JP6289640B2 - 半導体レーザ装置 - Google Patents
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Description
また、スリットへの発振ビームの干渉を防ぐため、また装置を小型化するためには、空間フィルターに用いるレンズの焦点距離を短くする必要があり、レンズの収差によるレーザ出力低下や集光性低下という問題点もあった。
さらに、スリットはレンズの焦点位置に配置されるため、スリット調整時にスリット焼けなどが発生しやすく、スリット調整は非常に困難であるとともに、スリット焼け対策としてスリットに冷却構造が必要となるために高コストとなるという問題点もあった。
図1はこの発明の実施の形態1による半導体レーザ装置40を示す概略構成図である。
この半導体レーザ装置40は、第1の半導体レーザ1a及び第2の半導体レーザ1bのそれぞれの第1の発光点2a、第2の発光点2bからの光を波長分散素子5の波長分散効果を用いて、一つのビームに重畳する構成である。
半導体レーザ装置40は、半導体レーザ1a,1bの発光点2a,2bの光出射側面の反対側の面と部分反射ミラー7との間の各光学素子からなる光学系がレーザ共振器になっており、また半導体レーザ1a,1bは、通常発光点2a,2b自体がレーザ共振器となっているが、以下の説明では、発光点2a,2bの外に設置した、部分反射ミラー7等を構成要素とした上記レーザ共振器を外部レーザ共振器と呼ぶことにする。
図1では簡単のため、第1の半導体レーザ1a及び第2の半導体レーザ1bが二つで、各々の半導体レーザ1a,1bに対して発光点2a,2bが一つずつ(所謂シングルエミッター半導体レーザ)で示している。
なお、発光点が半導体レーザの数より多くの数でもよく、また一つの半導体レーザ上に発光点が複数個存在する場合(所謂半導体レーザバー)でも同様に複数の発光点からの光を波長分散素子5において一つのビームに重畳可能である。
半導体レーザ1a,1bの発光点2a,2bから発生するビームは、発散しながら出射される。外部共振器のモードとカップリングさせるために、ビーム平行化光学系3a,3bにより半導体レーザ1a,1bから発生するビームをほぼ平行化する。
ビーム平行化光学系3a,3bは、円筒レンズ、球面レンズ、非球面レンズ、曲率を有するミラーやその組み合わせを用いることができる。
一般的に半導体レーザ1a,1bから発生する光の発散角は異方性があり、紙面に垂直な方向と紙面内の方向とで発散角が異なる。従って、ビーム平行化光学系3a,3bとしては、複数枚のレンズまたは曲率ミラーを組み合わせて用いることが望ましい。
ビーム回転光学系としては、公知文献(特開2000−137139号公報、図2参照)に示されたシリンドリカルレンズアレイや、公知文献(WO98/08128号公報)に示された反射鏡等が用いられる。
上記ビーム回転光学系を通すことにより、各発光点2a,2bから出射された異方性を持ったビームは、光軸に垂直な面内で約90度回転される。
焦点距離fの結合光学系4は、図1では1枚のレンズで示しているが、円筒レンズ、球面レンズ、非球面レンズ、曲率を有するミラーやその組み合わせを用いることができる。
異なる、第1の発光点2a、第2の発光点2bからの光がある特定の異なる波長であるときには、波長分散素子5の波長分散、即ち波長によって回折角または屈折角が変化する特性によって、入射した発光点2a,2bからのビームは一つのビームとして重畳される。
このとき、アナモルフィックプリズムペア6は、波長分散素子5から部分反射ミラー7へ進行するビームがアナモルフィックプリズムペア6を通過後に紙面に平行な軸の正規発振出力ビームサイズ21のみが縮小される向きに配置されている。
アナモルフィックプリズムペア6は、2つのプリズムから構成されており、1方向のみのビームサイズを変化させることができ、楕円ビームを円形ビームに整形する目的で使用されることが多い。
反射されたビームが、第1の発光点2a、第2の発光点2bから部分反射ミラー7へ向かうビームと同じ経路で逆向きに伝播し、第1の半導体レーザ1aの第1の発光点2a、第2の半導体レーザ1bの第2の発光点2bに入射して、第1の半導体レーザ1aの第1の発光点2a、第2の半導体レーサ1bの第2の発光点2bのそれぞれの後ろ側端面まで適性に戻ることで外部レーザ共振器としての機能が成立する。
外部レーザ共振器として成立するために、部分反射ミラー7、波長分散素子5、結合光学系4、ビーム平行化光学系3a,3bの位置、角度が調整される。
即ち、半導体レーザ装置40において、外部レーザ共振器の機能が成立している時には、図1において、部分反射ミラー7と波長分散素子5との間は一本の光軸である正規発振光軸20で外部レーザ共振器が成立するように、第1の発光点2a及び第2の発光点2bの発振波長が自動的に決定され、その波長は各々異なる波長となる。
以下、この発振ビームのことを正規発振ビームと呼ぶことにする。
この正規発振ビームにおいては、第1の発光点2a及び第2の発光点2bからの二本のビームが重畳され一本の正規発振出力ビーム10として部分反射ミラー7から出射されており、輝度を約2倍にすることが可能である。半導体レーザ及び発光点の数を増加させると更に輝度を向上させることが可能である。
後述するように、異なる第1の発光点2a、第2の発光点2bを経由して発振することから、以下この望ましくないレーザ発振ビームをクロスカップリング発振ビームと呼ぶことにする。
図3はクロスカップリング発振ビームの説明を簡単にするため、最小限の光学素子から構成されており、波長分散素子5と部分反射ミラー7との間に図1に示したアナモルフィックプリズムペア6は配置されていない。
図3においては、クロスカップリング発振ビームの光軸であるクロスカップリング光軸30が点線で示され、正規発振光軸20が実線で示されている。
正規発振光軸20は、波長分散素子5上で一箇所であり、部分反射ミラー7には垂直に入射する。
一方、クロスカップリング光軸30は、波長分散素子5上において、一箇所には集まっておらず、また部分反射ミラー7に対しても垂直ではなく斜めに入射している。
クロスカップリング光軸30は、第1の発光点2a、第2の発光点2bにおいても斜めに入出射することになるが、第1の発光点2a、第1の発光点2bからはある程度の角度幅をもってビームが発生し得るため、第1の発光点2a、第2の発光点2bにおいてビームが斜めになっているクロスカップリング発振ビームのクロスカップリング光軸30でも外部レーザ共振器が成立する。
このとき、第1の発光点2aから出射したビームは、部分反射ミラー7で一部が正反射された後、第2の発光点2bに入射し、第2の発光点2bから出射したビームは、部分反射ミラー7で一部が正反射された後、第1の発光点2aに入射する。
このように、第1の発光点2a及び第2の発光点2bの間で相互にビームが入射、出射する光路にて外部レーザ共振器が成立する。
このとき、正規発振光軸20は、部分反射ミラー7上では垂直であり、また1本の光軸であるのに対して、クロスカップリング光軸30は図3で示すように、部分反射ミラー7上で斜めである。
よって、正規発振光軸20から発生する正規発振出力ビーム10とは別に、進行方向の異なるクロスカップリング発振出力ビーム11a,11bが混じることによって、外部レーザ共振器から発生するビームの集光性が低下することとなる。
条件1は、図4に示すようにクロスカップリングによる発振波長は、正規発振ビーム時の第1の発光点2a及び第2の発光点2bの発振波長の中間の波長とする。
条件2は、図3に示すように、第1の発光点2a及び第2の発光点2bから出射するクロスカップリング光軸30の出射角度は正規発振光軸20に対して上下対称とする。
以上の条件は、説明を分かり易くするために用いるものであり、実際には上記条件以外のクロスカップリング発振ビームも考えられるが、クロスカップリング発振ビームの理解のためには十分な条件である。
部分反射ミラー7へ入射した、クロスカップリング発振ビームのクロスカップリング光軸30は、一部正反射され、そのうち、第1の発光点2aから出射したクロスカップリング光軸30は、第2の発光点2bへと入射し、第2の発光点2bから出射したクロスカップリング光軸30は、第1の発光点2aへと入射することにより、クロスカップリング発振ビーム光路が形成される。
図3では、波長分散素子5から部分反射ミラー7の距離をL1としているが、この距離を図5に示すようにL2(>L1)とする。このとき、クロスカップリング発振ビームの波長は、上記条件1により変化することはないので、波長分散素子5と部分反射ミラー7との間における、クロスカップリング光軸30と正規発振光軸20との成す角はそれぞれ+θg及び−θgのままであり、図3のものと同じである。
よって、波長分散素子5上におけるクロスカップリング光軸30と正規発振光軸20とのずれ量は、図3の構成においてはD1であるのに対して、図5の構成ではD2=(L2/L1)×D1となり、D2は、D1よりも大きな値となる。
その結果、第1の発光点2a、第2の発光点2bから出射するクロスカップリング発振ビームのクロスカップリング光軸30の出射角度は、正規発振光軸20との成す角で、それぞれ+θ2及び−θ2となる。
このとき、θ2=(L2/L1)×θ1であり、θ2>θ1となる。
ただし、一般的にはθgは非常に小さな値であるため、クロスカップリング発振ビームの抑制が可能となるまでD2を大きくするためにはL2を非常に大きくする必要があり、装置が巨大化してしまうという問題点がある。
図6においてアナモルフィックプリズムペア6は、ビームがアナモルフィックプリズムペア6をビームの出射方向である発光点2a,2bの方向に向かって通過する際に、紙面に平行な軸のビームサイズを1/A倍にする効果を持つ。ここで、Aとは0以外の自然数であり、アナモルフィックプリズムペア6の配置や形状を調整することにより、Aの大きさは自由に選ぶことができるが、市販されているものはA=2〜6程度の大きさのものが多い。
このとき、光軸の角度については、波長分散素子5とアナモルフィックプリズムペア6との間におけるクロスカップリング光軸30と正規発振光軸20との成す角がそれぞれ+θg及び−θgのとき、アナモルフィックプリズムペア6と部分反射ミラー7との間におけるクロスカップリング光軸30と正規発振光軸20との成す角はそれぞれ+Aθg及び−Aθgとなり、紙面内における角度がA倍される。このとき、波長分散素子5上におけるクロスカップリング光軸30と正規発振光軸20とのずれ量D4は、θgが十分小さいため、D4≒AD3となる。
このとき、アナモルフィックプリズムペア6と部分反射ミラー7との間におけるクロスカップリング光軸30と正規発振光軸20との成す角はそれぞれ+Aθg及び−Aθgであり、クロスカップリング光軸30と正規発振光軸20との成す角がA倍されているため、L3を増大することによるD3の増大量もA倍となる。
図5と同等のクロスカップリング発振ビームの抑制効果を得るためには、D4=AD3=D2となればよいので、D3=D2/AとなるL3の大きさを求める。
D3とD2の大きさは以下の式(1)、(2)で求められる。
D3≒Aθg×L3・・・(1)
D2=θg×L2・・・(2)
式(1)よりL3が求められる。
L3=D3/Aθg・・・(3)
今、D3=D2/Aであるので、式(3)は以下のように変形される。
L3=D2/Aθg・・・(4)
式(4)に式(2)を代入すると
L3=L2/A2・・・(5)
となる。
以上より、D3=D2/Aとするためには、L3=L2/A2でよいことがわかる。
図7は、この発明の実施の形態2の半導体レーザ装置40の概略構成図である。
この実施の形態2の半導体レーザ装置40は、実施の形態1の半導体レーザ装置40に対して、開口物8が波長分散素子5の近接に配置されている。この開口物8は、クロスカップリング発振ビームを物理的に遮断する。
開口物8の開口幅は、正規発振光軸20の正規発振出力ビームサイズ21よりも大きなサイズであり、開口物8が正規発振出力ビーム10と干渉することのないように配置されている。開口物8の開口幅は、目安としては、正規発振出力ビーム10のエネルギー全体の99%が含まれる幅の1.1倍以上である。
なお、開口物8の開口幅は上述の通り大きな量としているが、この実施の形態2の半導体レーザ装置40では、実施の形態1の半導体レーザ装置40と同様に、クロスカップリング光軸30と正規発振光軸20とのずれ量を大きくしているため、このような大きな幅の開口物8を用いたとしても効果的にクロスカップリング発振ビームを遮断することができる。
また、開口物8の配置位置は、波長分散素子5の近接でなくてもよく、結合光学系4の近接でもよく、要はクロスカップリング発振ビームを効果的に抑制できる、結合光学系4と波長分散素子5との間であればよい。
他の構成は、実施の形態2の半導体レーザ装置40と同じである。
また、発光点2a,2bの許容角度幅を越えないクロスカップリング発振ビームも遮断することができるため、部分反射ミラー7とアナモルフィックプリズムペア6との間の距離L3の長さをさらに短くすることができ、さらなる装置の小型化が可能となる。
また、実施の形態1,2の半導体レーザ装置では、発光点2a,2bと波長分散素子5との間に、発光点2a,2bからのビームを波長分散素子5上へ重畳する結合光学系4が配置されている半導体レーザ装置について説明したが、発光点2a,2bからのビームが直接波長分散素子5上に重畳する半導体レーザ装置であってもこの発明は適用できる。
また、開口物8については、結合光学系4と波長分散素子5との間以外にも、結合光学系4の発光点2a,2b側、波長分散素子5のアナモルフィックプリズムペア6側の位置に配置してもよい。また、開口物8は、一つの位置だけではなく、それぞれの位置に配置してもよい。
図8は、この発明の実施の形態3の半導体レーザ装置40を示す概略構成図である。
この実施の形態3の半導体レーザ装置40は、実施の形態1の半導体レーザ装置40と比較して、波長分散素子5と部分反射ミラー7との間に、第1のアナモルフィックプリズムペア6aと第2のアナモルフィックプリズムペア6bとが配置され、アナモルフィックプリズムペアが一個追加されている。なお、図8においては、アナモルフィックプリズムペア6a,6b中のクロスカップリング光軸30は省略されている。
追加された第2のアナモルフィックプリズムペア6bの角度拡大率をBとすると、波長分散素子5上におけるクロスカップリング光軸30と正規発振光軸20とのずれ量D4は、第2のアナモルフィックプリズムペア6bと部分反射ミラー7との間の距離をL3とすると、D4≒A×B×D3となる。
クロスカップリング発振ビームの抑制のためには上記D4を大きくすることが効果的であるため、この実施の形態3の半導体レーザ装置40では、さらなるクロスカップリング発振ビームの抑制効果が発揮される。
第1の半導体レーザ1aと第2の半導体レーザ1bの間の距離を短くすると、波長分散素子5通過後のクロスカップリング光軸30の進行角度θgは小さくなり、クロスカップリング発振ビームを抑制することが困難となる。
その際、クロスカップリング発振ビームを抑制するために効果的となるのが、アナモルフィックプリズムペア6の角度拡大率を大きくすることである。アナモルフィックプリズムペア6の角度拡大率を大きくするためには、図8に示すα2を大きくすればよい。ただし、α2を大きくすると反射によるロスが大きくなり、発振効率が低下することになる。
これに対して、この実施の形態3の半導体レーザ装置40を用いれば、個々のアナモルフィックプリズムペア6a,6bの角度拡大率は大きくせずとも、クロスカップリング抑制効果を高めることができるので、発振ロスを小さくすることができる。
なお、この実施の形態3の半導体レーザ装置40では、アナモルフィックプリズムペア6a,6bを2個配置した場合について説明したが、勿論2個に限定されるものではなく、3個以上であってもよい。
Claims (6)
- 複数の発光点からのビームが通過する波長分散素子と、前記波長分散素子を通過後の前記ビームが照射され、前記ビームの一部を外部に出力し、残りのビームを反射する部分反射ミラーとを含み、
前記複数の発光点のそれぞれが発振する正規発振ビームを前記波長分散素子の波長分散によって重畳させ、外部に出力する外部レーザ共振器と、
前記波長分散素子と前記部分反射ミラーとの間の位置に配置され、前記部分反射ミラーによる反射を介して、異なる2つの前記発光点の間で相互に入射し出射するクロスカップリング発振ビームが、前記波長分散素子と前記部分反射ミラーとの間において前記正規発振ビームの光軸である正規発振光軸と等しい角度をなす2つのクロスカップリング光軸を有し、前記クロスカップリング発振ビームが入射し出射する2つの前記発光点のそれぞれが発振する2つの前記正規発振ビームの発振波長の中間の波長で前記クロスカップリング発振ビームが発振し、前記位置と前記波長分散素子との間における前記角度に較べて、前記位置と前記部分反射ミラーとの間における前記角度が拡大され、前記正規発振光軸と前記クロスカップリング光軸との間の前記正規発振光軸に垂直な方向における距離であるずれ量が、前記位置に較べて前記波長分散素子上において拡大される角度拡大素子とを備えた半導体レーザ装置。
- 前記角度拡大素子と前記部分反射ミラーとの間に、さらに1個又は複数個の角度拡大素子が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
- 前記角度拡大素子は、アナモルフィックプリズムペアであることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体レーザ装置。
- 前記複数の発光点と前記波長分散素子との間には、前記複数の発光点からの前記ビームを前記波長分散素子上へ重畳する結合光学系が配置されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の半導体レーザ装置。
- 前記結合光学系と前記複数の発光点との間、前記波長分散素子と前記角度拡大素子との間、及び前記結合光学系と前記波長分散素子との間の少なくとも一つの位置に、前記クロスカップリング発振ビームの前記波長分散素子への入射を遮断する開口物が配置されていることを特徴とする請求項4に記載の半導体レーザ装置。
- 前記開口物の開口幅は、前記正規発振ビームのビームサイズよりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の半導体レーザ装置。
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