JP6398037B1 - 太鼓帯結束方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この発明は、和服締め込み着用のための名古屋帯等の一定の幅員と長さを有する帯体を複数回折曲して太鼓原形体を形成する際に太鼓原形体の内部に太鼓用枕とを両端部を解除自在に結束した無端状とした背負たすきを収納し、無端状の背負たすきを介して太鼓原形体を背中に背負いながら太鼓帯結束作業を行うことに関する。
【選択図】図21
Description
かかる帯の結束を一人で行う場合は太鼓帯部分が身体の後の背中部分に位置するために両手を背中に回し振り返って鏡を見ながら太鼓帯結びの作業をしなければならない。
特に手に障害のある着用者はかかる作業は不可能であり結束のための補助者を必要とする。
しかし、両手に不自由のある者に限らず一般の健常者においてもかかる太鼓帯の結束は煩雑であり、太鼓帯の結びはできても所望の帯の柄を適確な位置に表現できなかったり、太鼓帯の方形形状が歪まず背中の適正位置に正確に装着されるようにするためには多大の苦労が伴う。
これらの原因は、背中で太鼓帯結びの作業をしなければならないことと、その作業の中核を占める太鼓帯内部への太鼓用枕の収納作業、すなわち太鼓帯の形を保持するために太鼓帯内部に収納する枕と言われる太鼓帯特有の重量道具を装着しながら帯結び作業をしなければならないことに起因する。
図中の符号a、b、c、d、e、fは、本発明の太鼓帯結束方法に使用する各結束具に関する説明図である。
袋帯a”による太鼓帯結束方法は名古屋帯等の帯体aと略同様であるが、以下においては、特に袋帯において名古屋帯等の帯体aによる太鼓帯結束方法と異なる場合においてのみ説明する。
なお、名古屋帯は当初より帯体の中途より幅員を長手方向で半幅員とし、半幅員帯部と通常幅員帯部との境部分は略二等辺三角形の直角折り部a’としている。
従って、袋帯a”の結束作業に際しては、所定工程において帯体中途を直角に折曲する作業が必要となる。
図1に示すように、帯体aの端部(タレ)において帯体の幅員の長さで正方形を形成するように二度折り曲げ、二度目の折り曲げ部を第2折曲部14とする。この状態では帯柄12は表向きとなっている。なお、この折り曲げ操作の際に、タレの端縁部分を人差し指の長さだけ残して飾りタレ10cとする。最終的にはこの残余部分が太鼓原形体11の下端縁からはみ出し突出する飾りタレとなる。また、帯体aの最初の折り曲げ部を第1折曲部13とする。
図2に示すように、第2折曲部14の間に腰紐fを挿通し腰紐fの両端部f1,f1は帯体aの両側縁部10d,10dから伸延した状態とする。
なお、図37は、第2工程の図2の断面説明図である。
図3に示すように、第1工程で残したタレの飾りタレ10cを裏返しに折り曲げて腰紐位置部分でクリップd止めする。
なお、図38は、第3工程の図3の断面説明図である。
今までの処理帯体aを裏返す。図4は第3工程で折り曲げた帯体aを裏返した状態を示している。裏返した処理帯体aの表層面には帯体aの裏側10bが表れている。
図5に示すように、太鼓用枕40を中央に包被した所定長さの帯揚げbを太鼓用枕40が帯体aの幅員中央(帯体aの裏側10b,10bの重ね代)に位置するように載置する。帯揚げbは裏返しの帯体aを横断する状態である。太鼓用枕40には両端に枕紐41,41が連設されて帯揚げb同様に着用者Pの胴体を巻いて手前側P1で結束する(図23参照)。
なお、この際に太鼓用枕40の従断面した断面半円弧が図39の表面(帯体の裏側)に位置するように載置する。
なお、図39は、第5工程の図5の断面説明図である。
図6に示すように、帯体aの裏側10bにおいて太鼓用枕40の周りを囲繞する状態に無端状の背負たすきcを載置する。背負たすきcの無端状の両端部30,30は帯体aの両側縁部10d,10dから伸延した状態とする。
なお、無端状とするための背負たすきcの解除可能な結束部31は着付け者の左側に位置するようにしておく。
なお、図40は、第6工程の図6の断面説明図である。
なお、太鼓用枕40の周りを囲繞する背負たすきcは、第2工程で第2折曲部14の間に挿通した腰紐fと共用して太鼓用枕40を囲繞するようにしてもよい。
また、図44は袋帯a”において太鼓用枕40を枕紐41,41及び帯揚げbと共に第1、第2折曲部に対応する位置に横断して載置する。図44は袋帯a” の第1折曲部で折曲した状態を示す断面図である。
図7に示すように、図6の帯体aの裏側10bの矢印S方向に折り返して第3折曲部17とし、帯体aの帯柄12が第3折曲部17の表面に現れるようにし、図3、図4の飾りタレ10cを固定したクリップdを用いて帯体aの直角折り部a’を飾りタレ10cと共に固定する。
なお、図41は、第7工程の図7の断面説明図である。
図8及び図42に示すように、図7で折り返した帯体aを背負たすきcの位置で伸延帯体15と共に折り曲げて反対側(裏側)より見た形状が略正方形(図9参照)の状態(これを太鼓原形体という)でその両側縁部10d,10dをクリップd,dで仮止めする。
図9に示すように、裏返しの帯体aを背負たすきcの近傍位置で背負たすきcを被覆する状態に折り曲げて略正方形に形成し、その後にこの略正方形の帯体、すなわち、太鼓原形体11を着用者Pの手前側P1に位置させてから横側方に伸延したテ部分18を左から着用者Pの背中P4を通して太鼓原形体11の位置にまで伸延して着用者Pの胴体を巻く。
図10に示すように、胴体を巻いたテ部分18の上縁部を太鼓原形体11の始端側縁部11bの位置で目印クリップdで仮止めして折り曲げ目印とする。
図11に示すように、第10工程で縦型で示した太鼓原形体11を平面状に載置した状態で太鼓原形体11の左方向にテ部分18を伸延すると共に、図12に示すように第10工程のテ部分18の目印クリップdの位置から折り曲げてそのままテ部分18を太鼓原形体11方向に伸延する。
図12に示すように、目印クリップdの位置からテ部分18を太鼓原形体11に向かって折り曲げたその伸延部分のうち図13に示すように太鼓原形体11の右側縁端11cの位置から更に左方向に折り曲げる。
図13に示すように、第12工程で左方向に折り曲げ伸延したテ部分18において、伸延テ部分19とその下方に重複したテ部分18とを第10工程の目印クリップdと同位置でテ重ねクリップd’により目印とする。
第13工程おいて帯体aのテ部分18で構成した太鼓原形体11を着物着用者Pの傍らに配置しておき、図14に示すように、太鼓原形体11から伸延した伸延テ部分19を着用者Pの左肩P2aに掛けると共に、着物の肩部分W2において着物の襟部W1と第13工程の伸延テ部分19のテ重ねクリップd’の位置とを同じテ重ねクリップd’で仮止めする。
図15及び図16に示すように、第14工程のテ部分18を着用者Pの左肩P2aに掛けた状態でテ部分18の垂下下方位置で着物着用者Pの胴体背骨部分P6を中心にして直角方向に折りそのまま着用者胴体に2周分巻く。
図17に示すように、着用者Pの和服の襟部W1と一体に止めていた第13工程のテ重ねクリップd’を外す。
図18に示すように、肩にかけていた伸延テ部分19を和服着用者Pの肩から下ろし背中方向に反転させる。なお、この際に反転した伸延テ部分19の基部は胴体に巻いた帯体aのテ部分18で着用者胴部に締付けられている。
図19に示すように、肩から下ろした伸延テ部分19を左手でもって着用者Pの前面から右後に巻き、同時に着用者Pの前面において既に胴体に巻いているテ部分18の上側端縁にクリップdで固定止めする。
かかる状態は図20に示すように、着用者Pの背中側で太鼓原形体11がタレ先を右に向けた横向きの略90度反転状態に変位している。
第19工程において、図20に示すように着用者Pの背中側で横向きの略90度反転状態となっている太鼓原形体11では無端状の背負たすきcの両側のたすき部分が太鼓原形体11の上下方向に突出した状態となり、背負たすきcの無端状の結束部31は上方に位置している。この状態から図21に示すように、略90度反対方向に戻して正規の太鼓原形体位置に修正する。
図22に示すように、太鼓原形体11の上下方向に突出した状態となっている輪状の両たすき部分32,32に着用者Pの左右の両腕をそれぞれ挿入してたすき部分32,32を肩にかけて太鼓原形体11を背中に背負った状態とする。かかる状態では太鼓原形体11が背中の所定位置にきて、かつ背負たすきcによって吊下支持されている。
かかる修正された太鼓原形体11の姿において、太鼓原形体11の下側縁左右端部11d、11dを手動で適宜下方に引っ張ることにより少々の太鼓原形体11の傾斜を修正して正しい姿の太鼓原形体11の位置に補正する。
図23に示すように、太鼓原形体11を背負った状態で太鼓用枕40の左右の枕紐41,41を引っ張り出して着用者Pの手前側で固く結束する。同時に図24示すように、結束部41aはテ部分18の胴巻きの中に包み隠す。
第18工程で肩から下ろした伸延テ部分19を胴部に巻いてクリップ止めした状態において余分な長すぎる伸延テ部分19が生じた場合は、図25に示すように、適当に折り曲げてクリップ止めしておく。
図26に示すように、腰紐fの左右端部を手前側で緊締し、また、必要に応じて背中側で垂下したままの太鼓用枕収納の帯揚げbの両端b1,b1を一旦手前側で仮結びして着付け操作の支障にならないようにしておく。
図27に示すように、第18工程において着用者Pの前面において既に胴部に巻いている伸延テ部分19を上側端縁のクリップ止めを解除してフリー状態とする。
図28及び図29に示すように前工程のフリー状態の伸延テ部分19は第2工程の第2折曲部14間に挿通した腰紐fに沿って左側から太鼓原形体11の第2折曲部14間に挿通して右側から出すと共に、余分の伸延テ部分19は適当に折曲して太鼓原形体11内に押し込む。なお、図29に示した各クリップは取り外す。
図30に示すように、帯締めeは第2工程の第2折曲部14間に挿通した腰紐fに沿って太鼓原形体11内を挿通し手前側で結束して太鼓原形体11と胴部に巻いたテ部分とを一体に緊締する。
図31に示すように、胴体に巻いた第23工程の腰紐fは解除して除去する。
図32及び図33に示すように、両肩P2から背負たすきcを外し、両端の結束31を解除して一本の紐として太鼓原形体11から抜き去る。
図34及び図35に示すように、帯揚げbの両端部b1,b1を手前側で結束して胴周りに巻いたテ巻き中に押込み太鼓原形体11の形を整える。
図36は上記の工程を経て完成した太鼓帯結束の完成した斜視図である。
a 帯体
a’ 直角折り部
a” 袋帯
10a 表側
10b 裏側
10c 飾りタレ
10d 側縁部
11 太鼓原形体
11b 始端側縁部
11c 右側縁端
12 帯柄
13 第1折曲部
14 第2折曲部
14’ 第2−2折曲部
15 伸延帯体
17 第3折曲部
18 テ部分
19 伸延テ部分
b 帯揚げ
b1 両端部
c 背負たすき
30 端部
31 結束部
32 たすき部分
d クリップ
d’ テ重ねクリップ
e 帯締め
f 腰紐
f1 端部
40太鼓用枕
41 枕紐
41a 結束部
42 両端部
P 着用者
P1 手前側
P2 両肩
P2a 左肩
P3 両腕
P3a 左手
P4 背中
P5 胴回り
P6 胴体背骨部分
W 和服の着物
W1 着物の襟部
W2 着物の肩部分
W3 着物胴体
Claims (3)
- 和服締め込み着用のための名古屋帯等の一定の幅員と長さを有する帯体を複数回折曲して太鼓原形体を形成する際に太鼓原形体の内部に太鼓用枕と、両端部を解除自在に結束した無端状とした背負たすきとを収納し、無端状の背負たすきを介して太鼓原形体を背中に背負いながら太鼓帯結束作業を行うことを特徴とした太鼓帯結束方法。
- 背負たすきを介して太鼓原形体を背中に着用後は両端の結束部を解いた背負たすきを太鼓原形体から取り去る
ことを特徴とした請求項1に記載の太鼓帯結束方法。 - 太鼓原形体作成から太鼓帯結束完了までに使用する結束具としては、少なくとも、名古屋帯等の一定幅員と長さを有する帯体と、帯体を所定の形状に折曲して太鼓原形体を形成した後に太鼓原形体内部に挿通して着用者の手前側で両端を緊締することにより太鼓原形体を着用者の背中に緊密に保持するための腰紐と、太鼓用枕を中央に包被した所定長さの帯揚げと、太鼓用枕の周辺に配置する無端状の背負たすきと、太鼓原形体作成から太鼓帯結束完了までに帯体同士の所定位置を固定し、また帯の折曲位置の目印とするために使用するクリップと、太鼓帯結束の最後に着用する帯締めとより構成した
ことを特徴とした請求項1又は請求項2に記載の太鼓帯結束方法。
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JP2014080699A (ja) * | 2012-10-15 | 2014-05-08 | Yoshiko Kikuchi | 名古屋帯 |
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