JP2016207568A - Led電球の筐体、led電球、及び、led電球の筐体の製造方法 - Google Patents
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熱硬化性樹脂(A)と、
金属繊維または炭素繊維からなる繊維状フィラー(B)と、
を含む材料組成物を用いて、抄造法により形成された抄造体を、加圧及び加熱して硬化させることにより形成されている、LED電球の筐体を提供する。
LED素子と、
前記LED素子が搭載された実装基板と、
前記実装基板の一方の側を覆う透光性のカバー部材と、
前記実装基板を支持している筐体と、
を備え、
前記筐体は、上記LED電球の筐体であるLED電球を提供する。
熱硬化性樹脂(A)と、金属繊維または炭素繊維からなる繊維状フィラー(B)と、を含む材料組成物を抄造して抄造体を作製する工程と、
前記抄造体を加圧及び加熱して硬化させる工程と、
を含むLED電球の筐体の製造方法を提供する。
また、本発明によれば、そのようなLED電球の筐体を製造することができる。
図2は実施形態に係るLED電球の筐体10の製造に用いられる抄造体(素形体)80の一部分の一例を示す模式的な斜視図である。
図3は実施形態に係るLED電球の筐体10の製造に用いられる抄造体90の一部分の他の一例を示す模式的な斜視図である。
このうち図2及び図3の各々においては、抄造体90において点線で示される領域の拡大模式図が示されている。
熱硬化性樹脂(A)は、バインダーとして作用して繊維状フィラー(B)を結着し得るものであればとくに限定されるものではない。なお、熱硬化性樹脂(A)としては、たとえば25℃において固形状のものを用いることが抄造法による抄造体90の作製を安定的に行う観点からより好ましい。
繊維状フィラー(B)は、上述したとおり、金属繊維または炭素繊維からなるものである。この繊維状フィラー(B)は、アスペクト比が100以上であるものであることが好ましい。これにより、筐体10の熱伝導性を向上させることが可能となる。繊維状フィラー(B)は、とくに筐体10の厚み方向に対して交差する方向における熱伝導性の向上に寄与するものと考えられる。熱伝導性を向上させる観点からは、繊維状フィラー(B)のアスペクト比が150以上であることがより好ましく、200以上であることがとくに好ましい。一方で、繊維状フィラー(B)のアスペクト比は、筐体10の製造容易性や、筐体10の強度を向上させる観点から、1000以下であることが好ましく、700以下であることがより好ましい。なお、繊維状フィラー(B)のアスペクト比は、繊維長/繊維幅により求められる。また、本明細書における繊維状フィラー(B)は、後述するパルプ(D)を含まない概念である。
フィラー(C)は、上述したとおり、アスペクト比が繊維状フィラー(B)よりも小さい。これにより、筐体10の熱伝導性を向上させることが可能となる。なお、フィラー(C)が繊維状である場合、フィラー(C)のアスペクト比は繊維長/繊維幅により求めることができる。一方で、フィラー(C)が粉粒体である場合には、最も長い直径である長径と最も短い直径である短径との比、長径/短径により求めることができる。また、本明細書におけるフィラー(C)は、後述するパルプ(D)を含まない概念である。
また、筐体10における炭素繊維の含有量は、筐体10全体に対して90重量%以下であることが好ましく、85重量%以下であることがより好ましく、80重量%以下であることがとくに好ましい。これにより、筐体10の加工性や軽量性を向上させることができる。
ここでいう炭素繊維は、繊維状フィラー(B)又はフィラー(C)である。すなわち、ここでいう炭素繊維の全体が繊維状フィラー(B)又はフィラー(C)の何れか一方であっても良いし、ここでいう炭素繊維の一部分が繊維状フィラー(B)であり、残りの部分がフィラー(C)であっても良い。
筐体10は、たとえばパルプ(D)を含むことができる。パルプ(D)は、フィブリル構造を有する繊維材料であり、たとえば機械的または化学的に繊維材料をフィブリル化することによって得ることができる。後述する抄造法を用いた筐体10の製造方法においては、熱硬化性樹脂(A)、繊維状フィラー(B)、およびフィラー(C)とともにパルプ(D)を抄造することによって、熱硬化性樹脂(A)をより効果的に凝集させることができることから、より安定的な筐体10の製造を実現することが可能となる。
筐体10は、たとえば凝集剤(E)を含むことができる。凝集剤(E)は、後述する抄造法を用いた筐体10の製造方法において、熱硬化性樹脂(A)、繊維状フィラー(B)およびフィラー(C)をフロック状に凝集させる機能を有する。このため、より安定的な樹脂シートの製造を実現することができる。
筐体10は、たとえば湿式抄造法を用いて製造される。本実施形態に係る筐体10の製造方法は、熱硬化性樹脂(A)と、繊維状フィラー(B)とを含む材料組成物を抄造して抄造体90を作製する工程と、抄造体90を加圧及び加熱して硬化させる工程と、を含む。なお、上記材料組成物は、フィラー(C)を含有しているものでもあってもよい。そのため、後述においては、熱硬化性樹脂(A)と、繊維状フィラー(B)とともに、フィラー(C)を含む材料組成物を抄造する場合を例に挙げて説明する。
こうして得られた本実施形態に係る筐体10は、放熱性及び軽量性に優れている。
図4は本実施形態に係るLED電球100を示す模式図であり、このうち(a)は正面図、(b)は正面断面図、(c)は(a)のA−A矢視断面図(つまり平断面図)である。
カバー部材40は、ガラス等の材料により、例えば中空の半球状の形状に形成されており、筐体10の上側の開口10bを塞ぐように配置されている。
ベース部材50は、筐体10の上端側の開口を塞ぐようにして配置されており、電源基板60は、例えば、ベース部材50と筐体10とにより囲まれた領域に収容されている。なお、電源基板60は、ベース部材50を貫通して、カバー部材40と実装基板30とに囲まれた領域側に突出していても良い。
保持リング80は、筐体10の開口10a内に固定され、開口10aより下方に突出している。口金70は、保持リング80に固定されている。
ただし、本実施形態に係るLED電球100は、上述した態様に限定されない。
(放熱樹脂シートの作製)
まず、アトマイザー粉砕機で平均粒径100μm(質量基準の50%粒子径)に粉砕した熱硬化性樹脂(A)と、繊維状フィラー(B)と、フィラー(C)と、パルプ(D)と、を後述する配合に従い溶媒である水に添加して、ディスパーザーで30分撹拌して混合物を得た。ここでは、熱硬化性樹脂(A)、繊維状フィラー(B)、フィラー(C)、およびパルプ(D)の合計100重量部を10000重量部の水に添加した。次いで、あらかじめ水に溶解させた凝集剤(E)を、上述した構成材料(熱硬化性樹脂(A)、繊維状フィラー(B)、フィラー(C)、パルプ(D))の合計に対して0.2重量%添加し、構成材料をフロック状に凝集させた。これにより得られた凝集物を30メッシュの金属網で水と分離し、この後、その凝集物を、抄造体90を形成するための型枠に入れて脱水プレスし、さらに50℃の乾燥器に5時間入れて乾燥させて、複合樹脂組成物により構成される未硬化状態にある抄造体90を得た。収率は97%であった。また、得られた抄造体90の厚みは、300μmであった。
フェノール樹脂:レゾール樹脂(PR−51723、住友ベークライト(株)製)
エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER1002、三菱化学(株)製)
チョップド炭素繊維:XN−100、日本グラファイトファイバー(株)製、繊維長3mm、繊維幅10μm、アスペクト比300
ミルド炭素繊維:HC−600、日本グラファイトファイバー(株)製、平均長さ100μm、繊維幅10μm、アスペクト比10
アラミドパルプ:ケブラーパルプ1F303(東レ・デュポン(株)製)
ポリエチレンオキシド:住友精化(株)製
次のようにして、抄造体90を加圧及び加熱して得られる硬化物である筐体10を製造した。すなわち、上記にて得られた抄造体90を所定の金型に入れ、圧力300kg/cm2、温度180℃の条件で10分間熱処理することにより、硬化物、すなわち筐体10を得た。
実施例1の筐体10は、比重が1.8、重量は30gであった。
放熱試験用の発光器具として、実施例1の筐体10に、電源基板60を設けるとともに、上面にLED素子20(出力:11W)が実装された実装基板30が上面に設けられたベース部材50を設けることにより、放熱試験用の発光器具を作製した(図5参照)。
上記で得られた実施例1の発光器具のLED素子20を25℃の温度条件下で発光させ、サーモグラフィー(日本アビオニクス社製、InfReC R300)で観察した。
温度が安定した状態でのLED素子20の温度は、95℃であった。
<比較例1>
比較例1としては、Alダイキャストにより作製された筐体を用いた。比較例1に係る筐体は、実施例1の筐体10と同じ形状のものである。
比較例1の筐体は、比重が2.7、重量は47gであった。
(放熱試験用の発光器具の作製)
実施例1の筐体10に代えて、比較例1の筐体を用いて、比較例1に係る放熱試験用の発光器具を作製した。
上記で得られた比較例1の発光器具のLED素子20を25℃の温度条件下で発光させ、サーモグラフィー(日本アビオニクス社製、InfReC R300)で観察した。
温度が安定した状態でのLED素子20の温度は、102℃であった。
10a 開口
10b 開口
20 LED素子
30 実装基板
40 カバー部材
50 ベース部材
60 電源基板
70 口金
80 保持リング
90 抄造体
100 LED電球
A 熱硬化性樹脂
B 繊維状フィラー
C フィラー
Claims (18)
- 熱硬化性樹脂(A)と、
金属繊維または炭素繊維からなる繊維状フィラー(B)と、
を含む材料組成物を用いて、抄造法により形成された抄造体を、加圧及び加熱して硬化させることにより形成されている、LED電球の筐体。 - 前記繊維状フィラー(B)のアスペクト比が100以上である、請求項1に記載のLED電球の筐体。
- 当該LED電球の筐体における前記炭素繊維の含有量が、10重量%以上90重量%以下である請求項1または2に記載のLED電球の筐体。
- 前記繊維状フィラー(B)が当該LED電球の筐体の厚み方向に対して交差する方向に配列されている、請求項1乃至3の何れか一項に記載のLED電球の筐体。
- 前記繊維状フィラー(B)がチョップドファイバーである、請求項1乃至4の何れか一項に記載のLED電球の筐体。
- 前記熱硬化性樹脂(A)が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂およびポリウレタンからなる群より選択される1種又は2種以上を含む、請求項1乃至5の何れか一項に記載のLED電球の筐体。
- 当該LED電球の筐体全量に対する前記熱硬化性樹脂(A)の含有量が、5重量%以上80重量%以下である、請求項1乃至6の何れか一項に記載のLED電球の筐体。
- 前記材料組成物は、前記繊維状フィラー(B)と比べてアスペクト比が小さい、フィラー(C)をさらに含む、請求項1乃至7の何れか一項に記載のLED電球の筐体。
- 前記フィラー(C)のアスペクト比が50以下である、請求項8に記載のLED電球の筐体。
- 前記フィラー(C)がミドルファイバーまたは粉粒体である、請求項8または9に記載のLED電球の筐体。
- 前記材料組成物は、パルプ(D)をさらに含む、請求項1乃至10の何れか一項に記載のLED電球の筐体。
- 半球状、又は、逆円錐台形状の筒状に形成され、底部中央には開口が形成されている請求項1乃至11の何れか一項に記載のLED電球の筐体。
- LED素子と、
前記LED素子が搭載された実装基板と、
前記実装基板の一方の側を覆う透光性のカバー部材と、
前記実装基板を支持している筐体と、
を備え、
前記筐体は、請求項1乃至12の何れか一項に記載のLED電球の筐体であるLED電球。 - 熱硬化性樹脂(A)と、金属繊維または炭素繊維からなる繊維状フィラー(B)と、を含む材料組成物を抄造して抄造体を作製する工程と、
前記抄造体を加圧及び加熱して硬化させる工程と、
を含むLED電球の筐体の製造方法。 - 前記繊維状フィラー(B)として、アスペクト比が100以上のものを用いる、請求項14に記載のLED電球の筐体の製造方法。
- 前記材料組成物として、前記繊維状フィラー(B)と比べてアスペクト比が小さい、フィラー(C)をさらに含むものを用いる、請求項14又は15に記載のLED電球の筐体の製造方法。
- 前記フィラー(C)として、アスペクト比が50以下のものを用いる、請求項16に記載のLED電球の筐体の製造方法。
- 前記材料組成物として、パルプ(D)をさらに含むものを用いる、請求項14乃至17の何れか一項に記載のLED電球の筐体の製造方法。
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