JP3187499B2 - 撥水性酸化物被膜の形成法 - Google Patents

撥水性酸化物被膜の形成法

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JP3187499B2
JP3187499B2 JP01668892A JP1668892A JP3187499B2 JP 3187499 B2 JP3187499 B2 JP 3187499B2 JP 01668892 A JP01668892 A JP 01668892A JP 1668892 A JP1668892 A JP 1668892A JP 3187499 B2 JP3187499 B2 JP 3187499B2
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
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    • C03C17/34Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions
    • C03C17/42Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions at least one coating of an organic material and at least one non-metal coating

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガラス基板の表面上に
形成した被膜が、特異なマイクロピット状の細孔と表層
を有する金属酸化物薄膜の下地層膜上に、特定する撥水
性薄膜を被覆積層した被膜より成る撥水性酸化物被膜お
よびその形成法に関し、該撥水性酸化物被膜を施したガ
ラスは、効率的に成し得て、格段にその性能を発揮する
こととなるとともに、光学特性を損なうことなく、頑固
な密着力で耐摩耗性あるいは耐久性等が優れたものとな
り、雨水等にさらされる建築用もしくは自動車用等の窓
材等、多岐に亘り採用されるものとなる等、有用な撥水
性酸化物被膜およびその形成法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術とその問題点】従来、ガラス基板や鋼板等
の表面に含フッ素シラン化合物等の有機フッ化物被膜を
形成させ、撥水性を付与することが種々知られている。
【0003】例えば、特開昭60ー231442号公報には撥水
処理硝子が記載されており、硝子表面に接着成分として
シロキサン結合を有する有機ケイ素化合物(例;テトラ
メチルシラン)の重合物、および撥水成分として該有機
ケイ素化合物より炭素の組成割合が大きいかもしくは酸
素の組成割合が小さい有機ケイ素化合物(例;テトラエ
トキシシラン)、またはフッ素化合物の重合物の双方よ
りなる撥水性被膜を形成してなり、該撥水性処理膜の硝
子側部分では硝子との接着性が良好な重合物を主に配
し、処理膜の外部側部分には撥水性に富む重合物を主に
配するようにしたものが開示されている。しかし製造に
あたってはプラズマ重合法が必要であり、しかも処理膜
もかなりの厚みを必要とするものである。
【0004】また例えば、特開平3ー247537号公報には
撥水性ガラスの製造方法が記載されており、ガラス基板
の表面を研磨洗浄後、ポリジアルキルシロキサンのアル
キル基の水素を5%以上フッ素原子に置換したシリコー
ン系撥水剤をガラス基板に塗布して塗布膜を形成し、硬
化させてガラス基板に密着し膜厚が0.1 〜2μmの撥水
性硬化皮膜を形成することからなる方法、ならびに特開
平3ー247538号公報には撥水性ガラスの製造方法が記載
されており、粘度が100 万〜1000万csのシリコーン系
重合体である撥水剤を溶解した撥水剤溶液をガラス基板
の表面に塗布して塗布膜を形成し、硬化させてガラス基
板上に撥水皮膜を形成することからなる方法が開示され
ているが、浸漬法やロールコート法などで行い、擦り込
むようにしてガラス板に塗布する必要があって厚膜とな
る等、これらは被膜の機械的強度の面で充分ではなく、
耐擦傷性能が劣るといっても過言ではないものであっ
て、その用途は限られるようになり、場合によっては使
用し難いことも多々発生し易いものである。
【0005】さらに、特開平1ー246160号公報には複層
ガラスを構成する板ガラスの少なくとも1表面に珪素ア
ルコキシドを主成分とするコーティングを施すこと、そ
れにより破壊強度が向上し、撥水性を付与することが開
示されている。しかし単にアルコキシドのみから得られ
る珪素酸化物膜は撥水性において格別優れるものではな
い。
【0006】さらにまた、特開平3ー75243 号公報には
車両用のガラスにおけるワイパー接触域に酸化珪素、酸
化ホウ素、およびZr、Ti等の酸化物よりなる皮膜を形成
し、耐擦傷性を向上させることが開示されているが、前
記公知例同様単なる酸化物膜においては撥水性の向上は
望めず、水との接触角も高々40°以下である。
【0007】なお、単に金属アルコキシド等に予めフル
オロアルキル化合物を混入せしめ、熱処理により金属ア
ルコキシドを酸化するとともにフルオロアルキルを残留
することにより撥水性を高めることは容易に推考される
ところであるが、金属アルコキシドから緻密で耐擦傷
性、耐候性、耐久性のよい酸化物皮膜を得るには500 ℃
以上、好ましくは600 ℃以上の温度が必要であり、他方
フルオロカーボンは400℃以上では分解、飛散し易く撥
水性を保持し得ないという問題を有する。
【0008】
【問題点を解決するための手段】本発明は、従来のかか
る問題点に鑑みてなしたものであって、特定の金属アル
コキシド系化合物を選び、該化合物の平均分子量が異な
るものから組み合わせてコーティング溶液として塗布
し、充分焼成をし緻密硬化し、独立してしっかりしたか
つガラス基板との界面付近にまで及ぶような膜内部に形
成する、特異なマイクロピット状の細孔ならびに表層を
有し、高密着性であって耐久性や耐摩耗性とを併せ持つ
下地層膜である金属酸化物薄膜を、高安全で厄介な工程
なく、安価に効率よく得、該特異なマイクロピット状の
表層のみならず細孔の膜内部にまで、特定したフルオロ
カーボン含有酸化物薄膜を被覆含浸せしめるようにした
新規な撥水性酸化物被覆およびその形成法を提供するも
のである。
【0009】すなわち、本発明は、ガラス基板の表面上
に形成した被膜において、金属アルコキシド系化合物の
なかから少なくとも種以上の化合物を選択し、かつ該
選択した種以上の化合物における平均分子量が異なる
ものであって、該選択した化合物を溶剤とともに混合し
たコーティング溶液として塗布、加熱成膜して成る金属
酸化物薄膜を下地層膜とし、該下地層膜上にフルオロカ
ーボン基を有するフッ素含有シラン化合物からなるコー
ティング溶液を塗布、加熱被覆成膜して成る積層薄膜で
あることを特徴とする撥水性酸化物被膜。
【0010】ならびに、前記選択した種以上の化合物
における平均分子量が異なるものが、一つの化合物の平
均分子量が1千〜1万の低い平均分子量であって、対す
る他の一つ以上の化合物の平均分子量が4万〜60万の高
い平均分子量であることを特徴とする上述した撥水性酸
化物被膜。
【0011】また、前記選択した化合物を溶剤とともに
混合したコーティング溶液が、アルコール溶液であり、
該溶液中において酸化物換算での固形分濃度が0.01〜10
wt%であり、しかも前記高い平均分子量化合物に対する
前記低い平均分子量化合物の混合割合(モル比)、低い
平均分子量化合物/高い平均分量化合物が酸化物換算で
2〜15であることを特徴とする上述した撥水性酸化物被
膜。
【0012】さらにまた、前記選択した化合物を溶剤と
ともに混合したコーティング溶液の塗布膜の前記加熱成
膜する温度が500 ℃以上でなす薄膜であって、膜表面か
ら膜内部にかけて径20〜50nmのマイクロピット状の細孔
と表層を有する金属酸化物薄膜であることを特徴とする
上述した撥水性酸化物被膜。
【0013】さらに、前記フルオロカーボン基を有する
フッ素含有シラン化合物からなるコーティング溶液が、
アルコール溶液であり、その固形分濃度が酸化物換算で
0.1〜5wt%であることを特徴とする請求項1記載の撥
水性酸化物被膜。
【0014】さらにまた、前記フルオロカーボン基を有
するフッ素含有シラン化合物からなるコーティング溶液
を塗布し、前記加熱成膜する温度が100 〜400 ℃である
ことを特徴とする請求項1ならびに5記載の撥水性酸化
物被膜。
【0015】また、ガラス基板の表面上に被膜を形成す
る方法において、金属アルコキシド系化合物のなかから
少なくとも種以上の化合物を選択し、しかも該選択し
種以上の化合物における平均分子量が異なるもので
あって、一つの化合物の平均分子量が1千〜1万の低い
平均分子量を有し、対する他の一つ以上の化合物の平均
分子量が4万〜60万の高い平均分子量であり、該選択
した2種以上の化合物を溶剤とともに混合攪拌したコー
ティング溶液をガラス基板の表面に塗布し塗布した溶
液を600 ℃以上に加熱硬化して膜表面から膜内部に
かけてマイクロピット状の細孔と表層を有する金属酸化
物薄膜を形成した後、該薄膜上にフルオロカーボン基を
有するフッ素含有シラン化合物を溶剤と混合攪拌したコ
ーティング溶液を塗布し、塗布した溶液を100〜40
0 ℃で加熱成膜し、該フルオロカーボン含有酸化物薄
膜を該金属酸化物薄膜の細孔深くまで含浸被覆せしめる
ようにすることを特徴とする撥水性酸化物被膜の形成
法。さらに、前記選択した化合物を溶剤とともに混合し
たコーティング溶液がアルコール溶液であり、該溶液中
において酸化物換算での固形分濃度が0.01〜10w
t%であり、しかも前記高い平均分子量化合物に対する
前記低い平均分子量化合物の混合割合(モル比、低い平
均分子量化合物/高い平均分子量化合物)が酸化物(S
iO 2 )換算で2〜15であることを特徴とする上述し
た撥水性酸化物被膜の形成法。 さらにまた、フルオロカ
ーボン基を有するフッ素含有シラン化合物からなるコー
ティング溶液がアルコール溶液であり、その固形分濃度
が酸化物換算で0.1〜5wt%であることを特徴とす
る上述した撥水性酸化物被膜の形成法
【0016】ここで、前記したように、金属アルコキシ
ド系化合物のなかから種以上の化合物を選択したの
は、該化合物は安定性があって、溶液調製の際、例えば
平均分子量の制御が容易であり、成膜したマイクロピッ
ト状の細孔ならびに表層を有する金属酸化物薄膜の透明
性や硬度が高く、耐久性にも優れたものとなり、比較的
安価で入手し易いものであるからである。
【0017】また、金属アルコキシド系化合物として
は、金属にすべてアルコキシ基のみが結合した場合、す
なわちメトキシド、エトキシド、イソプロポキシド等の
みならず、その一部がメチル基、エチル基等に置換した
もの、例えばモノメチルアルコキシド、モノエチルアル
コキシド等を含むものである。
【0018】さらに前記アルコキシドを構成する金属と
しては、格別特定するものではないが、Si、TiまたはZr
を選択するのが好ましく、具体的なものとしては、例え
ばテトラメトキシシラン〔Si(OMe)4 Me:CH3 〕、テト
ラエトキシシラン〔Si(OEt)4 Et:C2H5〕、メチル
トリエトキシシラン〔MeSi(OEt)3 〕、メチルトリメト
キシシラン〔MeSi(OMe)3 〕、チタンテトライソプロポ
キシド〔Ti(Oーiso ーPr)4 Pr:C3H7〕、ジルコニウ
ムノルマルブトキシド〔Zr(Oーn ーBu)4 Bu:C
4H9〕、等が好適であり、他に例えばジメチルジエトキ
シシラン、ジメチルジメトキシシラン、チタンテトラノ
ルマルブトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシ
ド、ジルコニウムテトラオクチレート等がある。
【0019】さらにまた、前記選択した種以上の化合
物における平均分子量が異なるものとしたのは、被膜中
の下地層薄膜の内部ならびに表層を前記マイクロピット
状とするためであり、混合する2種以上の化合物の平均
分子量は、低い平均分子量が1千〜1万、好ましくは1.
5 千〜8千程度、より好ましくは2千〜7千程度と、高
い平均分子量が4万〜60万、好ましくは5万〜50万程
度、より好ましくは7万〜45万程度の組み合わせがよい
ものである。なお高い平均分子量についは前記範囲より
多少外れた量でも採用しうる。
【0020】一方、平均分子量の制御は、溶液を調製す
る際において、触媒の種類(例えば塩酸、硝酸、酢酸
等)、その添加量すなわちPH値(例えばPH=1〜
6、好ましくは2〜4)および反応温度(例えば20〜80
℃、好ましくは25〜70℃)等によって、加水分解反応過
程あるいは縮重合過程をコントロールすることにより行
うものである。なお、平均分子量とは、モノマーが加水
分解、縮重合反応してダイマー、トリマー、オリゴマー
と巨大化した際のポリスチレン換算の分子量をいう。
だし、化合物によってはそれぞれ反応時間等も異なり、
必ずしもすべてに共通しない場合もあり得るものであ
る。
【0021】また、マイクロピット状の細孔と表層の形
状の制御は、混合する2種以上の化合物の平均分子量が
千乃至1万、対する4万と60万である化合物の混合割合
(モル比)、すなわち低い平均分子量/高い平均分子量
が酸化物換算で2〜15程度、好ましくは3〜12、より好
ましくは3.5 〜10程度である。
【0022】また、前記金属アルコキシド系化合物の第
1のアルコール溶液中の固形分濃度については、0.01〜
10wt%程度であって、好ましくは0.1 〜8wt%程度であ
り、これ未満であれば均一なマイクロピット状の細孔と
表層を有する薄膜を次第に形成し難くなり、他方、10wt
%程度を超えると、溶液が粘稠となり、マクロピット状
の細孔と表層形状はあるものの、クラックの発現等があ
り、加えて膜付け自体が困難となるものである。さらに
本アルコール溶液におけるアルコール溶媒としては、メ
チルアルコール、イソプロピルアルコールあるいは1ー
ブタノール等が採用できるものである。
【0023】さらにまた、ガラス基板上へ、また前記下
地層膜上への膜付け法としては、ディッピング法、スプ
レー法、フローコート法あるいはスピンコート法、手塗
り等既知の塗布手段が適宜採用し得るものである。なお
前記コーティング溶液を好ましくは、1〜10C.P.(セ
ンチポアズ)に粘度調製し、被膜後、約100 〜400 ℃程
度の雰囲気温度下で約1時間以内程度の乾燥を行い、さ
らに前記500 ℃以上、好ましくは600 ℃以上の温度で焼
成硬化を行い、前記マイクロピット状を有したゲル膜を
形成すること等が好ましいものである。
【0024】またさらに、前記マイクロピット状の細孔
と表層については、縮重合度の違いによる形成であっ
て、膜を強固にするための焼成は、加熱温度600 ℃以上
によっても消失することもなく、しかも独立したピット
が表面および基板との界面付近まで形成されており、走
査電子顕微鏡による8千倍で明確に観察が可能である
等、膜強度に優れるしかっりしたマイクロピット状の細
孔と表層とできるものである。
【0025】また、前記フルオロカーボン基を有するフ
ッ素含有シラン化合物としては、例えば、CF3CH2CH2Si
(OCH3)3、CH3(CF2)5CH2CH2Si(OCH3)3、CF3(CF2)7CH2CH2
Si(OCH3)3、CF3(CF2)7CH2CH2CH3Si(OCH3)2 等、さらに
はCF3(CF2)7CH2CH2SiCl3等、あるいはこれらの部分加水
物などが採用できるものである。
【0026】さらに、前記フルオロカーボン基を有する
フッ素含有シラン化合物の第2のアルコール溶液中の固
形分濃度については、酸化物換算で0.1 〜5wt%であ
り、0.1wt %未満では被膜への撥水性の付与が不十分、
例えば水に対する接触角が60〜70°程度であり、5wt%
を超えても撥水性はもはや向上しなくなり、水に対する
接触角は110 〜115 °程度にとどまるためである。さら
にまた、前記第2のアルコール溶液であるコーティング
溶液を好ましくは、1〜10C.P.(センチポアズ)に粘
度調製し、前記下地層膜上に塗布し、充分に含浸被覆せ
しめた後、100 〜400 ℃の温度で乾燥ならびに焼成を行
うものである。
【0027】さらにまた、前記ガラス基板としては、無
機質の透明板ガラスであって、無色または着色、ならび
にその種類あるいは色調、形状等に特に限定されるもの
ではなく、さらに曲げ板ガラスとしてはもちろん、各種
被膜ガラス、各種強化ガラスや強度アップガラス、平板
や単板で使用できるとともに、複層ガラスあるいは合せ
ガラスとしても使用できることは言うまでもない。
【0028】
【作用】前述したとおり、本発明の特異なマイクロピッ
ト状の細孔と表層を有する金属酸化物薄膜上に、特定し
た撥水性酸化物薄膜を被覆含浸せしめた撥水性酸化物被
膜およびその形成法により、上述した特定系の種以上
の化合物を選び、該化合物の平均分子量を異なるものを
組み合わせることで、500 ℃以上の高温焼成をして、硬
化で従来より独立性があって深見のある、明確でしっか
りしたマイクロピット状の細孔と表層となり、しかも該
マイクロピット状の形状を制御でき、付着性も向上し頑
固な薄膜とすることでき、該下地層膜上に特定した撥水
性酸化物薄膜を被覆含浸せしめるので、ガラス基板との
界面はもちろん、積層膜での膜と膜の界面においても密
着性を格段に向上せしめ、優れた耐摩耗性、耐久性を有
するものとなり、透明で硬度が高い、しかも光学特性等
も充分に満足できるものとでき、従来のものは屋外では
使用でき難いものであったのを、雨水等にさらされるよ
うな屋外でも充分使用できるようになる等となり、高安
全で厄介な工程なく、安価に効率よく得られることとな
って、建築用窓材にはもちろん車両用窓材等に、広く有
用なものとなるものである。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし本発明は係る実施例に限定されるものではな
い。
【0030】実施例 下地層膜用コーティング溶液の調製 テトラエトキシシランの加水分解溶液(平均分子量35
万;ポリスチレン換算値)の所定量と、メチルトリエト
キシシランの加水分解溶液(平均分子量5千;ポリスチ
レン換算値)の所定量をビーカーに入れ、イソプロピル
アルコール50ccならびに1ーブタノール150cc を加えて
室温で約1時間混合攪拌してコーティング溶液を得た。
この際、該コーティング溶液のアルコキシドの混合割合
を変えることによって、低い平均分子量/高い分子量の
混合割合(モル比)を、酸化物換算で3.5 、7.8 、10と
した3種類のコーティング溶液を調製し、後述する表1
のように、実施例1、2、3とした。なお酸化物換算で
の各固形分濃度は、3.1 wt%、4.1 wt%、4.4 wt%であ
った。
【0031】下地層膜の成膜 大きさ100mm x100mm 、厚さ2mmのクリア・フロートガ
ラス基板を中性洗剤、水すすぎ、アルコール、アセトン
等で順次洗浄し、乾燥した後、上記溶液に浸漬して2mm
/秒の一定速度で引き上げ、これを一度に約270 ℃に設
定した電気炉中に約5分間入れた後、さらに約620 ℃に
設定した電気炉に約10分間入れて焼成した。焼成後の膜
厚を、表面粗さ計(DEKTAK3030 スローン製)にて調べ
たところ、いずれも約90〜100nm 程度であった。なお、
該薄膜をトンネル顕微鏡(セイコー電子(株)製)およ
び走査電子顕微鏡により表面形状状態を観察したとこ
ろ、マイクロピット状の細孔と表層となっていた。
【0032】撥水処理 ヘプタデカトリデシルフルオロアルキルシラン(CF3(CF
2)7CH2CH2Si(OCH3)3)1gとイソプロピルアルコール48
g、60%硝酸1gをビーカーに入れ、室温で充分に混合
攪拌し、フルオロアルキルトリメトキシシランの部分加
水分解溶液を調製した。なお酸化物換算での固形分濃度
は2wt%である。これを先にコーティングした前記下地
層膜上に手塗り等によって塗布し、約250 ℃に設定され
た電気炉に約30分間入れ、撥水処理を行った。
【0033】このようにして得られた撥水処理ガラスに
ついて、以下の試験を実施した。撥水性試験 大気中での水に対する接触角を、協和界面科学製CAーA
型を用いて測定した。
【0034】耐久製試験 湿式の自動車用ワイパーブレードによる摺動耐久性によ
り評価した。 試験条件;約100 〜200 gの荷重で連続約10万回(往復
を1回とする)の摺動を行い、目視で評価した。
【0035】耐候性試験 1)D.P.W 促進耐候試験(スガ試験機製WEL-6XS-HC-BE 型
を使用する) 条件;湿潤4時間、50℃にて。
【0036】紫外線照射 8時間,75℃にて。 2)キセノン照射 キセノン照射による促進耐候試験を行った。
【0037】前記下地層膜に形成されたマイクロピット
状の深さ測定 2次電子質量分光分析装置(SIMS,日本電子製JAMPー3
0)にて炭素(C)およびフッ素(F)の深さ方向の分
析、すなわち撥水剤の含浸深さにより測定した。なお、
前記下地層膜自身の膜厚は前記表面粗さ計等によって測
定した。
【0038】表1で示すように、各本実施例は、マイク
ロピット状の細孔と表層に撥水性膜が深く含浸被覆し
て、耐擦傷性、耐候性等に優れた撥水性酸化物被膜を、
ガラス基板上に形成でき、ことに屋外暴露との相関性の
よいキセノン照射試験において優れた特性(接触角につ
いて)を示している。
【0039】なお、得られた試料を、JIS K5400 に基づ
いて密着性ならびに付着性の評価を行ったところ、剥が
れはなく、頑固な格別の密着力で付着している優れたも
のであった。
【0040】比較例1 ガラス基板上に蒸着法によって膜厚約10nmのSiO2膜を形
成し、その上に、シロキサン系ポリマーであるメチルハ
イドロジエンポリシロキサンを浸漬法により塗布し、温
度約300 ℃で約30分加熱焼成をし、撥水性ガラスとし
た。
【0041】得られた試料は、表1に示すように、ワイ
パー摺動、D.P.W 耐候性、Xe照射等で劣るものであっ
た。比較例2 テトラエトキシシランの加水分解溶液をディップコーテ
ィングによりフロートガラス基板にコーティングし、約
270 ℃で約10分間乾燥し、約620 ℃で約10分間加熱焼成
してSiO2膜を形成した。該膜は膜厚が約200nm であっ
た。
【0042】つぎに、該SiO2膜上に、ヘプタデカトリデ
シルフルオロアルキルシランの部分加水分解溶液を塗布
し、約250 ℃で約30分間加熱処理し、撥水性ガラスとし
た。得られた試料は、表1に示すように比較例1より劣
るものであった。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】以上前述したように、本発明の撥水性酸
化物被膜およびその形成法によれば、手軽に容易な膜形
成手段でもって被膜を安価に効率よく得られ、該被膜に
おいて特異な形状を有する頑固なマイクロピット状の細
孔と表層を有する金属酸化物薄膜を得て下地層膜とし、
特定の撥水性酸化物薄膜を含浸被覆したことにより、格
段にその性能を発揮して、光学特性を損なうことなく、
撥水性、密着性、耐擦傷性ならびに耐候性等に優れるも
のとなる等、建築用もしくは自動車用窓材をはじめ、各
種ガラス物品、ことに自動車等の窓材におけるワイパー
摺動部において好適に採用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 修 三重県松阪市大口町1510 セントラル硝 子株式会社 テクニカルセンター内 (56)参考文献 特開 昭61−10043(JP,A) 特開 平5−147976(JP,A) 特開 平5−24885(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03C 15/00 - 23/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス基板の表面上に被膜を形成する方
    において、金属アルコキシド系化合物のなかから少な
    くとも種以上の化合物を選択し、しかも該選択した
    種以上の化合物における平均分子量が異なるものであっ
    て、一つの化合物の平均分子量が1千〜1万の低い平均
    分子量を有し、対する他の一つ以上の化合物の平均分子
    量が4万〜60万の高い平均分子量であり、該選択した
    2種以上の化合物を溶剤とともに混合攪拌したコーティ
    ング溶液をガラス基板の表面に塗布し塗布した溶液を
    600 ℃以上に加熱硬化して膜表面から膜内部にかけ
    てマイクロピット状の細孔と表層を有する金属酸化物薄
    膜を形成した後、該薄膜上にフルオロカーボン基を有す
    るフッ素含有シラン化合物を溶剤と混合攪拌したコーテ
    ィング溶液を塗布し、塗布した溶液を100〜400
    ℃で加熱成膜し、 該フルオロカーボン含有酸化物薄膜を該金属酸化物薄膜
    の細孔深くまで含浸被覆せしめるように することを特徴
    とする撥水性酸化物被膜の形成法。
  2. 【請求項2】 前記選択した化合物を溶剤とともに混合
    したコーティング溶液がアルコール溶液であり、該溶液
    中において酸化物換算での固形分濃度が0.01〜10
    wt%であり、しかも前記高い平均分子量化合物に対す
    る前記低い平均分子量化合物の混合割合(モル比、低い
    平均分子量化合物/高い平均分子量化合物)が酸化物
    (SiO 2 )換算で2〜15であることを特徴とする請
    求項1記載の撥水性酸化物被膜の形成法。
  3. 【請求項3】 フルオロカーボン基を有するフッ素含有
    シラン化合物からなるコーティング溶液がアルコール溶
    液であり、その固形分濃度が酸化物換算で0.1〜5w
    t%であることを特徴とする請求項1または2記載の撥
    水性酸化物被膜の形成法
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