JP6718756B2 - コンミテータ、およびコンミテータの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の一実施形態に係る成形材料は、レゾール型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂とからなるフェノール樹脂成分と、必須繊維材及び無機フィラーを含む充填材成分とを含んでなる成形材料であって、レゾール型フェノール樹脂、及びノボラック型フェノール樹脂のうちの少なくとも一部が、エラストマー変性されている。
フェノール樹脂は、成形材料における充填材成分のバインダーとして機能する。成形材料に含まれるフェノール樹脂の一部をエラストマー変性することにより、成形材料により成形された成形物に高い靭性を付与し、高い熱安定性を付与する。なお、本明細書では、エラストマー変性されているか否かによらず、成形材料中に含まれるフェノール樹脂の合計を「フェノール樹脂成分」と称する。
充填材成分は、成形材料において骨材として使用し得る原料である。充填材成分には、必須繊維材と、無機フィラーとが含まれる。また、充填材成分には、さらに任意充填材成分が含まれていてもよい。
成形材料は、その他の成分として、硬化助剤、着色剤、離型剤、滑剤、難燃剤、フィラーの表面処理剤等を含んでいてもよい。硬化助剤は、フェノール樹脂成分の硬化助剤であり、例えば、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、及び酸化マグネシウム等を挙げることができる。着色剤には、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、硫酸バリウム、鉄黒、弁柄等の公知の顔料、又は、例えばアニリンブラック、アリザニン等の公知の染料を挙げることができる。離型剤には、例えば、合成ポリエチレンワックス、シリコーンワックス、カルナバワックス、モンタン酸ワックス等の公知の離型剤を挙げることできる。難燃剤には、リン、水酸化アルミニウム等を挙げることができる。滑剤には、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、脂肪酸エステル、及び脂肪酸アマイド等を挙げることができる。また、フィラーの表面処理剤には、カチオニック・アンモニウム塩、及びカップリング剤を挙げることができ、カップリング剤としては、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基、ビニル基等の不飽和二重結合を有するカップリング剤を用いることができ、これらの中でも、アミノ基を有するカップリング剤を用いることがより好ましい。
本発明の一実施形態に係る成形材料の製造方法についてより詳細に説明する。
混合工程では、溶剤を含んでいるフェノール樹脂成分を、フィラーと混合する。これにより、フェノール樹脂成分と、フィラーとをなじませ、かつ、繊維材の束を解く。一実施形態に係る成形材料は、例えば、ガラス繊維の長さを、所定の長さ、例えば、0.3mm以上に維持することが重要である。このため、混合工程では、ガラス繊維が破砕され、その繊維長が短くならないように、過度なせん断応力を加えないようにして組成物を混合する。よって、混合工程では、公知の混合装置を用いることができるが、組成物を挟み込むようにして高いせん断応力を加えるような、例えば、2軸ロール型の混合装置ではなく、1軸型の回転翼式の撹拌装置を用いることがより好ましい。なお、組成物を混合するときにおいて、せん断応力を加えることにより生じる摩擦熱を低減することができるという観点からも、1軸型の回転翼式の撹拌装置を用いること好ましい。このような、1軸型の回転翼式の撹拌装置としては、例えば、ヘンシェルミキサ、及び、ケンミックスミキサ等を挙げることができる。なお、混合装置における混合のための条件は、装置のスケール、及び、組成物の混合効率を考慮して適宜設計すればよい。
除去工程では、組成物に含まれている溶剤を除去することで成形材料を得る。
造粒工程では、フェノール樹脂成分の融点以上の温度であり、硬化が進まない温度以下の温度に成形材料を加熱しながら撹拌する。これにより、フェノール樹脂成分を融解し、当該フェノール樹脂成分によって、充填材成分を結着させて、粒状に造粒する。なお、造粒工程においても、ガラス繊維を破砕しないように、1軸型の回転翼式の撹拌装置を用いて成形材料を撹拌するとよい。
本発明に係る成形材料の製造方法は、上記の実施形態に限定されない。例えば、別の実施形態に係る成形材料の製造方法では、混合工程において、溶剤を含んでいないフェノール樹脂成分を、充填材成分と混合する。ここで、上記フェノール樹脂成分と、上記充填材成分とを、上記回転翼を回転させて加熱しながら攪拌することで上記成形材料を得る。つまり、本実施形態の混合工程では、加熱することによりフェノール樹脂成分を融解させ、過度なせん断応力を加えないようにしてフィラーとなじませ、ガラス繊維の束を解く。よって、混合工程において、ガラス繊維が破砕されることを防止しつつ、当該ガラス繊維をフェノール樹脂成分と混合することができる。なお、本実施形態においては、フェノール樹脂成分を融解させることができる温度であり、かつ当該フェノール樹脂成分の硬化が進む温度よりも低い温度で加熱しながら、混合工程を行なうとよい。
本発明の成形物の製造方法は、本発明の一実施形態に係る製造方法は、一実施形態に係る製造方法により製造された成形材料を用いて成形物を製造する。
一実施形態に係る成形物は、一実施形態に係る成形材料の製造方法よって製造された成形材料により成形される。このため、ガラス繊維の長さが、所定の長さ、例えば、0.3mm以上に維持されている。よって、製造工程においてガラス繊維が破砕されることにより、成形物の靭性が低下することが防止されている。
実施例1〜14、及び比較例1〜3に用いた各材料の詳細は、以下に示す通りである。
≪フェノール樹脂≫
・レゾール樹脂PL−2211(メチロール型レゾール樹脂、不揮発分NV=58質量%のメタノール溶液、群栄化学工業社製)
・ノボラック樹脂PL−7228(アクリルゴム変性ノボラック樹脂(ノボラック樹脂中のアクリルゴム変性量:10質量%)、不揮発分NV=70%のメタノール溶液、群栄化学工業社製)
≪硬化助剤≫
・水酸化カルシウム(有恒鉱業社製)
≪フィラー≫
・ガラス繊維(カット長0.3mm、フィラメント径10μm:ガラスカットファイバーSS10C−404S、日東紡社製)
・ガラス繊維(カット長3mm、フィラメント径10μm:チョップドストランドCS3J391S、日東紡社製)
・ガラス繊維(カット長13mm、フィラメント径10μm:チョップドストランドCS13J917S、日東紡社製)
・ガラス繊維(カット長25mm、フィラメント径10μm:チョップドストランドCS25K871、日東紡社製)
・炭酸カルシウム(平均粒子径22μm:ホワイトンH、東洋ファインケミカル社製)
≪その他の原料≫
・滑材(ステアリン酸亜鉛:AFCOCHEM CS−S、アデカ社製)
・着色剤(カーボンブラック♯30、三菱化学社製)
・カップリング剤(3−アミノプロピルトリメトキシシラン:KBE−903、信越化学工業社製)。
まず、実施例1の成形材料として、以下に表1に示す組成に基づき、フェノール樹脂成分として、PL−2211、PL−7228、水酸化カルシウム、フィラーとして、ガラス繊維、炭酸カルシウム、並びに、その他の原料として、ステアリン酸亜鉛、カーボンブラック、及びアミノシランを、容器温度を25℃に調整したヘンシェルミキサFM 10/L(三井三池製作所製)に投入し、60秒間、攪拌して均一に混合して成形材料を得るための組成物を得た。続いて、当該組成物を、70℃にて10分間の条件で乾燥させることにより、当該原料混合物中のメタノールを除去し、成形材料を得た。
実施例1の成形材料から、レゾール樹脂、エラストマー変性ノボラック樹脂の配合比率を変えて、実施例2の成形材料を作製した。
実施例1の成形材料から、レゾール樹脂、エラストマー変性ノボラック樹脂の配合比率を変えて、実施例3の成形材料を作製した。
実施例1の成形材料から、レゾール樹脂、エラストマー変性ノボラック樹脂の含有量及び配合比率、ガラス繊維及び炭酸カルシウムの含有量及び配合比率を変えて、実施例4の成形材料を作製した。
実施例4の成形材料から、ガラス繊維と炭酸カルシウムとの配合比率を変えて、実施例5の成形材料を作製した。
実施例5の成形材料から、ガラス繊維及び炭酸カルシウムの含有量及び配合比率を変えて、実施例6の成形材料を作製した。
実施例6の成形材料から、ガラス繊維及び炭酸カルシウムの含有量及び配合比率を変えて、実施例7の成形材料を作製した。
実施例1の成形材料から、ガラス繊維の長さを13mmに変えて、実施例8の成形材料を作製した。
実施例1の成形材料から、レゾール樹脂、エラストマー変性ノボラック樹脂の含有量及び配合比率を変えて、実施例9の成形材料を作製した。実施例1の成形材料よりも、PL−7228に対するPL−2211の配合比率を多くしたものである。
実施例1の成形材料から、レゾール樹脂、エラストマー変性ノボラック樹脂の含有量、ガラス繊維及び炭酸カルシウムの含有量を変えて、実施例10の成形材料を作製した。実施例1の成形材料よりも、無機フィラーの含有量を多くしたものである。
実施例1の成形材料におけるガラス繊維の長さを0.3mmに変更して、実施例11の成形材料を作製した。
実施例1の成形材料におけるガラス繊維の長さを25mmに変更して、実施例12の成材料を作製した。
実施例1の成形材料から、ガラス繊維及び炭酸カルシウムの配合比率を変えて、実施例13の成形材料を作製した。実施例1の成形材料よりも、無機フィラーにおける炭酸カルシウムの配合比率を多くしたものである。
実施例1の成形材料から、ガラス繊維及び炭酸カルシウムの配合比率を変えて、実施例14の成形材料を作製した。実施例1の成形材料よりも、無機フィラーにおけるガラス繊維の配合比率を多くしたものである。
PL−7228を含んでいない組成にて、比較例1の成形材料を作製した。
実施例1の成形材料から、レゾール樹脂と、エラストマー変性ノボラック樹脂とにおけるレゾール樹脂の配合比率を多くし、実施例1の成形材料よりも、ガラス繊維及び炭酸カルシウムの含有量を少なくして、比較例2の成形材料を作製した。
実施例1と同じ組成において、混合方法をヘンシェルミキサによる混合から、二軸ロールによる混合に変更して、比較例3の成形材料を作製した。
各実施例及び各比較例の成形材料について、550℃の雰囲気下、5時間の条件にて、有機物を燃焼することで除去し、成形材料に含まれているガラス繊維を採取した。採取したガラス繊維を、光学顕微鏡を用いて、45倍率の条件で観察し、ガラス繊維の長さを測定した。
JIS(日本工業規格) K 6911(1995年版)に準じ、各実施例及び各比較例の成形材料の夫々を170℃、3分間の条件にて圧縮成形することで、長さ100mm、幅10mm、厚さ4mmの曲げ強度測定用成形物(試験片)を、複数個成形した。その後、得られた強度測定用成形物のうちの1つを、550℃の雰囲気下、5時間の条件にて、燃焼することで有機物を除去し、成形物に含まれているガラス繊維を採取した。採取したガラス繊維を、光学顕微鏡を用いて、45倍率の条件にて観察し、ガラス繊維の長さを測定した。
各実施例及び各比較例の成形材料について、上記長さ100mm、幅10mm、厚さ4mmの曲げ強度測定用成形物について、当該成形物における表面の平滑性を評価した。平滑性の評価は、目視にて行ない、○:凹凸がなく平滑であるもの、△:わずかに凹凸が認められるもの、×:目視にて大きな凹凸あるものとして評価した。なお、成形物の表面の平滑性が高い程、成形物として所望の機能を得るのに優れる。
各実施例及び各比較例の曲げ強度測定用成形物について、JIS K 6911(1995年版)に準じ、ストログラフV10−C(東洋精機製)を使用して曲げ強度を測定した。曲げ強度測定時のクロスヘッドスピードは、2mm/分とした。
JIS K 6911(1995年版)に準じ、各実施例及び各比較例の成形材料を170℃、5分間の条件にて圧縮成形することで長さ90mm、幅15mm、厚さ15mm、長さ方向中心部の垂直方向に深さ2mm、R1mmのノッチを有するシャルピー衝撃強さ測定用の成形物(試験片)を成形した。各成形物について、衝撃試験機Impact Tester IT(東洋精機製)を使用してシャルピー衝撃強さを測定した。
JIS K 6911(1995年版)に準じ、各実施例及び各比較例の成形材料を170℃、5分間の条件にて圧縮成形することで成形収縮率測定用の成形物を成形し、成形収縮率を測定した。
各実施例及び各比較例について、上述の曲げ強度測定用の成形物から、4mm×4mm×4mmの立方体状の成形物を切り出し、日立ハイテクノロジー製TMA7100にて昇温速度2℃/分、圧縮モード、荷重19.6kNにて30〜350℃の温度における成形時圧縮方向に対するTMA測定を行った。この測定結果より、80〜100℃の温度範囲における線膨張係数、及びTgを求めた。
成形材料に対する原料組成百分率(%)
={(各成分の配合量)/(全配合量)}×100
つまり、PL−7228は配合量のうち、その70質量%を不揮発分として、PL−2211は配合量のうち、その58質量%が不揮発分であるものとして、上記表1の組成比から、成形材料の製造過程において溶剤が全て除去されたものとして、不揮発分の質量に基づく組成比を算出した。
Claims (5)
- レゾール型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂とからなるフェノール樹脂成分と、必須繊維材及び無機フィラーを含む充填材成分とを含んでなる成形材料を成形してなるコンミテータであって、
上記ノボラック型フェノール樹脂のうちの少なくとも一部が、エラストマー変性されており、
上記フェノール樹脂成分の含有量が、40質量%以下であり、
上記充填材成分の含有量が、60質量%以上であり、
上記必須繊維材の長さは、0.3mm以上であり、
上記充填材成分における上記必須繊維材と上記無機フィラーとの質量比率は、10/90であるか、10/90よりも上記必須繊維材が多く、
上記レゾール型フェノール樹脂と、上記ノボラック型フェノール樹脂との質量比率が、80/20〜50/50である成形材料を成形してなることを特徴とするコンミテータ。 - 上記フェノール樹脂成分の含有量が、20質量%以上であり、
上記充填材成分の含有量が、80質量%以下であり、
上記充填材成分における上記必須繊維材と上記無機フィラーとの質量比率は、70/30であるか、70/30よりも、上記必須繊維材が少なく、
上記必須繊維材の長さは、30mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のコンミテータ。 - 請求項1又は2に記載のコンミテータの製造方法であって、
溶剤を含んでなる上記フェノール樹脂成分と、上記充填材成分とを含んでなる組成物を混合する混合工程と、
上記混合工程後、上記組成物から上記溶剤を除去することで上記成形材料を得る除去工程と、
上記成形材料を成形して成形物を得る工程と、を包含し、
上記混合工程では、上記組成物を、回転翼を回転させて攪拌することで混合し、
上記成形物はコンミテータであることを特徴とするコンミテータの製造方法。 - 請求項3に記載のコンミテータの製造方法であって、
上記フェノール樹脂成分と、上記充填材成分とを混合する混合工程を包含しており、
上記混合工程では、上記フェノール樹脂成分と、上記充填材成分とを、回転翼を回転させて加熱しながら攪拌することで上記成形材料を得ることを特徴とするコンミテータの製造方法。 - 上記成形材料を圧縮成形することで上記成形物を得ることを特徴とする請求項3又は4に記載のコンミテータの製造方法。
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