JP6718756B2 - コンミテータ、およびコンミテータの製造方法 - Google Patents

コンミテータ、およびコンミテータの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、成形材料、成形材料の製造方法、及びその利用に関する。
フェノール樹脂は、機械特性、電気特性、耐熱性、及び耐溶剤性等に優れている。このため、自動車、建設機械、住宅、電子材料等幅広い分野において使用されている。特にフェノール樹脂成形材料は民生部品、電気電子部品、自動車部品等の広範囲に渡る用途において用いられている。
例えば、特許文献1には、低分子量のノボラック型フェノール樹脂に、酸性触媒下、乾性油を付加反応させ、その後、アルカリ触媒下でアルデヒド類を反応させて得られる乾性油変性レゾール型フェノール樹脂について記載されている。
また、特許文献2には、フェノール樹脂に、アミノシラン及びカチオニック・アンモニウム塩で表面処理したロックウール、ガラス繊維、及び炭酸カルシウムを配合してなるフェノール樹脂の成形材料について記載されている。
特開2011−122009号公報(2011年6月23日公開) 特開2006−257116号公報(2006年9月28日公開)
特許文献1及び2に記載のフェノール樹脂成形材料は、フェノール樹脂の改質、及び成形材料の組成を検討することにより、フェノール樹脂成形物が元来有している、脆さを克服するという課題の解決を試みている。しかしながら、成形材料に求められる性能の高度化に伴い、特許文献1及び2に記載のフェノール樹脂成形材料よりも、成形時の成形収縮率が低く、成形物へ高い寸法安定性と高い靱性とを付与する能力を備えた新規な成形材料が求められている。
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、成形時の成形収縮率が低く、成形物へ高い寸法安定性と高い靱性とを付与する能力を備えた新規な成形材料、及びその関連技術を提供することを目的としている。
上記の課題を解決するために、本発明に係る成形材料は、レゾール型フェノール樹脂と、ノボラック型フェノール樹脂とからなるフェノール樹脂成分と、必須繊維材と、無機フィラーとを含む充填材成分を含んでなる成形材料であって、上記レゾール型フェノール樹脂、及び上記ノボラック型フェノール樹脂のうちの少なくとも一部が、エラストマー変性されており、上記フェノール樹脂成分の含有量が、40質量%以下であり、上記充填材成分の含有量が、60質量%以上であり、上記必須繊維材の長さは、0.3mm以上であることを特徴としている。
本発明によれば、成形時の成形収縮率が低く、成形物へ高い寸法安定性と高い靱性とを付与する能力を備えた新規な成形材料、及びその関連技術を提供することができるという効果を奏する。
<成形材料>
本発明の一実施形態に係る成形材料は、レゾール型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂とからなるフェノール樹脂成分と、必須繊維材及び無機フィラーを含む充填材成分とを含んでなる成形材料であって、レゾール型フェノール樹脂、及びノボラック型フェノール樹脂のうちの少なくとも一部が、エラストマー変性されている。
また、成形材料は、フェノール樹脂成分の含有量が、40質量%以下で、充填材成分の含有量が、60質量%以上である。フェノール樹脂成分の含有量が、40質量%以下であり、充填材成分の含有量が、60質量%以上であれば、成形時の成形収縮率が低く、成形物へ高い寸法安定性と高い靱性とを付与する能力を備えた成形材料を得ることができる。また、成形材料は、フェノール樹脂成分の含有量が、20質量%以上であり、充填材成分の含有量が、80質量%以下であれば、成形時の成形収縮率が低く、成形物へ高い寸法安定性と高い靱性とを付与する能力を備え、さらに、金型から離型したときにおける表面が平滑な成形物を形成することができる成形材料を得ることができる。
なお、成形材料は、フェノール樹脂成分、及び充填材成分以外のその他の成分として、滑材、及びシランカップリング剤等の添加剤を含んでいてもよい。
以下に、本実施形態に係る成形材料の組成についてより詳細に説明する。
<フェノール樹脂>
フェノール樹脂は、成形材料における充填材成分のバインダーとして機能する。成形材料に含まれるフェノール樹脂の一部をエラストマー変性することにより、成形材料により成形された成形物に高い靭性を付与し、高い熱安定性を付与する。なお、本明細書では、エラストマー変性されているか否かによらず、成形材料中に含まれるフェノール樹脂の合計を「フェノール樹脂成分」と称する。
また、本明細書において、単に「フェノール樹脂」と記載している場合、当該「フェノール樹脂」は、「ノボラック型フェノール樹脂」及び「レゾール型フェノール樹脂」の両方を意味する。
また、本明細書中において、「レゾール型フェノール樹脂」を、「レゾール樹脂」と称し、「ノボラック型フェノール樹脂」を「ノボラック樹脂」と称することもある。
エラストマー変性されていないフェノール樹脂と、エラストマー変性されているフェノール樹脂との質量比率は、80/20〜50/50であることが好ましい。当該質量比率が、80/20〜50/50であれば、成形物に高い靭性、例えば、高いシャルピー衝撃強さを付与することができ、成形物に低い成形収縮率、及び、低い線膨張係数を付与することができる成形材料を得ることができる。さらに、フェノール樹脂成分におけるガラス転移温度を高めることができるため、成形物の耐熱性を高めることができ、首尾よく金型から離型することができるという成形性を付与することができる。
フェノール樹脂成分は、ノボラック型フェノール樹脂がエラストマー変性されていてもよく、レゾール型フェノール樹脂がエラストマー変性されていてもよく、レゾール型フェノール樹脂の一部とノボラック型フェノール樹脂の一部とがエラストマー変性されていてもよいが、これらの構成のうち、ノボラック型フェノール樹脂がエラストマー変性されていることがより好ましい。すなわち、フェノール樹脂成分における、レゾール型フェノール樹脂と、エラストマー変性されたノボラック型フェノール樹脂との質量比率を80/20〜50/50にすることにより、レゾール型フェノール樹脂が有している官能基によってノボラック型フェノール樹脂を硬化させることができる。よって、例えば、ヘキサメチレンテトラミンのような、アミン系の硬化剤を用いることなく、フェノール樹脂成分を硬化させることができる。このため、成形材料から成形された成形物が、例えば、銅等の金属製の部材に接触することにより、当該金属製の部材を腐食することを防止することができる。
レゾール型フェノール樹脂、及びノボラック型フェノール樹脂を合成するために用いられる原料には、フェノール類と、アルデヒド類とを挙げることができ、これらをアルカリ触媒、2価の金属塩触媒、又は酸触媒等の存在下において重合させる。
また、これら、フェノール類、及びアルデヒド類に併せて、エラストマー変性のためのエラストマー構成単位を配合して、フェノール樹脂を合成することにより、エラストマー変性のフェノール樹脂を生成する。
フェノール類としては、フェノール、カルダノール、カシューナットシェルリキッドを挙げることができ、その他のフェノール類として、例えば、クレゾール類、キシレノール類、アルキルフェノール類、ビスフェノール類、及び多価フェノール類等を挙げることができる。ここで、クレゾール類には、例えば、o−クレゾール、m−クレゾール、及びp−クレゾール等を挙げることができ、キシレノール類には、例えば、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、及び3,5−キシレノール等を挙げることができる。アルキルフェノール類には、例えば、イソプロピルフェノール、p−イソブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール等を挙げることができる。ビスフェノール類には、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールS等を挙げることができる。多価フェノール類には、例えば、レゾルシン、ピロガロール、及びカテコール等を挙げることができる。これらフェノール類のうち、フェノール、クレゾール類、カルダノール、カシューナットシェルリキッド、及びビスフェノールA等を、フェノール樹脂の原料として用いることがより好ましく、これにより、硬化性と、成形物へ靭性等の機械的な強度を付与する能力とのバランスに優れたフェノール樹脂を得ることができる。なお、これらフェノール類は、単独で、又は、2種類以上を混合して使用することができる。
また、アルデヒド類には、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、グリオキザール、ベンズアルデヒド、及びサリチルアルデヒド等を挙げることができ、これらのアルデヒド類のうち、フェノール樹脂の硬化性を高めることができること、及びコスト的な観点から、ホルムアルデヒド、及びパラホルムアルデヒド等を用いることがより好ましい。なお、これらアルデヒド類は、単独で、又は、2種類以上を混合して使用することができる。
レゾール型フェノール樹脂は、上述のフェノール類と、ホルムアルデヒド類とを、例えば、アルカリ触媒下又は2価の金属塩触媒下において、重合させることで生成することができる。
なお、エラストマー変性したレゾール型フェノール樹脂は、例えば、カシューナットシェルリキッドと他のフェノール類とを原料として合成することができる。
ノボラック型フェノール樹脂は、上述のフェノール類と、ホルムアルデヒド類とを、例えば、酸触媒下において重合させることによって得るとよい。
なお、一実施形態に係る成形材料において、ノボラック型フェノール樹脂をエラストマー変性することが好ましいことは、上述の通りであり、エラストマー変性ノボラック樹脂を得るためには、上述のフェノール類と、ホルムアルデヒド類とを、酸触媒下において、以下に示すエラストマーの構成単位と反応させればよい。また、上述のフェノール類と、ホルムアルデヒド類とを、酸触媒下において反応させ、ノボラック樹脂を作製した後に、以下に示すエラストマーの構成単位と反応させてもよい。エラストマーの構成単位としては、例えば、アクリルゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、イソプレンゴム、シリコーン樹脂等を含んでなる構成単位を挙げることができ、その他、カルダノール、カシューナッツシェルリキッド、桐油、及び、ロジン等の乾性油をエラストマーの構成単位として用いることができる。これらのうち、エラストマーの構成単位としては、例えば、アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴムであることがより好ましい。ノボラック型フェノール樹脂をアクリルゴム、及び/又はアクリロニトリルブタジエンゴムによって変性することにより、当該成形材料から成形される成形物に高い耐熱性と、高い靭性とを付与することができる。なお、エラストマー変性ノボラック樹脂における、エラストマーの構成単位の含有量は、5質量%〜40質量%であることが好ましく、10質量%〜30質量%であることがより好ましい。
〔充填材成分〕
充填材成分は、成形材料において骨材として使用し得る原料である。充填材成分には、必須繊維材と、無機フィラーとが含まれる。また、充填材成分には、さらに任意充填材成分が含まれていてもよい。
必須繊維材とは、所定の長さ、例えば、0.3mm以上の長さを有している繊維材である。必須繊維材には、例えば、ガラス繊維、及び炭素繊維等を挙げることができ、コスト及び電気絶縁性の観点から、ガラス繊維を用いることがより好ましい。ガラス繊維は、フェノール樹脂成分と混合するときにおいて、繊維の束を解くことができればよく、チョップドストランドやガラスカットファイバー等であってよい。また、ガラス繊維は、例えば、カップリング剤等によって表面処理されているものであってもよい。以下に、必須繊維材として、ガラス繊維を用いる場合を例示して成形材料について説明するが、成形材料及び成形物中におけるガラス繊維の長さ、無機フィラーとの配合比等は、他の必須繊維材においても援用し得る。
成形材料から成形される成形物中において、ガラス繊維の長さ(繊維長)は、例えば、0.3mm以上、30mm以下であることが好ましく、1mm以上、15mm以下であることがより好ましく、2mm以上、6mm以下であることがさらに好ましい。ガラス繊維の長さが、0.3mm以上であれば、成形物に、高い靭性、特に、高いシャルピー衝撃強さを付与することができる。15mm以下であれば、表面平滑性にも優れる。また、成形物において、ガラス繊維の長さが、6mm以下であれば、さらに表面平滑性に優れ、より微細な成形物も好適に成形することができる。よって、成形物を成形する成形材料においても、その中に含まれているガラス繊維の長さは、0.3mm以上、30mm以下であることが好ましく、1mm以上、15mm以下であることがより好ましく、2mm以上、6mm以下であることがさらに好ましいことは言うまでもない。なお、成形材料には、後述するように、せん断応力により破砕されないようにしてガラス繊維が混合されている。よって、成形材料に含まれているガラス繊維の長さは、成形材料の構成物質として配合される前の状態における長さを維持している。これにより、ガラス繊維の長さが短くなることに起因して、成形物の靭性の低下、成形収縮率の増大、線膨張係数の増大が生じることを防止することができる。
なお、成形材料に用いられるガラス繊維の径は、フェノール樹脂成分に混合することができれば、特に限定されるものではなく、例えば、5μm〜20μm程度の直径の繊維材を用いればよい。
成形材料は、無機フィラーを含んでいる。ここで、無機フィラーには、典型的には、公知のものを挙げることができ、例えば、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレー、シリカ、アルミナ等を挙げることができる。ここで、無機フィラーには、コスト的な観点から、炭酸カルシウム、タルク、及びマイカ等を用いることがより好ましい。なお、これら、無機フィラーは、単独で、又は、2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、充填材成分は、任意充填材成分として、有機フィラー、任意繊維材、及びその他の充填材成分を必要に応じて配合してもよい。より具体的には、成形材料は、充填材成分である無機フィラーの一部を、本発明の効果を損なわない範囲の含有量で、任意充填材成分に置き換えることができる。
有機フィラーとしては、例えば、木粉、ヤシ殻、籾殻、パルプ、ケナフ、綿糸、綿布を挙げることができ、任意繊維材としては、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維、アラミド繊維等を挙げることができる。また、その他の充填材成分として、グラスバブルズ、及びマイクロスフィア等の中空粉体、並びにミルドガラスファイバー、及びロックウール等を配合してもよい。
充填材成分に任意充填材成分が含まれる場合、必須繊維材と、無機フィラー及び任意充填材成分の合計との質量比率は、10/90〜70/30であることが好ましい。必須繊維材と、無機フィラー及び任意充填材成分の合計との質量比率において、10/90よりも、必須繊維材の比率が高ければ、高い靭性を備えた成形物を成形することができる成形材料を得ることができる。また、必須繊維材と、無機フィラー及び任意充填材成分の合計との質量比率において、70/30よりも、必須繊維材の質量比率が小さければ、高い表面平滑性を備えた成形物を成形することができる成形材料を得ることができる。
なお、充填材成分に任意充填材成分を配合する場合、まず、必須繊維材/無機フィラーの質量比率を10/90〜70/30の範囲内で調整し、調整した配合で所定の靱性、及び寸法安定性を得ることができることを確認した後、確認した配合における無機フィラーの一部を任意充填材成分に置き換えるとよい。
<その他の成分>
成形材料は、その他の成分として、硬化助剤、着色剤、離型剤、滑剤、難燃剤、フィラーの表面処理剤等を含んでいてもよい。硬化助剤は、フェノール樹脂成分の硬化助剤であり、例えば、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、及び酸化マグネシウム等を挙げることができる。着色剤には、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、硫酸バリウム、鉄黒、弁柄等の公知の顔料、又は、例えばアニリンブラック、アリザニン等の公知の染料を挙げることができる。離型剤には、例えば、合成ポリエチレンワックス、シリコーンワックス、カルナバワックス、モンタン酸ワックス等の公知の離型剤を挙げることできる。難燃剤には、リン、水酸化アルミニウム等を挙げることができる。滑剤には、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、脂肪酸エステル、及び脂肪酸アマイド等を挙げることができる。また、フィラーの表面処理剤には、カチオニック・アンモニウム塩、及びカップリング剤を挙げることができ、カップリング剤としては、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、ビニル基等の不飽和二重結合を有するカップリング剤を用いることができ、これらの中でも、アミノ基を有するカップリング剤を用いることがより好ましい。
<成形材料の製造方法>
本発明の一実施形態に係る成形材料の製造方法についてより詳細に説明する。
本実施形態に係る成形材料の製造方法は、本発明の一実施形態に係る成形材料の製造方法であって、溶剤を含んでいるフェノール樹脂成分と、充填材成分とを含んでなる組成物を混合する混合工程と、上記混合工程後、上記組成物から上記溶剤を除去する除去工程とを包含している。また、一実施形態において、成形材料の製造方法は、除去工程後、成形材料を粒状にする造粒工程を含んでいてもよい。
なお、本明細書において、組成物とは、成形材料を得るための組成物であり、フェノール樹脂成分、及び充填材成分に溶剤が含まれているもののことを意味する。
混合工程において混合する組成物は、フェノール樹脂成分が溶剤によって希釈されている。フェノール樹脂を溶解することができる溶剤としては、水、アルコール類、及びケトン類等を挙げることができ、乾燥により好適に除去することができるという観点から、アルコール類を用いることがより好ましく、これらアルコール類のうち、メタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコール等を用いることがより好ましい。また、ケトン類では、例えば、アセトン、及びメチルエチルケトン等を用いることがより好ましい。なお、フェノール樹脂成分を溶解する溶剤は、フェノール樹脂を合成するときにおいてフェノール樹脂成分に含まれてもよく、その他、フェノール樹脂成分の粘度を調整するために、フェノール樹脂に後から配合されていてもよい。
〔混合工程〕
混合工程では、溶剤を含んでいるフェノール樹脂成分を、フィラーと混合する。これにより、フェノール樹脂成分と、フィラーとをなじませ、かつ、繊維材の束を解く。一実施形態に係る成形材料は、例えば、ガラス繊維の長さを、所定の長さ、例えば、0.3mm以上に維持することが重要である。このため、混合工程では、ガラス繊維が破砕され、その繊維長が短くならないように、過度なせん断応力を加えないようにして組成物を混合する。よって、混合工程では、公知の混合装置を用いることができるが、組成物を挟み込むようにして高いせん断応力を加えるような、例えば、2軸ロール型の混合装置ではなく、1軸型の回転翼式の撹拌装置を用いることがより好ましい。なお、組成物を混合するときにおいて、せん断応力を加えることにより生じる摩擦熱を低減することができるという観点からも、1軸型の回転翼式の撹拌装置を用いること好ましい。このような、1軸型の回転翼式の撹拌装置としては、例えば、ヘンシェルミキサ、及び、ケンミックスミキサ等を挙げることができる。なお、混合装置における混合のための条件は、装置のスケール、及び、組成物の混合効率を考慮して適宜設計すればよい。
〔除去工程〕
除去工程では、組成物に含まれている溶剤を除去することで成形材料を得る。
除去工程では、フェノール樹脂成分を過度に加熱しないようにして溶剤を除去することが好ましい。このため、例えば、組成物に含まれている溶剤が、フェノール樹脂成分の硬化が進む温度、つまり、フェノール樹脂成分が重合することで粘度が増大し始める温度よりも低い沸点を有していれば、例えば、熱風乾燥機等により組成物から溶剤を除去すればよい。また、組成物に含まれている溶剤の沸点が、フェノール樹脂成分の硬化が進む温度よりも高ければ、組成物を減圧環境下に置くことにより溶剤を除去してもよい。このように、フェノール樹脂成分の硬化が進む温度よりも低い温度において溶剤を除去することにより、フェノール樹脂成分の分子量を所望の分子量としたままで溶剤を除去できる。
なお、組成物は、溶剤を除去した状態で、成形材料として金型に充填して成形物を成形することができる。よって、除去工程において、組成物から溶剤を除去することにより得られた成形材料も、本発明の範疇である。
〔造粒工程〕
造粒工程では、フェノール樹脂成分の融点以上の温度であり、硬化が進まない温度以下の温度に成形材料を加熱しながら撹拌する。これにより、フェノール樹脂成分を融解し、当該フェノール樹脂成分によって、充填材成分を結着させて、粒状に造粒する。なお、造粒工程においても、ガラス繊維を破砕しないように、1軸型の回転翼式の撹拌装置を用いて成形材料を撹拌するとよい。
<別の実施形態に係る成形材料の製造方法>
本発明に係る成形材料の製造方法は、上記の実施形態に限定されない。例えば、別の実施形態に係る成形材料の製造方法では、混合工程において、溶剤を含んでいないフェノール樹脂成分を、充填材成分と混合する。ここで、上記フェノール樹脂成分と、上記充填材成分とを、上記回転翼を回転させて加熱しながら攪拌することで上記成形材料を得る。つまり、本実施形態の混合工程では、加熱することによりフェノール樹脂成分を融解させ、過度なせん断応力を加えないようにしてフィラーとなじませ、ガラス繊維の束を解く。よって、混合工程において、ガラス繊維が破砕されることを防止しつつ、当該ガラス繊維をフェノール樹脂成分と混合することができる。なお、本実施形態においては、フェノール樹脂成分を融解させることができる温度であり、かつ当該フェノール樹脂成分の硬化が進む温度よりも低い温度で加熱しながら、混合工程を行なうとよい。
<成形物の製造方法>
本発明の成形物の製造方法は、本発明の一実施形態に係る製造方法は、一実施形態に係る製造方法により製造された成形材料を用いて成形物を製造する。
成形工程では、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、及び押出成形等の公知の方法によって成形物を成形すればよいが、成形材料に対してせん断応力が加わらないような方法によって成形物を成形することが好ましい。このため、圧縮成形によって成形することがより好ましく、これにより、成形材料を金型に充填するときにおいて、ガラス繊維が破砕されることを防止しつつ、成形物を成形することができる。このため、成形材料により成形物の靭性が、ガラス繊維が破砕されることにより低下することを防止することができる。
<成形物>
一実施形態に係る成形物は、一実施形態に係る成形材料の製造方法よって製造された成形材料により成形される。このため、ガラス繊維の長さが、所定の長さ、例えば、0.3mm以上に維持されている。よって、製造工程においてガラス繊維が破砕されることにより、成形物の靭性が低下することが防止されている。
一実施形態に係る成形物は、レゾール型フェノール樹脂と、ノボラック型フェノール樹脂とからなるフェノール樹脂成分と、必須繊維材及び無機フィラーを含む充填材成分を含んでなる成形材料から形成されており、レゾール型フェノール樹脂、及び上記ノボラック型フェノール樹脂のうちの少なくとも一部が、エラストマー変性されており、フェノール樹脂成分が、40質量%以下であり、上記充填材成分の含有量が、60質量%以上であり、ガラス繊維の長さは、0.3mm以上である。これにより、本実施形態に係る成形物は、高いシャルピー衝撃強さを備えており、3.00×10−5/℃以下という低い線膨張係数と、0.3%以下という低い成形収縮率とを備えている。つまり、高い靭性と、寸法安定性とを兼ね備えている。
また、一実施形態に係る成形物は、ノボラック型フェノール樹脂がエラストマー変性されており、レゾール型フェノール樹脂と、エラストマー変性されているノボラック型フェノール樹脂との質量比率が、80/20〜50/50である。これにより、本実施形態に係る成形物は、160℃以上という高いガラス転移温度(Tg)を備えている。つまり、高い熱安定性を備えている。
また、一実施形態に係る成形物は、充填材成分における必須繊維材と、無機フィラーと任意充填材成分の合計との質量比率は、10/90よりも、必須繊維材が多い。これにより、本実施形態に係る成形物は、シャルピー衝撃強さがさらに高められた靭性を備えている。
また、一実施形態に係る成形物は、フェノール樹脂成分の含有量が、20質量%以上であり、充填材成分の含有量が、80質量%以下であり、充填材成分におけるガラス繊維と無機フィラーとの質量比率は、70/30よりも、ガラス繊維が少なく、ガラス繊維の長さは、15mm以下である。これにより、本実施形態に係る成形物は、金型から離型したときにおける成形物の表面の平滑性に優れている。
各実施形態に係る成形物は、高い寸法安定性、高い耐熱性、高い靭性を備え、表面平滑性に優れている。よって、コンミテータ、インシュレータ、コイルボビン、ブレーカー、マイクロスイッチ、マグネットスイッチ等の電装部品、電気部品、自動車部品の成形物として好適に利用することができ、特に大型のコンミテータに好適に利用することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例1〜14、比較例1〜3の成形材料を作製し、次いで、各成形材料から成形した成形物の靭性、及び寸法安定性等の評価を行なった。
〔成形材料の作製〕
実施例1〜14、及び比較例1〜3に用いた各材料の詳細は、以下に示す通りである。
≪フェノール樹脂≫
・レゾール樹脂PL−2211(メチロール型レゾール樹脂、不揮発分NV=58質量%のメタノール溶液、群栄化学工業社製)
・ノボラック樹脂PL−7228(アクリルゴム変性ノボラック樹脂(ノボラック樹脂中のアクリルゴム変性量:10質量%)、不揮発分NV=70%のメタノール溶液、群栄化学工業社製)
≪硬化助剤≫
・水酸化カルシウム(有恒鉱業社製)
≪フィラー≫
・ガラス繊維(カット長0.3mm、フィラメント径10μm:ガラスカットファイバーSS10C−404S、日東紡社製)
・ガラス繊維(カット長3mm、フィラメント径10μm:チョップドストランドCS3J391S、日東紡社製)
・ガラス繊維(カット長13mm、フィラメント径10μm:チョップドストランドCS13J917S、日東紡社製)
・ガラス繊維(カット長25mm、フィラメント径10μm:チョップドストランドCS25K871、日東紡社製)
・炭酸カルシウム(平均粒子径22μm:ホワイトンH、東洋ファインケミカル社製)
≪その他の原料≫
・滑材(ステアリン酸亜鉛:AFCOCHEM CS−S、アデカ社製)
・着色剤(カーボンブラック♯30、三菱化学社製)
・カップリング剤(3−アミノプロピルトリメトキシシラン:KBE−903、信越化学工業社製)。
(実施例1)
まず、実施例1の成形材料として、以下に表1に示す組成に基づき、フェノール樹脂成分として、PL−2211、PL−7228、水酸化カルシウム、フィラーとして、ガラス繊維、炭酸カルシウム、並びに、その他の原料として、ステアリン酸亜鉛、カーボンブラック、及びアミノシランを、容器温度を25℃に調整したヘンシェルミキサFM 10/L(三井三池製作所製)に投入し、60秒間、攪拌して均一に混合して成形材料を得るための組成物を得た。続いて、当該組成物を、70℃にて10分間の条件で乾燥させることにより、当該原料混合物中のメタノールを除去し、成形材料を得た。
続いて、得られた成形材料を、容器温度を90℃に調整したヘンシェルミキサFM 10/Lに投入して、加熱条件下においてフェノール樹脂成分を融解させ、攪拌することで粒状に成形し、ヘンシェルミキサの容器温度を20℃まで低下させた。これにより、粒状である、実施例1の成形材料を作製した。ついで、以下に表1に示す組成に基づき、実施例1の成形材料を作製した手順に準じて、実施例2〜14の成形材料を作製した。
(実施例2)
実施例1の成形材料から、レゾール樹脂、エラストマー変性ノボラック樹脂の配合比率を変えて、実施例2の成形材料を作製した。
(実施例3)
実施例1の成形材料から、レゾール樹脂、エラストマー変性ノボラック樹脂の配合比率を変えて、実施例3の成形材料を作製した。
(実施例4)
実施例1の成形材料から、レゾール樹脂、エラストマー変性ノボラック樹脂の含有量及び配合比率、ガラス繊維及び炭酸カルシウムの含有量及び配合比率を変えて、実施例4の成形材料を作製した。
(実施例5)
実施例4の成形材料から、ガラス繊維と炭酸カルシウムとの配合比率を変えて、実施例5の成形材料を作製した。
(実施例6)
実施例5の成形材料から、ガラス繊維及び炭酸カルシウムの含有量及び配合比率を変えて、実施例6の成形材料を作製した。
(実施例7)
実施例6の成形材料から、ガラス繊維及び炭酸カルシウムの含有量及び配合比率を変えて、実施例7の成形材料を作製した。
(実施例8)
実施例1の成形材料から、ガラス繊維の長さを13mmに変えて、実施例8の成形材料を作製した。
(実施例9)
実施例1の成形材料から、レゾール樹脂、エラストマー変性ノボラック樹脂の含有量及び配合比率を変えて、実施例9の成形材料を作製した。実施例1の成形材料よりも、PL−7228に対するPL−2211の配合比率を多くしたものである。
(実施例10)
実施例1の成形材料から、レゾール樹脂、エラストマー変性ノボラック樹脂の含有量、ガラス繊維及び炭酸カルシウムの含有量を変えて、実施例10の成形材料を作製した。実施例1の成形材料よりも、無機フィラーの含有量を多くしたものである。
(実施例11)
実施例1の成形材料におけるガラス繊維の長さを0.3mmに変更して、実施例11の成形材料を作製した。
(実施例12)
実施例1の成形材料におけるガラス繊維の長さを25mmに変更して、実施例12の成材料を作製した。
(実施例13)
実施例1の成形材料から、ガラス繊維及び炭酸カルシウムの配合比率を変えて、実施例13の成形材料を作製した。実施例1の成形材料よりも、無機フィラーにおける炭酸カルシウムの配合比率を多くしたものである。
(実施例14)
実施例1の成形材料から、ガラス繊維及び炭酸カルシウムの配合比率を変えて、実施例14の成形材料を作製した。実施例1の成形材料よりも、無機フィラーにおけるガラス繊維の配合比率を多くしたものである。
(比較例1)
PL−7228を含んでいない組成にて、比較例1の成形材料を作製した。
(比較例2)
実施例1の成形材料から、レゾール樹脂と、エラストマー変性ノボラック樹脂とにおけるレゾール樹脂の配合比率を多くし、実施例1の成形材料よりも、ガラス繊維及び炭酸カルシウムの含有量を少なくして、比較例2の成形材料を作製した。
(比較例3)
実施例1と同じ組成において、混合方法をヘンシェルミキサによる混合から、二軸ロールによる混合に変更して、比較例3の成形材料を作製した。
Figure 0006718756
次いで、上記表1に示された実施例1〜14、及び比較例1〜3の成形材料及び成形物に含まれているガラス繊維の長さを評価した。併せて、各実施例及び各比較例の成形物について、表面の平滑性、曲げ強度、シャルピー衝撃強さ、成形時の成形収縮率、線膨張係数、ガラス転移温度(Tg)の評価を行なった。各評価は、以下に示す条件にて行なった。
〔成形材料に含まれているガラス繊維の長さの測定〕
各実施例及び各比較例の成形材料について、550℃の雰囲気下、5時間の条件にて、有機物を燃焼することで除去し、成形材料に含まれているガラス繊維を採取した。採取したガラス繊維を、光学顕微鏡を用いて、45倍率の条件で観察し、ガラス繊維の長さを測定した。
〔成形物に含まれているガラス繊維の長さの測定〕
JIS(日本工業規格) K 6911(1995年版)に準じ、各実施例及び各比較例の成形材料の夫々を170℃、3分間の条件にて圧縮成形することで、長さ100mm、幅10mm、厚さ4mmの曲げ強度測定用成形物(試験片)を、複数個成形した。その後、得られた強度測定用成形物のうちの1つを、550℃の雰囲気下、5時間の条件にて、燃焼することで有機物を除去し、成形物に含まれているガラス繊維を採取した。採取したガラス繊維を、光学顕微鏡を用いて、45倍率の条件にて観察し、ガラス繊維の長さを測定した。
〔成形物の表面平滑性〕
各実施例及び各比較例の成形材料について、上記長さ100mm、幅10mm、厚さ4mmの曲げ強度測定用成形物について、当該成形物における表面の平滑性を評価した。平滑性の評価は、目視にて行ない、○:凹凸がなく平滑であるもの、△:わずかに凹凸が認められるもの、×:目視にて大きな凹凸あるものとして評価した。なお、成形物の表面の平滑性が高い程、成形物として所望の機能を得るのに優れる。
〔曲げ強度の測定〕
各実施例及び各比較例の曲げ強度測定用成形物について、JIS K 6911(1995年版)に準じ、ストログラフV10−C(東洋精機製)を使用して曲げ強度を測定した。曲げ強度測定時のクロスヘッドスピードは、2mm/分とした。
〔シャルピー衝撃強さの測定〕
JIS K 6911(1995年版)に準じ、各実施例及び各比較例の成形材料を170℃、5分間の条件にて圧縮成形することで長さ90mm、幅15mm、厚さ15mm、長さ方向中心部の垂直方向に深さ2mm、R1mmのノッチを有するシャルピー衝撃強さ測定用の成形物(試験片)を成形した。各成形物について、衝撃試験機Impact Tester IT(東洋精機製)を使用してシャルピー衝撃強さを測定した。
〔成形収縮率の測定〕
JIS K 6911(1995年版)に準じ、各実施例及び各比較例の成形材料を170℃、5分間の条件にて圧縮成形することで成形収縮率測定用の成形物を成形し、成形収縮率を測定した。
〔線膨張係数及びTgの測定〕
各実施例及び各比較例について、上述の曲げ強度測定用の成形物から、4mm×4mm×4mmの立方体状の成形物を切り出し、日立ハイテクノロジー製TMA7100にて昇温速度2℃/分、圧縮モード、荷重19.6kNにて30〜350℃の温度における成形時圧縮方向に対するTMA測定を行った。この測定結果より、80〜100℃の温度範囲における線膨張係数、及びTgを求めた。
以下の表2及び表3に実施例1〜14、及び比較例1〜3の成形材料及び成形物における溶剤を除去した不揮発分の質量に基づく組成(理論値)、及び、各評価結果を示す。なお、各成形材料における不揮発分の質量に基づく組成(理論値)は、以下の式に基づき、計算した。
成形材料に対する原料組成百分率(%)
={(各成分の配合量)/(全配合量)}×100
つまり、PL−7228は配合量のうち、その70質量%を不揮発分として、PL−2211は配合量のうち、その58質量%が不揮発分であるものとして、上記表1の組成比から、成形材料の製造過程において溶剤が全て除去されたものとして、不揮発分の質量に基づく組成比を算出した。
Figure 0006718756
Figure 0006718756
表2及び表3に示す評価結果から、以下のことが確認できる。
実施例1〜3の成形物は、アクリルゴム変性ノボラック樹脂であるPL−7228と、PL−2211とを70/30〜50/50の比率で配合し、ガラス繊維/炭酸カルシウムの質量比率を10/90以上とすることにより、シャルピー衝撃強さが20kJ/m以上、曲げ強度が100MPa以上という高い値を示し、成形収縮率が0.3%以下という低い値を示し、線膨張係数も、3.0×10−5/℃以下という低い値を示している。
これに対して、比較例1の成形物は、PL−7228を含んでおらず、成形収縮率が0.3%以上という高い値を示している。また、比較例2の成形物は、ガラス繊維及び炭酸カルシウムの量が32質量%と低く、成形収縮率、及び線膨張係数が高い値を示しており、シャルピー衝撃強さが4.7kJ/mと低く、曲げ強度が75MPaと低い値を示している。一方、実施例4〜6の成形物は、いずれもPL−7228を含み、充填材成分の含有量が60質量%以上であり、成形収縮率、及び線膨張係数が低い値を示しており、シャルピー衝撃強さが10kJ/m以上と高く、曲げ強度が95MPa以上と高い値を示している。よって、これらのことから、アクリルゴム変性ノボラック樹脂であるPL−7228をフェノール樹脂成分に配合し、充填材成分の含有量を60質量%以上にすることにより、成形物の寸法安定性を高めることができ、シャルピー衝撃強さが高く、曲げ強度が高い成形物を得ることができることを確認できた。
また、実施例9の成形物は、PL−7228/PL−2211の質量比率が、30/70であり、Tgが160℃以下であるが、実施例1〜3の成形物のように、PL−7228/PL−2211の比率を70/30〜50/50にすることにより、成形物のTgを160℃以上に高めることができることを確認できた。
また、実施例1、8、11、及び12を比較すると、ガラス繊維の長さは、0.3mm以上になると、シャルピー衝撃強さの値が大きくなること、及び、ガラス繊維の長さが25mmの条件においてもシャルピー衝撃強さが10kJ/m以上という飛躍的に高められた値を示すことを確認することができた。また、ガラス繊維/炭酸カルシウムの質量比率を10/90以上としている、実施例1〜10、12、14では、いずれも、高い10kJ/m以上という、ガラス繊維の長さが短い実施例11の成形物、及び充填材成分におけるガラス繊維の比率が低い実施例13の成形物よりも高いシャルピー衝撃強さを備えている。これらの結果から、ガラス繊維の長さは、0.3mmよりもより長い方が、成形物に高い靱性を付与しやすいこと、及び、ガラス繊維/炭酸カルシウムの質量比率を、10/90以上にすることにより、さらに高いシャルピー衝撃強さを得ることができることを確認することができた。なお、実施例1、8、11、12の成形物を比較すると、ガラス繊維の長さが短い方が、表面平滑性に優れた成形物を得ることができることも確認することができた。
また、実施例1、6、10の成形物の比較により、充填材成分の含有量が、80質量%以下である、実施例1、及び6の成形物の方が表面平滑性に優れていることを確認することができ、実施例1、4、7、14の成形物の比較により、ガラス繊維/無機フィラーの質量比率は、90/10よりも、ガラス繊維が少ない方が、成形物の表面平滑性に優れることを確認することができた。
なお、比較例3の成形物においては、二軸ロール型混合装置を用いており、成形材料を配合する前において、長さ3mmのガラス繊維が、0.2mm程度まで破砕されている。このため、成形材料の製造において、ガラス繊維が破砕されると、成形物におけるシャルピー衝撃強さが低下することを確認することができた。
これら、実施例1〜14、及び比較例1〜3の評価結果から、ガラス繊維の長さを0.3mm以上に維持し、充填材成分におけるガラス繊維/炭酸カルシウムの比率を10/90〜70/30に調整し、充填材成分の配合量を80質量%以下にすることで、高いシャルピー衝撃強さと高い表面平滑性の両方を備えた成形物を得ることができることを確認できた。これら実施例1〜14の成形物の中でも、特に、実施例1〜8の成形物は、高いシャルピー衝撃強さを備えつつ、高い表面平滑性をも備えている。
本発明は、民生部品、電気電子部品、自動車部品等に用いられる成形材料、及び成形物として利用することができる。

Claims (5)

  1. レゾール型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂とからなるフェノール樹脂成分と、必須繊維材及び無機フィラーを含む充填材成分とを含んでなる成形材料を成形してなるコンミテータであって
    記ノボラック型フェノール樹脂のうちの少なくとも一部が、エラストマー変性されており、
    上記フェノール樹脂成分の含有量が、40質量%以下であり、
    上記充填材成分の含有量が、60質量%以上であり、
    上記必須繊維材の長さは、0.3mm以上であり、
    上記充填材成分における上記必須繊維材と上記無機フィラーとの質量比率は、10/90であるか、10/90よりも上記必須繊維材が多く、
    上記レゾール型フェノール樹脂と、上記ノボラック型フェノール樹脂との質量比率が、80/20〜50/50である成形材料を成形してなることを特徴とするコンミテータ
  2. 上記フェノール樹脂成分の含有量が、20質量%以上であり、
    上記充填材成分の含有量が、80質量%以下であり、
    上記充填材成分における上記必須繊維材と上記無機フィラーとの質量比率は、70/30であるか、70/30よりも、上記必須繊維材が少なく、
    上記必須繊維材の長さは、30mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のコンミテータ
  3. 請求項1又は2に記載のコンミテータの製造方法であって、
    溶剤を含んでなる上記フェノール樹脂成分と、上記充填材成分とを含んでなる組成物を混合する混合工程と、
    上記混合工程後、上記組成物から上記溶剤を除去することで上記成形材料を得る除去工程と、
    上記成形材料を成形して成形物を得る工程と、を包含し、
    上記混合工程では、上記組成物を、回転翼を回転させて攪拌することで混合し、
    上記成形物はコンミテータであることを特徴とするコンミテータの製造方法。
  4. 請求項に記載のコンミテータの製造方法であって、
    上記フェノール樹脂成分と、上記充填材成分とを混合する混合工程を包含しており、
    上記混合工程では、上記フェノール樹脂成分と、上記充填材成分とを、回転翼を回転させて加熱しながら攪拌することで上記成形材料を得ることを特徴とするコンミテータの製造方法。
  5. 上記成形材料を圧縮成形することで上記成形物を得ることを特徴とする請求項又はに記載のコンミテータの製造方法。
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