JP7151165B2 - 複合成形体および複合成形体の製造方法 - Google Patents

複合成形体および複合成形体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、複合成形体および複合成形体の製造方法に関する。
従来、熱可塑性樹脂は、成形性が良好であることから各分野で広く利用されている。しかし、表面硬度や耐熱性等においては、十分なものとはいえない。一方、熱硬化性樹脂は、表面硬度や耐熱性等は良好であるものの、成形性、賦形性においては十分とはいえない。そこで、目的に応じた種々の性能を得るために、異なる樹脂材料からなる成形体同士が一体化された複合体が開発されている。
特許文献1には、熱硬化性樹脂層に、ポリアルキレンエーテルグリコールを30~95重量%含有するポリエステルポリエーテルブロック共重合体を用いることで、熱硬化性樹脂層と特定の熱可塑性エラストマー層とを熱融着させる技術が開示されている。
一方、抄造体は、繊維材料を漉く手法を使用して得られた物の状態を示す技術用語として一般的に使用されている。この状態は、例えば、特許文献2および3に記載されている。同文献によれば、当該抄造体は、繊維や樹脂等の原料を分散媒に分散させた原料スラリーから、液体分が脱水され、フィルター上に残った湿潤状態の固形分を指す、と記載されている。ここでいう上記湿潤状態とは、乾燥および加熱処理を施す前の硬化状態、すなわち、ポストキュア前の硬化状態を意味する。
また、同文献によれば、当該抄造体は、成形型内で加熱して乾燥成形することにより得られる成形体に利用される。すなわち、抄造体は成形材料として用いられると記載されている。
特開平11-179850号公報 特許第4675276号 特許第5426399号
しかしながら、特許文献1等の従来技術においては、複合体の異種材料間の接触領域における密着性が十分ではなかった。
そこで、本発明は、複合体の異種材料間の接触領域における密着性を向上させる観点から、鋭意検討を行った結果、複合体のうち一方の材料として抄造体を用い、抄造体と他方の材料とを圧縮成形することで他方の材料が抄造体内の間隙に含浸し、これにより、両者の密着性が飛躍的に向上できることが見出された。
本発明によれば、
第1の成形体と、第2の成形体と、が積層した複合成形体であって、
前記第1の成形体は、熱硬化性樹脂材料からなり、
前記第2の成形体は、熱可塑性樹脂を含む抄造体と、前記抄造体に含浸された前記熱硬化性樹脂材料と、からなる、複合成形体が提供される。
さらに、本発明によれば、
熱可塑性樹脂を溶媒に分散させて材料スラリーを調製した後、抄造法を用いて、前記材料スラリーから前記溶媒を除去して、抄造体を得る工程と、
前記抄造体に熱硬化性樹脂材料を接触させた状態で圧縮成形し、前記熱硬化性樹脂材料を前記抄造体に含浸させつつ、前記熱硬化性樹脂材料に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させる工程と、
を含む、複合成形体の製造方法が提供される。
本発明によれば、複合成形体の異種材料間における密着性を向上することができる。
本実施形態に係る複合成形体の一例を示す模式断面図である。 本実施形態に係る抄造体を示す斜視模式図である。 本実施形態に係る抄造体の製造方法の一例を示す断面模式図である。 本実施形態に係る複合成形体の製造方法の一例を示す断面模式図である。 本実施形態に係る複合成形体の製造方法の一例を示す断面模式図である。 本実施形態に係る複合成形体の製造方法の一例を示す断面模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
<複合成形体>
図1は、本実施形態に係る複合成形体30の一例を示す模式断面図である。複合成形体30は、第1の成形体10と、第2の成形体20とが積層したものである。本実施形態においては、第2の成形体20上に、第1の成形体10が形成されている。
複合成形体30においては、第1の成形体10の熱硬化性樹脂材料11の一部が、第2の成形体20に含浸しているため、両者が強固に接合し、一体化されている。そのため、密着性が高くできるとともに、曲げ強度等の機械特性がより高められる。
複合成形体30において、第1の成形体10の厚さと第2の成形体20の厚さの比率は特に限定されないが、好ましくは1000~0.3であり、より好ましくは1000~0.5であり、さらに好ましくは1000~1である。この厚さの比率が前記の好ましい範囲内であれば、第1の成形体10と、第2の成形体20との積層構造が容易に形成される。
以下、各成形体について、詳述する。
〔第1の成形体〕
第1の成形体10は、熱硬化性樹脂材料11からなる。熱硬化性樹脂材料11は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む。熱硬化性樹脂としては、たとえば、非加熱状態にある常温(25℃)において固形状の形態にあるものを使用することが、複合成形体30を安定的に作製する観点から好ましい。
熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、およびポリウレタン等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂のうちの少なくとも一方を含むことが、複合成形体30の機械特性を向上させる観点からより好ましい。
熱硬化性樹脂材料11は、上記の熱硬化性樹脂の他、必要に応じて、繊維フィラー等の充填材、および可塑剤等、通常の樹脂添加剤を含んでもよい。繊維フィラーとしては、後述する第2の成形体20に含まれる繊維フィラーと同様のものを挙げることができる。第1の成形体10に繊維フィラーが含まれる場合、第2の成形体20に含まれる繊維フィラーと同じであってもよく、異なるものであってもよい。
〔第2の成形体20〕
本実施形態において、第2の成形体20は、熱可塑性樹脂Aおよび繊維フィラーBを含む抄造体21と、抄造体21に含浸された熱硬化性樹脂材料11とからなる。すなわち、第2の成形体20が抄造体21を備えることにより、後述する圧縮成形により、熱硬化性樹脂材料11が抄造体21の隙間から内部に含浸されつつ、熱硬化性樹脂材料11に含まれる熱硬化性樹脂が硬化することによって、第2の成形体20が得られる。その結果、第2の成形体20は、抄造体21と、熱硬化性樹脂材料11の硬化物とから形成されることとなる。これにより、複合成形体30において、第1の成形体10と第2の成形体20との接着領域が極めて強固になる。
第2の成形体20の厚み方向において、第1の成形体10から離間するにつれて、熱硬化性樹脂材料11に含まれる熱硬化性樹脂の含浸率が低減する濃度勾配を有することが好ましい。すなわち、複合成形体30の製造過程において、抄造体21の一方の面から熱硬化性樹脂材料11が押し込まれることによって、熱硬化性樹脂材料11が抄造体21の内部に含浸していく結果、第1の成形体10と第2の成形体20との接触領域付近においては、熱硬化性樹脂の濃度が高くなり、第2の成形体20の内部、言い換えると第1の成形体10との接合領域とは反対側の方向に従い、熱硬化性樹脂の濃度が低くなる。
なお、本実施形態においては繊維フィラーBを用いた例を挙げて説明するが、繊維フィラーBは用いなくてもよい。
第2の成形体20内の熱硬化性樹脂の濃度勾配は、例えば、複合成形体30の断面を光学顕微鏡(落射画像、偏光フィルター越の画像)観察、及び、EDS(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)等で観察し、第2の成形体20と、熱硬化性樹脂との面積比を求めることで算出することができる。
つぎに、抄造体21について説明する。
図2は、本実施形態に係る抄造体21の一例を示す斜視模式図である。
図2においては、抄造体のうちの点線で示される領域の拡大模式図が示されている。本実施形態に係る抄造体21は、熱可塑性樹脂Aと、繊維フィラーBと、を含む。
熱可塑性樹脂Aは、繊維フィラーBどうしを結着する結着材として機能するとともに、後の加熱処理により抄造体21による成形体を得るための成形材料として機能する。
本実施形態に係る抄造体21は、後述する抄造法により得られたものであり、以下の点において構造上の特徴1~3を有するものである。
(特徴1)抄造体21の表面の平面視において、繊維フィラーBがランダムに配向している。
(特徴2)抄造体21の厚み方向における断面視において、繊維フィラーBの配向状態が高度に制御されており、繊維フィラーBが特定方向に配向している。言い換えれば、抄造体21の厚み方向において、繊維フィラーBは積層した状態である。
(特徴3)繊維フィラーB同士が熱可塑性樹脂Aにより結着している。
抄造体21は、抄造法によって形成されたものであるため、熱可塑性樹脂Aが均一に分散し、加工性に優れるものである。これにより抄造体21の意匠性を向上させることもできる。また、抄造法は、抄造体21を構成する材料の組み合わせに制約が少ない。このため、複合成形体30に求められる特性に応じて、熱可塑性樹脂Aに対し、繊維フィラーBや他の各種添加剤を適宜使用することができる。
本実施形態において、抄造体21の通気度は、密着性を向上し、軽量化を図る観点から、好ましくは3cm/cm・s以上、より好ましくは4cm/cm・s以上である。
一方、抄造体21の通気度は、機械強度を得つつ、密着性とのバランスを良好にする観点から、好ましくは15cm/cm・s以下、より好ましくは12cm/cm・s以下である。
通気度は、一般不織布試験法のフラジール形法(JIS L 1913)による試験で、測定することができる。
また、抄造体21の気孔率は、密着性を向上し、軽量化を図る観点から、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上である。
一方、抄造体21の気孔率は、機械強度を得つつ、密着性とのバランスを良好にする観点から、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下である。
気孔率は、下記式によって求めることができる。
気孔率(%)={1-(材料の嵩密度(g/cm)/材料の真密度(g/cm))}×100
以下、抄造体21を形成する材料について、詳細に説明する。
(熱可塑性樹脂A)
熱可塑性樹脂は、抄造体21の成形材料として作用するものである。
熱可塑性樹脂の融点は、160℃以上であることが好ましい。これにより、複合成形体30の製造時において、上述した熱硬化性樹脂の硬化反応を進行させつつ、第1の成形体10と、第2の成形体20とを圧縮することができる。すなわち、熱可塑性樹脂の融点を、熱硬化性樹脂の硬化温度よりも高いものとすることによって、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを加熱圧縮して、一体化することができるようになる。
熱可塑性樹脂としては、ナイロン6およびナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリエステルおよびポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルイミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、およびポリエーテルスルホン樹脂の中から選ばれる1種または2種以上を含むことが好ましい。なかでも、複合成形体30への新たな部品の接着を強固かつ容易なものとし、幅広い用途に応用できるようになる観点から、ナイロン6およびナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリエステルおよびポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂であることが好ましい。
熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは、抄造体21全量に対して5重量%以上であり、より好ましくは、15重量%以上であり、最も好ましくは、20重量%以上である。これにより、抄造体21の加工性や軽量性をより効果的に向上させることができる。一方で、熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは、抄造体21全量に対して80重量%以下であり、より好ましくは、60重量%以下であり、最も好ましくは、40重量%以下である。これにより、抄造体21を硬化して得られた硬化物の熱的特性をより効果的に向上させることが可能となる。
抄造体21は、さらに、以下のものを含んでもよい。
(繊維フィラーB)
繊維フィラーBは、たとえば金属繊維;炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維などの無機繊維;木材繊維、木綿、麻、羊毛等の天然繊維;レーヨン繊維などの再生繊維;セルロース繊維などの半合成繊維;ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、エチレンビニルアルコール繊維などの合成繊維から選択される一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、複合成形体30に熱伝導性を付与させる観点からは、金属繊維および無機繊維のうちの一種または二種以上を含むことが好ましく、金属繊維および炭素繊維のうちの少なくとも一方を含むことがより好ましい。また、複合成形体30の機械的特性を向上させる観点からは、合成繊維および無機繊維のうちの一種または二種以上を含むことがより好ましい。とくに、複合成形体30の曲げ強さを向上させる観点からは、炭素繊維を含むことがとくに好ましい。また、複合成形体30の耐衝撃性を向上させる観点からは、アラミド繊維を含むことがとくに好ましい。複合成形体30の電磁波遮蔽性能を向上させる観点からは、金属繊維を含むことがより好ましい。
金属繊維は、単独の金属元素で構成される金属繊維であっても、複数の金属で構成される合金繊維であってもよい。金属繊維は、たとえばアルミニウム、銀、銅、マグネシウム、鉄、クロム、ニッケル、チタン、亜鉛、錫、モリブデンおよびタングステンからなる群から選択される1種または二種以上の金属元素を含むことが好ましい。なお、本実施形態における金属繊維としては、たとえば日本精線株式会社やベカルトジャパン株式会社製のステンレス繊維、虹技株式会社製の銅繊維、アルミニウム繊維、黄銅繊維、鋼繊維、チタン繊維、リン青銅繊維などが市販品として入手可能であるが、これらに限定されるものではない。これらの金属繊維は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、これらのうち、熱伝導性という観点では銅繊維、アルミニウム繊維、黄銅繊維のいずれか1種以上が好ましく、電磁波シールド性という観点ではステンレス繊維、銅繊維、アルミニウム繊維のいずれか1種以上が好ましい。
繊維フィラーBとしては、必要特性に応じてシランカップリング剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリング剤などで表面処理したものや、樹脂との密着性や取り扱い性を向上させるために収束剤処理をしたものを使用してもよい。
繊維フィラーBは、必要特性に応じて種々の形状を有することができる。本実施形態においては、繊維フィラーBとして、たとえばチョップドファイバーを用いることができる。
繊維フィラーBの含有量は、抄造体21全体に対して15重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましく、45重量%以上であることがとくに好ましい。これにより、複合成形体30の機械的特性や熱的特性のバランスをより効果的に向上させることができる。一方で、繊維フィラーBの含有量は、抄造体21全体に対して80重量%以下であることが好ましく、70重量%以下であることがより好ましく、65重量%以下であることがとくに好ましい。これにより、抄造体21の加工性や軽量性を向上させることができる。また、繊維フィラーBの分散性をより効果的に向上させて、複合成形体30の機械的特性や熱的特性の向上に寄与することも可能である。
さらに、抄造体21は、たとえばパルプを含むことができる。パルプは、フィブリル構造を有する繊維材料であり、たとえば機械的または化学的に繊維材料をフィブリル化することによって得ることができる。後述する抄造法を用いた抄造体21の製造方法においては、熱可塑性樹脂A、繊維フィラーBとともにパルプを抄造することによって、熱可塑性樹脂Aをより効果的に凝集させることができることから、より安定的な抄造体21の製造を実現することが可能となる。
パルプとしては、たとえばリンターパルプ、木材パルプ等のセルロース繊維、ケナフ、ジュート、竹などの天然繊維、パラ型全芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)やその共重合体、芳香族ポリエステル繊維、ポリベンザゾール繊維、メタ型アラミド繊維やその共重合体、アクリル繊維、アクリロニトリル繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維がフィブリル化したものが挙げられる。パルプは、これらのうちの一種または二種以上を含むことができる。これらの中でも、抄造体21の機械的特性を向上させる観点や、繊維フィラーBの分散性を向上させる観点からは、アラミド繊維により構成されるアラミドパルプ、およびアクリロニトリル繊維により構成されるポリアクリロニトリルパルプのうちのいずれか一方または双方を含むことがとくに好ましい。
パルプの含有量は、抄造体21全量に対して0.5重量%以上であることが好ましく、1.5重量%以上であることがより好ましく、2重量%以上であることがとくに好ましい。これにより、抄造時における熱可塑性樹脂Aの凝集をより効果的に発生させて、さらに安定的な抄造体21の製造を実現することができる。また、パルプの含有量は、抄造体21全量に対して15重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、8重量%以下であることがとくに好ましい。これにより、複合成形体30の機械的特性や熱的特性をより効果的に向上させることが可能となる。
抄造体21は、たとえば凝集剤を含むことができる。凝集剤は、後述する抄造法を用いた抄造体21の製造方法において、熱可塑性樹脂A、繊維材料をフロック状に凝集させる機能を有する。このため、より安定的な樹脂シートの製造を実現することができる。
凝集剤は、たとえばカチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤、および両性高分子凝集剤から選択される一種または二種以上を含むことができる。このような凝集剤の例示としては、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、ホフマンポリアクリルアミド、マンニックポリアクリルアミド、両性共重合ポリアクリルアミド、カチオン化澱粉、両性澱粉、ポリエチレンオキサイドなどを挙げることができる。また、凝集剤において、そのポリマー構造や分子量、水酸基やイオン性基などの官能基量などは、必要特性に応じて特に制限無く調整することが可能である。
凝集剤の含有量は、上述した抄造体21の構成材料の合計量に対して0.05重量%以上であることが好ましく、0.1重量%以上であることがより好ましく、0.15重量%以上であることがとくに好ましい。これにより、抄造法を用いた抄造体21の製造において、収率の向上を図ることができる。一方で、凝集剤の含有量は、上述した抄造体21の構成材料の合計量に対して3重量%以下であることが好ましく、2重量%以下であることがより好ましく、1.5重量%以下であることがとくに好ましい。これにより、抄造法を用いた抄造体21の製造において、脱水処理等をより容易にかつ安定的に行うことが可能となる。
抄造体21は、たとえば上述の各成分の他に、イオン交換能を有する粉末状物質を含むことができる。イオン交換能を有する粉末状物質としては、たとえば粘土鉱物、鱗片状シリカ微粒子、ハイドロタルサイト類、フッ素テニオライト及び膨潤性合成雲母から選ばれる一種または二種以上の層間化合物を用いることが好ましい。粘土鉱物としては、たとえばスメクタイト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム及び燐酸チタニウムなどが挙げられる。ハイドロタルサイト類としては、たとえばハイドロタルサイト、ハイドロタルサイト状物質などが挙げられる。フッ素テニオライトとしては、たとえばリチウム型フッ素テニオライト、ナトリウム型フッ素テニオライトなどが挙げられる。膨潤性合成雲母としては、たとえばナトリウム型四珪素フッ素雲母、リチウム型四珪素フッ素雲母などが挙げられる。これらの層間化合物は、天然物であってもよく、合成されたものであってもよい。これらのうちでは、粘土鉱物がより好ましく、スメクタイトが天然物から合成物まで存在し、選択の幅が広いという点においてさらに好ましい。スメクタイトとしては、たとえばモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト及びスチーブンサイトなどが挙げられ、これらのうち、いずれか1種以上を使用できる。モンモリロナイトは、アルミニウムの含水ケイ酸塩であるが、モンモリロナイトを主成分とし、他に石英や雲母、長石、ゼオライトなどの鉱物を含んでいるベントナイトであってもよい。着色や不純物を気にする用途に用いる場合などには、不純物が少ない合成スメクタイトが好ましい。
また、抄造体21は、たとえば特性向上を目的とした酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤、離型剤、可塑剤、難燃剤、樹脂の硬化触媒や硬化促進剤、顔料、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤などの紙力向上剤、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、サイズ定着剤、消泡剤、酸性抄紙用ロジン系サイズ剤、中性製紙用ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニルコハク酸無水物系サイズ剤、特殊変性ロジン系サイズ剤などのサイズ剤、硫酸バンド、塩化アルミ、ポリ塩化アルミなどの凝結剤などの添加剤から選択される一種または二種以上を、生産条件調整や、要求される物性を発現させることを目的として含むことができる。
次に、抄造体21の製造方法について説明する。
図3は、本実施形態に係る抄造体21の製造方法の一例を示す断面模式図である。図3において、符号Aは熱可塑性樹脂を、符号Bは繊維材料を、符号Fは、溶媒中の熱可塑性樹脂Aと、繊維フィラーBと、をフロック状に凝集させて凝集物を、それぞれ示している。
まず、図3(a)に示すように、上述の各成分のうち凝集剤を除く成分を溶媒に添加して撹拌し、分散させる。ここでは、熱可塑性樹脂A、および必要に応じた他の添加剤(繊維フィラーBなど)を溶媒中へ添加して撹拌し、分散させることとなる。これにより、抄造体21を形成するための材料スラリー(ワニス状の樹脂組成物)が調製される。各成分を溶媒に分散させる方法としては、とくに限定されないが、たとえばディスパーザーを用いて撹拌する方法が挙げられる。
溶媒としては、とくに限定されないが、上記材料スラリーの構成材料を分散させる過程において揮発しにくいことと、抄造体21中への残存を抑制するために脱溶媒しやすいこと、脱溶媒によってエネルギーが増大してしまうことを抑制すること等の観点から、沸点が50℃以上200℃以下であるものが好ましい。このような溶媒としては、たとえば水や、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、エチレングリコールなどのアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類や、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチルなどのエステル類や、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、ジオキサン、フルフラールなどのエーテル類などを挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、供給量が豊富であり、安価、環境負荷が低い、安全性も高く扱いやすいという理由から水を用いることがとくに好ましい。
本実施形態においては、上記で得られた材料スラリー中に、凝集剤を添加することができる。これにより、溶媒中の熱可塑性樹脂Aと、例えば繊維フィラーBと、をフロック状に凝集させて凝集物Fを得ることがより容易となる。
次に、図3(b)に示すように、底面がメッシュ41で構成された容器に、溶媒と、上記で得られた凝集物Fと、を入れてメッシュ41から溶媒を排出し、溶媒を除去する。これにより、凝集物Fと溶媒を互いに分離することができる。このとき、メッシュ41上には凝集物Fがシート状となって残存することとなる。
本実施形態においては、メッシュ41の形状を適宜選択することによって、得られる抄造体21の形状を調整することが可能である。たとえば、平坦なシート形状のメッシュ41を用いた場合、シート様の形状を有する抄造体21が得られる。また、たとえば、波型、凹凸等の立体形状を有するメッシュ41を用いた場合、立体形状を有する抄造体21が得られる。抄造体21の形状は、複合成形体30の形状、金型の形状等に応じて適宜選択することができる。
また、抄造体21の厚みは、材料スラリー中の上記各材料の量を調整することにより、または図3(b)に示す抄造工程を繰り返すことにより調整することができる。
本実施形態においては、上記で得られたシート状の凝集物Fを取り出して、乾燥炉内に入れて乾燥させて、溶媒をさらに除去することができる。たとえばこのようにして、図3(c)に示すような抄造体21が製造されることとなる。
<複合成形体の製造方法>
つぎに、複合成形体30の製造方法について説明する。
まず、上述したように、熱可塑性樹脂Aと、繊維フィラーBとを溶媒に分散させて材料スラリーを調製した後、抄造法を用いて、前記材料スラリーから前記溶媒を除去して、抄造体21を得る。次に、抄造体21に熱硬化性樹脂材料11を接触させた状態で圧縮成形し、熱硬化性樹脂材料11を抄造体21に含浸させつつ、熱硬化性樹脂材料11に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させる工程と、を含む。以下、抄造体21を得た後の工程について、詳述する。
複合成形体30は、目的の形状を有する金型を用いて作製することができる。成型方法としては、例えば、圧縮成形、および圧縮成形と移送または射出を組み合わせた方法が挙げられる。以下、図4~6を用いて説明する。なお、本実施形態においては、抄造体21を加熱・加圧して、抄造プレ成形体22を作製する例について説明するが、抄造プレ成形体22を作製せず、抄造体21をそのまま成形加工してよい。
まず、抄造体21を加熱・加圧して、所望の形状に加工し、抄造プレ成形体22を作製する(図4参照)。加熱温度としては、抄造体21に含まれる熱可塑性樹脂の融点未満で成形することが好ましく、これにより通気性を有する抄造プレ成形体22とすることができる。また、加圧は0.5~5MPaであることが好ましい。
つぎに、図4に示すように、下金型51に、抄造プレ成形体22を配置し、その上から、熱硬化性樹脂材料11を充填する。この際、熱硬化性樹脂材料11がのちの工程において下金型51の内部において変形できるように、下金型51に対して、隙間を残すように熱硬化性樹脂材料11を充填することが好ましい。
また、熱硬化性樹脂材料11に含まれる熱硬化性樹脂は完全硬化していない状態、例えば、Bステージ状態にある。これにより、後述する複合成形体30の製造過程において、抄造プレ成形体22とともに圧縮成形することができ、熱硬化性樹脂の硬化温度以上とすることで完全硬化することができる。また、圧縮成形することで、熱硬化性樹脂材料11が、抄造プレ成形体22の内部に入り込むことができる。
つぎに、図5に示すように、上金型52を降下させ、熱硬化性樹脂材料11を抄造プレ成形体22に押し付けるようにして接触させ、続けて、図6に示すように、熱硬化性樹脂材料11と抄造プレ成形体22とを加熱圧着させる。これにより、熱硬化性樹脂材料11の一部が、抄造プレ成形体22との接触面から含浸するとともに、抄造体21が完全硬化する。すなわち、下金型51、上金型52内において、熱硬化性樹脂材料11と抄造プレ成形体22とを一体化させながら、または、一体化させたのちにおいて、熱硬化性樹脂を硬化させながら、または、硬化後に熱可塑性樹脂を冷却固化する。その結果、第1の成形体10と第2の成形体20とが一体化し、積層された複合成形体30を得ることができる(図1)。
加熱温度は、使用原料等によって適宜決定されるが、熱可塑性樹脂の融点以下であって、熱硬化性樹脂材料11に含まれる熱硬化性樹脂の硬化温度以上に加熱することが好ましい。例えば、フェノール樹脂が用いられている場合、150~200℃とすることが好ましく、160~180℃とすることがより好ましい。これにより、第1の成形体10と第2の成形体20の密着性を向上でき、複合成形体30の用途を幅広いものとできる。
また、加圧条件として、圧力は、10~80MPaとすることが好ましく、30~60MPaとすることがより好ましい。また、加圧時間は、好ましくは1~10分間程度がと好ましい。
本実施形態の複合成形体30の製造方法によれば、第1の成形体10および第2の成形体20に対して前処理を施したり、接着剤などを用いることなく、簡便かつ安定した方法で、両者を強固に一体化し、高い密着性を得ることができる。
以上説明した本実施形態の複合成形体30は、建築材料、自動車および航空機等の各種輸送機械、スポーツ用品等の種々の用途に広く利用できる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 第1の成形体と、第2の成形体と、が積層した複合成形体であって、
前記第1の成形体は、熱硬化性樹脂材料からなり、
前記第2の成形体は、熱可塑性樹脂を含む抄造体と、前記抄造体に含浸された前記熱硬化性樹脂材料とからなる、複合成形体。
2. 前記第2の成形体の厚み方向において、前記第1の成形体から離間するにつれて、前記熱硬化性樹脂材料に含まれる熱硬化性樹脂の含浸率が低減する濃度勾配を有する、1.に記載の複合成形体。
3. 前記抄造体の通気度が、3cm /cm ・s以上、15cm /cm ・s以下である、1.または2.に記載の複合成形体。
4. 前記抄造体の気孔率が、40%以上、90%以下である、1.乃至3.のいずれか一つに記載の複合成形体。
5. 前記熱可塑性樹脂の融点が160℃以上である、1.乃至4.のいずれか一つに記載の複合成形体。
6. 前記熱可塑性樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルイミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、およびポリエーテルスルホン樹脂の中から選ばれる1種または2種以上を含む、1.乃至5.のいずれか一つに記載の複合成形体。
7. 前記熱硬化性樹脂材料に含まれる熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂およびポリウレタンからなる群より選択される1種又は2種以上を含む、1.乃至6.のいずれか一つに記載の複合成形体。
8. 前記抄造体が繊維フィラーを含み、
前記繊維フィラーが、金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、およびエチレンビニルアルコール繊維の中から選ばれる1種または2種以上を含む、1.乃至7.のいずれか一つに記載の複合成形体。
9. 熱可塑性樹脂を溶媒に分散させて材料スラリーを調製した後、抄造法を用いて、前記材料スラリーから前記溶媒を除去して、抄造体を得る工程と、
前記抄造体に熱硬化性樹脂材料を接触させた状態で圧縮成形し、前記熱硬化性樹脂材料を前記抄造体に含浸させつつ、前記熱硬化性樹脂材料に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させる工程と、
を含む、複合成形体の製造方法。
10. 前記熱硬化性樹脂材料に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させる前記工程において、前記熱可塑性樹脂の融点以下であって、前記熱硬化性樹脂材料に含まれる熱硬化性樹脂の硬化温度以上に加熱する、9.に記載の複合成形体の製造方法。
次に、本発明の実施例について説明する。
<実施例1>
(熱硬化性樹脂材料の作製)
ノボラック型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製、品番A-1084 )と、硬化剤であるヘキサメチレンテトラミン(ヘキサミンと略す)と、ガラス繊維(日東紡績株式会社製カットファイバー、繊維の平均径11μm)と、離型剤であるステアリン酸カルシウムと、硬化助剤である酸化マグネシウムと、着色剤であるカーボンブラックと、を用いて以下のようにして熱硬化性樹脂材料を調製した。
まず、ノボラック型フェノール樹脂とヘキサミンとの混合物47質量%(ノボラック型フェノール樹脂40質量%、ヘキサミン7質量%)と、ガラス繊維50質量%と、硬化助剤1質量%と、着色剤1質量%と、離型剤1質量%と、を配合し、予備混合して混合物を得た。つぎに、得られた混合物を、105℃で、回転速度の異なった加熱ロールにより溶融混練し、シート状に冷却したものを粉砕して、顆粒状の熱硬化性樹脂材料を調製した。
(抄造体の作製)
熱可塑性樹脂としてポリフェニレンサルファイド繊維(PPS繊維:東レ株式会社「トルコン S111-3T-6mm」)を、溶媒である水に添加して、ディスパーザーを用いて、周速16m/秒で、30分撹拌してスラリーを得た。
次いで、凝集剤として、ポリエチレンオキシド(和光純薬工業株式会社製、分子量1,000,000)水溶液を、上述の材料の合計に対して0.1重量%添加し、上記材料をフロック状に凝集させた。
このようにして得た凝集物を含むスラリーを、30メッシュの金属網にとおして水を濾去した。この後、金属網上に残った凝集物を取り出し、脱水プレスし、さらに50℃の乾燥器に5時間入れて乾燥させて、シート状の抄造体を得た。得られた抄造体は、PPS繊維100vol%であった。
(抄造プレ成形体の作製)
抄造体を、以下の条件で加工し、抄造プレ成形体を作製した。
温度:150℃、圧力:2MPa、時間:20分、取り出し温度:150℃
(複合成形体の製造)
得られた抄造プレ成形体を金型に配置し、当該金型内に、上記で得られた熱硬化性樹脂材料を配置して圧縮成型を行い、複合成形体を得た。
・条件
温度:180℃、型締圧:30MPa、時間:10分、取り出し温度:180℃
<比較例1>
実施例1と同様の手法でシート状抄造体を作成した後、以下の条件で抄造プレ成形体を作製した。
温度:290℃、圧力:3MPa、時間:10分、取り出し温度:70℃
熱可塑性樹脂の融点以上で加熱することにより、抄造プレ成形体の通気性をなくし、後の複合成形体形成時において、熱硬化性樹脂材料が抄造プレ成形体の内部に含浸できないものとした。
つぎに、実施例1と同様にして、金型に配置し、複合成形体を作成した。
(評価-1)
実施例1で得られた抄造プレ成形体、比較例1で得られた抄造プレ成形体について以下の測定を行った。結果を表1に示す。
・通気度の測定
一般不織布試験法のフラジール形法(JIS L 1913)に準拠して測定した。
・気孔率の測定
気孔率を下記式によって求めた。
気孔率(%)={1-(材料の嵩密度(g/cm)/材料の真密度(g/cm))}×100
(評価-2)
実施例および比較例で得られた複合成形体について、以下の測定を行った。結果を、表1に示す。
・曲げ試験:曲げ弾性率(GPa)、および曲げ強度(MPa)の測定
ISO178に準拠して、曲げ弾性率(GPa)と曲げ強度(MPa)とを測定した。
・破断ひずみ(%)の測定
ISO178に準拠して、破断ひずみ(%)を測定した。
・剥離の有無
上記の曲げ試験後の複合成形体において、界面剥離の有無を光学顕微鏡を用いて確認した。
さらに、実施例1で得られた複合成形体の断面を研磨して光学顕微鏡観察を行ったところ、抄造体の内部に熱硬化性樹脂(フェノール樹脂)が含浸し、抄造体の厚み方向において、熱硬化性樹脂の成形体から離間するにつれて、熱硬化性樹脂の含浸率が低減する濃度勾配があることが確認された。
一方、比較例1で得られた複合成形体においては、熱硬化性樹脂が含浸していることを確認できなかった。
Figure 0007151165000001
10 第1の成形体
11 熱硬化性樹脂材料
20 第2の成形体
21 抄造体
22 抄造プレ成形体
30 複合成形体
41 メッシュ
51 下金型
52 上金型
A 熱可塑性樹脂
B 繊維フィラー
F 凝集物

Claims (10)

  1. 第1の成形体と、第2の成形体と、が積層した複合成形体であって、
    前記第1の成形体は、熱硬化性樹脂材料からなり、
    前記第2の成形体は、熱可塑性樹脂を含む抄造体と、前記抄造体に含浸された前記熱硬化性樹脂材料とからなり、
    前記熱硬化性樹脂材料が、熱硬化性樹脂、および繊維フィラーを含み、
    前記熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂およびポリウレタンからなる群より選択される1種又は2種以上を含む、複合成形体。
  2. 前記第2の成形体の厚み方向において、前記第1の成形体から離間するにつれて、前記熱硬化性樹脂材料に含まれる熱硬化性樹脂の含浸率が低減する濃度勾配を有する、請求項1に記載の複合成形体。
  3. 前記抄造体の通気度が、3cm/cm・s以上、15cm/cm・s以下である、請求項1または2に記載の複合成形体。
  4. 前記抄造体の気孔率が、40%以上、90%以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の複合成形体。
  5. 前記熱可塑性樹脂の融点が160℃以上である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の複合成形体。
  6. 前記熱可塑性樹脂は、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルイミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、およびポリエーテルスルホン樹脂の中から選ばれる1種または2種以上を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の複合成形体。
  7. 前記繊維フィラーが、金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、およびエチレンビニルアルコール繊維の中から選ばれる1種または2種以上を含む、請求項1乃至のいずれか一項に記載の複合成形体。
  8. 熱可塑性樹脂を溶媒に分散させて材料スラリーを調製した後、抄造法を用いて、前記材料スラリーから前記溶媒を除去して、抄造体を得る工程と、
    前記抄造体に熱硬化性樹脂材料を接触させた状態で圧縮成形し、前記熱硬化性樹脂材料を前記抄造体に含浸させつつ、前記熱硬化性樹脂材料に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させる工程と、
    を含み、
    前記熱硬化性樹脂材料が、熱硬化性樹脂、および繊維フィラーを含み、
    前記熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂およびポリウレタンからなる群より選択される1種又は2種以上を含む、複合成形体の製造方法。
  9. 前記熱硬化性樹脂材料に含まれる熱硬化性樹脂を硬化させる前記工程において、前記熱可塑性樹脂の融点以下であって、前記熱硬化性樹脂材料に含まれる熱硬化性樹脂の硬化温度以上に加熱する、請求項9に記載の複合成形体の製造方法。
  10. 前記繊維フィラーが、金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、およびエチレンビニルアルコール繊維の中から選ばれる1種または2種以上を含む、請求項8または9に記載の複合成形体の製造方法。
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