JP6286628B2 - 着物用の着脱式飾部 - Google Patents

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Description

本発明は、着物用の着脱式飾部に関する。
飾部を備えた着物用の簡易帯として、これまで多数の提案がなされている。
例えば、特許文献1では、飾部となる太鼓部分が、簡易帯の端部に設けられており、この太鼓部分を背にして簡易帯本体を身体の胴部分に巻き付け、ベルベット式ファスナーを係止することにより装着できる簡易帯が提案されている。
特許文献1に開示の簡易帯では、飾部となる太鼓部分の着脱が困難であった。
また、例えば特許文献2では、着脱可能に形成された帯結び部分を有する飾部を胴部分に巻き付け、ベルベット式ファスナーを係止することにより装着できる簡易帯が提案されている。
特許文献2に開示の簡易帯では、お太鼓等の飾部の着脱について考慮されていないため、帯結び部分が着脱可能であるのみであって、本物の帯のような外観を呈することはできなかった。
特開2000−170022号公報 特開2006−28675号公報
本発明は、胴体部に巻かれた輪状の帯に簡単に装着でき、本物の帯のような外観を呈することのできる着物用の着脱式飾部を提供することを課題とする。
本発明の課題を解決するための手段は、次のとおりである。
(1)着物の胴体部に巻かれた輪状の帯を挟み、折り畳んで帯に着脱可能に取り付けられる着物用の着脱式飾部であって、背中側の胴体部と帯の間に挟み込まれる下飾部と、下飾部に連設するとともに帯の外側に位置する上飾部と、対向する下飾部の下端と上飾部の下端とを連結する手段とを備えることを特徴とする着物用の着脱式飾部。
(2)上記上飾部は、帯生地を複数枚重ねて縫製してなることを特徴とする、(1)に記載の着物用の着脱式飾部。
(3)上記下飾部の上部に縫製或いは着脱可能に固定され、上記飾部の上部の形状を保持する一体帯枕を備えることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の着物用の着脱式飾部。
(4)上記下飾部の上部に固定された一体帯揚げを備えることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の着物用の着脱式飾部。
(5)上記一体帯揚げは、帯枕を包み左右に突出した帯揚げと、帯揚げの左右の突出部に係止具を設けることを特徴とする、(4)に記載の着物用の着脱式飾部。
(6)上記帯揚げは、ゴムバンドからなることを特徴とする、(5)に記載の着物用の着脱式飾部。
(7)上記上飾部と上記下飾部との間であって、上記上飾部又は上記下飾部に固定された収納部を設けることを特徴とする、(1)ないし(6)のいずれかに記載の着物用の着脱式飾部。
(8)上記収納部は、開閉可能なネットであることを特徴とする、(7)に記載の着物用の着脱式飾部。
(9)上記下飾部の内部にクッション材を配置することを特徴とする、(1)ないし(8)のいずれかに記載の着物用の着脱式飾部。
(10)上記対向する下飾部の下端と上飾部の下端とを連結する手段は、面ファスナーであることを特徴とする、(1)ないし(9)のいずれかに記載の着物用の着脱式飾部。
本発明によれば、着物の胴部に巻きつけた輪状の帯に簡易に装着して、本物の帯のような外観を呈することができる着物用の着脱式飾部が得られる。
また、飾部に収納部を設けることにより、オムツ、その他小物の収納が可能になる。さらに、収納部の内部にタオル等のクッション材を詰めることにより、飾部を盛り上げたり、飾部の装着に際し、身体に対するクッション作用が得られる。
本発明の第1の実施例に係る、お太鼓形状の着脱式飾部の説明図である。 本発明の第1の実施例に係る、お太鼓形状の着脱式飾部のA−A’断面図である。 本発明の第1の実施例に係る、お太鼓形状の着脱式飾部の装着方法の説明図である。 本発明の第2の実施例に係る、お太鼓形状の着脱式飾部の説明図である。 本発明の第3の実施例に係る、お太鼓形状の着脱式飾部の説明図である。 本発明の第4の実施例に係る、お太鼓形状の着脱式飾部の説明図である。
着物の帯は、一本の帯生地を胴に巻き付けた部分と、帯生地の両端を背面で立体的形状に結い揚げた飾部からなり、別体の帯板、帯枕、帯揚げ、帯締めとともに使用される。
お太鼓帯は、帯生地を着物の上で胴部に巻き付け、帯生地の両端を折り重ねて結った飾部を背中側に一体に備える。帯板は帯の形状を保持するため、帯の間に配置される板である。
帯揚げは、太鼓部内に配置され帯枕を包み、帯に沿って巻き、腹部側で両端部が結ばれ、帯上部からその一部が見られるように、帯の間に挟み込み、帯と着物の柄を調和させるとともに、お太鼓の形状を保持する。
帯締めは、帯を固定するため紐等で、お太鼓部を通し、帯の上下方向中央部で帯に沿って巻き付け、腹部側で結ばれる。
本発明では、飾部のない帯と、飾部のない帯に固定した帯締め及び帯揚げを、まとめて帯部と呼ぶ。なお、帯板を含む場合もある。
また、着脱式飾部は、背中に近い部分を下飾部と呼び、背中から遠く表から視認できる立体形状の部分を上飾部と呼ぶ。上飾部は、結い、重ね、縫製等で、立体形状を演出すれば、いずれの手段で立体的な形状を保持してもよい。
着脱式飾部は、着脱式飾部の下飾部を背中側の胴体部と帯との間に挟み込むことにより、帯に装着される。
帯、飾部の素材としては、従来の帯素材、被服に用いる素材全般を採用することができ、例えば革、レース編みなど、特に制限はない。
帯、飾部を革で形成すれば、従来にない斬新な着物を提供することができ、着物文化の改革、発展、海外展開に大きく貢献することとなる。
(実施例1)
本発明に係る着物用の着脱式飾部の第1の実施例として、図1ないし図3に示す着脱式お太鼓を例示して詳細に説明する。
着脱式お太鼓12は、飾部12aと、一体帯枕13と、ネット14とからなる。
飾部12aは、図2に示すように、一本の帯生地を折り重ね、縫製して形状を保持するもので、着脱式飾部の下飾部12dは背中側の胴体部と帯との間に挟み込まれる。
上飾部12eは、下飾部12dに連設するとともに帯生地を複数枚重ねて縫製してなり、帯部6の外側に位置する。
下飾部12dと上飾部12eの下端同士は、帯6aを挟持後、それぞれに設けられた連結具、例えば面ファスナー12fにより相互に連結される。
そして、これにより、従来の帯と一体に折り重ねて形成させるお太鼓を、帯から分離して、帯部6に着脱可能に取り付け可能となる。
上飾部12eの側面からは、従来のお太鼓結び同様、テ12cを突出させ、下飾部12dの下端は、上飾部12eから突出し、視認できるタレ12gを形成すると、本物の帯のような外観になる。
テ12cは、上飾部12eと一体でもよいし、別体で縫製して保持してもよい。
下飾部12dの内部には、クッション材12hを配置することにより、飾部12aの形状保持と、緩衝性が得られる。
上飾部12eと下飾部12dとの連結部分の両端は、三角形状に内側に折り返し、縫製して、着脱式お太鼓11の上部湾曲形状を保持するとよい。折り返して縫製した部分を折込部12bという。折込部12bの折り返し線は、背中側の上部付近で上飾部12e方向からは視認できない位置にするとよい。
一体帯枕13は、帯枕13bと帯枕13bを包み下飾部12dの上部に縫製等或いは着脱可能に固定した帯揚げ13aとからなり、飾部12a上部の形状を保持する。帯揚げ13aの両端は、下飾部12dと返部12nの間に縫製等で固定すると見栄えがよい。
帯枕13bに代えて、折り畳み傘を取り出し可能に帯揚げ13aに収納し、飾部12aの形状を保持してもよい。また、飾部12a内の帯揚げ部分を収納部とし、飾部12aの形状を保持することができる物品を収納しておくこともできる。
ネット14は、図2に示すように、上部開口の両内側に面ファスナー14b等の密着構造を備え、下飾部12dに固定される。一体帯枕13は、面ファスナー14bの上側を軸に対して上下に回動可能で、上方に回動して、ネット14の上部開口が外部に露出可能になっている。
ネット14には、例えば、オムツ15など、介護、小物を収納することができる。ネットに代えて、袋状物を用いてもよい。
開口の開閉手段は、面ファスナー14bの他に、チャックなどでもよく、また開口は上部でなく側面に設けてもよい。
これにより、これまでデットスペースであった飾部12aの内側に、ここでは上飾部12eと下飾部12dとの間に、物品を収納することができる収納部を設けることが可能となる。
さらに、この収納部は、飾部12aの圧迫変形を防止することにも資する。ネット14の内部収納物を出し入れするときは、上飾部14dを下飾部14eから引き上げて外し、開口を開閉すればよい。
図3を参照して、着脱式お太鼓12の装着方法について説明する。
図3において、1は簡易着付け式着物であり、2が上身頃、3が衿部、3gが襟部3の連結部分を覆う衿カバー、4が左袖部、5が右袖部、6が着物1の胴部分に備えられた帯部、6aが輪状に巻かれた帯、7aが上前身頃、7bが下前身頃、7iが開口、7hが連結部材である。
先ず図3(A)に示すように、帯部6を着物1に装着した後に、上飾部12e、下飾部12dを開き、図3(B)に示すように、背部12k側を背中側に位置させ、下飾部12dを上身頃2と帯6aの間に挿入する。
そして、図3(C)に示すように、上飾部12eを下げ、面ファスナー12f同士で、上飾部12e及び下飾部12dのそれぞれの下端を連結することで、帯6aに係止する。その結果、着脱式お太鼓12で、従来のお太鼓結びのような立体形状を、簡易に帯6aに係止することができる。
なお、ここでは、着物1は簡易着付け式着物としたが、従来の着物、帯であっても、着脱式お太鼓12を用いることができる。
また、帯6aの両端は、三角形に切り落とした切欠き6rとすると、帯6aの両端の連結手段は左右1箇所でよく、狭い箇所での連結でも両端を連結し易い。
第1の実施例によれば、着物1の胴部に巻きつけた輪状の帯6aに簡易に装着して、お太鼓を備えた本物の帯のような外観を呈することができる。また、収納部としてのネット14を設けたことにより、オムツ、その他小物の収納が可能になる。
なお、説明の都合上、車椅子用簡易着付け式着物1に対して、椅子に腰掛けて装着する場面を用いたが、本発明の適用はこれに限定されるものではない。
(実施例2)
図4を参照して、本発明に係る着物用の着脱式飾部の第2の実施例である、着脱式お太鼓16について説明する。本実施例は、着脱式お太鼓12のネット14を、折り重ねて形成した上飾部12eの間に固定し、ネット14aとし、収納部としたもので、他の構成は、着脱式お太鼓12と同じである。
図4(A)は、着脱式お太鼓16の上飾部12eを上に持ち上げたときの背面側からの説明図である。
また、図4(B)は、上飾部12eを下げ、面ファスナー12f同士で、上飾部12eと下飾部12dとを連結した際の上飾部12eからみた説明図であり、図4(C)は、図4(B)の状態での右側面説明図である。
ネット14aは、側面にチャック14cを設けて側面開閉式とした。ネット14aであれば、上飾部12eの開閉が必要なく、収納物のネット14aへの出し入れが、ネット14より容易である。ネット14aに替え、上飾部12eの両サイドのみにネットを貼って、側面でチャック14c開閉式としてもよい。
(実施例3)
図5を参照して、本発明に係る着物用の着脱式飾部の第3の実施例である、着脱式お太鼓12pについて説明する。
本実施例は、着脱式お太鼓12の一体帯枕13を、一体帯揚げ17に置換したものである。その他の構成については、着脱式お太鼓12と同様である。
図5(A)は、着脱式お太鼓12pの上飾部12eを上に持ち上げたときの背面側からの説明図である。
また、図5(B)は、図5(A)の状態で背部12k側からの説明図であり、図5(C)は、着脱式お太鼓12aの上飾部12eを下げ、面ファスナー12f同士で、上飾部12e及び下飾部12dのそれぞれの下端を連結したときの上飾部12eからみた説明図である。
一体帯揚げ17は、図示しない帯枕13bと帯枕13bを包み下飾部12dに固定されるとともに左右に突出した帯揚げ17aと、帯揚げの左右突出部に縫製されるとともに両端にバックル17e、17d等の係止具を設けたゴムバンド17b、17bからなる。
帯揚げ17aの左右の長さは、胴部を一周巻ける程度からジャバラ状等で余裕をもってゴムバンド17bに縫製線17cにより縫製する。
ゴムバンド17bの一端は、ここでは、下飾部12dに折り返された帯生地端部である返部12nに縫製されている。背側に縫製されているため、装着時には、ゴムバンド17bの端部は視認されない。
なお、ゴムバンド17bの端部を下飾部12dと返部12nの間に縫製すると見栄えが良い。
ゴムバンド17bを用いることで、使用に際して伸縮し、大多数の体格をカバーするウエストサイズフリーの一体帯揚げ17にすることができる。
このようにしてなる一体帯揚げ17は、胴部に巻き、正面側でバックル17e、17dを連結し、連結されたバックル17e、17dを帯の間に挿入し隠すことで、従来の帯枕、帯揚げのような機能を発揮するとともに、帯揚げを用いている外観となる上、装着が極めて簡易である。
(実施例4)
図6を参照して、本発明に係る着物用の着脱式飾部の第4の実施例である、着脱式お太鼓18について説明する。
本実施例は、着脱式お太鼓12pの一体帯揚げ17を一体帯揚げ19に置換したものである。その他の構成については、着脱式お太鼓12pと同様である。
図6(A)は、着脱式お太鼓18の上飾部12eを上に持ち上げたときの背面側からの説明図である。
また、図6(B)は、(A)の状態で背部12k側からの説明図であり、図6(C)は、着脱式お太鼓18の上飾部12eを下げ、面ファスナー12f同士で、上飾部12e及び下飾部12dのそれぞれの下端を連結したときの上飾部12eからみた説明図である。
一体帯揚げ19は、図示しない帯枕13bと帯枕13bを包み下飾部12dに固定されるとともに左右に突出した帯揚げ19aと、帯揚げ19aの左右突出部に縫製され、かつ両端にバックル19e、19d等の係止具を設けるとともに、背部12k側に位置する一本のゴムバンド19bと、ゴムバンド19bの長さを調節する調節部19cと、下飾部12dの背部12k側に固定されゴムバンド19bを係止する固定部12mとからなる。
固定部12mは、例えば、背部12kの上部の左右に固定される二つ輪で、内部にゴムバンド19bを挿通する。
ゴムバンド19bを用いることで、使用に際して伸縮し、さらに調節部19cで長さが可変となるので、一体帯揚げ17よりも、一層大多数の体格をカバーするウエストサイズフリーの一体帯揚げ19になる。
使用方法は、一体帯揚げ17と同様に、胴部に巻き、正面側でバックル19e、19dを連結し、連結されたバックル19e、19dを帯の間に挿入し隠す。
以上、本明細書に開示した実施例は、本発明に係る、着物用の着脱式飾部の理解を容易にするために例示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない限り、着物用の着脱式飾部の設計に当たって、適宜の設計変更が可能であることは言うまでもないことである。
1 簡易着付け式着物
2 上身頃
3 衿部
3g カバー
4 左袖部
5 右袖部
5a 縫線
6 帯部
6a 帯
6r 切欠き
7 下身頃
7a 下前身頃
7b 下後身頃
7h 下連結部材
7i 下開口
12 着脱式お太鼓
12a 飾部
12b 折込部
12c テ
12d 下飾部
12e 上飾部
12f 面ファスナー
12g タレ
12h クッション材
12k 背部
12m 固定部
12n 返部
12p 着脱式お太鼓
13 一体帯枕
13a 帯揚げ
13b 帯枕
14 ネット
14a ネット
14b 面ファスナー
14c チャック
15 オムツ
16 着脱式お太鼓
17 一体帯揚げ
17a 帯揚げ
17b ゴムバンド
17c 縫製線
17d バックル
17e バックル
18 着脱式お太鼓
19 一体帯揚げ
19a 帯揚げ
19b ゴムバンド
19c 調節部
19d バックル
19e バックル

Claims (10)

  1. 着物の胴体部に巻かれた輪状の帯を挟み、折り畳んで該帯に着脱可能に取り付けられる着物用の着脱式飾部であって、背中側の該胴体部と該帯の間に挟み込まれる下飾部と、該下飾部に連設するとともに該帯の外側に位置する上飾部と、対向する該下飾部の下端と該上飾部の下端とを連結する手段とを備えることを特徴とする着物用の着脱式飾部。
  2. 上記上飾部は、帯生地を複数枚重ねて縫製してなることを特徴とする、請求項1に記載の着物用の着脱式飾部。
  3. 上記下飾部の上部に縫製或いは着脱可能に固定され、上記飾部の上部の形状を保持する一体帯枕を備えることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の着物用の着脱式飾部。
  4. 上記下飾部の上部に固定された一体帯揚げを備えることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の着物用の着脱式飾部。
  5. 上記一体帯揚げは、帯枕を包み左右に突出した帯揚げと、該帯揚げの左右の突出部に係止具を設けることを特徴とする、請求項4に記載の着物用の着脱式飾部。
  6. 上記帯揚げは、ゴムバンドからなることを特徴とする、請求項5に記載の着物用の着脱式飾部。
  7. 上記上飾部と上記下飾部との間であって、上記上飾部又は上記下飾部に固定された収納部を設けることを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の着物用の着脱式飾部。
  8. 上記収納部は、開閉可能なネットであることを特徴とする、請求項7に記載の着物用の着脱式飾部。
  9. 上記下飾部の内部にクッション材を配置することを特徴とする、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の着物用の着脱式飾部。
  10. 上記対向する下飾部の下端と上飾部の下端とを連結する手段は、面ファスナーであることを特徴とする、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の着物用の着脱式飾部。
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