JP2016143815A - パワーモジュール用放熱樹脂シート、その製造方法、パワーモジュールおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発熱体と、放熱部材と、を備えるパワーモジュールにおいて、前記発熱体と、前記放熱部材との間に介在させるパワーモジュール用放熱樹脂シートであって、熱硬化性樹脂(A)と、金属繊維または炭素繊維からなる繊維状フィラー(B)と、を含む。
【選択図】図1
Description
熱硬化性樹脂(A)と、
金属繊維または炭素繊維からなる繊維状フィラー(B)と、
を含むパワーモジュール用放熱樹脂シートが提供される。
熱硬化性樹脂(A)と、金属繊維または炭素繊維からなる繊維状フィラー(B)と、を含む材料組成物を抄造して抄造体を作製する工程を、含むパワーモジュール用放熱樹脂シートの製造方法が提供される。
放熱部材と、
を備えるパワーモジュールであって、
前記発熱体と、前記放熱部材との間に上記パワーモジュール用放熱樹脂シートが介在している、パワーモジュールが提供される。
前記樹脂シートが、上記パワーモジュール用放熱樹脂シートである、パワーモジュールの製造方法が提供される。
本実施形態に係るパワーモジュール用放熱樹脂シートは、発熱体と、放熱部材と、を備えるパワーモジュールにおいて、発熱体と、放熱部材との間に介在させるものである。このパワーモジュール用放熱樹脂シートは、熱硬化性樹脂(A)と、金属繊維または炭素繊維からなる繊維状フィラー(B)と、を含む。こうすることで、高温環境での耐熱安定性に優れ、かつ良好な熱伝導性を有したパワーモジュールを再現性良く実現可能である。
図1においては、放熱樹脂シート10のうちの点線で示される領域の拡大模式図が示されている。本実施形態に係る放熱樹脂シート10は、熱硬化性樹脂(A)と、金属繊維または炭素繊維からなる繊維状フィラー(B)と、を含む。また、繊維状フィラー(B)は、当該放熱樹脂シート10の平面方向の熱伝導率を向上させる観点から、図1に示すように、平面方向に配列されていることが好ましい。
上述したように、繊維状フィラー(B)は、放熱樹脂シート10内において平面方向に配列されている。これにより、とくに平面方向における放熱樹脂シート10の熱伝導性を向上させることができる。図1に示される放熱樹脂シート10の断面拡大図では、繊維状フィラー(B)(図1中においてB)が平面方向に配列されており、繊維状フィラー(B)の間に熱硬化性樹脂(A)(図1中においてA)が介在している場合が例示されている。この場合、繊維状フィラー(B)同士は、たとえば熱硬化性樹脂(A)によって互いに結着される。
図2に示すように、本実施形態に係る放熱樹脂シート10には、当該放熱樹脂シート10の熱伝導率をさらに向上させる観点から、繊維状フィラー(B)と比べてアスペクト比が小さいフィラー(C)を含有させてもよい。図2に示すように、フィラー(C)を含む場合においても、放熱樹脂シート10は、抄造法により形成されたものであることが好ましい。抄造法により放熱樹脂シート10を形成した場合には、熱硬化性樹脂(A)および繊維状フィラー(B)およびフィラー(C)を含ませつつ、繊維状フィラー(B)を平面方向に配列させることが可能となる。また、抄造法を採用することによって、繊維状フィラー(B)およびフィラー(C)を樹脂シート中に均一に分散させることや、繊維状フィラー(B)同士の絡み合いを適度に作ることができると推定されている。
熱硬化性樹脂(A)は、バインダーとして作用して繊維状フィラー(B)を結着し得るものであればとくに限定されるものではない。なお、熱硬化性樹脂(A)としては、たとえば25℃において固形状のものを用いることが抄造法による放熱樹脂シート10の製造を安定的に行う観点からより好ましい。
繊維状フィラー(B)は、上述したとおり、金属繊維または炭素繊維からなるものである。この繊維状フィラー(B)は、アスペクト比が100以上であるものであることが好ましい。これにより、放熱樹脂シート10を硬化して得られた硬化物の熱伝導性を向上させることが可能となる。繊維状フィラー(B)は、とくに平面方向における熱伝導性の向上に寄与するものと考えられている。熱伝導性を向上させる観点からは、繊維状フィラー(B)のアスペクト比が150以上であることがより好ましく、200以上であることがとくに好ましい。一方で、繊維状フィラー(B)のアスペクト比は、放熱樹脂シート10の製造容易性や、放熱樹脂シート10を硬化して得られた硬化物の強度を向上させる観点から、1000以下であることが好ましく、700以下であることがより好ましい。なお、繊維状フィラー(B)のアスペクト比は、繊維長/繊維幅により求められる。また、本明細書における繊維状フィラー(B)は、後述するパルプ(D)を含まない概念である。
フィラー(C)は、上述したとおり、アスペクト比が繊維状フィラー(B)よりも小さい。これにより、放熱樹脂シート10を用いたパワーモジュールの熱伝導性を向上させることが可能となる。なお、フィラー(C)が繊維状である場合、フィラー(C)のアスペクト比は繊維長/繊維幅により求めることができる。一方で、フィラー(C)が粉粒体である場合には、最も長い直径である長径と最も短い直径である短径との比、長径/短径により求めることができる。また、本明細書におけるフィラー(C)は、後述するパルプ(D)を含まない概念である。
放熱樹脂シート10は、たとえばパルプ(D)を含むことができる。パルプ(D)は、フィブリル構造を有する繊維材料であり、たとえば機械的または化学的に繊維材料をフィブリル化することによって得ることができる。後述する抄造法を用いた放熱樹脂シート10の製造方法においては、熱硬化性樹脂(A)、繊維状フィラー(B)、およびフィラー(C)とともにパルプ(D)を抄造することによって、熱硬化性樹脂(A)をより効果的に凝集させることができることから、より安定的な放熱樹脂シート10の製造を実現することが可能となる。
放熱樹脂シート10は、たとえば凝集剤(E)を含むことができる。凝集剤(E)は、後述する抄造法を用いた放熱樹脂シート10の製造方法において、熱硬化性樹脂(A)、繊維状フィラー(B)およびフィラー(C)をフロック状に凝集させる機能を有する。このため、より安定的な樹脂シートの製造を実現することができる。
図3は、本実施形態に係る放熱樹脂シート10の製造方法の一例を示す断面模式図である。放熱樹脂シート10は、たとえば湿式抄造法を用いて製造される。本実施形態に係る放熱樹脂シート10の製造方法は、たとえば熱硬化性樹脂(A)と、繊維状フィラー(B)とを含む材料組成物を抄造する工程を含む。なお、上記材料組成物には、フィラー(C)を含有しているものでもあってもよい。そのため、後述においては、熱硬化性樹脂(A)と、繊維状フィラー(B)とともに、フィラー(C)を含む材料組成物をを抄造する場合を例に挙げて説明する。
本実施形態に係るパワーモジュールは、発熱体と、放熱部材と、を備え、上記発熱体と、上記放熱部材との間に上述した放熱樹脂シート10が介在しているものである。このパワーモジュールは、上述した放熱樹脂シート10を使用しているが故、高温環境での耐熱安定性に優れ、かつ良好な熱伝導性を有したものである。
本実施形態に係るパワーモジュールの製造方法は、発熱体と、放熱部材との間に放熱樹脂シート10を配置し積層する工程を含むものである。
(放熱樹脂シートの作製)
まず、アトマイザー粉砕機で平均粒径100μm(質量基準の50%粒子径)に粉砕した熱硬化性樹脂(A)と、繊維状フィラー(B)と、フィラー(C)と、パルプ(D)と、を後述する配合に従い溶媒である水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌して混合物を得た。ここでは、熱硬化性樹脂(A)、繊維状フィラー(B)、フィラー(C)、およびパルプ(D)の合計100重量部を10000重量部の水に添加した。次いで、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(E)を、上述した構成材料(熱硬化性樹脂(A)、繊維状フィラー(B)、フィラー(C)、パルプ(D))の合計に対して0.2重量%添加し、構成材料をフロック状に凝集させた。これにより得られた凝集物を30メッシュの金属網で水と分離し、この後その凝集物を、脱水プレスし、さらに50℃の乾燥器に5時間入れて乾燥させて、複合樹脂組成物により構成される未硬化状態にある放熱樹脂シートを得た。収率は97%であった。また、得られた放熱樹脂シートの厚みは、300μmであった。
フェノール樹脂:レゾール樹脂(PR−51723、住友ベークライト(株)製)
エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER1002、三菱化学(株)製)
チョップド炭素繊維:XN−100、日本グラファイトファイバー(株)製、繊維長3mm、繊維幅10μm、アスペクト比300
ミルド炭素繊維:HC−600、日本グラファイトファイバー(株)製、平均長さ100μm、繊維幅10μm、アスペクト比10
アラミドパルプ:ケブラーパルプ1F303(東レ・デュポン(株)製)
ポリエチレンオキシド:住友精化(株)製
次のようにして硬化物を製造した。まず、上記にて得られた放熱樹脂シートを、10cm×10cmにカットしたものを圧力300kg/cm2、温度180℃の条件で10分間熱処理することにより、10cm×10cm×1mmの硬化物を得た。
ラバーヒーター(ミスミ社製、MRHSK−50−50−V100−W20)と、銅板(縦108mm、横62mm、厚さ4mm)と、上記にて得られた放熱樹脂シートと、アルミ板(縦108mm、横62mm、厚さ3mm)とを、この順で配置し、トルクレンチを用いて5Nの力で締め付けることにより、4点ボルト固定を行った積層物(パワーモジュール)を作製した。また、得られたパワーモジュール中において、放熱樹脂シートの厚みは、100μmであった。
上記で得られた硬化物の熱伝導率を測定した。測定は、硬化物に対してレーザーフラッシュ法によって熱伝導層の平面方向の熱伝導率λ1、および厚さ方向の熱伝導率λ2を測定することにより行った。下記表中における熱伝導率λ1、熱伝導率λ2の単位は、W/mKである。
上記で得られた積層物を、20℃の温度条件下、20Wのヒーター出力で30分間加熱処理を施した直後のパワーモジュールのヒーター最高点温度を測定した。測定は、上記加熱処理を施した直後のパワーモジュールを、サーモグラフィー(日本アビオニクス社製、InfReC R300)で観察することにより、測定した。
ラバーヒーター(ミスミ社製、MRHSK−50−50−V100−W20)と、銅板(縦108mm、横62mm、厚さ4mm)と、Agグリース(ワイドワーク社製、WW−CS3.5)と、アルミ板(厚さ3mm)とを、この順で配置し、トルクレンチを用いて5Nの力で締め付けることにより、4点ボルト固定を行った積層物(パワーモジュール)を作製した。なお、Agグリースの塗布量は、785mgであった。また、上記Agグリースは、アルミ板に対してボイドが生じることのなく、均一な厚さに塗布されていた。なお、上記Agグリースの熱伝導率は、カタログ値で12W/mkである。
上記で得られた積層物を、20℃の温度条件下、20Wのヒーター出力で30分間加熱処理を施した直後のパワーモジュールのヒーター最高点温度を測定した。測定は、上記加熱処理を施した直後のパワーモジュールを、サーモグラフィー(日本アビオニクス社製、InfReC R300)で観察することにより、測定した。
ラバーヒーター(ミスミ社製、MRHSK−50−50−V100−W20)と、銅板(縦108mm、横62mm、厚さ4mm)と、アルミ板(縦108mm、横62mm、厚さ3mm)とを、この順で配置し、トルクレンチを用いて5Nの力で締め付けることにより、4点ボルト固定を行った積層物を作製した。このようにして得られた積層物を、20℃の温度条件下、20Wのヒーター出力で30分間加熱処理を施すことにより、パワーモジュールを得た。
上記で得られた積層物を、20℃の温度条件下、20Wのヒーター出力で30分間加熱処理を施した直後のパワーモジュールのラバーヒーター最高点温度を測定した。測定は、上記加熱処理を施した直後のパワーモジュールを、サーモグラフィー(日本アビオニクス社製、InfReC R300)で観察することにより、測定した。
30 メッシュ
A 熱硬化性樹脂
B 繊維状フィラー
C フィラー
F 凝集物
Claims (14)
- 発熱体と、放熱部材と、を備えるパワーモジュールにおいて、前記発熱体と、前記放熱部材との間に介在させるパワーモジュール用放熱樹脂シートであって、
熱硬化性樹脂(A)と、
金属繊維または炭素繊維からなる繊維状フィラー(B)と、
を含むパワーモジュール用放熱樹脂シート。 - 前記繊維状フィラー(B)のアスペクト比が100以上である、請求項1に記載のパワーモジュール用放熱樹脂シート。
- 当該パワーモジュール用放熱樹脂シートにおいて、前記繊維状フィラー(B)が平面方向に配列されている、請求項1または2に記載のパワーモジュール用放熱樹脂シート。
- 前記繊維状フィラー(B)がチョップドファイバーである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のパワーモジュール用放熱樹脂シート。
- 前記熱硬化性樹脂(A)が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂およびポリウレタンからなる群より選択される1種又は2種以上を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のパワーモジュール用放熱樹脂シート。
- 当該パワーモジュール用放熱樹脂シート全量に対する前記熱硬化性樹脂(A)の含有量が、5重量%以上80重量%以下である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のパワーモジュール用放熱樹脂シート。
- 当該パワーモジュール用放熱樹脂シートを圧力300kg/cm2、温度180℃の条件で10分間熱処理して得られる硬化物の平面方向における熱伝導率が5W/mK以上である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のパワーモジュール用放熱樹脂シート。
- 前記繊維状フィラー(B)と比べてアスペクト比が小さい、フィラー(C)をさらに含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のパワーモジュール用放熱樹脂シート。
- 前記フィラー(C)のアスペクト比が50以下である、請求項8に記載のパワーモジュール用放熱樹脂シート。
- 前記フィラー(C)がミルドファイバーまたは粉粒体である、請求項8または9に記載のパワーモジュール用放熱樹脂シート。
- 当該パワーモジュール用放熱樹脂シートが、抄造法により形成されたものである、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のパワーモジュール用放熱樹脂シート。
- 発熱体と、放熱部材と、を備えるパワーモジュールにおいて、前記発熱体と、前記放熱部材との間に介在させるパワーモジュール用放熱樹脂シートの製造方法であって、
熱硬化性樹脂(A)と、金属繊維または炭素繊維からなる繊維状フィラー(B)と、を含む材料組成物を抄造して抄造体を作製する工程を、含むパワーモジュール用放熱樹脂シートの製造方法。 - 発熱体と、
放熱部材と、
を備えるパワーモジュールであって、
前記発熱体と、前記放熱部材との間に請求項1乃至11のいずれか一項に記載されたパワーモジュール用放熱樹脂シートが介在している、パワーモジュール。 - 発熱体と、放熱部材との間に樹脂シートを配置し積層する工程を含むパワーモジュールの製造方法であって、
前記樹脂シートが、請求項1乃至11のいずれか一項に記載されたパワーモジュール用放熱樹脂シートである、パワーモジュールの製造方法。
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