以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
レンズ駆動装置1は、図1に示すように、レンズ駆動部2と、レンズ駆動部2を覆うカバー3とを備えており、取り付けられるべきレンズLの光軸であるレンズ光軸Z1を有する。
レンズ駆動部2は、図2に示すように、ベース部材10、X軸可動体20、Y軸可動体30、およびレンズ枠体40を備えている。ベース部材10、X軸可動体(第1の可動体)20、Y軸可動体(第2の可動体)30、およびレンズ枠体40は、この順で光軸Z1方向に沿って並んでいる。
ベース部材10は、略矩形板状の外形を有し、光軸Z1に対して直交するように配置されている。光軸Z1はベース部材10の略中央を通過し、光軸Z1が通過する中央領域には、光軸Z1を中心とする真円形の開口11が設けられている。ベース部材10は、たとえば、ガラスや無機材料等で構成されたフィラーを含む樹脂材料(液晶ポリマー等)で構成される。ベース部材10は、たとえば射出成形によって形成することができる。
図3〜5に示すように、ベース部材10の上面には、X軸アクチュエータAXを下方から支持するアクチュエータ保持部12が設けられている。アクチュエータ保持部12は、光軸Z1方向から見たときに、ベース部材10の外周縁を構成する4つの辺のうちの一つの辺に沿ってX軸アクチュエータAXが延在するように設けられている。以下の説明では、X軸アクチュエータAXが延在する方向とX軸方向とも称す。
ここで、X軸アクチュエータAXの構成について説明する。
X軸アクチュエータAXは、スムーズインパクト駆動機構を構成するアクチュエータである。X軸アクチュエータAXは、角柱状のX軸圧電素子PX、X軸駆動シャフトSX、及び錘部WXを備えている。
X軸圧電素子PXは、一方向において伸縮可能な素子であり、X軸方向に沿って延在しているためにX軸方向に伸縮可能である。X軸圧電素子PXは、圧電材料で構成されている。圧電材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(いわゆる、PZT)、水晶、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、ニオブ酸タンタル酸カリウム(K(Ta,Nb)O3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)およびチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)等の無機圧電材料を用いることができる。X軸圧電素子PXは、上記圧電材料からなる複数の圧電層と複数の電極層とが交互に積層された積層構造にすることができる。X軸圧電素子PXに印加する電圧を制御することで、X軸圧電素子PXの伸縮を制御することができる。
X軸圧電素子PXは、一方向に伸縮可能な形状であれば、角柱状に限らず、円柱状等であってもよい。
X軸駆動シャフトSXは、円柱状に形成され、円柱形状の軸線がX軸方向に沿って延在するようにアクチュエータ保持部12上に載置されている。X軸駆動シャフトSXは、カーボンファイバ等の繊維を含む複合樹脂材料で構成されている。
X軸駆動シャフトSXにおけるX軸方向の一方の端部は、X軸圧電素子PXにおけるX軸方向の一方の端部に固定されている。そのため、X軸圧電素子PXをX軸方向に関して伸縮させることで、X軸駆動シャフトSXをX軸方向の向きに進退させることができる。
錘部WXは、X軸圧電素子PXにおけるX軸方向の他方の端部に固定されている。錘部WXは、タングステンやタングステン合金など比重の高い材料から形成されており、X軸駆動シャフトSXよりも重くなるように設計されている。X軸駆動シャフトSXよりも錘部WXを重くすることで、X軸圧電素子PXが伸縮したときに、錘部WXは変位しにくく、X軸駆動シャフトSXのほうを効率よく変位させることができる。
上述したX軸圧電素子PXとX軸駆動シャフトSXとの固定、および、X軸圧電素子PXと錘部WXとの固定には、エポキシ接着剤等の接着剤を用いることができる。
そして、ベース部材10のアクチュエータ保持部12は、X軸アクチュエータAXの軸線LXがベース部材10に対して平行になるように、X軸アクチュエータAX側に向けて立ち上がるように設けられている。
アクチュエータ保持部12は、X軸駆動シャフトSXを保持するシャフト保持部12a、12bと、錘部WXを保持する錘保持部12cとを備えている。
シャフト保持部12a、12bは、X軸駆動シャフトSXの先端部(すなわち、X軸圧電素子PX側とは反対側の端部)を保持するシャフト保持部12aと、X軸駆動シャフトSXの基端部(すなわち、X軸圧電素子PX側の端部)を保持するシャフト保持部12bとで構成されている。シャフト保持部12a、12bはいずれも、X軸駆動シャフトSXを保持するためのU字状またはV字状の溝を有しており、X軸駆動シャフトSXのX軸方向への移動を許容しつつX軸方向以外の方向への移動を制限している。シャフト保持部12a、12bはいずれも、X軸駆動シャフトSXとは接着剤等で固定されておらず、X軸駆動シャフトSXはX軸方向に沿って摺動可能となっている。シャフト保持部12a、12bにより、X軸駆動シャフトSXの先端部および基端部を保持することで、X軸駆動シャフトSXをX軸方向に高い精度で配向させることができる。
錘保持部12cは、錘部WXの下面(すなわち、ベース部材10側の面)Waおよび端面Wbに接して錘部WXを保持している。錘部WXは、エポキシ接着剤等の接着剤で錘保持部12cに固定されており、X軸方向へ移動することができない。
すなわち、X軸アクチュエータAXは、アクチュエータ保持部12により、X軸駆動シャフトSXはX軸方向に沿って摺動可能ではあるが、錘部WXは固定された状態となっている。
X軸可動体20も、ベース部材10同様、略矩形板状の外形を有し、光軸Z1に対して直交するように配置されている。X軸可動体20は、光軸Z1方向から見て、ベース部材10と略同一の寸法であり、ベース部材10と重なるように配置されている。X軸可動体20には、ベース部材10同様、光軸Z1が通過する中央領域に光軸Z1を中心とする真円形の開口21が設けられている。X軸可動体20に設けられた開口21と、ベース部材10に設けられた開口11とは、略同じ寸法となるように設計されている。X軸可動体20も、ベース部材10と同様の樹脂材料(液晶ポリマー等)で構成することができ、たとえば射出成形によって形成することができる。
図6、7に示すように、X軸可動体20の上面には、Y軸アクチュエータAYを下方から支持するアクチュエータ保持部22が設けられている。アクチュエータ保持部22は、光軸Z1方向から見たときに、X軸可動体20の外周縁を構成する4つの辺のうちのX軸方向とは直交する一つの辺に沿ってY軸アクチュエータAYが延在するように設けられている。以下の説明では、Y軸アクチュエータAYが延在する方向とY軸方向とも称す。
ここで、Y軸アクチュエータAYの構成について説明する。
Y軸アクチュエータAYは、X軸アクチュエータAX同様、スムーズインパクト駆動機構を構成するアクチュエータである。Y軸アクチュエータAYも、X軸アクチュエータAX同様、角柱状のY軸圧電素子PY、Y軸駆動シャフトSY、及び錘部WYを備えている。
Y軸圧電素子PYは、一方向において伸縮可能な素子であり、Y軸方向に沿って延在しているためにY軸方向に伸縮可能である。Y軸圧電素子PYは、上述したX軸圧電素子PXと同様の圧電材料で構成されている。Y軸圧電素子PYも、複数の圧電層と複数の電極層とが交互に積層された積層構造にすることができる。Y軸圧電素子PYに印加する電圧を制御することで、Y軸圧電素子PYの伸縮を制御することができる。
Y軸圧電素子PYは、一方向に伸縮可能な形状であれば、角柱状に限らず、円柱状等であってもよい。
Y軸駆動シャフトSYは、円柱状に形成され、円柱形状の軸線がY軸方向に沿って延在するようにアクチュエータ保持部22上に載置されている。Y軸駆動シャフトSYは、X軸駆動シャフトSX同様、カーボンファイバ等の繊維を含む複合樹脂材料で構成されている。
Y軸駆動シャフトSYにおけるY軸方向の一方の端部は、Y軸圧電素子PYにおけるY軸方向の一方の端部に固定されている。そのため、Y軸圧電素子PYをY軸方向に関して伸縮させることで、Y軸駆動シャフトSYをY軸方向の向きに進退させることができる。
錘部WYは、Y軸圧電素子PYにおけるY軸方向の他方の端部に固定されている。錘部WYは、錘部WX同様、タングステンやタングステン合金など比重の高い材料から形成されており、Y軸駆動シャフトSYよりも重くなるように設計されている。
上述したY軸圧電素子PYとY軸駆動シャフトSYとの固定、および、Y軸圧電素子PYと錘部WYとの固定には、エポキシ接着剤等の接着剤を用いることができる。
そして、X軸可動体20のアクチュエータ保持部22は、Y軸アクチュエータAYの軸線がX軸可動体20に対して平行になるように、Y軸アクチュエータAY側に向けて立ち上がるように設けられている。
アクチュエータ保持部22は、Y軸駆動シャフトSYを保持するシャフト保持部22a、22bと、錘部WYを保持する錘保持部22cとを備えている。
シャフト保持部22a、22bは、Y軸駆動シャフトSYの先端部(すなわち、Y軸圧電素子PY側とは反対側の端部)を保持するシャフト保持部22aと、Y軸駆動シャフトSYの基端部(すなわち、Y軸圧電素子PY側の端部)を保持するシャフト保持部22bとで構成されている。シャフト保持部22a、22bはいずれも、Y軸駆動シャフトSYを保持するためのU字状またはV字状の溝を有しており、Y軸駆動シャフトSYのY軸方向への移動を許容しつつY軸方向以外の方向への移動を制限している。シャフト保持部22a、22bはいずれも、Y軸駆動シャフトSYとは接着剤等で固定されておらず、Y軸駆動シャフトSYはY軸方向に沿って摺動可能となっている。シャフト保持部22a、22bにより、Y軸駆動シャフトSYの先端部および基端部を保持することで、Y軸駆動シャフトSYをY軸方向に高い精度で配向させることができる。
錘保持部22cは、錘部WYの下面(すなわち、X軸可動体20側の面)Waおよび端面Wbに接して錘部WYを保持している。錘部WYは、エポキシ接着剤等の接着剤で錘保持部22cに固定されており、Y軸方向へ移動することができない。
すなわち、Y軸アクチュエータAYは、アクチュエータ保持部22により、Y軸駆動シャフトSYはY軸方向に沿って摺動可能ではあるが、錘部WYは固定された状態となっている。
また、X軸可動体20には、X軸アクチュエータAXが設けられたベース部材10の辺に対応する辺に、スライダー部24が設けられている。
スライダー部24は、X軸可動体20のその他の部分よりも隆起しており、スライダー部24の下には、X軸アクチュエータAXおよびアクチュエータ保持部22が収容される空間が画成されている。
スライダー部24は、X軸アクチュエータAXに沿うようにX軸方向に延びており、X軸アクチュエータAXを上側から覆っている。
スライダー部24は、上方に延びる一対の柱部24a、24bと、一対の柱部24a、24bの間に架けられた梁部24cとで構成されている。一対の柱部24a、24bは、X軸アクチュエータAXの先端部側に位置する柱部24aと、X軸アクチュエータAXの基端部側に位置する柱部24bとで構成されている。また、ベース部材10からの高さ位置に関しては、一対の柱部24a、24bの高さ位置は、X軸アクチュエータAXの軸線LXの高さ位置と略同じとなっている。一対の柱部24a、24bのそれぞれの高さ(光軸Z1方向における長さ)は、梁部24cが、ベース部材10、X軸可動体20およびX軸アクチュエータAXの軸線LXに対して平行になるように設計されている。
梁部24cには、下方に延びる一対のシャフト保持部24d、24eが設けられている。一対のシャフト保持部24d、24eはいずれも、X軸アクチュエータAXのX軸駆動シャフトSXに接して、上側からX軸アクチュエータAXのX軸駆動シャフトSXを保持している。一対のシャフト保持部24d、24eは、X軸駆動シャフトSXの先端部(すなわち、X軸圧電素子PX側とは反対側の端部)を保持するシャフト保持部24dと、X軸駆動シャフトSXの基端部(すなわち、X軸圧電素子PX側の端部)を保持するシャフト保持部24eとで構成されている。シャフト保持部24d、24eはいずれも、X軸駆動シャフトSXを保持するためのU字状またはV字状の溝を有しており、X軸駆動シャフトSXのX軸方向への移動を許容しつつX軸方向以外の方向への移動を制限している。シャフト保持部24d、24eはいずれも、X軸駆動シャフトSXとは接着剤等で固定されておらず、X軸駆動シャフトSXはX軸方向に沿って摺動可能となっている。
X軸アクチュエータAXの先端部側に位置する柱部24aにはバネ26が巻き付けられている。バネ26は、たとえば、ある程度の弾性を有する金属板材を用いて形成される。
柱部24aに巻き付けられたバネ26は、柱部24aに直交する方向に延びて、バネ26の先端部がX軸アクチュエータAXのX軸駆動シャフトSXに達している。
バネ26の先端部には、X軸駆動シャフトSXと摩擦係合する摩擦係合部26aが設けられている。具体的には、図8に示すように、摩擦係合部26aは、バネ26の先端部からX軸駆動シャフトSXの下面まで延びて、X軸駆動シャフトSXの下面を所定の圧力でX軸可動体20に向けて上方に付勢している。スライダー部24は、一対のシャフト保持部24d、24eによってX軸駆動シャフトSXを上側から保持しているため、X軸駆動シャフトSXは、スライダー部24の一対のシャフト保持部24d、24eとバネ26とによって上下方向から把持されて摩擦係合されている。
そのため、X軸アクチュエータAXの伸縮時に伸張時と収縮時との速度差を生じさせると、X軸アクチュエータAXのX軸駆動シャフトSXに摩擦係合されたバネ26が、X軸アクチュエータAXの伸縮方向(すなわち、X方向)に駆動される。また、バネ26の駆動に伴い、バネ26に連結されたスライダー部24およびX軸可動体20も、X軸アクチュエータAXの伸縮方向に駆動される。
Y軸可動体30は、ベース部材10およびX軸可動体20同様、略矩形板状の外形を有し、光軸Z1に対して直交するように配置されている。Y軸可動体30は、光軸Z1方向から見て、ベース部材10およびX軸可動体20と略同一の寸法であり、X軸可動体20と重なるように配置されている。Y軸可動体30には、ベース部材10およびX軸可動体20同様、光軸Z1が通過する中央領域に光軸Z1を中心とする真円形の開口31が設けられている。Y軸可動体30に設けられた開口31と、ベース部材10に設けられた開口11およびX軸可動体20に設けられた開口21とは、略同じ寸法となるように設計されている。Y軸可動体30も、ベース部材10およびX軸可動体20と同様の樹脂材料(液晶ポリマー等)で構成することができ、たとえば射出成形によって形成することができる。
Y軸可動体30の上面には、光軸Z1方向に配向されたZ軸アクチュエータAZの下端部を収容するアクチュエータ保持部32が設けられている。アクチュエータ保持部32は、平面視で矩形状の窪みである。
Z軸アクチュエータAZは、X軸アクチュエータAXおよびY軸アクチュエータAY同様、スムーズインパクト駆動機構を構成するアクチュエータである。Z軸アクチュエータAZも、X軸アクチュエータAXおよびY軸アクチュエータAY同様、角柱状のZ軸圧電素子PZ、Z軸駆動シャフトSZ、および錘部WZを備えている。Z軸アクチュエータAZでは、Y軸可動体30に近い方から、錘部WZ、Z軸圧電素子PZ、Z軸駆動シャフトSZの順に並んでいる。
Z軸アクチュエータAZのZ軸圧電素子PZ、Z軸駆動シャフトSZおよび錘部WZ、の形状、構成および材料は、上述したX軸アクチュエータAXのX軸圧電素子PX、X軸駆動シャフトSXおよび錘部WXや、Y軸アクチュエータAYのY軸圧電素子PY、Y軸駆動シャフトSYおよび錘部WYと同一または同様である。
Z軸アクチュエータAZは、その下端部にある錘部WZが、Y軸可動体30に設けられたアクチュエータ保持部32に収容されて固定されている。アクチュエータ保持部32は、Z軸アクチュエータAZの錘部WZ全体を収容できる形状および寸法に設計されている。アクチュエータ保持部32の深さは、Z軸アクチュエータAZの錘部WZが脱離しにくいように、Z軸アクチュエータAZの錘部WZの高さより深く設計される。Z軸アクチュエータAZがアクチュエータ保持部32に配置されたときに、Z軸アクチュエータAZの軸線LZが、レンズ駆動装置1のレンズ光軸Z1と平行になるように設計されている。
なお、Z軸圧電素子PZとZ軸駆動シャフトSZとの固定、Z軸圧電素子PZと錘部WZとの固定、および錘部WZとアクチュエータ保持部32との固定には、エポキシ接着剤等の接着剤を用いることができる。
また、Y軸可動体30には、Y軸アクチュエータAYが設けられたX軸可動体20の辺に対応する辺に、スライダー部34A、34Bが設けられている。
スライダー部34A、34Bは、Y軸可動体30のその他の部分よりも隆起しており、スライダー部34A、34Bの下には、Y軸アクチュエータAYおよびアクチュエータ保持部22が収容される空間が画成されている。
スライダー部34A、34Bは、Y軸方向において対向する第1のスライダー部34Aおよび第2のスライダー部34Bで構成されており、Y軸アクチュエータAYに沿うように延びて、Y軸アクチュエータAYを上側から覆っている。
第1のスライダー部34Aは、上方に延びる柱部34aと、第2のスライダー部34Bに向けて延びる片持梁部34bとで構成されている。ベース部材10からの高さ位置に関しては、柱部34aの高さ位置は、Y軸アクチュエータAYの軸線LYの高さ位置と略同じとなっている。片持梁部34bは、柱部34aに直交する方向に延びて、片持梁部34bの先端部がY軸アクチュエータAYのY軸駆動シャフトSYに達している。片持梁部34bの先端部には、下方に延びるシャフト保持部34cが設けられている。シャフト保持部34cは、Y軸アクチュエータAYのY軸駆動シャフトSYの先端部(すなわち、Y軸圧電素子PY側とは反対側の端部)に接して、上側からY軸アクチュエータAYのY軸駆動シャフトSYを保持している。シャフト保持部34cは、上述したX軸可動体20のシャフト保持部24d、24e同様、Y軸駆動シャフトSYを保持するためのU字状またはV字状の溝を有しており、Y軸駆動シャフトSYのY軸方向への移動を許容しつつY軸方向以外の方向への移動を制限している。
第2のスライダー部34Bは、上方に延びる柱部34dと、第1のスライダー部34Aに向けて延びる片持梁部34eとで構成されている。ベース部材10からの高さ位置に関しては、柱部34dの高さ位置は、Y軸アクチュエータAYの軸線LYの高さ位置と略同じとなっている。片持梁部34eは、柱部34dに直交する方向に延びて、片持梁部34eの先端部がY軸アクチュエータAYのY軸駆動シャフトSYに達している。片持梁部34eの先端部には、下方に延びるシャフト保持部34fが設けられている。シャフト保持部34fは、Y軸アクチュエータAYのY軸駆動シャフトSYの基端部(すなわち、Y軸圧電素子PY側の端部)に接して、上側からY軸アクチュエータAYのY軸駆動シャフトSYを保持している。シャフト保持部34fは、上述したX軸可動体20のシャフト保持部24d、24e同様、Y軸駆動シャフトSYを保持するためのU字状またはV字状の溝を有しており、Y軸駆動シャフトSYのY軸方向への移動を許容しつつY軸方向以外の方向への移動を制限している。
なお、第1のスライダー部34Aのシャフト保持部34cおよび第2のスライダー部34Bのシャフト保持部34fはいずれも、Y軸駆動シャフトSYとは接着剤等で固定されておらず、Y軸駆動シャフトSYはY軸方向に沿って摺動可能となっている。
Y軸アクチュエータAYの先端部側に位置する第1のスライダー部34Aの柱部34aにはバネ36が巻き付けられている。バネ36は、たとえば、ある程度の弾性を有する金属板材を用いて形成される。
柱部34aに巻き付けられたバネ36は、柱部34aに直交する方向に延びて、バネ36の先端部がY軸アクチュエータAYのY軸駆動シャフトSYに達している。
バネ36の先端部には、Y軸駆動シャフトSYと摩擦係合する摩擦係合部36aが設けられている。バネ36の摩擦係合部36aは、上述したバネ26の摩擦係合部26a同様、バネ36の先端部からY軸駆動シャフトSYの下面まで延びて、Y軸駆動シャフトSYの下面を所定の圧力で上方に付勢している。スライダー部34A、34Bは、シャフト保持部34c、34fによってY軸駆動シャフトSYを上側から保持しているため、Y軸駆動シャフトSYは、スライダー部34A、34Bのシャフト保持部34c、34fとバネ36とによって上下方向から把持されて摩擦係合されている。
そのため、Y軸アクチュエータAYの伸縮時に伸張時と収縮時との速度差を生じさせると、Y軸アクチュエータAYのY軸駆動シャフトSYに摩擦係合されたバネ36が、Y軸アクチュエータAYの伸縮方向(すなわち、Y方向)に駆動される。また、バネ36の駆動に伴い、バネ36に連結されたスライダー部34AおよびY軸可動体30も、Y軸アクチュエータAYの伸縮方向に駆動される。
また、Y軸可動体30の上面には、後述するレンズ枠体40を案内するガイド部37が設けられている。ガイド部37は、所定距離だけ離間されて立設された一対の角柱で構成されており、各角柱は光軸Z1方向に延びている。そして、ガイド部37の角柱間に、レンズ枠体40の一部が入り込んでおり、レンズ枠体40は角柱に沿って光軸Z1方向に案内される。
レンズ枠体40は、図2に示すように、レンズの光軸Z1方向と直交するように配置された円管状の部材であり、レンズ光軸Z1の方向に配向されている。レンズ枠体40はその中央に開口41を有し、開口41にはレンズ光軸Z1の向きにレンズLが取り付けられ得る。レンズLは、複数のレンズで構成されたレンズユニットであってもよく、単一のレンズであってもよい。レンズ枠体40の開口41は、ベース部材10に設けられた開口11、X軸可動体20に設けられた開口21、およびY軸可動体30に設けられた開口31と、略同じ寸法となるように設計されている。レンズ枠体40も、ベース部材10、X軸可動体20、およびY軸可動体30と同様の樹脂材料(液晶ポリマー等)で構成することができ、たとえば射出成形によって形成することができる。
レンズ枠体40の外周面には、上述したY軸可動体30のガイド部37の角柱間に嵌り込む突出部42が設けられている。突出部42の形状および寸法は、ガイド部37の角柱間に画成された空間の形状および寸法とほぼ同じであるが、該空間のほうがわずかに大きく、該空間に突出部42を嵌め込むことができる。レンズ枠体40の突出部42とガイド部37との嵌合により、レンズ枠体40のレンズ光軸Z1周りの回転が抑制されている。
また、レンズ枠体40の外周面には、後述する摩擦係合ユニット50のバネ部材52の後端部52bを収容してバネ部材52を位置決め固定する固定部43が設けられている。
さらに、レンズ枠体40の外周面には、Z軸アクチュエータAZに対応する位置に、Z軸アクチュエータAZのZ軸駆動シャフトSZを部分的に収容する略U字状の収容部44が設けられている。収容部44には、スライダー部材54が取り付けられている。
本実施形態では、バネ部材52とスライダー部材54とで摩擦係合ユニット50が構成されており、摩擦係合ユニット50によって、レンズ枠体40がZ軸アクチュエータAZに摩擦係合される。
バネ部材52は、弾性を有する帯状の金属製部材であり、レンズ枠体40の外周面に沿って配置されている。バネ部材52は、Z軸アクチュエータAZに接する先端部52aと、レンズ枠体40の固定部43に固定される固定端である後端部52bとを有する。バネ部材52の少なくとも先端部52aは、レンズ光軸Z1およびZ軸アクチュエータAZの軸線LZと直交するように配置される。バネ部材52は、一枚の金属板材を打ち抜き加工および曲げ加工等することで得られる。
スライダー部材54は、レンズ枠体40の収容部44の内側面に沿う略U字状の金属製部材である。スライダー部材54は、少なくとも2点において、収容部44に収容されるZ軸アクチュエータAZのZ軸駆動シャフトSZと接している。スライダー部材54は、金属板材を曲げ加工することで得られる。
Z軸アクチュエータAZは、バネ部材52の先端部52aとスライダー部材54との間においてZ軸駆動シャフトSZが挟まれる。摩擦係合ユニット50のバネ部材52の弾性によって、バネ部材52からスライダー部材54の方向に付勢されることで、摩擦係合ユニット50は、Z軸アクチュエータAZのZ軸駆動シャフトSZに摩擦係合される。
そのため、Z軸アクチュエータAZの伸縮時に伸張時と収縮時との速度差を生じさせると、Z軸アクチュエータAZのZ軸駆動シャフトSZに摩擦係合された摩擦係合ユニット50が、Z軸アクチュエータAZの伸縮方向(すなわち、光軸Z1方向)に駆動される。また、摩擦係合ユニット50の駆動に伴い、摩擦係合ユニット50のバネ部材52の後端部52bに連結されたレンズ枠体40も、Z軸アクチュエータAZの伸縮方向に駆動される。
次に、X軸可動体20およびY軸可動体30の支持構造について、図5、7、9、10を参照しつつ説明する。
図5に示すように、ベース部材10上には、複数個のボール(第1のボール)B1が配置されている。本実施形態では、10個のボールB1がベース部材10上に配置されている。そして、ボールB1が配置されたベース部材10の上にX軸可動体20を重ねることで、ボールB1をベース部材10とX軸可動体20との間に介在させている。それにより、ボールB1が、X軸可動体20を下方から支持する。
各ボールB1は、真球状となるように設計されており、金属等の導電材料で構成されている。ボールB1は、ベース部材10の外周縁を構成する4つの辺の全てに配置され、一箇所に偏らないように分散的に配置されている。
ベース部材10の上面には、ボールB1の下部を収容する複数の窪み部C1が設けられている。複数の窪み部C1は、ボールB1の数と同じ数だけ設けられており、本実施形態では、10個の窪み部C1が設けられている。各窪み部C1は、X軸方向に延びる溝状であり、ボールB1の直径と同じまたはボールB1の直径よりわずかに大きい溝幅を有している。
上記構成によれば、ボールB1は、ベース部材10上に設けられた窪み部C1内においてX軸方向に転動自在となっている。
また、図9に示すように、X軸可動体20の下面には、ボールB1の上部を収容する複数の窪み部D1が設けられている。複数の窪み部D1は、ベース部材10の窪み部C1に対応する位置に設けられており、窪み部C1と対向している。各窪み部D1は、X軸方向に延びており、ベース部材10の窪み部C1と同一形状および同一寸法を有している。そのため、ボールB1は、図10に示すように、ベース部材10の窪み部C1およびX軸可動体20の窪み部D1の両方に収容され、両窪み部C1、D1によって画成される空洞E1内において転動する。
窪み部C1の内面は、導電材料で構成された導電膜18で覆われている。導電膜18は、ベース部材10上に形成された所定の配線19に接続されている。ベース部材10上には、ベース部材10の側面に設けられた外部端子Tから延びる各種の配線19が形成されている。窪み部D1の内面も、導電材料で構成された導電膜28で覆われている。導電膜28は、X軸可動体20の下面に形成された所定の配線29に接続されている。導電膜18、28は、たとえば無電解めっき等によって形成され得る。
各ボールB1は、導電性を有するため、互いに接触するボールB1および導電膜18、28を介して、対応するベース部材10の配線19とX軸可動体20の配線29との導通が図られる。また、両窪み部C1、D1はいずれもX軸方向に延びているため、ボールB1を介して重なるベース部材10とX軸可動体20とは、X軸方向に関する相対移動のみが許容され、X軸方向以外の方向に関する相対移動が制限されている。光軸Z1方向から見て、ボールB1および窪み部C1、D1の位置を光軸Z1からより離れた位置とすることで、X軸可動体の相対移動がX軸方向から逸れにくくなる。
図7に示すように、X軸可動体20上にも、複数個のボール(第2のボール)B2が配置されている。本実施形態では、6個のボールB2がX軸可動体20上に配置されている。そして、ボールB2が配置されたX軸可動体20の上にY軸可動体30を重ねることで、ボールB2をX軸可動体20とY軸可動体30との間に介在させている。それにより、ボールB2が、Y軸可動体30を下方から支持する。
各ボールB2は、上述したボールB1同様、真球状となるように設計されており、金属等の導電材料で構成されている。ボールB2は、X軸可動体20の外周縁を構成する4つの辺の全てに配置され、一箇所に偏らないように分散的に配置されている。
X軸可動体20の上面には、ボールB2の下部を収容する複数の窪み部C2が設けられている。複数の窪み部C2は、ボールB2の数と同じ数だけ設けられており、本実施形態では、6個の窪み部C2が設けられている。各窪み部C2は、Y軸方向に延びる溝状であり、ボールB2の直径と同じまたはボールB2の直径よりわずかに大きい溝幅を有している。
上記構成によれば、ボールB2は、X軸可動体20上に設けられた窪み部C2内においてY軸方向に転動自在となっている。
また、図9に示すように、Y軸可動体30の下面には、ボールB2の上部を収容する複数の窪み部D2が設けられている。複数の窪み部D2は、X軸可動体20の窪み部C2に対応する位置に設けられており、窪み部C2と対向している。各窪み部D2は、Y軸方向に延びており、X軸可動体20の窪み部C2と同一形状および同一寸法を有している。そのため、ボールB2は、X軸可動体20の窪み部C2およびY軸可動体30の窪み部D2の両方に収容され、両窪み部C2、D2によって画成される空洞内において転動する。
両窪み部C2、D2の内面は、上述した窪み部C1、D1の内面と同様に、導電材料で構成された導電膜で覆われている。各導電膜は、X軸可動体20の上面およびY軸可動体30の下面にそれぞれ形成された所定の配線29、39に接続されている。
各ボールB2は、導電性を有するため、互いに接触するボールB2および導電膜を介して、対応するX軸可動体20の配線29とY軸可動体30の配線39との導通が図られる。また、両窪み部C2、D2はいずれもY軸方向に延びているため、ボールB2を介して重なるX軸可動体20とY軸可動体30とは、Y軸方向に関する相対移動のみが許容され、Y軸方向以外の方向に関する相対移動が制限されている。光軸Z1方向から見て、ボールB2および窪み部C2、D2の位置を光軸Z1からより離れた位置とすることで、Y軸可動体の相対移動がY軸方向から逸れにくくなる。
上述したベース部材10、X軸可動体20、およびY軸可動体30の各配線19、29、39は、各アクチュエータAX、AY、AZの圧電素子への電圧印加や、各方向における変位や振動を検出する磁気センサ60からの信号出力等に用いられる。磁気センサ60は、対向配置された磁石61の磁気的な変化を検出することで、X軸方向、Y軸方向および光軸方向における変位や振動を検出する。
次に、レンズ駆動部2に設けられた付勢部70について、図3、11、12を参照しつつ説明する。
図3に示すように、Y軸可動体30の上面には、レンズ枠体40が存在しない領域であってレンズ枠体40の周辺領域に、複数の付勢部70が設けられている。本実施形態では、3つの付勢部70が設けられている。各付勢部70は、図11に示すように、コイルバネ72とキャップ74とで構成されている。コイルバネ72は、その下端部がY軸可動体30に設けられた保持穴38aを有するバネ保持部38によって保持されており、光軸Z1方向に沿って延在している。キャップ74は、頂部72aおよび側周部72bを有している。頂部72aは、コイルバネ72の上端部が当接する部分であり、上側が凸となるように頂面が湾曲している。側周部72bは、コイルバネ72を囲う円管状の部分である。図11、12に示すように、キャップ74の内部には、頂部74aと側周部74bとで円柱状のキャビティ75が画成されている。キャビティ75の径は、コイルバネ72を収容できるようにコイルバネ72の径よりもわずかに大きく設計されている。キャビティ75の高さh1は、コイルバネ72のY軸可動体30の上面からの高さHよりも低く設計されている。そのため、図12に示すように、Y軸可動体30のバネ保持部38に収容されたコイルバネ72にキャップ74を完全に被せたときには、コイルバネ72はキャップ74の頂部74aによって下方に押されて圧縮状態となる。このとき、付勢部70には上向きの付勢力が生じる。
また、キャップ74の高さh2は、レンズ駆動部2にカバー3を取り付けたときの、カバー3とY軸可動体30の上面との光軸Z1方向における離間距離と同じになるように設計されている。そのため、レンズ駆動部2にカバー3を取り付けたときには、コイルバネ72が圧縮状態となり、付勢部70に生じた付勢力がカバー3を上向きに付勢するとともに、その反力で、Y軸可動体30が下向き(すなわち、ベース部材10の向き)に付勢される。その結果、付勢部70は、Y軸可動体30と、Y軸可動体30とベース部材10との間に介在するX軸可動体20とを、ベース部材10の向きに所定の圧力で押し付ける。この圧力は、コイルバネ72の太さや高さ、キャップ74のキャビティ75の高さ等を調整することによって調整可能である。複数の付勢部70は、均一な圧力となるように調整され得る。
以上において説明したとおり、レンズ駆動装置1は、レンズLを駆動するレンズ駆動装置であって、レンズLの光軸Z1方向と直交して配置されたベース部材10と、ベース部材10上にレンズLの光軸Z1方向と直交して配置され、ベース部材10に対してX軸方向(第1の方向)に移動可能なX軸可動体20(第1の可動体)と、ベース部材10に設けられ、ベース部材10とX軸可動体20とをX軸方向に相対移動させるX軸アクチュエータAX(第1のアクチュエータ)と、レンズLの光軸Z1方向に配向され、Y軸可動体30を介してX軸可動体20に取り付けられたレンズ枠体40と、ベース部材10とX軸可動体20との間に介在して、X軸可動体20を支持するボールB1(第1のボール)と、ベース部材10の上面およびX軸可動体20の下面の両方に設けられた、ボールB1を収容する窪み部C1、D1(第1の窪み部)とを備える。
レンズ駆動装置1においては、X軸アクチュエータAXが駆動して、X軸可動体20がベース部材10に対してX軸方向に移動するときに、窪み部C1、D1に収容されたボールB1がX軸可動体20を支持する。このとき、X軸可動体20を支持するボールB1は、窪み部C1、D1内において転動するため、X軸アクチュエータAXの駆動を阻害しない。そのため、X軸アクチュエータAXは高い位置精度でX軸可動体20を移動させることができ、レンズ駆動の安定化が図られる。
なお、ベース部材10とX軸可動体20とをX軸方向に相対移動させるX軸アクチュエータAXは、X軸可動体20ではなく、ベース部材10に設けてもよい。
また、ボールB1を収容する窪み部は、必ずしも、ベース部材10の上面およびX軸可動体20の下面の両方に設ける必要はなく、いずれか一方の面のみに設けても、上述した効果と同様の効果を奏する。
さらに、必要に応じて、X軸可動体20にレンズ枠体40を直接取り付けて、Y軸可動体30を省略することもできる。
また、窪み部C1、D1がX軸方向に延びた形状を有しているため、ボールB1を介して重なるベース部材10とX軸可動体20とは、X軸方向に関する相対移動のみが許容され、X軸方向以外の方向に関する相対移動が制限されている。したがって、X軸可動体20は高い精度でX軸方向に案内され、レンズ駆動のさらなる安定化が図られる。
上述した実施形態では、一方向に延びた形状の窪み部C1、D1を示しているが、平面視にて真円形状を呈するボウル状の窪み部であってもよい。ボウル状の窪み部の径は、ボールB1の径と同一またはボールB1の径より大きくすることができる。
その上、レンズ駆動装置1は、X軸可動体20と上にレンズLの光軸Z1方向と直交して配置され、第1の可動体に対して、Y軸方向(第2の方向;すなわち、レンズLの光軸Z1方向およびX軸方向と直交する方向)に移動可能なY軸可動体30(第2の可動体)と、X軸可動体20に設けられ、X軸可動体20とY軸可動体30とをY軸方向に相対移動させるY軸アクチュエータAY(第2のアクチュエータ)と、X軸可動体20とY軸可動体30との間に介在して、Y軸可動体30を支持するボールB2(第2のボール)と、X軸可動体20の上面およびY軸可動体30の下面の両方に設けられた、ボールB2を収容する窪み部C2、D2(第2の窪み部)とを備えている。
そのため、Y軸アクチュエータAYが駆動して、Y軸可動体30がX軸可動体20に対してY軸方向に移動するときに、窪み部C2、D2に収容されたボールB2がY軸可動体30を支持する。このとき、Y軸可動体30を支持するボールB2は、窪み部C2、D2内において転動するため、Y軸アクチュエータAYの駆動を阻害しない。そのため、X軸アクチュエータAXと同様に、Y軸アクチュエータAYも、高い位置精度でY軸可動体30を移動させることができ、レンズ駆動のさらなる安定化が図られる。
なお、X軸可動体20とY軸可動体30とをY軸方向に相対移動させるY軸アクチュエータAYは、Y軸可動体30ではなく、X軸可動体20に設けてもよい。
また、ボールB2を収容する窪み部は、必ずしも、X軸可動体20の上面およびY軸可動体30の下面の両方に設ける必要はなく、いずれか一方の面のみに設けても、上述した効果と同様の効果を奏する。
上述した実施形態では、一方向に延びた形状の窪み部C2、D2を示しているが、平面視にて真円形状を呈するボウル状の窪み部であってもよい。ボウル状の窪み部の径は、ボールB2の径と同一またはボールB2の径より大きくすることができる。
レンズ駆動装置1では、ボールB1が導電材料で構成され、かつ、窪み部C1、D1の内面が導電材料で覆われており、ボールB1が、ベース部材10とX軸可動体20との間の配線の一部を構成している。そのため、ボールB1はX軸可動体20を支持する部材として利用されるだけでなく、配線の一部としても利用されている。ボールB1は、必ずしもボール全体が導電材料で構成されている必要はなく、少なくとも表面が導電材料で構成されていれば、配線の一部として利用可能である。
レンズ駆動装置1では、Y軸可動体30およびX軸可動体20をベース部材10に向けて付勢する付勢部70を備えている。このような付勢部70により、X軸可動体20とベース部材10との間には両者が互いに近づく向きの付勢力が加わり、両者の間に介在するボールB1との密着性が高まる。同様に、Y軸可動体30とX軸可動体20との間にも両者が互いに近づく向きの付勢力が加わり、両者の間に介在するボールB2との密着性が高まる。それにより、ベース部材10に対するX軸可動体20およびY軸可動体30の位置安定性が向上し、レンズ駆動のさらなる安定化が図られる。
なお、X軸可動体20にレンズ枠体40を直接取り付けて、Y軸可動体30を省略した場合には、X軸可動体20をベース部材10に向けて付勢する付勢部とすることができる。
レンズ駆動装置1では、ボールB2が導電材料で構成され、かつ、第2の窪み部の内面が導電材料で覆われており、ボールB2が、X軸可動体20とY軸可動体30との間の配線の一部を構成している。そのため、ボールB2はY軸可動体30を支持する部材として利用されるだけでなく、配線の一部としても利用されている。ボールB2は、必ずしもボール全体が導電材料で構成されている必要はなく、少なくとも表面が導電材料で構成されていれば、配線の一部として利用可能である。
また、窪み部C2、D2がY軸方向に延びた形状を有しているため、ボールB2を介して重なるX軸可動体20とY軸可動体30とは、Y軸方向に関する相対移動のみが許容され、Y軸方向以外の方向に関する相対移動が制限されている。したがって、Y軸可動体30は高い精度でY軸方向に案内され、レンズ駆動のさらなる安定化が図られる。
レンズ駆動装置1では、ボールB1を複数備えるとともにボールB1と同数の窪み部C1、D1を備え、かつ、ボールB2を複数備えるとともにボールB2と同数の窪み部C2、D2を備え、ボールB1および窪み部C1、D1の数がボールB2および窪み部C2、D2の数よりも多くなっている。X軸可動体20がY軸可動体30を支持しており、X軸可動体20の安定性がY軸可動体30の安定性に影響する。そのため、ボールB1および窪み部C1、D1の数を多くして、X軸可動体20の安定性が高まれば、Y軸可動体30の安定性も高まる。
なお、レンズ駆動装置は、上述した実施形態に限らず、様々に変形することができる。 たとえば、各アクチュエータの構成は、光軸方向や光軸に直交する方向(X軸方向やY軸方向)に可動体を駆動できる構成であれば、上述した構成に限定されない。
また、付勢部は、X軸可動体20およびY軸可動体30をベース部材10に向けて付勢できる構成であれば、上述した構成に限定されない。付勢部は、たとえば柱状の弾性体(シリコーンゴム等)のみで構成することもできる。
互いに対面する窪み部の形状は、必ずしも同一形状や同一寸法である必要はなく、互いに異なる寸法や形状であってもよい。