JP6252205B2 - 親水性被膜形成物品、親水性被膜形成用塗布液及び親水性被膜形成物品の製造方法 - Google Patents

親水性被膜形成物品、親水性被膜形成用塗布液及び親水性被膜形成物品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、親水性被膜形成物品、親水性被膜形成用塗布液及び親水性被膜形成物品の製造方法に関する。
最近、ガラス板等の基板に防曇性等の特性を付与するために、基材の表面に親水性の被膜を形成する試みが種々行われている。その方法として、基材表面への界面活性剤の塗布(特許文献1参照)や、親水性・吸水性を有する樹脂を主体とするコーティング(特許文献2参照)等が行われている。しかしながら、これらは耐久性等に問題があり、長期に渡って使用される物品には適していない。
そこで、特許文献3には、金属アルコキシドと非反応性酸化物超微粒子を強酸性触媒の存在下で合成してなるゾル溶液を基材表面に塗布した後、150℃〜600℃の温度で加熱処理することにより基材表面に親水性・防曇性を有する複合酸化物被膜を形成することを特徴とする防曇性被膜形成基材の製造方法が開示されている。上記方法により得られた複合酸化物被膜は、マトリックスとなる金属酸化物の被膜中に非反応性酸化物超微粒子が分散したもので、親水性を有し、水滴を該複合酸化物被膜に付着させることにより、長期に渡って水膜を形成することができ、防曇性に優れるとされている。
また、スルホン酸基等の硫黄元素を含む官能基を被膜中に導入することにより、被膜の親水性を改善する技術が提案されている。
例えば、特許文献4には、基材表面に、非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄を含むオルガノシランまたは/及びその加水分解物の、単体及び前記単体から成る2量体以上の縮合物による防曇性能膜を形成しており、前記2量体以上の縮合物が、オルガノシラン総量の1wt%以上70wt%未満である防曇性物品が開示されている。
さらに、特許文献5には、基材表面が親水性官能基を有するシリカ質被膜で被覆され、基材表面での水の接触角が15°以下である、表面が親水性を呈する基材が開示されている。上記発明では、親水性官能基がスルホン酸基であることが好ましいと記載されている。
特開昭52−101680号公報 特開平6−220428号公報 特開2001−254072号公報 特許第4687009号公報 特開2000−239607号公報
特許文献3〜5に記載の発明で得られる親水性被膜は、良好な初期親水性を示すものの、長期間の使用に伴って大気中の汚染物質が膜表面に付着すると、親水性が損なわれ、ひいては防曇性が損なわれる場合があった。さらに、多量の汚染物質が膜表面に付着すると、該汚染物質の除去が容易でない場合があり、汚れ除去性についても改善が望まれている。
その一方で、親水性を高めた被膜の構成では、該被膜の硬度が低下してしまい、充分な膜硬度が得られない場合があった。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、充分な膜硬度を維持しつつ、親水性及び汚れ除去性に優れた親水性被膜を有する親水性被膜形成物品を提供することを目的とする。また、本発明は、該親水性被膜形成物品の被膜を形成するために用いられる塗布液、及び、該塗布液を用いた親水性被膜形成物品の製造方法を提供することも目的とする。
本発明者らは、種々検討した結果、親水性被膜を構成する金属酸化物の層を形成する際、硫黄元素を含む金属酸化物と硫黄元素を含まない金属酸化物を併用し、かつ、両者の含有比率を特定の範囲に設定することにより、充分な膜硬度を維持しつつ、親水性及び汚れ除去性に優れた親水性被膜とすることができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の親水性被膜形成物品は、
基材と、該基材の表面に酸化物微粒子を分散して金属酸化物の層で保持した被膜と、を有する親水性被膜形成物品であり、
上記金属酸化物の層が、
下記一般式[1]で表される硫黄元素を有する金属酸化物1、及び、
下記一般式[2]で表される金属酸化物2を含み、
上記金属酸化物1と上記金属酸化物2のモル比は、金属酸化物1:金属酸化物2=5:95〜40:60であることを特徴とする。
(RMO [1]
(式[1]中、Rは硫黄元素を有する有機基であり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、aは0.5〜3.5の数であり、bは0.25〜1.75の数である。)
(RMO [2]
(式[2]中、Rは1価の有機基であり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、cは0〜3.5の数であり、dは0.5〜2の数である。)
本発明の親水性被膜形成物品においては、上記一般式[1]のRが、チオール基、スルホン酸エステル基、スルフィド基、ジスルフィド基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する1価の有機基であることが好ましい。また、上記一般式[1]のRが、チオール基を有する炭素数1〜5の1価のアルキル基、及び/又は、スルホン酸基を有する炭素数1〜5の1価のアルキル基であることが好ましい。また、上記一般式[1]のRが、チオール基を有する炭素数1〜5の1価のアルキル基であることがより好ましい。
本発明の親水性被膜形成物品においては、上記金属酸化物2が、少なくともSiO及びZrOであることが好ましい。
本発明の親水性被膜形成物品においては、上記酸化物微粒子が、SiO、Al及びZrOからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の親水性被膜形成物品において、上記親水性の被膜を保護するための保護紙が、上記親水性の被膜を覆うように親水性被膜形成物品の表面に貼付されていることが好ましい。
本発明の親水性被膜形成物品において、上記保護紙は、粘着成分として澱粉化合物を含むことが好ましく、さらに粘着成分中に親水剤及び界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の親水性被膜形成用塗布液は、
少なくとも、酸化物微粒子を含むコロイド溶液、
下記一般式[3]で表される硫黄元素を有する金属酸化物前駆体1、
下記一般式[4]で表される化合物、及び、下記一般式[5]で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物前駆体2、
酸、水及び溶媒を混合することにより調製された親水性被膜形成用塗布液であり、
上記酸化物微粒子、上記金属酸化物前駆体1の固形分、及び上記金属酸化物前駆体2の固形分の総量100質量%に対して、上記酸化物微粒子の含有量が20〜60質量%であり、該酸化物微粒子40質量部に対して、上記金属酸化物前駆体1が酸化物換算で5〜35質量部、上記金属酸化物前駆体2が酸化物換算で40〜85質量部であることを特徴とする。
(RM(X)f−e [3]
(式[3]中、Rは硫黄元素を有する有機基であり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Xはアルコキシ基又はハロゲン元素であり、eは1〜3の整数であり、fは3又は4であり、f−eは1〜3の整数である。)
(RM(Y)h−g [4]
(式[4]中、Rは1価の有機基、Yはそれぞれ独立にアルコキシ基、ハロゲン元素、酸素元素、ハロゲン化物イオン、NO 及びCHCOOからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、gは0〜3の整数であり、hは3又は4であり、h−gは1〜4の整数である。なお、Yが2種以上の場合、h−gで表される数字の内訳は任意に選択することができる。また、Yが上記イオンを含む場合、Si、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の、オキシハロゲン化合物、オキシ硝酸化合物及びオキシ酢酸化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造となる。)
(RM(Z)j−i [5]
(式[5]中、Rはアセチルアセトナート基及びエチルアセトアセテート基から選ばれる少なくとも1つの基、Zはアルコキシ基又はハロゲン元素であり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、iは0〜4の整数であり、jは3又は4であり、j−iは0〜4の整数である。)
本発明の親水性被膜形成用塗布液においては、上記一般式[3]のRが、チオール基、スルホン酸エステル基、スルフィド基、ジスルフィド基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する1価の有機基であることが好ましい。
本発明の親水性被膜形成用塗布液においては、上記一般式[3]のRが、チオール基を有する炭素数1〜5の1価のアルキル基であることが好ましい。
本発明の親水性被膜形成用塗布液においては、上記金属酸化物前駆体2が、上記一般式[4]のgが0である化合物、及び/又は、Si、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素のオキシ塩化物であることが好ましい。
本発明の親水性被膜形成用塗布液においては、上記酸化物微粒子が、SiO、Al及びZrOからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の親水性被膜形成物品の製造方法は、上述した本発明の親水性被膜形成物品の製造方法であって、基材を準備する基材準備工程、上述した組成の親水性被膜形成用塗布液を準備する塗布液準備工程、上記基材の表面に上記塗布液を塗布して塗膜を形成する塗布工程、及び、塗布工程後の基材を100〜400℃で加熱して塗膜を硬化させて、該基材表面に親水性の被膜を形成する硬化工程を有することを特徴とする。
本発明の親水性被膜形成物品の製造方法においては、塗布工程後の塗膜表面、及び/又は、硬化工程後の被膜表面に対して、オゾン処理を施してもよい。
本発明の親水性被膜形成物品の製造方法においては、上記親水性被膜形成用塗布液及び/又はその原料に対して、過酸化水素処理、及び、過マンガン酸塩処理のうち少なくとも1つの酸化処理を施してもよい。
本発明の親水性被膜形成物品の製造方法では、さらに、上記親水性の被膜を保護するための保護紙を、上記親水性の被膜を覆うように親水性被膜形成物品の表面に貼付する保護紙貼付工程を含むことが好ましい。
本発明の親水性被膜形成物品では、硫黄元素を含む金属酸化物と硫黄元素を含まない金属酸化物を特定の比率で併用することにより、充分な膜硬度を維持しつつ、親水性及び汚れ除去性に優れた親水性被膜とすることができる。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
[親水性被膜形成物品]
本発明の親水性被膜形成物品は、
基材と、該基材の表面に酸化物微粒子を分散して金属酸化物の層で保持した被膜と、を有する親水性被膜形成物品であり、
上記金属酸化物の層が、
下記一般式[1]で表される硫黄元素を有する金属酸化物1、及び、
下記一般式[2]で表される金属酸化物2を含み、
上記金属酸化物1と上記金属酸化物2のモル比は、金属酸化物1:金属酸化物2=5:95〜40:60であることを特徴とする。
(RMO [1]
(式[1]中、Rは硫黄元素を有する有機基であり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、aは0.5〜3.5の数であり、bは0.25〜1.75の数である。)
(RMO [2]
(式[2]中、Rは1価の有機基であり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、cは0〜3.5の数であり、dは0.5〜2の数である。)
本発明の親水性被膜形成物品は、基材と、該基材の表面に酸化物微粒子を分散して金属酸化物の層で保持した被膜とを有する親水性被膜形成物品である。
本発明で用いる基材は、親水性、防曇性、汚れ除去性を期待されるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス板、鏡、反射板、保護板、タイル、食器、金属、金属メッキされた物品、セラミックス等が挙げられる。基材としては、防曇性を期待されるガラス板、鏡等が好ましい。
上記基材の表面に設けられた親水性の被膜は、分散された酸化物微粒子が金属酸化物の層で保持されたものである。
上記金属酸化物の層は、下記一般式[1]で表される硫黄元素を有する金属酸化物1を含んでいる。
(RMO [1]
(式[1]中、Rは硫黄元素を有する有機基であり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、aは0.5〜3.5の数であり、bは0.25〜1.75の数である。)
上記一般式[1]において、Rは、チオール基、スルホン酸エステル基、スルフィド基、ジスルフィド基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する1価の有機基であることが好ましく、チオール基を有する炭素数1〜5の1価のアルキル基、及び/又は、スルホン酸基を有する炭素数1〜5の1価のアルキル基であることがより好ましく、チオール基を有する炭素数1〜5の1価のアルキル基であることがさらに好ましい。炭素数1〜5の1価のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
上記一般式[1]において、金属酸化物1の具体例としては、例えば、HS(CHSiO3/2、HSO(CHSiO3/2等が挙げられる。
なお、これらの金属酸化物1は、金属酸化物の層に1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
HS(CHSiO3/2は、上記金属酸化物の層の中で、Si原子に1個のHS(CH基が結合するとともに、他の3つの結合手は、Si−O結合となっていることを意味している。
SiO3/2(SiO1.5)と表示されているのは、Siに結合した3個の酸素(O)は、他の原子(Si等)と共有しているので、1つの結合について、0.5で計算しており、3個の酸素の合計を1.5としているのである。
したがって、一般式[1]において、MがSiである場合、bとしては、0.5、1.0、1.5が挙げられ、aとしては、1、2、3等が挙げられるが、その他の数値であってもよい。
Al、Zr、Tiについても同様の方法で計算することができる。
チオール基等のスルホン酸前駆基は、オゾン処理等の酸化処理を施すことによってスルホン酸基に置換される。特許文献4及び5に記載されているように、スルホン酸基を有する被膜は親水性等に優れているが、本発明の親水性被膜形成物品は、酸化処理を施さずにチオール基等のスルホン酸前駆基を有する被膜のままであっても、スルホン酸基を有する被膜と同等の親水性及び汚れ除去性を発揮することができる。この場合、従来の親水性被膜の製造方法とは異なり、酸化処理を省略することができるという利点もある。
上記金属酸化物の層は、下記一般式[2]で表される金属酸化物2を含んでいる。
(RMO [2]
(式[2]中、Rは1価の有機基であり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、cは0〜3.5の数であり、dは0.5〜2の数である。)
上記一般式[2]において、MがSiである場合、Rとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、3−アミノプロピル基等が挙げられる。cとしては、0、1、2が挙げられ、dとしては、1、1.5、2が挙げられるが、他の数値であってもよい。MがSiである場合の金属酸化物2(ケイ素酸化物)の具体例としては、例えば、SiO、(CH)SiO1.5、(CHSiO、NH(CHSiO1.5等が挙げられる。上記ケイ素酸化物のなかでは、SiOが好ましい。
上記一般式[2]において、MがZrである場合、Rとしては、アセチルアセトナート基、CH(C=O)−O−で表される基等が挙げられる。cとしては、0、1、2が挙げられ、dとしては、1、1.5、2が挙げられるが、他の数値であってもよい。MがZrである場合の金属酸化物2(ジルコニウム酸化物)の具体例としては、例えば、ZrO、(CH(C=O)CH=C(CH)−O−)ZrO1.5、(CH(C=O)−O−)ZrO1.5等が挙げられる。上記したジルコニウム酸化物のなかでは、ZrOが好ましい。
上記一般式[2]において、MがAlである場合、Rとしては、アセチルアセトナート基やエチルアセトアセテート基等が挙げられる。cとしては、0、1、2が挙げられ、dとしては、0.5、1、1.5が挙げられるが、他の数値であってもよい。MがAlである場合の金属酸化物2(アルミニウム酸化物)の具体例としては、例えば、AlO1.5、(CO(C=O)CH=C(CH)−O−)AlO、(CH(C=O)CH=C(CH)−O−)AlO、(CH(C=O)CH=C(CH)−O−)AlO0.5、(CH(C=O)CH=C(CH)−O−)(CO(C=O)CH=C(CH)−O−)AlO0.5等が挙げられる。上記アルミニウム酸化物のなかでは、AlO1.5(Al)が好ましい。
上記一般式[2]において、MがTiである場合、Rとしては、アセチルアセトナート基やエチルアセトアセテート基等が挙げられる。cとしては、0、1、2が挙げられ、dとしては、1、1.5、2が挙げられるが、他の数値であってもよい。MがTiである場合の金属酸化物2(チタン酸化物)の具体例としては、例えば、TiO、(CO(C=O)CH=C(CH)−O−)TiO、(CH(C=O)CH=C(CH)−O−)TiO等が挙げられる。上記チタン酸化物のなかでは、TiOが好ましい。
なお、これらの金属酸化物2は、金属酸化物の層に1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。これらのなかでは、金属酸化物2として、少なくともSiO及びZrOが含まれていることが好ましい。
上記金属酸化物の層に含まれる金属酸化物1と金属酸化物2のモル比は、金属酸化物1:金属酸化物2=5:95〜40:60である。すなわち、金属酸化物1と金属酸化物2との合計量に対し、金属酸化物1の割合は、5〜40モル%である。
金属酸化物1と金属酸化物2のモル比が上記割合であると、充分な膜硬度を維持しつつ、親水性及び汚れ除去性に優れる。金属酸化物1の割合が5モル%未満であると、硫黄元素を有する金属酸化物1の割合が少ないため、充分な膜硬度は有するものの、親水性及び汚れ除去性が不充分となる。一方、金属酸化物1の割合が40モル%を超えると、親水性及び汚れ除去性は有するものの、膜硬度が不充分となる。
金属酸化物1と金属酸化物2のモル比(金属酸化物1:金属酸化物2)は、好ましくは10:90〜35:65であり、より好ましくは10:90〜20:80である。
基材の表面に形成された金属酸化物の層中には、酸化物微粒子が分散されている。酸化物微粒子の材料は、特に限定されるものではないが、SiO、Al及びZrOからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、これらのなかでは、SiOが特に好ましい。
この酸化物微粒子は、原料として、シリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾル等を用い、金属アルコキシド等の酸化物前駆体と混合して親水性被膜形成用塗布液を調製し、該塗布液を基材に塗布して乾燥することにより、金属酸化物の層で分散して保持される。
上記金属酸化物の層の中には、走査型電子顕微鏡観察から求めた一次粒子の平均粒子径が30〜250nmの酸化物微粒子が分散していることが好ましい。
上記金属酸化物の層の厚さは、5〜150nmの範囲が好ましく、9〜100nmがより好ましい。
酸化物微粒子の平均粒子径及び金属酸化物層の厚さは、走査型電子顕微鏡(電界放出型電子顕微鏡(FE−SEM)S−4500、日立ハイテク(株)製)等を用いることにより、画像を撮影し、得られた画像を観察して決定する。
酸化物微粒子の平均粒子径については、このようなFE−SEMの断面画像より、例えば、縦1μm、横1μmの正方形(1μm当たり)に存在する粒子のそれぞれの幅を測定し、その平均値を平均粒子径とする。
本発明の親水性被膜形成物品において、基材表面に形成された金属酸化物の層から酸化物微粒子の一次粒子が突出しており、突出した粒子の表面は金属酸化物により覆われていても、覆われていなくても良い。これにより、被膜の表面積が増大し、被膜の表面積の増大に起因して被膜の親水性が向上している。
本発明の親水性被膜形成物品において、金属酸化物(金属酸化物1+金属酸化物2)と酸化物微粒子の合計量に対する酸化物微粒子の含有量は、20〜60質量%が好ましい。金属酸化物と酸化物微粒子の合計量に対する酸化物微粒子の含有量が、20質量%未満では、被膜表面の親水性が充分とはならず、一方、60質量%を超えると、金属酸化物の層の含有割合が少なくなり、防汚性能が低下するといった問題や、被膜の硬度が低下するといった問題が生じる。金属酸化物と酸化物微粒子の合計量に対する酸化物微粒子の含有量は、より好ましくは30〜50質量%である。
本発明の親水性被膜形成物品では、上記金属酸化物の層は、金属酸化物1と金属酸化物2を含み、金属酸化物1と金属酸化物2のモル比は、金属酸化物1:金属酸化物2=5:95〜40:60と所定割合の金属酸化物1を含んでいるので、充分な膜硬度を維持しつつ、親水性及び汚れ除去性に優れる。
本発明の親水性被膜形成物品には、親水性被膜形成物品の製造を完了した後、被膜表面に澱粉化合物を有するコーティング剤を塗布して、親水性部材を形成してもよい。該コーティング剤の溶媒は水であることが好ましい。該コーティング剤の調製方法乃至塗布方法としては、特に限定されるものではないが、予め一部をα化させ糊状にした澱粉化合物を水で希釈し、この希釈液を刷毛もしくは霧吹き等の機材を使用して容易に塗布することができる。コーティングの後、水を含んだ発泡性弾性体で部材表面をこすることによって効率良く、コーティング剤を固定することができ、親水性部材を形成することができる。上記のコーティング剤の塗布の後、該部材を50℃〜100℃で熱処理し、澱粉化合物のα化を促進することが好ましい。熱処理手段としては、汎用的に流通している熱風送風型のドライヤー等を使用することができる。また、親水性を増加させるため、上記澱粉化合物を本発明の親水性の被膜に含ませてもよい。
上記親水性部材は、親水性、防汚性に優れるので、汚染負荷の大きな環境での使用に適する。また、耐久性にも優れるので長期に渡って使用に奏功する。さらには、廉価に提供することができ、使用に際し、容易に親水性を回復させることができる。
上記コーティングにより形成された親水性部材は、経時的に澱粉化合物が溶出し、澱粉化合物による親水性が低下していくので、澱粉化合物を有するコーティング剤を定期的に塗布し、水を含んだ発泡性弾性体で部材表面をこすることで親水性を回復させることができる。その際、澱粉化合物を有するコーティング剤を塗布した後に部材を、澱粉化合物のα化を促進し、微細な表面凹凸構造を有する部材により澱粉化合物を浸透させることができる、50℃〜100℃で熱処理することが好ましい。
また、上記親水性部材中には、本発明の目的を損なわない限りにおいて、公知の親水剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、赤外線吸収剤、難燃剤、加水分解防止剤、防黴剤等の成分が含有されていてもよい。
親水剤としては、例えば、親水基含有アルコキシオリゴマー(「X−41−1053」、「X−41−1059A」、「X−41−1056」、「X−41−1805」、「X−41−1818」、「X−41−1810」、「X−40−2651」、「X−40−2655A」、信越化学工業製)、水溶性のポリマーブラシ状化合物(商品名「LAMBIC」シリーズ、大阪有機化学工業製)、親水基含有水系シランカップリング剤(商品名「X−12−641」、「X−12−1098」、「X−12−1121」、「X−12−1135」、「X−12−1126」、「X−12−1131」、「X−12−1141」、信越化学工業製)等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、エチレンオキサイド含有非イオン性界面活性剤(商品名「ペポールAS−053X」、「ペポールAS−054C」、「ペポールA−0638」、「ペポールA−0858」、「ペポールB−181」、「ペポールB−182」、「ペポールB−184」、「ペポールB−188」、「ペポールD−301A」、「ペポールD−304」、「ペポールBS−184」、「ペポールBS−201」、東邦化学工業製)、アセチレングリコール系界面活性剤(商品名「サーフィノール104E」、「サーフィノール104H」、「サーフィノール104A」、「サーフィノール104PA」、「サーフィノール104PG−50」、「サーフィノール104S」、「サーフィノール420」、「サーフィノール440」、「サーフィノール465」、「サーフィノール485」、「オルフィンD−10PG」、以上日信化学工業製、「アセチレノールEOO」、「アセチレノールE13T」、「アセチレノールE40」、「アセチレノールE60」、「アセチレノールE81」、「アセチレノールE100」、「アセチレノールE200」、「アセチレノールE00F24」、「アセチレノールE00P」、以上川研ファインケミカル製)等が挙げられる。
また、本発明の目的を損なわない限りにおいて、上記の親水剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、赤外線吸収剤、難燃剤、加水分解防止剤、防黴剤等の成分を本発明の親水性の被膜に含ませてもよい。その場合、上記の成分は、本発明の親水性被膜形成用塗布液に含有させて、該塗布液を基材に塗布して乾燥することにより被膜中に含有される。
また、本発明の親水性被膜形成物品には、上記親水性の被膜を保護するための保護紙が、上記親水性の被膜を覆うように親水性被膜形成物品の表面に貼付されていることが好ましい。
上記保護紙は、本発明の親水性被膜形成物品の梱包、運搬、施工の際に、親水性被膜形成物品に形成された親水性の被膜の損傷や汚染を防止する役割を果たす。
上記保護紙は、粘着成分として澱粉化合物を含むことが好ましく、さらに粘着成分中に親水剤及び界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。保護紙を剥離した際、これらの澱粉化合物や親水剤や界面活性剤が親水性の被膜の表面に残留し、これらの澱粉化合物や親水剤や界面活性剤をコーティングしたのと同様の効果をもたらす。すなわち、上記コーティング剤の塗布でも説明したように、澱粉化合物や親水剤や界面活性剤が親水性被膜中に存在すると、親水性被膜の親水性が増加し、親水剤や界面活性剤が存在すると、さらに防汚性が向上する。
親水剤や界面活性剤としては、上記コーティング剤の塗布において例示した化合物や商品を使用することができる。
なお、上記保護紙を親水性被膜形成物品の表面に貼付する工程(保護紙貼付工程)は、表面に予め粘着成分を有した保護紙を親水性被膜形成物品の被膜表面に貼付してもよいし、親水性被膜形成物品の被膜表面に粘着成分を塗布しその上に保護紙を密着させて貼付してもよい。
[親水性被膜形成用塗布液]
本発明の親水性被膜形成用塗布液は、
少なくとも、酸化物微粒子を含むコロイド溶液、
下記一般式[3]で表される硫黄元素を有する金属酸化物前駆体1、
下記一般式[4]で表される化合物、及び、下記一般式[5]で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物前駆体2、
酸、水及び溶媒を混合することにより調製された親水性被膜形成用塗布液であり、
上記酸化物微粒子、上記金属酸化物前駆体1の固形分、及び上記金属酸化物前駆体2の固形分の総量100質量%に対して、上記酸化物微粒子の含有量が20〜60質量%であり、該酸化物微粒子40質量部に対して、上記金属酸化物前駆体1が酸化物換算で5〜35質量部、上記金属酸化物前駆体2が酸化物換算で40〜85質量部であることを特徴とする。
(RM(X)f−e [3]
(式[3]中、Rは硫黄元素を有する有機基であり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Xはアルコキシ基又はハロゲン元素であり、eは1〜3の整数であり、fは3又は4であり、f−eは1〜3の整数である。)
(RM(Y)h−g [4]
(式[4]中、Rは1価の有機基、Yはそれぞれ独立にアルコキシ基、ハロゲン元素、酸素元素、ハロゲン化物イオン、NO 及びCHCOOからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、gは0〜3の整数であり、hは3又は4であり、h−gは1〜4の整数である。なお、Yが2種以上の場合、h−gで表される数字の内訳は任意に選択することができる。また、Yが上記イオンを含む場合、Si、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の、オキシハロゲン化合物、オキシ硝酸化合物及びオキシ酢酸化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造となる。)
(RM(Z)j−i [5]
(式[5]中、Rはアセチルアセトナート基及びエチルアセトアセテート基から選ばれる少なくとも1つの基、Zはアルコキシ基又はハロゲン元素であり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、iは0〜4の整数であり、jは3又は4であり、j−iは0〜4の整数である。)
上記コロイド溶液に含まれる酸化物微粒子としては、SiO、Al、ZrO等が挙げられる。これらの酸化物微粒子は、コロイド溶液に1種のみが含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよいが、SiOが含まれていることが好ましい。
本発明の親水性被膜形成用塗布液の原料となる酸化物微粒子を含むコロイド溶液(ゾル)としては、シリカゾル(コロイダルシリカ)、アルミナゾル(コロイダルアルミナ)等が挙げられる。シリカゾルとしては、ナトリウムやアンモニウム等の1価の陽イオンで安定化したものが好ましく、例えば、市販品としては、スノーテックス(日産化学工業製)、ルドックス(デュポン社製)、カタロイド(触媒化成製)等を用いることができる。また、アルミナゾルの場合もシリカゾルの場合と同様に、ナトリウムやアンモニウム等の1価の陽イオンで安定化したものが好ましく、例えば、市販品としては、アルミナクリアゾル(川研ファインケミカル製)等を用いることができる。また、本発明の親水性被膜形成用塗布液には、ZrOのコロイド溶液(ゾル)が添加されていてもよい。ジルコニアゾル(コロイダルジルコニア)としては、日産化学工業製のナノユース、第一稀元素化学工業製のZSL−10A、ZSL−20N、堺化学工業製のSZR−K、SZR−M等が挙げられる。
金属酸化物の層において金属酸化物1の成分となる酸化物前駆体としては、下記一般式[3]で表される硫黄元素を有する金属酸化物前駆体1が挙げられる。
(RM(X)f−e [3]
(式[3]中、Rは硫黄元素を有する有機基であり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Xはアルコキシ基又はハロゲン元素であり、eは1〜3の整数であり、fは3又は4であり、f−eは1〜3の整数である。)
上記一般式[3]において、Rは、チオール基、スルホン酸エステル基、スルフィド基、ジスルフィド基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する1価の有機基であることが好ましく、チオール基を有する炭素数1〜5の1価のアルキル基、及び/又は、スルホン酸基を有する炭素数1〜5の1価のアルキル基であることがより好ましく、チオール基を有する炭素数1〜5の1価のアルキル基であることがさらに好ましい。炭素数1〜5の1価のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
上記一般式[3]において、金属酸化物前駆体1の具体例としては、例えば、HS(CHSi(OCH、HSO(CHSi(OC等が挙げられる。
なお、これらの金属酸化物前駆体1は、親水性被膜形成用塗布液に1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
本発明の親水性被膜形成物品において説明したように、チオール基等のスルホン酸前駆基は、オゾン処理等の酸化処理を施すことによってスルホン酸基に置換される。本発明の親水性被膜形成用塗布液やその原料に対して、過酸化水素処理、過マンガン酸塩処理のうち少なくとも1つの酸化処理を施し、塗布液の酸化を進行させてもよい。上記過酸化水素処理とは、過酸化水素水を塗布液やその原料に添加し、酸化を進行させる処理を意味する。上記過マンガン酸塩処理とは、過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを塗布液やその原料に添加し、酸化を進行させる処理を意味する。スルホン酸基を有する被膜は親水性等に優れているが、本発明の親水性被膜形成用塗布液を用いて形成された被膜は、酸化処理を施さずにチオール基等のスルホン酸前駆基を有する被膜のままであっても、スルホン酸基を有する被膜と同等の親水性及び汚れ除去性を発揮することができる。この場合、従来の親水性被膜の製造方法とは異なり、上記の塗布液やその原料に対する酸化処理を省略することができるという利点もある。
金属酸化物の層において金属酸化物2の成分となる酸化物前駆体としては、下記一般式[4]で表される化合物、及び、下記一般式[5]で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物前駆体2が挙げられる。
(RM(Y)h−g [4]
(式[4]中、Rは1価の有機基、Yはそれぞれ独立にアルコキシ基、ハロゲン元素、酸素元素、ハロゲン化物イオン、NO 及びCHCOOからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、gは0〜3の整数であり、hは3又は4であり、h−gは1〜4の整数である。なお、Yが2種以上の場合、h−gで表される数字の内訳は任意に選択することができる。また、Yが上記イオンを含む場合、Si、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の、オキシハロゲン化合物、オキシ硝酸化合物及びオキシ酢酸化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造となる。)
(RM(Z)j−i [5]
(式[5]中、Rはアセチルアセトナート基及びエチルアセトアセテート基から選ばれる少なくとも1つの基、Zはアルコキシ基又はハロゲン元素であり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、iは0〜4の整数であり、jは3又は4であり、j−iは0〜4の整数である。)
上記一般式[4]において、MがSiである場合、hは4である。gが0の場合の化合物としては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラクロロシラン等が挙げられ、gが1の場合の化合物としては、モノメチルトリエトキシシラン、モノメチルトリメトキシシラン、モノメチルトリクロロシラン、(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン等が挙げられ、gが2の場合の化合物としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン等が挙げられる。これらのなかでは、特に、一般式SiYで表わされるアルコキシシランを用いると、被膜の硬度が良好となるので好ましい。
上記一般式[4]において、MがZrである場合、hは3である。gが0の場合の化合物としては、下記一般式[6]で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のジルコニウム酸化物前駆体が挙げられる。
ZrOY [6]
(式[6]中、YはCl、NO 又はCHCOOである。)
一般式[6]で表されるジルコニウム酸化物前駆体としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ酢酸ジルコニウム等が挙げられる。
上記一般式[5]において、MがZrである場合、jは4であり、iは0〜4である。該酸化物前駆体としては、下記一般式[7]で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のジルコニウム酸化物前駆体が挙げられる。
(RZr(Y)4−k [7]
(式[7]中、Rはアセチルアセトナート基、Yは炭素数2〜4のアルコキシ基又はハロゲン、kは0〜4の整数である。)
一般式[7]で表されるジルコニウム酸化物前駆体において、kが0の場合の化合物としては、例えば、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラノルマルブトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム等が挙げられる。これらはいずれも上記一般式[5]のjが4で、iが0の化合物に相当する。また、kが4の化合物としては、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート等が挙げられる。これらはいずれも上記一般式[5]のjが4で、iが4の化合物に相当する。
上記一般式[5]において、MがAlである場合、jは3であり、iは0〜3である。iが0の場合の化合物としては、アルミニウムアルコキシドが挙げられ、具体的には、例えば、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム−n−ブトキシド、アルミニウム−sec−ブトキシド、アルミニウム−tert−ブトキシドが挙げられる。iが1の場合の化合物としては、例えば、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムジノルマルブトキシモノエチルアセトアセテート等が挙げられる。iが3の場合の化合物としては、例えば、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート等が挙げられる。これらのなかでは、RAl(Z)で表されるアルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート、アルミニウムジノルマルブトキシモノエチルアセトアセテート等が好ましい。
上記一般式[4]において、MがTiである場合、hは4である。gが0の場合の化合物としては、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン等が挙げられる。gが2の場合の化合物としては、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン等が挙げられる。
なお、これらの金属酸化物前駆体2は、親水性被膜形成用塗布液に1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。これらのなかでは、金属酸化物前駆体2として、上記一般式[4]のgが0である化合物、及び/又は、Si、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素のオキシ塩化物が含まれていることが好ましく、SiY及び/又はZrのオキシ塩化物が含まれていることがより好ましい。
本発明の親水性被膜形成用塗布液において、上記酸化物微粒子、上記金属酸化物前駆体1の固形分、及び上記金属酸化物前駆体2の固形分の総量100質量%に対して、上記酸化物微粒子の含有量は、20〜60質量%であり、好ましくは30〜50質量%である。上記酸化物微粒子の含有量が20質量%未満では、得られる被膜の親水性が不充分となり、一方、上記酸化物微粒子の含有量が60質量%を超えると、得られる被膜の防汚性能や硬度が不充分となる。
また、本発明の親水性被膜形成用塗布液においては、酸化物微粒子40質量部に対して、上記金属酸化物前駆体1が酸化物換算で5〜35質量部、上記金属酸化物前駆体2が酸化物換算で40〜85質量部であり、好ましくは上記金属酸化物前駆体1が酸化物換算で10〜30質量部、上記金属酸化物前駆体2が酸化物換算で45〜80質量部である。
酸化物換算した金属酸化物前駆体2の質量に対する酸化物換算した金属酸化物前駆体1の質量の割合は、5/85〜35/40となる。上記金属酸化物前駆体1の質量の割合が5/85未満であると、硫黄元素を有する金属酸化物1の割合が少ないため、形成される被膜の硬度は充分であるものの、親水性及び汚れ除去性が不充分となる。一方、上記金属酸化物前駆体1の質量の割合が35/40を超えると、親水性及び汚れ除去性は有するものの、形成される被膜の硬度が不充分となる。
溶媒としては、アルコール系溶媒、エステル類、セロソルブ類、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。アルコール系溶媒の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等が挙げられる。エステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等が挙げられ、セロソルブ類としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等が挙げられる。これらの溶媒は、1種のみを使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
親水性被膜形成用塗布液は、無機酸もしくは有機酸等の酸を触媒として含む。上記無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等が挙げられ、有機酸としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、スルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、マレイン酸、グリコール酸、ビニルスルホン酸等が挙げられる。一般式[4]で表されるジルコニウム酸化物前駆体のうち、水存在下で酸性を示すものを用いる場合は、その酸を触媒として用いることができる。
本発明の親水性被膜形成用塗布液において、親水性被膜形成用塗布液を調製する際に添加する水の量は、該塗布液の固形分の総量100質量%に対して、10〜300質量%であることが好ましい。上記固形分の総量とは、本発明の親水性被膜形成物品において、基材の表面に形成した酸化物微粒子を分散して金属酸化物の層で保持した被膜の全重量をいう。添加する水の量が10質量%未満であると、添加する水の量が少なすぎて、酸化物前駆体の加水分解が進まず、被膜の硬度が低くなる傾向がある。一方、添加する水の量が300質量%を超えると、添加する水の量が多すぎて、沈殿等が発生し易くなり、ポットライフが短くなる傾向がある。
本発明の親水性被膜形成用塗布液には、レベリング剤としてジメチルシリコーンなどのメチルシリコーン類やフッ素系レベリング剤を適量加えても良い。また、例えばビックケミージャパン製の「BYK−300」、「BYK−301」、「BYK−302」、「BYK−306」、「BYK−307」、「BYK−310」、「BYK−313」、「BYK−315」、「BYK−320」、「BYK−322」、「BYK−323」、「BYK−325」、「BYK−330」、「BYK−331」、「BYK−333」、「BYK−337」、「BYK−341」、「BYK−344」、「BYK−345」、「BYK−346」、「BYK−347」、「BYK−348」、「BYK−349」、「BYK−370」、「BYK−375」、「BYK−377」、「BYK−378」、「BYK−UV3500」、「BYK−UV3510」、「BYK−UV3570」、「BYK−340」、「BYK−3550」、「BYK−SILCLEAN3700」、「BYK−SILCLEAN3720」、「BYK−DYNWET800」、共栄社化学製の「ポリフローNo.3」、「ポリフローNo.50HF」、「ポリフローNo.54」、「ポリフローNo.64HF」、「ポリフローNo.75」、「ポリフローNo.77」、「ポリフローNo.85HF」、「ポリフローNo.90」、「ポリフローNo.95」、「ポリフローNo.ATF−2」、「グラノール100」、「グラノール115」、「グラノール400」、「グラノール410」、「グラノール420」、「グラノール440」、「グラノール450」、「グラノールB−1484」等を添加しても良い。
本発明の親水性被膜形成用塗布液中の固形分濃度は、0.1〜10質量%が好ましく、上記の範囲にあると、金属酸化物前駆体の加水分解反応が良好に進行し、得られた被膜が良好な汚れ除去性を発揮しやすい。
[親水性被膜形成物品の製造方法]
本発明の親水性被膜形成物品の製造方法は、上述した本発明の親水性被膜形成物品の製造方法であって、基材を準備する基材準備工程、上述した組成の親水性被膜形成用塗布液を準備する塗布液準備工程、上記基材の表面に上記塗布液を塗布して塗膜を形成する塗布工程、及び、塗布工程後の基材を100〜400℃で加熱して塗膜を硬化させて、該基材表面に親水性の被膜を形成する硬化工程を有することを特徴とする。
本発明の親水性被膜形成物品の製造方法では、まず、基材を準備する基材準備工程を行う。該工程では、ガラス板、鏡等の基材を準備する。この際、密着性を確保するために、酸化セリウム等で充分に研磨することにより、表面の汚れ等を丁寧に除去しておくことが好ましい。
次に、上述した組成の本発明の親水性被膜形成用塗布液を準備する塗布液準備工程を行う。該工程では、少なくとも、酸化物微粒子を含むコロイド溶液、上記一般式[3]で表される硫黄元素を有する金属酸化物前駆体1、上記一般式[4]で表される化合物、及び、上記一般式[5]で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物前駆体2、酸、水及び溶媒を混合することにより親水性被膜形成用塗布液を調製する。塗布液中で、原料の金属酸化物前駆体は加水分解・重縮合反応を進行させておくことが好ましいので、上記した割合の水が添加されることが好ましい。原料として液体の水や水溶液を用いても良いし、大気中から取り込まれる水分を利用しても良い。また、上記の加水分解や重縮合を促進するために上述したような酸が添加される。さらには、上述したような、澱粉化合物、親水剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、赤外線吸収剤、難燃剤、加水分解防止剤、防黴剤等の成分が添加されても良い。
上記の親水性被膜形成用塗布液を調製する際に、水、希釈溶媒、グリコール類を加えて成膜方法により固形分濃度を調整し、必要であればレベリング剤等の各種添加剤を添加することもできる。なお、親水性被膜形成用塗布液中の全固形分濃度を0.1〜10質量%とするのが均一な塗布膜を形成する上で好ましい。
次に、上記親水性被膜形成用塗布液を基材表面に塗布する塗布工程を行う。
塗布法としては、特に限定されるものではないが、生産性などの面からは、例えば、スピンコート法、バーコート法、リバースロールコート法、その他のロールコート法、カーテンコート法、スプレーコ−ト法などの公知手段が採用でき、適宜マスキングすることにより、部分的な成膜はもちろん、任意の形状、図柄に被膜を形成することができる。なお、これらの塗布法で塗布成膜する際の親水性被膜形成用塗布液中の全固形分濃度としては約0.1〜10質量%程度が好ましい。
次に、塗布工程後の基材を100〜400℃で加熱して塗膜を硬化させて、該基材表面に親水性の被膜を形成する硬化工程を行う。
塗布工程後の乾燥としては、100〜200℃の比較的低温で、5〜30分間乾燥することが好ましく、より好ましくは、上記乾燥温度が130〜180℃程度、乾燥時間が10分間程度である。
本発明の親水性被膜形成物品の製造方法においては、塗布工程後の塗膜表面、及び/又は、硬化工程後の被膜表面に対して、オゾン処理を施し、被膜の酸化を進行させてもよい。
上記オゾン処理とは、塗布工程後の塗膜表面、及び/又は、硬化工程後の被膜表面に、UVオゾン処理装置等を用い、特定波長の紫外線を照射し、オゾン(O)を生成させ、その生成したオゾンを利用し、塗膜表面、及び/又は、被膜表面の酸化をより進行させる処理をいう。
本発明の親水性被膜形成物品の製造方法においては、上記親水性被膜形成用塗布液及び/又はその原料に対して、過酸化水素処理、及び、過マンガン酸塩処理のうち少なくとも1つの酸化処理を施し、塗布液及び/又はその原料の酸化を進行させてもよい。
上記過酸化水素処理とは、過酸化水素水を塗布液やその原料に添加し、酸化を進行させる処理を意味する。上記過マンガン酸塩処理とは、過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを塗布液やその原料に添加し、酸化を進行させる処理を意味する。
本発明の親水性被膜形成物品で説明したように、本発明の親水性被膜形成物品の製造方法では、さらに、保護紙貼付工程として、上記親水性の被膜を保護するための保護紙を、上記親水性の被膜を覆うように親水性被膜形成物品の表面に貼付することが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明はかかる実施例に限定されるものでない。
本実施例及び比較例では、親水性被膜形成物品の被膜を形成するための親水性被膜形成用塗布液を調製し、基材上に塗布し乾燥させて、親水性被膜形成物品を作製した。親水性被膜形成用塗布液の調製方法及び親水性被膜形成物品の作製方法(製造方法)は後述の通りである。また、得られた親水性被膜形成物品について、以下に示す方法により品質評価を行った。
[親水性の評価]
得られた親水性被膜形成物品の親水性の評価として、被膜表面にイオン交換水2μlを置き、液滴を置いた10秒後の液滴と被膜表面とのなす角を、接触角計(CA−X200、協和界面科学社製)を用いて室温(約25℃)で測定した。測定は、親水性被膜形成物品を得た後、室温環境下で3日間及び10日間放置後に行った。
[汚れ除去性の評価]
親水性被膜形成物品の汚れ除去性の評価は、以下のようにして行った。作製後3日後の親水性被膜形成物品の被膜表面の全面に毛染め液(ブローネクリームヘアカラー、花王製)を塗布し、1時間室温で乾燥させた。該親水性被膜形成物品を水平にし、被膜面に対して、上方30cmから一定の水圧でシャワー(約20℃)を60秒間浴びせて、毛染め液の除去を試みた。そして、被膜の面積に対して毛染め液を除去できた面積の割合を目視で評価した。同一サンプルを用いて、さらにシャワー(約20℃)を60秒間浴びせて、同様の評価を行った。
[鉛筆硬度の評価]
JIS K 5600−5−4(1999年)に準拠して、親水性被膜形成物品の被膜の鉛筆硬度を評価した。
[耐摩耗性の評価]
得られた親水性被膜形成物品の被膜の耐摩耗性の評価として、一般用タオル120匁で、被膜表面を300g/cmの強さで摺動しながら1万5000回往復した後の外観のキズの有無を評価し、親水性被膜形成物品の被膜の耐摩耗性を評価した。キズがない場合を○、キズがある場合を×とした。
[実施例1]
[親水性被膜形成用塗布液の調製]
0.06g(0.31mmol)の3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(以降、「MPTMS」と記載する場合がある、JNC製)と、0.56g(2.69mmol)のテトラエトキシシラン(以降、「TEOS」と記載する場合がある、多摩化学工業製)と、オキシ塩化ジルコニウム8水和物(キシダ化学製)をエキネンF−1(日本アルコール販売製、エタノール、イソプロパノール、メチルエチルケトンの混合溶媒)で26.2質量%に希釈した溶液1.80g(オキシ塩化ジルコニウム8水和物自体は1.46mmol)と、固形分濃度が40.7質量%のコロイダルシリカ(MA−ST−L、日産化学工業製)0.59g(シリカ分は0.24g)と、1.36gのイオン交換水と、10.87gのエキネンF−1、及び、4.76gの1−メトキシ−2−プロパノールを、25℃で3時間撹拌して固形分濃度が全酸化物換算で3.1質量%の溶液を得て、さらに該溶液1.00gにエキネンF−1を1.46g、1−メトキシ−2−プロパノールを0.64g添加して、固形分濃度が全酸化物換算で1.0質量%である親水性被膜形成用塗布液を調製した。なお、本実施例では、オキシ塩化ジルコニウム8水和物と水が反応した際に生成した塩酸を酸として用いた。
なお、コロイダルシリカ(酸化物微粒子)、MPTMS(金属酸化物前駆体1)の固形分、TEOS及びオキシ塩化ジルコニウム8水和物(金属酸化物前駆体2)の固形分の総量100質量%に対して、コロイダルシリカの含有量が38.7質量%であり、該コロイダルシリカ40質量部に対して、MPTMSが酸化物換算で6.6質量部、TEOS及びオキシ塩化ジルコニウム8水和物の合計が酸化物換算で56.9質量部である。
[親水性被膜形成物品の作製]
10cm角で厚さ2mmのソーダライムガラスを使用し、コーティング面を酸化セリウムで十分に研磨した後、水洗後、乾燥させてコーティング用基材とした。
上記基材表面に上記の親水性被膜形成用塗布液をスピンコート法で塗布し、170℃で10分間加熱処理して塗膜を硬化させて、該基材表面に親水性被膜を形成し、親水性被膜形成物品を作製した。そして、最後に親水性の被膜を保護するための保護紙を、親水性の被膜を覆うように親水性被膜形成物品の表面に貼付し、保護膜を有する親水性被膜形成物品とした。なお、上記保護紙の貼付(保護紙貼付工程)は、水(70質量%)と、粘着成分である澱粉化合物(20質量%)と、親水剤である大阪有機化学工業製、製品名「LAMBIC770W」(10質量%)との混合液を親水性被膜形成物品の被膜表面に塗布した後に、その上に保護紙として片艶クラフト紙(日本製紙製、製品名「キャピタルラップ」)を密着させて行った。
保護紙貼付前の親水性被膜形成物品について、上記した評価方法により評価し、保護紙貼付後の親水性被膜形成物品については、該保護紙を剥離した親水性被膜形成物品の親水性及び汚れ除去性を、上記した評価方法により評価した。
[実施例2]
実施例1の[親水性被膜形成用塗布液の調製]において、MPTMSを0.12g(0.61mmol)、TEOSを0.50g(2.40mmol)用いた以外は実施例1と同様に親水性被膜形成用塗布液を調製し、実施例1と同様の手順で基材表面に親水性被膜を形成し、親水性被膜形成物品を作製し、実施例1と同様に評価を行った。
[実施例3]
実施例1の[親水性被膜形成用塗布液の調製]において、MPTMSを0.29g(1.48mmol)、TEOSを0.31g(1.49mmol)用いた以外は実施例1と同様に親水性被膜形成用塗布液を調製し、実施例1と同様の手順で基材表面に親水性被膜を形成し、親水性被膜形成物品を作製し、実施例1と同様に評価を行った。
[実施例4]
実施例1の[親水性被膜形成用塗布液の調製]において、MPTMSを0.14g(0.71mmol)、TEOSを0.58g(2.78mmol)、固形分濃度が40.7質量%のコロイダルシリカ(MA−ST−L、日産化学工業製)を0.46g(シリカ分は0.19g)、エキネンF−1で26.2質量%に希釈したオキシ塩化ジルコニウム8水和物溶液を2.10g(オキシ塩化ジルコニウム8水和物自体は1.71mmol)用いた以外は実施例1と同様に親水性被膜形成用塗布液を調製し、実施例1と同様の手順で基材表面に親水性被膜を形成し、親水性被膜形成物品を作製し、実施例1と同様に評価を行った。
[実施例5]
実施例1の[親水性被膜形成用塗布液の調製]において、MPTMSを0.10g(0.51mmol)、TEOSを0.44g(2.11mmol)、固形分濃度が40.7質量%のコロイダルシリカ(MA−ST−L、日産化学工業製)を0.70g(シリカ分は0.28g)、エキネンF−1で26.2質量%に希釈したオキシ塩化ジルコニウム8水和物溶液を1.58g(オキシ塩化ジルコニウム8水和物自体は1.28mmol)用いた以外は実施例1と同様に親水性被膜形成用塗布液を調製し、実施例1と同様の手順で基材表面に親水性被膜を形成し、親水性被膜形成物品を作製し、実施例1と同様に評価を行った。
[実施例6]
実施例1の[親水性被膜形成用塗布液の調製]において、MPTMSを0.12g(0.61mmol)、TEOSの代わりにMTES(メチルトリエトキシシラン、キシダ化学製)を0.43g(2.41mmol)用いた以外は実施例1と同様に親水性被膜形成用塗布液を調製し、実施例1と同様の手順で基材表面に親水性被膜を形成し、親水性被膜形成物品を作製し、実施例1と同様に評価を行った。
[実施例7〜12]
実施例1〜6と同様に親水性被膜形成用塗布液を調製し、それぞれ同様の手順で基材表面に親水性被膜を形成し、親水性被膜形成物品を作製した。その後、UVオゾン処理装置を用いて該親水性被膜表面に10秒間酸化処理を施した。その後、上記処理により得られた親水性被膜形成物品に関し、実施例1と同様に評価を行った。
[実施例13]
実施例1の親水性被膜形成物品の製造において、保護紙貼付工程で、水(55質量%)と、粘着成分である澱粉化合物(20質量%)と、界面活性剤として東邦化学工業製、製品名「ペポールAS−053X」(25質量%)との混合液を親水性被膜形成物品の被膜表面に塗布した以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例1]
実施例1の[親水性被膜形成用塗布液の調製]において、MPTMSを0.02g(0.10mmol)、TEOSを0.69g(3.31mmol)、固形分濃度が40.7質量%のコロイダルシリカ(MA−ST−L、日産化学工業製)を0.46g(シリカ分は0.19g)、エキネンF−1で26.2質量%に希釈したオキシ塩化ジルコニウム8水和物溶液を2.10g(オキシ塩化ジルコニウム8水和物自体は1.71mmol)用いた以外は実施例1と同様に親水性被膜形成用塗布液を調製し、実施例1と同様の手順で基材表面に親水性被膜を形成し、親水性被膜形成物品を作製した。
[比較例2]
実施例1の[親水性被膜形成用塗布液の調製]において、MPTMSを0.41g(2.09mmol)、TEOSを0.19g(0.91mmol)用いた以外は実施例1と同様に親水性被膜形成用塗布液を調製し、実施例1と同様の手順で基材表面に親水性被膜を形成し、親水性被膜形成物品を作製した。
[比較例3]
実施例1の[親水性被膜形成用塗布液の調製]において、MPTMSを用いず、TEOSを0.73g(3.50mmol)、固形分濃度が40.7質量%のコロイダルシリカ(MA−ST−L、日産化学工業製)を0.46g(シリカ分は0.19g)、エキネンF−1で26.2質量%に希釈したオキシ塩化ジルコニウム8水和物溶液を2.10g(オキシ塩化ジルコニウム8水和物自体は1.71mmol)用いた以外は実施例1と同様に親水性被膜形成用塗布液を調製し、実施例1と同様の手順で基材表面に親水性被膜を形成し、親水性被膜形成物品を作製した。
各実施例及び各比較例について、親水性被膜形成用塗布液の各成分とその割合、酸化処理の有無、得られた親水性被膜の金属酸化物の層中の各成分、金属酸化物の層中の金属酸化物1と金属酸化物2のモル比を表1に示す。また、各実施例及び各比較例で得られた親水性被膜形成物品に関し、保護紙貼付前の親水性被膜形成物品の評価結果を表2に、保護紙貼付後に該保護紙を剥離した親水性被膜形成物品の評価結果を表3に示す。
Figure 0006252205
Figure 0006252205
Figure 0006252205
表1及び表2から明らかなように、[親水性被膜形成用塗布液]で説明した組成の塗布液を用いた実施例1〜13では、親水性及び汚れ除去性に優れており、かつ、被膜の硬度及び耐摩耗性にも優れていることがわかった。また、酸化処理を施した実施例7〜12では、酸化処理を施していない実施例1〜6、13よりも親水性に優れているが、実施例1〜6、13でも充分な親水性を有していることがわかった。また、保護紙を貼付することにより、親水性、汚れ除去性がさらに改善された。
一方、硫黄元素を有する金属酸化物1の割合が少ない比較例1、及び、金属酸化物1が含まれていない比較例3は、親水性及び汚れ除去性が劣っていた。また、硫黄元素を有する金属酸化物1の割合が多すぎる比較例2は、被膜の硬度及び耐摩耗性が劣っていた。
なお、上記のように、比較例1〜3については、得られた親水性被膜形成物品に不具合があるので、保護紙貼付による評価を行っていない。

Claims (16)

  1. 基材と、該基材の表面に酸化物微粒子を分散して金属酸化物の層で保持した被膜と、を有する親水性被膜形成物品であり、
    前記金属酸化物の層が、
    下記一般式[1]で表される硫黄元素を有する金属酸化物1、及び、
    下記一般式[2]で表される金属酸化物2を含み、
    前記金属酸化物1と前記金属酸化物2のモル比は、金属酸化物1:金属酸化物2=5:95〜40:60であり、
    前記酸化物微粒子は、SiO 、Al 及びZrO からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする親水性被膜形成物品。
    (RMO [1]
    (式[1]中、Rは硫黄元素を有する有機基であり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、aは0.5〜3.5の数であり、bは0.25〜1.75の数である。)
    (RMO [2]
    (式[2]中、Rは1価の有機基であり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、cは0〜3.5の数であり、dは0.5〜2の数である。)
  2. 前記一般式[1]のRが、チオール基、スルホン酸エステル基、スルフィド基、ジスルフィド基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する1価の有機基である請求項1に記載の親水性被膜形成物品。
  3. 前記一般式[1]のRが、チオール基を有する炭素数1〜5の1価のアルキル基、及び/又は、スルホン酸基を有する炭素数1〜5の1価のアルキル基である請求項1又は2に記載の親水性被膜形成物品。
  4. 前記一般式[1]のRが、チオール基を有する炭素数1〜5の1価のアルキル基である請求項1〜3のいずれかに記載の親水性被膜形成物品。
  5. 前記金属酸化物2が、少なくともSiO及びZrOである請求項1〜4のいずれかに記載の親水性被膜形成物品。
  6. 前記親水性の被膜を保護するための保護紙が、前記親水性の被膜を覆うように親水性被膜形成物品の表面に貼付されている請求項1〜5のいずれかに記載の親水性被膜形成物品。
  7. 前記保護紙は、粘着成分として澱粉化合物を含む請求項6に記載の親水性被膜形成物品。
  8. 前記保護紙は、さらに粘着成分中に親水剤及び界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を含む請求項7に記載の親水性被膜形成物品。
  9. 少なくとも、酸化物微粒子を含むコロイド溶液、
    下記一般式[3]で表される硫黄元素を有する金属酸化物前駆体1、
    下記一般式[4]で表される化合物、及び、下記一般式[5]で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物前駆体2、
    酸、水及び溶媒を混合することにより調製された親水性被膜形成用塗布液であり、
    前記酸化物微粒子、前記金属酸化物前駆体1の固形分、及び前記金属酸化物前駆体2の固形分の総量100質量%に対して、前記酸化物微粒子の含有量が20〜60質量%であり、該酸化物微粒子40質量部に対して、前記金属酸化物前駆体1が酸化物換算で5〜35質量部、前記金属酸化物前駆体2が酸化物換算で40〜85質量部であり、
    前記酸化物微粒子は、SiO 、Al 及びZrO からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする親水性被膜形成用塗布液。
    (RM(X)f−e [3]
    (式[3]中、Rは硫黄元素を有する有機基であり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Xはアルコキシ基又はハロゲン元素であり、eは1〜3の整数であり、fは3又は4であり、f−eは1〜3の整数である。)
    (RM(Y)h−g [4]
    (式[4]中、Rは1価の有機基、Yはそれぞれ独立にアルコキシ基、ハロゲン元素、酸素元素、ハロゲン化物イオン、NO 及びCHCOOからなる群から選ばれる少なくとも1つであり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、gは0〜3の整数であり、hは3又は4であり、h−gは1〜4の整数である。なお、Yが2種以上の場合、h−gで表される数字の内訳は任意に選択することができる。また、Yが前記イオンを含む場合、Si、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の、オキシハロゲン化合物、オキシ硝酸化合物及びオキシ酢酸化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造となる。)
    (RM(Z)j−i [5]
    (式[5]中、Rはアセチルアセトナート基及びエチルアセトアセテート基から選ばれる少なくとも1つの基、Zはアルコキシ基又はハロゲン元素であり、MはSi、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、iは0〜4の整数であり、jは3又は4であり、j−iは0〜4の整数である。)
  10. 前記一般式[3]のRが、チオール基、スルホン酸エステル基、スルフィド基、ジスルフィド基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有する1価の有機基である請求項9に記載の親水性被膜形成用塗布液。
  11. 前記一般式[3]のRが、チオール基を有する炭素数1〜5の1価のアルキル基である請求項9又は10に記載の親水性被膜形成用塗布液。
  12. 前記金属酸化物前駆体2が、前記一般式[4]のgが0である化合物、及び/又は、Si、Zr、Al及びTiからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素のオキシ塩化物である請求項9〜11のいずれかに記載の親水性被膜形成用塗布液。
  13. 請求項1〜8のいずれかに記載の親水性被膜形成物品の製造方法であって、
    基材を準備する基材準備工程、
    請求項9〜12のいずれかに記載の親水性被膜形成用塗布液を準備する塗布液準備工程、
    前記基材の表面に前記塗布液を塗布して塗膜を形成する塗布工程、及び、
    塗布工程後の基材を100〜400℃で加熱して塗膜を硬化させて、該基材表面に親水性の被膜を形成する硬化工程
    を有することを特徴とする親水性被膜形成物品の製造方法。
  14. 塗布工程後の塗膜表面、及び/又は、硬化工程後の被膜表面に対して、オゾン処理を施す請求項13に記載の親水性被膜形成物品の製造方法。
  15. 前記親水性被膜形成用塗布液及び/又はその原料に対して、過酸化水素処理、及び、過マンガン酸塩処理のうち少なくとも1つの酸化処理を施す請求項13又は14に記載の親水性被膜形成物品の製造方法。
  16. さらに、前記親水性の被膜を保護するための保護紙を、前記親水性の被膜を覆うように親水性被膜形成物品の表面に貼付する保護紙貼付工程を含む請求項13〜15のいずれかに記載の親水性被膜形成物品の製造方法。
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