JP6515604B2 - トナー収容容器、及び画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、トナーが収容されたトナー収容容器及び画像形成装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写機、これら複数の機能を備えた複合機などの電子写真方式の画像形成装置は、粉体であるトナーを収容した粉体収容容器としてのトナー収容容器からトナーを粉体搬送装置で現像装置に供給(補給)している。トナー収容容器には、トナーが収容される粉体収容部と、粉体収容部の一端に設けられた開口部と、トナー収容容器からのトナーを受け入れる粉体受入口を有する搬送管を受け入れる開口部に設けられた搬送管受入部材と、粉体収容部の開口部側へトナーを搬送する搬送手段と、粉体収容部が回転することで開口部側のトナーを汲み上げて粉体受入口へと落下させて供給する粉体汲み上げ部を有する構成のものがある(例えば特許文献1)。
搬送管受入部材の開口部に挿入された搬送管の粉体受入口に対してトナーを汲み上げて供給する方式の場合、汲み上げ面からトナーがこぼれ落ちることにより、汲み上げ面によるトナーの汲み上げ効率が落ちることがあった。また、汲み上げ面によるトナーの汲み上げ効率を上げた際に、トナーの特性によって、トナー受け入れ口のつまり・閉塞が生じトナーの排出量が低下すること、およびトナー収容容器に多量のトナーが残ったままトナーが排出されなくなりトナー収容容器の交換が必要となることがあった。
近年、更なる省エネルギー化を図る観点から、低温定着や高速複写を可能にする技術の開発が進められており、例えば、低軟化点の樹脂・ワックス等を用いて低温定着性に優れたトナーが検討されてきている。しかし、前記低温定着性に優れたトナーでは、熱的に弱いため、使用している機械から発生する熱や保存時の熱等によって固まってしまう現象、即ちブロッキング現象が生じ易くなり、耐熱保存性が十分でなく、また、ホットオフセットが発生しやすいため、定着温度幅を十分に確保するのが困難であるという問題がある。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、トナー収容容器内に挿入された搬送管の粉体受入口に効率よくトナーを供給可能でき、かつトナー受け入れ口のつまり・閉塞が生じトナーの排出量が低下することがなく、トナー収容容器に多量のトナーが残ったままトナーが排出されなくなりトナー収容機の交換が必要となることがないトナー収容容器を提供することを目的とする。
また、本発明は、更に、低温定着性と、耐ホットオフセット性と、耐熱保存性とを良好なレベルに両立させることが可能なトナー収容容器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るトナー収容容器は、トナーが収容されたトナー収容容器が装着可能であり、前記トナー収容容器からのトナーを受け入れる粉体受入口を有し、前記粉体受入口が上方に向け開口している搬送管を備え、装着されたトナー収容容器を所定回転数の範囲で回転させる画像形成装置に用いるトナー収容容器であって、前記トナーと、前記トナーを収容する回転可能な粉体収容部と、前記粉体収容部の一端に設けられ、前記搬送管を該トナー収容容器の回転中心となる位置に挿入可能な開口部と、容器内部に突出して、前記開口部側へ前記粉体収容部内のトナーを搬送する螺旋状突起と、前記粉体収容部が回転することで前記開口部側のトナーを汲み上げて前記粉体受入口へと供給する粉体汲み上げ部を備え、前記トナーのスパチュラ角は30°〜65°であり、前記トナーの、テトラヒドロフラン(THF)を用いてソクスレー抽出法により抽出される成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布における重量平均分子量Mwが、5,000以上35,000以下であり、前記粉体汲み上げ部は、前記粉体収容部の内壁面から回転中心軸側に向かって延びる汲み上げ面を有し、前記汲み上げ面は、前記回転中心軸側の内端部が前記粉体収容部の該回転中心軸方向に延びているとともに、前記内端部の縁が前記回転中心軸と略平行であり、且つ、前記回転中心軸方向から見たときに、該回転中心軸及び該内端部の縁を通る仮想直線よりも前記粉体収容部の回転方向における上流側に向けて所定範囲の傾斜角で傾斜させてあり、前記螺旋状突起が汲み上げ面に接続されており、当該接続される部分は汲み上げ面から周方向に伸びていることを特徴とするトナー収容容器である。
本発明によれば、トナー収容容器内に挿入された搬送管の粉体受入口に効率よくトナー収容容器内の粉体であるトナーを供給し、かつまた、トナーによるトナー収容容器内でのトナーのつまりを防止し、トナー収容容器から排出されずに残留するトナーを低減することができる。
本発明に係る粉体収納容器を装着する前の粉体搬送装置と粉体収納容器の断面説明図。 本発明に係る画像形成装置の一形態を示す全体構成図。 図2に示す画像形成装置の作像部の一構成を示す模式図。 粉体搬送装置に粉体収納容器が設置された状態を示す概略斜視図。 図2に示す画像形成装置における粉体搬送装置に粉体収納容器が設置された状態を示す模式図。 粉体収納容器を装着した状態の粉体収納装置と粉体収納容器の斜視説明図。 本発明に係る粉体収納容器の構成を示す斜視説明図。 粉体収納容器を装着した状態の粉体収納装置と粉体収納容器の断面説明図。 本発明に係るトナー収容容器の粉体収容部の構成と、ノズル受入部材を取り外した状態を説明する図。 ノズル受入部材を粉体収容部に取り付けた状態を説明する図。 容器先端側から見たノズル受入部材の斜視説明図。 (a)〜(d)は開閉部材と搬送管の装着動作時の状態を説明する上方から見た平面視図。 本発明の第1の実施形態に係る粉体汲み上げ部の汲み上げ面の構成を示す拡大図。 汲み上げ面がマイナス方向に傾斜した時の汲み上げ特性となるトナー残量と補給量の関係を示す図。 (a)、(b)は、本発明に係るトナー収容容器の量産モデルによるトナー収容容器本体の汲み上げ面の傾斜角とトナー収容容器本体の回転数を変更した場合の汲み上げ特性となるトナー残量と排出量の関係を比較する図。 (a)、(b)は、本発明に係るトナー収容容器の量産モデルによるトナー収容容器本体の汲み上げ面の傾斜角とトナー環境条件を変更した場合の汲み上げ特性となるトナー残量と補給量の関係を比較する図。 本発明の第5の実施形態に係るトナー収容容器本体の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図。 本発明の第5の実施形態に係るトナー収容容器本体の開口部側の構成を説明する拡大斜視図。 本発明の第5の実施形態に係るトナー収容容器本体の開口部側の構成を説明する拡大断面図。 本発明の第5の実施形態に粉体汲み上げ部の汲み上げ面の構成を説明する拡大図。 (a)〜(c)は、本発明の第5の実施形態に係る粉体汲み上げ部の回転時の変化を模式的に説明した動作図。 (a)〜(c)は、図21(c)に続く粉体汲み上げ部の回転時の変化を模式的に説明した動作図。 (a)はトナー収容容器本体の内部空間が小さい場合のトナーの拡散性を示す模式図、(b)は第5の実施形態に係るトナー収容容器本体の内部空間を広げた場合のトナーの拡散性を示す模式図。 トナーのTHFを用いてソクスレー抽出法により抽出される成分のGPCによる分子量分布における重量平均分子量Mwの測定方法の一例を示す説明図。 本発明の実施例における定着性の評価に用いたベルト式定着装置。
(画像形成装置)
以下、本発明の複数の実施形態について図面を用いて説明する。各形態において同一部材または同一機能を有する部材には、同一の符号を付し、後段の実施形態においてはその説明を省略する。以下の記載は例であり、特許請求の範囲を限定するものではない。また当業者は本発明の特許請求の範囲内で変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であるが、これらの変更・修正は当然この特許請求の範囲に含まれる。なお、図中Y、M、C、Kは(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した構成部材に付す添え字であり、適宜省略する。
図2は、本発明が適用された画像形成装置としての電子写真方式でタンデム型のカラー複写機(以下、「複写機500」という)の概略構成図である。複写機500は、モノクロ複写機であってもよい。画像形成装置としては、複写機ではなく、プリンタ、ファクシミリ、これら複数の機能を備えた複合機であってもよい。複写機500は、複写機装置本体(以下、「プリンタ部100」という)、給紙テーブル(以下、「給紙部200」という)及びプリンタ部100上に取り付ける原稿読取部(以下、「スキャナ部400」という)から主に構成されている。
プリンタ部100の上部に設けられた粉体容器収納部としてのトナー収容容器収納部70には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した四つのトナー収容容器としてのトナー収容容器32(Y,M,C,K)が着脱自在(交換自在)に設置されている。トナー収容容器収納部70の下方には中間転写ユニット85が配設されている。
中間転写ユニット85は、中間転写体としての中間転写ベルト48、四つの一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)、二次転写バックアップローラ82、複数のローラ、及び、中間転写クリーニング装置等を備えている。中間転写ベルト48は、複数のローラによって張架、支持されるとともに、これら複数のローラの一つである二次転写バックアップローラ82の回転駆動によって図2中の矢印方向に無端移動する。
プリンタ部100には、中間転写ベルト48に対向するように、各色に対応した四つの作像部46(Y,M,C,K)が並設されている。四つのトナー収容容器32(Y,M,C,K)の下方には、それぞれの色のトナー収容容器に対応した四つの粉体補給(供給)装置としてのトナー補給装置60(Y,M,C,K)が配設されている。そして、トナー収容容器32(Y,M,C,K)に収容された粉体の現像剤であるトナーは、それぞれに対応するトナー補給装置60(Y,M,C,K)によって、各色に対応した作像部46(Y,M,C,K)が備える現像装置内に供給(補給)される。本実施形態においては、四つの作像部46(Y,M,C,K)によって画像形成部が構成されている。
図2に示すように、プリンタ部100は、四つの作像部46の下方に潜像形成手段である露光装置47を備えている。露光装置47は、スキャナ部400で読み込んだ原稿画像の画像情報に基づいて、後述する像担持体としての感光体41(Y,M,C,K)の表面を露光走査し、各感光体の表面に静電潜像を形成する。画像情報はスキャナ部400からの読み込みではなく、複写機500に接続されたパーソナルコンピュータ等の外部装置から入力される画像情報であってもよい。
本実施形態において、露光装置47には、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナ方式を用いているが、露光手段としてはLEDアレイを用いるものなど他の構成でも良い。
図3は、イエローに対応した作像部46Yの概略構成を示す模式図である。
作像部46Yは、ドラム状の感光体41Yを備える。作像部46Yは、帯電手段である帯電ローラ44Y、現像手段である現像装置50Y、感光体クリーニング装置42Y、除電装置等を感光体41Yの周囲に配設した構成である。そして、感光体41Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われることで、感光体41Y上にイエローのトナー像が形成される。
なお、他の三つの作像部46(M,C,K)も、使用されるトナーの色が異なる点以外は、イエローに対応した作像部46Yとほぼ同様の構成となっていて、各感光体41(M,C,K)上にそれぞれの色のトナーに対応したトナー像が形成される。以下、他の三つの作像部46(M,C,K)の説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部46Yのみの説明を行うことにする。
感光体41Yは、駆動モータによって図3中の時計回り方向に回転駆動される。感光体41Yは、帯電ローラ44Yと対向する位置で、感光体41Yの表面が一様に帯電される(帯電工程)。その後、感光体41Yの表面は、露光装置47から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程)。その後、感光体41Yの表面は、現像装置50Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像がイエローのトナーで現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程)。
中間転写ユニット85の四つの一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)は、それぞれ、中間転写ベルト48を感光体41(Y,M,C,K)との間に挟み込んで一次転写ニップをそれぞれ形成している。一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)には、トナーの極性とは逆の転写バイアスがそれぞれ印加される。
現像工程でトナー像が形成された感光体41Yの表面は、中間転写ベルト48を挟んで一次転写バイアスローラ49Yと対向する一次転写ニップに達して、この一次転写ニップで感光体41Y上のトナー像が中間転写ベルト48上に転写される(一次転写工程)。このとき、感光体41Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。一次転写ニップでトナー像を中間転写ベルト48に転写した感光体41Yの表面は、感光体クリーニング装置42Yとの対向位置に達する。感光体41Y上に残存した未転写トナーは、この対向位置で感光体クリーニング装置42Yが備えるクリーニングブレード42aによって機械的に回収される(クリーニング工程)。最後に、感光体41Yの表面は、除電装置との対向位置に達して、この位置で感光体41Y上の残留電位が除去される。こうして、感光体41Y上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
このような作像プロセスは、他の作像部46(M,C,K)でも、イエローの作像部46Yと同様に行われる。すなわち、作像部46(M,C,K)の下方に配設された露光装置47から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各作像部46(M,C,K)の感光体41(M,C,K)上に向けて照射される。詳しくは、露光装置47は、光源からレーザ光Lを発し、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して各感光体41(M,C,K)上に照射する。その後、現像工程を経て各感光体41(M,C,K)上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト48上に転写する。
このとき、中間転写ベルト48は、図2中の矢印方向に走行して、各一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)の一次転写ニップを順次通過する。これにより、各感光体41(Y,M,C,K)上の各色のトナー像が、中間転写ベルト48上に重ねて一次転写され、中間転写ベルト48上にカラートナー像が形成される。
各色のトナー像が重ねて転写され、カラートナー像が形成された中間転写ベルト48は、二次転写ローラ89との対向位置に達する。この位置では、二次転写バックアップローラ82が、二次転写ローラ89との間に中間転写ベルト48を挟み込んで二次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト48上に形成されたカラートナー像は、二次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に、例えば二次転写バックアップローラ82に印加される転写バイアスの作用によって転写される。このとき、中間転写ベルト48には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。二次転写ニップを通過した中間転写ベルト48は、中間転写クリーニング装置の位置に達し、その表面上の未転写トナーが回収され、中間転写ベルト48上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
次に、記録媒体Pの動きについて説明する。
上述した二次転写ニップに搬送される記録媒体Pは、プリンタ部100の下方に配設された給紙部200に設けられた給紙トレイ26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されるものである。詳しくは、給紙トレイ26には記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図2中、反時計回り方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28の二つのローラによって形成されるローラニップに向けて搬送される。
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト48上のカラートナー像が二次転写ニップに到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されることで、記録媒体Pが二次転写ニップに向けて搬送される。これにより、記録媒体P上に、所望のカラートナー像が転写される。
二次転写ニップでカラートナー像が転写された記録媒体Pは、定着装置86の位置に搬送される。定着装置86では、定着ベルト及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラートナー像が記録媒体P上に定着される。定着装置86を通過した記録媒体Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。こうして、複写機500における一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、作像部46における現像装置50の構成及び動作について、さらに詳しく説明する。なお、ここではイエローに対応した作像部46Yを例に挙げて説明を行うが、他色の作像部46(M,C,K)においても同様の構成及び動作を行う。
現像装置50Yは、図3に示すように、現像剤担持体としての現像ローラ51Y、現像剤規制板としてのドクタブレード52Y、二つの現像剤搬送スクリュ55Y、及び、トナー濃度検知センサ56Y等で構成されている。現像ローラ51Yは、感光体41Yに対向し、ドクタブレード52Yは、現像ローラ51Yに対向する。二つの現像剤搬送スクリュ55Yは、二つの現像剤収容部(53Y,54Y)内に配設されている。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットローラ、及び、マグネットローラの周囲を回転するスリーブ等で構成されている。第一現像剤収容部53Y及び第二現像剤収容部54Y内には、キャリアとトナーとからなる二成分の現像剤Gが収容されている。第二現像剤収容部54Yは、その上方に形成された開口を介してトナー落下搬送経路64Yに連通している。トナー濃度検知センサ56Yは、第二現像剤収容部54Y内の現像剤G中のトナー濃度を検知する。
現像装置50Y内の現像剤Gは、二つの現像剤搬送スクリュ55Yによって、攪拌されながら、第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとの間を循環する。第一現像剤収容部53Y内の現像剤Gは、現像剤搬送スクリュ55Yの一方に搬送されながら現像ローラ51Y内のマグネットローラにより形成される磁界によって現像ローラ51Yのスリーブ表面上に供給されて担持される。現像ローラ51Yのスリーブは、図3に矢印で示すように反時計回り方向に回転駆動し、現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。このとき、現像剤G中のトナーは、現像剤G中のキャリアとの摩擦帯電によりキャリアとは逆極性の電位に帯電して静電的にキャリアに吸着し、現像ローラ51Y上に形成された磁界によって引き寄せられるキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、図3中の矢印方向に搬送されて、ドクタブレード52Yと現像ローラ51Yとが対向するドクタ部に達する。現像ローラ51Y上の現像剤Gは、ドクタ部を通過する際にその量が規制されて適量化され、その後、感光体41Yとの対向位置である現像領域まで搬送される。現像領域では、現像ローラ51Yと感光体41Yとの間に形成された現像電界によって感光体41Y上に形成された潜像に現像剤G中のトナーが吸着される。現像領域を通過した現像ローラ51Yの表面上に残った現像剤Gは、スリーブの回転に伴い第1現像剤収容部53Yの上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
現像装置50Y内の現像剤Gは、トナー濃度が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置50Y内の現像剤Gに含まれるトナーの現像による消費量に応じて、トナー収容容器32Yに収容されているトナーが、後述するトナー補給装置60Yを介して第二現像剤収容部54Y内に補給される。第二現像剤収容部54Y内に補給されたトナーは、二つの現像剤搬送スクリュ55Yによって、現像剤Gとともに混合、攪拌されながら、第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとの間を循環する。
図4は、トナー収容容器収納部70に4つのトナー収容容器32(Y、M、C、K)が装着された状態を示す概略斜視図である。図5は、トナー補給装置60にトナー収容容器32が装着された状態を示す模式図である。各色のトナー補給装置60(Y、M、C、K)は、トナーの色が異なる以外は同一構成である。このため、図5では、(Y、M、C、K)を省略してトナー補給装置60とトナー収容容器32を説明する。なお、色毎で異なる構成がある場合は、特定の色を示す添え字であるY、M、CまたはKを符号として用いるが、色毎で異なる構成ではない場合、あるいは共通の構成である場合には、(Y、M、C、K)を付す場合と適宜添え字を省略する場合がある。図4において矢印Qは、各色のトナー収容容器32の各トナー補給装置60への装着方向を示し、Q1は各色のトナー収容容器32の各トナー補給装置60からの離脱方向をそれぞれ示す。
図4に示すプリンタ部100のトナー収容容器収納部70に装着されたトナー収容容器32(Y、M、C、K)内のトナーは、図5に示すように、各色の現像装置50内のトナー消費に応じて、適宜に現像装置内に補給される。このとき、各トナー収容容器32内のトナーは、各色のトナー補給装置60によって現像装置50に補給される。トナー補給装置60は、トナー収容容器収納部70、搬送管としての搬送ノズル611、搬送部材としての搬送スクリュ614、トナー落下搬送経路64、駆動部(容器回転駆動部)91等でそれぞれ構成されている。トナー収容容器32が図5中、装着方向Qへユーザーによって押し込まれる装着動作によってプリンタ部100のトナー収容容器収納部70内を移動されると、その装着動作に連動して、トナー収容容器32の装着方向Qにおける容器先端側からトナー補給装置60の各搬送ノズル611がそれぞれ容器内に挿入される。これにより、各トナー収容容器32内と各搬送ノズル611内とが連通する。この装着動作に連動して連通する構成についての詳細は後述する。
各色のトナー収容容器32はトナーボトルとも称され、トナー収容容器収納部70に非回転でそれぞれ保持される保持部であり容器カバーとしての容器先端側カバー34と、容器側歯車としての容器ギア301が一体的に形成された粉体収容部としての略円筒形状のトナー収容容器本体33とから主に構成される。各トナー収容容器本体33は、各容器先端側カバー34に対して回転可能に保持されている。なお、図5中のセットカバー608は、トナー収容容器収納部70の容器カバー受入部73の一部である。
トナー収容容器収納部70は、図4に示すように、主として、挿入口形成部71と、容器受部72と、容器カバー受入部73とで構成されている。
挿入口形成部71は、各トナー収容容器32(Y、M、C、K)の装着動作時における挿入口71aが形成された部分である。トナー収容容器収納部70の挿入口形成部71は、複写機500の手前側(図2の紙面垂直方向手前側)に設置された図示しない本体カバーを開放すると露呈される。そして、各トナー収容容器32(Y、M、C、K)の長手方向を水平方向とした状態で、複写機500の手前側から各トナー収容容器32の着脱操作(トナー収容容器32(Y、M、C、K)の長手方向を着脱方向とする着脱操作)を行う。
容器受部72は、各トナー収容容器32のトナー収容容器本体33(Y、M、C、K)をそれぞれ支持する部分である。容器受部72は、トナー補給装置60にトナー収容容器32(Y、M、C、K)を装着するときに、トナー収容容器32(Y、M、C、K)を滑らせて移動させる部分であり、トナー収容容器32(Y、M、C、K)の長手方向(着脱方向)と直交する幅方向Wにおいて4つに区分されている。
容器受部72は、容器32の長手方向に沿って、挿入口形成部71から容器カバー受入部73まで続く、容器載置部としての溝部が形成されている。各色のトナー収容容器32(Y,M,C,K)は、この溝部上で長手方向(装着方向Q,離脱方向Q1)に滑り移動可能に構成されている。容器受部72は、その長手方向の長さが、各色のトナー収容容器本体33(Y、M、C、K)の長手方向の長さとほぼ同等になるように形成されている。
容器カバー受入部73は、各トナー収容容器32(Y、M、C、K)の容器先端側カバー34(Y、M、C、K)及びトナー収容容器本体33(Y、M、C、K)をそれぞれ保持する部分である。容器カバー受入部73は、容器受部72における長手方向(着脱方向)の容器先端側(装着方向Q側)に設けられ、挿入口形成部71は容器受部72における長手方向の一端側(離脱方向Q1側)に設けられている。
4つのトナー収容容器32(Y、M、C、K)は、それぞれ容器受部72上で滑り移動可能とされている。このため、各トナー収容容器(Y、M、C、K)の装着動作にともない、容器先端側カバー34(Y、M、C、K)は、挿入口形成部71を通過した後に、しばらく容器受部72上を滑動して、その後に容器カバー受入部73に装着される。
図5に示すように、各トナー収容容器本体33には歯車としての容器ギア301がそれぞれ設けられている。各トナー収容容器本体33には、各容器先端側カバー34が容器カバー受入部73にそれぞれ装着された状態で、駆動モータとギア等で構成されている駆動部(容器回転駆動部)91から本体側歯車としての容器駆動ギア601をそれぞれ介して各容器ギア301に回転駆動が入力される。これにより、各色のトナー収容容器本体33が図5中の矢印Aで示す回転方向(以下、回転方向Aと記す)に回転駆動される。各トナー収容容器本体33内のトナーは、各トナー収容容器本体33自体がそれぞれ回転することで、トナー収容容器本体33の内周面に螺旋状に形成された螺旋状突起302によって、トナー収容容器本体長手方向に沿って図5中の左側に位置する一端から右側に位置する他端へそれぞれ搬送される。すなわち本実施形態において、搬送手段は螺旋状突起302である。これにより、他端にそれぞれ設けられた容器先端側カバー34側から各色の搬送ノズル611に、上方に向け開口するように形成された粉体受入口としてのノズル開口610を介して搬送ノズル611内に各色のトナーがそれぞれ供給される。各ノズル開口610は、各トナー収容容器本体33の長手方向における容器ギア301が設けられている位置を越えた内側の位置で後述するシャッタ支持開口335bとそれぞれ連通する。すなわち、各容器ギア301は、各ノズル開口610とシャッタ支持開口335bとが連通する位置よりも開口部33a側において容器駆動ギア601とそれぞれ噛み合う。
搬送ノズル611内には、それぞれ搬送スクリュ614が配置されている。各搬送スクリュ614は、駆動部(容器回転駆動部)91から搬送スクリュギア605に回転駆動が入力されることで回転し、搬送ノズル611内に供給されたトナーをそれぞれ搬送する。搬送ノズル611の搬送方向下流端は、トナー落下搬送経路64にそれぞれ接続されている。各搬送スクリュ614によって搬送されたトナーは、トナー落下搬送経路64を自重落下して現像装置50(第二現像剤収容部54)内にそれぞれ補給される。
トナー収容容器32(Y、M、C、K)は、それぞれ寿命に達したとき(収容するトナーがほとんどすべて消費されて空になったとき)に新品のものに交換される。図4に示す各色のトナー収容容器32(Y、M、C、K)の長手方向における容器先端側カバー34(Y、M、C、K)とは反対側の端部、すなわち、離脱方向Q1には把手部303(Y、M、C、K)がそれぞれ設けられており、容器交換の際には、作業者が把手部303(Y、M、C、K)を握って引き出すことで、トナー収容容器収納部70に装着されたトナー収容容器32(Y、M、C、K)を取り外すことが出来る。
ここで、図6を用いて駆動部91の構成について補足する。なお図6では、色の識別符号は省略している。駆動部91は、各色の容器駆動ギア601と各色の搬送スクリュギア605をそれぞれ備えている。各容器駆動ギア601は、各取付基板602に固定された駆動モータ603によってそれぞれ駆動され、その出力歯車がそれぞれ回転することで回転駆動される。各搬送スクリュギア605は、各出力歯車の回転がそれぞれ各色の連結歯車604を介してそれぞれ伝達されることで回転駆動される。
図5に示すように、トナー補給装置60では、各搬送スクリュ614の回転数によって各現像装置50へのトナーの供給量を制御している。このため、各搬送ノズル611内を通過したトナーは、各現像装置50への供給量をそれぞれ制御されることなく、トナー落下搬送経路64を介して、直接に各現像装置50へと搬送される。本実施形態のように、搬送ノズル611をトナー収容容器32にそれぞれ挿入するトナー補給装置60であっても、或はこれにトナーホッパ等のトナー一時貯留部を設けたもの等であってもよい。
次に、本実施形態に係るトナー収容容器32(Y、M、C、K)及びトナー補給装置60(Y、M、C、K)についてより詳細に説明する。なお、上述したように、トナー収容容器32(Y、M、C、K)及びトナー補給装置60(Y、M、C、K)は、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっている。このため、トナーの色を示す添字Y、M、C、Kは省略するとともに、1つのトナー収容容器32とトナー補給装置60の構成として説明する。
図1は、トナー収容容器32を装着する前のトナー補給装置60と、容器先端側のトナー収容容器32の端部との断面説明図である。図7はトナー収容容器32の斜視説明図であり、図8は、トナー収容容器32を装着した状態のトナー補給装置60と、容器先端側のトナー収容容器32の端部との断面説明図である。
図1に示すように、トナー補給装置60は、内部に搬送スクリュ614を備える搬送ノズル611と、ノズルシャッタ612を備える。ノズルシャッタ612は、トナー収容容器32が装着される前の非装着時(図1の状態)ではノズル開口610を閉鎖し、トナー収容容器32が装着された装着時(図8の状態)ではノズル開口610を開放するように、搬送ノズル611の外周面にスライド自在に装着されている。このノズルシャッタ612には、後述する搬送管受入部材としてのノズル受入部材330における搬送ノズル611と当接する端面よりも装着方向下流側に鍔部としてのノズルシャッタ鍔部612aが設けられている。
一方、トナー収容容器32(トナー収容容器本体)の先端面の中央には、装着時に搬送ノズル611が挿入される管挿入口としてのノズル受入口331が形成されており、非装着時にノズル受入口331を閉鎖する開閉部材としての容器シャッタ332を備える。
セットカバー608は、その中央に搬送ノズル611が配置されている。搬送ノズル611は、トナー収容容器32の装着方向Qにおいて下流側となる容器セット部615における装着方向奥側である端面615bから装着方向上流側に向けて容器カバー受入部73内に突出するように配置されている。容器受入部としての容器セット部615は、搬送ノズル611の周囲を囲むように、搬送ノズル611の突出方向であって、トナー収容容器32の装着方向上流側に向かって立設している。つまり、容器セット部615は、搬送ノズル611の根本に配置されており、トナー収容容器32内のトナーを搬送するためにトナー収容容器32内の搬送手段が回転する際に回転中心軸部として機能する容器開口部33aのトナー収容容器収納部70への位置決め部である。すなわち、容器開口部33aが容器セット部615に挿入されて嵌合することで、容器開口部33aの径方向への位置が確定される。トナー収容容器32は、トナー補給装置60に装着された状態で、トナー収容容器32の容器開口部33aの外周面33bが容器セット部615と摺動可能な状態で嵌合する。
容器セット部615の端部内周面615aとトナー収容容器32の容器開口部33aの外周面33bとが嵌合することにより、トナー収容容器32のトナー補給装置60に対するトナー収容容器32の長手方向(着脱方向)に直交する径方向の位置決めがなされる。また、トナー収容容器32の回転時には、容器開口部33aの外周面33bが回転中心軸部として機能し、容器セット部615の端部内周面615aは軸受けとして機能する。このときの容器開口部33aの外周面33bが容器セット部615の端部内周面615aと摺動可能に接触し、トナー収容容器32のトナー補給装置60に対する径方向の位置決めがなされる位置を図8中のαで示す。
図9に示すように、トナー収容容器本体33は、略円筒状であり、円筒の中心軸を回転中心軸Oとして回転する構成となっている。以下、トナー収容容器32の長手方向において、トナー収容容器32におけるノズル受入口331が形成されている側(容器先端側カバー34が配置されている側)を「容器先端側」と呼ぶことにする。また、トナー収容容器32における把手部303が配置されている側(容器先端側とは逆側)を「容器後端側」と呼ぶことにする。なお、トナー収容容器32の長手方向は回転中心軸方向であり、トナー補給装置60にトナー収容容器32を装着した状態では、長手方向は水平方向となる。トナー収容容器本体33の容器ギア301よりも容器後端側は、容器先端側よりもその外径が大きくなっており、その内周面には螺旋状突起302が形成されている。そして、トナー収容容器本体33が図中の回転方向Aに回転すると、トナー収容容器本体33内のトナーは螺旋状突起302の作用によって回転中心軸方向における一端側(容器後端側)から他端側(容器先端側)に向かう搬送力が付与される。
トナー収容容器本体33の容器先端側の内壁には、図9、図10に示すように、トナー収容容器本体33が回転方向Aに回転することで螺旋状突起302によって容器先端側に搬送されてきたトナーを、トナー収容容器本体33の回転によって上方に汲み上げる粉体汲み上げ部304が形成されている。粉体汲み上げ部304は、螺旋状突起302の搬送力によって搬送されたトナーを、トナー収容容器本体33の回転に応じてその汲み上げ面3040によって上方に汲み上げる。これにより、挿入された搬送ノズル611よりも上方にトナーを汲み上げることができる。また、図9、図10に示すように、粉体汲み上げ部304の内周面にも、螺旋状突起302と同様に内部のトナーを汲み上げ面3040にトナーを送り込むための搬送部としての汲み上げ部が形成されている。粉体汲み上げ部304の詳細については、後述詳細に説明する。
トナー収容容器本体33の粉体汲み上げ部304よりもさらに容器先端側には、容器ギア301が形成されている。容器先端側カバー34には、トナー収容容器本体33に取り付けた状態で、この容器ギア301の一部(図7中の奥側)が露出するように、歯車露出開口部34aが設けられている。そして、トナー収容容器32をトナー補給装置60に装着することで、歯車露出開口部34aから露出した容器ギア301が、トナー補給装置60側の容器駆動ギア601に噛み合う構成となっている。容器ギア301は、ノズル開口610よりもトナー収容容器本体33の長手方向において容器開口部33a側(容器開口部33aの近傍)に設けられていて、容器駆動ギア601と噛合可能に配置されている。そして容器ギア301は、容器駆動ギア601に噛合することで、搬送手段を回転可能とする。
トナー収容容器本体33の容器ギア301よりもさらに容器先端側には、円筒状の容器開口部33aが容器ギア301と同軸上に形成されている。そして、図10に示すように、この容器開口部33aに容器開口部33aと同軸にノズル受入部材330の受入部材固定部337を圧入することにより、トナー収容容器本体33に対してノズル受入部材330を固定することが出来る。トナー収容容器32は、トナー収容容器本体33に対してその一端側に設けられた開口部としての容器開口部33aの開口からトナーを充填後、図10に示すようにノズル受入部材330をトナー収容容器本体33の容器開口部33aに挿入固定する構成となっている。つまり容器開口部33aは、搬送ノズル611をトナー収容容器32の回転中心となる位置に挿入可能としている。
図10に示すように、トナー収容容器本体33の容器開口部33aと容器ギア301との間には、引掛け部としてのカバー爪引掛け部306が形成されている。カバー爪引掛け部306は、容器先端側カバー34の装着方向先端部に回転方向(周方向)に延びるリング形状をなしている。カバー爪引掛け部306は、容器開口部33aの外周面を一周するように形成されている。
容器先端側カバー34は、図1、図8に示すようにトナー収容容器32(トナー収容容器本体33)に対して、容器先端側(図8中の左下側)から組み付けられる。これにより、トナー収容容器本体33が長手方向で容器先端側カバー34を貫き、突部としてのカバー爪部341が引っ掛け部としてのカバー爪引掛け部306に引っ掛かる。トナー収容容器本体33と容器先端側カバー34とは、カバー爪部341がカバー爪引掛け部306に引っ掛かることで、相対回転可能に取り付けられる。
トナー収容容器32が図5に示したトナー収容容器収納部70に保持された状態において、トナー収容容器32には、図8に示すように容器シャッタバネ336を圧縮させる力の反力(復元力)、及びノズルシャッタバネ613を圧縮させることで生じる反力が加わっている。
本実施形態におけるトナー収容容器32は、画像形成用のトナーが収容されたトナー収容容器32が装着され、トナーが搬送される搬送管としての搬送ノズル611と、搬送ノズルに設けられた粉体受入口としてのノズル開口610を開閉する粉体受入口開閉部材としてのノズルシャッタ612と、ノズルシャッタ612がノズル開口610を閉鎖するように付勢する付勢部材としてのノズルシャッタバネ613と、駆動力をトナー収容容器32内の搬送手段に伝達する本体側歯車としての容器駆動ギア601と、搬送ノズル611と同軸線上であって搬送ノズル611の周囲に配設されたトナー収容容器32を受け入れる容器受入部としての容器セット部615とを備えた複写機500に装着可能なトナー収容容器である。
次に、トナー収容容器本体33に固定されるノズル受入部材330について説明する。
ノズル受入部材330は、図11に示すように、支持部材としての容器シャッタ支持部材340と、容器シャッタ332と、封止部材としての容器シール333と、付勢手段としての容器シャッタバネ336と、受入部材固定部337とから構成されている。容器シャッタ支持部材340は、シャッタ後端支持部335、側面部としてのシャッタ側面支持部335a、側面開口部としてのシャッタ支持開口335b及び受入部材固定部337からなり、容器シャッタバネ336はコイルスプリングからなる。容器シャッタ支持部材340に設けられたシャッタ側面支持部335aとシャッタ支持開口335bとはトナー収容容器回転方向において互いに隣り合って配置され、二つの互いに対向するシャッタ側面支持部335aが円筒形状の一部を形成し、シャッタ支持開口335bの部分(ニ箇所)で円筒形状を大きく切り取った形状となっている。このような形状により、円筒形状の内側に形成される円柱状の空間内を容器シャッタ332が長手方向に移動するようにガイドすることができる。
トナー収容容器本体33に固定されるノズル受入部材330は、トナー収容容器本体33の回転時にトナー収容容器本体33とともに回転するが、このとき、ノズル受入部材330のシャッタ側面支持部335aは、トナー補給装置60側の搬送ノズル611の周りを回転する。このため、回転しているシャッタ側面支持部335aが搬送ノズル611の上部に形成されたノズル開口610のすぐ上方の空間を通過する。これにより、仮にノズル開口610の上方でトナーが瞬間的に堆積してもその堆積トナーをシャッタ側面支持部335aが横切って崩すので、放置時に堆積トナーが凝集してしまい、再起動時にトナーの搬送不良を起こすことを抑制することができる。一方、シャッタ側面支持部335aが搬送ノズル611の側方に位置し、ノズル開口610とシャッタ支持開口335bとが対向するタイミングでは、図8中の矢印βで示すように、トナー収容容器本体33内のトナーが搬送ノズル611内へと供給される。
図10に示すように、容器シャッタ332は、閉止部材としての先端円筒部332c、滑動部332d、ガイドロッド332e及びシャッタ抜け防止爪332aからなる。先端円筒部332cは、容器シール333の円筒開口(ノズル受入口331)と密着する容器先端側の部分である。滑動部332dは、先端円筒部332cよりも容器後端側に形成され、先端円筒部332cよりは外径が少し大きく、一対のシャッタ側面支持部335aの内周面を滑動する円筒状の部分である。
ガイドロッド332eは、先端円筒部332cの円筒内部から容器後端側に向けて起立した円柱であり、容器シャッタバネ336のコイル内部に挿入されることで容器シャッタバネ336が座屈しないようにガイドするロッド部分である。シャッタ抜け防止爪332aは、ガイドロット332eの起立した根元とは反対側の端部に形成されていて、容器シャッタ支持部材340から容器シャッタ332の脱落を防止する一対の爪部分である。
容器シャッタバネ336の先端側端部は、先端円筒部332cの内壁面に突き当たり、容器シャッタバネ336の後端側端部はシャッタ後端支持部335の壁面に突き当たる。このとき、容器シャッタバネ336は圧縮した状態であるため、容器シャッタ332はシャッタ後端支持部335から離れる方向(容器先端方向)の付勢力を受ける。しかし、容器シャッタ332の容器後端側の端部に形成されたシャッタ抜け防止爪332aがシャッタ後端支持部335の外壁面に引っ掛かる。これにより容器シャッタ332はシャッタ後端支持部335から離れる方向に移動することを防止している。このようなシャッタ抜け防止爪332aのシャッタ後端支持部335に対する引っ掛かりと、容器シャッタバネ336の付勢力とによって位置決めがなされる。
図8に示すように、トナー収容容器32をトナー補給装置60に装着したときには、トナー補給装置60側のノズルシャッタ612のノズルシャッタ鍔部612aが、ノズルシャッタバネ613に付勢されて容器シール333の突き出た分を押し潰す。ノズルシャッタ鍔部612aが更に進入して図11に示すノズルシャッタ突き当てリブ337aの容器先端側端部に突き当たり、容器シール333の先端側端面を覆って容器外部から遮断する。これにより、装着時のノズル受入口331における搬送ノズル611周りの密閉性を確保し、トナー漏れを防止することができる。
図8に示すように、ノズルシャッタバネ613に付勢されるノズルシャッタ鍔部612aのノズルシャッタバネ受け面612fの裏側がノズルシャッタ突き当てリブ337aに突き当たることで、ノズルシャッタ612のトナー収容容器32に対する長手方向の位置が決まる。これにより、容器シール333の容器先端側の端面及び先端開口305(後述する容器開口部33aの中に配置されている円筒状の受入部材固定部337の内部空間)の容器先端側の端面と、ノズルシャッタ612との長手方向の位置関係が決まる。
次に、容器シャッタ332と搬送ノズル611の動作について図1、図8、図12(a)〜図12(d)を用いて説明する。トナー収容容器32をトナー補給装置60に装着する前においては、図1に示すように、容器シャッタ332はノズル受入口331を閉じる閉止位置に向けて容器シャッタバネ336で付勢されている。このときの容器シャッタ332と搬送ノズル611の外観を図12(a)に示す。そして、トナー収容容器32をトナー補給装置60に装着すると、図12(b)に示すように、搬送ノズル611がノズル受入口331に挿入される。トナー収容容器32をトナー補給装置60にさらに押し込むと、容器シャッタ332の端面となる先端円筒部332cの端面332h(以下、「容器シャッタの端面332h」と称する)と搬送ノズル611の挿入方向に位置する端面611a(以下、「搬送ノズルの端面611a」と称する)とが接触する。この状態からトナー収容容器32をさらに押し込むと、図12(c)に示すように、容器シャッタ332が押し込まれて、図12(d)に示すように、搬送ノズル611がノズル受入口331からシャッタ後端支持部335内に挿入される。このため、図8に示すように、トナー収容容器本体33内に搬送ノズル611が挿入されてセット位置となる。このとき、図12(d)に示すように、ノズル開口610はシャッタ支持開口部335bに重なる位置にある。
その後、トナー収容容器本体33が回転すると、粉体汲み上げ部304によって搬送ノズル611よりも上方に汲み上げられたトナーが、上方に開口しているノズル開口610から搬送ノズル611内に落下して導入される。搬送ノズル611内に導入されたトナーは、搬送スクリュ614が回転することで搬送ノズル611内をトナー落下搬送経路64に向かって搬送され、トナー落下搬送経路64から現像装置50へと落下して供給される。
上述したように、トナー収容容器本体33に固定されたノズル受入部材330の開口部となる先端開口305に挿入された搬送ノズル611のノズル開口610に対してトナーを粉体汲み上げ部304で汲み上げて供給する場合、トナーの流動性やトナー収容容器本体33の回転数等によって、効率よく粉体汲み上げ部304からノズル開口610にトナーTを供給できないことがある。そこで、本発明者らは、粉体汲み上げ部304(トナー収容容器本体33)の構成について検討し、いくつかの有効な形態を見出した。以下その構成について詳細に説明する。
図13に示すように、本実施形態において、トナー収容容器本体33の容器開口部33a(図9)側に形成された粉体汲み上げ部304(図9)は、トナー収容容器本体33が回転方向Aに回転することで容器開口部33a側に搬送されたトナーTを汲み上げてノズル開口610(図13参照)へと供給するものである。なお、容器開口部33aには、ノズル受入部材330(図9)が挿入されて固定されるため、以下、粉体汲み上げ部304の説明において、本体容器33の開口部33aはノズル受入口331として説明する。
以下、汲み上げ面3040の傾斜角θの有効な範囲について、評価モデルを作成して評価したので、その内容について説明すると、汲み上げ面の傾斜角θ(度)がマイナス(−)では、トナー残量(g)は不良で、トナー補給量の追従性(%)もマイナス(−)であったが、汲み上げ面の傾斜角θ(度)が0度、15度、25度では、トナー残量(g)はそれぞれ良好であり、トナー補給量の追従性(%)も、順にそれぞれ35%、70%、100%と上昇した。(傾斜角θ25度で既に100%に達しているので25度を超える傾斜角θについて更に評価を続けることには、あまり意味がない。)ここで、トナー補給量の追従性とは、予め定められた設定補給量に対する現実の補給量(実補給量)の差を比率(%)で示したものであり、追従性100%とは、実補給量が設定補給量を満たし、補給不足にない状態を示す。
但し、この評価結果は、比較し易くするため、一種類のトナー収容容器及び一種類のトナーについて、その汲み上げ面3040の傾斜角θを変化させた場合の影響を定量的に示すためのもの(数値)をであって、本発明で対象とする他の形状及びサイズのトナー収容容器、及び、他の種類のトナーを用いたときにこの数値結果と同じ数値になることを云うものでは無論ない。
評価の仕方は、評価用の画像形成装置である複写機500に、汲み上げ面の傾斜角θを変更した複数の評価モデル、として作製(試作)したトナーボトルをそれぞれ装着し、トナー収容容器本体33を一定速度で一定時間回転させた後の容器内のトナー残量を計測した。
本発明における汲み上げ面3040の傾斜角θ(図13参照)は、回転中心軸Oを水平に通る仮想直線X1(図13参照)と略平行に汲み上げ面3040が位置する状態を0度とし、このときの汲み上げ面3040の位置が仮想直線X1よりも上方(回転方向Aにおいて下流側)となる場合をプラス(+)、このときの汲み上げ面3040の位置が仮想直線X1よりも下方(回転方向Aにおいて上流側)となる場合をマイナス(−)としている。
言い換えると、仮想直線XとX1とが重なる位置関係、つまり、回転中心軸O及び縁(辺部)3042が水平に並んでいる状態において、汲み上げ面3040がトナー収容容器本体33の回転方向Aにおける上流側に向けて傾斜させてある場合をプラス(+)、汲み上げ面3040がトナー収容容器本体33の回転方向Aにおける下流側に向けて傾斜させてある場合をマイナス(−)としている。
また、汲み上げ面3040が仮想直線Xに対してなす角度θを傾斜角θと呼ぶこととする。仮想直線Xは、トナー収容容器32の回転中心軸方向断面において、回転中心軸Oと縁(辺部)3042とを通るように直線を引くことで作図することができ、2つの汲み上げ面3040を有するトナー収容容器32の場合には、2つの縁(辺部)3042を通るように直線を引くことによっても作図することができる。
トナー残量gは、トナー収容容器本体33内に残留しているトナーTの量を示す。
トナー補給量の追従性とは、予め定められた設定補給量に対する現実の補給量(実補給量)の差を比率(%)で示したものである。追従性100%とは、実補給量が設定補給量を満たし、補給不足にない状態を示す。これは現像装置50(図4参照)に対して必要十分なトナーTを補給できる状態であり、最も好もしい状態である。追従性の数値が低下するほど、実補給量が設定補給量に満たない状態となり、現像装置50(図4参照)に対するトナー供給量が低下する状態となる。
トナー収容容器本体33内に残留するトナー(残留トナー)量は、例えば15gを基準値とし、この基準値以下となるのが好ましいものとする。なお、基準値はトナー収容容器本体33の種類によって異なり、この値に限定されるものではない。
図14は、汲み上げ面3040の傾斜角θをマイナス側にした時の汲み上げ特性となるトナー残量と補給量の関係を示すものである。図14に示すように、傾斜角θをマイナス側に設定とすると、トナー残量が基準値に対して大幅に残ってしまい、トナー残量が基準値を満たすことができない。
図15(a)、図15(b)は、量産モデルのトナー収容容器本体33の汲み上げ面3040の傾斜角θ毎のトナー排出量を同一条件下で比較した図である。図15(a)は、汲み上げ面3040の傾斜角θが0°、15°、25°、45°の4つの量産モデルのトナー収容容器本体33を実機に装着してボトル回転数95rpmで回転させたときのトナー排出量(g)の評価結果を示す。図15(b)は、汲み上げ面3040の傾斜角θが0°、15°、25°、45°の4つの量産モデルのトナー収容容器本体33を実機に装着してボトル回転数120rpmで回転させたときのトナー排出量[g]の評価結果を示す。
評価は、トナー残量が少ない領域のトナー排出量[g]が高いほど優位としている。図15(a)に示すように、低回転数(95rpm)では傾斜角θが15°と30°がほぼ同等で排出量のピークとなっている。これに対し、傾斜角θが0°では極端に排出量が劣位で、傾斜角θが45°まで傾きを増やすと排出量の落ち込みが見られる。これに対し、図15(b)に示すように、高回転数(120rpm)では傾斜角θが15°がピークで、次いで傾斜角θが30°と45°がほぼ同等で次点、傾斜角θが0°は最も劣位であることがわかる。実機のボトル回転数の狙い値が上記2条件の間にあるため、最適な傾斜角θは15°〜30°の範囲であることがわかる。
また実機での印刷に際してトナー排出量が大きいほど印字面積の大きい画像に対応出来ることとなるため、トナー残量が多い段階で機械として求める排出量となる破線で示す要求排出量を排出量が下回ることもまた問題となる。要求排出量を基準に各傾斜角θのプロットを比較すると、傾斜角θが15°と30°が最も優位であり、残量5g程度まで排出量が要求排出量を上回る目標を達成している。次点は傾斜角θが45°で残量15〜25g程度まで排出量が要求排出量を上回るって目標達成し、最も劣位な傾斜角θが0°では残量60〜90gまでしか排出量が要求排出量を上回る目標を達成しておらず、この観点からも最適な傾斜角θは15°〜30°の範囲であることがわかる。
図16(a)、図16(b)は、量産モデルのトナー収容容器本体33の汲み上げ面3040の傾斜角毎のトナー補給量の環境負荷による変動幅を比較した図である。図16(a)は、汲み上げ面3040の傾斜角θが15°の1つの量産モデルのトナー収容容器本体33を実機に装着して一定の回転数で回転させるとともに、環境条件を変更した時のトナー補給量(g/sec)の評価結果を示す。図16(b)は、汲み上げ面3040の傾斜角θが25°の1つの量産モデルのトナー収容容器本体33を実機に装着して一定の回転数で回転させるとともに、環境条件を変更した時のトナー補給量(g/sec)の評価結果を示す。
評価は、環境や条件による補給量差が少ないほど安定的な補給が可能であるとして優位としている。図16(a)、図16(b)に示すように、補給量に影響を与える因子(温湿度等)を最も優位な条件で揃えたものをN1条件、最も不利な条件で揃えたものをN2条件として、図15(a)、図15(b)で優位と判定したボトル回転数95〜120rpm、傾斜角θが15°〜30°の範囲で環境変動に対する優劣を比較した。具体値として、ボトル回転数110rpm、傾斜角θが15°と傾斜角θが25°のトナー収容容器本体で比較している。図中の破線は単位時間当たりの補給量の目標補給量(目標値)を示す。比較結果、汲み上げ面3040の傾斜角θが15°、25°の双方とも、トナー残量の少ない領域での目標補給量(目標値)に対しては達成しており、補給量もほぼ同等であるが、標準条件に対して上方に位置するN1条件の場合と下方に位置するN2条件の場合での補給量差である環境変動幅の大小関係に着目すると、傾斜角θが15°の場合よりも、傾斜角θが25°の方が、環境変動幅が小さく、優位であることがわかる。
このように、評価モデル及び量産モデルを問わず汲み上げ面3040の傾斜角θは、回転中心軸O及び縁(辺部)3042を通る仮想直線Xに対してトナー収容容器本体33の回転方向Aで上流側に汲み上げ面3040を25度±5度の範囲で傾斜させてあることが望ましい。また、その場合のトナー収容容器32の回転数の範囲は、110rpm±15rpmの範囲であるのが望ましい。
次にトナー収容容器であるトナーボトル32の容器開口部33a付近でのトナー収容容器本体33内のトナーの動きについて説明する。
粉体であり、現像剤であるトナーをトナー収容容器本体33内に封入されたトナーボトル32は、長期間同じ姿勢で置くとトナーが固まることがある。このため、使用前に、上下ないしは左右に振ってトナーを解す予備動作が必要となる場合がある。また、トナーボトル32の保管は、通常、トナー補給装置60(複写機500)への装着状態と同様に水平に置いて保管することを推奨している。しかし、保管スペースの関係からトナーボトル32を、容器開口部33aを下方にして立てた状態で保管することもある。
このような場合、水平状態の保管状態を基準に設定した往復回数相当、上下ないしは左右に振ってトナー補給装置60(複写機500)に装着したところ、容器開口部33aに搬送ノズル611が十分に挿入できない場合があった。この原因を探ったところ、図25(a)に示すように、汲み上げ面3040(3040B〜D)の縁3042(3042B〜D)と繋がっているトナー収容容器本体33の内壁33c´の形状が凹面状に容器内部にせり出しているため、トナーボトル32を振って予備動作を行っても、上述の凹面で力が分散されてしまうこと及び容器内でのトナーの逃げ場が制約されてしまうことにより、十分に解すことができない(解す力をトナーに作用させることができない)ことを発見した。
そこで、本実施形態では、凹面状に容器内部にせり出しているトナー収容容器本体33の内壁33c´の形状を凸形状に変更して、すなわち、粉体汲み上げ部の形状を変更して、上述の凸形状で力を集中させること及び容器内でのトナーの逃げ場を多くすることで、トナーの逃げ場が制約されない構成とした。
以下、図17〜図23を用いて本実施形態に係るトナー収容容器の構成について説明する。第1〜第4の実施形態との違いは、トナー収容容器本体33に形成されている粉体汲み上げ部304Eの構成が、他の形態の汲み上げ部304(304B〜D)と異なっている以外は、基本的には前述実施形態と同一である。このため、本実施形態に係る粉体汲み上げ部304Eの構成を中心に説明する。
図17(a)は、粉体汲み上げ部304Eを備えたトナー収容容器本体33の構成を示す平面図、図17(b)は、粉体汲み上げ部304Eを備えたトナー収容容器本体33の構成を示す側面図である。図19は、トナー収容容器本体の開口部側の構成を説明する拡大断面図である。図20は粉体汲み上げ部304Eの汲み上げ面3040Eの構成を説明する拡大図であり、容器後端側から容器先端側に向かって見たときの断面図である。図21(a)〜(c)は、粉体汲み上げ部304Eの回転時の変化を模式的に説明した動作図であり、図22(a)〜(c)は、図21(c)に続く粉体汲み上げ部3040Eの回転時の変化を模式的に説明した動作図である。図21及び図22は、図20と同様、容器後端側から容器先端側に向かって見たときの断面図をあらわしている。図23(a)はトナー収容容器本体33の内部空間が小さい場合のトナーの拡散性を示す模式図であり、図23(b)は本実施形態に係る粉体汲み上げ部304Eを備えたトナー収容容器本体33の内部空間を広げた場合のトナーの拡散性を示す模式図である。
本実施形態において、トナー収容容器本体33の容器開口部33a側に形成された粉体汲み上げ部304Eは、トナー収容容器本体33が回転方向Aに回転することで容器開口部33a側に搬送されたトナーTを汲み上げてノズル開口610(図15参照)へと供給するものである。なお、容器開口部33aには、ノズル受入部材330が挿入されて固定されるため、以下粉体汲み上げ部304の説明において、本体容器33の開口部33aはノズル受入口331として説明する。つまり、トナー収容容器本体33の容器先端側の内壁には、図18、20に示すように、トナー収容容器本体33の回転によって上方に汲み上げる粉体汲み上げ部304Eが形成されている。粉体汲み上げ部304Eは、螺旋状突起302の搬送力によって搬送されたトナーを、トナー収容容器本体33の回転に応じてその汲み上げ面3040Eによって上方に汲み上げる。これにより、挿入された搬送ノズル611よりも上方にトナーを汲み上げることができる。本実施形態において、粉体汲み上げ部304Eは、図20に示すように、回転中心軸Oに対して180度位相を変えた位置に2つ設けられている。
また、図18、図19に示すように、各粉体汲み上げ部304Eの内周面にも、螺旋状突起302と同様に内部のトナーを汲み上げ面3040Eにトナーを送り込むための搬送部としての螺旋状に形成された汲み上げ部螺旋状突起304aがそれぞれ形成されている。
本実施形態において、各粉体汲み上げ部304Eは、トナー収容容器本体33の内壁面33cから回転中心軸O側に向かって延びる汲み上げ面3040Eをそれぞれ有している(但し、汲み上げ面3040Eの延長線は回転中心軸Oを通過しない)。
これら汲み上げ面3040Eは、回転中心軸O側の内端部3040Eaがトナー収容容器本体33の回転中心軸方向に沿った方向に延びている。具体的には、内端部3040Eaにおける最も回転中心軸O側に形成された縁(ヘリ、辺部)3042Eが、回転中心軸Oと略行に延びており、トナー収容容器本体33の内壁面の回転中心軸O側に隆起している部分33c´と汲み上げ面3040Eとの間で回転中心軸Oに沿った稜線を形成している。さらに汲み上げ面3040Eは、図20に示すように、回転中心軸方向から見たときに、回転中心軸O及び内端部の縁(辺部)3042Eを通る仮想直線Xよりもトナー収容容器本体33の回転方向Aにおける上流側に向けて所定角度角範囲で傾斜させて形成されている。本実施形態においても、各傾斜角θの所定範囲は25度±5度(25°±5°)としている。
本実施形態において、各粉体汲み上げ部304Eは、汲み上げ面3040Eを内壁33cからボトル内部に向けて隆起させて形成し、最もボトル内部に位置する汲み上げ面3040の縁(ヘリ、辺部)3042Eを頂点とした山型となるようにした。具体的には、縁(辺部)3042Eから繋がる内壁3043が、縁3042Eを頂点とする山型をなし、且つ、汲み上げ面3040Eとともに略鋭角である角度θ2を形成するように構成した。
トナー収容容器本体33をブロー成型するにあたり、このような汲み上げ部304Eに対して汲み上げ面3040Eのみを内壁部33cから板状に隆起させて形成することは難しい。そこで、回転中心軸に対して直交する断面(図20)で見たときに、縁3042Eを頂点とする略鋭角であるθ2を形成するように汲み上げ部304Eを構成したことで、ブロー成型で簡易にトナー収容容器本体33を形成できると共に、図23(b)に点線で示したように内部の空間を確保できる。
図18、図19に示すように螺旋状突起の端部304a1が汲み上げ面3040Eに繋がるように伸びている。本実施形態では、螺旋状突起の端部(終端部分)304a1が汲み上げ面3040Eから汲み上げ面3040Eに対して略垂直に立ち上がるような形状となっている。言い換えると、螺旋状突起の端部(終端部分)304a1は、トナー収容容器32の回転中心軸Oの周方向に延びている。これにより、螺旋状突起の端部304a1と汲み上げ面3040Eとトナー収容容器32の内壁面33cとで囲まれる空間を、トナーをより多く保持できる保持部として機能させることができる。
そして、汲み上げ面3040Eにおける、この螺旋状突起の端部(終端部分)304a1よりも回転中心軸方向でトナー収容容器32の開口部33a側は、トナー収容容器32を画像形成装置(トナー補給装置)に装着した際に、ノズル開口610に対向可能な位置になるように構成されている。
このように構成すると、螺旋状突起304aによって搬送されたトナーが螺旋状突起の端部304a1と汲み上げ面3040Eとで形成される保持部が、ノズル開口610に対向可能になり、粉体汲み上げ部304Eによるトナーの汲み上げ、及びノズル開口610への流し込みが効率的になる。
また、螺旋状突起の端部304a1は、ノズル開口610が延在する方向(搬送ノズル611の軸線方向)に対して略垂直でもあるため、トナーの流し込みの邪魔にならないという利点も有る。
無論、本実施形態においても、各内端部の縁(辺部)3042Eは、トナー補給装置60に装着されてトナー収容容器本体33が回転方向Aに回転して、図20に示す位置へと回転するときに、ノズル開口610の上方において、搬送ノズル611の断面範囲W1内、好ましくは、ノズル開口610の開口範囲W2内に位置するように形成されている。
このような構成の粉体汲み上げ部304Eによる汲み上げ動作を図21、図22を用いて説明する。図21(a)はトナー収容容器本体33がトナー補給装置60(複写機500)に装着されて回転する前の状態を示す。この状態を姿勢0°とする。この姿勢0°においては、ノズル受入部材330の互いに対向する一対のシャッタ側面支持部335a、335aは、図面上方に位置している搬送ノズル611のノズル開口610の上方とこれと180度位相を変えた搬送ノズル611の下方にそれぞれ配置されている。また、汲み上げ面3040Eは、その縁3042Eが回転中心軸Oを通る仮想直線Xよりも下方にあり、回転中心軸Oと縁3042Eとを通る仮想直線X1に対してトナー収容容器本体33の回転方向Aにおける上流側に所定角度θだけ傾斜している姿勢となっている。この様に、ノズル受入部材330の互いに対向する一対のシャッタ側面支持部335a、335aと、2つの汲み上げ面3040Eとは、回転中心軸Oに対して回転方向Aにおける位置関係が略直交するような配置関係となっている。
更に詳しく述べると、シャッタ側面支持部335a、335aは汲み上げ面の縁3042Eとは対向しない位置、つまり、汲み上げ面の縁3042Eと回転中心軸Oとを通る仮想直線X上から外れた回転方向位置に配置してある。このように構成することで、汲み上げ面3040Eから落下してくるトナーがシャッタ側面支持部335a、335aによってノズル開口610への落下を妨げられることを抑制することができる。
また、望ましくは、図20に示すように、既にトナーTが保持されている一方の汲み上げ面3040Eよりも上方(回転方向Aにおける下流側)に位置するシャッタ側面支持部材335aに着目した場合に、このシャッタ側面支持部材335aにおける回転方向Aで上流側となる端部(図20中の右側)と、当該一方の汲み上げ面3040Eの縁3042Eとの間隔D1が、このシャッタ側面支持部材335aにおける回転方向Aで下流側となる端部(図20中の左側)と、他方の汲み上げ面の縁3042E(図20で上述のシャッタ側面支持部材335aよりも図中左側)との間隔D2よりも広い方が望ましい。このような配置関係とすることで、トナーが流れる流路をより確保しやすくなる。
尚、姿勢0°においては、一方の汲み上げ面3040Eに既にトナーTが保持されている。この状態からトナー収容容器本体33が矢印Aで示す図中反時計回り方向に回転すると、図21(b)に示すように、汲み上げ面3040E上のトナーTをさらに上方へと保持されて移動する。図21(b)は姿勢0°から30°反時計方向回りに回転が進んだ姿勢30°の状態を示す。さらにトナー収容容器本体33が矢印Aで示す図中反時計回り方向に回転してすると、ノズル受入部材330の一対のシャッタ側面支持部335a、335aも一体に回転し、図21(c)に示すように、汲み上げ面3040E上のトナーTをさらに上方へと保持されて移動する。図21(c)は姿勢30°から60°へ反時計方向回りに回転が進んだ姿勢60°の状態を示す。この状態おいては、シャッタ側面支持部335aがノズル開口610上からさらに移動してノズル開口610が開放されるとともに、汲み上げ面3040Eが回転中心軸Oに対して下り傾斜状態となるので、汲み上げ面3040E上のトナーTが汲み上げ面3040E上を徐々に自重で滑り移動してノズル開口610内に落下を始める。
図22(a)に示すように、トナー収容容器本体33の回転が姿勢60°から進んで姿勢90°となると、汲み上げ面3040E上のトナーTはすべて自重で落下し、ノズル開口610へと供給される、また、姿勢90°となると、他方の粉体汲み上げ部3040Eがトナー収容容器本体33の下部に位置し、下部に溜まっているトナーTを汲み上げ面3040Eでとらえる。
トナー収容容器本体33の回転が進んで、図22(b)に示すように、姿勢90°から姿勢120°となると、汲み上げ面3040Eによる、下部に溜まっているトナーTの新たな汲み上げが開始されるとともに、他方のシャッタ側面支持部335aがノズル開口610の上方の一部を覆うようになる。
そして、図22(c)に示すように、トナー収容容器本体33の回転が姿勢120°から進んで姿勢150°となると、汲み上げ面3040Eによるトナーの汲み上げが進むとともに、他方のシャッタ側面支持部335aがノズル開口610の上方へとより移動してトナー補給ができないようになる。
このようにトナー収容容器本体33が回転方向Aに回転すると、汲み上げ面3040Eによって汲み上げられたトナーTがノズル開口610の上部から搬送ノズル611内に供給することができる。
また、本実施形態において、各粉体汲み上げ部304Eは、汲み上げ面3040Eを内壁33cからボトル内部に向けて隆起させて形成し、最もボトル内部に位置する汲み上げ面3040の縁(ヘリ、辺部)3042Eを頂点とした山型となるようにした。具体的には、縁(辺部)3042Eから繋がる内壁3043が、縁3042Eを頂点とする山型をなし、且つ、汲み上げ面3040Eとともに略鋭角である角度θ2を形成するように構成した。このため、図23(b)に示すように、トナー収容容器本体33内での内部空間を図23(a)に対して破線○印の領域分相当広く確保することができるとともに、容器シャッタ332との間の空間S2(図20、図21参照)も広がるため、予備動作時のトナーTの逃げ場が増えて、トナーTが解れ易くなる。
本発明装置の構成では、トナー汲み上げ面が、容器の回転中心軸及び汲み上げ面の内端部の縁を通る仮想直線よりも前記粉体収容部の回転方向における上流側に向けて所定範囲の傾斜角で傾斜させてあるため、汲み上げ能力が向上させてある。
さらに、螺旋状突起が汲み上げ面に接続されており、当該接続される部分は汲み上げ面から周方向に伸びている。これにより、螺旋状突起の端部304a1と汲み上げ面3040Eとトナー収容容器32の内壁面33cとで囲まれる空間を、トナーをより多く保持できる保持部として機能させることができる。
本発明の容器は上記の構成によってトナーを効率よく、大量に汲み上げ、搬送管の粉体受入口に流しこむことが可能になっている。
ところが、発明者が検討した結果、トナーの特性によっては以下の状況が発生することがわかった。
(1)汲み上げ面によって大量のトナーが保持されたまま(汲み上げ面からこぼれ落ちずに)、汲み上げられる。
(2)大量のトナーが固まり状で一気に粉体受入口に落下する。
(3)粉体受入口をトナーの一部が覆うようになった状態で、トナーが崩れずに残る
(4)これにより、粉体受入口がふさがれてしまい、トナーの排出ができなくなる。
また、トナーの特性によって以下のような不具合も確認されるに至った。
すなわち、粉体受入口に落下したトナーが搬送管内のスクリュによって搬送される際に、スクリュ下流側で、搬送管から排出されずに(落下せずに)スクリュに付着しているままになる。
一度この状態が発生すると、スクリュの力によってスクリュ上流側から搬送されるトナーに下流側のトナーが押圧され、トナーが押し固められてしまい、下流側からトナーが詰まっていってしまい、トナーの排出が不可能になってしまう。
本発明者は上記の課題に対してトナーの流動性指標のひとつである移送性に着目して検討した結果、以下の知見を得ることができた。
(トナー)
本発明のトナーは結着樹脂を含有するトナー母体粒子と、外添剤とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
<トナーのスパチュラ角について>
次に、本発明のトナー収容容器に収容されているトナーのスパチュラ角について説明する。
スパチュラ角は、安息角と同様、粉体の物性を表わす値であるが、安息角が粉体を積み上げたときに自発的に崩れることなく安定を保つ斜面の最大角度を意味する静的な物性(例えば静的摩擦係数)に関連するものであって、主に粒子の形状(丸いか角ばっているか)やサイズに支配される滑り易さや転がり易さ(静的摩擦係数)に関連するのに対し、スパチュラ角は粉体を移動、特に掬ったときに崩れず残る山の底部と頂上とが成す最大角度を意味する動的な物性(例えば、静的摩擦係数とは異なる動的摩擦係数)に関連するものであって、エンタルピー変化を伴う凝集性の推定や、コンベア設計に資するものともいわれている。但し、スパチュラ角の値の方が安息角よりも一般的に大きいのは、スパチュラ角が、基本的には、スパチュラ上に緩やかに自然落下させて最大限に形成された粉体の山について測定することを基本としているためである。
そのような理由で、トナーのような高凝集性粉体の搬送性を取り扱う本発明においては、スパチュラ角を尺度の1つとして用いることにした。
前記トナーのスパチュラ角は、30°〜65°であり、30°〜58°がより好ましい。
前記トナーのスパチュラ角が、30°〜65°であることにより、排出性とトナー補給性とを両立することができ、トナー容器内のトナー残量が少なくなっても、トナーの補給が可能なトナー収容容器を提供することができる。
前記トナーのスパチュラ角が、65°を超えると、上述したようなトナー収容機の粉体受入口がふさがれてしまい、トナーの排出ができなくなるという不具合、および、粉体受入口に落下したトナーが搬送管内のスクリュによって搬送される際に、スクリュ下流側で、搬送管から排出されずに(落下せずに)スクリュに付着し、トナーが押し固められてしまい、下流側からトナーが詰まっていってしまうという不具合が発生する。
前記トナーのスパチュラ角は、30°〜65であればトナーの排出が不可能になってしまうという不具合の発生を防止できる。また、トナー収容器に多量のトナーが残ったままトナーが排出されなくなりトナー収容機の交換が必要となることも防止できる。
前記トナーのスパチュラ角が、30°未満であると、トナー間の付着力が低下して、流動性が低下するため、トナーがトナー収容容器から吐出できず、トナー補給がされなくなる。トナー集容器内でのトナーくみ上げ量が安定せず、トナーを過剰量補給する場合があり現像機内でのトナー飛散が生じる場合がある。
<スパチュラ角の測定方法>
本明細書において、トナーの「スパチュラ角」とは、以下の方法によって求められる。
測定には、粉体特性評価装置(パウダーテスタ、ホソカワミクロン株式会社製パウダーテスタPT−N型)を用い、パウダーテスタPT−N型取扱説明書中の「5.10 スパチュラ角の測定」の項記載手順にしたがって行ったものである。
スパチュラと接した状態に設置したバット上に75gのトナーを投入する。バット上のトナーが均一な高さであることを確認した後、静かにバットを下方に移動させ、スパチュラ上にトナーが堆積した状態を作る。この後、装置に備えられた錘を落下位置まで移動し他後に落下させ、一度だけスパチュラに衝撃を加える。この状態でのスパチュラ上の粉体の稜線とスパチュラ底面との角度を測定する。これを3度行い、この平均値をスパチュラ角とする。
トナーのスパチュラ角の調整方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トナー母体粒子の形状、外添剤の種類、トナーにおける外添剤の含有量、及びトナー母体粒子への外添剤の添加条件により調整することができる。
更に、テトラヒドロフラン(THF)を用いたソクスレー抽出法により抽出される前記トナーの成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布における重量平均分子量Mwを5,000以上50,000以下とすることにより、好ましくは5,000以上35,000以下とすることにより、より好ましくは8,000以上18,000以下とすることにより、特に好ましくは14,000以上18,000以下とすることにより、低温定着性と、耐ホットオフセット性と、耐熱保存性とを良好なレベルに両立させることができる。
また、本発明で使用するトナーは、テトラヒドロフラン(THF)に対する不溶分中の樹脂成分がトナーに対し0.5質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
不溶分の主成分は樹脂であり、その他顔料などが含まれる場合もある。不溶の樹脂は特に限定はされないが、分子量が非常に大きくTHFに対する溶解性が乏しかったり、架橋した構造だったりする場合が多い。架橋については、例えば共有結合などの化学結合を通じた化学的架橋以外に、水素結合や金属を介した配位結合、イオン結合、疎水相互作用などを通じた物理的架橋が考えられる。不溶分が全くないもしくは少なすぎる場合は、定着時のトナーの粘度が低すぎるので、ホットオフセットを起こす。一方、高すぎると、定着時のトナーの粘度が高すぎるのでコールドオフセットを起こしやすく、低温定着が困難になる。
<<トナーのテトラヒドロフラン(THF)を用いてソクスレー抽出法により抽出される成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布における重量平均分子量Mwの測定について>>
前記ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量Mwの測定は以下のように行う。
<ソクスレー抽出(試料の前処理)>
トナー0.3gを秤量し、あらかじめ重量を秤量(g)した円筒濾紙(「No.86R」;東洋濾紙製)に入れてソクスレー抽出器にかける。ヒーター温度を85℃にセットし、抽出溶媒としてソクスレー用丸底フラスコにテトラヒドロフランTHF(安定剤含有 和光純薬製)200mLを用いて、7時間にわたって全還流抽出(ソクスレー抽出)を行った後、ロータリーエバポレーターでTHFを留去せしめて、抽出物を得る。抽出物をTHF(安定剤含有 和光純薬製)に0.15質量%で溶解後、ポア径が0.45μmの耐溶剤性メンブランフィルターで濾過し、その濾液を試料として用いる。前記THF試料溶液を100μL注入して測定する。
本発明における不溶分中の樹脂成分は、不溶分から着色剤、磁性材料、外添剤を除いた成分である。
本発明における不溶分の樹脂成分の算出方法は、次の通りである。
トナーを電気炉内に設置し、窒素ガスを供給して窒素ガスで置換した状態下で、樹脂や離型剤が分解するが、着色剤、磁性材料、外添剤が分解しない温度で処理する。重量減少を確認し、重量減少が止まった段階で樹脂成分以外の不溶分を秤量する。
樹脂成分以外の不溶分の質量の測定方法としては、着色剤、磁性材料、外添剤のそれぞれの材料の化学構造を特定し、着色剤、磁性材料、外添剤のそれぞれの材料に含まれる元素であって、他の成分には含まれない元素に着目し、当該材料の質量を変更した場合の蛍光X線のエネルギー強度の変化から得られる検量線を用いて質量を算出することもできる。
ソクスレー抽出後の円筒濾紙を風乾後、さらに減圧乾燥した上で、濾紙上の不溶分と濾紙の質量の総和(g)を秤量する。それからあらかじめ秤量した樹脂成分以外の不溶分と濾紙質量(g)を引くことで不溶分中の樹脂成分の質量を求めることができる。不溶分中の樹脂成分の質量をトナー仕込み量0.3gで割り100をかけることで、トナー質量に対する不溶分中の樹脂成分の割合を質量パーセントで算出する。
(重量平均分子量Mwの測定)
測定装置:GPC−8220GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel SuperHZM−H 15cm 3連(東ソー社製)
温度:40℃
溶媒:THF
流速:0.35mL/min
試料:上述のソクスレー抽出物の乾燥固体、ないしは標準サンプルをTHFに溶解させ0.15質量パーセント濃度の試料を作成し、0.1mL注入する。
検量線:試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580をTHFに溶解させ、0.15質量パーセント濃度の溶液を作成し、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いて作成する。
検出されたピークのうち、最も大きいものをメインピークとする。複数ピークが検出された場合は、図24に示したようにピークのすその下端で垂直分割し、メインピークについて解析を行い、Mwを算出する。
前記トナーは、例えば、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母体粒子と、外添剤とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。また、トナーの帯電は正でも負でも特に限定されない。
<<外添剤>>
前記外添剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど)、金属酸化物粒子(例えば、チタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモンなど)又はこれらの疎水化物、フルオロポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、チタニア微粒子、疎水化されたチタニア微粒子が好ましい。
前記疎水化されたシリカ微粒子としては、例えば、R−972、R−974、RX−200、RY−200、R−202、R−805、R−812、RX−50、NAX−50、NX−90G、R−8200、RX−300(いずれも、日本アエロジル株式会社製);H2000/4、H2000T、H05TM、H13TM、H20TM、H30TM(いずれも、クラリアント社製);X−24−9163A(信越化学工業株式会社製);UFP−30、UFP−35(いずれも、電気化学工業株式会社製)などが挙げられる。
前記チタニア微粒子としては、例えば、P−25(日本アエロジル株式会社製);STT−30、STT−65C−S(いずれも、チタン工業株式会社製);TAF−140(富士チタン工業株式会社製);MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(いずれも、テイカ株式会社製)などが挙げられる。
前記疎水化されたチタニア微粒子としては、例えば、T−805(日本アエロジル株式会社製);STT−30A、STT−65S−S(いずれも、チタン工業株式会社製);TAF−500T、TAF−1500T(いずれも、富士チタン工業株式会社製)、IT−S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
前記外添剤の粒径、形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記外添剤の形状、粒径により、トナーの流動性を制御することができる。
例えば、粒径に関していえば、通常、粒径の小さい外添剤よりも粒径の大きな外添剤の方が混合したときにトナー母体粒子に固定化されやすいので、トナーとしての流動性は小さくなる。逆に粒径の小さい外添剤はトナー母体粒子に固定化されず流動しやすいので、トナー自体の流動性もよくなる。
また、形状に関していえば、真円に近いほど流動しやすく、トナーの流動性もよくなる。外添剤に用いる酸化チタンは針状だが、シリカは球状及び異型化形状のものが知られている。このうち、球状シリカがもっとも流動しやすく、トナーの流動性も良くなり、小粒径シリカを用いると特に流動性を良くすることができる。
前記トナーにおける前記外添剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記トナーにおいて、前記トナー母体粒子に対する前記外添剤の含有量を変動させることで、トナーの流動性を制御することができる。前記トナーにおいて前記外添剤の量を増やすと、前記トナー母体粒子の表面を覆う前記外添剤の量が増えるので、通常、トナーの流動性を上げることができ、減らすと流動性を下げることができる。その際、特に小粒径球状シリカの量の増減で、効果的にトナーの流動性を制御することができる。
一方、前記外添剤による前記トナー母体粒子の被覆の割合を増やしすぎると、表面が無機物で覆われる面積が増えすぎるので定着しにくくなる。逆に、前記外添剤の被覆の割合を減らしすぎると、トナーの流動性がなくなってトナーの補給ができなくなったり、トナー同士が凝集して異常画像が発生しやすくなったりすることがある。
<<トナー母体粒子>>
前記トナー母体粒子は、結着樹脂を少なくとも含有し、更に必要に応じて、着色剤、離型剤、帯電制御剤などを含有する。
−結着樹脂−
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、スチレン・アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ジエン系樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、クマリン樹脂、アミドイミド樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、低温定着性に優れ、画像表面を平滑化できる点で、低分子量化しても十分な可撓性を有する点で、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂と上記他の結着樹脂とを組み合わせた樹脂が好ましい。
−−ポリエステル樹脂−−
前記ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記ポリエステル樹脂としては、ポリエステルの側鎖に各種反応性官能基を導入した変性ポリエステル樹脂でもよいし、導入していない未変性ポリエステル樹脂でもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記ポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂であってもよいし、非結晶性ポリエステル樹脂であってもよい。
−−−結晶性ポリエステル樹脂−−−
前記結着樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂を含有することができる。
前記結晶性ポリエステル樹脂とは、主鎖が規則的に配向する結晶構造をとっている割合が特に高く、融点近傍で樹脂の粘度が大きく変化するポリエステル樹脂のことを指す。
前記結晶性ポリエステル樹脂は、例として、アルコール成分として、炭素数2〜12の飽和脂肪族ジオール化合物(特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、及びこれらの誘導体)と、少なくとも酸成分酸性分として、二重結合(C=C結合)を有する炭素数2〜12のジカルボン酸、若しくは、炭素数2〜12の飽和ジカルボン酸(特にフマル酸、1,4−ブタン二酸、1,6−ヘキサン二酸、1,−8−オクタン二酸、1,10−デカン二酸、1,12−ドデカン二酸、及びこれらの誘導体)を用いて合成される結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
中でも、吸熱ピーク温度と吸熱ショルダー温度との差をより小さくする点で、特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,−8−8オクタンジオール、1,10−デカンジオール、及び1,12−ドデカンジオールのいずれか一種類のアルコール成分と、フマル酸、1,4−ブタン二酸、1,6−ヘキサン二酸、1,−8−オクタン二酸、1,10−デカン二酸、及び1,12−ドデカン二酸のいずれか一種類のジカルボン酸成分のみで構成されることが好ましい。
また、前記結晶性ポリエステル樹脂の結晶性及び軟化点を制御する方法としては、ポリエステル合成時にアルコール成分にグリセリン等の3価以上の多価アルコールや、酸成分に無水トリメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸を追加して縮重合を行った非線状ポリエステルなどを設計、使用するなどの方法が挙げられる。
本発明の結晶性ポリエステル樹脂の分子構造は、溶液や固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定などにより確認することができる。
前記結晶性ポリエステル樹脂の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0質量重量%〜15質量重量%が好ましく、5質量重量%〜15質量重量%がより好ましい。前記含有量が、5質量重量%未満の場合、低温定着性に対する効果が十分に得られない場合がある。また、結晶性ポリエステル樹脂は耐ストレス性が相対的に低いので前記含有量が15質量%を超えると、トナー母体表面の結晶性ポリエステル樹脂部に外添剤が埋没してしまうので保存性が悪化することがあり、好ましくない。
前記変性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性水素基含有化合物、前記活性水素基含有化合物と反応可能なポリエステル(以下、「ポリエステルプレポリマー」と称することがある)とを、伸長反応及び/又は架橋反応して得られる樹脂などが挙げられる。前記伸長反応及び/又は架橋反応は、必要に応じて、反応停止剤(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン、ケチミン化合物等のモノアミンをブロックしたものなど)により停止させてもよい。
前記ソクスレー抽出の重量平均分子量Mw及び不溶分中の樹脂成分の制御方法としては、粉砕法においては、原材料の結着樹脂の種類や分子量を適宜変更することで制御できる。この場合は、原材料結着樹脂の重量平均分子量とトナーのソクスレー抽出の重量平均分子量Mwには相関関係がある。樹脂は複数使用してもよい。例えば、Mwが10,000前後の樹脂と、Mwが50,000前後の樹脂を任意の比率で混合し使用してもよい。
また、前記トナーのテトラヒドロフラン(THF)に対する不溶分中の樹脂成分に関しては、0.5質量%以上20質量%以下が好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。前記不溶分中の樹脂成分が、少ないと熱がかかったときに軟らかくなりやすくなるので定着性には有利だが、耐熱性には不利になる。また、前記不溶分中の樹脂成分が、0.5質量%未満であると、定着時にトナーが融解したときの粘度が低すぎてホットオフセットが置き易く十分な定着幅の確保が難しい。一方、前記不溶分中の樹脂成分が多いとホットオフセットが起きにくく定着の確保が容易だったり、耐熱性も向上したりするが、定着下限温度が上昇する。前記不溶分中の樹脂成分が、20質量%を超えると、そもそもトナーが溶融しても定着が起きるまでの粘度にするためには温度が必要なので、低温定着が困難になる。
一方、溶解懸濁法においては、トナー組成物を溶剤に溶解又は分散液を水系媒体中に乳化/分散し、得られた乳化/分散液から溶剤を除去した後にプレポリマーを加熱架橋反応させる(例えば、撹拌下で45℃、10時間)方法がある。熟成の温度、時間を変えることにより反応を制御することができる。この場合は、架橋反応後のプレポリマーは高分子量化が進みソクスレー抽出できない不溶分になるが、この架橋反応が十分に進行しない場合ソクスレーで抽出可能な成分となり、見かけの抽出された抽出成分は分子量が大きい傾向を示すこととなることと推測される。このように架橋反応が進まない場合は、定着時のトナーの溶融粘度が下がりすぎホットオフセットが起こる。
また、不溶分に関しては主成分が架橋反応後のプレポリマーであるので、結着樹脂中のプレポリマーの量を増やしたり減らしたりすることで、不溶分を増やしたり減らしたり制御することが可能である。
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料などが挙げられる。これらの中でも、イエロー顔料、マゼンタ顔料、及びシアン顔料のいずれかを含有することが好ましい。
前記黒色顔料は、例えば、ブラックトナーに用いられる。前記黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト、ニグロシン染料、鉄黒などが挙げられる。
前記イエロー顔料は、例えば、イエロートナーに用いられる。前記イエロー顔料としては、例えば、シイ・アイ・ピグメントイエロー(C.I.Pigment Yellow)74、93、97、109、128、151、154、155、166、168、180、185、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエローなどが挙げられる。
前記マゼンタ顔料は、例えば、マゼンタトナーに用いられる。前記マゼンタ顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、シイ・アイ・ピグメントレッド(C.I.Pigment Red)48:2、57:1、58:2、5、31、146、147、150、176、184、269等のモノアゾ顔料などが挙げられる。また、前記モノアゾ顔料に前記キナクリドン系顔料を併用してもよい。
前記シアン顔料は、例えば、シアントナーに用いられる。前記シアン顔料としては、例えば、Cu−フタロシアニン顔料、Zn−フタロシアニン顔料、Al−フタロシアニン顔料などが挙げられる。
前記トナーにおける前記着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー100質量部に対して、1質量部〜15質量部が好ましく、3質量部〜10質量部がより好ましい。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。このような樹脂としては、特に制限はないが、前記結着樹脂との相溶性の点から、前記結着樹脂、又は前記結着樹脂と類似した構造の樹脂を用いることが好ましい。
−離型剤−
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロウ類、ワックス類などが挙げられる。
前記ロウ類及び前記ワックス類としては、例えば、植物系ワックス、鉱物系ワックス、石油ワックスなどが挙げられる。前記植物系ワックスとしては、例えば、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックスなどが挙げられる。前記動物系ワックスとしては、例えば、ミツロウ、ラノリンなどが挙げられる。前記鉱物系ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セルシンなどが挙げられる。前記石油ワックスとしては、例えば、パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタムなどが挙げられる。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜120℃が好ましく、60℃〜90℃がより好ましい。前記融点が、50℃未満であると、ワックスが保存性に悪影響を与えることがあり、120℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。なお、前記離型剤の融点は、示差走査熱量計(TG−DSCシステム、TAS−100、理学電機社製)を用いて、最大吸熱ピークを測定することにより求められる。
前記離型剤は、前記トナー母体粒子中に分散した状態で存在することが好ましく、そのためには、前記離型剤と前記結着樹脂とは相溶しないことが好ましい。前記離型剤を、前記トナー母体粒子中に微分散する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トナー製造時の混練の剪断力をかけて分散させる方法などが挙げられる。
前記離型剤の分散状態は、トナー粒子の薄膜切片を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより確認することができる。前記離型剤の分散径は、小さい方が好ましいが、小さすぎると定着時の染み出しが不十分な場合がある。したがって、倍率1万倍で前記離型剤を確認することができれば、前記離型剤が分散した状態で存在していることになる。1万倍で前記離型剤が確認できない場合、微分散していたとしても、定着時の染出しが不十分となる。
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜20質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が、1質量%未満の場合、離型性不足のため耐ホットオフセット性が悪化するのでオイル塗布定着などの対応が必要になる。20質量%を超えるとトナー母体粒子表面に多くの離型剤が析出してしまうが、離型剤自身はやわらかく耐ストレス性に劣るため、外添剤埋没による耐熱保存性の悪化、感光体へのフィルミングなどの異常が発生するため好ましくない。
−帯電制御剤−
また、トナーに適切な帯電能を付与するために、必要に応じて帯電制御剤をトナーに含有させることも可能である。
前記帯電制御剤としては、公知の帯電制御剤がいずれも使用可能である。有色材料を用いると色調が変化することがあるため、無色乃至白色に近い材料が好ましく、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記トナーにおける前記帯電制御剤の含有量は、結着樹脂の種類、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるものであり、一義的に限定されるものではないが、前記結着樹脂に対し0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.02質量%〜2質量%がより好ましい。前記含有量が、5質量%を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電気的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがあり、0.01質量%未満であると、帯電立ち上り性や帯電量が十分でなく、トナー画像に影響を及ぼしやすいことがある。
<<トナーの製造方法>>
前記トナーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉砕法、ケミカル工法などが挙げられる。これらの方法を用いることで、トナー母体粒子を得ることができる。
前記ケミカル工法としては、例えば、モノマーを出発原料として製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、シード重合法、溶解懸濁法、溶解懸濁重合法、転相乳化法、これらの工法によって得られた樹脂粒子を水系媒体中に分散させた状態で凝集させて加熱溶融等により所望サイズの粒子に造粒する凝集法などが挙げられる。
前記溶解懸濁法は、樹脂や樹脂前駆体を有機溶剤などに溶解して水系媒体中にて分散乃至乳化させる方法である。
前記溶解懸濁重合法は、前記溶解懸濁法において、活性水素基と反応可能な官能基を有する結着樹脂前駆体(反応性基含有プレポリマー)を含む油相組成物を、樹脂微粒子を含む水系媒体中に乳化乃至分散させ、該水系媒体中で、活性水素基含有化合物と、前記反応性基含有プレポリマーとを反応させる方法である。
前記転相乳化法は、樹脂や樹脂前駆体と適当な乳化剤からなる溶液に水を加えて転相させる方法である。
以下に、これらの製法についての詳細に説明する。
−粉砕法−
前記粉砕法は、例えば、少なくとも着色剤、結着樹脂、離型剤を有するトナー材料を溶融混練したものを、粉砕し、分級することにより、前記トナー母体粒子を製造する方法である。
前記溶融混練では、前記トナー材料を混合し、得られた混合物を溶融混練機に仕込んで溶融混練する。前記溶融混練機としては、例えば、一軸又は二軸の連続混練機、ロールミルによるバッチ式混練機などを用いることができる。
前記粉砕では、前記混練で得られた混練物を粉砕する。この粉砕においては、まず、混練物を粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、ジェット気流中で粒子同士を衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
前記分級は、前記粉砕で得られた粉砕物を分級して所定粒径の粒子に調整する。前記分級は、例えば、サイクロン、デカンター、遠心分離器等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができる。
前記粉砕及び分級が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中に分級し、所定の粒径のトナー母体粒子を製造することができる。
−溶解懸濁法−
前記溶解懸濁法は、例えば、少なくとも結着樹脂乃至樹脂前駆体、着色剤、及び離型剤を含有してなるトナー組成物を有機溶媒中に溶解乃至分散させた油相組成物を、水系媒体中で分散乃至乳化させることにより、トナー母体粒子を製造する方法である。
前記トナー組成物を溶解乃至分散させる場合に用いる有機溶媒としては、沸点が100℃未満の揮発性であることが、後の溶媒除去が容易になる点から好ましい。
前記溶解懸濁法では、油相組成物を水系媒体中で分散乃至乳化させる際に、必要に応じて、乳化剤や分散剤を用いてもよい。
−溶解懸濁重合法−
前記溶解懸濁重合法においては、前記溶解懸濁法において、少なくとも結着樹脂、反応性基含有結着樹脂前駆体(反応性基含有プレポリマー)、着色剤、及び離型剤を含む油相組成物を、樹脂微粒子を含む水系媒体中に分散乃至乳化させ、トナー母体粒子を造粒して得ることが好ましい。
なお、前記反応性基含有結着樹脂前駆体としては、活性水素基と反応可能な官能基を有する反応性基含有プレポリマーが知られており、これを用いる製造においては、乳化造粒した母体粒子中で前記油相組成物中及び/又は水系媒体中に含まれる活性水素基含有化合物とプレポリマーを反応させる方法が好ましい。
前記樹脂微粒子は、公知の重合方法を用いて形成することができるが、樹脂微粒子の水性分散液として得ることが好ましい。
前記樹脂微粒子の体積平均粒径は、10nm〜300nmが好ましく、30nm〜120nmがより好ましい。前記樹脂微粒子の体積平均粒径が、10nm未満である場合、及び300nmを超える場合、トナーの粒度分布が悪化することがある。
前記油相組成物の固形分濃度は、40質量%〜80質量%であることが好ましい。前記固形分濃度が高すぎると、溶解乃至分散が困難になり、また粘度が高くなって扱いづらくなることがあり、前記固形分濃度が低すぎると、トナーの製造性が低下することがある。
前記着色剤や離型剤等の結着樹脂以外のトナー組成物、及びそれらのマスターバッチ等は、それぞれ個別に有機溶媒に溶解乃至分散させた後、結着樹脂溶解液又は分散液に混合してもよい。
前記水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。水と混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)などが挙げられる。
前記水系媒体中への分散乃至乳化の方法としては、特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。これらの中でも、粒子の小粒径化の観点からは、高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1,000rpm〜30,000rpmであり、5,000〜20,000rpmが好ましい。分散時の温度としては、通常、0℃〜150℃(加圧下)であり、20℃〜80℃が好ましい。
前記有機溶媒を、得られた乳化分散体から除去する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、常圧又は減圧下で系全体を撹拌しながら徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。
前記水系媒体に分散されたトナー母体粒子を洗浄、乾燥する方法としては、公知の技術が用いられる。即ち、遠心分離機、フィルタープレスなどで固液分離した後、得られたトナーケーキを常温〜約40℃程度のイオン交換水に再分散させ、必要に応じて酸やアルカリでpH調整した後、再度固液分離するという工程を数回繰り返すことにより不純物や界面活性剤などを除去した後、気流乾燥機や循環乾燥機、減圧乾燥機、振動流動乾燥機などにより乾燥することによってトナー粉末を得る。この際、遠心分離などでトナーの微粒子成分を取り除いてもよいし、また、乾燥後に必要に応じて公知の分級機を用いて所望の粒径分布にすることができる。
前記トナー母体粒子は、前記外添剤、前記帯電制御剤等の粒子と混合してもよい。このとき、機械的衝撃力を印加することにより、前記トナー母体粒子の表面から前記外添剤等の粒子が脱離するのを抑制することができる。
前記機械的衝撃力を印加する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高速で回転する羽根を用いて混合物に衝撃力を印加する方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させて粒子同士又は粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などが挙げられる。
前記方法に用いる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オングミル(ホソカワミクロン株式会社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(株式会社奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業株式会社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。「部」は、特に明示しない限り「質量部」を表す。「%」は、特に明示しない限り「質量%」を表す。
<スパチュラ角の測定方法>
本明細書において、トナーの「スパチュラ角」とは、以下の方法によって求められる。
測定には、粉体特性評価装置(パウダーテスタ、ホソカワミクロン株式会社製パウダーテスタPT−N型)を用い、パウダーテスタPT−N型取扱説明書中の「5.10 スパチュラ角の測定」の項記載手順にしたがって行ったものである。
スパチュラと接した状態に設置したバット上に75gのトナーを投入する。バット上のトナーが均一な高さであることを確認した後、静かにバットを下方に移動させ、スパチュラ上にトナーが堆積した状態を作る。この後、装置に備えられた錘を落下位置まで移動し他後に落下させ、一度だけスパチュラに衝撃を加える。この状態でのスパチュラ上の粉体の稜線とスパチュラ底面との角度を測定する。これを3度行い、この平均値をスパチュラ角とする。
<ソクスレー抽出及びTHF不溶分の算出>
トナー0.3gを秤量し、あらかじめ重量を秤量(g)した円筒濾紙(「No.86R」;東洋濾紙製)に入れてソクスレー抽出器にかけた。ヒーター温度を85℃にセットし、抽出溶媒としてソクスレー用丸底フラスコにテトラヒドロフランTHF(安定剤含有 和光純薬製)200mLを用いて、7時間にわたって全還流抽出(ソクスレー抽出)を行った後、ロータリーエバポレーターでTHFを留去せしめて、抽出物を得た。抽出物をTHF(安定剤含有 和光純薬製)に0.15質量%で溶解後、ポア径が0.45μmの耐溶剤性メンブランフィルターで濾過し、その濾液を試料として用いた。前記THF試料溶液を100μL注入して測定した。
不溶分の樹脂成分の算出方法は、次の通りである。
トナーを電気炉内に設置し、窒素ガスを供給して窒素ガスで置換した状態下で、樹脂や離型剤が分解するが、着色剤、磁性材料、外添剤が分解しない温度で処理した。重量減少を確認し、重量減少が止まった段階で樹脂成分以外の不溶分を秤量した。
ソックスレー抽出後の円筒濾紙を風乾後、さらに減圧乾燥した上で、濾紙上の不溶分と濾紙の質量の総和(g)を秤量した。それからあらかじめ秤量した樹脂成分以外の不溶分と濾紙質量(g)を引くことで不溶分中の樹脂成分の質量を求めた。不溶分中の樹脂成分の質量をトナー仕込み量0.3gで割り100をかけることで、トナー質量に対する不溶分中の樹脂成分の割合を質量パーセントで算出した。結果は表1〜3に示した。
<トナー抽出成分の重量平均分子量Mwの測定>
測定装置:GPC−8220GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel SuperHZM−H 15cm 3連(東ソー社製)
温度:40℃
溶媒:THF
流速:0.35mL/min
試料:上述のソクスレー抽出物の乾燥固体、ないしは標準サンプルをTHFに溶解させ0.15質量パーセント濃度の試料を作成し、0.1mL注入した。
検量線:試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、昭和電工社製ShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580をTHFに溶解させ、0.15質量パーセント濃度の溶液を作成し、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いて作成した。
検出されたピークのうち、最も大きいものをメインピークとした。複数ピークが検出された場合は、図24に示したようにピークのすその下端で垂直分割し、メインピークについて解析を行い、Mwを算出した。
(製造例1)
−結着樹脂生成工程−
結着樹脂として、ポリエステル(1)を用い、以下のようにしてトナー母体粒子を製造した。
−−ポリエステルの合成−−
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールエチレンオキサイド2モル付加物70質量部、ビスフェノールAプロピオンオキサイド2モル付加物568質量部、テレフタル酸44質量部、及びイソフタル酸211質量部を投入し、常圧窒素気流下にて、210℃で13時間縮合反応した。更に0mmHg〜15mmHgの減圧下で脱水しながら5時間反応を継続した後に冷却し、ポリエステル(1)を得た。ポリエステル(1)の重量平均分子量Mwは5,700であった。
−−中間体ポリエステルの合成(1)−−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、プレピレングリコール650質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物90質量部、テレフタル酸290質量部、無水トリメリット酸22質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧下で、230℃にて8時間反応させた。次いで、10mmHg〜15mmHgの減圧下で、7時間反応させて、中間体ポリエステル(1)を合成した。
得られた中間体ポリエステル(1)は、数平均分子量(Mn)が5,900、重量平均分子量(Mw)が22,500、ガラス転移温度(Tg)が43℃、酸価が0.5mgKOH/g、水酸基価が22mgKOH/gであった。
−−ポリエステルプレポリマーの合成(1)−−
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記中間体ポリエステル(1)410質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、100℃にて5時間反応させて、ポリエステルプレポリマー(1)(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)を合成した。
得られたポリエステルプレポリマーの遊離イソシアネート含有量は、1.53質量%であった。
<結晶性ポリエステル樹脂1の製造>
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール154部(1.30mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5mmHg〜20mmHgの減圧下にて、Mwがおよそ15,000に達するまで反応を行い、[結晶性ポリエステル樹脂1]を得た。得られた[結晶性ポリエステル樹脂1]は、Mw14,000、融点66℃であった。
<トナー母体粒子1の製造>
<溶解懸濁重合法>
−離型剤分散液1の調製−
撹拌棒及び温度計をセットした容器にパラフィンワックス(HNP−9、日本精蝋株式会社製、融点75℃)50部、[グラフト重合体]30部、及び酢酸エチル420部を入れ、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒間、直径0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、分散を行い[離型剤分散液1]を得た。
−結晶性ポリエステル樹脂分散液1の調製−
撹拌棒及び温度計をセットした容器に[結晶性ポリエステル樹脂1]100部、及び酢酸エチル400部を入れ、撹拌下75℃で加熱溶解させた後、1時間で10℃以下まで冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒間、直径0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填の条件で、5時間分散を行い[結晶性ポリエステル樹脂分散液1]を得た。
−マスターバッチ1の作製−
・非結晶性ポリエステル樹脂1 100部
・カーボンブラック(Printex35、デグサ社製) 100部
(DBP吸油量:42mL/100g、pH:9.5)
・イオン交換水 50部
上記の原材料を、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて混合した。得られた混合物を、二本ロールを用いて混練した。混練温度は90℃から混練を始め、その後、50℃まで徐々に冷却していった。得られた混練物をパルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して[マスターバッチ1]を作製した。
−油相1の作製−
温度計及び撹拌機を備えた容器に、[非結晶性ポリエステル樹脂1]93部、[結晶性ポリエステル樹脂分散液1]68部、[離型剤分散液1]75部、[マスターバッチ1]18部、及び酢酸エチル19部を入れて、撹拌機にてプレ分散させた後、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)にて回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて[油相1]を得た。
−樹脂微粒子の水分散液の製造−
攪拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水600部、スチレン120部、メタクリル酸100部、アクリル酸ブチル45部、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩(エレミノールJS−2、三洋化成工業株式会社製)10部、及び過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分間で20分間攪拌したところ、白色の乳濁液が得られた。この乳濁液を加熱して、系内温度75℃まで昇温し、6時間反応させた。更に1%過硫酸アンモニウム水溶液30部を加え、75℃で6時間熟成して[樹脂微粒子の水分散液]を得た。この[樹脂微粒子の水分散液]中に含まれる粒子の体積平均粒径は60nmであり、樹脂分の重量平均分子量は140,000、Tgは73℃であった。
−水相1の調製−
水990部、[樹脂微粒子の水分散液]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)37部、及び酢酸エチル90部を混合撹拌し、[水相1]を得た。
−乳化乃至分散(乳化・分散工程)−
前記[油相1]273部に[ポリエステルプレポリマー1]の50%酢酸エチル溶液45部、及びイソホロンジアミンの50%酢酸エチル溶液3部を添加し、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)にて回転数5,000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散して[油相1’]を得た。次いで、撹拌機及び温度計をセットした別の容器内に[水相1]400部を入れ、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)にて13,000rpmで攪拌しながら、[油相1’]を添加し、1分間乳化して[乳化スラリー1]を得た。
−脱溶剤〜洗浄〜乾燥−
撹拌機及び温度計をセットした容器内に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で10時間熟成を行い、[スラリー1]を得た。得られた[スラリー1]を減圧濾過した後、以下の洗浄処理を行った。
(1)濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(2)前記(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過した。
(3)前記(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過した。
(4)前記(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後濾過する操作を2回行い、濾過ケーキ1を得た。
得られた濾過ケーキ1を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmのメッシュで篩い、トナー母体粒子1を作製した。トナー母体粒子1の粒径を測定したところ、体積平均粒径(Dv)は5.5μmであった。
(製造例2)
製造例1において、脱溶剤後の熟成の時間を10時間から5時間に変えた以外は、製造例1と同様にして製造例2のトナー母体粒子2を得た。
(製造例3)
製造例1において、脱溶剤後の熟成の時間を10時間から15時間に変えた以外は、製造例1と同様にして製造例3のトナー母体粒子3を製造した。
−−中間体ポリエステルの合成(2)−−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、プレピレングリコール682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧下で、230℃にて5時間反応させた。次いで、10mmHg〜15mmHgの減圧下で、4時間反応させて、中間体ポリエステル(2)を合成した。
得られた中間体ポリエステル(2)は、数平均分子量(Mn)が2,900、重量平均分子量(Mw)が11,500、ガラス転移温度(Tg)が45℃、酸価が0.5mgKOH/g、水酸基価が32mgKOH/gであった。
−−プレポリマーの合成(2)−−
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記中間体ポリエステル(2)410質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、100℃にて5時間反応させて、プレポリマー(2)(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)を合成した。
得られたプレポリマーの遊離イソシアネート含有量は、1.46質量%であった。
(製造例4)
製造例1の乳化・分散工程においてプレポリマー(1)をプレポリマー(2)に変えた以外は、製造例1と同様にして製造例4のトナー母体粒子4を得た。
(製造例5)
製造例1において、脱溶剤後の熟成の時間を10時間から0時間(熟成工程無し)に変えた以外は、製造例1と同様にして製造例5のトナー母体粒子5を得た。
(製造例6)
製造例1の乳化・分散工程において、前記プレポリマー(1)を使用しないこと以外は、製造例1と同様にして製造例6のトナー母体粒子6を得た。
(製造例7)
製造例1の乳化・分散工程において、前記プレポリマー(1)を20質量部使用すること以外は、製造例1と同様にして製造例7のトナー母体粒子7を得た。
(製造例8)
製造例1の乳化・分散工程において、前記プレポリマー(1)を75質量部使用すること以外は、製造例1と同様にして製造例8のトナー母体粒子8を得た。
(製造例9)
製造例1の乳化・分散工程において、前記プレポリマー(1)を90質量部使用すること以外は、製造例1と同様にして製造例9のトナー母体粒子9を得た。
(製造例10)
製造例1の乳化・分散工程において、ポリエステル(1)の代わりに前記非結晶性ポリエステル樹脂3を使用した以外は、製造例1と同様にして製造例10のトナー母体粒子10を得た。
(製造例11)
[非結晶性ポリエステル樹脂2]27部、[非結晶性ポリエステル樹脂3]54部、[結晶性ポリエステル樹脂1]8部、パラフィンワックス(HNP−9、日本精蝋株式会社製、融点75℃)6部、及び[マスターバッチ2]12部を、へンシェルミキサー(ヘンシェル20B、日本コークス工業株式会社製)を用いて1,500rpmで3分間予備混合した後、一軸混練機(小型ブス・コ・ニーダー、Buss社製)にて、設定温度(入口部90℃)、出口部(60℃)、フィード量(10kg/hr)の条件で溶融、混練した。得られた混練物を圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)にて粗粉砕した。次いで、I式ミル(日本ニューマチック社製、IDS−2型)にて、平面型衝突板を用い、エアー圧力(6.0atm/cm2)、フィード量(0.5kg/hr)の条件にて微粉砕を行い、更に分級機(アルピネ社製、132MP)により分級を行って、製造例11のトナー母体粒子11を得た。トナー母体粒子11の粒径を測定したところ、体積平均粒径(Dv)は7.0μmであった。
(製造例12)
製造例11において、[非結晶性ポリエステル樹脂2]を27部から57部に、[非結晶性ポリエステル樹脂3]を54部から24部に変更した以外は、製造例11と同様にして、トナー母体粒子12を得た。
<ソクスレー抽出>
サンプルとして、製造したトナー0.3gを秤量し、円筒濾紙(「No.86R」;東洋濾紙製)に入れてソクスレー抽出器にかけた。ヒーター温度を85℃にセットし、抽出溶媒としてソクスレー用丸底フラスコにテトラヒドロフランTHF(安定剤含有 和光純薬製)200mLを用いて、7時間にわたって全還流抽出(ソクスレー抽出)を行った後、ロータリーエバポレーターでTHFを留去せしめて、抽出物を得た。抽出物をTHFに溶解した溶液をポア径が0.45μmの耐溶剤性メンブランフィルターでろ過した後、GPCによって分子量の測定を行った。
[トナー1〜トナー72、現像剤1〜現像剤72]
<トナー1〜72の作製>
得られた[トナー母体粒子1]〜[トナー母体粒子12]100部に対して、表1〜3に従って、所定の外添剤を所定量添加した。混合にはヘンシェルミキサーを用い、混合後は、目開き500メッシュの篩を通過させ、トナー1〜トナー72を得た。
更にキャリアと混合してトナー濃度10質量%の二成分現像剤を作成し、得られた各現像剤を用いて、下記に示した評価内容で、定着性(定着下限温度、ホットオフセット未発生上限温度及び定着幅)、耐熱保存性(針入度)を評価した。それらの結果を表1〜3に併せて示す。
なお表中、シリカの種類は、以下のとおりである。
RX200(1次粒子径12nm、日本アエロジル株式会社製)
RX50(1次粒子径40nm、日本アエロジル株式会社製)
<トナー収容容器>
図9に示すトナー収容容器(容器開口部の断面は、図20に示す断面)を用いた。トナー収容容器本体内には、トナー製造例で製造したトナーを充填した。
図10に示すトナー収容容器は、汲み上げ部がトナー収容容器本体と一体的に形成されており、突出部がトナー収容容器本体に固定されており、トナー収容容器本体が回転することで、前記汲み上げ部が、トナーを下方から上方に持ち上げる。
<<評価>>
下記の方法により評価した実施例1〜50、比較例1〜22の評価結果を表1〜3に示す。
<ボトル排出性>
上記のトナー収容容器について、以下の評価方法で評価を行った。
その際のトナー収容容器本体からのトナーの排出性を以下の評価基準で評価した。結果を表1〜3に示した。
〔評価方法〕
トナーを、図1〜図15にて詳細に説明したトナー収容容器に120g充填した(なお、トナー収容容器の容量は、1,200mL)。トナー収容容器を振ってトナーを十分に攪拌した。トナー収容容器を本実施例に記載の搬送ノズルを備えた補給装置に装着した(図9参照)。トナー収容容器を回転、及び補給装置を動作させて補給装置から排出されるトナーの量を計測した。
条件:トナー収容容器回転数:110rpm
補給装置の搬送ノズル内の搬送スクリュピッチ:12.5mm
搬送スクリュ外径:10mm
搬送スクリュ軸径:4mm
搬送スクリュ回転数:460rpm
くみ上げ面の傾斜角 25°
〔評価基準〕
(ボトル排出性)
○:収容容器内トナー残量が70gとなってもトナーが排出されるもの。
△:高温高湿度(50℃、70%)条件下でのみ収容容器内トナー残量が70gとなる前にトナー排出がされなくなるもの。
×:収容容器内トナー残量が70gとなる前にトナー排出がなされなくなるもの。
本実験においてはトナーの未使用時充填量(製品出荷時の充填量)は200g以上と想定して、排出性を検証するために上記のようにトナー残量70gを評価基準とした。
○△を合格とし×を不合格とした。
<トナー受け入れ口への固着>
上記のトナー収容容器について、上記排出性の評価方法と同じ評価方法で評価を行った。
その際のトナー収容容器本体からのトナー補給性を以下の評価基準で評価した。結果を表1〜3に示した。
〔評価基準〕
○:良好(トナーが排出できなくなるまで駆動し続けたときに、トナー収容容器内のトナー受け入れ口にトナーによる経路閉塞が生じない)
△:許容レベル(トナーが排出できなくなるまで駆動し続けたときに、トナー収容容器内のトナー受け入れ口にトナーによる一部経路閉塞が生じる)
×:実用上使用できないレベル(トナーが排出できなくなるまで駆動し続けたときに、トナー収容容器内のトナー受け入れ口にトナーによる完全な経路閉塞が生じる)
○△を合格とし、×を不合格とした。
<定着性(ホットオフセット未発生上限温度、定着下限温度及び定着幅)>
図25に示すベルト式定着装置110を備えた画像形成装置を用いて、定着性(オフセット未発生温度及び定着下限温度)を評価した。
ベルト式定着装置110は、加熱ローラ121と、定着ローラ122と、加圧ローラ124と、定着ベルト123とを備えている。
定着ベルト123は、内部に回転可能に配置された加熱ローラ121と定着ローラ122とによって張架され、加熱ローラ121により所定の温度に加熱されている。加熱ローラ121は、内部には加熱源125が内蔵されており、加熱ローラ121の近傍に取り付けられた温度センサ127により温度調節自在に設計されている。定着ローラ122は、定着ベルト123の内側に、かつ定着ベルト123の内面に当接しながら回転可能に配置されている。加圧ローラ124は、定着ベルト123の外側に、かつ定着ベルト123の外面に、定着ローラ122を圧接するようにして当接し、回転可能に配置されている。
ベルト式定着装置110では、まず、定着処理すべきトナー像が形成された記録媒体(シート)Pが加熱ローラ121まで搬送される。そして、内蔵されている加熱源125の働きにより所定の温度に加熱された加熱ローラ121及び定着ベルト123によりシートP上のトナーTが加熱されて溶融状態となる。この状態において、該シートPが定着ローラ122及び加圧ローラ124間に形成されたニップ部に挿入される。該ニップ部に挿入されたシートPは、定着ローラ122及び加圧ローラ124の回転に連動して回転する定着ベルト123の表面に当接され、加圧ローラ124の押圧力により前記ニップ部を通過する際に押圧され、トナーTがシートP上に定着される。次いで、トナーTが定着されたシートPは、定着ローラ122及び加圧ローラ124間を通過し、定着ベルト123から剥離され、ガイドGを経てトレイ(不図示)に搬送される。なお、定着ベルト123はクリーニングローラ126で清浄化される。
図25に示すベルト式定着装置においては、定着ローラ122、加圧ローラ124、加熱ローラ121及び定着ベルト123により、ベルト張力1.5kg/片、ベルト速度350mm/sec及びニップ部幅13mmの定着条件にて定着が行われた。
定着ローラ122は、直径38mm、アスカーC硬度が約30度のシリコーン発砲体製のローラである。加圧ローラ124は、直径48mmの芯金(鉄製、肉厚1mm)上にPFAチューブを被覆し、該PFA層の表面に厚さ1mmのシリコーンゴム層を被覆した直径50mm、アスカーC硬度が約75度のローラである。加熱ローラ121は、直径30mm、肉厚2mmのアルミニウム製のローラである。定着ベルト123は、ベルト直径6
0mm及びベルト幅310mmであり、約40μm厚みのニッケル製ベルト基体表面に厚さ約150μmのシリコーンゴム製の離型層を有するローラに張架されている。
<ホットオフセット未発生上限温度>
図25に示すベルト式定着装置を備えた画像形成装置を用いてホットオフセット未発生上限温度を測定した。即ち、画像形成は、カラー複写機(「プリテール550」;株式会社リコー製)を用いて、転写紙(「タイプ6000−70W」;株式会社リコー製)に、ベタ画像を、1.0±0.1mg/cm2のトナーが現像されるように調整した。得られた画像を定着ベルト(加熱ローラ)の温度を変えて図25のベルト式定着装置を用いて定着し、オフセットの発生しない定着温度(ホットオフセット未発生上限温度)を測定した。
<定着下限温度>
図25に示すベルト式定着装置を備えた画像形成装置を用いて、画像は、カラー複写機(「プリテール550」;株式会社リコー製)を用いて、転写紙(「タイプ6200」;株式会社リコー製)をセットし、複写テストを行った。得られた定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって定着下限温度とした。なお、定着下限温度が150℃より低いトナーが、好ましく、定着下限温度が130℃より低いトナーが、更に好ましい。
<定着幅>
定着下限温度とホットオフセット未発生温度の上限の差を定着幅とした。定着幅は20℃以上が好ましく、50℃以上の場合更に好ましい。
<耐熱保存性(針入度)>
50mLのガラス容器に各トナーを10g充填し、50℃の恒温槽に20時間放置した。このトナーを室温に冷却し、針入度試験(JIS K2235−1991)により針入度を測定した。なお、前記針入度の値が大きいほど耐熱保存性が優れていることを示す。
32Y、32M、32C、32K トナー収容容器
33 トナー収容容器本体(粉体収容部)
33a 開口部
33c 粉体収容部の内壁面
34 容器先端側カバー(容器カバー)
41 感光体(像担持体)
46Y、46M、34C、46K 作像部
50 現像装置
60 トナー補給装置(粉体補給(供給)装置)
100 プリンタ部(複写機本体)
200 給紙テーブル(給紙部)
301 容器ギア
302 螺旋状突起(搬送手段)
304、304(B〜E) 粉体汲み上げ部
304a 汲み上げ部螺旋状突起
304a1 螺旋状突起の端部(終端部分)
304a2 開口部から離れた側の端部
3040、3040(B〜E) 汲み上げ面
3040a、3040(Ba〜Ea) 汲み上げ面の内端部
3041 壁部(容器先端側壁部)
3042、3042(B〜E) 縁(ヘリ、辺部)
3043 内壁
330 ノズル受入部材(搬送管受入部材)
331 ノズル受入口(管挿入口)
332 容器シャッタ(開閉部材)
335 シャッタ後端支持部
335a シャッタ側面支持部
335b シャッタ支持開口
340 容器シャッタ支持部材
500 複写機(画像形成装置)
608 セットカバー
610 ノズル開口(粉体受入口)
611 搬送ノズル(搬送管)
615 容器セット部(容器受入部)
θ 汲み上げ面の傾斜角
θ1 突起部と汲み上げ面のなす角度
θ2 汲み上げ部の2面の角度
O 回転中心軸
h1 汲み上げ面の高さ
h2 突起の高さ
S 空間
S7 開始位置(始点)
T トナー(画像形成用の粉体)
W 粉体受入口の回転方向の開口範囲
W1 粉体受入口の軸線方向の開口範囲
X、X1 仮想直線
P 記録媒体
G 現像剤
Q 装着方向
Q1 離脱方向
特開2012−133349号公報

Claims (11)

  1. トナーが収容されたトナー収容容器が装着可能であり、
    前記トナー収容容器からのトナーを受け入れる粉体受入口を有し、
    前記粉体受入口が上方に向け開口している搬送管を備え、
    装着されたトナー収容容器を所定回転数の範囲で回転させる画像形成装置に用いるトナー収容容器であって、
    前記トナーと、
    前記トナーを収容する回転可能な粉体収容部と、
    前記粉体収容部の一端に設けられ、前記搬送管を該トナー収容容器の回転中心となる位置に挿入可能な開口部と、
    容器内部に突出して、前記開口部側へ前記粉体収容部内のトナーを搬送する螺旋状突起と、
    前記粉体収容部が回転することで前記開口部側のトナーを汲み上げて前記粉体受入口へと供給する粉体汲み上げ部を備え、
    前記トナーのスパチュラ角は30°〜65°であり、
    前記トナーの、テトラヒドロフラン(THF)を用いてソクスレー抽出法により抽出される成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布における重量平均分子量Mwが、5,000以上35,000以下であり、
    前記粉体汲み上げ部は、前記粉体収容部の内壁面から回転中心軸側に向かって延びる汲み上げ面を有し、
    前記汲み上げ面は、
    前記回転中心軸側の内端部が前記粉体収容部の該回転中心軸方向に延びているとともに、前記内端部の縁が前記回転中心軸と略平行であり、且つ、
    前記回転中心軸方向から見たときに、該回転中心軸及び該内端部の縁を通る仮想直線よりも前記粉体収容部の回転方向における上流側に向けて所定範囲の傾斜角で傾斜させてあり、
    前記螺旋状突起が汲み上げ面に接続されており、当該接続される部分は汲み上げ面から周方向に伸びていることを特徴とするトナー収容容器
  2. 前記トナーのスパチュラ角は30°〜58°であることを特徴とする請求項1に記載のトナー収容容器。
  3. 前記トナーの、テトラヒドロフラン(THF)を用いてソクスレー抽出法により抽出される成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布における重量平均分子量Mwが、8,000以上18,000以下である請求項1又は2に記載のトナー収容容器。
  4. 前記トナーの、テトラヒドロフラン(THF)を用いてソクスレー抽出法により抽出される成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布における重量平均分子量Mwが、14,000以上18,000以下である請求項1から3のいずれかに記載のトナー収容容器。
  5. 前記トナーの結着樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含む請求項1又は2に記載のトナー収容容器。
  6. 前記汲み上げ面の傾斜角は、前記回転中心軸方向から見たときに、該回転中心軸及び前記内端部の縁を通る仮想直線よりも前記粉体収容部の回転方向における上流側に向けて25度±5度の範囲であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のトナー収容容器。
  7. 前記汲み上げ面は、前記粉体収容部が回転したときに、前記粉体受入口の上方において、前記内端部の縁が当該粉体受入口の回転方向における開口範囲内に位置することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のトナー収容容器。
  8. 前記汲み上げ面における前記螺旋状突起の位置は、前記開口部に前記搬送管が挿入されたときの、前記粉体受入口の軸線方向への開口範囲内である請求項1から7のいずれかに記載のトナー収容容器。
  9. 前記汲み上げ面を形成するボトル内壁面が、最もボトル内部に位置する前記汲み上げ面の端部を頂点とした山型になっていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のトナー収容容器。
  10. 前記汲み上げ面の端部を頂点として山型になっている凸部を形成する2面の角度が略鋭角になっていることを特徴とする請求項9に記載のトナー収容容器。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載のトナー収納容器と、前記トナー収容容器から搬送されたトナーを用いて像担持体上に画像形成する画像形成部とを有する画像形成装置。
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