JP5476053B2 - ノイズ抑制シート用アクリルゴム組成物 - Google Patents
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Description
本発明のノイズ抑制シート用アクリルゴム組成物においては、好ましくは、前記親水性官能基含有エチレン性不飽和単量体単位(c)が、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体単位である。
さらに、本発明によれば、上記ノイズ抑制シート用アクリルゴム組成物をシート状に成形してなるノイズ抑制シートが提供される。さらには、上記ノイズ抑制シート用架橋性アクリルゴム組成物をシート状に成形し、架橋してなるノイズ抑制シートも提供される。
なお、本明細書中では「ノイズ抑制シート用」としているが、必ずしもシート用に限るものではなく、テープやチューブ、ケーブルなど(シートと同様にフィルム等の薄物で実現する)他の形態で用いられるノイズ抑制体を含むものであり、他の形態への適用を妨げるものではない。
本発明のノイズ抑制シート用アクリルゴム組成物は、アクリル酸アルキルエステル単量体単位(a1)および/またはアクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体単位(a2)60〜95重量%、(メタ)アクリロニトリル単量体単位(b)4〜37重量%、ならびに、親水性官能基含有エチレン性不飽和単量体単位(c)0.01〜6重量%を有するアクリルゴムと、磁性粉末とを含有するアクリルゴムの組成物である。
まず、本発明のノイズ抑制シート用アクリルゴム組成物に含有されるアクリルゴムについて説明する。
アクリル酸アルキルエステル単量体単位(a1)を形成するためのアクリル酸アルキルエステル単量体としては、特に限定されないが、アルキル基の炭素数が1〜12の範囲のものが好ましく、1〜10の範囲のものがより好ましく、1〜8の範囲のものがさらに好ましい。アルキル基を構成する炭素数が多すぎると、アクリルゴムと磁性粉末との間の分散性が低下し、得られるノイズ抑制シートの機械特性が低下するおそれがある。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸単量体としては、フマル酸やマレイン酸などのブテンジオン酸、イタコン酸、シトラコン酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル単量体としては、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノn−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチルおよびマレイン酸モノn−ブチルなどのブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘキセニル、マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシルおよびマレイン酸モノシクロヘキセニルなどの脂環構造を有するブテンジオン酸モノ環状アルキルエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチルおよびイタコン酸モノブチルなどのイタコン酸モノエステル;などが挙げられる。
多官能アクリル単量体としては、エチレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル、プロピレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステルなどが挙げられる。
その他のオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等が挙げられる。
本発明で用いる磁性粉末としては、特に限定されないが、軟磁性材料から構成される軟磁性粉末が好ましい。このような軟磁性材料から構成される軟磁性粉末としては、特に限定されないが、例えば、磁性ステンレス(Fe−Cr−Al−Si系合金)、センダスト(Fe−Si−Al系合金)、パーマロイ(Fe−Ni系合金)、ケイ素銅(Fe−Cu−Si系合金)、Fe−Si系合金、Fe−Si−B(−Cu−Nb)系合金、Fe−Ni−Cr−Si系合金、Fe−Si−Cr系合金、Fe−Si−Al−Ni−Cr系合金等が挙げられる。このような軟磁性粉末は1種単独でも、または複数種組み合わせて用いても良い。
本発明のノイズ抑制シート用アクリルゴム組成物は、上述したアクリルゴムおよび磁性粉末に加えて、難燃剤を含有していることが好ましい。このような難燃剤としては、たとえば、アンチモン系難燃剤、金属水酸化物系難燃剤、燐系難燃剤、窒素系難燃剤、燐及び窒素双方を含有する難燃剤などの非ハロゲン系の難燃剤が挙げられ、これらのなかでも、燐系難燃剤および窒素系難燃剤が好ましい。
本発明のノイズ抑制シート用架橋性アクリルゴム組成物は、上記ノイズ抑制シート用アクリルゴム組成物と、架橋剤と、を含有してなるものである。本発明で使用される架橋剤は、本発明で用いるアクリルゴムを架橋できるものであれば良く、特に限定されないが、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤またはアミン系架橋剤などが挙げられ、これらのなかでも、アミン系架橋剤が好ましい。
有機酸のアンモニウム塩としては、安息香酸アンモニウムが好ましい。
本発明のノイズ抑制シートは、上述した本発明のノイズ抑制シート用アクリルゴム組成物をシート状に成形してなるものである。また、上述した本発明のノイズ抑制シート用架橋性アクリルゴム組成物をシート状に成形し、架橋してなるものである。
本発明のノイズ抑制シートの製造方法は特に限定されないが、たとえば、以下の方法により製造することができる。すなわち、まず、溶剤で低粘度化されたノイズ抑制シート用アクリルゴム組成物、または、ノイズ抑制シート用架橋性アクリルゴム組成物を用い、ノイズ抑制シート用アクリルゴム組成物、または、ノイズ抑制シート用架橋性アクリルゴム組成物をシート状に成形する。次いで、シート状に成形したノイズ抑制シート用アクリルゴム組成物、または、ノイズ抑制シート用架橋性アクリルゴム組成物から溶剤を除去し、加熱すること等でシート形状を固定化することにより製造することができる。または、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。加熱成形温度、または、架橋温度は、通常、130〜220℃、好ましくは140〜200℃であり、加熱成形時間、または、架橋時間は、通常、30秒〜5時間、好ましくは1分〜2.5時間である。なお、シート成形のための加熱、または、架橋反応のための加熱を、溶剤の除去を行う前から開始し、加熱により溶剤を除去しても良い。また、一度架橋した後に、架橋物の内部まで確実に架橋させるために、時間をかけて加熱する後架橋を行ってもよい。後架橋は、加熱方法、架橋温度、形状などにより異なるが、好ましくは1〜48時間行う。加熱方法、加熱温度は適宜選択すればよい。このように、本発明のアクリルゴム組成物、または、架橋性アクリルゴム組成物を用いれば、従前と同様に加熱成形処理、または、架橋処理を行うことにより、耐熱性に優れた未架橋物、または、架橋物を得ることが可能である。
アクリルゴムのムーニー粘度(コンパウンド・ムーニー)は、JIS K6300−1に従って測定した(単位は(ML1+4、100℃))。
厚さ0.3mmとしたノイズ抑制シートを用いて、ノイズ抑制シートの比重を、成形・架橋してから168時間後に測定した。なお、比重が大きいほど、磁性粉末の充填率性が高いゴムマトリクスとなっている。
図1(a)及び図1(b)はノイズ抑制シートの近傍電磁界における特性評価系を示す。図1(a)は、透過レベル(dB)を測定するための評価系であり、図1(b)は、結合レベル(dB)を測定するための評価系である。各々の場合とも、電磁界波源用発振器及び電磁界強度測定器(受信用素子)には、ループ径2mm以下の電磁界送信用微小ループアンテナ,電磁界受信用微小ループアンテナを用いている。透過レベル及び結合レベルの測定にはネットワークアナライザを使用した。
なお、透過レベル(dB)の値が大きいほど透磁率が高く、結合レベル(dB)の値が大きいほど、ノイズ抑制効果に優れる。
JIS−K6233−1の酸素燃焼フラスコ法を用いて測定を行った。すなわち、試験片を精秤してろ紙に包んで1.5%過酸化水素水10mlを入れた酸素燃焼フラスコ(白金バスケット付 500ml)のバスケットに取り付け、フラスコ内の空気を酸素で置換する。次に白金バスケットに取り付けたろ紙の先端に着火し、フラスコ内に入れ,洩れないよう手で固定して試料を完全燃焼させる。さらに、酸素燃焼フラスコを激しく振盪して、内部の白煙が消えるまで放置し、蒸留水約20ml追加して振盪後、吸収液を100mlビーカーに移す。次いで、ビーカーを電熱ヒーターに載せ、煮沸し過酸化水素を揮散させ、残った液のSO4 2−濃度をイオンクロマト分析計(TOSOH IC−2001)にて測定し、試験片のSO4 2−含有量を算出する。次に、該算出値から、過硫酸アンモニウム含有割合を計算により求める。
まず、アクリル酸エチル85重量部、アクリロニトリル11重量部、およびグリシジルメタクリレート4重量部を混合することにより、単量体混合物を調製した。
次いで、温度計、攪拌装置、窒素導入管および減圧装置を備えた重合反応器に、上記にて調製した単量体混合物10重量部、水200重量部、およびラウリル硫酸ナトリウム3重量部を仕込んだ。そして、減圧による脱気および窒素置換をくり返して酸素を十分除去した後、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.002重量部、クメンハイドロパーオキシド0.01重量部、硫酸第一鉄0.002重量部、およびt−ドデシルメルカプタン0.05重量部を加えて常圧、常温下で乳化重合反応を開始させた。重合反応開始後、直ちに上記にて準備した単量体混合物90重量部および、過硫酸アンモニウム2重量部を水15重量部に溶かした水溶液を、5時間かけて重合反応器に滴下した。滴下終了後、重合転化率が95%に達するまで約60分間撹拌を継続することにより、アクリルゴムのラテックスを得た。次いで、得られたアクリルゴムのラテックスを塩化カルシウム水溶液で凝固させ、水洗、乾燥することによりアクリルゴム(A1)を得た。得られたアクリルゴム(A1)のH1−NMRによる共重合体組成は、アクリル酸エチル単位85重量%、アクリロニトリル単位11重量%、グリシジルメタクリレート単位4重量%であり、また、SO4 2−換算で求めた過硫酸アンモニウムの含有割合は、アクリルゴム全体100重量%に対して、1.1重量%であった。また、得られたアクリルゴム(A1)のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は61.5であった
アクリルゴムを製造するための単量体混合物として、アクリル酸エチル85重量部、アクリロニトリル13重量部、およびアリルグリシジルエーテル2重量部からなるものを用いた以外は、実施例1と同様にしてアクリルゴム(A2)を調製した(アクリルゴム(A2)の共重合体組成、およびムーニー粘度を表1に示す。)。そして、得られたアクリルゴム(A2)を用いて、架橋剤として安息香酸アンモニウム1.5重量部を混合した以外は、実施例1と同様にしてノイズ抑制シート用架橋性アクリルゴム組成物およびノイズ抑制シートを作製し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
アクリルゴムを製造するための単量体混合物として、アクリル酸エチル50重量部およびアクリル酸ブチル50重量部からなるものを用い、また過硫酸アンモニウムを0.05重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、アクリルゴム(A3)を調製した(アクリルゴム(A3)の共重合体組成、およびムーニー粘度を表1に示す。)。そして、得られたアクリルゴム(A3)を用いて、実施例1と同様にして、ノイズ抑制シート用アクリルゴム組成物およびノイズ抑制シートを作製し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
アクリルゴムを製造するための単量体混合物として、アクリル酸エチル95重量部、アクリロニトリル3重量部、およびアリルグリシジルエーテル2重量部からなるものを用い、また過硫酸アンモニウムを0.05重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、アクリルゴム(A4)を調製した(アクリルゴム(A4)の共重合体組成、およびムーニー粘度を表1に示す。)。そして、得られたアクリルゴム(A4)を用いて、実施例1と同様にして、ノイズ抑制シート用アクリルゴム組成物およびノイズ抑制シートを作製し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
アクリルゴムを製造するための単量体混合物として、アクリル酸エチル85重量部、アクリロニトリル7重量部およびグリシジルメタクリレート8重量部からなるものを用い、また過硫酸アンモニウムを0.05重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、アクリルゴム(A5)を調製した(アクリルゴム(A5)の共重合体組成、およびムーニー粘度を表1に示す。)。そして、得られたアクリルゴム(A5)を用いて、実施例1と同様にして、ノイズ抑制シート用アクリルゴム組成物およびノイズ抑制シートを作製し、実施例1と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
これに対して、グリシジルメタクリレートやアクリルグリシジルエーテルなどの親水性官能基含有エチレン性不飽和単量体単位を含有しないアクリルゴムを用いた場合(比較例1)、(メタ)アクリロニトリル単量体単位(b)の含有量が本発明で規定する範囲より低すぎる場合(比較例2)、親水性官能基含有エチレン性不飽和単量体単位(c)の含有量が本発明で規定する範囲より高すぎる場合(比較例3)には、得られるノイズ抑制シートは、比重が小さく、透磁率およびノイズ抑制効果が劣る結果となった。
Claims (5)
- アクリル酸アルキルエステル単量体単位(a1)および/またはアクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体単位(a2)60〜95重量%、(メタ)アクリロニトリル単量体単位(b)4〜37重量%、ならびに、親水性官能基含有エチレン性不飽和単量体単位(c)0.01〜6重量%を有するアクリルゴムと、磁性粉末とを含有するノイズ抑制シート用アクリルゴム組成物。
- 前記親水性官能基含有エチレン性不飽和単量体単位(c)が、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体単位である請求項1に記載のノイズ抑制シート用アクリルゴム組成物。
- 請求項1または2に記載のノイズ抑制シート用アクリルゴム組成物と、架橋剤とを含有してなるノイズ抑制シート用架橋性アクリルゴム組成物。
- 請求項1または2に記載のノイズ抑制シート用アクリルゴム組成物をシート状に成形してなるノイズ抑制シート。
- 請求項3に記載のノイズ抑制シート用架橋性アクリルゴム組成物をシート状に成形し、架橋してなるノイズ抑制シート。
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