JP6257187B2 - 像振れ補正装置、レンズ鏡筒、光学機器、および撮像装置 - Google Patents
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Description
特許文献1に開示の像振れ補正装置は、補正レンズを保持する可動鏡筒を、所定の点を球心とする球面上の2方向にて駆動することで、補正レンズが移動した場合の光学性能の低下を防止する。
本発明の目的は、可動部材を光軸にほぼ直交する2方向へ駆動可能な像振れ補正装置において、光軸回りの回転を抑制することである。
図1ないし図7を参照して、本発明の第1実施形態に係る像振れ補正装置100について説明する。
図1は、像振れ補正装置100の構成を示す分解斜視図である。図2は、像振れ補正装置100を図1とは反対側から見た場合の分解斜視図である。像振れ補正装置100は、補正レンズ101を保持する可動ユニット102と、回転防止板103と、固定地板104を備える。像振れ補正装置100はさらに、第1の転動ボール105、第2の転動ボール106、第3の転動ボール107、付勢ばね108を備える。第1駆動部109、第2駆動部110は電磁駆動部である。第1駆動部109は、第1磁石1091、第1コイル1092により構成される。第2駆動部110は、第2磁石1101、第2コイル1102により構成される。
ここで、回転中心点Oを通り、撮像光学系の光軸と直交する1つの仮想線を、ピッチ回転軸(図6中にP軸で示す)と定義する。また、回転中心点Oを通り、光軸およびピッチ回転軸Pの双方と直交する仮想線を、ヨー回転軸(図7中にY軸で示す)と定義する。ピッチ回転軸Pは、像振れ補正装置に関する第1の回転軸であり、ヨー回転軸Yは第2の回転軸である。また、補正レンズ101から見た場合に回転中心点Oが位置する方の面を表面とし、その反対側の面を裏面と定義する。
可動側第1ボール受け部1021は、断面形状がV字状の溝を有する。この溝の形状はピッチ回転軸Pを中心軸に持つ2つの回転面(回転体の表面)によって構成される。可動側第1ボール受け部1021は、第1の転動ボール105と2点で接触する。本実施形態では、溝形状がピッチ回転軸Pを中心軸とする2つの円錐面であるが、ピッチ回転軸P上の異なる2点を中心に持つ2つの球面や、トーラス面によって構成してもよい。可動側第3ボール受け部1022は、回転中心点Oを球心とする球面状に構成され、第3の転動ボール107と1点で接触する。
V字第2ボール受け部1032は、断面形状がV字状の溝を有する。この溝の形状はヨー回転軸Yを中心軸とする回転面によって構成される。本実施形態では、溝形状がヨー回転軸Yを中心軸とする2つの円錐面である。V字第2ボール受け部1032は第2の転動ボール106と2点で接触する。平面第2ボール受け部1033は、ヨー回転軸Yを中心軸とした円筒面を底面とする溝を有し、第2の転動ボール106と1点で接触する。
固定地板104は、外周縁部において光軸回りに3箇所のばねかけ部1044を備える。ばねかけ部1044は、付勢ばね108の一端が引っ掛けられて付勢ばね108を保持する。コイル保持部1045は、固定地板104の表面側にて、光軸回り方向に90°の角度で2箇所に配置され、後述する第1コイルおよび第2コイルを保持する。
第1駆動部109および第2駆動部110は、補正レンズ101の外周側(光軸から離れる側)に配置されるので、可動ユニット102の内周側部分を補正レンズ101の光路として利用できる。なお、駆動部の種類は限定されないので、ピッチ方向およびヨー方向に所定の駆動力を働かせることができれば駆動原理の如何は問わない。本実施形態で用いたボイスコイルモータ以外に、ステッピングモータや超音波モータ、静電力を用いたモータやバイモルフなどの駆動部が採用可能である。
まず、補正レンズ101の光軸方向の位置決めについて説明する。第1の転動ボール105は、可動ユニット102に設けた可動側第1ボール受け部1021と、回転防止板103に設けた第1ボール受け部1031により挟持される。また、第2の転動ボール106は、回転防止板103に設けた第2ボール受け部1032および1033と、固定地板104に設けた固定側ボール受け部1041および1042により挟持される。第3の転動ボール107は、可動ユニット102に設けた可動側第3ボール受け部1022と、固定地板104に設けた固定側第3ボール受け部1043により挟持される。
回転防止板103は、固定地板104に対して、ヨー方向のみに移動可能である。2個の第2の転動ボール106は、固定地板104に設けたV字第2ボール受け部1042、つまり、ヨー回転軸Yを中心軸に持つ2つの円錐面からなるボール受け面と、それぞれ2点で接触しながら転動する。このため、第2の転動ボール106は、ヨー回転軸Yを中心とする回転方向にのみ転動可能となり、ピッチ回転軸Pを中心とする回転方向の移動が規制される。また、2個の第2の転動ボール106は、回転防止板103に設けたV字第2ボール受け部1032、つまり、ヨー回転軸Yを中心軸に持つ2つの円錐面からなるボール受け面と、それぞれ2点で接触しながら転動する。このため、第2の転動ボール106は、回転防止板103に対して、ヨー回転軸Yを中心とする回転方向にのみ転動可能となり、ピッチ回転軸Pを中心とする回転方向の移動が規制される。この結果、回転防止板103は、固定地板104に対して、ヨー方向にのみ移動可能に支持される。
・可動ユニット102は、光軸回りの回転が抑制されること。
従来の像振れ補正装置では可動ユニットが、固定部材に対して3つの自由度を有する。すなわち、可動ユニットは回転中心点Oを通るピッチ軸回りの回転、およびヨー軸回りの回転に加えて、光軸回りにも回転可能であった。従来の像振れ補正装置では、アクチュエータの駆動力が重心を通るように配置する方法などにより、光軸回りの回転を抑制していた。しかし、外力による衝撃などで可動ユニットが光軸回りに回転すると、補正レンズの位置を正確に検出できなくなり、正確な像振れ補正制御に支障を来す可能性がある。
これに対し、本実施形態に係る像振れ補正装置では、回転防止板103は固定地板104に対してヨー回転軸Yを中心軸とする回転移動のみ可能に支持されている。また、可動ユニット102は、回転防止板103に対してピッチ回転軸Pを中心軸とする回転移動のみ可能に支持されている。その結果、補正レンズ101は、光軸を中心軸とした回転を規制されつつ、回転中心点Oを中心としてピッチ回転軸Pおよびヨー回転軸Yを中心として回転可能となる。すなわち本実施形態では、可動部が像振れ補正に必要な方向のみに移動可能な構成である。このため、外力による衝撃などを受けた場合でも、補正レンズ101の位置を正確に検出することができ、精度の高い像振れ補正を実現できる。
本実施形態では、複数の第1の転動ボール105の中心点が、第1の仮想球面S1上に位置するように配置するとともに、複数の第2の転動ボール106の中心点が、第2の仮想球面S2上に位置するように配置している。したがって、可動ユニット102を、ヨー回転軸Yを中心に回転させても、ピッチ回転軸Pを中心に回転させても、第1の転動ボール105は常に第1の仮想球面S1上に位置する。同様に、第2の転動ボール106は常に第2の仮想球面S2上に位置する。
また、回転防止板103は表面および裏面ともに、回転中心点Oを中心とする球面形状であり、第1の仮想球面S1と第2の仮想球面S2との間に配置される。したがって、可動ユニット102の位置に依らず、回転防止板103と第1および第2の転動ボールとの位置関係、すなわち回転中心点Oからの放射方向の位置関係は変わらない。よって回転防止板103を、強度が確保できる最小の厚さまで薄くしたとしても、常に第1および第2の転動ボールを保持する受け部分を形成できる。したがって、装置全体の光軸方向の厚さを薄くすることができる。
本実施形態では、第1ないし第3の転動ボールを配置する部分および回転防止板103の形状を、すべて同心の球面としている。したがって、回転防止板103を、厚さが均一になる形状にすることができる。これにより、回転防止板103を、プレス加工などの生産性の良い加工法で製造できる。
本実施形態では、可動ユニット102を支持する3個の転動ボールのうち、2個(第1の転動ボール105)が回転防止板103に乗り、残りの1つの第3の転動ボール107が固定地板104に乗っている。このため、すべての転動ボールを回転防止板103に乗せる構成に比べて、光軸方向から見た回転防止板103の面積を小さくすることができる。これにより、装置全体の小型化を実現できる。
以上のように、本実施形態によれば、光軸回りの可動部材の回転を抑制しつつ、ヨー方向およびピッチ方向への移動を可能とする像振れ補正装置を提供できる。
次に本発明の第2実施形態について、図8ないし図12を参照して説明する。なお、第1実施形態の場合と同様の構成部品については、既に使用した符号を用いることでそれらの詳細な説明を省略し、主に相違点を説明する。
図8は、像振れ補正装置200の部品構成を示す分解斜視図である。像振れ補正装置200は、補正レンズ101を保持する可動ユニット202、回転防止板203、固定地板204を備える。像振れ補正装置200は、転動部材として、3個の第1の転動ボール205と、3個の第2の転動ボール206を備える。像振れ補正装置200はさらに付勢ばね108と、電磁駆動部を備えるが、図8では付勢ばね108の図示を省略する。電磁駆動部は、第1駆動部209、第2駆動部210から構成される。
可動ユニット202は、中央の開口部に補正レンズ101を保持する。可動ユニット202は、図11に示すように、回転防止板203と対向する面側に2箇所のV字第1ボール受け部2021と、1箇所の平面第1ボール受け部2022を備える。V字第1ボール受け部2021は、断面形状がV字状の溝を有する。この溝の形状はピッチ回転軸Pを中心軸とする2つの回転面によって構成され、第1の転動ボール205と2点で接触する。本実施形態では、ピッチ回転軸Pを中心軸とする2つの円錐面を用いるが、ピッチ回転軸P上の異なる2点を中心に持つ球面や、トーラス面を用いてもよい。平面第1ボール受け部2022は、回転中心点O通る軸を中心軸とする円筒面状に構成され、第1の転動ボール205と1点で接触する。可動ユニット202は、外周縁寄りの2箇所に磁石保持部2024(図10参照)を有し、後述の第1および第2磁石を保持する。
固定地板204は、2箇所のV字第2ボール受け部2041と、1箇所の平面第2ボール受け部2042と、2箇所のコイル保持部2045を有する。V字第2ボール受け部2041は、断面形状がV字状の溝を有する。この溝の形状はヨー回転軸Yを中心軸とする2つの回転面によって構成される。本実施形態では、ヨー回転軸Yを中心軸とする2つの円錐面を用いる。V字第2ボール受け部2041は、回転防止板203の第2ボール受け部2033と対向して配置され、第2の転動ボール206と2点で接触する。平面第2ボール受け部2042は、ヨー回転軸Yを中心軸とした円筒面を底面とする溝を有する。平面第2ボール受け部2042は、回転防止板203の平面第2ボール受け部2034と対向して配置され、第2の転動ボール206と1点で接触する。固定地板204は、外周縁寄りの2箇所にコイル保持部2045を有する。コイル保持部2045は、第3コイル2102および第4コイル2104をそれぞれ保持する。
回転防止板203は、固定地板204に対してヨー方向のみに移動可能である。また、可動ユニット202は、回転防止板203に対してピッチ方向のみに移動可能である。駆動制御部が第1コイル2092および第2コイル2094に通電して所定の電流を流すと、第1駆動部209の働きにより、回転防止板203と可動ユニット102との間にピッチ方向の駆動力が生じる。その結果、補正レンズ101を保持する可動ユニット202は、ピッチ回転軸Pを中心軸とする回転方向へ移動する。また駆動制御部が第3コイル2102および第4コイル2104に通電して所定の電流を流すと、第2駆動部210の働きにより、固定地板104と回転防止板203との間にヨー方向の駆動力が生じる。その結果、可動ユニット202、第1の転動ボール205、回転防止板203がヨー方向へ移動する。この2つの移動を組み合わせることにより、補正レンズ101の中心点を、回転中心点Oを球心とする球面上の任意の位置へ移動することができる。
・可動部材の光軸回りの回転が抑制されること。
回転防止板203は固定地板204に対してヨー回転軸Yを中心軸とした回転のみ可能である。また、可動ユニット202は、回転防止板203に対してピッチ回転軸Pを中心軸とした回転移動のみ可能である。その結果、補正レンズ101は、光軸を中心軸とした回転を規制されつつ、回転中心点Oを中心としてピッチ回転軸Pおよびヨー回転軸Yを中心に回転可能となる。すなわち、像振れ補正に必要な方向のみに補正部材が移動可能な構成が得られる。
本実施形態では、回転防止板203の表側の面は、ピッチ回転軸Pを中心軸とする円筒面の一部をなし、裏側の面はヨー回転軸Yを中心軸とする円筒面の一部をなす。また、固定地板204の表側の面は、ヨー回転軸Yを中心軸とする円筒面の一部をなす。このように、像振れ補正装置200の構成部品は、球面形状では無く円筒面状で構成している。一般に、円筒面は球面よりも加工や測定が容易であるため、回転防止板203は、第1実施形態の回転防止板103よりも容易に製造することができる。
一方、第1実施形態の回転防止板103は、第2実施形態の回転防止板203に比べた場合、第1および第2の転動ボールを保持する部分を形成するために、厚さを均一にできることや、薄型化が可能となる。
101 補正レンズ
102,202 可動ユニット
103,203 回転防止板
104,204 固定地板
105,105 第1の転動ボール
106,206 第2の転動ボール
109,209 第1駆動部
110,210 第2駆動部
Claims (12)
- 補正部材を保持する可動部材を駆動部により移動させることで像振れを補正する像振れ補正装置であって、
前記可動部材を、前記補正部材の光軸と直交する第1の回転軸を中心に回転可能に支持する第1の支持部材と、
前記補正部材の光軸と直交し、かつ前記第1の回転軸と前記光軸上の点で交わる第2の回転軸を中心として前記第1の支持部材を回転可能に支持する第2の支持部材と、
前記可動部材と前記第2の支持部材とを近づける方向に付勢する付勢部材と、を備え、
前記第1の支持部材は、前記可動部材の前記光軸回りの回転を抑制し、
前記第2の支持部材は、前記第1の支持部材の前記光軸回りの回転を抑制することを特徴とする像振れ補正装置。 - 前記第1の支持部材に対して前記可動部材を支持する第1の転動部材と、
前記第2の支持部材に対して前記第1の支持部材を支持する第2の転動部材と、をさらに備え、
前記可動部材および前記第1の支持部材は、前記第1の転動部材との接触面が前記第1の回転軸を中心軸とする回転面の形状の受け部を有し、
前記第1の支持部材および前記第2の支持部材は、前記第2の転動部材との接触面が前記第2の回転軸を中心軸とする回転面の形状の受け部を有することを特徴とする請求項1に記載の像振れ補正装置。 - 前記可動部材および前記第1の支持部材の受け部はそれぞれ、前記第1の回転軸を中心軸とする回転面で構成される複数の接触面にて複数の前記第1の転動部材と接触し、
前記第1の支持部材および前記第2の支持部材の受け部はそれぞれ、前記第2の回転軸を中心軸とする回転面で構成される複数の接触面にて複数の前記第2の転動部材と接触することを特徴とする請求項2に記載の像振れ補正装置。 - 前記第2の支持部材に対して前記可動部材を支持する第3の転動部材をさらに備え、
前記可動部材は、前記第3の転動部材との接触面が前記光軸上の点を中心とする球面状をした受け部を有し、
前記第2の支持部材は、前記第3の転動部材との接触面が前記光軸上の点を中心とする球面状をした受け部を有することを特徴とする請求項2または3に記載の像振れ補正装置。 - 前記第1の転動部材および前記第2の転動部材は複数の球で構成され、
前記可動部材および第1の支持部材は、互いに対向する面が前記光軸上の点を中心とする球面状に構成され、
前記第1の支持部材および第2の支持部材は、互いに対向する面が前記光軸上の点を中心とする球面状に構成されることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の像振れ補正装置。 - 前記第1の転動部材は、前記光軸上の点を中心とする第1の仮想球面と交わる位置に配置され、
前記第2の転動部材は、前記光軸上の点を中心に持つ第2の仮想球面と交わる位置に配置され、
前記第1の支持部材は、前記第1の仮想球面と前記第2の仮想球面との間に配置されることを特徴とする請求項5に記載の像振れ補正装置。 - 前記駆動部は、前記第2の支持部材に対して前記可動部材をそれぞれ異なる方向に駆動する第1駆動部および第2駆動部を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の像振れ補正装置。
- 前記第1の転動部材および前記第2の転動部材は複数の球で構成され、
前記第1の転動部材は、前記第1の回転軸を中心軸とする円筒面上に配置され、
前記第2の転動部材は、前記第2の回転軸を中心軸とする円筒面上に配置されることを特徴とする請求項2または3に記載の像振れ補正装置。 - 前記駆動部は、前記第1の支持部材に対して前記可動部材を駆動する第1駆動部と、前記第2の支持部材に対して前記第1の支持部材を駆動する第2駆動部を備えることを特徴とする請求項8に記載の像振れ補正装置。
- 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の像振れ補正装置を備えることを特徴とするレンズ鏡筒。
- 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の像振れ補正装置を備えることを特徴とする光学機器。
- 請求項10に記載のレンズ鏡筒を備えることを特徴とする撮像装置。
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