JP6115098B2 - 複合樹脂組成物及び熱放散性に優れた成形体 - Google Patents
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Description
金属繊維の不織布の空隙に熱伝導性フィラーを配合した樹脂を充填することにより、金属、樹脂それぞれの特徴を活かしつつ、短所を抑えるような検討や(例えば、特許文献1参照)、エポキシ樹脂に熱伝導性フィラーを大量に添加して、材料の熱伝導率を向上させるような試みも行われている(例えば、特許文献2参照)。
(1) 構成材料として、(A)炭素繊維及び(B)樹脂を含む複合樹脂組成物であって、 前記複合樹脂組成物を成形して得られる成形物における、レーザーフラッシュ法により測定した平面方向の熱伝導率が5W/mK以上であり、厚み方向の熱伝導率が平面方向の熱伝導率に対して半分以下であり、JIS K 6911に準拠して測定した曲げ強度が100MPa以上、曲げ弾性率が10GPa以上であり、JIS K 6911に準拠して測定した比重が1.0以上2.5以下であり、JIS K 7197に準拠して測定した平面方向の線膨脹係数が0.1ppm/℃以上50ppm/℃以下であることを特徴とする複合樹脂組成物。
、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、エチレンビニルアルコール繊維などの合成繊維、ならびに、ガラス繊維、セラミック繊維などの無機繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維を含むことを特徴とする第(9)項に記載の複合樹脂組成物。
に従うと、厚み方向に対して平面方向への熱放散性に優れる複合樹脂組成物を得ることができる。
K 6911に準拠して測定した比重が1.0以上2.5以下であり、JIS K 7197に準拠して測定した平面方向の線膨脹係数が0.1ppm/℃以上50ppm/℃以下であることを特徴とする。このような構成とすることにより、金属材料よりも成形加工性、軽量性に優れ、かつ樹脂材料よりも平面方向の熱放散性、機械的強度に優れる複合樹脂組成物を得ることができる。以下、本発明について詳細に説明する。
とにより、熱伝導性に加えて、軽量性にも優れた成形体を得ることができる。
、東洋紡績(株)製のポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維であるザイロン(登録商標)、日東紡製のガラス繊維、電気化学工業(株)製のアルミナ繊維であるデンカアルセンなどが市販品として入手可能であるが、これらに限定されるものではない。また、金属繊維としては、単独の金属元素で構成される金属繊維であっても、複数の金属で構成される合金繊維であってもよいが、金属繊維を構成する金属元素としては、例えば、アルミニウム、銀、銅、及び鉄などが挙げられる。
交換能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム型四珪素フッ素雲母、リチウム型四珪素フッ素よく、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらのうちでは、粘土鉱物がより好ましく、スメクタイトが天然物から合成物まで存在し、選択の幅が広いという点においてさらに好ましい。
リフィックス、アニオン性PAMであるハーマイドB−15、両性PAMであるハーマイドRB−300、三和澱粉工業(株)製カチオン化澱粉であるSC−5などが市販品として入手可能であるが、これらに限定されるものではない。
実施例に記載している原材料は、あらかじめ含有されている水分量を抜いた質量部で表している。
実施例1
アトマイザー粉砕機で平均粒径100μmに粉砕した固形レゾール樹脂(住友ベークライト(株)製PR−51723)35部と、合成サポナイト(クニミネ工業(株)製商品名スメクトンSA)1部、繊維長3mm、繊維径10μmのピッチ系炭素繊維(日本グラファイトファイバー(株)製XN100)53部、テクノーラ(登録商標)繊維T32PNW(帝人テクノプロダクツ(株)製)8部、パルプ1F303(東レ・デュポン(株)製)3部を10000部の水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌した後、あらかじめ水に溶解させたポリエチレンオキシド分子量1,000,000(和光純薬工業(株)製)を構成材料に対して0.2%の重量添加を行い、構成材料をフロック状に凝集させる。その凝集物を40メッシュの金属網で水と分離し、この後その凝集物を、脱水プレスし、さらに50℃の乾燥器に5時間入れて乾燥させ、複合樹脂組成物を95%の収率で得た。尚、収率の測定方法の詳細は後述する。
アトマイザー粉砕機で平均粒径100μmに粉砕した固形レゾール樹脂(住友ベークライト(株)製PR−51723)31部と、合成サポナイト(クニミネ工業(株)製商品名スメクトンSA)1部、繊維長3mm、繊維径10μmのピッチ系炭素繊維(日本グラファイトファイバー(株)製XN100)41部、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維(東洋紡(株)製ザイロンHM)24部、パルプ1F303(東レ・デュポン(株)製)3部を10000部の水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌した後、あらかじめ水に溶解させたポリエチレンオキシド分子量1,000,000(和光純薬工業(株)製)を構成材料に対して0.2%の重量添加を行い、構成材料をフロック状に凝集させる。その凝集物を40メッシュの金属網で水と分離し、この後その凝集物を、脱水プレスし、さらに50℃の乾燥器に5時間入れて乾燥させ、複合樹脂組成物を95%の収率で得た。尚、収率の測定方法の詳細は後述する。
高圧ホモジナイザーで平均粒径30μmに粉砕したエポキシ樹脂1002(三菱化学(株)製)24部と、イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤2PZ−PW(四国化成工業(株)製)1部、合成サポナイト(クニミネ工業(株)製商品名スメクトンSA)5部、繊維長3mm、繊維径60μmのアルミニウム繊維(虹技(株)製A1070)60部、セルロースパルプ(日本製紙ケミカル(株)製商品名NDPT)10部を10000部の水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌した後、あらかじめ水に溶解させた三和澱粉工業(株)製カチオン化澱粉SC−5を構成材料に対して0.4%の重量添加を行い、構成材料をフロック状に凝集させる。その凝集物を40メッシュの金属網で水と分離し、この後その凝集物を、脱水プレスし、さらに100℃の乾燥器に4時間入れて乾燥させ、複合樹脂組成物を94%の収率で得た。尚、収率の測定方法の詳細は後述する。
高圧ホモジナイザーで平均粒径30μmに粉砕したエポキシ樹脂1002(三菱化学(株)製)を10部と、イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤2PZ−PW(四国化成工業(株)製)1部、合成サポナイト(クニミネ工業(株)製商品名スメクトンSA)3部、繊
維長3mm、繊維径60μmの銅繊維(虹技(株)製)82部、セルロースパルプ(日本製紙ケミカル(株)製商品名NDPT)4部を10000部の水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌した後、あらかじめ水に溶解させた三和澱粉工業(株)製カチオン化澱粉SC−5を構成材料に対して0.3%添加を行い、構成材料をフロック状に凝集させる。その凝集物を40メッシュの金属網で水と分離し、この後その凝集物を、脱水プレスし、さらに100℃の乾燥器に4時間入れて乾燥させ、複合樹脂組成物を95%の収率で得た。
実施例3
実施例1で得られた複合樹脂組成物を、離型剤を塗布した金型にセットし、複合樹脂組成物に対して、面圧30MPa加圧下でコンプレッション成形を180℃、20分行い、縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た。
実施例2で得られた複合樹脂組成物を、離型剤を塗布した金型にセットし、複合樹脂組成物に対して、面圧30MPa加圧下でコンプレッション成形を180℃、20分行い、縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た。
比較例1で得られた複合樹脂組成物を、離型剤を塗布した金型にセットし、複合樹脂組成物に対して、面圧10MPa加圧下でコンプレッション成形を160℃、60分行い、縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た。
比較例2で得られた複合樹脂組成物を、離型剤を塗布した金型にセットし、複合樹脂組成物に対して、面圧10MPa加圧下でコンプレッション成形を160℃、60分行い、縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た。
3.1 複合樹脂組成物
(1)収率
下記式により算出した。
収率(%)=(得られた複合樹脂組成物の重量/仕込んだ複合樹脂組成物原料の重量合計)×100
得られた複合樹脂組成物については、乾燥後の重量を用い、仕込んだ複合樹脂組成物原料の合計重量に関しては、水分を抜いた量を用いた。
(1)比重測定
比重測定は、JIS K 6911(熱硬化性プラスチック一般試験方法)に準拠して行った。試験片は縦2cm×横2cm×厚み2mmになるように成形体から切り出したものを用いた。
平面方向測定用として、縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た成形条件に対して、成形時間のみを3倍として、縦10mm×横10mm×長さ3cmの成形体を得た。また、厚み方向測定用として、縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た成形条件と同一の成形条件で、縦10cm×横10cm×長さ1.5mmの成形体を得た。得られたそれぞれの成形体から、縦10mm×横10mm×長さ1.5mmになるように切り出して試験片とした。次に、NETZSCH社製のXeフラッシュアナライザーLFA447を用いて、レーザーフラッシュ法により板状試験片の長さ方向の熱伝導率の測定を行った。測定は、大気雰囲気下、25℃の条件下で行った。
曲げ試験は、JIS K 6911(熱硬化性プラスチック一般試験方法)に準拠して行った。試験片は、縦50mm×横25mm×厚み2mmになるように成形体から切り出したものを用いた。曲げ試験の支点間距離は32mmで行った。
縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た成形条件に対して、成形時間のみを3倍として、縦5mm×横30mm×長さ10mmの成形体を作製し、それを縦5mm×横5mm×長さ10mmの試験片に切断し、熱機械的分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、TMA−6000)を用いて、長さ方向の線膨脹係数を測定した。昇温速度は、5℃/分とし、線膨脹係数(α1)を80〜120℃の温度範囲で求めた。
実施例1、2は、いずれも、高い収率で複合樹脂組成物が得られた。また、実施例3、4は、いずれも、平面方向の熱伝導率が5W/mK以上、厚み方向の熱伝導率が平面方向の熱伝導率に対して半分以下、曲げ強度が100MPa以上、曲げ弾性率が10GPa以上であり、比重が1.0以上2.5以下、かつ平面方向の線膨脹係数が0.1ppm/℃以上50ppm/℃以下と、特性バランスに優れた成形体が得られることが分かった。
実施例3、4と比較例3、4の成形体を比較した場合、炭素繊維とアルミ繊維、銅繊維との差を示した検討であり、炭素繊維を使用することで高い熱伝導率を維持したまま、軽量性を向上させることができた。さらに、アラミド繊維もしくはポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維を併用することで曲げ強度を150MPa以上に高めることもでき、軽量性と強度、熱放散性に優れる成形体を得られている。また実施例3、4より炭素繊維の配合量を変化させることで、成形体の熱伝導率を容易に調整できた。
本発明により、加工性や軽量性などの特性と、熱伝導率や強度、剛性などの特性とのバランスに優れた成形体を得ることができることが分かる。
従って、本発明の複合樹脂組成物より得られた成形体は、パソコンや携帯電話、携帯情
報端末、プラズマディスプレイテレビ、液晶テレビ、OA機器、ゲーム機器、娯楽用品、エアコン、オーディオ、光学機器、照明器具などの電子製品や、車載用のエレクトロニクス製品の内部機構部品、筐体等の構成部品への適用や、建築用構造材料、航空分野、宇宙分野、自動車分野などの部品等に使用が可能になり、軽量化による燃費の向上や省エネルギー化、電子機器などのヒートスポットの解消などに寄与することができ、環境負荷を低減することが可能となる。
Claims (10)
- 構成材料として、(A)炭素繊維及び(B)樹脂を含む複合樹脂組成物であって、
前記複合樹脂組成物を成形して得られる成形物における、レーザーフラッシュ法により測定した平面方向の熱伝導率が5W/mK以上であり、厚み方向の熱伝導率が平面方向の熱伝導率に対して半分以下であり、JIS K 6911に準拠して測定した曲げ強度が100MPa以上、曲げ弾性率が10GPa以上であり、JIS K 6911に準拠して測定した比重が1.0以上2.5以下であり、JIS K 7197に準拠して測定した平面方向の線膨脹係数が0.1ppm/℃以上50ppm/℃以下であることを特徴とする複合樹脂組成物。 - 前記(A)炭素繊維の熱伝導率が20W/mK以上であることを特徴とする請求項1記載の複合樹脂組成物。
- 前記(A)炭素繊維の平均繊維長さが50μm以上10mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合樹脂組成物。
- 前記(A)炭素繊維の含有量は、複合樹脂組成物全体の10質量%以上90質量%以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
- 前記(A)炭素繊維がPAN系もしくはピッチ系炭素繊維であり、それらを単独もしくは併用したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
- 前記複合樹脂組成物を成形して得られる成形物における、レーザーフラッシュ法により測定した平面方向の熱伝導率が20W/mK以上であり、厚み方向の熱伝導率が平面方向の熱伝導率に対して1/4以下であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
- 前記複合樹脂組成物を成形して得られる成形物における、JIS K 6911に準拠して測定した比重が1.0以上1.9以下であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
- 前記複合樹脂組成物を成形して得られる成形物における、JIS K 6911に準拠して測定した曲げ強度が150MPa以上、曲げ弾性率が12GPa以上であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
- 構成材料として、(C)前記(A)炭素繊維以外の繊維をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
- 前記(A)炭素繊維以外の前記(C)成分の繊維が、金属繊維、木材繊維、木綿、麻、羊毛などの天然繊維、レーヨン繊維などの再生繊維、セルロース繊維などの半合成繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、エチレンビニルアルコール繊維などの合成繊維、ならびに、ガラス繊維、セラミック繊維などの無機繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維を含むことを特徴とする請求項9に記載の複合樹脂組成物。
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