JP2010264740A - 熱伝導性樹脂成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱伝導性樹脂組成物からなり、層の面内方向に対する熱伝導率が2W/m・K以上であり、かつ平均肉厚が0.3〜10mmである熱伝導層と、熱伝導層の少なくとも片面に積層形成され、体積抵抗が109Ω・cm以上であり、平均肉厚が0.02〜0.4mmである電気絶縁層とを具備してなり、
成形体の厚み方向にIEC61000準拠の静電破壊電圧が5kV以上、IEC60243短時間法準拠の絶縁破壊電圧が1kV以上の電気絶縁性を有し、かつ電気絶縁層と熱伝導層との密着性に関し、テープ剥離試験において剥離が発生しないことを特徴とする熱伝導性樹脂成形体。
【選択図】なし
Description
すなわち、リーク電流の抑制に加え、放電スパーク現象への耐力も有し、また層の密着安定性にも優れた、高い電気絶縁信頼性を有する熱伝導性樹脂成形体が求められていた。
[熱伝導性樹脂成形体]
本発明の熱伝導性樹脂成形体は、熱伝導層の熱伝導性を維持しつつ、成形体の電気絶縁性を向上させる目的において、薄葉の電気絶縁層を、熱伝導層の少なくとも片面に積層一体化したものである。電気絶縁層は必要に応じ、熱伝導層の両面に積層されても構わない。
電気絶縁層が熱伝導層の少なくとも片面に積層形成されたものである。熱伝導層は、熱伝導性樹脂組成物からなり、層の面内方向に対する熱伝導率が2W/m・K以上であり、かつ平均肉厚が0.3〜10mmである。電気絶縁層は、体積抵抗が109Ω・cm以上であり、平均肉厚が0.02〜0.4mmである。
本発明において、電気絶縁層は体積抵抗が109Ω・cm以上であることが好ましく、より好ましくは1011Ω・cm以上、更に好ましくは1013Ω・cm以上である。体積抵抗が109Ω・cm未満では本発明の樹脂成型体の電気絶縁性の確保が不十分となる場合が多い。
また電気絶縁層は機械的強度に優れた層であることが好ましく、それにより耐放電スパーク性を十分確保することができる。
コーティングによる層としては、熱可塑性樹脂や各種硬化性樹脂の層を用いることが可能であるが、高い電気絶縁性を安定に実現する目的で硬化性樹脂の使用が好ましい。電気絶縁性、特に放電スパーク現象への耐力を得る為には、数十μm以上の膜厚で、密着性に優れ、緻密な層を、均一に、安定に、かつ生産性高く作成することが必要であり、こうした観点では硬化性樹脂の中でも、紫外線硬化性樹脂によるコーティング層が好ましく用いられる。
また樹脂成型体の着色や加飾を意図する場合には、層の成形性や電気絶縁性の低下を引き起こさない混合の範囲で各種の顔料を添加することが可能である。
熱可塑性樹脂による電気絶縁層を用いる場合、熱伝導層と電気絶縁層の密着性を高める上でその境界面の少なくとも一部で溶融接合が為されていることが好ましい。このため、電気絶縁層に用いる熱可塑性樹脂は、熱伝導層のマトリクスの熱可塑性樹脂と同一、もしくは熱伝導層のマトリクスの熱可塑性樹脂と相溶性を有する、もしくは熱伝導層のマトリクスの熱可塑性樹脂との界面で溶融反応性を有する熱可塑性樹脂からなる親和性の高い樹脂を用いることが好ましい。
本発明における熱伝導層の熱伝導率は、2W/(m・K)以上である。発熱源からの熱拡散を想定した時、層の面内の少なくとも一方の方向に対して熱伝導率が2W/(m・K)未満である場合、熱拡散に由来する放熱性能が不十分になる。好ましくは5W/(m・K)以上であり、より好ましくは10W/(m・K)以上であり、更に好ましくは15W/(m・K)以上である。
熱伝導層を構成する熱伝導性樹脂組成物のマトリクス樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂ともに用いることができるが、高い生産性を得る観点では熱可塑性樹脂を用い、押し出し成形、射出成形等の溶融成型により熱伝導層を形成することがより好ましい。
熱伝導性フィラーに特に限定はないが、具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛などの金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどの金属窒化物、酸化窒化アルミニウムなどの金属酸窒化物、炭化珪素などの金属炭化物、金、銀、銅、アルミニウムなどの金属もしくは金属合金、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、ダイヤモンドなどの炭素材料などが挙げられる。また、これら熱伝導性フィラーは2種類以上併用することも可能である。中でも、熱伝導率に優れ密度が低いことから、高い熱伝導性を有しかつ軽い熱伝導性樹脂組成物を得ることが可能になることから、本発明では特にピッチ系黒鉛化短繊維を用いるのが好ましい。
また、必要に応じて他の添加剤を複数、組成物に添加しても構わない。他の添加剤としては離型剤、難燃剤、乳化剤、軟化剤、可塑剤、界面活性剤を挙げることができる。
本発明に用いられるピッチ系黒鉛化短繊維は、充填させたときの成形性や熱伝導性の発現等の観点から、特定形状のピッチ系黒鉛化短繊維を用いることが好ましい。すなわち
光学顕微鏡で観測した平均繊維径(D1)が2〜20μmであることが好ましい。D1が2μmを下回る場合、マトリクスと複合する際に当該短繊維の本数が多くなるため、マトリクス樹脂とピッチ系黒鉛化短繊維を混練する際の粘度が高くなり、ハンドリングが困難になることがある。逆にD1が20μmを超えると、マトリクスと複合する際に短繊維の本数が少なくなるため、当該短繊維同士が接触しにくくなり、熱伝導性組成物とした時に効果的な熱伝導を発揮しにくくなることがある。D1の好ましい範囲は5〜15μmであり、より好ましくは7〜13μmである。
本発明に用いられるピッチ系炭素短繊維の原料としては、例えば、ナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物、石油系ピッチや石炭系ピッチといった縮合複素環化合物等が挙げられる。その中でもナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物が好ましく、特にメソフェーズピッチが好ましい。メソフェーズピッチのメソフェーズ率としては少なくとも90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは99%以上である。なお、メソフェーズピッチのメソフェーズ率は、溶融状態にあるピッチを偏光顕微鏡で観察することで確認出来る。
紡糸方法には、特に制限はないが、所謂溶融紡糸法を適応することができる。具体的には、口金から吐出したメソフェーズピッチをワインダーで引き取る通常の紡糸延伸法、熱風をアトマイジング源として用いるメルトブロー法、遠心力を利用してメソフェーズピッチを引き取る遠心紡糸法などが挙げられる。中でもピッチ系炭素繊維前駆体の形態の制御、生産性の高さなどの理由からメルトブロー法を用いることが望ましい。このため以下本発明に用いられるピッチ系黒鉛化短繊維の製造方法に関してはメルトブロー法について記載する。
本発明の熱伝導性樹脂成形体は、樹脂の高い熱伝導率に基づき、効率的な熱拡散、熱輸送が可能であり、かつ電気絶縁性の確保が可能であるため、各種電気・電子デバイスの放熱構造として好適に利用できる。
具体的には、例えば、各種照明ランプの周辺材料、電子デバイス用パーケージ、電子デバイス筐体、電子制御ボックス等が好適に挙げられる。
なお、本実施例における各値は、以下の方法に従って求めた。
(1)ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維径は、JIS R7607に準じ、光学顕微鏡下でスケールを用いて60本測定し、その平均値から求めた。
(2)ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は、セイシン企業製PITA1を用いて1500本測定し、その平均値から求めた。
(3)ピッチ系黒鉛化短繊維の結晶子サイズは、X線回折に現れる(110)面からの反射を測定し、学振法にて求めた。
(4)ピッチ系黒鉛化短繊維の端面は、透過型電子顕微鏡で100万倍の倍率で観察し、400万倍に写真上で拡大し、グラフェンシートを確認した。
(5)ピッチ系黒鉛化短繊維の表面は走査型電子顕微鏡で1000倍の倍率で観察し、凹凸を確認した。
(6)熱伝導性樹脂組成物の熱伝導率は、4mm厚の熱伝導性組成物の成形体から3mm×10mmの短冊状にサンプルを切り出し、横に並べて一体化させ、ネッチ製LFA−447を用いて厚み方向および面内方向の熱伝導率を求めた。
(7)体積抵抗値は、ダイアインスツルメント製ハイレスタUPを用いて求めた。尚、コーティング層の体積抵抗値については、別途、0.7mm厚みのガラス板上に同一厚みでコーティング作成した層について測定した値を用いた。
(8)静電破壊電圧は、IEC61000に準拠し、株式会社ノイズ研究所製静電試験器モデル ESS−2002を用いて、成形体の厚み方向の静電破壊電圧(KV)を測定した。測定は5枚の試験片を用いて実施し、その中で最も低い値をもって、試験片の静電破壊電圧値とした。
(9)絶縁破壊電圧は、IEC60243短時間法に準拠し、ヤマヨ試験器製絶縁破壊試験装置YST−243−100RHOを用いて、成形体の厚み方向の絶縁破壊電圧(KV)を測定した。測定は5枚の試験片を用いて実施し、その中で最も低い値をもって、試験片の静電破壊電圧値とした。
(10)隠蔽率は、JIS K−5400に準拠し、以下の方法で測定を行った。すなわち視感反射率80±1%の白色試験紙および視感反射率2%以下の黒色試験紙を準備し、それぞれに電気絶縁層を各実施例記載の厚みで積層し(コーティング層ないしフィルム、フィルムの場合は透明粘着テープを介して貼り付ける)、電気絶縁層表面の分光反射率をJIS Z−8722に準拠して測定し、所定の計算により視感反射率を求めた。尚、電気絶縁層表面の分光反射率は日立製分光光度計U3500を用いて測定した。次に前記視感反射率の値を用いて以下の計算を行い、電気絶縁層の隠蔽率を算出した。
隠蔽率(%)=(黒色試験紙上での前記視感反射率)/(白色試験紙上での前記視感反射率)×100
(11)白色度は、JIS P8148に準拠し、日本電色工業製分光式白度計PF−10Rを用いて測定を行った。
(12)密着性試験は、以下のテープ剥離試験により実施した。すなわちサンプルの表面にセロハンテープ(ニチバン製「CT24」を貼り付け、サンプルに十分に密着させた後、テープを垂直方向に引き剥がす方法によって行い、引き剥がす側のテープの端部を1秒間に5cmの高さまで持ち上げるような力を加えたときに、層が剥離するかどうかで、表面層(電気絶縁層)の密着強度を評価した。試験は3回行った。
縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。光学的異方性割合は100%、軟化点が283℃であった。直径0.2mmφの孔のキャップを使用し、スリットから加熱空気を毎分5500mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均直径14.5μmのピッチ系短繊維を作製した。この時の紡糸温度は328℃であり、溶融粘度は13.5Pa・s(135poise)であった。紡出された繊維をベルト上に捕集してマットとし、さらにクロスラッピングで目付400g/m2のピッチ系炭素繊維前駆体からなるピッチ系炭素繊維前駆体ウェブとした。
このピッチ系炭素繊維前駆体ウェブを空気中で170℃から320℃まで平均昇温速度5℃/分で昇温して不融化し、更に800℃で焼成を行った。このピッチ系炭素繊維ウェブをカッター(ターボ工業製)を用いて700rpmで粉砕し、3000℃で黒鉛化した。
ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維径は9.8μm、平均繊維径に対する繊維径分散の比(CV値)は9%であった。個数平均繊維長は170μm、六角網面の成長方向に由来する結晶サイズは70nmであった。
ピッチ系黒鉛化短繊維の端面は透過型顕微鏡の観察によりグラフェンシートが閉じていることを確認した。また、表面は走査型電子顕微鏡の観察により、凹凸は1個であり実質的に平坦であった。
参考例1で得られたピッチ系黒鉛化短繊維40体積部、ポリカーボネート樹脂(帝人化成製 パンライト(登録商標)L−1225Y)100体積部とを、単軸混練装置を用いて溶融混練し、熱伝導性樹脂組成物のペレットを得た。このペレットを用いて射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み4mmの熱伝導性成形品を得た。熱伝導性成形品の熱伝導率は面内方向で11.5W/(m・K)、厚み方向で1.0W/(m・K)であった。
厚み0.05mm、体積抵抗1015Ω・cmの共重合ポリエステル樹脂によるフィルム(帝人デュポンフィルム製テフレックス(登録商標)フィルム)を射出成形機の金型内にセットし、参考例2で得られた熱伝導性樹脂組成物ペレットを用いてインサート射出成形を行い、金型内でポリエステル系樹脂フィルムと熱伝導樹脂との界面を溶融反応反応により接合せしめて、平均厚み2mmの熱伝導性樹脂成形体を得た。
本成形体の静電破壊電圧は30kV以上、絶縁破壊電圧は10kV以上の値を示した。
また熱伝導率は面内方向で11.1W/(m・K)、厚み方向で0.9W/(m・K)であった。
また共重合ポリエステルフィルムを積層した面の密着性に関し、フィルムの剥離は全く見られなかった。
厚み0.1mm、体積抵抗1013Ω・cmのポリカーボネートフィルム(帝人化成製 パンライト(登録商標)フィルム)を射出成形機の金型内にセットし、参考例2で得られた熱伝導性樹脂組成物ペレットを用いてインサート射出成形を行い、金型内でポリエステル系樹脂フィルムと熱伝導樹脂との界面を溶融接合せしめて、平均厚み2mmの熱伝導性樹脂成形体を得た。
本成形体の静電破壊電圧は30kV以上、絶縁破壊電圧は10kV以上の値を示した。
また熱伝導率は面内方向で10.3W/(m・K)、厚み方向で0.8W/(m・K)であった。
またポリカーボネートフィルムを積層した面の密着性に関し、フィルムの剥離は全く見られなかった。
参考例2で得られた熱伝導性樹脂組成物ペレットを用い、平均厚み2mmの板材を成形し、その片面に、紫外線硬化性塗料をコーティングして、紫外線硬化性樹脂による電気絶縁層を積層した。
紫外線硬化性塗料は、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート(東亞合成製 アロニックス(登録商標) M−203S)80重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成製 アロニックス(登録商標) M−309 20重量部、紫外線重合開始剤としてチバスペシャリティケミカルズ製 イルガキュア(登録商標)184 4重量部、レベリング剤として東レ・ダウコーニング製シリコーン系オイル「SH28PA」0.05重量部、1メトキシ2プロパノールとイソプロピルアルコールを重量比1:2で混合してなる希釈溶剤を混合して得たものを用いた。
紫外線硬化性樹脂により、スプレーコーティングを行い、70℃で1分間の予備乾燥の後、積算光量700mJ/cm2の紫外線照射を行って、層の紫外線硬化を行い、更に110℃で5分間後加熱処理を施して、硬化後厚み0.07mmの紫外線硬化性樹脂によるコーティング層を得た。本コーティング層の体積抵抗は7×1011Ω・cmであった。
本紫外線硬化性樹脂による電気絶縁層を片面に設けた成形板材について、静電破壊電圧は30kV以上、絶縁破壊電圧は6.2kVであった。熱伝導率は面内方向で11.2W/(m・K)、厚み方向で0.9W/(m・K)であった。
また紫外線硬化性塗料をコーティングした面の密着性に関し、コーティング塗膜の剥離は全く見られなかった。
実施例1において、厚み0.05mm、体積抵抗1015Ω・cmで、光拡散性粒子を複合してなる白色共重合ポリエステル樹脂によるフィルム(帝人デュポンフィルム製テフレックス(登録商標)フィルム)を用いた以外は実施例1と全く同様にして、平均厚み2mmの熱伝導性樹脂成形体を得た。
本成形体の静電破壊電圧は30kV以上、絶縁破壊電圧は10kV以上の値を示した。また熱伝導率は面内方向で11.0W/(m・K)、厚み方向で0.8W/(m・K)であった。
また白色共重合ポリエステルフィルムを積層した面の密着性に関し、フィルムの剥離は全く見られなかった。
また白色共重合ポリエステルフィルムを積層した面の隠蔽度は89%、白色度は88であった。
実施例3において用いた紫外線硬化性塗料に代わり、以下の塗料を用い、硬化後の膜厚を0.03mmとした以外は、実施例1と全く同様にして、平均厚み2mmの熱伝導性樹脂成形体を得た。
すなわち紫外線硬化性塗料としては、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート(東亞合成製 アロニックス(登録商標) M−203S)45重量部、ポリエステル変性多官能アクリレート樹脂(東亞合成製 アロニックス(登録商標) M−8060)40重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成製 アロニックス(登録商標) M−309)15重量部、紫外線重合開始剤としてチバスペシャリティケミカルズ製 イルガキュア(登録商標)184 4重量部、レベリング剤として東レ・ダウコーニング製シリコーン系オイル「SH28PA」0.05重量部、顔料として、ルチル型チタンホワイト顔料(石原産業製 タイペーク(登録商標) CR−50)30重量部、1メトキシ2プロパノールとイソプロピルアルコールを重量比1:2で混合してなる希釈溶剤を混合して得たものを用いた。本コーティング層の体積抵抗は3×1011Ω・cmであった。
本成形体の静電破壊電圧は30kV以上、絶縁破壊電圧は4.9kVであった。また熱伝導率は面内方向で11.3W/(m・K)、厚み方向で0.9W/(m・K)であった。
また紫外線硬化性塗料をコーティングした面の密着性に関し、コーティング塗膜の剥離は全く見られなかった。
また紫外線硬化性塗料をコーティングした面の隠蔽度は91%、白色度は92であった。
実施例2で作成した熱伝導性樹脂による2mm厚みの板材について、紫外線硬化性樹脂のコーティングを施さない状態で評価を行ったところ、静電破壊電圧は10KV以下、絶縁破壊電圧は0.3KV未満であった。
2:熱伝導層
3:銅配線
4:デバイス(LED等)
5a、5b、5c:熱曲げ加工用治具(熱板、熱ロール等)
6a:インサート成形用金型(固定金型)
6b:インサート成形用金型(可動金型)
Claims (17)
- 熱伝導性樹脂組成物からなり、層の面内方向に対する熱伝導率が2W/m・K以上であり、かつ平均肉厚が0.3〜10mmである熱伝導層と、
熱伝導層の少なくとも片面に積層形成され、体積抵抗が109Ω・cm以上であり、平均肉厚が0.02〜0.4mmである電気絶縁層とを具備してなり、
成形体の厚み方向にIEC61000準拠の静電破壊電圧が5kV以上、IEC60243短時間法準拠の絶縁破壊電圧が1kV以上の電気絶縁性を有し、かつ電気絶縁層と熱伝導層との密着性に関し、テープ剥離試験において剥離が発生しないことを特徴とする熱伝導性樹脂成形体。 - 電気絶縁層の隠蔽率が、60〜100%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性樹脂成形体。
- 電気絶縁層の積層された表面の白色度が、60〜100の範囲にあることを特徴とする請求項1もしくは2のいずれかに記載の熱伝導性樹脂成形体。
- 熱伝導層は、マトリクスとする熱可塑性樹脂100体積部に対して10〜100体積部の熱伝導性フィラーを含有する熱伝導性樹脂組成物を成形してなる層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱伝導性樹脂成形体。
- 熱伝導性フィラーとして、メソフェーズピッチを原料としたピッチ系黒鉛化短繊維を含むことを特徴とする請求項4に記載の熱伝導性樹脂成形体。
- ピッチ系黒鉛化短繊維が、平均繊維径が2〜20μmであり、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率(CV値)が3〜15%であり、個数平均繊維長が20〜500μmであり、六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが30nm以上であり、透過型電子顕微鏡によるフィラー端面観察においてグラフェンシートが閉じており、かつ走査型電子顕微鏡での観察表面が実質的に平坦であることを特徴とする請求項5に記載の熱伝導性樹脂成形体。
- 電気絶縁層は、硬化性樹脂による層であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱伝導性樹脂成形体。
- 電気絶縁層は、紫外線硬化性樹脂による層であることを特徴とする請求項7に記載の熱伝導性樹脂成形体。
- 電気絶縁層を、コーティングにより熱伝導層に積層形成することを特徴とする請求項7もしくは8のいずれかに記載の熱伝導性樹脂成形体の製造方法。
- 電気絶縁層が、熱可塑性樹脂を溶融成形してなる層であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱伝導性樹脂成形体。
- 電気絶縁層が、熱可塑性樹脂によるフィルムであることを特徴とする請求項10に記載の熱伝導性樹脂成形体。
- 電気絶縁層と熱伝導層とを、二色成型法により一体形成する層を特徴とする請求項10に記載の熱伝導性樹脂成形体の製造方法。
- 電気絶縁層と熱伝導層とを、フィルムインサート成形法により一体形成する層を特徴とする請求項10に記載の熱伝導性樹脂成形体の製造方法。
- 請求項1〜8,10〜11のいずれかに記載の熱伝導樹脂成型体を構成要素に含む照明ランプ。
- 請求項1〜8,10〜11のいずれかに記載の熱伝導樹脂成型体を構成要素に含む電子デバイス用パーケージ。
- 請求項1〜8,10〜11のいずれかに記載の熱伝導樹脂成型体を構成要素に含む電子デバイス筐体。
- 請求項1〜8,10〜11のいずれかに記載の熱伝導樹脂成型体を構成要素に含む電子制御ボックス。
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