JP2008134329A - 像ぶれ補正装置、レンズ鏡筒及び撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】先行技術の像ぶれ補正装置では、第1のレンズの凸状球面の球心位置と第2のレンズの凹状球面の球心位置が異なる位置にあると、第1のレンズの光軸が第2のレンズの光軸を含むレンズ系の光軸からずれてしまうと共に焦点もずれてしまうため、高精度な像ぶれ補正を行うことができないという課題がある。
【解決手段】凸状球面2aを有する第1のレンズ2と、第1のレンズ2を保持する保持枠3と、凸状球面2aに対向される凹状球面4aを有する第2のレンズ4と、第2のレンズ4を保持すると共に、少なくとも3つの球体6を介して保持枠3を相対的に移動可能に支持する支持枠5と、保持枠3と支持枠5を相対的に移動させる電動アクチュエータ7A,7Bと、を備えて像ぶれ補正装置1を構成した。そして、凸状球面2aと凹状球面4aの間に3つの球体を介在させ、それら凸状球面2a及び凹状球面4aを傾動球面とすると共に、凸状球面2aと凹状球面4aの球心位置を第1のレンズ2及び第2のレンズ4の光軸上で一致させた。
【選択図】図1
【解決手段】凸状球面2aを有する第1のレンズ2と、第1のレンズ2を保持する保持枠3と、凸状球面2aに対向される凹状球面4aを有する第2のレンズ4と、第2のレンズ4を保持すると共に、少なくとも3つの球体6を介して保持枠3を相対的に移動可能に支持する支持枠5と、保持枠3と支持枠5を相対的に移動させる電動アクチュエータ7A,7Bと、を備えて像ぶれ補正装置1を構成した。そして、凸状球面2aと凹状球面4aの間に3つの球体を介在させ、それら凸状球面2a及び凹状球面4aを傾動球面とすると共に、凸状球面2aと凹状球面4aの球心位置を第1のレンズ2及び第2のレンズ4の光軸上で一致させた。
【選択図】図1
Description
本発明は、撮影時の振動等によって発生する像ぶれを補正する像ぶれ補正装置、その像ぶれ補正装置を有するレンズ鏡筒、及びそのレンズ鏡筒を備えたデジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置に関するものである。
近年、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置の性能向上には目覚しいものがあり、高画質、高性能の静止画や動画の撮影が、誰にでも簡単に行うことが可能になった。このような撮像装置の性能向上は、レンズ、撮像素子(CCD、CMOS等)、画像処理回路の高性能化によるところが大である。
しかしながら、いくらレンズや撮像素子等の高性能化を図っても、カメラ(撮像装置)を支える手に震えや揺れが生じると、せっかくの高解像度とされた画面にぶれが発生し、像がぶれて写ってしまうことになる。そのため、比較的高価な一部のカメラにおいては、撮影時の手ぶれ等によって発生する像ぶれを補正する像ぶれ補正装置が搭載されている。ところが、本来像ぶれ補正を必要とするカメラは、撮影を職業とするプロが使用するような高級機種ではなく、むしろ撮影経験の少ない大多数の公衆が使用する普及モデルにこそ必要とされるものである。
また、一般に、カメラ(撮像装置)には小型化、軽量化の要望が強く、軽くて持ち易いカメラが好まれている。ところが、従来の像ぶれ補正装置は比較的大きなものであった。そのため、この従来の像ぶれ補正装置をカメラ本体に搭載すると、カメラ全体が大きなものとなり、小型化、軽量化の要望に反する結果となる。しかも、従来の像ぶれ補正装置には多数の部品が必要とされており、部品点数の増加によるコストアップが大きいという問題があった。
従来の像ぶれ補正装置の例としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1にはステージ板を直交する2方向に直線移動させるステージ装置、及びこのステージ装置を利用したカメラの手振れ補正装置に関するものが記載されている。この特許文献1に記載されたカメラの手振れ補正装置は、「ステージ装置を利用したカメラの手振れ補正装置であって、上記ステージ装置を内蔵するカメラと、上記Y方向移動部材の前面に固定された、カメラ光学系の結像面に撮像面を有する撮像素子と、上記カメラの振動を検出する振動検出センサと、該振動検出センサが検出した振動情報に基づいて、上記Xアクチュエータまたは上記Yアクチュエータを、手振れを補正するように駆動させる制御手段と、を備える」ことを特徴としている。
このカメラの手振れ補正装置に利用したステージ装置は、「固定支持基板と、該固定支持基板上に、X方向案内手段を介して、特定のX方向にのみ移動可能として支持されたX方向移動部材と、該X方向移動部材上に、Y方向案内手段を介して、上記X方向移動部材と平行で上記X方向と直交するY方向にのみ移動可能として支持されたY方向移動部材と、を備えたステージ装置において、上記X方向移動部材に、仮想三角形の各頂点部分に位置させてそれぞれ貫通孔からなるボール回転支持孔を形成し、各ボール回転支持孔に、上記固定支持基板及びY方向移動部材に接触するボールを全方向に回転可能に嵌合した」ことを特徴としている。
この特許文献1に記載された発明によれば、「X方向移動部材とY方向移動部材が固定支持基板に対してがたつかないので、ステージ装置は常に円滑に動作する(段落番号[0017]参照)」の効果が期待される。
特開2006−108956号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたカメラの手振れ補正装置では、固定支持基盤上に、X方向のみに移動するX方向移動部材を設け、このX方向移動部材上にY方向のみに移動するY方向移動部材を設けている。そして、Y方向移動部材に補正レンズを設けることにより、その補正レンズをレンズ系の光軸に直交するX方向及びY方向に移動させて像ぶれ補正を行っていた。その結果、補正レンズによって像ぶれ補正された撮影画像の光軸が撮像素子(CCD)の中央に集光されず、高精度な像ぶれ補正を行うことができないという問題があった。
このような問題点に鑑みるとき、凸状球面を有する第1のレンズと凹状球面を有する第2のレンズを、凸状球面と凹状球面の間に球体を介在させて対向させ、これら第1のレンズと第2のレンズにより像ぶれ補正を行う補正レンズを構成する。そして、レンズ系の光軸上の点を回動中心として第1のレンズを第2のレンズに対して相対的に傾動させる。これにより、第1のレンズ及び第2のレンズによって像ぶれ補正された撮影画像の光軸を撮像素子(CCD)の中央に集光することが可能となる。
しかしながら、このような第1のレンズ及び第2のレンズを有する像ぶれ補正装置では、球体を介して第1のレンズを傾動させる場合、第1のレンズが第2のレンズの凹状球面に沿って傾動される。そして、第1のレンズの凸状球面の球心位置と第2のレンズの凹状球面の球心位置が異なる位置にあると、第1のレンズの光軸が第2のレンズの光軸からずれてしまうと共に焦点もずれてしまい、光学性能が低くなるという問題があった。
このような問題点を、図32A〜図32Cを参照して詳しく説明する。図32Aは、凸状球面を有する第1のレンズと凹状球面を有する第2のレンズを備えた先行技術に係る像ぶれ補正装置を模式的に表した説明図である。この像ぶれ補正装置300は、凸状球面301aを有する第1のレンズ301と、凹状球面302aを有する第2のレンズ302と、第1のレンズ301の凸状球面301aと第2のレンズ302の凹状球面302aの間に介在される複数の球体303a,303b(図32A等ではそのうちの2つを示す)と、第1のレンズ301を第2のレンズ302の光軸Laと直交する方向に傾動させるための図に表れない駆動部等を備えて構成されている。
第1のレンズ301の凸状球面301aは、半径R1の球面とされており、その凸状球面301aの球心位置(第1の球心位置)O1は第1のレンズ301と第2のレンズ302からなるレンズ系の光軸La上に設定されている。また、第2のレンズ302の凹状球面302aは、半径R2の球面とされており、その凹状球面302aの球心位置O2は、同じく光軸La上に設定されている。この第2のレンズ302の凹状球面302aの半径R2は、第1のレンズ301の凸状球面301aの半径R1よりも大きく設定されており(R2>R1)、凸状球面301aの第1の球心位置O1と凹状球面302aの第2の球心位置O2とは、光軸La上の異なる位置となっている。
このような構成を有する像ぶれ補正装置300において、図に表れない駆動部を駆動することにより、第2のレンズ302に対して第1のレンズ301を所望の方向に傾動させるものとする。このとき、図32Bに示すように、第1のレンズ301を、第2のレンズ302の第2の球心位置O2を回動中心としてZ1方向に傾動しようとすると、第1のレンズ301の凸状球面301aの第1の球心位置O1と第2のレンズ302の凹状球面302aの第2の球心位置O2が異なるため、両球面301a,302aの間の隙間が凸状球面301aの位置によって相違する。その結果、第1のレンズ301と第2のレンズ302との間に介在された複数の球体303a,303bが、それぞれ位置している場所に応じて、一方の球面(例えば凸状球面301a)から離れて非接触の状態となったり、一方の球面(例えば凸状球面301a)に食い込んでしまったりして、第1のレンズ301の傾動が不可能な状態となる。
また、図32Cに示すように、第1のレンズ301の凸状球面301a及び第2のレンズ302の凹状球面302aと複数の球体303a,303bの各接触状態を維持して、即ち、各接触点における隙間が一定の状態で、第1のレンズ301をZ2方向に傾どうさせると、第2のレンズ302に対する第1のレンズ301の傾き角の変化の割合が大きくなる。このとき、第1のレンズ301と第2のレンズ302からなるレンズ系の焦点距離は一定であるため、第2の球心位置O2が図32Cにおいて光軸Laから離れる左方向へ距離nだけずれると共に、光軸La方向においても第1のレンズ301に近づく方向にへ距離mだけずれることになる。これにより、このレンズ系の焦点が第2の球心位置O2から変移点O3に変移することになる。その結果、焦点が光軸Laに沿って距離mだけずれることにより、そのずれる量に応じてレンズ系を通る被写体の像がぼやけてしまい、高精度な像ぶれ補正を行うことができないという問題がある。
本発明は、このような先行技術の問題点に鑑みてなされたものであり、2つのレンズを相対的に傾動した場合にも、焦点の位置を所定位置あるいは所定位置の近傍に維持することができ、高い精度で像ぶれ補正を行うことができるようにする。
図33A及び図33Bは、本発明の概念を説明するための説明図である。図33A,図33Bにおいて、本発明の概念を説明する像ぶれ補正装置310が、図32A,図32Bに示す先行技術に係る像ぶれ補正装置300と異なるところは第1のレンズのみである。そのため、共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略し、異なる部分である第1のレンズを中心に説明する。
像ぶれ補正装置310の第1のレンズ311は、第2のレンズ302の凹状球面302aに対向される凸状球面311aを有している。この凸状球面311aは、半径R3の球面とされており、その球心位置は、凹状球面302aの球心位置O2と一致されている。従って、各球体303a,303bの直径をdとすると、凹状球面302aの半径R2は、凸状球面311aの半径R3に球体303a,303bの直径dを足したものとなる(R2=R3+d)。
このような構成を有する像ぶれ補正装置300において、図に表れない駆動部を駆動することにより、第2のレンズ302に対して第1のレンズ311を所望の方向に傾動させるものとする。このとき、図33Bに示すように、第1のレンズ311の凸状球面311aの球心位置O2が第2のレンズ302の凹状球面302aの球心位置O2と一致している。そのため、球心位置O2を回動中心として第1のレンズ311を傾動させることにより、第1のレンズ311の光軸Lbの位置が光軸Laに対してずれたり焦点がずれたりすることがなく、高精度な像ぶれ補正を行うことができる。本発明は、このような概念を基に構成されている。
解決しようとする問題点は、従来の像ぶれ補正装置では、補正レンズをレンズ系の光軸と直交する方向にスライド移動させて像ぶれの補正を行っていたため、スライド時の摩擦抵抗が大きいことから駆動力の大きなアクチュエータが必要とされると共に、像ぶれ補正された撮影画像の光軸が撮像素子(CCD)の中央に集光されず、高精度な像ぶれ補正を行うことができないという問題があった。
この問題の解決手段として、凸状球面を有する第1のレンズと凹状球面を有する第2のレンズとの組み合わせによってレンズ系を構成すると共に、それら凸状球面と凹状球面の間に複数の球体を介在させ、レンズ系の光軸上の点を回動中心として第1のレンズを第2のレンズに対して相対的に傾動させる像ぶれ補正装置が考えられる。このような構成を有する像ぶれ補正装置によれば、第1のレンズと第2のレンズの間に介在された複数の球体によって傾動時の摩擦抵抗を大幅に軽減できるため、傾動動作させるための駆動力を著しく小さなものとすることができ、アクチュエータの小型化を図ることができる。しかしながら、そのように構成すると、第1のレンズの凸状球面の球心位置と第2のレンズの凹状球面の球心位置とが異なる位置にあるため、傾動時に第1のレンズと第2のレンズの焦点がずれてしまい、光学性能が低下して高精度な像ぶれ補正を行うことができない、という不十分な点がある。
本発明の像ぶれ補正装置は、凸状球面を有する第1のレンズと、第1のレンズを保持する保持枠と、凸状球面に対向される凹状球面を有する第2のレンズと、第2のレンズを保持すると共に、少なくとも3つの球面ガイドを介して保持枠を相対的に移動可能に支持する支持枠と、保持枠と支持枠を相対的に移動させるアクチュエータと、を備えている。そして、保持枠側の部材及び支持枠側の部材の少なくとも一方には、球面ガイドが接触する傾動球面を設けると共に、その傾動球面の球心位置と凸状球面及び/又は凹状球面の球心位置を第1のレンズ及び第2のレンズの光軸上で一致させ又は略一致させたことを最も主要な特徴とする。
本発明のレンズ鏡筒は、レンズ系が収納された筒体と、レンズ系の像ぶれを補正する像ぶれ補正装置と、を備えたレンズ鏡筒である。このレンズ鏡筒の像ぶれ補正装置は、凸状球面を有する第1のレンズと、第1のレンズを保持する保持枠と、凸状球面に対向される凹状球面を有する第2のレンズと、第2のレンズを保持すると共に、少なくとも3つの球面ガイドを介して保持枠を相対的に移動可能に支持する支持枠と、保持枠と支持枠を相対的に移動させるアクチュエータと、を備えている。そして、保持枠側の部材及び支持枠側の部材の少なくとも一方には、球面ガイドが接触する傾動球面を設けると共に、その傾動球面の球心位置と凸状球面及び/又は凹状球面の球心位置を第1のレンズ及び第2のレンズの光軸上で一致させ又は略一致させたことを特徴とする。
また、本発明の撮像装置は、レンズ系が収納された筒体と、レンズ系の像ぶれを補正する像ぶれ補正装置と、を有するレンズ鏡筒を備えた撮像装置である。この撮像装置に係る像ぶれ補正装置は、レンズ系が収納された筒体と、レンズ系の像ぶれを補正する像ぶれ補正装置と、を備えたレンズ鏡筒である。このレンズ鏡筒の像ぶれ補正装置は、凸状球面を有する第1のレンズと、第1のレンズを保持する保持枠と、凸状球面に対向される凹状球面を有する第2のレンズと、第2のレンズを保持すると共に、少なくとも3つの球面ガイドを介して保持枠を相対的に移動可能に支持する支持枠と、保持枠と支持枠を相対的に移動させるアクチュエータと、を備えている。そして、保持枠側の部材及び支持枠側の部材の少なくとも一方には、球面ガイドが接触する傾動球面を設けると共に、その傾動球面の球心位置と凸状球面及び/又は凹状球面の球心位置を第1のレンズ及び第2のレンズの光軸上で一致させ又は略一致させたことを特徴とする。
本発明の像ぶれ補正装置、レンズ鏡筒及び撮像装置によれば、像ぶれ補正された撮影画像の光軸が撮像素子(CCD)の中央に集光することができると共に、第1のレンズ及び第2のレンズの光軸がレンズ系の光軸に対してずれることや、焦点がずれることを防止若しくは抑制することができ、高精度な像ぶれ補正を行うことができる。
第1のレンズを保持する保持枠側の部材及び第2のレンズを保持する支持枠側の部材の少なくとも一方に球面ガイドが接触する傾動球面を設け、その傾動球面の球心位置と第1のレンズの凸状球面及び/又は第2のレンズの凹状球面の球心位置を第1のレンズ及び第2のレンズの光軸上で一致させ又は略一致させたことにより、高精度な像ぶれ補正を行うことができる像ぶれ補正装置、レンズ鏡筒及び撮像装置を、簡単な構造によって実現した。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。図1〜図31は、本発明の実施の形態の例を説明するものである。即ち、図1は本発明の像ぶれ補正装置の第1の実施の例を示す斜視図、図2は平面図、図3は正面図、図4は左側面図、図5は図2に示すA−A線部分の断面図、図6は図2に示すB−B線部分の断面図、図7は分解斜視図、図8は構成部品を示す斜視図である。図9Aは第1の保持枠を第1の方向の一方(+)に傾動させた状態の説明図、図9Bは第1の保持枠を第1の方向の他方(−)に傾動させた状態の説明図、図10Aは第1の保持枠を第2の方向の一方(+)に傾動させた状態の説明図、図10Bは第1の保持枠を第2の方向の他方(−)に傾動させた状態の説明図、図11は本発明の像ぶれ補正装置に係る2つのホール素子の配置を説明する説明図、図12はマグネットに対するホール素子の位置と磁束密度との関係を示す説明図である。
図13Aは本発明の像ぶれ補正装置の第2の実施の例を示す平面図、図13Bは図13AのA−A線部分の断面図、図13Cは図13AのB−B線部分の断面図である。図14A,図14Bは本発明の像ぶれ補正装置の第3の実施の例を示す断面図、図15A,図15Bは本発明の像ぶれ補正装置の第4の実施の例を示す断面図、図16A,図16Bは本発明の像ぶれ補正装置の第5の実施の例を示す断面図、図17A,図17Bは本発明の像ぶれ補正装置の第6の実施の例を示す断面図、図18A,図18Bは本発明の像ぶれ補正装置の第7の実施の例を示す断面図、図19は図18A,図18Bに示す球体保持部の説明図、図20A,図20Bは本発明の像ぶれ補正装置の第8の実施の例を示す断面図、図21は図20A,図20Bに示す球面突起の説明図である。
図22〜図24は本発明のレンズ鏡筒の第1の実施の例を示すもので、図22は斜視図、図23Aは正面図、図23Bは左側面図、図24はレンズ系の配置を説明する説明図である。図25〜図28は本発明の撮像装置の第1の実施の例を示すもので、図25は正面側から見た斜視図、図26はレンズカバーを移動させて対物レンズを露出した斜視図、図27は背面図、図28は平面図である。図29は本発明の像ぶれ補正装置の制御概念を説明するブロック図、図30は本発明に係る撮像装置の概略構成の第1の実施の形態を示すブロック図、図31は同じく撮像装置の概略構成の第2の実施の形態を示すブロック図である。
図1〜図12に示す本発明の像ぶれ補正装置の第1の実施の例は、ムービングマグネット方式の駆動機構を備えた像ぶれ補正装置1として構成したものである。この像ぶれ補正装置1は、図1〜図8に示すように、凸状球面2aを有する凸レンズからなる第1のレンズ2と、この第1のレンズ2を保持する保持枠3と、凹状球面4aを有する凹レンズからなる第2のレンズ4と、球面ガイドの第1の具体例を示す少なくとも3つの球体6と、第2のレンズ4を保持すると共に3つの球体6を介して保持枠3を相対的に移動可能に支持する支持枠5と、保持枠3と支持枠5を相対的に移動させるアクチュエータの一具体例を示す2つの電動アクチュエータ7A,7B等を備えて構成されている。
第1のレンズ2は、後述するカメラ本体に手の震え等による揺れが生じたときに、そのときの像ぶれ量に対応してその姿勢を傾けて(傾動させて)像ぶれを補正するものである。
この第1のレンズ2は、図5及び図6等に示すように、凸状球面2aを第2のレンズ4の凹状球面4aに対向させた状態で保持枠3に固定されている。第1のレンズ2の凸状球面2aと反対側の面は、当該第1のレンズ2の光軸と垂直をなす平面とされている。
この第1のレンズ2は、図5及び図6等に示すように、凸状球面2aを第2のレンズ4の凹状球面4aに対向させた状態で保持枠3に固定されている。第1のレンズ2の凸状球面2aと反対側の面は、当該第1のレンズ2の光軸と垂直をなす平面とされている。
図7及び図8に示すように、保持枠3は、円形の筒体からなるレンズ固定部11と、このレンズ固定部11に連続して半径方向外側に突出する第1のマグネット固定部12A及び第2のマグネット固定部12B等を備えて構成されている。レンズ固定部11の筒穴11aは、第1のレンズ2に見合った大きさに設定されており、この筒穴11aに第1のレンズ2が接着剤等の固着手段により固定されて一体に取り付けられている。
2つのマグネット固定部12A,12Bは、レンズ固定部11の筒穴11a挟んで対称となる位置に設けられており、両マグネット固定部12A,12Bを結ぶ方向が第1の方向Xとされている。これら2つのマグネット固定部12A,12Bは、それぞれ2つの突起片14,14を有している。2つの突起片14,14は、それぞれ第2の方向Yに所定の間隔をあけて互いに対をなすように設けられている。
2つのマグネット固定部12A,12Bのうち、第1のマグネット固定部12Aの突起片14,14間には、第1の電動アクチュエータ7Aの一部を構成するマグネット21Aとバックヨーク22Aが接着剤や固定ねじ等の固着方法によって固定されている。また、第2のマグネット固定部12Bの突起片14,14間には、第2の電動アクチュエータ7Bの一部を構成するマグネット21Bとバックヨーク22Bが接着剤や固定ねじ等の固着方法によって固定されている。
2つのマグネット21A,21Bは、それぞれ四角形の平板状として同一形状に形成されていると共に、所定の方向に強さの等しい磁力が発生するように着磁されている。即ち、2つのマグネット21A,21Bは、その平面方向と直交する厚み方向を2等分するように極性を異ならせて構成されている。この実施例では、図5等に示すように、両マグネット21A,21Bとも支持枠5に対向される側にN極が設定され、支持枠5と反対側にS極が設定されている。しかしながら、マグネット21A,21Bの極性の配置は、この実施例と逆であってもよく、また、一方のマグネットでは支持枠5に対向される側にN極を設定し、他方のマグネットでは支持枠5に対向される側にS極を設定してもよい。
図8等に示すように、2つのバックヨーク22A,22Bは、それぞれ四角形の平板状として同一形状に形成され、平面の大きさが2つのマグネット21A,21Bと同じ大きさに設定されている。これら2つのバックヨーク22A,22Bは、2つのマグネット21A,21Bの一面(支持枠5と反対側の面)にそれぞれ接着剤等の固着方法によって固定されている。
第2のレンズ4は、凹状球面4aを第1のレンズ2の凸状球面2aに対向させた状態で支持枠5に固定されている。第2のレンズ4の凹状球面4aと反対側の面は、当該第2のレンズ4の光軸と垂直をなす平面とされている。
支持枠5は、略長方形をなして適度な厚さを有する板体からなっている。この支持枠5は、中央部に設けたレンズ用凹部31と、一面に凹部を形成することによって設けた第1のコイル用凹部32A及び第2のコイル用凹部32Bと、それらコイル用凹部32A,32Bにそれぞれ設けられたヨーク用嵌合穴33A,33Bを有している。レンズ用凹部31は、第2のレンズ4に見合った大きさに設定されており、その底面部には円形の貫通穴31aが設けられている。このレンズ用凹部31には、第2のレンズ4が接着剤等の固着手段により固定されて一体に取り付けられている。
2つのコイル用凹部32A,32Bは、支持枠5の第1の方向Xに平行とされた長手方向の両端部に設けられている。これらコイル用凹部32A,32Bは、四角形に形成されていて、そのうちの一辺が支持枠5の2つ短辺にそれぞれ連続されている。2つのヨーク用嵌合穴33A,33Bは、四角形の角穴に形成されており、それぞれ2つのコイル用凹部32A,32Bの中央部に開口されている。これら2つのヨーク用嵌合穴33A,33Bが設けられた位置は、保持枠3に取り付けた2つのマグネット21A,21Bに対応する位置とされている。
支持枠5のヨーク用嵌合穴33Aには、第1の電動アクチュエータ7Aの一部を構成する対向ヨーク23Aが接着剤や固定ねじ等の固着方法によって固定されている。また、ヨーク用嵌合穴33Bには、第2の電動アクチュエータ7Bの一部を構成する対向ヨーク23Bが接着剤や固定ねじ等の固着方法によって固定されている。
2つの対向ヨーク23A,23Bは、保持枠3に取り付けた2つのバックヨーク22A,22Bと同一のものであり、四角形の平板として形成されている。これら2つの対向ヨーク23A,23Bは、像ぶれ補正装置1の組み立て状態において、2つのマグネット21A,21Bにそれぞれ対向される。そして、2つのマグネット21A,21Bがその磁力によって2つの対向ヨーク23A,23Bに引き寄せられることにより、保持枠3が3つの球体6を介して支持枠5に付勢される。
支持枠5の第1のコイル用凹部32Aには、第1の電動アクチュエータ7Aの一部を構成する第1のコイル24Aと第2のコイル25Aが配置されている。これら第1のコイル24A及び第2のコイル25Aは、フレキシブル配線板27Aに搭載されており、第1のコイル24Aがフレキシブル配線板27Aの下面に接着剤等の固着方法によって固定され、第2のコイル25Aがフレキシブル配線板27Aの上面に接着剤等の固着方法によって固定されている。
また、支持枠5の第2のコイル用凹部32Bには、第2の電動アクチュエータ7Bの一部を構成する第1のコイル24Bと第2のコイル25Bが配置されている。これら第1のコイル24B及び第2のコイル25Bは、フレキシブル配線板27Bに搭載されており、第1のコイル24Bがフレキシブル配線板27Bの上面に接着剤等の固着方法によって固定され、第2のコイル25Bがフレキシブル配線板27Bの下面に接着剤等の固着方法によって固定されている。
第1のコイル24A,24B及び第2のコイル25A,25Bは、平面的に巻回された略楕円形をなす偏平コイルからなり、それぞれが1本のコイル線を巻回することによって形成されている。そして、第1のコイル24A及び第2のコイル25Aは、フレキシブル配線板27Aの一面に設けた所定の配線パターンとそれぞれ電気的に接続され、第1のコイル24B及び第2のコイル25Bは、フレキシブル配線板27Bの一面に設けた所定の配線パターンとそれぞれ電気的に接続されている。
図8に示すように、第1のコイル24A,24Bにおいて、幅方向に対向する長辺側の一方の直線部分が、それぞれアクチュエータとして推力を発生する推力発生部24aとなっている。これら第1のコイル24A,24Bは、それぞれの推力発生部24aが延在する方向を第1の方向Xと直交する方向に向けて配設されている。また、第2のコイル25A,25Bにおいて、幅方向に対向する長辺側の一方の直線部分が、それぞれアクチュエータとして推力を発生する推力発生部25aとなっている。これら第2のコイル25A,25Bは、ぞれぞれの推力発生部25aが延在する方向を第2の方向Yと直交する方向に向けて配設されている。
像ぶれ補正装置1を組み立てた状態において、第1のコイル24Aの推力発生部24aと第2のコイル25Aの推力発生部25aには、マグネット21Aの一方の磁極部(この実施の例ではN極)が対向される。また、第1のコイル24Bの推力発生部24aと第2のコイル25Bの推力発生部25aには、マグネット21Bの一方の磁極部(この実施の例ではN極)が対向される。
上述した第1のコイル24Aと、第2のコイル25Aと、マグネット21Aと、バックヨーク22Aと、対向ヨーク23Aにより、第1の電動アクチュエータ7Aが構成されている。そして、第1のコイル24Bと、第2のコイル25Bと、マグネット21Bと、バックヨーク22Bと、対向ヨーク23Bにより、第2の電動アクチュエータ7Bが構成されている。これら2つの電動アクチュエータ7A,7Bは、図2等に示すように、第1のレンズ2及び第2のレンズ4を中心として対称をなす位置に配置され、第1の方向Xに対向されている。
このような配置構成において、第1の電動アクチュエータ7Aの第1のコイル24Aと第2の電動アクチュエータ7Bの第1のコイル24Bに電流を流したとする。そうすると、2つの第1のマグネット21A,21Bの磁力が各コイル24A,24Bと垂直をなす方向に作用しているため、2つの電動アクチュエータ7A,7Bには第1の方向Xに向かう推力が発生する。また、第1の電動アクチュエータ7Aの第2のコイル25Aと第2の電動アクチュエータ7Bの第2のコイル25Bに電流を流したとする。そうすると、2つの第1のマグネット21A,21Bの磁力が各コイル25A,25Bと垂直をなす方向に作用しているため、2つの電動アクチュエータ7A,7Bには第2の方向Yに向かう推力が発生する。
3つの球体6は、球体保持具35に転動自在に保持された状態で、保持枠3に固定した第1のレンズ2の凸状球面2aと支持枠5に固定した第2のレンズ4の凹状球面4aの間に介在されている。3つの球体6を保持する球体保持具35は、円形の筒体をなす円筒部36と、この円筒部36の軸方向の一端に連続されて半径方向外側に展開される鍔部37から構成されている。球体保持具35の鍔部37には、周方向に等間隔に配置された3つの球体保持穴37aが設けられており、これら3つの球体保持穴37aに3つの球体6が嵌合されて転動可能に保持されている。
球体保持具35の球体保持穴37aに保持された3つの球体6は、それぞれ鍔部37の上面と下面から突出される。そして、像ぶれ補正装置1を組み立てた状態において、球体6の鍔部37の上面から突出した部分が保持枠側傾動球面の一具体例を示す凸状球面2aと接触し、球体6の鍔部37の下面から突出した部分が支持枠側傾動面の一具体例を示す凹状球面4aに接触する。このような球体保持具35によって3つの球体6を転動自在に保持することにより、3つの球体6を、互いの相対位置関係を一定に保持して、所定位置に転動自在に支持することができる。そして、保持枠3と支持枠5の間に3つの球体6を介在させることにより、2つの電動アクチュエータ7A,7Bの駆動力のロスを小さくすることができ、小さな推力で保持枠3を精度良く移動させることができる。
本実施例では、保持枠3の安定性を確保するために球体保持具35で保持する球体6の数を3つとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、球体保持具で保持する球体の数を4つ以上としてもよい。また、球体6の材質としては、マグネット21A,21Bの磁力の影響を受けず、且つ、高い強度を有するものが好ましく、例えば、セラミックやステンレス鋼等を挙げることができる。しかしながら、球体6は、磁力の影響を受ける構造用炭素鋼等の金属であってもよく、また、磁性体であると否にかかわらずエンジニアリングプラスチックを用いることもできる。
上述したような構成を有する像ぶれ補正装置1は、例えば、次のようにして組み立てることができる。まず、2つのバックヨーク22A,22Bを、2つのマグネット21A,21Bにそれぞれ接着剤等の固着方法により固定する。次に、それぞれバックヨーク22A,22Bが固定された2つのマグネット21A,21Bを、保持枠3の2つのマグネット固定部12A,12Bに接着剤や固定ねじ等の固着方法によってそれぞれ固定する。続いて、2つのマグネット21A,21B及び2つのバックヨーク22A,22Bが固定された保持枠3の筒穴11aに第1のレンズ2を嵌合し、接着剤等の固着方法により固定する。これにより第1のレンズ2と、2つのマグネット21A,21Bと、2つのバックヨーク22A,22Bと、保持枠3が一体化され、図7に示すような保持枠組立体が構成される。
次に、第1のコイル24Aをフレキシブル配線板27Aの下面に実装し、第2のコイル25Aと後述する第2のホール素子42をフレキシブル配線板27Aの上面に実装する。これにより、フレキシブル配線板27Aと、第1のコイル24Aと、第2のコイル25Aと、第2のホール素子42が一体化された第1のコイル組立体が構成される。これと同様に、第1のコイル24Bと後述する第1のホール素子41をフレキシブル配線板27Bの上面に実装し、第2のコイル25Bをフレキシブル配線板27Bの下面に実装する。これにより、フレキシブル配線板27Bと、第1のコイル24Bと、第2のコイル25Bと、第1のホール素子41が一体化された第2のコイル組立体が構成される。
次に、2つの対向ヨーク23A,23Bを、支持枠5の2つのヨーク用嵌合穴33A,33Bにそれぞれ嵌合し、接着剤等の固着方法により固定する。そして、2つの対向ヨーク23A,23Bが固定された支持枠5のレンズ用凹部21に第2のレンズ4を挿入し、接着剤等の固着方法により固定する。続いて、支持枠5のコイル用凹部32Aに第1のコイル組立体を搭載し、支持枠5のコイル用凹部32Bに第2のコイル組立体を搭載して、接着剤等の固着方法により固定する。これにより、2つの対向ヨーク23A,23Bと、第2のレンズ4と、各コイル24A,24B,25A,25B等が一体化され、図7に示すような支持枠組立体が構成される。
次に、予め3つの球体6を保持させた球体保持具35を、支持枠組立体の第2のレンズ4の凹状球面4aに配置する。そして、支持枠組立体の各対向ヨーク23A,23Bに保持枠組立体の各マグネット21A,21Bを対向させ、支持枠組立体に保持枠組立体を重ね合わせる。このとき、保持枠組立体の各マグネット21A,21Bが、それぞれの磁力によって支持枠組立体の各対向ヨーク23A,23Bに引き寄せられる。即ち、第2のレンズ4の凹状球面4aと第1のレンズ2の凸状球面2aの間に3つの球体6を介在させた状態で、保持枠組立体と支持枠組立体が相対的に付勢される。これにより、保持枠組立体と、球体保持具35に保持された3つの球体5と、支持枠組立体が一体化され、像ぶれ補正装置1が組み立てられる。
像ぶれ補正装置1を組み立てた状態において、保持枠3は、各マグネット21A,21Bの磁力によって、第1のレンズ2の光軸と凹レンズの光軸が一致するように付勢されている。この第1のレンズ2と第2のレンズ4の一致された光軸Laは、後述するレンズ系の光軸Lに一致される。また、図5及び図6に示すように、第1のレンズ2に形成された凸状球面2aの球心位置と第2のレンズ4に形成された凹状球面4aの球心位置は、第1のレンズ2及び第2のレンズ4の光軸La上の点O1で一致される。
即ち、凸状球面2aから球心位置O1までの半径をR1とし、凹状球面4aから球心位置O1までの半径をR2として、球体6の直径をdとすると、(R2=R1+d)という関係が成り立つ。そのため、2つの電動アクチュエータ7A,7Bによって保持枠3に駆動力を加えると、球体保持具35に保持された球体6を介して、球心位置O1を回動中心として保持枠3を傾動させることができる。その結果、第1のレンズ2の光軸Lbが光軸Laに一致されるレンズ系の光軸Lに対してずれることがなく、且つ、像ぶれ補正された撮影画像の光軸を撮像素子(CCD)の中央に集光することができ、高精度な像ぶれ補正を行うことができる。しかも、保持枠3と支持枠5は、第1のレンズ2と3つの球体6及び第2のレンズ4を介して密着されるため、ガタツキを生じることなく保持枠3を傾動させることができ、第1のレンズ2の移動制御を極めて精度良く行うことができる。
このような構成を有する像ぶれ補正装置1の作用は、例えば、次のようなものである。この像ぶれ補正装置1の第1のレンズ2の傾動は、2つのフレキシブル配線板27A,27Bを介して2つの電動アクチュエータ7A,7Bの各コイル24A,24B,25A,25Bに対して適宜な値の駆動電流を選択的に又は同時に供給することによって実行される。
即ち、像ぶれ補正装置1の第1の電動アクチュエータ7Aにおける第1のコイル24A及び第2のコイル25Aは、フレキシブル配線板27Aに搭載されて支持枠5の対向ヨーク23Aの上方に固定され、第2の電動アクチュエータ7Bにおける第1のコイル24B及び第2のコイル25Bは、フレキシブル配線板27Bに搭載されて支持枠5の対向ヨーク23Bの上方に固定されている。このとき、保持枠3に固定されたマグネット21Aが、第1のコイル24A及び第2のコイル25Aの上方に配置され、マグネット21が、第1のコイル25B及び第2のコイル25Bの上方に配置されている。また、第1のコイル24A,24Bの各推力発生部24a,24aは第2の方向Yに延在され、第2のコイル25A,25Bの各推力発生部25a,25aは第1の方向Xに延在されている。
その結果、マグネット21Aと対向ヨーク23Aによって形成される磁気回路の磁束が、第1のコイル24Aの推力発生部24a及び第2のコイル25Aの推力発生部25aを上下方向へ透過するように作用する。同様に、マグネット21Bと対向ヨーク23Bによって形成される磁気回路の磁束が、第1のコイル24Bの推力発生部24a及び第2のコイル25Bの推力発生部25aを上下方向へ透過するように作用する。
そして、各コイル24A,24B,25A,25Bが支持枠5に固定され、この支持枠5に移動(傾動)可能に支持された保持枠3に各マグネット21A,21Bが固定されている。そのため、2つの電動アクチュエータ7A,7Bは、第1のレンズ2を保持する保持枠に対して第1の方向X及び第2の方向Yを含む平面上のいずれの方向にも所定の大きさの推力を付与することができる。これにより、第1のレンズ2を保持する保持枠3は、第1のレンズ2の凸状球面2a及び第2のレンズ4の凹状球面4aにおける球心位置O1を回動中心として所定の角度範囲内で傾動する。
いま、2つの電動アクチュエータ7A,7Bの第1のコイル24A,24Bにそれぞれ電流を流すと、第1のコイル24A,24Bにおいて、各推力発生部24a,24aが第2の方向Yに延在されているため、各推力発生部24a,24aにおいて電流が第2の方向Yに流れる。このとき、2つのマグネット21A,21Bと2つの対向ヨーク23A,23Aによって形成される2つの磁気回路の磁束が、各推力発生部24a,24aに対して垂直をなす上下方向に作用している。そのため、フレミングの法則により、2つのマグネット21A,21Bには第1の方向Xに向かう推力が作用する。これにより、2つのマグネット21A,21Bが固定された保持枠3が、球心位置O1を回動中心として傾動する。その結果、保持枠3に保持された第1のレンズ2が、第1の方向Xに沿って傾動することになり、その角度は、第1のコイル24A,24Bに流された電流の大きさによって決定される。
この際、第1のコイル24A,24Bに流す電流の大きさを等しくして、第1のレンズ2を中心として対称となる位置に配置された2つの電動アクチュエータ7A,7Bによる各推力が等しくなるようにする。これにより、第1のレンズ2を中心として対称となる位置で作用される2つの推力の均衡を保つことができ、保持枠3が第1のレンズ2を中心に回転することを防止又は抑制することができる。
第1のコイル24A,24Bと第2のコイル25A,25Bに同時に電流を流すと、第1のレンズ2には、上述した第1のコイル24A,24Bによる傾動動作と第2のコイル25A,25Bによる傾動動作とが複合的に実行される。即ち、第1のコイル24A,24Bに流れる電流の作用によって第1のレンズ2が第1の方向Xに沿って傾動すると同時に、第2のコイル25A,25Bに流れる電流の作用によって第1のレンズ2が第2の方向Yに沿って傾動する。その結果、第1のレンズ2が斜め方向に傾動して、像ぶれを補正することになる。
図9Aは、2つの電動アクチュエータ7A,7Bの第1のコイル24A,24Bに電流を流して、保持枠3を第1の方向Xの一方(+)へ最大の傾動角度θまで傾動させた状態を示している。この状態において、保持枠3におけるレンズ固定部11の下部は支持枠5に当接され、これにより、保持枠3の傾動動作が停止されている。また、図9Bに示すように、保持枠3を第1の方向Xの他方(−)へ傾動させる場合も、傾動角度θでレンズ固定部11の下部が支持枠5に当接され、保持枠3の傾動動作が停止される。同様に、2つの電動アクチュエータ7A,7Bの第2のコイル25A,25Bに電流を流して、保持枠3を第2の方向Yへ傾動させる場合も、図10A及び図10Bに示すように、傾動角度θで保持枠3の傾動が停止される。
即ち、保持枠3のレンズ固定部11を円筒体として形成したことにより、保持枠3の傾動角度の範囲は、全て同じ傾動角度θまでとなる。そして、保持枠3を何れの方向に傾動させても、推力(ベクトル)に一致する線上でレンズ固定部11が支持枠5に当接するため、保持枠3の傾動動作を停止した際にその保持枠3が回転することを防止することができる。
第1のレンズ2の駆動制御を行うためには、その第1のレンズ2の位置を検出する位置検出器を設けることが好ましい。本実施の例では、図11に示すように、位置検出器として、2個のホール素子41,42を設けている。そして、第1のホール素子41によってマグネット21Bの磁力を検出すると共に、第2のホール素子42によってマグネット21Aの磁力を検出し、それぞれ検出した磁力の大きさに基づいて第1のレンズ2の位置を算出するように構成している。
図11に示すように、第1のホール素子41は、第1のコイル24の近傍に配置され、フレキシブル配線板27Bに実装されている。この第1のホール素子41の中心部は、マグネット21Bの第2の方向Yに平行なエッジ部分に対向するように設定されている。また、第2のホール素子42は、第2のコイル25Aの近傍に配置され、フレキシブル配線板27Bに実装されている。この第2のホール素子42の中心部は、マグネット21Aの第1の方向Xに平行なエッジ部分に対向するように設定されている。
第1及び第2のホール素子41,42は、各マグネット21A,21Bの磁力を検出し、その磁力の強さに応じた検出信号をそれぞれ出力する。そして、各ホール素子41,42からの検出信号に基づいて制御装置が、保持枠3の第1の方向Xと第2の方向Yの位置を演算し、その演算結果から第1のレンズ2の位置及び傾動角度を算出する。これにより、制御装置は、第1のレンズ2の駆動制御を精度良く行なうことが可能となる。
図12は、マグネット21B,21Aをそれぞれ断面方向に通過する第1及び第2のホール素子41,42が、その位置によってそれぞれマグネット21B,21Aから受ける磁力の強さを示したものである。以下、第1のホール素子41を例に挙げてマグネット21Bの磁力の検出について説明するが、第2のホール素子42においても同様にマグネット21Aの磁力の強さを検出するものである。
第1のホール素子41が受ける磁束密度は、図12において実線Rで示すように、その位置によって変化し、マグネット21Bの中央部分では高い値で比較的緩やかに変化し、エッジ部分の少し手前からエッジ部分を少し外に出た部分まで略リニア(比例的)に変化する。そして、第1のホール素子41がマグネット21Bから大きく外れると、その変化が緩やかに戻り、ゼロとなるようになっている。
相対的に移動する第1のホール素子41とマグネット21Bとの間には、図12に示すような関係があるため、例えば、第1のホール素子41の移動距離(可動幅)をQとすると、点P1から点P2までの可動幅Q、或いは点P3から点P4までの可動幅Qを検出幅として用いると、その磁束密度Δの変化が小さいために(Δ小)、正確な磁束密度の変化を検出することが困難になる。これに対して、点P2から点P3までの可動幅Qを用いると、その磁束密度Δの変化が大きいために(Δ大)、正確な磁束密度の変化を検出することが可能となる。しかも、その間の磁束密度Δは略リニアに変化するため、精密で正確な制御が可能となる。
図13A〜図13Cは、本発明の像ぶれ補正装置の第2の実施の例を示す像ぶれ補正装置1Aを説明するものであり、図13Aは平面図、図13Bは図13Aに示すA−A線部分の断面図、図13CはB−B線部分の断面図である。この像ぶれ補正装置1Aは、第1の実施例に示す像ぶれ補正装置1から3つの球体6を保持する球体保持具35を削除したものである。そのため、第1の実施の例の像ぶれ補正装置1と同一部分には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
この像ぶれ補正装置1Aでは、第1の実施例と同様に、保持枠3に取り付けた2つのマグネット21A,21Bが、それぞれの磁力によって支持枠5に取付けた2つの対向ヨーク23A,23Aに引き寄せられ、保持枠3と支持枠5が相対的に付勢されている。そして、3つの球体6は、保持枠3と支持枠5が相対的に付勢される力によって第1のレンズ2の凸状球面2aと第2のレンズ4の凹状球面4aの間に挟持されている。
このような構成を有する像ぶれ補正装置1Aにおいても、半径R1とされた凸状球面2aの球心位置と半径R2とされた凹状球面4aの球心位置が第1のレンズ2及び第2のレンズ4の光軸La上の点O1で一致されている。そのため、電動アクチュエータ7A,7Bによって保持枠3に駆動力を加えると、球心位置O1を回動中心として保持枠3を傾動させることができる。その結果、傾動変位させた第1のレンズ2の光軸Lbが光軸Laに一致されるレンズ系の光軸Lに対してずれることがなく、高精度な像ぶれ補正を行うことができる。
図14A及び図14Bは、本発明の像ぶれ補正装置の第3の実施の例を示す像ぶれ補正装置1Bを説明するものである。この像ぶれ補正装置1Bの平面図は図13Aに示す平面図と同一であり、図14AはそのA−A線部分の断面図、図14BはB−B線部分の断面図に対応する。この像ぶれ補正装置1Bは、第1の実施の例と略同様の構成を有しており、異なるところは保持枠側傾動球面を保持枠3に設け、支持枠側傾動球面を支持枠5に設けたところである。そのため、第1の実施の例の像ぶれ補正装置1と同一部分には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
図14A及び図14Bに示すように、像ぶれ補正装置1Bの保持枠3は、保持枠側傾動球面の第2の具体例を示す保持枠球面3aを有している。この保持枠球面3aは、レンズ固定部11の下面に設けられており、第1のレンズ2の凸状球面2aと同一球面となるように形成されている。即ち、保持枠球面3aの半径R3は、凸状球面2aの半径R1と同一の長さとなっている(R1=R3)。
また、像ぶれ補正装置1Bの支持枠5は、支持枠側傾動球面の一具体例を示す支持枠球面5aを有している。この支持枠球面5aは、レンズ用凹部31の周囲に設けられており、第2のレンズ4の凹状球面4aと同一球面となるように形成されている。即ち、支持枠球面5aの半径R4は、凹状球面4aの半径R2と同一の長さとなっている(R2=R4)。そして、これら凹状球面4aと支持枠球面5aと凸状球面2aと保持枠球面3aのそれぞれの球心位置は、第1のレンズ2及び第2のレンズ4の光軸La上の点O1で一致されている。
この像ぶれ補正装置1Bにおいても、第1の実施例と同様に、保持枠3に取り付けた2つのマグネット21A,21Bが、それぞれの磁力によって支持枠5に取付けた2つの対向ヨーク23A,23Aに引き寄せられ、保持枠3と支持枠5が相対的に付勢されている。そして、3つの球体6は、保持枠3と支持枠5が相対的に付勢される力によって保持枠3の保持枠球面3aと支持枠5の支持枠球面5aの間に挟持されている。なお、本発明の像ぶれ補正装置としては、3つの球体6をそれぞれ転動自在に保持する球体保持具を用いる構成としてもよい。
このような構成を有する像ぶれ補正装置1Bにおいても、電動アクチュエータ7A,7Bによって保持枠3に駆動力を加えると、球心位置O1を回動中心として保持枠3を傾動させることができる。その結果、傾動変位させた第1のレンズ2の光軸Lbが光軸Laに一致されるレンズ系の光軸Lに対してずれることがなく、高精度な像ぶれ補正を行うことができる。
図15A及び図15Bは、本発明の像ぶれ補正装置の第4の実施の例を示す像ぶれ補正装置1Cを説明するものである。この像ぶれ補正装置1Cの平面図は図13Aに示す平面図と同一であり、図15AはそのA−A線部分の断面図、図15BはB−B線部分の断面図に対応する。この像ぶれ補正装置1Cは、図14A及び図14Bに示す第3の実施の例と略同様の構成を有しており、異なるところは保持枠側傾動球面と凸状球面2a及び支持枠側傾動球面と凹状球面4aが同一球面ではないところである。そのため、第3の実施の例の像ぶれ補正装置1Bと同一部分には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
図15A及び図15Bに示すように、像ぶれ補正装置1Cの保持枠3は、保持枠側傾動球面の一具体例を示す保持枠球面3bを有している。この保持枠球面3bは、レンズ固定部11の下面に設けられており、第1のレンズ2の凸状球面2aとの間に段差が生じるように形成されている。保持枠球面3bの半径は、凸状球面2aの半径R1よりも小さい半径R3に設定されており(R1>R3)、この半径R3に設定された保持枠球面3bの球心位置と凸状球面2aの球心位置が第1のレンズ2及び第2のレンズ4の光軸La上の点O1で一致されている。
また、像ぶれ補正装置1Cの支持枠5は、支持枠側傾動球面の一具体例を示す支持枠球面5bを有している。この支持枠球面5bは、レンズ用凹部31の周囲に設けられており、第2のレンズ4の凹状球面4aとの間に段差が生じるように形成されている。支持枠球面5bの半径は、凹状球面4aの半径R2よりも大きい半径R4に設定されており(R4>R2)、この半径R4に設定された支持枠球面5bの球心位置と凹状球面4aの球心位置が第1のレンズ2及び第2のレンズ4の光軸La上の点O1で一致されている。したがって、保持枠球面3bの球心位置と支持枠球面5bの球心位置は、第1のレンズ2及び第2のレンズ4の光軸La上の点O1で一致されている。
この像ぶれ補正装置1Cにおいて、3つの球体6は、保持枠3と支持枠5が相対的に付勢される力によって保持枠3の保持枠球面3bと支持枠5の支持枠球面5bの間に挟持されている。なお、本発明の像ぶれ補正装置としては、3つの球体6をそれぞれ転動自在に保持する球体保持具を用いる構成としてもよい。このような構成を有する像ぶれ補正装置1Cにおいても、2つの電動アクチュエータ7A,7Bによって保持枠3に駆動力を加えると、球心位置O1を回動中心として保持枠3を傾動させることができる。その結果、傾動変位させた第1のレンズ2の光軸Lbが光軸Laに一致されるレンズ系の光軸Lに対してずれることがなく、高精度な像ぶれ補正を行うことができる。
図16A及び図16Bは、本発明の像ぶれ補正装置の第5の実施の例を示す像ぶれ補正装置1Dを説明するものである。この像ぶれ補正装置1Dの平面図は図13Aに示す平面図と同一であり、図16AはそのA−A線部分の断面図、図16BはB−B線部分の断面図に対応する。この像ぶれ補正装置1Dは、図14A及び図14Bに示す第3の実施の例と略同様の構成を有しており、異なるところは第1のレンズ2の凸状球面2bのみである。そのため、第3の実施の例の像ぶれ補正装置1Bと同一部分には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
図16A及び図16Bに示すように、像ぶれ補正装置1Dの第1のレンズ2は、凸状球面2bを有している。この凸状球面2bの半径は、保持枠球面3aの半径R3よりも小さい半径R5に設定されている(R3>R5)。そして、半径R5に設定された凸状球面2bの球心位置は、第1のレンズ2及び第2のレンズ4の光軸La上であって保持枠球面3a等の球心位置O1とは異なる点O2となっている。なお、この実施例では、第3の実施の例の像ぶれ補正装置1Bと同様に、3つの球体6を保持枠球面3aと支持枠球面5aの間に挟持されているが、本発明の像ぶれ補正装置としては、3つの球体6をそれぞれ転動自在に保持する球体保持具を用いる構成としてもよい。
このような構成を有する像ぶれ補正装置1Dにおいても、3つの球体6が介在される保持枠球面3aと支持枠球面5aの球心位置が点O1で一致しているため、球心位置O1を回動中心として保持枠3を傾動させることができる。その結果、傾動変位させた第1のレンズ2の光軸Lb光軸Laに一致されるレンズ系の光軸Lに対して略ずれることがなく、高精度な像ぶれ補正を行うことができる。
図17A及び図17Bは、本発明の像ぶれ補正装置の第6の実施の例を示す像ぶれ補正装置1Eを説明するものである。この像ぶれ補正装置1Eの平面図は図13Aに示す平面図と同一であり、図17AはそのA−A線部分の断面図、図17BはB−B線部分の断面図に対応する。この像ぶれ補正装置1Eは、図15A及び図15Bに示す第4の実施の例と略同様の構成を有しており、異なるところは第2のレンズ4の凸状球面4bのみである。そのため、第4の実施の例の像ぶれ補正装置1Cと同一部分には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
図17A及び図17Bに示すように、像ぶれ補正装置1Eの第2のレンズ4は、凹状球面4bを有している。この凹状球面4bの半径R6は、支持枠球面5bの半径R4よりも大きく設定されている(R4<R6)。そして、半径R6とされた凹状球面4bの球心位置は、第1のレンズ2及び第2のレンズ4の光軸La上であって支持枠球面5b等の球心位置O1とは異なる点O3となっている。なお、この実施例では、第4の実施の例の像ぶれ補正装置1Cと同様に、3つの球体6を保持枠球面3bと支持枠球面5bの間に挟持されているが、本発明の像ぶれ補正装置としては、3つの球体6をそれぞれ転動自在に保持する球体保持具を用いる構成としてもよい。
このような構成を有する像ぶれ補正装置1Eにおいても、3つの球体6が介在される保持枠球面3bと支持枠球面5bの球心位置が点O1で一致しているため、球心位置O1を回動中心として保持枠3を傾動させることができる。その結果、傾動変位させた第1のレンズ2の光軸Lb光軸Laに一致されるレンズ系の光軸Lに対してずれることがなく、高精度な像ぶれ補正を行うことができる。
図18A,図18B及び図19は、本発明の像ぶれ補正装置の第7の実施の例を示す像ぶれ補正装置1Fを説明するものである。この像ぶれ補正装置1Eの平面図は図13Aに示す平面図と同一であり、図18AはそのA−A線部分の断面図、図18BはB−B線部分の断面図に対応する。また、図19は図18A及び図18Bに示す球体保持部の斜視図である。この像ぶれ補正装置1Eは、図14A及び図14Bに示す第3の実施の例と略同様の構成を有しており、異なるところは支持枠5に球体支持部38を設けた点である。そのため、第3の実施の例の像ぶれ補正装置1Bと同一部分には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
図18A,図18B及び図19に示すように、像ぶれ補正装置1Fの支持枠5は、3つの球体6をそれぞれ転動自在に保持する3つの球体保持部38を有している(図18A及び図18Bにおいて2つを示す)。これら3つの球体保持部38は、支持枠5の保持枠球面3aと対向する面に設けられており、第2のレンズ4が取り付けられるレンズ用凹部31の周囲に等間隔に配置されている。また、球体保持部38は、円形の凹部として形成されていて、その直径は球体6の直径と略同一に設定されている。これにより、3つの球体6は、それぞれ保持された場所で転動自在となっており、保持枠3の保持枠球面3aに点接触される。
このような構成を有する像ぶれ補正装置1Fにおいても、保持枠球面3a及び球体保持部38と球体6との間に生じる摩擦抵抗を小さくすることができ、2つの電動アクチュエータ7A,7Bの駆動力のロスを小さくして、小さな駆動力(推力)で保持枠3を移動させることができる。また、保持枠球面3a等の球心位置O1を回動中心として保持枠3を傾動させることができ、保持枠3を介して傾動変位させた第1のレンズ2の光軸Lb光軸Laに一致されるレンズ系の光軸Lに対してずれることを防止して、高精度な像ぶれ補正を行うことができる。
この実施例では、球面保持部38を支持枠5に設ける構成としたが、本発明に係る球面保持部38としては、保持枠3に設けることもできる。この場合、支持枠5には、図14A等に示すような支持枠球面5aを設け、その支持枠球面5aに球面保持部38に保持された球体を点接触させる。このような構成によっても、支持枠球面5a及び球体保持部38と球体6との間に生じる摩擦抵抗を小さくすることができ、2つの電動アクチュエータ7A,7Bの駆動力のロスを小さくして、小さな駆動力(推力)で保持枠3を移動させることができる。
図20A,図20B及び図21は、本発明の像ぶれ補正装置の第8の実施の例を示す像ぶれ補正装置1Gを説明するものである。この像ぶれ補正装置1Gの平面図は図13Aに示す平面図と同一であり、図20AはそのA−A線部分の断面図、図20BはB−B線部分の断面図に対応する。また、図21は図20A及び図20Bに示す球面突起の斜視図である。この像ぶれ補正装置1Gは、図14A及び図14Bに示す第3の実施の例と略同様の構成を有しており、異なるところは支持枠5に球面突起39を設けた点である。そのため、第3の実施の例の像ぶれ補正装置1Bと同一部分には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
図20A,図20B及び図21に示すように、像ぶれ補正装置1Fの支持枠5には、3つの球面突起39が設けられている(図20A及び図20Bにおいて2つを示す)。これら3つの球面突起39は、支持枠5の保持枠球面3aと対向する面から突出するように設けられており、第2のレンズ4が取り付けられるレンズ用凹部31の周囲に等間隔に配置されている。また、球面突起39は、先端に球面部39aを有しており、この球面部39aが保持枠3の保持枠球面3aに点接触される。そのため、保持枠球面3aと球面突起39との間に生じる摩擦抵抗を比較的小さくすることができ、2つの電動アクチュエータ7A,7Bの駆動力のロスを小さくして、小さな駆動力(推力)で保持枠3を移動させることができる。
このような構成を有する像ぶれ補正装置1Fにおいても、保持枠球面3a等の球心位置O1を回動中心として保持枠3を傾動させることができ、保持枠3を介して傾動変位させた第1のレンズ2の光軸Lb光軸Laに一致されるレンズ系の光軸Lに対してずれることを防止して、高精度な像ぶれ補正を行うことができる。
この実施例では、球面突起39を支持枠5に設ける構成としたが、本発明に係る球面突起としては、保持枠3に設ける構成としてもよい。この場合、支持枠5には、図14A等に示すような支持枠球面5aを設け、この支持枠球面5aに球面突起39の球面部39aを点接触させる。このような構成によっても、支持枠球面5aと球面突起39との間に生じる摩擦抵抗を比較的小さくすることができ、2つの電動アクチュエータ7A,7Bの駆動力のロスを小さくして、小さな駆動力(推力)で保持枠3を移動させることができる。
また、上述した第1〜第8の実施の例では、保持枠3を支持枠5に対して傾動させる構成としたが、本発明に係る像ぶれ補正装置としては、保持枠に対して支持枠を傾動させる構成としてもよい。上述した第1〜第8の実施の例では、2つのマグネット21A,21Bが保持枠3に取り付けられ、第1及び第2のコイル24A,24B,25A,25Bが支持枠5に取り付けられている。そのため、保持枠3を固定側として支持枠5を傾動させると、いわゆるムービングコイル方式の駆動機構を備えた像ぶれ補正装置となる。
また、第1及び第2のコイル24A,24B,25A,25Bを保持枠3に取り付け、マグネット21A,21Bを支持枠5に取り付けて像ぶれ補正装置を構成してもよい。この場合、支持枠5を固定側として保持枠3を傾動させるとムービングコイル方式の像ぶれ補正装置が構成され、これとは逆に保持枠3を固定側として支持枠5を傾動させるとムービングマグネット方式の像ぶれ補正装置が構成される。
図22〜図24は、前述したような構成及び作用を有する像ぶれ補正装置1を備えた本発明のレンズ鏡筒の第1の実施の例を示すものである。このレンズ鏡筒50は、1つの光軸L上に複数のレンズを配置した5群レンズを有するレンズ系51と、このレンズ系51のレンズを固定又は移動可能に支持する筒体52と、レンズ系51の光軸L上に配置されると共に筒体52に固定された撮像素子(例えば、CCDやCMOS等)54と、筒体52に装着されると共にレンズ系51の像ぶれを補正する像ぶれ補正装置1等を備えて構成されている。
図22及び図23A,Bに示すように、レンズ鏡筒50のレンズ系51は、5組のレンズ群を同一光軸L上に配置した5群レンズ57〜61からなる折り曲げ式レンズとして構成されている。5群レンズ57〜61のうち、先端側に位置する1群レンズ57は、被写体に対向される対物レンズである第1のレンズ57Aと、この対物レンズ57Aの被写体と反対側に配置されたプリズム57Bと、このプリズム57Bに対向される第2のレンズ57Cとによって構成されている。プリズム57Bは、断面形状が直角二等辺三角形をなす三角柱体からなり、90度回転変位した位置に隣り合う2つの面の一方に対物レンズ57Aが対向され、他方の面に第2のレンズ57Cが対向されている。
この1群レンズ57において、対物レンズ57Aを透過して一面からプリズム57Bに入射した光は、光軸Lに対して45度に傾斜した反射面で反射されて進行方向が90度折り曲げられる。次いで、折り曲げられた光は、他面から出射されて第2のレンズ57Cを透過する。そして、透過した光は、光軸Lに沿って2群レンズ58に向かって進行する。2群レンズ58は、第3のレンズ58Aと第4のレンズ58Bとの組み合わせからなり、光軸L上を移動可能に構成されている。2群レンズ58を透過した光は、3群レンズ59に入射される。
3群レンズ59は、レンズ鏡筒50の筒体52に固定される第5のレンズからなっている。3群レンズ59の後方には、第6のレンズからなる4群レンズ60が配置されている。この4群レンズ60と3群レンズ59の間には、レンズ系51を通過する光の量を調整可能な絞り機構62が配置されている。4群レンズ60は、光軸L上を移動可能に構成されている。4群レンズ60の後方には、第1のレンズ2と第2のレンズ4とからなる5群レンズ61が配置されている。
2群レンズ58と4群レンズ60は、それぞれ別個独立に光軸Lに沿って光軸方向へ移動可能とされている。この2群レンズ58と4群レンズ60を所定方向へ移動させることにより、ズーム調整とフォーカス調整を行うことができる。即ち、ズーム時には、2群レンズ58と4群レンズ60をワイド(広角)からテレ(望遠)まで移動することによってズーム調整が実行される。また、フォーカス時には、4群レンズ60をワイド(広角)からテレ(望遠)まで移動することによってフォーカス調整を実行することができる。
撮像素子54は撮像素子用アダプタに固定されており、この撮像素子用アダプタを介してレンズ鏡筒50の筒体52に取り付けられている。撮像素子54の一側には光学フィルタ64が配置されている。そして、この光学フィルタ64と4群レンズ60との間には、第1のレンズ2と第2のレンズ4を有する像ぶれ補正装置1が配設されている。
第1のレンズ2は、通常の状態において、その光軸をレンズ系51の光軸Lと一致させるように取り付けられている。そして、カメラの振動等によって撮像素子54の結像面に像ぶれが生じたときに、像ぶれ補正装置1が第1のレンズ2を光軸L上の点(この実施例では球心位置O1)を回動中心として傾動させることにより結像面の像ぶれを補正するようにしている。
次に、像ぶれ補正装置1が装着されたレンズ鏡筒50のレンズ系51の動作を、図24を参照して説明する。レンズ系51の対物レンズ57Aを被写体に向けると、被写体からの光が対物レンズ57Aからレンズ系51内に入力される。このとき、対物レンズ57Aを透過した光はプリズム57Bで90度屈折される。その後、この屈折した光は、レンズ系51の光軸Lに沿って撮像素子54に向かって移動する。即ち、プリズム57Bで反射されて1群レンズ57の第2のレンズ57Cを出た光は、2群レンズ58,3群レンズ59,4群レンズ60を経て5群レンズ61の第1のレンズ2及び第2のレンズ4を透過する。そして、光学フィルタ64を経て撮像素子54の結像面に被写体に対応した画像が結像される。
この場合、撮影時において、レンズ鏡筒50に手ぶれや振動が生じていないときに、被写体からの光は、実線で示す光56Aのように、1群レンズ57〜5群レンズ61のそれぞれ中心部を光軸Lに沿って移動する。よって、撮像素子54の結像面において所定位置に像を結ぶことになる。そのため、かかる場合には、像ぶれを生ずることなく綺麗な画像を得ることができる。
一方、撮影時において、レンズ鏡筒50に手ぶれや振動が発生すると、被写体からの光は、一点鎖線で示す光56Bか又は破線で示す光56Cのように、傾いた状態で1群レンズ57に入力されることになる。そのような入射光56B,56Cは、1群レンズ〜5群レンズのそれぞれにおいて、光軸Lからずれた状態で透過することになる。しかし、その手ぶれ等に応じて第1のレンズ2を所定量傾動させることにより、その手ぶれ等を補正することができる。これにより、撮像素子54の結像面において、所定位置に像を結ぶことができ、像ぶれを解消して綺麗な画像を得ることができる。
このレンズ鏡筒50の手ぶれや振動等の有無は、像ぶれ検出器によって検出するようにする。この像ぶれ検出器としては、例えば、ジャイロセンサを用いることができる。このジャイロセンサをレンズ鏡筒50と共にカメラに搭載する。そして、このジャイロセンサが、撮影者の手の震えや揺れ等によってレンズ鏡筒50に働く加速度、角速度、角加速度等を検出するようにする。このジャイロセンサで検出した加速度や角速度等の情報を制御装置に供給する。
そして、撮像素子54の結像面において所定位置に像を結ぶように、2つの電動アクチュエータ7A,7Bを駆動制御する。即ち、第1の方向Xの揺れに対しては、保持枠3を第1の方向Xに沿って傾動させ、また、第2の方向Yの揺れに対しては、保持枠3を第2の方向Yに沿って傾動させるように2つの電動アクチュエータ7A,7Bを駆動制御する。
本実施の例では、折り曲げ式レンズとして構成したレンズ鏡筒50に像ぶれ補正装置1を搭載したが、本発明に係る像ぶれ補正装置1は、レンズ系の光軸を水平方向に向けた直動式レンズ鏡筒に搭載することもできる。この場合、像ぶれ補正装置1の保持枠3は、2つのマグネット21A,21Bの磁力により第1のレンズ2の光軸がレンズ系の光軸Lに一致するように付勢されるため、保持枠3を重力に反する方向に持ち上げて保持することができる。その結果、常に電動アクチュエータに通電して保持枠3を持ち上げる推力を発生させる必要がなく、消費電力を飛躍的に削減することができる。
図25〜図28は、前述したような構成を有するレンズ鏡筒50を備えた撮像装置の第1の実施の例を示すデジタルスチルカメラ100を表したものである。このデジタルスチルカメラ100は、情報記録媒体として半導体記録メディアを使用している。そして、デジタルスチルカメラ100は、被写体からの光学的な画像を撮像素子(CCDやCMOS等)で電気的な信号に変換している。これにより、このデジタルスチルカメラ100は、撮像素子に得られた撮像情報を半導体記録メディアに記録したり、液晶ディスプレイ等の表示装置に表示したりすることができるようになっている。
このデジタルスチルカメラ100は、撮像装置本体の一具体例を示すカメラ本体101と、被写体の像を光として取り込んで撮像素子54に導くレンズ鏡筒50と、撮像素子54から出力される映像信号に基づいて画像を表示する液晶ディスプレイ等からなる表示装置102と、レンズ鏡筒50の動作や表示装置102の表示等を制御する制御装置と、図示しないバッテリー電源等を備えて構成されている。
図25等に示すように、カメラ本体101は、横長とされた偏平の筒体からなっている。このカメラ本体101は、前後方向に重ね合わされたフロントケース105及びリアケース106と、このフロントケース105とリアケース106とで形成された空間部を前後に仕切るメインフレーム107と、フロントケース105の前面である第1の主面に上下方向へスライド可能に取り付けられたレンズカバー108等によって構成されている。メインフレーム107の前面(第1の主面)には、レンズ鏡筒50の対物レンズ57Aが臨まれている。そして、その対物レンズ57Aがレンズカバー108によって開閉可能とされている。
対物レンズ57Aは、メインフレーム107の一側の上部に配置されている。そして、レンズ鏡筒50が、撮像素子54を下にして図22等に示す第2の光軸L2を上下方向に向けた状態でカメラ本体101に取り付けられている。更に、レンズ系51の図22等に示す第1の光軸L1が、カメラ本体101の厚さ方向である前後方向に延在されている。これにより、像ぶれ補正装置1のレンズ駆動部である2つの電動アクチュエータ7A,7Bが、カメラ本体101内において、第2の光軸L2と直交する方向に配置されている。なお、メインフレーム107には、配線基板上に所定のマイクロコンピュータ、抵抗やコンデンサその他の電子部品等を搭載することによって形成された図示しない制御装置と、フラッシュ装置110等が取り付けられている。
制御装置はレンズ鏡筒50と横並びに配置されており、これらの上方にフラッシュ装置110が配置されている。フラッシュ装置110は、フロントケース105の前面に露出される発光部と、その発光部を駆動制御する駆動部と、駆動部に所定の電力を供給するコンデンサ等を備えて構成されている。このフラッシュ装置110の発光部と対物レンズ57Aを露出させるため、フロントケース105の対応する位置にはレンズ嵌合穴111aとフラッシュ嵌合穴111bが設けられている。そして、レンズ嵌合穴111aには化粧板66と共に対物レンズ57Aが嵌合され、フラッシュ嵌合穴111bにはフラッシュ装置110の発光部が嵌合されている。
更に、フロントケース105には、レンズカバー108に設けた複数の脚片が挿通される図示しない複数の開口穴が設けられている。レンズカバー108は、複数の脚片に抜け止め部を設けることによってフロントケース105からの脱落が防止されている。このレンズカバー108は、複数の開口穴によって上下方向への移動が可能とされていると共に、図示しないロック手段により上端部と下端部においてロック可能とされている。図25に示すように、レンズカバー108が上端部にあるときには、対物レンズ57Aが完全に閉じられている。これにより、対物レンズ57Aの保護が図られる。一方、図26に示すように、レンズカバー108を下端部に移動すると、対物レンズ57Aが完全に開かれると共に電源スイッチがオンに入力される。これにより、撮影が可能となるように構成されている。
図27に示すように、リアケース106には、表示装置102の表示面を露出させるための四角形の開口窓112が設けられている。開口窓112は、リアケース106の第2の主面である背面を大きく開口して設けられている。また、開口窓112の内側には、表示装置102が配置されている。表示装置102は、開口窓112に対応した大きさを有する液晶ディスプレイと、この液晶ディスプレイの内面に重ね合わされるバックライトの組み合わせからなる。表示装置102の液晶ディスプレイ側には図示しないシール枠を介して図示しない保護板が配置されている。そして、この保護板の周縁部が開口窓112の内面に接触されている。
更に、リアケース106には、各種の操作スイッチが設けられている。操作スイッチとしては、例えば、機能モード(静止画、動画、再生等)を選択するモード選択ツマミ115、ズーム操作を実行するズームボタン116、画面表示を行う画面表示ボタン117、各種メニューを選択するメニューボタン118、メニューを選択するカーソル等を移動させる方向キー119、画面サイズの切り換えや画面削除を行う画面ボタン121等を挙げることができ、これらが適当な位置に配置されている。リアケース106の表示装置102側の端部にはスピーカ用孔122が開口されている。また、スピーカ用孔122の内側にスピーカが内蔵されている。そして、これと反対側のリアケース106の端部に、ストラップ用の支持金具123が取り付けられている。
また、図28等に示すように、カメラ本体101の上面には、電源をオン・オフさせる電源ボタン125、撮影の開始や停止を実行する撮影ボタン126、手ぶれが生じたときに像ぶれ補正装置1を動作させて像ぶれ補正を実行する手ぶれ設定ボタン127等が設けられている。更に、カメラ本体101上面の略中央部にはマイクロホン用孔128が開口されていて、その内側にマイクロホンが内蔵されている。これら電源ボタン125と撮影ボタン126と手ぶれ設定ボタン127は、カメラ本体101に装着されるスイッチホルダ124に取り付けられている。更に、マイクロホン用孔128もスイッチホルダ124に開口されている。このスイッチホルダ124に内蔵マイクロホンが固定されている。そして、スイッチホルダ124は、その一部をフロントケース105とリアケース106とで挟み込むようにしてカメラ本体101に保持されている。
図29は、前述した像ぶれ補正装置1の制御概念を説明するブロック図である。制御部130は、像ぶれ補正演算部131とアナログサーボ部132と駆動回路部133と4つの増幅器(AMP)134A,134B,135A,135B等を備えて構成されている。像ぶれ補正演算部131には、第1の増幅器(AMP)134Aを介して第1のジャイロセンサ136aが接続されている。更に、像ぶれ補正演算部131には、第2の増幅器(AMP)134Bを介して第2のジャイロセンサ136bも接続されている。
第1のジャイロセンサ136aは、カメラ本体101に付加された手ぶれ等による第1の方向Xの変位量を検出し、第2のジャイロセンサ136bは、カメラ本体101に付加された手ぶれ等による第2の方向Yの変位量を検出するものである。この実施例では、2個のジャイロセンサを設けて第1の方向Xの変位量と第2の方向Yの変位量を個別に検出する例について説明したが、1個のジャイロセンサで第1の方向X及び第2の方向Yの2方向の変位量を検出する構成としてもよいことは勿論である。
像ぶれ補正演算部131にはアナログサーボ部132が接続されている。アナログサーボ部132は、像ぶれ補正演算部131により算出された値をデジタル値からアナログ値に変換し、そのアナログ値に対応した制御信号を出力するものである。アナログサーボ部132には駆動回路部133が接続されている。駆動回路部133には、第3の増幅器(AMP)135Aを介して第1の位置検出器である第1のホール素子41が接続されている。また、この駆動回路部133には、第4の増幅器(AMP)135Bを介して第2の位置検出器である第2のホール素子42も接続されている。更に、駆動回路部133には、2つの電動アクチュエータ7A,7Bの第1のコイル24A,24Bと第2のコイル25A,25Bがそれぞれ接続されている。
第1のホール素子41によって検出された保持枠3の第1の方向Xの変位量は、第3の増幅器135Aを介して駆動回路部133に入力される。また、第2のホール素子42によって検出された保持枠3の第2の方向Yの変位量は、第4の増幅器135Bを介して駆動回路部133に入力される。これらの入力信号とアナログサーボ部132からの制御信号に基づいて駆動回路部133では、像ぶれを補正するように第1のレンズ2を傾動させるために、第1のコイル24A,24Bと第2のコイル25A,25Bの一方の組又は両方の組に対して所定の電流を出力する。
図30は、前述したような構成及び作用を有する像ぶれ補正装置1を備えたデジタルスチルカメラ100の概略構成の第1の実施の例を示すブロック図である。このデジタルスチルカメラ100は、像ぶれ補正装置1を有するレンズ鏡筒50と、制御装置の中心的役割をなす制御部140と、制御部140を駆動するためのプログラムメモリやデータメモリその他のRAMやROM等を有する記憶装置141と、電源のオン・オフや撮影モードの選択或いは撮影等のための各種の指令信号等を入力する操作部142と、撮影された映像等を表示する表示装置102と、記憶容量を拡大する外部メモリ143等を備えて構成されている。
制御部140は、例えば、マイクロコンピュータ(CPU)を有する演算回路等を備えて構成されている。この制御部140には、記憶装置141と、操作部142と、アナログ信号処理部144と、デジタル信号処理部145と、2つのA/D変換器146,147と、D/A変換器148と、タイミングジェネレータ(TG)149とが接続されている。アナログ信号処理部144は、レンズ鏡筒50に取り付けられた撮像素子54に接続されている。そして、アナログ信号処理部144は、この撮像素子54から出力される撮影画像に対応したアナログ信号によって所定の信号処理を実行する。このアナログ信号処理部144は、第1のA/D変換器146に接続されている。そして、このA/D変換器146によってアナログ信号がデジタル信号に変換される。
第1のA/D変換器146には、デジタル信号処理部145が接続されている。そして、このデジタル信号処理部145は、第1のA/D変換器146から供給されたデジタル信号によって所定の信号処理を実行する。このデジタル信号処理部145には、表示装置102と外部メモリ143が接続されている。そして、デジタル信号処理部145の出力信号であるデジタル信号に基づいて、被写体に対応した画像が表示装置102に表示され、或いは外部メモリ143に記憶される。また、第2のA/D変換器147には、ぶれ検出部であるジャイロセンサ136が接続されている。このジャイロセンサ136によってカメラ本体101の振れや揺れ等が検出され、その検出結果に応じて像ぶれ補正が実行される。
D/A変換器148には、像ぶれ補正のためのサーボ演算部である駆動制御部152が接続されている。駆動制御部152は、第1のレンズ2の位置に応じて像ぶれ補正装置1を駆動制御することにより像ぶれを補正するものである。駆動制御部152には、位置検出部である第1のホール素子41と第2のホール素子42が接続されている。第1のホール素子41と第2のホール素子42は、像ぶれ補正装置1の保持枠3の位置を検出することによって、第1のレンズ2の位置を検出する。そして、タイミングジェネレータ(TG)149は、撮像素子54と接続されている。
かくして、被写体の像が、レンズ鏡筒50のレンズ系51に入力されて撮像素子54の結像面に結像される。すると、その画像信号が、アナログ信号として出力され、アナログ信号処理部144で所定の処理が実行された後、第1のA/D変換器146によってデジタル信号に変換される。第1のA/D変換器146からの出力は、デジタル信号処理部145で所定の処理が実行された後、被写体に対応した画像として表示装置102に表示され、或いは外部メモリに記憶情報として記憶される。
このような撮影状態において、像ぶれ補正装置1が動作状態にあるものとして、カメラ本体101に振れや揺れ等が生じると、ジャイロセンサ136が、その振れや揺れ等を検出し、その検出信号を制御部140に出力する。この検出信号を受けて制御部140では、所定の演算処理を実行する。そして、制御部140は、像ぶれ補正装置1の動作を制御する制御信号を駆動制御部152に出力する。駆動制御部152では、制御部140からの制御信号に基づいて所定の駆動信号を像ぶれ補正装置1に出力する。そして、像ぶれ補正装置1では、保持枠3を第1の方向X及び/又は第2の方向Yに沿って所定量だけ傾動する。これにより、第1のレンズ2の傾動を介して像ぶれが解消され、綺麗な画像を得ることができる。
図31は、前述したような構成及び作用を有する像ぶれ補正装置1を備えたデジタルスチルカメラの概略構成の第2の実施の例を示すブロック図である。このデジタルスチルカメラ100Aは、像ぶれ補正装置1を有するレンズ鏡筒50と、制御装置の中心的役割をなす映像記録/再生回路部160と、映像記録/再生回路部160を駆動するためのプログラムメモリやデータメモリその他のRAMやROM等を有する内蔵メモリ161と、撮影された映像等を所定の信号に処理する映像信号処理部162と、撮影された映像等を表示する表示装置163と、記憶容量を拡大する外部メモリ164と、像ぶれ補正装置1を駆動制御する補正レンズ制御部165等を備えて構成されている。
映像記録/再生回路部160は、例えば、マイクロコンピュータ(CPU)を有する演算回路等を備えて構成されている。この映像記録/再生回路部160には、内蔵メモリ161と、映像信号処理部162と、補正レンズ制御部165と、モニタ駆動部166と、増幅器167と、3つのインタフェース(I/F)171,172,173とが接続されている。映像信号処理部162は、レンズ鏡筒50に取り付けられた撮像素子54に増幅器167を介して接続されている。そして、所定の映像信号に処理された信号が映像記録/再生回路部160に入力される。
表示装置163は、モニタ駆動部166を介して映像記録/再生回路部160に接続されている。また、第1のインタフェース(I/F)171には、コネクタ168が接続されている。このコネクタ168に外部メモリ164が、着脱自在に接続可能とされている。第2のインタフェース(I/F)172には、カメラ本体101に設けられた接続端子174が接続されている。
補正レンズ制御部165には、第3のインタフェース(I/F)173を介してぶれ検出部である加速度センサ175が接続されている。この加速度センサ175は、カメラ本体101に付加される振れや揺れ等による変位を加速度として検出するものである。また、この加速度センサ175は、ジャイロセンサを適用することができる。補正レンズ制御部165には、第1のレンズ2を駆動制御する像ぶれ補正装置1のレンズ駆動部である2つの電動アクチュエータ7A,7Bが接続されている。また、この補正レンズ制御部165には、第1のレンズ2の位置を検出する位置センサである2つのホール素子41,42も接続されている。
かくして、被写体の像がレンズ鏡筒50のレンズ系51に入力されて撮像素子54の結像面に結像される。すると、その画像信号が、増幅器167を介して映像信号処理部162に入力される。この映像信号処理部162で所定の映像信号に処理された信号が、映像記録/再生回路部160に入力される。これにより、映像記録/再生回路部160から被写体の像に対応した信号がモニタ駆動部166、内蔵メモリ161若しくは外部メモリ164に出力される。その結果、モニタ駆動部166を介して表示装置163に被写体の像に対応した画像が表示され、或いは、必要により情報信号として内蔵メモリ161若しくは外部メモリ164に記録される。
このような撮影状態において、像ぶれ補正装置1が動作状態にあるものとして、カメラ本体101に振れや揺れ等が生じると、加速度センサ175がその振れや揺れ等を検出する。そして、その検出信号が、補正レンズ制御部165を介して映像記録/再生回路部160に出力される。これを受けて映像記録/再生回路部160では、所定の演算処理を実行する。そして、映像記録/再生回路部160は、像ぶれ補正装置1の動作を制御する制御信号を補正レンズ制御部165に出力する。補正レンズ制御部165では、映像記録/再生回路部160からの制御信号に基づいて所定の駆動信号を像ぶれ補正装置1に出力する。そして、像ぶれ補正装置1では、保持枠3を第1の方向X及び/又は第2の方向Yに沿って所定量だけ傾動する。これにより、第1のレンズ2の傾動を介して像ぶれが解消され、綺麗な画像を得ることができる。
以上説明したように、本発明の像ぶれ補正装置によれば、保持枠側の部材及び支持枠側の部材の少なくとも一方に球面ガイドが接触する傾動球面を設けると共に、その傾動球面の球心位置と第1のレンズの凸状球面及び/又は第2のレンズの凹状球面の球心位置を、第1のレンズ及び前記第2のレンズの光軸上の同一点に設定した。そのため、像ぶれ補正された撮影画像の光軸を撮像素子(CCD)の中央に集光することができる共に、第1のレンズ及び第2のレンズのうち傾動されるレンズの光軸がレンズ系の光軸に対してずれることがなく、且つ、焦点もずれることがなく、高精度な像ぶれ補正を行うことができる。
また、支持枠は、3つの球面ガイドを介して保持枠を傾動可能に支持するため、装置自体の小型化を実現することができると共に、部品点数の削減を図ることができる。しかも、保持枠を傾動する際の摩擦抵抗を極めて小さくすることができるため、アクチュエータによって発生させる推力を小さくすることができ、消費電力を軽減することができる。また、保持枠と支持枠は、球面ガイドを介して密着されるため、保持枠にガタツキが生じる心配がなく、第1のレンズの移動制御を極めて精度良く行うことができると共に、光学特性の劣化を最小限に抑えることができる。
本発明は、前述しかつ図面に示した実施の例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、前記実施の例においては、撮像装置としてデジタルスチルカメラを適用した例について説明したが、デジタルビデオカメラ、カメラ付きパーソナルコンピュータ、カメラ付き携帯電話その他の撮像装置にも適用できるものである。更に、レンズ鏡筒として5群レンズを用いた例について説明したが、4群レンズ以下であってもよく、また、6群レンズ以上のものに適用できることも勿論である。
また、前記実施の例においては、凸状球面を有する第1のレンズをレンズ系の対物レンズ側に配置し、凹状球面を有する第2のレンズを撮像素子側に配置するようにして像ぶれ補正装置をレンズ鏡筒に搭載した。しかしながら、本発明の像ぶれ補正装置としては、前記実施の例とは逆に、凸状球面を有する第1のレンズを撮像素子側に配置し、凹状球面を有する第2のレンズを対物レンズ側に配置するようにしてレンズ鏡筒に搭載することもできるものである。
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G…像ぶれ補正装置、 2…第1のレンズ(凸レンズ)、 3…保持枠、 4…第2のレンズ(凹レンズ)、 5…支持枠、 6…球体(球面ガイド)、 7A…第1の電動アクチュエータ(アクチュエータ)、 7B…第2の電動アクチュエータ(アクチュエータ)、 11…レンズ固定部、 12A…第1のマグネット固定部、 12B…第2のマグネット固定部、 21A,21B…マグネット、 22A,22B…バックヨーク、 23A,23B…対向ヨーク、 24A,24B…第1のコイル、 25A,25B…第2のコイル、 31…レンズ用凹部、 31a…貫通穴、 32A…第1のコイル用凹部、 32B…第2のコイル用凹部、 33A,33B…ヨーク用嵌合穴、 35…球体保持具、 41…第1のホール素子、 42…第2のホール素子、 50…レンズ鏡筒、 100…デジタルスチルカメラ(撮像装置)、 X…第1の方向、 Y…第2の方向、 O1,O2…球心位置
Claims (12)
- 凸状球面を有する第1のレンズと、
前記第1のレンズを保持する保持枠と、
前記凸状球面に対向される凹状球面を有する第2のレンズと、
前記第2のレンズを保持すると共に、少なくとも3つの球面ガイドを介して前記保持枠を相対的に移動可能に支持する支持枠と、
前記保持枠と前記支持枠を相対的に移動させるアクチュエータと、を備え、
保持枠側の部材及び支持枠側の部材の少なくとも一方には、前記球面ガイドが接触する傾動球面を設けると共に、当該傾動球面の球心位置と前記凸状球面及び/又は前記凹状球面の球心位置を前記第1のレンズ及び前記第2のレンズの光軸上で一致させ又は略一致させたことを特徴とする像ぶれ補正装置。 - 前記球面ガイドは、前記保持枠及び前記支持枠と別体に形成されて当該保持枠と当該支持枠との間に転動自在に介在される球体であることを特徴とする請求項1記載の像ぶれ補正装置。
- 前記球体は、前記支持枠及び前記保持枠と別体に設けた球体保持具、又は、当該支持枠若しくは当該保持枠に設けた球体保持部に転動自在に保持したことを特徴とする請求項2記載の像ぶれ補正装置。
- 前記球面ガイドは、前記保持枠若しくは前記支持枠と一体に形成されると共に、当該支持枠若しくは当該保持枠に摺動可能に接触される球面部を有する球面突起であることを特徴とする請求項1記載の像ぶれ補正装置。
- 前記傾動球面は、前記保持枠側の部材に設けた保持枠側傾動球面と、前記支持枠側の部材に設けた支持枠側傾動面とからなり、前記保持枠側傾動球面の球心位置と前記支持枠側傾動面の球心位置とを略一致させたことを特徴とする請求項1記載の像ぶれ補正装置。
- 前記保持枠側傾動球面を前記第1のレンズの前記凸状球面とし、前記支持枠側傾動面を前記第2のレンズの凹状球面としたことを特徴とする請求項5記載の像ぶれ補正装置。
- 前記アクチュエータは、相対的に移動可能とされたコイルとマグネットを有し、前記光軸に直交する第1の方向及び当該第1の方向と直交する方向であって前記光軸とも直交する第2の方向に推力を発生させる電動アクチュエータであることを特徴とする請求項1記載の像ぶれ補正装置。
- 前記電動アクチュエータの前記マグネットの磁力により前記第1のレンズ又は前記第2のレンズの前記第1の方向に関する位置情報を検出してその検出信号を出力する第1のホール素子と、
前記電動アクチュエータの前記マグネットの磁力により前記第1のレンズ又は前記第2のレンズの前記第2の方向に関する位置情報を検出してその検出信号を出力する第2のホール素子と、を設けたことを特徴とする請求項7記載の像ぶれ補正装置。 - 前記電動アクチュエータを2つ設け、当該2つの電動アクチュエータを前記第1のレンズ及び前記第2のレンズを中心として対称をなす位置に配置したことを特徴とする請求項7記載の像ぶれ補正装置。
- 前記2つの電動アクチュエータの前記マグネットの磁力により前記保持枠及び前記支持枠の一方を他方へ相対的に付勢したことを特徴とする請求項9記載の像ぶれ補正装置。
- レンズ系が収納された筒体と、
前記レンズ系の像ぶれを補正する像ぶれ補正装置と、を備えたレンズ鏡筒であって、
前記像ぶれ補正装置は、
凸状球面を有する第1のレンズと、
前記第1のレンズを保持する保持枠と、
前記凸状球面に対向される凹状球面を有する第2のレンズと、
前記第2のレンズを保持すると共に、少なくとも3つの球面ガイドを介して前記保持枠を相対的に移動可能に支持する支持枠と、
前記保持枠と前記支持枠を相対的に移動させるアクチュエータと、を備え、
保持枠側の部材及び支持枠側の部材の少なくとも一方には、前記球面ガイドが接触する傾動球面を設けると共に、当該傾動球面の球心位置と前記凸状球面及び/又は前記凹状球面の球心位置を前記第1のレンズ及び前記第2のレンズの光軸上で一致させ又は略一致させたことを特徴とするレンズ鏡筒。 - レンズ系が収納された筒体と、前記レンズ系の像ぶれを補正する像ぶれ補正装置と、を有するレンズ鏡筒を備えた撮像装置であって、
前記像ぶれ補正装置は、
凸状球面を有する第1のレンズと、
前記第1のレンズを保持する保持枠と、
前記凸状球面に対向される凹状球面を有する第2のレンズと、
前記第2のレンズを保持すると共に、少なくとも3つの球面ガイドを介して前記保持枠を相対的に移動可能に支持する支持枠と、
前記保持枠と前記支持枠を相対的に移動させるアクチュエータと、を備え、
保持枠側の部材及び支持枠側の部材の少なくとも一方には、前記球面ガイドが接触する傾動球面を設けると共に、当該傾動球面の球心位置と前記凸状球面及び/又は前記凹状球面の球心位置を前記第1のレンズ及び前記第2のレンズの光軸上で一致させ又は略一致させたことを特徴とする撮像装置。
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