<実施の形態1>
以下、本発明を画像形成装置としての複写機(以下、複写機500という)に適用した、本発明の一実施形態について説明する。
図2は、実施の形態1〜20に共通の本実施形態の複写機500の概略構成図である。複写機500は、複写機装置本体(以下、プリンタ部100という)、給紙テーブル(以下、給紙部200という)及びプリンタ部100上に取り付けるスキャナ(以下、スキャナ部400という)から構成される。
プリンタ部100の上部に設けられたトナー容器収容部70には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した四つの粉体物収納容器としてのトナー容器32(Y,M,C,K)が着脱自在(交換自在)に設置されている。トナー容器収容部70の下方には中間転写ユニット85が配設されている。
中間転写ユニット85は、中間転写ベルト48、四つの一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)、二次転写バックアップローラ82、複数のテンションローラ、及び、不図示の中間転写クリーニング装置等で構成される。中間転写ベルト48は、複数のローラ部材によって張架、支持されるとともに、この複数のローラ部材の1つである二次転写バックアップローラ82の回転駆動によって図2中の矢印方向に無端移動する。
プリンタ部100には、中間転写ベルト48に対向するように、各色に対応した四つの作像部46(Y,M,C,K)が並設されている。また、四つのトナー容器32(Y,M,C,K)の下方には、それぞれに対応した四つのトナー補給装置60(Y,M,C,K)が配設されている。そして、トナー容器32(Y,M,C,K)に収容されたトナーは、それぞれに対応するトナー補給装置60(Y,M,C,K)によって、各色に対応した作像部46(Y,M,C,K)の現像装置(粉体物使用部)内に供給(補給)される。
また、図2に示すように、プリンタ部100は四つの作像部46の下方に潜像形成手段である露光装置47を備える。露光装置47は、スキャナ部400で読み込んだ原稿画像の画像情報またはパーソナルコンピュータ等の外部装置から入力される画像情報に基づいて、後述する感光体41の表面に対して露光し、感光体41の表面に静電潜像を形成する。プリンタ部100が備える露光装置47は、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナ方式を用いているが、露光手段としてはLEDアレイを用いるものなど他の構成でも良い。
図3は、イエローに対応した作像部46Yの概略構成を示す模式図である。
作像部46Yは、潜像担持体であるドラム状の感光体41Yを備える。さらに、作像部46Yは、帯電手段である帯電ローラ44Y、現像手段である現像装置50Y、感光体クリーニング装置42Y、不図示の除電装置等を感光体41Yの周囲に配設した構成である。そして、感光体41Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われて、感光体41Y上にイエロー画像が形成されることになる。
なお、他の三つの作像部46(M,C,K)も、使用されるトナーの色が異なる点以外は、イエローに対応した作像部46Yとほぼ同様の構成となっていて、各感光体41(M,C,K)上にそれぞれのトナーに対応した色の画像が形成される。以下、他の三つの作像部46(M,C,K)の説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部46Yのみの説明を行うことにする。
感光体41Yは、不図示の駆動モータによって図3中の時計回り方向に回転駆動する。そして、帯電ローラ44Yと対向する位置で、感光体41Yの表面が一様に帯電される(帯電工程)。その後、感光体41Yの表面は、露光装置47から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程)。その後、感光体41Yの表面は、現像装置50Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程)。
中間転写ユニット85の四つの一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)は、それぞれ、中間転写ベルト48を感光体41(Y,M,C,K)との間に挟み込んで一次転写ニップを形成している。そして、一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)に、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
現像工程でトナー像が形成された感光体41Yの表面は、中間転写ベルト48を挟んで一次転写バイアスローラ49Yと対向する一次転写ニップに達して、この一次転写ニップで感光体41Y上のトナー像が中間転写ベルト48上に転写される(一次転写工程)。このとき、感光体41Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。一次転写ニップでトナー像を中間転写ベルト48に転写した感光体41Yの表面は、感光体クリーニング装置42Yとの対向位置に達する。この対向位置で感光体41Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード42aによって機械的に回収される(クリーニング工程)。最後に、感光体41Yの表面は、不図示の除電装置との対向位置に達して、この位置で感光体41Y上の残留電位が除去される。こうして、感光体41Y上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
このような作像プロセスは、他の作像部46(M,C,K)でも、イエロー作像部46Yと同様に行われる。すなわち、作像部46(M,C,K)の下方に配設された露光装置47から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各作像部46(M,C,K)の感光体41(M,C,K)上に向けて照射される。詳しくは、露光装置47は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して各感光体41(M,C,K)上に照射する。その後、現像工程を経て各感光体41(M,C,K)上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト48上に転写する。
このとき、中間転写ベルト48は、図2中の矢印方向に走行して、各一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)の一次転写ニップを順次通過する。これにより、各感光体41(Y,M,C,K)上の各色のトナー像が、中間転写ベルト48上に重ねて一次転写され、中間転写ベルト48上にカラートナー像が形成される。
各色のトナー像が重ねて転写され、カラートナー像が形成された中間転写ベルト48は、二次転写ローラ89との対向位置に達する。この位置では、二次転写バックアップローラ82が、二次転写ローラ89との間に中間転写ベルト48を挟み込んで二次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト48上に形成されたカラートナー像は、二次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に転写される。このとき、中間転写ベルト48には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。二次転写ニップを通過した中間転写ベルト48は、不図示の中間転写クリーニング装置の位置に達し、その表面上の未転写トナーが回収され、中間転写ベルト48上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
次に、記録媒体Pの動きについて説明する。
上述した二次転写ニップに搬送される記録媒体Pは、プリンタ部100の下方に配設された給紙部200の給紙トレイ26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されるものである。詳しくは、給紙トレイ26には記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図2中の反時計回り方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28の二つのローラによって形成されるローラニップに向けて搬送される。
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト48上のカラートナー像が二次転写ニップに到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、記録媒体Pが二次転写ニップに向けて搬送される。これにより、記録媒体P上に、所望のカラートナー像が転写される。
二次転写ニップでカラートナー像が転写された記録媒体Pは、定着装置86の位置に搬送される。定着装置86では、定着ベルト及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラートナー像が記録媒体P上に定着される。定着装置86を通過した記録媒体Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。こうして、複写機500における一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、作像部46における現像装置50の構成及び動作について、さらに詳しく説明する。なお、ここではイエローに対応した作像部46Yを例に挙げて説明を行うが、他色の作像部46(M,C,K)においても同様である。
現像装置50Yは、図3に示すように、現像ローラ51Y、ドクタブレード52Y、二つの現像剤搬送スクリュ55Y、及び、トナー濃度検知センサ56Y等で構成される。現像ローラ51Yは、感光体41Yに対向し、ドクタブレード52Yは、現像ローラ51Yに対向する。また、二つの現像剤搬送スクリュ55Yは、二つの現像剤収容部(53Y,54Y)内に配設されている。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットローラ、及び、マグネットローラの周囲を回転するスリーブ等で構成される。第一現像剤収容部53Y及び第二現像剤収容部54Y内には、キャリアとトナーとからなる二成分の現像剤Gが収容されている。第二現像剤収容部54Yは、その上方に形成された開口を介してトナー落下搬送経路64Yに連通している。また、トナー濃度検知センサ56Yは、第二現像剤収容部54Y内の現像剤G中のトナー濃度を検知する。
現像装置50内の現像剤Gは、二つの現像剤搬送スクリュ55Yによって、攪拌されながら、第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとの間を循環する。第一現像剤収容部53Y内の現像剤Gは、現像剤搬送スクリュ55Yの一方に搬送されながら現像ローラ51Y内のマグネットローラにより形成される磁界によって現像ローラ51Yのスリーブ表面上に供給され、担持される。現像ローラ51Yのスリーブは、図3の矢印で示すように反時計回り方向に回転駆動し、現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。このとき、現像剤G中のトナーは、現像剤G中のキャリアとの摩擦帯電によりキャリアとは逆極性の電位に帯電して静電的にキャリアに吸着し、現像ローラ51Y上に形成された磁界によって引き寄せられるキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、図3中の矢印方向に搬送されて、ドクタブレード52Yと現像ローラ51Yとが対向するドクタ部に達する。現像ローラ51Y上の現像剤Gは、ドクタ部を通過する際にその量が適量化され、その後、感光体41Yとの対向位置である現像領域まで搬送される。現像領域では、現像ローラ51Yと感光体41Yとの間に形成された現像電界によって感光体41Y上に形成された潜像に現像剤G中のトナーが吸着される。現像領域を通過した現像ローラ51Yの表面上に残った現像剤Gはスリーブの回転に伴い第一現像剤収容部53Yの上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
現像装置50Y内の現像剤Gは、トナー濃度が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置50Y内の現像剤Gに含まれるトナーの現像による消費量に応じて、トナー容器32Yに収容されているトナーが、後述するトナー補給装置60Yを介して第二現像剤収容部54Y内に補給される。
第二現像剤収容部54Y内に補給されたトナーは、二つの現像剤搬送スクリュ55Yによって、現像剤Gとともに混合、攪拌されながら、第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとの間を循環する。
次に、トナー補給装置60(Y,M,C,K)について説明する。
図4は、トナー補給装置60Yにトナー容器32Yが設置された状態を示す模式図であり、図5は、トナー容器収容部70に四つのトナー容器32(Y,M,C,K)が設置された状態を示す概略斜視図である。
プリンタ部100のトナー容器収容部70に設置された各トナー容器32(Y,M,C,K)内のトナーは、各色の現像装置50(Y,M,C,K)内のトナー消費に応じて、適宜に各現像装置50(Y,M,C,K)内に補給される。このとき、各トナー容器32(Y,M,C,K)内のトナーは、トナー色ごとに設けられたトナー補給装置60(Y,M,C,K)によって補給される。なお、四つのトナー補給装置60(Y,M,C,K)やトナー容器32(Y,M,C,K)は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造である。このため、以下、イエローに対応したトナー補給装置60Yやトナー容器32Yのみの説明を行い、他の三つの色に対応したトナー補給装置60(M,C,K)やトナー容器32(M,C,K)の説明を適宜に省略する。
トナー補給装置60(Y,M,C,K)は、トナー容器収容部70、搬送ノズル611(Y,M,C,K)、搬送スクリュ614(Y,M,C,K)、トナー落下搬送経路64(Y,M,C,K)、容器回転駆動部91(Y,M,C,K)等で構成されている。
トナー容器32Yが図中矢印Qの方向へ移動してプリンタ部100のトナー容器収容部70に装着されると、その装着動作に連動して、トナー容器32Yの容器先端側からトナー補給装置60Yの搬送ノズル611Yが挿入される。これにより、トナー容器32Y内と搬送ノズル611Y内とが連通する。この装着動作に連動して連通する構成についての詳細は後述する。
実施の形態1〜20に共通のトナー容器の形態として、トナー容器32Yは、略円筒状のトナーボトルである。そして、主として、トナー容器収容部70に非回転で保持される容器先端側カバー34Yと、容器ギア301Yが一体的に形成された容器本体33Yとから主に構成される。容器本体33Yは、容器先端側カバー34Yに対して相対的に回転可能に保持されている。
トナー容器収容部70は、主として、容器カバー受入部73と、容器受部72と、挿入口形成部71とで構成されている。容器カバー受入部73は、トナー容器32Yの容器先端側カバー34Yを保持するための部分であり、容器受部72は、トナー容器32Yの容器本体33Yを保持するための部分である。また、挿入口形成部71は、容器受部72と、トナー容器32Yの装着動作時における挿入口を形成する部分である。複写機500の手前側(図2の紙面垂直方向手前側)に設置された不図示の本体カバーを開放すると、トナー容器収容部70の挿入口形成部71が露呈される。そして、各トナー容器32(Y,M,C,K)の長手方向を水平方向とした状態で、複写機500の手前側から各トナー容器32(Y,M,C,K)の着脱操作(トナー容器32の長手方向を着脱方向とする着脱操作)を行う。なお、図4中のセットカバー608Yは、トナー容器収容部70の容器カバー受入部73の一部である。
容器受部72は、その長手方向の長さが、容器本体33Yの長手方向の長さとほぼ同等になるように形成されている。また、容器カバー受入部73は容器受部72における長手方向(着脱方向)の容器先端側に設けられ、挿入口形成部71は容器受部72における長手方向の一端側に設けられている。そのため、トナー容器32Yの装着動作にともない、容器先端側カバー34Yは、挿入口形成部71を通過した後に、しばらく容器受部72上を滑動して、その後に容器カバー受入部73に装着されることになる。
容器先端側カバー34Yが容器カバー受入部73に装着された状態で、駆動モータや駆動ギア等で構成されている容器回転駆動部91Yから容器駆動ギア601Yを介して、容器本体33Yに具備された容器ギア301Yに回転駆動が入力される。これにより、容器本体33Yが図4中の矢印A方向に回転駆動される。容器本体33Y自体が回転することで、容器本体33Yの内周面に螺旋状に形成された螺旋状突起302Yによって、容器本体33Yの内部に収容されたトナーが容器本体長手方向に沿って図4中の左側から右側へ搬送される。これにより、容器先端側カバー34Y側から搬送ノズル611Y内に供給される。
搬送ノズル611Y内には、搬送スクリュ614Yが配置されており、容器回転駆動部91Yから搬送スクリュギア605Yに回転駆動が入力されることで、搬送スクリュ614Yが回転し、搬送ノズル611Y内に供給されたトナーを搬送する。搬送ノズル611Yの搬送方向下流端は、トナー落下搬送経路64Yに接続されており、搬送スクリュ614Yによって搬送されたトナーは、トナー落下搬送経路64Yを自重落下して現像装置50Y(第二現像剤収容部54Y)内に補給される。
トナー容器32(Y,M,C,K)は、それぞれ、寿命に達したとき(収容するトナーがほとんどすべて消費されて空になったとき)に新品のものに交換される。トナー容器32の長手方向における容器先端側カバー34とは反対側の端部には把手部303が設けられており、交換の際には、作業者が把手部303を握って引き出すことで、装着されたトナー容器32を取り外すことが出来る。
上述した露光装置47で用いる画像情報に基づいて制御部90がトナー消費量を算出し、制御部90が現像装置50Yへのトナーの供給を要すると判断する場合がある。また、トナー濃度検知センサ56Yの検知結果に基づいて現像装置50Y内のトナー濃度が低下したことを制御部90にて検出する場合がある。これらの場合は、制御部90の制御によって容器回転駆動部91Yを回転駆動し、トナー容器32Yの容器本体33Yと搬送スクリュ614Yとを所定時間回転させて現像装置50Yへのトナー補給を行う。また、搬送ノズル611Y内に配置された搬送スクリュ614Yを回転することによってトナーの補給を行っているため、搬送スクリュ614Yの回転数を検出することで、トナー容器32Yからのトナー供給量を精度良く算出することもできる。トナー容器32Yを装着したときから累積的に算出したトナー供給量が装着時のトナー容器32Y内のトナー量に達した場合には、トナー容器32Y内にトナーが無いものとして、複写機500の不図示の表示部にトナー容器32Yの交換を促す旨の表示を行う。
また、トナー濃度検知センサ56Yがトナー濃度低下を検知して、補給動作実行し、トナー濃度が回復したか否か判定を複数回繰り返しても、トナー濃度検知センサ56Yによってトナー濃度が回復したことが検知されない場合がある。この場合も、トナー容器32Y内にトナーが無いものとして、複写機500の不図示の表示部にトナー容器32Yの交換を促す旨の表示を行う。
実施の形態1〜20に共通のトナー補給装置60Yでは、搬送スクリュ614Yの回転数によって現像装置50Yへのトナーの供給量を制御している。このため、搬送ノズル611Yを通過したトナーは、現像装置50Yへの供給量を制御されることなく、トナー落下搬送経路64Yを介して、直接に現像装置50Yへと搬送される。本実施形態のように、搬送ノズル611Yをトナー容器32Yに挿入するトナー補給装置60Yであっても、トナーホッパ等のトナー貯留部を設けてもよい。そして、このトナー貯留部から現像装置50Yへのトナーの搬送量を制御することで、現像装置50Yへのトナーの供給量を制御する構成としてもよい。
また、本実施形態のトナー補給装置60Yでは、搬送ノズル611Y内に供給されたトナーを搬送スクリュ614Yによって搬送する構成としているが、搬送ノズル611Y内に供給されたトナーを搬送する構成としては、スクリュ部材に限るものではない。特許文献6のように、粉体ポンプを用いて搬送ノズル611Yの開口部に負圧を発生させる構成など、スクリュ部材以外によって搬送力を付与する構成であってもよい。
トナー貯留部を設ける構成では、トナー貯留部内に貯留されたトナーが所定量以下になったことを検知するトナーエンドセンサを設置する。そして、トナーエンドセンサのトナーエンド検知に基づいて、容器本体33Y及び搬送スクリュ614Yを所定時間回転駆動してトナー貯留部へのトナー補給を行う。さらに、このような制御を所定回数繰り返してもトナーエンドセンサによるトナーエンド検知が解除されない場合には、トナー容器32Y内にトナーがないものとして、複写機500の不図示の表示部にトナー容器32Yの交換を促す旨の表示を行う。このように、トナーエンドセンサのトナーエンド検知に基づいてトナー容器32Y内のトナーが無くなったことを検出する構成であれば、トナー容器32Yを装着したときからのトナー供給量を累積的に算出する必要がない。しかし、本実施形態のトナー補給装置60Yのように、トナー貯留部を設けない構成であれば、トナー補給装置60Yの小型化を図ることができ、複写機500全体の小型化を図ることができる。
次に、実施の形態1〜20に共通の本実施形態のトナー容器32(Y,M,C,K)及びトナー補給装置60(Y,M,C,K)についてより詳細に説明する。なお、上述したように、トナー容器32(Y,M,C,K)及びトナー補給装置60(Y,M,C,K)は、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっている。よって、以下、Y,M,C,Kという使用するトナーの色を示す添字を省略して説明する。
図6は、実施の形態1〜20に共通のトナー容器32の斜視説明図である。また、図7は、トナー容器32を装着する前のトナー補給装置60と、トナー容器32の先端側端部との斜視説明図であり、図8は、トナー容器32を装着した状態のトナー補給装置60と、容器先端側のトナー容器32の端部との斜視説明図である。
図1は、トナー容器32を装着する前のトナー補給装置60と、容器先端側のトナー容器32の端部との断面説明図であり、図9は、トナー容器32を装着した状態のトナー補給装置60と、容器先端側のトナー容器32の端部との断面説明図である。
トナー補給装置60は、内部に搬送スクリュ614を備える搬送ノズル611を備える。また、トナー補給装置60は、ノズルシャッタ612を備える。ノズルシャッタ612は、トナー容器32が装着される前の非装着時(図1及び図7の状態)では、搬送ノズル611に形成されたノズル開口610を閉鎖し、トナー容器32が装着された装着時(図8及び図9の状態)にはノズル開口610を開放する。一方、トナー容器32の先端面の中央には、装着時に搬送ノズル611が挿入されるノズル受入口331が形成されており、非装着時にノズル受入口331を閉鎖する容器シャッタ332を備える。
まず、トナー容器32について説明する。
上述したようにトナー容器32は、容器本体33と、容器先端側カバー34とから主に構成されている。図10は、容器先端側カバー34を取り外した状態のトナー容器32の斜視説明図である。図10に示すように、容器先端側カバー34を取り外したトナー容器32は、容器本体33と、ノズル受入口331を形成するノズル受入部材330とから構成される。
図11は、容器本体33からノズル受入部材330を取り外した状態のトナー容器32の斜視説明図であり、図12は、容器本体33からノズル受入部材330を取り外した状態のトナー容器32の断面説明図である。また、図13は、図12の状態からノズル受入部材330を容器本体33に取り付けた状態のトナー容器32(図10と同様に容器先端側カバー34を取り外した状態のトナー容器32)の断面説明図である。
容器本体33は、略円筒状であり、円筒の中心軸を回転軸として回転する構成となっている。以下、この回転軸に平行な方向を「回転軸方向」と呼び、回転軸方向において、トナー容器32におけるノズル受入口331が形成されている側(容器先端側カバー34が配置されている側)を「容器先端側」と呼ぶことにする。また、トナー容器32における把手部303が配置されている側(容器先端側とは逆側)を「容器後端側」と呼ぶことにする。なお、上述したトナー容器32の長手方向は回転軸方向であり、トナー補給装置60にトナー容器32を装着した状態では、回転軸方向は水平方向となる。容器本体33の容器ギア301よりも容器後端側は、容器先端側よりもその外径が大きくなっており、その内周面には螺旋状突起302が形成されている。そして、容器本体33が図中の矢印A方向に回転すると、容器本体33内のトナーは螺旋状突起302の作用によって回転軸方向における一端側(容器後端側)から他端側(容器先端側)に向かう搬送力が付与される。
容器本体33の容器先端側の内壁には、容器本体33が図中矢印A方向に回転することで螺旋状突起302によって容器先端側に搬送されてきたトナーを、容器本体33の回転によって上方に汲み上げる汲み上げ部304が形成されている。汲み上げ部304は、凸部304hと、汲み上げ壁面304fとから成る。凸部304hは、螺旋を形成しながら容器本体33の回転中心に向かって山の稜線を成すように容器本体33の内側に隆起した部分である。汲み上げ壁面304fは、凸部304h(稜線)から容器本体33の周面の内壁にまで繋がる隆起部の壁面のうち容器回転方向から見て下流側となる壁面である。そして、汲み上げ壁面304fが下方にあるときに、螺旋状突起302の搬送力によって汲み上げ部304に対向する内部空間に進入したトナーを、容器本体33の回転に応じて汲み上げ壁面304fが上方に汲み上げる。これにより、挿入された搬送ノズル611よりも上方にトナーを汲み上げることができる。
また、図1や図10等に示すように、汲み上げ部304の内周面にも、螺旋状突起302と同様に内部のトナーを搬送するように、螺旋状に形成された汲み上げ部螺旋状突起304aが形成されている。
容器本体33の汲み上げ部304よりもさらに容器先端側には、容器ギア301が形成されている。容器先端側カバー34には、容器本体33に取り付けた状態で、この容器ギア301の一部(図6中の奥側)が露出するように、ギア露出開口34aが設けられている。そして、トナー容器32をトナー補給装置60に装着することで、ギア露出開口34aから露出した容器ギア301が、トナー補給装置60側の容器駆動ギア601に噛み合う構成となっている。
容器本体33の容器ギア301よりもさらに容器先端側には、円筒状の容器開口部33aが形成されている。そして、この容器開口部33aにノズル受入部材330の受入部材固定部337を圧入することにより、容器本体33に対してノズル受入部材330を固定することが出来る。ノズル受入部材330を固定する方法としては圧入に限らず、接着剤による固定やネジ止めによる固定であっても良い。
トナー容器32は、容器本体33に対して容器開口部33aの開口からトナーを充填後、ノズル受入部材330を容器本体33の容器開口部33aに固定する構成となっている。
また、容器本体33の容器開口部33aの容器ギア301側の端部には、カバー爪引掛け部306が形成されている。図10に示す状態のトナー容器32(容器本体33)に対して、容器先端側(図10中の左下側)から容器先端側カバー34を取り付ける。これにより、容器本体33が回転軸方向で容器先端側カバー34を貫き、容器先端側カバー34の上部に設けられたカバー爪部341がカバー爪引掛け部306に引っ掛かる。カバー爪引掛け部306は容器開口部33aの外周面を一周するように形成されており、カバー爪部341が引っ掛かることで、容器本体33と容器先端側カバー34とは、相対的に回転可能な取り付けとなる。
また、容器本体33は、二軸延伸ブロー成形法(特許文献1〜3参照)によって成形される。この二軸延伸ブロー成形法は、一般的にはプリフォーム成形工程と延伸ブロー成形工程との二段工程からなる。プリフォーム成形工程では、樹脂を用いて射出成形により試験管状のプリフォームを成形する。このときの射出成形により、試験管状の口部に、容器開口部33a、カバー爪引掛け部306及び容器ギア301を形成する。延伸ブロー成形工程は、プリフォーム成形工程後に冷却され、型から外されたプリフォームを加熱して軟化した後、ブロー成形すると共に延伸する。
容器本体33では、容器ギア301よりも容器後端側が延伸ブロー成形工程によって成形される。すなわち、汲み上げ部304、螺旋状突起302が形成されている部分、及び、把手部303は、延伸ブロー成形工程によって成形される。
容器本体33において、容器ギア301、容器開口部33a及びカバー爪引掛け部306等の容器ギア301から容器先端側の各部は、射出成形されたプリフォームのままの形状であるため、精度良く成形できる。一方、汲み上げ部304、螺旋状突起302が形成されている部分、及び、把手部303は、射出成形された後、延伸ブロー成形工程で延伸して成形されているため、成型の精度はプリフォーム成型部よりは劣る。
次に、容器本体33に固定されるノズル受入部材330について説明する。
図14は、容器先端側から見たノズル受入部材330の斜視説明図であり、図15は、容器後端側から見たノズル受入部材330の斜視説明図である。また、図16は、図13に示す状態のノズル受入部材330を上から見た上断面図であり、図17は、図13に示す状態のノズル受入部材330を横(図13中の奥側)から見た横断面図である。さらに、図18は、ノズル受入部材330の分解斜視図である。
ノズル受入部材330は、容器シャッタ支持部材340と、容器シャッタ332と、容器シール333と、容器シャッタバネ336と、受入部材固定部337とから構成される。容器シャッタ支持部材340は、シャッタ後端支持部335、シャッタ側面支持部335a及び受入部材固定部337からなり、容器シャッタバネ336はコイルスプリングからなる。
容器シャッタ332は、先端円筒部332c、滑動部332d、ガイドロット332e及びシャッタ抜け防止爪332aから成る。先端円筒部332cは、容器シール333の円筒開口(ノズル受入口331)と密着する容器先端側の部分である。滑動部332dは、先端円筒部332cよりも容器後端側に形成され、先端円筒部332cよりは外径が少し大きく、一対のシャッタ側面支持部335aの内周面を滑動する円筒状の部分である。ガイドロット332eは、先端円筒部332cの円筒内部から容器後端側に向けて起立した柱であり、容器シャッタバネ336のコイル内部に挿入されることで容器シャッタバネ336が座屈しないようにガイドするロッド部分である。シャッタ抜け防止爪332aは、ガイドロット332eの起立した根元とは反対側の端部に備えられ、容器シャッタ支持部材340から容器シャッタ332の脱落を防止する一対の爪部分である。
図16及び図17に示すように、容器シャッタバネ336の先端側端部は先端円筒部332cの内壁面に突き当たり、容器シャッタバネ336の後端側端部はシャッタ後端支持部335の壁面に突き当たる。このとき、容器シャッタバネ336は圧縮した状態であるため、容器シャッタ332はシャッタ後端支持部335から離れる方向(図16及び図17中の右方向、容器先端方向)の付勢力を受ける。しかし、容器シャッタ332の容器後端側の端部に形成されたシャッタ抜け防止爪332aがシャッタ後端支持部335の外壁面に引っ掛かる。これにより、図16及び図17で示す状態よりも容器シャッタ332はシャッタ後端支持部335から離れる方向に移動することを防止している。このようなシャッタ抜け防止爪332aのシャッタ後端支持部335に対する引っ掛かりと、容器シャッタバネ336の付勢力と、によって、位置決めがなされる。詳しくは、容器シャッタ332のトナー漏れ防止機能を発揮する先端円筒部332cと容器シール333との軸方向の容器シャッタ支持部材340に対する位置決めがなされる。両者が密着する関係で位置決めがされ、トナーの漏出を防止することが出来る。
受入部材固定部337は容器後端側ほど外周面及び内周面の直径が段階的に小さくなる筒状である。容器先端側から容器後端側に見て順に直径が小さくなる。その外周面には二箇所の外径部(容器先端から順に外周面AA,BB)、内周面には五箇所の内径部(容器先端から順に外周面CC,DD,EE,FF,GG)がある。外周面の外周面AAと外周面BBの境界はテーパ面でつながっている。内周面の四番目の内径部FFと五番目の内径部GGの境界も同様にテーパ面で繋がっている。この内周面の内径部FF及びそれに繋がるテーパ面は、後述するシール部材巻き込み防止空間337bに対応し、それらの面の稜線は後述する五角形断面の辺に相当する。
図16〜図18に示すように、受入部材固定部337から容器後端側には互いに対向し、円筒を軸方向に切断した片状の形態である一対のシャッタ側面支持部335aが突出している。二つのシャッタ側面支持部335aの容器後端側の端部は、底の中央に小判形状の穴が開いたカップ形状のシャッタ後端支持部335に繋がっている。二つのシャッタ側面支持部335aには、互いに対向することで、それらの内壁円筒面とその延長の仮想円筒面によって認識できる円柱状の空間S1が形成されている。受入部材固定部337は、円柱状空間S1の直径と同じ大きさの内径になる円筒状の内周面として先端から五番目の内径部GGを有する。この円柱状空間S1および円筒状の内周面GGを容器シャッタ332の滑動部332dは滑動する。受入部材固定部337の3番目の内周面EEは、45[°]分配の等間隔で配置されたノズルシャッタ突き当てリブ337aの長手頂部を通る仮想円周面である。この内周面EEに対応して断面(図16及び図17の断面図における断面)が四角形の円筒状(円管状)の容器シール333が配置される。容器シール333は、三番目の内周面EEから五番目の内周面FFに繋がる垂直面に接着剤または両面テープ等により固定されている。この容器シール333の貼り付けとは反対側(図16及び図17中の右側)の露出した面が円筒状の受入部材固定部337(容器開口部)の円筒状開口の内底をなす。
また、図16及び図17に示すように、受入部材固定部337の内周面FFとそれに繋がるテーパ面に対応して、シール部材巻き込み防止空間337b(挟み込み防止空間)が形成されている。シール部材巻き込み防止空間337bは三つの異なる部材で囲まれたリング状の密閉空間である。すなわち、受入部材固定部337の内周面(四番目の内周面FFとそれに繋がるテーパ面)と、容器シール333の貼付側の垂直面と、容器シャッタ332の先端円筒部332cから滑動部332dまでの外周面とで囲まれたリング状の空間である。そして、このリング状の空間の断面(図16及び図17の断面図における断面)は五角形をしている。受入部材固定部337の内周面と容器シール333の端面とが成す角度、及び容器シャッタ332の外周面と容器シール333の端面とが成す角度は共に90[°]である。
シール部材巻き込み防止空間337bの機能を述べる。容器シャッタ332がノズル受入口331を遮蔽している状態から容器後端方向に移動した場合、容器シール333の内周面は容器シャッタ332の先端円筒部332cと摺動する。このため、容器シール333の内周面は容器シャッタ332に引っ張られ容器後端方向に移動するように弾性変形する。
このとき、シール部材巻き込み防止空間337bが無く、三番目の内周面から繋がる垂直面(容器シール333の貼付面)と五番目の内周面GGとが直交するように繋がっていた場合、次のような状態となるおそれがある。すなわち、容器シール333の弾性変形した部分が、容器シャッタ332と摺動する受入部材固定部337の内周面と容器シャッタ332の外周面との間に挟まれて、巻き込まれた状態となるおそれがある。受入部材固定部337と容器シャッタ332とが摺動する部分、即ち、先端円筒部332cと内周面GGとの間に容器シール333が巻き込まれると、受入部材固定部337に対して容器シャッタ332がロックされ、ノズル受入口331の開閉が行えなくなる。
これに対して、本実施形態のノズル受入部材330は、その内周部にシール部材巻き込み防止空間337bが形成されている。シール部材巻き込み防止空間337bの内径(内周面EEとそれに繋がるテーパ面それぞれの内径)は、容器シール333の外径よりも小さいため、容器シール333全体がシール部材巻き込み防止空間337bに進入してくることはない。また、容器シール333の容器シャッタ332に引っ張られて弾性変形する領域には限度があり、内周面GGに至って巻き込まれる前に容器シール自身の弾性で復元する。この作用により、受入部材固定部337に対して容器シャッタ332がロックされることに起因してノズル受入口331の開閉が行えなくなることを防止できる。
図16〜図18に示すように、受入部材固定部337の内周面であって容器シール333の外周に隣接する箇所には、複数本のノズルシャッタ突き当てリブ337aが放射状に延在するように形成されている。図16及び図17に示すように、受入部材固定部337に容器シール333を固定した状態では、容器シール333の容器先端側の垂直面は、ノズルシャッタ突き当てリブ337aの容器先端側の端部よりも回転軸方向に少しだけ突き出している。図9に示すように、トナー容器32をトナー補給装置60に装着したときには、トナー補給装置60側のノズルシャッタ612のノズルシャッタ鍔部612aが、ノズルシャッタバネ613に付勢されて容器シール333の突き出た分を押し潰す。更に進入してノズルシャッタ突き当てリブ337aの容器先端側端部に突き当てた容器シール333のノズル受入口331から容器シール333の先端側端面を覆って容器外部から遮断する。これにより、装着時のノズル受入口331における搬送ノズル611周りの密閉性を確保し、トナー漏れを防止することができる。
ノズルシャッタバネ613に付勢されるノズルシャッタ鍔部612aのノズルシャッタバネ受け面612fの裏側がノズルシャッタ突き当てリブ337aに突き当たることで、ノズルシャッタ612のトナー容器32に対する回転軸方向の位置が決まる。これにより、容器シール333の容器先端側の端面及び先端開口305(後述する容器開口部33aの中に配置されている円筒状の受入部材固定部337の内部空間)の容器先端側の端面と、ノズルシャッタ612との回転軸方向の位置関係が決まる。
図9等に示すように、トナー容器32をトナー補給装置60本体に装着した際に、円柱形状の内部空間である先端開口305に、当接部材としてのノズルシャッタ612と付勢部材としてのノズルシャッタバネ613とが収納される構成となっている。ここで、このような構成を実現するための、容器開口部33aの外周面の径、受入部材固定部337の内径、及びトナー補給装置60の容器セット部615等の構成の各径の関係について説明する。
図66は、容器開口部33aの外周面の径、受入部材固定部337の内径、及びトナー補給装置60の容器セット部615等の構成の各径の関係を示す説明図である。
後述するように容器セット部615は、トナー容器32のセット時に、トナー容器32の容器開口部33aの外周面と嵌合する容器セット部内周面615aを備えおり、この内周面の内径をD1とする。そして、トナー容器32の容器開口部33aの外周面の径をd1とする。
搬送ノズル611に設けられたノズルシャッタ612はノズルシャッタ鍔部612aを有し、このノズルシャッタ鍔部612aの外径をD2とする。また、受入部材固定部337の内径のうち容器シール333よりも軸方向外側にある内径(容器先端から二番目の内周面の内径)をd2、容器シール333の外径をd3とする。また、ノズルシャッタ突き当てリブ337aが容器シール333の外周面に接するとともに、容器シール333の外周面と受入部材固定部337の容器先端から二番目の内周面との間に複数配置されている。そして、ノズルシャッタ612の外径(後述するノズルシャッタ筒状部612eの外径)をD3とし、容器シール333の内径をd4とする。
トナー容器32の装着時に、搬送ノズル611は、ノズル開口610がノズルシャッタ612により閉じられた状態のまま、ノズル受入口331に進入する。そして、ノズルシャッタ鍔部612aが容器シール333に接触した後に押しつぶす。その後、ノズルシャッタ鍔部612aがノズルシャッタ突き当てリブ337aの容器先端側の端部に突き当たることでノズル開口610は開かれ、トナー容器32の内部と、搬送ノズル611の内部とが連通する。このとき、トナー容器32の容器開口部33aの外周面と容器セット部内周面615aとが嵌合し、この嵌合箇所で容器本体33を回転可能に保持する。
トナー容器32の容器開口部33aの外周面と容器セット部内周面615aとが回転可能に嵌合するために、トナー容器32の容器開口部33aの外周面の径d1と、容器セット部内周面615aの内径D1とが、「d1<D1」の関係を満たすように設定にしている。また、d1とD1とは、嵌め合い公差0.01〜0.1[mm]程度に設定してある。このように「d1<D1」という関係を有することで、容器本体33を容器セット部615に保持した状態で回転駆動することができる。
搬送ノズル611及びノズルシャッタ612は、搬送ノズル611のノズル開口610がノズルシャッタ612により閉じられた状態のまま、ノズル受入口331に進入する構成である。この構成を実現できるように、ノズルシャッタ鍔部612aの外径D2と、受入部材固定部337の内径のうち容器シール333よりも軸方向外側にある内径(容器先端から二番目の内周面DDの内径)d2とが、「D2<d2」の関係を満たすように設定している。
また、ノズルシャッタ鍔部612aが容器シール333に接触して押しつぶした後、ノズルシャッタ突き当てリブ337aの容器先端側の端部に突き当てるように、ノズルシャッタ鍔部612aの外径D2が、「D2>d3」の関係を満たすように設定している。つまり、ノズルシャッタ鍔部612aの外径D2と、受入部材固定部337の内径のうち容器シール333よりも軸方向外側にある内径d2と、容器シール333の外径をd3との間に、「d3<D2<d2」という関係を設定してある。
このように設定することで、ノズルシャッタ612をトナー容器32の先端開口305内(受入部材固定部337の内側)に収納することができる。そして、容器本体33の回転に伴って、容器シール333とノズルシャッタ鍔部612aとが摺動することになるが、この摺動による容器シール333の劣化も抑制することができる。これは、容器シール333を過度に押しつぶさないように、ノズルシャッタ突き当てリブ337aにノズルシャッタ鍔部612aを当接させているため、摺動負荷を抑制することができるためである。さらに、ノズルシャッタ鍔部612aが容器シール333を押しつぶし、適度に密着した状態であるため、トナー容器32の装着時に生じるトナー飛散を低減させることができる。
さらに、ノズルシャッタ612の外径D3と、ノズル受入部材330の容器シール333内径d4とが、「d4<D3」の関係を満たすように設定している。このように設定することで、容器シール333は、搬送ノズル611の進入に伴い内径が押し広げられてノズルシャッタ612に対して適度に密着することができる。そのため、搬送ノズル611の挿入状態でのトナー容器32から外部へのトナー漏れを防止することができる。
上述した関係をまとめると、「d4<D3<d3<D2<d2<d1<D1」という径の関係を満たすように、トナー容器32の各部を設定している。このように設定していることにより、トナー容器32からのトナー飛散やトナー漏れを生じさせないシール性と、ノズルシャッタ612及びノズルシャッタバネ613を収納する収容性と、を兼ね備えた構成とすることができる。
また、後述するように、トナー容器32の装着時には、ノズル開口610は、ノズルシャッタ鍔部612aがノズルシャッタ突き当てリブ337aに突き当たり、ノズルシャッタ612のトナー容器32に対する相対的な位置が固定されてから開き始める。一方、トナー容器32の取り外し時には、搬送ノズル611がトナー容器32から抜け始めても、ノズル開口610が開口している状態では、ノズルシャッタバネ613による付勢力のためノズルシャッタ612のトナー容器32に対する相対的な位置は変化しない。
トナー容器32が引き出されると、搬送ノズル611に対するトナー容器32の相対的な位置が変化するため、搬送ノズル611に対するノズルシャッタ612の相対的な位置も変化し、ノズルシャッタ612がノズル開口610を閉鎖し始める。このとき、トナー容器32が引き出される動作に伴い、トナー容器32と容器セット部615との距離が離れていく。これにより、ノズルシャッタバネ613が自身の復元力によって自然長に戻り始めることで、ノズルシャッタ612に対する付勢力が減少し始める。
さらに、トナー容器32が引き出されて、ノズルシャッタ612がノズル開口610の閉鎖を完了すると、ノズルシャッタ612の一部(詳細は後述する「シャッタ内周第一リブ612b」)が搬送ノズル611の一部に対して突き当たる。この突き当たりにより、搬送ノズル611に対するノズルシャッタ612の相対的な位置が固定され、ノズルシャッタ鍔部612aのノズルシャッタ突き当てリブ337aに対する突き当たりが解除される。
この後、さらにトナー容器32が引き出されることで、ノズルシャッタ612は搬送ノズル611とともにトナー容器32から抜けていく。
ノズルシャッタ鍔部612aがノズルシャッタ突き当てリブ337aに突き当たる状態では、搬送ノズル611のノズル開口610が形成されている部分は、ノズル受入口331の入口部分よりも十分にトナー容器32の内側(容器後端側、奥側)に位置している。具体的には、回転軸方向を容器後端側に向かって、容器ギア301を越え、汲み上げ部304に対向する位置にノズル開口が有る様配置されている。十分にトナー容器32の内側に位置している状態からノズル開口610が開閉するため、ノズル開口610から外部へのトナー漏れを防止することができる。
また、シャッタ側面支持部335aとシャッタ支持開口335bとは、二つの互いに対向するシャッタ側面支持部335aが円筒形状の一部を形成し、シャッタ支持開口335bの部分(二箇所)で円筒形状を大きく切り取った形状となっている。このような形状により、円筒形状の内側に形成される円柱状の空間S1内を容器シャッタ332が回転軸方向に移動するようにガイドすることができる。
容器本体33に固定されるノズル受入部材330は、容器本体33の回転時に容器本体33とともに回転するが、このとき、ノズル受入部材330のシャッタ側面支持部335aは、トナー補給装置60側の搬送ノズル611の周りを回転する。このため、回転しているシャッタ側面支持部335aが搬送ノズル611の上部に形成されたノズル開口610のすぐ上方の空間を通過する。これにより、仮にノズル開口610の上方でトナーが瞬間的に堆積してもその堆積トナーをシャッタ側面支持部335aが横切って崩すので、放置時に堆積トナーが凝集してしまい、再起動時にトナーの搬送不良を起こすことを抑制することができる。一方、シャッタ側面支持部335aが搬送ノズル611の側方に位置し、ノズル開口610とシャッタ支持開口335bとが対向するタイミングでは、図9中の矢印βで示すように、容器本体33内のトナーが搬送ノズル611内へと供給される。
図16及び図17に示すように、ノズル受入部材330の受入部材固定部337の外周面における回転軸方向の途中で容器後端側が外周径が小さくなって段差(一番目の外周面AAと二番目の外周面BBの段差)が形成されている。また、図13に示すように、容器本体33の容器開口部33aの内周面は受入部材固定部337の外周面に沿う形状となっており、容器後端側が内周径が小さくなるように段差が形成されている。そして、受入部材固定部337の外周面の段差が容器開口部33aの内周面の段差に周方向の全域で突き当たる。これにより、容器本体33に対するノズル受入部材330の軸倒れ(円筒状の受入部材固定部337の中心軸が円筒状の容器開口部33aの中心軸に対して傾く状態)を防止している。
<実施の形態2>
次に、実施の形態1のトナー容器32に対し、容器シャッタ332に改良を加えた実施の形態2のトナー容器32について説明する。
トナー容器32は、図6で示す状態で複写機500から着脱自在であるが、トナー容器32単体での輸送中やユーザーが本体にセットする際に、トナー容器32を落下させてしまうことがある。
図19は、トナー容器32が後端側を下方に向かって落下した状態の説明図であり、図19中の矢印δ1が落下方向を示している。
図19に示すようにトナー容器32を落下させ床面に衝突すると、容器シャッタ332の慣性力が図19中の矢印δ2で示すように、落下方向と同じ方向に作用する。落下の衝撃が大きいほど慣性力も大きくなり、この慣性力が容器シャッタバネ336の加圧力を上回ると容器シャッタ332は慣性力が働く方向(図19中の矢印δ2の方向)に移動する。このとき、容器シャッタ332の移動量が容器シール333の厚さ以上になると、容器シャッタ332と容器シール333との間に瞬間的に隙間が出来てトナーが飛散してしまうおそれがある。また、トナー容器32の容器本体33がブロー成型による中空の樹脂品の場合は、衝突時に衝撃が弾みに変換され、慣性力が大きくなる可能性がある。
落下時の慣性力に起因する容器シャッタ332の移動量を小さくするためには、容器シャッタバネ336として加圧力が大きいものを用いることが効果的である。しかし、容器シャッタバネ336の加圧力を大きくすると、次のような副作用が生じる。
すなわち、容器シャッタバネ336の加圧力を大きくすると、トナー容器32をトナー補給装置60に装着した状態での容器シャッタ332と搬送ノズル611との接触圧が高くなる。接触圧が高くなることで、トナー容器32を回転させる駆動トルクが増大して、駆動モータ603として出力が大きいものが必要となり、駆動モータ603のコストが高くなる。また、接触圧が高くなることで、容器シャッタ332及び搬送ノズル611の双方の接触面の磨耗が増大して寿命が短くなる。
また、容器シャッタバネ336の加圧力を大きくすると、トナー容器32をトナー補給装置60本体にセットする為に大きな力が必要となり、操作性を損なう。
さらに、容器シャッタバネ336の加圧力はトナー容器32をトナー補給装置60本体から押し出す方向に作用している。このため、容器シャッタバネ336の加圧力を大きくすると、トナー容器32が飛び出す危険がある。詳しくは、トナー容器32をトナー補給装置60に対してロックする機構(補給装置側ロック部材609と容器ロック部339)の結合が外れた瞬間にトナー容器32がトナー補給装置60本体から飛び出す危険がある。
図20及び図21は、容器シャッタ332のガイドロッド332eにおけるシャッタ抜け防止爪332aよりも少し容器先端側に第二シャッタ抜け防止爪332bを備える構成の説明図である。図20は、トナー容器32を装着する前のトナー補給装置60と、容器先端側のトナー容器32の端部との断面説明図であり、図21は、トナー容器32を装着した状態のトナー補給装置60と、容器先端側のトナー容器32の端部との断面説明図である。
図20及び図21に示す構成では、トナー容器32の容器シャッタ332は容器シャッタバネ336によってノズル受入口331を閉じる方向(図20中の左方向)に加圧されている。そして、抜け止めとして、二対のフック形状の抜け防止爪である、シャッタ抜け防止爪332a及び第二シャッタ抜け防止爪332bをそれぞれ一対づつ、ガイドロッド332eの容器後端側に備える。
ガイドロッド332eの容器後端側は二股に割れて一対の片持ち梁332fを形成している。その各梁の外周面にシャッタ抜け防止爪332a及び第二シャッタ抜け防止爪332bは配置されている。図20にあるように、容器シャッタ332がノズル受入口331を閉鎖している状態ではシャッタ抜け防止爪332aと第二シャッタ抜け防止爪332bとの間にシャッタ後端支持部335の垂直面があるように配置されている。シャッタ後端支持部335の垂直面には、シャッタ抜け防止爪332aの軸方向投影面積よりも小さい穴が形成されている。ガイドロッド332eを容器シャッタバネ336に通し、ガイドロッド332eの一対の片持ち梁332fをガイドロッド332eの軸中心に向かって撓ませて、シャッタ後端支持部335の垂直面の穴に対してシャッタ抜け防止爪332aを通過させる。これにより、図20に示すようなノズル受入部材33に対するガイドロッド332eの組み付けが成されている。片持ち梁332fが撓める弾性を有すよう、ガイドロッド332はポリスチレン等の樹脂で成型されている。
図20に示す状態は、トナー容器32の出荷時等のトナー容器32をトナー補給装置60本体にセットする前(未使用時)の状態である。
図20の状態から、トナー容器32がトナー補給装置60本体にセットされる際には、装置本体に対してトナー容器32が押し込まれると共に、搬送ノズル611の先端が容器シャッタ332をトナー容器32の内部に押し込む。このとき、ガイドロッド332e端部のシャッタ抜け防止爪332aは、シャッタ後端支持部335の容器後端側に押し出されていく。そうすると、二つめのフックである第二シャッタ抜け防止爪332bがシャッタ後端支持部335の垂直面の穴に係る。
この垂直面の穴は第二シャッタ抜け防止爪332bの軸方向投影面積よりも小さいので、第二シャッタ抜け防止爪332bは垂直面に当接した時点では抜けない。しかし、ユーザーがさらにトナー容器32を押し込む力を強めることで、第二シャッタ抜け防止爪332bと垂直面の当接部に押し込む力が作用する。この押し込む力の作用によって、第二シャッタ抜け防止爪332bをその外周面に備える一対の片持ち梁332fの両方ともを、ロッド332eの軸中心に向かって撓ませることで、第二シャッタ抜け防止爪332bが垂直面の穴を通過する。これにより、図21に示すように、シャッタ後端支持部335よりもトナー容器32の内側に第二シャッタ抜け防止爪332bが位置する状態となる。
一度セットされたトナー容器32の容器シャッタ332は、以後、第二シャッタ抜け防止爪332bが容器シャッタ332の抜け止めとして機能する。
上述したように、トナー容器32単体での輸送中やユーザーが本体にセットする際に、トナー容器32を落下させてしまうことがある。このとき、図19を用いて説明したように、容器シャッタ332には自身の慣性力によって、容器シャッタ332が開く方向に力がかかる場合がある。図20及び図21の構成のように、第二シャッタ抜け防止爪332bを備えた構成であれば、以下の理由により、トナー容器32の落下時のトナー飛散の発生を防止することができる。すなわち、容器シャッタ332が開く方向に移動しようとしたときに、容器シャッタバネ336の加圧力と第二シャッタ抜け防止爪332bによる穴を通過させるのに必要な力(=片持ち梁332fを撓ませる力)が、容器シャッタ332の開く方向への移動を妨げる。落下時の衝撃による慣性力はユーザーの押し込み力と違って力が増大していくことはないので、第二シャッタ抜け防止爪332bがシャッタ後端支持部335の垂直面の穴に係って容器シャッタ332が開くことを抑制することができる。これにより、トナー容器32の落下時のトナー飛散の発生を防止することができる。
図20及び図21に示すトナー容器32の構成によると、容器シャッタバネ336の加圧力を増すことなく、トナー容器落下衝突時のシャッタ移動を抑制することが出来るので、上述した副作用の発生を起こすことなく落下衝突時のトナー飛散を防ぐことが出来る。また、図1及び図9等を用いて説明した構成に対して、容器シャッタ332に第二シャッタ抜け防止爪332bを追加して形成するだけでよく、部品の追加を要しないため、低コストな変更で落下衝突時のトナー飛散を防ぐことが可能となる。
次に実施の形態1〜20に共通の容器先端側カバー34の構成について図5〜図8を用いて説明する。
トナー容器32の容器先端側カバー34は、トナー補給装置60に装着するときに、図5の容器受部72上を滑らせて移動させる。図5では四つのトナー容器32の直下に容器本体33の軸方向を長手として、挿入口形成部71から容器カバー受入部73まで続く溝がそれぞれ形成されている。この溝に嵌ってすべり移動を可能にするよう、容器先端側カバー34の下部の両側面には一対のスライドガイド361がある。詳しく述べると、容器受部72の溝にはその両側面から突き出る一対のスライドレールがある。この一対のスライドレールに上下から挟むように、スライドガイド361は容器本体33の回転軸と平行にスライド溝361aが形成されている。さらに容器先端側カバー34は、トナー補給装置60に装着するときに、セットカバー608に設けられた補給装置側ロック部材609と結合する容器ロック部339を備える。
また、容器先端側カバー34には、トナー容器32の使用状況等のデータを記録したIDタグ(IDチップ)700が設けられている。さらに、容器先端側カバー34には、収納するトナーの色が異なるトナー容器32が他の色のセットカバー608に装着されることを防止する色非互換リブ34bを設けている。上述したように、スライドガイド361が装着時に容器受部72のスライドレールと係合することで容器先端側カバー34の補給装置60上での姿勢が決まる。そして、容器ロック部339と補給装置側ロック部材609の位置合わせ、および後述するIDタグ700と本体側のコネクタ800の位置合わせをスムースに行うことができる。
次に、実施の形態1〜20に共通のトナー補給装置60について説明する。
図7及び図8に示すように、トナー補給装置60は、複写機500本体のフレーム602に対して搬送ノズル611を固定するノズルホルダ607を備え、ノズルホルダ607に対して、セットカバー608が固定されている。さらに、ノズルホルダ607には、搬送ノズル611の下方から搬送ノズル611の内部に連通するように配置されたトナー落下搬送経路64が固定されている。
トナー落下搬送経路64としては、図20及び図21に記載の構成のように、その内部に揺動スプリング640を配置してもよい。
この揺動スプリング640は、搬送スクリュ614の回転軸に一端が係合されていて、搬送スクリュ614の回転に伴い上下動するよう構成されている。揺動スプリング640は、この上下動によって管状部材であるトナー落下搬送経路64の内壁面近傍に停滞・付着しているトナーを掻き落とす。トナー落下搬送経路64のつまり防止効果の向上を図るためには、この揺動する揺動スプリング640をトナー落下搬送経路64の内壁面に近付けることが望ましい。そして、本実施形態の構成では、トナー落下搬送経路64が円筒状の部材であるため、揺動スプリング640(径がトナー落下搬送経路64の内壁の径よりもやや小さい程度のスプリング部材)を揺動掻き落とし部材として用いている。しかし、トナー落下搬送経路64を輪切りにした断面形状が円形以外であればそれに沿う様に、揺動掻き落とし部材の形状もトナー落下搬送経路64の断面形状併せて調整してやると良い。
また、フレーム602には、容器回転駆動部91が固定されている。容器回転駆動部91は、駆動モータ603及び容器駆動ギア601を備え、さらに、容器駆動ギア601の回転軸に駆動モータ603の回転駆動を伝達するウォームギア603aを備える。容器駆動ギア601の回転軸には、駆動伝達ギア604が固定されており、搬送スクリュ614の回転軸に固定された搬送スクリュギア605と噛み合う構成となっている。このような構成により、駆動モータ603を回転駆動させることで、容器駆動ギア601及び容器ギア301を介してトナー容器32を回転させることができる。また、トナー容器32を回転させるとともに、駆動伝達ギア604及び搬送スクリュギア605を介して、搬送スクリュ614を回転させることができる。
なお、駆動モータ603から容器ギア301までの駆動伝達経路や、駆動モータ603から搬送スクリュギア605までの駆動伝達経路にクラッチを設けても良い。このようなクラッチを設けることで、駆動モータ603を回転駆動させたときに、トナー容器32と搬送スクリュ614との何れか一方のみを回転させる構成を実現できる。
次に、トナー補給装置60の搬送ノズル611について説明する。
図22は、ノズルシャッタ612の断面説明図である。また、図23は、ノズルシャッタ612をトナー容器32が取り付けられる側(ノズル先端側)から見た斜視説明図であり、図24は、ノズルシャッタ612をトナー補給装置60側(ノズル根元側)から見た斜視説明図である。図25は、トナー補給装置60の搬送ノズル611近傍の断面説明図であり、図26は、搬送ノズル611のノズル開口610近傍の斜視断面説明図である。また、図27は、ノズルシャッタ612を取り外した状態の搬送ノズル611近傍をノズル先端側から見た斜視説明図であり、図28は、ノズルシャッタ612を取り外した状態のノズル開口610近傍の斜視説明図である。なお、図25、図26及び図28では、搬送ノズル611内に配置される搬送スクリュ614の図示を省略している。
搬送ノズル611の根元には、トナー補給装置60にトナー容器32を装着した状態で、容器開口部33aが嵌め込まれる容器セット部615が形成されている。容器セット部615は、円筒状となっており、その内周面615aと、容器開口部33aの外周面とが摺動可能な状態で嵌合する。この嵌合より、トナー容器32の回転軸に直交する平面方向におけるトナー容器32のトナー補給装置60に対する位置決めがなされる。また、トナー容器32の回転時には、容器開口部33aの外周面が回転軸部として機能し、容器セット部615は軸受けとして機能する。このときの容器開口部33aの外周面が容器セット部615と摺動可能に接触し、トナー容器32のトナー補給装置60に対する位置決めがなされる位置を図9中のαで示す。
図22等に示すように、ノズルシャッタ612は、ノズルシャッタ鍔部612aとノズルシャッタ筒状部612eとから構成される。ノズルシャッタ筒状部612eのノズル先端側の端部近傍の内周面の上部の一部には、シャッタ内周第一リブ612bが形成されている。一方、ノズルシャッタ筒状部612eのノズル根元側の端部近傍の内周面には、シャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dが、それぞれ内周面を一周するように形成されている。
シャッタ内周第一リブ612bの内周面における周方向の長さは、ノズルシャッタ612を搬送ノズル611に取り付けた状態でノズル開口610の周方向の幅の中に嵌ることができる長さである。
図1及び図25に示すように、ノズルシャッタバネ613のノズル根元側の端部は、容器セット部615の端面615bに突き当たる。また、ノズルシャッタバネ613のノズル先端側の端部は、ノズルシャッタ鍔部612aのノズルシャッタバネ受け面612fに突き当たる。このとき、ノズルシャッタバネ613は圧縮した状態であるため、ノズルシャッタ612はノズル先端側から抜け落ちる方向(図25中の左方向)の付勢力を受ける。しかし、ノズル開口610のノズル先端側の縁部、すなわち、搬送ノズル611におけるノズル先端部611aの内側壁面の上部に、シャッタ内周第一リブ612bが突き当たる。これにより、図25や図26で示す状態よりもノズルシャッタ612が搬送ノズル611から抜け落ちる方向に移動することを防止している。このようなシャッタ内周第一リブ612bの突き当たりと、ノズルシャッタバネ613の付勢力と、によって、ノズルシャッタ612の搬送ノズル611に対する回転軸方向の位置決めがなされる。
また、シャッタ内周第一リブ612bの周方向の端部である内周第一リブ先端部612gは、ノズル開口610の横方向の縁部であるノズル開口横縁部611sに突き当たる形状となっている。これは、ノズルシャッタ612が図26中の矢印A方向に回転しようとすると、内周第一リブ先端部612gがノズル開口横縁部611sに突き当たる形状である。
トナー容器32が回転すると、トナー容器32に固定された容器シール333の内周面に対して、ノズルシャッタ筒状部612eの外周面が接触するノズルシャッタ612には、図26中の矢印A方向に回転しようとする力が作用する。このとき、ノズルシャッタ612が搬送ノズル611に対して回転し、シャッタ内周第一リブ612bがノズル開口610から外れた位置となると、次のような問題が生じるおそれがある。すなわち、トナー補給装置60からトナー容器32を取り外したときに、ノズルシャッタバネ613の復元作用による付勢力によって、ノズルシャッタ612が搬送ノズル611から抜け落ちてしまうおそれがある。
また、ノズルシャッタ612の弾性によっては、ノズル開口610から外れたシャッタ内周第一リブ612bが搬送ノズル611の外周面を強く締め付け、ノズルシャッタ612が搬送ノズル611に対して移動できなくなるおそれもある。何れの場合にも、トナー補給装置60からトナー容器32を取り外したときに、ノズル開口610が開いたままの状態となり、トナー漏れの原因となる。
これに対して、本実施形態のトナー補給装置60では、ノズルシャッタ612が図26中の矢印A方向に回転しようとすると、ノズル開口横縁部611sに内周第一リブ先端部612gが突き当たる。これにより、図26に示す状態よりも、ノズルシャッタ612が搬送ノズル611に対して回転することを防止している。
また、シャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dの内径寸法は、円筒状の搬送ノズル611の外径寸法よりもわずかに小さくなるように形成されている。樹脂で成形されたシャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dが弾性変形することで、ノズルシャッタ612を搬送ノズル611に取り付けることができる構成となっている。内径が搬送ノズル611の外径よりも小さい二つのリブ(612c及び612d)が弾性変形した状態で、搬送ノズル611の外周面に接触することで、ノズルシャッタ612の内周面と搬送ノズル611の外周面との間の密閉性を高めることができる。よって、ノズルシャッタ612と搬送ノズル611との間からのトナー漏れを防止することができる。
また、本実施形態のトナー補給装置60は、ノズルシャッタバネ613として、円錐状のスプリングを用いている。円錐状のスプリングは、圧縮しきった状態のときに、隣り合うコイルの少なくとも一部が重なることができ、円筒状の同じスプリング長さのバネよりも圧縮しきった状態での巻き軸方向の長さを短くできる。このため、圧縮しきった状態でのノズルシャッタバネ613の巻き軸方向の省スペース化を図ることができる。
次に、トナー容器32のトナー補給装置60に対する装着過程について説明する。
図7や図1の図中矢印Qで示すようにトナー補給装置60の方向にトナー容器32を移動させることで、搬送ノズル611のノズル先端部611aが容器シャッタ332の容器先端側の端面に接触する。さらに、トナー容器32をトナー補給装置60の方向に移動させることで、搬送ノズル611が容器シャッタ332の容器先端側の端面を押圧する。容器シャッタ332が押圧されることで、容器シャッタバネ336が縮み、これに伴って容器シャッタ332がトナー容器32の内部側(容器後端側)に押し込まれるとともに、搬送ノズル611のノズル先端側がノズル受入口331に挿入される。このとき、ノズルシャッタ612におけるノズルシャッタ鍔部612aよりもノズル先端側のノズルシャッタ筒状部612eも搬送ノズル611とともにノズル受入口331に挿入される。
さらにトナー容器32をトナー補給装置60の方向に移動させることで、ノズルシャッタ鍔部612aのノズルシャッタバネ受け面とは反対側の面が、容器シール333の容器先端側の端面に接触する。さらに、容器シール333を少し押し潰すことで、ノズルシャッタ突き当てリブ337aに突き当たる。これにより、ノズルシャッタ612のトナー容器32に対する回転軸方向の相対的位置が固定される。
さらにトナー容器32をトナー補給装置60の方向に移動させることで、搬送ノズル611はさらにトナー容器32の内部側に挿入される。このとき、ノズルシャッタ突き当てリブ337aに突き当たったノズルシャッタ612は、搬送ノズル611に対してノズル根元側に押し戻される。これにより、ノズルシャッタバネ613が縮み、ノズルシャッタ612の搬送ノズル611に対する相対的位置がノズル根元側に移動する。この相対的位置の移動に伴い、ノズルシャッタ612に覆われていたノズル開口610が容器本体33内部で露出し、容器本体33内と搬送ノズル611内とが連通する。
搬送ノズル611がノズル受入口331に挿入されている状態では、縮んだ状態の容器シャッタバネ336やノズルシャッタバネ613の付勢力によって、トナー補給装置60に対してトナー容器32を押し戻す方向(図中矢印Qとは逆方向)の力が作用する。しかし、トナー容器32をトナー補給装置60に装着する際には、この力に抗して容器ロック部339が補給装置側ロック部材609と結合する位置までトナー容器32をトナー補給装置60の方向に移動させる。これにより、容器シャッタバネ336及びノズルシャッタバネ613の付勢力と、容器ロック部339の補給装置側ロック部材609に対する引っ掛かりとが作用する。このような、付勢力と引っ掛かりとの作用によって、図8及び図9に示す状態で、トナー容器32のトナー補給装置60に対する回転軸方向の位置決めがなされる。
図7に示すように、容器ロック部339は、ガイド突起339a、ガイド溝339b、乗り越え部339c及び四角形の係止孔339dから成る。これらをひと組とし、ノズル受入口331を通る垂直線を対象に容器先端側カバー34の両側に対を成すように、ふた組が配置されている。ガイド突起339aは、容器先端側カバー34の先端側の垂直面上であって、ノズル受入口331の中心を通る水平線上に配置されている。ガイド突起339aは、トナー容器32の装着時に補給装置側ロック部材609を当接させ、ガイド溝339bに向けて案内できるようにガイド溝339bに繋がる傾斜面を備えている。ガイド溝339bは、容器先端側カバー34の側周面よりも一段低くなった溝である。
ガイド溝339bの溝の幅は、補給装置側ロック部材609の幅よりも若干広めで補給装置側ロック部材609が溝から脱落しない程度に設定されている。
ガイド溝339bの容器後端側は、係止孔339dに直接繋がる形状ではなく終端を有し、容器先端側カバー34の側周面の高さになっている。即ち、ガイド溝339bと係止孔339dの間には幅1[mm]程度の容器先端側カバー34の外周面があり、これが乗り越え部339cに相当する。補給装置側ロック部材609はこの乗り越え部339cを乗り越えて係止孔339dに落ち込み、トナー容器32とトナー補給装置60との結合が達成される。
トナー容器32は、回転軸に直交する仮想平面上において、二つの容器ロック部339を結んだ線分の中央に容器シャッタ332が位置する構成となっている。容器シャッタ332が二つの容器ロック部339を結んだ線分上に無いと、次のようなことが生じるおそれがある。すなわち、線分から容器シャッタ332までの距離がレバーとなって、容器シャッタ332の位置で作用する容器シャッタバネ336及びノズルシャッタバネ613の付勢力によって、線分を中心にトナー容器32を回転させる力のモーメントが作用する。この力のモーメントの作用により、トナー容器32がトナー補給装置60に対して傾くおそれがある。その場合、トナー容器32の装着負荷が増大し、容器シャッタ332を保持及びガイドをするノズル受入部材330に負荷がかかってしまう。
特に、トナー容器32がトナーを十分に内蔵した新品である場合、水平方向から突出した搬送ノズル611が挿入されるようにトナー容器32の後端側から押し込まれる際には、トナー重量も加味したトナー容器32を回転させる力のモーメントが作用する。これにより、搬送ノズル611が挿入されるノズル受入部材330に負荷がかかり、ノズル受入部材330が最悪変形や破損するおそれがある。これに対して、本実施形態のトナー容器32は、二つの容器ロック部339を結んだ線分上に容器シャッタ332が位置する。このため、容器シャッタ332の位置で作用する容器シャッタバネ336及びノズルシャッタバネ613の付勢力によって、トナー容器32がトナー補給装置60に対して傾くことを防止できる。
なお、図31(b)にあるように、トナー容器32をトナー補給装置60に装着した状態で、トナー容器32の容器開口部33aの円状の端面は、容器セット部615の端面615bには接触しない構成となっている。これは、以下の理由による。仮に、容器開口部33aの円状の端面が、容器セット部615の端面615bには接触する構成とする。このような構成とすると、容器ロック部339の係止孔339dが補給装置側ロック部材609に引っ掛かる前に、容器開口部33aの円状の端面が容器セット部615の端面615bに突き当たるおそれがある。このように突き当たると、それ以上、トナー容器32をトナー補給装置60側に移動させることが出来なくなり、回転軸方向の位置決めが出来なくなる。これを防止するために、トナー容器32をトナー補給装置60に装着した状態では、容器開口部33aの円状の端面と、容器セット部615の端面615bとの間には、若干の隙間がある状態となる。
また、このように回転軸方向の位置決めがなされた状態では、容器セット部615の内周面615aに、容器開口部33aの外周面が摺動可能な状態で嵌合される。このため、上述したように、回転軸に直交する平面方向におけるトナー容器32のトナー補給装置60に対する位置決めがなされる。これにより、トナー容器32のトナー補給装置60に対する装着が完了する。
トナー容器32の装着が完了した状態で、駆動モータ603を回転駆動させることにより、トナー容器32の容器本体33と、搬送ノズル611内の搬送スクリュ614が回転する。
容器本体33が回転することで、容器本体33内のトナーは螺旋状突起302によって、容器本体33の容器先端側に搬送される。この搬送によって汲み上げ部304に到達したトナーは、容器本体33が回転することで汲み上げ部304によってノズル開口610の上方まで持ち上げられる。ノズル開口610の上方まで持ち上げられたトナーが、ノズル開口610に落下することで、搬送ノズル611内にトナーが供給される。搬送ノズル611内に供給されたトナーは、搬送スクリュ614によって搬送され、トナー落下搬送経路64を通って現像装置50に補給される。なお、このときの容器本体33内からトナー落下搬送経路64までのトナーの流れを図9中の矢印βで示す。
<実施の形態3>
実施の形態3としてトナー容器32等の回転タイミングの改良について説明する。
上述した実施の形態1及び2の構成では、トナー容器32と搬送スクリュ614とを同時に回転させる構成について説明した。これらを回転させるタイミングとしては、トナー補給開始時にはトナー容器32を先に回転駆動し、一定時間後に搬送スクリュ614を回転させるように構成してもよい。また、トナー補給停止時にはトナー容器32を先に停止し、一定時間後に搬送スクリュ614を停止させるように構成してもよい。このような回転タイミングの構成のタイミングチャートを図29に示す。
図29に示す回転タイミングの構成では、トナー補給停止時に、搬送ノズル611内の搬送スクリュ614の回転駆動を停止させるより前にトナー容器32の回転駆動を停止させている。このような回転タイミングの構成により、ノズル開口610では新たなトナーの供給が停止した状態で搬送スクリュ614による搬送が継続され、一定時間後に搬送スクリュ614の回転も停止する。このため、トナー容器32の回転駆動を停止したときに搬送ノズル611のノズル開口610付近に存在したトナーTを搬送スクリュ614によってトナー落下搬送経路64側に搬送することができる。これにより、ノズル開口610付近の搬送ノズル611上に載ったままとなるトナーTの量を低減できる。その後、トナー容器32を装置本体から抜くときに、搬送ノズル611上のトナーの量が低減した状態であるため、ノズル受入部材330に設けた容器シール333によって容易に搬送ノズル611を清掃することができる。したがって、トナー容器32の装置本体に対する着脱に伴うトナー飛散及びトナー落下を防止することができる。
また、上述した回転タイミングの構成では、トナー補給開始時にトナー容器32が搬送スクリュ614よりも先に回転駆動を開始している。このため、搬送ノズル611のノズル開口610付近をトナーで満たした状態で搬送スクリュ614の回転駆動を開始することができる。これにより、搬送スクリュ614が一回転することによって搬送されるトナー量が、搬送スクリュ614の回転駆動開始時から安定するため、トナー補給量の安定性が向上する。
このように、トナー容器32と搬送スクリュ614との回転タイミングを異ならせる構成としては、それぞれを回転駆動する駆動源を独立した別駆動源とすることにより容易に実現することができる。
<実施の形態4>
実施の形態4として実施の形態3のトナー容器32等の回転タイミングの変更を同一の駆動源で実現する改良を説明する。
同一駆動源とする構成では、クラッチを設けることで実現することができる。同一駆動源とすることで、上述した回転タイミングを異ならせる構成を低コストで実現することができる。
同一駆動源で回転タイミングを異ならせることができる構成の駆動伝達部の一例を図30に示す。図30(a)は、駆動伝達部の正面図であり、図30(b)は、駆動伝達部の図30(a)中のH−H断面の側方断面説明図である。
図30に示す駆動伝達部では、トナー容器駆動軸650に固定された容器駆動ギア601と、トナー容器駆動軸650に対して回転可能に配置されたアイドラギア653とを備える。アイドラギア653には、その回転方向に沿うように半周に渡ってギア面穴653aが形成されている。さらに、容器駆動ギア601に固定され、ギア面穴653aに係合するように設けられた駆動ピン652を備える。さらに、図30(a)に示すように、その一端がスプリング固定ピン651aによってアイドラギア653に固定され、他端が駆動ピン652に固定された遅れ回転発生スプリング651を備える。
さらに、アイドラギア653の正面側には、アイドラギア653と同心円で、ギア面穴653aの内側となるように配置され、遅れ回転発生スプリング651がその外周面に沿って伸びるように配置されたスプリングガイド円板655を備える。
また、搬送スクリュ614の回転軸に固定され、アイドラギア653とギア結合し、アイドラギア653の回転を搬送スクリュ614に伝達する搬送スクリュギア605を備えている。
図30に示す駆動伝達部では、不図示の駆動モータがトナー容器駆動軸650を図中の矢印I方向に回転させると、容器駆動ギア601も回転する。そして、容器駆動ギア601と一体に構成された駆動ピン652が、アイドラギア653に設けられたギア面穴653aに沿って回転する。
そして、駆動ピン652が図30(a)中の実線で示す位置にある状態から容器駆動ギア601が約180[°]回転すると、駆動ピン652は図30(a)中の破線で示すようにギア面穴653aの端部に突き当たる。突き当たった状態からさらに容器駆動ギア601が回転することで、アイドラギア653を回転させる状態になる。これにより、アイドラギア653を介して搬送スクリュギア605が回転し、搬送スクリュ614が回転し始める。
このように、トナー容器駆動軸650が回転し始めてから駆動ピン652がギア面穴653aを移動する時間が、トナー容器32が回転駆動を開始してから搬送スクリュ614が回転駆動し始めるまでの時間差になる。
また、このとき、遅れ回転発生スプリング651がスプリングガイド円板655の外周に沿って約半周分伸びた状態となる。
一方、駆動モータがトナー容器駆動軸650の回転駆動を停止すると、駆動ピン652の回転は停止する。このとき、駆動ピン652に一端が固定され、自然長よりも伸びた状態の遅れ回転発生スプリング651の自然長に戻ろうとする力が作用し、駆動ピン652にスプリング固定ピン651aを近づけるように、アイドラギア653が回転する。そして、ギア面穴653aに相当する分(約半周分)だけ、アイドラギア653が回転する。このため、トナー容器32の回転駆動を停止した後に、上述した遅れ回転発生スプリング651によるアイドラギア653の回転に相当する分、搬送スクリュ614を回転駆動させることができる。
このとき、各種パラメータを適宜設定することにより、狙いの駆動時間差を設けることができる。各種パラメータとしては、アイドラギア653及び搬送スクリュギア605の歯数、駆動ピン652の移動可能範囲(アイドラギアのギア面穴653aの開口範囲)、搬送スクリュ614のピッチ、ノズル開口610の幅等が挙げられる。
また、トナー容器32の回転駆動停止後、少なくとも搬送ノズル611のノズル開口610の長手方向の幅に相当する搬送量分、搬送スクリュ614を回転駆動させた後、搬送スクリュ614の回転駆動を停止すること望ましい。これにより、搬送ノズル611のノズル開口610付近に存在したトナーTをノズル開口610と対向する位置よりもトナー落下搬送経路64側に搬送することができる。この搬送により、トナー容器32の装置本体に対する着脱に伴うトナー飛散及びトナー落下をより確実に防止することができる。
また、トナー容器32の回転駆動開始後、少なくとも搬送ノズル611のノズル開口610がトナーTで満たされる程度の搬送量分、トナー容器32を回転駆動させた後に、搬送スクリュ614の回転駆動を開始することが望ましい。これにより、トナー補給量の安定性がさらに向上する。
実施の形態1〜20に共通のトナー容器32と容器セット部615との嵌め合い箇所およびその周辺構成に関して説明する。
上述したように、容器開口部33aの外周面が容器セット部615と摺動可能に接触し、トナー容器32のトナー補給装置60に対する位置決めがなされる位置を図9中のαで示している。ここで、図9中のαの位置は、摺動部と位置決め部との両方の機能を有する構成に限らず、摺動部また位置決め部の何れか一方の機能を有する構成であってもよい。
本実施形態のトナー容器32は、容器本体33の開口部に配置され、ノズル受入口331と、シャッタ支持開口335bと、を形成するノズル受入部材330を有する。ノズル受入口331は、粉体受け口であるノズル開口610を有する搬送ノズル611が挿入される部分であり、シャッタ支持開口335bは、容器本体33内の粉体であるトナーをノズル開口610へ供給する補給口である。また、トナー容器32は、ノズル受入部材330に支持され、搬送ノズル611がノズル受入部材330に対して、挿入または抜き出す動作により、回転軸方向にスライド移動してノズル受入口331を開閉する開閉部材としての容器シャッタ332を備える。このような構成により、トナー容器32は、搬送ノズル611が挿入されるまではノズル受入口331が閉じられた状態を維持し、トナー補給装置60に装着される前の状態でのトナーの漏れや飛散を防止できる。
また、ノズル受入口331に搬送ノズル611が挿入され、搬送ノズル611に押された容器シャッタ332が容器奥側にスライド移動すると、シャッタ支持開口335b近傍に溜まっていたトナーが押しのけられる。このため、シャッタ支持開口335bの周辺にノズル受入口331が形成された部分の搬送ノズル611が進入する空間を確保でき、シャッタ支持開口335bからノズル受入口331へのトナーの供給を確実に行える。
このようにトナー容器32は、トナー補給装置60に装着前の状態では、容器本体33に収納されているトナーの漏れや飛散を防止しつつ、トナー補給装置60に装着されたときには、確実に容器本体33外にトナーを排出することができる。
さらに、トナー容器32は、図1及び図7に示すように、ノズル受入口331は、先端開口305の容器先端側の端部よりも容器後端側、すなわち、筒状の先端開口305によって形成される開口の奥側に入った位置に形成されている。
ここで、回転軸方向についてのノズル受入口331の開口位置が、先端開口305の容器先端側の端部と同じ位置とした比較例としてのトナー容器32の説明図を図64に示す。図64(a)は、トナー容器32の容器先端側端部近傍の斜視説明図であり、図64(b)は、トナー容器32の容器先端側端部近傍の断面説明図である。
図64に示すトナー容器32は、これまで図1〜図21等で説明してきた実施の形態のトナー容器32と同様に、搬送ノズル611が挿入されるまではノズル受入口331が閉じられた状態を維持する。このため、トナー補給装置60に装着される前の状態でのトナーの漏れや飛散を防止できる。また、ノズル受入口331に搬送ノズル611が挿入され、搬送ノズル611に押された容器シャッタ332が容器奥側にスライド移動すると、シャッタ支持開口335b近傍に溜まっていたトナーが押しのけられる構成である。このため、トナー補給装置60に装着されたときには、確実に容器本体33外にトナーを排出することができる。
図64に示すトナー容器32は、搬送ノズル611の容器本体33内に挿入した部分に設けたノズル開口610に容器本体33内のトナーを供給する構成である。このような構成では、トナー漏れが生じ易い容器本体33のシール部である容器シール333と搬送ノズル611との接触部が、容器本体33内から搬送ノズル611内にトナーを供給するノズル開口610から離れている。このため、トナー補給装置60に完全に装着したトナー補給動作時においては、図64に示す比較例としてトナー容器32であっても、ノズル開口610から離れた容器シール333と搬送ノズル611との接触部からトナー漏れが生じることを防止できる。
しかし、搬送ノズル611を容器本体33に挿入した状態では、トナー補給動作によって搬送ノズル611の外周面は容器本体33内のトナーと接触した状態になっている。接触したトナーの一部は、トナー容器32から搬送ノズル611を抜き出すとき(トナー補給装置60から取り外すとき)も、搬送ノズル611に付着したままの状態となる。搬送ノズル611に付着したままのトナーの多くは、搬送ノズル611が容器シール333との接触部を通過するときに、容器シール333に掻き落とされる。しかし、少量のトナーが搬送ノズル611とともに容器シール333との接触部を通過し、トナー漏れとなることがある。この漏れたトナーは、トナー容器32の容器開口部33aの外周面に廻り込んだり、容器セット部615の内周面615aに付着したりする。そして、トナー容器32に交換等の理由で再度装着する際のセット不良や、凝集した付着トナーが現像されて画像不良の原因になることがある。
一方、実施の形態1から20のトナー容器32は、図1等にあるように容器本体33における容器先端側の端面は、ノズル受入部材330のノズル受入口331が開口している容器先端側の端面よりも回転軸方向で突き出している。すなわち、トナー容器32は、容器本体33の開口位置である先端開口305の容器先端側の端部よりも容器後端側にノズル受入口331の開口位置を設けている。
このように、容器本体33の開口位置に対して、奥まったところにノズル受入口331の開口位置があるため、容器開口部33aの外周面にトナーが付着することを抑制できる。これは、トナー容器32から搬送ノズル611を抜き出すときにトナー漏れが生じたとしても、ノズル受入口331から漏れて舞ったトナーが容器開口部33aの容器先端側の端部を回り込み難いためである。また、ノズル受入口331から漏れて落下したトナーは、先端開口305の下方の内周面に引っ掛かるため、容器セット部615の内周面615aにトナーが付着することを防止できる。このように、ノズル受入口331から漏れたトナーを、容器開口部33aの容器先端側の端面よりも容器後端側の内周面で囲まれた領域内に留めることができるので、トナー容器32の外にトナーが飛散することを抑制することができる。
図1及び図9に示すように、実施の形態1から20では、トナー容器32の位置決め部と回転軸受を兼ねる容器セット部615は、図64の比較例のトナー容器32を装着した場合よりも、トナー飛散発生の可能性があるノズル開口610から離れていて空間がある。また、トナー容器32の位置決め部と回転軸を兼ねるトナー容器32側の容器開口部33aの容器先端側端部は、トナー飛散発生の可能性があるノズル開口610から突き出ている。容器セット部615とノズル受入口331との間の上記空間には、ノズルシャッタ鍔部612aとノズルシャッタバネ613とが有る。そのため脱装着の途中においても容器セット部615の内周面615bや容器開口部33aの容器先端側端部へ廻り込んでのトナー付着を抑制する効果を発揮する。
トナー容器32におけるトナーの排出部であるノズル受入口331を封止する容器シャッタ332を、容器本体33の先端開口305の容器先端側端部より容器後端側(奥側)に配置している。このように配置することによって、先端開口305の容器先端側端部に対して、容器シャッタ332からある程度の距離を確保することが出来る。これにより、トナーが容器本体33の開口位置よりも奥側にあるノズル受入口331から容器本体33の開口位置を回り込んで、容器開口部33aの外周面側にトナーが到達することを抑制し、トナー飛散の発生を抑制することができる。
上述したように、容器開口部33aの外周面と、容器セット部615の円筒状の内周面615aとの嵌合によって、トナー補給装置60に対するトナー容器32の回転軸に直交する方向の位置決めがなされている。すなわち、粉体収納部材である容器本体33の容器開口部33aの外周面が粉体搬送装置であるトナー補給装置60との位置決め部である。このため、容器開口部33aの外周面側にトナー汚れが生じると、容器セット部615の内周面との嵌合状態が変化し、位置決め精度が低下するおそれがある。これに対して、本実施形態のトナー容器32は、容器開口部33aの外周面側にトナーが到達することを抑制できるため、トナー容器32のトナー補給装置60に対する位置決め精度が安定する。
さらに、容器開口部33aの外周面と、容器セット部615の内周面との接触部は、トナー容器32が回転するときに摺動する関係でもある。すなわち、粉体収納部材である容器本体33の容器開口部33aの外周面が粉体搬送装置であるトナー補給装置60との摺動部である。この摺動部にトナーが進入すると、摺動負荷が増大し、トナー容器32の回転トルクが上昇するおそれがある。これに対して、本実施形態のトナー容器32は、容器開口部33aの外周面側にトナーが到達することを抑制し、容器セット部615の内周面との接触部にトナーが進入することを抑制できる。このため、摺動負荷の増大を抑制し、摺動性が安定するため、トナー容器32の回転トルクが上昇することを抑制できる。また、摺動部にトナーが進入することを抑制できるため、摺動部でトナーが押し固められることに起因してトナーの凝集体が発生することを抑制できる。
また、上述したように、トナー容器32をトナー補給装置60に装着したときに、容器シール333がノズルシャッタ鍔部612aに押し潰される。これにより、ノズルシャッタ鍔部612aは容器シール333に密着加圧された状態となり、より確実にトナー漏れを防止することができる。容器シャッタ332を開口位置より長手方向内側(容器後端側)に配置する構成とすることによって、トナー容器32の先端から容器シャッタ332及び容器シール333の容器先端側の端面までの間に円柱状の空間部が形成される。
図1の実施の形態1〜20に共通のトナー容器を図31の概略図を用いて説明する。
図31は、容器開口部33aの容器先端側の端面305fに対するノズル受入部材330の容器先端側の端面330fの回転軸方向における位置が、同じ位置である場合と、容器後端側の位置となっている場合とを比較する説明図である。ここで、ノズル受入部材330の容器先端側の端面330fは、ノズル受入口331が開口している端面である。図31(a)は、容器開口部33aの端面305fに対するノズル受入部材330の端面330fの回転軸方向における位置が同じ位置である場合の説明図である。また、図31(b)は、容器開口部33aの端面305fに対するノズル受入部材330の端面330fの回転軸方向における位置が容器後端側の位置となっている場合の説明図である。
図31(a)、(b)に示すトナー補給装置60では、搬送ノズル611がノズル受入部材330のノズル受入口331に挿入される前の状態では、ノズルシャッタ612は、ノズルシャッタバネ613によって管挿入方向(図中右方向)に付勢される。これにより、ノズルシャッタ612は、搬送ノズル611の先端側端部近傍に位置して、ノズル開口610を閉鎖する。このとき、ノズルシャッタバネ613の一端はノズルシャッタ612の突き当て部であるノズルシャッタ鍔部612aの裏側に突き当たり、ノズルシャッタバネ613の他端はトナー補給装置60の端面615bに突き当たる。
図31(a)、(b)に示すトナー補給装置60に対して粉体収納容器であるトナー容器32を図31中矢印Q方向(容器装着方向)にスライドさせて装着していく。このように装着していくと、ノズルシャッタバネ613によってQ方向とは反対の方向に向けて付勢されたノズルシャッタ612が、ノズル受入部材330のノズル受入口331が開口している容器本体33における容器先端側の端面330fに突き当たる。その後、トナー容器32をさらにQ方向にスライドさせていくと、トナー容器32に対して挿入されていく搬送ノズル611に対してノズルシャッタ612がQ方向に移動する。これにより、ノズルシャッタ612が搬送ノズル611における根元側に移動し、ノズル開口610が開放されて行く。そして、図31(a)、(b)に示すように、トナー容器32をトナー補給装置60に装着した後は、ノズル開口610は全体が開放された状態となる。
ノズルシャッタ612が搬送ノズル611における根元側に移動することでノズルシャッタバネ613は圧縮されていく。そして、図31(a)、(b)に示すように、トナー容器32をトナー補給装置60に装着した後は、ノズルシャッタバネ613の回転軸方向の長さは最も短くなるが、このときのノズルシャッタバネ613も回転軸方向にある程度の密着長さが生じる。このため、ノズル受入部材330における端面330fからトナー補給装置60の端面615bまでの間に、退避スペース(回転軸方向の長さがW)が必要である。ここで、退避スペース(回転軸方向の長さがW)は、ノズルシャッタ612におけるノズルシャッタ鍔部612aよりも容器先端側の部分とノズルシャッタバネ613とが収まるスペースである。
また、ノズル開口610は、粉体収納部材である容器本体33内の粉体であるトナーを受け入れることが出来る位置まで到達する必要があり、最適なノズル開口610の位置は、容器本体33の形状によって決まる。このため、容器本体33の形状が同じであれば、容器本体33における容器開口部33aの容器先端側の端面305fから最適なノズル開口610の位置までの回転軸方向の距離は一定である。
このような構成において、トナー容器32が、図31(a)に示す構造であると、次のような不具合が生じる。図31(a)に示す構造は、容器開口部33aの容器先端側の端面305fの回転軸方向における位置と、ノズル受入部材330におけるノズル受入口331が開口している容器先端側の端面330fの回転軸方向における位置とが、同じ位置である。
このため、トナー補給装置60の端面615bから嵌合部615sまでの距離(L1)が、退避スペースの回転軸方向の長さ(W)よりも長くなり、トナー補給装置60の大型化につながる。
また、容器本体33の形状が同じであれば、容器本体33における容器開口部33aの容器先端側の端面305fから最適なノズル開口610の位置までの回転軸方向の距離は一定である。また、ノズル開口610の回転軸方向における位置を決める始点となる容器開口部33aの容器先端側の端面305fの位置が、トナー補給装置60の端面615bから退避スペースの回転軸方向の長さ(W)以上離れた位置となる。このため、トナー補給装置60の端面615bから搬送ノズル611の先端までの距離(L2)が長くなり、トナー補給装置60の大型化につながる。
さらに、トナー容器32の容器先端側の端部である容器開口部33aの容器先端側の端面305fの位置が、トナー補給装置60の端面615bから退避スペースの回転軸方向の長さW以上離れた位置となる。このため、トナー補給装置60の端面615bからトナー容器32の一端側端部までの距離(L3)が長くなり、トナー容器32を保持するトナー補給装置60の大型化につながる。
一方、図31(b)に示す構成は、容器開口部33aの容器先端側の端部305fよりも容器後端側(図31中の右側)に、ノズル受入部材330におけるノズル受入口331が開口している容器先端側の端面330fを設けた。このため、トナー補給装置60にトナー容器32を装着すると、回転軸方向において、容器開口部33aにおける容器先端側の端面305fよりも搬送ノズル611の先端側の位置で、ノズルシャッタ612のノズルシャッタ鍔部612aが突き当たる。これにより、退避スペースの少なくとも一部が、容器開口部33aにおける容器先端側の端面305fよりも容器後端側(搬送ノズル611の先端側)となる。よって、トナー補給装置60の端面615bから嵌合部615sまでの距離(L1)を、図31(a)に示す構成よりも(図31中のLa分)短くすることができる。また、トナー補給装置60の端面615bから搬送ノズル611の先端までの距離(L2)を、図31(a)に示す構成よりも(図31中のLa分)短くすることができる。さらに、トナー補給装置60の端面615bからトナー容器32の一端側端部までの距離(L3)を、図31(a)に示す構成よりも(図31中のLa分)短くすることができる。よって、粉体搬送装置であるトナー補給装置60の回転軸方向の大型化を抑制できる。
図31(b)に示す構成では、ノズル受入部材330におけるノズル受入口331が開口している容器先端側の端面を、容器開口部33aの容器先端側の端部(図31中の305f)よりも容器後端側(図31中の右側)に設けている。ここで、ノズル受入部材330におけるノズル受入口331が開口している容器先端側の端面とは、図31中の330fであり、実施形態における容器シール333の容器先端側の端面や、ノズルシャッタ突き当てリブ337aの容器先端側端部である。このため、トナー補給装置60にトナー容器32を装着すると、回転軸方向において、容器開口部33aにおける容器先端側端部よりも容器後端側の位置で、ノズルシャッタ612のノズルシャッタ鍔部612aが突き当たる。これにより、退避スペースの少なくとも一部が、先端開口305の開口位置(容器先端側端部)から容器シール333の容器先端側の端面までの間に形成された円柱状の空間内となる。このため、図31中の距離L1、L2及びL3を、図31(a)に示す構成よりも(図31中のLa分)短くすることができ、トナー補給装置60の回転軸方向の大型化を抑制できる。ここで、L1は、トナー補給装置60の端面615bから嵌合部615sまでの距離であり、L2は、トナー補給装置60の端面615bから搬送ノズル611の先端までの距離である。また、L3は、トナー補給装置60の端面615bからトナー容器32の容器後端側端部までの距離である。
なお、トナー補給装置60の小型化を図らない場合であれば、容器本体33を回転軸方向にLaだけ長くすることができ、トナー容器32に収納できるトナー量を多くすることができる。
搬送ノズル611のノズル開口610は、トナー補給装置60にトナー容器32が装着されていない状態では、ノズルシャッタ612が閉じる。また、トナー補給装置60にトナー容器32が装着されている状態では、ノズルシャッタ612を開き、トナーを受け入れ可能な状態にする必要がある。
トナー補給装置60では、容器開口部33aの容器先端側端部から容器シャッタ332及び容器シール333の容器先端側の端面までの間に円柱状の空間部(先端開口305)が形成される。この空間部内に、ノズルシャッタ612が開いたときのノズルシャッタ612の退避スペースの全部または一部が納まる様に退避スペースが構成される。また、この退避スペースには、ノズルシャッタ612を閉じるためのノズルシャッタバネ613の全部または一部も納まる。このような構成により、ノズルシャッタ612及びノズルシャッタバネ613の配置スペースの省スペース化ができる。
図9に示すように、本実施形態では、トナー容器32がトナー補給装置60に装着された状態において、ノズルシャッタ612の退避位置は、ノズルシャッタ鍔部612aよりもノズル先端側は容器シール333の内側に位置する。ノズルシャッタ鍔部612aよりもノズル根元側は、先端開口305の開口位置(容器先端側端部)から容器シール333の容器先端側の端面までの間に形成された円柱状の空間内に略収まる。さらに、圧縮された状態のノズルシャッタバネ613もこの円柱状の空間内に略収まっている。
このように構成することで、トナー容器32の最先端部である先端開口305の開口位置からトナー補給装置60のトナー落下部(搬送ノズル611にトナー落下搬送経路64が接続される位置)までの距離を短くすることが可能となる。これにより、装置本体の小型化を図ることができる。
図22〜図28を用いて説明したように、シャッタ内周第一リブ612bは、ノズルシャッタ612が閉じた状態で、ノズル開口610のノズル先端側の縁部、すなわち、搬送ノズル611におけるノズル先端部611aの内側壁面の上部に突き当たる。これにより、ノズルシャッタ612の抜け止め機能を有する。また、シャッタ内周第一リブ612bは、その周方向の端部である内周第一リブ先端部612gがノズル開口610の横方向の縁部であるノズル開口横縁部611sに突き当たり、ノズルシャッタ612の回転止め機能を有する。このノズルシャッタ612の回転止め機能は、トナー容器32がトナー補給装置60に装着された状態でも同様に機能する。
また、上述したように、シャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dの内径寸法は、搬送ノズル611の外径寸法よりもわずかに小さくなるように形成されている。一例としては、搬送ノズル611の外径がφ15[mm]である場合、シャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dの内径は、φ14.8[mm]〜14.9[mm]程度に設定すると良い。このようにノズルシャッタ612の内周面に搬送ノズル611の外径よりもわずかに小さな内径となる円周状のシャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dを形成する。これにより、ノズルシャッタ612の内周面と搬送ノズル611の外周面との隙間を遮蔽することができ、シール部材無しでトナーシール機能を得ることが出来るので、スポンジやゴムなどのシール部材が不要になる。ノズルシャッタ612とは別部材のシール部材を用いる必要がないため、トナー漏れを防止しつつ、低コスト化を図ることが出来る。
なお、トナー漏れを防止する構成としては、シャッタ内周第二リブ612cやシャッタ内周第三リブ612dの代わりに、円環状のシール部材を配置しても良い。しかし、ノズルシャッタ612の内周面と搬送ノズル611の外周面との隙間は、非常に狭い隙間なので円環状のシール部材は入らない。よって、円環状のシール部材を配置する場合は、円環状のノズルシャッタシール部材612hを、図65に示すように配置する。このとき、ノズルシャッタシール受部612jの外径は、ノズルシャッタバネ613の径よりも小さくし、ノズルシャッタバネ613が、ノズルシャッタバネ受け面612fに突き当たれるように設定する。
ノズルシャッタ612を搬送ノズル611に組み付けのためには、ノズルシャッタ612を一時的に変形させるため、ノズルシャッタ612には、ある程度の弾性変形が必要である。硬くて弾性変形し難い材料を用いると、組み付け時に弾性変形せずに割れてしまうからである。ノズルシャッタ612は適度な弾性を有する材質で形成し、例えば搬送ノズル611の外形形状が円筒形の場合、ノズルシャッタ612はその外径よりもわずかに大きな内径を有する円筒形とする。そして、ノズルシャッタ612の内径部分には内側に向かって突起であるシャッタ内周第一リブ612bを形成する。このシャッタ内周第一リブ612bを搬送ノズル611のノズル開口610に対向させることで、ノズルシャッタ612の抜け止め及び回り止めとして機能させることが出来る。なお、搬送ノズル611におけるノズルシャッタ612の突起が係合する部分としては、ノズル開口610に限らず、その突起による抜け止め機能や回り止め機能を得ることが出来れば、搬送ノズル611の何れの箇所であってもよい。
本発明者らの実験によると、ノズルシャッタ612の材質は、引張弾性係数が500[MPa]から2000[MPa]の樹脂材料を選定するのが良い。ノズルシャッタ612を搬送ノズル611に組み付けるときに、ノズルシャッタ612の内周面に形成された三つのリブ(612b〜612d)が搬送ノズル611をノズルシャッタ612に挿入するときの抵抗となる。この抵抗は、シャッタ内周第一リブ612bがノズル先端部611aを乗り越えて、ノズル開口610に入るときは特に大きくなる。
このとき、ノズルシャッタ612がある程度の弾性をもった材料であれば、ノズルシャッタ612が変形して容易に組み付けが可能である。さらに、シャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dが搬送ノズル611を締め付けることによる摺動負荷が大きくならない、といったメリットがある。
また、ノズルシャッタ612が変形し易すぎるとシャッタ内周第一リブ612bの抜け止め機能や回転止め機能が損なわれる。
このようなノズルシャッタ612に用いるある程度の弾性をもった材質としてはポリエチレンまたはポリプロピレンを選定することで上述したメリットを安定して得ることができた。また、ノズルシャッタ612のノズルシャッタ筒状部612eの肉厚は0.3[mm]から0.5[mm]とすることが好ましい。
ノズルシャッタ612が、上述したような材質特性及び形状を合わせ持つことで、ノズル開口610を開閉するシャッタ機構の低コスト化がはかれる。
次に、保管時のトナー容器32に関係して、実施の形態1〜4に共通のキャップ370について説明する。
図32は、保管時のトナー容器32の斜視説明図であり、図6で示したトナー容器32の先端開口305の開口を封止する封止部材としてのキャップ370を取り付けた状態である。また、図33は、キャップ370を取り付けた状態のトナー容器32の容器先端側端部近傍の断面説明図である。
また、図32に示すトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、トナー容器32は、内部に粉体状の現像剤としてのトナーを収納し、現像剤排出口となるノズル受入口331を封止する封止部材としてのキャップ370を、容器開口部33aに取り付けることができる粉体収納容器である。上述したように、容器開口部33aは容器本体33の一部であり、図1、図6及び図7等に示すように、容器本体33は、トナー容器32をトナー補給装置60に固定するときに必要な容器先端側カバー34を貫くように容器開口部33aが形成されている。これにより、容器本体33の容器開口部33aを容器先端側カバー34から露出させることができる。そして、トナーが収容される容器本体33の一部である容器開口部33aをキャップ370によって直接封止することが出来るので、封止効果が上がりトナー漏れをより確実に防止することができる。
実施の形態1〜20に共通のトナー容器32では、キャップ370にキャップ鍔部371を設けている。トナー容器32にキャップ370を取り付けた状態では、図32に示すように、キャップ鍔部371が容器先端側カバー34に設けられたIDタグ700を隠す構成となっている。これにより、トナー容器32保管時のIDタグ700に対する外部からの接触や衝撃を防止することができ、IDタグ700の保護を行うことが出来る。
また、実施形態1〜4のトナー容器32では、キャップ370のキャップ鍔部371を容器先端側カバー34や容器本体33の外径よりも大きくしている。これにより、落下時等にトナー容器32の破損を防止することができ、トナー容器32の保護を行うことができる。
さらに、容器本体33の一部である容器開口部33aをキャップ370によって直接封止しており、容器本体33とは別体の部材(例えば、容器先端側カバー34)を介して封止する構成に比して封止効果が高い。そして、容器開口部33aを直接封止する構成であれば、容器本体33を密封することも可能であり、密封することができれば、容器本体33内への空気や水分の侵入を防止出来、保管時のトナー容器32に対する梱包材の低減を図ることができる。
トナー容器32を使用する(トナー補給装置60に装着する)際は、キャップ370を外して使用する。なお、キャップ370をトナー容器32に取り付ける方式としては、ネジ方式でも引っ掛け方式でも固定出来れば何でも良い。このとき、ネジ方式のネジ山や引っ掛け方式の引っ掛け部といったトナー容器32側の固定部を容器先端側カバー34から露出させた容器開口部33aの外周面に設ける。なお、本実施形態のトナー容器32では、図33に示すように、容器開口部33aの外周面にキャップ固定ネジ山309を設け、封止部材の固定方法としてネジ方式を採用している。
先端開口305によって形成される開口を封止する構成として、キャップ370をネジ方式によって固定するものに限らず、フィルム部材を容器開口部33aの容器先端側端部に圧着することで開口を封止してもよい。
<実施の形態5>
実施の形態5として、吸着剤を備えたキャップ370について説明する。
まず、保管時に乾燥剤等の吸着剤を使用するトナー容器32について説明する。なお、吸着剤とは水分に限らず色々なもの(ガス等)を吸着するものである。よって、乾燥剤は吸着剤に含まれる。また、吸着剤としては、シリカゲル、酸化アルミニウム、ゼオライト等が挙げられるが、吸着性能があるものであればよい。
ここでキャップ370によって容器本体33を完全に密封した場合、空気や水分の浸入を防止出来るので吸着剤は不要になり、それに伴い梱包材も不要になる。この方法では、トナー容器32を包装する袋や緩衝材や個装箱などの梱包材を低減させ、包装の大きさも小型化することによって、使用材料の低減により環境負荷を低減することができる。
しかし、本発明者らは、粉体であるトナー自身からガスを発生し、凝集や固化までは至らないものの、トナーの小さな塊である凝集体を発生させることを確認した。このような凝集体は白斑点や各色の斑点等、異常画像の発生に繋がるので発生を抑える必要がある。トナー自身からガスが発生しないものであれば、図33に示すように、吸着剤を設けず密封する構成としてもよいが、トナー自身からガスが発生するトナーを収容するトナー容器32はこのガスを吸着する吸着剤を備えることが望ましい。
図34は、キャップ370に吸着剤372を設けたトナー容器32の一つ目の例の断面説明図である。図34に示すトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、図34に示すトナー容器32は、図33に示すトナー容器32に対して、キャップ370に吸着剤372を設けた構成である。図34に示すトナー容器32では、使用するときにキャップ370を取り外すことで、キャップ370と一緒に吸着剤372を外せるので操作性が高まる。
しかし、図34に示す構成では、吸着剤372がトナー容器32周りの外気に対して露出しているため、梱包材が必要となる。
<実施の形態6>
実施の形態6として、吸着剤を備えたキャップ370の二つ目の例について説明する。
図35は、キャップ370に吸着剤372を設けたトナー容器32の二つ目の例の断面説明図である。図35に示すトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、図35に示すトナー容器32は、内部に粉体状の現像剤としてのトナーを収納する。そして、現像剤排出口となるノズル受入口331を封止する封止部材としてのキャップ370を、先端開口を形成する容器開口部33aに、容器本体33内部が密閉状態となるように取り付けることができる粉体収納容器である。さらに、図35に示すトナー容器32は、先端開口を密閉するキャップ370の内側に吸着剤372を設けている。
図35に示すトナー容器32は、キャップ370に吸着剤372を設けることで、図34に示すトナー容器32と同様に、使用するときにキャップ370を取り外すことで、キャップ370と一緒に吸着剤372を外せるので操作性が高まる。
また、トナーを収容する空間(容器本体33の内部空間)がキャップ370によって完全に密封することで、トナーを収容する空間への空気や水分の浸入を防止できる。さらに、密封状態となる空間の内側に吸着剤372を設けているので、トナー自身から発生するガスも吸着出来、図34に示すトナー容器32に比して吸着性能が向上する。また、トナーを収容する空間(容器本体33の内部空間)が密封されており、この密封された空間に吸着剤372を設けているため、トナー及び吸着剤372は共にトナー容器32周りの外気の影響を受けない。このため、梱包材が不要になる。
<実施の形態7>
実施の形態7として、吸着剤を備えたキャップ370の3つ目の例について説明する。
図36は、キャップ370に吸着剤372を設けたトナー容器32の三つ目の例の断面説明図である。図36に示すトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、図36に示すトナー容器32は、内部に粉体状の現像剤としてのトナーを収納する。そして、現像剤排出口となるノズル受入口331を封止する封止部材としてのキャップ370を、先端開口を形成する容器開口部33aに、容器本体33内部が密閉状態となるように取り付けることができる粉体収納容器である。また、図36に示すトナー容器32は、先端開口を密閉するキャップ370の内側に吸着剤372を設けている。さらに、図36に示すトナー容器32は、この吸着剤372の少なくとも一部が、トナー容器32の先端の凹部内に収まるように配置している。ここで、トナー容器32の先端の凹部とは、先端開口305の開口位置から容器シール333の容器先端側端面までの間に形成された円柱状の空間である。
図36に示すトナー容器32は、キャップ370に吸着剤372を設ける。これにより、図34及び図35に示すトナー容器32と同様に、使用するときにキャップ370を取り外すことで、キャップ370と一緒に吸着剤372を外せるので操作性が高まる。
また、図35に示すトナー容器32と同様に、トナーを収容する空間(容器本体33の内部空間)がキャップ370によって完全に密封することで、トナーを収容する空間への空気や水分の浸入を防止できる。さらに、密封状態となる空間の内側に吸着剤372を設けているので、トナー自身から発生するガスも吸着出来、図34に示すトナー容器32に比して吸着性能が向上する。また、トナーを収容する空間(容器本体33の内部空間)が密封されており、この密封された空間に吸着剤372を設けているため、トナー及び吸着剤372は共にトナー容器32周りの外気の影響を受けない。このため、梱包材が不要になる。
図36に示すトナー容器32は、上述した図35に示すトナー容器32と同様の作用に加えて、吸着剤372の少なくとも一部が、トナー容器32の先端の凹部内に収まるように配置しているため、キャップ370の回転軸方向の長さを短くすることができる。これにより、保管時のトナー容器32を小型化することが出来る。
また、キャップ370によってトナー容器32を封止する構成の場合、パッキン材等を使用して、トナー容器32の容器開口部33aとキャップ370との密着度を向上させても良い。
また、キャップ370に吸着剤372を設ける構成としては、吸着剤372をキャップ370と一体(キャップ370に固定)に設けても良いし、別体(キャップ370に非固定)に設けても良い。ただし、吸着剤372をキャップ370に固定して一体で設けた方がキャップ370と吸着剤372とを一緒に取り出せるので、吸着剤372の取り出し忘れがなく、また操作性も良好となる。
ここで、トナーを収容する空間(容器本体)を封止部材によって直接封止することが出来ない、従来のトナー容器の課題について説明する。
近年、画像形成装置に用いられるトナーは、低温定着化と小粒径化が進み、耐熱性能が劣る傾向にあるため、例えば輸送中に高温環境にさらされると凝集し最悪固化し、トナー容器から画像形成装置への供給が不可能になるおそれがある。このトナーの凝集、固化は、同じ温度環境であれば湿度が高い方が著しく発生しやすいことがわかっている。ユーザーへトナー容器を供給する経路は様々で、その環境を管理することはできない。例えば陸路、空路、海路による輸送があるがそれらの温度及び湿度を管理することは困難である。
このような背景に関する対策として輸送環境を制御するコンテナを用いる方法もあるが、全輸送経路において対応することは不可能であり、また費用がかかる課題がある。このような問題に対して、実施の形態1〜7のトナー容器32は、トナーが収容される容器本体33の一部である容器開口部33aをキャップ370によって直接封止することが出来るので、封止効果が向上しトナー漏れをより確実に防止することができる。また、封止効果が向上しているため、トナー容器32の保管時に外部環境の影響を受け難い。
また、トナー容器32からキャップ370を取り外すことで、トナー補給装置60への装着が可能となるため、使用する際には使い勝手の良好な粉体収納容器を提供することができる。
さらに、キャップ370がIDタグ700やトナー容器32を保護する形状であるため、トナー容器32を包装する緩衝材や個装箱を低減でき、包装の大きさも小型化することによって、使用材料の低減により環境負荷を低減することができる。
<実施の形態8>
実施の形態8として、トナー漏れ防止手段を備えたキャップ370を有するトナー容器32の一つ目の例について説明する。
粉体収納容器であるトナー容器32をユーザーに供給した後は、ユーザーにより取り扱われる場合が多く、このときの扱われ方は特に規制出来ないため、手荒く扱われることもある。このため、トナー容器32は、手荒く扱われてもトナー漏れが発生しないように、振動や落下に対して十分な対策が必要である。
トナー漏れは、ノズル受入口331から漏れを防止する必要がある。そして、この漏れを防止するためには、ノズル受入口331を形成する容器シール333と、このノズル受入口331を遮蔽する容器シャッタ332との間に隙間が生じたときにトナーが漏れ出すことを防止する必要がある。
図37は、実施の形態8として、キャップにトナー漏れ防止手段を設けたトナー容器32の一つ目の例の断面説明図である。図37に示すトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、図37に示すトナー容器32は、容器本体33と、容器シール333と、容器シャッタ332と、キャップ370とを有する粉体収納容器において、円柱状部材373をキャップ370に対して取り付けた粉体収納部材である。ここで、容器本体33は、内部に粉体であるトナーを収納する粉体収納部材であり、容器シール333は、容器本体33の容器先端側の開口部に設けられた管受入口であるノズル受入口331を形成するものである。また、容器シャッタ332は、ノズル受入口331の開閉部材であり、キャップ370は、容器本体33における粉体排出側となる容器先端側の開口部に対する封止部材であり、円柱状部材373は、トナー漏れ防止手段である。
図37に示すトナー容器32では、円柱状部材373をキャップ370とは別材料で形成し、トナー容器32の回転軸方向の容器先端側(図37中の左側)をキャップ370に対して接着剤等で固定している。さらに、図37に示すように、キャップ370を取り付けた状態では、円柱状部材373は、トナー容器32の回転軸方向の一端側(図37中の右側)の端面が容器シャッタ332の容器先端側の端面と接触する構成となっている。円柱状部材373の一端側の端面は円形状であり、容器シャッタ332の容器先端側の端面よりも径が大きく、容器シール333の容器先端側の端面の円環状の外周よりも径が小さい。
このような構成により、トナー容器32は、キャップ370を取り付けた状態では、円柱状部材373の一端側の端面が、容器シャッタ332及び容器シール333の容器先端側の端面に同時に接触する。このとき、円柱状部材373の容器後端側の端面は、容器シャッタ332と容器シール333との境目に跨るように接触する。これにより、ノズル受入口331を直接封止することができ、振動や落下による衝撃によって、容器シール333と、容器シャッタ332との間に隙間が生じたとしても、トナーが漏れ出すことを防止することができる。このように、図37に示すトナー容器32では、トナー漏れの発生を防止することができ、振動や落下に対して有利になり、トナー容器32が運搬時等に手荒く扱われても、トナー漏れの発生を防止することができる。
また、上述したように、図37に示すトナー容器32では、円柱状部材373をキャップ370とは別材料で形成している。このため、キャップ370をポリスチレン樹脂等の安価な樹脂で作成し、円柱状部材373をゴムやスポンジ等の柔軟性が高い材質で作成することができる。円柱状部材373を柔軟性が高い材質で作成することにより、容器シャッタ332及び容器シール333の容器先端側の端面と接触したときに、これらの部材に対する密着性が向上する。よって、振動や落下による衝撃に起因するトナー漏れの防止に対して更に有利になる。
また、キャップ370を円柱状部材373とは異なる材料であるポリスチレン樹脂等の安価な樹脂で作成することで、円柱状部材373によるトナー漏れ防止機能は維持しつつ、低コスト化を図ることができる。
<実施の形態9>
実施の形態9として、トナー漏れ防止手段を備えたキャップ370を有するトナー容器32の二つ目の例について説明する。
図38は、キャップにトナー漏れ防止手段を設けたトナー容器32の二つ目の例の断面説明図である。図38に示すトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、図38に示すトナー容器32は、容器本体33と、容器シール333と、容器シャッタ332と、キャップ370とを有する粉体収納容器において、円柱状部374をキャップ370に一体的に形成した粉体収納部材である。ここで、円柱状部374は、トナー漏れ防止手段である。
図38に示すトナー容器32では、キャップ370を取り付けた状態で、キャップ370の一部として形成された円柱状部374は、容器シャッタ332と接触する。このとき、円柱状部374のトナー容器32の回転軸方向の一端側(図38中の右側)の端面が、容器シャッタ332の容器先端側(図38中の左側)の端面と接触する構成となっている。円柱状部374の一端側の端面は円形状であり、容器シャッタ332の容器先端側の端面よりも径が大きく、容器シール333の容器先端側の端面の円環状の外周よりも径が小さい。
このような構成により、トナー容器32は、キャップ370を取り付けた状態では、円柱状部374の一端側の端面が、容器シャッタ332及び容器シール333の容器先端側の端面に同時に接触する。このとき、円柱状部374の一端側の端面は、容器シャッタ332と容器シール333との境目に跨るように接触する。これにより、ノズル受入口331を直接封止することができ、振動や落下による衝撃によって、容器シール333と、容器シャッタ332との間に隙間が生じたとしても、トナーが漏れ出すことを防止することができる。このように、図38に示すトナー容器32では、トナー漏れの発生を防止することができ、振動や落下に対して有利になり、トナー容器32が運搬時等に手荒く扱われても、トナー漏れの発生を防止することができる。また、円柱状部374をキャップ370の一部として一体的に作成する(一体成形する)ことができるため、低コスト化を図ることができる。
<実施の形態10>
実施の形態10として、トナー漏れ防止手段を備えたキャップ370を有するトナー容器32の三つ目の例について説明する。
図39は、キャップにトナー漏れ防止手段を設けたトナー容器32の三つ目の例の断面説明図である。図39に示すトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、図39に示すトナー容器32は、容器本体33と、容器シール333と、容器シャッタ332と、キャップ370とを有する粉体収納容器において、円柱状部374をキャップ370に一体的に形成する。さらに、この円柱状部374におけるノズル受入口331と接触する端面に、円柱先端弾性部材375を設けた粉体収納部材である。円柱先端弾性部材375としては、ゴムやスポンジ等の柔軟性が高い材質で作成する。
図39に示すトナー容器32では、キャップ370を取り付けた状態で、円柱状部374における円柱先端弾性部材375が容器シャッタ332の容器先端側(図39中の左側)の端面と接触する構成となっている。ここで、円柱状部374は、キャップ370の一部として形成され、円柱先端弾性部材375は、円柱状部374における、トナー容器32の回転軸方向の一端側(図39中の右側)の端面に設けられている。円柱先端弾性部材375の一端側の端面は円形状であり、容器シャッタ332の容器先端側の端面よりも径が大きく、容器シール333の容器先端側の端面の円環状の外周よりも径が小さい。
このような構成により、トナー容器32は、キャップ370を取り付けた状態では、円柱先端弾性部材375の一端側の端面が、容器シャッタ332及び容器シール333の容器先端側の端面に同時に接触する。このとき、円柱先端弾性部材375の一端側の端面は、容器シャッタ332と容器シール333との境目に跨るように接触する。これにより、ノズル受入口331を直接封止することができ、振動や落下による衝撃によって、容器シール333と、容器シャッタ332との間に隙間が生じたとしても、トナーが漏れ出すことを防止することができる。このように、図39に示すトナー容器32では、トナー漏れの発生を防止することができ、振動や落下に対して有利になり、トナー容器32が運搬時等に手荒く扱われても、トナー漏れの発生を防止することができる。特に、図39に示す構成では、円柱状部374の先端に円柱先端弾性部材375を設けることで、キャップ370を取り付けている。これにより、円柱先端弾性部材375が容器シャッタ332及び容器シール333と接触したときに、これらの部材に対する密着性が図38に示したトナー容器32よりも向上する。よって、振動や落下による衝撃に起因するトナー漏れの防止に対して更に有利になる。
<実施の形態11>
実施の形態11として、トナー漏れ防止手段を備えたキャップ370を有するトナー容器32の四つ目の例について説明する。
図40は、キャップにトナー漏れ防止手段を設けたトナー容器32の四つ目の例の断面説明図である。図40に示すトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、図40に示すトナー容器32は、容器本体33と、容器シール333と、容器シャッタ332と、キャップ370とを有する粉体収納容器において、円柱状部374をキャップ370に設ける。さらに、この円柱状部374の内側に、外部に対して開放する形、すなわち、外気に対して露出した状態で、吸着剤372を設けている。
図40に示すトナー容器32は、図38に示すトナー容器32に吸着剤372を追加した構成であるため、図38に示すトナー容器32と同様に、振動や落下に対して有利になる。これにより、トナー容器32が運搬時等に手荒く扱われても、トナー漏れの発生を防止することができる。また、円柱状部374をキャップ370の一部として一体的に作成する(一体成形する)ことができるため、低コスト化を図ることができる。
さらに、図40に示すトナー容器32では、吸着剤372を備えているため、トナー容器32の内部に空気や水分が浸入することを防止することができる。また、キャップ370に形成された円柱状部374に吸着剤372を設けているため、使用するときにキャップ370を取り外すことで、キャップ370と一緒に吸着剤372を外せるので操作性が高まる。
しかし、図40に示す構成では、吸着剤372がトナー容器32周りの外気に対して露出しており、トナー容器32の周辺の水分を吸収するために吸着剤372を設けているため、収納袋等の梱包材は必要となる。
本来はキャップ370があれば十分であると考えているが、仮にキャップ370に密封性を持たせない場合(衝撃緩和等に使う場合)には図40に示すように、円柱状部374と吸着剤372とを設ける構成は有効である。
<実施の形態12>
実施の形態12として、トナー漏れ防止手段を備えたキャップ370を有するトナー容器32の五つ目の例について説明する。
図41は、キャップにトナー漏れ防止手段を設けたトナー容器32の五つ目の例の断面説明図である。図41に示すトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、図41に示すトナー容器32は、容器本体33と、容器シール333と、容器シャッタ332と、キャップ370とを有する粉体収納容器において、円柱状部374をキャップ370に設けている。また、キャップ370は、先端開口を形成する容器開口部33aに、容器本体33内部が密閉状態となるように取り付けることができる。さらに、円柱状部374の内側に、吸着剤372がキャップ370によって密閉される空間内の吸着対象物を吸着するように配置している。
また、図41に示すトナー容器32では、吸着剤にトナー自身から発生するガス等を吸着させる為、円柱状部374の側面に開口部としての吸着孔374aを設けている。そして、キャップ370によって密封状態となる空間と吸着孔374aを配置した空間とが連通した状態となる構成となっている。
図41に示すトナー容器32は、図38に示すトナー容器32の円柱状部374の容器先端側の端面を塞ぎ、そこに吸着剤372を追加した構成である。このため、図38に示すトナー容器32と同様に、振動や落下に対して有利になり、トナー容器32が運搬時等に手荒く扱われても、トナー漏れの発生を防止することができる。
また、図41に示すトナー容器32では、吸着剤372を備えているため、トナー容器32の内部に空気や水分が浸入することを防止することができる。また、キャップ370に形成された円柱状部374に吸着剤372を設けているため、使用するときにキャップ370を取り外すことで、キャップ370と一緒に吸着剤372を外せるので操作性が高まる。
図41に示すトナー容器32は、トナーを収容する空間(容器本体33の内部空間)がキャップ370によって完全に密封することで、トナーを収容する空間への空気や水分の浸入を防止できる。さらに、キャップ370によって密封状態となる空間と吸着孔374aを配置した空間とが連通した状態となっているため、トナー自身から発生するガスも吸着出来、図40に示す構成に比して吸着性能が向上する。また、トナーを収容する空間(容器本体33の内部空間)が密封されており、この密封された空間に吸着剤372を設けているため、トナー及び吸着剤372は共にトナー容器32周りの外気の影響を受けない。このため、梱包材が不要になる。
上述した図40及び図41に示すトナー容器32では、キャップ370に対して一体的に形成された円柱状部374に吸着剤372を設ける構成について説明した。しかし、吸着剤372を設けるトナー漏れ防止手段としては図37に示すように、キャップ370に対して別部材で設けられた円柱状部材373であってもよい。
また、図37〜図41に示すトナー容器32では、封止部材であるキャップ370の固定方法としてネジ方式を採用している。しかし、キャップ370をトナー容器32に取り付ける方式としては、図33等で説明した構成と同様に、ネジ方式でも引っ掛け方式でも固定出来れば何でも良い。
図37〜図41に示すトナー容器32(実施の形態8〜12)では、円柱状部材373、円柱状部374または円柱先端弾性部材375によって、容器シャッタ332及び容器シール333を押さえている。このため、振動や落下の衝撃に対して有利になり、運搬時に手荒く扱われてもトナー漏れの発生を防止できる。
また、円柱状部材373、円柱状部374または円柱先端弾性部材375によって、容器シャッタ332及び容器シール333を押さえているので、トナー容器32が振動、落下した際でも容器シャッタ332の動きが規制される。また、容器シール333に対しては、ある程度圧縮して当接しており、隙間が生じないため、トナー漏れが発生しない。
なお、図36〜図41(実施の形態7〜12)に示すトナー容器32は、いずれも容器開口部33aの端部と容器シャッタ332との間の空間を利用した発明である。係る空間は本来、トナー補給装置60に装着した際には、ノズルシャッタ612やノズルシャッタバネ613を密着して収納し、トナー飛散の抑制と省サイズ化を図る発明を意図の空間である。図36〜図41の発明は、さらにトナー容器32が単品で保管される際のキャップ370との係合状態においてもその空間を利用していることに妙味がある。
<実施の形態13>
容器本体33に対するノズル受入部材330のネジ止めによる固定について説明する。
図11等を用いて説明した実施の形態1〜12のトナー容器32は、トナー充填工場等において、容器本体33に対して容器開口部33aの開口からトナーを充填後、ノズル受入部材330を容器本体33の容器開口部33aに圧入する構成になっている。
よって、この圧入を解除して、容器本体33からノズル受入部材330を取り外し、容器本体33にトナーを再充填することで、各部材の再使用できる。また、容器本体33からノズル受入部材330を取り外すことで、分解選別が容易となり、マテリアルリサイクルが可能となる。
次に、ネジ止めによって容器本体33に対してノズル受入部材330を固定する構成例について説明する。
図42は、ネジ止めによって容器本体33に固定されるノズル受入部材330に用いる容器シャッタ支持部材340の斜視説明図である。図42に示す容器シャッタ支持部材340は、受入部材固定部337の外周面にネジ山337cが形成されている。また、図示は省略するが図42に示す容器シャッタ支持部材340を用いるトナー容器32の容器本体33の容器開口部33aの内周面には、ネジ山337cとのネジ止めに用いられるネジ溝が形成されている。
図42に示す容器シャッタ支持部材340を用いるノズル受入部材330では、容器シール333とともに容器シャッタ332が容器シャッタ支持部材340に保持された状態で、容器本体33にネジ止めされる。なお、図42に示す容器シャッタ支持部材340を備えるトナー容器32は、容器本体33にノズル受入部材330を固定する構成がネジ止めである以外は、図11等を用いて説明したトナー容器32と同様の構成である。
上述した図11等を用いて説明したトナー容器32は、トナーを充填する容器開口部33aの開口を、圧入されたノズル受入部材330で塞がれてしまっている。このため、使用後の容器本体33からノズル受入部材330を取り外しが困難となり、リサイクルが困難となる場合がある。ここでのリサイクルとは、トナーを再充填してトナー容器32として再度使用するリフィルと、トナー容器32を分解して材料選別して行うマテリアルリサイクルとを含んでいる。
このような問題に対して、図42に示す容器シャッタ支持部材340を用いるトナー容器32では、トナー容器32を固定した状態でノズル受入部材330を図42中の矢印A方向に回転する。または、ノズル受入部材330を固定した状態でトナー容器32を図42中の矢印Aとは逆方向に回転する。このように回転することで、容器本体33に対するノズル受入部材330のネジ止めが解除され、使用後の容器本体33からノズル受入部材330を取り外しが容易となる。このため、トナー充填口である容器開口部33aの開口を塞いでいるノズル受入部材330を容器本体から容易に取り外すことができる。よって、図42に示す容器シャッタ支持部材340を用いるトナー容器32であれば、使用後にトナーを再充填してトナー容器32として再度使用するリフィルを容易に行うことができる。
また、ノズル受入部材330は、容器シャッタ支持部材340及び容器シャッタ332、容器シール333及び、容器シャッタバネ336等から構成されている。容器シャッタ支持部材340及び容器シャッタ332は、ABS、PS、POM等の樹脂部材で構成されている。また、容器シール333は、スポンジ等からなり、容器シャッタバネ336は、SW−C(硬鋼線)、SWP−A(ピアノ線)、SUS304(バネ用ステンレス線)等からなる。このように、ノズル受入部材330は、異種材料で構成されている。このため、PET(ポリエチレンテレフタレート)等からなる容器本体33からノズル受入部材330を容易に取り外せることにより、トナー容器32を分解して材料選別して行うマテリアルリサイクルを、容易に行うことができる。
また、本実施形態は、次のような発明を含んでいる。すなわち、本実施形態のトナー容器32では、図6等に示すように、容器先端から見て右側となる容器本体33の側面における螺旋状突起302が上方ほど容器先端側となるように傾斜する巻き方向となっている。このため、容器先端から見て右側となる容器本体33の側面が上方から下方に移動するように容器本体33が回転する(図中矢印A方向に回転する)ことにより、容器本体33内のトナーを容器先端側へと搬送することができる。
ノズル受入部材330は、容器本体33と共に図中のA方向に回転するが、容器シール333が搬送ノズル611と摺動するため、搬送ノズル611からは回転を止める方向の摩擦力が作用する。ここで、ネジ山337cの巻き方向が図42とは異なる場合について述べる。このような場合では、ネジ山337cの巻き方向が螺旋状突起302と同方向、すなわち、容器先端から見て右側となる受入部材固定部337の側面におけるネジ山337cが上方ほど容器先端側となるように傾斜する巻き方向(右ネジの方向)となる。このように、ネジ山337cの巻き方向が図42とは異なる場合では、容器本体33が図中矢印Aに回転したときに、容器本体33の回転方向は受入部材固定部337とのネジ止めを緩める方向となる。
これに対して、図42に示す容器シャッタ支持部材340を用いるトナー容器32では、ネジ山337cの巻き方向を螺旋状突起302の巻き方向とは逆方向に設定している。すなわち、本実施形態のトナー容器32においては、図42に示すように、ノズル受入部材330が左ネジとなるようにネジ山337cが形成されている。これにより、容器本体33の矢印A方向の回転が、容器本体33に対するノズル受入部材330のネジ止めが緩むように作用することを防止できる。
次に、容器本体33内の構成である汲み上げ壁面304fとシャッタ側面支持部335との位置関係について説明する。
まず、課題から述べる。トナー容器32をトナー補給装置60に装着した直後など、容器本体33内にトナーが十分にある状態では、搬送ノズル611のノズル開口610には、オーバーフローするぐらいのトナーが供給され続ける。このため、シャッタ側面支持部335aがノズル開口610の上方を横切るように回転させてオーバーフローするトナーを崩し、かつ搬送スクリュ614の回転量を間欠回転で制御することにより現像装置50に対して、狙いのトナー量を補給することが出来る。
一方、経時使用により、容器本体33内のトナーが少なくなってくると、汲み上げ部304からノズル開口610に向かうトナー量に対して、汲み上げ壁面304fの回転中心側の端部と搬送ノズル611との隙間からすり抜けるトナー量の割合が多くなる。これにより、現像装置50へ補給できるトナー量が少なくなる。現像装置50へ補給できるトナー量が少なくなると、現像装置50内の現像剤Gのトナー濃度が不安定になるため、トナー容器32を交換する必要が生じる。この状態では、容器本体33内には多くのトナーが残っているため、結果的に、交換時のトナー容器32のトナー残量が多くなる問題が発生してしまう。
図43は、ノズル受入部材330を固定した容器本体33について、回転軸方向の位置が汲み上げ部304の位置となる回転軸に直交する断面の断面説明図である。
本実施形態は、次のような発明を含んでいる。すなわち、図43に示すように、トナー容器32では、容器本体33にノズル受入部材330を固定した状態では、シャッタ側面支持部335aの外周面が、凸部304hよりも上流側の容器本体33の内壁面と対向するように設定する。詳しくは、容器本体33の内側に向けて隆起した隆起部の稜線に相当する凸部304hで分けられた内壁面のうち、容器本体33の回転方向上流側の内壁面と、シャッタ側面支持部335aの外周面と、が対向するように設定する。このように設定することより、次のような利点がある。すなわち、回転軸に直交する面で見たとき、容器本体33の凸部304hで分けられた内壁面のうち、回転方向下流側の内壁面である汲み上げ壁面304fが、容器本体33の回転に伴って、シャッタ支持開口335bの相対的上方に位置することができる。ノズル開口610は常に上方に向けて開口している。このため、トナー容器32の回転によって汲み上げ部304が上方に位置するタイミングで、シャッタ支持開口335bも上方に位置し、汲み上げ部304によって汲み上げられたトナーがシャッタ支持開口335bを通過して、ノズル開口610へと供給される。
さらに、図43に示すように、容器本体33の回転中心側に突出した凸部304hに近接する位置に、シャッタ側面支持部335aの回転方向下流側の端面である回転方向下流側端面335cが位置するように配置する。これにより、汲み上げ壁面304fに沿って下方に流れてきたトナーはこの回転方向下流側端面335c上に落下して弾かれ、ノズル開口610へと供給される。言いかえれば、この回転方向下流側端面335cは、汲み上げ壁面304fから受け取ったトナーをノズル開口610に橋渡しする機能を有する。
実施の形態1から20に共通のシャッタ側面支持部335aの橋渡し機能について説明する。
図9は、実施の形態1から20に共通する容器本体33の汲み上げ部304とノズル受入口331の関係を表す断面図である。図44は、図9中の搬送ノズル611の先端側であって搬送スクリュ614の軸受の端面の箇所で切断したE−E断面における容器本体33の断面説明図である。
また、図45は、E−E断面における断面図を機能的に表した模式図である。図45(a)は機能的に比較例の模式図であり、シャッタ側面支持部335aが橋渡し手段として作用しない構成の説明図である。図45(b)は図44を機能的に表した模式図であり、シャッタ側面支持部335aが橋渡し手段として作用する構成の説明図である。
まず課題について述べる。特許文献6のように、搬送管内のトナーの搬送量を制御することが出来る構成の場合、搬送管の開口部近傍に十分なトナーが存在している状態であれば、安定したトナー搬送を行うことが出来る。しかし、トナー容器内のトナーの量が少なくなったときに、搬送するトナー量が減少し、安定したトナー搬送を行えなくなることがあった。これは、トナーをトナー容器の内部に設けられた螺旋状突起によって入り口付近まで移動させることはできても、搬送管に設けられた開口部に到達する前にトナーがすべり落ちてしまい、搬送管に入るトナーの量が減少するためである。搬送するトナー量が減少し、安定したトナー搬送を行えなくなると、現像装置内の現像剤のトナー濃度が不安定になるため、トナー容器を交換する必要が生じる。この状態では、容器本体内には多くのトナーが残っているため、結果的に、交換時のトナー容器のトナー残量が多くなる問題が発生してしまう。
図9において、搬送ノズル(搬送管)611は、容器本体33内のノズル受入部材(管挿入部材)330に挿入されている。ノズル受入部材330に挿入された搬送ノズル611のノズル開口(粉体受入口)610は開口しており、トナー補給装置へのトナーの搬送が可能な状態になっている。
汲み上げ部304はトナー容器32の長手方向でノズル開口610と一部が重なり、一部がノズル開口610よりも容器後端側の容器本体33の内壁面が相当する。詳細に述べると、汲み上げ部304は、容器本体33の内壁が回転軸方向に隆起し、その隆起部の稜線に相当する凸部304hと、稜線で分けられた内壁面のうち容器回転方向下流側の壁面である汲み上げ壁面304fとからなる(図44参照)。
図44にあるように凸部304hの稜線は、容器本体33がブロー成型で形成されることに影響され、なだらかな山状になっている。図9等では汲み上げ部304fを区別する必要上、便宜的に曲線で凸部304hを表している。汲み上げ壁面304fは、図9にあるように格子で表された領域であり、図44にあるように、容器本体33の回転軸を点対象の基準として凸部304hと容器本体33の内周面とをつなぐ一対の斜面から成る。なお、E−E断面の箇所では、稜線で分けられた内壁面のうち容器回転方向上流側の壁面は、E−E断面の切断方向と壁面の延在方向が概ね一致しているため、図44のような肉厚の状態で表れている。凸部304hもその一見肉厚に見える箇所にある。
図44において、管状の搬送ノズル611は、上方を開放しているノズル開口610がある。搬送ノズル611と凸部304hの間には、容器本体33に固定された一対のシャッタ側面支持部335aがあり、容器本体33の回転に伴って、汲み上げ壁面304fと一体で回転する。E−E断面の箇所(搬送ノズル611の先端側であって搬送スクリュ614の軸受の端面の箇所)では、凸部304hとシャッタ側面支持部335aとは対向する位置に有る。そして、容器回転方向下流側から見て汲み上げ壁面304f、シャッタ側面支持部335aの回転方向下流側端面335c、ノズル開口610の回転方向上流側の横縁部611sがある。
図43を用いて先に説明した汲み上げ作用と同様に、図44の容器本体33の汲み上げ壁面304fによって形成された汲み上げ部304によっても、搬送管である搬送ノズル611の開口部であるノズル開口610に向かってトナーが矢印T1のように移動する。このとき、上記シャッタ側面支持部335aの外周面及び回転方向下流側端面335cは、汲み上げ部304からノズル開口610へのトナーの橋渡しをするトナー橋渡し部として機能する。
図44に示すように、シャッタ側面支持部335aの内径は、搬送ノズル611の外径よりも大きくなっている。これにより、容器シール333と接触する領域を通過した搬送ノズル611がシャッタ側面支持部335aの内周面と接触することを防止し、搬送ノズル611を容器本体に挿入するときに、負荷がかかりにくくしている。ノズル受入部材330には搬送ノズル611の外径よりも内径が小さい容器シール333を形成しているので、容器本体33内のトナーが搬送ノズル611の外周面に沿って容器本体33の外部に漏れ出すことを防止している。これにより、容器本体33から搬送ノズル611を通って現像装置50に向かうというトナーの搬送経路以外にトナーが流出することを防いでいる。
図45(a)及び(b)の模式図を用いて橋渡し機能の詳細を説明する。
図45(a)は、シャッタ側面支持部335aが橋渡し機能を発揮しない配置構成になっている場合の容器本体33内部のトナーの流れを示している。容器本体33の図中矢印A方向の回転によって、汲み上げ壁面304fで容器本体の周方向に沿って汲み上げられたトナーは、重力によってノズル開口610の方向に流れていく(図中矢印T1)。しかし、搬送ノズル611と凸部304h(汲み上げ壁面304fの回転中心側に突出した凸部)との間にある隙間から流れてしまうトナーが一部生じてしまう(図中矢印T2)。
より詳細に述べると、図45(a)のような状態は、汲み上げ壁面304fが十分上方に来ておらず凸部304hが時計の9時の位置あたりにある瞬間の状態である。この瞬間では、容器本体33の回転方向下流から見て、順に上流側のノズル開口横縁部611s、汲み上げ壁面304fの凸部304h、シャッタ側面支持部335aの下流側端面となる。このような状態では、中間のシャッタ側面支持部335aの端面は、トナーを受け渡そうとする汲み上げ壁面304fの凸部304hより常に遅れた状態になっており、トナーの橋渡し機能を発揮することができない。このため、遅れによって生じた搬送ノズル611、凸部304h、及びシャッタ側面支持部335aの隙間からのトナー漏れが一部生じる。これにより、補給速度が安定しなくなったり、トナー容器32の交換時に容器本体33に残るトナーの量が増えてしまったりなどの不具合が生じる。
図45(b)は、橋渡し手段として機能するシャッタ側面支持部335aを備える容器本体33内部のトナーの流れを示している。
容器本体33の図中矢印A方向の回転によって、汲み上げ壁面304fで容器本体の周方向に沿って汲み上げられたトナーは、重力によってノズル開口610の方向に流れていく(図中矢印T1)ところまでは図45(a)で示す構成と同じである。しかし、図45(b)に示す構成では、搬送ノズル611と凸部304h(汲み上げ壁面304fの回転中心側に突出した凸部)との間にある隙間を塞ぐようにシャッタ側面支持部335aが配置されている。そうなるように容器本体33の回転方向下流側からみて、シャッタ側面支持部335aの回転方向下流側端面335c、汲み上げ部304の凸部304hの順に配置されている。
このような配置により、図45(a)中の矢印T2で示すようなトナーの流れを抑制し、汲み上げられたトナーはノズル開口610に効率良く入る。このため、容器本体33内のトナーの量が少なくなったときでも補給速度が安定し、さらに、トナー容器32の交換時に容器本体33に残ってしまうトナー量を減らすことができる。また、交換時に容器本体33に残ってしまうトナー量を減らすことができるため、ランニングコストを削減させて経済性を向上させるとともに、廃棄する残留トナーを低減させて環境への影響を低減させることができる。
なお、上記の搬送ノズル611と凸部304hとの隙間を塞ぐ程度は、シャッタ側面支持部335aと凸部304hとを密着させるに越したことはない。しかしT2のようなトナーの流れ落ちを阻害できるのであれば、図45(b)の下側の凸部304hにあるようにシャッタ側面支持部335aと凸部304h少しの隙間(0.3[mm]〜1[mm]程度)があってもよい。少々の隙間であれば補給開始時の大量にトナーが存在ずる際の動作で隙間にトナーが詰まり、シールの役目を果たすからである。また、汲み上げ壁面304fは寸法精度が射出成型ほどには出せないブロー成形で形成されるので、完全に密着させることは困難であり、量産性の観点からは少し隙間を開けて構成するのが好ましい。
図46は、実施例(図44、図45(b)に示す構成)と比較例(図45(a)に示す構成)との容器内のトナー残量と補給速度(単位時間当たりのトナー補給量)との関係を示すグラフである。
図46より、実施例では、容器内のトナー残量が少なくなっても補給速度が安定しているが、比較例では、容器内のトナー残量が少なくなると補給速度が低下していることがわかる。これは、橋渡し部材がない比較例では、容器本体33の一部である汲み上げ壁面304fの回転中心側の端部と、搬送ノズル611との間に出来た隙間をトナーが通過する(滑って逃げてしまう)。このため、トナー残量が少なくなると十分な量のトナーがノズル開口610に到達できず、ノズル開口610への供給量が維持できず、補給速度が低下しているものと考えられる。
図9、図44、および図45(b)に示す例のトナー容器32では、次のような発明を含んでいる。すなわち容器本体の二箇所に汲み上げ壁面304fを設け、汲み上げ壁面304fに対応する位置の二箇所に橋渡し部材(シャッタ側面支持部335a)を設けている。容器本体33の汲み上げ壁面304fを三箇所に設ける場合には橋渡し部材も三箇所設けるというように、汲み上げ部304と橋渡し部材とは同じ数だけ設けるのが効果的である。同様に、容器本体33の汲み上げ部を四箇所以上設ける場合も、橋渡し部材は汲み上げ部304と同数設けることが効果的である。
無論、シャッタ側面支持部335aは複数あるが、それらより少ない限定した箇所を橋渡し部材として汲み上げ壁面304fに対応させることも可能である。たとえば、二箇所のシャッタ側面支持部335aのうちの一つのみを橋渡し部材とし、それに対応させて汲み上げ壁面304fを一か所だけ容器本体33に形成するなどが想定できる。
また、部品コストは図1のトナー容器32より上昇するが、容器本体33を樹脂製の円筒部材(他の実施例の容器本体と区別するため便宜的に容器本体1033とする)とし、内部の搬送部材の一部に汲み上げ機能を持たせる構成を考えてみる。
図47(a)は、ノズル受入部材330に汲み上げ壁面304fに相当する汲み上げリブ304gを一体にしたものの斜視図である(以下、ノズル受入部材1330とする)。図47(b)は、容器本体1033の内部に図47(a)のノズル受入部材1330を配置し、搬送ノズル611との関係を表した断面図である。図47(c)は、図47(a)に示したノズル受入部材1330を搭載したトナー容器1032全体の側方断面説明図であり、図47(d)は、トナー容器1032の一部である容器シャッタ1332の斜視図である。
図47に示すノズル受入部材1330は、上述のように汲み上げリブ304gを備え、樹脂製フィルムなどの可撓性のある材料で構成された搬送羽根1302が固定される搬送羽根保持部1330bと一体で構成されている。
また、図47に示すノズル受入部材1330は、容器シール1333と、ノズル受入口1331と、容器シャッタ1332と、容器シャッタバネ1336とを有する。容器シール1333は、複写機500本体に対しトナー容器1032を装着した時に、搬送ノズル611に保持されるノズルシャッタ612のノズルシャッタ鍔部612aと対向し当接する当接面を備えるシール部材である。ノズル受入口1331は、搬送ノズル611が挿入される開口部であり、容器シャッタ1332は、ノズル受入口1331を開閉するシャッタ部材である。容器シャッタバネ1336は、容器シャッタ1332をノズル受入口1331を閉じる位置に向け付勢する付勢部材である。
さらに、図47に示す構成では、ノズル受入部材1330が、複写機500本体側の容器セット部内周面615aと摺動可能に嵌合されるノズル受入部材外周面1330aを備える。また、容器シャッタ1332は、図47(d)に示すように、搬送ノズル611と当接する当接部1332aと、シャッタ支持部1332bとを備える。シャッタ支持部1332bは、当接部1332aから容器本体1033の長手方向に向けて延在し、容器シャッタ1332が容器シャッタバネ1336の付勢によってノズル受入部材1330から脱落しないようにする引掛け部1332cを有する。トナー容器1032は、ノズル受入部材1330に対して、別体で構成した容器ギア1301を駆動伝達可能に固定している。
このようにして、汲み上げ内壁面、橋渡し部、シャッタ支持開口1335bまでのトナーをノズル開口610に流し込む構成を一体にすることができる。
次に、汲み上げリブ304gを備えたトナー容器1032の詳細を説明する。
図47(c)に示すように、トナー容器1032は、容器先端側カバー1034、容器本体1033、底蓋1035、ノズル受入部材1330等によって構成されている。容器先端側カバー1034は、トナー容器1032の複写機500本体に対する装着方向の先端側に設けらており、容器本体1033は、略円筒状の形状となっている。底蓋1035は、トナー容器1032の装着方向の後端側に設けられており、ノズル受入部材1330は、上述した略円筒状である容器本体1033に回転可能に保持されている。
容器先端側カバー1034にはノズル受入部材1330に固定された容器ギア1301を露出するための不図示のギア露出開口1034a(ギア露出開口34aと同様の開口部)が設けられている。略円筒状である容器本体1033は、ノズル受入部材1330を回転可能に保持し、容器先端側カバー1034及び底蓋1035とは、固定(熱溶着、接着剤など既知の方法で)されている。底蓋1035は、上述した搬送羽根保持部1330bの一端を支持する後端側軸受1035aを有し、ユーザーが複写機500本体に対してトナー容器1032を着脱する際に把持するための把手部1303を有する。
次に、容器本体1033に、容器先端側カバー1034、底蓋1035、ノズル受入部材1330を組み付ける組み付け方法について説明する。
まず容器本体1033に対して容器後端側からノズル受入部材1330を進入させ、容器本体1033の先端側にある先端側軸受1036に対し、ノズル受入部材1330を回転可能に支持させるよう位置合わせをする。次に底蓋1035に設けた後端側軸受1035aがノズル受入部材1330の搬送羽根保持部1330bの一端を回転可能に支持するように位置合わせをし、容器本体1033に対して底蓋1035を固定する。その後、ノズル受入部材1330に対し、容器先端側から容器ギア1301を固定する。容器ギア1301を固定した後、容器先端側から容器ギア1301を覆う様に容器先端側カバー1034を容器本体1033に対して固定する。
なお、容器本体1033と容器先端側カバー1034との固定、容器本体1033と底蓋1035との固定、ノズル受入部材1330と容器ギア1301との固定、に関しては適宜既知の方法(例えば、熱溶着、接着剤など)を用いることができる。
次に、トナー容器1032からノズル開口610へトナーを搬送する構成の説明を述べる。
汲み上げリブ304gは、シャッタ側面支持部1335aの回転方向下流側端部1335cからそのリブ面が繋がるようにして容器本体1033の内周面近傍まで突出させる。リブ面の途中は一箇所折れて曲面に近くしているが、トナーとの相性次第で必ずしもこの構成でなくともよく、折れのない単純な平面リブでもよい。このような構成により容器本体1033には隆起部分を形成する必要はなくなる。さらに、シャッタ支持開口1335bから一体で汲み上げリブ304gを起立させているので、シャッタ側面支持部335aと凸部304hとを密着させたのと同様に橋渡しの作用効果を発揮させることができる。すなわち、トナー容器1032の画像形成装置本体装着時にノズル受入部材1330が回転すると、搬送羽根が回転し、トナー容器1032が内部に収容しているトナーが、後端側からノズル受入部材1330が設けられている先端側に向け搬送される。そして、搬送羽根1302で搬送されてきたトナーを汲み上げリブ304gが受け取り、これを回転によって下方から上方に汲み上げ、リブ面を滑り台にしてノズル開口610までトナーを流し込むことが可能になる。
次に、トナー容器32において、容器本体33に対してノズル受入部材330を固定する構成について、実施の形態14〜19として説明する。なお、図48、図49、図51(b)、図52(b)に現れている容器ギア301は、ギア歯の図示を省略し、ローラ状の形態で表している。
<実施の形態14>
図48〜図50は、実施の形態14に係るトナー容器32の説明図である。図48は、実施の形態14のトナー容器32の容器本体33からノズル受入部材330を取り外した状態の斜視説明図であり、図49は、実施の形態14のトナー容器32の先端側端部と容器セット部615との斜視説明図である。また、図50は、実施の形態14のトナー容器32の断面図であり、図50(a)は、トナー容器32の先端側端部近傍の断面図、図50(b)は、図50(a)中の領域ηの拡大説明図である。図48〜図50では、容器先端側カバー34の記載は省略しており、図48及び図49では、容器シャッタ332の記載を省略している。また、図50では、ノズルシャッタ612の記載を省略している。
実施の形態14のトナー容器32の容器本体33は、先の実施の形態の説明の中でも述べたようにブロー成形法によって成形されているが、このブロー成形は一般の樹脂成形で用いられるインジェクション成形よりも精度が悪くなる傾向がある。このため、ブロー成形で形成された容器本体33の一部である容器開口部33aの円筒状の断面の真円度が悪くなる場合がある。
上述したように、容器セット部615の内周面615aに、容器開口部33a(先端開口305のラジアル方向の容器外周面)が摺動可能な状態で嵌合される。これにより、回転軸に直交する平面方向におけるトナー容器32のトナー補給装置60に対する位置決めがなされる。このとき、位置決めに寄与する容器開口部33aの外周面の真円度が悪いと、トナー容器を回転させたときに、トナー補給装置60に対するトナー容器32の位置が変動してしまう不具合が生じるおそれがある。
一方、ノズル受入部材330は、インジェクション成形による一般的な樹脂成形品なので、容器本体33よりも高精度に成形でき、ノズル受入部材330の一部である受入部材固定部337は、真円度の良い円筒状に成形することができる。
実施の形態14では、容器開口部33aの内径よりもノズル受入部材330における受入部材固定部337の外径の方が大きい構成となっている。このような構成により、容器本体33に対してノズル受入部材330を取り付けたときに、容器開口部33aの外周面が受入部材固定部337に倣うように矯正されて真円度が良くなる。
容器開口部33aの外周面の真円度が良くなることで、トナー補給装置60に対するトナー容器32の位置決め精度が向上する。
また、容器開口部33aの外周面の真円度が悪い場合は、その形状のバラツキを考慮して、容器セット部615の内周面615aの寸法を大きめに設定する必要がある。しかし、この内周面615aの寸法を大きめに設定すると、容器セット部615の内周面615aに対する容器開口部33aの外周面の回転軸に直交する平面方向における変位の自由度が高くなり、ガタが大きくなる。一方、実施の形態14では、容器開口部33aの外周面の真円度が良くなり、容器セット部615の内周面615aの寸法を大きめに設定する必要がなくなるため、ガタが小さくなる。このようにガタが小さくなることで、トナー補給装置60に対するトナー容器32の位置決め精度が向上する。
図48(a)及び図50に示すように、ノズル受入部材330には、受入部材係合突部3301が受入部材固定部337の外周面に二つ設けられている。二つの受入部材係合突部3301は外周面の周方向について180[°]ずれた位置、すなわち、受入部材固定部337の周面において互いに反対側となる位置に配置されている。その形状は円筒である受入部材固定部337のラジアル方向から見て周方向に延在する長方形である。図48(b)にあるように受入部材固定部337の軸方向から見て台形をしている。その突出量(高さ)は、受入部材固定部337の周面より0.5[mm]程度である。台形の斜面は容器本体33の回転方向から見て回転方向下流にある。斜面と反対側の面はラジアル方向に立っており、容器本体33の回転方向上流側にある。
一方、容器本体33には、容器開口部33aに先端開口係合穴3051が二つ設けられている。二つの先端開口係合穴3051は容器開口部33aの内周面の周方向について180[°]ずれた位置、すなわち、容器開口部33aの内周面において対向する位置に、内周面側と外周面側とを連通するように設けられている。先端開口係合穴3051は受入部材固定部337のラジアル方向から見て周方向に延在する長穴である。
このような構成により、容器本体33に対してノズル受入部材330を取り付けたときに、二つの受入部材係合突部3301が二つの先端開口係合穴3051にそれぞれ係合する。この係合によって、容器本体33に対するノズル受入部材330の抜け止めと周り止めとを実現できる。
この周り止めは、上述した汲み上げ内周面304f、及びその凸部304hと橋渡し部材であるところのシャッタ側面支持部335aとを、トナーの橋渡し作用を発揮する相対位置関係に維持するのに効果を発揮する。受入部材係合突部3301を軸方向から形状を台形にした理由は以下による。
次に、図48(b)に基づき詳しく説明する。斜面側に向けて受入部材固定部337を回転させると楽にノズル受入部材330を容器本体33から取り外すことができ、容器本体33内のトナーを抜いたり、再充填したりを簡単に行える。一方、トナー補給装置に装着され、容器本体33が駆動されるときには、斜面と反対側のラジアル方向に立つ面が容器本体33の回転方向上流側にあるため、容器ギア301から伝達された回転力を先端開口係合穴3051との当接部を介して受ける。すなわち、受入部材係合突部3301の斜面と反対側の立面が先端開口係合穴3051に常に食い込むように回転するので、補給動作中にノズル受入部材330が容器本体33に対して回転し、位置ズレを起すことがない。仮に台形の斜面側が回転方向従柳側にあると、上記回転力を斜面が受け、位置ズレを起こすおそれがある。
また、ノズル受入部材330の受入部材固定部337の外径が小さくなる箇所の段差部には、円環状の受入部材外周シール3302を備える。この段差部は、容器開口部33aの内周が小さくなる箇所の段差部と対向し、容器本体33に対してノズル受入部材330を取り付けたときに、受入部材外周シール3302が二つの段差部に挟まれる状態となる。これにより、受入部材固定部337の外周面と容器開口部33aの内周面との隙間から容器本体33内部のトナーが漏れ出ることを防いでいる。
また、受入部材外周シール3302は、二つの段差部によって圧縮されている。このため、容器本体33に対してノズル受入部材330を取り付けた状態では、圧縮された受入部材外周シール3302の復元力が容器本体33に対してノズル受入部材330を押し戻すように作用する。この復元力を受入部材係合突部3301の立面と先端開口係合穴3051の内面との当接(係合)によって受けている。
上述したように、実施の形態14では、容器開口部33aが受入部材固定部337に倣うように矯正されて真円度が良くなる。
容器開口部33aを備える容器本体33の材質はPET(ポリエチレンテレフタレート)材であり、円筒状の容器開口部33aの肉厚W1は1.1[mm]である。一方、受入部材固定部337を備えるノズル受入部材330の材質はPS(ポリスチレン)材であり、円筒状の受入部材固定部337の肉厚W2は2[mm]である。このとき、圧入代(受入部材固定部337の外径と容器開口部33aの内径との差)が、0.01[mm]〜0.1[mm]という条件とすると、トナー補給装置60に対するトナー容器32の位置決め精度やトナー漏れ防止の面で良好な結果が得られた。
一般的に、部品同士の固定には圧入が用いられることがあるが、実施の形態14にかかる機構においては部品公差を大きく設定することができる。これにより、量産性を確保することが可能となり、圧入代を最低0.01[mm]とごく小さな値でも成立する様に、受入部材係合突部3301による係合が受入部材外周シール3302の復元力を受け止める。さらに、受入部材係合突部3301は回り止めの役目を果たす。そして、圧入部分では、容器開口部33aの形状を矯正するように構成し、部品同士の軸方向の位置の固定という機能と、容器開口部33aの形状の矯正という機能とで、機能の分離を行なっている。
実施の形態14では、受入部材係合突部3301を用いて容器本体33に対してノズル受入部材330を固定している。ここで、受入部材係合突部3301の係合によってのみ、容器本体33とノズル受入部材330とを固定しようとすると、トナー容器32の回転軸に直交する平面方向について、容器本体33に対するノズル受入部材330の位置がずれるおそれがある。これに対して、実施の形態14では、容器開口部33aを矯正させながら圧入しており、トナー容器32の回転軸に直交する平面方向について、容器本体33に対するノズル受入部材330の位置がずれることを防止できる。
このように、実施の形態14では、容器本体33とノズル受入部材330との固定に受入部材係合突部3301を用いた係合と、圧入との両方を用いている。受入部材係合突部3301の係合によって、ゴムパッキン等からなる受入部材外周シール3302の圧縮量を決定し、トナー容器32の回転軸方向の位置決めに寄与する。一方、圧入によって容器開口部33aの形状を受入部材固定部337の形状に倣うように矯正するほど、受入部材固定部337の外周面と容器開口部33aの内周面とが密着している。このような圧入は、トナー容器32の回転軸に直交する平面方向の位置決めに寄与する。
<実施の形態15>
実施の形態15は、実施の形態14と同様に、図48〜図50で示すことが出来る構成であるが、容器開口部33aの内径よりもノズル受入部材330における受入部材固定部337の外径の方が小さい点で実施の形態14と相違する。
容器開口部33a及び受入部材固定部337は、トナー補給装置60との嵌合において寸法精度が必要であるため、硬質の材料を使用している。具体例として、受入部材固定部337を有するノズル受入部材330の材料としてはPS(ポリスチレン)材、容器開口部33aを備えた容器本体33の材料としてはPET(ポリエチレンテレフタレート)材等を挙げることができる。容器開口部33aと受入部材固定部337とを圧入嵌合によって互いに固定する場合、容器開口部33aの内周面で受入部材固定部337の外周面を密着シールすることとなる。この容器開口部33aの内周面と受入部材固定部337の外周面との密着性を向上するには、容器開口部33aの内径に対する受入部材固定部337の外径を大きく設定することが考えられる。ここで、受入部材固定部337の外径を大きくすると、実施の形態14のトナー容器32にあるように、容器開口部33aを矯正する作用効果を発揮できる一方で組付時に大きな圧入力が必要になる。圧入力が大きい場合、容器開口部33a及び受入部材固定部337を変形破損させる恐れもあるので、両者の嵌合箇所の寸法公差を小さく設定し、工程において厳しく管理する必要がある。
一方、単純に容器開口部33aの内径よりも受入部材固定部337の外径を小さくすると、次のような不具合が生じる。すなわち、抜け防止として係合部を設置することで、回転軸方向の位置決めを行なっても、部品公差内で容器開口部33a内をノズル受入部材330の受入部材固定部337が上下動してしまう。このため、容器開口部33aと受入部材固定部337の間をシールすることが困難である。
そこで、実施の形態15では、弾性体からなる封止部材である円環状の受入部材外周シール3302によって、容器開口部33aの内周面と、受入部材固定部337の外周面との間を封止している。詳しくは、容器開口部33aと、受入部材固定部337との間で、受入部材外周シール3302を挟み込むことによって、受入部材外周シール3302を圧縮するように弾性変形させて封止する。受入部材外周シール3302を弾性変形させているため、容器開口部33aから受入部材固定部337が抜ける方向に復元力が作用する。しかし、実施の形態15では、受入部材係合突部3301と先端開口係合穴3051との係合部によって、容器開口部33aから受入部材固定部337が抜ける方向に移動することを規制している。これにより、容器本体33に対するノズル受入部材330の回転軸方向の位置決めを行なっている。
また、容器開口部33aの内周面と、受入部材固定部337の外周面との間を受入部材外周シール3302が弾性変形した状態で封止しているため、その変形に対する復元力が上記内周面と上記外周面との周方向の全域に作用する。この復元力の作用によって、容器開口部33aの内側における回転軸に直交する平面方向についての受入部材固定部337の位置が決まり、容器本体33に対するノズル受入部材330の回転軸に直交する平面方向の位置決めを行なっている。この位置決めは、上述した汲み上げ内周面304f、及びその凸部304hと橋渡し部材であるところのシャッタ側面支持部335aとを、トナーの橋渡し作用を発揮する相対位置関係に維持するのに効果を発揮する。
実施の形態15では、容器開口部33aの内周面と、受入部材固定部337の外周面とで封止をしないため、部品の寸法公差を大きくすることが可能となる。寸法公差を大きくすることで、量産性の向上を図ることができる。また、寸法公差内で、容器開口部33a内をノズル受入部材330の受入部材固定部337が上下動しても、受入部材外周シール3302を弾性変形させて封止するため、トナー洩れを防止することが可能となる。
実施の形態15では、容器開口部33aのシール受け面である内周面と、受入部材固定部337のシール受け面である外周面とで、封止部材である受入部材外周シール3302を圧縮することでシール(封止)をする。受入部材固定部337の外周面の係合部である受入部材係合突部3301が、容器開口部33aの被係合部である先端開口係合穴3051に入り込み、係合している。圧縮した受入部材外周シール3302から受ける反発力(復元力)は、この係合によって受け止められ、抜け防止となる。受入部材外周シール3302から受ける反発力と、係合による抜け防止とによって、トナー容器32の軸方向の位置が定まり、外力等に起因する衝撃によって容器本体33からノズル受入部材330が抜けることを防止する。
また、容器開口部33aにおける先端開口係合穴3051には、受入部材係合突部3301が係合することによって受入部材外周シール3302の復元力が作用するため、ある程度の強度を要する。このため、先端開口係合穴3051は、容器開口部33aの肉厚部の強度を利用することが望ましい。実施の形態15では、図50に示すように、先端開口係合穴3051よりも容器先端側(図50中の上側)にキャップ固定ネジ山309があり、容器開口部33aの他の部分よりも肉厚になっている。このような肉厚部の強度を利用することによって、受入部材外周シール3302の復元力に起因して容器開口部33aが破損することを防止できる。
実施の形態15では、封止部材である受入部材外周シール3302をノズル受入部材330の受入部材固定部337の外周面に設けた構成について説明したが、容器本体33の容器開口部33aの内周面に封止部材を設ける構成としても良い。
<実施の形態16>
次に、実施の形態15と同様に、容器本体33とノズル受入部材330との隙間を封止する封止部材の弾性変形を利用して容器本体33に対するノズル受入部材330の位置決めを行なう構成の一つ目の変形例(以下、実施の形態16と呼ぶ)について説明する。
図51は、実施の形態16のトナー容器32の説明図であり、図51(a)は、ノズル受入部材330の斜視説明図、図51(b)は、容器本体33の斜視説明図である。
図51に示す実施の形態16のトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、係合部である受入部材係合突部3301と被係合部である先端開口係合穴3051とのそれぞれの容器後端側に、ノズル受入部材330を容器本体33に挿入する際の回転方向の挿入位置を規制する挿入位置規制部を有する。
図51に示す実施の形態16の形状を説明する。受入部材係合突部3301は、ノズル受入部材330のラジアル方向から見て五角形である。その突出量(高さ)は、受入部材固定部337の周面から0.5[mm]程度である。受入部材係合突部3301の挿入位置規制部として、容器後端側に形成された係合突部の頂部3301aである。先端開口係合穴3051は、容器開口部33aの周方向に延在した長円孔とその長円孔の中央で上記五角形とを穴として重ねて形成した貫通穴である。先端開口係合穴3051の挿入規制部として、容器後端側に形成された係合穴頂部3051a(五角形の穴の頂部)を有する。
被係合部である先端開口係合穴3051は、筒状の先端開口305の先端部(開口端部)よりも内側(トナーを収納する部分の側)にある。このため、ノズル受入部材330を容器本体33に装着する際に、受入部材固定部337を容器開口部33aに挿入すると、受入部材係合突部3301が容器開口部33aに隠れて見えなくなる。よって、受入部材係合突部3301が先端開口係合穴3051に係合する所定の位置での装着が困難である。
これに対して、実施の形態16のように、挿入位置規制用先端形状を備える形状であれば、回転方向の挿入位置がわずかな範囲でばらついた場合であっても、受入部材係合突部3301を所定の挿入位置に案内することができる。周方向に延在する長円孔があることにより、ずれた位置にある受入部材係合突部3301を容易に視認できる。
また、挿入位置規制部を備えることによって、次のような利点もある。回転駆動が入力されて容器本体33が回転したときに、係合部と被係合部との一方の挿入位置規制部が他方の一部に引っ掛かり、ノズル受入部材330を容器本体33と一体で回転させることができる。これにより、トナー容器32の回転時に、容器本体33に対してノズル受入部材330が回転して位置がずれてしまうことを抑制できる。
<実施の形態17>
次に、実施の形態15と同様に、容器本体33とノズル受入部材330との隙間を封止する封止部材の弾性変形を利用して容器本体33に対するノズル受入部材330の位置決めを行なう構成の二つ目の変形例(以下、実施の形態17と呼ぶ)について説明する。
図52は、実施の形態17のトナー容器32の説明図であり、図52(a)は、ノズル受入部材330の斜視説明図、図52(b)は、容器本体33の斜視説明図である。
図52に示す実施の形態17のトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、係合部と被係合部との少なくとも一方と重なるように、ノズル受入部材330を容器本体33に挿入する際の回転方向の位置決めを行なう、一対の挿入位置決め部を有する。
図52に示す実施の形態17では、まず受入部材固定部337の係合部として、その周方向に延在する突部である受入部材係合突部3301がある。更に係合部の被係合部への挿入位置を規制する一方の挿入位置決め部として、受入部材係合突部3301の周方向中央で重なり、かつ容器本体33の回転軸方向に延在するよう形成された受入部材側位置決め溝3303とがある。また、容器開口部33aの被係合部として、先端開口305の周方向に延在した長円孔である先端開口係合穴3051がある。更に係合部の被係合部への挿入位置を規制する他方の挿入位置決め部として、先端開口係合穴3051の周方向中央で重なり、かつ容器本体33の回転軸方向に延在するよう形成された先端開口側位置決めリブ3052とがある。
ノズル受入部材330を容器本体33に装着する際に、受入部材固定部337を容器開口部33aに挿入すると、受入部材固定部337の外周面上に突き出た受入部材係合突部3301の周辺は、容器開口部33aが拡がってしまう。このため、係合部や被係合部の近傍で、且つ、係合部や被係合部とは重ならない位置に、リブや溝などの挿入位置決め部を設けると、容器開口部33aを係合部と挿入位置決め部の両方で拡げなくてはいけなくなり、圧入負荷が高まってしまう。
一方、実施の形態17では、リブと溝からなる一対の挿入位置決め部(3303、3052)を容器本体33の回転軸方向から見て、係合部である受入部材係合突部3301及び被係合部である先端開口係合穴3051と重なる位置に形成している。このように、挿入位置決め部を形成することで、装着時に容器開口部33aの内周面に密着する係合部(受入部材係合突部3301)上で先端開口側位置決めリブ3052と受入部材側位置決め溝3303とが嵌合する。これにより、容器開口部33aを拡げる箇所を係合部のみの最小限にしつつ、嵌め合い時の回転方向の位置決めと、トナー容器32の回転時に容器本体33に対してノズル受入部材330が回転することを抑制できる。
<実施の形態18>
次に、実施の形態15と同様に、容器本体33とノズル受入部材330との隙間を封止する封止部材の弾性変形を利用して容器本体33に対するノズル受入部材330の位置決めを行なう構成の三つ目の変形例(以下、実施の形態18と呼ぶ)について説明する。
図53は、実施の形態18のトナー容器32の説明図であり、図53(a)は、容器開口部33aの拡大斜視図であり、図53(b)は、受入部材固定部337の拡大斜視図であり、図53(c)は、トナー容器32の先端側端部近傍の拡大断面図である。
実施の形態18では、封止部材である受入部材外周シール3302をノズル受入部材330の受入部材固定部337の外周面に設けているが、容器本体33の容器開口部33aの内周面に封止部材を設ける構成としても良い。
実施の形態15と同様に、本実施の形態18に係るトナー容器32もノズル受入部材330に係合部を設け、容器開口部33aにその係合部と係合する係合穴を設ける構成である。ノズル受入部材330の抜け防止をより確実にするには、係合部を大きくして、係合穴に対する引っ掛かりを増やすことが考えられる。しかし、ノズル受入部材330に設ける係合部を大きくすると、挿入負荷が大きくなりすぎ、容器開口部33aの変形や破損が生じるおそれがある。これに対して、実施の形態18では、ノズル受入部材330の受入部材係合突部3301に加え、容器本体33側にも係合突部3053を設けている。さらに、容器開口部33aの先端開口係合穴3051に加え、ノズル受入部材330側にも係合穴である受入部材係合穴3304を設けている。これにより、それぞれの係合量がわずかであっても全体では引っかかり量を増やすことが可能となる。
<実施の形態19>
次に、実施の形態15と同様に、容器本体33とノズル受入部材330との隙間を封止する封止部材の弾性変形を利用して容器本体33に対するノズル受入部材330の位置決めを行なう構成の四つ目の変形例(以下、実施の形態19と呼ぶ)について説明する。
図54は、実施の形態19のトナー容器32の説明図であり、図54(a)は、容器開口部33aの拡大斜視図であり、図54(b)は、受入部材固定部337の拡大斜視図である。
図54に示す実施の形態19のトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、実施の形態18のトナー容器32において、係合部と被係合部との少なくとも一方と重なるように、ノズル受入部材330を容器本体33に挿入する際の回転方向の位置決めを行なう、挿入位置決め部を有する。
ノズル受入部材330を容器本体33に装着する際に、受入部材固定部337を容器開口部33aに挿入すると、受入部材固定部337の外周面上に突き出た受入部材係合突部3301の周辺は、容器開口部33aが拡がってしまう。このため、係合部や被係合部の近傍で、且つ、係合部や被係合部とは重ならない位置に、リブや溝などの挿入位置決め部を設けると、容器開口部33aを係合部と挿入位置決め部の両方で拡げなくてはいけなくなり、圧入負荷が高まってしまう。
一方、実施の形態19では、リブと溝からなる一対の挿入位置決め部(3052、3303)を容器本体33の回転軸方向から見て係合部である係合突部3053及び被係合部である受入部材係合穴3304と重なる位置に形成している。このように、挿入位置決め部を形成することで、嵌め合い時に容器開口部33aの内周面に密着する係合部(受入部材係合突部3301)上で先端開口側位置決めリブ3052と受入部材側位置決め溝3303とが嵌合する。これにより、容器開口部33aを拡げる箇所を係合部のみの最小限にしつつ、嵌め合い時の回転方向の位置決めと、トナー容器32の回転時に容器本体33に対してノズル受入部材330が回転することを抑制できる。
実施の形態14〜19のトナー容器32には、共通して次のような発明を含んでいる。すなわち、粉体搬送装置であるトナー補給装置60に供給する粉体であるトナーを収納する粉体収納部材である容器本体33を備える。この容器本体33は、自身が回転することによって内部に収納するトナーを回転軸方向における容器後端側から開口部が設けられた容器先端側に搬送する。さらに、トナー補給装置60に固定された搬送管である搬送ノズル611を挿入するための管受入口であるノズル受入口331が形成され、容器本体33の開口部内に取り付けられた管挿入部材であるノズル受入部材330を備える。このようなトナー容器32において、ノズル受入部材330は、開口部を形成する容器開口部33a内に設けられた被係合部である先端開口係合穴3051に係合する係合部である受入部材係合突部3301を有する。さらに、受入部材係合突部3301が先端開口係合穴3051に係合した状態で、ノズル受入部材330と容器本体33との間に介在し、ノズル受入部材330と容器本体33との隙間を封止する封止部材である受入部材外周シール3302を備える。
<実施の形態20>
次に、トナー容器32の実施の形態20について説明する。実施の形態20のトナー容器32では、容器本体33に対してノズル受入部材330を圧入する箇所に工夫がある。
図13は、先の実施の形態の説明で用いたが、本実施の形態20での容器本体33へのノズル受入部材330の圧入箇所の説明にも用いることができるので流用する。図中の領域γ1またはγ2のいずれかが圧入箇所となっている。領域γ1は、容器本体33の容器ギア301を設けた位置の内周面であり、領域γ2は容器本体33のカバー爪引掛け部306を設けた位置の内周面である。
図13に示すトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、内部に粉体からなる現像剤としてのトナーを収納し、容器シャッタ332と、ノズル受入部材330とを有する粉体収納容器である。容器シャッタ332は、容器本体33内から排出されるトナーが通過する粉体排出口となるノズル受入口331を開放または閉鎖するノズル受入口開閉部材であり、ノズル受入部材330は、容器シャッタ332を保持する開閉部材保持部材である。また、トナー容器32は、その容器先端側端部には、円筒状の容器開口部33aが形成されており、この容器開口部33aの外周面(容器本体33の回転軸部に相当)が容器セット部615の円筒状の内周面615a(軸受部)に対して摺動するように嵌合される。さらに、ノズル受入部材330は、容器本体33の内周面に対して圧入固定されるものであり、この圧入固定される箇所の回転軸方向の位置は、容器開口部33aの外周面が容器セット部615の円筒状の内周面と摺動する位置よりも容器後端側である。
図13等に示すように、ノズル受入部材330の容器先端側端部と、容器開口部33aの容器先端側端部とは回転軸方向における位置が一致している。このため、容器開口部33aの容器先端側端部近傍の内周面に対してノズル受入部材330を圧入する構成が考えられる。しかし、容器開口部33aの容器先端側端部近傍は、容器セット部615の円筒状の内周面615aに対して嵌合される。このため、ノズル受入部材330を圧入することで容器開口部33aの圧入箇所が膨らみ、容器開口部33aの外径が大きくなると、容器セット部615に対して嵌合できなくなり、トナー容器32をトナー補給装置60に装着できなくなるおそれがある。また、装着できてもトナー容器32の回転トルクの上昇につながるおそれがある。
このような問題を防止するために、圧入による容器開口部33aの膨らみ量を予め推測して、トナー容器32の作成時の容器開口部33aの外径を設定することが考えられる。しかし、圧入による膨らみ量を鑑みて容器開口部33aの外径を設定すると、次のような問題が生じるおそれがある。すなわち、その外径寸法公差を大きく設定する必要があるのである。公差の範囲内で膨らみ量が小さい場合には、容器開口部33aの外径と容器セット部615の円筒状の内周面615aの内径との差が大きくなり、位置決めが不十分となるおそれがある。
このような問題を防止する構成として、実施の形態20のトナー容器32は、ノズル受入部材330の受入部材固定部337の容器先端側端部近傍の外径は、容器開口部33aの内周面に対して圧入でなく隙間嵌めになる程度に少し小さくなっている。そして、圧入箇所として、容器先端側端部でなく、より容器後端側となる容器セット部615と容器本体33との装着とは無関係の位置(装着に影響しない位置)に設定している。さらに、この位置での受入部材固定部337の外径を容器内径に対して十分な圧入ができる程度の大きさに設定している。無関係の位置の例としては、容器ギア301の厚み部分に対応する箇所(図13の領域γ1)または、容器開口部33aの内径が一段小さくなって容器開口部33aの肉厚が大きくなる箇所(図13の領域γ2)である。この内径が変化し段差が付いている箇所(図13の領域γ2)は、外周側にリング状のリブからなるカバー爪引掛け部306もある。
ノズル受入部材330の受入部材固定部337の容器先端側端部よりも容器後端側に圧入箇所となる外径の大きな箇所を形成することで、容器セット部615に対して嵌合する箇所について容器開口部33aの膨らみを防止できる。これにより、トナー容器32をトナー補給装置60に装着できなくなることやトナー容器32の回転トルクが上昇することを防止することができる。
また、容器開口部33aは、射出成形されたプリフォームのままの形状であるため、精度良く成形できる。このような位置がノズル受入部材330の圧入によって膨らむことなく、位置決め部や摺動部として用いることができるので、射出成型の精度の良さを維持でき、精度の良い位置決めや良好な摺動を実現できる。
また、領域γ1で圧入させて形成したトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、樹脂性のノズル受入部材330の受入部材固定部337における圧入箇所を、容器本体33の容器ギア301を設けた位置の内周面に対応する箇所としている。容器ギア301を設けた箇所は、回転軸と垂直方向の全周にギア構造があるので容器本体33の他の部分よりも強度が高く、圧入による変形が生じ難い。また、受入部材固定部337を強く締めるため、経時でのノズル受入部材330の抜けも生じにくく、圧入位置としては適切である。
また、領域γ2で圧入させて形成したトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、ノズル受入部材330の受入部材固定部337における圧入箇所を、容器開口部33aの内径が一段小さくなって肉厚が大きくなる箇所としている。容器開口部33aの内径が一段小さくなっている箇所は、回転軸と垂直方向の全周が肉厚となっているので容器本体33の他の部分よりも強度が高く、圧入による変形が生じ難い。また、受入部材固定部337を強く締めるため経時でのノズル受入部材330の抜けも生じにくく、圧入位置としては適切である。
また、領域γ2で圧入させて形成したトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、ノズル受入部材330の受入部材固定部337における圧入箇所を、容器本体33のカバー爪引掛け部306を設けた位置の内周面に対応する箇所としている。カバー爪引掛け部306を設けた箇所は、回転軸と垂直方向の全周にリブ構造があるので容器本体33の他の部分よりも強度が高く、圧入による変形が生じ難い。また、受入部材固定部337を強く締めるため経時でのノズル受入部材330の抜けも生じにくく、圧入位置としては適切である。
次に、本実施形態1〜20に共通の構成であるトナー容器32が備えるIDタグ(IDチップ)700の保持機構について説明する。
図55は、トナー補給装置60に固定されたコネクタ800とトナー容器32の容器先端側端部との斜視説明図である。図55に示すように、トナー容器32は、容器本体33と、容器本体33に形成されたトナー排出口としてのノズル受入口331を設けた容器開口部33aを露出するかたちで、容器本体33に取り付けられた容器先端側カバー34を備える。さらに、トナー容器32は、容器先端側カバー34の先端に取り付けられる情報記憶装置としてのIDタグ700と、IDタグ700を保持するIDタグの保持機構345とを備えている。
本実施形態のIDタグ700の通信方式は接触式である。よってコネクタ800が、トナー補給装置60の本体側の容器先端側カバー34の容器先端側端面と対向する位置に配置されている。
図56は、IDタグの保持機構345を分解した状態のトナー容器32の容器先端側端部とコネクタ800との斜視説明図である。図56に示すように、IDタグ700には、位置決め用のIDタグ穴部701が形成されていて、トナー容器32をトナー補給装置60に装着すると、このIDタグ穴部701には、コネクタ800の、位置決めピン801が挿入される。
IDタグの保持機構345は、IDタグ700を保持する台座358を有する保持部343と、IDタグ700を図中のX−Z方向に移動可能に保持すると共に、保持部343に着脱可能に嵌合するカバー部材としての保持部材344とを備えている。IDタグ700とその保持機構345は、トナー容器32を回転軸に沿って容器先端側から見たとき、容器先端側カバー34の右側斜め上の空間に配置している。これは他の色のトナー容器32と併設する際、デッドスペースとなる右側斜め上の空間を利用して容器先端側カバ−34上に保持機構345を配置したものである。これにより円筒状のトナー容器32同士を近接して配置できるコンパクトなトナー補給装置を提供できる。なお、容器先端側カバー34の左側斜め上の空間は容器ギア301と本体側の容器駆動ギア601が配置される。隣同士のトナー補給システムが干渉しないようIDタグ700、保持機構345、および本体側端子804と、本体側の容器駆動ギア601とが干渉しない程度の配置にされている。
図57は、IDタグ700を保持部材344に仮止めした状態のトナー容器32の容器先端側端部とコネクタ800との斜視説明図である。図57に示すように、保持部343は、容器先端側カバー34の容器先端側端部のIDタグ取付面357に形成され、IDタグ700の裏面の配線がない基板面を支持する4つの角柱からなる台座358を備えている。また、保持部材344は、枠352と、保持部材突出部353とを備えている。枠352は、保持部343に嵌合した際に台座358を外方から囲んでIDタグ700が外れるのを防止するように形成された枠である。保持部材突出部353は、上記枠352内壁面からIDタグ700の表面のうち端子のない領域に被さるように突出する部分である。保持部材344に備えられた枠352に関しては、外形が長方形のIDタグを額縁状の内側に収納可能な大きさで、その内側にIDタグ700がセットされたときに、IDタグ700をX−Z方向にある程度移動可能に保持するものである。
ここで更に詳しく保持機構345に関して説明する。
保持部材344に備えられた枠352は、台座358の図中Y軸方向の長さ(IDタグ取付面357からの高さ)よりも長めに形成されている。よってIDタグ700が台座358に設置された際には、IDタグ700は、容器先端側カバー34に対して固定されない。さらに、X−Z方向におけるIDタグ700の外側を囲むように存在する枠352とは隙間を持った状態で設置される。またIDタグ700は、保持部材344が有する保持部材突出部353に対しても若干の隙間を持っているため、容器先端側カバー34に対して固定はされないが外れることはない。トナー容器32を軽く振ればIDタグ700が保持部材344の中でカタカタと鳴って移動する程度の保持がされている。
なお、IDタグ700の組み付けの際は、図57に示すようにIDタグ700は保持部材344の内壁リブ351(図56参照)に引っ掛けられ、仮止めされた状態で保持部343の台座358に組み付けされる。この時、四つの角柱から成る台座358の外部が保持部材344のガイドとなり、台座に組み付け後のIDタグ700は、内壁リブ351から離れて四つの台座358の容器先端側の端面に載置されるようになる。
次に、保持部材344の取り付けに関して詳細に説明する。
本実施形態のトナー容器32では、保持部材344を熱カシメ等の加工や締結部材で締め込んで容器先端側カバー34に固定するものではなく、爪部材による嵌め合い方式で固定する方式である。
図56に示すように、保持部材344は、保持部材上部350、保持部材下部348及び保持部材右側面部349に、保持部材上爪355、保持部材下爪354及び保持部材右側面爪356をそれぞれ備えている。
容器先端側カバー34側のIDタグ取付面357の周りには、保持部材上爪355、保持部材下爪354及び保持部材右側面爪356の三箇所の爪部のそれぞれと対向する位置に、三箇所の引掛り部が形成されている。詳しくは、IDタグ取付面357の周りの保持部材上爪355と対向する位置には、取付面上引掛り部359aが形成されている。また、IDタグ取付面357の周りの保持部材下爪354と対向する位置には、取付面下引掛り部359bが形成され、保持部材右側面爪356と対向する位置には、取付面横引掛り部360が形成されている。
保持部材344を容器先端側カバー34にセットの際は、保持部材344側の三箇所の爪部(355、354及び356)が、容器先端側カバー34側の三箇所の引掛り部(359a、359b及び360)と係合し固定される。なお、三箇所の引掛り部については、取付面上引掛り部359a及び取付面下引掛り部359bの二箇所が穴形状、取付面横引掛り部360の一箇所が爪形状の構成になっている。
穴形状の取付面上引掛り部359a及び取付面下引掛り部359bに対しては、保持部材上爪355及び保持部材下爪354の二つの爪部先端の傾斜と爪部の弾性を利用してセットする。また、爪形状の取付面横引掛り部360には、保持部材右側面爪356の先端の傾斜と、取付面横引掛り部360の取付面横引掛り部傾斜面360aとを利用してセットする。
このような構成では、図57に示すように、保持部材344の枠352の内側にIDタグ700を仮止めセットし、保持部材344を容器先端側カバー34側の台座358に沿って移動させる。これにより、保持部材344側に形成された爪部(355、354及び356)が容器先端側カバー34側に形成された引掛り部(359a、359b及び360)と係合し、両者の嵌め合いで保持部材344を容器先端側カバー34に固定することができる。
なお、図55〜図57を用いて説明した例では、保持部材344の上下二箇所と右一箇所とを、爪部(355、354及び356)と引掛り部(359a、359b及び360)との嵌合い箇所とした。保持部材344の嵌合い箇所としては、上下及び右の組み合わせに限るものではなく、保持部材344の上下のみ、または左右のみ、もしくは上下左右などとしてもよく、嵌合い箇所や個数は本形態に制限するものではない。
上述したように本実施形態では、爪部材による嵌め合い方式について説明したが、場合によっては、保持部材344を容器先端側カバー34に対して熱カシメ等の加工や締結部材で締め込んで固定することもできる。さらに、IDタグの保持部材344を更に強固に取り付けたい要望がある場合や、IDタグをリサイクルする際に容器先端側カバー34から取り外すことなくリライト(再書き込み)できる冶具がある場合なども挙げることができる。
次に、図58〜図63を用いて、本実施形態のトナー容器32が備える情報記憶装置としてのIDタグ700について説明する。
なお、以下の説明において、「略矩形状の金属板」とは、矩形状のものに加えて略矩形状のものも含むものと定義する。したがって、矩形状の金属板の角部の全部または一部を面取りしたもの、R形状にしたもの等も、「略矩形状の金属板」に含まれることになる。
図58は、IDタグ700の三面図である。図58(a)は、コネクタ800側から見たIDタグ700の正面図、図58(b)は、取り付け方向に対して直交する方向(図55中の右斜め上方向)見たIDタグ700の側面図である。また、図58(c)は、容器先端側カバー34側から見たIDタグ700の裏面図である。
図59は、IDタグ700、保持部材344、及び、コネクタ800を示す斜視図であって、3つの部材(700、344、及び、800)の相対位置関係を示す斜視図である。なお、図59では、図56および図57に示した保持部材上爪355及び保持部材下爪354の図示は省略している。
図60は、IDタグ700がコネクタ800に係合した状態を示す斜視図である。また、図61は、IDタグ700の電気回路とコネクタ800の電気回路とを示す回路図である。
図62(a)はIDタグ700がコネクタ800に保持された状態を示す正面図であって、図62(b)はIDタグ700が位置決め用のIDタグ穴部701を中心に回動している状態を示す正面図である。図63は、工場製造時の検査工程において通電検査装置900のプローブ901が当接された状態のIDタグ700を示す図である。
本実施形態のIDタグ700は、基板702にIDタグ穴部701が一つだけ形成されており、IDタグ穴部701が矩形状の金属板からなる複数の金属パッド710(710a、710b、710c)の間に配置されている。
図55に示すように、本実施形態のトナー容器32は、矩形上のIDタグ700の長辺が鉛直方向に対して平行になっておらず、その長辺が斜めになるように配置されている。このため、トナー容器32に配置した状態での上下方向は、IDタグ700の長手方向とは一致しない。しかし、以下の説明においては、便宜上、IDタグ700の長辺に平行な方向(図58中のZ’軸方向)をチップ上下方向と呼び、IDタグ700の短辺に平行な方向(図58中のX’軸方向)をチップ左右方向と呼ぶ。また、トナー補給装置60に対して斜めに配置されたコネクタ800についても同様である。
図58に示すように、本実施形態における情報記憶装置としてのIDタグ700は、基板702の重心に対してチップ上下方向における鉛直上方の位置に、IDタグ穴部701が形成されている。そして、このIDタグ穴部701の内径部と周囲とには、金属端子からなる接地(アース)用のアース端子703が設置されている。なお、図58に示すように、本実施形態の基板702の表面に形成されたアース端子703は、円環状の部分に対して二つのアース端子突出部705がチップ左右方向に延設されるように形成されている。
また、IDタグ穴部701に対して、チップ上下方向における上方の位置には一つの矩形状の金属パッド710(第一金属パッド710a)が設置されている。さらに、チップ上下方向の下方の位置には二つの金属パッド710(第二金属パッド710b、第三金属パッド710c)が設置されている。
さらに、図58(c)に示すように、基板702の裏面には、半球面状のエポキシ等の樹脂材料からなり図示を省略した情報記憶部を覆って保護する保護部材720が設けられている。IDタグ700は、内部にIC(集積回路)等の情報記憶部を有することもあって裏面に配置された最も大きく重量がある構成物である保護部材720のチップ上下方向における上方にIDタグ穴部701を配置する。これにより、上述したように、IDタグ700の重心に対してチップ上下方向における鉛直上方にIDタグ穴部701があるという位置関係を実現している。なお、IDタグ穴部701の配置は、基板702の形状や保護部材720等の裏面の構成・配置による。
具体的には、図62(a)に示すように、本実施形態のIDタグ700は、IDタグ穴部701の中心位置が、IDタグ700の重心から距離Zaだけチップ上下方向における上方になるように形成されている。
図59に示すように、コネクタ800は、樹脂製で中空の箱であるコネクタ本体805を有しており、そのコネクタ本体805に一本の中空円筒で先端にテーパ形状を有する位置決めピン801(位置決め用の突起部)が水平方向に起立するように設けられている。そして、この位置決めピン801には、接地用本体側端子802が設置されている。この接地用本体側端子802は、板状(または線状)の金属部材であって、その一部がコネクタ本体805と一体で形成された位置決めピン801の中空部に収納される。そして、その湾曲部が中空円筒の周面の一部に形成されたスリット状の開口から露出して、位置決めピン801の円筒外周面から突出している。位置決めピン801(接地用本体側端子802)に対して、チップ上下方向における鉛直上方の位置には一つの本体側端子804が設置され、位置決めピン801に対して、チップ上下方向における鉛直下方の位置には二つの本体側端子804が設置されている。これらの本体側端子804は、板状(または線状)の金属部材である。
また、コネクタ本体805の下方であって、位置決めピン801を挟むチップ左右方向における両側の位置には、互いの先端内側のテーパ面が線対称になるよう形成された一対のリブからなる。さらに、IDタグ700の両側端面であってIDタグ穴部701の中心よりもチップ上下方向における下方の箇所に対向する一対の規制部材としての振れ防止部材803が設けられている。
また、保持部材344は、トナー容器32の容器先端側カバー34に固定され、トナー容器32をトナー補給装置60に装着した状態では、コネクタ800とIDタグ700との間に位置する。そして、IDタグ700を移動可能に(ある程度のガタ付きがある状態で)保持するものである。
図59に示すように、保持部材344は、保持部材下部348、保持部材左側面部342及び保持部材右側面部349のそれぞれに保持部材突出部353を設けている。保持部材下部348、保持部材左側面部342及び保持部材右側面部349のそれぞれに設けた三つの保持部材突出部353によって、IDタグ700が、保持部材344よりもコネクタ800側に脱落することを防止している。
また、保持部材344のコネクタ800側の端部(保持部材突出部353を含む壁面)には、保持部材開口部347が形成されている。この保持部材開口部347は、コネクタ800側の四つの端子(三つの本体側端子804、一つの接地用本体側端子802)に対向する領域を含む保持部材344のコネクタ800側の端部の大部分を開口とする形状である。さらに、保持部材344の保持部材開口部347は、コネクタ800に設けられた振れ防止部材803に対応する部分まで開放された形状となっている。そして、トナー容器32の装着時には、位置決めピン801が保持部材開口部347の開口位置を通過するのに続いて、振れ防止部材803も保持部材開口部347の開口位置を通過して、保持部材344の内部に進入することになる。
IDタグ700の裏面側(保護部材720の側である。)に対向する四つの台座358は容器先端側カバー34の一部であって、保持部343からコネクタ800側に延在する部材である。四つの台座358は、矩形状の基板702の四つの角の近傍を押圧する構成であり、IDタグ700に固定された保護部材720や、コネクタ800との接続時に進入してくる振れ防止部材803との干渉を避けることができる形状となっている。
その一方で、IDタグ700のIDタグ穴部701に位置決めピン801が挿入されるときにIDタグ700が位置決めピン801の接地用本体側端子802や本体側端子804によって容器後端側に押されることになる。このとき、四つの台座358が基板702の裏面から支えることになるため、端子同士の当接状態を維持することができる。
図60は、トナー容器32がトナー補給装置60(複写機500本体)に装着された状態における、トナー補給装置60側のコネクタ800とIDタグ700との位置決めが完了した状態を示す概略斜視図である。図60に示す状態は、本体側の端子(本体側端子804及び接地用本体側端子802)と、IDタグ700側の端子(金属パッド710及びアース端子703)とが接続した状態である。なお、図60では、理解容易のため、コネクタ800とIDタグ700との間にある保持部材344と、三つの金属パッド710との図示は省略されている。
本実施形態のトナー容器32は、容器先端側カバー34よりも容器開口部33aが突き出ている。そして、非装着の状態のトナー容器32を図中矢印Q方向に移動させて、トナー補給装置60に装着しようと、まず、容器開口部33aの外周面と容器セット部615との嵌合がなされる。そして、トナー容器32のトナー補給装置60に対する回転軸方向に直交する方向についての位置が決まる。その後、さらに、トナー容器32を図中矢印Q方向に移動させることで、IDタグ700とコネクタ800との接続が始まる。
トナー容器32の回転軸方向に直交する方向の位置決めがなされ、容器先端側カバー34の回転軸方向に直交する方向の位置が定まった後に、回転軸方向に直交する方向についてのIDタグ700の位置決めがなされる。詳しくは、容器先端側カバー34の回転軸方向に直交する方向の位置が定まった後に、IDタグ700のIDタグ穴部701が、コネクタ800の位置決めピン801の先端のテーパに拾われるように位置決めピン801に嵌合される。この嵌合によって、IDタグ700のチップ上下方向及びチップ左右方向の位置が同時に決まる。すなわち、回転軸方向に直交する方向についてのIDタグ700の位置決めがなされる。
さらに、図62(a)に示すように、チップ左右方向における基板702の左右両側であってIDタグ穴部701の中心よりもチップ上下方向における下方である下側の縁部にコネクタ800の振れ防止部材803が進入する。このときIDタグ700の姿勢が図62(b)のようにずれていたとしても、リブ状の振れ防止部材803の先端のテーパ面が上記縁部の一方に接触すると、IDタグ穴部701よりも下方の部分が、接触したテーパ面とは反対側に向かうように回転する。そして、二つのテーパ面に均等に接触する位置で回転が止まり、回転方向(図62(b)に示す両矢印方向の回転である。)の姿勢のずれを矯正する(図62(a)の状態にする)。これによって、IDタグ700の位置決めが完了する。
このとき、IDタグ700のアース端子703の一部(IDタグ穴部701の内径部に相当する部分である。)が、図60に示す位置決めピン801の接地用本体側端子802に接触して、IDタグ700の接地(導通)がとられることになる。さらに、その接地がとられた後に、図61(a)に示すように、IDタグ700の三つの金属パッド710(710a、710b、710c)も、コネクタ800の三つの本体側端子804にそれぞれ接触する。そして、IDタグ700と、コネクタ800を備えるトナー補給装置60側の制御部(複写機500の制御部90)との間で情報の伝達が可能になる。
このように、本実施形態では、下記(1)から(5)のさまざまな工夫を加えたことで安価な構成で高精度の位置決め機構を実現している。
(1)IDタグ穴部701を1つにしている。これによって、基板702の加工費の抑制が可能になる。
(2)接地用本体側端子802を位置決めピン801の側周面に一体的に設置している。これによって、位置決めピン801と接地用本体側端子802との距離を実質0にすることができ、接地用本体側端子802に対するアース端子703の位置精度を高めることができる。
(3)図60に示す装着完了状態において、コネクタ800側の三つの本体側端子804の湾曲部(接触部)の頂点を結ぶ直線上にIDタグ穴部701の穴中心を一致させるようにIDタグ穴部701と本体側端子804の湾曲部との配置関係を調整している。これによって、位置決め部であるIDタグ穴部701から端子同士(本体側端子804と金属パッド710)の接触部までのチップ左右方向の距離を縮めて0[mm]近傍にするにすることができる。その結果、三つの金属パッド710(710a、710b、710c)と、三つの本体側端子804とが接触するときの位置精度が向上する。
(4)IDタグ穴部701の位置を、複数の金属パッド710(710a、710b、710c)を並べたときに生じる複数の間隙のうち、いずれかの間隙に配置している。これによって、IDタグ穴部701の中心から最も離れた位置にある第三金属パッド710cまでの距離(振り子の腕長さに相当することになる。)を短くすることができる。これは、複数の金属パッド710(710a、710b、710c)の並びの外側であるチップ上下方向における上方または下方に、位置決め用の穴部(または切欠部)を配置したものに比べた場合である。具体的には、三つの金属パッド710(710a、710b、710c)の並びの外側に位置決め用の穴部(または切欠部)を配置した場合、最長の腕長さは穴中心(または、切欠の中心)から金属パッド710の三つ分の距離になる。一方、本実施形態のIDタグ700では、最長の腕長さを金属パッド710の二つ分の距離にすることができる。振れの腕長さが短くなることで、最も遠い位置の第三金属パッド710cの本体側端子804に対する平行度が量産ばらつき等の理由でずれてしまったとしても、そのずれを最低限に抑えることができる。
(5)トナー容器32を単品で保管する場合、異物が保持部材344の中に入ってIDタグ700と、保持部材突出部353や台座358との間に挟まり、位置がずれたままになってしまうおそれがある。このような課題に対して、本実施形態では、IDタグ700のIDタグ穴部701が重心に対してチップ上下方向における上方にあるように、位置関係の工夫をしている。これにより、一対のリブから成る振れ防止部材803が回転中心であるIDタグ穴部701よりもチップ上下方向における下方に進入するときに、IDタグ700を回転することが出来る。詳しくは、振れ防止部材803(リブ)のテーパ面との当接によって、二つのテーパ面に均等に接触する位置となるように、IDタグ700を回転することが出来る。これにより、位置ずれを規制して姿勢を矯正することができる。その結果、IDタグ穴部701が一つであっても、複数の本体側端子804に対する複数の金属パッド710(710a、710b、710c)の位置精度を同時に高めることができる。
以上、(1)〜(5)に記載したように、それぞれの五つの工夫は、それぞれの作用効果を発揮することになる。そして、金属パッド710の面積を極小にするという安価な構成を採用しても、アース端子703を含むIDタグ700側の複数の端子(703、710)と複数の本体側端子(802、804)との位置決めの精度を極めて高いものとすることができる。
さらに、本実施形態における工夫及び作用効果について、上述したものと別のものについて述べる。
まず三つの金属パッド710(710a、710b、710c)それぞれについて詳述する。最上位にある第一金属パッド710aは、通信制御のためのクロック信号が入力される。逐次通信のため速度は遅いが低コストなシリアル通信方式を採用し、シリアルバスとしてI2C(Inter-Integrated Circuit)を採用している。トナー補給装置60側のコネクタ800と接続した状態でシリアルクロック(SCL)が入力される信号線を形成する。第一金属パッド710aがクロック信号入力方向側の端子に相当するが、クロック信号は信号の流れが片方向であるため、後述するVcc(電源、第三金属パッド710c)との短絡によるIDタグ700の破壊の可能性が他の端子と比較して高いと予測される。そのためIDタグ700の破壊を避けるために、Vccから離れた場所に配置してある。万一GND(アース端子703)と短絡しても壊れる可能性は低いからである。
第二金属パッド710bもシリアル通信方式を採用し、シリアルバスとしてI2Cを採用、トナー補給装置60側のコネクタ800と接続した状態でシリアルデータ(SDA)が入出力される信号線を形成する。この第二金属パッド710bは入出力双方向であることから、片方向入力の第一金属パッド710aよりも短絡によるIDタグ700破壊の可能性は小さい。
第三金属パッド710cは、電源入力部(Vcc)であり、トナー補給装置60側のコネクタ800と接続した状態で5[V]または3.3[V]の電圧が入力される。電源とGNDの短絡という機器全体にとっての故障の危険性を小さくするためにGND(アース端子703)及び、シリアルクロック入力端子(第一金属パッド710a)と間にシリアルデータ入力端子(第二金属パッド710b)を挟んで配置されている。Vccである第三金属パッド710cは、図58にあるようにIDタグ裏側の保護部材720と基板702を介して重なっており、保護部材720内の不図示のIC駆動回路とも近くなっている。これによって電源ラインも短く太くでき、電源動作の安定(=ノイズ誤動作の低減)化を図ることができる。
次にアースに関する工夫を述べる。トナー容器32の装着動作において、IDタグ700のアース端子703が位置決めピン801(コネクタ800)の接地用本体側端子802に接触する。そしてこの接触した後に、IDタグ700の三つの金属パッド710(710a、710b、710c)がコネクタ800の三つの本体側端子804に接触開始されるように構成されている。換言すると、トナー容器32の離脱動作において、IDタグ700における三つの金属パッド710(710a、710b、710c)のコネクタ800における三つの本体側端子804への接触が解除される。そして、この接触が解除された後に、IDタグ700のアース端子703が位置決めピン801(コネクタ800)の接地用本体側端子802に対して接触解除(離間)されるように構成されている。
具体的には、図61(a)に示すように、コネクタ800において、三つの本体側端子804に比べて接地用本体側端子802の接触開始位置がIDタグ700の側に近い位置になるように形成されている。
このような構成により、トナー容器32の装着動作においては常にIDタグ700のアースがとられている状態で金属パッド710と本体側端子804との接続が開始される。そして、トナー容器32の取り外し動作においては常にIDタグ700のアースがとられている状態で金属パッド710と本体側端子804との離間(接触解除)が開始されることになる。そのため、IDタグ700側の電気回路においてアースがとられずに電気的に浮いた状態になることが防止され、IDタグ700に電気的な破損が生じにくくなる。
詳しくは、IDタグ700側の電気回路においてアースがとられずに電気的に浮いた状態であるとき、電気回路は非常に大きなインピーダンスで接地されている状態となる。このとき、三つの金属パッド710と三つの本体側端子804との接触時または離間時に発生した静電気がわずかでも電気回路に流れ込むと、その電流にインピーダンスを掛けたものと同等の高電圧が発生する。そして、この高電圧によりIDタグ700におけるIC内部での絶縁破壊が生じて、ICが壊れてしまう。
このような不具合は、図61(b)に示すように、コネクタ800において、三つの本体側端子804と接地用本体側端子802とのIDタグ700に対する接触開始位置が同位置に形成されているような場合に生じやすくなる。
これに対して、本実施形態では、次のように配置されている。すなわち、本体側端子804におけるIDタグ700側に最も突出した部分である湾曲部よりも、位置決めピン801のスリット状の開口から露出した接地用本体側端子802の湾曲部の方が、IDタグ700により近い位置になるよう配置されている。これによって、接触時の回路の接地が最初におこなわれ、離間時の回路の接地が最後になるため、インピーダンスが常に理論上ゼロとなり、静電気が電気回路内に流れ込んでもIC内部での絶縁破壊を防ぐことができる。
また、本実施形態のIDタグ700には、先に図58で説明したように、アース端子703の外周の一部に二つのアース端子突出部705を設けている。
このようにIDタグ700の基板702のオモテ面にアース端子突出部705を設けることで、工場での製造時における検査工程(IDタグ700の良・不良を検査する工程である。)において、通電検査用のプローブの当接作業を容易にすることができる。詳しくは、図63に示すように、検査台に載置された状態のIDタグ700の金属パッド710やアース端子703に対して、上方から通電検査装置900が備える複数のプローブ901の先端部をそれぞれ押し当てる。このとき、アース端子703のアース端子突出部705はプローブ901の先端部が当接するのに充分な面積が確保されているため、プローブ901の接触不良による通電検査不良を防止することができる。また、プローブ901の先端部をアース端子703(アース端子突出部705)に上方から当接させて通電検査をおこなっている。このため、プローブ901をIDタグ穴部701に挿入して通電検査をおこなう場合に比べて、検査ごとに繰り返し使用されるプローブ901自体の耐性を向上させることができる。さらに、IDタグ700のIDタグ穴部701が通電検査によって磨耗する不具合も防止することができる。
なお、アース端子703の円環と矩形の金属パッド710との間のくさび状に広がる余剰空間において、次のように配置している。すなわち、アース端子突出部705は、そのチップ左右方向の境界(境界線)が円環の外周に接するとともに、金属パッド710(710a、710b、710c)の長手方向と平行になるように配置している。これによって、アース端子突出部705がチップ上下方向へ突出することなく、保持部材突出部353と滑動する基板702の左右の滑動領域へのアース端子突出部705の突出(チップ左右方向への突出である。)を抑制することができる。その結果、基板702を大型化することなく、製造上において定尺寸法が決まっている基板素材からの基板702の取り数を出来る限り多いものにすることができて、IDタグ700の原価上昇を抑制することができる。
また、コネクタ800における三つの本体側端子804は、板状(または線状)の金属部材であって、その一端側を固定端として容器先端側を自由端としてコネクタ本体805に固定支持されている。また、三つの本体側端子804は、その容器先端側にIDタグ700(トナー容器32)側に向けて湾曲した湾曲部が形成されている。すなわち、本体側端子804は、IDタグ700に向けて膝(又は、ブーメラン)のように屈曲している。この本体側端子804の湾曲部は、金属パッド710との接点となる部分である。
そして、トナー容器32のトナー補給装置60に対する装着動作にともない、本体側端子804の湾曲部が金属パッド710の長手方向(チップ左右方向)略中央部に接触する。そして、トナー容器32の装着動作がさらに進むと、IDタグ700がさらにコネクタ800側に近づいて、本体側端子804が金属パッド710に押圧されて弾性変形(曲がっていた膝が伸びるような状態である。)しながら本体側端子804の湾曲部が自由端側に近づくように変位する。すなわち、トナー容器32の装着動作にともない、本体側端子804の湾曲部は、金属パッド710に対する接触圧を徐々に強めながら、長手方向(チップ左右方向)中央部から自由端側に向けてスライドすることになる。
このような構成により、本体側端子804と金属パッド710との接触不良を確実に抑止することができる。詳しくは、関連部品の寸法精度や組み付け精度の高低(寸法ばらつき)によって、コネクタ800(本体側端子804)に対する容器先端側カバー34(金属パッド710)の長手方向(チップ左右方向)の位置がずれてしまうことがある。しかし、上述した構成により、コネクタ800に対する容器先端側カバー34の長手方向の位置がずれてしまっても、本体側端子804と金属パッド710との接触不良を確実に抑止することができる。
以上説明したように、本実施形態のトナー容器32は、接触式のIDタグ700(情報記憶装置)が、保持部材344等の保持機構345に保持されている。詳しくは、IDタグ700が、本体側端子804に対して容器側端子である金属パッド710が近づいて接触するときの移動方向(矢印Q方向)に対して略直交する仮想平面上を移動できるように保持部材344等の保持機構345に保持されている。これにより、以下の場合であっても、IDタグ700の金属パッド710とトナー補給装置60が備えるコネクタ800の本体側端子804との位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。すなわち、トナー補給装置60(複写機500本体)に対して着脱可能に設置されるトナー容器32に、接触式のIDタグ700を設置した場合であっても、上記接触不良が生じにくくなる。
さらに、本実施形態においては、トナー補給装置60に対して着脱可能に設置されるトナー容器32に、接触式のIDタグ700を設置した場合であっても、IDタグ700に電気的な破損が生じにくくなる。これは、IDタグ700の基板702に形成された一つのIDタグ穴部701に、コネクタ800の位置決めピン801に形成された接地用本体側端子802に係合するアース端子703を形成しているためである。
トナーの流動性が高いと、本実施形態が課題としているトナー補給容器着脱に伴うトナー飛散が生じ易い。
トナーの流動性を示す指標として、加速凝集度[%]や、ゆるめ見かけ密度[g/cm3]が知られている。本実施形態のトナー容器32に収容するトナーでは、体積平均粒径5.5[μm]程度、加速凝集度13[%]程度、ゆるめ見かけ密度0.36[g/cm3]程度のものに、シリカを3.3[重量部]程度、チタンを0.6[重量部]程度添加して用いている。このトナーは120[℃]程度の熱量で定着可能なトナーであり所謂低温定着性に優れたトナーである。
また、他のトナーとして、体積平均粒径4.5[μm]程度、加速凝集度18[%]程度、ゆるめ見かけ密度0.38[g/cm3]程度のものに、シリカを2.3[重量部]程度、チタンを0.7[重量部]程度添加したトナーを用いることも可能である。勿論例示した以外のトナーを用いることも可能である。
トナーは、既知の重合法や粉砕法を用いて製造することができる。
トナー粒子の粒度分布の測定方法としては、コールターカウンター法を適用することができる。この方法による測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)が挙げられる。
トナーの加速凝集度は、パウダーテスタ(ホソカワミクロン社製)を用いて気温24[℃]、湿度72[%]の環境下で計測した。その他の条件は表1の通りである。
測定後、下記に示す計算式により、トナーの凝集度を求める。
上段のフルイに残った粉体の重量%×1・・・(a)
中段のフルイに残った粉体の重量%×0.6・・・(b)
下段のフルイに残った粉体の重量%×0.2・・・(c)
凝集度(%)=(a)+(b)+(c)とする。
測定結果は表2の通りである。(単位:[%])
表2の結果より、トナー種D及びEのトナーを流動性が低いと評価した。
ゆるめ見かけ密度は、容器にゆるめにトナーを充填し、すき切りし、容器体積で内容重量を割って計算した値である。
トナーの流動性が高いとトナー飛散が生じ易いが、本発明を適用したトナー容器及びトナー補給装置では、トナー容器の内部でトナー補給装置へトナー補給するよう構成されている。このため、流動性がそれ程高くないトナーに対しても勿論有効な構成であるが、この様な流動性の高いトナーに対してトナー飛散を防止するという点で一層有効な構成であるといえる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
トナー補給装置60等の粉体搬送装置に水平方向を長手にして装着され、粉体搬送装置に供給する画像形成用のトナー等の粉体を収納する容器本体33等の容器本体と、容器本体の内部に配置され、粉体を長手の一端側から筒形状の先端開口305等の容器開口部が設けられた他端側に搬送する螺旋状突起302等の搬送手段と、該容器開口部に配置され、粉体搬送装置に固定された搬送ノズル611等の搬送管を挿入されて受け入れるノズル受入口331等の管受入口と、容器開口部に配置され、管受入口に連通して搬送管を容器本体の内部に案内するノズル受入部材330等の管挿入部材と、搬送手段から粉体を受け取り、自身が回転することで上記容器本体の下方から上方に粉体を持ち上げ、搬送管のノズル開口610等の粉体受入口に粉体を移動させる汲み上げ部304等の汲み上げ部と、を備えるトナー容器32等の粉体収納容器において、粉体搬送装置は、容器本体から粉体を受け入れる粉体受入口と、粉体受入口を開閉するノズルシャッタ612等の搬送管開閉部材と、搬送管開閉部材に対して粉体受入口を閉鎖するように付勢するノズルシャッタバネ613等の付勢部材と、容器シール333の容器先端側の端面等の容器開口部の筒形状の内底部に当接して搬送管開閉部材に対して粉体受入口を開放するよう移動させるノズルシャッタ鍔部612a等の当接部材とを有し、容器開口部は、内底部に管受入口が配置され、容器開口部の筒形状の内部空間には、粉体収納容器を粉体搬送装置に装着した際に当接部材と付勢部材とが収納される。
これによれば、上記実施形態について説明したように、容器開口部の円筒状の内底部に管受入口が配置されているため、容器開口部における容器先端側等の他端側の端面は、管挿入部材の管受入口が開口している他端側の端面よりも回転軸方向で突き出している部分を有する。この突き出している部分が、粉体収納容器から搬送管を抜き出すときに管受入口から漏れ出した粉体が飛散することを妨げ、粉体が飛散することを抑制できる。さらに、筒形状の容器開口部の内部空間には、粉体収納容器を粉体搬送装置に装着した際に当接部材と付勢部材とが収納されることで、粉体搬送装置に粉体収納容器を装着した状態での粉体搬送装置の長手方向の大型化を抑制することができる。
(態様B)
(態様A)において、容器本体33等の容器本体の先端開口305等の容器開口部の外周面及び端面305f等の先端端面がトナー補給装置60等の粉体搬送装置との位置決め部である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、容器開口部の外周面側にトナー等の粉体が到達することを抑制できるため、粉体収納容器の粉体搬送装置に対する位置決め精度が安定する。
(態様C)
(態様A)において、容器本体33等の容器本体は、粉体搬送をする際には長手方向を回転軸にして搬送ノズル611等の搬送管に対して回転可能にトナー補給装置60等の粉体搬送装置に保持されるものであり、容器本体の先端開口305等の容器開口部の円筒外周面が粉体搬送装置の容器セット部615等の回転軸受部に挿入される回転軸部を有する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、摺動部となる回転軸受部と回転軸部との隙間に粉体が進入すると、回転時の摺動負荷が増大し、容器本体の回転トルクが上昇するおそれがあるが、本態様では容器開口部の外周面側に粉体が到達することを抑制できる。このため、摺動部に粉体が進入することを抑制でき、摺動負荷の増大を抑制し、摺動性が安定し、容器本体の回転トルクが上昇することを抑制できる。
(態様D)
(態様C)において、容器本体33等の容器本体の先端開口305等の容器開口部の外周面及び先端端面がトナー補給装置60等の粉体搬送装置との位置決め部である。
これによれば、上記実施形態について説明したように、粉体収納容器が、粉体搬送装置に対する位置決め精度が安定する。
(態様E)
態様CまたはDにおいて、ノズル受入部材330等の管挿入部材は、容器本体33等の容器本体の先端開口305等の容器開口部に固定される円筒状の受入部材固定部337等の固定部を有し、固定部は容器本体の容器開口部にネジ山337c等によるネジ止めで固定され、ネジ止めの締り方向は、トナー容器32等の粉体収納容器がトナー補給装置60等の粉体補給装置内で回転駆動する方向と一致している。
これによれば、上記実施の形態13について説明したように、容器本体の回転駆動が、容器本体に対する管挿入部材のネジ止めが緩むように作用することを防止できる。
(態様F)
態様CまたはDにおいて、ノズル受入部材330等の管挿入部材は、容器本体33等の容器本体の先端開口305等の容器開口部に固定される円筒状の受入部材固定部337等の固定部を有し、固定部の円筒外径は容器本体の容器開口部の円筒内径よりも大きく、固定部の円筒外周と容器本体の容器開口部の円筒内周にはいずれか一方には受入部材係合突部3301等の突部が形成され、他方には突部と係合する先端開口係合穴3051等の係合穴が形成されており、突起と係合穴が係合する位置で固定部が容器開口部に圧入されている。
これによれば、上記実施の形態14について説明したように、突部と係合穴との係合により、容器本体に対する管挿入部材の抜け止めと周り止めとを実現できる。さらに、固定部の円筒外径が容器開口部の円筒内径よりも大きいことで、容器本体に対して管挿入部材を取り付けたときに、容器開口部が固定部に倣うように矯正されて真円度が良くなる。容器開口部の真円度が良くなることで、トナー補給装置60等の粉体搬送装置に対するトナー容器32等の粉体収納容器の位置決め精度が向上する。
(態様G)
態様CまたはDにおいて、ノズル受入部材330等の管挿入部材は、容器本体33等の容器本体の先端開口305等の容器開口部に固定される円筒状の受入部材固定部337等の固定部を有し、固定部の円筒外径は容器本体の容器開口部の円筒内径よりも小さく、固定部の円筒外周と容器本体の容器開口部の円筒内周にはいずれか一方には受入部材係合突部3301等の突部が形成され、他方には突部と係合する先端開口係合穴3051等の係合穴が形成されており、固定部と容器本体との隙間に外周シール3302等のシールが配置されており、突起と係合穴とが係合する位置で、シールが固定部と容器本体とに挟まれ、圧縮されるように管挿入部材が容器開口部に嵌めこまれている。
これによれば、上記実施の形態15について説明したように、突部と係合穴との係合により、容器本体に対する管挿入部材の抜け止めと周り止めとを実現できる。さらに、シールから受ける反発力と、係合による抜け防止とによって、トナー容器32等の粉体収納容器の軸方向の位置が定まり、外力等に起因する衝撃によって容器本体から管挿入部材が抜けることを防止する。また、シールを圧縮させて封止するため、トナー等の粉体洩れを防止することが可能となる。
(態様H)
態様CまたはDにおいて、ノズル受入部材330等の管挿入部材は、容器本体33等の容器本体の先端開口305等の容器開口部に固定される円筒状の受入部材固定部337等の固定部を有し、固定部のうち、少なくとも回転軸部と一致する領域の円筒の外径は容器本体の容器開口部の円筒内径よりも小さく、固定部のうち、γ1等の上記領域外の円筒外周に容器本体の容器開口部の円筒内径よりも大きい箇所が設けられてあり、固定部が該容器開口部に圧入されている。
これによれば、上記実施の形態20について説明したように、固定部の圧入によって容器開口部の回転軸部となる部分が膨らことがなく、位置決め部や摺動部として用いることができるので、容器開口部の成型の精度の良さを維持でき、精度の良い位置決めや良好な摺動を実現できる。
(態様I)
態様Hにおいて、γ1等の圧入箇所となる上記領域外の円筒外周は、容器本体33等の容器本体に回転力を伝達するよう先端開口305等の容器開口部に形成されたの容器ギア301等のギアの位置である。
これによれば、上記実施の形態20について説明したように、容器本体の他の部分よりも強度が高く、圧入による変形が生じ難い。また、容器本体が固定部を強く締めるため、経時でのノズル受入部材330等の管挿入部材の抜けも生じにくくなる。
(態様J)
態様Hにおいて、γ1等の圧入箇所となる上記領域外の円筒外周は、先端開口305等の容器開口部の厚さが回転軸部の厚さに比べて大きくなっている位置である。
これによれば、上記実施の形態20について説明したように、容器本体の他の部分よりも強度が高く、圧入による変形が生じ難い。また、容器本体が固定部を強く締めるため、経時でのノズル受入部材330等の管挿入部材の抜けも生じにくくなる。
(態様K)
態様A乃至Jの何れかの態様において、ノズル受入口331等の管受入口は容器シール333等の円環状シールの貫通穴で形成され、円環状シールとノズル受入部材330等の管挿入部材との間であって、搬送ノズル611等の搬送管が挿入された際に搬送管の周囲に、シール部材巻き込み防止空間337b等の閉ざされた空間が生じるよう構成されている。
これによれば、上記実施形態について説明したように、管挿入部材と容器シャッタ332等の容器開閉部材との間に円環状シールが巻き込まれることを防止できる。このため、円環状シールが巻き込まれることに起因して管受入口の開閉が行えなくなることを防止できる。
(態様L)
トナー補給装置60等の粉体搬送装置に水平方向を長手にして装着され、紛体搬送装置に供給する画像形成用のトナー等の粉体を収納する容器本体33等の容器本体と、容器本体の内部に配置され、粉体を長手の一端側から先端開口305等の容器開口部が設けられた他端側に搬送する螺旋状突起302等の搬送手段と、容器開口部に配置され、粉体搬送装置に固定された搬送ノズル611等の搬送管が挿入されて受け入れるノズル受入口331等の管受入口と、容器開口部に配置され、管受入口に連通して搬送管を容器本体の内部に案内するノズル受入部材330等の管挿入部材と、搬送手段から粉体を受け取り、自身が回転することで容器本体の下方から上方に粉体を持ち上げ、搬送管のノズル開口610等の粉体受入口に粉体を移動させる汲み上げ部304等の汲み上げ部と、を備えるトナー容器32等の粉体収納容器において、管挿入部材は、管受入口を開閉する容器シャッタ332等の容器開閉部材と、容器開閉部材を移動可能に支持するシャッタ側面支持部335a等の支持部と、支持部に隣接して配置され、汲み上げ部と、管挿入部材に挿入された搬送管の粉体受入口との間の連通を可能にするシャッタ支持開口335b等の支持部開口とを有し、管挿入部材が回転することで支持部と支持部開口とが交互に粉体受入口を横切る。
これによれば、上記実施形態について説明したように、仮に粉体受入口の上方で粉体が瞬間的に堆積してもその堆積した粉体を支持部が横切って崩すので、放置時に堆積した粉体が凝集してしまい、再起動時に粉体の搬送不良を起こすことを抑制することができる。
(態様M)
態様Lにおいて、シャッタ支持開口335b等の支持部開口の内縁部、またはシャッタ側面支持部335a等の支持部の外周面と内縁部とが、汲み上げ部304等の汲み上げ部からノズル開口610等の粉体受入口へのトナー等の粉体を移動させる場合の橋渡し部になっている。
これによれば、上記実施形態について説明したように、搬送ノズル611等の搬送管と凸部304h等の汲み上げ部を形成する容器本体33等の内壁との間にある隙間を通過するような粉体の流れを抑制することができる。これにより、汲み上げられた粉体は粉体受入口に効率良く入る。このため、容器本体内の粉体の量が少なくなったときでも補給速度が安定し、さらに、トナー容器32等の粉体収納容器の交換時に容器本体に残ってしまう粉体量を減らすことができる。また、交換時に容器本体に残ってしまう粉体量を減らすことができるため、ランニングコストを削減させて経済性を向上させるとともに、廃棄する残留粉体を低減させて環境への影響を低減させることができる。
(態様N)
態様Mにおいて、汲み上げ部304等の汲み上げ部とシャッタ側面支持部335a等の橋渡し部は、それぞれの回転方向が一致し、回転方向下流側から上流側に向けて、シャッタ支持開口335b等の支持部開口の内縁部、汲み上げ部の容器本体等の容器本体内に向けて隆起した凸部304h等の凸部の順になるよう互いに近接して配置されている。
これによれば、上記実施形態について説明したように、搬送ノズル611等の搬送管と凸部304h等の汲み上げ部を形成する容器本体33等の内壁との間にある隙間を通過するような粉体の流れを抑制することができる。
(態様O)
態様Mにおいて、容器本体33等の容器本体は、粉体搬送をする際には長手方向を回転軸にして搬送ノズル611等の搬送管に対して回転可能にトナー補給装置60等の粉体搬送装置に保持されるものであり、ノズル受入部材330等の管挿入部材は容器本体に固定され、汲み上げ部304等の汲み上げ部は、容器本体の内壁面が容器本体内に向けて隆起した凸部304h等の凸部と、凸部から容器本体の周面の内壁にまで繋がる隆起した汲み上げ壁面304f等の内壁面とを有する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、容器本体の回転によって、粉体を汲み上げる構成を実現することができる。
(態様P)
態様LまたはMにおいて、容器本体33等の容器本体は、粉体搬送をする際には長手方向を回転軸にして搬送ノズル611等の搬送管に対して回転可能にトナー補給装置60等の粉体搬送装置に保持されるものであり、ノズル受入部材330等の管挿入部材は容器本体に固定され、汲み上げ304等の汲み上げ部は、容器本体の内壁面が容器本体内に向けて隆起した凸部304h等の凸部と、凸部から容器本体周面の内壁にまで繋がる隆起した汲み上げ壁面304f等の内壁面とを有し、凸部とシャッタ側面支持部335a等の橋渡し部とが密着、または若干の隙間を持って対向する。
これによれば、上記実施形態について説明したように、容器本体の回転によって、粉体を汲み上げる構成を実現することができる。また、搬送ノズル611等の搬送管と凸部304h等の汲み上げ部を形成する容器本体33等の内壁との間にある隙間を通過するような粉体の流れを抑制することができる。
(態様Q)
態様Lにおいて、容器本体33等の容器本体は、粉体搬送をする際には長手方向を回転軸にして搬送ノズル611等の搬送管に対して回転可能にトナー補給装置60等の粉体搬送装置に保持されるものであり、ノズル受入部材330等の管挿入部材は容器本体に固定され、汲み上げ部304等の汲み上げ部は、管挿入部材から容器本体周面の内壁の近傍にまで延在するよう突出した汲み上げリブ304g等のリブを有する。
これによれば、上記変形例について説明したように、螺旋状突起302等の搬送手段で搬送されてきた粉体をリブが受け取り、これを回転によって下方から上方に汲み上げることができる。そして、リブ面を滑り台にしてノズル開口610等の粉体受入口まで粉体を流し込むことが可能になる。
(態様R)
トナー等の画像形成用の粉体を用いて感光体41等の像担持体上に画像形成をするプリンタ部100等の画像形成部と、画像形成部に該粉体を搬送するトナー補給装置60等の粉体搬送部と、粉体搬送部に着脱自在に保持されるトナー容器32等の粉体収納容器と、を備える複写機500等の画像形成装置において、粉体収納容器として、態様A乃至Qのいずれかの態様に記載の粉体収納容器を用いる。
これによれば、上記実施形態について説明したように、粉体の飛散を防止でき、粉体の飛散に起因する粉体収納容器の位置決め精度の低下や、粉体収納容器の回転トルクの上昇を防止することができるので、粉体の搬送先に向けて、安定した粉体搬送を行うことができる。画像形成用の粉体を安定して搬送できることで、画像形成部に搬送される粉体の量が安定するため、画像濃度が安定し、良好な画像形成を行うことができる。