JP5609765B2 - 複合樹脂組成物及び電磁波遮蔽性に優れた成形体 - Google Patents
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Description
(1)構成材料として、(A)電磁波遮蔽性繊維及び(B)樹脂を含む複合樹脂組成物であって、前記樹脂組成物を成形して得られる成形物における、KEC法により測定した800MHzの電界波遮蔽性が20dB以上であり、JIS K 6911に準拠して測定した曲げ強度が80MPa以上、曲げ弾性率が8GPa以上であり、JIS K 6911に準拠して測定した比重が1以上5以下であり、平面方向の線膨脹係数が0.1ppm/℃以上50ppm/℃以下であることを特徴とする複合樹脂組成物。
も1種の層間化合物であることを特徴とする第(9)項に記載の複合樹脂組成物。
とすることにより、優れた電磁波遮蔽性を有する成形体を得ることができる。本発明で、KEC法により電界波遮蔽性を測定する試験片としては、その形状などを特に限定されるものではないが、例えば、縦120mm×横120mm×厚み1mmの成形物を用いることができる。複合樹脂組成物を用いて、電界波遮蔽性評価用の試験片用とする成形物を成形する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、プレス成形、コンプレッション成形、カレンダーロール成形、SMC法、射出成形、マッチドダイ法、金属や樹脂、織布、不織布などとの積層成形などの成形方法を用いることができる。この際、構成材料の(B)樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合においては、硬化成形後に、成形温度に対して±20℃程度の範囲内で、1〜6時間程度のアニール処理をすることが好ましい。
)、日東紡製のガラス繊維、電気化学工業(株)製のアルミナ繊維であるデンカアルセンなどが市販品として入手可能であるが、これらに限定されるものではない。
高分子凝集剤を添加し、構成材料などをフロック状に凝集させ、その凝集物を溶媒と分離させた後、その溶媒を除去することにより得ることができるが、この方法に限定されるものではなく、カードマシンなどで電磁波遮蔽性繊維とウェブを形成させ樹脂を含浸し複合樹脂を作製する方法や、樹脂中に電磁波遮蔽性繊維を配合する方法なども挙げられる。
実施例に記載している原材料は、あらかじめ含有されている水分量を抜いた質量部で表している。
(1)実施例1
アトマイザー粉砕機で平均粒径100μmに粉砕した固形レゾール樹脂(住友ベークライト(株)製PR−51723)45部と、ベントナイト(クニミネ工業(株)製商品名クニピア)2部、繊維長5mm、繊維径6μmのステンレス繊維(日本精線(株)製商品名ナスロン)1部、ケブラー(登録商標)パルプ1F303(東レ・デュポン(株)製)12部、テクノーラ(登録商標)繊維T32PNW(帝人テクノプロダクツ(株)製)40部を10000部の水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌した後、あらかじめ水に溶解させたポリエチレンオキシド分子量1,000,000(和光純薬工業(株)製)を構成材料に対して900ppm添加を行い、構成材料をフロック状に凝集させる。その凝集物を80メッシュの金属網で水と分離し、この後その凝集物を、脱水プレスし、さらに70℃の乾燥器に6時間入れて乾燥させ、複合樹脂組成物を99%の収率で得た。尚、収率の測定方法の詳細は後述する。
アトマイザー粉砕機で平均粒径100μmに粉砕した固形レゾール樹脂(住友ベークライト(株)製PR−51723)45部と、ベントナイト(クニミネ工業(株)製商品名クニピア)5部、繊維長5mm、繊維径6μmのステンレス繊維(日本精線(株)製商品名ナスロン)4部、ケブラー(登録商標)パルプ1F303(東レ・デュポン(株)製)6部、テクノーラ(登録商標)繊維T32PNW(帝人テクノプロダクツ(株)製)40部を10000部の水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌した後、あらかじめ水に溶解させたポリエチレンオキシド分子量1,000,000(和光純薬工業(株)製)を構成材料に対して0.3%添加を行い、構成材料をフロック状に凝集させる。その凝集物を80メッシュの金属網で水と分離し、この後その凝集物を、脱水プレスし、さらに70℃の乾燥器に6時間入れて乾燥させ、複合樹脂組成物を99%の収率で得た。
アトマイザー粉砕機で平均粒径100μmに粉砕した固形レゾール樹脂(住友ベークライト(株)製PR−51723)30部と、ベントナイト(クニミネ工業(株)製商品名クニピア)3部、繊維長5mm、繊維径6μmのステンレス繊維(日本精線(株)製商品名ナスロン)32部、ケブラー(登録商標)パルプ1F303(東レ・デュポン(株)製)10部、テクノーラ(登録商標)繊維T32PNW(帝人テクノプロダクツ(株)製)25部を10000部の水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌した後、あらかじめ
水に溶解させたポリエチレンオキシド分子量1,000,000(和光純薬工業(株)製)を構成材料に対して0.5%添加を行い、構成材料をフロック状に凝集させる。その凝集物を80メッシュの金属網で水と分離し、この後その凝集物を、脱水プレスし、さらに70℃の乾燥器に6時間入れて乾燥させ、複合樹脂組成物を96%の収率で得た。
凍結粉砕機で、平均粒径300μmに粉砕した粉砕したアクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂(ダイセル工業(株)製商品名セビアンN)を45部と、鱗片状シリカ微粒子(AGCエスアイテック(株)製商品名サンラブリー)5部、繊維長5mm、繊維径6μmのステンレス繊維(日本精線(株)製商品名ナスロン)5部、繊維径22μm、繊維長5mmのポリビニルアルコール繊維((株)クラレ製商品名ビニロン)45部を10000部の水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌した後、あらかじめ水に溶解させたカチオン性ポリアクリルアミド(ハリマ化成(株)製)を構成材料に対して0.4%の重量になるように添加を行い、構成材料をフロック状に凝集させる。その凝集物を40メッシュの金属網で水と分離し、この後その凝集物を、脱水プレスし、さらに130℃の乾燥器に6時間入れて乾燥させ、複合樹脂組成物を92%の収率で得た。
高圧ホモジナイザーで平均粒径30μmに粉砕したエポキシ樹脂1002(三菱化学(株)製)10部と、イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤2PZ−PW(四国化成工業(株)製)1部、合成サポナイト(クニミネ工業(株)製商品名スメクトンSA)3部、繊維長3mm、繊維径60μmの銅繊維(虹技(株)製)77部、繊維長5mm、繊維径6μmのステンレス繊維5部(日本精線(株)製商品名ナスロン)、セルロースパルプ(日本製紙ケミカル(株)製商品名NDPT)4部を10000部の水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌した後、あらかじめ水に溶解させた三和澱粉工業(株)製カチオン化澱粉SC−5を構成材料に対して0.3%添加を行い、構成材料をフロック状に凝集させる。その凝集物を40メッシュの金属網で水と分離し、この後その凝集物を、脱水プレスし、さらに100℃の乾燥器に4時間入れて乾燥させ、複合樹脂組成物を95%の収率で得た。
アトマイザー粉砕機で平均粒径100μmに粉砕した固形レゾール樹脂(住友ベークライト(株)製PR−51723)45部と、ベントナイト(クニミネ工業(株)製商品名クニピア)5部、繊維長5mm、ケブラー(登録商標)パルプ1F303(東レ・デュポン(株)製)6部、テクノーラ(登録商標)繊維T32PNW(帝人テクノプロダクツ(株)製)44部を10000部の水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌した後、あらかじめ水に溶解させたポリエチレンオキシド分子量1,000,000(和光純薬工業(株)製)を構成材料に対して0.1%添加を行い、構成材料をフロック状に凝集させる。その凝集物を80メッシュの金属網で水と分離し、この後その凝集物を、脱水プレスし、さらに70℃の乾燥器に6時間入れて乾燥させ、複合樹脂組成物を99%の収率で得た。
(1)実施例6
実施例1で得られた複合樹脂組成物を、離型剤を塗布した金型にセットし、複合樹脂組成物に対して、面圧30MPa加圧下でコンプレッション成形を180℃、10分行い、縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た。
実施例2で得られた複合樹脂組成物を、離型剤を塗布した金型にセットし、複合樹脂組
成物に対して、面圧30MPa加圧下でコンプレッション成形を180℃、10分行い、縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た。
実施例3で得られた複合樹脂組成物を、離型剤を塗布した金型にセットし、複合樹脂組成物に対して、面圧30MPa加圧下でコンプレッション成形を180℃、10分行い、縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た。
実施例4で得られた複合樹脂組成物を、離型剤を塗布した金型にセットし、複合樹脂組成物に対して、面圧15MPa加圧下でコンプレッション成形を200℃、10分行い、50℃まで金型を冷却させて縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た。
実施例5で得られた複合樹脂組成物を、離型剤を塗布した金型にセットし、複合樹脂組成物に対して、面圧10MPa加圧下でコンプレッション成形を160℃、60分行い、縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た。
比較例1で得られた複合樹脂組成物を、離型剤を塗布した金型にセットし、複合樹脂組成物に対して、面圧30MPa加圧下でコンプレッション成形を180℃、10分行い、縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た。
3.1 複合樹脂組成物
(1)収率
下記式により算出した。
収率(%)=(得られた複合樹脂組成物の重量/仕込んだ複合樹脂組成物原料の重量合計)×100
得られた複合樹脂組成物については、乾燥後の重量を用い、仕込んだ複合樹脂組成物原料の合計重量に関しては、水分を抜いた量を用いた。
比重測定は、JIS K 6911(熱硬化性プラスチック一般試験方法)に準拠して行った。試験片は、縦2cm×横2cm×厚み2mmになるように成形体から切り出したものを用いた。
縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た成形条件と同一の成形条件で、縦12cm×横12cm×厚み1mmの成形体を作製し、それを試験片として用いた。次に、KEC法にて評価を行った。KEC法とは、一般社団法人関西電子工業振興センターによる測定方法で、左右対称に分割したシールドボックスに試験片をはさみ、スペクトラムアナライザーにて試験片を介しての電磁波の減衰度を測定するものである。
電磁波遮蔽性と電磁波遮蔽率の関係は下記に例を示す。
電磁波遮蔽性60dBとは、電磁波遮蔽率99.9%を示す。
電磁波遮蔽性40dBとは、電磁波遮蔽率99.0%を示す。
電磁波遮蔽性20dBとは、電磁波遮蔽率90.0%を示す。
曲げ試験は、JIS K 6911(熱硬化性プラスチック一般試験方法)に準拠して行った。試験片は、縦50mm×横25mm×厚み2mmになるように成形体から切り出したものを用いた。曲げ試験の支点間距離は32mmで行った。
縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た成形条件に対して、成形時間のみを3倍として、縦5mm×横30mm×長さ10mmの成形体を作製し、それを縦5mm×横5mm×長さ10mmの試験片に切断し、熱機械的分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、TMA−6000)を用いて、長さ方向の線膨脹係数を測定した。昇温速度は、5℃/分とし、線膨脹係数(α1)を80〜120℃の温度範囲で求めた。
実施例1〜5は、いずれも、高い収率で複合樹脂組成物得られた。また、実施例6〜10は、いずれも、800MHzの電界波遮蔽性が20dB以上、曲げ強度が80MPa以上、曲げ弾性率が8GPa以上であり、比重が1以上5以下、かつ平面方向の線膨脹係数が0.1ppm/℃以上50ppm/℃以下と、特性バランスに優れた成形体が得られることが分かった。一方、比較例2の成形体は、電界波を遮蔽する効果はみられなかった。このことから、本発明により、加工性や軽量性などの特性と、電磁波遮蔽性、剛性などの特性とのバランスに優れた成形体を得ることができることが分かる。
従って、本発明の複合樹脂組成物より得られた成形体は、パソコンや携帯電話、携帯情報端末、プラズマディスプレイテレビ、液晶テレビ、OA機器、ゲーム機器、娯楽用品、エアコン、オーディオ、光学機器、照明器具などの電子製品や、車載用のエレクトロニクス製品の内部機構部品、筐体等の構成部品への適用や、建築用構造材料、航空分野、宇宙分野、自動車分野などの部品等に使用が可能になり、メッキ工程の削減や、軽量化における燃費の向上や省エネルギー化に寄与することができるため、環境負荷を低減することが可能となる。
Claims (17)
- (A)電磁波遮蔽性繊維及び(B)樹脂及び(D)イオン交換能を有する粉末状物質を含む構成材料を溶媒に分散させた後、高分子凝集剤を添加し、構成材料をフロック状に凝集させ、その凝集物を溶媒と分離させた後、その溶媒を除去してなる複合樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物を成形して得られる成形物における、KEC法により測定した800MHzの電界波遮蔽性が20dB以上であり、JIS K 6911に準拠して測定した曲げ強度が80MPa以上、曲げ弾性率が8GPa以上であり、JIS K 6911に準拠して測定した比重が1以上5以下であり、平面方向の線膨脹係数が0.1ppm/℃以上50ppm/℃以下であることを特徴とする複合樹脂組成物。 - 前記(A)電磁波遮蔽性繊維の平均繊維長さが500μm以上10mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の複合樹脂組成物。
- 前記(A)電磁波遮蔽性繊維の含有量は、複合樹脂組成物全体の1質量%以上90質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合樹脂組成物。
- 前記(A)電磁波遮蔽性繊維が金属繊維を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
- 前記金属繊維を構成する金属元素は、鉄、銀、ニッケル、アルミニウム及び銅から選ばれる少なくとも一種の金属元素を含むことを特徴とする請求項4に記載の複合樹脂組成物。
- 前記構成材料として、さらに(C)前記(A)電磁波遮蔽性繊維以外の繊維を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
- 前記(A)電磁波遮蔽性繊維以外の前記(C)成分の繊維が、木材繊維、木綿、麻、羊毛などの天然繊維、レーヨン繊維などの再生繊維、セルロース繊維などの半合成繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、エチレンビニルアルコール繊維などの合成繊維、ならびに、ガラス繊維、セラミック繊維などの無機繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維を含むことを特徴とする請求項6に記載の複合樹脂組成物。
- 前記(B)樹脂の平均粒径が500μm以下であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
- 前記(D)イオン交換能を有する粉末状物質が、粘土鉱物、鱗片状シリカ微粒子、ハイドロタルサイト類、フッ素テニオライト及び膨潤性合成雲母から選ばれる少なくとも1種の層間化合物であることを特徴とする請求項1ないし8に記載の複合樹脂組成物。
- 前記(D)イオン交換能を有する粉末状物質が、スメクタイト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム及び燐酸チタニウムから選ばれる少なくとも1種の粘土鉱物を含むことを特徴とする請求項1ないし8に記載の複合樹脂組成物。
- 前記(D)イオン交換能を有する粉末状物質が、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト及びスチーブンサイトから選ばれる少なくとも1種のスメクタイトを含むことを特徴とする請求項1ないし8に記載の複合樹脂組成物。
- 前記(D)イオン交換能を有する粉末状物質がモンモリロナイトを含むことを特徴とする請求項1ないし8に記載の複合樹脂組成物。
- 前記(D)イオン交換能を有する粉末状物質の含有量は、複合樹脂組成物全体の0.1質量%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
- 前記構成材料として、さらに(E)無機粉末及び金属粉末から選ばれる少なくとも一種のフィラー粉末を含むことを特徴とする請求項1ないし13のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
- 前記金属粉末を構成する金属元素は、アルミニウム、銀、銅、マグネシウム、鉄、クロム、ニッケル、チタン、亜鉛、錫、モリブデン及びタングステンから選ばれる少なくとも一種の金属元素を含むことを特徴とする請求項14に記載の複合樹脂組成物。
- 前記溶媒の沸点が50℃以上200℃以下であることを特徴とする請求項1ないし15のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
- 請求項1ないし16のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物を用いてなることを特徴とする電磁波遮蔽性に優れた成形体。
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