JP5609765B2 - 複合樹脂組成物及び電磁波遮蔽性に優れた成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、複合樹脂組成物及び電磁波遮蔽性に優れた成形体に関する。
電子機器から発生する電磁波は、他の電子機器や人体等、環境へ悪影響を及ぼす懸念があり、近年電磁波に関しての関心が高まっている。電磁波を低減させるため、導電性を有する筐体などで電子機器を覆うような対策などの取り組みがされている。
導電性を有する筐体として、金属製や、樹脂製の筐体にメッキを施したり、金属箔を貼り付けたり、金属製の不織布や織布、板で覆うなどの方法が提案されている。しかしながら、金属材料は電磁波を遮蔽するうえで優れているが、比重が大きいため製品重量の増加の要因となり、樹脂材料と比較して加工性も悪く複雑な形状の作製は難しい。
また、樹脂の無電解メッキなどの手法による表面金属コートは、複雑な形状に追従するため、樹脂の軽いという特徴を活かしたまま、電磁波を遮蔽することが可能となる。しかし、無電解メッキを例にとると、その工程は脱脂、エッチング、触媒化、活性化、無電解メッキ、電気メッキという多くの工程を必要とする煩雑なものであり、かつ薬品の使用量が多く、メッキ液の処理などの環境負荷への対応も必要となるなど、生産コストの増加につながる点で改善の余地があった。
また、樹脂製の筐体に、金属箔や金属製の不織布、織布、板等の貼付を行うような手法については、複雑な形状への追従も難しく、隙間なく表面または内面を覆わなければならないなどの課題もあり、精密な貼付工程が必要となりコスト増の要因につながる点で改善の余地があった。そのため、金属繊維で作製した不織布の内部空隙に、熱可塑性樹脂を充填し、金属繊維に柔軟性と屈曲性をもたせた電磁波遮蔽シートを作製する検討がなされている(例えば、特許文献1参照)。
また、金属粉末や、金属繊維を樹脂と混合させ、電磁波遮蔽性の発現が試みられているが、樹脂と金属の比重が異なるため、うまく混錬させることができずに材料内で偏析したり、機械的せん断力により金属繊維が折れたりするなどの課題があり、その課題を解決するために、導電性繊維を柔軟な熱可塑性樹脂と共に射出成形し、柔軟な樹脂の存在により、導電性繊維が破損されずに電磁波遮蔽性能を発現させた方法などが提案されている(例えば、特許文献2)。
特開2000−091786号公報 特開2006−278574号公報
しかしながら、特許文献1記載の方法では、あらかじめ金属繊維で不織布を作製し、その空隙に熱可塑性樹脂を充填することにより、柔軟性と屈曲性に優れた電磁波遮蔽材を提案しているが、金属不織布を柱として材料を作製しているため金属の比率が多くなり、製品の重量増の要因となる。また、金属不織布の形状を作製させる必要があるため、金属繊維と樹脂の比率の調整が難しいという点に課題を残していた。
また、特許文献2記載の方法では、金属繊維を機械的せん断力により切断しないために、柔軟な熱可塑性樹脂の使用が必須となり、成形材料自体の耐熱性が低下したり、剛性が低いなどの理由により、用途によっては使用することが難しいという課題を残していた。
本発明の目的は、金属材料よりも成形加工性、軽量性に優れ、かつ樹脂材料よりも電磁波遮蔽性、機械的強度に優れる複合樹脂組成物を提供することにある。
上述の目的は、以下の第(1)項〜第(18)項によって達成される。
(1)構成材料として、(A)電磁波遮蔽性繊維及び(B)樹脂を含む複合樹脂組成物であって、前記樹脂組成物を成形して得られる成形物における、KEC法により測定した800MHzの電界波遮蔽性が20dB以上であり、JIS K 6911に準拠して測定した曲げ強度が80MPa以上、曲げ弾性率が8GPa以上であり、JIS K 6911に準拠して測定した比重が1以上5以下であり、平面方向の線膨脹係数が0.1ppm/℃以上50ppm/℃以下であることを特徴とする複合樹脂組成物。
(2)前記(A)電磁波遮蔽性繊維の平均繊維長さが500μm以上10mm以下であることを特徴とする第(1)項に記載の複合樹脂組成物。
(3)前記(A)電磁波遮蔽性繊維の含有量は、複合樹脂組成物全体の1質量%以上90質量%以下であることを特徴とする第(1)項又は第(2)項に記載の複合樹脂組成物。
(4)前記(A)電磁波遮蔽性繊維が金属繊維を含むことを特徴とする第(1)項ないし第(3)項のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
(5)前記金属繊維を構成する金属元素は、鉄、銀、ニッケル、アルミニウム及び銅から選ばれる少なくとも一種の金属元素を含むことを特徴とする第(4)項に記載の複合樹脂組成物。
(6)前記構成材料として、さらに(C)前記(A)電磁波遮蔽性繊維以外の繊維を含むことを特徴とする第(1)項ないし第(5)項のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
(7)前記(A)電磁波遮蔽性繊維以外の前記(C)成分の繊維が、木材繊維、木綿、麻、羊毛などの天然繊維、レーヨン繊維などの再生繊維、セルロース繊維などの半合成繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、エチレンビニルアルコール繊維などの合成繊維、ならびに、ガラス繊維、セラミック繊維などの無機繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維を含むことを特徴とする第(6)項に記載の複合樹脂組成物。
(8)前記(B)樹脂の平均粒径が500μm以下であることを特徴とする第(1)項ないし第(7)項のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
(9)前記構成材料を溶媒に分散させた後、高分子凝集剤を添加し、構成材料をフロック状に凝集させ、その凝集物を溶媒と分離させた後、その溶媒を除去してなる複合樹脂組成物であって、前記構成材料として、さらに(D)イオン交換能を有する粉末状物質を含むことを特徴とする第(1)項ないし第(8)項のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
(10)前記(D)イオン交換能を有する粉末状物質が、粘土鉱物、鱗片状シリカ微粒子、ハイドロタルサイト類、フッ素テニオライト及び膨潤性合成雲母から選ばれる少なくと
も1種の層間化合物であることを特徴とする第(9)項に記載の複合樹脂組成物。
(11)前記(D)イオン交換能を有する粉末状物質が、スメクタイト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム及び燐酸チタニウムから選ばれる少なくとも1種の粘土鉱物を含むことを特徴とする第(9)項に記載の複合樹脂組成物。
(12)前記(D)イオン交換能を有する粉末状物質が、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト及びスチーブンサイトから選ばれる少なくとも1種のスメクタイトを含むことを特徴とする第(9)項に記載の複合樹脂組成物。
(13)前記(D)イオン交換能を有する粉末状物質がモンモリロナイトを含むことを特徴とする第(9)項に記載の複合樹脂組成物。
(14)前記(D)イオン交換能を有する粉末状物質の含有量は、複合樹脂組成物全体の0.1質量%以上30質量%以下であることを特徴とする第(9)ないし第(13)項のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
(15)前記構成材料として、さらに(E)無機粉末及び金属粉末から選ばれる少なくとも一種のフィラー粉末を含むことを特徴とする第(1)項ないし第(14)項のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
(16)前記金属粉末を構成する金属元素は、アルミニウム、銀、銅、マグネシウム、鉄、クロム、ニッケル、チタン、亜鉛、錫、モリブデン及びタングステンから選ばれる少なくとも一種の金属元素を含むことを特徴とする第(15)項に記載の複合樹脂組成物。
(17)前記溶媒の沸点が50℃以上200℃以下であることを特徴とする第(9)項ないし第(16)項のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
(18)第(1)項ないし第(17)項のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物を用いてなることを特徴とする電磁波遮蔽性に優れた成形体。
本発明に従うと、金属材料よりも成形加工性、軽量性に優れ、かつ樹脂材料よりも電磁波遮蔽性、機械的強度に優れる複合樹脂組成物を得ることができる。
本発明の複合樹脂組成物は、構成材料として、(A)電磁波遮蔽性繊維及び(B)樹脂を含む複合樹脂組成物であって、樹脂組成物を成形して得られる成形物における、KEC法により測定した800MHzの電界波遮蔽性が20dB以上であり、JIS K 6911に準拠して測定した曲げ強度が80MPa以上、曲げ弾性率が8GPa以上であり、JIS K 6911に準拠して測定した比重が1以上5以下であり、平面方向の線膨脹係数が0.1ppm/℃以上50ppm/℃以下であることを特徴とする。このような構成とすることにより、金属材料よりも成形加工性、軽量性に優れ、かつ樹脂材料よりも電磁波遮蔽性、機械的強度に優れる複合樹脂組成物を得ることができる。以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の複合樹脂組成物は、これを成形して得られる成形物いおける、KEC法により測定した800MHzの電界波遮蔽性が20dB以上であるものが好ましく、30dB以上であるものがより好ましく、40dB以上であるものが特に好ましい。上記下限値以上
とすることにより、優れた電磁波遮蔽性を有する成形体を得ることができる。本発明で、KEC法により電界波遮蔽性を測定する試験片としては、その形状などを特に限定されるものではないが、例えば、縦120mm×横120mm×厚み1mmの成形物を用いることができる。複合樹脂組成物を用いて、電界波遮蔽性評価用の試験片用とする成形物を成形する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、プレス成形、コンプレッション成形、カレンダーロール成形、SMC法、射出成形、マッチドダイ法、金属や樹脂、織布、不織布などとの積層成形などの成形方法を用いることができる。この際、構成材料の(B)樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合においては、硬化成形後に、成形温度に対して±20℃程度の範囲内で、1〜6時間程度のアニール処理をすることが好ましい。
本発明の複合樹脂組成物は、これを成形して得られる成形物における、JIS K 6911に準拠して測定した曲げ強度が80MPa以上であるものが好ましく、120MPa以上であるものがより好ましく、150MPa以上であるものが特に好ましい。上記下限値以上とすることにより、強度に優れた成形体を得ることができる。また、本発明の複合樹脂組成物は、これを成形して得られる成形物における、JIS K 6911に準拠して測定した曲げ弾性率が8GPa以上であるものが好ましく、10GPa以上であるものがより好ましく、12GPa以上であるものが特に好ましい。上記下限値以上とすることにより、剛性に優れた成形体を得ることができる。
本発明の複合樹脂組成物は、これを成形して得られる成形物における、JIS K 6911に準拠して測定した比重が1以上5以下であるものが好ましく、1以上4以下であるものがより好ましく、1以上2以下であるものが特に好ましい。上記上限値以下とすることにより、軽量性に優れた成形体を得ることができる。また、質感を求められるような場合は、比重が大きいものを要求される場合もあり、そのような場合には、成形体の比重が3以上5以下であるものが好ましい。
本発明の複合樹脂組成物は、これを成形して得られる成形物における、平面方向の線膨脹係数が0.1ppm/℃以上50ppm/℃以下であるものが好ましく、1ppm/℃以上45ppm/℃以下であるものがより好ましく、3ppm/℃以上40ppm/℃以下であるものが特に好ましい。上記上限値以下とすることにより、低応力性に優れた成形体を得ることができる。
本発明の複合樹脂組成物を成形して得られる成形物における、電界波遮蔽性、曲げ強度、曲げ弾性率、比重及び平面方向の線膨脹係数が上述した範囲となるようにするためには、複合樹脂組成物の構成材料である(A)電磁波遮蔽性繊維の種類や形状など、(B)樹脂の種類や形状など、ならびに、(A)電磁波遮蔽性繊維と(B)樹脂との配合比率を変更することなどにより、調整することができる。
本発明の複合樹脂組成物は、(A)電磁波遮蔽性繊維を含むものとすることができる。(A)電磁波遮蔽性繊維の平均繊維長さは、特に限定されるものではなく、要求される特性に応じて適宜選択することが望ましいが、例えば、500μm以上10mm以下であることが好ましい。成形加工性の観点からは、500μm以上3mm以下であることがより好ましく、熱伝導性や、電磁波遮蔽性、剛性などの特性が向上するという観点からは、3mm以上8mm以下であることが特に好ましい。平均繊維長さが上記下限値未満の場合は、繊維長が短すぎるため、電磁波遮蔽性、剛性などの特性は発現しにくい場合がある。また、平均繊維長さが上記上限値を超えると、電磁波遮蔽性には有効であるが、成形加工性が低下する原因になるので好ましくない。尚、平均繊維長の異なる複数の電磁波遮蔽性繊維を用いる場合には、その一部として、平均繊維長が上記下限値未満のものを用いることは可能である。この場合、長繊維のものを用いることによる電磁波遮蔽性の発現を損なうことなく、成形加工性を向上させることができる。
(A)電磁波遮蔽性繊維の含有量は、特に限定されるものではなく、求められる要求に応じて適宜設定することが好ましいが、例えば、樹脂の加工性や軽量性が要求された場合は、複合樹脂組成物全体の含有量の1質量%以上30質量%未満にすることが好ましく、電磁波遮蔽効果と成形加工性をバランスよく発現していることが要求された場合は、複合樹脂組成物全体の含有量の30質量%以上60質量%未満にすることが好ましく、高い電磁波遮蔽効果が要求された場合には、複合樹脂組成物全体の含有量の60質量%以上90質量%以下にすることが望ましい。複合樹脂組成物全体の含有量の1質量%未満の場合には、軽量性や加工性が向上するが、電磁波遮蔽効果が薄い。また、複合樹脂組成物全体の含有量の90質量%より多い場合には、電磁波遮蔽効果が高い材料になるが、軽量性や加工性が悪化するので好ましくはない。
成分(A)電磁波遮蔽性繊維としては、電磁波を遮蔽する作用効果を有する繊維であれば、特に限定されるものではないが、例えば、金属繊維、炭素繊維、金属被覆有機繊維や、金属被覆炭素繊維などが挙げられる。これらのなかでも、電磁波遮蔽効果とコストが安価であるという観点から、金属繊維が好ましい。
金属繊維としては、単独の金属元素で構成される金属繊維であっても、複数の金属で構成される合金繊維であってもよいが、金属繊維を構成する金属元素としては、例えば、鉄、銀、ニッケル、アルミニウム及び銅などが挙げられる。
(A)電磁波遮蔽性繊維として、例えば、日本精線(株)やベカルトジャパン(株)製のステンレス繊維、虹技(株)製の銅繊維、アルミニウム繊維、黄銅繊維、鋼繊維、チタン繊維、りん青銅繊維などの金属繊維、東邦テナックス(株)製の炭素繊維、金属被覆炭素繊維などが市販品として入手可能であるが、これらに限定されるものではない。これらの電磁波遮蔽性繊維は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらのうち、比透磁率が高いという理由からステンレス繊維や、比導電率が高いという理由から、銅繊維、アルミニウム繊維が特に好ましい。
(A)電磁波遮蔽性繊維は、そのまま使用してもよいが、必要特性に応じてシランカップリング剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリング剤などで表面処理したり、樹脂との密着性や取り扱い性を向上させるために収束剤処理をしたものを使用してもよい。
要求される必要特性に応じて、(A)繊維以外の(C)繊維をさらに含むことができる。(A)繊維以外の(C)繊維としては、特に限定されるものではないが、例えば、木材繊維、木綿、麻、羊毛などの天然繊維、レーヨン繊維などの再生繊維、セルロース繊維などの半合成繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、エチレンビニルアルコール繊維などの合成繊維、ならびに、ガラス繊維、セラミック繊維などの無機繊維などが挙げられる。これらの繊維は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらのうち、曲げ強度の向上という観点では、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維などが好ましく、曲げ弾性率の向上という観点では、ガラス繊維、セラミック繊維などの無機繊維が好ましい。
(A)繊維以外の(C)繊維として、例えば、東レ・デュポン(株)製のアラミド繊維であるケブラー(登録商標)や、帝人テクノプロダクツ社(株)のアラミド繊維であるテクノーラ(登録商標)、(株)クラレ製のポリビニルアルコール繊維であるビニロン、東洋紡績(株)製のポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維であるザイロン(登録商標
)、日東紡製のガラス繊維、電気化学工業(株)製のアルミナ繊維であるデンカアルセンなどが市販品として入手可能であるが、これらに限定されるものではない。
(A)繊維以外の(C)繊維の形状としては、特に制限無く使用可能であり、必要特性に応じた形状のものを用いることができるが、曲げ強度や、耐衝撃性などの強度特性を向上させる場合には、チョップドストランドで使用することが望ましい。また、歩留まりの向上効果を得るためには、繊維をビーターや、ホモジナイザーなどの機械的なせん断力により叩解したものや、フィブリル化したものが、繊維表面積が増大し、物理的に構成材料の捕捉能力を向上させる効果と、化学的に高分子凝集剤が作用しやすくなる効果とが得られるため、使用することが望ましい。
本発明の複合樹脂組成物の構成材料である(B)樹脂とは、熱可塑性樹脂であっても、熱硬化性樹脂であってもよく、バインダーとして作用し得るものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂や、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル系樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂や、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、必要特性に応じて、適宜選択して使用することが可能であり、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらのうち、機械強度や耐薬品性が良好であるという観点では、熱硬化性樹脂が好ましく、成形性が良好であることや、樹脂の透明性などのデザイン性が必要であるという観点では、熱可塑性樹脂が好ましい。
(B)樹脂を用いるための好ましい形態としては、平均粒径500μm以下の固体状態や、エマルジョン状にしたものが望ましい。更に好ましくは、平均粒径1nm〜300μm程度の粒径である。これにより、高分子凝集剤を添加した時、(D)イオン交換能を有する粉末状物質存在下では、樹脂と電磁波遮蔽性繊維が凝集状態を形成しやすくなり、収率が向上する。平均粒径が上記上限値より大きいと、高分子凝集剤を添加しても凝集状態を形成しにくくなり、収率が低下する原因となる。尚、(B)樹脂の平均粒径は、例えば、(株)島津製作所製のSALD−7000などのレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、質量基準の50%粒子径を平均粒径として求めることができる。
本発明の複合樹脂組成物を製造方法は、特に限定されるものではないが、構成材料を溶媒に分散させた後、高分子凝集剤を添加し、構成材料をフロック状に凝集させ、その凝集物を溶媒と分離させた後、その溶媒を除去する方法が好ましい。構成材料などを溶媒に分散させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ディスパーザーやホモジナイザーなどで撹拌する方法などが挙げられる。また、凝集物を溶媒と分離、除去する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、金属やプラスチックなどの網や織布、不織布を用いて溶媒のみを通過させて分離した後、更に凝集物を、プレス機、乾燥器などを用いて、脱溶媒、乾燥させて除去する方法などが挙げられる。このような複合樹脂組成物の製造方法においては、構成材料として、さらに(D)イオン交換能を有する粉末状物質を含む。このような複合樹脂組成物の製造方法において(D)イオン交換能を有する粉末物質を用いることにより、(A)電磁波遮蔽性繊維の繊維長を長く維持したまま高い収率で、(A)電磁波遮蔽性繊維と(B)樹脂との凝集体を効率よく作製することができるため、(A)電磁波遮蔽性繊維と(B)樹脂との配合比率を広範囲に調整することが可能となる。このため、求められる要求に応じて、(A)電磁波遮蔽性繊維の電磁波遮蔽性や、熱伝導性、剛性などの特性と、(B)樹脂の加工性や軽量性などの特性とのバランスに優れた幅広い複合樹脂組成物を、より効率的に得ることができる。
(D)イオン交換能を有する粉末状物質としては、粘土鉱物、鱗片状シリカ微粒子、ハイドロタルサイト類、フッ素テニオライト及び膨潤性合成雲母から選ばれる少なくとも1種の層間化合物であることが好ましい。
粘土鉱物としては、イオン交換能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、スメクタイト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム及び燐酸チタニウムなどが挙げられる。ハイドロタルサイト類としては、イオン交換能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ハイドロタルサイト、ハイドロタルサイト状物質などが挙げられる。フッ素テニオライトとしては、イオン交換能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、リチウム型フッ素テニオライト、ナトリウム型フッ素テニオライトなどが挙げられる。膨潤性合成雲母としては、イオン交換能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ナトリウム型四珪素フッ素雲母、リチウム型四珪素フッ素雲母などが挙げられる。これらの層間化合物は、天然物でも合成されたものであってもよく、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらのうちでは、粘土鉱物がより好ましく、スメクタイトが天然物から合成物まで存在し、選択の幅が広いという点においてさらに好ましい。
スメクタイトとしては、イオン交換能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト及びスチーブンサイトなどが挙げられる。モンモリロナイトは、アルミニウムの含水ケイ酸塩であるが、モンモリロナイトを主成分とし、他に石英や雲母、長石、ゼオライトなどの鉱物を含んでいるベントナイトであってもよい。着色や不純物を気にする用途に用いる場合などには、不純物が少ない合成スメクタイトが好ましい。
(D)イオン交換能を有する粉末状物質として、例えば、クニミネ工業(株)製のクニピア(ベントナイト)、スメクトンSA(合成サポナイト)、AGCエスアイテック(株)製のサンラブリー(鱗片状シリカ微粒子)、コープケミカル(株)製のソマシフ(膨潤性合成雲母)、ルーセンタイト(合成スメクタイト)、堺化学工業(株)製のハイドロタルサイトSTABIACE HT−1(ハイドロタルサイト)などが市販品として入手可能であるが、これらに限定されるものではない。
(D)イオン交換能を有する粉末状物質の含有量は、複合樹脂組成物全体の0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは、2質量%以上20質量%以下である。上記範囲内であれば、(A)電磁波遮蔽性繊維と(B)樹脂のように性質の異なる構成材料の定着性を向上させる効果を得ることができる。尚、構成材料中の(A)電磁波遮蔽性繊維と(B)樹脂との比率や、高分子凝集剤の種類や量などに合せて、(D)イオン交換能を有する粉末状物質の含有量を調整することが好ましい。
本発明で構成材料を分散させるために用いられる溶媒は、特に限定されないが、工程中に揮発しにくいことと、製品に残らないために脱溶媒をしやすいということ、沸点が高すぎると脱溶媒するために、エネルギーが大きく掛かることなどの観点から、沸点が50℃以上200℃以下であるものが好ましく、このようなものとしては、例えば、水や、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコールなどのアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類や、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸メチルなどのエステル類や、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、ジオキサン、フルフラールなどのエーテル類などを挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、供給量が豊富であり、安価、環境負荷が低い、安全性も高く扱いやすいという理由から水が特に好ましい。
本発明の複合樹脂組成物の構成材料をフロック状に凝集させるために用いられる高分子凝集剤としては、特にイオン性などにより限定されるものではなく、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤、両性高分子凝集剤などを用いることができる。このようなものとして、例えば、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、ホフマンポリアクリルアミド、マンニックポリアクリルアミド、両性共重合ポリアクリルアミド、カチオン化澱粉、両性澱粉、ポリエチレンオキサイドなどを挙げることができる。これらの高分子凝集剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、高分子凝集剤として、ポリマー構造や分子量、水酸基やイオン性基などの官能基量などは、必要特性に応じて特に制限無く使用可能である。
高分子凝集剤として、例えば、和光純薬工業(株)製や関東化学工業(株)製、住友精化(株)製のポリエチレンオキシドや、ハリマ化成(株)製のカチオン性PAMであるハリフィックス、アニオン性PAMであるハーマイドB−15、両性PAMであるハーマイドRB−300、三和澱粉工業(株)製カチオン化澱粉であるSC−5などが市販品として入手可能であるが、これらに限定されるものではない。
高分子凝集剤の添加量として、特に限定はされないが、構成材料の重量に対して100質量ppm以上1質量%以下が好ましい。更に好ましくは、500質量ppm以上0.5質量%である。これにより、収得よく構成材料が凝集させることができる。高分子凝集剤の添加量が上記下限値よりも小さいと収得が低下する可能性があり、上記上限値よりも大きいと凝集が強すぎて脱水などに問題が生じる可能性がある。
本発明の複合樹脂組成物は、構成材料として、さらに(E)無機粉末及び金属粉末から選ばれる少なくとも一種のフィラー粉末を含むことにより、特性を調整することができる。無機粉末としては、例えば、酸化チタン、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化マグネシウムなどの酸化物類や、窒化ホウ素、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素などの窒化物類や、硫酸バリウム、硫酸鉄、硫酸銅などの硫化物類や、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物類や、カオリナイト、タルク、天然マイカ、合成マイカなどの鉱物類ならびに、炭化ケイ素などの炭化物類などが挙げられ、そのまま使用してもよいが、必要特性に応じてシランカップリング剤、アルミネートカップリング剤、チタネートカップリング剤などで表面処理をしたものを使用してもよい。
また、金属粉末としては、単独の金属元素で構成される金属粉末であっても、複数の金属で構成される合金粉末であってもよいが、金属粉末を構成する金属元素としては、アルミニウム、銀、銅、マグネシウム、鉄、クロム、ニッケル、チタン、亜鉛、錫、モリブデン及びタングステンなどが挙げられる。
本発明の複合樹脂組成物には、上述の(A)電磁波遮蔽性繊維、(B)樹脂、(C)繊維、(D)イオン交換能を有する粉末状物質、(E)無機粉末及び金属粉末から選ばれる少なくとも一種のフィラー粉末、ならびに、高分子凝集剤以外に、特性向上を目的とした酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤、離型剤、可塑剤、難燃剤、樹脂の硬化触媒や硬化促進剤、顔料、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤などの紙力向上剤、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、サイズ定着剤、消泡剤、酸性抄紙用ロジン系サイズ剤、中性製紙用ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニルコハク酸無水物系サイズ剤、特殊変性ロジン系サイズ剤などのサイズ剤、硫酸バンド、塩化アルミ、ポリ塩化アルミなどの凝結剤などを、生産条件調整や、要求される物性を発現させることを目的に様々な添加剤を使用することができる。
本発明に用いる複合樹脂組成物は、上述の通り、構成材料などを溶媒に分散させた後、
高分子凝集剤を添加し、構成材料などをフロック状に凝集させ、その凝集物を溶媒と分離させた後、その溶媒を除去することにより得ることができるが、この方法に限定されるものではなく、カードマシンなどで電磁波遮蔽性繊維とウェブを形成させ樹脂を含浸し複合樹脂を作製する方法や、樹脂中に電磁波遮蔽性繊維を配合する方法なども挙げられる。
次に、本発明の成形体の製造方法について説明する。本発明の成形体の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、プレス成形、コンプレッション成形、カレンダーロール成形、SMC法、射出成形、マッチドダイ法、金属や樹脂、織布、不織布などとの積層成形などの成形方法が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、実施例及び比較例に記載されている「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を示す。
実施例に記載している原材料は、あらかじめ含有されている水分量を抜いた質量部で表している。
1.複合樹脂組成物の作製
(1)実施例1
アトマイザー粉砕機で平均粒径100μmに粉砕した固形レゾール樹脂(住友ベークライト(株)製PR−51723)45部と、ベントナイト(クニミネ工業(株)製商品名クニピア)2部、繊維長5mm、繊維径6μmのステンレス繊維(日本精線(株)製商品名ナスロン)1部、ケブラー(登録商標)パルプ1F303(東レ・デュポン(株)製)12部、テクノーラ(登録商標)繊維T32PNW(帝人テクノプロダクツ(株)製)40部を10000部の水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌した後、あらかじめ水に溶解させたポリエチレンオキシド分子量1,000,000(和光純薬工業(株)製)を構成材料に対して900ppm添加を行い、構成材料をフロック状に凝集させる。その凝集物を80メッシュの金属網で水と分離し、この後その凝集物を、脱水プレスし、さらに70℃の乾燥器に6時間入れて乾燥させ、複合樹脂組成物を99%の収率で得た。尚、収率の測定方法の詳細は後述する。
(2)実施例2
アトマイザー粉砕機で平均粒径100μmに粉砕した固形レゾール樹脂(住友ベークライト(株)製PR−51723)45部と、ベントナイト(クニミネ工業(株)製商品名クニピア)5部、繊維長5mm、繊維径6μmのステンレス繊維(日本精線(株)製商品名ナスロン)4部、ケブラー(登録商標)パルプ1F303(東レ・デュポン(株)製)6部、テクノーラ(登録商標)繊維T32PNW(帝人テクノプロダクツ(株)製)40部を10000部の水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌した後、あらかじめ水に溶解させたポリエチレンオキシド分子量1,000,000(和光純薬工業(株)製)を構成材料に対して0.3%添加を行い、構成材料をフロック状に凝集させる。その凝集物を80メッシュの金属網で水と分離し、この後その凝集物を、脱水プレスし、さらに70℃の乾燥器に6時間入れて乾燥させ、複合樹脂組成物を99%の収率で得た。
(3)実施例3
アトマイザー粉砕機で平均粒径100μmに粉砕した固形レゾール樹脂(住友ベークライト(株)製PR−51723)30部と、ベントナイト(クニミネ工業(株)製商品名クニピア)3部、繊維長5mm、繊維径6μmのステンレス繊維(日本精線(株)製商品名ナスロン)32部、ケブラー(登録商標)パルプ1F303(東レ・デュポン(株)製)10部、テクノーラ(登録商標)繊維T32PNW(帝人テクノプロダクツ(株)製)25部を10000部の水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌した後、あらかじめ
水に溶解させたポリエチレンオキシド分子量1,000,000(和光純薬工業(株)製)を構成材料に対して0.5%添加を行い、構成材料をフロック状に凝集させる。その凝集物を80メッシュの金属網で水と分離し、この後その凝集物を、脱水プレスし、さらに70℃の乾燥器に6時間入れて乾燥させ、複合樹脂組成物を96%の収率で得た。
(4)実施例4
凍結粉砕機で、平均粒径300μmに粉砕した粉砕したアクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂(ダイセル工業(株)製商品名セビアンN)を45部と、鱗片状シリカ微粒子(AGCエスアイテック(株)製商品名サンラブリー)5部、繊維長5mm、繊維径6μmのステンレス繊維(日本精線(株)製商品名ナスロン)5部、繊維径22μm、繊維長5mmのポリビニルアルコール繊維((株)クラレ製商品名ビニロン)45部を10000部の水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌した後、あらかじめ水に溶解させたカチオン性ポリアクリルアミド(ハリマ化成(株)製)を構成材料に対して0.4%の重量になるように添加を行い、構成材料をフロック状に凝集させる。その凝集物を40メッシュの金属網で水と分離し、この後その凝集物を、脱水プレスし、さらに130℃の乾燥器に6時間入れて乾燥させ、複合樹脂組成物を92%の収率で得た。
(5)実施例5
高圧ホモジナイザーで平均粒径30μmに粉砕したエポキシ樹脂1002(三菱化学(株)製)10部と、イミダゾール系エポキシ樹脂硬化剤2PZ−PW(四国化成工業(株)製)1部、合成サポナイト(クニミネ工業(株)製商品名スメクトンSA)3部、繊維長3mm、繊維径60μmの銅繊維(虹技(株)製)77部、繊維長5mm、繊維径6μmのステンレス繊維5部(日本精線(株)製商品名ナスロン)、セルロースパルプ(日本製紙ケミカル(株)製商品名NDPT)4部を10000部の水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌した後、あらかじめ水に溶解させた三和澱粉工業(株)製カチオン化澱粉SC−5を構成材料に対して0.3%添加を行い、構成材料をフロック状に凝集させる。その凝集物を40メッシュの金属網で水と分離し、この後その凝集物を、脱水プレスし、さらに100℃の乾燥器に4時間入れて乾燥させ、複合樹脂組成物を95%の収率で得た。
(6)比較例1
アトマイザー粉砕機で平均粒径100μmに粉砕した固形レゾール樹脂(住友ベークライト(株)製PR−51723)45部と、ベントナイト(クニミネ工業(株)製商品名クニピア)5部、繊維長5mm、ケブラー(登録商標)パルプ1F303(東レ・デュポン(株)製)6部、テクノーラ(登録商標)繊維T32PNW(帝人テクノプロダクツ(株)製)44部を10000部の水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌した後、あらかじめ水に溶解させたポリエチレンオキシド分子量1,000,000(和光純薬工業(株)製)を構成材料に対して0.1%添加を行い、構成材料をフロック状に凝集させる。その凝集物を80メッシュの金属網で水と分離し、この後その凝集物を、脱水プレスし、さらに70℃の乾燥器に6時間入れて乾燥させ、複合樹脂組成物を99%の収率で得た。
2.成形体の作製
(1)実施例6
実施例1で得られた複合樹脂組成物を、離型剤を塗布した金型にセットし、複合樹脂組成物に対して、面圧30MPa加圧下でコンプレッション成形を180℃、10分行い、縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た。
(2)実施例7
実施例2で得られた複合樹脂組成物を、離型剤を塗布した金型にセットし、複合樹脂組
成物に対して、面圧30MPa加圧下でコンプレッション成形を180℃、10分行い、縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た。
(3)実施例8
実施例3で得られた複合樹脂組成物を、離型剤を塗布した金型にセットし、複合樹脂組成物に対して、面圧30MPa加圧下でコンプレッション成形を180℃、10分行い、縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た。
(4)実施例9
実施例4で得られた複合樹脂組成物を、離型剤を塗布した金型にセットし、複合樹脂組成物に対して、面圧15MPa加圧下でコンプレッション成形を200℃、10分行い、50℃まで金型を冷却させて縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た。
(5)実施例10
実施例5で得られた複合樹脂組成物を、離型剤を塗布した金型にセットし、複合樹脂組成物に対して、面圧10MPa加圧下でコンプレッション成形を160℃、60分行い、縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た。
(7)比較例2
比較例1で得られた複合樹脂組成物を、離型剤を塗布した金型にセットし、複合樹脂組成物に対して、面圧30MPa加圧下でコンプレッション成形を180℃、10分行い、縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た。
実施例6〜10、及び、比較例2で得られた成形体を用いて、下記に示す特性評価を行った。結果を表1に示す。
3.特性の評価方法
3.1 複合樹脂組成物
(1)収率
下記式により算出した。
収率(%)=(得られた複合樹脂組成物の重量/仕込んだ複合樹脂組成物原料の重量合計)×100
得られた複合樹脂組成物については、乾燥後の重量を用い、仕込んだ複合樹脂組成物原料の合計重量に関しては、水分を抜いた量を用いた。
3.2 成形体
(1)比重測定
比重測定は、JIS K 6911(熱硬化性プラスチック一般試験方法)に準拠して行った。試験片は、縦2cm×横2cm×厚み2mmになるように成形体から切り出したものを用いた。
(2)電磁波遮蔽率の測定
縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た成形条件と同一の成形条件で、縦12cm×横12cm×厚み1mmの成形体を作製し、それを試験片として用いた。次に、KEC法にて評価を行った。KEC法とは、一般社団法人関西電子工業振興センターによる測定方法で、左右対称に分割したシールドボックスに試験片をはさみ、スペクトラムアナライザーにて試験片を介しての電磁波の減衰度を測定するものである。
電磁波遮蔽性と電磁波遮蔽率の関係は下記に例を示す。
電磁波遮蔽性60dBとは、電磁波遮蔽率99.9%を示す。
電磁波遮蔽性40dBとは、電磁波遮蔽率99.0%を示す。
電磁波遮蔽性20dBとは、電磁波遮蔽率90.0%を示す。
(3)曲げ試験
曲げ試験は、JIS K 6911(熱硬化性プラスチック一般試験方法)に準拠して行った。試験片は、縦50mm×横25mm×厚み2mmになるように成形体から切り出したものを用いた。曲げ試験の支点間距離は32mmで行った。
(4)平面方向の線膨脹係数の測定
縦10cm×横10cm×厚み2mmの成形体を得た成形条件に対して、成形時間のみを3倍として、縦5mm×横30mm×長さ10mmの成形体を作製し、それを縦5mm×横5mm×長さ10mmの試験片に切断し、熱機械的分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、TMA−6000)を用いて、長さ方向の線膨脹係数を測定した。昇温速度は、5℃/分とし、線膨脹係数(α1)を80〜120℃の温度範囲で求めた。
実施例1〜5は本発明により得られた複合樹脂組成物であり、実施例6〜10は本発明により得られた成形体である。
実施例1〜5は、いずれも、高い収率で複合樹脂組成物得られた。また、実施例6〜10は、いずれも、800MHzの電界波遮蔽性が20dB以上、曲げ強度が80MPa以上、曲げ弾性率が8GPa以上であり、比重が1以上5以下、かつ平面方向の線膨脹係数が0.1ppm/℃以上50ppm/℃以下と、特性バランスに優れた成形体が得られることが分かった。一方、比較例2の成形体は、電界波を遮蔽する効果はみられなかった。このことから、本発明により、加工性や軽量性などの特性と、電磁波遮蔽性、剛性などの特性とのバランスに優れた成形体を得ることができることが分かる。
本発明により、樹脂の加工性や軽量性、線膨脹係数、電磁波遮蔽性、剛性などの特性バランスに優れた成形体を得ることができる。
従って、本発明の複合樹脂組成物より得られた成形体は、パソコンや携帯電話、携帯情報端末、プラズマディスプレイテレビ、液晶テレビ、OA機器、ゲーム機器、娯楽用品、エアコン、オーディオ、光学機器、照明器具などの電子製品や、車載用のエレクトロニクス製品の内部機構部品、筐体等の構成部品への適用や、建築用構造材料、航空分野、宇宙分野、自動車分野などの部品等に使用が可能になり、メッキ工程の削減や、軽量化における燃費の向上や省エネルギー化に寄与することができるため、環境負荷を低減することが可能となる。

Claims (17)

  1. (A)電磁波遮蔽性繊維及び(B)樹脂及び(D)イオン交換能を有する粉末状物質を含む構成材料を溶媒に分散させた後、高分子凝集剤を添加し、構成材料をフロック状に凝集させ、その凝集物を溶媒と分離させた後、その溶媒を除去してなる複合樹脂組成物であって、
    前記樹脂組成物を成形して得られる成形物における、KEC法により測定した800MHzの電界波遮蔽性が20dB以上であり、JIS K 6911に準拠して測定した曲げ強度が80MPa以上、曲げ弾性率が8GPa以上であり、JIS K 6911に準拠して測定した比重が1以上5以下であり、平面方向の線膨脹係数が0.1ppm/℃以上50ppm/℃以下であることを特徴とする複合樹脂組成物。
  2. 前記(A)電磁波遮蔽性繊維の平均繊維長さが500μm以上10mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の複合樹脂組成物。
  3. 前記(A)電磁波遮蔽性繊維の含有量は、複合樹脂組成物全体の1質量%以上90質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合樹脂組成物。
  4. 前記(A)電磁波遮蔽性繊維が金属繊維を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
  5. 前記金属繊維を構成する金属元素は、鉄、銀、ニッケル、アルミニウム及び銅から選ばれる少なくとも一種の金属元素を含むことを特徴とする請求項4に記載の複合樹脂組成物。
  6. 前記構成材料として、さらに(C)前記(A)電磁波遮蔽性繊維以外の繊維を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
  7. 前記(A)電磁波遮蔽性繊維以外の前記(C)成分の繊維が、木材繊維、木綿、麻、羊毛などの天然繊維、レーヨン繊維などの再生繊維、セルロース繊維などの半合成繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、エチレンビニルアルコール繊維などの合成繊維、ならびに、ガラス繊維、セラミック繊維などの無機繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維を含むことを特徴とする請求項6に記載の複合樹脂組成物。
  8. 前記(B)樹脂の平均粒径が500μm以下であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
  9. 前記(D)イオン交換能を有する粉末状物質が、粘土鉱物、鱗片状シリカ微粒子、ハイドロタルサイト類、フッ素テニオライト及び膨潤性合成雲母から選ばれる少なくとも1種の層間化合物であることを特徴とする請求項1ないし8に記載の複合樹脂組成物。
  10. 前記(D)イオン交換能を有する粉末状物質が、スメクタイト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム及び燐酸チタニウムから選ばれる少なくとも1種の粘土鉱物を含むことを特徴とする請求項1ないし8に記載の複合樹脂組成物。
  11. 前記(D)イオン交換能を有する粉末状物質が、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト及びスチーブンサイトから選ばれる少なくとも1種のスメクタイトを含むことを特徴とする請求項1ないし8に記載の複合樹脂組成物。
  12. 前記(D)イオン交換能を有する粉末状物質がモンモリロナイトを含むことを特徴とする請求項1ないし8に記載の複合樹脂組成物。
  13. 前記(D)イオン交換能を有する粉末状物質の含有量は、複合樹脂組成物全体の0.1質量%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
  14. 前記構成材料として、さらに(E)無機粉末及び金属粉末から選ばれる少なくとも一種のフィラー粉末を含むことを特徴とする請求項1ないし13のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
  15. 前記金属粉末を構成する金属元素は、アルミニウム、銀、銅、マグネシウム、鉄、クロム、ニッケル、チタン、亜鉛、錫、モリブデン及びタングステンから選ばれる少なくとも一種の金属元素を含むことを特徴とする請求項14に記載の複合樹脂組成物。
  16. 前記溶媒の沸点が50℃以上200℃以下であることを特徴とする請求項1ないし15のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物。
  17. 請求項1ないし16のいずれか一項に記載の複合樹脂組成物を用いてなることを特徴とする電磁波遮蔽性に優れた成形体。
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