JP6286963B2 - 積層体および筐体 - Google Patents

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Description

本発明は、積層体および筐体に関する。
近年、エレクトロニクス分野や、自動車産業分野において、製品の省エネルギー化や小型化のために、材料の熱放散性向上や軽量化に関する研究が盛んに行われている。
強度及び熱放散性に優れている代表的な材料として、セラミックス材料が挙げられる。セラミックス材料は、絶縁性、熱伝導性、耐熱性、強度、化学的安定性などに優れているため、電気・電子部品などの電子工業用途など幅広く用いられている。しかし、その反面、比重が大きいことによる重量の増加、価格が高い、脆いなどの短所もある。
一方、樹脂材料は、比重が小さいため、軽量化を試みる際には非常に有効な材料である。樹脂の代表的な特性としては、比重が小さいほか、絶縁性、弾力性、振動吸収性、腐食性や耐薬品性に優れており、加工性も良いため、工業的に大量生産されている。しかし、セラミックス材料と比較すると熱伝導性、耐熱性が著しく低く、安価で加工性の良い樹脂を、単純にセラミックス材料の代わりに使用することは難しい。
そこで樹脂材料に、強度と熱伝導性を有するフィラーを高充填することにより、衝撃に強く、軽量でありながら強度と熱伝導性を有する材料の開発が試みられている。樹脂自身の熱伝導率を向上させる方法として、樹脂の化学構造にメソゲン基を導入し、結晶性を向上させる検討が実施されている(例えば、特許文献1参照)。樹脂の結晶化率が上昇することでフォノン伝達の損失が減少し、熱伝導率が上昇する。
また、エポキシ樹脂に熱伝導性フィラーを大量に添加して、材料の熱伝導率を向上させる試みも行われている(例えば、特許文献2参照)。
特開平11−323162号公報 特開2004−10668号公報
しかしながら、特許文献1記載の方法では、熱伝導率は1W/mKと低く、熱放散材料として十分な効果を得ることは難しい。
また、特許文献2記載の方法では、熱伝導性フィラーの配合量が、エポキシ樹脂中において、80重量%以上添加することにより、熱伝導率を1.2W/mK以上発現させている。しかし、比重が2以上の熱伝導性フィラーの充填率が高いため、成形体の加工性が悪い。また、大量にフィラーを添加するため、成形時にボイド等が発生しやすく、曲げ試験等で破壊の起点となり、十分な強度が得られない問題がある。
このように、十分な熱伝導性を有しつつ、かつ強度を有し、軽量な材料の創出が期待されていた。
本発明の目的は、熱伝導性および強度に優れる積層体を提供することにある。
上述の目的は、以下の第(1)項〜第(10)項によって達成される。
(1)第1組成物で構成される熱伝導層と第2組成物で構成される強度層を有し、かつ、最外層が前記強度層からなる積層体であって、前記積層体の曲げ強さは200MPa以上であり、前記熱伝導層の、レーザーフラッシュ法により測定した平面方向の熱伝導率が10W/mK以上であることを特徴とする積層体
(2)前記第1組成物がフィラーと樹脂とを含むことを特徴とする(1)記載の積層体。
(3)前記第1組成物に含まれるフィラーが、繊維状のフィラーであることを特徴とする(1)または(2)に記載の積層体
(4)前記第1組成物に含まれる繊維状のフィラーが、金属繊維、合成繊維、無機繊維、炭素繊維からなる群より選ばれた少なくとも1種の繊維状フィラーであることを特徴とする(1)ないし(3)に記載の積層体
(5)前記熱伝導層は、前記第1組成物を溶媒に分散させた後、高分子凝集剤を添加し、前記第1組成物をフロック状に凝集させ、その凝集物を溶媒と分離させた後、その溶媒を除去してなるものである(1)ないし(4)に記載の積層体。
(6)前記第2組成物がフィラーと樹脂とを含むことを特徴とする(1)ないし(5)記載の積層体
(7)前記第2組成物に含まれるフィラーが、繊維状のフィラーであることを特徴とする(1)ないし(6)に記載の積層体
(8)前記第1組成物に含まれる繊維状のフィラーが、天然繊維、再生繊維、無機繊維、合成繊維からなる群より選ばれた少なくとも1種の繊維状フィラーであることを特徴とする(1)ないし(7)に記載の積層体
(9)前記強度層は、前記第2組成物を溶媒に分散させた後、高分子凝集剤を添加し、前記第2組成物をフロック状に凝集させ、その凝集物を溶媒と分離させた後、その溶媒を除去してなるものである請求項1ないし8に記載の積層体。
(10)(1)ないし(9)に記載の積層体を用いて形成される筐体。
本発明に従うと、熱伝導性、強度、絶縁性および成形性に優れ、軽量な積層体を得ることができる。また、前記積層体を用いた、熱伝導性、強度に優れる筐体を得ることができる。
以下、本発明の積層体および筐体について、好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明の積層体について説明する。
本発明の積層体は、第1組成物で構成される熱伝導層と第2組成物で構成される強度層を有し、再外層が前記強度層からなる積層体であって、前記積層体の曲げ強さは200MPa以上であり、前記熱伝導層の、レーザーフラッシュ法により測定した表面方向の熱伝導が10W/mK以上であることを特徴とする。
なお本発明で、平面方向とは積層体のxy軸方向であり、厚み方向とは積層体のz軸方向であり、xy軸方向に対して垂直の方向であり、積層体の積層方向を意味する。
次に、熱伝導層について説明する。熱伝導層は第1組成物から構成される。
前記第1組成物は、フィラーと樹脂とを含むものであることが好ましい。第1組成物の構成材料として好適に用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂等を用いることができる。フィラーのバインダーとして作用し得るものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂や、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、必要特性に応じて、適宜選択して使用することが可能であり、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらのうち、機械強度や耐薬品性が良好であるという観点では、熱硬化性樹脂が好ましく、成形性が良好であることや、樹脂の透明性などのデザイン性が必要であるという観点では、熱可塑性樹脂が好ましい。
第1組成物の構成材料である樹脂を用いるための好ましい形態としては、平均粒径500μm以下の固体状態や、エマルジョン状にしたものが望ましい。更に好ましくは、平均粒径1nm〜300μm程度の粒径である。粒径を前述の範囲とすることにより、高分子凝集剤の添加により、前記樹脂及び前記フィラーが凝集状態を形成しやすくなり、収率が向上する。
なお、前記樹脂の平均粒径は、例えば、(株)島津製作所製のSALD−7000などのレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、質量基準の50%粒子径を平均粒径として求めることができる。
前記第1組成物に含まれるフィラーとしては、熱伝導性を有するものが好ましい。前記第1組成物を成形して得られる熱伝導層における、平面方向の熱伝導率を向上させる観点では、前記フィラーの熱伝導率が20W/mK以上であるものを用いることが好ましい。尚、本発明において、フィラーの熱伝導率の測定方法は、例えば、フィラーに樹脂を含浸させて熱プレスを行い、試験片を切り出して、レーザーフラッシュ法で測定を行い、測定値に100/フィラー体積分率を掛けて算出する方法がある。
特に、後述する繊維状フィラーの熱伝導率の測定方法は、繊維状フィラー束に樹脂を含浸させて熱プレスを行い、繊維長方向の試験片を切り出して、レーザーフラッシュ法で測定を行い、測定値に100/繊維体積分率を掛けて算出することができる。繊維長方向に試験片を切り出すことにより、繊維長方向の熱伝導率を測定することが可能となる。なお、繊維状フィラーを用いる場合、繊維長方向の熱伝導率が20W/mK以上であるものを用いることが好ましい。
また、前記フィラーの形状は、球状、板状、鱗片状および繊維状等、本発明の積層体の用途に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、繊維状であることが好ましい。繊維状フィラーを選択することにより、本発明の積層体の熱伝導性に、異方性を付与することができ、特に平面方向の熱伝導率を向上させることができる。
上述の繊維状フィラーとしては、たとえば、金属繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維などの合成繊維、ならびに、セラミック繊維などの無機繊維などが挙げられる。これらの繊維状フィラーは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらのうち、熱放散性の向上という観点では、金属繊維、炭素繊維等が好ましく、曲げ強度の向上という観点では、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維などが好ましく、曲げ弾性率の向上という観点では、ガラス繊維、セラミック繊維などの無機繊維が好ましい。
合成繊維としては、例えば、東洋紡(株)製のポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維であるザイロン(登録商標)が市販品として入手可能であるが、これに限定されるものではない。
また、金属繊維としては、単独の金属元素で構成される金属繊維であっても、複数の金属で構成される合金繊維であってもよいが、金属繊維を構成する金属元素としては、例えば、アルミニウム、銀、銅、及び鉄などが挙げられる。日本精線(株)やベカルトジャパン(株)製のステンレス繊維、虹技(株)製の銅繊維、アルミニウム繊維、黄銅繊維、鋼繊維、チタン繊維、りん青銅繊維などが市販品として入手可能であるが、これらに限定されるものではない。これらの金属繊維は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらのうち、特に銅繊維、アルミニウム繊維、黄銅繊維が好ましい。
また、炭素繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、が挙げられる。これらのなかでも、強度の観点からはPAN系炭素繊維が好ましく、熱放散効果の観点からはピッチ系の炭素繊維が好ましい。
例えば、東レ(株)のトレカ、東邦テナックス(株)のテナックスなどのPAN系炭素繊維、三菱樹脂(株)のダイアリード、日本グラファイトファイバー(株)製のGRANOCなどのピッチ系炭素繊維などが市販品として入手可能であるが、これらに限定されるものではない。これらの炭素繊維は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、繊維状フィラーの形状としては、特に制限無く使用可能であり、必要特性に応じた形状のものを用いることができるが、曲げ強度や、耐衝撃性などの強度特性を向上させる場合には、チョップドストランドで使用することが望ましい。また、歩留まりの向上効果を得るためには、繊維をビーターや、ホモジナイザーなどの機械的なせん断力により叩解したものや、フィブリル化したものが、繊維表面積が増大し、物理的に構成材料の捕捉能力を向上させる効果と、化学的に高分子凝集剤が作用しやすくなる効果とが得られるため、使用することが望ましい。
フィラーとして繊維状フィラーを用いる場合、その平均繊維長さは、特に限定されるものではなく、要求される特性に応じて適宜選択することが望ましいが、例えば、50μm以上10mm以下であることが好ましい。成形加工性の観点からは、100μm以上9mm以下であることがより好ましく、3mm以上8mm以下であることが特に好ましい。この範囲とすることにより、繊維状フィラーのネットワーク形成が容易となるため面方向の熱伝導率をより向上することができ、かつ、成形加工性も向上することができる。
尚、平均繊維長の異なる複数の繊維状フィラーを用いる場合には、その一部として、平均繊維長が上記下限値未満のものを用いることは可能である。
前記フィラーは、そのまま使用してもよいが、必要特性に応じてシランカップリング剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリング剤などで表面処理したり、樹脂との密着性や取り扱い性を向上させるために収束剤処理をしたものを使用してもよい。
第1組成物中における前記フィラーの含有量は、特に限定されるものではなく、求められる要求に応じて適宜設定することが好ましいが、10質量%以上90質量%以下とすることが好ましい。これにより、熱伝導層の平面方向の熱伝導性の向上、軽量化および加工性の向上を連立して達成することができる。
特に、樹脂の加工性が要求された場合は、複合樹脂組成物全体の含有量の10質量%以上30質量%未満にすることが好ましく、熱放散効果と成形加工性をバランスよく発現していることが要求された場合は、複合樹脂組成物全体の含有量の30質量%以上60質量%未満にすることが好ましく、高い熱放散効果が要求された場合には、複合樹脂組成物全体の含有量の60質量%以上90質量%未満にすることが望ましい。
熱伝導層を製造する方法は、特に限定されるものではないが、第1組成物の構成材料を溶媒に分散させた後、必要に応じて高分子凝集剤を添加し、構成材料をフロック状に凝集させ、その凝集物を溶媒と分離させた後、その溶媒を除去する方法が好ましい。第1組成物の構成材料などを溶媒に分散させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ディスパーザーやホモジナイザーなどで撹拌する方法などが挙げられる。また、第1組成物の凝集物を溶媒と分離、除去する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、金属やプラスチックなどの網や織布、不織布を用いて溶媒のみを通過させて分離した後、更に凝集物を、プレス機、乾燥器などを用いて、脱溶媒、乾燥させて除去する方法などが挙げられる。
第1組成物中におけるフィラーとして繊維状フィラーを用いる場合、構成材料として、さらにイオン交換能を有する粉末状物質を含んでもよい。このような熱電動伝導層の製造方法においてイオン交換能を有する粉末物質を用いることにより、繊維状フィラーの繊維長を長く維持したまま高い収率で、繊維フィラーと樹脂との凝集体を効率よく作製することができるため、繊維状フィラーと樹脂との配合比率を広範囲に調整することが可能となる。このため、求められる要求に応じて、繊維状フィラーの熱伝導性、強度などの特性と、樹脂の加工性や軽量性などの特性とのバランスに優れた幅広い複合樹脂組成物を、より効率的に得ることができる。特に、本発明の積層体における、レーザーフラッシュ法により測定した平面方向の熱伝導率、及び平面方向の熱伝導率に対する厚み方向の熱伝導率の比率を上述した範囲とすることがより容易となる。
イオン交換能を有する粉末状物質としては、粘土鉱物、鱗片状シリカ微粒子、ハイドロタルサイト類、フッ素テニオライト及び膨潤性合成雲母から選ばれる少なくとも1種の層間化合物を含むことが好ましい。
粘土鉱物としては、天然物でも合成されたものであっても特に限定されるものではないが、例えば、スメクタイト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム及び燐酸チタニウムなどが挙げられる。ハイドロタルサイト類としては、イオン交換能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ハイドロタルサイト、ハイドロタルサイト状物質などが挙げられる。フッ素テニオライトとしては、イオン交換能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、リチウム型フッ素テニオライト、ナトリウム型フッ素テニオライトなどが挙げられる。膨潤性合成雲母としては、イオン交換能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム型四珪素フッ素雲母、リチウム型四珪素フッ素よく、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらのうちでは、粘土鉱物がより好ましく、スメクタイトが天然物から合成物まで存在し、選択の幅が広いという点においてさらに好ましい。
スメクタイトとしては、イオン交換能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト及びスチーブンサイトなどが挙げられる。モンモリロナイトは、アルミニウムの含水ケイ酸塩であるが、モンモリロナイトを主成分とし、他に石英や雲母、長石、ゼオライトなどの鉱物を含んでいるベントナイトであってもよい。着色や不純物を気にする用途に用いる場合などには、不純物が少ない合成スメクタイトが好ましい。
イオン交換能を有する粉末状物質として、例えば、クニミネ工業(株)製のクニピア(ベントナイト)、スメクトンSA(合成サポナイト)、AGCエスアイテック(株)製のサンラブリー(鱗片状シリカ微粒子)、コープケミカル(株)製のソマシフ(膨潤性合成雲母)、ルーセンタイト(合成スメクタイト)、堺化学工業(株)製のハイドロタルサイトSTABIACE HT−1(ハイドロタルサイト)などが市販品として入手可能であるが、これらに限定されるものではない。
イオン交換能を有する粉末状物質の含有量は、第1組成物全体の0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは、2質量%以上20質量%以下である。上記範囲内であれば、前記フィラーと前記樹脂のように性質の異なる構成材料の定着性を向上させる効果を得ることができる。尚、第1組成物中のフィラーと樹脂との比率や、高分子凝集剤の種類や量などに合せて、イオン交換能を有する粉末状物質の含有量を調整することが好ましい。
本発明で第1組成物の構成材料を分散させるために用いられる溶媒は、特に限定されないが、工程中に揮発しにくいことと、製品に残らないために脱溶媒をしやすいということ、沸点が高すぎると脱溶媒するために、エネルギーが大きく掛かることなどの観点から、沸点が50℃以上200℃以下であるものが好ましく、このようなものとしては、例えば、水や、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコールなどのアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類や、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸メチルなどのエステル類や、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、ジオキサン、フルフラールなどのエーテル類などを挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、供給量が豊富であり、安価、環境負荷が低い、安全性も高く扱いやすいという理由から水が特に好ましい。
本発明の第1組成物の構成材料をフロック状に凝集させるために高分子凝集剤を用いることが好ましい。本発明の第1組成物の構成材料をフロック状に凝集させるために用いられる高分子凝集剤としては、特にイオン性などにより限定されるものではなく、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤、両性高分子凝集剤などを用いることができる。このようなものとして、例えば、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、ホフマンポリアクリルアミド、マンニックポリアクリルアミド、両性共重合ポリアクリルアミド、カチオン化澱粉、両性澱粉、ポリエチレンオキサイドなどを挙げることができる。これらの高分子凝集剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、高分子凝集剤として、ポリマー構造や分子量、水酸基やイオン性基などの官能基量などは、必要特性に応じて特に制限無く使用可能である。
高分子凝集剤として、例えば、和光純薬工業(株)製や関東化学工業(株)製、住友精化(株)製のポリエチレンオキシドや、ハリマ化成(株)製のカチオン性PAMであるハリフィックス、アニオン性PAMであるハーマイドB−15、両性PAMであるハーマイドRB−300、三和澱粉工業(株)製カチオン化澱粉であるSC−5などが市販品として入手可能であるが、これらに限定されるものではない。
高分子凝集剤の添加量として、特に限定はされないが、第1組成物の構成材料の全体に対して100質量ppm以上1質量%以下が好ましい。更に好ましくは、500質量ppm以上0.5質量%以下である。これにより、収率よく構成材料が凝集させることができる。高分子凝集剤の添加量が上記下限値よりも小さいと収率が低下する可能性があり、上記上限値よりも大きいと凝集が強すぎて脱水などに問題が生じる可能性がある。
本発明の第1組成物は、構成材料として、さらに無機粉末及び金属粉末から選ばれる少なくとも一種のフィラー粉末を含むことにより、特性を調整することができる。無機粉末としては、例えば、酸化チタン、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化マグネシウムなどの酸化物類や、窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素などの窒化物類や、硫酸バリウム、硫酸鉄、硫酸銅などの硫化物類や、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物類や、カオリナイト、タルク、天然マイカ、合成マイカなどの鉱物類ならびに、炭化ケイ素などの炭化物類などが挙げられ、そのまま使用してもよいが、必要特性に応じてシランカップリング剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリング剤などで表面処理をしたものを使用してもよい。
また、金属粉末としては、単独の金属元素で構成される金属粉末であっても、複数の金属で構成される合金粉末であってもよいが、金属粉末を構成する金属元素としては、アルミニウム、銀、銅、マグネシウム、鉄、クロム、ニッケル、チタン、亜鉛、錫、モリブデン及びタングステンなどが挙げられる。
前記第1組成物には、上述のフィラー、樹脂、イオン交換能を有する粉末状物質、無機粉末及び金属粉末から選ばれる少なくとも一種のフィラー粉末、ならびに、高分子凝集剤以外に、特性向上を目的とした酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤、離型剤、可塑剤、難燃剤、樹脂の硬化触媒や硬化促進剤、顔料、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤などの紙力向上剤、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、サイズ定着剤、消泡剤、酸性抄紙用ロジン系サイズ剤、中性製紙用ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニルコハク酸無水物系サイズ剤、特殊変性ロジン系サイズ剤などのサイズ剤、硫酸バンド、塩化アルミ、ポリ塩化アルミなどの凝結剤などを、生産条件調整や、要求される物性を発現させることを目的に様々な添加剤を使用することができる。
前記第1組成物は、上述の通り、構成材料などを溶媒に分散させた後、高分子凝集剤を添加し、構成材料などをフロック状に凝集させ、その凝集物を溶媒と分離させた後、その溶媒を除去することにより得ることができるが、この方法に限定されるものではなく、カードマシンなどでフィラーによるウェブを形成させ樹脂を含浸し複合樹脂組成物を作製する方法や、樹脂中にフィラーを配合する方法なども挙げられる。
次に強度層について説明する。強度層は第2組成物から構成される。
前記第2組成物は、フィラーと樹脂とを含むものであることが好ましい。第2組成物の構成材料として好適に用いられる樹脂としては、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂等を用いることができる。フィラーのバインダーとして作用し得るものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂や、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、必要特性に応じて、適宜選択して使用することが可能であり、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらのうち、機械強度や耐薬品性が良好であるという観点では、熱硬化性樹脂が好ましく、成形性が良好であることや、樹脂の透明性などのデザイン性が必要であるという観点では、熱可塑性樹脂が好ましい。
第2組成物の構成材料である樹脂を用いるための好ましい形態としては、平均粒径500μm以下の固体状態や、エマルジョン状にしたものが望ましい。更に好ましくは、平均粒径1nm〜300μm程度の粒径である。粒径を前述の範囲とすることにより、高分子凝集剤の添加により、前記樹脂及び前記フィラーが凝集状態を形成しやすくなり、収率が向上する。
なお、前記樹脂の平均粒径は、例えば、(株)島津製作所製のSALD−7000などのレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、質量基準の50%粒子径を平均粒径として求めることができる。
前記第2組成物に含まれるフィラーとしては、強度を有するものが好ましい。また、フィラーの形状は、球状、板状、鱗片状および繊維状等、本発明の積層体の用途に応じて適宜選択することができる。
強度を有するフィラーとして繊維状フィラーを用いることができる。
強度を有する繊維状フィラーについては、特に限定するものではないが、例えば、木材繊維、木綿、麻、羊毛などの天然繊維、レーヨン繊維などの再生繊維、セルロース繊維などの半合成繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維(超高分子量ポリエチレン繊維)、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、エチレンビニルアルコール繊維などの合成繊維、ならびに、ガラス繊維、セラミック繊維などの無機繊維などが挙げられる。これらの繊維は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらのうち、曲げ強度の向上という観点では、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維などが好ましく、曲げ弾性率の向上という観点では、ガラス繊維、セラミック繊維などの無機繊維が好ましい。
合成繊維として、例えば、東レ・デュポン(株)製のアラミド繊維であるケブラー(登録商標)や、帝人テクノプロダクツ社(株)のアラミド繊維であるテクノーラ(登録商標)、(株)クラレ製のポリビニルアルコール繊維であるビニロン、東洋紡績(株)製のポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維であるザイロン(登録商標)、東洋紡(株)製の超高分子量ポリエチレン繊維であるダイニーマ、ガラス繊維として日東紡製のガラス繊維、電気化学工業(株)製のアルミナ繊維であるデンカアルセンなどが市販品として入手可能であるが、これらに限定されるものではない。
フィラーとして繊維状フィラーを用いる場合、その形状としては、特に制限無く使用可能であり、必要特性に応じた形状のものを用いることができるが、曲げ強度や、耐衝撃性などの強度特性を向上させる場合には、チョップドストランドで使用することが望ましい。また、歩留まりの向上効果を得るためには、繊維をビーターや、ホモジナイザーなどの機械的なせん断力により叩解したものや、フィブリル化したものが、繊維表面積が増大し、物理的に構成材料の捕捉能力を向上させる効果と、化学的に高分子凝集剤が作用しやすくなる効果とが得られるため、使用することが望ましい。
フィラーとして繊維状フィラーを用いる場合、その平均繊維長さは、特に限定されるものではなく、要求される特性に応じて適宜選択することが望ましいが、例えば、50μm以上10mm以下であることが好ましい。成形加工性の観点からは、100μm以上9mm以下であることがより好ましく、3mm以上8mm以下であることが特に好ましい。この範囲とすることにより、繊維状フィラーのネットワーク形成が容易となるため成形加工性も向上することができる。
尚、平均繊維長の異なる複数の繊維状フィラーを用いる場合には、その一部として、平均繊維長が上記下限値未満のものを用いることは可能である。
強度層に熱伝導性を発現させるフィラーとして粉末状フィラーを用いることができる。強度層に熱伝導性を発現させる粉末状フィラーについては、特に限定するものではない。本発明の成形体の熱伝導性を向上させるため、強度層を構成する第2樹脂層に含まれるフィラーは、絶縁性と熱伝導性を両立できるフィラーが好ましく、例えば、アルミナ粉末及び酸化マグネシウム粉末等の酸化物の粉末、窒化ホウ素粉末、窒化アルミニウム粉末及び窒化ケイ素粉末等の窒化物の粉末、ならびに、炭化ケイ素粉末等の炭化物の粉末等が挙げられ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、高熱伝導性の観点から、窒化ホウ素粉末が好ましい。また、低コストの観点からは、アルミナ粉末が好ましい。
強度層に熱伝導性を発現させる粉末フィラーの平均粒子径は、特に限定されるものではなく、要求される特性に応じて適宜選択することが望ましいが、例えば、0.5μm以上500μm以下であることが好ましい。平均粒子径が上記下限値未満の場合は、樹脂との界面増加による熱抵抗増加のため、高熱伝導性を発現しにくい場合がある。また、平均粒子径が上記上限値を超えると、高熱伝導化には有効であるが、フロックへの定着効率が低下し、歩留り低下になるので好ましくない。尚、平均粒子径の異なる複数の絶縁性を有する粉末フィラーを用いる場合には、その一部として、平均粒子径が上記下限値未満のものを用いることは可能である。この場合、熱伝導性を損なうことなく、流動性と成形性を向上させることができる。
第2組成物に含有されるフィラーは、そのまま使用してもよいが、必要特性に応じてシランカップリング剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリング剤などで表面処理したり、樹脂との密着性や取り扱い性を向上させるために収束剤処理をしたものを使用してもよい。
第2組成物中におけるフィラーの含有量は、特に限定されるものではないが、第2組成物全体の含有量の10質量%以上、90質量%以下とすることが好ましい。これにより、前記強度層は軽量性や加工性を維持し、かつ、十分な強度を付与されることとなる。
また、第2組成物中におけるフィラーの含有量は、求められる要求に応じて適宜設定することが好ましいが、たとえば、樹脂の加工性や軽量性が要求された場合は、第2組成物全体の含有量の10質量%以上30質量%未満にすることが好ましく、熱放散効果と成形加工性をバランスよく発現していることが要求された場合は、複合樹脂組成物全体の含有量の30質量%以上60質量%未満にすることが好ましく、高い熱放散効果が要求された場合には、複合樹脂組成物全体の含有量の60質量%以上90質量%以下にすることが望ましい。
本発明の第2組成物を製造する方法は、特に限定されるものではないが、構成材料を溶媒に分散させた後、高分子凝集剤を添加し、構成材料をフロック状に凝集させ、その凝集物を溶媒と分離させた後、その溶媒を除去する方法が好ましい。構成材料などを溶媒に分散させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ディスパーザーやホモジナイザーなどで撹拌する方法などが挙げられる。また、凝集物を溶媒と分離、除去する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、金属やプラスチックなどの網や織布、不織布を用いて溶媒のみを通過させて分離した後、更に凝集物を、プレス機、乾燥器などを用いて、脱溶媒、乾燥させて除去する方法などが挙げられる。このような第2組成物の製造方法においては、構成材料として、さらにイオン交換能を有する粉末状物質を含むことがより好ましい。このような第2組成物の製造方法においてイオン交換能を有する粉末物質を用いることにより、強度を発現させるフィラーの性状(繊維長や粒径)を維持したまま高い収率で、絶縁性を有するフィラーと樹脂との凝集体を効率よく作製することができるため、絶縁性を有するフィラーと樹脂との配合比率を広範囲に調整することが可能となる。このため、求められる要求に応じて、絶縁性を有するフィラーの熱伝導性、強度などの特性と、樹脂の加工性や軽量性などの特性とのバランスに優れた幅広い強度層を、より効率的に得ることができる。
イオン交換能を有する粉末状物質としては、前述の熱伝導層を形成する第1組成物において用いられるものと同様の物を用いることができる。
粘土鉱物、鱗片状シリカ微粒子、ハイドロタルサイト類、フッ素テニオライト及び膨潤性合成雲母から選ばれる少なくとも1種の層間化合物であることが好ましい。
粘土鉱物としては、イオン交換能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、スメクタイト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム及び燐酸チタニウムなどが挙げられる。ハイドロタルサイト類としては、イオン交換能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ハイドロタルサイト、ハイドロタルサイト状物質などが挙げられる。フッ素テニオライトとしては、イオン交換能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、リチウム型フッ素テニオライト、ナトリウム型フッ素テニオライトなどが挙げられる。膨潤性合成雲母としては、イオン交換能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム型四珪素フッ素雲母、リチウム型四珪素フッ素雲母などが挙げられる。これらの層間化合物は、天然物でも合成されたものであってもよく、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらのうちでは、粘土鉱物がより好ましく、スメクタイトが天然物から合成物まで存在し、選択の幅が広いという点においてさらに好ましい。
スメクタイトとしては、イオン交換能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト及びスチーブンサイトなどが挙げられる。モンモリロナイトは、アルミニウムの含水ケイ酸塩であるが、モンモリロナイトを主成分とし、他に石英や雲母、長石、ゼオライトなどの鉱物を含んでいるベントナイトであってもよい。着色や不純物を気にする用途に用いる場合などには、不純物が少ない合成スメクタイトが好ましい。
イオン交換能を有する粉末状物質として、例えば、クニミネ工業(株)製のクニピア(ベントナイト)、スメクトンSA(合成サポナイト)、AGCエスアイテック(株)製のサンラブリー(鱗片状シリカ微粒子)、コープケミカル(株)製のソマシフ(膨潤性合成雲母)、ルーセンタイト(合成スメクタイト)、堺化学工業(株)製のハイドロタルサイトSTABIACE HT−1(ハイドロタルサイト)などが市販品として入手可能であるが、これらに限定されるものではない。
イオン交換能を有する粉末状物質の含有量は、複合樹脂組成物全体の0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは、2質量%以上20質量%以下である。上記範囲内であれば、絶縁性を有するフィラーと樹脂のように性質の異なる構成材料の定着性を向上させる効果を得ることができる。尚、構成材料中の絶縁性を有するフィラーと樹脂との比率や、高分子凝集剤の種類や量などに合せて、イオン交換能を有する粉末状物質の含有量を調整することが好ましい。
本発明で第2組成物の構成材料を分散させるために用いられる溶媒は、特に限定されないが、工程中に揮発しにくいことと、製品に残らないために脱溶媒をしやすいということ、沸点が高すぎると脱溶媒するために、エネルギーが大きく掛かることなどの観点から、沸点が50℃以上200℃以下であるものが好ましく、このようなものとしては、例えば、水や、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコールなどのアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類や、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸メチルなどのエステル類や、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、ジオキサン、フルフラールなどのエーテル類などを挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、供給量が豊富であり、安価、環境負荷が低い、安全性も高く扱いやすいという理由から水が特に好ましい。
本発明の第2組成物の構成材料をフロック状に凝集させるために高分子凝集剤を用いることが好ましい。本発明に好適な高分子凝集剤としては、特にイオン性などにより限定されるものではなく、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤、両性高分子凝集剤などを用いることができる。このようなものとして、例えば、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、ホフマンポリアクリルアミド、マンニックポリアクリルアミド、両性共重合ポリアクリルアミド、カチオン化澱粉、両性澱粉、ポリエチレンオキサイドなどを挙げることができる。これらの高分子凝集剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、高分子凝集剤として、ポリマー構造や分子量、水酸基やイオン性基などの官能基量などは、必要特性に応じて特に制限無く使用可能である。
高分子凝集剤として、例えば、和光純薬工業(株)製や関東化学工業(株)製、住友精化(株)製のポリエチレンオキシドや、ハリマ化成(株)製のカチオン性PAMであるハリフィックス、アニオン性PAMであるハーマイドB−15、両性PAMであるハーマイドRB−300、三和澱粉工業(株)製のカチオン化澱粉であるSC−5などが市販品として入手可能であるが、これらに限定されるものではない。
高分子凝集剤の添加量として、特に限定はされないが、構成材料の全体に対して100質量ppm以上1質量%以下が好ましい。更に好ましくは、500質量ppm以上0.5質量%である。これにより、収得よく構成材料が凝集させることができる。
本発明の第2組成物は、構成材料として、さらに強度を発現させるフィラー及びイオン交換能を有する粉末状物質以外の、無機粉末から選ばれる少なくとも一種のフィラー粉末を含むことにより、特性を調整することができる。無機粉末としては、例えば、酸化チタン粉末、シリカ粉末、ジルコニア粉末などの酸化物類の粉末や、硫酸バリウム粉末、硫酸鉄粉末、硫酸銅粉末などの硫化物類の粉末や、水酸化アルミニウム粉末、水酸化マグネシウム粉末などの水酸化物類の粉末、ならびに、カオリナイト粉末、タルク粉末、天然マイカ粉末、合成マイカ粉末などの鉱物類の粉末などが挙げられ、そのまま使用してもよいが、必要特性に応じてシランカップリング剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリング剤などで表面処理をしたものを使用してもよい。
本発明の第2組成物には、上述の強度を発現させるフィラー、樹脂、繊維、イオン交換能を有する粉末状物質、無機粉末から選ばれる少なくとも一種のフィラー粉末、ならびに、高分子凝集剤以外に、特性向上を目的とした酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤、離型剤、可塑剤、難燃剤、樹脂の硬化触媒や硬化促進剤、顔料、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤などの紙力向上剤、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、サイズ定着剤、消泡剤、酸性抄紙用ロジン系サイズ剤、中性製紙用ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニルコハク酸無水物系サイズ剤、特殊変性ロジン系サイズ剤などのサイズ剤、硫酸バンド、塩化アルミ、ポリ塩化アルミなどの凝結剤などを、生産条件調整や、要求される物性を発現させることを目的に様々な添加剤を使用することができる。
本発明に用いる第2組成物は、上述の通り、構成材料などを溶媒に分散させた後、高分子凝集剤を添加し、構成材料などをフロック状に凝集させ、その凝集物を溶媒と分離させた後、その溶媒を除去することにより得ることができるが、この方法に限定されるものではなく、カードマシンなどでフィラーによるウェブを形成させ樹脂を含浸し複合樹脂組成物を作製する方法や、樹脂中にフィラーを配合する方法なども挙げられる。
本発明の積層体の熱伝導層は、レーザーフラッシュ法により測定した平面方向の熱伝導率が10W/mK以上であるものが好ましく、15W/mK以上であるものがより好ましく、20W/mK以上であるものが特に好ましい。上記下限値以上とすることにより、優れた熱伝導性を有する積層体を得ることができる。本発明で、レーザーフラッシュ法により熱伝導率を測定する試験片としては、その形状などを特に限定されるものではないが、例えば、10mm×10mm×1.5mm厚の成形体を用いることができる。
本発明で、平面方向とは成形体のxy軸方向であり、熱伝導層および強度層に含有される繊維状フィラーの長手方向がその方向に多くが配向している。また、厚み方向とは積層体のz軸方向であり、xy軸方向に対して垂直の方向を意味する。熱伝導性評価用の試験片を得る方法としては、得られた成形体から測定装置に適した大きさに試験片を切り出して用いることができる。
次に、本発明の積層体について説明する。本発明の積層体は第1組成物で構成される熱伝導層と第2組成物で構成される強度層を有し、最外層が前記強度層である積層体であって、前記第1組成物がフィラーと樹脂とを含むことを特徴とする。最外層に強度層を有することにより、前記積層体に強度を付与し、熱伝導層を積層することにより、積層体に熱伝導性を付与することができる。
積層体の作製方法について説明する。溶媒除去後の未成形の熱伝導層、強度層を所望の順に重ねた積層物を一括して成形することにより、接着材料を用いずに積層体を形成することができる。熱伝導層および強度層を一括して成形する方法としては、特に限定されないが、例えば、プレス成形、コンプレッション成形、カレンダーロール成形、SMC法、射出成形、マッチドダイ法、樹脂、織布、不織布などとの積層成形などの成形方法が挙げられる。なお、前記積層物において、既に成形された層が含まれていてもよいが、隣接する一方の層が未成形となることが接着性向上の観点から好ましい。
また、熱伝導層および強度層を前述のプレス成形等の手法により、それぞれ所望の形状に成形した後に、各層を接着層を介して貼りつけても良い。
前記接着層は、一般的に用いられる接着剤から適宜選択することができ、特に限定されないが、たとえば、無機系接着剤、天然系接着剤及び合成系接着剤等の有機系接着剤等を用いることができる。具体的には、シリカ系接着剤、水ガラス、天然ゴム系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、α―オレフィン系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、クロロブレンゴム系接着剤、シリコーンゴム系接着剤、スチレン-ブタジエンゴム溶液系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、ニトロセルロース接着剤、フェノール樹脂系接着剤、ポリイミド系接着剤、ポリアミド樹脂ホットメルト接着剤、ポリウレタン樹脂ホットメルト接着剤、ポリウレタン樹脂ホットメルト接着剤、ポリオレフィン樹脂ホットメルト接着剤、ポリ酢酸ビニル樹脂溶液系接着剤、ポリスチレン樹脂溶剤系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリビニルピロリドン樹脂系接着剤、ポリビニルブチラール樹脂系接着剤、ポリベンズイミダソール接着剤、ポリメタクリレート樹脂溶液系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、レゾルシノール系接着剤等が挙げられる。
前記積層体において、熱伝導層の厚みは0.05mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.1mm以上、特に0.2mm以上であることが好ましい。これにより、平面方向における熱伝導性を十分に発揮することができる。
前記積層体において、強度層の厚みは0.05mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.1mm以上、特に2.0mm以上であることが好ましい。これにより、積層体に十分な強度を付与することができる。
本発明の積層体は、JIS K 6911に準拠して測定した曲げ強度が200MPa以上であり、300MPa以上であるものが好ましい。上記下限値以上とすることにより、曲げ強度に優れた積層体を得ることができる。
本発明の積層体は、JIS K 6911に準拠して測定した曲げ弾性率が8GPa以上であるものが好ましく、10GPa以上であるものがより好ましく、12GPa以上であるものが特に好ましい。上記下限値以上とすることにより、曲げ弾性率に優れた成形体を得ることができる。
本発明の積層体は、JIS K 6911に準拠して測定した比重が1以上5以下であるものが好ましく、1以上4以下であるものがより好ましく、1以上2以下であるものが特に好ましい。上記上限値以下とすることにより、軽量性に優れた積層体を得ることができる。また、質感を求められるような場合は、比重が大きいものを要求される場合もあり、そのような場合には、積層体の比重が3以上5以下であるものが好ましい。
本発明の積層体は、平面方向の線膨脹係数が0.1ppm/℃以上50ppm/℃以下であるものが好ましく、1ppm/℃以上45ppm/℃以下であるものがより好ましく、3ppm/℃以上40ppm/℃以下であるものが特に好ましい。上記上限値以下とすることにより、低応力性に優れた積層体を得ることができる。
本発明の積層体における、熱伝導率、絶縁性、曲げ強度、曲げ弾性率、比重、線膨脹係数が上述した範囲となるようにするためには、熱伝導層及び/または強度層の構成材料の種類、組成比を適宜調整することにより達成できる。
本発明の積層体は、電気・電子用途、土木・建築用途、自動車用途、航空機用途等に広く用いうことができる。具体的には、たとえば、電子機器等の筐体、住宅および家具用の建材、車両および航空機等における各種部材に用いることができる。本発明の積層体は、用途に応じて適当な特性を付与し、かつ、自由な形状に成形することが容易である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(1)実施例1
(1−1)熱伝導層の作成
平均30μmのフェノール樹脂(住友ベークライト社製 品番PR−51723)37部と、繊維長3mm、繊維径10μmの炭素繊維(日本グラファイトファイバー社製 品番XN100−03Z)60部と、アラミド繊維パルプ(デュポン社製 品番パラアラミドパルプ)3部を水10,000部に添加し、ディスパーザーで20分間撹拌した。
次に、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(ポリエチレンオキシド 分子量1,000,000)を構成材料に対して0.5%添加して、フロック状に凝集させた。
これを40メッシュの金属網でろ過し、凝集物を3MPaの圧力で脱水プレスしたのち、50℃で5時間乾燥させた。
10cm×10cm×2mmの熱伝導シート1−1を得た。
(1−2)強度層の作成
平均30μmのフェノール樹脂(住友ベークライト社製 品番PR−51723)48部と、繊維長3mm、繊維径12μmのアラミド繊維(帝人社製 品番T32PNW)48部と、アラミド繊維パルプ(デュポン社製 品番パラアラミドアルプ)4部を水10,000部に添加し、ディスパーザーで20分間撹拌した。次に、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(ポリエチレンオキシド分子量1,000,000)を構成材料に対して0.5%添加して、フロック状に凝集させた。
これを40メッシュの金属網でろ過し、凝集物を3MPaの圧力で脱水プレスしたのち、50℃で5時間乾燥させた。
10cm×10cm×2mmの強度シート1−2を得た。
(1−3)成形体の作成
(1−1)で得られた熱伝導シート1−1を、(1−2)で得られた強度シート2枚で
挟んで30MPaの圧力で180℃で10分間硬化させ、3層構成の10cm×10cm×1mmの成形体を得た。
(2)実施例2
(2−1)熱伝導層の作成
平均30μmのフェノール樹脂(住友ベークライト社製 品番PR−51723)37部と、繊維長3mm、繊維径10μmのアルミニウム繊維(虹技社製 品番KCメタルファイバー A1070)60部と、アラミド繊維パルプ(デュポン社製 品番パラアラミドアルプ)3部を水10,000部に添加し、ディスパーザーで20分間撹拌した。
次に、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(ポリエチレンオキシド 分子量1,000,000)を構成材料に対して0.5%添加して、フロック状に凝集させた。
これを40メッシュの金属網でろ過し、凝集物を3MPaの圧力で脱水プレスしたのち、50℃で5時間乾燥させた。
10cm×10cm×2mmの熱伝導シート2−1を得た。
(2−2)強度層の作成
強度層は実施例1と同様に作成した。
(2−3)成形体の作成
(2−1)で得られた熱伝導シート2−1を、(2−2)で得られた強度シート2枚で
挟んで30MPaの圧力で180℃で10分間硬化させ、3層構成の10cm×10cm×1mmの成形体を得た。
(3)実施例3
(3−1)熱伝導層の作成
平均30μmのフェノール樹脂(住友ベークライト社製 品番PR−51723)37部と、繊維長3mm、繊維径10μmのSUS繊維(山中産業社製 品番ナスロンチョップ)60部と、アラミド繊維パルプ(デュポン社製 品番パラアラミドアルプ)3部を水10,000部に添加し、ディスパーザーで20分間撹拌した。
次に、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(ポリエチレンオキシド 分子量1,000,000)を構成材料に対して0.5%添加して、フロック状に凝集させた。
これを40メッシュの金属網でろ過し、凝集物を3MPaの圧力で脱水プレスしたのち、50℃で5時間乾燥させた。
10cm×10cm×2mmの熱伝導シート3−1を得た。
(3−2)強度層の作成
強度層は実施例1と同様に作成した。
(3−3)成形体の作成
(3−1)で得られた熱伝導シート3−1を、(3−2)で得られた強度シート2枚で
挟んで30MPaの圧力で180℃で10分間硬化させ、3層構成の10cm×10cm×1mmの成形体を得た。
(4)実施例4
(4−1)熱伝導層の作成
平均30μmのフェノール樹脂(住友ベークライト社製 品番PR−51723)37部と、繊維長3mm、繊維径10μmのPBO繊維(東洋紡社製 品番ザイロン)60部と、アラミド繊維パルプ(デュポン社製 品番パラアラミドアルプ)3部を水10,000部に添加し、ディスパーザーで20分間撹拌した。
次に、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(ポリエチレンオキシド 分子量1,000,000)を構成材料に対して0.5%添加して、フロック状に凝集させた。
これを40メッシュの金属網でろ過し、凝集物を3MPaの圧力で脱水プレスしたのち、50℃で5時間乾燥させた。
10cm×10cm×2mmの熱伝導シート4−1を得た。
(4−2)強度層の作成
強度層は実施例1と同様に作成した。
(4−3)成形体の作成
(4−1)で得られた熱伝導シート4−1を、(4−2)で得られた強度シート2枚で
挟んで30MPaの圧力で180℃で10分間硬化させ、3層構成の10cm×10cm×1mmの成形体を得た。
(5)実施例5
(5−1)熱伝導層の作成
平均30μmのフェノール樹脂(住友ベークライト社製 品番PR−51723)35部と、繊維長3mm、繊維径10μmの炭素繊維(日本グラファイトファイバー社製 品番XN100−03Z)60部と、アラミド繊維パルプ(デュポン社製 品番パラアラミドアルプ)3部、ハイドロタルサイト(堺化学工業社製 品番STABIACE HT−1)2部を水10,000部に添加し、ディスパーザーで20分間撹拌した。
次に、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(ポリエチレンオキシド 分子量1,000,000)を構成材料に対して0.5%添加して、フロック状に凝集させた。
これを40メッシュの金属網でろ過し、凝集物を3MPaの圧力で脱水プレスしたのち、50℃で5時間乾燥させた。
10cm×10cm×2mmの熱伝導シート5−1を得た。
(5−2)強度層の作成
強度層は実施例1と同様に作成した。
(5−3)成形体の作成
(5−1)で得られた熱伝導シート5−1を、(5−2)で得られた強度シート2枚で
挟んで30MPaの圧力で180℃で10分間硬化させ、3層構成の10cm×10cm×1mmの成形体を得た。
(6)実施例6
(6−1)熱伝導層の作成
平均30μmのフェノール樹脂(住友ベークライト社製 品番PR−51723)35部と、繊維長3mm、繊維径10μmの炭素繊維(日本グラファイトファイバー社製 品番XN100−03Z)60部と、アラミド繊維パルプ(デュポン社製 品番パラアラミドアルプ)3部、アルミナ(住友化学製 品番AM−27)2部を水10,000部に添加し、ディスパーザーで20分間撹拌した。
次に、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(ポリエチレンオキシド 分子量1,000,000)を構成材料に対して0.5%添加して、フロック状に凝集させた。
これを40メッシュの金属網でろ過し、凝集物を3MPaの圧力で脱水プレスしたのち、50℃で5時間乾燥させた。
10cm×10cm×2mmの熱伝導シート6−1を得た。
(6−2)強度層の作成
強度層は実施例1と同様に作成した。
(6−3)成形体の作成
(6−1)で得られた熱伝導シート6−1を、(6−2)で得られた強度シート2枚で
挟んで30MPaの圧力で180℃で10分間硬化させ、3層構成の10cm×10cm×1mmの成形体を得た。
(7)実施例7
(7−1)熱伝導層の作成
平均30μmのフェノール樹脂(住友ベークライト社製 品番PR−51723)35部と、繊維長3mm、繊維径10μmの炭素繊維(日本グラファイトファイバー社製 品番XN100−03Z)60部と、アラミド繊維パルプ(デュポン社製 品番パラアラミドアルプ)3部、アルミニウム粉末(大和金属粉工業製 品番500−D)2部を水10,000部に添加し、ディスパーザーで20分間撹拌した。
次に、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(ポリエチレンオキシド 分子量1,000,000)を構成材料に対して0.5%添加して、フロック状に凝集させた。
これを40メッシュの金属網でろ過し、凝集物を3MPaの圧力で脱水プレスしたのち、50℃で5時間乾燥させた。
10cm×10cm×2mmの熱伝導シート7−1を得た。
(7−2)強度層の作成
強度層は実施例1と同様に作成した。
(7−3)成形体の作成
(7−1)で得られた熱伝導シート7−1を、(7−2)で得られた強度シート2枚で
挟んで30MPaの圧力で180℃で10分間硬化させ、3層構成の10cm×10cm×1mmの成形体を得た。
(8)実施例8
(8−1)熱伝導層の作成
熱伝導層は実施例1と同様に作成した。
(8−2)強度層の作成
平均30μmのフェノール樹脂(住友ベークライト社製 品番PR−51723)48部と、繊維長3mm、繊維径12μmのEガラス繊維(日東紡社製 品番CS3J−888)48部と、アラミド繊維パルプ(デュポン社製 品番パラアラミドアルプ)4部を水10,000部に添加し、ディスパーザーで20分間撹拌した。次に、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(ポリエチレンオキシド分子量1,000,000)を構成材料に対して0.5%添加して、フロック状に凝集させた。
これを40メッシュの金属網でろ過し、凝集物を3MPaの圧力で脱水プレスしたのち、50℃で5時間乾燥させた。
10cm×10cm×2mmの強度シート8−2を得た。
(8−3)成形体の作成
(8−1)で得られた熱伝導シート8−1を、(8−2)で得られた強度シート2枚で
挟んで30MPaの圧力で180℃で10分間硬化させ、3層構成の10cm×10cm×1mmの成形体を得た。
(9)実施例9
(9−1)熱伝導層の作成
熱伝導層は実施例1と同様に作成した。
(9−2)強度層の作成
平均30μmのフェノール樹脂(住友ベークライト社製 品番PR−51723)46部と、繊維長3mm、繊維径12μmのアラミド繊維(帝人社製 品番T32PNW)48部と、アラミド繊維パルプ(デュポン社製 品番パラアラミドアルプ)4部、ハイドロタルサイト(堺化学工業社製 品番STABIACE HT−1)2部を水10,000部に添加し、ディスパーザーで20分間撹拌した。次に、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(ポリエチレンオキシド分子量1,000,000)を構成材料に対して0.5%添加して、フロック状に凝集させた。
これを40メッシュの金属網でろ過し、凝集物を3MPaの圧力で脱水プレスしたのち、50℃で5時間乾燥させた。
10cm×10cm×2mmの強度シート9−2を得た。
(9−3)成形体の作成
(9−1)で得られた熱伝導シート9−1を、(9−2)で得られた強度シート2枚で
挟んで30MPaの圧力で180℃で10分間硬化させ、3層構成の10cm×10cm×1mmの成形体を得た。
(10)実施例10
(10−1)熱伝導層の作成
熱伝導層は実施例1と同様に作成した。
(10−2)強度層の作成
平均30μmのフェノール樹脂(住友ベークライト社製 品番PR−51723)60部と、粒径35mmの窒化ホウ素(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製 品番PT−110)40部を、加圧ニーダーにより、温度100℃で40分間混錬し、混錬物を得た。油圧プレスにより前記混練物を数十mm厚まで圧縮し、さらに80℃のメタルロールを数回通し、端部を切り落とした。
10cm×10cm×2mmの強度シート10−2を得た。
(10−3)成形体の作成
(10−1)で得られた熱伝導シート10−1を、(10−2)で得られた強度シート2枚で挟んで30MPaの圧力で180℃で10分間硬化させ、3層構成の10cm×10cm×1mmの成形体を得た。
(11)比較例1
平均30μmのフェノール樹脂(住友ベークライト社製 品番PR−51723)37部と、繊維長3mm、繊維径10μmの炭素繊維(日本グラファイトファイバー社製 品番XN100−03Z)60部と、(デュポン社製 品番パラアラミドアルプ)3部を水10,000部に添加し、ディスパーザーで20分間撹拌した。
次に、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(ポリエチレンオキシド 分子量1,000,000)を構成材料に対して0.5%添加して、フロック状に凝集させた。
これを40メッシュの金属網でろ過し、凝集物を3MPaの圧力で脱水プレスしたのち、50℃で5時間乾燥させた。
10cm×10cm×2mmのシート11−1を得た。
上記で得られたシート11−1を3枚重ねて、30MPaの圧力で180℃で10分間硬化させ、10cm×10cm×1mmの成形体を得た。
(12)比較例2
平均30μmのフェノール樹脂(住友ベークライト社製 品番PR−51723)48部と、繊維長3mm、繊維径12μmのアラミド繊維(帝人社製 品番T32PNW)48部と、アラミド繊維パルプ(デュポン社製 品番パラアラミドアルプ)4部を水10,000部に添加し、ディスパーザーで20分間撹拌した。次に、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(ポリエチレンオキシド分子量1,000,000)を構成材料に対して0.5%添加して、フロック状に凝集させた。
これを40メッシュの金属網でろ過し、凝集物を3MPaの圧力で脱水プレスしたのち、50℃で5時間乾燥させた。
10cm×10cm×2mmの強度シート12−2を得た。
上記で得られた強度シート12−2を3枚重ねて、30MPaの圧力で180℃で10分間硬化させ、3層構成の10cm×10cm×1mmの成形体を得た。
実施例1〜10、比較例1、2で得られた成形体を用いて、下記に示す特性評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006286963

特性の評価方法
(1)熱伝導層の熱伝導率
実施例および比較例で使用した熱伝導層のシートを10枚重ね、30MPaの圧力で180℃で10分硬化させた。この熱伝導層のみからなる成形体を10mm×10mm×1mmに切り出して、レーザーフラッシュ法により、熱伝導層のX方向の熱伝導率を測定した。
(2)成形体の表面抵抗、体積率の測定
表面抵抗、体積抵抗率はJIS K 6911に準拠して行った。試験片は実施例および比較例から得られた積層体から10cm×10cmになるように切り出したものを用いた。
(3)曲げ強度、曲げ弾性率
曲げ強度、曲げ弾性率はJIS K 6911に準拠して行った。試験片は実施例および比較例から得られた積層体から2.5cm×5cmになるように切り出したものを用いた。測定は3点曲げ試験法により行った。
(4)線膨脹係数
線膨脹係数はTMA法により行った。試験片は実施例および比較例から得られた積層体から1cm×4cmになるように切り出したものを用い、昇温速度は10℃/分で行った。
(5)比重
比重はJIS K6911に準拠して行った。試験片は実施例および比較例から得られた積層体から4cm×4cmになるように切り出したものを用いた。
(6)熱放散性
実施例および比較例から得られた積層体を10cm×10cmの正方形に切り落とし、1つの頂点より5cm×5cmの部分にラバーヒーターを配置し、その対角線の頂点に熱電対を配置した。ラバーヒーターを10Wで10分間加熱し、対角線の頂点の温度を測定した。
実施例1〜10は、いずれも、熱伝導性および強度に優れる積層体であった。それに対し、比較例1、2では、熱伝導性と強度を両立することができなかった。
本発明により、加工性や軽量性熱伝導性、強度などの特性バランスに優れた成形体を得ることができる。
従って、本発明の複合樹脂組成物より得られた成形体は、パソコンや携帯電話、携帯情報端末、プラズマディスプレイテレビ、液晶テレビ、OA機器、ゲーム機器、娯楽用品、エアコン、オーディオ、光学機器、照明器具などの電子製品や、車載用のエレクトロニクス製品の内部機構部品、筐体等の構成部品への適用や、建築用構造材料、航空分野、宇宙分野、自動車分野などの部品等に使用が可能になり、軽量化による燃費の向上や省エネルギー化、電子機器などのヒートスポットの解消などに寄与することができ、環境負荷を低減することが可能となる。

Claims (8)

  1. 第1組成物で構成される熱伝導層と第2組成物で構成される強度層を有し、
    かつ、最外層が前記強度層からなる積層体であって、
    前記第1組成物が繊維状のフィラーと樹脂とを含み、
    前記第1組成物に含まれる前記繊維状のフィラーの平均繊維長さが、50μm以上10mm以下であり、
    前記積層体の曲げ強さは200MPa以上であり、
    前記熱伝導層の、レーザーフラッシュ法により測定した平面方向の熱伝導率が10W/mK以上であることを特徴とする積層体。
  2. 前記第1組成物が、さらにイオン交換能を有する粉末状物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記第1組成物が、さらに高分子凝集剤を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記熱伝導層は、前記第1組成物を溶媒に分散させた後、高分子凝集剤を添加し、前記第1組成物をフロック状に凝集させ、その凝集物を溶媒と分離させた後、その溶媒を除去してなるものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記第2組成物が繊維状のフィラーと樹脂とを含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の積層体
  6. 前記第2組成物に含まれる繊維状のフィラーが、天然繊維、再生繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、合成繊維からなる群より選ばれた少なくとも1種の繊維状フィラーであることを特徴とする請求項5に記載の積層体。
  7. 前記強度層は、前記第2組成物を溶媒に分散させた後、高分子凝集剤を添加し、前記第2組成物をフロック状に凝集させ、その凝集物を溶媒と分離させた後、その溶媒を除去してなるものである請求項1ないし6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の積層体を用いて形成される筐体。
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