JP3219756U - 着物 - Google Patents

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Abstract

【課題】装具の点数を減らし、着付けの困難性を回避した結果誰が着ても適切に装着することが可能であり、かつ身に着けておきたい手回り品を保持可能な着物を提供すること。【解決手段】本考案にかかる着物は、おはしょりに相当する部分をループ部10として内側に折りその上端開口部12の一部を縫着し、前記縫着した前記上端開口部12の各縫着末端から前記おはしょりに相当する部分を直交する直交縫着部16を設けたことで生じるポケット部18を有する。【選択図】図1

Description

本考案は、着用の困難さを低減し現代の生活スタイルに適合した着物に関する。
着物は日本の伝統的な衣装である。一旦着用すると着心地がよく、立ち居振る舞いも自然に優雅なものとなるものであり、国内外を問わず着物に対する憧れや評価は高い。
一方で、いざ着物を着用しようとしても容易ではないさまざまな要因がある。一つには、装具の点数の多さが挙げられる。着物、帯、帯揚げ、帯締め、帯留め、半衿、伊達襟、襟芯、長襦袢、肌襦袢に裾除け、足袋、草履にバッグといった着用具のほか、着付けるために用いる腰紐や伊達締め、帯板、帯枕など、独自な装具が多種あり、かつその用法が特殊なものが多い。
また、より困難と思われる理由として自装の難しさが挙げられる。単に身に着けるだけなく、着付けの巧拙により見栄えが大きく異なるものとなってしまう。自分で着ることができないと着崩れを直すこともできないし、また、技術取得に時間とお金がかかる為日常的に着用するにあたってのハードルは益々上がることになる。
また生活様式の変化も無視できない要因の一つである。スマートフォン端末をはじめとする手回り品の点数が多くなり、頻繁に端末を確認したいがために巾着袋への収納ではなく直接身に着けておきたいという要望や、又、着物のバッグの着装がわずらわしいし、身軽に動きたいという現代人の要望がある。
こうした現状にあって、着用の困難さを少しでも低減させるべくこれまでにも数々の提案がなされている。例えば特許文献1では、上衣と下衣に分離され、下衣は裾から腰上部まで延び、下半身に巻かれる本体布地と、本体布地の胴回りに沿って縫着されたおはしょり部とを備え、着用者に巻かれた下衣の内側に下側の一部を収容される上衣とおはしょり部の下端がはみ出るように下衣の外側に巻かれる着物帯とを備えるセパレート着物が提案されている。
また特許文献2では、洋服の型紙技術を駆使し、立体裁断で分離された上衣下衣を備え、上衣は後ろのファスナー開きで着脱する態様とし、前衿は既に合わさって出来ており、衿先が縫い込まれているペプラムはお端折りとなる洋服様着物セットが提案されている。
また特許文献3では、着物でのワンピースという観点から着物本体の長さを対丈で裁ち、着物を着る時にウエスト部分に出来るおはしょりをなくし、残った反物などで2本の紐を作り、紐の夫々の一端を着物本体の衿の左右両端部分の内側に設けた紐付け部に縫いつけた着物ワンピースが提案されている。
実用新案登録第3214868号公報 特許第6340745号公報 特開2007−63736
しかし、特許文献1に開示されているセパレート着物では、おはしょり部が縫着されている結果本来的に丈を調整する機能を担うことはできず、かつ単なる装飾として機能するにとどまっていた。またセパレートになっていることで上下の衣の模様にずれが生じうるというデメリットがあった。
また、特許文献2に開示されている洋服様着物セットは、結果装着するための点数が多く、着るにあたっての煩雑さが解消されているとは言い難かった。特許文献3に開示されている着物ワンピースではこうした煩雑さが解消されているが、裾部分の裁断が伴うため着丈全体で構成されていたデザインを損ないかねないという問題点があった。また手回り品を保持する構成は備えられておらず利便性に欠くものであった。
そこで本考案は、装具の点数を減らし、着付けの困難性を回避した結果誰が着ても適切に装着することが可能であり、かつ身に着けておきたい手回り品を落とすことなく保持可能で、かつ着崩れにくい着物を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、本考案にかかる着物は以下の構成を有する。
すなわち、本考案にかかる着物は、おはしょりに相当する部分を内側に折りその上端開口部の一部を縫着し、前記縫着した前記上端開口部の各縫着末端から前記おはしょりに相当する部分を直交するように縫着することで設けられたポケット部を有することを特徴とする(請求項1)。
また、内止めゴムと下前止めボタンを備えており、前記内止めゴムには複数のボタン穴が備えられていることを特徴としてもよい(請求項2)。更には、上前の端部と下前脇部にそれぞれ結着用ひもを備えたことを特徴としてもよい(請求項3)。加えて、衿部が2つ折りにて縫着されたバチ衿となっていることを特徴としてもよい(請求項4)。
かかる構成によれば、一般的な着物の形態を維持しつつ、簡単に装着することができる。予めおはしょりに相当する部分を縫着していることで着丈を短くしていることから着ているときにも動きやすい。既存の和服から作り直すときにも裁断を行う必要が無く、合理的にかつ余分な布地を活かすことができる。更に適度な深さを備えたポケット部を有することによって手回り品、例えばスマートフォン等を常に手元に有しておくことができ、着崩れも起きにくく、時代にも即した衣服として着用者の利便性が向上する。
また、本考案に係る着物においては、ウエスト調節はゴムをボタンで留めるだけで楽に着ることができるから、着用者は容易に着物を楽しむことができる。更に結着用ひもを備えている場合には難しい着付けに依ることなく一層容易に着物を身に着けることができる。加えてバチ衿にすれば、衿を折る手間を省くことができ、着用者は極めて迅速かつ容易に着物を着用することを楽しむことができる。見た目は着物の衿合せを呈し、正しく着付けている型になる構造である。
なお、本考案に係る着物は、浴衣、単衣、袷といった着物の種類を問わず適用が可能である。特にその製作にあたって、従来の一般的な着物を切ることなく縫着作業のみで実現が可能であることから、これまで用途が無く処分されてしまっていた着物の活用をすることができる。一方で容易な着用が実現されることから、洋服の上から「キモノドレス」として着用することもでき、新たな着こなしをすることもできる。
本考案に係る着物の全体を示す図である。 ループ部10の斜視拡大図である。 ループ部10の縫着状態を示す図であり、(A)は図2におけるA−A端面図、(B)は図2におけるB−B端面図である。
以下、適宜図示しつつ、本考案の最適な実施形態につき説明する。図1は、本考案に係る着物の全体を示す図である。着物1は、身頃2、袖4、衿6から構成されている。これらは一枚の布で一体的に構成されていても良く、各々のパーツが相互に縫着されていても良い。また身頃2は例えば2枚の布を後身頃に相当する箇所で縫いあわせても良い。着用にあたっては背中から羽織り、前身頃を左右重ね合わせる。衿6は予め衿縫着部(図示しない)により縫着されていることで衿の太さの調整に戸惑うことなく、また着ていても着崩れするおそれがない。
ループ部10の外側には、外ボタン20、外紐24、上前紐26が備えられている。外紐24と上前紐26とを結ぶことで前袷を固定することができる。
次に図2及び図3も参照しつつ、ループ部10について説明する。図2はループ部10、すなわち通常の着物におけるおはしょりに相当する部分の斜視拡大図であり、図3はループ部10の縫着状態を示す図であり、図3(A)は上端開口部12が上端縫着部14により縫着されている箇所の端面模式図、すなわち図2におけるA−A端面図、図3(B)は上端開口部12が縫着されないままの箇所の端面模式図、すなわち図2におけるB−B端面図である。
「おはしょり」は、従来長めの丈で仕立て作られている着物の長さを調整する過程で作られる折り返し部分であり、着付けが終わった際に帯の内側に位置する。折り返しに際しては通常外側に折り返しの下端部が設けられる。本考案に係る着物1においては、予め丈が短めになるよう構成している。その際既存の着物を再利用して製造する場合にあっても裾を裁断することなく、折り返しの構造を設ける。ループ部10は、通常の「おはしょり」の折り返しとは逆の順序、すなわち折り返しの下端部bが内側(着用者の身体側)に設けられるかたちとし、その折り返しの上端開口部12を縫着することで丈を固定する(図2及び図3(A)参照)。
上端開口部12の縫着にあたって、その一部を開口したままとし(図2及び図3(B)参照)、かつ上端縫着部14の各縫着末端から前記おはしょりに相当する部分を直交するように縫着する直交縫着部16を設ける。これにより、上部のみが開口したポケット部18がループ部10に備えられることになる。ポケット部18の開口幅wは適宜設計することができるが、身の回り品、例えばスマートフォン等を挿入可能な幅を備えていることにより、バッグ等を持たずとも手近に身の回り品を保持することができる。そして帯を装着すればループ部10は外目にも目立つことがなく、美観を損なうことがない。
図1に戻り、外ボタン20、内止めゴム22について説明する。内止めゴム22はループ部10の内側に一方端が固着されている。内止めゴム22は帯状の伸縮素材であり、その長さは適宜設定することができる。内止めゴム22の略中央線に沿って複数のボタン穴23が設けられている。着用者の体型などに合わせて適宜用いるボタン穴を選択することができる。なお内止めゴム22の一方端を固着する位置は図示した場所に限られず、その配置に応じて内止めゴム22の長さやボタン穴23の位置は適宜調整し得る。
1 着物
2 身頃
4 袖
6 衿
10 ループ部
12 上端開口部
14 上端縫着部
16 直交縫着部
18 ポケット部
20 外ボタン(下前止めボタン)
22 内止めゴム
23 ボタン穴
24 外紐(結着用ひも)
26 上前紐(結着用ひも)

Claims (4)

  1. おはしょりに相当する部分をループ部として内側に折りその上端開口部の一部を縫着し、
    前記縫着した前記上端開口部の各縫着末端から前記おはしょりに相当する部分を直交するように縫着することで設けられたポケット部を有することを特徴とする着物。
  2. 内止めゴムと下前止めボタンを備えており、前記内止めゴムには複数のボタン穴が備えられていることを特徴とする、請求項1に記載の着物。
  3. 上前の端部と下前脇部にそれぞれ結着用ひもを備えたことを特徴とする、請求項1又は請求項2のいずれか1に記載の着物。
  4. 衿部が2つ折りにて縫着されていることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1に記載の着物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7473160B2 (ja) 2020-02-21 2024-04-23 株式会社花舞 着物

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