JP2010264740A - 熱伝導性樹脂成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱伝導性と電気絶縁性に優れる熱伝導性樹脂成形体を提供すること。
【解決手段】熱伝導性樹脂組成物からなり、層の面内方向に対する熱伝導率が2W/m・K以上であり、かつ平均肉厚が0.3〜10mmである熱伝導層と、熱伝導層の少なくとも片面に積層形成され、体積抵抗が10Ω・cm以上であり、平均肉厚が0.02〜0.4mmである電気絶縁層とを具備してなり、
成形体の厚み方向にIEC61000準拠の静電破壊電圧が5kV以上、IEC60243短時間法準拠の絶縁破壊電圧が1kV以上の電気絶縁性を有し、かつ電気絶縁層と熱伝導層との密着性に関し、テープ剥離試験において剥離が発生しないことを特徴とする熱伝導性樹脂成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導性と電気絶縁性を兼ね備えた樹脂成形体に関する。
近年、省エネルギーに代表されるエネルギーの効率的使用方法が注目されている一方で、高速化されたCPUや電子回路のジュール熱による発熱が重篤な問題として認識されつつある。また、電子注入を発光原理とするエレクトロルミネッセンス素子においても同様に重篤な問題として顕在化している。そして、このような製品が内包する熱に由来する問題を解決するためには、熱の効率的な処理(サーマルマネジメント)を達成する必要がある。サーマルマネジメントを達成するために、表面積の拡大及び材料内の効率的な熱伝導を活用し、空気への熱を逃がすことを目的としたヒートシンクや、発熱部からヒートシンクへの効果的に熱を輸送することを目的とした熱伝導性シート、グリースなどが使用されている。これら熱伝導性部材の作成を目的として幅広く検討されている。
熱伝導性を示す物質の内、セラミックや炭素材料などは単独での熱伝導性部材への加工は困難であり、非常に特殊な手法を用いる必要がある。そこで、これら熱伝導性フィラーを何らかのマトリクスと複合化し、その組成物の熱伝導度を向上させることが求められる。
成形体に高い熱伝導性を付与するには、熱伝導性フィラーを多量に充填する必要があるが、熱伝導性フィラーとして高性能を示す炭素系の熱伝導性フィラーを高充填した場合、成形体全体の電気絶縁性が低下する場合がある。こうした電気絶縁性の低下は、成形体の用途を制限する場合が多く、特に電流、電圧の大きい電子デバイス用の筐体材料や放熱部品として用いる場合には重大な問題となりやすく、熱伝導性と電気絶縁性を兼ね備えた熱伝導性成形体を生産性に優れた簡便な方法で実現することが望まれていた。
このような目的において、本発明者は電気絶縁性のフィルムを高熱伝導性の層に熱圧着により接合した積層構造を提案した(特許文献1)。しかし本作成法は熱伝導性成形体が平坦なシート状である場合に限られており、立体形状、三次元の複雑形状、凹凸形状等にも適用できる方法が求められていた。
またこの他にマトリクスと熱伝導性の炭素繊維集合体とからなる炭素繊維複合材料に電気絶縁層をコーティングする方法が提案されている(特許文献2)。特許文献2の実施例1〜7においては得られた炭素繊維複合材料の表面抵抗の値が1×10Ω/□(Ω/sq.)以上との結果が記載されているが、リーク電流の抑制に主眼を置いた提案であり、より高い電気絶縁性を得る為に不可欠な放電スパーク現象への耐力を高めることには具体的提案が為されていない。更に電気絶縁層の機械的信頼性に関し、高い密着安定性を示す層の提案が為されていない。
すなわち、リーク電流の抑制に加え、放電スパーク現象への耐力も有し、また層の密着安定性にも優れた、高い電気絶縁信頼性を有する熱伝導性樹脂成形体が求められていた。
特開2008−205453号公報 特開2008−208316号公報
本発明の目的は、高い熱伝導性と高い電気絶縁信頼性を併せ持つ熱伝導性樹脂成形体、特に射出成形により形成されるデザイン自由度の高い熱伝導性樹脂成形体を提供することにある。なかでも電気絶縁性として、表面抵抗等の比抵抗値に関する要求と、静電破壊電圧、絶縁破壊電圧といったいわゆる放電スパーク現象への耐力に関する要求をともに満たす熱伝導性樹脂成形体を提供することである。
本発明の熱伝導性樹脂成形体は、熱伝導性樹脂組成物からなり、層の面内方向に対する熱伝導率が2W/m・K以上であり、かつ平均肉厚が0.3〜10mmである熱伝導層と、熱伝導層の少なくとも片面に積層形成され、体積抵抗が10Ω・cm以上であり、平均肉厚が0.02〜0.4mmである電気絶縁層とを具備してなり、成形体の厚み方向にIEC61000準拠の静電破壊電圧が5kV以上、IEC60243短時間法準拠の絶縁破壊電圧が1kV以上の電気絶縁性を有し、かつ電気絶縁層と熱伝導層との密着性に関し、所定のテープ剥離試験において剥離が発生しないことを特徴とする熱伝導性樹脂成形体である。
本発明の熱伝導性樹脂成形体は、熱伝導性と電気絶縁性を併せ持ち、簡易な方法で製造可能なことから、各種電子デバイス、例えばLED、有機EL、インバータ、FET、IGBT等のパワーデバイスや各種モーター等の筐体材料、放熱部品等の用途に広範に応用可能である。
本発明の熱伝導性樹脂成形体を用いたデバイスを実装した3次元立体実装構造の作成方法を示す模式図である。 本発明の熱伝導性樹脂成形体を用いたデバイスを実装した3次元立体実装構造の異なる作成方法を示す模式図である。
以下に、本発明の実施の形態について順次説明する。
[熱伝導性樹脂成形体]
本発明の熱伝導性樹脂成形体は、熱伝導層の熱伝導性を維持しつつ、成形体の電気絶縁性を向上させる目的において、薄葉の電気絶縁層を、熱伝導層の少なくとも片面に積層一体化したものである。電気絶縁層は必要に応じ、熱伝導層の両面に積層されても構わない。
本発明の熱伝導性樹脂成形体は、少なくとも熱伝導層と電気絶縁層とを具備してなり、
電気絶縁層が熱伝導層の少なくとも片面に積層形成されたものである。熱伝導層は、熱伝導性樹脂組成物からなり、層の面内方向に対する熱伝導率が2W/m・K以上であり、かつ平均肉厚が0.3〜10mmである。電気絶縁層は、体積抵抗が10Ω・cm以上であり、平均肉厚が0.02〜0.4mmである。
本発明の熱伝導性樹脂成形体は厚み方向のIEC61000準拠の静電破壊電圧が5kV以上である。静電破壊電圧は、より好ましくは10kV以上、更に好ましくは20kV以上、最も好ましくは30kV以上である。ここでIEC61000とはInternational Electro-technical Committeeの規格である。
本発明の熱伝導性樹脂成形体はIEC60243短時間法準拠の絶縁破壊電圧が1kV以上である。絶縁破壊電圧より好ましくは3kV以上、更に好ましくは5kV以上、最も好ましくは10kV以上である。ここでIEC60243とはInternational Electro-technical Committeeの規格である。
本発明の熱伝導性樹脂成形体は電気絶縁層と熱伝導層との密着性に優れたものであり、以下のテープ剥離試験において剥離が発生しないものである。すなわちテープ剥離試験は電気絶縁層に切れ目を入れずに、サンプル表面にセロハンテープを貼り付けた後、垂直方向に引き剥がす試験であって、引き剥がす側のテープの端部を1秒間に5cmの高さまで持ち上げるような力を加えたときに、層が剥離するかどうかで判断する。
更に好ましくは碁盤目テープ試験(電気絶縁層に碁盤目状に切れ目を入れた後、テープを貼り付け、引き剥がす試験)においても電気絶縁層の剥離が起こらないことがより好ましい。この碁盤目テープ剥離試験はJIS K5400もしくはJIS K5600に準拠して行うことができる。
[電気絶縁層]
本発明において、電気絶縁層は体積抵抗が10Ω・cm以上であることが好ましく、より好ましくは1011Ω・cm以上、更に好ましくは1013Ω・cm以上である。体積抵抗が10Ω・cm未満では本発明の樹脂成型体の電気絶縁性の確保が不十分となる場合が多い。
電気絶縁層の平均肉厚は0.02〜0.4mmの範囲である。肉厚が厚くなるほど電気絶縁性は高いものが得られるが、その一方で電気絶縁層内での断熱性が高まり、樹脂成形体の放熱性を低下させる悪影響も出てくる。よって用途に応じた適度な肉厚設計が必要である。
一般に平均肉厚が0.02mm未満であると成形体の電気絶縁性の確保が不十分になりやすく、1mmを超えると成形体の熱伝導性の顕著な低下が起こりやすい。よって電気絶縁層の平均肉厚はより好ましくは0.03〜0.3mm、更に好ましくは0.04〜0.2mmである。
厚みはできるだけ均一であることが好ましく、また層内に空孔部などの欠損部がないことが好ましい。
また電気絶縁層は機械的強度に優れた層であることが好ましく、それにより耐放電スパーク性を十分確保することができる。
電気絶縁層としては、コーティングによる層や、熱可塑性樹脂からなる薄葉の層もしくはフィルム状の成形体(以下、熱可塑性樹脂フィルムと記す)が好ましく挙げられる。
コーティングによる層としては、熱可塑性樹脂や各種硬化性樹脂の層を用いることが可能であるが、高い電気絶縁性を安定に実現する目的で硬化性樹脂の使用が好ましい。電気絶縁性、特に放電スパーク現象への耐力を得る為には、数十μm以上の膜厚で、密着性に優れ、緻密な層を、均一に、安定に、かつ生産性高く作成することが必要であり、こうした観点では硬化性樹脂の中でも、紫外線硬化性樹脂によるコーティング層が好ましく用いられる。
尚、コーティング層は単層でも良いが、必要に応じ、プライマー、トップコートの2層からなるコーティングを施しても良い。この場合、コーティング層の欠陥発生の確率が下がり、またコーティング層の密着性を高める設計がし易くなる利点がある。
紫外線硬化性樹脂によるコーティング層としては、公知の多官能アクリレートが好ましく利用できる。ただし層の架橋度が高すぎると層の強度や密着性が低下する場合が多い為、官能基数、ソフトセグメントの選択等に注意を払う必要がある。ソフトセグメントとしてはポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系等が挙げられるが、電気絶縁性を高める観点から吸水性の低いポリエステル系もしくはエポキシ系のソフトセグメントが特に好ましく用いられる。これら紫外線硬化樹脂層には公知の紫外線反応開始剤、増感剤、レベリング剤等を適宜混合することができる。
電気絶縁層が熱可塑性樹脂の場合、熱可塑性樹脂を溶融成形してなる層であることが好ましい。なかでも熱可塑性樹脂による薄葉の層もしくはフィルムであることが好ましい。熱可塑性樹脂による薄葉の層もしくはフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスチレン等ならびにそれらの共重合体、部分変性体等による層もしくはフィルムが挙げられる。
特に本発明の熱可塑性樹脂フィルムは熱加工性、深絞り性に優れたフィルムが好ましい場合が多く、例えば、イソフタル酸共重合ポリエステル、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエステル(PET−G)、A−PET等からなるフィルム、もしくはこれらのフィルムを少なくともその一層として含む多層積層フィルム等が好ましく挙げられる。また非相溶の複数の樹脂成分を混合してなるアロイ系の樹脂材料を用い、それぞれの成分が海島状に相分離してなるフィルム等も使用することが可能である。
さて電気絶縁層には、必要に応じ、各種の添加剤を混合することが可能である。例えば熱安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、難燃剤、流動性改良剤等を適宜混合することができる。
また電気絶縁層の熱伝導性を高める目的で、無機系の微粒子、例えばシリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、炭化珪素等を混合しても構わない。
また樹脂成型体の着色や加飾を意図する場合には、層の成形性や電気絶縁性の低下を引き起こさない混合の範囲で各種の顔料を添加することが可能である。
顔料としては、例えば、ルチル型酸化チタン、チタンホワイト、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アンチモン、水酸化チタン、水酸化亜鉛、水酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫化亜鉛、燐酸アルミニウム、燐酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸鉛、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄赤、酸化鉄茶、硫化硫黄、酸化鉄黄、硫化鉛、カルシウムシリケート、カオリンなどの微粒子、短繊維等が挙げられる。またこのほか樹脂微粒子、例えばシリコーン架橋微粒子やアクリル系の架橋微粒子等も本目的に用いることができる。
尚、電気絶縁層には2層以上の複層からなる層を用いることも可能であるが、この場合、無機系微粒子、短繊維、顔料等の添加材は一方の層のみに添加しても良いし、各層に添加しても構わない。
電気絶縁層として熱可塑性樹脂による薄葉の層を用いる場合、該電気絶縁層は二色成型法により、熱伝導層に積層されることが好ましい。また熱可塑性樹脂フィルムを用いる場合には、フィルム熱ラミネート成形法、フィルムインサート成形法等により熱伝導層に積層されることが好ましい。
二色成型法とは、例えば二種以上の樹脂または樹脂組成物を、それぞれ独立に樹脂押出用ノズルから溶融吐出させた後、金型やダイス内で一体化させ、その後に冷却固化することにより、界面で溶融接合し一体化した、二種以上の樹脂または樹脂組成物からなる複合成形体を得る手法を意味し、射出成型装置、押し出し成型装置、共押し出し成形装置等の構造や組み合わせの選択、そして金型、ダイスの設計により実現可能である。
フィルム熱ラミネート成形法とは、少なくとも片面が平坦なシート状に成型された樹脂成型体とフィルムを重ねた状態で加熱・加圧可能なロール間に通して熱プレスを行う等の方法により、樹脂性成型体とフィルムの界面を溶融接合せしめる方法である。
フィルムインサート成形法とは、射出成形用金型内にあらかじめフィルムをセットしておき、金型内に射出される溶融樹脂とフィルムとの界面を溶融接合せしめ、一体成形体として得る手法である。複雑な3次元形態、例えば屈曲部、曲面部、凹凸形状等を有する立体的な樹脂成形体を作成する場合には、熱変形性(例えば深絞り加工性等)に優れた熱可塑性樹脂フィルムを用いることが好ましく、金型にセットする前に真空成型等により、予備成形しておくことも好ましい。
本発明の熱伝導性樹脂成形体は電気絶縁層と熱伝導層との密着性に優れたものである。
熱可塑性樹脂による電気絶縁層を用いる場合、熱伝導層と電気絶縁層の密着性を高める上でその境界面の少なくとも一部で溶融接合が為されていることが好ましい。このため、電気絶縁層に用いる熱可塑性樹脂は、熱伝導層のマトリクスの熱可塑性樹脂と同一、もしくは熱伝導層のマトリクスの熱可塑性樹脂と相溶性を有する、もしくは熱伝導層のマトリクスの熱可塑性樹脂との界面で溶融反応性を有する熱可塑性樹脂からなる親和性の高い樹脂を用いることが好ましい。
さて前述のように、樹脂成型体表面の着色、加飾を目的とする場合、顔料等の添加により電気絶縁層の隠蔽性を高めることが好ましい。すなわち電気絶縁層のJIS K−5400の7.2に規定される隠蔽率の値が、60〜100%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは70〜100%、更に好ましくは80〜100%である。隠蔽率は、JIS K−5400に準拠し測定する。
また樹脂成型体表面の白色度の高さを要求される用途においては、電気絶縁層の形成された樹脂成型体表面のJIS P8148で規定される白色度が60〜100%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは70〜100%、更に好ましくは80〜100%である。
また樹脂成型体表面の光反射率の高さを要求される用途においては、電気絶縁層の形成された樹脂成型体表面の光反射率が50〜100%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは60〜100%、更に好ましくは70〜100%である。
[熱伝導層の好適な仕様]
本発明における熱伝導層の熱伝導率は、2W/(m・K)以上である。発熱源からの熱拡散を想定した時、層の面内の少なくとも一方の方向に対して熱伝導率が2W/(m・K)未満である場合、熱拡散に由来する放熱性能が不十分になる。好ましくは5W/(m・K)以上であり、より好ましくは10W/(m・K)以上であり、更に好ましくは15W/(m・K)以上である。
熱伝導層の平均肉厚は0.3〜10mmである。平均肉厚が0.3mm未満の場合、熱伝導性二色樹脂成形体の熱輸送量が不十分になり、放熱性能が不十分になる。平均肉厚が10mmを超えると成形体の重量、体積の無用な増加を引き起こす。平均肉厚は好ましくは0.5〜5mm、更に好ましくは0.5〜3mmである。
[熱伝導層を構成する熱伝導性樹脂組成物]
熱伝導層を構成する熱伝導性樹脂組成物のマトリクス樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂ともに用いることができるが、高い生産性を得る観点では熱可塑性樹脂を用い、押し出し成形、射出成形等の溶融成型により熱伝導層を形成することがより好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えばポリエステル類及びその共重合体(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート)、ポリスチレン類(ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレンなど)及びその共重合体(スチレン−アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂など)、ポリアクリロニトリル類及びその共重合体、ポリフェニレンエーテル(PPE)類及びその共重合体(変性PPE樹脂なども含む)、脂肪族ポリアミド類及びその共重合体、ポリイミド類及びその共重合体、ポリアミドイミド類及びその共重合体、ポリカーボネート類及びその共重合体、ポリフェニレンスルフィド類及びその共重合体、ポリサルホン類及びその共重合体、ポリエーテルサルホン類及びその共重合体、ポリエーテルニトリル類及びその共重合体、ポリエーテルケトン類及びその共重合体、ポリエーテルエーテルケトン類及びその共重合体、ポリケトン類及びその共重合体、エラストマー、液晶性ポリマー等が挙げられる。これらから一種を単独で用いても、二種以上を適宜組み合わせて用いても良い。
熱伝導層を構成する熱伝導性樹脂組成物は、そのマトリクス樹脂100体積部に対し、熱伝導性フィラーの含有量が10〜100体積部であることが好ましい。熱伝導性フィラーの含有量が10体積部未満だと高い熱伝導性が得られ難い。逆に熱伝導性フィラーの含有量が100体積部を超えると、熱伝導性フィラーを樹脂に分散させ、均一な熱伝導性樹脂組成物を得るのが困難になりやすく、また樹脂の流動性が不十分となりやすい。熱伝導フィラーの含有量は好ましくは20〜90体積部である。
熱伝導性フィラーとマトリクス樹脂との混合は、単軸型の溶融混練装置、二軸型の溶融混練装置等の公知の溶融混練装置を用いて好ましく実施できる。繊維状の熱伝導性フィラーを用いる場合には、混練時の繊維の破壊、切断を抑制する観点で単軸型の溶融混練装置を用いることが好ましい場合が多い。またニ軸型の溶融混練装置を用いて繊維状の熱伝導性フィラーをマトリクスに混合する場合には、溶融混練時の樹脂せん断力が比較的小さいタイプのスクリュー構成を取ることが好ましく、また熱伝導性フィラーはサイドフィーダー等から投入し、混練長や混練時間を短めに設定することが好ましい場合が多い。
[熱伝導性フィラー]
熱伝導性フィラーに特に限定はないが、具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛などの金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどの金属窒化物、酸化窒化アルミニウムなどの金属酸窒化物、炭化珪素などの金属炭化物、金、銀、銅、アルミニウムなどの金属もしくは金属合金、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、ダイヤモンドなどの炭素材料などが挙げられる。また、これら熱伝導性フィラーは2種類以上併用することも可能である。中でも、熱伝導率に優れ密度が低いことから、高い熱伝導性を有しかつ軽い熱伝導性樹脂組成物を得ることが可能になることから、本発明では特にピッチ系黒鉛化短繊維を用いるのが好ましい。
熱伝導性樹脂組成物には熱伝導性フィラーのほか、成形性、機械物性などのその他特性をより高めるために、ガラス繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼化アルミニウムウィスカ、窒化ホウ素ウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、アスベスト繊維、石膏繊維、金属繊維などの繊維状フィラーを必要な機能に応じて適宜添加してもよい。これらを2種類以上併用することも可能である。ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラスビーズ、ガラスフレーク及びセラミックビーズなどの非繊維状フィラーも必要に応じて適宜添加することが可能である。これらは中空であってもよく、さらにはこれらを2種類以上併用することも可能である。ただ、上記化合物は、密度がピッチ系黒鉛化短繊維より大きなものが多く、軽量化を目的とするときには、添加量や添加比率に気を配る必要がある。
また、必要に応じて他の添加剤を複数、組成物に添加しても構わない。他の添加剤としては離型剤、難燃剤、乳化剤、軟化剤、可塑剤、界面活性剤を挙げることができる。
[ピッチ系黒鉛化短繊維]
本発明に用いられるピッチ系黒鉛化短繊維は、充填させたときの成形性や熱伝導性の発現等の観点から、特定形状のピッチ系黒鉛化短繊維を用いることが好ましい。すなわち
光学顕微鏡で観測した平均繊維径(D1)が2〜20μmであることが好ましい。D1が2μmを下回る場合、マトリクスと複合する際に当該短繊維の本数が多くなるため、マトリクス樹脂とピッチ系黒鉛化短繊維を混練する際の粘度が高くなり、ハンドリングが困難になることがある。逆にD1が20μmを超えると、マトリクスと複合する際に短繊維の本数が少なくなるため、当該短繊維同士が接触しにくくなり、熱伝導性組成物とした時に効果的な熱伝導を発揮しにくくなることがある。D1の好ましい範囲は5〜15μmであり、より好ましくは7〜13μmである。
本発明に用いられるピッチ系黒鉛化短繊維は、光学顕微鏡で観測したピッチ系黒鉛化短繊維における繊維径分散(S1)の平均繊維径(D1)に対する百分率(CV値)は3〜15%であることが好ましい。CV値は繊維径のバラツキの指標であり、小さい程、工程安定性が高く、製品のバラツキが小さいことを意味している。CV値が3%より小さい時、繊維径が極めて揃っているため、ピッチ系黒鉛化短繊維の間隙に入るサイズの小さな短繊維の量が少なくなり、ピッチ系黒鉛化短繊維をより密に充填するのが困難になり、結果として高い熱伝導率を有する熱伝導性組成物を得にくくなることがある。逆にCV値が15%より大きい場合、ピッチ系黒鉛化短繊維をマトリクスと複合する際に、分散性が悪くなり、均一な性能を有する熱伝導性組成物を得ることが困難になることがある。CV値は好ましくは、5〜13%である。CV値は、紡糸時の溶融メソフェーズピッチの粘度を調節すること、具体的には、メルトブロー法にて紡糸する際は、紡糸時のノズル孔での溶融粘度を5.0〜25.0Pa・sに調整することで実現できる。
ピッチ系黒鉛化短繊維は、一般的には平均繊維長1mm未満からなるミルドファイバーと平均繊維長1mm以上10mm未満からなるカットファイバーの2種類がある。ミルドファイバーの外観は粉状のため分散性に優れ、カットファイバーの外観は繊維状に近いため、繊維同士の接触が得られやすい特徴がある。
本発明に用いられるピッチ系黒鉛化短繊維は上記のミルドファイバーに該当し、その平均繊維長(L1)は、より好ましくは20〜500μmであることが好ましい。ここで、平均繊維長は個数平均繊維長とし、顕微鏡下で所定本数を測定し、その平均値から求めることができる。L1が20μmより小さい場合、当該短繊維同士が接触しにくくなり、高い熱伝導率を有する熱伝導性組成物を得にくくなることがある。逆にL1が500μmより大きくなる場合、マトリクスとピッチ系黒鉛化短繊維を混練する際の粘度が高くなり、ハンドリングが困難になることがある。より好ましくは、20〜300μmの範囲である。この様なピッチ系黒鉛化短繊維を得る手法として特に制限はないがミリングの条件、すなわちカッター等で粉砕する際の、カッターの回転速度、ボールミルの回転数、ジェットミルの気流速度、クラッシャーの衝突回数、ミリング装置中の滞留時間を調節することにより平均繊維長を制御することができる。また、ミリング後のピッチ系炭素短繊維から、篩等の分級操作を行って、短い繊維長、または長い繊維長のピッチ系炭素短繊維を除去することにより調整することができる。
本発明に用いられるピッチ系黒鉛化短繊維は、黒鉛結晶からなり、六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが30nm以上であることが好ましい。結晶子サイズは六角網面の成長方向のいずれも、黒鉛化度に対応するものであり、熱物性を発現するためには、一定サイズ以上が必要である。六角網面の成長方向の結晶子サイズは、X線回折法で求めることができる。測定手法は集中法とし、解析手法としては学振法が好適に用いられる。六角網面の成長方向の結晶子サイズは、(110)面からの回折線を用いて求めることができる。
本発明に用いられるピッチ系黒鉛化短繊維は、透過型電子顕微鏡による繊維末端観察において、グラフェンシートの端面が閉じていることが好ましい。グラフェンシートの端面が閉じている場合、余分な官能基の発生や、形状に起因する電子の局在化が起こり難い。このため、ピッチ系黒鉛化短繊維に活性点が生じず、熱伝導性組成物にした時、マトリクスの劣化、例えば加水分解を抑制し、湿熱耐久性能を向上することが可能となる。50万〜400万倍に拡大した透過型電子顕微鏡による視野範囲で、グラフェンシートの端面は80%超閉じていることが好ましい。80%以下であると余分な官能基の発生や、形状に起因する電子の局在化を引き起こし、マトリクスとの反応を促進する可能性があるため好ましくない。グラフェンシート端面の閉鎖率は90%以上が好ましく、更には95%以上が更に好ましい。
グラフェンシート端面構造は、黒鉛化の前に粉砕を実施するか、黒鉛化の後に粉砕を実施するかにより、大きく異なる。すなわち、黒鉛化後に粉砕処理を行った場合、黒鉛化で成長したグラフェンシートが切断破断され、グラフェンシート端面が開いた状態になり易い。一方、黒鉛化前に粉砕処理を行った場合、黒鉛の成長過程でグラフェンシート端面がU字上に湾曲し、湾曲部分がピッチ系黒鉛化短繊維端部に露出した構造になり易い。このため、グラフェンシート端面閉鎖率が80%を超えるようなピッチ系黒鉛化短繊維を得るためには、粉砕を行った後に黒鉛化処理することが好ましい。
本発明に用いられるピッチ系黒鉛化短繊維は走査型電子顕微鏡での側面の観察表面が実質的に平坦であることが好ましい。ここで、実質的に平坦であるとは、フィブリル構造のような激しい凹凸をピッチ系黒鉛化短繊維に有しないことを意味する。ピッチ系黒鉛化短繊維の表面に激しい凹凸のような欠陥が存在する場合には、マトリクスとの混練に際して表面積の増大に伴う粘度の増大を引き起こし、成形性を悪化させる。よって、表面凹凸のような欠陥はできるだけ小さい状態が望ましい。より具体的には、走査型電子顕微鏡において1000倍で観察した像での観察視野に、凹凸のような欠陥が10箇所以下であることとする。この様なピッチ系黒鉛化短繊維を得る手法としては、ミリングを行った後に黒鉛化処理を実施することによって、好ましく得ることができる。
以下本発明に用いられるピッチ系炭素短繊維の好ましい製造法について述べる。
本発明に用いられるピッチ系炭素短繊維の原料としては、例えば、ナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物、石油系ピッチや石炭系ピッチといった縮合複素環化合物等が挙げられる。その中でもナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物が好ましく、特にメソフェーズピッチが好ましい。メソフェーズピッチのメソフェーズ率としては少なくとも90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは99%以上である。なお、メソフェーズピッチのメソフェーズ率は、溶融状態にあるピッチを偏光顕微鏡で観察することで確認出来る。
更に、原料ピッチの軟化点としては、230℃以上340℃以下が好ましい。不融化処理は、軟化点よりも低温で処理する必要がある。このため、軟化点が230℃より低いと、少なくとも軟化点未満の低い温度で不融化処理する必要があり、結果として不融化に長時間を要するため好ましくない。一方、軟化点が340℃を超えると、紡糸に340℃を超える高温が必要となり、ピッチの熱分解を引き起こし、発生したガスで糸に気泡が発生するなどの問題を生じるため好ましくない。軟化点のより好ましい範囲は250℃以上320℃以下、更に好ましくは260℃以上310℃以下である。なお、原料ピッチの軟化点はメトラー法により求めることが出来る。原料ピッチは、二種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。組み合わせる原料ピッチのメソフェーズ率は少なくとも90%以上であり、軟化点が230℃以上340℃以下であることが好ましい。
メソフェーズピッチは溶融法により紡糸され、その後不融化、炭化、粉砕、黒鉛化によってピッチ系黒鉛化短繊維となる。場合によっては、粉砕の後、分級工程を入れることもある。
以下各工程の好ましい態様について説明する。
紡糸方法には、特に制限はないが、所謂溶融紡糸法を適応することができる。具体的には、口金から吐出したメソフェーズピッチをワインダーで引き取る通常の紡糸延伸法、熱風をアトマイジング源として用いるメルトブロー法、遠心力を利用してメソフェーズピッチを引き取る遠心紡糸法などが挙げられる。中でもピッチ系炭素繊維前駆体の形態の制御、生産性の高さなどの理由からメルトブロー法を用いることが望ましい。このため以下本発明に用いられるピッチ系黒鉛化短繊維の製造方法に関してはメルトブロー法について記載する。
ピッチ系炭素繊維前駆体を形成する紡糸ノズルの形状はどのようなものであっても良い。通常真円状のものが使用されるが、適時楕円などの異型形状のノズルを用いても何ら問題ない。ノズル孔の長さ(LN)と孔径(DN)の比(LN/DN)としては、2〜20の範囲が好ましい。LN/DNが20を超えると、ノズルを通過するメソフェーズピッチに強いせん断力が付与され、繊維断面にラジアル構造が発現する。ラジアル構造の発現は、黒鉛化の過程で繊維断面に割れを生じさせることがあり、機械特性の低下を引き起こすことがあるため好ましくない。一方、LN/DNが2未満では、原料ピッチにせん断を付与することが出来ず、結果として黒鉛の配向が低いピッチ系炭素繊維前駆体となる。このため、黒鉛化しても黒鉛化度を十分に上げることが出来ず、熱伝導性を向上させ難く好ましくない。機械強度と熱伝導性の両立を達成するには、メソフェーズピッチに適度のせん断を付与する必要がある。このため、ノズル孔の長さ(LN)と孔径(DN)の比(LN/DN)は2〜20の範囲が好ましく、更には3〜12の範囲が特に好ましい。
紡糸時のノズルの温度、メソフェーズピッチがノズルを通過する際のせん断速度、ノズルからブローされる風量、風の温度等についても特に制約はなく、安定した紡糸状態が維持できる条件、即ち、メソフェーズピッチのノズル孔での溶融粘度が1〜100Pa・sの範囲にあれば良い。
ノズルを通過するメソフェーズピッチの溶融粘度が1Pa・s未満の場合、溶融粘度が低すぎて糸形状を維持することが出来ず好ましくない。一方、メソフェーズピッチの溶融粘度が100Pa・sを超える場合、メソフェーズピッチに強いせん断力が付与され、繊維断面にラジアル構造を形成するため好ましくない。メソフェーズピッチに付与するせん断力を適切な範囲にせしめ、かつ繊維形状を維持するためには、ノズルを通過するメソフェーズピッチの溶融粘度を制御する必要がある。このため、メソフェーズピッチの溶融粘度を1〜100Pa・sの範囲にするのが好ましく、更には3〜30Pa・sの範囲にすることが好ましく、5〜25Pa・sの範囲にすることが更に好ましい。
本発明に用いられるピッチ系黒鉛化短繊維は、平均繊維径(D1)が2〜20μm以下であることを特徴とするが、ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維径の制御は、ノズルの孔径を変更する、あるいはノズルからの原料ピッチの吐出量を変更する、あるいはドラフト比を変更することで調整可能である。ドラフト比の変更は、100〜400℃に加温された毎分100〜20000mの線速度のガスを細化点近傍に吹き付けることによって達成することができる。吹き付けるガスに特に制限は無いが、コストパフォーマンスと安全性の面から空気が望ましい。
ピッチ系炭素繊維前駆体は、金網等のベルトに捕集されピッチ系炭素繊維前駆体ウェブとなる。その際、ベルト搬送速度により任意の目付量に調整できるが、必要に応じ、クロスラップ等の方法により積層させてもよい。ピッチ系炭素繊維前駆体ウェブの目付量は生産性及び工程安定性を考慮して、150〜1000g/mが好ましい。
このようにして得られたピッチ系炭素繊維前駆体ウェブは、公知の方法で不融化処理し、ピッチ系不融化繊維ウェブにする。不融化は、空気、或いはオゾン、二酸化窒素、窒素、酸素、ヨウ素、臭素を空気に添加したガスを用いた酸化性雰囲気下で実施できるが、安全性、利便性を考慮すると空気中で実施することが望ましい。また、バッチ処理、連続処理のどちらでも処理可能であるが、生産性を考慮すると連続処理が望ましい。不融化処理は150〜350℃の温度で、一定時間の熱処理を付与することで達成される。より好ましい温度範囲は、160〜340℃である。昇温速度は1〜10℃/分が好適に用いられ、連続処理の場合は任意の温度に設定した複数の反応室を順次通過させることで、上記昇温速度を達成できる。昇温速度のより好ましい範囲は、生産性及び工程安定性を考慮して、3〜9℃/分である。
ピッチ系不融化繊維ウェブは、600〜2000℃の温度で、真空中、或いは窒素、アルゴン、クリプトン等の不活性ガスを用いた非酸化性雰囲気中で炭化処理され、ピッチ系炭素繊維ウェブになる。炭化処理は、コスト面を考慮して、常圧かつ窒素雰囲気下での処理が望ましい。また、バッチ処理、連続処理のどちらでも処理可能であるが、生産性を考慮すれば連続処理が望ましい。
炭化処理されたピッチ系炭素繊維ウェブは、所望の繊維長にするために、切断、破砕・粉砕等の処理が実施される。また、場合によっては、分級処理が実施される。処理方式は所望の繊維長に応じて選定されるが、切断にはギロチン式、1軸、2軸及び多軸回転式等のカッターが好適に使用され、破砕、粉砕には衝撃作用を利用したハンマ式、ピン式、ボール式、ビーズ式及びロッド式、粒子同士の衝突を利用した高速回転式、圧縮・引裂き作用を利用したロール式、コーン式及びスクリュー式等の破砕機・粉砕機等が好適に使用される。所望の繊維長を得るために、切断と破砕・粉砕を多種複数機で構成してもよい。処理雰囲気は湿式、乾式のどちらでもよい。分級処理には、振動篩い式、遠心分離式、慣性力式、濾過式等の分級装置等が好適に使用される。所望の繊維長は、機種選定のみならず、ロータ・回転刃等の回転数、供給量、刃間クリアランス、系内滞留時間等を制御することによっても得ることができる。また、分級処理を用いる場合には、所望の繊維長は篩い網孔径等を調整することによっても得ることができる。
上記の切断、破砕・粉砕処理、場合によっては分級処理を併用して作成したピッチ系炭素短繊維は、2000〜3500℃に加熱し黒鉛化して最終的なピッチ系黒鉛化短繊維とする。黒鉛化は、アチソン炉、電気炉等にて実施され、真空中、或いは窒素、アルゴン、クリプトン等の不活性ガスを用いた非酸化性雰囲気下等で実施される。
本発明に用いられるピッチ系黒鉛化短繊維は、収束剤もしくは熱伝導性組成物に用いるマトリクスとの親和性をより高め、ハンドリング性の向上を目的として、表面処理をしても良い。表面処理の方法として特に限定は無いが、具体的には、電着処理、めっき処理、オゾン処理、プラズマ処理、酸処理などが挙げられる。
[熱伝導性樹脂成形体の用途]
本発明の熱伝導性樹脂成形体は、樹脂の高い熱伝導率に基づき、効率的な熱拡散、熱輸送が可能であり、かつ電気絶縁性の確保が可能であるため、各種電気・電子デバイスの放熱構造として好適に利用できる。
具体的には、例えば、各種照明ランプの周辺材料、電子デバイス用パーケージ、電子デバイス筐体、電子制御ボックス等が好適に挙げられる。
照明ランプの周辺材料については、例えばLED素子やEL素子の基板、パッケージ、ヒートシンク、筐体等が挙げられる。電子デバイス用パッケージとしては、パワー半導体素子、光半導体素子、CPU、MPU等の演算素子等を内部に実装するパッケージが挙げられる。また電子デバイス筐体としては、各種モーター、トランス、CCDセンサ、超音波センサ、ピエゾ素子、ペルチェ素子、ハードディスク等の筐体が挙げられ、電子制御ボックスとしては、自動車その他等の機械・電気駆動用のインバーター、電子コントロールユニット(ECU)等が挙げられる。
本発明の熱伝導性樹脂成形体は、一般の金属に比べ、比重が小さく、軽量化が実現でき、また自由曲面、複雑形状の形成などの成形自由度が高い、量産性に優れる等の特長があり、従来金属が用いられていた部位を置き換えることが可能である。
更なる特長として、後加工性すなわち一旦、所定の形の成形体を得て、デバイス等の実装を行った後に、デバイス等実装した成形体に対して、全体的もしくは局部的に加熱しながら外力を加えることにより、デバイス周辺の形状を熱的に変形できることが挙げられる。
この特長は、例えば、デバイスを3次元立体的に実装する手法として有効である。3次元立体実装構造は、例えば、光の直進性の強いLED素子、半導体レーザー素子のパッケージ、筐体として好ましく用いることができ、こうした構造を生産性高く作成する手法の開発が望まれている。
本発明の熱伝導樹脂成形体を用いた場合、例えば、まず熱伝導樹脂成形体を平面シート状に作成した後、その電気絶縁層表面に一般的な銅配線などの電気配線パターンを形成して、樹脂実装基板を作成する。続いて、本樹脂実装基板上に複数デバイスの実装を行った後、デバイス実装部以外の部位を基点に樹脂実装基板を熱曲げ/プレス加工することによって、複数のデバイスが相異なる複数の平面上に実装された3次元立体実装構造を実現することができる(図1に例示)。また必要に応じ、より広い領域で熱曲げ/プレス加工を行うことにより、全体として筐体の形状を為すことも可能であり、この場合、デバイス実装基板と筐体が連続的かつシームレスに接合してなる特徴ある3次元実装/筐体構造が得られる。この構造はデバイスの放熱をより効率的に行う上で非常に好ましい構造である。
またこの他、前述のフィルムインサート成形法を応用する方法があり、あらかじめ電気配線およびまたは電気配線とデバイス実装を済ませた熱可塑性樹脂フィルム(電気絶縁層)を予備成形して金型にセットした後、熱伝導樹脂の射出成形を行って、両者を一体化することにより、3次元立体実装構造、あるいは前述のような3次元実装/筐体構造を得ることができる(図2に例示)。尚、これらの例で実装デバイスがLEDである場合、電気絶縁層は隠蔽率、白色度、反射率がそれぞれ高い熱可塑性樹脂の層もしくは熱可塑性樹脂フィルムを用いることが好ましい。
これらの方法は、3次元立体成形した成形体にデバイスを実装する方法よりも生産性に優れ、量産に向く手法であり、本発明の熱伝導樹脂成形体の特長を活かせる用途として挙げられる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
なお、本実施例における各値は、以下の方法に従って求めた。
(1)ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維径は、JIS R7607に準じ、光学顕微鏡下でスケールを用いて60本測定し、その平均値から求めた。
(2)ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維長は、セイシン企業製PITA1を用いて1500本測定し、その平均値から求めた。
(3)ピッチ系黒鉛化短繊維の結晶子サイズは、X線回折に現れる(110)面からの反射を測定し、学振法にて求めた。
(4)ピッチ系黒鉛化短繊維の端面は、透過型電子顕微鏡で100万倍の倍率で観察し、400万倍に写真上で拡大し、グラフェンシートを確認した。
(5)ピッチ系黒鉛化短繊維の表面は走査型電子顕微鏡で1000倍の倍率で観察し、凹凸を確認した。
(6)熱伝導性樹脂組成物の熱伝導率は、4mm厚の熱伝導性組成物の成形体から3mm×10mmの短冊状にサンプルを切り出し、横に並べて一体化させ、ネッチ製LFA−447を用いて厚み方向および面内方向の熱伝導率を求めた。
(7)体積抵抗値は、ダイアインスツルメント製ハイレスタUPを用いて求めた。尚、コーティング層の体積抵抗値については、別途、0.7mm厚みのガラス板上に同一厚みでコーティング作成した層について測定した値を用いた。
(8)静電破壊電圧は、IEC61000に準拠し、株式会社ノイズ研究所製静電試験器モデル ESS−2002を用いて、成形体の厚み方向の静電破壊電圧(KV)を測定した。測定は5枚の試験片を用いて実施し、その中で最も低い値をもって、試験片の静電破壊電圧値とした。
(9)絶縁破壊電圧は、IEC60243短時間法に準拠し、ヤマヨ試験器製絶縁破壊試験装置YST−243−100RHOを用いて、成形体の厚み方向の絶縁破壊電圧(KV)を測定した。測定は5枚の試験片を用いて実施し、その中で最も低い値をもって、試験片の静電破壊電圧値とした。
(10)隠蔽率は、JIS K−5400に準拠し、以下の方法で測定を行った。すなわち視感反射率80±1%の白色試験紙および視感反射率2%以下の黒色試験紙を準備し、それぞれに電気絶縁層を各実施例記載の厚みで積層し(コーティング層ないしフィルム、フィルムの場合は透明粘着テープを介して貼り付ける)、電気絶縁層表面の分光反射率をJIS Z−8722に準拠して測定し、所定の計算により視感反射率を求めた。尚、電気絶縁層表面の分光反射率は日立製分光光度計U3500を用いて測定した。次に前記視感反射率の値を用いて以下の計算を行い、電気絶縁層の隠蔽率を算出した。
隠蔽率(%)=(黒色試験紙上での前記視感反射率)/(白色試験紙上での前記視感反射率)×100
(11)白色度は、JIS P8148に準拠し、日本電色工業製分光式白度計PF−10Rを用いて測定を行った。
(12)密着性試験は、以下のテープ剥離試験により実施した。すなわちサンプルの表面にセロハンテープ(ニチバン製「CT24」を貼り付け、サンプルに十分に密着させた後、テープを垂直方向に引き剥がす方法によって行い、引き剥がす側のテープの端部を1秒間に5cmの高さまで持ち上げるような力を加えたときに、層が剥離するかどうかで、表面層(電気絶縁層)の密着強度を評価した。試験は3回行った。
[参考例1]
縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。光学的異方性割合は100%、軟化点が283℃であった。直径0.2mmφの孔のキャップを使用し、スリットから加熱空気を毎分5500mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均直径14.5μmのピッチ系短繊維を作製した。この時の紡糸温度は328℃であり、溶融粘度は13.5Pa・s(135poise)であった。紡出された繊維をベルト上に捕集してマットとし、さらにクロスラッピングで目付400g/mのピッチ系炭素繊維前駆体からなるピッチ系炭素繊維前駆体ウェブとした。
このピッチ系炭素繊維前駆体ウェブを空気中で170℃から320℃まで平均昇温速度5℃/分で昇温して不融化し、更に800℃で焼成を行った。このピッチ系炭素繊維ウェブをカッター(ターボ工業製)を用いて700rpmで粉砕し、3000℃で黒鉛化した。
ピッチ系黒鉛化短繊維の平均繊維径は9.8μm、平均繊維径に対する繊維径分散の比(CV値)は9%であった。個数平均繊維長は170μm、六角網面の成長方向に由来する結晶サイズは70nmであった。
ピッチ系黒鉛化短繊維の端面は透過型顕微鏡の観察によりグラフェンシートが閉じていることを確認した。また、表面は走査型電子顕微鏡の観察により、凹凸は1個であり実質的に平坦であった。
[参考例2]
参考例1で得られたピッチ系黒鉛化短繊維40体積部、ポリカーボネート樹脂(帝人化成製 パンライト(登録商標)L−1225Y)100体積部とを、単軸混練装置を用いて溶融混練し、熱伝導性樹脂組成物のペレットを得た。このペレットを用いて射出成形機(東芝機械製EC40NII)を用いて厚み4mmの熱伝導性成形品を得た。熱伝導性成形品の熱伝導率は面内方向で11.5W/(m・K)、厚み方向で1.0W/(m・K)であった。
[実施例1]
厚み0.05mm、体積抵抗1015Ω・cmの共重合ポリエステル樹脂によるフィルム(帝人デュポンフィルム製テフレックス(登録商標)フィルム)を射出成形機の金型内にセットし、参考例2で得られた熱伝導性樹脂組成物ペレットを用いてインサート射出成形を行い、金型内でポリエステル系樹脂フィルムと熱伝導樹脂との界面を溶融反応反応により接合せしめて、平均厚み2mmの熱伝導性樹脂成形体を得た。
本成形体の静電破壊電圧は30kV以上、絶縁破壊電圧は10kV以上の値を示した。
また熱伝導率は面内方向で11.1W/(m・K)、厚み方向で0.9W/(m・K)であった。
また共重合ポリエステルフィルムを積層した面の密着性に関し、フィルムの剥離は全く見られなかった。
[実施例2]
厚み0.1mm、体積抵抗1013Ω・cmのポリカーボネートフィルム(帝人化成製 パンライト(登録商標)フィルム)を射出成形機の金型内にセットし、参考例2で得られた熱伝導性樹脂組成物ペレットを用いてインサート射出成形を行い、金型内でポリエステル系樹脂フィルムと熱伝導樹脂との界面を溶融接合せしめて、平均厚み2mmの熱伝導性樹脂成形体を得た。
本成形体の静電破壊電圧は30kV以上、絶縁破壊電圧は10kV以上の値を示した。
また熱伝導率は面内方向で10.3W/(m・K)、厚み方向で0.8W/(m・K)であった。
またポリカーボネートフィルムを積層した面の密着性に関し、フィルムの剥離は全く見られなかった。
[実施例3]
参考例2で得られた熱伝導性樹脂組成物ペレットを用い、平均厚み2mmの板材を成形し、その片面に、紫外線硬化性塗料をコーティングして、紫外線硬化性樹脂による電気絶縁層を積層した。
紫外線硬化性塗料は、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート(東亞合成製 アロニックス(登録商標) M−203S)80重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成製 アロニックス(登録商標) M−309 20重量部、紫外線重合開始剤としてチバスペシャリティケミカルズ製 イルガキュア(登録商標)184 4重量部、レベリング剤として東レ・ダウコーニング製シリコーン系オイル「SH28PA」0.05重量部、1メトキシ2プロパノールとイソプロピルアルコールを重量比1:2で混合してなる希釈溶剤を混合して得たものを用いた。
紫外線硬化性樹脂により、スプレーコーティングを行い、70℃で1分間の予備乾燥の後、積算光量700mJ/cmの紫外線照射を行って、層の紫外線硬化を行い、更に110℃で5分間後加熱処理を施して、硬化後厚み0.07mmの紫外線硬化性樹脂によるコーティング層を得た。本コーティング層の体積抵抗は7×1011Ω・cmであった。
本紫外線硬化性樹脂による電気絶縁層を片面に設けた成形板材について、静電破壊電圧は30kV以上、絶縁破壊電圧は6.2kVであった。熱伝導率は面内方向で11.2W/(m・K)、厚み方向で0.9W/(m・K)であった。
また紫外線硬化性塗料をコーティングした面の密着性に関し、コーティング塗膜の剥離は全く見られなかった。
[実施例4]
実施例1において、厚み0.05mm、体積抵抗1015Ω・cmで、光拡散性粒子を複合してなる白色共重合ポリエステル樹脂によるフィルム(帝人デュポンフィルム製テフレックス(登録商標)フィルム)を用いた以外は実施例1と全く同様にして、平均厚み2mmの熱伝導性樹脂成形体を得た。
本成形体の静電破壊電圧は30kV以上、絶縁破壊電圧は10kV以上の値を示した。また熱伝導率は面内方向で11.0W/(m・K)、厚み方向で0.8W/(m・K)であった。
また白色共重合ポリエステルフィルムを積層した面の密着性に関し、フィルムの剥離は全く見られなかった。
また白色共重合ポリエステルフィルムを積層した面の隠蔽度は89%、白色度は88であった。
[実施例5]
実施例3において用いた紫外線硬化性塗料に代わり、以下の塗料を用い、硬化後の膜厚を0.03mmとした以外は、実施例1と全く同様にして、平均厚み2mmの熱伝導性樹脂成形体を得た。
すなわち紫外線硬化性塗料としては、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート(東亞合成製 アロニックス(登録商標) M−203S)45重量部、ポリエステル変性多官能アクリレート樹脂(東亞合成製 アロニックス(登録商標) M−8060)40重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成製 アロニックス(登録商標) M−309)15重量部、紫外線重合開始剤としてチバスペシャリティケミカルズ製 イルガキュア(登録商標)184 4重量部、レベリング剤として東レ・ダウコーニング製シリコーン系オイル「SH28PA」0.05重量部、顔料として、ルチル型チタンホワイト顔料(石原産業製 タイペーク(登録商標) CR−50)30重量部、1メトキシ2プロパノールとイソプロピルアルコールを重量比1:2で混合してなる希釈溶剤を混合して得たものを用いた。本コーティング層の体積抵抗は3×1011Ω・cmであった。
本成形体の静電破壊電圧は30kV以上、絶縁破壊電圧は4.9kVであった。また熱伝導率は面内方向で11.3W/(m・K)、厚み方向で0.9W/(m・K)であった。
また紫外線硬化性塗料をコーティングした面の密着性に関し、コーティング塗膜の剥離は全く見られなかった。
また紫外線硬化性塗料をコーティングした面の隠蔽度は91%、白色度は92であった。
[比較例1]
実施例2で作成した熱伝導性樹脂による2mm厚みの板材について、紫外線硬化性樹脂のコーティングを施さない状態で評価を行ったところ、静電破壊電圧は10KV以下、絶縁破壊電圧は0.3KV未満であった。
本発明の熱伝導性樹脂成形体は、熱伝導性と電気絶縁性の両立を可能にせしめている。特に本発明の熱伝導性樹脂成形体は、表面抵抗等の比抵抗値に関する要求と、静電破壊電圧、絶縁破壊電圧といったいわゆる放電スパーク現象への耐力に関する要求をともにしている。これにより電気絶縁性の確保が要求される部位でのサーマルマネジメントを確実なものとする。
1:電気絶縁層
2:熱伝導層
3:銅配線
4:デバイス(LED等)
5a、5b、5c:熱曲げ加工用治具(熱板、熱ロール等)
6a:インサート成形用金型(固定金型)
6b:インサート成形用金型(可動金型)

Claims (17)

  1. 熱伝導性樹脂組成物からなり、層の面内方向に対する熱伝導率が2W/m・K以上であり、かつ平均肉厚が0.3〜10mmである熱伝導層と、
    熱伝導層の少なくとも片面に積層形成され、体積抵抗が10Ω・cm以上であり、平均肉厚が0.02〜0.4mmである電気絶縁層とを具備してなり、
    成形体の厚み方向にIEC61000準拠の静電破壊電圧が5kV以上、IEC60243短時間法準拠の絶縁破壊電圧が1kV以上の電気絶縁性を有し、かつ電気絶縁層と熱伝導層との密着性に関し、テープ剥離試験において剥離が発生しないことを特徴とする熱伝導性樹脂成形体。
  2. 電気絶縁層の隠蔽率が、60〜100%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性樹脂成形体。
  3. 電気絶縁層の積層された表面の白色度が、60〜100の範囲にあることを特徴とする請求項1もしくは2のいずれかに記載の熱伝導性樹脂成形体。
  4. 熱伝導層は、マトリクスとする熱可塑性樹脂100体積部に対して10〜100体積部の熱伝導性フィラーを含有する熱伝導性樹脂組成物を成形してなる層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱伝導性樹脂成形体。
  5. 熱伝導性フィラーとして、メソフェーズピッチを原料としたピッチ系黒鉛化短繊維を含むことを特徴とする請求項4に記載の熱伝導性樹脂成形体。
  6. ピッチ系黒鉛化短繊維が、平均繊維径が2〜20μmであり、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率(CV値)が3〜15%であり、個数平均繊維長が20〜500μmであり、六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが30nm以上であり、透過型電子顕微鏡によるフィラー端面観察においてグラフェンシートが閉じており、かつ走査型電子顕微鏡での観察表面が実質的に平坦であることを特徴とする請求項5に記載の熱伝導性樹脂成形体。
  7. 電気絶縁層は、硬化性樹脂による層であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱伝導性樹脂成形体。
  8. 電気絶縁層は、紫外線硬化性樹脂による層であることを特徴とする請求項7に記載の熱伝導性樹脂成形体。
  9. 電気絶縁層を、コーティングにより熱伝導層に積層形成することを特徴とする請求項7もしくは8のいずれかに記載の熱伝導性樹脂成形体の製造方法。
  10. 電気絶縁層が、熱可塑性樹脂を溶融成形してなる層であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱伝導性樹脂成形体。
  11. 電気絶縁層が、熱可塑性樹脂によるフィルムであることを特徴とする請求項10に記載の熱伝導性樹脂成形体。
  12. 電気絶縁層と熱伝導層とを、二色成型法により一体形成する層を特徴とする請求項10に記載の熱伝導性樹脂成形体の製造方法。
  13. 電気絶縁層と熱伝導層とを、フィルムインサート成形法により一体形成する層を特徴とする請求項10に記載の熱伝導性樹脂成形体の製造方法。
  14. 請求項1〜8,10〜11のいずれかに記載の熱伝導樹脂成型体を構成要素に含む照明ランプ。
  15. 請求項1〜8,10〜11のいずれかに記載の熱伝導樹脂成型体を構成要素に含む電子デバイス用パーケージ。
  16. 請求項1〜8,10〜11のいずれかに記載の熱伝導樹脂成型体を構成要素に含む電子デバイス筐体。
  17. 請求項1〜8,10〜11のいずれかに記載の熱伝導樹脂成型体を構成要素に含む電子制御ボックス。
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