関与しない負極活物質が副反応を起こす場合がある。正極及び負極の面積の制御は特に限定されないが、例えば、スラリー塗工の際、塗工幅を制御することによって行うことができる。
本発明の非水電解質二次電池に用いるセパレータと負極との面積比は特に限定されないが、下記式(3)を満たすことが好ましい。
1≦F/E≦1.5 (3)
(但し、Eは負極の面積、Fはセパレータの面積を示す。)
F/Eが1未満である場合は、正極と負極とが接触し、1.5より大きい場合は外装に要する体積が大きくなり、電池の出力密度が低下する場合がある。
1≦F/E≦1.5 (3)
(但し、Eは負極の面積、Fはセパレータの面積を示す。)
F/Eが1未満である場合は、正極と負極とが接触し、1.5より大きい場合は外装に要する体積が大きくなり、電池の出力密度が低下する場合がある。
本発明の非水電解質二次電池に用いる非水電解質の量は、特に限定されないが、電池容量1Ahあたり、0.1mL以上であることが好ましい。0.1mL未満の場合、電極反応に伴うリチウムイオンの伝導が追いつかず、所望の電池性能が発現しない場合がある。
非水電解質は、あらかじめ正極、負極及びセパレータに含ませてもよいし、正極側と負極側との間にセパレータを配置したものを倦回、あるいは積層した後に添加してもよい。
非水電解質は、あらかじめ正極、負極及びセパレータに含ませてもよいし、正極側と負極側との間にセパレータを配置したものを倦回、あるいは積層した後に添加してもよい。
本発明の非水電解質二次電池は、前記積層体を倦回、あるいは複数積層した後にラミネートフィルムで外装してもよいし、角形、楕円形、円筒形、コイン形、ボタン形、シート形の金属缶で外装してもよい。外装には発生したガスを放出するための機構が備わっていてもよい。積層体の積層数は、所望の電圧値、電池容量を発現するまで積層させることができる。
本発明の非水電解質二次電池は、複数接続することによって組電池とすることができる。本発明の組電池は、所望の大きさ、容量、電圧によって適宜直列、並列に接続することによって作製することができる。また、各電池の充電状態の確認、安全性向上のため、前記組電池に制御回路が付属されていることが好ましい。
<非水電解質二次電池の製造方法>
本発明の非水電解質二次電池の製造方法には、負極に対する正極の電位が2.6〜3.0Vの範囲まで充電した後に一定時間保持し、発生したガスを抜く工程が含まれる。充電電圧としては、2.6〜3.0Vの範囲が好ましいが、あまり高すぎると電解液の分解がより促進されてしまうため、2.6〜2.9Vの範囲がより好ましい。充電後に一定時間保持する時間としては、充分にガスを発生させるためには1〜14日間程度が好ましく、電池の製造プロセスの観点からは1〜10日間程度がより好ましい範囲として挙げられる。
<非水電解質二次電池の製造方法>
本発明の非水電解質二次電池の製造方法には、負極に対する正極の電位が2.6〜3.0Vの範囲まで充電した後に一定時間保持し、発生したガスを抜く工程が含まれる。充電電圧としては、2.6〜3.0Vの範囲が好ましいが、あまり高すぎると電解液の分解がより促進されてしまうため、2.6〜2.9Vの範囲がより好ましい。充電後に一定時間保持する時間としては、充分にガスを発生させるためには1〜14日間程度が好ましく、電池の製造プロセスの観点からは1〜10日間程度がより好ましい範囲として挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
<実施例1>
(正極の製造)
正極活物質のLi1.1Al0.1Mn1.8O4を、文献("Lithium Aluminum Manganese Oxide Having Spinel-Framework Structure for Long-Life Lithium-Ion Batteries" Electrochemical and Solid-State Letters Volume9, Issue12, Pages A557 (2006))に記載されている方法で作製した。
<実施例1>
(正極の製造)
正極活物質のLi1.1Al0.1Mn1.8O4を、文献("Lithium Aluminum Manganese Oxide Having Spinel-Framework Structure for Long-Life Lithium-Ion Batteries" Electrochemical and Solid-State Letters Volume9, Issue12, Pages A557 (2006))に記載されている方法で作製した。
二酸化マンガン、炭酸リチウム、水酸化アルミニウム、及びホウ酸の水分散液を調製し、スプレードライ法で混合粉末を作製した。このとき、二酸化マンガン、炭酸リチウム及び水酸化アルミニウムの量は、リチウム、アルミニウム及びマンガンのモル比が1.1:0.1:1.8となるように調製した。次に、この混合粉末を空気雰囲気下900℃で12時間加熱した後、再度650℃で24時間加熱した。最後に、この粉末を95℃の水で洗浄後、乾燥させることによって正極活物質を作製した。
作製された正極活物質を100重量部、導電助材(アセチレンブラック)を6.8重量部、及びバインダーとしてPVdF(固形分濃度12wt%、NMP溶液)を6.8重量部混合してスラリーを作製した。このスラリーをアルミニウム箔(20μm)に塗工した後に、150℃で真空乾燥することによって正極(50cm2)を作製した。
正極の容量は次の充放電試験で測定した。
正極の容量は次の充放電試験で測定した。
アルミニウム箔の片面に塗工した正極を16mmΦに打ち抜き動作極、Li金属を16mmΦに打ち抜き対極とした。これらの電極を用いて、動作極(片面塗工)/セパレータ/Li金属の順に試験セル(HSセル、宝泉社製)内に積層し、非水電解質(エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート=3/7vol%、LiPF6 1mol/L)を0.15mL入れ、半電池を作製した。この半電池を25℃で一日放置した後、充放電試験装置(HJ1005SD8、北斗電工社製)に接続した。この半電池を25℃、0.4mAで定電流充電(終止電圧:4.5V)及び定電流放電(終止電圧:3.5V)を5回繰り返し、5回目の結果を正極の容量とした。その結果、正極の容量は、1.0mAh/cm2であった。
(負極の製造)
負極活物質のLi4Ti5O12 を、文献("Zero-Strain Insertion Material of Li [Li1/3Ti5/3] O4 for Rechargeable Lithium Cells" J. Electrochem. Soc., Volume 142, Issue 5, pp. 1431-1435 (1995))に記載されている方法で作製した。
まず二酸化チタンと水酸化リチウムを、チタンとリチウムとのモル比を5:4となるように混合し、次にこの混合物を窒素雰囲気下800℃で12時間加熱することによって負極活物質を作製した。
負極活物質のLi4Ti5O12 を、文献("Zero-Strain Insertion Material of Li [Li1/3Ti5/3] O4 for Rechargeable Lithium Cells" J. Electrochem. Soc., Volume 142, Issue 5, pp. 1431-1435 (1995))に記載されている方法で作製した。
まず二酸化チタンと水酸化リチウムを、チタンとリチウムとのモル比を5:4となるように混合し、次にこの混合物を窒素雰囲気下800℃で12時間加熱することによって負極活物質を作製した。
作製された負極活物質を100重量部、導電助材(アセチレンブラック)を6.8重量部、及びバインダーとしてPVdF(固形分濃度12wt%、NMP溶液)を固形分6.8重量部混合してスラリーを作製した。このスラリーをアルミニウム箔(20μm)に塗工した後に、150℃で真空乾燥することによって負極(50cm2)を作製した。
負極の容量は次の充放電試験で測定した。
負極の容量は次の充放電試験で測定した。
前述と同様の条件でアルミニウム箔の片面に負極を塗工し、16mmΦに打ち抜き動作極を作製した。Li金属を16mmΦに打ち抜き対極とした。これらの電極を用いて、動作極(片面塗工)/セパレータ/Li金属の順に試験セル(HSセル、宝泉社製)内に積層し、非水電解質(エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート=3/7vol%、LiPF6 1mol/L)を0.15mL入れ、半電池を作製した。この半電池を25℃で一日放置した後、充放電試験装置(HJ1005SD8、北斗電工社製)に接続した。この半電池を25℃、0.4mAで定電流放電(終止電圧:1.0V)及び定電流充電(終止電圧:2.0V)を5回繰り返し、5回目の結果を負極の容量とした。その結果、負極の容量は、1.2mAh/cm2であった。
(非水電解質二次電池の作製)
非水電解質二次電池10を次のとおりに作製した。
最初に、前記作製した正極(片面塗工)10a、負極(片面塗工)10b、及びセパレータ10cを、正極(片面塗工)/セパレータ/負極(片面塗工)の順に積層した。セパレータには、セルロース不織布(25μm、55cm2)を用いた。
非水電解質二次電池10を次のとおりに作製した。
最初に、前記作製した正極(片面塗工)10a、負極(片面塗工)10b、及びセパレータ10cを、正極(片面塗工)/セパレータ/負極(片面塗工)の順に積層した。セパレータには、セルロース不織布(25μm、55cm2)を用いた。
次に、図1に示すように、非水電解質二次電池10の正極10a及び負極10bにアルミニウムタブ11,12をそれぞれ振動溶着させた後に、ガスポケット14を有する袋状のアルミラミネートシート13の中に入れた。非水電解質15はエチレンカーボネート/ジメチルカーボネート=3:7(vol比)の混合非水溶媒にLiPF6 を1mol/Lの濃度で溶解させて調製した。得られた非水電解質15を2mL入れた後に、減圧しながらアルミラミネートシート13を封止することによって非水電解質二次電池を作製した。
(ガス抜き工程)
最初に、前記非水二次電池を充放電装置(HJ1005SD8、北斗電工社製)に接続し、0.2C相当の電流値で2.7Vになるまで25℃の環境下でCC(定電流)充電した。
つぎに、開回路の状態で60℃のオーブンに入れ1週間放置した。最後に、室温(25℃)まで徐冷したのちに、前記非水二次電池のガスポケット14の一部に切れ込みをいれ、発生したガスを抜いた後に、再度減圧しながら封止し、ガス抜き済の非水電解質二次電池を作製した。
<実施例2>
ガス抜き工程の充電電圧が2.8Vである以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<実施例3>
ガス抜き工程の充電電圧が2.9Vである以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<実施例4>
ガス抜き工程の充電電圧が3.0Vである以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<実施例5>
ガス抜き工程の充電電圧が2.6Vである以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<比較例1>
ガス抜き工程を実施しないこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<比較例2>
ガス抜き工程の充電電圧が2.5Vである以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<比較例3>
ガス抜き工程の充電電圧が3.1Vである以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
最初に、前記非水二次電池を充放電装置(HJ1005SD8、北斗電工社製)に接続し、0.2C相当の電流値で2.7Vになるまで25℃の環境下でCC(定電流)充電した。
つぎに、開回路の状態で60℃のオーブンに入れ1週間放置した。最後に、室温(25℃)まで徐冷したのちに、前記非水二次電池のガスポケット14の一部に切れ込みをいれ、発生したガスを抜いた後に、再度減圧しながら封止し、ガス抜き済の非水電解質二次電池を作製した。
<実施例2>
ガス抜き工程の充電電圧が2.8Vである以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<実施例3>
ガス抜き工程の充電電圧が2.9Vである以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<実施例4>
ガス抜き工程の充電電圧が3.0Vである以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<実施例5>
ガス抜き工程の充電電圧が2.6Vである以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<比較例1>
ガス抜き工程を実施しないこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<比較例2>
ガス抜き工程の充電電圧が2.5Vである以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
<比較例3>
ガス抜き工程の充電電圧が3.1Vである以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製した。
(サイクル特性の測定)
実施例1〜5及び比較例1〜3で作製された非水電解質二次電池を、充放電装置(HJ1005SD8、北斗電工社製)に接続し、55℃、50mA定電流充電、50mA定電流放電を100回繰り返した。このときの実施例1〜5と比較例1〜3の充電終止電圧及び放電終止電圧は、それぞれ3V及び2Vとした。1回目の放電容量を100としたときの、100回目の放電容量の測定値(%)を表1に示す。
実施例1〜5及び比較例1〜3で作製された非水電解質二次電池を、充放電装置(HJ1005SD8、北斗電工社製)に接続し、55℃、50mA定電流充電、50mA定電流放電を100回繰り返した。このときの実施例1〜5と比較例1〜3の充電終止電圧及び放電終止電圧は、それぞれ3V及び2Vとした。1回目の放電容量を100としたときの、100回目の放電容量の測定値(%)を表1に示す。
また図2は、表1に示されるガス抜き工程における充電電圧と、100回目の放電容量の測定値(%)との関係を描いたグラフである。
表1及び図2から明らかなとおり、ガス抜き工程の充電電圧を2.6V以上3.0V以下とした実施例1〜5の非水電解質二次電池は、100回目の放電容量の測定値(%)が何れも90以上である。一方、ガス抜き工程の充電電圧が2.5V又は3.1Vである比較例1〜3の非水電解質二次電池は、100回目の放電容量の測定値(%)が90未満の数値を示した。したがって、実施例1〜5のほうが、比較例1〜3よりもサイクル安定性が向上していることが分かる。
表1及び図2から明らかなとおり、ガス抜き工程の充電電圧を2.6V以上3.0V以下とした実施例1〜5の非水電解質二次電池は、100回目の放電容量の測定値(%)が何れも90以上である。一方、ガス抜き工程の充電電圧が2.5V又は3.1Vである比較例1〜3の非水電解質二次電池は、100回目の放電容量の測定値(%)が90未満の数値を示した。したがって、実施例1〜5のほうが、比較例1〜3よりもサイクル安定性が向上していることが分かる。
Claims (8)
- 正極と、負極と、前記正極と前記負極の間に介在する非水電解質とを有し、負極活物質のリチウムの脱離及び挿入が0.3V(vs.Li+/Li)以上2.0V(vs.Li+/Li)以下で進行する非水電解質二次電池の製造方法であって、
前処理工程として、負極に対する正極の電位を2.6〜3.0Vの範囲の中から選ばれる値に到達するまで充電した後に一定時間保持し、発生したガスを抜く工程を含む、製造方法。 - 負極活物質がチタン酸リチウムである、請求項1に記載の製造方法。
- チタン酸リチウムが、スピネル構造を有するものである、請求項2に記載の製造方法。
- 正極は、活物質としてリチウムマンガン化合物を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の製造方法。
- リチウムマンガン化合物が、Li1+xMyMn2―x―yO4(0≦x≦0.2、0<y≦0.6、MはAl、Mg、Zn、Co、Fe、及びCrからなる群から選ばれる少なくとも1種)で表される、請求項4記載の製造方法。
- MがAlである請求項5記載の製造方法。
- 負極に対する正極の電位が2.6〜3.0Vの範囲まで充電した後に一定時間保持する時間が、1〜14日である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の方法で製造された非水電解質二次電池。
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