JP2009025481A - 像ぶれ補正装置および撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】撮像光学系の一部を構成する補正レンズ3dを可動枠36によって回転揺動可能に保持し、像ぶれを補正するための回転揺動目標値に応じて、補正レンズ3dを光軸3aに対して回転揺動させる像ぶれ補正装置であって、可動枠36光軸3a上の1点Pを中心として回転揺動可能に支持する固定部材31と、可動枠36と固定部材31との間で、光軸3aに沿う方向に磁気吸引力を発生させて、可動枠36を光軸3aに直交する2軸方向に駆動するコイル部と、光軸3aに直交する平面において、可動枠36の光軸3a中心からの移動量を検出する位置センサとその検出出力に応じてコイル部を制御して、可動枠36を回転揺動目標値の位置に駆動する駆動制御部50とを備える構成とする。
【選択図】図1
Description
例えば、特許文献1には、レンズ固定部と、レンズ固定部に対してヨー方向およびピッチ方向に2軸回転可能なレンズ支持部と、レンズ支持部に支持され、少なくとも一面が曲面に形成された単一レンズと、撮像機器の振動を検知する振動検出装置と、この振動検出手段の出力に応じて像ぶれによる像点移動を補正するように、レンズ支持部材をヨー方向および/またはピッチ方向に回転させる駆動部とを備える像ぶれ補正装置およびこれを備えた撮像装置が記載されている。
この像ぶれ補正装置では、レンズ固定部の周方向の4箇所に互いに光軸を挟んで対向する磁石部材が配置され、これら磁石部材と、光軸に対して径方向外側にそれぞれ対向する位置に磁気吸引力を発生させるコイル部材とヨーク部材とが配置され、これら磁石部材に対する磁気吸引力のバランスによって、レンズ固定部をヨー方向および/またはピッチ方向に回転させるようにしている。
特許文献1に記載の技術では、コイル部材と磁石部材とを互いに光軸に直交する方向に対向させて配置しているため、装置の光軸方向の厚さがコイル部材の外径の大きさより小さくできないため、装置を光軸方向に薄型化することができないという問題がある。コイル部材の外径を小型化することも考えられるが、必要な駆動力を確保するためには、コイル巻き数を増やす必要があるため、コイル部材の軸方向の長さが長くなって、装置が径方向に大型化してしまう。
また、このような構成では、磁石部材とコイル部材との間に働く磁気吸引力は光軸に直交する方向に作用している。そのため、レンズ固定部をレンズ支持部に対して光軸方向に付勢する力が、磁気吸引力のバランスが崩れたときの光軸方向分力しか作用しないので、外部振動の大きさによっては、レンズ固定部がレンズ支持部に対して光軸方向に離間するおそれがあり、像ぶれ補正精度が劣ってしまう可能性があるという問題がある。レンズ固定部をレンズ支持部に対して付勢する手段を設けることも考えられるが、部品点数が増えるとともに、装置が大型化するおそれがある。
中心を共有する曲率半径一定の球面部と、前記レンズまたはレンズ群を該レンズまたはレンズ群の光軸が前記球面部の中心軸に一致するように保持するレンズ保持部とを有するレンズ保持部材と、該レンズ保持部材の前記球面部の中心を前記撮像光学系の光軸上に位置させるとともに、前記レンズ保持部材を、前記球面部の中心を揺動中心として回転揺動可能に支持する支持部と、前記レンズ保持部材と前記支持部との間で、前記撮像光学系の光軸に沿う方向に磁気吸引力を発生させて、前記レンズ保持部材を前記撮像光学系の光軸に直交する2軸方向に駆動する駆動部と、前記撮像光学系の光軸に直交する平面において、前記レンズ保持部材の前記撮像光学系の光軸からの移動量を検出する検出センサと、該検出センサの検出出力に応じて前記駆動部を制御して、前記レンズ保持部材を前記回転揺動目標値の位置に駆動する駆動制御部とを備える構成とする。
この発明によれば、駆動制御部によって、検出センサの検出出力からレンズ保持部材の回転揺動位置を検出し、像ぶれを補正するための回転揺動目標値に応じて、駆動部を制御することで、レンズ保持部材に保持されたレンズまたはレンズ群を回転揺動目標値の位置に駆動することができる。そのため、撮像光学系の一部のレンズまたはレンズ群を撮像光学系の光軸上の一点を中心として、回転揺動させ、シフト移動を含むティルト移動を行って、高精度に像ぶれを補正することができる。
また、駆動部は、レンズ保持部材と支持部との間で、撮像光学系の光軸に沿う方向に磁気吸引力を発生させるので、レンズ保持部材上の被吸引部と駆動部とを、撮像光学系の光軸方向に対向させて配置することができるため、それぞれを扁平な部材、例えば、被吸引部として金属板、駆動部として扁平コイルなどを用いることで、光軸方向に薄型の構成とし、小型化を図ることができる。
また、レンズ保持部材は、駆動部が発生する磁気吸引力によって、支持部に対して光軸方向に磁気吸引を受けて付勢された状態とされるため、外部振動を受けても撮像光学系の光軸方向の位置ずれが発生しにくくなる。
この発明によれば、振れ検出センサによって検出された装置本体の振れ量に応じて、制御目標値算出部によって、像ぶれ補正装置の回転揺動目標値を算出し、像ぶれ補正装置の駆動制御部が、この回転揺動目標値に基づいて駆動部を制御することで、像ぶれ補正を行うことができる。
また、本発明の撮像装置は、本発明の像ぶれ補正装置を備えた撮像装置となっているので、本発明の像ぶれ補正装置と同様の作用効果を備える。
本発明の第1の実施形態に係る像ぶれ補正装置について、それを備えた撮像装置とともに説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る像ぶれ補正装置を備える撮像装置の概略構成を示す模式的な構成図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る像ぶれ補正装置の概略構成を示す模式的な平面図である。図3は、図2のA−A断面図である。図4は、図2のB−B断面図である。図5は、本発明の第1の実施形態に係る像ぶれ補正装置の概略構成を示す分解斜視図である。図6は、本発明の第1の実施形態に係る像ぶれ補正装置の駆動制御部の構成を示す機能ブロック図である。
カメラ1の概略構成は、図1に示すように、撮像レンズユニット3、撮像素子4、液晶モニタ6、リリーススイッチ7、撮像制御部5、像ぶれ補正機構30、カメラ筐体2、角速度センサ11、制御目標値算出部12、および駆動制御部50からなる。
鏡筒3bは、オートフォーカス動作を行うため、撮像制御部5に電気的に接続された撮像レンズ駆動機構8によって光軸3aに沿って移動可能に保持されている。
補正レンズ3dは、撮像光学系の一部を構成するとともに、光軸3aに対して、シフト移動を含むティルト移動を行うことで、撮像面での像ぶれを補正する光学素子である。この補正レンズ3dは、像ぶれ補正機構30によって、光軸3a上の点Pを中心とする球面に沿って回転揺動可能に保持されている。すなわち、点Pを通る図示紙面垂直軸および光軸3aに点Pで直交する図示紙面内の軸回りに揺動可能とされている。
補正レンズ3dの揺動中心である点Pは、補正レンズ3dの像ぶれ補正の寄与が少ないレンズ面の移動による収差劣化を防止するため、補正レンズ3dの像側のレンズ面S1または物体側のレンズ面S2の曲率中心に一致させることが原理的には好ましい。本実施形態では、揺動中心Pは、半径R0の像側のレンズ面S1の曲率中心に一致されている(図4参照)。但し、レンズ面S1またはS2の曲率中心と揺動中心Pとの距離は、必要に応じて適宜設定することができる。例えば、補正レンズ3dがズーム光学系の一部を構成する場合、全ズーム域の種々の収差劣化を最適にバランスさせるためには、揺動中心位置がレンズ面S1またはS2の曲率中心から若干ずれていた方が好ましい場合がある。
液晶モニタ6は、撮像素子4で光電変換された画像データや、カメラ1の操作や設定を行うための操作画面などを表示する表示部である。
リリーススイッチ7は、静止画撮像を行うための不図示のシャッタを開放するための操作スイッチであり、撮像制御部5に接続されている。
撮像制御部5は、これらの機能を専用のハードウエアから構成してもよいし、CPU、メモリ、適宜の入出力インターフェースなどを備えたコンピュータにより実現してもよい。
像ぶれ補正機構30の外形は、光軸3aを中心軸とし、光軸3a方向を厚さ方向とする略円板状の領域に収まる形状とされる。
以下では、相対的な方向を簡潔に説明するため、誤解のおそれがない限り、像ぶれ補正機構30の取付状態における像側(撮像素子4側)を背面側、物体側(レンズ3e側)を正面側と称することにする。例えば、図2は、像ぶれ補正機構30を正面側から見た平面図である。
固定部材31の形状は、図5に示すように、平面視略円状で、その中心部に、補正レンズ3dへの入射光を透過させる開口部31aが形成され、開口部31aの外周側の同一円周上で、周方向を略4等分する位置にそれぞれ中心を有し、正面側から背面側に貫通する角孔とこの角孔よりもやや大きい開口が背面側に形成された角穴とからなる4つのヨーク固定部31cが形成されている。すなわち、ヨーク固定部31cは、開口部31aの中心を挟んで一対ずつが互いに直交する2軸方向に沿って対向されている。このため、4つのヨーク固定部31cは、開口部31aの中心軸に対して回転対称に設けられている。
凹球面部31bは、一定の回転揺動範囲において後述するボール35を転動させることができる大きさを有していれば、必ずしも開口部31aの中心を介して対向する位置に設ける必要はないが、本実施形態では、開口部31aの中心を介して一対ずつ対向し、それぞれの対向方向が互いに垂直に交差している配置とされている。
また、開口部31aを挟んで対向する一対のヨーク固定部31cと開口部31aとの間には、コイル基板32を位置決めするための2つの位置決め突起31eが、正面側に突設されている。
固定部材31の材質は、適宜の非磁性体、例えば、合成樹脂やセラミックスなどを用いた成形品を採用することができる。
本実施形態では、例えば鉄系の金属板をプレス加工して、位置センサを避けるため正面側に凹溝を形成した形状の板部材を採用している。
そして、十字状をなす突片部には、それぞれコイル基板32の回路パターンにより同一の磁気性能を有するコイル部32X、32Y、32x、32yが形成されている。光軸3a方向のスペースに余裕がある場合には、これらコイル部32X等は、コイル基板32の給電パターンに電気的に接続された扁平コイルにより構成してもよい。
また、コイル部32X、32Y、32x、32yの中心には、それぞれホール素子からなる位置センサ34X、34Y、34x、34yを厚さ方向に干渉させることなく配置するための孔部32bが設けられている。
なお、以下では、数字の後に文字符号X、Y、x、yが付された場合、同じ文字符号は、周方向の同じ位置に対応するものを表す。また、文字符号X、Y、x、yが付された4つの部材を総称する場合、便宜上、上記のように、例えば位置センサ34X等などと表すことにする。
レンズ取付部36aの外周側の同一円周上には、周方向を略4等分する位置にそれぞれ中心を有する、正面側から背面側に貫通する角孔と、この角孔よりもやや大きい開口が正面側に形成された角穴とからなる磁石固定部36bが形成されている。すなわち、磁石固定部36bは、レンズ取付部36aの中心を挟んで一対ずつが互いに直交する2軸方向に沿って対向されている。
各磁石固定部36bの中心は、ヨーク固定部31cの中心が整列する円周と略同径の円周上に整列している。
これにより、可動枠36は、ボール35を介して固定部材31上に配置したとき、ボール35の転動により、固定部材31に対して、揺動中心点Pを中心として滑らかに回転揺動できる状態に支持される。
回り止め溝部36dは、回り止め31dとともに、可動枠36を固定部材31に対して組み立てる際の、組立位置の目安となるとともに、組立後は、固定部材31に対する可動枠36の光軸3a回りの回転を規制する回り止め機構を構成する。
可動枠36の材質は、適宜の非磁性体、例えば、合成樹脂やセラミックスなどを用いた成形品を採用することができる。
なお、磁石部材37X等は、磁気吸引力のバランスをとるために、同一の磁気性能を有することが好ましいが、ある程度磁気性能や組立バラツキがあっても、コイル部32X等にそれぞれ独立にコイル電流を供給できるため、コイル電流の供給量のゲインおよびオフセット調整をそれぞれ実施することで、均等な磁気吸引力を設定することができる。
角速度信号102は、互いに直交する2軸方向の角速度成分に対応して2つ1組の出力値から構成され、制御目標値算出部12によって、各成分に分けて読み取り可能な形態で送出される。
角速度センサ11としては、このような角速度を検出することができればどのようなセンサを採用してもよい。例えば、コリオリ力を用いた振動式ジャイロセンサなどを採用することができる。センサの振動子としては、圧電素子やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術などを用いた振動子を好適に採用することができる。
すなわち、制御目標値算出部12は、例えばパンニングなどの場合に像ぶれ補正がかからないように、角速度センサ11からの角速度信号102を、例えばハイパスフィルタに通して低周波成分を除去して、像ぶれの原因となる高周波成分に基づいて撮像レンズユニット3の光軸3aの振れ量を算出する。そして、この振れ量に対応する撮像素子4の撮像面上での画像移動量が略キャンセルされるように、撮像面上の画像を移動させる補正レンズ3dの回転揺動量を算出し、この回転揺動量に対応する像ぶれ補正機構30における可動枠36の回転揺動目標値103を算出して、回転揺動目標値103を駆動制御部50に送出する。
回転揺動目標値103は、本実施形態では、X軸方向およびY軸方向の揺動角度の情報からなる。
補正レンズ3dの回転揺動量と撮像面上の画像移動量との関係の情報は、撮像レンズユニット3の具体的なレンズ構成に対応して、例えば、関係式や数値テーブルなどの形で保持しておくことができる。
制御目標値算出部12の構成は、これらの各機能を専用のハードウエアから構成してもよいし、CPU、メモリ、適宜の入出力インターフェースなどを備えたコンピュータにより実現してもよい。撮像制御部5をコンピュータで構成する場合には撮像制御部5を構成するコンピュータと兼用してもよい。
演算処理部52は、回転揺動位置検出部51によって算出された回転揺動位置111を、制御目標値算出部12から送出された回転揺動目標値103と比較し、この目標値からの偏差を0にするように可動枠36を駆動するため、コイル部32X、32x、32Y、32yに発生させる磁気吸引力を算出し、それぞれのコイル電流をコイル電流制御部53に設定するものである。
コイル電流制御部53は、演算処理部52によって大きさが設定されたコイル電流120X、120x、120Y、120yをコイル部32X、32x、32Y、32yに供給するものである。
そして、像ぶれ補正機構30と駆動制御部50とは、本実施形態に係る像ぶれ補正装置を構成している。
駆動制御部50の具体的な構成は、これらの各機能を専用のハードウエアから構成してもよいし、CPU、メモリ、適宜の入出力インターフェースなどを備えたコンピュータにより実現してもよい。撮像制御部5をコンピュータで構成する場合には撮像制御部5を構成するコンピュータと兼用してもよい。
図7(a)、(b)、(c)は、本発明の第1の実施形態に係る像ぶれ補正装置の像ぶれ補正オンモードにおける動作を説明するための模式的な断面図である。図8(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態に係る像ぶれ補正装置の像ぶれ補正オフモードにおける動作を説明するための模式的な断面図である。
このいずれの動作においても、像ぶれ補正を有効にするモード(像ぶれ補正オンモード)と、像ぶれ補正を無効にするモード(像ぶれ補正オフモード)とを備えており、不図示の操作部によって、撮影者が像ぶれ補正の有無を選択できるようになっている。
一方、像ぶれ補正機構30では、位置センサ34X等において、磁束密度を電気信号に変換して検出出力110X等が、駆動制御部50の回転揺動位置検出部51に送出される。
回転揺動位置検出部51では、検出出力110X等の大きさから、可動枠36の現在の回転揺動位置111を算出し、演算処理部52に送出する。
このような回転揺動では、検出出力110Xと検出出力110xとは略等しく、また、検出出力110Yと検出出力110yとは略等しい値をとる。
ただし、磁界の状態や回転揺動量にもよるが、位置センサの検出対象である磁石部材は、回転揺動に伴って、位置センサとの対向距離も変化するため、位置センサに近づく方向と遠ざかる方向とでは検出精度に差が出る場合がある。そのため、本実施形態では、光軸3aを介して対向する位置関係にある位置センサの検出出力、すなわち、検出出力110X、110xの対と、検出出力110Y、110yの対とで、それぞれの平均値をとり、X軸方向、Y軸方向の揺動位置を求めている。
ただし、十分な検出精度が得られる場合には、位置センサ34Xまたは34xと、位置センサ34Yまたは34yの各軸1個ずつの位置センサで回転揺動位置を検出してもよい。
コイル電流制御部53では、駆動制御信号112に応じて、コイル部32X、32x、32Y、32yに、コイル電流120X、120x、120Y、120yを供給する。
この動作の開始前は、図7(a)に示すように、コイル部32X等には、それぞれ磁石部材37X等をそれぞれの重心QX等に対して一定の吸引力fで吸引するようなコイル電流が供給されている。このため、可動枠36は、ボール35を介して、固定部材31に押圧されて、コイル部32Xとの隙間hを隔てて対向し、補正レンズ3dの光軸は光軸3aに一致した状態とされる。
この状態から、可動枠36を図2、3の矢印Y方向に駆動するには、図7(b)に示すように、コイル部32yに供給するコイル電流120yをコイル部32Yに供給するコイル電流120Yをよりも大きな所定値に設定し、それぞれの重心Qy、QYに作用する磁気吸引力をfy、fYに設定する(fy>fY)。
これにより、可動枠36には、図3の矢印Yで示されるような力のモーメントが作用し、可動枠36が図3の図示反時計回りに揺動する。このとき、図7(c)に示すように、磁石部材37y、37Yは、各重心Qy、QYが角度Δθ回転するとともに、図示Y方向にΔYだけ移動し、光軸3a方向には、それぞれ、(h−Δh)、(h+Δh)の位置に移動して、モーメントがつり合う状態となる。
上記は、1軸方向の動作について説明したが、図2の矢印y、X、x方向への回転揺動も同様にして可能である。そのため、可動枠36は、互いに直交する2軸方向への回転揺動が可能となっている。
本実施形態では、補正レンズ3dが、レンズ面S1の曲率中心に一致して回転揺動される。このため、レンズ面S2は、光軸3aに対してティルト移動を含むシフト移動されるが、光学的には、レンズ面S1は、光軸3aに対して移動していないのと同等である。
したがって、像ぶれ補正に関係しないレンズ面の移動が起こらないため、像ぶれ補正による収差劣化を低減することができ、高精度な像ぶれ補正を行うことができる。
その結果、可動枠36は、やはり、ボール35を介して、固定部材31に押圧されて、コイル部32Xとの隙間hを隔てて対向し、補正レンズ3dの光軸は光軸3aに一致した状態とされる。
ここで、カメラ1に振れが発生して、例えば、図2の矢印Y方向に、可動枠36および補正レンズ3dに対して慣性力が作用する場合を考えると、図8(b)に示すように、可動枠36が図3の矢印Y方向に揺動して、磁石部材37X等の位置が、それぞれ回転および移動する。このとき、各磁石部材に作用する吸引力は、いずれも、各磁石部材を慣性力が作用する以前の状態に戻そうとする復元力となるため、慣性力が消失すると、図2のy方向に移動し減衰振動した後、図8(a)の初期状態に復帰する。
したがって、磁石部材37X等の磁力を適宜値に設定することにより、コイル部32X等に通電しない状態であっても、可動枠36および補正レンズ3dを略一定の回転揺動位置に保持することができる。
その結果、本実施形態では、像ぶれ補正オフモードにおいては消費電力を低減することができる。
また、磁石部材37X等と扁平なコイル部32X等とを光軸3aの方向に対向させるので、像ぶれ補正機構30の光軸3a方向の厚さを低減することができ、撮像レンズユニット3の径方向および光軸方向の寸法を低減して、小型化を図ることができる。
また、像ぶれ補正オンモード、像ぶれ補正オフモードのいずれにおいても、磁石部材37X等が設けられた可動枠36と、コイル部32X等あるいは固定ヨーク33が設けられた固定部材31との間には、光軸3a方向に磁気吸引力が作用し、可動枠36が、ボール35を介して、固定部材31に付勢されている状態となる。そのため、外部振動を受けても、補正レンズ3dを安定して保持することができる。例えば、外部振動を受けても、補正レンズ3dの光軸3a方向に移動したり振動したりして、光軸3a方向の位置が不安定にならないようにすることができるので、安定した像ぶれ補正を行うことができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る像ぶれ補正装置について説明する。
図9は、本発明の第2の実施形態に係る像ぶれ補正装置の像振れ補正について説明する平面視の模式説明図である。
すなわち、本実施形態では、磁石部材37X等およびコイル部32X等の各磁極方向は、光軸3aを中心とした円筒面上に略沿って配置されている。このため、コイル部32X等と磁石部材37X等との間に作用する磁気吸引力が、光軸3aを中心とした円周方向に作用しやすくなっている。
その結果、コイル部32X等に供給するコイル電流を調整することで、磁石部材37X等が固定された可動枠36を光軸3a回りの方向に容易に移動できるようになっている。
このような磁極の配置によれば、磁石部材37X等がコイル部32X等に対して移動すると、位置センサ34X、34xの検出出力110X、110xによって、磁石部材37X、37xのY軸方向の移動方向を検出することができる。また、位置センサ34Y、34yの検出出力110Y、110yによって、磁石部材37Y、37yのX軸方向の移動方向を検出することができる。例えば、検出出力110X等を、磁石部材37X等が対応するコイル部32X等と重なり合って対向する位置(以下、基準位置と称する)では0、S極側へ移動した場合は正、N極側へ移動した場合は負の値をとるように設定することができる。
このため、駆動制御部50Aは、図6に示すように、上記第1の実施形態の駆動制御部50における回転揺動位置検出部51、演算処理部52に代えて、それぞれ回転揺動位置検出部51A、演算処理部52Aを備える。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
すなわち磁石部材37Yの移動ベクトルdYの大きさは0であり、磁石部材37x、37X、37yの各中心の移動ベクトルをそれぞれdx、dX、dyとすると、それぞれの大きさは、|dx|=|dX|<|dy|の関係にある。
このとき、移動ベクトルdxに対応する検出出力110xからは、磁石部材37xがN極側(Y軸方向で磁石部材37y側)へ移動していることが検出され、移動ベクトルdXに対応する検出出力110Xからは、磁石部材37XがS極側(Y軸方向で磁石部材37Y側)へ移動していることが検出される。また、検出出力110X、110xの大きさは、|dX|=|dx|に対応して略同じ値となっている。ここで、磁極配置から、位置センサ34X、34xは、X軸方向の感度が低いので、検出出力110X、110xは実質的にdX、dxのY軸方向成分の大きさを表している。
一方、移動ベクトルdyに対応する検出出力110yからは、磁石部材37yがS極側(Y軸方向で磁石部材37X側)へ移動していることが検出される。また、検出出力110yの大きさは、|dy|の大きさに応じて、検出出力110X、110xより大きな値となっている。上記と同様に、検出出力110Y、110yは実質的にdY、dyのX軸方向成分の大きさを表している。
したがって、検出出力110X、110xからコイル部32X、32xの位置に対する磁石部材37X、37のY軸方向の位置が算出され、検出出力110Y、110yからコイル部32Y、32yの位置に対する磁石部材37Y、37yのX軸方向の位置が算出されるため、光軸3aおよび光軸3aから偏心した軸回りの回転移動を含めた可動枠36の回転揺動位置111Aの情報が得られる。
可動枠36の光軸3aおよび光軸3aから偏心した軸回りの回転成分Y、110yの差が0になるように、コイル部32X、32x、並びにコイル部32Y、32yのそれぞれのコイル電流のバランスを変化させればよい。
また、本実施形態で可動枠36を回転揺動させる場合、光軸3aに直交する平面におけるX軸方向の移動は、実質的に、コイル部32Y、32yのコイル電流120Y、120yの大きさで制御され、Y軸方向の移動は、コイル部32X、32xのコイル電流120x、120Xの大きさで制御される。
これらの実際のサーボ制御では、フィードバックがかかっているので、光軸3aおよび光軸3aから偏心した回転の補正と2軸方向の回転揺動とは、同時に駆動制御され、サーボ制御の制御定数を適宜設定することで回転揺動目標値103に収束させることができる。
この場合、供給する電流は、像ぶれ補正オンモードにおける供給電流よりも少ない微小な電流を供給することが、省電力の点から好ましい。
カメラ1は、撮像装置の一実施形態である。カメラ筐体2は、装置本体の一実施形態である。レンズ3c、補正レンズ3d、レンズ3eは、撮像光学系の一実施形態を構成する。補正レンズ3dは、撮像光学系の一部を構成するレンズまたはレンズ群の一実施形態である。角速度センサ11は、振れ検出センサの一実施形態である。像ぶれ補正機構30と、駆動制御部50、50Aとは、像ぶれ補正装置の一実施形態を構成する。固定部材31は、支持部の一実施形態である。コイル部32X、32x、32Y、32yは駆動部の一実施形態である。位置センサ34X、34x、34Y、34yは、検出センサの一実施形態である。可動枠36は、レンズ保持部材の一実施形態である。レンズ取付部36aは、レンズ保持部の一実施形態である。凸球面部36cは、球面部の一実施形態である。
2 カメラ筐体(装置本体)
3 撮像レンズユニット
3a 光軸(撮像光学系の光軸)
3b、3c レンズ
3d 補正レンズ(撮像光学系の一部を構成するレンズまたはレンズ群)
4 撮像素子
11 角速度センサ(振れ検出センサ)
12 制御目標値算出部
30 像ぶれ補正機構
31 固定部材(支持部)
32 コイル基板
32X、32x、32Y、32y コイル部(駆動部)
33 固定ヨーク
34X、34x、34Y、34y 位置センサ(検出センサ)
36 可動枠(レンズ保持部材)
36a レンズ取付部(レンズ保持部)
36c 凸球面部(球面部)
37X、37x、37Y、37y 磁石部材
38 可動ヨーク
50、50A 駆動制御部
51、51A 回転揺動位置検出部
52、52A 演算処理部
53 コイル電流制御部
31b 凹球面部
36c 凸球面部
103 回転揺動目標値
Claims (3)
- 撮像光学系の一部を構成するレンズまたはレンズ群を回転揺動可能に保持し、像ぶれを補正するための回転揺動目標値に応じて、前記レンズまたはレンズ群を前記撮像光学系の光軸に対して回転揺動させる像ぶれ補正装置であって、
中心を共有する曲率半径一定の球面部と、前記レンズまたはレンズ群を該レンズまたはレンズ群の光軸が前記球面部の中心軸に一致するように保持するレンズ保持部とを有するレンズ保持部材と、
該レンズ保持部材の前記球面部の中心を前記撮像光学系の光軸上に位置させるとともに、前記レンズ保持部材を、前記球面部の中心を揺動中心として回転揺動可能に支持する支持部と、
前記レンズ保持部材と前記支持部との間で、前記撮像光学系の光軸に沿う方向に磁気吸引力を発生させて、前記レンズ保持部材を前記撮像光学系の光軸に直交する2軸方向に駆動する駆動部と、
前記撮像光学系の光軸に直交する平面において、前記レンズ保持部材の前記撮像光学系の光軸からの移動量を検出する検出センサと、
該検出センサの検出出力に応じて前記駆動部を制御して、前記レンズ保持部材を前記回転揺動目標値の位置に駆動する駆動制御部とを備えることを特徴とする像ぶれ補正装置。 - 前記駆動部および前記検出センサは、
それぞれ、前記撮像光学系の光軸を挟んで対向する2対が、前記撮像光学系の光軸に対して回転対称に配置され、
前記駆動制御部は、
前記互いに対をなす検出センサの検出出力から、前記レンズ保持部材の、前記撮像光学系の光軸から偏心した軸回りの回転量を検出し、前記レンズ保持部材の前記撮像光学系の光軸から偏心した軸回りの回転量を補正するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の像ぶれ補正装置。 - 被写体の像を撮像面に結像する撮像光学系と、
装置本体の振れ量を検出する振れ検出センサと、
前記撮像光学系の一部を構成するレンズまたはレンズ群を回転揺動可能に保持する請求項1または2に記載の像ぶれ補正装置と、
前記装置本体の振れ量に応じた像ぶれを補正するため、前記振れ検出センサの検出出力に基づいて、前記像ぶれ補正装置における前記レンズ保持部材の回転揺動目標値を算出する制御目標値算出部とを備え、
前記像ぶれ補正装置の前記駆動制御部が、前記回転揺動目標値に基づいて前記駆動部を制御するようにしたことを特徴とする撮像装置。
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