JP2015096459A - 親水性被膜形成物品、塗布液及び親水性被膜形成物品の製造方法 - Google Patents

親水性被膜形成物品、塗布液及び親水性被膜形成物品の製造方法 Download PDF

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忍 荒田
Shinobu Arata
忍 荒田
敬介 村田
Keisuke Murata
敬介 村田
栗原 和明
Kazuaki Kurihara
和明 栗原
幸宏 扇谷
Yukihiro Ogiya
幸宏 扇谷
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Abstract

【課題】親水性及び汚れ除去性に優れる親水性の被膜が形成された親水性被膜形成物品を提供する。【解決手段】基材と、該基材の表面に形成され、分散された無機微粒子が金属酸化物の層で保持されてなる親水性の被膜とを有する親水性被膜形成物品であって、前記親水性の被膜中には、走査型電子顕微鏡観察から求めた一次粒子の平均粒子径が30〜250nmの無機微粒子が1μm2当たり50〜220個存在しており、前記一次粒子の平均粒子径に対する前記金属酸化物の層の厚さの比(金属酸化物の層の厚さ/一次粒子の平均粒子径)が0.24〜0.6であり、下記の式(1)で示されるラフネスファクター(r値)が1.3〜1.7であることを特徴とする親水性被膜形成物品。r値=親水性の被膜の実際の表面積/親水性の被膜を平坦とみなした場合の表面積・・・(1)【選択図】図2

Description

本発明は、親水性被膜形成物品、塗布液及び親水性被膜形成物品の製造方法に関する。
最近、ガラス板等の基板に防曇性等の特性を付与するために、基材の表面に親水性の被膜を形成する試みが種々行われている。その方法としては、界面活性剤の塗布(例えば、特許文献1)、親水性・吸水性を有する樹脂を主体とするコーティング(例えば、特許文献2)等が挙げられる。しかしながら、これらの方法で形成された親水性の被膜は耐久性等に問題があり、長期にわたって使用される物品には適していない。
そこで、耐久性に優れた親水性被膜を有する物品として、特許文献3〜5には、基材の表面に微細な凹凸構造を有する被膜が形成された親水性部材が開示されている。
特許文献3には、4〜300nmの粒径を有する金属酸化物微粒子を含有し、金属酸化物をマトリックスとする膜が基材上に被覆されており、上記膜表面には算術平均粗さ(Ra)が1.5〜80nmであり、かつ凹凸の平均間隔(Sm)が4〜300nmである凹凸が形成されている防曇物品が開示されている。
また、特許文献4には、基材と、該基材上に最外層として形成される親水性被膜とを少なくとも有してなる親水性部材であって、上記親水性被膜が、アルミナ粒子および無定形シリカによる塗膜形成要素とを少なくとも含んでなり、上記アルミナ粒子の一部が表面から露出し、かつ、上記親水性被膜の原子間力顕微鏡によって測定された任意の5μm四方における面粗さが5〜35nmであることを特徴とする親水性部材が開示されている。
さらに、特許文献5には、基材(鏡)の表面に、シリカとジルコニアよりなるマトリックス形成用金属酸化物中に平均粒子径が30〜60nmである酸化物微粒子が均一に分散されてなる親水性を有する金属酸化物膜が被覆されてなる浴室用防曇鏡であり、親水性を有する金属酸化物膜は、酸化物微粒子の含有量が60〜80重量%、マトリックス形成用としてのシリカとジルコニアの含有量が20〜40重量%であり、酸化物微粒子がコロイダルシリカおよび/またはコロイダルアルミナであり、マトリックス形成用としてのシリカとジルコニアの含有比(重量%換算)がSiO:ZrO=5:15〜15:25であることを特徴とする防曇鏡も開示されている。
このようなマトリックスとなる親水性の被膜中に酸化物微粒子が分散した凹凸構造とすることにより、長期間にわたって水膜を維持することができる。
特公昭52−47926号公報 特開平6−220428号公報 特開平11−100234号公報 特開2002−80830号公報 特許第4020602号公報
親水性の被膜は、長期使用における磨耗や様々な汚れの付着によって親水性が低下していく。また、被膜の劣化が進むと撥水化し、水膜形成能が失われてしまう。このような状態になると、水滴が付着した場合の乾燥時にシリカやカルシウムなどの水垢成分が高濃度で付着することになるため、より水垢汚れが付きやすくなってしまう。さらに、固着した水垢汚れは、無機材料からなる被膜と結合しているため、除去することは困難である。したがって、親水性の被膜の性能を長期間にわたって維持するためには、親水性が高く(つまり水接触角が小さく)、かつ、その親水性を保つために汚れ除去性に優れることが求められている。
特許文献3〜5に記載されている親水性の被膜は、全体として水膜を形成することができるような凹凸構造を表面に有しているものの、部分的に凹凸構造が小さい表面部分を含みうる構成であり、親水性及び汚れ除去性については改善の余地があると言える。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、親水性及び汚れ除去性に優れる親水性の被膜が形成された親水性被膜形成物品、該親水性被膜形成物品の被膜を形成するために用いられる塗布液、及び、該塗布液を用いた親水性被膜形成物品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、被膜の親水性の向上に取り組むにあたり、Wenzelの理論に基づいたラフネスファクター(r値)に着目した。表面に微細な凹凸を形成することで表面積がr倍になった場合、平坦表面の水との接触角をθ、凹凸表面の水との接触角をθ’とすると、Wenzelの式「cosθ’=rcosθ」が成り立つ。このとき、rの値をラフネスファクター(r値)という。上記の式より、r値が大きいほど、平坦表面(r=1)の接触角θが大きくても凹凸表面(r>1)の接触角θ’を小さくすることができる。すなわち、被膜の表面に微細な凹凸を形成することで、被膜の親水性をさらに向上させることができる。したがって、汚染などによって平坦表面の接触角が大きくなった場合であっても、凹凸表面としては長期間にわたって接触角を小さい状態で保つことができる。以上より、被膜の親水性を向上させるためには、r値は大きいほど好ましく、さらに、親水性が高いほど、被膜の汚れを水で洗浄する際に水が隅々まで浸透しやすいため、汚れ除去性の改善にもつながる。
一方、被膜表面の凹凸が大きすぎると、汚れが入り込む隙間が多く存在することになり、その結果、汚れ除去性が低下してしまう。したがって、汚れ除去性のためには、被膜表面の凹凸は大きくなりすぎない方が好ましい。
本発明者らは、無機微粒子と、該微粒子の粒子径よりも厚さの小さい金属酸化物の層により被膜表面に凹凸構造を形成し、r値を大きくすることを考えた。r値を大きくするには、凸状構造を付与する無機微粒子の数を増やす方法、金属酸化物の層の厚さを小さくすることで無機微粒子の露出表面積を増やす方法などが考えられる。ただし、無機微粒子の数が増加しすぎると、微粒子同士が凝集したり積層したりしてしまう場合がある。また、金属酸化物の層の厚さが小さくなりすぎると、汚れが細部にとどまりやすくなるため、汚れ除去性が低下したり、被膜自体の耐久性など他の特性に悪影響を及ぼしたりする場合がある。よって、無機微粒子の数とその露出表面積を適切な範囲にしつつ、かつ、無機微粒子を適度な分散状態にすることが、汚れ除去性の改善にとって好ましい構造となる。
すなわち、本発明の親水性被膜形成物品は、
基材と、該基材の表面に形成され、分散された無機微粒子が金属酸化物の層で保持されてなる親水性の被膜とを有する親水性被膜形成物品であって、
上記親水性の被膜中には、走査型電子顕微鏡観察から求めた一次粒子の平均粒子径が30〜250nmの無機微粒子が1μm当たり50〜220個存在しており、
上記一次粒子の平均粒子径に対する上記金属酸化物の層の厚さの比(金属酸化物の層の厚さ/一次粒子の平均粒子径)が0.24〜0.6であり、
下記の式(1)で示されるラフネスファクター(r値)が1.3〜1.7であることを特徴とする。
r値=親水性の被膜の実際の表面積/親水性の被膜を平坦とみなした場合の表面積・・・(1)
本発明の親水性被膜形成物品においては、上記一次粒子の平均粒子径に対する上記金属酸化物の層の厚さの比(金属酸化物の層の厚さ/一次粒子の平均粒子径)が0.3〜0.5であることが好ましい。
本発明の親水性被膜形成物品においては、上記r値が1.4〜1.6であることが好ましい。
本発明の親水性被膜形成物品において、上記無機微粒子は、シリカ、アルミナ及びジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。
本発明の親水性被膜形成物品において、上記金属酸化物の層は、シリカ、アルミナ及びジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。
本発明の親水性被膜形成物品において、上記親水性の被膜を保護するための保護紙が、上記親水性の被膜を覆うように親水性被膜形成物品の表面に貼付されていることが好ましい。
本発明の親水性被膜形成物品において、上記保護紙は、粘着成分として澱粉化合物を含むことが好ましく、さらに粘着成分中に親水剤及び界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の塗布液は、上述した本発明の親水性被膜形成物品の被膜を形成するために用いられる塗布液であって、
原料として、動的光散乱法により算出した一次粒子の平均粒子径が30〜250nmの無機微粒子、金属酸化物の前駆物質、及び、溶媒を混合することにより調製された塗布液であり、
上記無機微粒子と、上記金属酸化物の前駆物質を金属酸化物換算したものとの質量比(無機微粒子:金属酸化物)が20:80〜60:40であることを特徴とする。
本発明の塗布液において、上記無機微粒子は、シリカ、アルミナ及びジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。
本発明の塗布液において、上記金属酸化物の前駆物質は、R 4−a−Si−X(但し、Rは1価の有機基、Xは炭素数1〜3のアルコキシル基又はハロゲン、aは1〜4の整数)、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、ZrOY(但し、YはCl、NO 又はCHCOO)、及び、R 4−b−Zr−Z(Rはアセチルアセトナート基、Zは炭素数2〜4のアルコキシル基又はハロゲン、bは0〜4の整数)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の塗布液は、さらに酸を含むことが好ましい。
本発明の塗布液においては、固形分濃度が0.3〜10質量%であることが好ましい。
本発明の親水性被膜形成物品の製造方法は、上述した本発明の親水性被膜形成物品の製造方法であって、
基材を準備する基材準備工程と、
上述した組成の塗布液を準備する塗布液準備工程と、
上記基材の表面に上記塗布液を塗布して塗膜を形成する塗布工程と、
上記塗膜を乾燥して親水性の被膜を形成する被膜形成工程とを含むことを特徴とする。
本発明の親水性被膜形成物品の製造方法では、上記被膜形成工程において、乾燥温度が100〜200℃であることが好ましい。
本発明の親水性被膜形成物品の製造方法では、さらに、上記親水性の被膜を保護するための保護紙を、上記親水性の被膜を覆うように親水性被膜形成物品の表面に貼付する保護紙貼付工程を含むことが好ましい。
本発明の親水性被膜形成物品では、親水性の被膜に含まれる無機微粒子の数とその露出表面積を適切な範囲にしつつ、かつ、無機微粒子を適度な分散状態にすることによって、被膜の親水性及び汚れ除去性を優れたものとすることができる。
図1は、分散された無機微粒子が金属酸化物の層で保持されている様子を示したFE−SEMの断面画像である。 図2は、分散された無機微粒子が金属酸化物の層で保持されている様子を示したFE−SEMの正面画像である。 図3(a)は、平坦表面での水との接触角(θ)を示す説明図であり、図3(b)は、凹凸表面での水との接触角(θ’)を示す図であり、図3(c)は、r値と水との接触角(°)との関係を示したグラフである。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
[親水性被膜形成物品]
以下、本発明の親水性被膜形成物品について説明する。
本発明の親水性被膜形成物品は、基材と、該基材の表面に形成され、分散された無機微粒子が金属酸化物の層で保持されてなる親水性の被膜とを有する親水性被膜形成物品であって、
前記親水性の被膜中には、走査型電子顕微鏡観察から求めた一次粒子の平均粒子径が30〜250nmの無機微粒子が1μm当たり50〜220個存在しており、
前記一次粒子の平均粒子径に対する前記金属酸化物の層の厚さの比(金属酸化物の層の厚さ/一次粒子の平均粒子径)が0.24〜0.6であり、
下記の式(1)で示されるラフネスファクター(r値)が1.3〜1.7であることを特徴とする。
r値=親水性の被膜の実際の表面積/親水性の被膜を平坦とみなした場合の表面積・・・(1)
本発明の親水性被膜形成物品は、基材と、該基材の表面に形成され、分散された無機微粒子が金属酸化物の層で保持されてなる親水性の被膜とを有する親水性被膜形成物品である。
本発明で用いる基材は、親水性、防曇性、汚れ除去性を期待されるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス板、鏡、反射板、保護板、タイル、食器、金属、金属メッキされた物品、セラミックス等が挙げられる。基材としては、防曇性を期待されるガラス板、鏡等が好ましい。
上記基材の表面に設けられた親水性の被膜は、分散された無機微粒子が金属酸化物の層で保持されている。
上記金属酸化物の層の材料は、特に限定されるものではないが、シリカ、アルミナ及びジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。上記金属酸化物の層は、後述する親水性被膜形成物品の製造方法で詳述するが、原料として、金属アルコキシド等の前駆物質を用い、水等で加水分解・重縮合させて調製した塗布液を塗布し乾燥させることにより形成されるもので、金属酸化物の層中に無機微粒子が分散しており、これにより表面積が大きく増大しているので、親水性を示す。
金属酸化物の層の組成は、特に限定されるものではないが、親水性を充分に発揮させるためには、シリカとアルミナとジルコニアを含有するものが好ましい。
この基材の表面に形成された金属酸化物の層の中に無機微粒子が分散されている。無機微粒子の材料は、特に限定されるものではないが、シリカ、アルミナ及びジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種からなることが好ましく、これらのなかでは、シリカが特に好ましい。
この無機微粒子は、原料として、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等を用い、上記した金属アルコキシド等の前駆物質と混合して塗布液を調製し、塗布し乾燥させることにより上記金属酸化物の層の中に分散して存在させることができる。
上記金属酸化物の層の中には、走査型電子顕微鏡観察から求めた一次粒子の平均粒子径が30〜250nmの無機微粒子が1μm当たり50〜220個存在しており、一次粒子の平均粒子径に対する金属酸化物の層の厚さの比(金属酸化物の層の厚さ/一次粒子の平均粒子径)が0.24〜0.6である。
無機粒子からなる一次粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(電界放出型電子顕微鏡(FE−SEM)S−4500、日立ハイテク(株)製)等を用いることにより、画像を撮影し、得られた画像を観察して決定する。
図1は、分散された無機微粒子が金属酸化物の層で保持されている様子を示したFE−SEMの断面画像であり、基材の表面に対して垂直に切断した際の断面画像である。無機粒子の平均粒子径については、このようなFE−SEMの断面画像より、例えば、縦1μm、横1μmの正方形(1μm当たり)に存在する粒子のそれぞれの幅を測定し、その平均値を平均粒子径とする。また、金属酸化物の層の厚さに関しては、上記1μmの領域に存在する金属酸化物の層を4個所程度選んで層の厚さを測定し、その平均値を金属酸化物の層の厚さとする。
図2は、分散された無機微粒子が金属酸化物の層で保持されている様子を示したFE−SEMの正面画像である。無機微粒子の一次粒子の1μm当たりの数については、上記FE−SEMの正面画像で、1μmの領域の中に存在する一次粒子の数を数えることにより求める。
本発明の親水性被膜形成物品において、無機微粒子の一次粒子の平均粒子径は、30〜250nmである。上記一次粒子の平均粒子径が30nm未満であると、粒子が凝集してしまい良好に分散しにくく、また、粒子径が小さすぎるため、金属酸化物の層の厚さと比較してその比が0.6を超えた値となり易い。
一方、無機微粒子の一次粒子の平均粒子径が250nmを超えると、粒子径が大きすぎるため、金属酸化物の層の厚さと比較してその比が0.24未満となり易く、また光の乱反射によりヘーズ感を生じたり、金属酸化物の層からの露出面積が大きすぎるため、金属酸化物の層から該微粒子が外れ易くなる。一次粒子の平均粒子径は、30〜70nmが好ましい。
金属酸化物の層の厚さは、5〜150nmの範囲が好ましい。5〜150nmの範囲とすることで、例えば、本発明の親水性の被膜を鏡表面に形成した場合、被膜中での可視光の透過が妨げられることなく、二重像などの問題もなく、外観は一般鏡と何ら変わらないものとすることができる。より好ましい厚さは9〜40nmの範囲である。
本発明の親水性被膜形成物品において、無機微粒子の一次粒子は、1μm当たり50〜220個存在している。一次粒子の1μm当たりの数についても、図2に示したFE−SEMを用いた画像観察において、1μm当たりの個数を数えることにより行う。
上記無機微粒子の数が1μm当たり50個未満であると、金属酸化物の層に分散する無機微粒子の数が少なすぎるため、凹凸が少なく、表面積が大きくならないため、親水性の改善が難しい。一方、上記無機微粒子の数が1μm当たり220個を超えると、金属酸化物の層に分散する無機微粒子の数が多すぎるため、一次粒子同士が凝集したり、重なり易くなり、r値の増加につながらず、汚れ除去性も低下する。
無機微粒子の一次粒子は、1μm当たり100〜150個存在していることが好ましい。
本発明の親水性被膜形成物品において、無機微粒子は、極めて分散性よく、金属酸化物の層に分散しているが、分散性の指標としては、厚さ方向に重なり合った一次粒子の数を数えることにより行うことができる。分散性を良好に保つためには、上述した走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用いた画像観察において、厚さ方向に重なり合った一次粒子の数が、1μm当たり2個以下であることが好ましい。
このように一次粒子の分散性を良好に保つことにより、一つ一つの無機粒子が表面積を増加させるために機能し、単位面積当たりの無機粒子の数を余り増加させることなく、r値を効果的に増加させることができる。
本発明の親水性被膜形成物品では、下記の式(1)で示されるラフネスファクター(r値)が1.3〜1.7である。
r値=親水性の被膜の実際の表面積/親水性の被膜を平坦とみなした場合の表面積・・・(1)
図3(a)は、平坦表面での水との接触角(θ)を示す説明図であり、図3(b)は、凹凸表面での水との接触角(θ’)を示す図であり、図3(c)は、Wenzelの式に基づき、r値と水との接触角(°)との関係を示したグラフである。
ラフネスファクター(r値)は、上述したように、Wenzelの理論に基づくもので、表面に微細な凹凸を形成することで表面積がr倍になった場合、平坦表面での水との接触角をθ(図3(a)参照)、凹凸表面での水との接触角をθ’(図3(b)参照)とすると、Wenzelの式「cosθ’=rcosθ」が成り立つ。このとき、rの値をラフネスファクター(r値)という。
上記の式より、r値が大きいほど、図3(a)に示す平坦表面(r=1)の接触角θが大きくても、図3(b)に示す凹凸表面(r>1)の接触角θ’を小さくすることができることがわかる。すなわち、被膜の表面に微細な凹凸を形成することで、被膜の親水性をさらに向上させることができる。さらに、親水性が高いほど、被膜に付着した汚れを水で洗浄する際に、水が被膜の隅々まで浸透しやすく、汚れ除去性の改善にもつながる。
図3(c)に示すように、平坦面での水との接触角が大きくても、r値が大きくなるに従って、急速に凹凸表面での水との接触角が小さくなる。
親水性の被膜の実際の表面積は、まず、FE−SEMを用いた画像観察により突出している部分の表面積を算出するが、表面に垂直な断面画像を観察し、無機微粒子の一次粒子を球とみなし、下記の方法を用いて1μm当たりの全体の表面積を算出した。
例えば、一次粒子が半分埋まっている場合には、球の表面積の半分が表面に露出していると考え、その表面積から、一次粒子が存在する部分を平面とした場合の円の表面積を引いた値を表面積とする。この場合、下記の計算式(2)となり、その露出した表面積の値は、πrとなる。
(4πr÷2)−πr=πr・・・(2)(但し、rは、一次粒子の半径)
また、一次粒子が4分の1程度埋まっている場合は、一次粒子が完全に露出している場合の球の表面積4πrと、上記した一次粒子が半分埋まっている場合の表面積πrの間の3πrを一次粒子の露出した表面積とする。なお、rは、一次粒子の半径である。
本発明の親水性被膜形成物品において、一次粒子の平均粒子径に対する上記金属酸化物の層の厚さの比(金属酸化物の層の厚さ/一次粒子の平均粒子径)が0.24〜0.6である。
すなわち、一次粒子の平均粒子径に対する上記金属酸化物の層の厚さの比が0.24〜0.6であり、一次粒子の平均粒子径と比較して金属酸化物の層の厚さが小さく、逆の比をとると、金属酸化物の層の厚さに対する無機微粒子の大きさの比となるが、その値は、一次粒子の平均粒子径が金属酸化物の層の厚さの約1.67〜4.17倍大きく、金属酸化物の層から一次粒子が大きく突出していることがわかる。
本発明の親水性被膜形成物品において、このように金属酸化物の層から一次粒子が突出していることから、r値が1.3〜1.7と大きく、従って、親水性の被膜の実際の表面積も親水性の被膜を平坦とみなした場合の表面積に比べて大きいので、本発明の基板上に形成した親水性被膜は、親水性に優れている。
r値が1.3未満であると、r値が低すぎるため、親水性が不充分となり、r値が1.7を超えると、親水性は優れたものとなるが、凹凸が大きすぎるため、汚れが入り込む隙間が多く存在することになり、ひいては汚れ除去性が低下してしまう。本発明の親水性被膜形成物品においては、r値が1.4〜1.6であることが好ましい。
また、一次粒子の平均粒子径に対する金属酸化物の層の厚さの比が0.24未満であると、金属酸化物の膜厚が小さくなりすぎるため、汚れが細部にとどまりやすくなり汚れ除去性が低下したり、膜自体の耐久性など他の特性にも悪影響を及ぼす。一方、一次粒子の平均粒子径に対する金属酸化物の層の厚さの比が0.6を超えると、金属酸化物の層からの無機粒子の突出の程度が低いため、r値が1.3未満となり易く、被膜の親水性が不充分となり易い。本発明の親水性被膜形成物品においては、一次粒子の平均粒子径に対する金属酸化物の層の厚さの比は、0.3〜0.5であることが好ましい。
本発明の親水性被膜形成物品において、金属酸化物と無機微粒子の合計量に対する無機微粒子の含有量は、20〜60質量%が好ましい。金属酸化物と無機微粒子の合計量に対する無機微粒子の含有量が、20質量%未満では、被膜表面の水膜形成能が充分とはならず、一方、60質量%を超えると、金属酸化物の層の含有割合が少なくなり、汚れ除去性が低下する。金属酸化物と無機微粒子の合計量に対する無機微粒子の含有量は、より好ましくは30〜50質量%である。
本発明の親水性被膜形成物品には、親水性被膜形成物品の製造を完了した後、澱粉化合物を有するコーティング剤を塗布して、親水性部材を形成してもよい。該コーティング剤の溶媒は水であることが好ましい。該コーティング剤の調製方法乃至塗布方法としては、特に限定されるものではないが、予め一部をα化させ糊状にした澱粉化合物を水で希釈し、この希釈液を刷毛もしくは霧吹き等の機材を使用して容易に塗布することができる。コーティングの後、水を含んだ発泡性弾性体で部材表面をこすることによって効率良く、コーティング剤を固定することができ、親水性部材を形成することができる。上記のコーティング剤の塗布の後、該部材を50℃〜100℃で熱処理し、澱粉化合物のα化を促進することが好ましい。熱処理手段としては、汎用的に流通している熱風送風型のドライヤー等を使用することができる。また、親水性を増加させるため、上記澱粉化合物を本発明の親水性の被膜に含ませてもよい。
上記親水性部材は、親水性、防汚性に優れるので、汚染負荷の大きな環境での使用に適する。又、耐久性にも優れるので長期に渡って使用に奏功する。さらには、廉価に提供することができ、使用に際し、容易に親水性を回復させることができる。
上記コーティングにより形成された親水性部材は、経時的に澱粉化合物が溶出し、澱粉化合物による親水性が低下していくので、澱粉化合物を有するコーティング剤を定期的に塗布し、水を含んだ発泡性弾性体で部材表面をこすることで親水性を回復させることができる。その際、澱粉化合物を有するコーティング剤を塗布した後に部材を、澱粉化合物のα化を促進し、微細な表面凹凸構造を有する部材により澱粉化合物を浸透させることができる、50℃〜100℃で熱処理することが好ましい。
また、上記親水性部材中には、本発明の目的を損なわない限りにおいて、公知の親水剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、赤外線吸収剤、難燃剤、加水分解防止剤、防黴剤等の成分が含有されていてもよい。
親水剤としては、例えば、親水基含有アルコキシオリゴマー(「X−41−1053」、「X−41−1059A」、「X−41−1056」、「X−41−1805」、「X−41−1818」、「X−41−1810」、「X−40−2651」、「X−40−2655A」、信越化学工業製)、水溶性のポリマーブラシ状化合物(商品名「LAMBIC」シリーズ、大阪有機化学工業製)、親水基含有水系シランカップリング剤(商品名「X−12−641」、「X−12−1098」、「X−12−1121」、「X−12−1135」、「X−12−1126」、「X−12−1131」、「X−12−1141」、信越化学工業製)等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、エチレンオキサイド含有非イオン性界面活性剤(商品名「ペポールAS−053X」、「ペポールAS−054C」、「ペポールA−0638」、「ペポールA−0858」、「ペポールB−181」、「ペポールB−182」、「ペポールB−184」、「ペポールB−188」、「ペポールD−301A」、「ペポールD−304」、「ペポールBS−184」、「ペポールBS−201」、東邦化学工業製)、アセチレングリコール系界面活性剤(商品名「サーフィノール104E」、「サーフィノール104H」、「サーフィノール104A」、「サーフィノール104PA」、「サーフィノール104PG−50」、「サーフィノール104S」、「サーフィノール420」、「サーフィノール440」、「サーフィノール465」、「サーフィノール485」、「オルフィンD−10PG」、以上日信化学工業製、「アセチレノールEOO」、「アセチレノールE13T」、「アセチレノールE40」、「アセチレノールE60」、「アセチレノールE81」、「アセチレノールE100」、「アセチレノールE200」、「アセチレノールE00F24」、「アセチレノールE00P」、以上川研ファインケミカル製)等が挙げられる。
また、本発明の目的を損なわない限りにおいて、上記の親水剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、赤外線吸収剤、難燃剤、加水分解防止剤、防黴剤等の成分を本発明の親水性の被膜に含ませてもよい。その場合、上記の成分は、上述した本発明の塗布液に含有させて、該塗布液を基材に塗布して乾燥することにより被膜中に含有される。
また、本発明の親水性被膜形成物品には、上記親水性の被膜を保護するための保護紙が、上記親水性の被膜を覆うように親水性被膜形成物品の表面に貼付されていることが好ましい。
上記保護紙は、本発明の親水性被膜形成物品の梱包、運搬、施工の際に、親水性被膜形成物品に形成された親水性の被膜の損傷や汚染を防止する役割を果たす。
上記保護紙は、粘着成分として澱粉化合物を含むことが好ましく、さらに粘着成分中に親水剤及び界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。保護紙を剥離した際、これらの澱粉化合物や親水剤や界面活性剤が親水性の被膜の表面に残留し、これらの澱粉化合物や親水剤や界面活性剤をコーティングしたのと同様の効果をもたらす。すなわち、上記コーティング剤の塗布でも説明したように、澱粉化合物や親水剤や界面活性剤が親水性被膜中に存在すると、親水性被膜の親水性が増加し、親水剤や界面活性剤が存在すると、さらに防汚性がより向上する。
親水剤や界面活性剤としては、上記コーティング剤の塗布において例示した化合物や商品を使用することができる。
なお、上記保護紙を親水性被膜形成物品の表面に貼付する工程(保護紙貼付工程)は、表面に予め粘着成分を有した保護紙を親水性被膜形成物品の被膜表面に貼付してもよいし、親水性被膜形成物品の被膜表面に粘着成分を塗布しその上に保護紙を密着させて貼付してもよい。
[塗布液及び該塗布液を用いた親水性被膜形成物品の製造方法]
次に、本発明の塗布液及び該塗布液を用いた親水性被膜形成物品の製造方法について説明する。
本発明の塗布液は、上述した本発明の親水性被膜形成物品の被膜を形成するために用いられる塗布液であって、
原料として、動的光散乱法により算出した一次粒子の平均粒子径が30〜250nmの無機微粒子、金属酸化物の前駆物質、及び、溶媒を混合することにより調製された塗布液であり、上記無機微粒子と、上記金属酸化物の前駆物質を金属酸化物換算したものとの質量比(無機微粒子:金属酸化物)が20:80〜60:40であることを特徴とする。
懸濁液中の粒子又は分子にレーザ光を照射すると、上記粒子や分子のブラウン運動は、レーザ光を異なる強度で散乱させる。これらの強度の変化を解析することでブラウン運動の速度が得られるため、ストークス・アインシュタインの式を使用することにより粒径を求めることができる。このように懸濁液中の粒子等にレーザを照射することにより、粒径を求める方法を動的光散乱法という。動的光散乱法は、短時間で正確に粒径分布等を測定することができるという利点を有する。
本発明では、原料として、動的光散乱法により算出した一次粒子の平均粒子径が30〜250nmの無機微粒子を用いる。
上記一次粒子の平均粒子径が30nm未満では、粒子が凝集しやすく良好な分散状態を達成することが困難である。一方、一次粒子の平均粒子径が250nmを超えると、得られる被膜が粒子の光散乱により白濁してしまう。一次粒子の平均粒子径は、30〜70nmが好ましい。
具体的には、上記粒径の一次粒子を有するコロイド溶液(ゾル)を用いる。本発明では、主に、コロイダルシリカ及び/又はコロイダルアルミナ等を用いることが可能である。コロイダルシリカとしては、有機溶媒で分散させたものや、水を分散媒としナトリウムやアンモニウム等の1価の陽イオンで安定化したものが好ましく、例えば、市販品としては、有機溶媒で分散させたものではオルガノシリカゾル(日産化学製)、水を分散媒としナトリウムやアンモニウム等の1価の陽イオンで安定化したものでは、スノーテックス(日産化学製)、ルドックス(デュポン社製)、カタロイド(触媒化成製)等を用いることができる。また、コロイダルアルミナの場合もコロイダルシリカと同様に、ナトリウムやアンモニウム等の1価の陽イオンで安定化したものが好ましく、例えば、市販品としては、アルミナクリアゾル(川研ファインケミカル製)等を用いることができる。
金属酸化物の層においてシリカ成分となる前駆物質としては、例えば、R 4−a−Si−X(但し、Rは1価の有機基、Xは炭素数1〜3のアルコキシル基又はハロゲン、aは1〜4の整数)で表わされる化合物が挙げられる。
上記前駆物質において、aが4の場合の化合物としては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラクロロシラン等が挙げられ、aが3の場合の化合物としては、モノメチルトリエトキシシラン、モノメチルトリメトキシシラン、トリクロロシラン、モノメチルトリクロロシラン等が挙げられ、aが2の場合の化合物としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジクロロシラン等が挙げられる。
これらのなかでは、特に、一般式:SiXで表わされるアルコキシシランを用いると、被膜の親水維持性が良好となるのでより好ましい。
金属酸化物の層においてアルミナ成分となる原料としては、アルミニウムアルコキシドが挙げられ、具体的には、例えば、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム−n−ブトキシド、アルミニウム−sec−ブトキシド、アルミニウム−tert−ブトキシドが挙げられる。上記アルミニウムアルコキシドには、アセチルアセトナート基及びエチルアセトアセテート基から選ばれる基が含まれていても良い。アルミナ成分となる他の原料としては、例えば、アルミニウムアセチルアセトナート等が挙げられる。上記アルミニウムアセチルアセトナートには、エチルアセトアセテート基が含まれていても良い。
また、金属酸化物の層においてジルコニア成分となる原料としては、ZrOY(但し、YはCl、NO 又はCHCOO)で表わされる化合物、R 4−b−Zr−Z(Rはアセチルアセトナート基、Zは炭素数2〜4のアルコキシル基又はハロゲン、bは0〜4の整数)で表わされる化合物等が挙げられる。
ZrOYで表わされる前駆物質としては、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ酢酸ジルコニウム等が挙げられる。R 4−b−Zr−Zで表わされる前駆物質において、bが4の場合の化合物としては、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラノルマルブトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム等が挙げられ、bが0の化合物としてはジルコニウムテトラアセチルアセトナート、1の化合物としてはジルコニウムトリスアセチルアセトナート系化合物(例えば、ジルコニウムトリス(アセチルアセトナート)クロリド、モノエトキシトリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム等)、2の化合物としてはジルコニウムビスアセチルアセトナート系化合物(例えば、ジ−n−ブトキシビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム等)、3の化合物としてはジルコニウムモノアセチルアセトナート系化合物(例えば、トリ−n−ブトキシモノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム等)等が挙げられる。
上記無機微粒子と、上記金属酸化物の前駆物質を金属酸化物換算したものとの質量比(無機微粒子:金属酸化物)は、20:80〜60:40である。すなわち、無機微粒子と、上記金属酸化物の前駆物質を金属酸化物換算したものの合計に対する無機微粒子の含有量は、20〜60質量%である。上記無機微粒子の含有量が20質量%未満では、得られる被膜の親水性が不充分となり、一方、上記無機微粒子の含有量が60質量%を超えると、得られる被膜の汚れ除去性が不充分となる。
溶媒としては、アルコール系溶媒、エステル類、セロソルブ類、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。アルコール系溶媒の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等が挙げられる。エステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等が挙げられ、セロソルブ類としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等が挙げられる。これらの溶媒は、1種のみを使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
塗布液を調製する際には、無機酸もしくは有機酸等の酸を触媒として含むことが好ましい。上記無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等が挙げられ、有機酸としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、スルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、マレイン酸、グリコール酸、ビニルスルホン酸等が挙げられる。ZrOYで表わされる前駆物質のうち、水存在下で酸性を示すものを用いる場合は、その酸を触媒として用いることができる。
本発明の塗布液には、レベリング剤としてジメチルシリコーンなどのメチルシリコーン類やフッ素系レベリング剤を適量加えても良い。また、例えばビックケミージャパン製の「BYK−300」、「BYK−301」、「BYK−302」、「BYK−306」、「BYK−307」、「BYK−310」、「BYK−313」、「BYK−315」、「BYK−320」、「BYK−322」、「BYK−323」、「BYK−325」、「BYK−330」、「BYK−331」、「BYK−333」、「BYK−337」、「BYK−341」、「BYK−344」、「BYK−345」、「BYK−346」、「BYK−347」、「BYK−348」、「BYK−349」、「BYK−370」、「BYK−375」、「BYK−377」、「BYK−378」、「BYK−UV3500」、「BYK−UV3510」、「BYK−UV3570」、「BYK−340」、「BYK−3550」、「BYK−SILCLEAN3700」、「BYK−SILCLEAN3720」、「BYK−DYNWET800」、共栄社化学製の「ポリフローNo.3」、「ポリフローNo.50HF」、「ポリフローNo.54」、「ポリフローNo.64HF」、「ポリフローNo.75」、「ポリフローNo.77」、「ポリフローNo.85HF」、「ポリフローNo.90」、「ポリフローNo.95」、「ポリフローNo.ATF−2」、「グラノール100」、「グラノール115」、「グラノール400」、「グラノール410」、「グラノール420」、「グラノール440」、「グラノール450」、「グラノールB-1484」等を添加しても良い。
本発明の塗布液中の固形分濃度は、0.3〜10質量%であることが好ましい。
上記固形分濃度が0.3〜10質量%の範囲にあると、金属酸化物の前駆物質の加水分解反応が良好に進行し、得られた被膜が良好な汚れ除去性や耐久性を発揮しやすい。
本発明の親水性被膜形成物品の製造方法は、上記した親水性被膜形成物品の製造方法であって、基材を準備する基材準備工程と、上述した組成の塗布液を準備する塗布液準備工程と、上記基材の表面に上記塗布液を塗布して塗膜を形成する塗布工程と、上記塗膜を乾燥して親水性の被膜を形成する被膜形成工程とを含むことを特徴とする。
本発明の親水性被膜形成物品の製造方法では、基材準備工程として、ガラス板、鏡等の基材を準備する。この際、密着性を確保するために、表面の汚れ等を丁寧に除去しておく必要がある。
塗布液準備工程として、上述した組成の塗布液を準備する。
該工程では、原料として、動的光散乱法により算出した一次粒子の平均粒子径が30〜250nmの無機微粒子、金属酸化物の前駆物質、及び、溶媒を混合することにより塗布液を調製する。塗布液中で、原料の金属酸化物の前駆物質は加水分解・重縮合反応を進行させておくことが好ましいので、水が添加されることが好ましい。原料として液体の水や水溶液を用いても良いし、大気中から取り込まれる水分を利用しても良いし、また、例えば上記無機微粒子の分散媒として水を含むものを用いても良い。また、上記の加水分解や重縮合を促進するために上述したような酸が添加されても良い。さらには、上述したような、澱粉化合物、親水剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、赤外線吸収剤、難燃剤、加水分解防止剤、防黴剤等の成分が添加されても良い。
上記の塗布液を調製する際に、水、希釈溶媒、グリコール類を加えて成膜方法に応じて固形分濃度を調整し、必要であればレベリング剤等の各種添加剤を添加することもできる。なお、塗布液中の全固形分濃度は0.3〜10質量%とするのが均一な塗布膜を形成する上で好ましい。
次に、塗布工程として、基材の表面に上記塗布液を塗布して塗膜を形成する。
塗布法としては、特に限定されるものではないが、生産性などの面からは、例えば、スピンコート法、バーコート法、リバースロールコート法、その他のロールコート法、カーテンコート法、スプレーコート法などの公知手段が採用でき、適宜マスキングすることにより、部分的な成膜はもちろん、任意の形状、図柄に被膜を形成することができる。なお、これらの塗布法で塗布成膜する際の塗布液中の全固形分濃度としては約0.3〜10質量%程度、塗布液粘度としては2〜6cp(センチポイズ)程度が好ましい。
次に、被膜形成工程として、上記塗膜を乾燥して親水性の被膜を形成する。
塗布後の乾燥としては、100〜200℃の比較的低温で、5〜30分間乾燥することが好ましく、より好ましくは、前記乾燥温度が130〜180℃程度、乾燥時間が10分間程度である。
本発明の親水性被膜形成物品で説明したように、本発明の親水性被膜形成物品の製造方法では、さらに、保護紙貼付工程として、上記親水性の被膜を保護するための保護紙を、上記親水性の被膜を覆うように親水性被膜形成物品の表面に貼付することが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明はかかる実施例に限定されるものでない。
本実施例及び比較例では、親水性被膜形成物品の被膜を形成するための塗布液を調製し、基材上に塗布し乾燥させて、親水性被膜形成物品を作製した。上記塗布液の調製方法及び親水性被膜形成物品の作製方法(製造方法)は後述の通りである。また、得られた親水性被膜形成物品について、以下に示す方法により品質評価を行った。
[被膜の表面形状評価]
SEM(電界放出型電子顕微鏡(FE−SEM)S−4500、日立ハイテク(株)製)観察により被膜の表面形状について評価した。正面画像により、一次粒子の分散性の確認及び1μmあたりの一次粒子の個数の確認を行った。一次粒子の分散性の判定は、粒子が凝集することなく、正面画像において任意に2箇所以上選定した1μm中の粒子の分布が著しく異ならないものを『○;分散している』とし、不均一な凝集はないものの、粒子が隙間なく密に配列しているものを『△』、分布の偏りが見られるものや、不均一な凝集が見られるものを『×』とした。また、断面の画像により、一次粒子の粒径ならびに金属酸化物の層の厚さを測定し、一次粒子の平均粒子径に対する金属酸化物の層の厚さの比(金属酸化物の層の厚さ/一次粒子の平均粒子径)を得た。そして、正面及び断面の画像から得た平均粒子径、金属酸化物の層の厚さ、粒子の個数から、金属酸化物の層の表面積と該金属酸化物から露出している粒子の表面積を算出し、これらの合計により実際の被膜の表面積が算出できるため、以下の式(1)によりr値を得た。
ラフネスファクター(r値)=親水性の被膜の実際の表面積/親水性の被膜を平坦とみなした場合の表面積・・・(1)
なお、原材料中や上記塗布液といった液体中における粒子の平均粒子径は動的光散乱法により求めた値であり、成膜後の被膜に保持される粒子の平均粒子径はSEM観察により確認した値の平均値である。
[水接触角の評価]
親水性被膜形成物品の被膜表面にイオン交換水2μLを置き、液滴を置いた10秒後の液滴と被膜表面とのなす角を、接触角計(CA−X200、協和界面科学社製)を用いて室温(約25℃)で測定した。なお、該接触角が小さいほどより親水性に優れているといえる。
[水膜保持能]
23℃、40%RHの環境下で、親水性被膜形成物品を垂直に保持し、水シャワーを親水性被膜形成物品の被膜面の全面に対して10秒間散布し、水膜を形成させた。4分間静置後、水膜が残存する面積の割合を目視で評価した。水膜残存割合が高いほど、水膜保持能に優れるものであり、判定基準は、◎;残存率80%以上、○;残存率60%以上80%未満、×;残存率60%未満とし、◎および○を合格とした。
[汚れ除去性の評価]
親水性被膜形成物品の被膜表面の全面に毛染め液(ブローネクリームヘアカラー、花王株式会社製)を塗布し、1時間室温で乾燥させた。被膜面を上向きにして該親水性被膜形成物品を水平に置き、被膜面に対して、上方30cmから一定の水圧でシャワー(約20℃)を60秒間浴びせて、毛染め液の除去を試みた。そして、試験面積に対して毛染め液が除去された面積の割合を除去率とし、目視で評価した。判定基準は、◎;除去率90%以上、○;除去率70%以上90%未満、×;除去率70%未満とし、◎および○を合格とした。
[外観]
親水性被膜形成物品を目視観察して、白濁等の外観上の問題が無いものを合格(○)、白濁等、問題があるものを不合格(×)とした。
[実施例1]
(1)親水性被膜形成物品の被膜を形成するための塗布液の調製
無機微粒子用の原料として、メタノール分散コロイダルシリカ(商品名「MA−ST−L」日産化学工業社製、SiOの含有量:40.7質量%、動的光散乱法により算出した平均粒子径が50nm)、金属酸化物の前駆物質として正珪酸エチル(多摩化学工業社製)と塗布液中で加水分解を促進させる酸触媒となる塩酸を含むオキシ塩化ジルコニウム・8水和物(キシダ化学製)とを使用し、エキネンF−1(キシダ化学社製、主成分;エタノール:イソプロピルアルコール=9:1(質量比))とメチルプロピレングリコール(キシダ化学製)の混合溶媒(エキネンF−1:メチルプロピレングリコール=80:20(質量比))で希釈して、固形分濃度が2.0質量%となるように親水性被膜形成物品の被膜を形成するための塗布液を調製した。
なお、上記塗布液中の固形分の割合は、質量比で、コロイダルシリカ:SiO:ZrO=40:30:30であり、無機微粒子の一次粒子と、金属酸化物の前駆物質を金属酸化物換算したものの質量比は40:60である。上記被膜形成用塗布液の調製条件を表1に示す。
(2)親水性被膜形成物品の製造
透明ガラス基板の裏面に鏡面加工を施したガラス(厚さ5mm)のガラス面側の表面を、予め清浄な状態にして、該表面に、上記の塗布液を、搬送速度8m/minでリバースロールコーターにて塗布したのち、設定温度200℃の乾燥炉内で10分間加熱乾燥させることにより(ガラス到達温度150℃)、鏡表面に、前記コロイダルシリカ(一次粒子)が分散した状態で、厚さが25nmのSiOとZrOからなる金属酸化物の層で保持された親水性被膜形成物品を作製した。そして、最後に親水性の被膜を保護するための保護紙を、親水性の被膜を覆うように親水性被膜形成物品の表面に貼付し、保護膜を有する親水性被膜形成物品とした。なお、上記保護紙の貼付(保護紙貼付工程)は、水(70質量%)と、粘着成分である澱粉化合物(20質量%)と、親水剤である大阪有機化学工業製、製品名「LAMBIC770W」(10質量%)との混合液を親水性被膜形成物品の被膜表面に塗布した後に、その上に保護紙として片艶クラフト紙(日本製紙製、製品名「キャピタルラップ」)を密着させて行った。
保護紙貼付前後の親水性被膜形成物品について、上記した評価方法により評価した。保護紙貼付前の親水性被膜形成物品の評価結果を表2に、保護紙貼付後に該保護紙を剥離した親水性被膜形成物品の評価結果を表3に示す。
[実施例2]
実施例1で作製した被膜形成用塗布液を固形分濃度が0.5質量%となるように溶媒(エキネンF−1)で希釈し、スピンコート法にて500rpmの回転速度で塗布した以外は、実施例1と同様に行った。上記被膜形成用塗布液の調製条件を表1に、保護紙貼付前後の親水性被膜形成物品の評価結果を表2及び表3に示す。
[実施例3〜7]
被膜形成用塗布液の調製条件を表1に記載のとおりに変更した以外は実施例2と同様の方法で親水性被膜形成物品を作製した。被膜形成用塗布液の調製条件を表1に、保護紙貼付前後の親水性被膜形成物品の評価結果を表2及び表3に示す。
[実施例8]
実施例1で作製した塗布液に界面活性剤(商品名「サーフィノール104E」日信化学工業社製、有効成分50質量%)を塗布液中の固形分に対し、有効成分が15質量%となるように添加した。上記以外は、実施例1と同様に被膜形成用塗布液の調製を行い、同様の方法で親水性被膜形成物品を作製した。被膜形成用塗布液の調製条件を表1に、保護紙貼付前後の親水性被膜形成物品の評価結果を表2及び表3に示す。
[実施例9]
(1)親水性被膜形成物品の被膜を形成するための塗布液の調製
無機微粒子用の原料として、メタノール分散コロイダルシリカ(商品名「MA−ST−L」日産化学工業社製、SiOの含有量:40.7質量%、動的光散乱法により算出した平均粒子径が50nm)、シリカ成分となる前駆物質として、正珪酸エチル(多摩化学工業社製)を使用するとともに、アルミナ成分となる前駆物質としてエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(商品名「ALCH」川研ファインケミカル株式会社)を使用し、さらにジルコニア成分となる前駆物質として、塗布液中で加水分解を促進させる酸触媒となる塩酸を含むオキシ塩化ジルコニウム・8水和物(キシダ化学製)を使用し、エキネンF−1(キシダ化学社製、主成分;エタノール:イソプロピルアルコール=9:1(質量比))とメチルプロピレングリコール(キシダ化学製)の混合溶媒(エキネンF−1:メチルプロピレングリコール=80:20(質量比))で希釈して、固形分濃度が2質量%となるように親水性被膜形成物品の被膜を形成するための塗布液を調製した。
なお、上記塗布液中の固形分の割合は、質量比で、コロイダルシリカ:SiO:Al:ZrO=40:7.5:7.5:45であり、無機微粒子の一次粒子と、金属酸化物の前駆物質を金属酸化物換算したものの質量比は40:60である。上記被膜形成用塗布液の調製条件を表1に示す。
(2)親水性被膜形成物品の製造
実施例1と同様の方法で親水性被膜形成物品を作製した。保護紙貼付前後の親水性被膜形成物品の評価結果を表2及び表3に示す。
[実施例10]
実施例1の親水性被膜形成物品の製造において、保護紙貼付工程で、水(55質量%)と、粘着成分である澱粉化合物(20質量%)と、界面活性剤として東邦化学工業製、製品名「ペポールAS−053X」(25質量%)との混合液を親水性被膜形成物品の被膜表面に塗布した以外は、実施例1と同様に行った。上記被膜形成用塗布液の調製条件を表1に、保護紙貼付前後の親水性被膜形成物品の評価結果を表2及び表3に示す。
[比較例1]
実施例2において、微粒子として水分散コロイダルシリカ(商品名「MP−3040」日産化学製、SiOの含有量:40質量%、動的光散乱法により算出した平均粒子径が300nm)を用いたこと以外は同様の操作を行い、親水性被膜形成物品を作製した。得られた親水性被膜形成物品は白濁しており、金属酸化物の層の厚さは20nmであり、一次粒子の平均粒子径に対する金属酸化物の層の厚さの比(金属酸化物の層の厚さ/一次粒子の平均粒子径)は0.08であり、r値が3.5であった。
[比較例2]
実施例2において、微粒子としてイソプロピルアルコール分散コロイダルシリカ(商品名「iPA−ST−S」日産化学製、SiOの含有量:25.5質量%、動的光散乱法により算出した平均粒子径が10〜20nm)を用いたこと以外は同様の操作を行い、親水性被膜形成物品を作製した。得られた親水性被膜形成物品の金属酸化物の層の厚さは20nmであり、一次粒子の平均粒子径に対する金属酸化物の層の厚さの比(金属酸化物の層の厚さ/一次粒子の平均粒子径)は1〜2であり、粒子は金属酸化物の層中で凝集し、かつ完全に埋没してしまった結果、r値は1.0であった。
[比較例3〜5]
被膜形成用塗布液の調製条件を表1に記載のとおりに変更した以外は実施例2と同様の方法で親水性被膜形成物品を作製した。被膜形成用塗布液の調製条件を表1に、親水性被膜形成物品の評価結果を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例1〜10に係る親水性被膜形成物品は、無機微粒子の一次粒子の平均粒子径が30〜250nmの範囲内で、該被膜1μm当たり50〜220個の無機微粒子が存在し、一次粒子の平均粒子径に対する金属酸化物の層の厚さの比が0.24〜0.6の範囲内で、r値も1.3〜1.7の範囲内であり、水接触角、水膜保持能、汚れ除去性及び外観ともに良好であった。また、保護紙を貼付することにより、親水性、汚れ除去性がさらに改善された。
一方、比較例1では、無機微粒子の一次粒子の平均粒子径が300nmと大きすぎて、外観が白濁しており鏡としての機能を果たしていなかった。また、r値も3.5と大きすぎ、その結果、汚れ除去性が劣るものであった。
比較例2では、無機微粒子の一次粒子の平均粒子径が10〜20nmと小さすぎ、被膜中で無機微粒子の一次粒子が凝集して、分散状態が悪かった。また微粒子の埋没によりr値が1.0と小さすぎ、水膜保持能が劣るものであった。
比較例3において、得られた親水性被膜形成物品の被膜1μm当たりの無機微粒子の個数が268個と多すぎ、粒子は隙間なく密に配列していた。そのため、r値も1.8と大きすぎる値となった。その結果、汚れ除去性が劣るものであった。
比較例4において、得られた親水性被膜形成物品の被膜中で無機微粒子は凝集しており、1μm当たりの一次粒子の個数は正確に判定できなかったが220個を超えていると推察された。また、該被膜において、一次粒子の平均粒子径に対する金属酸化物の層の厚さの比(金属酸化物の層の厚さ/一次粒子の平均粒子径)が0.16と小さすぎる値であり、汚れ除去性が劣るものであった。
比較例5において、得られた親水性被膜形成物品の被膜1μm当たりの無機微粒子の個数が20個と少なすぎ、その結果r値が1.1と小さすぎ、水膜保持能が劣るものであった。
なお、上記のように、比較例1〜5については、得られた親水性被膜形成物品に不具合があるので、保護紙貼付による評価を行っていない。

Claims (16)

  1. 基材と、該基材の表面に形成され、分散された無機微粒子が金属酸化物の層で保持されてなる親水性の被膜とを有する親水性被膜形成物品であって、
    前記親水性の被膜中には、走査型電子顕微鏡観察から求めた一次粒子の平均粒子径が30〜250nmの無機微粒子が1μm当たり50〜220個存在しており、
    前記一次粒子の平均粒子径に対する前記金属酸化物の層の厚さの比(金属酸化物の層の厚さ/一次粒子の平均粒子径)が0.24〜0.6であり、
    下記の式(1)で示されるラフネスファクター(r値)が1.3〜1.7であることを特徴とする親水性被膜形成物品。
    r値=親水性の被膜の実際の表面積/親水性の被膜を平坦とみなした場合の表面積・・・(1)
  2. 前記一次粒子の平均粒子径に対する前記金属酸化物の層の厚さの比(金属酸化物の層の厚さ/一次粒子の平均粒子径)が0.3〜0.5である請求項1に記載の親水性被膜形成物品。
  3. 前記r値が1.4〜1.6である請求項1又は2に記載の親水性被膜形成物品。
  4. 前記無機微粒子は、シリカ、アルミナ及びジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる請求項1〜3のいずれかに記載の親水性被膜形成物品。
  5. 前記金属酸化物の層は、シリカ、アルミナ及びジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる請求項1〜4のいずれかに記載の親水性被膜形成物品。
  6. 前記親水性の被膜を保護するための保護紙が、前記親水性の被膜を覆うように親水性被膜形成物品の表面に貼付されている請求項1〜5のいずれかに記載の親水性被膜形成物品。
  7. 前記保護紙は、粘着成分として澱粉化合物を含む請求項6に記載の親水性被膜形成物品。
  8. 前記保護紙は、さらに粘着成分中に親水剤及び界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を含む請求項7に記載の親水性被膜形成物品。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の親水性被膜形成物品の被膜を形成するために用いられる塗布液であって、
    原料として、動的光散乱法により算出した一次粒子の平均粒子径が30〜250nmの無機微粒子、金属酸化物の前駆物質、及び、溶媒を混合することにより調製された塗布液であり、
    前記無機微粒子と、前記金属酸化物の前駆物質を金属酸化物換算したものとの質量比(無機微粒子:金属酸化物)が20:80〜60:40であることを特徴とする塗布液。
  10. 前記無機微粒子は、シリカ、アルミナ及びジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる請求項9に記載の塗布液。
  11. 前記金属酸化物の前駆物質は、R 4−a−Si−X(但し、Rは1価の有機基、Xは炭素数1〜3のアルコキシル基又はハロゲン、aは1〜4の整数)、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、ZrOY(但し、YはCl、NO 又はCHCOO)、及び、R 4−b−Zr−Z(Rはアセチルアセトナート基、Zは炭素数2〜4のアルコキシル基又はハロゲン、bは0〜4の整数)からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項9又は10に記載の塗布液。
  12. さらに酸を含む請求項9〜11のいずれかに記載の塗布液。
  13. 固形分濃度が0.3〜10質量%である請求項9〜12のいずれかに記載の塗布液。
  14. 請求項1〜8のいずれかに記載の親水性被膜形成物品の製造方法であって、
    基材を準備する基材準備工程と、
    請求項9〜13のいずれかに記載の塗布液を準備する塗布液準備工程と、
    前記基材の表面に前記塗布液を塗布して塗膜を形成する塗布工程と、
    前記塗膜を乾燥して親水性の被膜を形成する被膜形成工程とを含むことを特徴とする親水性被膜形成物品の製造方法。
  15. 前記被膜形成工程において、乾燥温度が100〜200℃である請求項14に記載の親水性被膜形成物品の製造方法。
  16. さらに、前記親水性の被膜を保護するための保護紙を、前記親水性の被膜を覆うように親水性被膜形成物品の表面に貼付する保護紙貼付工程を含む請求項14又は請求項15に記載の親水性被膜形成物品の製造方法。
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