JP2017081136A - 繊維強化プラスチック成形品 - Google Patents

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遼介 杉野
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信夫 寺師
浩二 小泉
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浩二 小泉
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Shinya Yamamoto
晋也 山本
周 岡坂
Shu OKASAKA
周 岡坂
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Abstract

【課題】新規な繊維強化プラスチック成形品を提供する。【解決手段】第1の成形体部分12と第2の成形体部分14とが積層した繊維強化プラスチック成形品10であって、第1の成形体部分12は、第1の樹脂を含有し、第2の成形体部分14は、第2の樹脂と第2の繊維と第1の成形体部分12に含まれる成分とを含有することを特徴とする。第1の成形体部分12が、さらに、第1の繊維を含有し、第1の成形体部分12と第2の成形体部分14との間に、配向状態の異なる繊維同士が接している界面13を有することが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、繊維強化プラスチック成形品に関する。
有機繊維、炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維が樹脂マトリックス中に分散した複合材料(繊維強化プラスチック:FRP)の成形品(FRP成形品)は、強度、剛性に優れ、かつ、軽量であることから、建築材料、自動車、航空機、スポーツ用品等の種々の用途に広く利用されている。
FRP成形品においては、樹脂マトリックス中の強化繊維の分散状態によって機械特性が大きく変化する。例えば、樹脂マトリックス中の強化繊維に方向性を持たせた場合、繊維方向の引張りに対しての強度が高められる。
FRPを製造する方法として、抄造法の応用が検討されている。
例えば、繊維フィラーと樹脂とを含有する抄造材料を用いて抄造法によりFRPを得る方法が提案されている(特許文献1参照)。
抄造法は紙抄きの技術であり、この方法を応用することで、樹脂マトリックス中に強化繊維を均一に分散させやすく、かつ、強化繊維に方向性を容易に持たせることができ、成形品特性の改善が図られる。
特開2015−81296号公報
近年、FRP成形品の用途が拡大し、FRPの需要が増加している。これに伴って、FRP成形品においては、従来に比べて強度等の機械特性の更なる向上や、熱伝導、電磁波遮蔽性、熱放散性その他の特性の発現等の様々な要求がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、新規な繊維強化プラスチック成形品を提供すること、を課題とする。
本発明者らは、成形品特性の向上等について検討するなかで、抄造法により得たFRPを用いたプリプレグ(抄造プリプレグ)に、樹脂等を含有する成形材料(樹脂組成物)を用いた層を積層しようとした際、抄造材料と樹脂組成物とが混ざり合う新たな層(中間成形体部分)が形成され、成形品として特異な性能を発現し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る第1の実施形態は、第1の成形体部分と第2の成形体部分とが積層した繊維強化プラスチック成形品であって、前記第1の成形体部分は、第1の樹脂を含有し、前記第2の成形体部分は、第2の樹脂と第2の繊維と前記第1の成形体部分に含まれる成分とを含有することを特徴とする繊維強化プラスチック成形品である。
前記第2の繊維の長さは、1mm以上であることが好ましい。
前記第2の成形体部分に含まれる第2の繊維は、前記第2の成形体部分の面方向に、平行かつランダムに配向し、前記第2の成形体部分の厚さ方向に、前記の平行かつランダムに配向した繊維が積み重なるように配向していることが好ましい。
第1の実施形態においては、前記第1の成形体部分が、さらに、第1の繊維を含有し、前記第1の成形体部分と前記第2の成形体部分との間に、配向状態の異なる繊維同士が接している界面を有することが好ましい。
前記第1の成形体部分に含まれる第1の繊維は、前記第1の成形体部分の面方向及び厚さ方向にランダムに配向していることが好ましい。
本発明に係る第2の実施形態は、第3の成形体部分と第4の成形体部分とが積層した繊維強化プラスチック成形品であって、前記第3の成形体部分は、第3の樹脂と第3の繊維とを含有し、前記第4の成形体部分は、第3の繊維と第4の樹脂とを含有することを特徴とする繊維強化プラスチック成形品である。
前記第3の繊維の長さは、1mm以上であることが好ましい。
前記第3の成形体部分及び前記第4の成形体部分に含まれる第3の繊維は、それぞれの成形体部分の面方向に、平行かつランダムに配向し、それぞれの成形体部分の厚さ方向に、前記の平行かつランダムに配向した繊維が積み重なるように配向していることが好ましい。
第2の実施形態においては、前記第3の成形体部分の樹脂マトリックスと、前記第4の成形体部分の樹脂マトリックスと、が相違し、前記第3の成形体部分と前記第4の成形体部分との間に、異なる樹脂マトリックス同士が接している界面を有することが好ましい。
本発明によれば、新規な繊維強化プラスチック成形品を提供することができる。例えば、本発明の繊維強化プラスチック成形品は、機械特性がより高められている。
第1の実施形態のFRP成形品の断面を示す図である。 第2の成形体部分14に含まれる繊維の配向状態を示す模式図である。 第2の実施形態のFRP成形品の断面を示す図である。 実施例における3点曲げ試験方法を説明するための図である。
(繊維強化プラスチック成形品)
以下、本実施形態の繊維強化プラスチック成形品(FRP成形品)について、第1の成形体部分と第2の成形体部分とが積層した繊維強化プラスチック成形品(第1の実施形態)、及び、第3の成形体部分と第4の成形体部分とが積層した繊維強化プラスチック成形品(第2の実施形態)を、それぞれ図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態のFRP成形品を示している。
図1に示すFRP成形品10は、仮想線(―・―)で区切られる2つの部分からなり、第1の成形体部分12と、第2の成形体部分14と、が積層したものである。
≪第1の成形体部分≫
第1の成形体部分12は、第1の樹脂を含有する。すなわち、第1の成形体部分12は、第1の樹脂に由来する樹脂マトリックスから構成される。
・第1の樹脂について
第1の樹脂としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、反応性硬化樹脂、嫌気硬化性樹脂などの硬化性樹脂が挙げられる。これらの中でも、特に、硬化後の線膨張率や弾性率などの機械特性がより高められることから、熱硬化性樹脂が好ましい。
第1の樹脂における熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、機械的強度又は耐薬品性などの点から、熱硬化性樹脂が好ましく、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂がより好ましく、幅広い用途に用いることができる点から、フェノール樹脂が特に好ましい。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、アリールアルキレン型ノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂が挙げられる。
これらの中でも、コスト及び成形性の点から、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
フェノール樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量1000〜15000が好ましい。
フェノール樹脂の重量平均分子量が、前記の好ましい範囲の下限値未満であると、樹脂の粘度が低すぎて成形が難しい場合があり、前記の好ましい範囲の上限値を超えると、樹脂の溶融粘度が高くなるため、成形性が低下することがある。
フェノール樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン換算の重量分子量として特定することができる。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型などのビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型などのノボラック型エポキシ樹脂;臭素化ビスフェノールA型、臭素化フェノールノボラック型などの臭素化型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、高流動性や成形性等の点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
この中でも、比較的分子量の低いビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましい。また、耐熱性の点から、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂がさらに好ましく、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂が特に好ましい。
ビスマレイミド樹脂としては、分子鎖の両末端にマレイミド基を有する樹脂であれば特に限定されないが、ベンゼン環を有するものが好ましく、例えば下記一般式(1)で表されるものを用いることができる。
但し、前記ビスマレイミド樹脂は、分子鎖の両末端以外にマレイミド基を有していてもよい。
Figure 2017081136
[式中、R〜Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜4の炭化水素基、又は水素原子を表す。Rは、2価の有機基を表す。]
ここで有機基とは、炭素原子以外の原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、炭素原子以外の原子としてはO、S、N等が挙げられる。
は、好ましくはメチレン基と芳香環とエーテル結合(−O−)とが任意の順序で結合した主鎖構造を有し、主鎖上に置換基及び/又は側鎖を有していてもよい。主鎖構造に含まれるメチレン基と芳香環とエーテル結合との合計数は15個以下である。上記の置換基又は側鎖としては、例えば、炭素数3個以下の炭化水素基、マレイミド基、フェニレン基等が挙げられる。
ビスマレイミド樹脂として、具体的には、N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、m−フェニレンビスマレイミド、p−フェニレンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、N,N'−エチレンジマレイミド、N,N'−ヘキサメチレンジマレイミド等が挙げられる。
第1の樹脂は、1種が単独で用いられてもよいし2種以上が用いられてもよい。
・任意成分
第1の成形体部分12は、第1の樹脂以外の成分(任意成分)を含有してもよい。
第1の成形体部分12が含有してもよい任意成分としては、例えば、繊維、硬化剤、硬化助剤、充填材、離型剤、カップリング剤、難燃剤、カーボンブラック等の着色剤等が挙げられる。
・・繊維
第1の成形体部分12は、さらに、繊維を含有してもよい。第1の成形体部分12が含有してもよい繊維としては、後述する第2の成形体部分14が含有する第2の繊維と同様のものが挙げられる。
第1の成形体部分12が含有してもよい繊維の平均の長さは、要求される特性に応じて適宜決定され、例えば、500μm以下が好ましく、10〜300μmがより好ましい。繊維の平均の長さが、前記の好ましい上限値以下であると、成形加工性が確保されやすくなる。前記の好ましい下限値以上であると、繊維による特性が発現しやすくなる。
第1の成形体部分12が含有してもよい繊維の平均径は、5〜20μmが好ましく、6〜18μmがより好ましく、7〜16μmがさらに好ましい。繊維の平均径が、前記の好ましい下限値以上であると、成形品に剛性が付与されやすくなる。前記の好ましい上限値以下であると、成形加工性が確保されやすくなる。
第1の成形体部分12が含有してもよい繊維は、1種が単独で用いられてもよいし2種以上が用いられてもよい。
・・硬化剤
第1の成形体部分12は、第1の樹脂の種類等に応じて、さらに、硬化剤を併有してもよい。
例えば、第1の樹脂としてノボラック型フェノール樹脂を用いる場合、硬化剤としては、通常、ヘキサメチレンテトラミンが用いられる。
例えば、第1の樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、硬化剤としては、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ジシアミンジアミドなどのアミン化合物、脂環族酸無水物、芳香族酸無水物などの酸無水物、ノボラック型フェノール樹脂などのポリフェノール化合物のほか、イミダゾール化合物などが挙げられる。これらの中でも、取扱い性、環境面から、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。特に、エポキシ樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂を用いる場合、硬化剤としては、硬化物の耐熱性がより向上しやすいことから、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
例えば、第1の樹脂としてビスマレイミド樹脂を用いる場合、硬化剤としては、イミダゾール化合物が挙げられる。
第1の成形体部分12が含有してもよい硬化剤は、1種が単独で用いられてもよいし2種以上が用いられてもよい。
・・硬化助剤
硬化助剤としては、例えば、イミダゾール化合物、三級アミン化合物、有機リン化合物、酸化マグネシウムなどが挙げられる。
・・充填材
充填材には、無機充填材、有機充填材を用いることができる。
例えば、充填材としては、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、マイカ、タルク、ワラストナイト、ガラスビーズ、ミルドカーボン、グラファイト、ポリビニルブチラール、アクリロニトリルブタジエンゴム、木粉等が挙げられる。
・・離型剤
離型剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
・・カップリング剤
カップリング剤としては、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。
・・難燃剤
難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物;アンチモン化合物、ハロゲン化合物、リン化合物、窒素化合物、ホウ素化合物等が挙げられる。
FRP成形品10において、第1の成形体部分12の厚さは、用途等に応じて適宜決定され、好ましくは100〜4000μmとされる。
≪第2の成形体部分≫
第2の成形体部分14は、第2の樹脂と、第2の繊維と、第1の成形体部分12に含まれる成分と、を含有する。
第1の成形体部分12に含まれる成分としては、少なくとも第1の樹脂が含まれ、その他上記の任意成分が挙げられる。
例えば、第2の成形体部分14は、第2の樹脂に由来する樹脂マトリックスに、第2の繊維が分散し、加えて第1の成形体部分12に含まれる成分が混ざり合うことにより形成されている。
・第2の樹脂について
第2の樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられる。
第2の樹脂における熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
第2の樹脂における熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。
これらの中でも、機械的強度又は耐薬品性などの点から、熱硬化性樹脂が好ましく、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂がより好ましく、幅広い用途に用いることができる点から、フェノール樹脂が特に好ましい。
フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂についての説明は、上記説明と同様である。
第1の樹脂と第2の樹脂との組合せは、特に限定されないが、加熱時の混ざりやすさの点からは、同種の樹脂を用いることが好ましい。例えば、第1の樹脂と第2の樹脂とが、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びビスマレイミド樹脂から選択される同種の樹脂であることが好ましい。
第2の樹脂は、1種が単独で用いられてもよいし2種以上が用いられてもよい。
・第2の繊維について
第2の成形体部分14が含有する第2の繊維としては、有機繊維、無機繊維、金属繊維などが挙げられる。
例えば、第2の繊維としては、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリアリレート繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、高強度ポリプロピレン繊維などの合成繊維、アクリル繊維、フェノール繊維、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、ロックウール、チタン酸カリウム繊維、バサルト繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、アルミニウム繊維、銅繊維、黄銅繊維、青銅繊維などが挙げられる。
これらの中でも、実施形態においては、第2の繊維としてアラミド繊維、炭素繊維又はガラス繊維が用いられている際に特に有用である。
第2の繊維としてアラミド繊維、炭素繊維が用いられている場合、FRP成形品の機械的強度をより高めることができるとともに、成形品をより軽量化することができる。
第2の繊維としてガラス繊維が用いられている場合、成形品の均一性がより高まり、成形性が特に良好となる。さらに、成形品の均一性が高まることで、形成されたFRP成形品における内部応力の均一性が向上して、成形品のうねりがより抑えられる。加えて、高負荷による成形品の耐摩耗性がより高まる。
アラミド繊維を構成するアラミド樹脂は、メタ型構造又はパラ型構造のいずれの構造を有していてもよい。
炭素繊維の具体例としては、引張り強度3500MPa以上の高強度の炭素繊維、弾性率230GPa以上の高弾性率の炭素繊維などが挙げられる。
炭素繊維は、ポリアクリロニトリル(PAN)系の炭素繊維又はピッチ系の炭素繊維のいずれであってもよいが、成形品の強度をより高められる点からは、PAN系の炭素繊維が好ましい。また、成形品表面に熱伝導性を付与させるという点からは、ピッチ系の炭素繊維が好ましい。
ガラス繊維を構成するガラスは、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、Hガラスが挙げられる。
これらの中でも、繊維の高弾性化が図れ、その熱膨張係数をより小さくしやすいことから、Eガラス、Tガラス、Sガラスが好ましい。
第2の繊維について、その断面形状は特に限定されず、円形もしくは楕円形等の略円形、三角形、四角形もしくは六角形等の多角形、扁平形、星形等のいかなる形状であってもよい。これらの中でも、略円形、扁平形が好ましい。繊維の断面がこのような形状であると、FRP成形品表面の平滑性がより高まる。また、成形性がさらに良好となる。
第2の繊維としては、曲げ強度や耐衝撃性などの強度を向上させる点から、チョップドストランドを用いることが好ましい。また、第2の繊維としては、歩留まり向上の点から、ビーターもしくはホモジナイザー等の機械的なせん断力によって叩解したもの、又はフィブリル化したもの(パルプ)を、チョップドストランドと併用することが好ましい。前記パルプは、繊維表面積が大きく、物理的に樹脂の捕捉能力が高いため、このパルプを用いることによって化学的に後述の高分子凝集剤と作用しやすくなる。
第2の繊維は、長繊維であることが好ましい。特に、長繊維は、熱硬化性樹脂と組み合わせて使用すると、耐熱性に優れ、高い比強度、高い耐腐食性及び制振性を発現する点で優れる。また、長繊維を使用すると、短繊維を使用する場合に比べ、高い機械的強度、特に高温時の機械的強度、耐クリープ性などが付与される点で優れる。
ここでいう長繊維とは、長さ1mm以上(好ましくは1〜50mm)の繊維をいい、短繊維とは、長さ0.1〜0.5mmの繊維をいう。
第2の成形体部分14に含まれる第2の繊維の平均の長さは、要求される特性に応じて適宜決定され、例えば、下限値は1mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、上限値は100mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましく、8mm以下が特に好ましい。
第2の繊維の平均の長さが、前記の好ましい下限値以上であると、繊維による特性が発現しやすくなる。前記の好ましい上限値以下であると、成形加工性が確保されやすくなる。
中でも、繊維による特性が発揮されるとともに成形加工性が確保されやすくなることから、第2の繊維の平均の長さは1mm以上、特には3mm以上、8mm以下であることが好ましい。
第2の繊維の平均径は、1〜100μmが好ましく、5〜80μmがより好ましい。
繊維の平均径が、前記の好ましい下限値以上であると、成形品に剛性が付与されやすくなる。前記の好ましい上限値以下であると、成形加工性が確保されやすくなる。
尚、「成形加工性」とは、FRP成形品の表面平滑性又は脱型性のことをいう。
繊維の長さ及び径は、FRPを電子顕微鏡で観察することにより測定できる。
第2の繊維は、1種が単独で用いられてもよいし2種以上が用いられてもよい。
第2の繊維には、後述の抄造材料中での分散性を高めることや、樹脂との密着力を高めること等を目的として、予め、表面処理が施されているものを用いてもよい。
かかる繊維の表面処理の方法としては、例えば、カップリング剤処理、酸化処理、オゾン処理、プラズマ処理、コロナ処理、ブラスト処理などが挙げられる。これらの中でも、カップリング剤処理が施された繊維が好ましい。
第2の成形体部分14に含まれる第2の繊維は、第2の成形体部分14の面方向に、平行かつランダムに配向し、第2の成形体部分14の厚さ方向に、前記の平行かつランダムに配向した繊維が積み重なるように配向していることが好ましい。このように第2の繊維が配向していることで、繊維方向の引張りに対しての強度が高められる。
・任意成分
第2の成形体部分14は、第2の樹脂、第2の繊維、及び第1の成形体部分12に含まれる成分以外の成分(任意成分)を含有してもよい。第2の成形体部分14が含有してもよい任意成分としては、例えば、後述の抄造材料が含有してもよい任意成分、第1の成形体部分12が含有してもよい任意成分が挙げられる。
FRP成形品10において、第2の成形体部分14の厚さは、用途等に応じて適宜決定され、好ましくは100〜300μmとされる。
FRP成形品10において、第2の成形体部分14の厚さ/第1の成形体部分12の厚さ、で表される厚さの比率は、好ましくは0.001〜3であり、より好ましくは0.001〜2であり、さらに好ましくは0.001〜1である。
この厚さの比率が前記の好ましい範囲内であれば、第1の成形体部分12と、第2の成形体部分14と、の積層構造が容易に形成される。
≪FRP成形品10の製造方法≫
第1の実施形態のFRP成形品10を製造する方法は、例えば抄造法を用いる製造方法が好適に挙げられる。
かかる抄造法を用いる製造方法としては、抄造法により得たFRPを用いてプリプレグ(抄造プリプレグ)を得る工程(i)と、前記抄造プリプレグに、成形材料(樹脂組成物)を接触させた状態で、前記抄造プリプレグ及び前記樹脂組成物を成形してFRP成形品を得る工程(ii)と、を有する方法が挙げられる。
かかる抄造法を用いる製造方法により、第1の成形体部分12と、第2の成形体部分14と、が積層したFRP成形品10が製造される。
第1の成形体部分12は、樹脂組成物成形体部分(第1の樹脂を含有する硬化物)から構成される。
第2の成形体部分14は、抄造材料と樹脂組成物とが混ざり合う中間成形体部分(第2の樹脂と第2の繊維と第1の成形体部分12に含まれる成分とを含有する硬化物)から構成される。
かかる抄造法を用いる製造方法は、用途に応じて要求特性を容易に付与でき、形状の自由度が高いことからも有用な方法である。以下、工程(i)及び工程(ii)について説明する。
[工程(i)]
本工程(i)では、抄造材料から分散媒を除去して作製される素形体を、乾燥させて抄造プリプレグを得る。すなわち、抄造法により抄造プリプレグが得られる。
FRP成形品10においては、第2の成形体部分14がこの抄造プリプレグの完全硬化物を有するため、機械的強度等の機械特性がより高められる。かかる効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、繊維(好ましくは長繊維)同士の絡み合いが形成されているため、であると考えられる。
工程(i)では、例えば、抄造材料を調製する操作と、抄造操作と、乾燥操作と、がこの順で行われる。
・抄造材料を調製する操作について
上述した第2の樹脂及び第2の繊維と、必要に応じて任意成分(高分子凝集剤を除く。)と、を分散媒に加えて混合し、分散液を調製する。
・・分散媒
抄造材料に用いられる分散媒としては、特に限定されないが、揮発しにくいこと、脱溶媒をしやすいこと等の点から、沸点が50〜200℃であるものが好ましい。
分散媒としては、例えば、水;エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチルなどのエステル類;テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、ジオキサン、フルフラールなどのエーテル類等が挙げられる。
これらの中でも、安価、環境負荷が低い、安全性も高く扱いやすいことから、水が特に好ましい。
分散媒は、1種を単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・・任意成分
抄造材料における任意成分としては、例えば、表面処理剤、イオン交換能を有する粉末状物質、高分子凝集剤、上記繊維を除くフィラー粉末などが挙げられる。
・・・表面処理剤
表面処理剤としては、公知のものが挙げられ、繊維又は樹脂の種類に応じて種々のカップリング剤を用いることができる。
カップリング剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シリコーンオイル系カップリング剤などが挙げられる。
これらの中でも、繊維と樹脂との密着性をより高められることから、シラン系カップリング剤が好ましい。
シラン系カップリング剤としては、例えば、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤、メルカプトシランカップリング剤、メタクリルシランカップリング剤、クロロシランカップリング剤、アクリルシランカップリング剤などが挙げられる。
・・・イオン交換能を有する粉末状物質
抄造材料は、さらに、イオン交換能を有する粉末状物質を含有してもよい。この粉末状物質を併有することで、繊維の繊維長を長く維持しつつ、高い収率で、繊維と樹脂との凝集体が効率よく調製される、また、繊維と樹脂との配合比率を広範囲に調整することが可能となる。このため、要求される特性に応じて、繊維の特性と樹脂の特性とのバランスに優れたFRPを、より効率的に得ることができる。
イオン交換能を有する粉末状物質としては、例えば、粘土鉱物、鱗片状シリカ微粒子、ハイドロタルサイト類、フッ素テニオライト、膨潤性合成雲母などの層間化合物が挙げられる。
粘土鉱物としては、天然物でも合成されたものでも特に限定されるものではないが、例えば、スメクタイト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウム等が挙げられる。
ハイドロタルサイト類としては、イオン交換能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ハイドロタルサイト、ハイドロタルサイト状物質などが挙げられる。
フッ素テニオライトとしては、イオン交換能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、リチウム型フッ素テニオライト、ナトリウム型フッ素テニオライトなどが挙げられる。
膨潤性合成雲母としては、イオン交換能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム型四珪素フッ素雲母、リチウム型四珪素フッ素などが挙げられる。
これらの中でも、粘土鉱物がより好ましく、天然物から合成物まで存在し、選択の幅が広いという点から、スメクタイトがさらに好ましい。
スメクタイトとしては、イオン交換能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイト等が挙げられる。
モンモリロナイトは、アルミニウムの含水ケイ酸塩であるが、モンモリロナイトを主成分とし、他に石英や雲母、長石、ゼオライトなどの鉱物を含んでいるベントナイトであってもよい。着色や不純物を気にする用途に用いる場合などには、不純物が少ない合成スメクタイトが好ましい。
イオン交換能を有する粉末状物質としては、例えば、クニミネ工業(株)製のクニピア(ベントナイト)、スメクトンSA(合成サポナイト)、AGCエスアイテック(株)製のサンラブリー(鱗片状シリカ微粒子)、コープケミカル(株)製のソマシフ(膨潤性合成雲母)、ルーセンタイト(合成スメクタイト)、堺化学工業(株)製のハイドロタルサイトSTABIACE HT−1(ハイドロタルサイト)等が市販品として入手可能であるが、これらに限定されるものではない。
イオン交換能を有する粉末状物質は、1種を単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・・・高分子凝集剤
抄造材料は、さらに、高分子凝集剤を含有してもよい。この高分子凝集剤を併有することで、繊維と樹脂とをよりフロック状に凝集させ得る。
高分子凝集剤は、特にイオン性などにより限定されるものではなく、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤、両性高分子凝集剤などを用いることができる。
例えば、高分子凝集剤としては、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、ホフマンポリアクリルアミド、マンニックポリアクリルアミド、両性共重合ポリアクリルアミド、カチオン化澱粉、両性澱粉、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。
高分子凝集剤における、ポリマー構造や分子量、水酸基やイオン性基などの官能基量などは、要求される特性によらず、特に制限されるものではない。
高分子凝集剤としては、例えば、和光純薬工業(株)製、関東化学工業(株)製又は住友精化(株)製のポリエチレンオキシド;ハリマ化成(株)製のカチオン性PAMであるハリフィックス、アニオン性PAMであるハーマイドB−15、両性PAMであるハーマイドRB−300;三和澱粉工業(株)製カチオン化澱粉であるSC−5等が市販品として入手可能であるが、これらに限定されるものではない。
高分子凝集剤は、1種を単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
・・・上記繊維を除くフィラー粉末
抄造材料は、特性を調整する目的として、さらに、上記繊維を除くフィラー粉末を含有してもよい。
かかるフィラー粉末としては、無機粉末、金属粉末が挙げられる。
無機粉末としては、例えば、酸化チタン、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化マグネシウムなどの酸化物類、窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素などの窒化物類、硫酸バリウム、硫酸鉄、硫酸銅などの硫化物類、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物類、カオリナイト、タルク、天然マイカ、合成マイカなどの鉱物類、炭化ケイ素などの炭化物類、又はこれらに要求される特性に応じてカップリング剤などで表面処理を施したものが挙げられる。
金属粉末としては、単独の金属で構成される金属粉末であっても、複数の金属で構成される合金粉末であってもよい。金属粉末を構成する金属としては、アルミニウム、銀、銅、マグネシウム、鉄、クロム、ニッケル、チタン、亜鉛、錫、モリブデン、タングステン等が挙げられる。
抄造材料は、上述した成分の他に、要求される特性などに応じて、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤、離型剤、可塑剤、難燃剤、樹脂の硬化触媒や硬化促進剤、着色剤、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤などの紙力向上剤、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、サイズ定着剤、消泡剤、酸性抄紙用ロジン系サイズ剤、中性製紙用ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニルコハク酸無水物系サイズ剤、特殊変性ロジン系サイズ剤などのサイズ剤、硫酸バンド、塩化アルミ、ポリ塩化アルミなどの凝結剤などを用いることができる。
前記の原料を分散媒に分散させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ディスパーザー、ホモジナイザー等で撹拌する方法が挙げられる。
その後、前記分散液に、好ましくは高分子凝集剤を添加する。尚、任意成分としてイオン交換能を有する粉末状物質を添加した場合、この粉末状物質の効果により、第2の樹脂と第2の繊維とが凝集状態を形成しやすくなり、分散液中の原料がフロック状に、よりいっそう凝集しやすくなる。
以上のようにして、分散媒中に原料が凝集しつつ分散した抄造材料が調製される。
抄造材料中の第2の樹脂の含有量は、抄造材料(高分子凝集剤を除く)の固形分総量(100体積%)に対して10〜60体積%が好ましく、より好ましくは20〜55体積%、さらに好ましくは30〜55体積%である。
第2の樹脂の含有量が前記の好ましい範囲内であれば、抄造材料を成形した場合に、外観が良好で、かつ、樹脂偏在の少ない成形体が得られやすくなる。
また、第2の樹脂の含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、抄造プリプレグ成形体部分の強度が確保されやすくなる。一方、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、抄造材料の取扱い性がより良好となる。
抄造材料中の第2の繊維の含有量は、抄造材料(高分子凝集剤を除く)の固形分総量(100体積%)に対して20〜80体積%が好ましく、より好ましくは30〜70体積%、さらに好ましくは35〜60体積%である。
第2の繊維の含有量が前記の好ましい範囲内であれば、FRP成形品の機械特性を、より効率よく高められる。また、第2の繊維の含有量が前記の好ましい下限値以上であると、耐衝撃性などが向上しやすくなる。前記の好ましい上限値以下であると、軽量性、加工性を維持しやすくなる。
抄造材料中の分散媒の含有量は、抄造材料(高分子凝集剤を除く)の固形分総量(100質量%)に対して0.05〜3質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2質量%である。
抄造材料(高分子凝集剤を除く)の固形分濃度は、好ましくは0.2〜2.0質量%、より好ましくは0.3〜1.0質量%である。
・抄造操作について
次いで、底面にスクリーン(メッシュ)が配置されたチャンバー(抄造槽)に、抄造材料を入れて、スクリーンを介して分散媒を除去する。これにより、凝集物と分散媒とが固液分離される(抄造操作)。
その後、チャンバーから凝集物を取り出すことにより、素形体が得られる。
・乾燥操作について
次いで、得られた素形体を、乾燥炉に入れて乾燥させることにより、分散媒をさらに除去する。この際の乾燥温度は、好ましくは50〜70℃とされる。
以上のようにして、第2の樹脂に由来する樹脂マトリックスに第2の繊維及び任意成分が分散した抄造プリプレグが得られる。
[工程(ii)]
本工程(ii)では、工程(i)で得られた抄造プリプレグに、樹脂組成物を接触させた状態で、前記抄造プリプレグ及び前記樹脂組成物を成形する。これによって、FRP成形品10が得られる。
樹脂組成物には、第1の樹脂と、必要に応じて上記の第1の成形体部分12が含有してもよい任意成分と、を含有するものが用いられる。
樹脂組成物中の第1の樹脂の含有量は、樹脂組成物の固形分総量(100質量%)に対して5〜60質量%が好ましく、より好ましくは20〜55質量%、さらに好ましくは30〜50質量%である。
第1の樹脂の含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、樹脂組成物成形体部分の強度が確保されやすくなる。一方、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、樹脂組成物の取扱い性がより良好となる。
樹脂組成物が繊維を含有する場合、樹脂組成物中の繊維の含有量は、樹脂組成物の固形分総量(100質量%)に対して30〜80質量%が好ましく、より好ましくは40〜70質量%、さらに好ましくは40〜60質量%である。
樹脂組成物が硬化剤を含有する場合、樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、樹脂組成物の固形分総量(100質量%)に対して1〜20質量%が好ましく、より好ましくは2〜15質量%である。
工程(ii)における成形には、例えば、一対の熱プレートを有する金型が用いられる。成形の方法としては、コンプレッション成形、トランスファー成形、射出成形などが挙げられる。
工程(ii)は、例えば以下のようにして行われる。
金型内で、一方の熱プレート上に、工程(i)で得られた抄造プリプレグを配置する。そして、前記抄造プリプレグの一方の全面に接触するように、前記抄造プリプレグと他方の熱プレートとの間に樹脂組成物を注入等によって配置する。
次いで、金型内にある抄造プリプレグ及び樹脂組成物を加熱しつつ加圧する。その際、好ましくは、熱プレートで抄造プリプレグを押圧するように、金型内にある抄造プリプレグ及び樹脂組成物を加圧する。これによって、より高い機械特性を有するFRP成形品10が得られやすくなる。
FRP成形品10の製造方法における工程(ii)では、例えば下記1a)〜1c)を適宜採用して、成形を行うことが好ましい。これによって、抄造プリプレグの全体に樹脂組成物が充分に行き渡って硬化した、第2の成形体部分14が形成されやすくなる。
1a)抄造プリプレグに対する樹脂組成物の使用量を多目に設定する。
1b)金型内で抄造プリプレグに接触するように樹脂組成物を注入等してから、加熱・加圧するまでの放置時間を長くする。
1c)加熱条件又は加圧条件を変更する。
例えば、前記の加熱条件として、温度は、使用原料等によって適宜決定され、例えばフェノール樹脂が用いられている場合、150〜200℃とすることが好ましく、160〜180℃とすることがより好ましい。
前記の加圧条件として、圧力は、10〜80MPaとすることが好ましく、30〜60MPaとすることがより好ましい。また、加圧時間は、好ましくは1〜10分間程度とされる。
上述した第1の実施形態のFRP成形品10は、第1の成形体部分12と、第2の成形体部分14と、が積層した一体成形体である。加えて、第2の成形体部分14は、第1の成形体部分12に含まれる成分と第2の樹脂と第2の繊維とを含有している。
このように、FRP成形品10は、第2の樹脂に由来する樹脂マトリックスに第2の繊維が分散しているところに、第1の成形体部分12に含まれる成分が混ざり合った中間成形体部分(第2の成形体部分14)を備えるため、曲げ強度等の機械特性がより高められている。
前記のようなFRP成形品10内部の状態(構造など)は、光学顕微鏡(落射画像、偏光フィルター越の画像)観察、及び、EDS(Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)等によって測定できる。
下記の抄造材料と樹脂組成物とを用い、上記≪FRP成形品10の製造方法≫によって製造されたFRP成形品10においては、図1に示す実施形態のように、光学顕微鏡(落射画像)観察から、色分けされた2つの部分(第1の成形体部分12、第2の成形体部分14)及び1つの界面(界面13)が認められる。
樹脂組成物:第1の樹脂としてノボラック型フェノール樹脂と、第1の繊維としてガラス繊維と、ヘキサメチレンテトラミン(ヘキサミンと略す)と、ステアリン酸カルシウムと、酸化マグネシウムと、カーボンブラックと、ステアリン酸マグネシウムと、を含有する組成物。
抄造材料:第2の樹脂としてレゾール型フェノール樹脂と、第2の繊維としてアラミド繊維及びアラミドパルプと、分散媒として水と、を含有する組成物。
第1の成形体部分12は、前記樹脂組成物により形成される。
製造されたFRP成形品10に対するEDS測定(マッピング画像)から、第2の成形体部分14において、樹脂組成物にのみ含まれるMgの存在が認められた。
また、光学顕微鏡(偏光フィルター越の画像)観察から、FRP成形品10は、第1の成形体部分12と第2の成形体部分14との間に、配向状態の異なる繊維同士が接している界面13が存在していること、が認められた。すなわち、この界面13で、第1の成形体部分12に含まれる第1の繊維(ガラス繊維)と、第2の成形体部分14に含まれる第2の繊維(アラミド繊維)と、が接している。
図2は、第2の成形体部分14に含まれる第2の繊維の配向状態を示す模式図である。
図2において、第2の成形体部分14に含まれる繊維14f(アラミド繊維)は、X−Y方向(面方向)に、平行かつランダムに配向している。加えて、繊維14f(アラミド繊維)は、T方向(厚さ方向)に、前記の平行かつランダムに配向した繊維14f(アラミド繊維)が積み重なるように配向している。これにより、特に、X−Y方向(面方向)の引張りに対しての強度が高められる。
このように繊維14fが配向しているのは、第2の成形体部分14の前駆体(硬化前の抄造プリプレグ)が抄造法によって作製されているため、である。
これに対して、第1の成形体部分12の繊維(ガラス繊維)は、面方向及び厚さ方向のいずれにもランダムに配向している。
前記の光学顕微鏡(落射画像、偏光フィルター越の画像)観察及びEDS測定等により、第2の成形体部分14は、抄造プリプレグ全体に樹脂組成物の一部が混入し硬化した硬化物から構成されていること、が確認できる。
<第2の実施形態>
図3は、第2の実施形態のFRP成形品を示している。
図3に示すFRP成形品20は、仮想線(―・―)で区切られる2つの部分からなり、第3の成形体部分22と、第4の成形体部分24と、が積層したものである。
≪第3の成形体部分≫
第3の成形体部分22は、第3の樹脂と第3の繊維とを含有する。すなわち、第3の成形体部分22では、第3の樹脂に由来する樹脂マトリックスに第3の繊維が分散している。
・第3の樹脂について
第3の成形体部分22が含有する第3の樹脂には、上述した第1の実施形態における第2の成形体部分14が含有する第2の樹脂と同様のものを用いることができる。
第3の樹脂は、1種が単独で用いられてもよいし2種以上が用いられてもよい。
・第3の繊維について
第3の成形体部分22が含有する第3の繊維には、上述した第1の実施形態における第2の成形体部分14が含有する第2の繊維と同様のものを用いることができる。第3の繊維は、長繊維であることが好ましい。
第3の繊維は、1種が単独で用いられてもよいし2種以上が用いられてもよい。
また、第2の繊維と同様、第3の繊維には、予め、表面処理が施されているものを用いてもよい。
・任意成分
第3の成形体部分22は、第3の樹脂及び第3の繊維以外の成分(任意成分)を含有してもよい。第3の成形体部分22が含有してもよい任意成分としては、例えば、上述の抄造材料が含有してもよい任意成分が挙げられる。
FRP成形品20において、第3の成形体部分22の厚さは、用途等に応じて適宜決定され、好ましくは100〜4000μmとされる。
≪第4の成形体部分≫
第4の成形体部分24は、第3の繊維と第4の樹脂とを含有する。
例えば、第4の成形体部分24は、第3の樹脂に由来する樹脂マトリックスに第3の繊維が分散しているところに、第4の樹脂が混ざり合うことにより形成されている。あるいは、第4の成形体部分24は、第3の成形体部分22に含まれる第3の繊維と、第4の樹脂及び後述の第4の成形体部分24が含有してもよい任意成分と、が混ざり合うことにより形成されている。
・第4の樹脂について
第4の成形体部分24が含有する第4の樹脂には、上述した第1の実施形態における第1の成形体部分12が含有する第1の樹脂と同様のものを用いることができる。
第4の樹脂は、1種が単独で用いられてもよいし2種以上が用いられてもよい。
・任意成分
第4の成形体部分24は、第3の樹脂、第3の繊維及び第4の樹脂以外の成分(任意成分)を含有してもよい。第4の成形体部分24が含有してもよい任意成分としては、例えば、上述の抄造材料が含有してもよい任意成分、第1の成形体部分12が含有してもよい任意成分が挙げられる。
FRP成形品20において、第4の成形体部分24の厚さは、用途等に応じて適宜決定され、好ましくは100〜300μmとされる。
FRP成形品20において、第4の成形体部分24の厚さ/第3の成形体部分22の厚さ、で表される厚さの比率は、好ましくは0.001〜3であり、より好ましくは0.001〜2であり、さらに好ましくは0.001〜1である。
この厚さの比率が前記の好ましい範囲内であれば、第3の成形体部分22と、第4の成形体部分24と、の積層構造が容易に形成される。
≪FRP成形品20の製造方法≫
第2の実施形態のFRP成形品20を製造する方法は、例えば抄造法を用いる製造方法が好適に挙げられる。
かかる抄造法を用いる製造方法としては、上述した工程(i)と工程(ii)とを有する方法が挙げられる。
かかる抄造法を用いる製造方法により、第3の成形体部分22と、第4の成形体部分24と、が積層したFRP成形品20が製造される。
第3の成形体部分22は、抄造プリプレグ成形体部分(第3の樹脂と第3の繊維とを含有する硬化物:抄造プリプレグの完全硬化物)から構成される。
第4の成形体部分24は、抄造材料と樹脂組成物とが混ざり合う中間成形体部分(第3の繊維と第4の樹脂とを含有する硬化物)から構成される。
FRP成形品20の製造方法における工程(ii)では、例えば下記2a)〜2c)を適宜採用して、成形を行うことが好ましい。これによって、樹脂組成物の全量が抄造プリプレグに含浸して硬化した、第4の成形体部分24が形成されやすくなる。
2a)抄造プリプレグに対する樹脂組成物の使用量を少な目に設定する。
2b)金型内で抄造プリプレグに接触するように樹脂組成物を注入等してから、加熱・加圧するまでの放置時間を短くする。
2c)加熱条件又は加圧条件を変更する。
例えば、前記の加熱条件として、温度は、使用原料等によって適宜決定され、例えばフェノール樹脂が用いられている場合、150〜200℃とすることが好ましく、160〜180℃とすることがより好ましい。
前記の加圧条件として、圧力は、10〜80MPaとすることが好ましく、30〜60MPaとすることがより好ましい。また、加圧時間は、好ましくは1〜10分間程度とされる。
上述した第2の実施形態のFRP成形品20は、第3の成形体部分22と、第4の成形体部分24と、が積層した一体成形体である。加えて、第4の成形体部分24は、第3の繊維と第4の樹脂とを含有している。
このように、FRP成形品20は、第3の成形体部分22に含まれる第3の繊維と、第4の樹脂と、が混ざり合った中間成形体部分(第4の成形体部分24)を備えるため、曲げ強度等の機械特性がより高められている。
前記のようなFRP成形品20内部の状態(構造など)は、光学顕微鏡(落射画像、偏光フィルター越の画像)観察、及び、EDS(Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)等によって測定できる。
下記の抄造材料と樹脂組成物とを用い、上記≪FRP成形品20の製造方法≫によって製造されたFRP成形品20においては、図3に示す実施形態のように、光学顕微鏡(落射画像)観察から、色分けされた2つの部分(第3の成形体部分22、第4の成形体部分24)及び1つの界面(界面23)が認められる。
抄造材料:第3の樹脂としてレゾール型フェノール樹脂と、第3の繊維としてアラミド繊維及びアラミドパルプと、分散媒として水と、を含有する組成物。
樹脂組成物:第4の樹脂としてノボラック型フェノール樹脂と、ガラス繊維と、ヘキサメチレンテトラミン(ヘキサミンと略す)と、ステアリン酸カルシウムと、酸化マグネシウムと、カーボンブラックと、ステアリン酸マグネシウムと、を含有する組成物。
第3の成形体部分22は、前記抄造材料により形成される。
製造されたFRP成形品20に対するEDS測定(マッピング画像)から、第4の成形体部分24において、樹脂組成物にのみ含まれるMgの存在が認められた。
また、光学顕微鏡(落射画像)観察から、FRP成形品20は、第3の成形体部分22と第4の成形体部分24との間に、異なる樹脂マトリックス同士が接している界面23が存在していること、が認められた。すなわち、この界面23で、第3の成形体部分22を構成する樹脂マトリックス(レゾール型フェノール樹脂)と、抄造プリプレグに含浸して硬化した樹脂マトリックス(ノボラック型フェノール樹脂とヘキサミンとの縮合物)と、が接している。
また、光学顕微鏡(偏光フィルター越の画像)観察から、FRP成形品20において、第3の成形体部分22及び第4の成形体部分24に含まれる第3の繊維(アラミド繊維)は、図2に示したような配向状態、すなわち、それぞれの成形体部分(第3の成形体部分22、第4の成形体部分24)の面方向に、平行かつランダムに配向し、それぞれの成形体部分の厚さ方向に、前記の平行かつランダムに配向した繊維が積み重なるように配向していること、が認められた。このように第3の繊維が配向していることで、FRP成形品20は、特に、面方向の引張りに対しての強度が高められている。
このように第3の繊維が配向しているのは、FRP成形品20が抄造法を応用して作製されているため、である。
前記の光学顕微鏡(落射画像、偏光フィルター越の画像)観察及びEDS測定等により、第4の成形体部分24は、抄造プリプレグの一部に樹脂組成物の全部が混入し硬化した硬化物から構成されていること、が確認できる。
<その他実施形態>
上述した実施形態のFRP成形品10及びFRP成形品20では、第1の成形体部分12と第2の成形体部分14との界面13、及び、第3の成形体部分22と第4の成形体部分24との界面23がそれぞれ面一とされていたが、これに限定されず、階段状の界面とされていてもよい。
また、実施形態のFRP成形品10では、第2の成形体部分14の一方の全面に、第1の成形体部分12が積層しているが、これに限定されず、第2の成形体部分14の一方の面に、部分的に又はパターン形状に、リブ形状等の第1の成形体部分12が設けられていてもよい。
あるいは、第2の成形体部分14の両面に、その全面にもしくは部分的に又はパターン形状に、第1の成形体部分12が設けられていてもよい。
以上説明した本実施形態の繊維強化プラスチック成形品(FRP成形品)は、建築材料、自動車、航空機、スポーツ用品等の種々の用途に広く利用できる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
<繊維強化プラスチック成形品の製造>
(実施例1)
上述した≪FRP成形品10の製造方法≫と同様にして、第1の成形体部分12(樹脂組成物成形体部分)と第2の成形体部分14(中間成形体部分)とが積層したFRP成形品10を製造した。
[工程(i)]
・抄造材料を調製する操作について
レゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製、品番PR−51723)45体積%[抄造材料の固形分総量(100体積%)に対し、以下同じ]と、繊維の平均径12μm、繊維の平均の長さ3mmのアラミド繊維(帝人株式会社製、品番T32PNW)50体積%と、アラミドパルプ(デュポン社製、品番パラアラミドアルプ)5体積%と、ハイドロタルサイト(堺化学工業株式会社製、品番STABIACE HT−1)5体積%と、を水に加え、ディスパーザーで20分間撹拌し、分散液(固形分濃度0.6質量%)を得た。
次に、得られた分散液に、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(ポリエチレンオキシド、分子量1000000)を、前記分散液の固形分100質量部に対して0.5質量部を添加し、フロック状に凝集させて、抄造材料を調製した。
・抄造操作について
次いで、抄造材料を、40メッシュの金属網(スクリーン)でろ過し、凝集物を圧力3MPaで脱水プレスして、水を除去した。
その後、凝集物を取り出して、素形体を得た。
・乾燥操作について
次いで、得られた素形体を、50℃で5時間乾燥させて、シート状の抄造プリプレグを得た。
[工程(ii)]
・樹脂組成物を調製する操作について
成形材料として、ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製、品番A−1084 )と、硬化剤であるヘキサメチレンテトラミン(ヘキサミンと略す)と、ガラス繊維(日東紡績株式会社製カットファイバー、繊維の平均径11μm)と、 離型剤であるステアリン酸カルシウムと、硬化助剤である酸化マグネシウムと、着色剤であるカーボンブラックと、を含有する樹脂組成物、を以下のようにして調製した。
成形材料全体に対して、樹脂マトリックスを構成するものとしてノボラック型フェノール樹脂とヘキサミンとの混合物47質量%(ノボラック型フェノール樹脂40質量%、ヘキサミン7質量%)と、ガラス繊維50質量%と、硬化助剤1質量%と、着色剤1質量%と、離型剤1質量%と、を配合し、予備混合して混合物を得た。得られた混合物を、105℃で、回転速度の異なった加熱ロールにより溶融混練し、シート状に冷却したものを粉砕して、顆粒状の樹脂組成物を調製した。
・成形する操作について
金型として、上下一対の熱プレートを有する金型を用いた。
一方の熱プレート上に、工程(i)で得られた抄造プリプレグを配置した。次に、前記抄造プリプレグの一方の全面に接触するように、前記抄造プリプレグと他方の熱プレートとの間に樹脂組成物を注入した。
次いで、金型内にある抄造プリプレグ及び樹脂組成物を加熱しつつ加圧した。その際、熱プレートで抄造プリプレグを押圧するように、金型内にある抄造プリプレグ及び樹脂組成物を加圧した。
前記の加熱条件として温度180℃、加圧条件として圧力30MPa、加圧時間を10分間に設定して成形を行った。
これによって、縦80mm×横50mm×高さ(厚さ)4mmのFRP成形品10を得た。このうち、第2の成形体部分14(中間成形体部分のみ)の厚さを0.25mm;第2の成形体部分14の厚さ/第1の成形体部分12の厚さ、で表される厚さの比率を0.067に設定した。
(比較例1)
実施例1で用いられた金型内で、樹脂組成物のみを、実施例1と同じ加熱条件、加圧条件、加圧時間で加熱しつつ加圧して成形を行った。
これによって、縦80mm×横50mm×高さ(厚さ)4mmの樹脂組成物成形体を得た。
(参考例1)
実施例1の工程(i)で得られた抄造プリプレグを、実施例1と同じ加熱条件、加圧条件、加圧時間で加熱しつつ加圧して成形を行った。
これによって、縦80mm×横50mm×高さ(厚さ)4mmの抄造プリプレグ成形体を得た。
<FRP成形品についての評価>
各例の成形品に対し、図4に示すような3点曲げ試験を行い、曲げ強度、曲げ弾性率をそれぞれ測定した。その結果を表1に示した。
曲げ強度、曲げ弾性率は、ISO178に準拠した方法により測定した。
図4において、試験片40は、下面40dの長手(縦)方向の両端部40a、40bに接するように配置された円筒状の架台50a、50bで支持されている。
かかる状態の試験片40の上面40c中央に、荷重(太矢印)が掛けられることにより、曲げ試験が行われる。
図4は、試験片40として、実施例のFRP成形品10を用いた場合を示している。この場合、試験片40の上面40c側に樹脂組成物成形体部分42、下面40d側に中間成形体部分44が位置するように配置される。
Figure 2017081136
表1に示す結果から、本実施形態の繊維強化プラスチック成形品は、樹脂組成物成形体単独に比べて、機械特性がより高められていること、が確認できる。
10 FRP成形品、
12 第1の成形体部分、
13 界面、
14 第2の成形体部分、
20 FRP成形品、
22 第3の成形体部分、
23 界面、
24 第4の成形体部分、
40 試験片、
42 樹脂組成物成形体部分、
44 中間成形体部分

Claims (9)

  1. 第1の成形体部分と第2の成形体部分とが積層した繊維強化プラスチック成形品であって、
    前記第1の成形体部分は、第1の樹脂を含有し、
    前記第2の成形体部分は、第2の樹脂と第2の繊維と前記第1の成形体部分に含まれる成分とを含有する、繊維強化プラスチック成形品。
  2. 前記第2の繊維の長さは、1mm以上である、請求項1に記載の繊維強化プラスチック成形品。
  3. 前記第2の成形体部分に含まれる第2の繊維は、前記第2の成形体部分の面方向に、平行かつランダムに配向し、前記第2の成形体部分の厚さ方向に、前記の平行かつランダムに配向した繊維が積み重なるように配向している、請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック成形品。
  4. 前記第1の成形体部分が、さらに、第1の繊維を含有し、
    前記第1の成形体部分と前記第2の成形体部分との間に、配向状態の異なる繊維同士が接している界面を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック成形品。
  5. 前記第1の成形体部分に含まれる第1の繊維は、前記第1の成形体部分の面方向及び厚さ方向にランダムに配向している、請求項4に記載の繊維強化プラスチック成形品。
  6. 第3の成形体部分と第4の成形体部分とが積層した繊維強化プラスチック成形品であって、
    前記第3の成形体部分は、第3の樹脂と第3の繊維とを含有し、
    前記第4の成形体部分は、第3の繊維と第4の樹脂とを含有する、繊維強化プラスチック成形品。
  7. 前記第3の繊維の長さは、1mm以上である、請求項6に記載の繊維強化プラスチック成形品。
  8. 前記第3の成形体部分及び前記第4の成形体部分に含まれる第3の繊維は、それぞれの成形体部分の面方向に、平行かつランダムに配向し、それぞれの成形体部分の厚さ方向に、前記の平行かつランダムに配向した繊維が積み重なるように配向している、請求項6又は7に記載の繊維強化プラスチック成形品。
  9. 前記第3の成形体部分の樹脂マトリックスと、前記第4の成形体部分の樹脂マトリックスと、が相違し、
    前記第3の成形体部分と前記第4の成形体部分との間に、異なる樹脂マトリックス同士が接している界面を有する、請求項6〜8のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック成形品。
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