JP2012037549A - カメラモジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】自重落下による光軸シフトを補正するための補正電流を低減することができ、光学部の高次の共振ピークによるサーボ系の不安定性を改善する光学的手振れ補正用カメラモジュールを提供する。
【解決手段】本発明に係るカメラモジュール100は、撮像レンズ1を備える光学部3と、中間支持体10と、固定支持体12と、固定支持体12に対して固定されている撮像素子6とを備える光学的手振れ補正用のカメラモジュールであって、光学部3と中間支持体10とを連結し、中間支持体10に対して、光学部3を光軸に垂直な方向に変位可能に支持するサスペンションワイヤー9と、中間支持体10と固定支持体12とを連結し、固定支持体12に対して、中間支持体10を光軸方向に変位可能に支持するAF用バネ11a・11bとを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、携帯電話等の電子機器に搭載されるカメラモジュールに関するものであって、特にオートフォーカス機能に加えて、手振れ補正機能を有するカメラモジュールに関するものである。
近年の携帯電話は、携帯電話内にカメラモジュールを組み込んだ機種が大半を占めるようになってきている。携帯電話に搭載されるカメラモジュールは、携帯電話内に収納しなければならないため、デジタルカメラと比べて小型、軽量化に対する要求が大きい。
このようなカメラモジュールの中で、レンズ駆動装置によってレンズを駆動させることによりオートフォーカス(AF:Auto Focus)機能を実現するタイプのものが、携帯電話等の電子機器に搭載される例も増加してきている。レンズ駆動装置として、ステッピングモータを利用するタイプ、圧電素子を利用するタイプ、VCM(Voice Coil Motor:ボイスコイルモータ)を利用するタイプ等、様々なタイプが存在し、すでに市場に流通している。
一方、このようにオートフォーカス機能を有するカメラモジュールを搭載する携帯電話が当たり前になってきた状況においては、差別化を図るためのさらなる機能として、手振れ補正機能が注目されてきている。手振れ補正機能は、デジタルカメラやビデオカメラでは世の中で広く採用されているが、携帯電話ではサイズ面の問題等があって、搭載するのが難しい状況にある。しかしながら、小型化が可能な新規の手振れ補正機構も提案されつつあり、今後は手振れ補正機能を搭載した携帯電話用カメラモジュールが増加していくと予想される。
携帯電話に搭載することを意識した手振れ補正機能付きカメラモジュールが特許文献1に記載されている。特許文献1で説明されているのは、光学的手振れ補正機構(OIS:Optical Image Stabilizer)についてである。
特許文献1では、撮影ユニット(可動モジュール)と呼ばれる従来のAFカメラモジュールを4本のサスペンションワイヤーで支持し、光軸に垂直な2軸方向に駆動することで手振れを補正する構造となっている。撮影ユニットの駆動機構として、撮影ユニットを搭載したカバー部の4つの外周側面にそれぞれマグネットが配置され、各マグネットに対向するように固定体側ヨークにコイルが配置されている。これにより、固定体側ヨークに対して撮影ユニットが、光軸に垂直な2軸に独立して駆動可能となっている。
特開2009−288770号公報(2009年12月10日公開)
特許文献1の例では、AFカメラモジュール全体を手振れ補正のために駆動しており、OIS可動部が重くなる。また、撮影ユニットには撮像素子も含まれており、レンズ系と撮像素子を一体で光軸に垂直な方向に駆動しても十分な手振れ補正はできない。OIS可動部を軽量化するとともに、補正効果を得るために、例えば撮像素子をOIS固定部側に配したり、OIS可動部の軽量化と部品点数の削減のためにAF駆動用マグネットとOIS駆動用マグネットを共通化したりしたとしても、AFの可動部とAFの固定部全体がOIS可動部となるため、OIS可動部を軽量化することができない。OIS可動部が重いということは、第1にそれだけ駆動にパワーが必要になるという課題がある。OISでは、手振れ補正のために100Hz程度の周波数でOIS可動部を駆動するため、OIS可動部を軽量化することが望ましい。
第2に、光軸が重力の方向とは平行でない方向になるようにカメラが保持された場合、OIS可動部の自重によりOIS可動部がシフトしてしまう。そのため、特に軽量化のために撮像素子をOIS固定部側に配置する場合等では、レンズの光軸が撮像素子に対してシフトすることになり、撮影者が狙った方向に対してずれた映像を撮影してしまう。このような事態を回避するため、通常はコイルにDC補正電流を加え、OIS可動部を位置センサー等で検出される本来の光軸位置まで戻すことが行われる。しかしながら、このような補正を行うと、撮影を行う前後のプレビュー状態でも常に補正電流が必要になり、カメラモジュール、あるいはカメラモジュールを搭載する携帯電話としての消費電力が増大してしまうという課題がある。
また、特許文献1の例では、AF可動部をAF用バネによりAF固定部に対して支持し、AF固定部をOISバネ(サスペンションワイヤー)でOIS固定部に対して支持する構成となっている。このような構成を模式的に表すと、図12に示すような2自由度系の振動モデルになる。mがAF可動部の質量、mがAF可動部を除いたOIS可動部の質量(すなわちAF固定部の質量)、kがAF可動部を支持しているAF用バネの横方向(光軸に垂直な方向)のバネ定数、kがOIS可動部を支持しているサスペンションワイヤーの撓み方向(光軸に垂直な方向)のバネ定数である。各バネの自然長の位置を基準として、AF可動部、OIS可動部の変位をそれぞれx、xとすると、特許文献1の例ではOIS駆動力fはOIS可動部(mに相当)に作用することになる。簡略化のため、粘性項は省略している。このモデルに対して運動方程式をたてると、以下のようになる。
(d/dt)+k(x−x)=0
(d/dt)+k(x−x)+k=f
ラプラス変換してこの連立方程式を解くと、以下のようになる。
/F=k/((m+k)×(m+k+k)−k
ただし、sはラプラス変換の変数、X、X、Fはそれぞれx、x、fのラプラス変換後の関数である。また、レンズの変位を示すのがXであるため、Xに関する式のみ示しているが、同様の解法でXに関する式も導出できる。
ここで、s=−ω、ω=2π×f(fは周波数)として周波数領域に変換すると、この振動系のボード線図が得られる。図13にこの系のボード線図を示す。横軸は周波数で、ゲインの目盛を縦軸左側に、位相の目盛を縦軸右側に示している。上式をそのまま計算すると共振点でゲインが無限大となるため、適度な粘性項を与えて計算した結果を図13に示す。
上式からも類推できるが、X/Fは、分子が定数、分母がsの2次項になっている。したがって、分母=0、すなわちX/F→∞となる共振点が2つ存在することになる。特に、高域側の2次共振は、大きなゲインピークを有し、位相が180度回るため、サーボ系のカットオフ周波数を過ぎてから再び0dBラインを横切る可能性があり、サーボ系の発振につながるため望ましくない。発振を防止するためには、サーボ系全体のゲインを下げるか、フィルター等で2次共振のゲインを落とすか、2次共振の周波数を機械的に上げるか(kを高くする)等の対応が必要になる。ゲインを落とすことは、手振れ補正機能の低下につながり、kを高くするとAFの動作にも悪影響を及ぼす可能性がある。
さらに、図13に示す結果は、AF可動部に対してその重心位置にOIS駆動力(AF用バネを介して作用する)が働いた場合を想定したものであるが、重心位置とOIS駆動力の位置がずれている場合は、AF可動部に対して回転モーメントが作用するため、さらにAF用バネのねじれモード(光軸に垂直な軸を中心とする回転)の共振も生じる。ねじれモードの共振が生じた場合のボード線図を図14に示す。構造にもよるが、通常はねじれ共振は2次共振よりもやや低い周波数で発生し、ゲインピークで見ると下側のピークと上側のピークが接近して見られる。このような共振ピークもサーボ系の不安定性につながるため、望ましくない。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、OIS可動部を軽量化すること、および、撮像レンズを含む光学部に対して直接、OIS駆動力を作用させることにより、サーボ系の不安定性につながる高次の共振ピークをなくすこと、あるいは高次の共振ピークを抑制することが可能で、かつ携帯電話にも搭載が可能な小型の光学的手振れ補正機能付きカメラモジュールを提供することにある。
本発明に係るカメラモジュールは、撮像レンズを備える光学部と、中間支持体と、固定支持体と、上記固定支持体に対して固定されている撮像素子とを備える光学的手振れ補正用のカメラモジュールであって、上記の課題を解決するために、上記光学部と上記中間支持体とを連結し、上記中間支持体に対して、上記光学部を光軸に垂直な方向に変位可能に支持する第1支持部と、上記中間支持体と上記固定支持体とを連結し、上記固定支持体に対して、上記中間支持体を光軸方向に変位可能に支持する第2支持部とを備えることを特徴としている。
上記構成によれば、中間支持体、第1支持部、および中間支持体に対して支持される光学部は、オートフォーカス(AF)機能のために光軸方向に変位されうる。光学部は、光学的手振れ補正(OIS)のために光軸に垂直な方向に変位されうる。よって、光学的手振れ補正のために駆動されるOIS可動部は、光学部等の限られた部材を含み、中間支持体および第2支持部を含まない。それゆえ、光学的手振れ補正のために駆動されるOIS可動部を軽量化することができる。そのため、OIS可動部の自重による光軸シフトを補正するための補正電流を低減することができ、カメラモジュールの低消費電力化を図ることが可能となる。
また、上記構成によれば、OIS可動部は、第2支持部によって光軸方向に変位可能に支持される中間支持体を含まないので、中間支持体および第2支持部を介さずに、OIS可動部に対して直接OIS駆動力を作用させることができる。よって、従来のような第2支持部(AF用バネ)を介して光学部にOIS駆動力を加える構造と比べて、高次の共振ピークを抑制することができる。それゆえ、光学部の変位を制御しやすく、サーボ系の安定性を高められるという効果を奏する。
また、第1コイルと第1マグネットとを含む第1駆動機構を備え、第1コイルおよび第1マグネットのいずれか一方が上記光学部に対して固定されており、他方が上記中間支持体または上記固定支持体に対して固定されており、第1駆動機構は、第1コイルと第1マグネットとの間に働く電磁力により、上記光学部を光軸に垂直な方向に変位させる構成としてもよい。
上記の構成によれば、第1コイルと第1マグネットとの間に働く電磁力によって、中間支持体および第2支持部を介さずに、OIS可動部に対して直接OIS駆動力を作用させることができる。よって、光学部材の高次の共振ピークを抑制することができる。
また、第1コイルは上記光学部に対して固定されている構成であってもよい。
上記の構成によれば、OIS可動部はマグネットではなく、比較的軽量のコイルを備えるので、OIS可動部をさらに軽量化することができる。
また、第2コイルと第2マグネットとを含む第2駆動機構を備え、第2コイルおよび第2マグネットのいずれか一方が上記中間支持体に対して固定されており、他方が上記固定支持体に対して固定されており、第2駆動機構は、第2コイルと第2マグネットとの間に働く電磁力により、上記中間支持体を光軸方向に変位させる構成であってもよい。
上記の構成によれば、光軸方向に変位可能なAF可動部の質量は、従来の構成よりも増加するが、第2支持体(AF用バネ)の外側の空間(第2駆動機構の外側の空間)に第1駆動機構(OIS駆動機構)を配置するという制約がなくなる。よって、AF駆動機構のために中間支持体の外側の空間を広く使用することができ、強いマグネット等を用いて大きな駆動力を発生させることが可能になる。
また、第1コイルと第1マグネットとを含む第1駆動機構と、第2コイルと第2マグネットとを含む第2駆動機構とを備え、第1コイルは上記光学部に対して固定されており、第1マグネットおよび第2マグネットは上記中間支持体に対して固定されており、第2コイルは上記固定支持体に対して固定されており、第1駆動機構は、第1コイルと第1マグネットとの間に働く電磁力により、上記光学部を光軸に垂直な方向に変位させ、第2駆動機構は、第2コイルと第2マグネットとの間に働く電磁力により、上記中間支持体を光軸方向に変位させる構成としてもよい。
上記の構成によれば、第1マグネットと第2コイルとの配置間隔を大きくすることができるため、第2コイルに第1マグネットからの磁束が漏れ入ることを抑制することができる。
また、上記光学部に対して固定されている第1コイルと、上記中間支持体に対して固定されている第3マグネットと、上記固定支持体に対して固定されている第2コイルとを備え、第1コイルと第3マグネットとの間に働く電磁力により、上記光学部を光軸に垂直な方向に変位させ、第2コイルと第3マグネットとの間に働く電磁力により、上記中間支持体を光軸方向に変位させる構成であってもよい。
上記の構成によれば、OIS駆動力とAF駆動力とを第3マグネットによって発生させることができる。よって、OIS駆動のためのマグネットとAF駆動のためのマグネットを共通化することができる。そのため、部品点数を削減し、コストを低減すること、およびカメラモジュールを小型化することが可能になる。
また、第1支持部は、弾性力によって、上記中間支持体に対して、上記光学部を光軸に垂直な平面における所定の位置に保持するよう作用する構成であってもよい。
また、第1支持部は、少なくとも4つのサスペンションワイヤーからなってもよい。
上記の構成によれば、光学部を、簡単な構成で光軸に垂直な2軸の方向に変位可能に支持することができる。また、第1支持部としてサスペンションワイヤーを用いることで、その撓み方向(曲がる方向)のバネ定数に対して長さ方向(伸縮する方向)のバネ定数を十分に高めることが可能となり、光学部のねじれ(チルト)に対する抵抗力を高めることができる。
以上のように、本発明に係るカメラモジュールでは、光学的手振れ補正のために駆動されるOIS可動部が、光学部等の限られた部材を含み、中間支持体および第2支持部を含まない。それゆえ、光学的手振れ補正のために駆動されるOIS可動部を軽量化することができる。そのため、OIS可動部の自重による光軸シフトを補正するための補正電流を低減することができ、カメラモジュールの低消費電力化を図ることが可能となる。
また、OIS可動部は、第2支持部によって光軸方向に変位可能に支持される中間支持体を含まないので、中間支持体および第2支持部を介さずに、OIS可動部に対して直接OIS駆動力を作用させることができる。よって、従来のような第2支持部(AF用バネ)を介して光学部にOIS駆動力を加える構造と比べて、高次の共振ピークを抑制することができる。それゆえ、光学部の変位を制御しやすく、サーボ系の安定性を高められるという効果を奏する。
本発明の実施形態に係る光学的手振れ補正機能付きカメラモジュールの構造を示す斜視図である。 図1のカメラモジュールのA−A矢視断面図である。 図2のカメラモジュールのB−B矢視断面図である。 図1のOIS用コイルとOIS用マグネットの構成を示す要部斜視図である。 図1のAF用コイルとAF用マグネットの構成を示す要部斜視図である。 本発明の実施形態のカメラモジュールの振動モデルを模式的に表した図である。 本発明の実施形態のカメラモジュールにおける撮像レンズの変位に関するボード線図の一例である。 本発明の実施形態のカメラモジュールにおける撮像レンズの変位に関するボード線図の他の例である。 本発明の別の実施形態に係る手振れ補正機能付きカメラモジュールの構成を示す、図2に相当する断面図である。 図9のカメラモジュールのC−C矢視断面図である。 図9のOIS用コイルとOIS用マグネットの構成を示す要部斜視図である。 従来の光学的手振れ補正機能付きカメラモジュールの振動モデルを模式的に表した図である。 従来の光学的手振れ補正機能付きカメラモジュールにおける撮像レンズの変位に関するボード線図の一例である。 従来の光学的手振れ補正機能付きカメラモジュールにおける撮像レンズの変位に関するボード線図の他の例である。
[実施形態1]
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図8に基づいて説明する。
(カメラモジュールの構成)
図1は、本実施形態の光学的手振れ補正機能付きカメラモジュール100の構造を示す斜視図である。カメラモジュール100は、複数の撮像レンズを含む光学部3と、光学部3を光軸方向および光軸に垂直な方向に駆動するために光学部3の外側に配置された光学部駆動装置5と、光学部3を経由した光を撮像する撮像部8とを備える。光学部駆動装置5と、撮像部8とは光軸方向に積層されている。以下の説明では、便宜上、光学部3側(被写体側)を上方、撮像部8側を下方とする。
まず、図2および図3に基づき、カメラモジュール100の全体構造について説明する。図2は、図1のカメラモジュール100の構造を示すA−A矢視断面図であり、カメラモジュール100の中央部を光軸方向に切断した断面図である。図3は、図2のカメラモジュール100のB−B矢視断面図である。図2には、光軸の位置を破線で示す。
光学部3は、複数(図2では4枚)の撮像レンズ1と、複数の撮像レンズ1を内側に保持するシリンダ形状のレンズバレル2とを備える。光学部3は、被写体像を形成する撮像光学系であり、外部からの光を複数の撮像レンズ1を介して撮像部8の撮像素子6へ導く。撮像レンズ1の光軸は、レンズバレル2の軸心と一致している。光学部3は、撮像部8の撮像素子6に対して光軸方向および光軸に垂直な2軸の方向に変位可能に、支持されている。
光学部駆動装置5は、レンズホルダ4、中間支持体10、固定支持体12、ベース部材13、レンズホルダ4と中間支持体10とを連結するサスペンションワイヤー(第1支持部)9、中間支持体10と固定支持体12とを連結するAF用バネ(第2支持部)11a、および、中間支持体10とベース部材13とを連結するAF用バネ(第2支持部)11bとを備える。
レンズホルダ4は、レンズバレル2を内側に保持し、光学部3と一体となって駆動される。レンズホルダ4の上端部(被写体側の端部)には正方形状のフランジ部4aが形成されており、フランジ部4aの4つのコーナー部にそれぞれ、サスペンションワイヤー9の一端が固定されている。各サスペンションワイヤー9の他端は、中間支持体10に固定されている。
サスペンションワイヤー9は、金属等からなる細い棒状の部材である。サスペンションワイヤー9はワイヤー軸(長手方向)に垂直な方向には容易に撓む(曲がる)が、ワイヤー軸に沿った長手方向のバネ定数は高く、長手方向の伸び縮みはほとんど無視できる。光軸に平行に配置された4つのサスペンションワイヤー9によって、レンズホルダ4を支持することにより、光学部3は中間支持体10に対して光軸に垂直な2軸の方向に変位可能となる。また、OIS駆動力を働かせない場合、光学部3は、4つのサスペンションワイヤー9の弾性力によって、光軸に垂直な平面における所定の位置に保持される。
中間支持体10は、上下が開口した中空の、四角形状の部材であり、光学部3およびレンズホルダ4を取り囲むように配置されている。中間支持体10の下端には、中空の内側に突出する支持部10aが形成されている。各サスペンションワイヤー9の一端は、レンズホルダ4のフランジ部4aに固定され、各サスペンションワイヤー9の他端は、中間支持体10の支持部10aに固定されている。また、中間支持体10は、AF用バネ11a・11bによって固定支持体12およびベース部材13に対して光軸方向に変位可能に支持されている。
AF用バネ11a・11bは、既存のAFカメラモジュールで広く用いられている、渦巻き状の板バネのアーム部によって内側と外側とが接続された金属製のバネである。AF用バネ11aおよびAF用バネ11bは、中間支持体10を取り囲むように、それぞれ中間支持体10の上部と下部とに所定の間隔を空けて対で配置されている。対のAF用バネ11a・11bのうち、上方に配置されたAF用バネ11aの内側端部は、中間支持体10の上部に固定され、上方に配置されたAF用バネ11aの外側端部は、固定支持体12に固定されている。下方に配置されたAF用バネ11bの内側端部は、中間支持体10の下部に固定され、下方に配置されたAF用バネ11bの外側端部は、ベース部材13に固定されている。AF用バネ11a・11bは、中間支持体10に下向きの力を与え、後述するAF用コイルに電流を流さない状態において中間支持体10の下端がベース部材13の一部の面に当接するように作用する。AF用バネ11a・11bのような、バネアームを有する板バネ支持構造は、AF駆動機構の上下のスペースに効率的に配置できるため、カメラモジュールの小型化、特に薄型化に有効である。
AF用バネ11a・11bは、中間支持体10を光軸方向にのみ変位可能に支持するために、光軸方向のバネ定数に比べて、光軸に垂直な方向のバネ定数が格段に大きくなるよう構成されている。そのため、AF用バネ11a・11bに支持された中間支持体10は、チルトしにくい。なお、光軸に垂直な方向のバネ定数を大きくするためには、板バネのアーム部の厚さ(光軸方向の寸法)および幅を大きく、長さを短くすれば良いが、単純にこれら全てを行うと光軸方向のバネ定数も大きくなり、AFの特性にも影響を及ぼす。AF特性に影響を与えないよう光軸に垂直な方向のバネ定数を大きくするためには、バネ定数が幅の1乗、厚さの3乗で効くことを利用し、アーム部の光軸方向の寸法を小さく(厚さを薄く)、かつ、アーム部の光軸に垂直な平面における幅を大きくするよう、AF用バネ11a・11bを構成すればよい。そうすることで、AF用バネ11a・11bの光軸方向のバネ定数を無用に大きくすることなく、AF用バネ11a・11bの横方向(光軸と垂直な方向)のバネ定数を高めることができ、AF可動部のチルトを低減することができる。
固定支持体12は、ヨークからなり、中間支持体10の四方を囲む矩形の箱の形状をしている。固定支持体12の、光学部3の上方に対応する位置には、開口部が設けられている。なお、固定支持体12は、ヨークと一体に設けられた樹脂等の保持部材(図示せず)を備えていてもよい。AF用バネ11aの外側端部は、固定支持体12の内側に固定されている。固定支持体12の下部は、ベース部材13の上部に固定されている。
ベース部材13は、固定支持体12の下方に配置される矩形の部材であり、上下方向に貫通した開口13aが、ベース部材13の中央に形成されている。ベース部材13は、底面側に凹部を備えており、開口13aをふさぐように底面側凹部に配置されたIRカットフィルター18を備える。ベース部材13とIRカットフィルター18により、ベース部材13は、撮像素子6を覆うセンサカバーの役割も兼ねる。本実施形態では、IRカットフィルター18は、リッドガラスからなるが、これに限らない。また、ベース部材13は、底面側凹部の外側の一部に、下方に突出する突起13bを備える。ベース部材13の突起13bを撮像素子6の上面に当接させて組み立てることにより、光軸方向における撮像素子6に対する光学部3(すなわち撮像レンズ1)の位置決めを高精度で行うことが可能になり、光学部3の撮像素子6に対する組立後のチルトを低減することができる。下方に配置されたAF用バネ11bの外側端部は、ベース部材13に固定されている。
撮像部8は、基板7と、基板7上に搭載された撮像素子6とを備える。撮像素子6は、光学部3を経由して到達した光を受光して光電変換を行い、撮像素子6上に結像された被写体像を得る。基板7の上面とベース部材13の下面は接着剤によって固定される。ここで、撮像素子6をベース部材13の突起13bに当接させるために、基板7とベース部材13との間には僅かな隙間が設けられており、接着剤をこの隙間に充填することによりベース部材13と基板7との接着を行う。
(光学部のOIS駆動機構)
次に、光学部3のOIS駆動機構について説明する。光学部3を光軸に垂直な方向に変位させるOIS機能は、OIS用コイル14と、OIS用マグネット15とを含むOIS駆動機構によって実現される。
レンズホルダ4の外側側面に、具体的にはレンズホルダ4の外側の四方の各側面に、OIS用コイル14が配置され、固定されている。各OIS用コイル14は、コイルの軸がレンズホルダ4の側面に垂直になるように配置されている。また、各OIS用コイル14に対向するように、中間支持体10の内側側面にはOIS用マグネット15が配置され、固定されている。OIS用コイル14に電流を流すことにより、OIS用マグネット15との間で生じる電磁力がレンズホルダ4に作用し、レンズホルダ4(および光学部3)を光軸に垂直な方向に駆動する(変位させる)ことができる。なお、レンズホルダ4の1つの側面に配置されたOIS用コイル14は、反対側の側面に配置されたOIS用コイル14とセットとなって、光軸に垂直な第1方向(光軸と当該OIS用コイル14の軸とに垂直な方向)に力を加える。また、残りの2つのOIS用コイル14のセットは、光軸に垂直な第2方向(光軸と第1方向とに垂直な方向)に力を加える。
図4は、OISコイル14と、それに対向するOIS用マグネット15との位置関係を示す要部斜視図である。OIS用コイル14は、略小判型(光軸方向に縦長)のドーナツ状に巻かれている。OIS用コイル14の縦方向の2つの巻き線部(巻き線が光軸方向に沿った箇所)のそれぞれに逆の磁極が対向するように、中間支持体10側に2極構造のOIS用マグネット15が配置されている。OIS用コイル14の縦方向の巻き線部のそれぞれには、一周して逆方向に電流が流れ、2つの縦方向の巻き線部に対向するOIS用マグネット15の磁極も逆方向である。そのため、OIS用コイル14に電流を流すと、2つの縦方向の巻き線部が同じ方向に力を受け、OIS用コイル14と一体となってレンズホルダ4および光学部3が横方向(光軸およびOIS用コイル14の軸に垂直な方向)に駆動される(変位させられる)。
OIS駆動機構によって駆動されるOIS可動部は、光学部3と、レンズホルダ4と、OIS用コイル14とを含む。従来の構成に比べて、本実施形態のOIS可動部は、中間支持体10等を含まないため、軽量になる。
(光学部のAF駆動機構)
次に、光学部3のAF駆動機構について説明する。光学部3およびそれを支持する中間支持体10を光軸方向に変位させるAF機能は、AF用コイル16と、AF用マグネット17とを含むAF駆動機構によって実現される。
中間支持体10の外側側面には、AF用コイル16が配置され、固定されている。AF用コイル16は、中間支持体10を囲むように巻き回されており、AF用コイル16の軸は、光軸に一致している。また、AF用コイル16に対向するように、固定支持体12の内側側面にAF用マグネット17が配置され、固定されている。AF用コイル16に電流を流すことにより、AF用マグネット17との間で生じる電磁力が中間支持体10に作用し、中間支持体10および中間支持体10に対してサスペンションワイヤー9で連結されたレンズホルダ4(および光学部3)を、一体的に光軸方向に駆動する(変位させる)ことができる。
図5は、AF用コイル16とAF用マグネット17との位置関係を示す要部斜視図である。AF用コイル16は、図5には図示しない中間支持体10を取り囲むように四角形に巻き回されている。四角形に巻き回されたAF用コイル16の各側面に対向するように、AF用マグネット17が配置されている。AF用マグネット17は、それぞれ同じ極性の磁極が内側に向くように(同じ極性の磁極がAF用コイル16に対向するように)、配置されている。AF用コイル16に電流を流すと、各AF用マグネット17に対向する4辺の巻き線が同じ方向に力を受け、AF用コイル16と一体となって中間支持体10(および光学部3等)が光軸方向に駆動される(変位させられる)。
AF駆動機構によって駆動されるAF可動部は、OIS可動部に加えて、中間支持体10と、OIS用マグネット15と、AF用コイル16とを含む。そのため、従来の構成に比べて、AF可動部には中間支持体10等が加わるために、AF可動部の質量は大きくなる。ただし、中間支持体10の外側の広い空間を利用して、大きく強力なAF用マグネット17を配置することができるため、AF駆動のための十分な駆動力を確保することができる。そのため、従来の構成と比べて特に不利な点はない。なお、AF駆動機構はこの構成に限定される訳ではなく、図4に示すコイルとマグネットの構成を横に倒したような構成を用いることで、AF可動部を光軸方向に駆動させることもできる。
なお、OIS駆動機構およびAF駆動機構について、コイルまたはマグネットを可動部側に搭載するか、固定部側に搭載するかの組み合わせは自由であり、例示した構成におけるコイルとマグネットとを入れ替えた構成を用いることもできる。ただし、コイルに比べてマグネットの方が質量が大きいため、コイルを可動部側に、マグネットを固定部側に搭載した方がエネルギー的には効率的である。
また、OIS駆動機構について、OIS用コイルをOIS可動部に搭載し、OIS用マグネットを固定支持体に搭載し、両者の間に働く電磁力によってOIS可動部を固定支持体に対して、光軸に垂直な方向に変位させてもよい。このように構成することにより、OIS用マグネットが固定支持体に設けられるので、AF可動部を軽量化することができる。
また、本実施形態では、中間支持体10側にAF用コイル16を搭載して、AF可動部の軽量化を図っているが、AF用コイル16のすぐ近傍の内外の両面にOIS用マグネット15とAF用マグネット17の両方を配置することになる。そのため、AF用コイル16が両方のマグネットからの磁束の影響を受けやすい。それゆえ、これとは逆に、中間支持体10側にAF用マグネットを配置し、固定支持体12側にAF用コイルを配置する方が設計的に望ましい場合もある。この構成については別の実施形態として後述する。
(OIS機能およびAF機能)
以上の構成により、光学部駆動装置5は、電磁力によって、光学部3を光軸方向および光軸に垂直な2軸の、計3軸の方向に駆動することができる。撮像部8の撮像素子6に対して光学部3を3軸駆動することで、オートフォーカス(AF)機能と光学的手振れ補正(OIS)機能の両方を実現する。
AF機能については、無限遠端からマクロ端までの間で、光学部3を撮像素子6に対して上下動させる(すなわち複数の撮像レンズ1を撮像素子6に対して光軸方向に変位させる)ことで実現する。なお、撮像レンズ1の無限遠端とは、無限遠にある被写体に対して合焦する位置を意味し、撮像レンズ1のマクロ端とは、所望のマクロ距離(たとえば10cm)にある被写体に対して合焦する位置を意味する。
OIS機能については、手振れの量および方向に応じて、光学部3を撮像素子6に対して光軸に垂直な方向に動かす(すなわち複数の撮像レンズ1を撮像素子6に対して光軸に垂直な方向に相対変位させる)ことで実現する。なお、図示しないジャイロセンサ、加速度センサ等を、カメラモジュール、あるいはカメラモジュールを備える携帯電話等に搭載し、ジャイロセンサ等で検出された角速度に基づいて、同じく図示しないOIS制御系が、手振れの量および方向を特定する。OIS制御系は、特定した手振れの量および方向に応じて、撮像レンズ1の光軸に垂直な方向の変位を制御する。また、カメラモジュール内に、撮像素子6に対するOIS可動部(または光学部3)の位置を検出する位置センサ(ホール素子、またはフォトリフレクタ等)を搭載しておくと、角速度を検出するジャイロセンサの検出信号に応じて光学部3の位置(すなわち撮像レンズ1の位置)を制御できるため、クローズドループ制御を行って手振れ補正の補正精度を高めることが可能となる。
以上のような構成により、光学的手振れ補正機能付きカメラモジュールが構成される。ただし、上記の構成に限定される訳ではない。本実施形態での説明は、コイルの形状や磁気回路の構造に対して、何ら限定を与えるものではなく、小型化、軽量化、または高推力化等のための新たなアイデアに対して制限を加えるものではない。
本発明の主たる特徴における第1のポイントは、撮像レンズを含むOIS可動部を、OIS機能を実現するために光軸に垂直な方向に変位可能に弾性支持部材によって支持し、OIS可動部全体をAF可動部に含め、AF可動部を光軸方向に変位可能に支持することにある。このように構成することにより、OIS可動部の質量を軽減することができ、自重による光軸シフトを補正するためにOIS可動部を電磁力によって支えるための補正電流を低減することができる。それゆえ、カメラモジュールの消費電力を低減することができる。
従来から、OIS機能を有さずAF機能のみを有するカメラモジュールのAF駆動機構の技術は、既に確立され、洗練されたものになっていた。そして、従来のOIS機能とAF機能とを有するカメラモジュールの設計は、確立されたAF駆動機構の技術(モジュール)を流用して設計するために、AF駆動機構を有するカメラモジュールに、外側からOIS駆動機構を追加する形で行われていた。そのため、従来は、OIS可動部をAF可動部の中に組み込むという本発明の発想が生まれなかった。
また、デジタルカメラのような比較的大きいカメラモジュールでは、AF機能のために結像光学系をなす一部のAFレンズを光軸方向に変位させ、OIS機能のために別の一部のOISレンズを光軸に垂直な方向に移動させることでAF機能とOIS機能を実現していた。そのため、光学部が3軸に変位可能な構成ではなく、AFレンズおよびOISレンズはそれぞれ独立に固定支持体に対して支持されていた。このような構成は、小型化に不利であり、携帯電話に搭載できるよう小型化するのは困難である。
本発明の第2のポイントは、光軸に垂直な2軸方向に作用するOIS駆動力を、直接、撮像レンズを含むOIS可動部に与えることにある。従来のように、OIS可動部がAF可動部を含む構成では、OIS駆動力は、AF用バネを介して撮像レンズに作用する。本発明の第2のポイントによれば、OIS駆動力を、直接、撮像レンズに与える構成であるため、従来のようにAF用バネを介して撮像レンズを駆動する構造と比べて、高次の共振ピークを制御しやすく、サーボ系の安定性を高めることが可能となる。この効果については以下で詳細に説明する。なお、AF駆動力は、撮像素子から所定の距離に撮像レンズ1を保持するよう作用するので、外部からの振動(手振れ)に応じて動的に撮像レンズ1の位置を制御するよう作用するOIS駆動力とは異なり、共振等を発生させにくい。それゆえAF可動部がOIS可動部を含む構成としても問題がない。
(OIS駆動による振動解析)
図6は、本実施形態のカメラモジュールの構成を模式的に表す振動モデルを示す図である。本実施形態の光軸に垂直な一方向における振動モデルは、図6に示すような2自由度系の振動モデルになる。mがOIS可動部の質量、mがOIS可動部を除いたAF可動部の質量、kがOIS可動部を支持しているサスペンションワイヤーの撓み方向(光軸に垂直な方向)のバネ定数、kがAF可動部を支持しているAFバネの横方向(光軸に垂直な方向)のバネ定数である。各バネの自然長の位置を基準として、OIS可動部、AF可動部の変位をそれぞれx、xとすると、本実施形態ではOIS駆動力fはOIS可動部(mに相当)に作用し、OIS駆動力fの反作用(−f)が中間支持体に作用する。すなわち、反作用(−f)は、OIS可動部を除いたAF可動部(mに相当)に作用する。なお、OIS用マグネットを中間支持体ではなく固定支持体に配置する形態では、中間支持体に反作用は働かない。また、簡略化のため、粘性項は省略している。このモデルに対して運動方程式をたてると、
(d/dt)+k(x−x)=f
(d/dt)+k(x−x)+k=−f
ラプラス変換してこの連立方程式を解くと、
/F=(m+k
/((m+k)×(m+k+k)−k
となる。ただし、sはラプラス変換の変数、X、X、Fはそれぞれx、x、fのラプラス変換後の関数である。
ここで、s=−ω、ω=2π×f(fは周波数)として周波数領域に変換し、各定数として本実施形態のカメラモジュール100の一設計例の数値を用いると、この振動系のボード線図が得られる。図7にこの系の撮像レンズの変位を示すボード線図を示す。横軸は周波数で、ゲインの目盛を縦軸左側に、位相の目盛を縦軸右側に示している。また、ボード線図中のそれぞれの線に付した矢印によって、対応する軸を示す。上式をそのまま計算すると共振点でゲインが無限大となるため、図7に示すのは適度な粘性項を与えて計算した結果である。上式からも類推できるが、X/Fは、分子がsの1次項、分母がsの2次項になっている。したがって、分母=0、すなわちX/F→∞となる共振点が2つ存在するとともに、分子=0となる逆向きの共振点も1つ存在することになる。分子側の共振点と分母側の高域側の共振点はペアになっており、その周波数は接近しているがわずかにずれるため、ボード線図上では下向きのゲインピークfと上向きのゲインピークfがそれぞれ存在する。設計例では下向きのゲインピークの周波数の方が低域であり、位相に現れる位相ピークは上に凸のピークとなる。そのため、位相が遅れないので、サーボ系を安定化することができる。
下向きのゲインピーク周波数と上向きのゲインピーク周波数の差は、OIS可動部の質量mとOIS可動部を除いたAF可動部の質量mとの比で変化し、設計によっては両者を接近させることができて、ピークを小さくすることができる。このような設計例における振動系のボード線図を図8に示す。図7に示す結果と比べて、下向きのゲインピークの周波数と上向きのゲインピークの周波数とが接近して、ピーク自体も小さくなっている。
図7および図8に示す結果は、OIS可動部に対してその重心位置にOIS駆動力が働いた場合を想定したものであるが、重心位置とOIS駆動力の位置がずれている場合は、OIS可動部に対して回転モーメントが作用するため、サスペンションワイヤーのねじれモード(光軸に垂直な軸を中心とする回転)の共振も生じる。ただし、ここでいうねじれモードとは、OIS可動部にチルトが生じる(光軸が傾く)モードであり、このような振動が生じるためには、サスペンションワイヤーが伸縮振動をする必要がある。前述の通り、サスペンションワイヤーの伸縮のバネ定数は非常に高く、このようなねじれの共振ピークが現れる周波数は高く設定できるので、問題にはならない。なお、光軸に平行な軸を中心とする回転の振動モードについては、通常、光軸を挟んで対で配置されるOISコイルを対称に配置すれば発生しないので、問題にならない。
[実施形態2]
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した図面と同じ機能を有する部材・構成については、同じ符号を付記し、その詳細な説明を省略する。本実施形態について、図9〜11を参照して説明する。本実施形態では、OIS用マグネットとAF用マグネットを単一のマグネットで兼用する。
(カメラモジュールの構成)
図9は、図1と同様の断面図であり、本実施形態のカメラモジュール200の中央部を光軸方向に切断してカメラモジュール200の構造を示す断面図である。図10は、図9のカメラモジュール200のC−C矢視断面図である。実施形態1と異なり、中間支持体10は四方の各側面に、それぞれ1つのマグネット19を備える。マグネット19は、中間支持体10を貫通するように配置され、固定されている。また、固定支持体(ヨーク)12は、内側の側面に1つのAF用コイル16を備える。AF用コイル16は、固定支持体12の内側の側面に沿って巻かれており(AF用コイルの軸は光軸と平行であり)、固定支持体12に固定されている。
マグネット19の内側(光軸側)の面はOIS用コイル14に対向しており、マグネット19の外側(光軸とは逆側)の面は、AF用コイル16に対向している。マグネット19は、OIS用コイル14に対向する内側の面に1つの磁極を有し、AF用コイル16に対向する外側の面に別の磁極を有する。
図11は、カメラモジュール200のOIS用コイル14と、それに対向するマグネット19の位置関係を示す要部斜視図である。図4に示す実施形態1の構造と異なり、図11に示す実施形態2のOIS用のマグネット19は、2極構造ではなく、OIS用コイル14に対向する面に単一の磁極を有する単極構造のマグネットである。そのため、OIS用コイル14に対するマグネット19の位置をずらして配置し、OIS用コイル14の長辺の1辺のみがOIS用マグネット19の磁極に対向するように構成する。
(OIS機能およびAF機能)
カメラモジュール200は、OIS用コイル14に電流を流すことによって、光学部3を光軸に垂直な2軸の方向へ駆動可能であり、かつ、AF用コイル16に電流を流すことによって、光学部3、中間支持体10、およびマグネット19等を含むAF可動部を光軸方向に駆動可能である。このように、カメラモジュール200は、マグネット19の内側(光軸側)への磁束を利用してOIS駆動を行い、外側(光軸とは逆側)への磁束を利用してAF駆動を行う。
本実施形態では、OIS用のマグネットとして、単極構造のマグネット19を用いることにより、OISコイルの片側の長辺にしか駆動力が発生しないため駆動効率は低下するが、OIS用マグネットの役割とAF用マグネットの役割とを単一のマグネット19に担わせることができる。そのため、部品点数を低減することでコストを削減し、かつ、カメラモジュールの小型化および軽量化を行うことができる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、特に、携帯用端末等の通信機器をはじめとする各種電子機器に搭載されるカメラモジュールに好適に利用することができる。
1 撮像レンズ
2 レンズバレル
3 光学部
4 レンズホルダ
4a フランジ部
5 光学部駆動装置
6 撮像素子
7 基板
8 撮像部
9 サスペンションワイヤー(第1支持部)
10 中間支持体
11a、11b AF用バネ(第2支持部)
12 固定支持体
13 ベース部材
14 OIS用コイル
15 OIS用マグネット
16 AF用コイル
17 AF用マグネット
18 IRカットフィルター
19 マグネット
100、200 カメラモジュール

Claims (8)

  1. 撮像レンズを備える光学部と、中間支持体と、固定支持体と、上記固定支持体に対して固定されている撮像素子とを備える光学的手振れ補正用のカメラモジュールであって、
    上記光学部と上記中間支持体とを連結し、上記中間支持体に対して、上記光学部を光軸に垂直な方向に変位可能に支持する第1支持部と、
    上記中間支持体と上記固定支持体とを連結し、上記固定支持体に対して、上記中間支持体を光軸方向に変位可能に支持する第2支持部とを備えることを特徴とするカメラモジュール。
  2. 第1コイルと第1マグネットとを含む第1駆動機構を備え、
    第1コイルおよび第1マグネットのいずれか一方が上記光学部に対して固定されており、他方が上記中間支持体または上記固定支持体に対して固定されており、
    第1駆動機構は、第1コイルと第1マグネットとの間に働く電磁力により、上記光学部を光軸に垂直な方向に変位させることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
  3. 第1コイルは上記光学部に対して固定されていることを特徴とする請求項2に記載のカメラモジュール。
  4. 第2コイルと第2マグネットとを含む第2駆動機構を備え、
    第2コイルおよび第2マグネットのいずれか一方が上記中間支持体に対して固定されており、他方が上記固定支持体に対して固定されており、
    第2駆動機構は、第2コイルと第2マグネットとの間に働く電磁力により、上記中間支持体を光軸方向に変位させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
  5. 第1コイルと第1マグネットとを含む第1駆動機構と、
    第2コイルと第2マグネットとを含む第2駆動機構とを備え、
    第1コイルは上記光学部に対して固定されており、
    第1マグネットおよび第2マグネットは上記中間支持体に対して固定されており、
    第2コイルは上記固定支持体に対して固定されており、
    第1駆動機構は、第1コイルと第1マグネットとの間に働く電磁力により、上記光学部を光軸に垂直な方向に変位させ、
    第2駆動機構は、第2コイルと第2マグネットとの間に働く電磁力により、上記中間支持体を光軸方向に変位させることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
  6. 上記光学部に対して固定されている第1コイルと、
    上記中間支持体に対して固定されている第3マグネットと、
    上記固定支持体に対して固定されている第2コイルとを備え、
    第1コイルと第3マグネットとの間に働く電磁力により、上記光学部を光軸に垂直な方向に変位させ、第2コイルと第3マグネットとの間に働く電磁力により、上記中間支持体を光軸方向に変位させることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
  7. 第1支持部は、弾性力によって、上記中間支持体に対して、上記光学部を光軸に垂直な平面における所定の位置に保持するよう作用することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
  8. 第1支持部は、少なくとも4つのサスペンションワイヤーからなることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
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