JP6611421B2 - 樹脂シート、物品、および樹脂シートの製造方法 - Google Patents

樹脂シート、物品、および樹脂シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂シート、物品、および樹脂シートの製造方法に関する。
電気電子分野や、自動車産業分野等の様々な分野において、各種の物品を構成するための材料として繊維材料が用いられる場合がある。このような技術としては、たとえば特許文献1〜4に記載されるものが挙げられる。
特許文献1は、炭素繊維束と、少なくとも一種以上の他の強化繊維束と、を含む炭素繊維ウェブに関する技術である。特許文献2は、炭素繊維束からなる炭素繊維複合シートに関する技術である。特許文献3は、熱可塑性繊維および強化繊維を含む、熱的に変形可能な半製品を製造する方法に関する技術である。特許文献4は、C/C複合材(炭素繊維強化炭素複合材料)の製造方法に関する技術である。
特開2010−37668号公報 特開2013−209758号公報 特開2014−62336号公報 特開2013−87367号公報
各種の物品を形成するために、たとえばバインダー樹脂と、繊維フィラーと、を含む樹脂シートが用いられる場合がある。近年、このような物品の信頼性を向上させるため、上記樹脂シートにより形成される層の機械的特性を向上させることが求められている。
本発明によれば、
バインダー樹脂と、
繊維長が15mm以上100mm以下である繊維フィラーと、
凝集剤と、
を含む樹脂シートが提供される。
本発明によれば、
上述の樹脂シートにより形成された層を含む物品が提供される。
本発明によれば、
バインダー樹脂と、繊維長が15mm以上100mm以下である繊維フィラーと、凝集剤と、を含む材料組成物を抄造する工程を含む樹脂シートの製造方法が提供される。
本発明によれば、樹脂シートにより形成される層の機械的特性を向上させることができる。
本実施形態に係る樹脂シートの製造方法を示す断面模式図である。 抄造法により製造された樹脂シートの一例を示す斜視模式図である。 抄造法により製造された樹脂シートの一例を示す断面模式図である。 樹脂シートを用いた成形体の形成方法を示す断面模式図である。 本実施形態に係る物品の一例を示す断面模式図である。
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態に係る樹脂シートは、バインダー樹脂と、繊維長が15mm以上100mm以下である繊維フィラーと、凝集剤と、を含んでいる。
上述のとおり、バインダー樹脂と、繊維フィラーと、を含む樹脂シートについては、これを用いて形成される層の機械的特性を向上させることが求められている。このような層の機械的特性は、たとえば曲げ強さや耐衝撃性等に基づいて評価され得る。鋭意検討の結果、本発明者は、バインダー樹脂と、繊維長が15mm以上100mm以下である繊維フィラーと、凝集剤と、をともに樹脂シート中に含ませることによって、当該樹脂シートを用いて形成される層の機械的特性を向上させることを新たに知見し、本実施形態に係る樹脂シートに至った。このように、本実施形態によれば、樹脂シートにより形成される層の機械的特性を向上させることができる。このため、当該層を含む物品の信頼性向上に寄与することも可能となる。
以下、本実施形態に係る樹脂シート、および物品について詳細に説明する。
(樹脂シート)
まず、樹脂シートについて説明する。
樹脂シートは、たとえば各種の物品を構成する層を形成するために用いられる。これにより、機械的特性、熱的特性、および電磁波遮蔽性能等のバランスに優れた層を実現することが可能となる。本実施形態においては、樹脂シートを用いて形成される層を含む物品の例として、たとえばフレキシブル配線基板、インターポーザ基板、部品内蔵基板および光導波路基板等の電子部品を構成する基板や、電子機器の筐体等を挙げることができる。なお、樹脂シートの用途は、上述したものに限定されず、たとえば電気電子用途や自動車用途等に例示される様々な用途に適用することができる。
樹脂シートは、後述するように、たとえば抄造法により形成される。抄造法とは、製紙化技術の一つである紙抄きの技術のことを示している。本実施形態においては、たとえばバインダー樹脂と、繊維フィラーと、凝集剤と、を含む材料組成物を抄造して得られる抄造体により樹脂シートが構成される。このように、抄造法を採用することによって、樹脂シートを用いて形成される層の機械的特性や熱的特性を向上させることができる。この理由は必ずしも明らかではないが、繊維フィラーを樹脂シート中に均一に分散させることができることや、繊維フィラー同士の絡み合いを適度に作ることができること等がその要因として推定される。また、抄造法は加工性に優れることから、樹脂シートの意匠性を向上させることもできる。また、抄造法は、樹脂シートを構成する材料の組み合わせに制約が少ない。このため、物品に求められる特性に応じて、バインダー樹脂、繊維フィラー、および凝集剤とともに他の各種添加剤を適宜使用することができる。
樹脂シートは、バインダー樹脂(A)と、繊維フィラー(B)と、凝集剤(C)と、を含んでいる。
((A)バインダー樹脂)
バインダー樹脂(A)は、バインダーとして作用して繊維フィラー(B)を結着し得るものであればとくに限定されるものではなく、たとえば熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂のうちのいずれか一方または双方を含むことができる。樹脂シートを用いて形成される層の機械強度や耐薬品性を向上させる観点からは、熱硬化性樹脂を含むことがとくに好ましい。また、樹脂シートの成形性を向上させる観点や樹脂の透明性などのデザイン性が必要であるという観点からは、熱可塑性樹脂を含むことがとくに好ましい。
なお、バインダー樹脂(A)としては、たとえば25℃において固形状のものを用いることが抄造法による樹脂シートの製造を安定的に行う観点からより好ましい。
バインダー樹脂(A)として用いられる熱硬化性樹脂は、たとえばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、およびポリウレタンから選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂のうちの少なくとも一方を含むことが、機械的特性や熱的特性のバランスを向上させる観点からより好ましい。バインダー樹脂(A)として用いられる熱可塑性樹脂は、たとえばアクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびフッ素樹脂から選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、機械的特性や熱的特性のバランスを向上させる観点からは、ポリプロピレンを含むことがより好ましい。
バインダー樹脂(A)の含有量は、樹脂シート全体に対して10重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましく、40重量%以上であることがとくに好ましい。これにより、樹脂シートの加工性や軽量性をより効果的に向上させることができる。一方で、バインダー樹脂(A)の含有量は、樹脂シート全体に対して80重量%以下であることが好ましく、70重量%以下であることがより好ましく、65重量%以下であることがとくに好ましい。これにより、樹脂シートを用いて形成される層の機械的特性や熱的特性をより効果的に向上させることが可能となる。
((B)繊維フィラー)
繊維フィラー(B)は、必要特性に応じて種々の形状を有することができる繊維材料である。本実施形態においては、繊維フィラー(B)の形状として、たとえばチョップドストランド、ミルドファイバー、およびカットファイバー等を採用することができる。これにより、機械強度や耐衝撃性、耐熱性等をより効果的に向上させることができる。
繊維フィラー(B)は、たとえば金属繊維;木材繊維、木綿、麻、羊毛等の天然繊維;レーヨン繊維などの再生繊維;セルロース繊維などの半合成繊維;ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、エチレンビニルアルコール繊維などの合成繊維;炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維などの無機繊維から選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、機械的特性を向上させる観点からは、合成繊維および無機繊維のうちの一種または二種以上を含むことがより好ましい。とくに曲げ強さを向上させる観点からは、炭素繊維を含むことがとくに好ましい。また、耐衝撃性を向上させる観点からは、アラミド繊維を含むことがとくに好ましい。熱的特性を向上させる観点からは、無機繊維のうちの一種または二種以上を含むことがより好ましく、炭素繊維を含むことがとくに好ましい。本実施形態においては、機械的特性と熱的特性のバランスを向上させる観点から、炭素繊維とアラミド繊維をともに含む繊維フィラー(B)を、好ましい態様の一例として採用することが可能である。電磁波遮蔽性能を向上させる観点からは、金属繊維を含むことがより好ましい。
金属繊維は、単独の金属元素で構成される金属繊維であっても、複数の金属で構成される合金繊維であってもよい。金属繊維は、たとえばアルミニウム、銀、銅、マグネシウム、鉄、クロム、ニッケル、チタン、亜鉛、錫、モリブデンおよびタングステンからなる群から選択される1種または二種以上の金属元素を含むことが好ましい。なお、本実施形態における金属繊維としては、たとえば日本精線(株)やベカルトジャパン(株)製のステンレス繊維、虹技(株)製の銅繊維、アルミニウム繊維、黄銅繊維、鋼繊維、チタン繊維、りん青銅繊維などが市販品として入手可能であるが、これらに限定されるものではない。これらの金属繊維は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、これらのうち、熱伝導性という観点では銅繊維、アルミニウム繊維、黄銅繊維のいずれか1種以上が好ましく、電磁波シールド性という観点ではステンレス繊維、銅繊維、アルミニウム繊維のいずれか1種以上が好ましい。
繊維フィラー(B)としては、必要特性に応じてシランカップリング剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリング剤などで表面処理したものや、樹脂との密着性や取り扱い性を向上させるために収束剤処理をしたものを使用してもよい。
繊維フィラー(B)は、繊維長が15mm以上100mm以下である繊維フィラー(B1)を含んでいる。これにより、樹脂シートを用いて形成される層の機械的特性、熱的特性、および電磁波遮蔽性能等のバランスを向上させることができる。
樹脂シート中における繊維フィラーの密度の均一性を向上させるためには、上述したように、たとえばバインダー樹脂と、繊維フィラーと、をともに抄造することにより樹脂シートを製造する方法が採用され得る。これまでは、抄造法により形成される樹脂シートにおいては、繊維フィラーの密度の均一性を担保するため、たとえば6mmといった比較的短い繊維長を有する繊維フィラーを用いることが現実的であった。
本発明者は、このような樹脂シートを用いて形成される層の機械的特性や熱的特性、電磁波遮蔽性能等を向上させるため、長繊維である繊維フィラーを樹脂シート中に含ませることを検討した。しかしながら、たとえば15mm以上といった長繊維である繊維フィラーをバインダー樹脂とともに抄造する場合には、十分な機械的特性や熱的特性を実現することが困難となることが懸念された。この要因としては、たとえば長繊維である繊維フィラー間における絡まりに起因したダマの発生によって樹脂シート中における繊維フィラーの密度が不均一となってしまうことや、長繊維である繊維フィラーが回転翼に絡みつくことによって繊維フィラーとバインダー樹脂の分散処理を良好に行うことが困難となってしまうこと、等が推測される。このような点を解決する具体的な手段や例については、これまでの技術においては見出されていないものであった。このため、バインダー樹脂と、長繊維である繊維フィラーと、をともに抄造して樹脂シートを製造することは困難であった。
鋭意検討の結果、本発明者は、樹脂シートの製造方法や、樹脂シート中に含まれる構成材料の種類や配合割合等をそれぞれ調整することによって、抄造法により形成される樹脂シートにおいて長繊維である繊維フィラーを均一に分散させることができることを知見し、本実施形態に係る樹脂シートを実現した。たとえば、バインダー樹脂と繊維フィラーを含む構成材料を、回転翼を高速回転させることによって撹拌することや、構成材料としてバインダー樹脂および繊維フィラーとともに凝集剤を含むこと、各構成材料の配合割合を適切に調整すること、等が長繊維フィラーの密度の均一性を向上させるための要素として重要なものであると考えられている。本実施形態においては、このような調整を高度に行うことによって、バインダー樹脂と、繊維長が15mm以上100mm以下である繊維フィラーと、を含む樹脂シートを、抄造法を用いて実現することが可能となる。
樹脂シートを用いて形成される層の機械的特性、とくに耐衝撃性を向上させる観点からは、繊維フィラー(B1)の繊維長が25mm以上であることがとくに好ましい。また、繊維フィラー(B1)の分散性を向上させて、機械的特性や熱的特性のバランスをより効果的に向上させる観点からは、繊維フィラー(B1)の繊維長が90mm以下であることがとくに好ましい。
繊維フィラー(B1)の含有量は、たとえば繊維フィラー(B)全体に対して10重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましく、60重量%以上であることがとくに好ましい。これにより、樹脂シートを用いて形成される層について、機械的特性および熱的特性のバランスをより効果的に向上させることができる。一方で、繊維フィラー(B1)の含有量の上限値は、とくに限定されず、たとえば繊維フィラー(B)全体に対して100重量%とすることができる。本実施形態においては、繊維フィラー(B1)が炭素繊維を含むものを、好ましい態様の一例として採用することができる。
繊維フィラー(B)は、たとえば繊維フィラー(B1)とともに、繊維長が15mm未満である繊維フィラー(B2)を含むことができる。これにより、樹脂シートを用いて形成される層の機械的特性、熱的特性、および電磁波遮蔽性能等のバランスを制御することがより容易となる。繊維フィラー(B2)の繊維長の下限値は、とくに限定されないが、たとえば1mmとすることができる。なお、繊維フィラー(B)は、繊維フィラー(B2)を含まなくともよい。
また、繊維フィラー(B)は、たとえば繊維フィラー(B1)とともに、繊維長が100mm超過である繊維フィラー(B3)を含むことができる。これにより、樹脂シートを用いて形成される層の機械的特性、熱的特性、および電磁波遮蔽性能等のバランスを制御することがより容易となる。繊維フィラー(B3)の繊維長の上限値は、とくに限定されないが、たとえば200mmとすることができる。なお、繊維フィラー(B)は、繊維フィラー(B3)を含まなくともよい。
繊維フィラー(B)の径は、たとえば1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。これにより、樹脂シートを用いて形成される層の剛性を向上させることができる。一方で、繊維フィラー(B)の径は、たとえば100μm以下であることが好ましく、80μm以下であることがより好ましい。これにより、樹脂シートの成形加工性を確保することができる。なお、繊維フィラー(B)の繊維長および径は、たとえば得られた樹脂シートや、当該樹脂シートから樹脂成分を溶解して取り出した繊維フィラー(B)を、電子顕微鏡を用いて観察することにより確認することができる。
繊維フィラー(B)の含有量は、樹脂シート全体に対して15重量%以上であることが好ましく、25重量%以上であることがより好ましく、30重量%以上であることがとくに好ましい。これにより、樹脂シートを用いて形成される層について、機械的特性や熱的特性、電磁波遮蔽性のバランスをより効果的に向上させることができる。一方で、繊維フィラー(B)の含有量は、樹脂シート全体に対して80重量%以下であることが好ましく、70重量%以下であることがより好ましく、60重量%以下であることがとくに好ましい。これにより、樹脂シートの加工性や軽量性を向上させることができる。また、繊維フィラー(B)の分散性をより効果的に向上させて、樹脂シートを用いて形成される層の機械的特性や熱的特性、電磁波遮蔽性の向上に寄与することも可能である。
((C)凝集剤)
樹脂シートは、凝集剤(C)を含む。凝集剤(C)は、後述する抄造法を用いた樹脂シートの製造方法において、バインダー樹脂(A)および繊維フィラー(B)をフロック状に凝集させる機能を有する。このため、より安定的な樹脂シートの製造を実現することができる。
凝集剤(C)は、たとえばカチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤、および両性高分子凝集剤から選択される一種または二種以上を含むことができる。このような凝集剤(C)の例示としては、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、ホフマンポリアクリルアミド、マンニックポリアクリルアミド、両性共重合ポリアクリルアミド、カチオン化澱粉、両性澱粉、ポリエチレンオキサイドなどを挙げることができる。また、凝集剤(C)において、そのポリマー構造や分子量、水酸基やイオン性基などの官能基量などは、必要特性に応じて特に制限無く調整することが可能である。
凝集剤(C)の含有量は、樹脂シート全体に対して0.05重量%以上であることが好ましく、0.1重量%以上であることがより好ましく、0.2重量%以上であることがとくに好ましい。これにより、抄造法を用いた樹脂シートの製造において、収率の向上を図ることができる。一方で、凝集剤(C)の含有量は、樹脂シート全体に対して3重量%以下であることが好ましく、2重量%以下であることがより好ましく、1.5重量%以下であることがとくに好ましい。これにより、抄造法を用いた樹脂シートの製造において、脱水処理等をより容易にかつ安定的に行うことが可能となる。
((D)パルプ)
樹脂シートは、たとえばパルプ(D)を含むことができる。パルプ(D)は、フィブリル構造を有する繊維材料であり、たとえば機械的または化学的に繊維材料をフィブリル化することによって得ることができる。抄造法を用いた樹脂シートの製造方法においては、バインダー樹脂(A)、繊維フィラー(B)、および凝集剤(C)とともにパルプ(D)を抄造することによって、バインダー樹脂(A)を十分に凝集させることができることから、安定的な樹脂シートの製造を実現することが可能となる。また、長繊維の繊維フィラー(B1)の分散性を向上させることもできるため、樹脂シートを用いて形成される層の機械的特性や熱的特性の向上に寄与することもできる。
パルプ(D)としては、たとえばリンターパルプ、木材パルプ等のセルロース繊維、ケナフ、ジュート、竹などの天然繊維、パラ型全芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)やその共重合体、芳香族ポリエステル繊維、ポリベンザゾール繊維、メタ型アラミド繊維やその共重合体、アクリル繊維、アクリロニトリル繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維がフィブリル化したものが挙げられる。パルプ(D)は、これらのうちの一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、樹脂シートを用いて形成される層の機械的特性や熱的特性を向上させる観点や、長繊維の繊維フィラー(B1)の分散性を向上させる観点からは、アラミド繊維により構成されるアラミドパルプ、およびアクリロニトリル繊維により構成されるポリアクリロニトリルパルプのうちのいずれか一方または双方を含むことがとくに好ましい。
パルプ(D)の含有量は、樹脂シート全体に対して5重量%以上であることが好ましく、8重量%以上であることがより好ましく、10重量%以上であることがとくに好ましい。これにより抄造時におけるバインダー樹脂(A)の凝集をより効果的に発生させて、さらに安定的な樹脂シートの製造を実現することができる。また、繊維フィラー(B1)の分散性をより効果的に向上させることも可能となる。一方で、パルプ(D)の含有量は、樹脂シート全体に対して25重量%以下であることが好ましく、22重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることがとくに好ましい。これにより、機械的特性や熱的特性をより効果的に向上させることが可能となる。
樹脂シートは、たとえば上述の各成分の他に、イオン交換能を有する粉末状物質を含むことができる。イオン交換能を有する粉末状物質としては、たとえば粘土鉱物、鱗片状シリカ微粒子、ハイドロタルサイト類、フッ素テニオライト及び膨潤性合成雲母から選ばれる一種またな二種以上の層間化合物を用いることが好ましい。粘土鉱物としては、たとえばスメクタイト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム及び燐酸チタニウムなどが挙げられる。ハイドロタルサイト類としては、たとえばハイドロタルサイト、ハイドロタルサイト状物質などが挙げられる。フッ素テニオライトとしては、たとえばリチウム型フッ素テニオライト、ナトリウム型フッ素テニオライトなどが挙げられる。膨潤性合成雲母としては、たとえばナトリウム型四珪素フッ素雲母、リチウム型四珪素フッ素雲母などが挙げられる。これらの層間化合物は、天然物であってもよく、合成されたものであってもよい。これらのうちでは、粘土鉱物がより好ましく、スメクタイトが天然物から合成物まで存在し、選択の幅が広いという点においてさらに好ましい。スメクタイトとしては、たとえばモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト及びスチーブンサイトなどが挙げられ、これらのうち、いずれか1種以上を使用できる。モンモリロナイトは、アルミニウムの含水ケイ酸塩であるが、モンモリロナイトを主成分とし、他に石英や雲母、長石、ゼオライトなどの鉱物を含んでいるベントナイトであってもよい。着色や不純物を気にする用途に用いる場合などには、不純物が少ない合成スメクタイトが好ましい。
また、樹脂シートは、たとえば特性向上を目的とした無機粉末、金属粉、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤、離型剤、可塑剤、難燃剤、樹脂の硬化触媒や硬化促進剤、顔料、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤などの紙力向上剤、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、サイズ定着剤、消泡剤、酸性抄紙用ロジン系サイズ剤、中性製紙用ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニルコハク酸無水物系サイズ剤、特殊変性ロジン系サイズ剤などのサイズ剤、硫酸バンド、塩化アルミ、ポリ塩化アルミなどの凝結剤などの添加剤から選択される一種または二種以上を、生産条件調整や、要求される物性を発現させることを目的として含むことができる。無機粉末としては、たとえば酸化チタン、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化マグネシウムなどの酸化物類や、窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素などの窒化物類や、硫酸バリウム、硫酸鉄、硫酸銅などの硫化物類や、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物類や、カオリナイト、タルク、天然マイカ、合成マイカなどの鉱物類ならびに、炭化ケイ素などの炭化物類などが挙げられる。これらの無機粉末は、そのまま使用してもよいが、必要特性に応じてシランカップリング剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリング剤などで表面処理をしたものを使用してもよい。
次に、樹脂シートの製造方法について説明する。
図1は、本実施形態に係る樹脂シート10の製造方法を示す断面模式図である。樹脂シート10は、たとえば湿式抄造法を用いて製造される。本実施形態に係る樹脂シート10の製造方法は、たとえばバインダー樹脂と、繊維長が15mm以上100mm以下である繊維フィラーと、パルプと、を含む材料組成物を抄造する工程を含む。
以下、樹脂シート10の製造方法の一例を詳細に説明する。
まず、図1(a)および図1(b)に示すように、上述の各成分のうち凝集剤(C)を除く成分を溶媒に添加して撹拌し、分散させる。ここでは、バインダー樹脂(A)、繊維フィラー(B)、パルプ(D)、および必要に応じた他の添加剤を溶媒中へ添加して撹拌し、分散させることとなる。これにより、樹脂シートを形成するためのワニス状の材料組成物を得ることができる。なお、図1において、符号Rはバインダー樹脂(A)を、符号Fは繊維フィラー(B)を、それぞれ示している。
各成分を溶媒に分散させる方法としては、特に限定されるものではないが、たとえばディスパーザーを用いて撹拌する方法が挙げられる。この際、ディスパーザーを、たとえば5000rpm程度の条件で高速回転させることにより、長繊維である繊維フィラー(B1)を用いる場合であっても、繊維フィラー(B1)が絡み合ってダマになることや繊維フィラー(B1)が撹拌翼へ絡みつくこと等を抑制することが可能となる。撹拌時間等の回転速度以外の他の撹拌条件についても、必要に応じて適宜調整することができる。
溶媒としては、特に限定されないが、上記材料組成物の構成材料を分散させる過程において揮発しにくいことと、樹脂シート中への残存を抑制するために脱溶媒をしやすいこと、脱溶媒によってエネルギーが増大してしまうことを抑制すること、等の観点から、沸点が50℃以上200℃以下であるものが好ましい。このような溶媒としては、たとえば水や、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコールなどのアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類や、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸メチルなどのエステル類や、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、ジオキサン、フルフラールなどのエーテル類などを挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、供給量が豊富であり、安価、環境負荷が低い、安全性も高く扱いやすいという理由から水を用いることがとくに好ましい。
ワニス状の材料組成物を得る上記工程において、バインダー樹脂(A)としては、たとえば平均粒径500μm以下である固体状態のものを使用することができる。また、バインダー樹脂(A)としては、たとえば平均粒径500μm以下のエマルジョン状となったものを用いることもできる。これにより、後述するバインダー樹脂(A)を凝集させる工程において、凝集状態をより形成しやすくすることができる。ワニス状の材料組成物を得る上記工程において、バインダー樹脂(A)の平均粒径は1nm以上300μm以下であることがより好ましい。このような平均粒径を有するバインダー樹脂(A)は、たとえばアトマイザー粉砕機等を用いて粉砕処理を行うことにより得ることが可能である。なお、バインダー樹脂(A)の平均粒径は、たとえば(株)島津製作所製のSALD−7000などのレーザ回折式粒度分布測定装置を用いて、質量基準の50%粒子径を平均粒径として求めることができる。
次に、上記で得られたワニス状の材料組成物中に、凝集剤(C)を添加する。これにより、溶媒中のバインダー樹脂(A)と、繊維フィラー(B)と、パルプ(D)と、をフロック状に凝集させて凝集物を得ることができる。
次に、図1(c)に示すように、底面がメッシュMで構成された容器に、溶媒と、上記で得られた凝集物と、を入れてメッシュMから溶媒を排出する。これにより、凝集物と溶媒を互いに分離することができる。このとき、メッシュM上には、図1(d)に示すようなシート状の凝集物8'が残存することとなる。本実施形態においては、メッシュMの形状を適宜選択することによって、得られる樹脂シートの形状を調整することが可能である。
次に、図1(e)に示すように、上記で得られたシート状の凝集物8'を取り出して、乾燥炉70内に入れて乾燥させ、溶媒をさらに除去する。本実施形態においては、たとえばこのようにして、図1(f)に示すような樹脂シート10が製造されることとなる。
図2は、抄造法により製造された樹脂シート10の一例を示す斜視模式図である。
図2に示すように、抄造法により製造された樹脂シート10においては、たとえば繊維フィラー(B)の長さ方向が樹脂シート10の面内方向に沿うように、大半の繊維フィラー(B)が配置される。一方で、図2において丸で囲んだ部分に示すように、樹脂シート10を平面視した場合には、繊維フィラー(B)は、樹脂シート10の面内においてランダムに配置されており、互いに絡み合っている。このため、たとえば繊維フィラー(B)を熱伝導性の高い熱伝導性材料で構成した場合、樹脂シート10の面内方向における熱伝導率を非常に高いものとすることができる。たとえば、樹脂シート10の面内方向における熱伝導率は、厚さ方向における熱伝導率の10倍以上とすることができる。また、繊維フィラー(B)間には、バインダー樹脂(A)が介在して繊維フィラー(B)同士を結着している。図2において、符号Fは繊維フィラー(B)を示している。また、図2においては、丸で囲んだ部分以外に位置する繊維フィラー(B)は省略されている。
図3は、抄造法により製造された樹脂シート10の一例を示す断面模式図である。
抄造法により樹脂シート10を製造する場合には、メッシュから溶媒を排出させて溶媒と凝集物を分離する工程において、繊維フィラー(B)がその自重によりメッシュ側へ移動することがある。この場合、バインダー樹脂(A)の含有量や繊維フィラー(B)の種類等にも依存するが、図3に示すように、繊維フィラー(B)を多く含む繊維層81の厚みの中心位置からバインダー樹脂(A)を多く含む樹脂層82側に位置する樹脂シート10の一面(表面)までの距離と、当該中心位置から他方の面(裏面)までの距離と、が互いに異なるものとなる場合がある。なお、図3において、符号Rはバインダー樹脂(A)を、符号Fは繊維フィラー(B)を、それぞれ示している。
また、樹脂シート10におけるバインダー樹脂(A)の含有量や、繊維フィラー(B)の種類等にも依存するが、樹脂シート10中にボイドが複数形成されていてもよい。これにより、樹脂シート10の軽量化を図ることができる。
図4は、樹脂シート10を用いた成形体の形成方法を示す断面模式図である。
本実施形態においては、たとえば製造された樹脂シート10を成形することにより、各種物品を構成する成形体を形成することができる。成形方法としては、たとえばプレス成形等が挙げられる。図4に示すように、プレス板71で、樹脂シート10をプレスするとともに、プレス板71の外周側に熱板72を配置して加熱する。これにより、物品を構成する成形体を得ることができる。なお、樹脂シート10中にバインダー樹脂(A)として熱硬化性樹脂が含まれる場合には、以上の工程により得られた成形体において、熱硬化性樹脂が半硬化状態であることが好ましい。これにより、成形体を他の部材へラミネートした後に成形体を熱硬化させることができるため、成形体と他の部材をより強力に互いに固着させることができる。
樹脂シートを用いて形成される成形体は、たとえば曲げ強さが310MPa以上であることが好ましく、350MPa以上であることがより好ましい。これにより、強度の高い成形体を実現することができる。このため、成形体を備える物品の信頼性向上に寄与することも可能となる。なお、曲げ強さの測定は、たとえばJIS K 6911に準拠して、三点曲げ試験法により行うことができる。
樹脂シートを用いて形成される成形体は、たとえばシャルピー衝撃試験により測定されるシャルピー衝撃値が15kJ/m2以上であることが好ましく、25kJ/m2以上であることがより好ましい。これにより、耐衝撃性に優れた成形体を実現することができる。このため、成形体を備える物品の信頼性向上に寄与することも可能となる。なお、シャルピー衝撃試験は、たとえばJIS K 7110に準拠して行うことができる。
樹脂シートを用いて形成される成形体は、たとえば平面方向の熱伝導率が1.5W/mK以上であることが好ましく、2.0W/mK以上であることがより好ましく、2.2W/mK以上であることがとくに好ましい。これにより、良好な熱的特性を実現することが可能となる。このため、成形体を備える物品の信頼性向上に寄与することも可能となる。熱伝導率は、たとえばレーザーフラッシュ法によって測定することができる。
なお、樹脂シートを用いて形成される成形体の曲げ強さ、シャルピー衝撃値、および熱伝導率は、樹脂シートの製造方法や、樹脂シート中に含まれる構成材料の種類や配合割合等をそれぞれ調整することによって制御することが可能である。
(物品)
次に、物品について説明する。
物品は、本実施形態に係る樹脂シートにより形成された層を含む。このため、信頼性に優れた物品を実現することができる。上記層は、たとえば樹脂シートを成形して得られる成形体により構成される。本実施形態における物品としては、とくに限定されないが、たとえばフレキシブル配線基板、インターポーザ基板、部品内蔵基板および光導波路基板等の電子部品を構成する基板や、電子機器の筐体等を挙げることができる。
図5は、本実施形態に係る物品100の一例を示す断面模式図である。
図5では、物品100がフレキシブル配線基板である場合が例示されている。図5に示す例に係る物品は、たとえば基板2と、基板2上に設けられた樹脂シート10により形成される層26と、を備えている。基板2は、樹脂フィルム21と、この樹脂フィルム21の表裏面に設けられた回路層22と、各回路層22を被覆するカバーレイフィルム24と、カバーレイフィルム24と回路層22との間に設けられた接着層23と、を備える。また、各カバーレイフィルム24上には、樹脂シート10により形成された層26が設けられている。樹脂フィルム21は、たとえばポリイミドフィルムである。接着層23は、たとえばエポキシ系の接着剤である。回路層22は、たとえば銅の回路である。カバーレイフィルム24は、たとえばポリイミドフィルムまたはポリエステルフィルムである。
樹脂シート10を基板2に貼り付ける方法としては、様々な方法があるが、たとえば接着剤を介して樹脂シート10を基板2に貼り付ける方法を採用することができる。また、半硬化状態の樹脂シート10を基板2上に圧着した後、基板2および樹脂シート10を加熱することにより、樹脂シート10を基板2へ貼り付けてもよい。この場合、たとえば樹脂シート10が加熱硬化することによって、基板2に固着した状態となる。また、この方法によれば、樹脂シート10が基板2へ直接接触することとなる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
次に、本発明の実施例について説明する。
(樹脂シートの製造)
各実施例および各比較例について、次のようにして樹脂シートを製造した。
まず、アトマイザー粉砕機で平均粒径100μmに粉砕したバインダー樹脂(A)と、繊維フィラー(B)と、パルプ(D)と、を表1および2に示す配合に従い10000部の水に添加して、ディスパーザーを用いて5000rpmの条件で20分撹拌して混合物を得た。次いで、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(C)を、上述した構成材料(バインダー樹脂(A)、繊維フィラー(B)、およびパルプ(D))の合計に対して0.5%添加を行い、構成材料をフロック状に凝集させた。これにより得られた凝集物を40メッシュの金属網で水と分離し、この後その凝集物を、脱水プレスし、さらに70℃の乾燥器に3時間入れて乾燥させて、厚さ1mmの複合樹脂組成物により構成される樹脂シートを得た。
表1および2に示す各成分の詳細は、下記のとおりである。
(A)バインダー樹脂
レゾール樹脂:住友ベークライト(株)製、PR−51723
エポキシ樹脂:828(三菱化学(株)製)99%と、2−メチルイミダゾール1%と、の混合物
ポリプロピレン樹脂:東京インキ(株)製
(B)繊維フィラー
繊維フィラー1:炭素繊維(繊維長120mm)
繊維フィラー2:炭素繊維(繊維長85mm)
繊維フィラー3:炭素繊維(繊維長50mm)
繊維フィラー4:炭素繊維(繊維長35mm)
繊維フィラー5:炭素繊維(繊維長25mm)
繊維フィラー6:炭素繊維(繊維長6mm)
繊維フィラー7:アラミド繊維(テクノーラT−32PNW(帝人(株)製)、繊維長3mm)
なお、繊維フィラー1〜6としては、東邦テナックス(株)製HTS40(7μm径)を所定の長さにカットしたものを使用した。
(C)凝集剤
ポリエチレンオキシド:住友精化(株)製
カチオン化でんぷん:SC−5(三和澱粉工業(株)製)
カチオン性ポリアミド:ハリフィックスUF−570(ハリマ化成製)
アニオン性ポリアミド:ハーマイドB−15
(D)パルプ
アラミドパルプ:ケブラーパルプ1F303(東レ・デュポン(株)製)
なお、比較例3においては、樹脂シートを得ることができなかった。これは、凝集剤(C)を含まないことによって繊維フィラー(B)の捕集力が十分に得られず、その結果バインダー樹脂(A)が十分に凝集できなかったことが要因であると考えられる。
(成形体)
実施例1〜14、および比較例1、2について、次のようにして成形体を製造した。
まず、上記にて得られた複合樹脂組成物により構成される樹脂シートを、10cm×10cmにカットしたものを4枚重ねた後、これを圧力300kg/cm2、温度180℃の条件で10分間熱処理することにより、10cm×10cm×1mmの成形体を得た。
(曲げ強さ)
実施例1〜14、および比較例1、2について、上記で得られた成形体の曲げ強さを測定した。測定は、JIS K 6911に準拠して、三点曲げ試験法により行った。試験片としては、上記成形体から2.5cm×5cmになるように切り出したものを用いた。結果を表1および2に示す。表1および2中における曲げ強さの単位は、MPaである。
(シャルピー衝撃試験)
実施例1〜14、および比較例1、2について、上記で得られた成形体に対してシャルピー衝撃試験を行った。試験は、JIS K 7110に準拠して行った。試験片としては、10cm×10cm×1cmの成形体を作成し、さらに、8cm×4mmになるように切り出したものを用いた。結果を表1および2に示す。表1および2中におけるシャルピー衝撃値の単位は、kJ/m2である。
(熱伝導率)
実施例1〜14、および比較例1、2について、上記で得られた成形体の熱伝導率を測定した。測定は、成形体から10mm×10mm×1mmとなるように切り出した試験片に対して、レーザーフラッシュ法によって熱伝導層の平面方向の熱伝導率を測定することにより行った。結果を表1および2に示す。表1および2中における熱伝導率の単位は、W/mKである。
実施例1〜14に係る樹脂シートは、バインダー樹脂(A)と、繊維フィラー(B)と、凝集剤(C)と、を含んでいた。また、繊維フィラー(B)は、繊維長が15mm以上100mm以下である繊維フィラーを含んでいた。このような樹脂シートを用いて形成された成形体は、いずれも機械的強度に優れていることが表1および2に示す結果から分かる。
一方で、比較例1、2に係る樹脂シートは、繊維フィラー(B)として繊維長が15mm以上100mm以下である繊維フィラーを含んでいなかった。このような比較例1、2に係る樹脂シートを用いて形成された成形体は、実施例と比較して曲げ強さや耐衝撃性に劣ることが分かる。また、比較例3においては、上述したように、樹脂シートを製造することができなかった。
10 樹脂シート
100 物品
2 基板
21 樹脂フィルム
22 回路層
23 接着層
24 カバーレイフィルム
26 層
70 乾燥炉
71 プレス板
72 熱板
8' 凝集物
81 繊維層
82 樹脂層
F 繊維フィラー
R バインダー樹脂
M メッシュ

Claims (4)

  1. 樹脂シートの製造方法であって、
    前記樹脂シートは、バインダー樹脂と、繊維長が15mm以上100mm以下である繊維フィラーと、凝集剤と、パルプと、を含み、
    前記パルプの含有量は、前記樹脂シート全体に対して8重量%以上であり、
    バインダー樹脂と、繊維長が15mm以上100mm以下である繊維フィラーと、パルプと、を溶媒に添加して撹拌、分散し、ワニス状の材料組成物を得る工程と、
    前記ワニス状の材料組成物に凝集剤を添加してフロック状に凝集させ、材料組成物の凝集物を得る工程と、
    底面がメッシュで構成された容器に、前記凝集物と、溶媒とを投入し、メッシュから溶媒を排出して、シート状の凝集物を得る工程と、
    前記シート状の凝集物を乾燥する工程と、
    を含むことを特徴する樹脂シートの製造方法。
  2. 前記樹脂シートの繊維フィラーの含有量が、
    前記樹脂シート全体に対して15質量%以上80質量%以下である請求項1に記載の樹脂シートの製造方法
  3. 前記繊維フィラーは、炭素繊維を含む請求項1または2に記載の樹脂シートの製造方法
  4. 前記樹脂シートの凝集剤の含有量は、前記樹脂シート全体に対して0.05質量%以上3質量%以下である請求項1ないし3のいずれか一項に記載の樹脂シートの製造方法

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