以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、各実施の形態において、同一の記号及び同一の符号は同一または相当する機能部分を意味し、各実施の形態相互の同一の記号及び同一の符号は、それら実施の形態に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態1に係るウエスト伸縮自在ボトムスのウエスト部の全体構造について、図1乃至図5を参照して説明する。
図1乃至図5に示されるように、本実施の形態に係るウエスト伸縮自在ボトムスとしてのスーツ用ズボン1は、着用時に人体のウエスト付近に位置するウエスト部15において、脇線LS,RS近傍の前身頃4F側に左右一対の脇ポケット2を有しており、これらの脇ポケット2の前中心FC寄りの部分であるポケット口外縁2Aの上部の近傍に、ウエスト方向の全長に沿って延びるウエストベルト10の表面側を構成する延出部3Bと延出部3Bの端部が重ねられて収められる収容部3Aとによる重ね合わせ部9が形成され、収容部3A内側(裏面側)において延出部3Bの先端と収容部3Aの内面とが主弾性材としての平ゴム6で接続されている。
ウエストベルト10の表側では、ウエスト長を収容部3Aと延出部3Bに分割し、一端部を除いて前身頃4Fに縫合わされる延出部3Bと後身頃4Bに縫合わされる収容部3Aとを別体に形成し、それらを脇線LS,RS近傍の各脇ポケット2の上部で重ね合わせ、詳細には、後述するように、延出部3Bの前身頃4Fに縫着されていない一端部側を収容部3Aの一端部側に重ねて、それらの間を主弾性材としての平ゴム6によって接続している。
そして、平ゴム6によって接続された収容部3A及び延出部3Bの裏面側には、図3乃至図5に示されるように、収容部3Aに縫付けられる収容側布地20Aと延出部3Bに縫付けられる延出側布地20Bの間を主弾性材の平ゴム6とは異なる他の弾性材としての上位ゴム31及び下位ゴム32で接続して形成した腰裏ベルト部100が縫付けられている。
即ち、本実施の形態1のスーツ用ズボン1は、ウエストベルト10の表側において別体に形成された収容部3Aと延出部3Bとが重なり、重なり合った収容部3Aと延出部3Bを主弾性材としての平ゴム6で接続することによって、また、ウエストベルト10の裏側で収容部3A及び延出部3Bの裏面側に取付けた腰裏ベルト部100において、その一部に上位ゴム31及び下位ゴム32を配設し、収容側布地20Aと延出側布地20Bの間を上位ゴム31及び下位ゴム32で接続することによって、平ゴム6並びに上位ゴム31及び下位ゴム32の弾性力によりウエストを伸縮自在としている。
ここで、ウエストベルト10の表側及びウエストベルト10の周辺の構造の詳細を説明する。
図2に示すように、ウエストベルト10の表側を形成する収容部3Aと延出部3Bは、前身頃4F及び後身頃4Bと共地の綿生地等からなる収容部3Aを構成する表側ベルト布3aと延出部3Bを構成する表側ベルト布3bに接着芯等の芯材(ソフト芯SC及びハード芯HC)が接合され、上下端部が内折りされてウエスト方向に延びる帯状をなし、図3に示すように、その上端部の折り返し部分にウエスト方向(長手方向)に延びる縫付線101a,101bにて腰裏ベルト部100が縫付けられ、また、下端部の折り返し部分に前身頃4F及び後身頃4Bがウエスト方向(長手方向)に延びる縫付線103にて縫付けられている。
即ち、収容部3Aは、所定幅の表側ベルト布3aの上端及び下端を中央に向かって表側から裏側に折り返して、均一なウエストベルト10の幅となるようにその幅が設定され、その折り返した上端部に縫付線101aにて腰裏ベルト部100の収容側布地20Aの上端部が縫付けられ、また、折り返した下端部が縫付線103にて後身頃4Bの上端部と縫合わされている。
延出部3Bについても、表側ベルト布3aと略同一の所定幅の表側ベルト布3bの上端及び下端を中央に向かって表側から裏側に内折りし、収容部3Aに収容される先端部側を除いて収容部3Aと共に均一なウエストベルト10の幅となるようにその幅が設定され、その折り返した上端部に縫付線101bにて腰裏ベルト部100の延出側布地20Bの上端部が縫付けられ、また、その折り返した下端部が前身頃4Fの上端部と縫合わされている。このとき、収容部3Aに収容される延出部3Bの先端部側は、前身頃4Fの上端部と縫合わされず自由な状態になっている。したがって、収容部3A内に延出部3Bの先端部側が挿入されて、その挿入深さが変化自在、つまり、ウエスト方向に相対移動自在となっている。
なお、本実施の形態では、図2に示すように、収容部3Aの上下端が内折りされて、その上端側で内折りされたループ内に延出部3Bの延出自在な一端部側が収められているが、本発明を実施する場合には、内折りされたループ外に延出部3Bの延出自在な一端部側が収められても良い。
また、図2に示すように、収容部3Aを構成する表側ベルト布3a及び延出部3Bを構成する表側ベルト布3bの内側には、芯材としてのソフト芯SC及びハード芯HCがアイロンプレス等の使用によって貼付けられている。
詳細には、ソフト芯SCが表側ベルト布3a及び表側ベルト布3bの上端部及び下端部の折り返し部分に貼付けられ、ハード芯HCが表側ベルト布3a及び表側ベルト布3bの折り返しのない部分(中央部分)に貼付けられている。必要に応じ、延出部3Bの滑りを良くするために、収容部3Aの開口側近傍の内側においてソフト芯SC及びハード芯HCの上から、伸縮性を有しない生地、例えば、ポリエステル系生地等からなる接着布を、アイロンプレス等によって貼付けることもある。
そして、これら収容部3Aと延出部3Bとの間には、主弾性材としての平ゴム6が縫付けられ、収容部3Aの内面側において延出部3Bの先端と収容部3Aの内部とが、平ゴム6によって接続されている。この平ゴム6は、その一端が延出部3Bの内側先端に縫付けられ、反対側の他端が収容部3Aの内側内部に縫付けられている。これによって、収容部3Aと延出部3Bが弾性的に接続され、ウエスト方向に伸縮可能となる。そして、平ゴム6が本来の長さの通常状態(伸長していない状態)にあるとき、延出部3Bは最も多く収容部3Aに入っており、平ゴム6の取付位置によって両者の結合深さが決定される。
なお、図2においては、平ゴム6の本来の長さよりも長く伸縮性のない生地からなる帯状の伸び止め材7が折り畳まれて平ゴム6の両端に対して縫付けられており、平ゴム6に引張り力がかかった際に、この伸び止め材7の本来の長さまでしか伸びることができないようになっていて、平らゴム6の伸びの限界が規定されている。
これにより、平ゴム6や後述の上位ゴム31及び下位ゴム32に無理な引張り力がかかり過度に伸びるのを防止して、それらゴムが長持ちするようにしている。また、このように平ゴム6にその最大伸びを特定する伸び止め材7を併設していることで、収容部3A及び延出部3Bの重ね合わせ部9に過度な張力が加えられないようにその伸び長さを制限できることから、重ね合わせ部9の見栄えが向上する。
しかし、本発明を実施する場合には、伸び止め材7を省略することも可能である。
因みに、平ゴム6の一方の端は、伸び止め材7の一方の端と共に収容部3Aに収容される延出部3Bの先端に縫付線43にて縫付けられるため、図2(a)に示す縫付線43は、スーツ用ズボン1の表側からは見えないが、平ゴム6の他方の端が伸び止め材7の他方の端と共に収容部3Aに縫付線44にて縫付けられるため、図2に示す縫付線44はスーツ用ズボン1の表側に出ることとなる。そこで、より美観を向上させるためには、この縫付線44をベルト通し5で隠すのが効果的である。
そして、本実施の形態1では、図1に示すように、延出部3Bが延出される収容部3Aの開口端を覆い隠すようにベルト通し5Aがウエストベルト10の表側に取付けられている。詳細には、ベルト通し5Aはウエスト周りの長手方向と直交する方向(上下方向)に延びる帯状をなし、延出部3Bの移動を妨げないように収容部3Aの表側の開口端縁に沿ってその上端部及び下端部近傍にて縫付けられている。このように収容部3Aの開口端縁がベルト通し5Aによって完全に隠されるので、見栄え・美観に優れる。勿論、スーツ用ズボン1のウエストベルト10の正面側及び背面側にも、同様のベルト通し5が適当な間隔をとって取付けられている。
更に、本実施の形態1では、図2(b)に示されるように、前身頃4F及び後身頃4Bに対しそれらの裏側(身体側)で縫付けられている脇ポケット2を構成する袋布2Cにおいて、その中央側の上端部にタック(折り返し)2Dが設けられている。このタック2Dは所定の幅長さを有し、つまり、タック2Dの襞の幅が所定幅に形成されており、ウエストベルト10に引張り力がかかっていない場合には折り畳まれた状態となっている。このようにタック2Dを設けることによって、ウエストベルト10に引張り力がかかったときの延出部3Bの移動(延出)に伴ってタック2Dが開かれる(広げられる)ことから、前身頃4F及び後身頃4Bの裏側に縫付けられた脇ポケット2にかかる引張り力がタック2Dの開きによって逃される。したがって、ウエストの伸びを妨げることなくウエストをスムースに伸ばすことができる。また、袋布2Cが引き攣られることがなくて、引張り力が表側に響いて脇ポケット2が歪んだり脇ポケット2の周辺にシワが寄ったりするのを防止することができ、表側から見た場合でも良好な見栄えを保つことができる。タック2Dの幅の調節により、ウエストの伸びの限界を規定することも可能である。
なお、本実施の形態1においては、補助弾性材として幅の細い所定長さの平ゴム8の一端部が、脇ポケット2の袋布2Cに形成されたタック2Dの上側の布地(図2(b)においてタック2Dの折れ線より左側の布地)の上端部に対して縫付けられ、また、反対側の他端部が、タック2Dの下側の布地(図2(b)においてタック2Dの折れ線より右側の布地)の上端部に対して延出部3Bの下端部(折り返し部分)及び前身頃4Fの上端部と共に縫付けられている。なお、このときの縫付線はスーツ用ズボン1の表側からは見えない。これより、平ゴム8の弾性力によって、タック2Dの形状が維持され、延出部3Bが移動する際に脇ポケット2の袋布2Cの形状が崩れたり、袋布2C、ウエストベルト10及び身頃4F,4Bとの境界付近に皺がよったりして見栄えが悪くなるのを防ぐ働きをしている。特に、袋布2Cのタック2Dの上側の布地への平ゴム8の縫付け位置に対して、タック2Dの下側の布地への平ゴム8の縫付け位置を略同一または若干高く設定することで、タック2Dの下側の布地に皺が入り難いものとなる。
ところで、上記説明では収容部3Aと延出部3Bを接続する主弾性材として平ゴム6を用いた場合について説明したが、平ゴム6としては、織ゴム、編ゴム、コールゴム、ゴムテープ等がある。更に、十分な弾性を有するものであれば、主弾性材としては他にもゴム製板、ストレッチテープ(ゴム入り布)等の様々な弾性を有する素材を用いることができる。補助弾性材8についても同様である。
続いて、このように互いに一端部が重ね合わせられて平ゴム6で接続された収容部3Aと延出部3Bの裏面側(身体側)に取付けられウエストベルト10の裏側を形成する腰裏ベルト部100の構造について詳細に説明する。
本実施の形態1に係る腰裏ベルト部100は、収容部3Aに縫付けられている収容側布地20Aと、延出部3Bに縫付けられている延出側布地20Bと、これら収容側布地20A及び延出側布地20Bの間を接続している上位ゴム31及び下位ゴム32とから構成されている。
収容側布地20A及び延出側布地20Bには、例えば、一般的にスーツ等のズボンの腰裏に使用されている生地、具体的には、綿、ポリウレタン、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、絹(シルク)、麻、アクリル、ラバー、ウール等の生地が使用される。収容側布地20A及び延出側布地20Bは、収容部3A及び延出部3Bを構成する表側ベルト布3a及び表側ベルト布3bや、身頃4B,4Fと共地(綿生地等)であっても良いし、異なる素材を用いても良く、タックインしたシャツがズボンから食み出るのを防止する滑り止め機能を持たせた所謂、マーベルト仕様とすることもできる。なお、表側ベルト布3a,3bよりも厚みがあってもよいが、通常、着用感や履き心地の観点から表側ベルト布3a,3bと同等の厚みの生地またはそれよりも厚みの薄い生地が採用される。
特に、本実施の形態1のスーツ用ズボン1においては、腰裏ベルト部100のウエスト方向の一部に上位ゴム31及び下位ゴム32を配設しその上位ゴム31及び下位ゴム32によって所定の伸びを確保できるため、収容側布地20A及び延出側布地20Bの素材には伸縮性を問わず、収容部3A及び延出部3Bを構成する表側ベルト布3a及び表側ベルト布3bや、身頃4B,4Fと共地(綿生地等)で形成することもできるし、一般的なスーツ等のズボンの腰裏の裏地、ポケットの袋布(スレーキ)、リボンテープ等に使用されている伸縮性を有しない生地、例えば、ポリエステル系、ナイロン系、レーヨン系、綿等の生地を採用できる。よって、腰裏のデザイン自由度やデザイン性が高い。
例えば、一般的なスーツ等のズボンの腰裏で帯状のマーベルトとして用いられている綿生地、スレーキ生地等の薄くて柔らかい生地を採用すると、履き心地を落ち着かせて、着用時の快適性やフィット感を高めることができるようになる。また、摩擦係数の高いラバー生地等によれば、タックインしたシャツを押さえてずれ上がりを防止すると共に、履き心地を落ち着かせて、着用時の快適性やフィット感を高めることができる。更に、シリコン等により滑止加工された生地を用いることでも同様の効果が得られる。収容側布地20A及び延出側布地20Bの下端にパイビングを施す仕様も同様である。収容部3A及び延出部3Bを構成する表側ベルト布3a及び表側ベルト布3bや、身頃4B,4Fと共地で収容側布地20A及び延出側布地20Bを形成した場合には、統一感のあるものとなる。
なお、収容側布地20A及び延出側布地20Bを構成する綿生地、スレーキ生地、ラバー生地等の生地は、単一の1枚の生地のみを使用することも可能であるが、2枚以上の同一生地を、または、異なる生地を組み合わせた2枚以上を上下方向で重ね合わせて複数段とする構成を採ることで、生地の重ね合わせによって、更に異なる生地を組み合わせた場合には生地の質感(摩擦抵抗)等の違いによって、滑り止め機能を持たせたることができる。加えて、腰裏のデザインバリエーションを増大させることができる。
勿論、収容側布地20A及び延出側布地20Bには、パワーネット、サテンネット、ストレッチサテン、ストレッチレース等の伸縮性を有する生地を用いても良い。また、縦横方向に伸縮性を有しない生地でも、繊維の織目方向を斜めに、所謂バイアス方向で裁断(バイアス裁断)することで、伸縮性を得ることができ、このようにして伸縮性を得たバイアスを使用すると、引張り力がかかった際でも生地にかかる負荷が少なく、長期間の着用でも生地を傷めにくい。
また、収容側布地20A及び延出側布地20Bには、補強用の接着芯、芯地といった芯材22を取付けてもよい。芯材22を取付けることで、収容側布地20A及び延出側布地20Bの撚れを少なくして張りを持たせることができ、見栄えを向上させ、また、着心地を良くすることができる。芯材22の取付手段は特に限定されず、縫付けても良いし、アイロンプレス等を使用した接着であっても良い。
そして、本実施の形態1に係る腰裏ベルト部100では、収容部3Aに縫付けられる収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫付けられる延出側布地20Bのそれらの間に上位ゴム31及び下位ゴム32が取付けられている。
上位ゴム31、下位ゴム32としては、収容部3A及び延出部3Bの間に取付けられた主弾性材(平ゴム6)の弾性力を妨げない程度にスムースな伸縮性を有していればよく、例えば、編ゴム、織ゴム等、コールゴム等の平ゴムが使用される。
本実施の形態1では、別体である上位ゴム31と下位ゴム32がそれらの一部を重ねて上下方向(ウエスト周方向に対して直角方向)に配設され、スーツ用ズボン1において人体が挿入される側(履き口側)である上側の上位ゴム31とその下側に位置する下位ゴム32の各両端部が収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫付けられている。そして、上位ゴム31と下位ゴム32は、収容側布地20Aの一端部及び延出側布地20Bの一端部との間で重ねられて対向するも分離して保持されている。
こうして、上方側の上位ゴム31と、この上位ゴム31の下方に重ねて配設される下方側の下位ゴム32とにより、収容側布地20Aと延出側布地20Bの間が接続されている。
上位ゴム31と下位ゴム32の厚みの重複は、上位ゴム31及び下位ゴム32が重なった状態での上下端間の長さ距離である縦幅全長の1/10以上、8/10以下の範囲内とするのが好ましく、より好ましくは、2/10以上、5/10以下、更に好ましくは、3/10以上、5/10以下である。上位ゴム31と下位ゴム32の厚みの重複領域が大きいと、着用時の重厚感が増して着心地が低下したり、弾性力が強くなり過ぎてウエストの締め付け力が大きくなり窮屈感が増大したりする。一方で、上位ゴム31と下位ゴム32の厚みの重複領域が小さいと、伸び力が低く、人体の動きに対する高いフィット性が得られない。上位ゴム31と下位ゴム32の厚みが重なる重複領域の縦幅長さが、上位ゴム31及び下位ゴム32が重なり合った状態での上下端間の長さ距離である縦幅全長に対して、1/10以上、8/10以下の範囲内であれば、より好ましくは2/10以上、5/10以下の範囲内、更に好ましくは3/10以上、5/10以下の範囲内であれば、締め付け力、窮屈感が強調されることなく、フィット感が増大する。
また、上位ゴム31と下位ゴム32の各縦幅長さ(本来の長さ)は、厚みを重複させた状態での上位ゴム31と下位ゴム32の縦幅の全長の5/10以上、8/10以下の範囲内が好ましく、より好ましくは、6/10以上、8/10以下の範囲内である。上記範囲内あれば、重なりによる重厚感も少なくて、より少ない力で伸び易くてフィット性が良く、締め付け感、窮屈感もより少ないものとなる。
なお、互いに一部を重ねて上下に配設する上位ゴム31及び下位ゴム32の縦幅の全長は、ウエストベルト10表側の収容部3A及び延出部3Bに縫付けた収容側布地20Aや延出側布地20Bの縦幅の全長と比較して2cm以内の差(増減)はあるも、通常、同程度に設定される。例えば、腰裏ベルト部100をマーベルト仕様にする場合には、互いに一部を重ねて上下に配設した上位ゴム31及び下位ゴム32の縦幅の全長が5cm〜7cm程度に設定され、腰裏ベルト部100をウエストベルト10表側の表側ベルト布3a,3bと共地仕様としたり、腰裏ベルト部100の下端をパイピング仕様としたりする場合には、互いに一部を重ねて上下に配設した上位ゴム31及び下位ゴム32の縦幅の全長が3cm〜5cm程度に設定される。
特に、上位ゴム31の上端と収容側布地20Aや延出側布地20Bの上端との高さ位置の差が大きいと、ウエストベルト10の裏側で収容部3Aや延出部3Bの上端部の露出量が増えたり、収容側布地20Aや延出側布地20Bの縫い代20a,20bが見えたりすることで、その内部構造や縫製の仕方に興味を持って主弾性材としてのゴムテープ6等の伸縮機構を無理に引き出して壊してしまったり、上位ゴム31や下位ゴム32の縫製を壊してしまったりする恐れがある。また、見栄えの確保等のために、上位ゴム31及び下位ゴム32が縫付けられている収容側布地20Aの一端部や延出側布地20Bの一端部の上端部で縫い代20a,20bのF部分(図3参照)の浮きを抑えるべくそこを収容側布地20Aの一端部や延出側布地20Bの一端部に縫付ける必要がある。しかし、上位ゴム31の上端を収容側布地20Aや延出側布地20Bの上端の高さと一致させて連続的であると、或いは、1cm以下の差であれば、上記事態を防止でき、縫製工程もより簡単で済む。
更に、本実施の形態1において、上位ゴム31と下位ゴム32の前後方向の配置関係は、腰裏ベルト部100の表側(意匠面側、身体側)から見て、下位ゴム32の後方に上位ゴム31が配設され両者の一部が重ねられても良いし、下位ゴム32の前方に上位ゴム31が配設され両者の一部が重ねられても良い。
なお、後述する図9及び図10で示すように、腰裏ベルト部100の表側(意匠面側、身体側)から見て、上位ゴム31よりも下位ゴム32が手前にあると、下位ゴム32に取付けた結合具40(凸側ドット釦42)の位置の上側の近い位置で、上位ゴム31と下位ゴム32の間を拡げて、結合具40の上から手(指)を差し入れることができるから、結合具40の凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の係合の解除操作を容易に行うことができ、使い勝手が良い。
一方で、図12乃至図14で示すように、腰裏ベルト部100の表側(意匠面側、身体側)から見て、下位ゴム32よりも上位ゴム31が手前にあり、上位ゴム31の下端縁が下位ゴム32よりも手前にくることで、タックインしたシャツのずれ上がりを防止する滑り止め機能を持たせたることができる。
また、上位ゴム31と下位ゴム32の収容側布地20A及び延出側布地20Bへの縫付けによって収容側布地20A及び延出側布地20Bの間を接続する上位ゴム31と下位ゴム32の各接続長さは、同一としても良いし、相違させてもよい。即ち、上位ゴム31の収容側布地20A及び延出側布地20Bへの縫付位置と、下位ゴム32の収容側布地20A及び延出側布地20Bへの縫付位置とが、ウエスト周方向(長さ方向)にずれた位置であっても良いし、上下で垂直方向に一致させても良い。
特に、本実施の形態1では、別体に形成された上位ゴム31と下位ゴム32をそれらの一部で重ねて上下方向に配設して収容側布地20A及び延出側布地20Bの間を接続し、上位ゴム31と下位ゴム32が収容側布地20Aの一端部及び延出側布地20Bの一端部との間で一体化されずに分離している構成であるため、ウエストベルト10に引張り力がかかった際に上位ゴム31と下位ゴム32にかかる負荷が分散される。更に、収容側布地20A及び延出側布地20Bへの上位ゴム31と下位ゴム32の縫製の縫い目や、収容側布地20A及び延出側布地20Bにかかる負荷も分散されるから、それら縫い目も解け難く、収容側布地20A及び延出側布地20Bの生地の傷みも生じ難いものとなる。
また、上位ゴム31と下位ゴム32とで収容側布地20A及び延出側布地20Bへの縫付け位置を相違させても、伸縮力の差による縫付線の縫い目や、上位ゴム31、下位ゴム32への負荷は小さい。
よって、長期間の着用でも腰裏ベルト部100の伸縮性、弾力性が低下しにくい。
そして、上位ゴム31と下位ゴム32とで接続長さを相違させ伸びによる変化を上下で相異させても、ゴムの耐久性が低下することもなく、縫い目も解れにくいことから、ゴムや縫い目にかかる負荷を増大させることなく、従来とウエスト周方向における弾性材の露出長さを同等とするも上位ゴム31または下位ゴム32で従来よりも接続長さを長くしてより伸び易くできる。
一方、収容側布地20A及び延出側布地20Bへの上位ゴム31と下位ゴム32への縫付線を上下方向に垂直な1直線、即ち、上位ゴム31の上端から下位ゴム32の下端まで連続する垂直な1直線で上位ゴム31と下位ゴム32を収容側布地20A及び延出側布地20Bへ縫付けて、上位ゴム31と下位ゴム32の接続長さを一定とすると、縫製に不慣れな作業者でも分かり易く、作業効率が良いものとなる。
更に、本実施の形態1に係る腰裏ベルト部100においては、収容側布地20Aの一端部と延出側布地20Bの一端部に接続している上位ゴム31及び下位ゴム32において、それらを部分的に結合するための結合具40が取付けられている。
結合具40としては、例えば、1組(1対)の凹側及び凸側からなるドット釦(スナップボタン)、面ファスナ(マジックテープ(登録商標))等の接着布、ファスナ、フックアイテープ、グリッパテープ、ファッションミニバックル、Zナップ、スプリングホック、ボタンとボタンループ(ボタンホール、チイ、ループ糸)等がある。特に、ドット釦(スナップボタン)は、結合力、耐久性も高く、また、ゴムや布地の表面を毛羽立たせたり、ゴムや布地を引っかけたりして傷付ける恐れもなく使い勝手が良く、好適である。
このような結合具40が収容側布地20Aと延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32に取付けられていることによって、別体に形成された上位ゴム31及び下位ゴム32は結合自在である。そして、結合具40の係合によって上位ゴム31及び下位ゴム32を結合させたときには、上位ゴム31及び下位ゴム32の伸びが制限される。よって、結合具40の結合または分離操作により、上位ゴム31及び下位ゴム32による伸びを調節でき、着用しながらウエストの締め付け具合、締め付け強さを調節することができる。
そして、このように構成された腰裏ベルト部100は、図3乃至図5に示すように、ウエストベルト10の裏側に配設され、腰裏ベルト部100の収容側布地20Aがウエストベルト10の表側の収容部3Aの上端部に縫付線101aにて縫付けられ、腰裏ベルト部100の延出側布地20Bがウエストベルト10の表側の延出部3Bの上端部に縫付線101bにて縫付けられている。このとき、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間を接続する上位ゴム31及び下位ゴム32は収容部3Aの開口付近から前中心FCに向かう延出部3B側に位置して、その部分では上位ゴム31及び下位ゴム32が延出部3Bに縫付けられていないことで上位ゴム31及び下位ゴム32による所定の伸びを確保し、ウエストベルト10に引張り力が加わった際に、延出部3Bが収容部3Aから引き出される方向に移動すると共に、腰裏ベルト部100がスムースに伸びるようにしている。なお、腰裏ベルト部100の下端は、部分的な縫付線102にて身頃4F,4Bや袋布2Cに縫付けられている。
こうして、本実施の形態1のスーツ用ズボン1においては、ウエストベルト10に引張り力がかかると、収容部3Aと延出部3Bに両端部が接続された主弾性材としてのゴムテープ6が伸び、延出部3Bが収容部3Aから抜きだす方向に移動する。このとき、収容部3Aと延出部3Bの裏側に縫着された腰裏ベルト部100では、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間を接続する上位ゴム31及び下位ゴム32によって所定の伸びが確保されている。即ち、ウエストベルト10に引張り力がかかると、主弾性材としてのゴムテープ6が伸びて延出部3Bが収容部3Aから抜きだす方向に移動すると共に、上位ゴム31及び下位ゴム32が伸びる。このようにして、ウエストが伸縮自在とされている。
なお、本実施の形態1では、ウエストベルト10に引張り力がかかっていない場合には、図1(b)に示されるように、脇ポケット2のポケット口外縁2Aの上部が、ウエストベルト10の表側の収容部3Aと延出部3Bの境界付近に設けられたベルト通し5Aに近く、ウエストベルト10に引張り力がかかると、図1(c)に示されるように収容部3Aから延出部3Bが延びて、それと一体にポケット口外縁2Aの上部もベルト通し5Aから遠ざかる方向に移動し、脇ポケット2の表出する面積が拡大する。
因みに、図1(b)及び図1(c)において、脇ポケット2の袋布2Cが表側から見えないようにするために、前身頃4B及び後身頃4Aと共地の綿生地からなる当て布2Bが左右一対の脇ポケット2の表側(外側)に縫付けられている。この当て布2Bは、少なくとも、ウエストベルト10が伸びたときに脇ポケット2のポケット口外縁2Aが移動する範囲まで縫付けられている。これによって、ウエストベルト10に引張り力がかかって脇ポケット2のポケット口外縁2Aの上部が延出部3Bと一体に移動しても、前身頃4B及び後身頃4Aと一体に見えるため、見栄えが良くなる。
なお、本実施の形態1では、スーツ用ズボン1の左右の脇線LS,RSの近傍の2箇所の収容部3A及び延出部3Bの重ね合わせ部9に対応して、左右の脇線LS,RSの近傍の2箇所にスーツ用ズボン1の上位ゴム31及び下位ゴム32が配設されて、腰裏布地100の所定の伸びを確保している。
このように本実施の形態1のウエスト伸縮自在ボトムスとしてのスーツ用ズボン1は、ウエスト周りに配設するウエストベルト10の表側に形成され、身頃4F,4Bに縫着していない一端部が延出する延出部3Bと、延出部3Bと共にウエストベルト10の表側に形成され、延出部3Bの身頃4F,4Bに縫着していない一端部が重ねられる収容部3Aと、重ね合わせた延出部3Bと収容部3Aに各端部が接続された主弾性材としてのゴムテープ6と、収容部3Aの裏側に配設する収容側布地20Aと、延出部3Bの裏側に配設する延出側布地20Bと、収容側布地20Aの一端部及び延出側布地30Bの一端部に取付けられて収容側布地20及び延出側布地30Bの間を接続しウエストベルト10の裏側で長手方向に伸縮自在で、互いに一部の厚みを重複させて上下に配設された上位ゴム31及び下位ゴム32と、収容側布地20と延出側布地30Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32に取付けられ、上位ゴム31と下位ゴム32を分離自在に結合する結合具40とを具備する。
このような本実施の形態1のスーツ用ズボン1によれば、上位ゴム31及び下位ゴム32の厚みの重複により弾性力を高くでき、伸び量を向上できる。このとき、上位ゴム31と下位ゴム32はそれぞれの一部分が重なっており、しかも、収容側布地20Aと延出側布地20Bの間で上位ゴム31と下位ゴム32が結合されていないと互いに動きが拘束され難いことから、伸ばす外力も少なくて済む。特に、上位ゴム31及び下位ゴム32の一部を重複させて上下に配設するものであるから、重厚感も少ない。そして、上位ゴム31及び下位ゴム32の一部を重複させて上下に配設するから上位ゴム31と下位ゴム32の各縦幅長さを従来の1枚ゴムよりも小さくでき、しかも、結合具40が係合されていない状態では、収容側布地20Aと延出側布地20Bの間で上位ゴム31と下位ゴム32が結合されないから、大きな力を加えることなく伸ばすことができる。よって、弾性力が向上するも、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることはない。
そして、少ない外力で高い伸縮力が得られヤング率を小さくできるから弾性力も低下し難く、耐久性が維持される。こうして、耐久性を維持しつつ、人体のウエストの動きに追従する滑らかな伸縮を確保し、フィット性を高めることができる。
また、上位ゴム31及び下位ゴム32の一部を重複させて上下に配設し収容側布地20Aと延出側布地20Bの間を接続するから、ウエストベルト10に引張り力がかかった際でも引張り力が上位ゴム31と下位ゴム32に分散されるから、上位ゴム31と下位ゴム32の各ゴムにかかる負荷が少なく、長期間の着用でもゴムの弾性力が低下しにくい。
そして、上位ゴム31と下位ゴム32は互いに一部で重なっており、上位ゴム31の下端及び下位ゴム32の上端が共に接するものではないから、上位ゴム31の下端と下位ゴム32の上端とが接することで伸縮時に互いに反発して接点で膨らみや凸状となることもなく、また、上位ゴム31の下端と下位ゴム32の上端との間で伸縮時に隙間が生じて、見栄えが低下することもない。
特に、互いに一部の厚みを重複させて上下に配設した上位ゴム31と下位ゴム32は、それら厚みを重複させた状態での縦幅の全長の10%以上、80%以下の範囲内で厚みを重複させていると、締め付け力、窮屈感が強調されることなく、より人体のウエストの動きに追従するフィット感が得られる。
また、上位ゴム31と下位ゴ32の各縦幅長さは、互いに厚みを重複させているときの上位ゴム31と下位ゴム32の縦幅の全長の50%以上、80%以下の範囲内であると、重厚感も少なくて、より少ない力で伸び易くてフィット性が良く、締め付け感、窮屈感もより少なくなる。
更に、本実施の形態1では、このように別体である上位ゴム31と下位ゴム32を上下に配設して一部で重ね、結合具40の係合以外では収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32が結合していないことにより、収容側布地20Aと延出側布地20Bの間を接続する長さを上位ゴム31と下位ゴム32とで相異させても、伸長力の違いによって上位ゴム31と下位ゴム32にかかる負荷は小さい。したがって、上位ゴム31または下位ゴム32の一方で収容側布地20Aと延出側布地20Bの間の接続長さを従来よりも長くしても上位ゴム31と下位ゴム32に多大な負荷をかけることもなく、上位ゴム31または下位ゴム32の一方で接続長さを長くすることでより伸び易くできる。
そして、本実施の形態1では、収容側布地20Aの長さ方向の一端と、それに対向する延出側布地20Bの長さ方向の一端との間で上位ゴム31及び下位ゴム32に取付けられた結合具40によって、上位ゴム31及び下位ゴム32は結合自在であり、上位ゴム31及び下位ゴム32に取付けられた結合具40の係合により上位ゴム31及び下位ゴム32が結合すると、上位ゴム31及び下位ゴム32の伸びが一部拘束(制限)され、結合具40の係合が解除されるとその拘束が解放される。よって、上位ゴム31及び下位ゴム32の伸び長さの調節を可能とする。
以下、本発明の実施の形態1に係るウエスト伸縮自在ボトムスとしてのスーツ用ズボン1について、具体的な実施例に即して説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、図6乃至図19における腰裏ベルト部100は、収容部20A及び延出部20Bに縫付ける前の縫製途中の構成を示しており、図3で示した腰裏ベルト部100の上部の折り返し部分Fが展開された状態で示している。
[実施例1]
本発明の実施例1に係るスーツ用ズボン1は、ウエスト周りに配設するウエストベルト10の表側に形成され、身頃4F,4Bに縫着していない一端部が延出する延出部3Bと、延出部3Bと共にウエストベルト10の表側に形成され、延出部3Bの身頃4F,4Bに縫着していない一端部が重ねられる収容部3Aと、重ね合わせた延出部3Bと収容部3Aに各端部が接続された主弾性材としてのゴムテープ6と、ウエストベルト10の裏側に形成した腰裏ベルト部100とを有する。
そして、本実施例1に係る腰裏ベルト部100は、ウエストベルト10表側の収容部3A側に縫付けられる収容側布地20Aと、ウエストベルト10表側の延出部3B側に縫付けられる延出側布地20Bと、収容側布地20Aと延出側布地20Bの間を接続しウエストベルト10の長手方向に伸縮自在である上方側の第1の弾性材としての上位ゴム31及び上位ゴム31の下方に重ねて配設され上位ゴム31とは別の下方側の第2の弾性材としての下位ゴム32とから構成されている。更に、収容側布地20Aと延出側布地20Bの間の上位ゴム31及び下位ゴム32には、上位ゴム31及び下位ゴム32を分離自在に結合する結合具40としての凹側ドット釦41及び凸側ドット釦42が取付けられている。
腰裏ベルト部100の構造について、図3乃至図9を参照して、更に詳しく説明すると、本実施例1では、腰裏ベルト部100を構成する収容側布地20A及び延出側布地20Bが、ウエスト周方向に連続し腰裏の意匠面を形成する意匠生地21及びその裏面側で長手方向に沿って意匠生地21に縫付けられた芯材22から構成されている。
本実施例1に係る意匠生地21は、別体に形成された上位生地21a、中間生地21b及び下位生地21cにより構成され、これら上位生地21a、中間生地21b及び下位生地21cが相互に重ねられて、縫付線23にて芯材22と共に縫合わされている。
意匠生地21の詳細な構成は、ウエスト周方向に延びる生地の下端部を所定幅で内側(裏面側)に折った上位生地21aに対し、その上位生地21aの折り返し部分(ループ側)の裏面側に、ウエスト周方向に延びる生地の縦幅方向(長手方向に対して直角方向)の両端部を重ね合わせ折って(生地を半分に折って)形成された縦幅の小さい中間生地21bがその重ね合わせた端部側(反ループ側)で重ねられている。更にその裏面側には、ウエスト周方向に延びる生地の縦幅方向の両端部を重ね合わせて折った(生地を半分に折った)下位生地21cがその重ね合わせた端部側(反ループ側)で重ねられている。
そして、これら上位生地21a、中間生地21b及び下位生地21cは相互に重ねられた位置で縫付線23にて芯材22と共に縫合わされている。なお、このときの縫合わせは、上位生地21a、中間生地21b及び下位生地21cの長手方向の全周に亘って施されている。
本実施例1では、このように腰裏の意匠面を形成する意匠生地21としての上位生地21a、中間生地21b及び下位生地21cの下端部がそれぞれ折り返しによってループ状に閉じられており、下位生地21cの上端部(重ね合わせた端部側)に中間生地21bが重ねられ、更にその中間生地21bの上側に上位生地21aの下端部(ループ側)が重ねられている。このように各生地を重ね合わせることによって段差(襞)が生じるため、この段差(襞)により滑り止め機能が発揮される。
よって、このような腰裏ベルト部100が取付けられたスーツ用ズボン1を着用してウエストベルト10の裏側の腰裏ベルト部100側にシャツ等を入れた際に、腰裏ベルト部100によってその入れたシャツ等がスーツ用ズボン1から食み出たり、スーツ用ズボン1が滑り落ちたりするのが防止され、着用感や快適さを高めることができる。
また、このような複数枚の生地による重層構成により腰裏のデザインのバリエーションを高めることができる。
なお、本発明を実施する場合には、意匠生地21は、上述した上位生地21a、中間生地21b及び下位生地21cの重層構成に限定されるものではなく、例えば、更に複数の段差を設ける構成としてもよいし、上位生地21a及び下位生地21cの間に挟まれている中間生地21bを省略してもよいし、ウエストベルト10の表側の表側ベルト布3a,3bと共地仕様として生地同士を重ね合わせることなく全体を段差(襞)のない構成とすることも可能である。
また、上位生地21a、中間生地21b、下位生地21cの各生地は素材が同一であっても良いし、異なるものであっても良い。上位生地21a、中間生地21b、下位生地21cの各生地の素材を同一としたり伸縮性に相違がないと、ウエストベルト10に引張り力がかかった際でも、縫付線23や生地にかかる負荷も少ない。一方、異なる素材を使用することで、滑り止め機能を強化することができたり、デザインのバリエーションを持たせたりすることができる。また、上位生地21a、中間生地21b、下位生地21cの各生地は、単一の生地に限定されず、素材が同一または異なる複数の生地を縫製等により接ぎ合わせたものであってもよい。特に、中間生地21bは、ジャガードテープやオペロンテープ等を使用することもできる。また、意匠生地21においてシリコーンゴム等の配合、加工により滑り止め機能を強化することもできる。
更に、本実施例1では、これら上位生地21a、中間生地21b及び下位生地21cからなる意匠生地21の内側(裏側)に、網目に編成されたネット構造であるメッシュ生地を所定寸法でバイアス裁断したバイアス生地からなる芯材22を縫付けて補強している。なお、このメッシュ生地には、例えば、意匠生地21を構成する綿生地やスレーキ生地等よりも比較的ハードな生地が使用され、メッシュ構造やバイアス裁断により多少の弾性変形を付与できる。よって、生地にかかる負荷が少なく、長期間の着用でも生地を傷めにくい。また、メッシュの密度の選択により、補強効果(硬さ)や弾性変形を調節できる。
芯材22は、意匠生地21を構成している上位生地21a、中間生地21b及び下位生地21cの内側(裏側)でそれらの長さ方向の全長に沿って配設され、その縦幅方向の中央側で縫付線23にて意匠生地21に縫合わされている。しかし、意匠生地21と芯材22の縫合わせは、1つの縫付線23で共通させることなく、分散させてもよい。
なお、収容側布地20Aや延出側布地20Bが複数の生地の縫合わせにより構成される場合、その縫い方や縫糸は特に問われないが、例えば、鎖縫い(チェーンステッチ)等とすることで、腰裏ベルト部100全体のスムースな伸縮性を妨げることのない縫合わせ方となって、スムースな伸縮が得られる。また、伸縮性を有する糸、例えば、ウーリー糸、ユニロン(登録商標)糸、レジロン(登録商標)糸等を使用することでもスムースな伸縮が得られる。
因みに、意匠生地21の内側に縫付ける芯材22は、意匠生地21の縦幅全長(長さ方向に対して直角な幅)よりもその縦幅長さを短く設定することにより、意匠生地21及び芯材22の縫合わせ時に僅かなずれが生じた場合でも、意匠面側(ウエストベルト10の裏面側)から見て芯材22が意匠生地21の下端から露出して外観性を低下させることのないようにしている。
このように、本実施例1では、上位生地21a、中間生地21b及び下位生地21cにより構成された意匠生地21の内側(裏側)に芯材22が縫付線23にて縫合わされて収容側布地20A及び延出側布地20Bを構成している。
そして、収容側布地20A及び延出側布地20Bとの間を、上下に配設し一部を重ね合わせた上位ゴム31及び下位ゴム32で接続することで、本実施例1に係る腰裏ベルト部100を形成している。
ここで、本実施例1における収容側布地20A及び延出側布地20Bの間を接続する上位ゴム31と下位ゴム32の構成について、図6乃至図9を参照して詳細に説明する。
本実施例1では、腰裏ベルト部100の表面側から見て、即ち、ウエストベルト10の裏面側を形成する腰裏の意匠面側(意匠生地10側)から見て、下位ゴム32の裏側であってその上方側に上位ゴム31の下方側が重ねられており、上位ゴム31よりも下位ゴム32が手前に配設されて、上位ゴム31及び下位ゴム32が収容側布地20A及び延出側布地20Bの間を接続している。即ち、腰裏ベルト部100の表面側から見て、下位ゴム32の上方側の裏面と上位ゴム31の下方側の表面が対向するように重ねられている。
縫製手順で説明すると、図6(a)に示すように、まず、収容側布地20Aの一端部に斜線の灰色領域で示した縫い代20aを1cm〜1.5cmとって、その下位側で所定長の下位ゴム32の一端部側を縫付線24aにて縫付け、また、同様に、延出側布地20Bの一端部に斜線の灰色領域で示した縫い代20bを1cm〜1.5cmとって、その下位側で下位ゴム32の反対側の一端部を縫付線24bにて縫付ける。このとき、下位ゴム32は、その下端が収容側布地20A及び延出側布地20Bの下端に一致させて配置している。
続いて、収容側布地20Aの縫い代20a及び延出側布地20Bの縫い代20bを下位ゴム32と共に裏側に折り返し、折り返し線(折り目)に沿って、収容側布地20A、延出側布地20Bの各縦幅(ウエスト周方向に対して直角な方向の幅)の全長に亘るステッチ25a,25b(折り目から1〜3mm離れた位置のコバステッチ)を施す。これにより、縫製を強化すると共に、デザイン性を持たせている。
次に、図7に示すように、縫付線24a,24b及びステッチ25a,25bにて収容側布地20Aの一端部及び延出側布地20Bの一端部に縫付けられた下位ゴム32の上方に上位ゴム31が配置される。このとき、上位ゴム31の下方側が、下位ゴム32の上方側に重ねられ、図7(a)の腰裏ベルト部100の表面側である腰裏の意匠面側から見て、下位ゴム32の後方に上位ゴム31が配置される。
そして、図7(a)の腰裏ベルト部100の表面側である腰裏の意匠面側から見て、下位ゴム32の上方にその後方で重ねられた上位ゴム31は、縫付線24a,24b及びステッチ25a,25bから、0.5mm〜1.5mm、好ましくは0.8mm〜1.2mm離れた位置で、収容側布地20Aの縫い代20a及び延出側布地20Bの縫い代20bを含めて(貫通させて)、収容側布地20A、延出側布地20Bの各縦幅の全長に亘る縫付線26a,26bによって収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫付けられる。
こうして、図7及び図8に示すように、本実施例1においては、下位ゴム32の一端部を収容側布地20Aの一端部に縫付線24aによる縫付けによって、また、下位ゴム32の反対側の他端部を延出側布地20Bの一端部に縫付線24bによる縫付けによって、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間の下位側を下位ゴム32によって接続している。更に、腰裏ベルト部100の表面側である腰裏の意匠面側から見て、下位ゴム32の上方に、その後方で重ねて配設し上位ゴム31の一端部を収容側布地20Aの一端部に縫付線24a及びステッチ25aよりも所定距離離れた外側(収容側布地20Aの端縁から遠のく方向)で縫付線26aによる縫付けによって、また、上位ゴム31の反対側の他端部を延出側布地20Bの一端部に縫付線24b及びステッチ25bよりも所定距離離れた外側(延出側布地20Bの端縁から遠のく方向)で縫付線26bによる縫付けによって、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間の上位側を上位ゴム31により接続している。
そして、本実施例1では、上位ゴム31の下方が下位ゴム32の上方に重なった状態で、収容側布地20A及び延出側布地20Bの縦幅方向の全長に亘る縫付線26a,26bにて上位ゴム31と下位ゴム32が共に収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫付けられているが、縫付線26aと縫付線26bの間では、上位ゴム31と下位ゴム32は互いに縫合わせられておらず結合していない。
また、本実施例1に係る腰裏ベルト部100においては、腰裏ベルト部100の表面側である腰裏の意匠面側から見て、上位ゴム31の下方前方で下位ゴム32が重ねられており、下位ゴム32の上下両端が表出している。
ここで、本実施例1においては、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間を接続する接続長さが、下位ゴム32では縫付線24a及び縫付線24b間の距離であるのに対し、上位ゴム31では、縫付線24a及び縫付線24bよりも外側の縫付線26a及び縫付線26a間の距離長さとなっており、下位ゴム32よりも上位ゴム31の接続長さを長くしている。
即ち、腰裏の意匠面側から見て収容側布地20A及び延出側布地20Bの間に表出するゴムのウエスト周方向の長さは見た目には従来と変わらないものとするも、上位ゴム31を縫付線26a,26bによって収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫付けることにより下位ゴム32よりも接続長さを長くして、より伸び易くすることができる。
特に、本実施例1では、このように下位ゴム32よりも上位ゴム31の接続長さを長くして上位ゴム31の伸びの変化を大きくしても、別体に形成した上位ゴム31と下位ゴム32をそれらの一部で重ねて上下方向(ウエスト周方向に対して直角方向)に配設しており、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32が相互に結合されていないから、上位ゴム31と下位ゴム32にかかる伸び変化の相違による負荷は小さい。
なお、このように下位ゴム32よりも上位ゴム31の接続長さを長くした実施例1では、収容側布地20Aの一端縁と縫付線26aの間では、収容側布地20Aと上位ゴム31が縫着されていないが、その上端部が縫付線101aによってウエストベルト10表側の収容部3Aに縫付けられるため、また、延出側布地20Bの一端縁と縫付線26bの間でも、延出側布地20Bと上位ゴム31が縫着されていないが、その上端部が縫付線101bによってウエストベルト10表側の延出部3Bに縫付けられるため、収容側布地20Aや延出側布地20Bの上方側で収容側布地20Aや延出側布地20Bが捲れて美観を損ねることもない。即ち、収容側布地20Aや延出側布地20Bの上方側の捲れ防止のために別途縫製を行わなくても良い。
更に、本実施例1では、図9に示すように、上位ゴム31と下位ゴム32が重なり合う部分において、結合具40としての凹側ドット釦41及び凸側ドット釦42が取付けられている。なお、上位ゴム31及び下位ゴム32への凹側ドット釦41及び凸側ドット釦42の取付けは、上位ゴム31及び下位ゴム32を収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫付ける前であっても良いし、その後であっても良い。
本実施例1では、腰裏ベルト部100の表面側である腰裏の意匠面側から見て手前に配設されている下位ゴム32の上方に凸側ドット釦42が取付けられ、後方の上位ゴム31の下方に凹側ドット釦41が取付けられている。凹側ドット釦41及び凸側ドット釦42は互いに対応する位置に取付けられて、上位ゴム31に取付けられた凹側ドット釦41と下位ゴム32に取付けられた凸側ドット釦42を嵌めることで上位ゴム31及び下位ゴム32が結合される。
なお、凹側ドット釦41は、凸側ドット釦42への係合側の凹パーツ(バネ、ソケットと称される)とそれに対応するアタマパーツ(キャップ、トップ、ボタン、ツメと称される)の組で上位ゴム31の表裏に取付けられ、凸側ドット釦42についても、凹側ドット釦41への係合側の凸パーツ(ゲンコ、タボ、スタッドと称される)とそれに対応するホソパーツ(ポスト、あし、ツメと称される)の組で下位ゴム32の表裏に取付けられる。そして、図9(b)で示すように、上位ゴム31と下位ゴム32の対向面で、上位ゴム31に凹側ドット釦41の凹パーツ側が取付けられ、下位ゴム32に凸側ドット釦42の凸パーツ側が取付けられる。なお、図9(a)で示すように、腰裏ベルト部100の表側(意匠面側)には、下位ゴム32に取付けた凸側ドット釦42のホソパーツ側のみが表出する。したがって、それがアクセントになり素材や色等によって意匠的効果を独特なものとすることも可能である。
特に、着用時に身体側により近い位置の手前に配置された下位ゴム32に凸側ドット釦42を取付け、後方の上位ゴム31に凹側ドット釦41を取付けると、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42を嵌合させる操作性が良く、使い勝手が良い。また、凸側ドット釦42の凸パーツ側の凸の先端が反身体側に向くから嵌合していない状態でも、凸の先端の当たりを身体に感じることがなく、違和感を生じさせることもない。
勿論、本実施例1とは逆に、身体側により近い位置の手前に配置された下位ゴム32に凹側ドット釦41を取付け、上位ゴム31に凸側ドット釦42を取付けても、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42を嵌めることで結合されるから、上位ゴム31及び下位ゴム32を結合自在とする同様の効果が得られる。
なお、これら凹側ドット釦41の凹パーツ及び凸側ドット釦42の凸パーツは上位ゴム31と下位ゴム32の対向面に位置するから、それらが嵌合していない状態でも、身体に直接当たり身体を圧迫することはない。
因みに、図9においては、下位ゴム32に取付けた凸側ドット釦42のホソパーツ側及び上位ゴム31に取付けた凹側ドット釦41のアタマパーツ側は、生地に貫通させる単一の突起または複数のツメ部を有する(図示せず)環状(リング状)に形成されたものであるが、ホソパーツ側及びアタマパーツ側が生地に貫通させる単一の突起または複数のツメ部を有する円形状等のその他の形状に形成されたものであってもよい。本発明を実施する場合には、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の種類は特に限定されず、例えば、アメリカンホック、ジャンパホック、バネホック等が使用できる。
また、本実施例1では、上位ゴム31と下位ゴム32において、収容側布地20Aや延出側布地20Bの間に表出する部分の中央側に凹側ドット釦41と凸側ドット釦42が1組取付けられているが、本発明を実施する場合には、所定の伸びを確保できれば、複数の凹側ドット釦41と凸側ドット釦42からなる組みを使用し、複数箇所の結合としても良い。
このように構成された本実施例1に係る腰裏ベルト部100は、図3乃至図5に示すようにウエストベルト10の裏側に縫付けられ、具体的には、腰裏ベルト部100の収容側布地20Aがウエストベルト10表側の収容部3Aの上端部に縫付線101aにて縫付けられ、腰裏ベルト部100の延出側布地20Bがウエストベルト10表側の延出部3Bの上端部に縫付線101bにて縫付けられる。なお、図9で示した腰裏ベルト部100はその上端部で内側に折り返し、図3に示すように、その折り返し部分Fを、収容部3Aや延出部3Bの上端部の内折り部分に対向させ、縫付線101a,101bにて縫付けられる。このとき、収容部3A及び延出部3Bの内折部分が展開した状態で腰裏ベルト部100が縫付けられ、収容部3A及び延出部3Bの内折部分のみに腰裏布地100が縫付けられて、その縫付線101a,101bは収容部3A及び延出部3Bの表裏を貫通することなくウエストベルト10の表側に表れないようになっている。
そして、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間を接続する上位ゴム31及び下位ゴム32が収容部3Aの開口付近から前中心FCに向かう延出部3B側に位置して、その部分では上位ゴム31及び下位ゴム32が延出部3Bに縫付けられていないことで上位ゴム31及び下位ゴム32による所定の伸びを確保し、ウエストベルト10に引張り力が加わった際に、延出部3Bが収容部3Aから引き出される方向に移動すると共に、腰裏ベルト部100がスムースに伸びるようにしている。
特に、本実施例1に係る腰裏ベルト部100は、上位ゴム31と下位ゴム32のそれらの一部を重ねて上下方向(ウエスト周方向に対して直角方向)に配設して、一部で厚みを重複させた上位ゴム31及び下位ゴム32によって収容側布地20A及び延出側布地20Bを接続しており、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間の上位ゴム31及び下位ゴム32には結合具40としての凹側ドット釦41と凸側ドット釦42が取付けられて、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42によって、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32が相互に結合自在である。
したがって、本実施例1に係るスーツ用ズボン1によれば、腰裏ベルト部100において、上位ゴム31と下位ゴム32を上下に配設して一部で重ねており、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32が一体でないから、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく弾性力を強化でき、少ない外力で高い伸縮力を得ることができる。よって、ヤング率の高い弾性材を選択しなくとも少ない外力で伸び易く、ヤング率を小さくできるから耐久性も維持される。こうして、耐久性を維持しつつ、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく人体のウエストの動きに追従するフィット性を高めることができ、着用感を向上させることができる。
特に、本実施例1に係るスーツ用ズボン1によれば、下位ゴム32よりも上位ゴム31の接続長さを長くし下位ゴム32よりも上位ゴム31の伸びの変化を大きくしており、上位ゴム31と下位ゴム32とで伸びによる変化を相違させている。これより、引張り力がかかった際に、上位ゴム31と下位ゴム32にかかる負荷が分散されるから、上位ゴム31と下位ゴム32を長持ちさせることができる。そして、収容側布地20A及び延出側布地20Bへの上位ゴム31及び下位ゴム32の縫製の縫い目(縫付線24a,24b、ステッチ25a,25b、縫付線26a,26b)にかかる負荷や、上位ゴム31と下位ゴム32が縫付けられた収容側布地20Aの一端部及び延出側布地20Bの一端部にかかる負荷も分散されるから、それら縫い目の解れも生じ難く、また、生地を傷めにくい。
更に、本実施例1に係るスーツ用ズボン1によれば、腰裏ベルト部100において、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32に取付けられた凹側ドット釦41と凸側ドット釦42によって、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32が相互に結合自在であるから、上位ゴム31及び下位ゴム32の伸縮を調節でき、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の嵌合及びその解除の容易な操作によって、着用しながらウエストの締め付け強さを調節できる。
よって、着用する人の好み、状況、体形の変化等に応じ、例えば、普段の体形では、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の係合状態で適度なフィット感を得ているも、食事後等の一時的にウエスト周りが大きくなったときや、リラックスしたり、楽な状態になりたい際には、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の係合を解除して、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32が結合していない状態とすることで、上位ゴム31及び下位ゴム32を伸び易くできる。また、普段では、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の係合状態で適度なフィット感を得ているも、運動をする際には、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の係合を解除した状態として、上位ゴム31及び下位ゴム32を伸び易くして動きやすくすることもできる。更に、例えば、着用する人のウエストラインを美しく見せたり、引き締め感を得たかったりするときには、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42を係合させて、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32を結合することで、上位ゴム31及び下位ゴム32の伸びを制限することができる。
特に、本実施例1に係るスーツ用ズボン1によれば、腰裏ベルト部100の表側(意匠面側、身体側)から見て、上位ゴム31よりも下位ゴム32が手前にあると、下位ゴム32の上端が手間に配置し、上位ゴム31と重なる下位ゴム32の上方側に取付けた凸側ドット釦42の上側で、上位ゴム31と下位ゴム32の間を拡げて、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の上から手(指)を差し入れることができるから、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の結合の解除操作を容易に行うことができ、使い勝手が良い。
なお、本実施例1では収容側布地20A及び延出側布地20Bの間の接続長さについて下位ゴム32よりも上位ゴム31の接続長さを長くしており、図7乃至図9においては、所定長の縫い代や強度確保等のために下位ゴム32よりも上位ゴム31の長さが長くなっているが、本発明を実施する場合には下位ゴム32と上位ゴム31の長さは同一であってもよい。また、下位ゴム32の長さが、所定長の縫い代や強度確保等のため収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫付けるときの縫付線26a,26b間の距離長さ以上に設定されて、下位ゴム32は上位ゴム31が重ねられた状態でそれと共に収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫付線26a,26bにより縫付けられているが、本発明を実施する場合には、下位ゴム32の長さを縫付線26a,26b間の距離長さ未満として、下位ゴム32は縫付線26a,26bで上位ゴム31と共に収容側布地20Aや延出側布地20Bに縫付けられることなく縫付線24a,24b及びステッチ25a,25bのみで収容側布地20Aや延出側布地20Bに縫付ける構成としても良い。また、ステッチ25a,25bを省略することも可能である。
次に、実施例1の変形例について、図10を参照して説明する。実施例1の変形例に係るスーツ用ズボン1は、腰裏ベルト部100において、上位ゴム31と下位ゴム32が収容側布地20A及び延出側布地20Bを接続する接続長さ、即ち、上位ゴム31と下位ゴム32の収容側布地20A及び延出側布地20Bへの縫製が上記実施例1と相違する。その他の構成は、上記実施例1と同じであるから、ここでは重複する説明を省略する。
実施例1の変形例に係る腰裏ベルト部100においては、縫製手順で説明すると、図10(a)で示すように、まず、収容側布地20Aの一端部にその下方で所定長の下位ゴム32を配設し、更に下位ゴム32の上方に所定長の上位ゴム31を重ねて配設して、収容側布地20Aの一端部に斜線の灰色領域で示した縫い代20aを1cm〜1.5cmとって、上位ゴム31及び下位ゴム32の一端部側を上位ゴム31の上端から下位ゴム32の下端まで縫付線24aにて縫付ける。同様に、延出側布地20Bの一端部にもその下方に所定長の下位ゴム32を配設し、更に下位ゴム32の上方に上位ゴム31を重ねて配設して、延出側布地20Bの一端部に縫い代20bを1cm〜1.5cmとって、上位ゴム31及び下位ゴム32の一端部側を上位ゴム31の上端から下位ゴム32の下端まで縫付線24bにて縫付ける。このとき、実施例1と同様、下位ゴム32は、その下端が収容側布地20A及び延出側布地20Bの下端に一致させて配置され、腰裏ベルト部100の表面側である腰裏の意匠面側から見て、上位ゴム31の下方で上位ゴム31の手前に下位ゴム32が配置する。換言すると、下位ゴム32の上方でその後方に上位ゴム31が重ねられて配置されている。つまり、実施例1に係る変形例においても、下位ゴム32の上方側の裏面と上位ゴム31の下方側の表面が対向するように重ねられている。
そして、実施例1の変形例に係る腰裏ベルト部100においても、収容側布地20Aの縫い代20a及び延出側布地20Bの縫い代20bが、上位ゴム31及び下位ゴム32と共に裏側に折り返されて、図10に示すように収容側布地20A、延出側布地20Bの各縦幅(ウエスト周方向に対して直角な方向の幅)の全長に亘るステッチ25a,25b(折り目から1〜3mm離れた位置のコバステッチ)が施される。
なお、縫付線24a,24b及びステッチ25a,25bから、0.5mm〜1.5mm、好ましくは0.8mm〜1.2mm離れた位置で、ステッチ25a,25bの外側に別のステッチを更に設けてもよい。
このように実施例1の変形例では、縫付線24a及び縫付線24bにて上位ゴム31と下位ゴム32が共に収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫合わせられている。そして、縫付線24a及び縫付線24b間では、上位ゴム31と下位ゴム32は互いに縫合わせられておらず、一体化されることなく分離している。
こうして、実施例1の変形例に係る腰裏ベルト部100においては、腰裏ベルト部100の表面側である腰裏の意匠面側から見て、下位ゴム32の上方にその後方側で上位ゴム31が重なるように配置されて、上位ゴム31及び下位ゴム32の一部の厚みを重複させた状態で上位ゴム31の上端から下位ゴム32の下端まで縫付線24a,24bによって縫付けることにより、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間を接続する接続長さが、上位ゴム31と下位ゴム32で共に、縫付線24a及び縫付線24b間の距離長さになっており、接続長さを同じにしている。このように上位ゴム31と下位ゴム32の接続長さを同一とする場合には、両者を所定に重複させた状態でまとめて収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫製することから、縫製に不慣れな作業者でも縫製が分かりやすく、作業効率を向上できる。
その他の構成については、上記実施例1とほぼ同一であるから、上記実施例1と同様の作用効果が得られる。
即ち、実施例1の変形例に係るスーツ用ズボン1の腰裏ベルト部100においても、上位ゴム31と下位ゴム32を上下に配設して一部で重ね、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32が一体化されることなく分離していることにより、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく弾性力を強化でき、少ない外力で高い伸縮力を得ることができる。よって、ヤング率の高い弾性材を選択しなくとも少ない外力で伸び易く、ヤング率を小さくできるから耐久性も維持される。こうして、耐久性を維持しつつ、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく人体のウエストの動きに追従するフィット性を高めることができ、着用感を向上させることができる。
更に、実施例1の変形例に係る腰裏ベルト部100において、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32に取付けられた凹側ドット釦41と凸側ドット釦42によって、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32が結合自在であるから、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の嵌合及びその解除の容易な操作によって、着用しながらウエストの締め付け強さを調節できる。
特に、実施例1の変形例においても、腰裏ベルト部100の表側(意匠面側、身体側)から見て、上位ゴム31よりも下位ゴム32が手前にあると、下位ゴム32の上端が腰裏ベルト部100の表側に配置し、上位ゴム31と重なる下位ゴム32の上方側に取付けた凸側ドット釦42の上側で、上位ゴム31と下位ゴム32の間を拡げて、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の上から手(指)を差し入れることができるから、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の結合の解除操作を容易に行うことができ、使い勝手が良い。
[実施例2]
次に、本発明の実施の形態1に係る実施例2について、図11乃至図13を参照して説明する。
本発明の実施例2に係るスーツ用ズボン1は、図11乃至図13に示されるように、腰裏ベルト部100の収容側布地20Aと延出側布地20Bの間を接続する上位ゴム31、下位ゴム32の配置構成が上記実施例1と異なる。その他の構成は、上記実施例1と同じであるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
図11乃至図13に示されるように、実施例2に係る腰裏ベルト部100においては、上位ゴム31と下位ゴム32の重層が上記実施例1とは逆で、腰裏ベルト部100の表面側である腰裏の意匠面側から見て、下位ゴム32よりも上位ゴム31が手前に配置され、上位ゴム31の下方でその後方から下位ゴム32が重ねられて配置される。つまり、上位ゴム31の下方側の裏面と下位ゴム32の上方側の表面が対向するように重ねられている。
縫製手順で説明すると、上記実施例1とは逆で、先に上位ゴム31から収容側布地20Aと延出側布地20Bに縫付けられる。
即ち、図11(a)で示すように、まず、収容側布地20Aの一端部に斜線の灰色領域で示した縫い代20aを1cm〜1.5cmとって、その下端から所定距離離した位置で所定長の上位ゴム31の一端部側を縫付線24aにて縫付け、また、延出側布地20Bの一端部に、縫い代20bを1cm〜1.5cmとって、その下端から所定距離離した位置で所定長の上位ゴム31の反対側の一端部を縫付線24bにて縫付ける。
続いて、収容側布地20Aの縫い代20a及び延出側布地20Bの縫い代20bを上位位ゴム31と共に裏側に折り返して、折り返し線(折り目)に沿って、収容側布地20A、延出側布地20Bの各縦幅(ウエスト周方向に対して直角な方向の幅)の全長に亘るステッチ25a,25b(折り目から1〜3mm離れた位置のコバステッチ)を施す。
次に、図12に示されるように、縫付線24a,24b及びステッチ25a,25bにて収容側布地20Aの一端部及び延出側布地20Bの一端部に縫付けられた上位ゴム31の下方に下位ゴム32が配置される。このとき、上位ゴム31の下方側が、下位ゴム32の上方側に重ねられ、図12(a)に示すように、腰裏ベルト部100の表面側である腰裏の意匠面側から見て、下位ゴム32が上位ゴム31の後方に配置される。なお、下位ゴム32は、その下端が収容側布地20A及び延出側布地20Bの下端に一致させて配置されている。
そして、図12(a)に示すように腰裏ベルト部100の表面側である腰裏の意匠面側から見て、上位ゴム31の下方にその後方で重ねた下位ゴム32は、縫付線24a,24b及びステッチ25a,25bから、0.5mm〜1.5mm、好ましくは0.8mm〜1.2mm離れた位置で、収容側布地20Aの縫い代20a及び延出側布地20Bの縫い代20bを含めて(貫通させて)、収容側布地20Aや延出側布地20Bの各縦幅の全長に亘る縫付線26a,26bによって収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫付けられる。
こうして、図12及び図13に示すように、本実施例2では、上位ゴム31の一端部を収容側布地20Aの一端部に縫付線24aによる縫付けによって、また、上位ゴム31の反対側の他端部を延出側布地20Bの一端部に縫付線24bによる縫付けによって、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間の上位側を上位ゴム31によって接続している。更に、腰裏ベルト部100の表面側である腰裏の意匠面側から見て、上位ゴム31の下方に、その後方から重ねて配設した下位ゴム32の一端部を収容側布地20Aの一端部に縫付線24a及びステッチ25aよりも所定距離離れた外側(収容側布地20Aの端縁から遠のく方向)で縫付線26aによる縫付けによって、また、下位ゴム32の反対側の他端部を延出側布地20Bの一端部に縫付線24b及びステッチ25bよりも所定距離離れた外側(延出側布地20Bの端縁から遠のく方向)で縫付線26bによる縫付けによって、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間の下位側を下位ゴム32により接続している。
つまり、上記実施例1では腰裏ベルト部100の表面側である腰裏の意匠面側から見て、下位ゴム32の上方でその後方に上位ゴム31の下方が重なっていて、下位ゴム32の上下両端が表出していのに対し、実施例2では、上位ゴム31の下方でその後方に下位ゴム32の上方が重なっていて、上位ゴム31の上下両端が表出している。
なお、本実施例2においても、上位ゴム31の下方に下位ゴム32の上方が重なった状態で、縫付線26a,26bにて上位ゴム31と下位ゴム32が共に収容側布地20Aや延出側布地20Bに縫付けられているが、縫付線26aと縫付線26b間では、上位ゴム31と下位ゴム32は互いに縫合わせられておらず、分離している。
そして、本実施例2においては、上記実施例1とは上位ゴム31と下位ゴム32の接続長さが逆になっており、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間を接続する接続長さが、上位ゴム31では縫付線24a及び縫付線24b間の距離であるのに対し、下位ゴム32では、縫付線24a及び縫付線24bよりも外側の縫付線26a及び縫付線26a間の距離長さとなっており、上位ゴム31よりも下位ゴム32の接続長さを長くしている。
本実施例2においても、腰裏の意匠面側から見て収容側布地20A及び延出側布地20Bの間に表出するゴムのウエスト周方向の長さは見た目には従来と変わらないものとするも、下位ゴム32を縫付線26a,26bによって収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫付けることにより上位ゴム31よりも接続長さを長くして、より伸び易くすることができる。
そして、本実施例2でも、このように上位ゴム31よりも下位ゴム32の接続長さを長くし伸びの変化を大きくしても、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で重ねられた上位ゴム31及び下位ゴム32が一体化されることなく分離しているから、上位ゴム31と下位ゴム32にかかる伸び変化の相違による負荷は小さい。
なお、このように上位ゴム31よりも下位ゴム32の接続長さを長くした実施例2では、収容側布地20Aの一端縁と縫付線26aの間では、収容側布地20Aと下位ゴム32が縫着されていないから、収容側布地20Aの一端縁側の下端部が捲れやすい。また同様に、延出側布地20Bの一端縁と縫付線26bの間でも、延出側布地20Bと下位ゴム32が縫着されていないから、延出側布地20Bの一端縁側の下端部が捲れやすい。そこで、収容側布地20Aの一端縁と縫付線26aの間で捲れ防止のために、部分的に収容側布地20A及び延出側布地20Bを下位ゴム32に縫付けても良い。
更に、本実施例2でも、図12及び図13に示すように、上位ゴム31と下位ゴム32が重なり合う部分において、結合具40としての凹側ドット釦41及び凸側ドット釦42が取付けられている。
本実施例2では、腰裏ベルト部100の表面側である腰裏の意匠面側から見て手前に配設されている上位ゴム31の下方に凸側ドット釦42が取付けられ、後方の下位ゴム32の上方に凹側ドット釦41が取付けられている。そして、実施例2でも凹側ドット釦41及び凸側ドット釦42は互いに対応する位置に取付けられていて、下位ゴム32に取付けられた凹側ドット釦41と上位ゴム31に取付けられた凸側ドット釦42を嵌めることで結合される。
このように、実施例2でも着用時に身体側により近い位置の手前に配置された上位ゴム31に凸側ドット釦42を取付け、後方の下位ゴム32に凹側ドット釦41を取付けることで、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の嵌合の操作性が良く、使い勝手が良い。また、凸側ドット釦42の凸パーツの凸の先端が反身体側に向くから嵌合していない状態でも、凸の先端の当たりを感じることなく、違和感を生じさせることもない。
勿論、実施例2とは逆に、身体側により近い位置の手前に配置された上位ゴム31に凹側ドット釦41を取付け、下位ゴム32に凸側ドット釦42を取付けても、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42を嵌めることで上位ゴム31及び下位ゴム32が結合されるから、上位ゴム31及び下位ゴム32を結合及び分離自在とする同様の効果が得られる。
なお、これら凹側ドット釦41の凹パーツ及び凸側ドット釦42の凸パーツは上位ゴム31と下位ゴム32の対向面に位置するから、それらが嵌合していない状態でも、身体に直接当たり身体を圧迫することもない。
勿論、本発明を実施する場合には、複数の凹側ドット釦41と凸側ドット釦42からなる組みを使用しても良い。
このように実施例2に係るスーツ用ズボン1の腰裏ベルト部100においても、上記実施例1と同様、別体である上位ゴム31と下位ゴム32を上下に配設して一部で重ね、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32を一体化せずに分離させていることにより、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく弾性力を強化でき、少ない外力で高い伸縮力を得ることができる。よって、ヤング率の高い弾性材を選択しなくとも少ない外力で伸び易く、ヤング率を小さくできるから耐久性も維持される。こうして、耐久性を維持しつつ、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく人体のウエストの動きに追従するフィット性を高めることができ、着用感を向上させることができる。
更に、実施例2に係る腰裏ベルト部100でも、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32に取付けられた凹側ドット釦41と凸側ドット釦42によって、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32が相互に分離及び結合自在であるから、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の嵌合及びその解除の容易な操作によって、着用しながらウエストの締め付け強さを調節できる。
特に、実施例2では、腰裏ベルト部100の表側(意匠面側、身体側)から見て、下位ゴム32よりも上位ゴム31が前方にあると、上位ゴム31の下端縁が下位ゴム32よりも手前にくることで、タックインしたシャツのずれ上がりを防止する滑り止め機能を持つことになる。
なお、実施例2では収容側布地20A及び延出側布地20Bの間の接続長さについて上位ゴム31よりも下位ゴム32の接続長さを長くしており、図12及び図13においては、所定長の縫い代や強度確保等のために上位ゴム31よりも下位ゴム32の長さが長くなっているが、本発明を実施する場合には上位ゴム31と下位ゴム32の長さは同一であってもよい。また、上位ゴム31の長さが、所定長の縫い代や強度確保等のため収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫付けるときの縫付線26a,26b間の距離長さ以上に設定されて、上位ゴム31は下位ゴム32が重ねられた状態でそれと共に収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫付線26a,26bにより縫付けられているが、本発明を実施する場合には、上位ゴム31の長さを縫付線26a,26b間の距離長さ未満として、上位ゴム31は縫付線26a,26bで下位ゴム32と共に収容側布地20Aや延出側布地20Bに縫付けられることなく縫付線24a,24b及びステッチ25a,25bのみで収容側布地20Aや延出側布地20Bに縫付ける構成としても良い。
次に、実施例2の変形例について、図14を参照して説明する。実施例2の変形例に係るスーツ用ズボン1は、腰裏ベルト部100において、上位ゴム31と下位ゴム32が収容側布地20A及び延出側布地20Bを接続する接続長さ、即ち、上位ゴム31と下位ゴム32の収容側布地20A及び延出側布地20Bへの縫製が上記実施例2と相違する。その他の構成は、上記実施例2と同じであるから、ここでは重複する説明を省略する。
実施例2の変形例に係る腰裏ベルト部100においては、縫製手順で説明すると、図14(a)で示すように、まず、収容側布地20Aの一端部の上位に所定長の上位ゴム31を配設し、その下方に所定長の下位ゴム32を重ねて配設し、上位ゴム31及び下位ゴム32の一端部側を収容側布地20Aの一端部に斜線の灰色領域で示した縫い代20aを1cm〜1.5cmとって、上位ゴム31の上端から下位ゴム32の下端まで縫付線24aにて縫付ける。同様に、延出側布地20Bの一端部の上位にも、所定長の上位ゴム31を配設し、その下方に所定長の下位ゴム32を重ねて配設し、上位ゴム31及び下位ゴム32の一端部側を延出側布地20Bの一端部に斜線の灰色領域で示した縫い代20bを1cm〜1.5cmとって、上位ゴム31の上端から下位ゴム32の下端まで縫付線24bにて縫付ける。このとき、下位ゴム32は、その下端が収容側布地20A及び延出側布地20Bの下端に一致させて配置され、実施例2と同様、腰裏ベルト部100の表面側である腰裏の意匠面側から見て、下位ゴム32の上方でその手前側に上位ゴム31が重ねられて配置されている。換言すると、上位ゴム31の下方でその後方に下位ゴム32の上方が重ねられて配置されており、上位ゴム31の下方側の裏面と下位ゴム32の上方側の表面が対向するように重ねられている。
そして、実施例2の変形例に係る腰裏ベルト部100においても、収容側布地20Aの縫い代20a及び延出側布地20Bの縫い代20bが、上位ゴム31及び下位ゴム32と共に裏側に折り返されて、図14に示すように収容側布地20A、延出側布地20Bの各縦幅(ウエスト周方向に対して直角な方向の幅)の全長に亘るステッチ25a,25b(折り目から1〜3mm離れた位置のコバステッチ)が施される。
なお、縫付線24a,24b及びステッチ25a,25bから、0.5mm〜1.5mm、好ましくは0.8mm〜1.2mm離れた位置で、ステッチ25a,24bの外側に別のステッチを更に設けてもよい。
このように実施例2の変形例では、縫付線24a及び縫付線24bにて上位ゴム31と下位ゴム32が共に収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫合わせられている。そして、縫付線24a及び縫付線24b間では、上位ゴム31と下位ゴム32は互いに縫合わせられておらず、分離している。
こうして、実施例2の変形例に係る腰裏ベルト部100においては、腰裏ベルト部100の表面側である腰裏の意匠面側から見て下位ゴム32の上方でその前方側に上位ゴム31の下方が重なるように配置されて、上位ゴム31及び下位ゴム32の一部の厚みを重複させた状態で上位ゴム31の上端から下位ゴム32の下端まで縫付線24a,24bによって縫付けていることにより、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間を接続する接続長さが、上位ゴム31と下位ゴム32で共に、縫付線24a及び縫付線24b間の距離長さになっており、接続長さを同じにしている。このように上位ゴム31と下位ゴム32の接続長さを同一とする場合には、両者を所定に重複させた状態でまとめて収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫製することから、縫製に不慣れな作業者でも縫製が分かりやすく、作業効率を向上できる。
その他の構成については、上記実施例2とほぼ同一であるから、上記実施例2と同様の作用効果が得られる。
即ち、実施例2の変形例に係るスーツ用ズボン1の腰裏ベルト部100においても、別体である上位ゴム31と下位ゴム32を上下に配設して一部で重ね、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間では上位ゴム31及び下位ゴム32が分離されていることにより、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく弾性力を強化でき、少ない外力で高い伸縮力を得ることができる。よって、ヤング率の高い弾性材を選択しなくとも少ない外力で伸び易く、ヤング率を小さくできるから耐久性も維持される。こうして、耐久性を維持しつつ、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく人体のウエストの動きに追従するフィット性を高めることができ、着用感を向上させることができる。
更に、実施例2の変形例に係る腰裏ベルト部100においても、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32に取付けられた凹側ドット釦41と凸側ドット釦42によって、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32が分離及び結合自在であるから、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の嵌合及びその解除の容易な操作によって、着用しながらウエストの締め付け強さを調節できる。
特に、実施例2の変形例においても、腰裏ベルト部100の表側(意匠面側、身体側)から見て、下位ゴム32よりも上位ゴム31が前方にあると、上位ゴム31の下端縁が下位ゴム32よりも手前にくることで、タックインしたシャツのずれ上がりを防止する滑り止め機能を有する。
以上説明してきたように、本実施の形態1に係るスーツ用ズボン1は、ウエスト周りに配設するウエストベルト10の表側に形成され、身頃4F,4Bに縫着していない一端部が延出する延出部3Bと、延出部3Bと共にウエストベルト10の表側に形成され、延出部3Bの身頃4F,4Bに縫着していない一端部が重ねらて収められる収容部3Aと、延出部3Bと収容部3Bに両端部が接続された主弾性材としてのゴムテープ6と、収容部3A側に配設する収容側布地20A及び延出部3B側に配設する延出側布地20Bの間を主弾性材であるゴムテープ6とは別の上方側の第1の弾性材としての上位ゴム31及び下方側の第2の弾性材としての下位ゴム32によって接続してなり、ウエストベルト10の長手方向の裏側に形成した腰裏ベルト部100とを具備し、腰裏ベルト部100の上位ゴム31及び下位ゴム32は、上位ゴム31の下方に下位ゴム32の上方が重なることにより互いに一部の厚みを重複させて上下に配設され収容側布地20A及び延出側布地20Bの間を接続し、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32に取付けられた結合具40(凹側ドット釦41と凸側ドット釦42)により、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32が分離及び結合自在である。
こうして、本実施の形態1に係るスーツ用ズボン1によれば、上位ゴム31及び下位ゴム32によって互いに厚みを重複させて上下に配設し、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間を接続しているから、弾性力が強化されるも、上位ゴム31及び下位ゴム32は一部の厚みが重複し、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32が分離するから、少ない外力で高い伸縮力を得ることができる。即ち、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく弾性力を強化できる。
よって、ヤング率の高い弾性材を選択しなくとも少ない外力で伸び易く、ヤング率を小さくできるから耐久性も維持される。こうして、耐久性を維持しつつ、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく人体のウエストの動きに追従するフィット性を高めることができ、着用感を向上させることができる。
また、従来では、ウエストサイズを76cm、79cm、82cm、85cm、88cm・・と3cm間隔の規格で商品サイズを展開していたが、このように伸び易くできるから、例えば、4cm間隔、5cm間隔、6cm間隔といった粗い刻みの規格でも対応できるようになり、在庫負担を軽減でき、在庫管理にも有利となる。
そして、本実施の形態1に係るスーツ用ズボン1によれば、別体の上位ゴム31及び下位ゴム32によって互いに厚みを重複させて上下に配設して収容側布地20A及び延出側布地20Bを接続しており、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32が分離するから、上位ゴム31と下位ゴム32で収容側布地20A及び延出側布地20Bを接続する接続長さを相違させても、引張り力がかかった際に伸縮力の差の相違によって上位ゴム31と下位ゴム32にかかる負荷や、上位ゴム31及び下位ゴム32を収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫付ける縫い目にかかる負荷は少ない。即ち、繰り返しの伸縮によっても上位ゴム31と下位ゴム32の弾性力が低下し難く、縫い目が解け難い。したがって、負荷をかけることなく、腰裏の意匠面側から見て収容側布地20A及び延出側布地20Bの間に表出するゴムのウエスト周方向の長さは見た目には従来と変わらないものとするも、上位ゴム31または下位ゴム32の一方の接続長さを他方よりも長くして、より伸び易くすることができる。
そして、本実施の形態1に係るスーツ用ズボン1によれば、腰裏ベルト部100において、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32に取付けられた結合具40(凹側ドット釦41と凸側ドット釦42)によって、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32が相互に結合自在であるから、結合具40によって上位ゴム31及び下位ゴム32を結合させることで上位ゴム31及び下位ゴム32の伸びを制限でき、着用しながらウエストの締め付け強さを調節できる。
特に、結合具40が凸側及び凹側の組み合わせからなるドット釦であると、上位ゴム31及び下位ゴム32の伸縮によっても結合具40の係合が外れ難く、強固な結合が可能であり、着用しながらウエストの締め付け強さを調節できる信頼性が高い。しかも、着用しながらの結合及びその解除の操作が容易で、簡単に素早くウエストの締め付け強さを調節できる。
[実施の形態2]
次に、本実施の形態2に係るスーツ用ズボン1について説明する。
本実施の形態2に係るスーツ用ズボン1では、ウエストベルト10の裏側に形成される腰裏ベルト部100において、収容側布地20A及び延出側布地20Bを接続する上位ゴム31及び下位ゴム32に取付けた結合具40の取付強度の安定性を確保するために、上位ゴム31や下位ゴム32の伸びを一部制限する拘束手段を設けた。その他の構造については、上記実施の形態1に係るウエスト周り伸縮自在ボトムスとしてのスーツ用ズボン1と同様であるためここでは重複する詳細な説明を省略する。
本実施の形態2では、図15乃至図19に示すように、上位ゴム31及び下位ゴム32に結合具40を取付ける際に、伸縮性を有しない生地からなる拘束生地51,52を上位ゴム31及び下位ゴム32に取付けて、そこに結合具40を取付けた。
ここで、伸縮性を有しない生地としては、スレーキ、リボンテープ、サテンテープ、吊り紐テープ等のようなポリエステル系、アクリル系、ナイロン系の生地等の種々の素材を用いることができる。
このように、上位ゴム31及び下位ゴム32に結合具40を取付けるそこに伸縮性を有しない生地からなる拘束生地51,52を介在させていることで、拘束生地51,52によって部分的に上位ゴム31及び下位ゴム32の伸びが制限されることから、結合具40の取付強度が安定し、上位ゴム31及び下位ゴム32の繰り返しの伸縮によっても結合具40が外れにくい。また、繰り返しの洗濯に耐え得る取付強度を有する。
こうして、本実施の形態2では、結合具40が取付けられる部位の上位ゴム31及び下位ゴム32の伸びを制限する拘束手段は、上位ゴム31及び下位ゴム32に伸縮性のない生地からなる拘束生地51,52を縫い付け、伸縮性のない生地からなる拘束生地51,52を介在させて上位ゴム31及び下位ゴム32に結合具40を取付けることにより、結合具40が取付けられる部位の上位ゴム31及び下位ゴム32の伸びを制限するものである。即ち、本実施の形態2において、結合具40が取付けられる部位の上位ゴム31及び下位ゴム32の伸びを制限する拘束手段は、上位ゴム31及び下位ゴム32と結合具40との間に介在され上位ゴム31及び下位ゴム32に取付けた伸縮性のない生地である拘束生地51,52からなるものである。よって、少ない負荷で効果的に伸びを制限でき、伸び易さの調節を容易に図ることもできる。
しかし、本発明を実施する場合には、結合具40の取付強度を安定させて上位ゴム31及び下位ゴム32の繰り返しの伸縮によっても結合具40を外れにくくするものであれば、拘束手段は、上記に限定されない。例えば、上位ゴム31及び下位ゴム32に取付けた結合具40の周囲にステッチを施すことにより、結合具40が取付けられる部位の上位ゴム31及び下位ゴム32の伸びを制限することができる。即ち、結合具40が取付けられる部位の上位ゴム31及び下位ゴム32の伸びを制限する拘束手段は、結合具40の周囲で上位ゴム31及び下位ゴム32に施したステッチからなるものとしても良い。
以下、本発明の実施の形態2に係るウエスト伸縮自在ボトムスとしてのスーツ用ズボン1について、具体的な実施例に即して説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例3]
本発明の実施例3に係るスーツ用ズボン1は、図15に示されるように、上記実施例1の腰裏ベルト部100に対し、伸縮性のない生地からなる拘束生地51、52を介在させて上位ゴム31及び下位ゴム32に結合具40を取付けたものである。
即ち、収容側布地20Aの一端部及び延出側布地20Bの一端部の下方側に縫付線24a,24b、ステッチ25a、25b及び縫付線26a、26bにて下位ゴム32の両端部が縫付けられ、また、腰裏ベルト部100の表側(意匠面側)から見て、下位ゴム32の上方であってその後方で上位ゴム31が重ねられて収容側布地20Aの一端部及び延出側布地20Bの一端部の上方側に縫付線26a,26bにて上位ゴム31の両端部が縫付けられた腰裏ベルト部100において、結合具40を取付ける際に、上位ゴム31に対して伸縮性のない生地からなる拘束生地51を介在させて凹側ドット釦41を取付け、また、下位ゴム32に対して伸縮性のない生地からなる拘束生地52を介在させて凸側ドット釦42を取付けたものである。拘束生地51,52の素材としては、伸縮性のないリボンテープ(サテンテープ)を使用した。
図15に示すように、実施例3では、上位ゴム31に対しその表側(意匠面側)に拘束生地51が縫付線51aにて縫付けられ、詳しくは、上位ゴム31に取付けられる凹側ドット釦41の凹パーツ及びアタマパーツのうち、上位ゴム31の表裏を貫通させたアタマパーツの突起部(爪部)に嵌められる凹パーツ配設側に拘束生地51が縫付線51aにて縫付けられる。そして、この上位ゴム31の表側(意匠面側)に縫付線51aにて縫付けられた拘束生地51を介在させて凹側ドット釦41が上位ゴム31に取付けられている。
また、下位ゴム32に対しては、その裏側(反意匠面側)で拘束生地52が縫付線52aにて縫付けられ、詳しくは、下位ゴム32に取付けられる凸側ドット釦42の凸パーツ及びそれに対応するホソパーツのうち、下位ゴム32の表裏を貫通させるホソパーツの突起部(爪部)に嵌められる凸パーツ配設側に拘束生地52が縫付線52aにて縫付けられる。そして、この下位ゴム32の裏側(反意匠面側)に縫付線52aにて縫付けられた拘束生地52を介在させて凸側ドット釦42が下位ゴム32に取付けられている。
こうして、実施例3では、上位ゴム31に対し縫付線51aにて縫付けられた拘束生地51を介在させて凹側ドット釦41が取付けられていることで、上位ゴム31に拘束生地51が縫付けられている部分では、その伸びが制限、拘束される。したがって、凹側ドット釦41が取付けられた上位ゴム31が繰り返し伸縮しても、凹側ドット釦41が取付けられた部分では、拘束生地51の縫付けによって伸びが制限、拘束されるため、凹側ドット釦41の下位ゴム32の取付強度が安定し、凹側ドット釦41が容易に外れることがない。
また、下位ゴム32に対し縫付線52aにて縫付けられた拘束生地52を介在させて凸側ドット釦42が取付けられていることで、下位ゴム32に拘束生地52が縫付けられている部分では、その伸びが制限、拘束される。したがって凸側ドット釦42が取付けられた下位ゴム32が繰り返し伸縮しても、凸側ドット釦42が取付けられた部分では、拘束生地52の縫付けによって伸びが制限、拘束されるため、上位ゴム31の取付強度が安定し、凸側ドット釦42が容易に外れることがない。
このように実施例3では、上位ゴム31及び下位ゴム32に縫付けた伸縮性のない生地からなる拘束生地51,52を介在させて凹側ドット釦41及び凸側ドット釦42を取付けることにより、凹側ドット釦41及び凸側ドット釦42の取付けの信頼性を高くし、繰り返しの伸縮によるゴムの機械的強度の低下や、凹側ドット釦41及び凸側ドット釦42の脱落を防止している。
ここで、図15に示されるように、本実施例3では、上位ゴム31に対し縫付線51aにて縫付けられた拘束生地51は、凹側ドット釦41の取付部位及びその近傍のみに取付けられており、また、下位ゴム32に対し縫付線52aにて縫付けられた拘束生地52も、凸側ドット釦42の取付部位及びその近傍のみに取付けられている。即ち、拘束生地51,52の寸法形状は凹側ドット釦41や凸側ドット釦42が収まる程度に形成されており、腰裏ベルト部100の表面側である腰裏の意匠面側から見て、拘束生地51,52の存在を見た目に分からなくしている。これにより、美観を維持できる。また、拘束生地51,52による伸びの制限をできるだけ小さくしている。特に、拘束生地51及び拘束生地52の縦幅長さ(ウエスト周方向の長さ方向に対して直角方向の長さ)を、後述の実施例3に係る変形例のように上位ゴム31や下位ゴム32の縦幅長さの全長とすることなく、凹側ドット釦41の取付部位及びその近傍のみであると、上位ゴム31の上方及び下位ゴム32の下方の伸縮が制限されることがないから、高い伸縮力を維持できる。
なお、図15においては、上位ゴム31に対し縫付線51aにて縫付けられた拘束生地51と、下位ゴム32に対し縫付線52aにて縫付けられた拘束生地52とでは、同一の寸法形状であるが、本発明を実施する場合には、必ずしも拘束生地51と拘束生地52の寸法形状を統一していなくともよい。
特に、実施例3では、下位ゴム32よりも上位ゴム31の方で接続長さを長くしているから、接続長さが短い方の下位ゴム32の伸びを制限する拘束生地52よりも、接続長さが長い方の上位ゴム31の伸びを制限する拘束生地51で、伸び制限を大きくすると、接続長さの相違による下位ゴム32と上位ゴム31の伸縮力の差が縮小し、伸縮力の違いにより負荷がかかりやすい縫付線24a,24bへの負荷を小さくできる。
即ち、接続長さが短い方の下位ゴム32では、拘束生地52の横幅長さ(ゴムの長手方向の長さ)を必要最小限の範囲内、例えば、凸側ドット釦42の直径と同等の寸法として、拘束生地52による伸び制限を最小限とし、一方で、接続長さが長い方向の上位ゴム31では、拘束生地51の横幅長さを凹側ドット釦41の直径よりも幅広に形成することで、拘束生地52よりも拘束生地51の伸び制限が大きくなるから、接続長さの相違による下位ゴム32と上位ゴム31の伸縮力の差が縮小し、伸縮力の違いにより負荷がかかりやすい縫付線24a,24bへの負荷が小さくなり、繰り返しの伸縮によって縫製の縫い目が解けたり生地やゴムの機械的強度が低下したりするのが防止される。特に、接続長さが長いことで伸び易い上位ゴム31では、拘束生地51の横幅長さが幅広であるほど凹側ドット釦41の取付け安定性が増し、一方で、接続長さが短い下位ゴム32では、拘束生地51の横幅長さが幅狭であるほど伸びを確保できる。よって、バランスよく所定の伸びを確保しつつ、結合具40の取付安定性を高めることができる。
しかし、本発明を実施する場合には、逆に拘束生地52の横幅長さを拘束生地51の横幅長さより大きくしても良い。
更に、本発明を実施する場合には、拘束生地51,52の寸法形状は実施例3に限定されるものではない。
以下、実施例3の変形例について説明する。
実施例3の変形例1に係る腰裏ベルト部100は、図16に示すように、下位ゴム32に対し縫付線52aにて縫付けられる拘束生地52については、上記実施例3と同様、凸側ドット釦42の取付部位及びその近郊のみとしているも、上位ゴム31に対し縫付線51aにて縫付けられる拘束生地51については、上記実施例3とは異なり、上位ゴム31の縦幅(ウエスト周方向の長さ方向に対して直角方向の長さ)の全長に沿って縫付けられている。
実施例3の変形例1に係る腰裏ベルト部100では、拘束生地51が上位ゴム31の縦幅の全長に沿って取付けられていることで、意匠面側に拘束生地51が表出するも、それをアクセントにし素材や色等によって意匠的効果に特徴を持たせることが可能である。
また、下位ゴム32では、凸側ドット釦42の取付部位及びその近傍のみに拘束生地52が縫付けられ、下位ゴム32の下方の伸びが制限されることがないから、高い伸縮力を維持できる。
そして、上位ゴム31に対し縫付線51aにて縫付けられる拘束生地51については、上位ゴム31の縦幅の全長に沿って取付けられていることで、広範囲で上位ゴム31の伸びが制限され、特に、拘束生地51と上位ゴム31の境界の伸縮力の違いによる負荷が広範囲に分散されるため、凹側ドット釦41の取付強度や、ゴムの機械的強度がより安定する。また、拘束生地51の縫製もしやすい。更に、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の結合の解除操作を行うときでも、広範囲で伸びが制限されていると凹側ドット釦41の位置が安定するから、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の係合の操作がより容易である。
特に、実施例3の変形例1では、接続長さが長い方の上位ゴム31でその縦幅の全長に沿って拘束生地51を縫付けていることで、接続長さの相違による下位ゴム32と上位ゴム31の伸縮力の差が縮小し、伸縮力の違いにより負荷がかかりやすい縫付線24a,24bへの負荷が小さくなり、繰り返しの伸縮によって縫製の縫い目が解けたり生地やゴムの機械的強度が低下したりするのが防止される。そして、接続長さが長いことで伸び易い上位ゴム31でその縦幅の全長に沿って拘束生地51を縫付けていることで凹側ドット釦41の取付安定性が増し、一方の接続長さが短い下位ゴム32で、拘束生地52の縫付けを凸側ドット釦42の取付部位及びその近郊の狭い範囲として伸びを確保している。よって、バランスよく所定の伸びを確保しつつ、結合具40の取付け安定性を高めることができる。
しかし、本発明を実施する場合には、図17に示すように、逆に下位ゴム32の縦幅の全長に沿って拘束生地52を縫付け、上位ゴム31への拘束生地51の縫付けを凹側ドット釦41の取付部位及びその近郊の狭い範囲としても良い。
図17に示すように、実施例3の変形例2に係る腰裏ベルト部100においては、上位ゴム31に対し縫付線51aにて縫付けられる拘束生地51については、上記実施例3と同様、凹側ドット釦41の取付部位及びその近郊のみに縫付けられるも、下位ゴム32に対し縫付線52aにて縫付けられる拘束生地52については、上記実施例3とは異なり、下位ゴム32の縦幅(ウエスト周方向の長さ方向に対して直角方向の長さ)の全長に沿って取付けられている。
上位ゴム31に対し縫付線51aにて縫付けられる拘束生地51については、上記実施例3と同様、凹側ドット釦41の取付部位及びその近郊のみに取付けられていることで、図17(a)に示すように、腰裏ベルト部100の表面側である腰裏の意匠面側から見て、拘束生地51の存在を見た目に分からなくしており、美観を維持している。
また、上位ゴム31では、凹側ドット釦41の取付部位及びその近傍のみに拘束生地51が縫付けられ、上位ゴム31の上方の伸縮が制限されることがないから、高い伸縮力を維持できる。
一方、下位ゴム32に対し縫付線52aにて縫付けられる拘束生地52については、下位ゴム32の縦幅の全長に沿って取付けられていることで、広範囲で下位ゴム32の伸びが制限され、また、拘束生地52と下位ゴム32の境界の伸縮力の違いによる負荷が広範囲に分散されるため、凸側ドット釦42の取付強度や、ゴムの機械的強度がより安定する。特に、接続長さが短いことで無理な引張り力がかかって引き攣りやすい下位ゴム32でその縦幅の全長に沿って拘束生地52を縫付けていることで凸側ドット釦42の取付安定性が増す。また、拘束生地52の縫製もしやすい。更に、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の結合の解除操作を行うときでも、広範囲で伸びが制限されていると凸側ドット釦42の位置が安定するから、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の係合の操作が容易である。
こうして、実施例3の変形例2では、外観を維持しつつ、効果的に凸側ドット釦42の取付強度を上げることができる。
特に、拘束生地51の横幅長さを拘束生地52の横幅長さより大きくすると、上位ゴム31及び下位ゴム32の伸縮力の差の増大も少なく、上位ゴム31や下位ゴム32、拘束生地51,52、結合具40、縫い目への負荷も少ないものとなる。
更に、実施例3の変形例3として、図18及び図19に示すように、上位ゴム31及び下位ゴム32の両方で、拘束生地51及び拘束生地52を縦幅(ウエスト周方向の長さ方向に対して直角方向の長さ)の全長に沿って縫付けることも可能である。
図18及び図19に示すように、実施例3の変形例3に係る腰裏ベルト部100においては、上位ゴム31に対しその縦幅(ウエスト周方向の長さ方向に対して直角方向の長さ)の全長に沿って縫付線51aにて拘束生地51が縫付けられ、また、下位ゴム32に対してもその縦幅の全長に沿って縫付線52aにて拘束生地52が縫付けられている。
実施例3の変形例3に係る腰裏ベルト部100では、拘束生地51が上位ゴム31の縦幅の全長に沿って取付けられていることで、意匠面側に拘束生地51が表出するも、それをアクセントにし素材や色等によって意匠的効果に特徴を持たせることが可能である。
そして、上位ゴム31、下位ゴム32に対しそれら縦幅の全長に亘って縫付線51a,52aにて拘束生地51,52が縫付けられていることで、広範囲で上位ゴム31、下位ゴム32の伸びが制限され、特に、拘束生地51と上位ゴム31の境界や、拘束生地52と下位ゴム32の境界の伸縮力の違いによる負荷が広範囲に分散されるため、凹側ドット釦41、凸側ドット釦42の取付強度や、ゴムの機械的強度がより安定する。また、拘束生地51,52の縫製もしやすい。更に、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の結合の解除操作を行うときでも、広範囲で伸びが制限されていると凹側ドット釦41及び凸側ドット釦42の位置が安定するから、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の係合の操作がより容易である。
特に、図19に示すように、拘束生地51の横幅長さを拘束生地52の横幅長さより大きくすると、上位ゴム31及び下位ゴム32の伸縮力の差の増大も少なく、上位ゴム31や下位ゴム32、拘束生地51,52、結合具40、縫い目への負荷も少ないものとなる。
例えば、図19に示すように、接続長さが短い方の下位ゴム32では、拘束生地52の横幅長さを必要最小限の範囲内、例えば、凸側ドット釦42の直径と同等の寸法として、拘束生地52による伸び制限を最小限とし、一方で、接続長さが長い方向の上位ゴム31では、拘束生地52よりも幅広に形成することで、拘束生地51よりも拘束生地52の伸び制限が大きくなるから、接続長さの相違による下位ゴム32と上位ゴム31の伸縮力の差が縮小し、伸縮力の違いにより負荷がかかりやすい縫付線24a,24bへの負荷が小さくなり、繰り返しの伸縮によって縫製の縫い目が解けたり生地やゴムの機械的強度が低下したりするのが防止される。特に、接続長さが長いことで伸び易い上位ゴム31では、拘束生地51の横幅長さが幅広であるほど凹側ドット釦41の取付け安定性が増し、一方で、接続長さが短い下位ゴム32では、拘束生地51の横幅長さが幅狭であるほど伸びを確保できる。よって、バランスよく所定の伸びを確保しつつ、結合具40の取付安定性を高めることができる。
しかし、本発明を実施する場合には、図18に示すように、上位ゴム31に縫付ける拘束生地51と下位ゴム32に縫付ける拘束生地52とで同一の寸法形状としてもよいし、逆に拘束生地52の横幅長さを拘束生地51の横幅長さより大きくしても良い。
ここで、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間を接続する上位ゴム31や下位ゴム32の接続長さ、上位ゴム31と下位ゴム32の重複構造、拘束生地51,52の寸法形状を変化させた腰裏ベルト部100のサンプル1〜サンプル7を作製し、伸び特性を調べた。作製した腰裏ベルト部100のサンプル1〜サンプル7の上位ゴム31、下位ゴム32の寸法、拘束生地51,52の寸法等を表1に示す。
作製した腰裏ベルト部100のサンプル1〜サンプル7は、図19に示すように、収容側布地20Aの一端部及び延出側布地20Bの一端部の下方側に縫付線24a,24b、ステッチ25a、25b及び縫付線26a、26bにて下位ゴム32の両端部が縫付けられ、また、下位ゴム32の上方であってその後方で上位ゴム31が重ねられて収容側布地20Aの一端部及び延出側布地20Bの一端部の上方側に縫付線26a,26bにて上位ゴム31の両端部が縫付けられたものである。そして、上位ゴム31に伸縮性のない生地からなる拘束生地51(リボンテープ、サテンテープ)を介在させて凹側ドット釦41を取付け、また、下位ゴム32に伸縮性のない生地からなる拘束生地52(リボンテープ、サテンテープ)を介在させて凸側ドット釦42を取付けたものである。
ここで、表1において、上位ゴム31の接続長さ(cm)は、収容側布地20Aと延出側布地20Bの間を上位ゴム31によって接続するその長さである。即ち、上位ゴム31を収容側布地20Aの一端部に縫付線26aによって縫付け、また、延出側布地20Bの一端部に縫付線26bによって縫付けたその縫付線26aと縫付線26b間の距離長さである。
図19を参照して説明すると、上位ゴム31を収容側布地20Aに縫付けた縫付線26aと、上位ゴム31を延出側布地20Bに縫付けた縫付線26bとのそれら相互間の距離長さaが、伸びていない通常状態にある上位ゴム31の収容側布地20Aと延出側布地20Bの間の接続長さとされる。
同様に、下位ゴム32の接続長さ(cm)は、収容側布地20Aと延出側布地20Bの間を下位ゴム32によって接続するその長さである。即ち、下位ゴム32を収容側布地20Aの一端部に縫付線24aによって縫付け、また、延出側布地20Bの一端部に縫付線24bによって縫付けたその縫付線24aと縫付線24b間の距離長さである。
図19を参照して説明すると、下位ゴム32を収容側布地20Aに縫付けた縫付線24aと、下位ゴム32を延出側布地20Bに縫付けた縫付線24bとのそれら相互間の距離長さbが、伸びていない通常状態にある上位ゴム31の収容側布地20Aと延出側布地20Bの間の接続長さとされる。
また、上位ゴム31、下位ゴム32の縦幅の長さ(cm)は、ウエストの周方向の長手方向に対する直角方向の長さ、即ち、上位ゴム31の上端から下端までの長さ、下位ゴム32の上端から下端までの長さであり、図19を参照して説明すると、上位ゴム31の縦幅の長さはc、下位ゴム32の縦幅の長さはdで示されている。
そして、図19(a)で示した斜線の灰色領域Rは、上位ゴム31と下位ゴム32の厚みが重複する重複領域Rであり、重複領域Rの縦幅の長さはeで示されている。
更に、上位ゴム31と下位ゴム32の全長とは、上位ゴム31及び下位ゴム32の本来の長さの加算値(c+d)を意味するものではなく、上位ゴム31及び下位ゴム32が重なっている状態での上位ゴム31の上端から下位ゴム32の下端までの上下端間の見かけ上の長さ距離を意味し、図19において上位ゴム31と下位ゴム32の全長はfで示されている。
更にまた、拘束生地51,52の縦幅の長さ(cm)は、ウエストの周方向に対する直角方向の長さであり、図19において、拘束生地51の縦幅の長さはg、拘束生地52の縦幅の長さはiで示されている。拘束生地51,52の横幅の長さ(cm)は、ウエスト周方向の長さであり、図19において、拘束生地51の横幅の長さはh、拘束生地52の横幅の長さはjで示されている。
そして、表1に示したように上位ゴム31、下位ゴム32を所定幅で重複させ、収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫製して所定長さで収容側布地20A及び延出側布地20Bの間を接続し、また、上位ゴム31、下位ゴム32に所定の寸法で拘束生地51,52を縫付け、拘束生地51,52を介在させて直径1cmの凹側ドット釦41と凸側ドット釦42を取付けて作製した腰裏ベルト部100のサンプル1〜サンプル7を、上述した構成のスーツ用ズボン1のウエストベルト10の裏側に縫付けた。
ここでは、スーツ用ズボン1のウエスト部15の半周分の右または左身頃に、ゴムテープ6で弾性的に接続されウエストベルト10の半周分の表側を形成する収容部3A及び延出部3を縫合わせて作製した試験体を用意し、かかる試験体のウエストベルト10の半周分の裏側にサンプル1〜サンプル7の腰裏ベルト部100を縫付けた(図4に示したウエスト部15の右側または左側が半周分に相当)。
具体的には、図3に示すように、作製したサンプル1〜サンプル7の腰裏ベルト部100の収容側布地20Aを、スーツ用ズボン1のウエスト部15の半周分に対応したウエストベルト10表側の収容部3Aの上端部に縫付線101aにて縫付け、また、延出側布地20Bをウエストベルト10表側の延出部3Bの上端部に縫付線101bにて縫付けた。このとき、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間を接続する上位ゴム31と下位ゴム32は、収容部3Aの開口から延出部3B側に向かって配設され、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間では、上位ゴム31と下位ゴム32が延出部3Bに縫付けられていない。
また、腰裏ベルト部100の下端部では、図4及び図5に示すように、半周分の身頃や袋布2Cに対して部分的な縫付線102にて縫付けを行った。
なお、収容部3Aや延出部3Bに縫付けたときの収容側布地20Aや延出側布地20Bの縦幅長さ(ウエスト周方向に対して直角方向の長さ)は約6cm程度である。これに対し、互いに厚みを重複させている上位ゴム31及び下位ゴム32の縦幅の全長fもサンプル1、サンプル4、サンプル6、サンプル7では6cmで収容側布地20Aや延出側布地20Bの縦幅長さと同程度である。一方、サンプル2、サンプル3、サンプル5では、上位ゴム31及び下位ゴム32の縦幅の全長fは5.5cmであり、下位ゴム32の下端を収容側布地20Aや延出側布地20Bの下端と一致させるも、上位ゴム31の上端は収容側布地20Aや延出側布地20Bの上端よりも0.5cm低い位置としている。
更に、比較のために、従来例として収容側布地20Aと延出側布地20Bの間を1本の弾性材(サンプル1〜サンプル7と同一のゴム(樹脂加工されたソフトオペロン;ポリエステル85%、ポリウレタン15%)からなり、サンプル1〜サンプル7の上位ゴム31、下位ゴム32の各縦幅寸法より長いもの)で接続した比較例1及び比較例2に係る腰裏ベルト部100も作製した。そして、上記サンプル1〜サンプル7と同様の条件で、ゴムテープ6で接続された半周分の収容部3A及び延出部3Bを半周分の半身頃に縫合せて作製した試験体の収容部3A及び延出部3Bの裏側に比較例1及び比較例2に係る腰裏ベルト部100を縫付けた。なお、比較例1,2に係る腰裏ベルト部100においても1本の弾性材の各端部は、上記サンプル1〜サンプル7と同様に縫付線24a,24b、ステッチ25a、25b及び縫付線26a、26bに相当する3本(両端部で6本)の縫付線によって収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫付けており、縫付線24aと縫付線24bに相当するそれらの離間距離が比較例の弾性材の接続長さである。
そして、ウエスト部15の半周分の試験体にサンプル1〜サンプル7、比較例1,2の腰裏ベルト部100を縫付けてウエスト方向に最大限に引っ張ったときのウエストの伸び量(cm)を測定した。
ウエストの伸び量(cm)については、半周分の身頃に半周分のウエストベルト10表側の収容部3A及び延出部3Bを縫付けて作製した試験体のウエストベルト10の腰裏に腰裏ベルト部100のサンプル1〜サンプル7、比較例1,2を縫付けて、半周分のウエストを長手方向に最大限に引張ったときの伸び長さ(cm)を測定した。
なお、上記試験体では伸び止め材7を使用しなかったが、半身頃に設けた脇ポケット2を構成する袋布2Cのタック2Dの開きの限度が伸び止め機能を発揮して、最大伸びは4cmに制限されている。
表1に示すように、1つの弾性材で収容側布地20A及び延出側布地20Bを接続している従来例としての比較例1,2では、弾性材の接続長さが4cmの比較例1で最大の伸びが2〜2.5cm、弾性材の接続長さが5cmの比較例2でも最大伸びが3cmであった。
これに対し、サンプル1〜サンプル7においては、拘束生地51,52を介在させて直径1cmの凹側ドット釦41と凸側ドット釦42を取付けているにも関わらず、何れも、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の係合が解除されている状態、即ち、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31と下位ゴム32が分離した状態では、ウエストの伸び量は3.5cm以上であり、比較例1,2よりも伸び量が大きくなっている。
しかも、サンプル1〜サンプル7において、半周分のウエストを長手方向に最大限に引張ったときの力は、従来例としての比較例1,2と同等以下であり、従来と同等以下の力でウエストを楽に伸ばすことができた。
特に、サンプル1〜サンプル7においては下位ゴム32の接続長さが比較例1または比較例2と同等であり、腰裏ベルト部100の表面側である腰裏の意匠面側から見て、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間に表出する横幅長さ(ウエスト周方向の長さ)は比較例1,2と同等である。即ち、従来と弾性材の露出長さは同等としている。
よって、サンプル1〜サンプル7の腰裏ベルト部100では、外観性、見栄えを低下をさせることなく、また、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく、従来よりも伸び易くして、人体のウエストの動きに追従するフィット性を高めることができ、着用感を向上させることができる。よって、快適に長時間着用することができる。
更に、サンプル1〜サンプル7の腰裏ベルト部100では、上位ゴム31及び下位ゴム32に凹側ドット釦41と凸側ドット釦42を取付けていることで、表1にも示すように、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42を嵌合させた結合状態では、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31と下位ゴム32が部分的に結合し、伸びを2〜2.5cmに制限できる。したがって、着用しながらウエストの締め付け感を調節することもでき、着用者の好み等により、フィット感、着用感の細かな調節が可能である。
ここで、サンプル1とサンプル2の比較から、サンプル1よりもサンプル2では下位ゴム32の接続長さを短くし、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間に表出する上位ゴム31と下位ゴム32の横幅長さ(ウエスト周方向の長さ)の露出量を小さくしても、上位ゴム31と下位ゴム32の厚みが重なる重複領域を広くしたり、拘束生地51,52の縦幅長さを短くしたりすることで、伸び易くすることは可能である。即ち、上位ゴム31と下位ゴム32の重複量の調節によって伸び易さを調節できる。また、拘束生地51,52の寸法によっても伸び易さを調節できる。
よって、伸び易さ、フィット性を確保しつつ、上位ゴム31と下位ゴム32の横幅長さ(ウエスト周方向の長さ)の露出量を小さくして美観を向上させることも可能である。
なお、サンプル1とサンプル4の比較からも、拘束生地51,52の横幅寸法によって伸び易さを調節できることが分かる。更に、サンプル4とサンプル5の比較からも、重複量の調節によって伸び易さを調節できることが分かる。
また、サンプル2よりもサンプル3では下位ゴム32の接続長さを長くしていることで、より比較的楽な力で伸ばすことができた。また、サンプル6よりもサンプル1で上位ゴム31の接続長さを長くしていることで、より比較的楽な力で伸ばすことができた。よって、上位ゴム31や下位ゴム32の接続長さの調節によっても、伸び易さ、フィット性を調節できる。
そして、表1に示すように、従来の比較例1,2では、ウエスト半周分で2〜3cmの伸び量、全周にすると4〜6cmの伸び量であったのに対し、サンプル1〜サンプル7では、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の係合時に半周分で2〜2.5cmの伸び量、全周にすると4〜5cmの伸び量となる。更に、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42が離れている状態では、半周分で3.5〜4cmの伸び量、全周にすると7〜8cmの伸び量となる。したがって、従来、既製品として通常3cmピッチでウエスト周り寸法を変えて市販されているスーツ用ズボン1のうちのウエスト周り寸法の異なる少なくとも2種類に代用可能となる。つまり、ウエスト回り寸法を6cm以上の範囲で調節可能である。6cmピッチでウエスト回り寸法を変えることが可能であると、製造販売する規格製品を2分の1にすることができる。よって、在庫負担を軽減でき、安価にスーツ用ズボン1を提供することが可能となる。特に、ウエスト回り寸法の伸びが8cm以下であれば、着用する人のウエストラインの見栄えも良い。
勿論、既製品と同等の3cmピッチとした場合でも、サンプル1〜サンプル7の腰裏ベルト部100では、少ない外力で伸びるから強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることもなく、ウエストの動きに追従するフィット性が高いものである。
このように、上記実施の形態2に係る実施例3及びその変形例1乃至変形例3においても、腰裏ベルト部100が別体である上位ゴム31と下位ゴム32を上下に配設して一部で重ね、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間では上位ゴム31及び下位ゴム32が一体化されていないから、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく弾性力を強化でき、少ない外力で高い伸縮力を得ることができる。よって、ヤング率の高い弾性材を選択しなくとも少ない外力で伸び易く、ヤング率を小さくできるから耐久性も維持される。こうして、耐久性を維持しつつ、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく人体のウエストの動きに追従するフィット性を高めることができ、着用感を向上させることができる。
更に、腰裏ベルト部100において、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32に取付けられた凹側ドット釦41と凸側ドット釦42によって、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32が結合自在であるから、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の嵌合及びその解除の容易な操作によって、着用しながらウエストの締め付け強さを調節できる。着用する人の好み、状況、体形の変化等に応じ、例えば、普段の体形では、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の係合状態で適度なフィット感を得ているも、食事後等の一時的にウエスト周りが大きくなったときや、リラックスしたり、楽な状態になりたい際には、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の係合を解除して、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32が結合していない状態とすることで、上位ゴム31及び下位ゴム32を伸び易くできる。また、普段では、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の係合状態で適度なフィット感を得ているも、運動をする際には、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の係合を解除した状態として、上位ゴム31及び下位ゴム32を伸び易くして動きやすくすることもできる。更に、例えば、着用する人のウエストラインを美しく見せたり、引き締め感を得たかったりするときには、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42を係合させて、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32を結合することで、上位ゴム31及び下位ゴム32の伸びを制限することができる。
特に、上記実施の形態2に係る実施例3及びその変形例1乃至変形例3では、下位ゴム32よりも上位ゴム31の接続長さを長くし下位ゴム32よりも上位ゴム31の伸びの変化を大きくしており、上位ゴム31と下位ゴム32とで伸びによる変化を相違させている。これより、引張り力がかかった際に、上位ゴム31と下位ゴム32にかかる負荷が分散されるから、上位ゴム31と下位ゴム32を長持ちさせることができる。また、収容側布地20A及び延出側布地20Bへの上位ゴム31及び下位ゴム32との縫製の縫い目(縫付線24a,24b、ステッチ25a,25b、縫付線26a,26b)にかかる負荷や、上位ゴム31と下位ゴム32が縫付けられた収容側布地20Aの一端部及び延出側布地20Bの一端部にかかる負荷も分散されるから、それら縫い目の解れも生じ難く、生地を傷めにくい。
しかし、上記実施の形態2においても、上記実施の形態1に係る実施例1の変形例や、実施例2の変形例のときと同様に、上位ゴム31及び下位ゴム32の一部の厚みを重複させた状態で上位ゴム31の上端から下位ゴム32の下端まで縫付線24a,24bによって縫付けることにより、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間を接続する接続長さが、上位ゴム31と下位ゴム32で共に、縫付線24a及び縫付線24b間の距離長さになっており、接続長さを同じにしてもよい。このように上位ゴム31と下位ゴム32の接続長さを同一とする場合には、両者を所定に重複させた状態でまとめて収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫製することから、縫製に不慣れな作業者でも縫製が分かりやすく、作業効率を向上できる。
また、上記実施の形態2に係る実施例3及びその変形例1乃至変形例3では、腰裏ベルト部100の表側(意匠面側、身体側)から見て、上位ゴム31よりも下位ゴム32が手前にあると、下位ゴム32の上端が手前に配置し、上位ゴム31と重なる下位ゴム32の上方側に取付けた凸側ドット釦42の上側で、上位ゴム31と下位ゴム32の間を拡げて、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の上から手(指)を差し入れることができるから、凹側ドット釦41と凸側ドット釦42の係合の解除操作を容易に行うことができ、使い勝手が良い。
しかし、上記実施の形態2においても、上記実施の形態1に係る実施例2及びその変形例のときと同様に、上位ゴム31と下位ゴム32の重層が上記実施例3とは逆で、腰裏ベルト部100の表面側である腰裏の意匠面側から見て、下位ゴム32よりも上位ゴム31が手前に配置され、上位ゴム31の下方でその後方から下位ゴム32が重ねられて配置してもよい。腰裏ベルト部100の表側(意匠面側、身体側)から見て、下位ゴム32よりも上位ゴム31が前方にあると、上位ゴム31の下端縁が下位ゴム32よりも手前にくることで、タックインしたシャツのずれ上がりを防止する滑り止め機能を持つことになる。
なお、本発明を実施する場合には、拘束生地51,52の寸法形状は四角形状に限定されることなく、その他の多角形状、円形状等としても良い。
また、拘束生地51,52は、通常、結合具40が取付けられる上位ゴム31及び下位ゴム32の両方に取付けられるが、どちらか片方のみであっても良い。
更に、上記実施例3及びその変形例1乃至変形例3では、凹凸の係合がなされる上位ゴム31及び下位ゴム32の対向面のみでも伸縮性を有しない生地からなる拘束生地51,52を取付けていることで取付強度が得られるが、上位ゴム31及び下位ゴム32の表裏で拘束生地51,52を取付けてもよい。また、上位ゴム31及び下位ゴム32の対向面とは反対側の面のみの取付けであってもよい。
更にまた、拘束生地51,52の上位ゴム31,下位ゴム32への取付手段は、縫付けに限定されず、アイロンプレス等を使用した接着であっても良い。
以上説明してきたように、本実施の形態2に係るスーツ用ズボン1においては、ウエスト周りに配設するウエストベルト10の表側に形成され、身頃4F,4Bに縫着していない一端部が延出する延出部3Bと、延出部3Bと共にウエストベルト10の表側に形成され、延出部3Bの身頃4F,4Bに縫着していない一端部が重ねられて収められる収容部3Aと、延出部3Bと収容部3Bに各端部が接続された主弾性材としてのゴムテープ6と、収容部3A側に配設する収容側布地20A及び延出部3B側に配設する延出側布地20Bの間を主弾性材であるゴムテープ6とは別の上方側の第1の弾性材としての上位ゴム31及び下方側の第2の弾性材としての下位ゴム32によって接続してなり、ウエストベルト10の長手方向の裏面側に形成した腰裏ベルト部100と、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32に取付けられた結合具40(凹側ドット釦41と凸側ドット釦42)と、結合具40が取付けられる部位の上位ゴム31及び/または下位ゴム32の伸びを部分的に制限する拘束手段としての上位ゴム31及び/または下位ゴム32に取付けられ上位ゴム31及び/または下位ゴム32と結合具40の間に介在する伸縮性のない生地からなる拘束生地51,52とを具備し、腰裏ベルト部100の上位ゴム31及び下位ゴム32は、互いに一部の厚みを重複させて上下に配設され収容側布地20A及び延出側布地20Bの間を接続し、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32に取付けられた結合具40(凹側ドット釦41と凸側ドット釦42)により、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32が分離及び結合自在であるものである。
こうして、本実施の形態2に係るスーツ用ズボン1においても、上位ゴム31及び下位ゴム32によって互いに厚みを重複させて上下に配設し、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間を接続しているから、弾性力が強化されるも、上位ゴム31及び下位ゴム32は一部の厚みが重複し、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32が分離するから、少ない外力で高い伸縮力を得ることができる。即ち、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく弾性力を強化できる。
よって、ヤング率の高い弾性材を選択しなくとも少ない外力で伸び易く、ヤング率を小さくできるから耐久性も維持される。こうして、耐久性を維持しつつ、強力な締め付け感、窮屈感を生じさせることなく人体のウエストの動きに追従するフィット性を高めることができ、着用感を向上させることができる。
また、従来では、ウエストサイズを76cm、79cm、82cm、85cm、88cm・・と3cm間隔の規格で商品サイズを展開していたが、このように伸び易くできるから、例えば、4cm間隔、5cm間隔、6cm間隔といった粗い刻みの規格でも対応できるようになり、在庫負担を軽減でき、在庫管理にも有利となる。
そして、別体の上位ゴム31及び下位ゴム32によって互いに厚みを重複させて上下に配設して収容側布地20A及び延出側布地20Bを接続しており、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32が分離するから、上位ゴム31と下位ゴム32で収容側布地20A及び延出側布地20Bを接続する接続長さを相違させても、引張り力がかかった際に伸縮力の差の相違によって上位ゴム31と下位ゴム32にかかる負荷や、上位ゴム31及び下位ゴム32を収容側布地20A及び延出側布地20Bに縫付ける縫い目にかかる負荷は少ない。即ち、繰り返しの伸縮によっても上位ゴム31と下位ゴム32の弾性力が低下し難く、縫い目が解け難い。したがって、負荷をかけることなく、腰裏の意匠面側から見て収容側布地20A及び延出側布地20Bの間に表出するゴムのウエスト周方向の長さは見た目には従来と変わらないものとするも、上位ゴム31または下位ゴム32の一方の接続長さを他方よりも長くして、より伸び易くすることができる。
そして、腰裏ベルト部100において、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32に取付けられた結合具40(凹側ドット釦41と凸側ドット釦42)によって、収容側布地20A及び延出側布地20Bの間で上位ゴム31及び下位ゴム32が相互に分離及び結合自在であるから、結合具40によって上位ゴム31及び下位ゴム32を結合させることで上位ゴム31及び下位ゴム32の伸びを制限でき、着用しながらウエストの締め付け強さを調節できる。
加えて、本実施の形態2に係るスーツ用ズボン1によれば、伸縮性のない生地からなる拘束生地51,52によって結合具40の取付部位の伸びが制限されるから、結合具40の取付安定性が向上し、ウエスト締め付け強さを調節する機能の耐久性が向上する。
特に、伸縮性のない生地からなる拘束生地51,52を上位ゴム31及び下位ゴム32に縫付け、伸縮性のない生地からなる拘束生地51,52を介在させて上位ゴム31及び下位ゴム32に結合具40を取付けることにより、結合具40の取付部位の伸びを制限するから、結合具40の高い取付強度が得られ、より信頼性の高いものとなる。また、少ない負荷で効果的に伸びを制限でき、伸び易さの調節を容易に図ることもできる。
特に、結合具40が凸側及び凹側の組み合わせからなるドット釦であると、上位ゴム31及び下位ゴム32の伸縮によっても結合具40の結合が外れ難く、強固な結合が可能であり、着用しながらウエストの締め付け強さを調節できる信頼性が高い。しかも、着用しながらの結合及びその解除の操作が容易で、簡単に素早くウエストの締め付け強さを調節できる。
なお、図6乃至図19で示した実施例、変形例の縫製では、収容側布地20A、延出側布地20B、上位ゴム31及び下位ゴム32の端部は、縫い代をとっているため、端部の裁断切れ端は、収容側布地20A、延出側布地20Bの裏側に位置する。よって、見栄えが良く、切れ端からの解れも生じ難い。しかし、本発明を実施する場合には、上記縫製に限定されることはない。
ところで、上記実施の形態1,2においては、収容側布地20A及び延出側布地20Bを接続する上方側の第1の弾性材としての上位ゴム31や、下方側の第2の弾性材としての下位ゴム32に編ゴム、織ゴム等、コールゴム等の平ゴムが使用される説明をしたが、本発明を実施する場合には、収容部3A及び延出部3Bの間に取付けられた主弾性材の弾性力を妨げない程度にスムースな伸縮性を有していれば、上方側の第1の弾性材や、下方側の第2の弾性材にゴム製板、ストレッチテープ(ゴム入り布)のゴム材や、パワーネット生地、サテンネット生地、ストレッチサテン生地、ストレッチレース生地等の弾性・伸縮性を有する生地を使用することも可能である。また、上方側の第1の弾性材と下方側の第2の弾性材は同一の素材であっても良いし、異なる素材を用いても良い。
上記実施の形態1,2においては、ウエスト伸縮自在ボトムスとしてスーツ用ズボン1の例について説明したが、ウエスト伸縮自在ボトムスとしてはこれに限られるものではなく、スラックス等のカジュアルでないボトムスでも、チノパン等の綿パンやジーンズ(Gパン)等のカジュアルなボトムスでも、ゴルフスラックス等のスポーツウエアでも、スカートやキュロットスカート等でも、収容部3A及び延出部3Bを重ね合わせた重ね合わせ部9を備えたウエストベルト10を有するどのような被服にも適用することができる。なお、スーツ用ズボン1等のフォーマルなボトムスでは、ベルト布ステッチを施さない場合もあるが、ジーンズ(Gパン)、綿パンを始めとするカジュアルなボトムスにおいては、収容部3A及び延出部3Bの上下端にベルト布ステッチを施すのが一般的である。
特に、本発明のウエスト伸縮自在ボトムスによれば、見栄えを損なうことなく人体のウエストの動きに追従するフィット性が高まることから、ゴルフ等の運動(スポーツ)時に着用するトレーニングウエア、スポーツウエアとしても好適であり、高いフィット性により激しい動きにも追従して、高い着用感を得ることができる。
また、上記実施の形態1,2では、左右の脇線LS,RSの近傍の2箇所に収容部3A及び延出部3Bを重ね合わせた重ね合わせ部9を有するスーツ用パンツ1で説明し、それに対応してそれぞれ腰裏ベルト部100の上位ゴム31及び下位ゴム32で1組みを2箇所配設したが、本発明を実施する場合には、重ね合わせ部9を1箇所以上とし、それに対応する1箇所以上で腰裏ベルト部100の上位ゴム31及び下位ゴム32が配設される。また、本発明を実施する場合には、前中心FC側に収容部3Aを設け、後身頃9側に延出部3Bを設けることも可能である。更に、上記実施の形態1,2では、延出部3Bの延出自在な一端部側がウエストベルト部10の表側の意匠面側からみて隠れるように収容部3Aの内側に重ねられて収められているが、本発明を実施する場合には、収容部3Aの外側で延出部3Bの延出自在な一端部側を重ねてそこを主弾性材によって接続する構成としても良い。
そして、上記実施の形態1,2では、腰裏ベルト部100が取付けられるウエストベルト10表側の構成は、延出部3Bと収容部3Aの重ね合わせ部9を設け、延出部3Bと収容部3Aとの間にゴムテープ6の各端部を接続する構成として、ゴムテープ6を表側の意匠面側から隠して見た目に伸縮するのが分かり難いものとしているが、本発明を実施する場合には、ウエストベルト10の伸縮自在構造は上記に限定されるものではない。例えば、ウエストベルト10表側の全周を弾性材や伸縮性の素材で形成することによって、或いは、ウエストベルト10部のウエスト周方向の一部を弾性材や伸縮性の素材によって形成することによって、ウエストベルト10の表側の長さを伸縮自在とするものであってもよい。
更に、上記実施の形態1,2においては、ウエスト周りが伸長する際にポケット2の袋布2Cの引き攣りをなくしてウエスト周りのスムースな伸縮が得られるように、また、袋布2Cにかかる引張り力が表側に響いてポケット2の隅が歪んだりポケットの周辺に皺が寄ったりするのを防止し、表側から見た場合でも良好な見栄えを保つことができるように、袋布2Cの中央部にタック2Dを設けた構成で説明したが、タック2Dの代わりにポケット2の袋布2Cの上端を切込み等によって分割する構成としてもよい。このようにしても、ウエスト周りが伸長する際に袋布2Cにかかる引張り力が分割部分で開閉することによって逃がされるため、引張り力が表側に響いてポケット2の隅が歪んだりポケット2の周辺にシワが寄ったりするのを防止することができ、ポケット2が滑らかに変形する。また、袋布2Cの上端の分割部分の内側のみが延出部3Bの摺動に伴って引張られ、袋布2Cの上端の分割部分の外側が縫付けられている前身頃4は引張られないようにすることで、引き攣ることがなく、表側から見た場合でも良好な見栄えを保つことができる。なお、強度確保等のため、通常、分割部分にはパイピングが施される。
更にまた、上記実施の形態1,2では、両脇の脇線LS,RSに沿ってポケット2を設け、開閉のために生地の余裕があるポケット2の近傍にウエストベルト10の重ね合わせ部9を設けていることによって、ウエスト周りが伸縮する際に、身頃に皺がよることがなく、見栄えの良いものとしているが、ポケット2に代えてタックを設けることも可能である。
即ち、ウエストベルト10には左右一対のタックの近傍に、収容部3Aとその収容部3Aに端部が収まる延出部3Bからなる重ね合わせ部9を形成し、延出部3Bの先端と収容部3Aとが収容部3A内において主弾性材としてのゴムテープ6で接続されるとともに、脇線LS,RSの上部に一対のタックを設けることによって、ウエストベルト10の長さを伸縮自在とすることも可能である。このとき、ウエストベルト10に引張り力がかかっていない場合には、タックは折り畳まれた状態にあって脇線LS,RSと一体となっており、ウエストベルト10に引張り力がかかってウエスト周りが伸びると、延出部3Bの近傍の前身頃4も延出部3Bと一体に移動して、タックが拡げられる。
このタックは、例えば、両脇の脇線LS,RSに沿って、両脇の脇線LS,RSの上端または上端の近傍の裏側に設けることできる。更に、ポケット2に加え両脇の脇線LS,RSにタックを設けても良い。
加えて、上記実施の形態1,2では、スーツ用ズボン1において、延出部3Bと収容部3Aの動きに追従して身頃に皺が生じないようするために、両脇の脇線LS,RSに沿ってポケット2を設けているが、「ポケット」としては、外縁が直線の脇ポケット、外縁が略L字型形状のLポケット、その変形で外縁が略S字型形状のSポケット等を始めとしてどのような外縁形状を有するものでも良い。外縁が略L字型形状を有するLポケットの形状としては、例えば、角張ったL字形状の外縁を有するLポケット、縦方向に長い角張ったL字形状の外縁を有するLポケット等が挙げられる。
また、ポケット口を複数設ける構成としても良い。例えば、脇線LS,RSに沿ってまたは脇線の近傍の前中心FCよりに形成された小ポケット(例えば、ポケット口の縦幅長さが3cm以上、15cm以下の範囲内)と、小ポケットよりも前中心より形成された小ポケットよりも容量が大きな大ポケットとを設ける構成としてもよい。この場合には、小ポケットにタックや切込み等が入れられることになる。また、小ポケットの開口は大ポケットの開口より内側に配設しても良い。別途、脇中間ポケットを脇線の近傍に設けても良い。
更に、片玉縁のポケット口を有する片玉縁のポケット、両玉縁のポケット口を有する両玉縁のポケット、フラップ付きのポケット口を有するフラップ付きポケットであってもよい。
特に、Lポケットは、婦人用パンツのポケットとして好ましい。骨盤が大きい女性でも、着用したときにポケット口が変形し難く、また、ポケット口に皺等が生難く、見栄えを良くすることができるため、例えば、女性用スラックス等に適する。
また、両脇のポケットが左右対称でなくても良く、左右でポケットの種類が異なっていても構わない。更に、ポケットの開口部の前中心FC側が伸縮性を有すると、見栄えが向上する。
そして、図2及び図3においては、主弾性材としてのゴムテープ6に伸び止め材7を並設した構成で説明したが、本発明を実施する場合には、主弾性材としてのゴムテープ6には、延出部3Bと一体としたストッパー部分を並設し、そのストッパー部分にゴムテープ6の最大伸びを制限する伸び止め材7の役割を持たせることも可能である。延出部3Bの先端を細くして延長し、共布で伸び止め材7の役割をするストッパー部分を設けることによって、単独の伸び止め材7をリボンテープ等で設ける必要がなく、縫製工程も簡略化されるため、コストがかからず安価にゴムテープ6や腰裏ベルト部100の上位ゴム31及び下位ゴム32を長持ちすることができる。その他、伸縮するゴムの伸びの限界を綿等の繊維の織り込みによって規定することも可能である。
しかし、本発明を実施する場合には、ゴムテープ6や腰裏ベルト部100の上位ゴム31及び下位ゴム32の伸びを制限する伸び止め材7やストッパー部分については省略することも可能である。伸び止め材7やストッパー部分を省略した場合には、例えば、袋布のタックや分割構造によって、最大の伸び長さを特定することも可能である。しかし、そこに無理な引張り力がかかり張力を受けることになるので、見栄えが低下したり、長期の使用によって破れが生じたりする可能性がある。したがって、ウエストベルト10内部のゴムテープ6に伸び止め材7やストッパー部分を並設した構成であれば、最大の伸びが伸び止め材7やストッパー部分で規制され、そこに張力が加わって見栄えが低下することがない。また、ウエストベルト10が伸縮する布地で形成されていても、その影響が少なくなる。そして、このようにゴムテープ6や腰裏ベルト部100の上位ゴム31及び下位ゴム32の最大伸び長さが規定されていると、上位ゴム31及び下位ゴム32を延出部3Bに縫付けた部分と縫付けていない部分との境界部の縫い止まり部において無理な引張り力がかかるのが防止され、その部分でのストレスが軽減され、耐久性を延ばすことができる。なお、上記境界部の縫い止まり部には、閂止めを施すことで縫製の縫い目を補強しても良い。
更に、上記実施の形態1,2では、袋布2Cやタック2Dの形状維持、皺寄り防止、見栄えの向上のために補助弾性材としてのゴムテープ8を設けているが、補助弾性材としてのゴムテープ8の弾性力は、主弾性材としてのゴムテープ6の弾性力に比較すると小さく、ウエストサイズの調整の主弾性材としてのゴムテープ6の弾性力からすれば無視できる程度であり、また、袋布2Cの上部に皺が寄っても、見栄えに影響する皺が入る可能性が低いことから、省略も可能である。
そして、本発明を実施するに際しては、ウエスト伸縮自在ボトムスの構造、形状、材質、生地、大きさ、長さ、幅、接続関係等についても、上記実施の形態に限定されるものではない。なお、本発明の実施の形態で挙げている数値は、臨界値を示すものではなく、実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を若干変更してもその実施を否定するものではない。