JP4687009B2 - 防曇性物品及びその製造方法 - Google Patents
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また、物品表面に対して、特に薄い膜に防曇性能を持たせる場合、防曇性能を発現、維持する目的で、物品表面に親水性が高いスルホン酸基または硫酸基をもつオルガノシランまたは/及びその加水分解物を用いる方法(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)が開示されている。
加熱処理の条件については、溶媒が蒸散し、オルガノシランの反応が好適に起こる条件で、かつ、物品自体に影響がない範囲で有れば、特に限定しない。好ましくは、50℃以上300℃以下の温度範囲で1分以上24時間以下の加熱処理を行う。反応速度が温度に依存することから、加熱温度が低いほど長時間の処理が好ましい。加熱温度が300℃を越える場合、非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄を含むオルガノシランまたは/及びその加水分解物が分解するなどの影響があるため、避けた方が良い。50℃以上150℃以下で1分以上12時間以下の加熱処理であれば、工程を設計する上でなお好ましい。
3−トリメトキシシリルプロパンスルホン酸イソプロピルエステル0.01molを氷酢酸60mlに溶解し、ここに、30%過酸化水素水35gを、液温を25〜30℃に保った状態で1時間かけて滴下した。滴下終了後、25℃で一昼夜攪拌した。この液をFT−NMRにて分析したところ、スルホン酸エステル基が酸化、メトキシ基が加水分解され、トリシロキシプロパンスルホン酸が合成されていることがわかった。また、トリシロキシプロパンスルホン酸溶液の固形分濃度を測定したところ、4wt%であった。
40℃の1.6N水酸化カリウム液に3分浸漬し、純水で充分に洗浄したプロジェクター用光学部品を処理液Aに浸漬し、等速引き上げ装置を用いて10cm/分の引き上げ速度で塗工した。
処理液Aを塗布したプロジェクター用光学部品を熱風循環式恒温槽内で、120℃で1時間保持し、基材との反応を完結させ、防曇プロジェクター用光学部品を得た(試料1)。得られた防曇プロジェクター用光学部品の純水に対する接触角は5°以下であり、白濁等の外観上の不具合は確認されなかった。反射率は処理前と後で変化が見られなかった。
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.01molをエタノール1.19mlに溶解し、ここに、0.2N硫酸を0.238g添加し、30℃で2時間攪拌し、メトキシ基の加水分解を行った。ここに7.6%過酸化水素水77.54gを加え、60℃の環境下で24H攪拌し、チオール基の酸化反応とシラノール基の縮合反応をおこなった。
レンズ材料として、ハードコート膜、反射防止膜(最外層がSiO2膜)の層を有する眼鏡用プラスチックレンズ(「セイコースーパーソブリン」セイコーエプソン株式会社製)を準備した。その眼鏡用プラスチックレンズの表面を洗浄するためにプラズマ処理を行った。プラズマ処理の条件としては、処理圧力:0.1Torr、導入ガス:乾燥air、電極間距離24cm:電源出力:DC1KV、処理時間:15secとした。
処理液Bを塗布した眼鏡用プラスチックレンズを熱風循環式恒温槽内で、60℃で4時間保持し、基材との反応を完結させ、防曇メガネレンズを得た(試料2)。得られた防曇メガネレンズの純水に対する接触角は5°以下であり、白濁等の外観上の不具合は確認されなかった。また、反射率は処理前と後で変化が見られなかった。
ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド0.01mol(4.75g)をt−ブタノール47.5gに溶解し、0.1N硝酸1.7gを加えて25℃で2時間攪拌した。これをFT−NMRにて分析したところ、エトキシ基が加水分解され、ビス[3−(トリシロキシシリル)プロピル]ジスルフィドとなっていることがわかった。
40℃の1.6N水酸化カリウム液に3分浸漬し、純水で充分に洗浄したプロジェクター用光学部品に、スピンコーターを用いて以下の方法で処理液Cを塗工した。プロジェクター用光学部品の中心部付近を真空チャックし、回転数500rpmで回転させた状態で処理液5mlを吐出し、回転数2500rpmで10秒間回転させ、余剰な処理液を振り切った。
処理液Cを塗布したプロジェクター用光学部品を熱風循環式恒温槽内で、120℃で1時間保持し、基材との反応を完結させた。
オゾンガスを酸素ガスで希釈したオゾン含有ガス(オゾン含有量200g/m3)を、90℃で10分間接触させ酸化処理することにより、スルフィド基をスルホン酸基に置換し、防曇プロジェクター用光学部品を得た(試料3)。スルホン酸基の存在の確認は、メチレンブルーによる染色によって行った。メチレンブルーはスルホン酸に対し、イオン的に非常に強く結合するため、スルホン酸基が存在する場合、青く染色されることが知られている。得られた防曇プロジェクター用光学部品の一部を1mMメチレンブルー水溶液(pH4)に25℃にて1分間浸漬したあと、純水を満たした超音波洗浄機(槽容量2.6リットル、発振周波数:45kHz、出力:120W)で3分間洗浄を行ったところ、青色に染色されていることが認められ、スルホン酸基の存在が確認された。得られた防曇プロジェクター用光学部品の純水に対する接触角は5°以下であり、白濁等の外観上の不具合は確認されなかった。反射率は処理前と後で変化が見られなかった。
ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド0.02mol(4.75g)をt−ブタノール40.5gに溶解し、0.1N硝酸1.2gを加えて30℃で5時間攪拌した。これをFT−NMRにて分析したところ、エトキシ基が加水分解され、ビス[3−(トリシロキシシリル)プロピル]ジスルフィドとなっていることを確認した。
このようにして得られた処理液Dを、40℃の1.6N水酸化カリウム液に3分浸漬し、純水で充分に洗浄したプロジェクター用光学部品を準備した。そのプロジェクター用光学部品にスピンコーターを用いて処理液Dを塗工した。スピンコーターを用いた処理液の塗工は、プロジェクター用光学部品の中心部付近を真空チャックし、回転数500rpmで回転させた状態で処理液3mlを吐出し3秒間回転を保持し、さらに回転数2500rpmで10秒間回転させ、余剰な処理液を振り切った。
処理液Dを塗布したプロジェクター用光学部品を熱風循環式恒温槽内で、120℃で1時間保持し、基材との反応を完結させた。
オゾンガスを溶解したオゾン水(オゾン含有量70〜80ppm)を常温で20分間接触させ酸化処理することにより、スルフィド基をスルホン酸基に置換し、防曇プロジェクター用光学部品を得た(試料4)。スルホン酸基の存在の確認は、メチレンブルーによる染色によって行った。メチレンブルーはスルホン酸に対し、イオン的に非常に強く結合するため、スルホン酸基が存在する場合、青く染色されることが知られている。得られた防曇プロジェクター用光学部品の一部を1mMメチレンブルー水溶液(pH4)に25℃にて1分間浸漬したあと、純水を満たした超音波洗浄機(槽容量2.6リットル、発振周波数:45kHz、出力:120W)で3分間洗浄を行ったところ、青色に染色されていることが認められ、スルホン酸基の存在が確認された。得られた防曇プロジェクター用光学部品の純水に対する接触角は5°以下であり、白濁等の外観上の不具合は確認されなかった。反射率は処理前と後で変化が見られなかった。
レンズ材料として、ハードコート膜、反射防止膜(最外層がSiO2膜)の層を有する眼鏡用プラスチックレンズ(「セイコースーパーソブリン」セイコーエプソン株式会社製)を準備した。その眼鏡用プラスチックレンズの表面を洗浄するためにプラズマ処理を行った。プラズマ処理の条件としては、処理圧力:0.1Torr、導入ガス:乾燥air、電極間距離24cm:電源出力:DC1KV、処理時間:15secとした。
処理液Dを塗布した眼鏡用プラスチックレンズを熱風循環式恒温槽内で、60℃で4時間保持し、基材との反応を完結させ、防曇メガネレンズを得た(試料5)。得られた防曇メガネレンズの純水に対する接触角は5°以下であり、白濁等の外観上の不具合は確認されなかった。また、反射率は処理前と後で変化が見られなかった。
処理液D(実施例4参照)と同様に、ビス[3−(トリシロキシシリル)プロピル]ジスルフィド溶液をエタノール/水(50/50vol%)溶媒で10倍に希釈し、これにオゾンガスを酸素ガスで希釈したオゾン含有ガス(オゾン含有量200g/m3)を2.5l/min.で30分間通じ酸化した。この液をFT−NMRにて分析したところ、ジスルフィド基が酸化され、トリシロキシプロパンスルホン酸が合成されていることを確認した。こうして得られたトリシロキシプロパンスルホン酸溶液の固形分濃度を測定したところ2.0%であった。
40℃の1.6N水酸化カリウム液に3分浸漬し、純水で充分に洗浄したプロジェクター用光学部品を準備した。そのプロジェクター用光学部品を処理液Eに浸漬し、等速引き上げ装置を用いて20cm/分の引き上げ速度で塗工した。
処理液Eを塗布したプロジェクター用光学部品を熱風循環式恒温槽内で、120℃で1時間保持し、基材との反応を完結させ、防曇プロジェクター用光学部品を得た(試料6)。得られた防曇プロジェクター用光学部品の純水に対する接触角は5°以下であり、白濁等の外観上の不具合は確認されなかった。反射率は処理前と後で変化が見られなかった。
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン溶液(0.02molをアセトン60mlに溶解)を氷冷した0.4mol/l過酸化マンガン水溶液200ml中に氷冷したまま1時間かけて滴下した。滴下終了後、氷冷からはずし、25℃で2時間攪拌し、未反応の過マンガン酸を二酸化マンガンにした。この反応液から、二酸化マンガンを濾別し、わずかに黄みがかった濾液を得た。この濾液をFT−NMRにて分析したところ、チオール基が酸化、メトキシ基が加水分解され、トリシロキシプロパンスルホン酸カリウムが合成されていることがわかった。また、トリシロキシプロパンスルホン酸カリウム溶液の固形分濃度を測定したところ、3wt%であった。
40℃の1.6N水酸化カリウム液に3分浸漬し、純水で充分に洗浄したカメラ用アイピースを処理液Gに浸漬し、等速引き上げ装置を用いて10cm/分の引き上げ速度で塗工した。
処理液Gを塗布したカメラ用アイピースを熱風循環式恒温槽内で、120℃で1時間保持し、基材との反応を完結させ、防曇カメラ用アイピースを得た(試料7)。得られた防曇カメラ用アイピースの純水に対する接触角は5°以下であり、白濁等の外観上の不具合は確認されなかった。反射率は処理前と後で変化が見られなかった。
実施例7と同様に、トリシロキシプロパンスルホン酸カリウム溶液を作製し、強酸性陽イオン交換樹脂(アンバーライト IR−120Na)100ml中を通薬速度SV4にて通過させた。トリシロキシプロパンスルホン酸カリウム溶液のpHが10.5であったのに対し、イオン交換した溶液はpHが1.3であり、スルホン酸カリウムがスルホン酸にイオン交換され、トリストリシロキシプロパンルホン酸溶液となっていることが確認された。トリシロキシプロパンスルホン酸溶液の固形分濃度を測定したところ、1.5wt%であった。
レンズ材料として、ハードコート膜、反射防止膜(最外層がSiO2膜)の層を有する眼鏡用プラスチックレンズ(「セイコースーパーソブリン」セイコーエプソン株式会社製)を用意し、その表面を洗浄するためにプラズマ処理を行った。プラズマ処理の条件としては、処理圧力:0.1Torr、導入ガス:乾燥air、電極間距離24cm:電源出力:DC1KV、処理時間:15secとした。
処理液Hを塗布したレンズを熱風循環式恒温槽内で、60℃で4時間保持し、基材との反応を完結させ、防曇メガネレンズを得た(試料8)。得られた防曇メガネレンズの純水に対する接触角は5°以下であり、白濁等の外観上の不具合は確認されなかった。反射率は処理前と後で変化が見られなかった。
アセトン60mlに3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.02molを溶解し、これを氷冷した0.4mol/l過マンガン酸カリウム水溶液200ml中に氷冷したまま1時間かけて滴下した。滴下終了後、25℃で2時間攪拌し、未反応の過マンガン酸カリウムを二酸化マンガンとした。この反応液を0℃で一昼夜保管し、二酸化マンガン微粒子を沈降させ、これを濾別した。この濾液をFT−NMRにて分析したところ、メルカプト基が酸化、メトキシ基が加水分解され、トリシロキシプロパンスルホン酸カリウムが合成されていることがわかった。また、トリシロキシプロパンスルホン酸カリウム溶液の固形分濃度を測定したところ、3wt%であった。
40℃の1.6N水酸化カリウム液に3分浸漬し、純水で充分に洗浄した白板ガラスを準備した。その白板ガラスを処理液Iに浸漬し、等速引き上げ装置を用いて20cm/分の引き上げ速度で塗工した。
処理液Iを塗布した白板ガラスを熱風循環式恒温槽内で、120℃で1時間保持し、基材との反応を完結させ、防曇白板ガラスを得た(試料9)。得られた防曇白板ガラスの純水に対する接触角は5°以下であり、白濁等の外観上の不具合は確認されなかった。また、反射率は処理前と後で変化が見られなかった。
トリシロキシプロパンスルホン酸溶液を作製し、これを固形分濃度が0.15wt%となるようエタノールで希釈し、150gの希釈液を得た。ここにN−アミノエチルエタノールアミンを0.3g混合し、40℃で2時間保持し縮合物を生成した後、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム(日光ケミカルズ株式会社製ニッコールOTP−100)を処理液総量に対して100ppm加え、処理液Jとした。
プラズマ処理を60秒間行ったカメラ用アイピースを基材として準備した。プラズマ処理の条件としては、処理圧力:0.1Torr、導入ガス:乾燥air、電極間距離24cm:電源出力:DC1KV、処理時間:60secとした。このプラズマ処理を行ったカメラ用アイピースを処理液Jに浸漬し、等速引き上げ装置を用いて20cm/分の引き上げ速度で塗工した。
処理液Jを塗布したカメラ用アイピースを熱風循環式恒温槽内で、120℃で1時間保持し、基材との反応を完結させ、防曇カメラ用アイピースを得た(試料10)。得られた防曇カメラ用アイピースの純水に対する接触角は5°以下であり、白濁等の外観上の不具合は確認されなかった。反射率は処理前と後で変化が見られなかった。
(処理液の作製)
処理液I(実施例9参照)を調製する際と同様に、トリシロキシプロパンスルホン酸溶液を調製し、これをエタノールにて固形分濃度が0.15wt%となるよう希釈し、150gの希釈液を得た。この希釈直後の液を、処理液Kとした。
40℃の1.6N水酸化カリウム液に3分浸漬し、純水で充分に洗浄した白板ガラスを処理液Kに浸漬し、等速引き上げ装置を用いて20cm/分の引き上げ速度で塗工した。
(処理液の作製)
処理液J(実施例10参照)の調製と同様に、固形分濃度が0.15wt%のトリシロキシプロパンスルホン酸のエタノール溶液にN−アミノエチルエタノールアミンを0.3g混合し、75℃で200時間保持し縮合物を生成、処理液Lとした。
40℃の1.6N水酸化カリウム液に3分浸漬し、純水で充分に洗浄したプロジェクター用光学部品を処理液Jに浸漬し、等速引き上げ装置を用いて20cm/分の引き上げ速度で塗工した。
処理液Jを塗布したプロジェクター用光学部品を熱風循環式恒温槽内で、120℃で1時間保持することにより乾燥硬化を行い、基材との反応を完結させ、防曇プロジェクター用光学部品を得た(試料12)。得られた防曇プロジェクター用光学部品の純水に対する接触角は12°であり、外観上若干の白濁が確認された。片面反射率は処理前5%であったのに対し、8%に増加していた。
(処理液の作製)
処理液D(実施例4参照)でビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィドのかわりに、n−ヘキシルトリエトキシシランを4.96g用いた以外は同様に、加水分解、縮合を行い、エタノールにて固形分濃度が0.15wt%となるよう希釈し、150gの処理液Mを得た。
40℃の1.6N水酸化カリウム液に3分浸漬し、純水で充分に洗浄した白板ガラスに、スピンコーターを用いて以下の方法で塗工した。白板ガラスの中心部付近を真空チャックし、回転数500rpmで回転させた状態で処理液3mlを吐出し3秒間保持し、さらに回転数2500rpmで10秒間回転させ、余剰な処理液を振り切った。
処理液Mを塗布した白板ガラスを熱風循環式恒温槽内で、120℃で1時間保持し、基材との反応を完結させた(試料13)。
(処理液の作製及び官能基をスルホン酸基に転化する工程)
処理液M(比較例3参照)を用いた。
40℃の1.6N水酸化カリウム液に3分浸漬し、純水で充分に洗浄した白板ガラスに、スピンコーターを用いて以下の方法で処理液Mを塗工した。白板ガラスの中心部付近を真空チャックし、回転数500rpmで回転させた状態で処理液3mlを吐出し3秒間回転を保持し、さらに回転数2500rpmで10秒間回転させ、余剰な処理液を振り切った。
処理液Mを塗布した白板ガラスを熱風循環式恒温槽内で、120℃で1時間保持し、基材との反応を完結させた(試料14)。
オゾンガスを酸素ガスで希釈したオゾン含有ガス(オゾン含有量200g/m3)を、90℃で10分間接触させ酸化処理することにより、スルフィド基をスルホン酸基に置換し、防曇白板ガラスを得た。スルホン酸基の存在の確認は、メチレンブルーによる染色によって行った。得られた防曇白板ガラスの一部を1mMメチレンブルー水溶液(pH4)に25℃にて1分間浸漬したあと、純水を満たした超音波洗浄機(槽容量2.6リットル、発振周波数:45kHz、出力:120W)で3分間洗浄を行ったところ、青色に染色されていることが認められ、スルホン酸基の存在が確認された。得られた防曇白板ガラスの純水に対する接触角は7°以下であり、白濁等の外観上の不具合は確認されなかった。反射率は処理前と後で変化が見られなかった。
(処理液の作製)
処理液I(実施例9参照)を用いた。
プラズマ処理を60秒間行ったカメラ用アイピースを基材として準備した。プラズマ処理の条件としては、処理圧力:0.1Torr、導入ガス:乾燥air、電極間距離24cm:電源出力:DC1KV、処理時間:60secとした。このプラズマ処理を行ったカメラ用アイピースを処理液Iに浸漬し、等速引き上げ装置を用いて20cm/分の引き上げ速度で塗工した。
処理液Iを塗布したカメラ用アイピースを熱風循環式恒温槽内で、40℃で1時間保持し、基材との反応を完結させ、防曇カメラ用アイピースを得た(試料15)。得られた防曇カメラ用アイピースの純水に対する接触角は5°以下であり、白濁等の外観上の不具合は確認されなかった。また、反射率は処理前と後で変化が見られなかった。
初期防曇性:20℃に保管したサンプルを、温度40℃、湿度90%に保った環境中に移し、表面の曇り発生を目視観察した。この曇り方を、つぎの3段階に分けて評価した。即ち、○…ぜんぜん曇らないもの。△…2分後に曇りが消える(実用上問題あり)。×…2分たっても曇りが消えない。
防曇耐久性:物品表面を布(木綿)で500gの荷重をかけ1000回摩擦したあと、純水でよく洗浄、乾燥する。これを20℃に保管したサンプルを、温度40℃、湿度90%に保った環境中に移し、表面の曇り発生を目視観察する。この曇り方を、つぎの3段階に分けて評価する。即ち、○…ぜんぜん曇らないもの。△…2分後に曇りが消える(実用上問題あり)。×…2分たっても曇りが消えない。
耐擦傷性:光学物品表面を#0000のスチールウールで1kgの荷重をかけ50回摩擦した。キズのついた度合いを以下の3段階に分けて評価した。即ち、○…まったくキズがつかない。△…1〜10本、細かいキズがつく(実用上問題はない)。×…細かく無数に傷がつく。
水やけ試験:水道水を光学物品表面にたらし、乾燥させた後、布で残留物を拭き取った。拭き取り度合いを以下の3段階に分けて評価した。即ち、○…完全に拭き取れる。△…一部残留物が残る(実用上問題あり)。×…残留物がほとんど残る。
染色試験:スルホン酸基の存在の確認を、メチレンブルーによる染色によって行った。メチレンブルーはスルホン酸に対し、イオン的に非常に強く結合するため、スルホン酸基が存在する場合、青く染色されることが知られている。得られた防曇白板ガラスの一部を1mMメチレンブルー水溶液(pH4)に25℃にて1分間浸漬したあと、純水を満たした超音波洗浄機(槽容量2.6リットル、発振周波数:45kHz、出力:120W)で3分間洗浄を行い、青色に染色されているか確認した。染色性を以下の2段階で評価した。即ち、○…染色されている。×…染色されていない。
Claims (9)
- 基材表面に、非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄を含むオルガノシランまたは/及びその加水分解物の、単体及び前記単体から成る2量体以上の縮合物による防曇性能膜を形成しており、前記2量体以上の縮合物が、オルガノシラン総量の1wt%以上70wt%未満である防曇性物品。
- 前記処理膜に界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1記載の防曇性物品。
- 前記非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄を含むオルガノシランまたは/及びその加水分解物が、スルホン酸エステル基、チオール基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホン酸基から選ばれる1種以上の官能基を含有する請求項1〜2のいずれか1つに記載の防曇性物品。
- 前記基材がレンズである、請求項1〜3のいずれか1つに記載の防曇性物品。
- 非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄を含むオルガノシランまたは/及びその加水分解物の、単体及び前記単体から成る2量体以上の縮合物を親水性有機溶剤に希釈した、前記2量体以上の縮合物が、オルガノシラン総量の1wt%以上70wt%未満である処理液を基材表面に塗布する工程と、
前記処理液が塗布された基材を加熱処理して乾燥硬化する工程と、
を含み、前記加熱処理して乾燥硬化する工程が、50℃以上300℃
以下の温度範囲で、1分以上24時間以下である防曇性物品の製造方法。 - 非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄を含むオルガノシランまたは/及びその加水分解物の、単体及び前記単体から成る2量体以上の縮合物を親水性有機溶剤に希釈した、前記2量体以上の縮合物が、オルガノシラン総量の1wt%以上70wt%未満である処理液に含有されるスルホン酸エステル基、チオール基、スルフィド基、ジスルフィド基から選ばれる1種以上の官能基をスルホン酸基に転化する工程と、
前記官能基をスルホン酸基に転化する工程後の前記処理液を基材表面に塗布する工程と、前記処理液を塗布した基材を加熱処理して乾燥硬化する工程と、
を含み、前記加熱処理して乾燥硬化する工程が、50℃以上300℃以下の温度範囲で、1分以上24時間以下である、防曇性物品の製造方法。 - 非カップリング部位に少なくとも1個以上の硫黄を含むオルガノシランまたは/及びその加水分解物の、単体及び前記単体から成る2量体以上の縮合物を親水性有機溶剤に希釈した、前記2量体以上の縮合物が、オルガノシラン総量の1wt%以上70wt%未満である処理液を基材表面に塗布する工程と、前記処理液を塗布した基材を加熱処理して乾燥硬化する工程と、
非カップリング部位に含有される、スルホン酸エステル基、チオール基、スルフィド基、ジスルフィド基から選ばれる1種以上の官能基をスルホン酸基に転化する工程と、
を含み、前記加熱処理して乾燥硬化する工程が、50℃以上300℃以下の温度範囲で、1分以上24時間以下である、防曇性物品の製造方法。 - 前記処理液を基材表面に塗布する方法がディップコーティング法である、請求項5〜7のいずれか1つに記載の防曇性物品の製造方法。
- 前記処理液を基材表面に塗布する方法がスピンコーティング法である、請求項5〜7のいずれか1つに記載の防曇性物品の製造方法。
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