JP4772851B2 - トナーおよびその製造方法、二成分現像剤、現像装置ならびに画像形成装置 - Google Patents

トナーおよびその製造方法、二成分現像剤、現像装置ならびに画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真方式または静電印刷方式などの画像形成装置において、潜像の現像に用いられるトナーおよびその製造方法、二成分現像剤、現像装置ならびに画像形成装置に関する。
潜像を顕像化するトナーは、種々の画像形成プロセスに用いられており、その一例として電子写真方式の画像形成プロセスに用いられている。電子写真方式の画像形成プロセスを利用する画像形成装置においては、一般的に、潜像担持体である感光体ドラム表面の感光層を均一に帯電させる帯電工程、帯電状態にある感光体ドラム表面に原稿像の信号光を投射して静電潜像を形成する露光工程、感光体ドラム表面の静電潜像に電子写真用トナーを供給して顕像化する現像工程、感光体ドラム表面のトナー像を紙やOHPシートなどの記録媒体に転写する転写工程、トナー像を加熱、加圧などにより記録媒体上に定着させる定着工程およびトナー像転写後の感光体ドラム表面に残留するトナーなどをクリーニングブレードにより除去して清浄化するクリーニング工程を実行して記録媒体上に所望の画像を形成する。記録媒体へのトナー像の転写は、中間転写媒体を介して行われることもある。
電子写真用トナーは、結着樹脂、および着色剤を主成分とし、必要に応じて、離型剤、帯電制御剤などを添加して混合したトナー原料を溶融混練し、冷却して固化させた後、粉砕分級する混練粉砕法や、懸濁重合法、乳化重合凝集法などに代表される重合法などによって得られる。
近年、地球環境保全の観点から、様々な分野において様々な取り組みが成されており、廃棄物の削減による環境負荷の低減などはそのひとつである。現在、数多くの原材料が石油から製造されており、これらの原材料の製造時やその廃棄物の焼却に必要な熱量や発生する二酸化炭素などを削減することは、地球温暖化抑制の観点から重要である。一方、大気中の二酸化炭素を光合成によって取り込んでいる植物は、燃やして二酸化炭素を発生させても、もともと大気中に存在した二酸化炭素を植物が取り込んだものなので、大気中の二酸化炭素の総量は変化しない、いわゆる、カーボンニュートラルと呼ばれており、カーボンニュートラルである植物由来の原料を使用することで大気中の二酸化炭素量を固定することができ、地球温暖化の抑制につながることから大いに注目されている。
また、石油を初めとする化石資源の枯渇化の問題に対しても、非石油資源である天然物由来の資源を用いる取り組みが成されており、植物由来の原料が特に注目されている。
これら植物由来の原料は一般にバイオマスと言われており、バイオマスから作られるプラスティックはバイオマスポリマー、バイオマスプラスティック、非石油系高分子材料など、様々な名称で呼ばれている。バイオマスのなかでも樹木中に存在する天然高分子であるリグニンは、木材や木質系廃棄物からも得ることができ、地球環境の改善、資源の有効利用といった点で、近年、注目されている。
電子写真の分野においても、地球環境に配慮した取り組み、詳しくは、環境安全性、廃棄物削減、省エネルギー化などが進められており、バイオマスを使用した生分解性樹脂の使用なども提案されている。
特許文献1には、トナー中の結着樹脂を構成する成分としてリグニンおよびセルロースをエステル化処理、またはエーテル化処理した樹脂を含有させて地球環境保全を配慮するとともに、定着時に充分な耐オフセット性、低温定着性を有し、しかも定着ローラへの巻き付きが発生しない電子写真トナーが開示されている。
特開平5−216271号公報
紙やOHPシートなどの記録媒体の上に転写されたトナー像を定着する際には、ヒートロールなどに代表される接触加熱型定着方式がよく用いられており、この方式におけるトナーの記録媒体に対する定着性は、低温オフセットが発生しない定着下限温度から高温オフセットの発生開始温度までの定着可能温度幅である定着非オフセット域の広さによって表すことができる。
トナーの記録媒体に対する定着性を向上させる、すなわち定着非オフセット域の広いトナーとするために、トナー中に含有される結着樹脂として架橋構造を有する樹脂を使用することや、高分子量体と低分子量体からなる樹脂を使用することが提案されている。しかしながら、トナーの耐高温オフセット性を向上させるために、結着樹脂における架橋成分や高分子量体の比率を上げると、結着樹脂の溶融粘度が上がり、トナーの低温定着性が不十分となる。そのため、定着非オフセット域の広いトナーとするためには、結着樹脂中の樹脂成分の配合バランスや物性を制御することが重要となる。
特許文献1に開示される技術では、結着樹脂を構成する成分としてリグニンおよびセルロースをエステル化処理、またはエーテル化処理した樹脂を含有する比率や、その他の結着樹脂成分が不明確であり、結着樹脂中の樹脂成分の配合バランスや物性を制御しているとは言えず、定着非オフセット域の狭いトナーとなる場合があり、定着性が劣化してしまう。
したがって本発明の目的は、環境負荷が低く地球環境保全に配慮したカーボンニュートラルなバイオマスポリマーであるリグニン樹脂を結着樹脂の構成成分として含有するトナーであって、定着非オフセット域が広く、優れた定着性を有するトナーおよびその製造方法を提供することである。また、該トナーを用いる二成分現像剤、この現像剤を用いて現像する現像装置、該現像装置を備える画像形成装置を提供することである。
本発明は、少なくとも結着樹脂、着色剤、および離型剤を含有するトナー粒子で構成されるトナーであって、
結着樹脂がリグニンスルホン酸またはクラフトリグニンから選ばれるリグニン樹脂と、その他の樹脂成分であるポリエステル樹脂とからなり、
ポリエステル樹脂は、ピークトップ分子量が10〜10で、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比である分子量分布指数Mw/Mnが2.8で、酸価が20以下で、ガラス転移温度が30〜80℃で、軟化温度が60〜120℃であり、
結着樹脂中のリグニン樹脂の比率が20〜50重量%であることを特徴とするトナーである。
また本発明は、リグニン樹脂がリグニンスルホン酸であることを特徴とする。
また本発明は、前記トナーを製造するトナーの製造方法であって、
少なくとも、リグニン樹脂とその他の樹脂成分であるポリエステル樹脂とからなる結着樹脂、着色剤および離型剤を混合して混合物を得る前混合工程と、
前混合工程で得られる混合物を溶融混練して溶融混練物を得る溶融混練工程と、
溶融混練工程で得られる溶融混練物を粉砕して粉砕物を得る粉砕工程と、
粉砕工程で得られる粉砕物から過粉砕粒子および粗大粒子を除去して分級する分級工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
また本発明は、前記トナーと、キャリアとを含むことを特徴とする二成分現像剤である。
また本発明は、前記トナーを含む現像剤、または前記二成分現像剤を用いて現像を行うことを特徴とする現像装置である。
また本発明は、前記現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置である。
また本発明は、潜像担持体と、潜像担持体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電状態にある潜像担持体の表面に信号光を投射して静電潜像を形成する露光手段と、潜像担持体の表面の静電潜像に現像剤を供給してトナー像を形成する前記現像装置と、潜像担持体の表面のトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体上に転写されたトナー像を加熱、加圧して熱溶融させて記録媒体上に定着させる定着手段とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、少なくとも結着樹脂、着色剤、および離型剤を含有するトナー粒子で構成されるトナーである。そして、結着樹脂がリグニンスルホン酸またはクラフトリグニンから選ばれるリグニン樹脂と、その他の樹脂成分であるポリエステル樹脂とからなり、ポリエステル樹脂は、ピークトップ分子量が10〜10で、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比である分子量分布指数Mw/Mnが2.8で、酸価が20以下で、ガラス転移温度が30〜80℃で、軟化温度が60〜120℃である。トナーを構成する結着樹脂中に、カーボンニュートラルなバイオマスポリマーであるリグニン樹脂を含むので、環境負荷が低く地球環境保全に配慮したトナーとすることができる。ここで、リグニン樹脂は、結着樹脂として一般的に使用されるポリエステル樹脂に比べて、溶融粘度が高いという特性を持つ樹脂であるので、結着樹脂中にリグニン樹脂を含有したトナーは、定着非オフセット域が狭く、定着性が悪いトナーとなってしまう。そこで、本発明では、リグニン樹脂に加えて、トナーを構成する結着樹脂中に、特定のピークトップ分子量、分子量分布指数Mw/Mn、酸価、ガラス転移温度、および軟化温度を有するポリエステル樹脂を含むので、リグニン樹脂を含有することに伴う定着性の劣化を抑制することができ、定着非オフセット域が広く、優れた定着性を有するトナーとすることができる。
ポリエステル樹脂のピークトップ分子量が10未満では、ポリエステル樹脂の樹脂強度が低すぎて、リグニン樹脂と混合したとしても、十分な樹脂強度を得ることができず、リグニン樹脂を含有することに伴う定着性の劣化を抑制する効果が十分に得られない。ポリエステル樹脂のピークトップ分子量が10を超えると、溶融粘度が高くなりすぎて、定着非オフセット域が広く、優れた定着性を有するトナーとすることができない。
また、ポリエステル樹脂の酸価が20を超えると、混合後の溶融粘度が高くなり、定着非オフセット域が広く、優れた定着性を有するトナーとすることができない。
た、結着樹脂中のリグニン樹脂の比率が20〜50重量%である。結着樹脂中のリグニン樹脂の比率が20重量%未満では、リグニン樹脂の含有量が少な過ぎて、地球環境保全に対する効果が小さ過ぎる。リグニン樹脂の比率が50重量%を超えると、リグニン樹脂を含有することに伴う定着性の劣化を抑制するポリエステル樹脂の効果が十分に得られず、トナーの定着性が劣化してしまう。
また本発明によれば、リグニン樹脂がリグニンスルホン酸である。リグニン樹脂としてリグニンスルホン酸を使用することで、分子中の疎水性骨格とスルホン基が界面活性剤的に作用し、ポリエステル樹脂の種類によらず、結着樹脂同士を均一に混合することができる。
また本発明によれば、前記トナーを製造する製造方法であって、前混合工程と、溶融混練工程と、粉砕工程と、分級工程とを含む。前混合工程では、少なくとも、リグニン樹脂とその他の樹脂成分であるポリエステル樹脂とからなる結着樹脂、着色剤および離型剤を混合して混合物を得る。溶融混練工程では、前混合工程で得られる混合物を溶融混練して溶融混練物を得る。粉砕工程では、溶融混練工程で得られる溶融混練物を粉砕して粉砕物を得る。そして、分級工程では、粉砕工程で得られる粉砕物から過粉砕粒子および粗大粒子を除去して分級する。このようにして、簡易な設備で、かつ低コストでトナーを製造することができる。
また本発明によれば、二成分現像剤が、前記トナーとキャリアとを含む。そのため、環境負荷が低く地球環境保全に配慮され、かつ優れた定着性を有する二成分現像剤を得ることができる。
また本発明によれば、現像装置が、前記トナーを含む現像剤、または前記二成分現像剤を用いて現像を行う。そのため、環境負荷が低く地球環境保全に配慮された状態で、優れた定着性を有するトナー像を形成することができる。
また本発明によれば、画像形成装置が、優れた定着性を有するトナー像を形成可能な前記現像装置を備える。そのため、長期間にわたって定着不良のトラブルが発生することなく、安定して高画質画像を形成することができる。
また本発明によれば、画像形成装置は、潜像担持体と、潜像担持体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電状態にある潜像担持体の表面に信号光を投射して静電潜像を形成する露光手段と、潜像担持体の表面の静電潜像に現像剤を供給してトナー像を形成する前記現像装置と、潜像担持体の表面のトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体上に転写されたトナー像を加熱、加圧して記録媒体上に定着させる定着手段とを含む。本発明の画像形成装置によれば、定着手段が、前記現像装置を用いて現像されたトナー像を加熱、加圧して熱溶融させて記録媒体上に定着させるので、優れた定着性と熱保存安定性を両立させたトナー物性を効果的に引き出すことができる。
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂と、着色剤と、離型剤とを含有するトナーである。そして、結着樹脂は、リグニン樹脂である樹脂Aと、その他の樹脂成分であるポリエステル樹脂の樹脂Bとからなる。
本発明に用いられるリグニン樹脂である樹脂Aは、木材中にセルロースと共に存在するリグニンとその誘導体、リグノフェノール誘導体、リグノセルロース分解生成物などのリグニン系材料が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
リグニンとその誘導体としては、リグニンを植物体から分離する方法によっていろいろの形をとるが、例えば、木材チップを酢酸および塩酸を用いて高温蒸煮して得られる「酢酸蒸解リグニン」、高圧の飽和水蒸気で処理し、瞬時に圧力を開放して得られる「蒸煮爆砕リグニン」、水酸化ナトリウムと硫酸ナトリウムの混合水溶液を蒸解液として高温で木材チップを蒸解して得られる「クラフトリグニン」、木粉を中性または弱アルカリ性の亜硫酸塩溶液で高温で蒸解して得られる「リグニンスルホン酸」、アルコール類、酢酸エチル、酢酸を主とする低分子有機酸、フェノール類、エタノールアミン等の有機溶剤で脱リグニンして得られる「オルガノソルブリグニン」などが挙げられ、これらのナトリウム、カルシウム、マグネシウムなどの塩も挙げられる。
リグノフェノール誘導体は、リグニンを含有するリグノセルロース材料にフェノール誘導体を添加した後、濃酸を添加して得られるフェノール誘導体相(有機相)と濃酸相(水相)とからなる相分離系のうちのフェノール誘導体相から得られるものである。リグノセルロース材料をフェノール誘導体で処理することにより、リグノセルロース材料中のリグニンがリグノフェノール誘導体として抽出される。
なお、リグニンを含有するリグノセルロース材料は、木粉、木材チップ、おが屑、廃材、端材、樹皮等の木質材料、わら、パガス、籾殻、ビートパルプ等の各種植物材料が挙げられる。また、古紙等の紙、パルプ類なども用いることができる。また、リグノフェノール誘導体を製造するための原料であるフェノール誘導体としては、フェノール、クレゾール、アルキルフェノール、メトキシフェノール、ナフトールなどの1価のフェノール類;カテコール、レゾルシン、ハイドロキノンなどの2価のフェノール類;ピロガロールなどの3価のフェノール類等が挙げられる。また、水溶性物質の抽出に用いる濃酸としては、例えば、濃度65重量%以上の硫酸、85重量%以上のリン酸、38重量%以上の塩酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ギ酸等が挙げられる。
リグノセルロース分解生成物とは、リグニンを含有するリグノセルロース材料を酸触媒またはアルカリ触媒存在下でフェノール化合物、多価アルコール、環状エステル等を用いて分解処理して得られるものである。あるいは、リグノセルロース材料をヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、アミノアルコール等の化合物を用いて分解処理して得られるものである。
分解処理で用いる酸触媒としては、硫酸、塩酸、トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、三フッ化ホウ素等が挙げられる。アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩;アンモニア、モノエタノールアミンなどのアミン類等が挙げられる。また、各種の分解試薬としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノールAなどのフェノール化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの多価アルコール;プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、トリメチルカーボネートなどの環状エステル;グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸などのヒドロキシカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸などのジカルボン酸;2−アミノエタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミノアルコール等が挙げられる。
以上のように、本発明のトナーは、トナーを構成する結着樹脂中に、カーボンニュートラルなバイオマスポリマーであるリグニン樹脂である樹脂Aとして、リグニンスルホン酸またはクラフトリグニンから選ばれるリグニン樹脂を含むので、環境負荷が低く地球環境保全に配慮したトナーとすることができる。
また、前述したリグニン樹脂の中でも、樹脂Aとしてリグニンスルホン酸を使用することが好ましい。リグニン樹脂である樹脂Aとしてリグニンスルホン酸を使用することで、分子中の疎水性骨格とスルホン基が界面活性剤的に作用し、ポリエステル樹脂である樹脂Bの種類によらず、樹脂Aと樹脂Bとを均一に混合することができる。
ここで、リグニン樹脂は、結着樹脂として一般的に使用されるポリエステル樹脂に比べて、溶融粘度が高いという特性を持つ樹脂であるので、結着樹脂中にリグニン樹脂を含有するトナーは、定着非オフセット域が狭く、定着性が悪いトナーとなってしまう。なお、定着非オフセット域とは、低温オフセットが発生しない定着下限温度から高温オフセットの発生が開始する温度までの定着可能温度幅である。
そこで、本発明では、リグニン樹脂である樹脂Aに加えて、トナーを構成する結着樹脂中にポリエステル樹脂である樹脂Bを含み、リグニン樹脂である樹脂Aを含有することに伴う定着性の劣化を抑制する。
リグニン樹脂である樹脂Aおよびポリエステル樹脂である樹脂Bを含む結着樹脂中における樹脂Aの重量比率は、20〜50重量%に設定する。結着樹脂中のリグニン樹脂である樹脂Aの比率が20重量%未満では、リグニン樹脂の含有量が少な過ぎて、地球環境保全に対する効果が小さ過ぎる。リグニン樹脂である樹脂Aの比率が50重量%を超えると、リグニン樹脂を含有することに伴う定着性の劣化を抑制するポリエステル樹脂である樹脂Bの効果が十分に得られず、トナーの定着性が劣化してしまう。
本発明に用いられる結着樹脂中のその他の成分である樹脂Bは、ポリエステル樹脂の他に一般的な熱可塑性樹脂を使用でき、たとえば、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。また、同一種の樹脂において、分子量や単量体組成などの各物性のうちいずれか1つまたは複数の物性が異なる樹脂を2種以上併用して使用してもよい。
ポリエステル樹脂としては、特に制限されず公知のものを使用でき、たとえば、多塩基酸類と多価アルコール類との縮重合物が挙げられる。多塩基酸類とは、多塩基酸、および多塩基酸の誘導体たとえば多塩基酸の酸無水物またはエステル化物などのことである。多価アルコール類とは、ヒドロキシル基を2個以上含有する化合物のことであり、アルコール類およびフェノール類のいずれをも含む。
多塩基酸類としては、ポリエステル樹脂のモノマーとして常用されるものを使用でき、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸およびナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸およびアジピン酸などの脂肪族カルボン酸類が挙げられる。多塩基酸類は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。
多価アルコール類としてもポリエステル樹脂のモノマーとして常用されるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよびグリセリンなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールおよび水添ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類が挙げられる。「ビスフェノールA」とは、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパンのことである。ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物としては、たとえばポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物としては、たとえばポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。多価アルコール類は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。
ポリエステル樹脂は、縮重合反応によって合成することができる。たとえば、有機溶媒中または無溶媒下で、触媒の存在下に多塩基酸類と多価アルコール類とを重縮合反応、具体的には脱水縮合反応させることによって合成することができる。このとき、多塩基酸類の一部に、多塩基酸のメチルエステル化物を用い、脱メタノール重縮合反応を行なってもよい。多塩基酸類と多価アルコール類との重縮合反応は、生成するポリエステル樹脂の酸価および軟化温度が、合成しようとするポリエステル樹脂における値となったところで終了させればよい。この重縮合反応において、多塩基酸類と多価アルコール類との配合比および反応率などの反応条件を適宜変更することによって、たとえば、得られるポリエステル樹脂の末端に結合するカルボキシル基の含有量、ひいては得られるポリエステル樹脂の酸価を調整することにより、軟化温度などの他の物性値を調整することもできる。
アクリル樹脂としても特に制限されず、公知のものを使用でき、たとえばアクリル系モノマーの単独重合体およびアクリル系モノマーとビニル系モノマーとの共重合体が挙げられる。その中でも、酸性基を有するアクリル樹脂が好ましい。アクリル系モノマーとしては、アクリル樹脂のモノマーとして常用されるものを使用でき、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸デシルおよびアクリル酸ドデシルなどのアクリル酸エステル系単量体、ならびにメタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸デシルおよびメタクリル酸ドデシルなどのメタクリル酸エステル系単量体などが挙げられる。これらのアクリル系モノマーは、置換基を有していてもよい。置換基を有するアクリル系モノマーとしては、たとえば、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシル基を有するアクリル酸エステル系またはメタクリル酸エステル系単量体などが挙げられる。アクリル系モノマーは、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。ビニル系モノマーとしても公知のものを使用でき、たとえば、スチレンおよびα−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体、臭化ビニル、塩化ビニルおよび酢酸ビニルなどの脂肪族ビニル単量体、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなどのアクリロニトリル系単量体などが挙げられる。ビニル系モノマーは、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。
アクリル系樹脂は、たとえば、アクリル系モノマーの1種もしくは2種以上、またはアクリル系モノマーの1種もしくは2種以上とビニル系モノマーの1種もしくは2種以上とを、ラジカル重合開始剤の存在下に、溶液重合法、懸濁重合法または乳化重合凝集法などで重合させることによって製造することができる。酸性基を有するアクリル樹脂は、たとえば、アクリル系モノマーまたはアクリル系モノマーとビニル系モノマーとを重合させるに際し、酸性基または親水性基を含有するアクリル系モノマーおよび酸性基または親水性基を有するビニル系モノマーのいずれか一方または両方を用いることによって製造することができる。
ポリウレタン樹脂としても特に制限されず、公知のものを使用でき、たとえば、ポリオールとポリイソシアネートとの付加重合物が挙げられる。その中でも、酸性基または塩基性基を有するポリウレタン樹脂が好ましい。酸性基または塩基性基を有するポリウレタン樹脂は、たとえば、酸性基または塩基性基を有するポリオールと、ポリイソシアネートとを付加重合反応させることによって合成することができる。酸性基または塩基性基を有するポリオールとしては、たとえば、ジメチロールプロピオン酸、N−メチルジエタノールアミンなどのジオール類、ポリエチレングリコールなどのポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオールなどの3価以上のポリオール類などが挙げられる。ポリオールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。ポリイソシアネートとしては、たとえば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。ポリイソシアネートは、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。
エポキシ樹脂としても特に制限されず、公知のものを使用でき、たとえば、ビスフェノールAとエピクロヒドリンとから合成されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールとホルムアルデヒドとの反応生成物であるフェノールノボラックとエピクロルヒドリンとから合成されるフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールとホルムアルデヒドとの反応生成物であるクレゾールノボラックとエピクロルヒドリンとから合成されるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。その中でも、酸性基または塩基性基を有するエポキシ樹脂が好ましい。酸性基または塩基性基を有するエポキシ樹脂は、たとえば、前述のエポキシ樹脂をベースとし、このベースのエポキシ樹脂にアジピン酸、無水トリメリット酸などの多価カルボン酸またはジブチルアミン、エチレンジアミンなどのアミンを付加または付加重合させることによって製造することができる。
結着樹脂中のその他の樹脂成分である樹脂Bとしては、前述の樹脂の中でもポリエステル樹脂を用いる。ポリエステル樹脂はアクリル樹脂などの他の樹脂に比べて軟化温度(T1/2)が低いので、ポリエステル樹脂を用いることによって、より低い温度で定着することのできる低温定着性に優れるトナーを得ることができる。またポリエステル樹脂は透過性に優れるので、ポリエステル樹脂を用いることによって、発色性に優れ、また他の色のトナーとの重ね合わせによって作製される二次色の発色性に優れるカラートナーを得ることができる。
ここで、リグニン樹脂である樹脂Aと、その他の熱可塑性樹脂であるポリエステル樹脂からなる樹脂Bとを含む結着樹脂を構成成分とする本発明のトナーでは、リグニン樹脂を含有することに伴う定着性の劣化を抑制することができるように、特定のピークトップ分子量および酸価を有するポリエステル樹脂からなる樹脂Bとすることが重要である。
本発明におけるポリエステル樹脂である樹脂Bは、ピークトップ分子量が10〜10で、酸価が20以下の樹脂である。ポリエステル樹脂である樹脂Bのピークトップ分子量が10未満では、ポリエステル樹脂である樹脂Bの樹脂強度が低すぎて、リグニン樹脂である樹脂Aと混合したとしても、十分な樹脂強度を得ることができず、リグニン樹脂を含有することに伴う定着性の劣化を抑制する効果が十分に得られない。ポリエステル樹脂である樹脂Bのピークトップ分子量が10を超えると、溶融粘度が高くなりすぎて、定着非オフセット域が広く、優れた定着性を有するトナーとすることができない。また、ポリエステル樹脂である樹脂Bの酸価が20を超えると、混合後の溶融粘度が高くなり、定着非オフセット域が広く、優れた定着性を有するトナーとすることができない。
なお、ピークトップ分子量とは、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置を用いて分子量分布曲線を求め、得られた分子量分布曲線のピークの頂点の分子量である。また分子量分布指数(Mw/Mn)は、分子量分布曲線から重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を求め、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比である。また、酸価は、中和滴定法によって測定することができる。
また、ポリエステル樹脂である樹脂Bのガラス転移温度(Tg)は、特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、得られるトナーの定着性および保存安定性などを考慮すると、30〜80℃であることが好ましい。30℃未満であると、保存安定性が不充分になるため画像形成装置内部でのトナーの熱凝集が起こりやすくなり、現像不良が発生するおそれがある。また高温オフセット現象が発生し始める温度(以後、「高温オフセット発生開始温度」と称する)が低下してしまう。「高温オフセット現象」とは、加熱ローラなどの定着部材で加熱および加圧してトナーを記録媒体に定着させる際に、トナーが加熱されることによってトナー粒子の凝集力がトナーと定着部材との接着力を下回ってトナー層が分断され、トナーの一部が定着部材に付着して取去られる現象のことである。また80℃を超えると、定着性が低下するため定着不良が発生するおそれがある。
ポリエステル樹脂である樹脂Bの軟化温度(T1/2)は、特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、150℃以下であることが好ましく、さらには60〜120℃であることが好ましい。60℃未満であると、トナーの保存安定性が低下し、画像形成装置内部でトナーの熱凝集が起こりやすくなり、トナーを安定して潜像担持体に供給することができず、現像不良が発生するおそれがある。また画像形成装置の故障が誘発されるおそれもある。120℃を超えると、溶融混練工程において樹脂Bが溶融しにくくなるため、トナー原料の混練が困難になり、溶融混練物中における着色剤、離型剤および帯電制御剤などの分散性が低下するおそれがある。またトナーを記録媒体に定着させる際に、トナーが溶融または軟化しにくくなるので、トナーの記録媒体への定着性が低下し、定着不良が発生するおそれがある。
本発明におけるポリエステル樹脂である樹脂Bのガラス転移温度、軟化温度は、リグニン樹脂である樹脂Aとの組み合わせにより、適宜選択することができる。
着色剤としては、染料および顔料が挙げられる。その中でも、顔料を用いることが好ましい。顔料は染料に比べて耐光性および発色性に優れるので、顔料を用いることによって耐光性および発色性に優れるトナーを得ることができる。着色剤の具体例としては、以下に記すように、たとえば、イエロートナー用着色剤、マゼンタトナー用着色剤、シアントナー用着色剤、およびブラックトナー用着色剤などが挙げられる。以下では、カラーインデックス(Color Index)を「C.I.」と略記する。
イエロートナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー15、およびC.I.ピグメントイエロー17などのアゾ系顔料、黄色酸化鉄および黄土などの無機系顔料、C.I.アシッドイエロー1などのニトロ系染料、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー19、およびC.I.ソルベントイエロー21などの油溶性染料などが挙げられる。
マゼンタトナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベーシックレッド10、およびC.I.ディスパーズレッド15などが挙げられる。
シアントナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー25、およびC.I.ダイレクトブルー86などが挙げられる。
ブラックトナー用着色剤としては、たとえば、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、およびアセチレンブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。これら各種カーボンブラックの中から、得ようとするトナーの設計特性に応じて、適切なカーボンブラックを適宜選択すればよい。
これらの顔料以外にも、紅色顔料、緑色顔料などを使用できる。着色剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。また、同色系のものを2種以上用いることができ、異色系のものをそれぞれ1種または2種以上用いることもできる。
着色剤は、マスターバッチとして使用されることが好ましい。着色剤のマスターバッチは、たとえば、合成樹脂の溶融物と着色剤とを混練することによって製造することができる。合成樹脂としては、トナーの結着樹脂と同種の樹脂またはトナーの結着樹脂に対して良好な相溶性を有する樹脂が使用される。合成樹脂と着色剤との使用割合は特に制限されないけれども、好ましくは合成樹脂100重量部に対して30〜100重量部である。マスターバッチは、たとえば粒径2〜3mm程度に造粒されて用いられる。
本発明のトナーにおける着色剤の含有量は特に制限されないけれども、好ましくは結着樹脂100重量部に対して4〜20重量部である。着色剤の配合量が前記範囲の値であることにより、着色剤の添加によるフィラー効果を抑え、かつ、高着色力を有するトナーを得ることができる。着色剤の配合量が20重量%を超えると、着色剤のフィラー効果によって、弾性が上昇し、トナーの定着性が低下するおそれがある。
これらの着色剤は、1種を単独で使用してもよく、また色の異なる2種以上を併用して使用してもよい。また同色系の複数の着色剤を併用することもできる。マスターバッチを用いる場合、本発明のトナーにおける着色剤の含有量が前記範囲になるように、マスターバッチの使用量を調整することが好ましい。着色剤を前記範囲で用いることによって、充分な画像濃度を有し、発色性が高く画像品位に優れる良好な画像を形成することができる。
離型剤は、トナーを記録媒体に定着させる際にトナーに離型性を付与するために添加される。したがって、離型剤を使用しない場合と比較して高温オフセット発生開始温度を高め、耐高温オフセット性を向上させることができる。またトナーを定着させる際の加熱によって離型剤を溶融させ、定着開始温度を低下させ、耐高温オフセット性を向上させることができる。
離型剤としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえばワックスなどが挙げられる。ワックスとしては、パラフィンワックス.カルナバワックスおよびライスワックスなどの天然ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックスおよびフィッシャートロプッシュワックスなどの合成ワックス、モンタンワックスなどの石炭系ワックスなどの石油系ワックス、アルコール系ワックス、ならびにエステル系ワックスなどが挙げられる。
離型剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。離型剤の配合量は特に制限されず、結着樹脂、着色剤などの他の成分の種類および含有量、作製しようとするトナーに要求される特性などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択することができるが、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して、3〜10重量部である。離型剤の配合量が3重量部未満であると、低温定着性および耐高温オフセット性の向上効果が充分に発揮されないおそれがある。離型剤の配合量が10重量部を超えると、混練物中における離型剤の分散性が低下し、一定の性能を有するトナーを安定して得ることができなくなるおそれがある。またトナーが感光体などの像担持体の表面に皮膜(フィルム)状に融着するフィルミングと呼ばれる現象が発生しやすくなるおそれがある。
離型剤の融点(Tm)は、50〜150℃であることが好ましく、さらには、80℃以下であることが好ましい。融点が50℃未満であると、現像装置内において離型剤が溶融してトナー粒子同士が凝集したり、感光体表面へのフィルミングなどの不良を引き起こすおそれがあり、融点が150℃を超えると、トナーを記録媒体に定着するときに離型剤が充分に溶出することができず、耐高温オフセット性の向上効果が充分に発揮されないおそれがある。ここで、離型剤の融点とは、示差走査熱量測定(Differential Scanning
Calorimetry:略称DSC)によって得られるDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの温度のことである。
本発明のトナーには、結着樹脂、着色剤、離型剤の他に、帯電制御剤などのその他のトナー添加成分が含有されてもよい。帯電制御剤を含有させることによって、トナーに好ましい帯電性を付与することができる。帯電制御剤としては、正電荷制御用または負電荷制御用の帯電制御剤を使用できる。たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、およびアミジン塩などの正電荷制御用の帯電制御剤と、たとえば、オイルブラックおよびスピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、ならびに樹脂酸石鹸などの負電荷制御用の帯電制御剤が挙げられる。帯電制御剤は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。相溶性の帯電制御剤の使用量は、好ましくは結着樹脂100重量部に対して0.5〜5重量部であり、より好ましくは結着樹脂100重量部に対して0.5〜3重量部である。帯電制御剤が5重量部よりも多く含まれると、キャリアが汚染されてしまい、トナー飛散が発生し、非相溶性の帯電制御剤の含有量が0.5重量部未満であると、トナーに十分な帯電特性を付与することができない。
カラートナーにおいては無色の帯電制御剤を使用するのが望ましく、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩が好ましい。
図1は、本発明のトナーの製造方法を示すフローチャートである。本発明のトナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤と、必要に応じて帯電制御剤などのその他のトナー添加成分を混合して混合物を作製する前混合工程(ステップS1)と、混合物を溶融混練して溶融混練物を作製する溶融混練工程(ステップS2)と、溶融混練物を粉砕して粉砕物を作製する粉砕工程(ステップS3)と、粉砕物から過粉砕分や粗粉を除去する分級工程(ステップS4)とを含む。
[前混合工程]
ステップS1の前混合工程では、少なくとも結着樹脂、着色剤および離型剤と、必要に応じて帯電制御剤などのその他のトナー添加成分を、混合機を用いて乾式混合する。乾式混合に用いられる混合機としては、公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名:FMミキサ、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
[溶融混練工程]
ステップS2の溶融混練工程では、前混合工程で作製された混合物を溶融混練して溶融混練物を作製する。混合物の溶融混練は、結着樹脂中の樹脂Aおよび樹脂Bの軟化温度以上、熱分解温度未満の温度に加熱して行われ、樹脂Aおよび樹脂Bを溶融または軟化させて結着樹脂中に結着樹脂以外のトナー原料を分散させる。
混練機としては公知のものを使用でき、たとえば、ニーダ、二軸押出機、二本ロールミル、三本ロールミル、ラボブラストミルなどの混練機を用いることができ、このような混練機としては、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダ、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機などが挙げられる。
これらの中でも、オープンロール型連続混練機を用いることが好ましい。オープンロール型連続混練機は前混合工程で得られたトナーの原料混合物をスクリューフィーダーや振動フィーダー等から構成される原料搬送供給装置により、オープンロールの一側端の加熱ロール上より供給する。供給されたトナー原料混合物は、両オープンロール間の一端供給側に滞留して溶融される。この溶融した結着樹脂等によりバンクが形成されるとともに、そのバンクにおいてオープンロールの回転によりバンク内に供給されたトナー原料混合物が飲み込まれて対流が形成される。
また、バンクにおいて、対流に飲み込まれたトナー原料混合物がオープンロールの加熱と回転により溶融され、結着樹脂は粘性を有する流体となる。そして、溶融したトナーの原料混合物が加熱ローラのオープンロール表面に巻き着き、オープンロールの回転により他端側(供給側と反対の端部側)へ移送されるうちにトナー原材料混合物が練り込まれて混練物が調製される。
このとき、オープンロールにおいて、通常、トナー原料混合物の溶融混練が低温で行われるため、結着樹脂中の樹脂Aおよび樹脂Bの溶融が進まず、高粘性流体の結着樹脂が練り込まれて大きな圧縮力、せん断力が発生する。その圧縮力、せん断力により顔料、添加剤が微細化されるとともに、結着樹脂中に均一に分散され、トナー原料混合物が溶融混練されて調製された溶融混練物はオープンロールの他端排出側から排出、冷却、固化される。また、トナー原料混合物は、複数の混練機を用いて溶融混練されても構わない。
溶融混練工程で得られる溶融混練物は、120℃における損失弾性率G2が10Pa以下、および200℃における損失弾性率G2が10Pa以上であり、かつ200℃における損失弾性率G2を貯蔵弾性率G1で除した値である損失正接(tanδ)が10以下であることが好ましい。つまり、溶融混練物からなる本発明のトナーは、上記の粘弾性特性を有することが好ましい。これによって、トナーの定着性である、低温オフセットが発生しない定着下限温度から高温オフセット発生開始温度までの定着可能温度幅である定着非オフセット域が十分に広いトナーとすることができる。
溶融混練物の120℃における損失弾性率G2が10Paを超えると、作製されるトナーの粘性が高くなり過ぎ、低温定着性が低下する。また、溶融混練物の200℃における損失弾性率G2が10Pa未満であり、かつ損失正接(tanδ)が10を超えると、作製されるトナーの弾性が低くなり過ぎ、耐高温オフセット性が低下してしまう。
上記の粘弾性特性を有する溶融混練物を得るためには、結着樹脂中の樹脂Aの混合比率、樹脂Bのピークトップ分子量、酸価、軟化温度、ガラス転移温度などを適宜調整すればよい。
なお、貯蔵弾性率G1は、溶融混練物の弾性を示す値であり、損失弾性率G2は、溶融混練物の粘性を示す値である。貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2との比である損失正接(tanδ)は、損失弾性率G2を貯蔵弾性率G1で除した値(G2/G1)であり、弾性に対する粘性の割合を表す。通常、溶融混練物に含有される結着樹脂のような溶融性の高い樹脂の貯蔵弾性率G1および損失弾性率G2は、温度依存性が高いため、本発明では、周波数が1.0Hz、ひずみ率が5%となるように一定にした条件下で温度を変化させながら、溶融状態の混練物を振動させることにより、貯蔵弾性率G1および損失弾性率G2を測定した。そして、得られた測定結果から、損失弾性率G2と温度との関係を示す損失弾性率−温度特性曲線、および損失正接(tanδ)と温度との関係を表す損失正接−温度特性曲線を求め、これらのグラフから120℃および200℃における損失弾性率G2の値ならびに200℃における損失正接(tanδ)を求めた。なお、溶融混練工程における温度条件は、結着樹脂中の樹脂Aおよび樹脂Bの軟化温度以上、熱分解温度未満の温度範囲である120〜200℃程度にすることが好ましいため、この温度範囲における貯蔵弾性率G1、損失弾性率G2および損失正接(tanδ)を求めた。
[粉砕工程]
ステップS3の粉砕工程では、溶融混練工程にて得られた溶融混練物を冷却して固化させた後、粉砕して粉砕物を作製する。冷却固化された溶融混練物は、まずハンマーミルまたはカッティングミルなどによって、たとえば体積平均粒径100μm以上5mm以下程度の粗粉砕物に粗粉砕される。その後、得られた粗粉砕物は、たとえば体積平均粒径が15μm以下の粉砕物にまでさらに微粉砕される。粗粉砕物の微粉砕には、たとえば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機、高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に粗粉砕物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機などを用いることができる。
なお、冷却固化された溶融混練物は、ハンマーミルまたはカッティングミルなどによる粗粉砕を経ることなく、直接ジェット式粉砕機または衝撃式粉砕機などにより粉砕されてもよい。
[分級工程]
ステップS4の分級工程では、粉砕工程で作製された粉砕物から分級機によって、過粉砕トナー粒子や粗大トナー粒子を除去する。過粉砕トナー粒子や粗大トナー粒子は、他のトナーの製造に再利用するために回収して使用することもできる。
分級には、遠心力による分級や風力による分級によって過粉砕トナー粒子や粗大トナー粒子を除去できる公知の分級機を使用することができ、たとえば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機または高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナー)との間に形成される空間に粗粉砕物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機などを使用することができる。
分級は分級条件を適宜調整して、分級後に得られるトナーの体積平均粒径が3〜15μmとなるように行われることが好ましい。特に高画質画像を得るためには、トナーの体積平均粒径を3〜9μmとすることが好ましく、さらに画質の向上を図るためには、トナーの体積平均粒径を5〜8μmとすることが好ましい。トナーの体積平均粒径が3μm未満であると、トナーの粒径が小さくなり過ぎ、高帯電化および低流動化が起こるおそれがある。この高帯電化および低流動化が発生すると、潜像担持体にトナーを安定して供給することができなくなり、地肌かぶりおよび画像濃度の低下などが発生するおそれがある。トナーの体積平均粒径が15μmを超えると、トナーの粒径が大きいので、高精細な画像を得ることができない。またトナーの粒径が大きくなることによって比表面積が減少し、トナーの帯電量が小さくなる。トナーの帯電量が小さくなると、トナーが潜像担持体に安定して供給されず、トナー飛散による機内汚染が発生するおそれがある。
以上のようにして製造されたトナーには、たとえば、粉体流動性向上、摩擦帯電性向上、耐熱性、長期保存性改善、クリーニング特性改善および感光体表面磨耗特性制御などの機能を担う外添剤を混合してもよい。外添剤としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、シリカ微粉末、酸化チタン微粉末およびアルミナ微粉末などが挙げられる。これらの無機微粉末は、疎水化、帯電性コントロールなどの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物などの処理剤で処理されていることが好ましく、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。外添剤の添加量としては、トナーに必要な帯電量、外添剤を添加することによる潜像担持体の摩耗に対する影響、トナーの環境特性などを考慮して、トナー100重量部に対し5重量部以下が好適である。
外添剤は、一次粒子の個数平均粒子径が10nm〜500nmであることが好ましい。このような粒径の外添剤を用いることによって、トナーの流動性向上効果が一層発揮され易くなる。
このようにトナー粒子に必要に応じて外添剤が外添されるトナーは、そのまま一成分現像剤として使用することができ、またキャリアと混合して二成分現像剤として使用することができる。
本発明の二成分現像剤は、前述したトナーと、キャリアとを含む。そのため、環境負荷が低く地球環境保全に配慮され、かつ優れた定着性を有する二成分現像剤を得ることができる。また、本発明の二成分現像剤は、個々のトナー粒子の帯電が適正に帯電される本発明のトナーを含むので、非画像部へのカブリの発生がなく、かつ高画質な画像を達成することができる。
キャリアとしては、磁性を有する粒子を使用することができる。磁性を有する粒子の具体例としては、たとえば、鉄、フェライトおよびマグネタイトなどの金属、これらの金属とアルミニウムまたは鉛などの金属との合金などが挙げられる。これらの中でも、フェライトが好ましい。
また磁性を有する粒子に樹脂を被覆した樹脂被覆キャリア、または樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散型キャリアなどをキャリアとして用いてもよい。磁性を有する粒子を被覆する樹脂としては特に制限はないけれども、たとえば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂、およびフッ素含有重合体系樹脂などが挙げられる。また樹脂分散型キャリアに用いられる樹脂としても特に制限されないけれども、たとえば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、およびフェノール樹脂などが挙げられる。
キャリアの形状は、球形または扁平形状が好ましい。また、キャリアの体積平均粒子径は特に制限されないけれども、高画質化を考慮すると、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは50μm以下である。キャリアの体積平均粒子径を50μm以下にすることにより、トナーとキャリアの接触機会が増え、個々の小径トナーも適正に帯電、制御できるために、トナー小粒径化による課題である非画像部カブリが発生せず、且つ高画質な画像を達成することができる。
さらにキャリアの抵抗率は、好ましくは10Ω・cm以上、さらに好ましくは1012Ω・cm以上である。キャリアの抵抗率は、キャリアを0.50cmの断面積を有する容器に入れてタッピングした後、容器内に詰められた粒子に1kg/cmの荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値を読取ることから得られる値である。抵抗率が低いと、現像スリーブにバイアス電圧を印加した場合にキャリアに電荷が注入され、感光体にキャリア粒子が付着し易くなる。またバイアス電圧のブレークダウンが起こり易くなる。
キャリアの磁化強さ(最大磁化)は、好ましくは10〜60emu/g、さらに好ましくは15〜40emu/gである。磁化強さは現像ローラの磁束密度にもよるけれども、現像ローラの一般的な磁束密度の条件下においては、10emu/g未満であると磁気的な束縛力が働かず、キャリア飛散の原因となるおそれがある。また磁化強さが60emu/gを超えると、キャリアの穂立ちが高くなり過ぎる非接触現像では、像担持体と非接触状態を保つことが困難になる。また接触現像ではトナー像に掃き目が現れ易くなるおそれがある。
二成分現像剤におけるトナーとキャリアとの使用割合は特に制限されず、トナーおよびキャリアの種類に応じて適宜選択できるけれども、樹脂被覆キャリア(密度5〜8g/cm)に例をとれば、現像剤中に、トナーが現像剤全量の2〜30重量%、好ましくは2〜20重量%含まれるように、トナーを用いればよい。また二成分現像剤において、トナーによるキャリアの被覆率は、40〜80%であることが好ましい。
図2は、本発明の実施の一形態である画像形成装置100の構成を示す図である。画像形成装置100は、前述した二成分現像剤を用いて現像を行う現像装置である現像手段14を備える。そのため、環境負荷が低く地球環境保全に配慮された状態で、優れた定着性および保存安定性を有するトナーからなるトナー像を形成可能な現像手段14によって、潜像担持体である感光体ドラム11上に高品質なトナー像を形成することができ、長期間にわたって定着不良のトラブルが発生することなく、安定して高画質画像を形成することができる。
画像形成装置100は、複写機能、プリンタ機能およびファクシミリ機能を併せ持つ複合機であり、伝達される画像情報に応じて、記録媒体上にフルカラーまたはモノクロの画像を形成する。すなわち、画像形成装置100においては、コピアモード(複写モード)、プリンタモードおよびFAXモードという3種の印刷モードを有しており、図示しない操作部からの操作入力、パーソナルコンピュータ、携帯端末装置、情報記録記憶媒体、メモリ装置を用いた外部機器からの印刷ジョブの受信などに応じて、図示しない制御部により、印刷モードが選択される。画像形成装置100は、トナー像形成手段7と、転写手段3と、定着手段4と、記録媒体供給手段5と、排出手段6とを含む。トナー像形成手段7を構成する各部材および転写手段3に含まれる一部の部材は、カラー画像情報に含まれるブラック(b)、シアン(c)、マゼンタ(m)およびイエロー(y)の各色の画像情報に対応するために、それぞれ4つずつ設けられる。ここでは、各色に応じて4つずつ設けられる各部材は、各色を表すアルファベットを参照符号の末尾に付して区別し、総称する場合は参照符号のみで表す。
トナー像形成手段7は、感光体ドラム11と、帯電手段12と、露光ユニット13と、現像手段14と、クリーニングユニット15とを含む。帯電手段12、現像手段14およびクリーニングユニット15は、感光体ドラム11の回転方向まわりに、この順序で配置される。帯電手段12は、現像手段14およびクリーニングユニット15よりも鉛直方向下方に配置される。
感光体ドラム11は、図示しない駆動手段により、軸線回りに回転駆動可能に支持され、図示しない、導電性基体と、導電性基体の表面に形成される感光層とを含む。導電性基体は種々の形状を採ることができ、たとえば、円筒状、円柱状、薄膜シート状などが挙げられる。これらの中でも円筒状が好ましい。導電性基体は導電性材料によって形成される。導電性材料としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金などの金属、これらの2種以上の合金、合成樹脂フィルム、金属フィルム、紙などのフィルム状基体にアルミニウム、アルミニウム合金、酸化錫、金、酸化インジウムなどの1種または2種以上からなる導電性層を形成してなる導電性フィルム、導電性粒子および/または導電性ポリマーを含有する樹脂組成物などが挙げられる。なお、導電性フィルムに用いられるフィルム状基体としては、合成樹脂フィルムが好ましく、ポリエステルフィルムが特に好ましい。また、導電性フィルムにおける導電性層の形成方法としては、蒸着、塗布などが好ましい。
感光層は、たとえば、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを積層することにより形成される。その際、導電性基体と電荷発生層または電荷輸送層との間には、下引き層を設けるのが好ましい。下引き層を設けることによって、導電性基体の表面に存在する傷および凹凸を被覆して、感光層表面を平滑化する、繰り返し使用時における感光層の帯電性の劣化を防止する、低温および/または低湿環境下における感光層の帯電特性を向上させるといった利点が得られる。また最上層に感光体表面保護層を設けた耐久性の大きい三層構造の積層感光体であっても良い。
電荷発生層は、光照射により電荷を発生する電荷発生物質を主成分とし、必要に応じて公知の結着樹脂、可塑剤、増感剤などを含有する。電荷発生物質としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、キナクリドン、アントラキノンなどの多環キノン系顔料、金属および無金属フタロシアニン、ハロゲン化無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクエアリウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、カルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリフェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨格、ジスチリルオキサジアゾール骨格またはジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料などが挙げられる。
これらの中でも、無金属フタロシアニン顔料、オキソチタニルフタロシアニン顔料、フローレン環および/またはフルオレノン環を含有するビスアゾ顔料、芳香族アミンからなるビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料などは高い電荷発生能を有し、高感度の感光層を得るのに適する。電荷発生物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷発生物質の含有量は特に制限はないけれども、電荷発生層中の結着樹脂100重量部に対して好ましくは5〜500重量部、さらに好ましくは10〜200重量部である。電荷発生層用の結着樹脂としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。
電荷発生層は、電荷発生物質および結着樹脂ならびに必要に応じて可塑剤、増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷発生層塗液を調製し、この電荷発生層塗液を導電性基体表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは0.05〜5μm、さらに好ましくは0.1〜2.5μmである。
電荷発生層の上に積層される電荷輸送層は、電荷発生物質から発生する電荷を受け入れて輸送する能力を有する電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着樹脂を必須成分とし、必要に応じて公知の酸化防止剤、可塑剤、増感剤、潤滑剤などを含有する。電荷輸送物質としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒ縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物などの電子供与性物質、フルオレノン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、プロマニル、クロラニル、ベンゾキノンなどの電子受容性物質などが挙げられる。
電荷輸送物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷輸送物質の含有量は特に制限されないけれども、好ましくは電荷輸送物質中の結着樹脂100重量部に対して10〜300重量部、さらに好ましくは30〜150重量部である。電荷輸送層用の結着樹脂としては、この分野で常用されかつ電荷輸送物質を均一に分散できるものを使用でき、たとえば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリケトン、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、これらの共重合樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成膜性、得られる電荷輸送層の耐摩耗性、電気特性などを考慮すると、ビスフェノールZをモノマー成分として含有するポリカーボネート(以後「ビスフェノールZ型ポリカーボネート」と称す)、ビスフェノールZ型ポリカーボネートと他のポリカーボネートとの混合物などが好ましい。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
電荷輸送層には、電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着樹脂と共に、酸化防止剤が含まれるのが好ましい。酸化防止剤としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ビタミンE、ハイドロキノン、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール、パラフェニレンジアミン、アリールアルカンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。酸化防止剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。酸化防止剤の含有量は特に制限されないけれども、電荷輸送層を構成する成分の合計量の0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%である。電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂ならびに必要に応じて酸化防止剤、可塑剤、増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷輸送層用塗液を調製し、この電荷輸送層用塗液を電荷発生層表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。
このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは15〜40μmである。なお、1つの層に、電荷発生物質と電荷輸送物質とが存在する感光層を形成することもできる。その場合、電荷発生物質および電荷輸送物質の種類、含有量、結着樹脂の種類、その他の添加剤などは、電荷発生層および電荷輸送層を別々に形成する場合と同様でよい。
本実施の形態では、前述のような、電荷発生物質および電荷輸送物質を用いる有機感光層を形成してなる感光体ドラムを用いるけれども、それに代えて、シリコンなどを用いる無機感光層を形成してなる感光体ドラムを使用できる。
帯電手段12は、感光体ドラム11を臨み、感光体ドラム11の長手方向に沿って感光体ドラム11表面から間隙を有して離隔するように配置され、感光体ドラム11表面を所定の極性および電位に帯電させる。帯電手段12には、帯電ブラシ型帯電器、チャージャー型帯電器、鋸歯型帯電器、イオン発生装置などを使用できる。本実施の形態では、帯電手段12は感光体ドラム11表面から離隔するように設けられるけれども、それに限定されない。たとえば、帯電手段12として帯電ローラを用い、帯電ローラと感光体ドラムとが圧接するように帯電ローラを配置しても良く、帯電ブラシ、磁気ブラシなどの接触帯電方式の帯電器を用いても良い。
露光ユニット13は、露光ユニット13から出射される各色情報の光が、帯電手段12と現像手段14との間を通過して感光体ドラム11の表面に照射されるように配置される。露光ユニット13は、画像情報を該ユニット内でb,c,m,yの各色情報の光に分岐し、帯電手段12によって一様な電位に帯電された感光体ドラム11表面を各色情報の光で露光し、その表面に静電潜像を形成する。露光ユニット13には、たとえば、レーザ照射部および複数の反射ミラーを備えるレーザスキャニングユニットを使用できる。他にもLED(Light Emitting Diode)アレイ、液晶シャッタと光源とを適宜組み合わせたユニットを用いてもよい。
図3は、本発明の現像装置である現像手段14の構成を示す図である。現像手段14は、現像槽20とトナーホッパ21とを含む。現像槽20は感光体ドラム11表面を臨むように配置され、感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して現像し、可視像であるトナー像を形成する容器状部材である。現像槽20は、その内部空間にトナーを収容しかつ現像ローラ22、供給ローラ23、撹拌ローラ24などのローラ部材またはスクリュー部材を収容して回転自在に支持する。現像槽20の感光体ドラム11を臨む側面には開口部が形成され、この開口部を介して感光体ドラム11に対向する位置に現像ローラ22が回転駆動可能に設けられる。
現像ローラ22は、感光体ドラム11との圧接部または最近接部において感光体11表面の静電潜像にトナーを供給するローラ状部材である。トナーの供給に際しては、現像ローラ22表面にトナーの帯電電位とは逆極性の電位が現像バイアス電圧(以下単に「現像バイアス」とする)として印加される。これによって、現像ローラ22表面のトナーが静電潜像に円滑に供給される。さらに、現像バイアス値を変更することによって、静電潜像に供給されるトナー量(トナー付着量)を制御できる。
供給ローラ23は現像ローラ22を臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、現像ローラ22周辺にトナーを供給する。攪拌ローラ24は供給ローラ23を臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、トナーホッパ21から現像槽20内に新たに供給されるトナーを供給ローラ23周辺に送給する。トナーホッパ21は、その鉛直方向下部に設けられるトナー補給口(図示せず)と、現像槽20の鉛直方向上部に設けられるトナー受入口(図示せず)とが連通するように設けられ、現像槽20のトナー消費状況に応じてトナーを補給する。またトナーホッパ21を用いず、各色トナーカートリッジから直接トナーを補給するよう構成しても構わない。
クリーニングユニット15は、記録媒体にトナー像を転写した後に、感光体ドラム11の表面に残留するトナーを除去し、感光体ドラム11の表面を清浄化する。クリーニングユニット15には、たとえば、クリーニングブレードなどの板状部材が用いられる。なお、本発明の画像形成装置100においては、感光体ドラム11として、主に有機感光体ドラムが用いられ、有機感光体ドラムの表面は樹脂成分を主体とするものであるため、帯電装置によるコロナ放電によって発生するオゾンの化学的作用によって表面の劣化が進行しやすい。ところが、劣化した表面部分はクリーニングユニット15よる擦過作用を受けて摩耗し、徐々にではあるが確実に除去される。したがって、オゾンなどによる表面の劣化の問題が実際上解消され、長期間にわたって、帯電動作による帯電電位を安定に維持することができる。本実施の形態ではクリーニングユニット15を設けるけれども、それに限定されず、クリーニングユニット15を設けなくてもよい。
トナー像形成手段7によれば、帯電手段12によって均一な帯電状態にある感光体ドラム11の表面に、露光ユニット13から画像情報に応じた信号光を照射して静電潜像を形成し、これに現像手段14からトナーを供給してトナー像を形成し、このトナー像を中間転写ベルト25に転写した後に、感光体ドラム11表面に残留するトナーをクリーニングユニット15で除去する。この一連のトナー像形成動作が繰り返し実行される。
転写手段3は、感光体ドラム11の上方に配置され、中間転写ベルト25と、駆動ローラ26と、従動ローラ27と、中間転写ローラ28(b,c,m,y)と、転写ベルトクリーニングユニット29、転写ローラ30とを含む。中間転写ベルト25は、駆動ローラ26と従動ローラ27とによって張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状部材であり、矢符Bの方向に回転駆動する。中間転写ベルト25が、感光体ドラム11に接しながら感光体ドラム11を通過する際、中間転写ベルト25を介して感光体ドラム11に対向配置される中間転写ローラ28から、感光体ドラム11表面のトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスが印加され、感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト25上へ転写される。
フルカラー画像の場合、各感光体ドラム11で形成される各色のトナー画像が、中間転写ベルト25上に順次重ねて転写されることによって、フルカラートナー像が形成される。駆動ローラ26は図示しない駆動手段によってその軸線回りに回転駆動可能に設けられ、その回転駆動によって、中間転写ベルト25を矢符B方向へ回転駆動させる。従動ローラ27は駆動ローラ26の回転駆動に従動回転可能に設けられ、中間転写ベルト25が弛まないように一定の張力を中間転写ベルト25に付与する。中間転写ローラ28は、中間転写ベルト25を介して感光体ドラム11に圧接し、かつ図示しない駆動手段によってその軸線回りに回転駆動可能に設けられる。中間転写ローラ28は、前述のように転写バイアスを印加する図示しない電源が接続され、感光体ドラム11表面のトナー像を中間転写ベルト25に転写する機能を有する。
転写ベルトクリーニングユニット29は、中間転写ベルト25を介して従動ローラ27に対向し、中間転写ベルト25の外周面に接触するように設けられる。感光体ドラム11との接触によって中間転写ベルト25に付着するトナーは、記録媒体の裏面を汚染する原因となるので、転写ベルトクリーニングユニット29が中間転写ベルト25表面のトナーを除去し回収する。転写ローラ30は、中間転写ベルト25を介して駆動ローラ26に圧接し、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられる。転写ローラ30と駆動ローラ26との圧接部(転写ニップ部)において、中間転写ベルト25に担持されて搬送されて来るトナー像が、後述する記録媒体供給手段5から送給される記録媒体に転写される。トナー像を担持する記録媒体は、定着手段4に送給される。転写手段3によれば、感光体ドラム11と中間転写ローラ28との圧接部において感光体ドラム11から中間転写ベルト25に転写されるトナー像が、中間転写ベルト25の矢符B方向への回転駆動によって転写ニップ部に搬送され、そこで記録媒体に転写される。
定着手段4は、転写手段3よりも記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、定着ローラ31と加圧ローラ32とを含む。定着ローラ31は図示しない駆動手段によって回転駆動可能に設けられ、記録媒体に担持される未定着トナー像を構成するトナーを加熱して溶融させ、記録媒体に定着させる。定着ローラ31の内部には図示しない加熱手段が設けられる。加熱手段は、定着ローラ31表面が所定の温度(加熱温度)になるように定着ローラ31を加熱する。加熱手段には、たとえば、ヒータ、ハロゲンランプなどを使用できる。加熱手段は、後記する定着条件制御手段によって制御される。定着条件制御手段による加熱温度の制御については、後に詳述する。
定着ローラ31表面近傍には温度検知センサが設けられ、定着ローラ31の表面温度を検知する。温度検知センサによる検知結果は、後記する制御手段の記憶部に書き込まれる。加圧ローラ32は定着ローラ31に圧接するように設けられ、加圧ローラ32の回転駆動に従動回転可能に支持される。加圧ローラ32は、定着ローラ31によってトナーが溶融して記録媒体に定着する際に、トナーと記録媒体とを押圧することによって、トナー像の記録媒体への定着を補助する。定着ローラ31と加圧ローラ32との圧接部が定着ニップ部である。定着手段4によれば、転写手段3においてトナー像が転写された記録媒体が、定着ローラ31と加圧ローラ32とによって挟持され、定着ニップ部を通過する際に、トナー像が加熱下に記録媒体に押圧されることによって、トナー像が記録媒体に定着され、画像が形成される。
記録媒体供給手段5は、自動給紙トレイ35と、ピックアップローラ36と、搬送ローラ37と、レジストローラ38、手差給紙トレイ39を含む。自動給紙トレイ35は画像形成装置100の鉛直方向下部に設けられ、記録媒体を貯留する容器状部材である。記録媒体には、普通紙、カラーコピー用紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート、葉書などがある。ピックアップローラ36は、自動給紙トレイ35に貯留される記録媒体を1枚ずつ取り出し、用紙搬送路S1に送給する。搬送ローラ37は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、記録媒体をレジストローラ38に向けて搬送する。
レジストローラ38は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、搬送ローラ37から送給される記録媒体を、中間転写ベルト25に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。手差給紙トレイ39は、手動動作によって記録媒体を画像形成装置100内に取り込む装置であり、手差給紙トレイ39から取り込まれる記録媒体は、搬送ローラ37によって用紙搬送路S2内を通過し、レジストローラ38に送給される。記録媒体供給手段5によれば、自動給紙トレイ35または手差給紙トレイ39から1枚ずつ供給される記録媒体を、中間転写ベルト25に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。
排出手段6は、搬送ローラ37と、排出ローラ40と、排出トレイ41とを含む。搬送ローラ37は、用紙搬送方向において定着ニップ部よりも下流側に設けられ、定着手段4によって画像が定着された記録媒体を排出ローラ40に向けて搬送する。排出ローラ40は、画像が定着された記録媒体を、画像形成装置100の鉛直方向上面に設けられる排出トレイ41に排出する。排出トレイ41は、画像が定着された記録媒体を貯留する。
画像形成装置100は、図示しない制御手段を含む。制御手段は、たとえば、画像形成装置100の内部空間における上部に設けられ、記憶部と演算部と制御部とを含む。制御手段の記憶部には、画像形成装置100の上面に配置される図示しない操作パネルを介する各種設定値、画像形成装置100内部の各所に配置される図示しないセンサなどからの検知結果、外部機器からの画像情報などが入力される。また、各種手段を実行するプログラムが書き込まれる。各種手段とは、たとえば、記録媒体判定手段、付着量制御手段、定着条件制御手段などである。記憶部には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。
外部機器には、画像情報の形成または取得が可能であり、かつ画像形成装置100に電気的に接続可能な電気・電子機器を使用でき、たとえば、コンピュータ、デジタルカメラ、テレビジョン受像機器、ビデオレコーダ、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダ、HDDVD(High-Definition Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスクレコーダ、ファクシミリ装置、携帯端末装置などが挙げられる。演算部は、記憶部に書き込まれる各種データ(画像形成命令、検知結果、画像情報など)および各種手段のプログラムを取り出し、各種判定を行う。制御部は、演算部の判定結果に応じて該当装置に制御信号を送付し、動作制御を行う。制御部および演算部は中央処理装置(CPU、Central
Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路を含む。制御手段は、前述の処理回路とともに主電源を含み、電源は制御手段だけでなく、画像形成装置100内部における各装置にも電力を供給する。
本発明のトナー、二成分現像剤、現像装置、画像形成装置を用いて画像形成することにより、環境負荷が低く地球環境保全に配慮された状態で、優れた定着性および保存安定性を有する現像剤を用いて、現像手段14によって感光体ドラム11上に高品質なトナー像を形成することができ、長期間にわたって定着不良のトラブルが発生することなく、安定して高画質画像を形成することができる。
(実施例)
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明する。なお、実施例におけるトナーの体積平均粒径および変動係数CV、結着樹脂中の樹脂Bのガラス転移温度(Tg)、結着樹脂中の樹脂Bの軟化温度(T1/2)、結着樹脂中の樹脂Bの分子量および分子量分布指数(Mw/Mn)、結着樹脂中の樹脂Bの酸価、結着樹脂中の樹脂BのTHF不溶分、離型剤の融点(Tm)は、次のようにして測定した。
<トナーの体積平均粒径および変動係数CV>
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター株式会社製)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(分散剤、キシダ化学株式会社製)1mlを添加し、超音波分散器(商品名:UH−50、STM株式会社製)にて超音波周波数20kHzで3分間超音波分散処理したものを測定用試料とした。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer3、ベックマン・コールター株式会社製)を用い、アパーチャ径20μm、測定粒子数50000カウントの条件下に試料粒子の体積粒度分布を測定し、測定結果から累積体積分布における大粒径側からの累積体積が50%になる粒径d50を測定した。
<樹脂Bのガラス転移温度(Tg)>
示差走査熱量計(商品名:Diamond DSC、パーキンエルマージャパン株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料0.01gを昇温速度毎分10℃(10℃/min)で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの低温側のベースラインを高温側に延長した直線とピークの低温側の曲線に対して勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)として求めた。
<樹脂Bの軟化温度(T1/2)>
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−500C、株式会社島津製作所製)を用い、試料1gをシリンダに挿入し、ダイから押出されるように荷重10kgf/cm(0.980665MPa)を与えながら、昇温速度毎分6℃(6℃/min)で加熱し、ダイから試料の半分が流出したときの温度を軟化温度として求めた。ダイには、口径1mm、長さ1mmのものを用いた。
<樹脂Bのピークトップ分子量および分子量分布指数(Mw/Mn)>
GPC装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー株式会社製)を用い、温度40℃において、試料の0.25重量%のテトラヒドロフラン(以下、THFと記す。)溶液を試料溶液とし、試料溶液の注入量を200μLとして、分子量分布曲線を求めた。得られた分子量分布曲線のピークの頂点の分子量をピークトップ分子量として求めた。また得られた分子量分布曲線から、重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnを求め、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比である分子量分布指数(Mw/Mn;以後、単に「Mw/Mn」とも表記する)を求めた。なお、分子量校正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
<樹脂Bの酸価>
樹脂Bの酸価は、以下のようにして中和滴定法によって測定した。THF50mLに、試料5gを溶解させ、指示薬としてフェノールフタレインのエタノール溶液を数滴加えた後、0.1モル/Lの水酸化カリウム(KOH)水溶液で滴定を行なった。試料溶液の色が無色から紫色に変化した点を終点とし、終点に達するまでに要した水酸化カリウム水溶液の量と滴定に供した試料の重量とから、酸価(mgKOH/g)を算出した。
<樹脂BのTHF不溶分>
試料1gを円筒濾紙に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF100mLを用いて6時間加熱還流して、試料中のTHFに可溶な成分をTHFによって抽出した。抽出されたTHF可溶分を含む抽出液から溶媒を除去した後、THF可溶分を100℃で24時間乾燥し、得られたTHF可溶分の重量X(g)を秤量した。求めたTHF可溶分の重量X(g)と、測定に用いた試料の重量(1g)とから、下記式(1)に基づいて、樹脂B中のTHFに不溶な成分であるTHF不溶分の割合P(重量%)を算出した。以下、この割合PをTHF不溶分と称する。
P(重量%)={1(g)−X(g)}/1(g)×100 …(1)
<離型剤の融点(Tm)>
示差走査熱量計(商品名:Diamond DSC、パーキンエルマージャパン株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料0.01gを温度20℃から200℃まで1分間当たり10℃の割合で昇温させ、次いで200℃から20℃まで1分間当たり50℃の割合で降温させた後、再度、温度20℃から200℃まで1分間当たり10℃の割合で昇温させることにより得られるDSC曲線の融解熱のピークについて、ピークの頂点の温度を融点(Tm)として求めた。
(実施例1)
<トナーの作製>
[前混合工程]
結着樹脂を構成する樹脂Aとしてリグニン樹脂1(リグニンスルホン酸ナトリウム、商品名:バニレックスHW、日本製紙ケミカル株式会社製)40.0重量部(トナー中の重量比率:36.2重量%)と、結着樹脂を構成する樹脂Bとしてポリエステル樹脂1(ガラス転移温度(Tg):60℃、軟化温度(T1/2):110℃、ピークトップ分子量:9250、Mw/Mn=2.8、酸価:16、THF不溶分:0%)60.0重量部(トナー中の重量比率:54.3重量%)と、着色剤としてカーボンブラック(商品名:カーボンブラック#44、三菱化学株式会社製)5.5重量部(トナー中の重量比率:5.0重量%)と、離型剤としてパラフィンワックス(商品名:HNP−10、日本精蝋株式会社製、融点(Tm):75℃)3.3重量部(トナー中の重量比率:3.0重量%)と、帯電制御剤(商品名:Copy Charge N4P VP 2481、クラリアントジャパン株式会社製)1.7重量部(トナー中の重量比率:1.5重量%)とを含有するトナー原料をヘンシェルミキサ(商品名:FM20C、三井鉱山株式会社製)にて、羽根回転数400rpm、処理時間5分の条件で混合し、原料混合物1を得た。
[溶融混練工程]
原料混合物1をエクストルーダー(PCM−65、株式会社池貝製)にて溶融混練を行った。運転条件は、シリンダ設定温度100℃、バレル回転数300rpm、原料供給速度100kg/Hであった。室温まで冷却して溶融混練物1を得た。
[粉砕工程]
溶融混練物1を室温まで冷却した後、カッターミル(商品名:VM−16、オリエント株式会社製)で粗粉砕した。続いて、粗粉砕によって得られた粗粉砕物をカウンタージェットミル(商品名:AFG、ホソカワミクロン株式会社製)によって微粉砕して、粉砕物1を得た。
[分級工程]
粉砕物1をロータリー式分級機(商品名:TSPセパレータ、ホソカワミクロン株式会社製)によって分級して過粉砕トナー粒子を分級除去し、トナー母粒子1を得た。
その後、トナー母粒子1の100重量部に対して、外添剤として疎水性シリカ(商品名:R−974、日本アエロジル株式会社製)0.2重量部を添加し、ヘンシェルミキサ(商品名:FMミキサ、三井鉱山株式会社製)で混合することによって、実施例1のトナーを15.2kg得た。得られたトナーの体積平均粒径は6.7μm、変動係数CVは21%であった。
試験
樹脂Aとしてリグニン樹脂1を18.0重量部(トナー中の重量比率:16.3重量%)、樹脂Bとしてポリエステル樹脂1を82.0重量部(トナー中の重量比率:74.2重量%)としたこと以外は実施例1と同様にして、試験のトナーを得た。得られたトナーの体積平均粒径は6.7μm、変動係数CVは23%であった。
(実施例
樹脂Aとしてリグニン樹脂1を20.0重量部(トナー中の重量比率:18.1重量%)、樹脂Bとしてポリエステル樹脂1を80.0重量部(トナー中の重量比率:72.4重量%)としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例のトナーを得た。得られたトナーの体積平均粒径は6.8μm、変動係数CVは25%であった。
(実施例
樹脂Aとしてリグニン樹脂1を50.0重量部(トナー中の重量比率:45.3重量%)、樹脂Bとしてポリエステル樹脂1を50.0重量部(トナー中の重量比率:45.3重量%)としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例のトナーを得た。得られたトナーの体積平均粒径は6.7μm、変動係数CVは27%であった。
試験
樹脂Aとしてリグニン樹脂1を60.0重量部(トナー中の重量比率:54.3重量%)、樹脂Bとしてポリエステル樹脂1を40.0重量部(トナー中の重量比率:36.2重量%)としたこと以外は実施例1と同様にして、試験のトナーを得た。得られたトナーの体積平均粒径は6.7μm、変動係数CVは28%であった。
(実施例
樹脂Aとしてリグニン樹脂2(クラフトリグニン、商品名:Indulin AT、Westvaco社製)を使用すること以外は実施例1と同様にして、実施例のトナーを得た。得られたトナーの体積平均粒径は6.8μm、変動係数CVは24%であった。
(実施例
樹脂Bとしてポリエステル樹脂2(ガラス転移温度(Tg):59℃、軟化温度(T1/2):94℃、ピークトップ分子量:1000、Mw/Mn=2.8、酸価:16、THF不溶分:0%)を使用すること以外は実施例1と同様にして、実施例のトナーを得た。得られたトナーの体積平均粒径は6.8μm、変動係数CVは23%であった。
(比較例1)
樹脂Bとしてポリエステル樹脂3(ガラス転移温度(Tg):60℃、軟化温度(T1/2):115℃、ピークトップ分子量:10820、Mw/Mn=3.2、酸価:18、THF不溶分:0%)を使用すること以外は実施例1と同様にして、比較例1のトナーを得た。得られたトナーの体積平均粒径は6.7μm、変動係数CVは24%であった。
(比較例2)
樹脂Bとしてポリエステル樹脂4(ガラス転移温度(Tg):58℃、軟化温度(T1/2):92℃、ピークトップ分子量:980、Mw/Mn=4.5、酸価:16、THF不溶分:0%)を使用すること以外は実施例1と同様にして、比較例2のトナーを得た。得られたトナーの体積平均粒径は6.7μm、変動係数CVは26%であった。
(比較例3)
樹脂Bとしてポリエステル樹脂5(ガラス転移温度(Tg):59℃、軟化温度(T1/2):104℃、ピークトップ分子量:4840、Mw/Mn=9.8、酸価:22、THF不溶分:1%)を使用すること以外は実施例1と同様にして、比較例3のトナーを得た。得られたトナーの体積平均粒径は6.7μm、変動係数CVは23%であった。
(比較例4)
樹脂Bとしてポリエステル樹脂6(ガラス転移温度(Tg):58℃、軟化温度(T1/2):90℃、ピークトップ分子量:960、Mw/Mn=2.6、酸価:28、THF不溶分:0%)を使用すること以外は実施例1と同様にして、比較例4のトナーを得た。得られたトナーの体積平均粒径は6.7μm、変動係数CVは27%であった。
(比較例5)
樹脂Bとしてポリエステル樹脂7(ガラス転移温度(Tg):60℃、軟化温度(T1/2):113℃、ピークトップ分子量:10820、Mw/Mn=3.2、酸価:24、THF不溶分:0%)を使用すること以外は実施例1と同様にして、比較例5のトナーを得た。得られたトナーの体積平均粒径は6.8μm、変動係数CVは25%であった。
<二成分現像剤の作製>
実施例1〜5、試験例1,2、および比較例1〜5で作製されたトナーと、キャリアとを含む二成分現像剤を作製した。キャリアとして、体積平均粒径45μmのフェライトコアキャリアを用いて、キャリアに対するトナーの被覆率が60%となるようにV型混合器混合機(商品名:V−5、株式会社特寿工作所製)にて20分間混合して、二成分現像剤を作製した。
<定着性の評価>
上記のようにして作製された二成分現像剤を、画像形成装置である複写機(商品名:AR−620、シャープ株式会社製)を改造した装置に充填した。記録用紙(商品名:PPC用紙SF−4AM3、シャープ株式会社製)に、縦20mm、横50mmの長方形状のべた画像部を含むサンプル画像を、べた画像部における未定着状態でのトナーの記録用紙への付着量が0.5mg/cmになるように調整して未定着画像を形成し、複写機の定着部を用いて作成した外部定着器を用いて定着画像を形成した。定着プロセス速度は124mm/秒とし、定着ローラの温度を130℃から10℃刻みで温度を上げ、低温オフセットが発生しない定着下限温度、および高温オフセットの発生開始温度を観測した。そして、定着下限温度から高温オフセット発生開始温度までの定着可能温度幅を、定着非オフセット域とした。なお、高温および低温オフセットの定義は、定着時にトナーが記録用紙に定着せずに定着ローラに付着したままローラが一周した後に記録用紙に付着することをオフセット発生とした。
定着性の評価は、以下の基準で行った。
◎:定着非オフセット域が50℃以上。
○:定着非オフセット域が40℃以上50℃未満。
△:定着非オフセット域が30℃以上40℃未満。
×:定着非オフセット域が30℃未満。
なお、定着性の評価が「◎」の場合は点数を「3」とし、「○」の場合は点数を「2」とし、「△」の場合は点数を「1」とし、「×」の場合は点数を「0」とした。
<こすり性の評価>
上記の定着性の評価の定着非オフセット域における各温度の定着画像を砂消しゴム(商品名:ライオン 消しゴム ギャザ砂 株式会社ライオン事務器製)を装着した摩擦堅牢度試験機により、1kg荷重で6回擦り、その前後の画像濃度を測定し、下記式(2)にて、こすり残存率を測定した。
こすり残存率(%)={(こすり6回後の画像濃度)/(こすり前の画像濃度)}
×100 …(2)
こすり残存率が80%以上を「合格」、80%未満を「不合格」と判定し、合格の下限温度と上限温度の差から、こすり残存率の許容幅を求め、以下のような基準でこすり性の評価を行った。
こすり性の評価は、以下の基準で行った。
○:許容幅が40℃以上。
△:許容幅が30℃以上40℃未満。
×:許容幅が30℃未満。
なお、こすり性の評価が「○」の場合は点数を「2」とし、「△」の場合は点数を「1」とし、「×」の場合は点数を「0」とした。
<総合評価>
定着性評価の点数と、こすり性評価の点数とを合計して合計点数を算出した。そして、総合評価は、以下の基準で行った。
○:合計点数が4または5である。
△:合計点数が2または3である。
×:合計点数が0または1である。
評価結果を表1に示す。
Figure 0004772851
本発明のトナーの製造方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の一形態である画像形成装置100の構成を示す図である。 本発明の現像装置である現像手段14の構成を示す図である。
符号の説明
3 転写手段
4 定着手段
5 記録媒体供給手段
6 排出手段
7 トナー像形成手段
11 感光体ドラム
12 帯電手段
13 露光ユニット
14 現像手段
15 クリーニングユニット
100 画像形成装置

Claims (7)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤、および離型剤を含有するトナー粒子で構成されるトナーであって、
    結着樹脂がリグニンスルホン酸またはクラフトリグニンから選ばれるリグニン樹脂と、その他の樹脂成分であるポリエステル樹脂とからなり、
    ポリエステル樹脂は、ピークトップ分子量が10〜10で、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比である分子量分布指数Mw/Mnが2.8で、酸価が20以下で、ガラス転移温度が30〜80℃で、軟化温度が60〜120℃であり、
    結着樹脂中のリグニン樹脂の比率が20〜50重量%であることを特徴とするトナー。
  2. リグニン樹脂がリグニンスルホン酸であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 請求項1または2に記載のトナーを製造するトナーの製造方法であって、
    少なくとも、リグニン樹脂とその他の樹脂成分であるポリエステル樹脂とからなる結着樹脂、着色剤および離型剤を混合して混合物を得る前混合工程と、
    前混合工程で得られる混合物を溶融混練して溶融混練物を得る溶融混練工程と、
    溶融混練工程で得られる溶融混練物を粉砕して粉砕物を得る粉砕工程と、
    粉砕工程で得られる粉砕物から過粉砕粒子および粗大粒子を除去して分級する分級工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法。
  4. 請求項1または2に記載のトナーと、キャリアとを含むことを特徴とする二成分現像剤。
  5. 請求項1または2に記載のトナーを含む現像剤、または請求項4に記載の二成分現像剤を用いて現像を行うことを特徴とする現像装置。
  6. 請求項5に記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
  7. 潜像担持体と、潜像担持体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電状態にある潜像担持体の表面に信号光を投射して静電潜像を形成する露光手段と、潜像担持体の表面の静電潜像に現像剤を供給してトナー像を形成する前記現像装置と、潜像担持体の表面のトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体上に転写されたトナー像を加熱、加圧して熱溶融させて記録媒体上に定着させる定着手段とを含むことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
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