JP3454110B2 - 撥水性ガラス - Google Patents

撥水性ガラス

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JP3454110B2
JP3454110B2 JP29275697A JP29275697A JP3454110B2 JP 3454110 B2 JP3454110 B2 JP 3454110B2 JP 29275697 A JP29275697 A JP 29275697A JP 29275697 A JP29275697 A JP 29275697A JP 3454110 B2 JP3454110 B2 JP 3454110B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撥水性ガラスに関
し、特に、車両用、建築用に好適な撥水性ガラスに関す
る。
【0002】
【従来の技術】ガラス表面に撥水性を付与するために撥
水性被膜、特にフッ素系の被膜を形成することが一般に
行われている。かかる被膜を形成した撥水性ガラスは、
車両用、建築用ガラスとしても用いられている。これら
の用途において被膜を形成するガラスとして多用される
のは、ソーダライムシリカガラス等のアルカリ成分を含
有するガラスである。
【0003】このような撥水性ガラスとしては、例え
ば、特開昭60−40254号に、ガラス等の基体表面
にシランカップリング剤等のシラン化合物を塗布するこ
とにより形成された0.1μm以上の塗膜と、この塗膜
の上にポリフルオロアルキル化基含有化合物の薄膜を形
成したものが開示されている。この撥水性ガラスは、塗
膜を0.1μmの厚さとすることにより、この塗膜中の
有機高分子が十分絡み合って薄膜の硬度を維持するもの
である。
【0004】特開平4−338137号には、ガラス板
の表面に形成したSiO2被膜の非金属原子の一部をフ
ルオロアルキル基で置換した被膜を形成した撥水性ガラ
スが開示されている。この被膜は、フルオロアルキルシ
ラン等を原料とするゾルゲル法により成膜され、SiO
2を主成分とするセラミックスの非金属原子の一部がフ
ルオロアルキル基で置換された単層膜である。被膜の膜
厚としては、実施例において0.18μmが開示されて
いる。
【0005】特開平4−239633号には、基体表面
にシリケートガラスおよび微粒子を混合して形成した凸
凹層の表面にフルオロカーボン基を含む単分子膜層を形
成した撥水撥油膜が開示されている。この膜は、ガラス
等の基板に形成される。また、この凸凹層は10μm程
度の凸凹を有し、フロロカーボン系ポリマー膜は、1〜
5μmの厚さを有することが記載されている。凸凹層
は、撥水撥油性能の向上に貢献するものである。
【0006】特開平5−238781号には、ガラス基
体の表面がシリカ下地層及びペルフルオロアルキルアル
キルシランで処理された、耐久撥水性表面を有するガラ
ス物品が開示されている。シリカ下地層については、い
わゆる熱分解法、ゾルゲル法、酸素雰囲気中でのスパッ
タリング法が示されているだけであり、シリカ下地層の
結合状態については、何ら言及されていない。
【0007】特開平4−132637号には、フルオロ
カーボン基を含む界面活性剤よりなる単分子膜状の撥水
撥油膜を備えた防汚性ガラスが開示されている。単分子
膜状の撥水撥油膜は、フッ化炭素基を含むシラン系の界
面活性剤を、ガラス基材表面の酸素または窒素を介し
て、化学結合させることによって得られるとされてい
る。しかしこの技術は、親水性基を表面に有する保護膜
付きガラスにも適用できるとされているが、保護膜につ
いての具体的記載はなにもなされていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の撥水性ガラスは、とりわけ車両用、建築用の用途に
おいて求められる撥水性能の長期的な持続性を十分に有
するものではなかった。上記用途においては、高い耐擦
傷性、耐候性、耐薬品性を有し、撥水性が長期にわたっ
て保持される撥水性ガラスが強く望まれている。本発明
は、かかる事情に鑑み、上記諸特性において高い性能を
発揮する撥水性ガラスを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明においては、アルカリ成分含有ガラスからな
るガラス板の表面に形成する下地膜を、酸素原子(O)
の一部が水酸基(OH)に置換された酸化珪素により構
成し、その膜厚を10〜100nmとした。また、この
下地膜の上に形成する撥水膜をフルオロアルキル基を有
する有機珪素化合物により構成し、その膜厚を0.2
0nmとした。
【0010】本発明における下地膜は、ガラス板と撥水
膜とを強固に繋ぎ止める作用をする。すなわち、ガラス
板との密着性が良好な酸化珪素によりガラス板に対する
下地膜の一体性が確保される。
【0011】基本的に酸化珪素で構成される下地膜にお
いても、撥水膜を形成するフルオロアルキル基を有する
有機珪素化合物と化学吸着反応して、撥水性能に持続性
のある撥水性ガラスが得られる。さらに本発明では、こ
の酸化珪素の酸素原子の一部が水酸基と置換されてい
る。その水酸基のうち、下地膜表面に存在する水酸基
を、撥水膜を形成する際に、撥水材料とのより良好な反
応点とすることができ、より強固な化学吸着結合を形成
することができる。つまり、撥水膜の下地膜に対する一
体性が確保される。したがってその結果として、高い耐
擦傷性、耐候性、耐薬品性を有し、撥水性が長期にわた
って保持される撥水性ガラスを得ることができる。
【0012】下地膜の膜厚は、10〜100nmの範囲
から任意に選択される。10nmよりも薄いと、長期使
用中にガラス板から溶出するアルカリイオンの影響を十
分に排除することができないので撥水性能が悪化する。
一方、100nmより厚いと耐擦傷性能等が低下する。
下地膜の膜厚は、前者の観点からは、20nm以上が好
ましく、後者の観点からは、80nm以下とすることが
好ましい。
【0013】また本発明における撥水膜は、0.2〜4
0nmの膜厚を有していることを特徴としている。ただ
し、本発明における撥水膜は、本発明の目的に反しない
程度に下地膜と物理的に吸着している撥水材料を含んで
いてもよい。
【0014】より具体的な膜厚は撥水性を示す化合物に
よるが、例えば厚み0.2nmというのは、後述する化
学式1で示される化合物の分子鎖−(CF2)a−の鎖状方
向の分子の幅に相当する。また、CF3(CF2)7(CH2)
2Si(OCH3)3で示される化合物の場合では、鎖状方
向の長さは2nm程度である。また、これらの分子が、
5〜10層程度重なり合っている場合では、15nm程
度の膜厚となる。さらに30層程度重なり合っている場
合では、40nm程度の膜厚となる。
【0015】本発明においては、撥水膜の膜厚は少なく
も0.2nm以上あることが必要で、その上限は約4
0nmである。好ましくは0.2〜15nmであり、よ
り好ましくは0.2〜2nmである。なお、フルオロア
ルキル基を有する有機珪素化合物よりなる撥水膜は、膜
が0.2〜2nm程度形成されていれば、本発明の目
的は達成できる。したがって、撥水膜の膜厚をこの膜厚
範囲とすると、過剰の撥水材料を使用せずに、良好な撥
水膜を形成することができる。また、前記化合物が複数
層、膜厚方向に重なり合っていても、それによる追加的
な撥水効果はあまりない。
【0016】さらに、本発明における下地膜は、化学量
論的酸化珪素(SiO2)ではなく、珪素原子に結合し
ている酸素原子の一部が水酸基に置換した酸化珪素から
なる膜である。この水酸基の量は、少なすぎれば撥水剤
との良好な反応点が減少する。一方、多すぎれば網目構
造を構成する酸素−珪素間の結合が減少して下地膜の強
度自体が低下する。したがって、SiOx(OH)y(1.
7≦x<2.0、y=4−2x)である。この範囲にあ
れば、諸特性に優れた撥水性ガラスが提供され、撥水性
が長期間保持される。
【0017】なお、下地膜には、本発明の目的を損なわ
ない範囲で、Zr、Ti等、珪素以外の金属の酸化物を
含んでいてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る撥水性ガラ
スの模式的断面図である。アルカリ含有ガラスからなる
ガラス板(代表的にはソーダライムシリカガラス)1の
上に、下地膜2が形成され、さらにその上に撥水膜3が
形成されている。上述のように、下地膜2は、水酸基を
含有する酸化珪素から構成され、SiOx(OH)y(ただ
し、1.7≦x<2.0、y=4−2x)である。一
方、撥水膜3は、撥水材料が下地膜に化学吸着した膜か
ら構成されている。
【0019】下地膜2の形成方法は、特に限定されず、
例えば、熱CVD法、プラズマCVD法等による化学的
気相成長法、真空蒸着法、スパッタリング等による物理
的気相成長法、ゾルゲル法等の液相法により成膜でき
る。液相法を用いる場合には、珪フッ化水素酸(H2
iF6)にシリカゲル(SiO2)を飽和させた水溶液か
ら、溶液中のSiO2を析出させてもよい。上記成膜法
の中では、高純度で均質な膜が形成可能である等の理由
から、ゾルゲル法等液相法が好ましい。
【0020】下地膜2をゾルゲル法により成膜する場合
の原料としては、シリコンアルコキシドが用いられる。
アルコキシドとしては、エトキシド、イソプロポキシ
ド、ブトキシド等を挙げることができ、具体的には、テ
トラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルト
リエトキシシラン等を用いることができる。また、シリ
コンアルコキシドの代わりに、高分子タイプのアルキル
シリケート(例えば、コルコート社製「エチルシリケー
ト40」、三菱化学製「MS56S」)を用いることも
できる。これらの化合物を加水分解してコーティング液
を調整するが、この調整の代わりに、市販のいわゆるガ
ラスコーティング液(例えば、コルコート社製「HAS
−10」、日板研究所製「セラミカG−02−6」、日
本曹達製「アトロンNSI−500」)のようなアルコ
キシシランの加水分解液などを使用してもかまわない。
【0021】シリコンアルコキシドは、これに、加水分
解を生じさせるための水、加水分解のための触媒、およ
びアルコール類に代表される溶媒を加えて攪拌し、所定
時間を経過させることにより加水分解される。ここで、
加水分解のための触媒としては、塩酸、硫酸等の鉱酸の
他、酢酸、クエン酸等の有機酸を用いることができる。
また、溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチ
ルエチルケトン等のケトン類、またはエチルセルソル
ブ、ブチルセルソルブ、セルソルブアセテート、ジアセ
トンアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、
メシチルオキシドなどに代表される水溶性の有機溶媒、
および水、またはこれらの混合溶媒を用いることができ
る。
【0022】加水分解物は、スピンコータ、ロールコー
タ、スプレーコータ、カーテンコータ等の装置を用いる
コーティング方法の他、浸漬引き上げ法、流し塗り法、
スクリーン印刷、グラビア印刷、曲面印刷等の印刷法に
より、後述する焼成工程の後の膜厚が10〜100nm
となるようにガラス板1の表面に塗布される。
【0023】このガラス板1は、室温から300℃まで
の温度で乾燥後、さらに高温で焼成される。焼成時間
は、一般的には数秒から数時間である。ゾルゲル法によ
る酸化珪素下地膜の形成において、その焼成温度は、酸
化珪素中に含有される水酸基の量に影響するので、下地
膜を構成するSiOx(OH)yにおけるxおよびyが1.
7≦x<2.0、y=4−2xとなるように、焼成温度
を選択することが好ましい。このような焼成温度は、具
体的には、500℃〜ガラス軟化点までの温度であり、
さらに好ましくは、550℃〜ガラス軟化点までの温度
である。なお、ソーダライムシリカガラスの場合、ガラ
ス軟化点は735℃である。
【0024】ガラス板1を強化ガラス、合わせガラス等
の加工ガラスとして用いる場合には、下地膜2の焼成と
同時にガラス板1に二次処理を施してもよい。このよう
に、下地膜2の焼成工程と同時にガラス板1の成形工程
および/または強化処理工程を実施すると、生産性向
上、エネルギー節約の観点から好ましい。例えば、自動
車用窓ガラスには、強化ガラスあるいは合わせガラスが
一般的に用いられている。ガラス板の強化工程(風冷強
化工程)は、ガラス板1をその軟化点付近まで加熱して
から急冷している。このため、上記下地膜の焼成工程と
風冷強化工程の加熱工程とを同一の工程とすれば、強度
と撥水性を有する自動車用窓ガラスを効率的に製造する
ことができる。
【0025】撥水膜3の形成には、フルオロアルキル基
を分子内に有する撥水剤を用いることができる。かかる
撥水剤としては、フルオロアルキル基含有シラン化合
物、さらに具体的には下記化学式(1)〜(3)で示さ
れるフルオロアルキルシリル化合物が好適に用いられ
る。
【0026】
【化1】 CF3−(CF2)a−R1−SiR2 b3 3-b (1)
【0027】ここで、aは3〜12の整数、bは0、1
または2、R1は炭素原子数1〜10の二価の有機基
(例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基)、ま
たは珪素原子および酸素原子を含む基、R2は炭素原子
数1〜4の一価炭化水素基(例えばアルキル基、シクロ
アルキル基、アリル基)もしくはこれらの誘導体から選
ばれる置換基、または水素、R3は炭素原子数が1〜4
のアルコキシ基またはアシロキシ基である。
【0028】
【化2】 CF3−(CF2)a−R1−SiR2 bCl3-b (2)
【0029】ここで、a、b、R1、R2は上記と同様で
ある。
【0030】
【化3】 CF3−(CF2)a−R1−Si(NH−Si−R1−(CF2)a−R1−Si)c−NH −Si−R1−(CF2)a−CF3 (3)
【0031】ここで、a、R1は上記と同様であり、c
は0または1以上の整数である。
【0032】撥水膜3の臨界傾斜角を小さくして水滴が
転落しやすくするようにするために、以下の化学式
(4)〜(6)で示される化合物を撥水剤に添加しても
よい。使用量は、それぞれ成分で表示したときに、撥水
剤合計に対して20〜80重量%が好ましい。
【0033】
【化4】 A−(Si(CH3)2−O)d−Si(CH3)2−B (4)
【0034】ここで、AおよびBは、それぞれ独立に、
水酸基、メチル基、メトキシ基またはエトキシ基、dは
5〜10の整数である。
【0035】
【化5】 (CH3)3SiD (5)
【0036】ここで、Dは塩素または炭素原子数が1〜
3のアルコキシ基である。
【0037】
【化6】 ((CH3)Si)2NH (6)
【0038】撥水剤は、必要に応じて加水分解してか
ら、コーティングに供される。上記撥水剤のうち、化学
式(1)により示されるものは、水溶性有機溶媒に溶か
し、酸触媒と水とを加え、一定温度の下で一定時間加水
分解して、必要に応じてコーティングに供する。このよ
うに、加水分解してからコーティングしたほうが下地膜
との反応性が向上するため、膜の密着性が高くなる。
【0039】なお、この加水分解をする場合の加水分解
触媒としては、塩酸、硫酸等の鉱酸の他、酢酸、クエン
酸等の有機酸を用いることができる。また、撥水剤のた
めの有機溶媒としては、メタノール、エタノール等のア
ルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類を用いることができる。
【0040】アルコール類としては、i−プロパノー
ル、n−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノー
ル、s−ブタノール、t−ブタノール等を例示すること
ができる。
【0041】また、アルコール類、ケトン類の親水性溶
媒を用いて加水分解を行った後、疎水性溶媒を添加して
もよい。
【0042】撥水剤のうち、化学式(2)および(3)
に示されるものは、溶存水分を十分に減じたキシレン、
n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘキサフルオロメタキ
シレン等の非水溶性有機溶剤に溶かしてコーティングに
供される。これら撥水剤は、大気中に含まれる水分で加
水分解され得るため、予め加水分解しておかなくても下
地膜との反応性は高い。
【0043】なお、化学式(2)で示される撥水剤は、
例えば、特開平6−279062号に開示されているよ
うな減圧CVD法により撥水処理してもよい。
【0044】また、撥水膜を形成するためのフルオロア
ルキル基を分子内に有する撥水剤としては、パーフルオ
ロアルキル(ペルフルオロアルキル)基含有有機珪素化
合物と、加水分解性基含有メチルポリシロキサン化合物
の親水性溶媒中での共加水分解物、オルガノポリシロキ
サン、強酸を配合してなる撥水剤が好適に用いられる。
この撥水剤は、下記化学式(7)で示されるパーフルオ
ロアルキル基含有有機珪素化合物と、下記化学式(8)
で示される加水分解性基含有メチルポリシロキサン化合
物との親水性溶媒中での共加水分解物と、下記化学式
(9)で示されるオルガノポリシロキサンと、強酸とを
配合したものである。
【0045】
【化7】 Ce2e+1−R4−SiR2 f3 3-f (7)
【0046】ここで、R2、R3は上記と同様であり、R
4は炭素原子数2〜10の二価の有機基であり、eは1
〜12の整数であり、fは0または1である。
【0047】
【化8】
【0048】ここで、b、R2、R3は上記と同様であ
り、R5はメチル基または−R6−SiR2 b3 3-b(b、
2、R3は上記と同様である)で示される基、R6は酸
素原子または炭素原子数2〜10の二価の有機基であ
る。また、mは3〜100の整数、nは0〜50の整数
で、かつ5≦(m+n)≦100であり、n=0のとき
は両末端のR5の少なくともいずれか一方が、−R6−S
iR2 b3 3-bで示される基である。なお、−R6−Si
2 b3 3-bが2個以上ある場合、これらは互いに同一で
あっても異なっていてもよい。
【0049】
【化9】
【0050】ここで、R7は互いに同一または異種の炭
素原子数1〜20の一価炭化水素基であり、R8は互い
に同一または異種であって、ヒドロキシ基または炭素原
子数1〜4の一価炭化水素基、アルコキシ基もしくはア
シロキシ基であり、rは1〜100の整数である。
【0051】上述の共加水分解物においては、化学式
(7)のパーフルオロアルキル基含有有機珪素化合物が
撥水性付与効果に、化学式(8)の加水分解性基含有メ
チルポリシロキサン化合物が撥水膜の臨界傾斜角を小さ
くする効果にそれぞれ寄与する。また、これら両成分の
共加水分解により生じるシラノール基は、無機質である
下地膜表面との反応性に富むものである。化学式(9)
のオルガノポリシロキサンは、撥水膜の臨界傾斜角を小
さくする効果をさらに向上させる。強酸は、上記パーフ
ルオロアルキル基含有有機珪素化合物および加水分解性
基含有メチルポリシロキサン化合物と、下地膜表面との
反応性をより向上せしめる。
【0052】したがって、これらにより撥水膜を形成し
た場合には、撥水性が十分に付与されると共により長期
にわたって撥水性が確保される。また、これら成分は、
いずれも親水性溶媒に可溶であるので、成膜上も好まし
い。
【0053】上記化学式(7)のパーフルオロアルキル
基含有有機珪素化合物としては、具体的に、C49CH
2CH2Si(CH3)(OCH3)2、C817CH2CH2Si
(OCH3)3 などを例示することができる。
【0054】上記化学式(8)の加水分解性基含有ポリ
シロキサン化合物として具体的には、下記の化学式(1
0)〜(12)に示される化合物を用いることができ
る。
【0055】
【化10】
【0056】
【化11】
【0057】
【化12】
【0058】ここで、m、n、m+nは上記と同様であ
り、好ましくは、10≦(m+n)≦50である。
【0059】上記化学式(7)のパーフルオロアルキル
基含有有機珪素化合物と、上記化学式(8)の加水分解
性基含有メチルポリシロキサン化合物との配合比は、重
量比で(7)/(8)が10/90〜90/10、特に
20/80〜80/20であることが好ましい。式
(7)の化合物の配合比率が10重量%未満では十分な
撥水性が得られない場合があり、90重量%を超えると
撥水膜の臨界傾斜角が大きくなり十分な撥水性が得られ
ない場合があるからである。
【0060】上記化学式(9)のオルガノポリシロキサ
ンとしては、具体的に下記化学式(13)〜(16)で
示される化合物が例示できる。
【0061】
【化13】
【0062】
【化14】
【0063】
【化15】
【0064】
【化16】
【0065】ここで、uは1〜100の整数であり、s
+t=uである。
【0066】本発明において、上記化学式(9)のオル
ガノポリシロキサンの配合量は、上記化学式(7)のパ
ーフルオロアルキル基含有有機珪素化合物と、上記化学
式(8)の加水分解性基含有メチルポリシロキサン化合
物との共加水分解物の有効成分量(共加水分解物から親
水性溶媒を除いた量)と、上記化学式(9)のオルガノ
ポリシロキサンとの混合比率が、重量比で10/90〜
99/1、特に40/60〜90/10となる範囲が好
ましい。共加水分解物の有効成分量が10重量%未満で
は十分な耐久性が得られない場合があり、99重量%を
超えると撥水膜の臨界傾斜角が大きくなり撥水性が十分
得られなくなる可能性がある。
【0067】さらに、第三成分の強酸としては、例え
ば、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタ
ンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、トリクロロス
ルホン酸、トリクロロ酢酸、リン酸などが挙げられる
が、これらに限定されるものではない。
【0068】強酸の配合量は、上記共加水分解物の有効
成分量と上記オルガノポリシロキサンの配合量との合計
量100重量部に対して、0.01〜100重量部、特
に0.1〜50重量部が望ましい。0.01重量部未満
では十分な耐久性が得られない場合があり、100重量
部を超えると撥水処理剤そのものの安定性が悪くなる場
合があるからである。
【0069】なお、化合物(5)、(6)は、撥水剤へ
の添加使用以外に、撥水処理後のガラス表面に気相でコ
ーティングあるいは溶媒に溶かして塗布することによ
り、撥水膜の臨界傾斜角を小さくすることができる。
【0070】(実施例1〜6)加水分解処理をある程度
施したアルコキシシランである「HAS−10」(コル
コート社製)21.3重量部にイソプロパノール18.
7重量部を加えて室温で3時間攪拌し、さらに、この液
にイソプロパノールを280重量部加えて室温で30分
間攪拌した。このようにして得られた下地膜形成用コー
ティング液1中には、SiO2成分が0.7重量%含有
されていた。
【0071】ソーダライムシリカガラス板(150×7
0×3.5mm)をアルカリ洗浄、酸洗浄した後に、さ
らに酸化セリウム系研磨剤を用いて表面研磨および洗浄
し乾燥した。その後、下地膜形成用コーティング液1に
浸漬し、引き上げ法を用いてコーティングした。250
℃に保持した乾燥機中で1時間乾燥させた後、550℃
の温度で下地膜の焼成を行った。この下地膜の厚さは8
0nmであり、ほぼ平滑な表面を有していた。
【0072】一方、温度計、攪拌機、冷却器を備えた1
リットルガラス反応器に、式C817CH2CH2Si(O
CH3)3で示されるパーフルオロ基含有有機珪素化合物
10.0重量部、下記化学式(17)で示される加水分
解性基含有メチルポリシロキサン化合物10.0重量
部、t−ブタノール360重量部および0.1N塩酸
1.94重量部を仕込み、80℃で5時間共加水分解反
応させ、さらに、疎水性溶媒であるn−ヘキサン160
重量部を加えて室温で10時間攪拌した。
【0073】
【化17】
【0074】これに、下記化学式(18)で示されるオ
ルガノポリシロキサン10.0重量部およびメタンスル
ホン酸5.0重量部を加え、10分間攪拌し、撥水膜形
成用コーティング液1を得た。
【0075】
【化18】
【0076】上述の工程により形成した下地膜の表面
に、撥水膜形成用コーティング液1を適量(0.1ml
程度)綿布で10回塗りのばし、乾布で余剰の塗布液を
ふき取った後、100℃で10分間熱処理して撥水性ガ
ラスを得た(実施例1)。
【0077】この撥水性ガラスの撥水膜形成面の耐久性
を調べるために、耐摩耗性、耐薬品性および耐候性試験
を実施した。結果を表1に示す。
【0078】ここで、耐摩耗性試験は、新東科学製の往
復摩耗試験機に乾布を取り付けて(荷重0.3kg/c
2 、撥水膜表面を3000往復させた後の接触角を
測定することにより行った。耐薬品性試験は、pH=1
1に調製した石灰水に24時間浸漬した後の接触角を測
定することにより行った。耐候性は、耐候性試験機「ア
イスーパーUVテスターW13」(岩崎電気製)を用い
て、照度76±2mW/m2、ブラックパネル温度48
±2℃、1時間ごと30秒間ずつのシャワリングという
条件で400時間紫外線照射後の接触角を測定すること
により行った。なお、接触角は、すべて水に対する測定
値を採用した。
【0079】また同じく下地膜形成用コーティング液1
を用い、下地膜の焼成温度を300℃とした以外は、上
記と同様にして、撥水性ガラスを作製した(実施例
2)。これら実施例1および2の撥水性ガラスについ
て、X線光電子分光法(ESCA)により、下地膜を構
成するSiOx(OH)y におけるx値を測定したとこ
ろ、実施例1についてx=1.8、実施例2についてx
=1.6であった。
【0080】さらに、上記下地膜形成用コーティング液
に含まれるSiO2成分の量を変更、調整して、下地膜
の膜厚を変更した以外は(同成分の量が多いほど膜厚は
厚くなる。)、上記と同様にして、撥水性ガラスを作製
した(実施例3〜5)。
【0081】さらに比較のために、市販のポリジメチル
シロキサンを主成分とする撥水剤を上記ガラス板に直接
塗り込んで、撥水性ガラスを得た(実施例6)。
【0082】実施例2〜6についても、実施例1と同様
に、耐摩耗性、耐薬品性および耐候性を測定し、その結
果を表1に併せて示す。
【0083】
【表1】 =================================== 下 地 膜 −−−−−−−−−−− 初期 実施例 膜 厚 焼成温度 撥水角 耐摩耗性 耐薬品性 耐候性 (nm) (℃) (度) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 80 550 106 A A A 2 80 300 105 A B B 3 200 550 105 B A A 4 20 550 105 A A A 5 5 550 105 A B B 6 − − 100 C A B =================================== *実施例3は耐摩耗性試験後、膜表面に傷が目立った。
【0084】ここで、表中、評価Aは接触角85度以
上、評価Bは接触角70度以上85度未満、評価Cは接
触角70度未満にそれぞれ対応する。
【0085】表1より、以下のことが明らかとなった。
まず、実施例1では、耐摩耗性、耐薬品性および耐候性
試験のいずれにおいても評価Aの成績が得られた。ま
た、下地膜を構成するSiOx(OH)y におけるx値
は、x=1.8であった。
【0086】実施例2では、実施例1と下地膜の焼成温
度が300℃と異なっている。その結果、下地膜を構成
するSiOx(OH)y におけるx値は、x=1.6であ
った。このため、耐摩耗性試験では評価Aが得られてい
るものの、薬品性および耐候性試験では、評価Bと実施
例1と比較してやや劣る結果となった。実施例2は下地
膜を構成するSiO x (OH) y におけるx値が1.7未
満であり、比較例である。
【0087】実施例3〜5は、下地膜の厚みを変化させ
た実施例である。下地膜の膜厚が10〜100nmの範
囲以上である実施例3では、耐摩耗性試験で評価Bとや
や劣っており、さらに試験後の膜表面に傷が目立ってい
た。また下地膜の膜厚が10〜100nmの範囲以下で
ある実施例5では、耐薬品性、耐候性試験が評価Bとや
や劣る結果となった。実施例5は下地膜の膜厚が10n
m未満であり、比較例である。
【0088】また実施例6、これは本発明の特徴である
下地膜を有しない比較例であるが、耐摩耗性に劣ってい
ることがわかった。
【0089】(実施例7) エチルシリケート(テトラエトキシシランの4量体、コ
ルコート社製「エチルシリケート40」)100gに、
0.1N塩酸12gと、エチルセロソルブ88gを加
え、室温で2時間撹拌した。この溶液を酸化珪素原液1
とした。これはSiO2成分を20重量%含有してい
る。
【0090】ジアセトンアルコール390gを取り、こ
れに水35gと上記作製した酸化珪素原液1を75g加
えて混合攪拌し、下地膜形成用コーティング組成物2と
した。これはSiO2成分で3重量%含有している。
【0091】150×70×3.4mmの寸法のソーダ
ライムシリカガラス基板を、酸化セリウム系研磨剤を用
いて表面研磨および洗浄し乾燥した後、上記作製した下
地膜形成用コーティング組成物2をグラビアコート法に
て成膜した。風乾後、250℃で1時間熱処理し、さら
に600℃で1時間焼成を行い、下地膜を形成した。こ
の下地膜の厚さは40nmであり、外観品質も優れた。
【0092】温度計、攪拌機、冷却器を備えた1リット
ルガラス反応器に、式C817CH2CH2Si(OCH3)
3 で示されるパーフロロ基含有有機珪素化合物10.0
g、上記化学式(17)で示される加水分解性基含有メ
チルポリシロキサン化合物10.0g、t−ブタノール
360.0gおよび0.1N塩酸水1.94gを仕込
み、80℃で5時間共加水分解反応させ、さらに、n−
ヘキサン160.0gを加えて室温で10時間攪拌し
た。
【0093】次いで、これに上記化学式(18)で示さ
れるオルガノポリシロキサン10.0g及びメタンスル
ホン酸5.0gを加え、10分間攪拌し、撥水膜形成用
コーティング組成物2を得た。
【0094】上述の工程により形成した下地膜の表面
に、上記撥水膜形成用コーティング組成物2を0.1m
l綿布で10回塗りのばし、乾布で余剰の塗布液を拭き
取った後、100℃で10分間熱処理して撥水性ガラス
を得た。この撥水膜の評価結果は、表2に示す通り、非
常に優れていた。
【0095】(実施例8) エチルシリケート(コルコート社製「エチルシリケート
40」)50gに、0.1N塩酸6gとエタノール44
gを加え、室温で2時間撹拌した。この溶液を酸化珪素
原液2とした。これはSiO2成分を20重量%含有し
ている。
【0096】ジアセトンアルコール340gを取り、こ
れにエタノール50g、水35gおよび上記作製した酸
化珪素原液2を75g加えて混合攪拌し、下地膜形成用
コーティング組成物3とした。これはSiO2成分で3
重量%含有している。
【0097】上記作製した下地膜形成用コーティング組
成物3を使用して、実施例7と同様の撥水膜形成用コー
ティング組成物2を用いて撥水性ガラスを得た。この撥
水膜の評価結果は、表2に示す通り、非常に優れてい
た。
【0098】(実施例9) ジアセトンアルコール190gを取り、これにエタノー
ル200g、水35gおよび実施例8で作製した酸化珪
素原液2を75g加えて混合攪拌し、下地膜形成用コー
ティング組成物4とした。これはSiO2 成分で3重量
%含有している。
【0099】上記作製した下地膜形成用コーティング組
成物4を使用して、実施例7と同様の撥水膜形成用コー
ティング組成物2を用いて撥水性ガラスを得た。この撥
水膜の評価結果は、表2に示す通り、非常に優れてい
た。
【0100】(実施例10) ジアセトンアルコール290gを取り、これにメシチル
オキシド100g、水35gおよび実施例8で作製した
酸化珪素原液2を75g加えて混合攪拌し、下地膜形成
用コーティング組成物5とした。これはSiO2 成分で
3重量%含有している。
【0101】上記作製した下地膜形成用コーティング組
成物5を使用して、実施例7と同様の撥水膜形成用コー
ティング組成物2を用いて撥水性ガラスを得た。この撥
水膜の評価結果は、表2に示す通り、非常に優れてい
た。
【0102】(実施例11) エチルセロソルブ290gを取り、これにエタノール1
00g、水35gおよび実施例8で作製した酸化珪素原
液2を75g加えて混合攪拌し、下地膜形成用コーティ
ング組成物6とした。これはSiO2成分で3重量%含
有しいる。
【0103】上記作製した下地膜形成用コーティング組
成物6を使用して、実施例7と同様の撥水膜形成用コー
ティング組成物2を用いて撥水性ガラスを得た。この撥
水膜の評価結果は、表2に示す通り、非常に優れてい
た。
【0104】(実施例12) ジアセトンアルコール240gを取り、これにエタノー
ル100g、水35gおよび実施例8で作製した酸化珪
素原液2を125g加えて混合攪拌し、下地膜形成用コ
ーティング組成物7とした。これはSiO2 成分で5重
量%含有している。
【0105】上記作製した下地膜形成用コーティング組
成物7を使用して、実施例7と同様の撥水膜形成用コー
ティング組成物2を用いて撥水性ガラスを得た。この撥
水膜の評価結果は、表2に示す通り、非常に優れてい
た。
【0106】(実施例13) ジアセトンアルコール310gを取り、これにエタノー
ル100g、水15gおよび実施例8で作製した酸化珪
素原液2を75g加えて混合攪拌し、下地膜形成用コー
ティング組成物8とした。これはSiO2成分で3重量
%含有している。
【0107】150×70×3.4mmの寸法のソーダ
ライムシリカガラス基板を酸化セリウム系研磨剤を用い
て表面研磨および洗浄し乾燥した後、上記作製した下地
膜形成用コーティング組成物8をグラビアコート法にて
成膜した。風乾後、250℃で30分間熱処理し、さら
に650℃で3分間焼成を行い、下地膜を形成した。こ
の下地膜の厚さは40nmであり、外観品質も優れた。
【0108】温度計、攪拌機、冷却器を備えた2リット
ルガラス反応器に、式C817CH2CH2Si(OCH3)
3 で示されるパーフロロ基含有有機珪素化合物20.0
g、t−ブタノール320.0gおよび0.05N塩酸
4.6gを仕込み、25℃で24時間加水分解反応さ
せ、さらに、n−ヘキサン640.0gを加えて希釈し
た。
【0109】次いで、これにメタンスルホン酸5.0g
を加え、10分間攪拌し、撥水膜形成用コーティング組
成物3を得た。
【0110】上述の工程により形成した下地膜の表面
に、上記撥水膜形成用コーティング組成物3を0.1m
l綿布で10回塗りのばし、乾布で余剰の塗布液を拭き
取り、撥水性ガラスを得た。この撥水膜の評価結果は、
表2に示す通り、非常に優れていた。
【0111】(実施例14) ジアセトンアルコール275gを取り、これにエタノー
ル100g、水50gおよび実施例8で作製した酸化珪
素原液2を75g加えて混合攪拌し、下地膜形成用コー
ティング組成物9とした。これはSiO2成分で3重量
%含有している。
【0112】上記作製した下地膜形成用コーティング組
成物9を使用して、実施例13と同様の撥水膜形成用コ
ーティング組成物3を用いて撥水性ガラスを得た。この
撥水膜の評価結果は、表2に示す通り、非常に優れてい
た。
【0113】
【表2】 =================================== 下 地 膜 −−−−−−−−−−− 初期 実施例 膜 厚 焼成温度 撥水角 耐摩耗性 耐薬品性 耐候性 (nm) (℃) (度) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 7 40 600 107 A A A 8 40 600 108 A A A 9 40 600 106 A A A 10 40 600 106 A A A 11 40 600 108 A A A 12 60 600 107 A A A 13 40 650 108 A A A 14 40 650 106 A A A ===================================
【0114】ここで、表中、評価Aは接触角85度以
上、評価Bは接触角70度以上85度未満、評価Cは接
触角70度未満にそれぞれ対応する(表1と同様)。
【0115】
【発明の効果】以上、実施例により詳細に説明してきた
ように、本発明によれば、優れた耐摩擦性、耐薬品性お
よび耐候性を有する撥水性ガラスが提供される。これら
優れた諸特性により、この撥水性ガラスは、撥水性を長
期間持続することができるので、特に、建築用、自動車
用として好適に使用できる。
【0116】すなわち、請求項1に記載の発明は、ガラ
ス板と撥水膜との間に、酸素原子の一部が水酸基で置換
された酸化珪素、すなわちSiO x (OH) y (ここで、
1.7≦x<2.0、y=4−2x)からなる下地膜を
設けることを特徴の一つとしている。この下地膜が、ガ
ラス板と撥水膜とを強固に繋ぎ止める作用をし、ガラス
板との密着性が良好な酸化珪素によりガラス板に対する
下地膜の一体性が確保される。したがって、優れた耐摩
擦性、耐薬品性および耐候性を有している。
【0117】さらに、下地膜表面に存在する水酸基が撥
水材料との良好な反応点となり、下地膜の強度が低下す
ることもない。下地膜と撥水膜が化学結合することによ
り、撥水性ガラスとしての一体性が確保され、撥水性が
長期間保持されるという効果を有している。
【0118】またさらに、下地膜の膜厚を10〜100
nmの範囲とすることにより、ガラス板から析出するア
ルカリイオンの影響を排除し、かつ耐擦傷性能を確保し
ている。
【0119】また請求項1に記載の発明は、フルオロア
ルキル基を含む有機珪素化合物からなる厚さが0.2
0nmの撥水膜によって、良好な撥水性を有してい
る。
【0120】さらに請求項記載の発明では、前記撥水
膜の厚さが0.2〜15nmとしている。さらに請求項
記載の発明では、前記撥水膜の厚さが0.2〜2nm
としている。このため、過剰の撥水材料を必要とせず、
コストの低減が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る撥水性ガラスの模式的断面図であ
る。
【符号の説明】
1:ガラス板、2:下地膜、3:撥水膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 砂田 貴 大阪府大阪市中央区道修町3丁目5番11 号 日本板硝子株式会社内 (72)発明者 神谷 和孝 大阪府大阪市中央区道修町3丁目5番11 号 日本板硝子株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−288349(JP,A) 特開 平8−188448(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03C 15/00 - 23/00 B32B 1/00 - 35/00 C09K 3/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ成分含有ガラスからなるガラス
    板と、前記ガラス板の表面に形成され、酸素原子の一部
    が水酸基で置換された酸化珪素、すなわちSiO x (O
    H) y (ここで、1.7≦x<2.0、y=4−2x)
    らなる厚さが10〜100nmの下地膜と、前記下地膜
    の上に形成され、フルオロアルキル基を含む有機珪素化
    合物からなる厚さが0.2〜40nmの撥水膜とを含む
    ことを特徴とする撥水性ガラス。
  2. 【請求項2】 前記撥水膜の厚さが0.2〜15nmで
    ある請求項1に記載の撥水性ガラス。
  3. 【請求項3】 前記撥水膜の厚さが0.2〜2nmであ
    る請求項1に記載の撥水性ガラス。
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