JP6250538B2 - 電極および電極の製造方法 - Google Patents

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Description

<関連出願>
本願は、米国特許法第119条(e)項に基づき、米国仮特許出願第61/503,819号(発明の名称:「TEMPLATE ELECTRODE STRUCTURES WITH ENHANCED ADHESION CHARACTERISTICS(接着特性が向上したテンプレート電極構造)」、出願日:2011年7月1日)に基づく優先権の恩恵を主張する。当該仮出願の内容はすべて、参照により本願に組み込まれる。
本発明の一実施形態によると、リチウムイオン電池で用いられる電極が提供される。当該電極は、ナノ構造テンプレートと、ナノ構造テンプレートをコーティングしている電気化学活性材料層と、ナノ構造テンプレートと電気化学活性材料層との間に位置する第1の中間層とを備える。一の構成によると、ナノ構造テンプレートはシリサイドナノワイヤを有する。電気化学活性材料層は、シリコン、スズ、ゲルマニウム、炭素、金属水素化物、シリサイド、リン化物および窒化物のうちいずれかであってよい。
電気化学活性材料層の少なくとも一部分はさらに、リチウム化の際の電気化学活性材料層の膨張を抑制する抑制添加剤を含む。抑制添加剤のリチウム容量は、電気化学活性材料層のリチウム容量よりも小さい。例えば、電気化学活性材料層がシリコンの場合、第1の中間層は、チタン、銅、鉄、ニッケルおよびクロムのうち1以上であってよい。一の構成によると、抑制添加剤の濃度は、電気化学活性材料層において変化する。
第1の中間層は、厚みが約2ナノメートルと2マイクロメートルとの間であるとしてよい。第1の中間層は、ナノ構造テンプレートと電気化学活性材料層との間の接着性を容易にし、電極における電気伝導を円滑化し、および/または、ナノ構造テンプレートと電気化学活性材料層との間の応力緩和を促進するとしてよい。第1の中間層は、隣接する電気化学活性材料層および/または隣接するナノ構造テンプレートにおける材料との間で化合物および/または合金を形成することによって、これらの効果を実現するとしてよい。第1の中間層は、ナノ構造テンプレートと電気化学活性材料層との間の電気抵抗を低減することによって、電気伝導を円滑化するとしてよい。一部の構成によると、電気抵抗が低減するのは、中間層(および中間層から形成される化合物または合金)と、隣接するナノ構造テンプレートと、電気化学活性材料層との間の接触抵抗の合計が、中間層が無い場合のナノ構造テンプレートと電気化学活性材料層との間の接触抵抗よりも小さいためである。第1の中間層は、第1の中間層の弾性特性によって、電気化学活性材料層の拡張および収縮によって発生する応力の少なくとも一部を吸収し、全ての応力をナノ構造テンプレートに伝えないので、ナノ構造テンプレートと電気化学活性材料層との間の応力緩和を促進するとしてよい。
本発明の一実施形態によると、当該電極はさらに、第2の中間層でコーティングされている基板を備え、少なくともナノ構造テンプレートは第2の中間層と接触している。第2の中間層も、ナノ構造テンプレートと基板との間の接触を容易にし、電極中の電気伝導を円滑化し、および/または、ナノ構造テンプレートと基板との間の応力緩和を促進するとしてよい。一の構成によると、第2の中間層は第1の中間層と同一である。
本発明の別の実施形態によると、リチウムイオン電池で用いられる別の電極が提供される。当該電極は、金属面を持つ導電性基板と、金属面上に設けられているナノ構造テンプレートと、ナノ構造テンプレートをコーティングしている電気化学活性材料層と、ナノ構造テンプレートと電気化学活性材料層との間の第1の中間層と、導電性基板の金属面とナノ構造テンプレートとの間に設けられている第2の中間層とを備える。金属面の金属は、銅、ニッケル、チタンおよびステンレススチールのうちいずれかを含むとしてよい。導電性基板は、ベース基板と、ベース基板に取着されている薄い金属箔とを有しているので、薄い金属箔が上述した金属面を実現している。薄い金属箔は、ベース基板とは組成が異なるとしてよい。第1の中間層および第2の中間層は、上述したように、接着性、電気伝導および応力緩和のうち1以上を促進するとしてよい。電気化学活性材料層は、シリコン、スズ、ゲルマニウム、炭素、金属水素化物、シリサイド、リン化物および窒化物のうち1以上を含むとしてよい。
一の構成によると、電気化学活性材料層のうち少なくとも一部分はさらに、リチオ化の際の電気化学活性材料層の膨張を抑制する抑制添加剤を含む。抑制添加剤のリチウム容量は、電気化学活性材料層のリチウム容量よりも小さい。抑制添加剤は、酸素、チタン、スズ、ゲルマニウム、ニッケル、銅、炭素、窒素、アルミニウムおよびタングステンのうちいずれであってもよく、濃度が電気化学活性材料層において変化するとしてよい。一の構成によると、電気化学活性材料層において抑制添加剤の濃度は、電気化学活性材料層のうち導電性基板に隣接している領域において最も高い。別の構成によると、電気化学活性材料層のうち外面に隣接している部分においては、抑制添加剤が略ゼロである。
本発明の上述した側面およびその他の側面は、図面を参照しつつ以下でさらに説明する。
特定の実施形態に応じたナノ構造テンプレートと電気化学活性層とを備える電極構造の一例を示す概略図である。
特定の実施形態に応じた、処理前後のニッケル面の表面粗さを示す画像である。 特定の実施形態に応じた、処理前後のニッケル面の表面粗さを示す画像である。 特定の実施形態に応じた、処理前後のニッケル面の表面粗さを示す画像である。
特定の実施形態に応じた、三層基板の一例を示す概略図である。
特定の実施形態に係るシリサイド構造の一例を示す概略図である。 特定の実施形態に係るシリサイド構造の一例を示す概略図である。 特定の実施形態に係るシリサイド構造の一例を示す概略図である。 特定の実施形態に係るシリサイド構造の一例を示す概略図である。 特定の実施形態に係るシリサイド構造の一例を示す概略図である。
特定の実施形態に応じた、基板上に配置されているテンプレート構造上に堆積させた活性材料層の一例を示す概略図である。
特定の実施形態に応じた、活性材料および金属シリサイドテンプレートを含む電気化学活性電極を製造するプロセスを説明するための図である。
特定の実施形態に応じた、図5において図示されているプロセスを構成するさまざまな段階において生成される構造の例を4つ示す概略図である。
シリサイドナノワイヤテンプレートを上方から見た様子を示すSEM画像である。
アモルファスシリコンでコーティングされているシリサイドナノワイヤテンプレートのSEM画像である。
シリコンでコーティングされているナノワイヤを含む活性層を側方から見た様子を示すSEM画像である。
図6Bに図示されている活性層の倍率を上げたSEM画像である。
電極の上面に対して斜めに撮影されたSEM画像であり、ナノワイヤの遊離端および基板固着端を示す。
特定の実施形態に応じた、本明細書で説明する電極を利用する電気化学セルを部分的に組み立てた状態で示す概略平面図である。
特定の実施形態に応じた、本明細書で説明した電極を利用する電気化学セルを部分的に組み立てた状態で示し、当該電気化学セルの電極積層体を示す概略断面図である。
特定の実施形態に係る、2つのセパレータシートと共に電極を巻き回して形成されるセルを示す概略図である。 特定の実施形態に係る、2つのセパレータシートと共に電極を巻き回して形成されるセルを示す概略図である。 特定の実施形態に係る、2つのセパレータシートと共に電極を巻き回して形成されるセルを示す概略図である。
特定の実施形態に係る、複数のセルで構成されるセル積層体を示す概略断面図である。 特定の実施形態に係る、複数のセルで構成されるセル積層体を示す概略斜視図である。
特定の実施形態に応じた、巻き回して生成した円筒形状のセルを示す概略断面図である。
特定の電気化学活性材料、例えば、シリコンから形成される構造は、リチオ化サイクルが進む間に、形状およびサイズが変化することがある。このような電気化学活性材料は、リチオ化においてリチウムを受け取ると膨張し、脱リチオ化においてリチウムを放出すると収縮する。例えば、シリコンは、リチオ化されると、Li4.4Si相に対応する理論上の限界まで400%もの倍率で拡張する。同時に、このような電気化学活性材料を支持するために用いられる導電性基板は通常、形状およびサイズが変わらない。通常利用される基板の例を幾つか挙げると、薄い金属箔がある。このような挙動の違いと、これら2つの電極構成要素同士が概して直接接触することとを考え合わせると、基板と電気化学的活性材料層との間の機械的および電気的な接続性をリチオ化サイクルにおいて維持することが難しい。両者間の界面には、基板の静的特性および電気化学活性材料層の動的特性に起因して、高いレベルの応力が発生する。さらに、この応力は界面に集中する傾向があり、両者を分離させてしまう。このため、電気化学活性材料層は、亀裂が入ったり基板から剥離したりして容量が低減し、剥離した粒子を原因とする内部電気回路のショート等、安全上の問題が発生する場合もある。
導電性基板上にナノ構造テンプレートを形成することで、上記の問題が一部緩和される。ナノ構造テンプレートによって、活性材料を支持する領域として、平坦な基板の対応する領域よりもはるかに大きな表面積が得られる。このため、このような大きい表面積を持つテンプレートに堆積させた活性材料層は、同じ容量を持つ場合には、相対的に小さい平坦な基板上に形成される層よりもはるかに薄くなるとしてよい。非常に薄い活性材料層は、リチオ化サイクルにおいて、発生する機械的応力が小さくなるか、または、より具体的には、テンプレートまたはその他の支持構造との間の界面における機械的応力集中が少なくなると考えられている。
テンプレートは、静的な構成要素であり、リチオ化サイクルにおいてサイズまたは形状は変わらない。同時に、リチオ化において膨張および収縮する材料で形成される活性材料層は、動的な構成要素である。活性材料層が薄くなると応力レベルが低くなるが、テンプレートと活性材料層との間の界面には依然としてある程度の応力が集中している。さらに、基板上にテンプレートを形成することで、テンプレートと基板との間に界面が追加で形成されるが、当該界面も同様に安定化させる必要がある。上述したようなテンプレートを利用する方法では、全体的な電池機能を維持するためには、テンプレートと基板との間が取着されている必要がある。活性材料がリチオ化中に発生させる力によって、特に、活性材料のうち大部分がテンプレートと基板と間の界面の近傍に堆積させられる場合、基板と相対的にテンプレート構造が動かされ(つまり、テンプレート構造が基板から「引き剥がされ」)るとしてよい。
このような界面剥離問題は、特定の技術を利用して界面境界を修正することによって、ならびに/または、界面における応力集中を低減する材料であって、および/もしくは、界面における結合を強化する特定の材料を利用することによって、問題緩和に成功することが分かっている。新技術として提案されたシステムにおいても、同様に静的な電極構成要素と動的な電極構成要素があり、応力は依然として存在するが、特定の実施形態によると、新システムでは上記の電極構成要素は弾性材料によって分離している。同一または他の実施形態によると、一部の界面における応力は、抑制添加剤を活性材料の少なくとも一部分に導入すること、および、界面において準動的な構成要素を効果的に形成することによって低減する。さらに、新たに提案された電極構成要素は、界面上に合金を形成し、これによって結合を強化するとしてよい。
本明細書で開示している新しい材料および技術によると、テンプレート(例えば、ニッケルシリサイドナノ構造)に対する電気化学活性層(例えば、シリコンシェル)の接着特性および取着特性が改善される。リチオ化サイクルの間も界面接着状態を維持することで、応力が発生した界面、および/または、強度の低い界面において材料のアイランド化、剥離、分離を防ぎ、その結果として全体的な電池性能が改善する。応力が過剰なレベルまで蓄積したことで界面において亀裂が発生すると、遊離した電極材料の破片が発生する可能性がある。このような遊離した破片は、SEI(Solid Electrolyte Interphase)層が表面に形成されると、不動態化される。一般的に、遊離した破片は、他の電極構成要素に付着することはなく、付着の可能性はSEI層の形成によってさらに低くなる。遊離した破片は、他の電極構成要素とは電気的に断絶した状態になり、セルの動作には無関係となり、無駄な重量および体積が増加すると同時にセルのエネルギー密度が低くなる。本明細書で開示される新しい技術および材料は、この問題を成功裏に解決する真の改善をもたらす。
本発明の一実施形態によると、テンプレートは、銅、ニッケルおよびチタン等のシリサイド形成材料でコーティングされることで修正され、テンプレートおよび基板との間の界面において合金を生成する活性材料の量を増加させる。これについては以下で、例えば、<テンプレート−活性材料界面における接着層>と題したセクションにおいて、さらに説明する。別の例によると、チタンおよびクロム等の接着促進剤および酸素ゲッタを用いてテンプレートを修正する。これらの材料は、メッキ、蒸着および/またはスパッタリングで形成されるとしてよい。さらに別の例によると、テンプレートは、ニチノールなどのニッケルチタン合金といった超弾性合金を利用して修正される。このような合金は、電気化学活性層を形成する前に、テンプレートにコーティングされるとしてよい。これらの合金は、活性材料層とテンプレートとの間の界面における応力を低減するか、または、少なくとも応力を再配分すると考えられている。さらに、テンプレートを形成するために用いられる基板表面の粗さを高めることによって、接着性を改善し、界面における面内リチオ化応力を抑制することができる。これらの例の幾つかは、他の構成と組み合わせて、一方または両方の界面の安定性を改善するとしてよい。提案されている電極システムは、成長させた後のテンプレートの上にさまざまな材料を堆積させることによって、および/または、テンプレートシード層の下にさまざまな材料を堆積させることによって、試験した。どちらの場合であっても、これらの材料は、他の構成要素(活性材料、テンプレート、および、基板)とは別個の分離した構成要素として残るか、または、1以上の他の構成要素に組み込まれて、明確に画定されない界面、つまり、「混合界面」または「段階的界面」を形成する。さらに、これらの材料の幾つかは、テンプレート層の可撓性および接着性を改善するものと考えられている。上記およびその他の実施形態を、以下でより詳細に説明する。
さまざまな実施形態に対して理解を深めていただくべく、ナノ構造テンプレートと電気化学活性層とを備える電極構造を、図1を参照しつつ、以下で簡単に説明する。電極構造100は、以下で詳述するが、金属箔、金属メッシュまたは任意のその他の適切な基板材料および/または基板構造である導電性基板102を備える。導電性基板102は、他の電極構成要素に対する機械的支持部、および、電流コレクタとして利用されるとしてよい。このため、電流コレクタ基板と呼ばれることも多い。特定の実施形態では、電極は導電性基板を省略して製造し、機械的支持部および電流コレクタの機能は他の構成要素によって提供され得ることに留意されたい。
電極構造100はさらに、導電性基板102に隣接して取着しているナノ構造テンプレート104を備える。ナノ構造テンプレート104は、活性材料を堆積させるための表面積を大きくする。ナノ構造テンプレート104は、電気化学活性材料との間で電流を伝導させ易くし、電気化学活性材料を支持している。電極構造100はさらに、シリコン等の活性材料を少なくとも含む層である電気化学活性材料層106を備えている。電気化学活性材料層106はさらに、他の材料、例えば、リチオ化の際の電気化学活性材料層の膨張の度合いを抑制する抑制添加剤を有するとしてよい。導電性基板102、ナノ構造テンプレート104および電気化学活性材料層106のさまざまな例についてはさらに以下で説明する。
電極構造100では、上述した3つの主要な構成要素の間に少なくとも2つの界面が存在する。導電性基板102とナノ構造テンプレート104との間には、テンプレート−基板界面103と呼ばれる界面がある。ナノ構造テンプレート104と活性材料層106との間には、活性材料−テンプレート界面105と呼ばれる別の界面がある。活性材料層106の一部が導電性基板102に隣接して堆積させられており、活性材料−基板界面と呼ばれるさらに別の界面が形成されているとしてよい。本明細書では、活性材料−基板界面は、特に明記していない限り、テンプレート−基板界面103の一部と見なす。上記の界面は、構成要素同士が分離してしまう問題(例えば、テンプレートからの活性材料の剥離)を防ぐか、または、少なくとも最小限に抑えるように特に構成されているとしてよく、これらの構成のさまざまな例について以下でより詳細に説明する。
<テンプレート−活性材料界面における接着層>
特定の実施形態によると、活性材料−テンプレート界面105に、ナノ構造テンプレート104に対する電気化学活性材料層106の接着性を改善するべく、特別に構成された接着層を設ける。当該接着層の形成は、テンプレートと接着層との間、および/または、活性材料と接着層との間に合金を形成することで実行するとしてよい。他の形態の金属混合物、例えば、化合物を同様に用いられ得る。特定の実施形態では、活性材料としてシリコンを利用し、接着層はシリサイドを形成可能な1以上の材料を含む。さらに、テンプレートは金属シリサイドを含むとしてよい。このテンプレート上に設けられた接着層は、当該金属シリサイドを形成する際に利用する金属を含むとしてよい。合金およびその他の種類の混合材料を利用することで、活性材料−テンプレート界面105の強度が改善され、特定の実施形態によると、この界面において応力集中が低減する。接着層は、厚みが約2ナノメートルと2マイクロメートルとの間であるとしてよい。このような層はさらに、基板、テンプレートおよび活性材料の間の相互作用(例えば、化学反応、合金化)を低減するとしてよい。
一般的に、接着層は、チタン、銅、鉄、ニッケル、タングステン、モリブデン、タンタルおよびクロムのうち1以上の材料を含むとしてよい。銅を除き、これらの材料は概して、シリサイドの形成が容易ではない(つまり、ニッケルほど容易ではない)。それでも、ナノスケールでのシリサイド形成はある程度、これらの金属層の表面において可能である。ナノスケールのシリサイド形成は、その他の処理、例えば、テンプレートの寸法および分布および他のパラメータの制御にも有用であるとしてよい。具体的な例を幾つか挙げると、ニッケルチタン合金がある。
特定の実施形態によると、ニッケルシリサイドを含むナノ構造テンプレートは、活性材料をテンプレート上にコーティングする前に、チタンから成る薄い中間層でコーティングされる。この中間層をアニーリングまたはそれ以外の方法で処理して、ニッケルチタン合金をテンプレートと活性材料層との間の界面に形成するとしてよい。ニッケルおよびチタンが略等しい原子濃度で存在する合金はニチノールである。ニチノールは、超弾性特性を持ち、通常の金属の1−30倍というすぐれた弾性を持つ。このような超弾性特性によって、活性材料層の拡張および収縮に起因する応力の少なくとも一部を吸収することで、応力をテンプレートに伝えることなく、図1の活性材料−テンプレート界面105における応力を緩和するとしてよい。合金化処理は、電気化学活性材料層を堆積させる前に、この堆積処理中に、または、この堆積処理の後に実行するとしてもよい。
<テンプレート−基板界面における接着層>
特定の実施形態によると、基板102に対するナノ構造テンプレート104の接着性を高めるべく、テンプレート−基板界面103に接着層が設けられている。当該接着層は、上述したものと同じ材料で形成されるとしてよく、概して同じ構造を持つとしてよい。例えば、テンプレートと基板との間の界面はニッケル「高濃度」シリサイド相を含むが、テンプレートと活性材料層との間の界面はニッケル「低濃度」シリサイド相を含み、ニッケル「高濃度」シリサイド相よりもニッケルが少なくシリコンが多いとしてよい。
非常に薄い金属箔(例えば、20ミクロン未満)を基板として用いる場合には、特に、箔の金属がシリサイドナノワイヤの形成に消費される場合には、問題があるとしてよい。シリサイドナノワイヤが形成されるにつれて、箔に含まれる金属が消費されて、基板を構成している既に薄い箔がさらに大幅に薄くなる。この結果、最終的に箔は非常に脆弱になり、機械的特性に問題が発生し得る。さらに、金属が消費されると、孔が形成されて、伝導率が低下し得る。特定の実施形態によると、シリサイドナノワイヤの形成には利用されない導電材料から成るベース基板、例えば、銅基板を、シリサイドテンプレートの形成前に、薄いニッケル層でコーティングする。このニッケル層をこの後、ニッケルシリサイドテンプレートを形成する原料として用いて、その下方に位置する銅を保護し、テンプレートと銅基板との間の接着を強化する。ニッケル層の大半はシリサイド形成で消費されるが、銅基板は変化しないままである。例えば、界面合金が銅基板層とニッケル接着層との間に形成されるとしてよい。ニッケル層はさらに、さらに後述するが、ニッケルシリサイドテンプレートとの間に金属結合を形成する。
上述した2種類の接着層(つまり、活性材料−テンプレート界面105およびテンプレート−基板界面103に形成されるものと)は、同一の電極構造で利用可能である。具体的には、一の接着層を基板とテンプレートとの間に配置し、別の接着層をテンプレートと活性材料層との間に配置するとしてよい。さまざまな技術を利用してこれらの接着層を堆積させるとしてよい。例をいくつか挙げると、電気メッキ、蒸着およびスパッタリングがある。本発明の一実施形態によると、接着層は、厚みが約2ナノメートルと2マイクロメートルとの間である。
<基板界面の近傍に存在する活性材料添加剤>
特定の実施形態によると、活性材料層における活性材料の膨張は、特定の抑制添加剤を活性材料層のうち選択された領域に導入することで選択的に抑制される。抑制添加剤は、活性材料層に導入されると、活性材料層の膨張を制限するように特に構成されている。活性材料層のうち選択された領域のみに抑制添加剤を導入する。これらの領域は通常、他の静的な電極構成要素、例えば、テンプレートおよび基板に隣接して配置される。静的な構成要素は形状またはサイズが変化しないので、静的な構成要素に隣接している活性材料層の寸法が大きく変化するのは好ましくない。このため、活性材料層のうち抑制添加剤を含む選択領域では膨張の度合いが抑制されつつ、活性材料層の残りの部分では通常通りリチオ化に応じて膨張する。「抑制添加剤」という用語は、電池サイクルで用いられる電位における活性材料のリチオ化容量(および拡張の度合い)を低減または抑制する材料を意味するために用いられる。
全体的な電極容量が大きく低減することを避けるべく、選択領域は活性材料層の全体積に比べて比較的小さくする。これらの領域における抑制添加剤の量もまた少なくするとしてよい。さらに、活性材料層に含まれる抑制添加剤は段階的に分布しているとしてよく、この構成によって界面での応力集中が緩和され得る。
特定の実施形態によると、抑制添加剤は活性材料層において分布が不均一である。具体的には、抑制添加剤は、活性材料層のうち基板に隣接した部分の濃度が、テンプレート構造の遠位面に隣接した部分、例えば、シリサイドナノワイヤの遊離端の近傍よりも高いとしてよい。この方法は、テンプレート−基板界面における応力を低減し、両者間の機械的および電気的な接続を維持するためのものである。シリコン系活性材料と共に利用され得る抑制添加剤の例は、酸素(例えば、一酸化シリコン)、チタン、スズ、ゲルマニウム、ニッケル、銅、他のシリサイド形成金属、炭素、窒素、アルミニウム、タングステン、および、他のリチウム受容材料であってシリコンよりも容量が低いものがある。一の構成によると、活性材料の一部をリチオ化容量(およびリチオ化における膨張の度合い)が低い他の材料で置換することによって、および/または、活性材料の一部領域を相対的に強固に保持して膨張が発生しないようにすることによって、膨張を抑制するとしてよい。抑制添加剤の濃度は、少なくとも約1原子%であってよく、より具体的には、少なくとも約10原子%(例えば、酸素の場合)であってよい。特定の実施形態によると、酸素濃度は、界面において90%以上と高い濃度であってよく、界面から離れるにしたがって徐々に濃度が低くなるとしてよい。例えば、酸素は、界面から約500nm未満の厚み内に存在するとしてよく、約100nm未満の厚み内に存在するとしてよい。リチオ化可能な他の材料の濃度および総量は上記よりはるかに高く設定するとしてもよく、この場合でも全体的なリチオ化容量に対して大きな影響を与えることはない。同時に、テンプレート構造とは反対側には活性材料が実質的に存在しないとしてよい。
別の実施形態によると、抑制添加剤は、活性材料層とナノ構造テンプレートとの間の界面の近傍における濃度が、活性材料層の他の部分よりも高くなるとしてよい。この構成によって、活性材料−テンプレート界面から離れた位置に応力が維持され、活性材料層をテンプレートに付着させたままとすることができる。
活性材料層に含まれる抑制添加剤の濃度を変化させる構成は、以下でより詳細に説明するが、活性材料層の堆積中にさまざまな前駆体の供給量を変化させることによって、実現するとしてよい。例えば、活性材料層をテンプレートの上に形成する際、初期の段階で酸素を堆積チャンバに導入するとしてよい。こうして、電極構造における酸素濃度は、テンプレートの遊離遠位端の近傍よりも、基板固着端の近傍において高くなる。シリコン酸化物は、シリコンよりも膨張の度合いがはるかに小さいので、酸素を分布させることでテンプレート−基板界面における応力が抑制される。同時に、活性材料の他の部分における酸素の濃度が比較的低いので、全体的な容量は大きく低減しないと考えられる。
<基板またはテンプレート構造の粗面化>
また、界面を形成する表面を円滑ではなく粗くすることで、界面の強度は大幅に改善することが分かった。粗い表面は、表面積が大きくなり、円滑な表面に比べて、テンプレート構造を取着する箇所が多くなる。粗い表面はさらに、リチオ化サイクルにおいて発生した応力が再分配されるように促す効果を持つ。任意の特定の理論に限定されないが、表面を粗くすることでリチオ化サイクル中の活性材料の拡張を吸収する微小な孔が得られると考えられている。表面粗さは、少なくとも約0.5マイクロメートルであってよく、具体的には、少なくとも約2マイクロメートル、例えば、約2マイクロメートルと4マイクロメートルとの間であってよい。粗面化技術としては、化学エッチング、電気化学的溶解、パルスメッキ、スパッタリング、サンドブラスティング、酸化および還元が挙げられるとしてよい。例えば、ニッケル面は、硝酸およびカリウムペルフルオロアルキルスルホン酸を水に溶解させた溶液であるTFBをニッケルエッチャントとして用いて処理することで粗面化されるとしてよい。図2Aは、任意の処理が実行される前の、ニッケル箔の初期表面を示す図である。図2Bは、ニッケルを部分的に化学溶解させた後の、つまり、電流濃度を20−100mA/cm2に設定して硫酸で実行した電界エッチングの後の同一種類の箔を示す図である。図2Cは、一部のニッケルをシリサイドに変化させることによって粗面化した後の、つまり、初期シリサイド堆積を実行した後の同一種類の箔を示す図である。図2Bおよび図2Cに示した表面には略ミクロン単位の粗さが見られるが、図2Aに示す最初の箔ははるかに円滑である。
特定の実施形態によると、処理方法は、ニッケルを含むニッケル層をナノ構造テンプレートの上に堆積させる段階と、ニッケル層を処理して粗面化した表面を形成する段階と、電気化学活性材料層を粗面化した表面に形成する段階とを備え、電気化学活性材料は、リチウムイオン電池のサイクル中にリチウムイオンを取り込むと共に放出するように構成されている。ナノ構造テンプレートは、粗面化したニッケルを利用して、電気化学活性材料との間での電流伝導を促進させるとしてよい。
<シリサイドテンプレートの例>
上述した技術および材料をさらに理解していただくべく、シリサイドテンプレートおよび活性材料コーティングのさまざまな例を以下で説明する。
本明細書ではナノワイヤに言及しつつさまざまな実施形態を説明する。しかし、特に明記されていない限り、本明細書で「ナノワイヤ」という用語は、他の種類のナノ構造、例えば、ナノチューブ、ナノ粒子、ナノスフェア、ナノロッド、ナノウィスカ等を含むものと理解されたい。一般的に、「ナノ構造」という用語は、少なくとも一つの寸法が約1マイクロメートル未満である構造を意味する。この寸法は、例えば、ナノ構造(例えば、シリサイドテンプレートナノワイヤ)の直径、テンプレートの上に形成されるシェルの厚み(例えば、アモルファスシリコン層の厚み)、または、その他の幾つかのナノ構造の寸法であるとしてよい。最終製品であるコーティングされた構造の全体寸法(長さおよび直径)のいずれかがナノスケールである必要はないと理解されたい。例えば、最終製品である構造は、厚みが約500ナノメートルであるナノ層であって、直径が約100ナノメートルで長さが20マイクロメートルであるテンプレートをコーティングしているナノ層を備えるとしてよい。この構造は全体的に直径が約1.1マイクロメートルで長さが20マイクロメートルであるが、総じて、テンプレートおよび活性材料層の寸法から、「ナノ構造」と呼ぶことができる。特定の実施形態では、「コーティングされたナノワイヤ」という用語は、ナノスケールのシェルが長尺状のテンプレート構造の上に配置されている構造を意味する。
ナノワイヤ(ナノ構造の具体例として挙げている)は、アスペクト比が1よりも大きく、通常は少なくとも約2であり、少なくとも約4とすることが多い。具体的な実施形態では、ナノワイヤのアスペクト比は、少なくとも約10であり、少なくとも約100である。ナノワイヤは、寸法のうちの1つが相対的に大きいことを利用して、他の電極構成要素(例えば、導電性基板、他の活性材料構造または導電性添加剤)と接続されるとしてよい。例えば、ナノワイヤは、ナノワイヤの大多数の一端(または他の部分)を基板と接触させて、基板に固着されているとしてよい。ナノワイヤの他の2つの寸法は小さく、隣接した空隙を拡張を吸収するために用いることができるので、リチオ化において(例えば、シリサイドテンプレート上に設けられたナノシェルの拡張によって)ナノワイヤ内に蓄積される内部応力もまた小さくなり、ナノワイヤを破壊することはない(より大きな構造ではこの問題があった)。言い換えると、ナノワイヤの特定の寸法(例えば、全体的な直径および/またはシェルの厚み)は、利用している活性材料の破壊レベルに対応する値未満に抑えられている。ナノワイヤはさらに、テンプレート構造の高さに対応する長尺状の構造を持つことによって、電極面の単位面積当たりの容量を比較的高くできる。これは、アスペクト比が比較的高いこと、および、基板に接続されていることに起因する。
高容量材料を含むナノ構造を堆積させるのは、高価な材料が必要で時間がかかる処理の場合がある。例えば、金触媒を用いるVLS(気相−液相−固相)法による堆積プロセスが挙げられる。このようなプロセスを利用して製造される電池電極は、特定の消費者向け用途、例えば、携帯可能電子機器および電気自動車では、コストが高過ぎて無理である場合がある。さらに、VLS堆積法は通常、結晶構造を生成するが、この結晶構造はアモルファス構造よりも強固であるので、破裂および粉状化の危険性がより高い。最後に、VLS法で堆積させた構造の基板との接続は、2つの異なる材料(例えば、金属基板および高容量活性材料)の間に明確な界面が存在し、一方の材料が大幅に膨張するのに対して他方の材料は膨張しないので、弱い可能性がある。任意の特定の理論に限定されないが、これらの現象に起因して、上記の電極を利用して構築される電池のサイクル性能が劣化する可能性があると考えられている。
一部の金属シリサイドナノ構造は、触媒を利用せずに特定の基板に直接形成し得ることが分かっている。シリサイド構造は、金属シリサイドを構成する金属を含む表面上に形成されるとしてよい。このような原料金属を含有する基板表面は、さまざまな形態で提供されるとしてよく、例えば、原料金属の箔または原料金属の薄層をベース基板の電流コレクタ層上に形成するとしてよい(例えば、ステンレススチールまたは銅箔の表面に薄いニッケル層を形成する)。例をいくつか挙げると、原料金属を含有する表面は、シリサイド形成処理を促進するべくシリサイド構造を形成する前に処理する。例えば、ニッケル含有面を、ニッケルシリサイドナノ構造を形成する前に、酸化するとしてよい。さらに後述するが、このような酸化処理によってニッケルシリサイド形成の核生成点が形成される。概して、酸化処理によって、テンプレート形成中の処理ウィンドウが広くなることが分かっている。
シリサイドナノ構造アレイは、後に高容量活性材料がコーティングされて「複合」電極を形成する、表面積が大きいテンプレートとして機能し得る。本明細書において、「テンプレート」という用語は概して、電池電極において活性材料を支持するために用いられるナノ構造アレイを含む。テンプレートは、例えば、導電性基板に対して、活性材料との間における機械的支持部および/または電気接続部の両方として機能するとしてよい。特定の実施形態によると、テンプレートは、基板に隣接した層として配置され、高さまたは厚みによって特徴づけられるとしてよい。このような構成は、「テンプレート層」と呼ばれるとしてよい。テンプレート層は、他の種類の層、例えば、活性材料層とは区別するべきである。この区別については、以下の説明でさらに指摘する。隣接する基板は、全てではないが一部の実施形態で設けるとしてよい。特定の実施形態によると、活性材料がコーティングされたテンプレートは、セルの他の導電性の構成要素(導電性基板以外)、例えば、電気リード線および電池端子に直接接続されるとしてよい。特定の実施形態によると、テンプレートでは、基板から概して離れる方向に、一部の実施形態では、略同じ方向に、延在している複数のシリサイドナノワイヤで構成される一の層を含むとしてよい。このテンプレートの高さは概して、ナノワイヤの長さの平均に対応する。しかし、他のシリサイド構造構成(例えば、多層シリサイドテンプレート)も可能であると理解されたい。
「テンプレート構造」は概して、テンプレートの一部である個別の構造を意味する。テンプレート構造によってはシリサイド材料を含むが、一の同じテンプレートに含まれる構造の一部は、他の材料(例えば、導電性の添加剤)を含むとしてもよい。テンプレート構造は通常、寸法のうち少なくとも1つ(例えば、直径)がナノスケールである。このため、このようなテンプレート構造は「テンプレートナノ構造」と呼ぶとしてよい。一部の実施形態によると、テンプレートナノ構造は、端部(または他の部分)が基板に固着して基板と一体化しているナノワイヤとして成形されるとしてよい。言い換えると、テンプレートナノ構造は、シリサイドナノワイヤが取着している基板の表面との間の境界または界面が明確に画定されていないとしてもよい。この結果、基板に固着しているナノワイヤは、例えば、VLS法で堆積させた構造と比較すると、基板に対する機械接着性が優れており、電気接触抵抗が低いとしてよい。さらに、多くのシリサイドは、導電性が良好であり、シリサイドナノワイヤ上の活性材料と、例えば、電流コレクタ基板との間に高伝導経路を実現することができる。金属シリサイドテンプレートを含む電極は、米国特許出願第13/039,031号(出願日:2011年3月2日、発明の名称:「TEMPLATE ELECTRODE STRUCTURES FOR DEPOSITING ACTIVE MATERIALS(活性材料を堆積させるためのテンプレート電極構造)」)でも説明されている。当該出願は、金属シリサイドテンプレートを含む電極および関連する製造方法を説明するべく、参照により本願に組み込まれる。
金属シリサイドはさらに、自身が活性材料として機能し、リチオ化が行われるとしてよい。しかし、シリサイドは概して、例えば、シリコンまたはスズよりも、容量がはるかに低い。このため、シリサイドテンプレートは、電極の総容量に占める割合が、比較的小さいとしてよい。この割合は、シリサイド材料よりも活性材料の方がはるかに多い場合に特に、小さいとしてよい。例えば、直径が約10ナノメートルしかないシリサイドナノワイヤを、厚みが少なくとも約50ナノメートルである、より具体的には、厚みが約300ナノメートルと500ナノメートルとの間である活性層を堆積させるためのテンプレートとして利用するとしてよい。本例では、シリサイドの体積に対する活性材料の体積の比率は、少なくとも約400である。このため、上記のような複合電極は、シリサイドテンプレートに対してリチオ化を実質的に実行することなく、利用するとしてよい。シリサイド構造のリチオ化が最小限または実質的に無いとは、シリサイド構造の膨張がほとんどまたは全くないことを意味する。このため、テンプレートとしての一体性が維持でき、基板に対する接続の信頼性も維持される。こういった特徴によって、電極内での機械的および電気的接続が強固且つロバストになるので、サイクル数が多くなってもサイクリング性能が安定化する。さまざまな他のフィーチャ、例えば、基部が厚い円錐形状のシリサイド構造、および、遊離端が厚い円錐形状(またはマッシュルーム形状)の活性材料層を用いて、機械的および電気的接続を維持するとしてよい。これらのフィーチャは通常、基板界面の近傍における膨張を抑制することに重点を置いている。
シリサイドテンプレートを含有するナノワイヤは、活性材料を支持するために利用可能な表面積が大きい。特定の実施形態によると、テンプレートとして利用されるナノワイヤは、直径が約5ナノメートルと100ナノメートルとの間であり、長さが約1マイクロメートルと100マイクロメートルとの間、例えば、長さは10マイクロメートルと100マイクロメートルとの間である。ナノワイヤは、高密度に配置されているとしてよい。密に配置されている複数のテンプレート構造は、一の共通のコーティングシェルを共有して、複数のコアを含む一のシェル構造を実質的に形成するとしてよい。このような場合、テンプレート成長密度は必ずしも、コーティングされたナノ構造の密度に対応しない。特定の実施形態によると、テンプレート構造同士の間隔は、コーティングの厚みよりも小さいとしてもよい。このため、活性材料層の相互接続性が高くなる。このような相互接続性は、基部の近傍で特に顕著であり、塊または一続きの膜状の構造が形成され、良好なサイクル性能の実現を妨げる。一般的に、ナノワイヤの塊が形成されないようにすることが好ましい。ナノワイヤの塊は、「束」または「茂み」のような塊とも呼ばれることがあり、図3Bを参照しつつ後述する。
テンプレートの表面積は通常、通常の基板の表面積よりも数ケタ単位で大きい。テンプレートは、活性材料の薄層でコーティングされ得るので、可逆エネルギー密度が大きい電極が得られる。尚、活性材料層は、テンプレート全体または基板全体に延在する一続きの層であってもよいし、そうでなくてもよい。一部の実施形態によると、活性材料層は、シリサイドテンプレート構造および基板の上方に配置されている複数の活性材料領域である。このような活性材料シェルの一部は、例えば、基板表面上に中間層が設けられている場合、基板と直接接触していなくてもよい。活性材料層のさまざまな例を以下で説明する。活性材料層の厚みは概して、利用している活性材料の特性に基づいて選択され、特定の活性材料についての破壊限界未満に維持されるのが一般的である。
テンプレートをコーティングする活性材料層の厚みは、電池電極の厚みとは区別すべきである。活性材料層の厚みは概してナノスケールであるが、電池電極の厚みは一般的に、少なくともテンプレートの高さに対応し、数十マイクロメートルとなり得る。テンプレート構造(例えば、シリサイドナノワイヤ)は通常、完全に垂直ではないことに留意されたい。このため、テンプレートの高さは、テンプレート構造の長さよりも幾分短くなるとしてよい。一般的に導電性基板も、電極の厚みに寄与する。一例を挙げると、100ナノメートルの厚みのシリコン層を、直径が10ナノメートルで500ナノメートルの間隔を空けて配置されている長さが10マイクロメートルの複数のナノワイヤに堆積させると、はるかに厚みの大きい従来のグラファイト負極と同等のエネルギー密度が実現できる。このように、上述した活性材料構造および電極を用いることで、重量特性および容量特性が改善した電気化学セルを構築可能である。
テンプレートが形成されると、このテンプレートの上に、比較的高速に、高価な触媒を利用しなくても、一の層として活性材料を堆積させることができる。さらに、堆積で形成する活性材料の形状は、より好ましいものにするとしてもよい。例えば、触媒を利用せずにシリコンをニッケルシリサイドナノワイヤの上に堆積させるとアモルファスシリコンが形成されるが、VLS法を用いて金触媒アイランドからシリコンナノワイヤを成長させると結晶質シリコンが形成される。任意の特定の理論に限定されることなく、アモルファスシリコン構造は原子結合が少なく弱いので、リチオ化/脱リチオ化のサイクルが繰り返される際に発生する応力が加えられると、より強固な結晶構造よりも、一体性を維持し易いと考えられている。また、活性材料層を形成するために用いられる堆積技術は、テンプレートの高さに沿った活性材料の分布を制御する(例えば、活性材料構造の遊離端の近傍において、基部の近傍よりも多くの活性材料を堆積させる)ように、そして、堆積させた材料の他の特性、例えば、組成、多孔率等を制御するように、特に調整されているとしてよい。
さらに、ナノワイヤと導電性基板との間の電気接続を保護するためのさまざまな技術を提案してきた。ある技術群によると、コーティングされたナノワイヤ、つまり、ナノスケールのシェルが長尺状のテンプレート構造の上に配置されている構造は、コーティングされたナノワイヤのうち基板に近く基板と接触している領域がコーティングされたナノワイヤの遠位領域よりも薄くなっている「頭重」形状を持つ。一般的に、遠位領域は取着領域よりも実質的に多くの活性材料を含む。別の技術群によると、テンプレートナノワイヤ同士の離間距離は、各ワイヤが基板への固着箇所で比較的等間隔に配置されるように制御される。特定の実施形態によると、テンプレートナノワイヤ同士が固着領域において束状にならないようにする機構を利用する。さらに別の技術群によると、特定の「パッシベーション」技術および/または「パッシベーション」材料を利用して、活性材料の膨張および収縮によって通常発生する基板界面での機械的な歪みおよび応力を最小限に抑える。
頭重形状の例をいくつか挙げると、断面寸法(例えば、直径)が、基板固着端から遊離端にかけて、段階的且つ継続的に増加する形状がある(図4に図示した例と同様)。他の実施形態によると、断面寸法は、段階的に増加するが継続的ではないとしてよい。他の例を挙げると、断面寸法が急激だが継続的に増加する形状がある。さらに、他の例は、断面寸法が継続的ではなく急激に増加する形状を含む。コーティングされたナノワイヤの全体的な形状は、活性材料層の厚みとテンプレート構造のプロフィールとの組み合わせによって決まる。例えば、テンプレート構造は遊離端よりも基部の方が広いとしてよいが、全体的な電極構造では遊離端の方が基板側の端部よりも広くなるように活性材料コーティングの分布(厚み)を制御するとしてよい。
図5は、特定の実施形態に応じた、高容量活性材料および金属シリサイドテンプレートを含む電気化学活性電極を製造するプロセス500を示す図である。当該プロセスは、基板を受け取ることで開始される(処理502)。基板材料は、ロール状、シート状、または、後続の処理のうち1以上で利用される処理装置に供給され得る任意のその他の状態で提供されるとしてよい。基板は通常、電極電流コレクタとして機能し得る材料で形成されるが、そうでなくてもよい(以下で説明する)。適切な装置の例を挙げると、化学気相成長(CVD)装置(例えば、熱CVD装置またはプラズマCVD装置)、物理気相成長(PVD)装置、および、以下で説明する処理を実行するのに適したその他の装置を含む。特定の実施形態によると、上述したプロセスを構成する1以上の処理は、米国特許出願第12/637,727号(発明の名称:「Apparatus for Deposition on Two Sides of the Web(ウェブの両面への堆積を行う装置)」、出願日:2009年12月14日、発明者:Mosso他)に記載されているように、垂直堆積装置で実行される。上記の特許文献の内容はすべて、垂直堆積装置を説明するべく、参照により本願に組み込まれる。
基板は通常、電極の一部である(例えば、電流コレクタ基板)。しかし、基板は、製造時にテンプレートおよび活性材料を支持する一時的な担体としても、および/または、電極製造時に原料(例えば、金属シリサイド形成プロセスにおける金属の原料)としても利用され得る。そして、後に除去するとしてもよい。一方、テンプレートは、電池の電流コレクタに電気的に接続されている。基板は、電極の一部になる場合、(機械的、電気的および電気化学的な特性を考慮して)この電極で利用するのに適した材料を含むのが普通であるとしてよい。例としては、一続きの箔状のシート、多孔性のシート、エキスパンドメタルおよび発泡体が挙げられる。
特定の実施形態によると、基板は、金属シリサイドナノ構造を形成するために消費され得る金属含有原料を含む。適切な金属含有材料の例を以下に挙げる。金属含有原料は、テンプレートおよび活性材料を機械的に支持する機能を持つベース基板層上に支持されている層であってよい。これに代えて、または、これに加えて、ベース基板層は、シリサイドナノ構造(および、場合によっては、活性材料)と、電池の電気端末との間で電流を伝導させる機能を持つとしてよい。
さまざまな中間層を、ベース基板と金属含有原料層との間に設けるとしてよい。例えば、銅および/またはニッケルを含む層を、ベース基板と金属含有原料層との間に設けて、後に形成されるテンプレートとベース基板との間の金属的および電気的な接続を改善するとしてよい。具体的な実施形態によると、導電材料を含むベース基板(例えば、ステンレススチール)は、薄い銅の中間層の後に当該中間層より厚いニッケル層(例えば、約10ナノメートルと3マイクロメートルとの間)でコーティングされる。ニッケル層はこの後、ニッケルシリサイドテンプレートを形成するべく用いられるとしてよい。一方、銅の中間層は、ニッケル層とベース基板との間を接着させ、導通させるための中間物として機能する。
特定の実施形態によると、一の同じ材料が、電流コレクタベース基板およびシリサイドテンプレート用の金属含有原料層の両方として機能する。ベース基板およびシリサイド用金属原料の両方として利用され得る材料の例は、ニッケル、銅およびチタンがある。これらは、箔、多孔性シート、エキスパンドメタル、発泡体等として用意されるとしてよい。他の実施形態によると、ベース基板は、それぞれ別個のサブ層または他の構造を形成する2以上の材料を含む(例えば、薄いニッケル層でコーティングされた銅ベース箔)。場合によっては、金属原料は、それぞれ別個の液滴、粒子としてベース基板中に分布しているとしてもよいし、または、規則的パターンで配置されるとしてもよい。必須ではないが通常、シリサイドを形成するために用いられる金属含有材料は、ベース材料表面上に配置されるので、処理中は処理環境(例えば、シリコン含有前駆体ガス)に直接暴露される。一般的に、一の同一構造内における2つの材料の分布は、均一であってもよいし(極端な場合には、合金または化合物)、不均一であってもよい(例えば、表面の近傍における金属原料の濃度の方が高くなるように段階的に分布)。
ベース材料の例としては、銅、金属酸化物でコーティングされた銅、ステンレススチール、チタン、アルミニウム、ニッケル、クロム、タングステン、金属窒化物、金属炭化物、炭素、カーボンファイバ、グラファイト、グラフェン、カーボンメッシュ、導電ポリマーまたは上記の組み合わせ(多層構造を含む)が挙げられる。ベース材料は、箔、膜、メッシュ、発泡体、積層体、ワイヤ、チューブ、粒子、多層構造、または、任意のその他の適切な構成として形成されるとしてよい。特定の実施形態によると、ベース材料は、厚みが約1マイクロメートルと50マイクロメートルとの間であるか、または、特に、約5マイクロメートルと30マイクロメートルとの間である金属箔である。
金属含有原料の例には、ニッケル、コバルト、銅、銀、クロム、チタン、鉄、亜鉛、アルミニウム、スズおよびこれらの金属の組み合わせが含まれ、ニッケル/リン、ニッケル/タングステン、ニッケル/クロム、ニッケル/コバルト、ニッケル/鉄、ニッケル/チタン、および、ニッケル/モリブデンといった合金が含まれる。上述したように、特定の実施形態によると、金属含有原料は、ベース基板の上部に層を形成する。このような原料層は、厚みが少なくとも約10nmであって、具体的には、少なくとも約100nmであるとしてよい。特定の実施形態によると、原料層の厚みは、最大で約3マイクロメートルになるとしてもよい。他の実施形態によると、金属含有原料は、ベース基板の表面において粒子またはその他の離散構造を形成する。このような離散構造は、少なくとも約10ナノメートルの厚みで設けられるとしてよく、より具体的には、約10ナノメートルと50マイクロメートルとの間の厚みになるとしてよい。一般的には、基板は、基板表面の近傍または基板表面上にシリサイドナノ構造を形成するために十分な量の金属含有原料を含むべきである。例えば、銅ベース基板の上に設けられた厚みが20ナノメートルのニッケル含有原料層は、長さが20マイクロメートルであるニッケルシリサイドナノワイヤの高密度マット部材を生成するのに十分であるとしてよい。
特定の実施形態によると、PVD法またはいくつかの他の堆積方法を利用してマスキング材料の薄層が形成される。この層の厚みは、約0.1ナノメートルと1.5ナノメートルとの間であるとしてよい。このような厚みを持つ特定の材料は、一続きの層を形成せず、微小なそれぞれ分離したアイランドまたは塊の一群を形成することが分かっている。具体的には、マスキング材料は、微小なアイランドとして堆積させられて、ベース基板をマスキングするために用いられ、マスクされた領域には金属が堆積しないようにするとしてよい。これに代えて、または、これに加えて、マスキング材料は、テンプレート成長をマスキングするべく、金属含有原料層の上方に堆積させるとしてよい。
特定の実施形態によると、金属含有原料層は、堆積中にパターニングされるとしてよい。例えば、マスキング層(例えば、メッシュ)は、ベース基板の上方に配置されるとしてよく、金属含有原料層はこの組み合わせの上方に形成される。ベース基板のうち被覆された部分は、金属原料を実質的に含んでおらず、後の処理においてシリサイド構造を形成しない。基板表面の上方に配置された金属メッシュを用いて試験を実施した。この後、メッシュ内の開口スペースを通してチタンを堆積させて、チタンアイランドを形成した。これらのアイランドは、形成領域におけるシリサイド形成を阻止し、テンプレートの成長をパターニングすることになる。ピッチが小さい特別なメッシュは、例えば、マスキング粒子の所望の分布を実現するナノインプリントリソグラフィーまたは自己組織化技術を用いて製造してよい。
基板は、後に形成されるシリサイドナノ構造の接着性を高めるべく、処理中およびセルサイクル中にベース基板を保護するべく、テンプレート構造の核生成を促進するべく、基板界面(の近傍または)上における活性材料の堆積を阻止するべく、シリサイド形成において追加でシリコンを供給するべく、または、他の機能を実現するべく、用いられる他の材料を含むとしてよい。例えば、ベース基板は、このような機能を実現するための中間層を含むとしてよい。図3Aは、特定の実施形態に応じた三層基板300を示す概略図である。ベース基板302、金属含有原料層306、および、中間層304を備える。特定の実施形態によると(不図示)、他にも追加で中間層が設けられるとしてよい。中間層の他の例および詳細な説明については、米国特許出願第12/944,576号(発明者:DelHagen他、発明の名称:「INTERMEDIATE LAYERS FOR ELECTRODE FABRICATION(電極を製造するための中間層)、出願日:2010年11月11日)に記載されている。当該特許出願の内容は全て、中間層を説明することを目的として、参照により本願に組み込まれている。更に他の材料および層は、基板の一部として設けられるとしてよい。例えば、金属含有層は金属酸化物層または保護層を含むとしてよい。
図5に戻ると、処理502で受け取った基板は、マスキング層を持つとしてよい。当該マスキング層は、金属含有原料層の上方に配置されている。マスキング層は、金属含有原料層の一部分を被覆しているが、所定の微小な互いに離間している複数の領域を露出させている。処理506においてシリサイド構造を形成している間、露出している領域の方が、シリコン含有前駆体(例えば、シラン)と反応し易いので、図3Bに示すようなシリサイド構造の塊ではなく、図3Cに図示しているような離散した複数のシリサイド構造が形成される。特に、図3Bは、シリサイド構造314の塊を示す概略図である。このシリサイド構造314は、シリサイド構造の基部の近傍で(つまり、基板312の近傍で)重複している活性材料層316でコーティングされており、活性材料の大きな塊を形成している。この塊の全体的な寸法(または、基板界面の近傍における活性材料の厚み)は、特定の活性材料についてはしきい値となる限界値を大きく超えているとしてよく、電池サイクル中に界面近傍において破裂および高い応力が発生する。活性材料がシリサイド構造からはがれるだけでなく、シリサイド構造全体が基板から分離してしまう可能性があり、動作不能に陥ってしまう。
マスキング層を堆積させることで、このような塊が形成されないように阻止し得る。図3Cは、特定の実施形態に応じた、ベース基板322の上方に配置されているマスキング層325を用いて形成される複数の分離したシリサイド構造324を示す概略図である。マスキング層325は、シリサイド構造324が形成される箇所を決定する開口を持つ。このため、マスキング層325が画定している核生成箇所に基づき、分離して分散しているシリサイド構造324を形成する。テンプレート構造の分布は、マスキング層325によって決まり、ランダムであってもよいし、または、パターンを持つとしてもよい。マスキング層の例としては、金属含有原料層の上方にメッシュ構造を形成するランダムに配向された複数のナノワイヤ、および、自己組織化型の亜鉛酸化物粒子およびシリコン酸化物粒子が挙げられる。マスキング層または金属含有原料層からアイランドを形成する技術をいくつか挙げると、蒸着、傾斜堆積、自己組織化、リソグラフィーパターニング等が挙げられる。
図3Dは、活性材料層326でコーティングされている複数の分離したシリサイド構造324(図3Cで図示し、上記で説明したものと同様のもの)を示す概略図である。活性材料層326は、シリサイド構造324の基部の近傍で重複しておらず、塊は形成されていない。このように、基板界面であっても、活性材料層326が破損しきい値内であるので、例えば、図3Bに図示した構造に比べると機械的応力および粉状化が抑制される。
マスキング層は、電極の一部として残るとしてもよいし、または、取り除かれるとしてもよい。金属含有原料層をパターニングするために用いられるマスキング層は、シリサイド構造の形成の前に機械的に取り除かれるとしてもよい。金属含有原料層の一部を被覆するために用いられるマスキング層は、シリサイド構造を形成した後に化学的に取り除かれるとしてもよい(例えば、シリサイド構造を実質的に乱すことなく、マスキング層を選択的にエッチングする)。具体例を挙げると、酸性エッチング、加熱、および、気化がある。他の実施形態によると、マスキング層は、電極の一部として残り、例えば、活性材料が直接基板界面に堆積しないように阻止するために用いられるとしてよい。これらの例の一部は、図3Eおよび図3Fを参照しつつ、更に後述する。
複数の基板材料は互いに織り交ぜたように混合されている(例えば、織物構造、フェルト構造、メッシュ構造または同等の構造で中間層の粒子の間に金属含有原料層の粒子が位置している)ことに留意されたい。さらに、複数の別箇の材料は、処理502においてプロセスに導入される基板の一部として共に提供され得るか、または、1以上のこのような材料は、後のプロセス処理において基板に堆積させる等の方法で一体化させ得ることに留意されたい。
図5に戻り、プロセス500は、任意で基板表面を処理する工程に進むとしてよい(処理504)。この表面処理を用いて、シリサイド形成を円滑化する等の目的を実現するべく、基板表面を修正するとしてよい。このような処理の例には、金属シリサイド形成で用いられる材料を導入する処理(例えば、シリコンの原料、金属の原料、触媒等)、基板表面を化学的に修正する処理(例えば、酸化物、窒化物、炭化物、初期シリサイド構造を形成する処理、および、さまざまな酸化剤および還元剤での表面処理)、および、表面を物理的に修正する処理(例えば、レーザアブレーション、ローレット切り、電界研磨(例えば、表面粗さを大きくするための電気メッキおよび逆電気メッキ等)によって表面粗さを大きくする処理)、粒子配向を変化させる処理、アニーリング、酸素ベースのプラズマで表面処理して酸化物を形成する処理、アルゴンベースのプラズマで表面処理して粗さを変化させる処理(例えば、スパッタリングによる円錐形成)、高周波処理、および、イオン注入が挙げられる。これらの技術の一部は、表面上のさまざまな材料(例えば、金属原料)の量、および、これらの材料の物理的特性(例えば、表面粗さ)を制御するために用いられ得ることに留意されたい。例えば、還元剤または酸化剤で基板表面を化学的に修正する処理は、シリサイド構造の核生成を促進するために特に有用な規模で粗さを修正するために用いられ得る。アセトン内での高周波処理の後にメタノールおよびイソプロパノールでリンスすることで、エッチング前に金属箔を洗浄するとしてよい。他の技術としては、酸素プラズマエッチングが挙げられる。さらに、表面をドーパントで処理して、ドーパントがシリコン反応金属内に拡散すれば、シリサイド構造の導電性が高まるとしてよい。
特定の実施形態によると、ニッケルコーティングまたは他のシリサイド原料を表面に含む基板は、最初に酸化させる。上述したように、基板の大半は、シリサイド原料で形成されているとしてよい。具体例としてはニッケル箔が挙げられる。ニッケル層をベース基板の上に用いる場合、当該ニッケルコーティングの厚みは、以下で示すようなプロセス条件について約50ナノメートルと300ナノメートルとの間になるとしてよい。酸化/表面処理を実施中の基板の温度は、約0.1分と10分との間の時間にわたって、酸素または他の適切な酸化剤の存在下で、約摂氏150度と摂氏500度との間に維持されるとしてよい。より具体的な実施形態では、酸化処理は、空気の存在下で、約50Torrに維持されたチャンバ内で約1分間にわたって実行され、基板は約摂氏300度で維持される。酸化/表面処理は、約1分と2分との間の時間にわたって進行するとしてよい。特定の実施形態によると、酸化/表面処理の処理104は特に実行されず、テンプレート構造を形成する処理106に直接進む。シリサイドテンプレートの形成をより良好に制御するべく、特に制御された酸化処理を実行することが有用である。具体的には、ある程度の酸化処理がニッケルシリサイド構造の形成に有用であることが分かっている。任意の特定の理論に限定されないが、酸化処理中に、円滑なニッケル表面が粗いニッケル酸化物表面に変化すると考えられている。粗い酸化物のエッジは、後にシリサイドを形成する際に核生成箇所となるとしてよい。さらに、この酸化物は、酸化物コーティングの孔でのみ核生成がなされるようにするマスクとして機能するとしてよい。これによって、シリサイドナノワイヤの分布をより均一化し、塊状にならないように阻止することができるとしてよい(上記を参照のこと)。
酸化処理された表面の別の機能として、原料層から反応箇所への金属の拡散速度の制御が挙げられるとしてよい。酸化処理が過剰になるとシリサイド形成に悪影響をもたらすことが分かっている。例えば、約200sccmの乾燥空気の流れとアルゴンとを約1−5%で混合させて、約30秒にわたって摂氏400度で酸化処理を実行するために用いる場合、結果として得られる表面は過剰に酸化処理されることになると考えられる。複数の核生成箇所を持つ粗い面を形成する代わりに、過剰に酸化された結果として得られる表面は、金色になっており、シリサイドナノワイヤの核生成箇所はほとんど発生しない。同様に、酸化処理が不十分な表面では、核生成箇所が十分でないとしてよい。このため、酸化条件は、金属含有原料毎、および、当該材料を含む構造毎に、最適化されるとしてよい。
プロセス500は、シリサイドナノ構造の形成(ブロック506)に進むとしてよい。特定の実施形態によると、基板をCVDチャンバに入れる。他の処理、例えば、表面処理104および/または活性材料形成処理508も同じチャンバ内で実施され得ることに留意されたい。この後、シリコン含有前駆体、例えば、シランを、例えば、約10sccmと300sccmとの間のレートでチャンバ内に流入させる。このような流量の値は、直径が約4インチ(約10センチメートル)までの基板を処理可能なSurface Technology Systems社(英国)製のSTS MESC Multiplex CVDシステムについて設定されるものである。しかし、当業者であれば他のCVDシステムも利用し得るものと理解されたい。キャリアガス内のシランの体積濃度は、約10%未満であるとしてよく、具体的には約5%未満であるとしてよく、さらに約1%未満であるとしてよい。特定の実施形態によると、シラン濃度は約1%である。処理ガスはさらに、1以上のキャリアガス、例えば、アルゴン、窒素、ヘリウム、水素、酸素(通常は、シランと共には用いない)、二酸化炭素およびメタンを含むとしてよい。シリサイドを堆積させている間、基板の温度は約摂氏350度と摂氏500度との間、より具体的には約摂氏385度と摂氏450度との間に維持するとしてよい。チャンバ圧は、約0.1Torrと大気圧との間であってよく、より具体的には、約50Torrと300Torrとの間であってよい。堆積を行う時間は、約1分と60分との間の時間であるとしてよく、より具体的には、約5分と15分との間の時間であるとしてよい。
特定の実施形態によると、プロセス条件は一の堆積サイクル中に変化するとしてよい。例えば、シランは、初期はシリサイドナノ構造の核生成を進めるべく比較的高濃度で導入されるとしてよい。この後(例えば、シリサイド堆積処理の終了に近づくにつれて)、ナノワイヤの固着端から成長中の先端に向けた金属拡散によって更なるナノワイヤ成長が制限されると、シラン濃度を低減するとしてよい。さらに、基板温度は、初期は低温に維持されるとしてよく、後にこのような金属拡散を進めるべく昇温させるとしてよい。全体的に見て、プロセス条件は、テンプレート構造の長さ、直径、形状、配向等の物理的特性を制御するように変化するとしてよい。さらに、テンプレート構造の形態的特性、例えば、化学量論相、結晶相/アモルファス相、および、テンプレートの高さ方向の材料の分布は、プロセス条件を変化させることで制御するとしてよい。考慮すべき他のプロセス条件としては、ガス混合物の組成、流量、流動パターン、チャンバ圧、基板温度および電界特性が挙げられる。特定の実施形態によると、プロセス条件(例えば、温度、圧力およびシラン濃度)は、シリサイド構造の核が生成されれば、アモルファスシリコンの側壁への堆積またはシリコン粒子のシリサイド構造への堆積を進めるべく調整される。変化させることが可能な条件には、処理温度、圧力およびシラン濃度が挙げられるとしてよい。
選択されるプロセス条件は概して、金属含有原料、および、所望の構造のサイズ、形態および組成によって決まる。例えば、上述した堆積条件は、平均で、長さが約0.5マイクロメートルと50マイクロメートルとの間であり、直径が約10ナノメートルと100ナノメートルとの間であるニッケルシリサイドナノワイヤを成長させるために用いることができる。厚みが少なくとも約20ナノメートルであるニッケル原料層は、このようなニッケルシリサイド構造を成長させるために十分であるとしてよい。
一般的に、シリサイドナノワイヤは、(活性材料を堆積させる前の)直径が約5ナノメートルと100ナノメートルとの間であるか、より具体的には、約10ナノメートルと50ナノメートルとの間であるとしてよい。さらに、ナノワイヤは、長さが約1マイクロメートルと100マイクロメートルとの間であるとしてよく、より具体的には、長さが約5マイクロメートルと50マイクロメートルとの間であり、約12マイクロメートルと30マイクロメートルとの間であってもよい。任意の特定の理論に限定されることなく、シリサイドナノワイヤの長さは、基板から成長中の先端への金属の拡散によって制限されると考えられている。上述した長さの場合に活性材料の堆積について適切な表面積が得られるが、特定の技術を用いてシリサイドナノワイヤをさらに長くするとしてよい。特定の実施形態によると、シリコン含有材料を含む中間層が、ベース基板と金属含有原料層との間に設けられる。シリコン中間層は、成長中のナノ構造の基部の近傍において別の(または追加の)シリコン原料として機能することができ、核生成および成長のプロセスが促進されるとしてよい。シリコンウェハ上に堆積したニッケルから成長したシリサイド構造は、核生成がより均一化され成長がより高速化することが分かっている。特定の実施形態によると、中間層は、シリコンが金属と反応すると共に結果物であるシリサイドの導電性を高める際に拡散する金属ドーパントを含む。当該ドーパントは、特に比較的少ない量で供給される場合、堆積または、場合によっては、注入することができる。場合によっては、ニッケルシリサイドをドープするために窒素を用いる。
別の実施形態によると、初期シリサイドテンプレートを形成した後、追加の金属含有原料を導入する(例えば、初期テンプレートにスパッタリングする)としてよく、シリサイド形成処理506を繰り返す。言い換えると、初期シリサイドテンプレートは、その上方に堆積させる別のシリサイドテンプレートのための新しい基板になる。この繰り返しである。この例では、別のテンプレートを堆積させることで、初期テンプレート内の架橋結合が追加され得るので、機械的および電気的な一体性が高まる。テンプレートおよび電極の更なる例および詳細な内容は、米国特許出願第13/114,413号(発明の名称:「MULTIDIMENSIONAL ELECTROCHEMICALLY ACTIVE STRUCTURES FOR BATTERY ELECTRODE(電池電極用の多次元電気化学的活性構造)」、出願日:2011年5月24日)、および、米国特許出願第13/277,821号(発明の名称:「BATTERY ELECTRODE STRUCTURES FOR HIGH MASS LOADINGS OF HIGH CAPACITY ACTIVE MATERIALS(高容量活性材料の高質量負荷のための電池電極構造)」、出願日:2011年10月20日)に記載されている。両特許文献の内容は全て、テンプレートおよび電極を説明することを目的として、参照により本願に組み込まれる。
シリサイドナノワイヤは通常、基板上に設けられている金属含有材料から成長するので、基板に固着している。基板固着構造の詳細な内容については、米国特許出願第12/437,529号に説明されている(発明の名称:「ELECTRODE INCLUDING NANOSTRUCTURES FOR RECHARGEABLE CELLS(充電式電池用のナノ構造を含む電極)」、出願日:2009年5月7日)。当該出願の内容は全て、基板固着構造を説明することを目的として参照により本願に組み込まれている。しかし、この特許出願で説明しているVLS法で成長させたナノワイヤに比べると、本明細書で説明されているシリサイドナノワイヤは、基板との間に構築する機械的結合がより強く、接触抵抗が低いとしてよい。この結果が得られるのは材料組成が変更可能で基板固着端の方が広くなっているためと考えられている。
シリサイドナノワイヤは通常、本明細書で説明する方法で製造される場合、長さ方向に材料組成が変化することが分かった。ナノワイヤは、遊離(遠位)端の近傍よりも、基板固着端の近傍における金属濃度が高く、より多くの金属が含まれている。金属の種類によっては、このように変化させることで、シリサイドの形態相および化学量論相が変化するとしてもよい。例えば、ニッケルシリサイドナノワイヤは、ニッケルシリサイドの1つ、2つまたは3つ全ての相を含むとしてよい(つまり、NiSi、NiSiおよびNiSi)。ニッケル含有率が高い相ほどニッケル金属との間に形成する結合が強くなると考えられている。このため、このように変化させることで、ニッケルシリサイドナノワイヤと基板との接着性を強化すると同時に、接触抵抗が低減するとしてよい。金属含有率を変化させることでさらに、ナノワイヤの長さに沿った物理的特性を変化させるとしてよい。
特定の実施形態によると、基板固着端は、ニッケル含有率が高く、相対的に幅広で表面粗さが高い。このため、基板との接触面積が大きくなり、接着性が改善され、接触抵抗が低くなる。基板とナノワイヤとの間に強力な結合が形成されるころにより、特にセルサイクル中に、ナノワイヤに堆積している活性材料が膨張および収縮し、ナノワイヤをさまざまな方向に押圧しても、この接着状態が維持し易くなる。最後に、特定の実施形態によると、シリサイドナノワイヤでは電池サイクル時にリチオ化が発生しない。
円錐形状のナノワイヤは、上述したように、ナノワイヤの基板固着端の近傍において金属が多くなることで形成されるとしてよい。特定の実施形態によると、基板固着端の近傍における平均直径は、遊離端の近傍における平均直径の少なくとも約2倍である(ナノワイヤの各端で断面積を比較、各断面は、ナノワイヤ端からナノワイヤの全長の約10%にあたる距離だけ離れた箇所の断面)。言い換えると、基部同士が基板の表面において互いに接触するのに十分な大きさを持っていても、先端は、遊離端であり基部から先端に向かうにつれて構造に沿って直径が小さくなるので離れている。より具体的な実施形態によると、これら2箇所の直径の比率は、少なくとも約4であり、より具体的には、少なくとも約10である(基部の方が広い円錐となっている)。
シリサイドナノワイヤは、例えば、一のナノワイヤの経路が成長中に他のナノワイヤと交差すると、他のナノワイヤと互いに接続されるとしてよい。さらに、シリサイドナノワイヤを堆積させた後で架橋結合がさらに形成されるとしてよい。例えば、上述したように、最初に形成したテンプレートの上方に別のテンプレートを堆積させるとしてよい。導電性添加剤(例えば、カーボンブラック、金属粒子)をナノワイヤ間に注入するとしてよい。ナノワイヤは、例えば、シリサイドテンプレートを圧迫および/またはアニーリングすることによって、ナノワイヤ間により多くの接触点を形成するべく堆積後に成形し直すとしてよい。最後に、活性材料の堆積中にさらに相互に接続するとしてよい。例えば、2つの近傍に配置されたシリサイドナノワイヤを活性材料でコーティングして、これらの隣接するナノワイヤ上に形成する活性材料層を重複させるとしてよい。特定の実施形態によると、テンプレートの形成は、圧力が約50Torrに維持されている処理チャンバ内で実行される。処理ガスは、シランの含有率が約1%である。基板は、約摂氏450度に維持される。
本明細書ではナノワイヤを含むテンプレートについて一般的に言及しているが、テンプレートは他の種類の構造を含み得ることに留意されたい。さらに、ワイヤベースのテンプレートが含むワイヤは、平均直径が1マイクロメートルを超えるとしてよい。このようなテンプレートは、高容量活性材料の層を堆積させて、この層自体がテンプレートの寸法に関係なくナノスケールの寸法を持つように利用されるとしてよい。しかし、ナノワイヤ等のナノ構造から形成されるテンプレートは一般的に、高容量活性材料の堆積について、基板の単位面積当たりの表面積が大きくなる。
テンプレートの形成後且つ活性材料の堆積前、テンプレートをさらに処理して、テンプレートのうち特定の領域をマスクして、マスクされた領域への活性材料の堆積を阻止または最小限に抑えるとしてよい。これは、上述したように、基板界面の近傍における活性材料の膨張および収縮等の機械歪を最小限に抑えて、シリサイドテンプレートと基板との間の機械的および電気的な結合を維持する上で有用である。このように、基板界面の近傍における活性材料の堆積は通常、望ましくなく、少なくとも、比較的望ましくない。堆積中に活性材料層の厚みおよび/または組成を変化させる技術を幾つか、活性材料形成処理508に関連付けて後述する。さらに、テンプレートの形成後に、基板界面にさらに材料を堆積させるとしてよい。このような材料は、上述したテンプレートの形成前に設けられる中間層に加えて、または、中間層に代えて堆積させ得ることに留意されたい。2種類の材料を区別するべく、テンプレート形成後に堆積させた材料は、特定の実施形態によると、基板表面を不動態化して基板表面での活性材料の形成を抑制するために用いられるので、「パッシベーション材料」と呼ぶ。
図3Eは、パッシベーション材料335を含む、未コーティングのシリサイド構造334を示す概略図である。基板332の近傍においてパッシベーション材料335がシリサイド構造334の基板固着端をコーティングしているが、遊離端はコーティングされないままである。パッシベーション材料335は、分離処理または活性材料堆積処理の初期において堆積させるとしてよい。例えば、自己組織化型の亜鉛酸化物およびシリコン酸化物の粒子がテンプレート内に注入されるとしてよい。テンプレート内のパッシベーション材料335の分布は、電着によって得られるとしてよい。
図3Fは、パッシベーション材料335がシリサイド構造334の基部の近傍において活性材料336の堆積を阻止するように活性材料336でコーティングされているシリサイド構造334を示す概略図である。このように、電極のサイクル中は基板332における機械歪みはほとんどまたは全く無く、シリサイド構造334と基板332との間の接続はよりロバストになる。
特定の実施形態によると、電気化学活性材料を堆積させる前に、中間層をテンプレート構造に堆積させる。この中間層は、チタン、銅、鉄、ニッケル、ニッケルチタン、クロムまたは他の同様の材料を含むとしてよい。材料は、電気メッキ、スパッタリングまたは蒸着法を用いて堆積させるとしてよい。任意の特定の理論に限定されないが、この界面に中間層が存在することで、活性材料との合金化および接着性が改善され得ると考えられている。さらに、上記の材料のうちいくつかは、接着促進剤および酸素ゲッタとして機能するとしてよい。最後に、ニッケルチタン、銅−亜鉛−アルミニウム−ニッケルおよび銅−アルミニウム−ニッケル等の合金は、弾性を持つので、比較的動的な活性材料層(サイクルにおいて膨張および収縮する)と比較的静的なテンプレート層との間に界面層を設けるべく利用されるとしてよい。本発明の一実施形態によると、中間層の厚みは、約2ナノメートルと2マイクロメートルとの間である。
図5に戻り、プロセス500は、金属シリサイドテンプレートの上方に高容量の電気化学活性材料を形成する工程に進む(処理508)。電気化学活性材料の例としては、シリコン含有材料(例えば、結晶質シリコン、アモルファスシリコン、他のシリサイド、シリコン酸化物、亜酸化物、酸窒化物)、スズ含有材料(例えば、スズ、酸化スズ)、ゲルマニウム、炭素含有材料、さまざまな金属水素化物(例えば、MgH)、シリサイド、リン化物および窒化物が挙げられる。他の例としては、炭素−シリコンの組み合わせ(例えば、炭素でコーティングされたシリコン、シリコンでコーティングされた炭素、シリコンでドープされた炭素、炭素でドープされたシリコン、および、炭素およびシリコンを含む合金)、炭素−ゲルマニウムの組み合わせ(例えば、炭素でコーティングされたゲルマニウム、ゲルマニウムでコーティングされた炭素、ゲルマニウムでドープされた炭素、炭素でドープされたゲルマニウム)、および、炭素−スズの組み合わせ(例えば、炭素でコーティングされたスズ、スズでコーティングされた炭素、スズでドープされた炭素および炭素でドープされたスズ)が挙げられる。正の電気化学活性材料の例を挙げると、さまざまなリチウム金属酸化物(例えば、LiCoO、LiFePO、LiMnO、LiNiO、LiMn、LiCoPO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNiCoAlZO、LiFe(SO、LiFeSiO、NaFeO)、フッ化炭素、フッ化鉄(FeF)等の金属フッ化物、金属酸化物、硫黄およびこれらの組み合わせがある。これらの正および負の活性材料をドープしたもの、非化学量論組成のものも同様に利用され得る。ドーパントの例を挙げると、周期表の第III族元素および第V族元素(例えば、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、リン、ヒ素、アンチモンおよびビスマス)、および、他の適切なドーパント(例えば、硫黄およびセレン)がある。特定の実施形態によると、高容量活性材料はアモルファスシリコンを含む。例えば、アモルファスシリコン層をニッケルシリサイドテンプレートに堆積させるとしてよい。
高容量活性材料は、堆積処理中または堆積処理後にドープされるとしてよい。ドーパントは、活性材料の導電率を改善すると共に他の目的を実現するべく利用され得る。例えば、ホスフィン(PH)を、シリコンまたは他の活性材料をリンでドープするべく、処理ガスに追加するとしてよい。処理ガスにシランを利用する一部の実施形態等、特定の実施形態によると、処理ガスに含まれるホスフィンまたは他のドーパント搬送成分の濃度は、少なくとも約0.1%(分圧に基づく)であるとしてよく、少なくとも約0.5%であるとしてよく、少なくとも約1%であるとしてよい。ドーパントはさらに、活性材料の堆積後に(例えば、スパッタリング、電気メッキ、イオン注入および他の方法を利用して)活性層に注入されるとしてもよい。特定の実施形態によると、リチウム含有化合物を活性材料上に堆積させる。SEI(solid electrolyte interface)層の形成に関連する損失を相殺し、および/または、セルを完全に放電させる間であっても負の活性材料にリチウムをある程度残すべく、リチウムイオン電池では追加でリチウムを利用するとしてよい。負極にある程度のリチウムを残すことで、サイクルの放電部分の終了時に、負の活性材料の導電率が改善され、および/または、負の活性材料における形態変化を阻止し得る。
特定の実施形態によると、複数の異なる活性材料(例えば、スズ等の高容量活性材料)をテンプレートに堆積させるとしてよい。一例を挙げると、シリコン層はさらに炭素層でコーティングされて、コア−シェル構造を形成するとしてよい。この例では、テンプレートのシリサイドナノ構造がコアとして機能し、シリコン層が中間層または外側コアとして機能し、炭素層がシェルとして機能する。他の例を挙げると、必ずしも電気化学的に活性ではないが電極内で他の役割を持つ材料、例えば、安定したSEI層の形成を進める材料を含むコーティングを設ける。このような材料の例には、炭素、銅、ポリマー、硫化物および金属酸化物がある。
特定の実施形態によると、活性材料層はゲルマニウムおよびシリコンの組み合わせとして堆積させる。これら2種類の材料の分布は、テンプレートの高さに沿って変化し、基板界面の近傍には、遊離端の近傍よりも多くのゲルマニウムを堆積させ、シリコンについてはこの逆にする。ゲルマニウムは、シリコンに比べてリチオ化がはるかに少ないので、ゲルマニウムの膨張ははるかに少ない。同時に、ゲルマニウムの形態的構造(例えば、格子)は、シリコンと良好に一致する。膨張が少ないことにより基板における応力が抑制されるので、サイクリング性能が改善したよりロバストな電極構造およびセルが得られる。
組成が変化し得る活性材料層を形成するためのCVD処理は、ゲルマニウム含有前駆体を初期濃度で含みシリコン含有前駆体を初期濃度で含む処理ガスを導入することで開始されるとしてよい。この後、堆積が進むにつれて、ゲルマニウム含有前駆体の濃度を低減し、シリコン含有前駆体の濃度を上昇させる。
高容量活性材料は、CVD法、電気メッキ、無電解メッキまたは溶液堆積を用いて堆積させるとしてよい。一部の実施形態によると、シリサイド構造を成長させるために用いたものと同様の方法で堆積させる。シリサイドおよび活性材料はどちらも、同じチャンバ内で堆積させるとしてよい。より具体的には、同じチャンバを用いてさらに基板処理を行うとしてよい。
特定の実施形態によると、活性材料はプラズマ化学気相成長(PECVD)法を利用して堆積させるとしてよい。この方法は、リンでドープしたアモルファスシリコン層を参照しつつより詳細に後述する。しかし、この方法または同様の方法を他の活性材料に利用し得ると理解されたい。シリサイドテンプレートを含む基板、より具体的には、ニッケルシリサイドテンプレートは、PECVDチャンバ内に用意される。基板は、約摂氏200度と摂氏400度との間の温度まで、より具体的には、約摂氏250度と摂氏350度との間の温度まで加熱される。シリコン含有前駆体(例えば、シラン)および1以上のキャリアガス(例えば、アルゴン、窒素、ヘリウム、水素、酸素、二酸化炭素およびメタン)を含む処理ガスをチャンバ内に導入する。具体例を挙げると、ヘリウム内のシランの濃度は、約5%と20%との間であり、より具体的には、約8%と15%との間である。処理ガスはさらに、ホスフィン等のドーパント含有材料を、約1%と5%との間の濃度で含むとしてよい。チャンバ圧は、約0.1Torrと10Torrとの間で維持されるとしてよく、より具体的には、約0.5Torrと2Torrとの間で維持されるとしてよい。シランの分解を促進するべく、プラズマをチャンバ内で点火する。
以下の処理(つまり、無線周波数(RF)電力および流量)パラメータは、直径が約4インチ(約10センチメートル)までの基板を処理可能なSurface Technology Systems社(英国)製のSTS MESC Multiplex CVDシステムについてのものである。当業者であれば、これらの処理パラメータは他の種類のチャンバおよび基板サイズについては増減させ得ると理解されたい。RF電力は、約10Wと100Wとの間に維持されるとしてよく、処理ガスの総流量は、約200sccmと1000sccmとの間に維持されているとしてよく、より具体的には、約400sccmと700sccmとの間に維持されるとしてよい。
特定の実施形態によると、電気化学活性材料層の形成は、圧力が約1Torrに維持されている処理チャンバ内で実行される。処理ガスは、シランの含有量が約50sccmであり、ヘリウムの含有量が約500sccmである。活性材料をドープするべく、約50sccmの15%のホスフィンを処理ガスに追加するとしてよい。基板は、約摂氏300度に維持する。RF電力レベルは、約50Wに設定される。特定の実施形態によると、パルス状PECVD法を利用する。
活性材料を適切な厚みにするべく、堆積は約0.5分と30分との間の時間にわたって実行されるとしてよい。活性材料の厚みは、エネルギー密度要件、材料の特性(例えば、理論上の容量、応力破裂限界)、テンプレート表面積、および、他のパラメータによって決まるとしてよい。特定の実施形態によると、厚みが約50ナノメートルと500ナノメートルとの間である、より具体的には、厚みが約100ナノメートルと300ナノメートルとの間であるアモルファスシリコンの層を堆積させる。直径が約10ナノメートルと100ナノメートルとの間であるシリサイドナノワイヤ上にこの層を堆積させると留意されたい。このため、結果として得られる構造の平均直径(つまり、活性材料層が堆積しているシリサイドナノワイヤ)は、約100ナノメートルと1100ナノメートルとの間であるとしてよい。他の寸法も可能であるとしてよい。例えば、層の多孔率を上げることで、厚みが約500ナノメートルを超えるアモルファスシリコン層も可能である。特定の実施形態によると、多孔質シリコン層は、厚みが約500ナノメートルと1000ナノメートルとの間であるとしてよく、より具体的には、厚みが約500ナノメートルと750ナノメートルとの間であるとしてよい。多孔質活性材料構造の幾つかの例および詳細な内容については、米国特許出願第13/277,620号(発明の名称:「COMPOSITE STRUCTURES CONTAINING HIGH CAPACITY POROUS ACTIVE MATERIALS CONSTRAINED IN SHELLS(高容量多孔質活性材料がシェル内に収納されている複合構造)」、出願日:2011年10月22日)に記載されている。当該出願の内容はすべて、多孔質活性材料構造を説明することを目的として、参照により本願に組み込まれる。
厚みが約50ナノメートルと500ナノメートルとの間である一部の活性材料層を通常は10分から20分の間の時間にわたって堆積させ得ることが分かっている。堆積させる活性材料の量を特徴付けるための別の方法として、その下方にあるテンプレートと相対的に表現する方法がある。特定の実施形態によると、活性材料体積の金属シリサイド体積に対する質量比は、少なくとも約10であり、より具体的には少なくとも約100である。本明細書で説明するように、この比率はテンプレートの高さに沿って大きく変化するとしてよい。具体的には、この比率は、各構造の遊離端の近傍より、基板界面の近傍において大幅に小さいとしてよい。
図5Aは、上述した処理全体を構成する複数の異なる段階において製造される構造の例を4つ挙げている。基板552は、初期段階551において最初に用意されるとしてよい。上述したように、基板552はベース基板材料および金属原料(シリサイドを形成するために用いられる)を備えるとしてよい。これらの材料のさまざまな例および組み合わせは上述した通りである。基板552をこの後処理して、シリサイドナノ構造を形成するために適切な表面554を形成するとしてよい(段階553)。基板552が箔である場合、表面554は箔の両面に形成されるとしてよい(不図示)。幾つかの例を挙げると、表面554はナノワイヤを形成するための核生成箇所を含む。表面554はさらに、マスキング材料を含むとしてよい。シリサイドナノ構造556はこの後、基板552に形成される(段階555)。特定の実施形態によると、シリサイドナノ構造556は、端部が基板552に固着している。シリサイドナノ構造によって、活性材料を堆積させるために用いられる表面積が大きいテンプレートが形成される。最後に、活性材料層558は、シリサイドナノ構造556の上方に堆積させる(段階557)。シリサイドナノ構造556は、活性材料558を機械的に支持すると共に、基板552に対して電気的に接続され得る。
シリサイドナノ構造556および活性材料558の組み合わせは、活性層559と呼ばれるとしてよい。活性層559は基板552に隣接している。概して、活性層559はその高さによって特徴付けられるとしてよい。活性層559の高さは通常、シリサイドテンプレートの高さと同等であるか、または、このテンプレートを形成しているナノワイヤの長さと同等である。特定の実施形態によると、活性層の高さは、約10マイクロメートルと50マイクロメートルとの間であり、より具体的には、約20マイクロメートルと40マイクロメートルとの間である。基板と、基板の2つの互いに対向する面に堆積させている2つの活性層とを備える電極は、高さが約50マイクロメートルと100マイクロメートルとの間であるとしてよい。さらに、活性層559は、多孔率(例えば、少なくとも約25%、より具体的には、少なくとも約50%、さらに具体的には、少なくとも約75%)、単位面積毎の容量、および、他の特性によって特徴付けるとしてよい。
さらに、テンプレートをコーティングしている活性材料の厚みは、テンプレートの高さに沿って変化するとしてよい。例えば、活性材料層は、基板界面の近傍よりも、構造の遊離端の近傍において厚くなるとしてよい。図4は、基板402上に配置されているテンプレート構造406の上方に堆積させている活性材料層410の例を示す図である。任意の特定の理論に限定されるものではないが、活性材料層を上記のように分布させるには、物質移動限界領域が形成される特定のプロセス条件を採用すると考えられている。この物質移動限界領域によると、テンプレートの高さに沿って活性材料前駆体種(例えば、シラン)の濃度傾斜が形成され、基板界面の近傍よりも構造の遊離端近傍において堆積速度が速くなる。このように活性材料を分布させる構成は、リチオ化の際に構造の基板固着端の膨張および応力が小さくなり、構造と基板との間の接触が維持されるので、電気化学サイクリングの観点からみると有益であるとしてよい。
具体的には、活性材料の分布を不均一にするには、堆積チャンバ内の圧力レベルを比較的高く設定してCVD法による堆積を実行するとしてよい。任意の特定の理論に限定されることなく、圧力レベルを高くすることで平均自由工程が短くなると考えられている。このため、堆積速度が高速化し、構造の遊離端の近傍で活性材料前駆体の消費が早い。この結果、テンプレートの全高にわたって物質移動限界領域が実質的に形成される。例えば、堆積は約50Torrと760Torrとの間で実行するとしてよく、より具体的には約100Torrと600Torrとの間であってよく、さらに具体的には約200Torrと600Torrとの間であるとしてよい。特定の例によると、堆積は約600Torrで実行する。堆積温度は、約摂氏400度と摂氏600度との間であってよく、より具体的には約摂氏450度と摂氏550度との間であってよい。特定の例によると、堆積は約摂氏500度で実行する。これらの温度範囲は、熱CVD法についてのものである。PECVD法を用いて堆積を行う場合、温度は約摂氏200度と摂氏450度との間の範囲内であってよい。アルゴンまたは水素中のシラン濃度は、約0.5%と20%との間の範囲内であってよく、より具体的には、約0.5%と10%との間であってよく、より具体的には約1%と5%との間であってよい。
別の方法によると、低温でPECVD法を利用して堆積を実行する方法がある。PECVD法は、熱的に励起されたラジカルよりも寿命が短い局所化ラジカルを生成する。このため、平均自由工程が短いと考えられ、堆積のコンフォーマル性が低くなり、ラジカル濃度が比較的高いテンプレートの上部での堆積が多くなる。また、上述したように、PECVD法を利用すると低温での堆積が可能になる。低温で処理することで、基板との間での副反応が抑制され、脆弱になり得る基板界面において望ましくない過剰なシリサイドが形成されないようになる。PECVD法を利用する堆積は、圧力レベルを約1Torrと50Torrとの間に設定し、温度範囲を約摂氏200度と摂氏450度との間に設定し、水素、ヘリウム、窒素、アルゴンまたはこれらのさまざまな組み合わせに含まれるシラン濃度を約1%と20%との間に設定して実行するとしてよい。チャンバ内のプラズマは、反応種の分布を所望のものに近づけるべく、バイアスされているとしてよい。
さらに、リモートプラズマ生成部を用いて、活性材料前駆体から、イオンおよびラジカル等の活性種を生成するとしてよい。活性種(例えば、−2SiH)は、非活性種(例えば、SiH)よりも反応し易く、構造の遊離端の方が消費速度が速くなる傾向にあり、物質移動限界領域が実質的に形成される。リモートプラズマ生成部の例をいくつか挙げると、全てMKS Instruments社(米国マサチューセッツ州アンドーバー)製のASTRON(商標)i Type AX7670、ASTRON(商標)e Type AX7680、ASTRON(商標)ex Type AX7685、ASTRON(商標)hf−s Type AX7645がある。リモートプラズマ生成部は通常、供給される活性材料前駆体を用いてイオン化プラズマを生成する自己完結型のデバイスである。リモートプラズマ生成部はさらに、エネルギーをプラズマ内の電子に供給する高電力RF生成部を有する。このエネルギーはこの後、中性の活性材料前駆体分子(例えば、シラン)に伝わるので、これらの分子の温度は2000Kレベルまで上昇し、分子の熱解離が発生するとしてよい。リモートプラズマ生成部は、RFエネルギーが高く、そして、前駆体にこのエネルギーの大半を吸着させる特別なチャネル形状を持つので、供給された前駆体分子のうち90%以上を解離させるとしてよい。リモートプラズマ生成部は、(例えば、熱CVDチャンバと共に)単独で利用されるとしてよく、または、PECVD反応器と組み合わせて利用するとしてもよく、これによってさらに、種(例えば、分配ラインおよびシャワーヘッドにおいて再結合した種)の解離が進むとしてよい。
図6Aは、上方から見たシリサイドナノワイヤテンプレートを示すSEM画像である。ナノワイヤは、Carl Schlenk AG Company社(ロート、ドイツ)製のハード圧延ニッケル箔に直接堆積させた。ニッケル箔は、最初に1分間にわたって摂氏300度で空気を含み圧力が50Torrである処理チャンバ内で酸化された。当該ニッケル箔はこの後、摂氏650度まで加熱され、1体積%でシランを含む処理ガスを10分間にわたってチャンバ内に導入した。結果として得られるシリサイドナノワイヤは、直径が約10−50ナノメートルであって、長さが約1−30マイクロメートルである。ナノワイヤの密度は、約10−70%であった。図示しているSEM画像から分かるように、ナノワイヤは非常に表面積の大きいテンプレートを形成している。
図6Bは、アモルファスシリコンでコーティングしたナノワイヤテンプレートを示すSEM画像である。図示している画像は、図6Aと同じ方向から撮影されたものである。シリコンを堆積させるために用いられた初期シリサイドテンプレートは、図6Aと同じである。アモルファスシリコンの堆積は、摂氏300度、1Torrで、10分間にわたって実施された。処理ガスは、100%のシランを50sccm、ヘリウムを500sccm、15体積%のホスフィンを50sccm含んでいた。RF電力は50Wであった。コーティングされたナノワイヤの平均直径は、271−280ナノメートルと推定された。図6Aおよび図6Bに示すSEM画像は、未コーティングのテンプレートナノワイヤ(図6A)およびアモルファスシリコン構造が上方に形成された同じナノワイヤ(図6B)のサイズを比較するべく同じ倍率である。両図の2つのSEM画像から分かるように、アモルファスシリコン構造は、未コーティングのシリサイドナノワイヤよりもはるかに厚い。
図6Cは、図6Aに図示したものと同様のシリコンでコーティングされたナノワイヤを含む活性層を側面から見た様子を示すSEM画像である。ナノワイヤは、活性材料でコーティングされた後であっても、アスペクト比が比較的高い。活性層の高さは通常、ナノワイヤの長さによって決まる。さらに、活性層は、多孔率が比較的高いので、リチオ化の際に、活性層に過剰な応力を発生させることなく、ナノワイヤ同士を破損し合うことなく、ナノワイヤが膨張することができる。このような多孔率を持つことで、電解質成分は活性層において自由に移動することができる。
図6Dは、元々図6Bに示した活性層をより高い倍率で示すSEM画像である。黒い矢印は、ナノワイヤ同士の接触点(本明細書では「相互接続」とも呼ぶ)を示す。このような相互接続は、ニッケルシリサイドナノワイヤの堆積時、および/または、ナノワイヤをアモルファスシリコンでコーティングする際に形成することができる。上述したように、このような相互接続は、活性層の機械的強度および導電率を高める。
図6Eは、電極の上面に対して斜めに撮影したSEM画像であり、基板固着端よりも遊離端においてはるかに厚みが大きくなっているナノワイヤを示す。この電極を形成する活性材料構造は、基板界面側の端部よりも遊離端の方が厚みがはるかに大きい。このような活性材料構造は、図4に概略的に図示されており、既に説明している。図6Eに示す活性材料構造は、遊離端の直径が約1マイクロメートルであり、基板固着端の直径が約200ナノメートルであると推定されている。活性材料構造の長さは、約12−20マイクロメートルと推定された。
<電極の構成(概論)>
図7Aは、所定の実施形態に係る、本明細書で説明した電極を利用する電気化学セルを部分的に組み立てた様子を示す平面図である。電気化学セルは、正の電流コレクタ703の主要部分を被覆しているものとして図示されている正極活性層702を備える。電気化学セルはさらに、負の電流コレクタ705の主要部分を被覆しているものとして図示されている負極活性層704を備える。セパレータ706は、正極活性層702と、負極活性層704との間に配置されている。
一実施形態によると、負極活性層704は、正極活性層702よりもわずかに大きく、正極活性層702から放出されるリチウムイオンを負極活性層704の活性材料がトラップできるよう構成されている。一実施形態によると、負極活性層704は、1以上の方向において、正極活性層702を超えて少なくとも約0.25ミリメートルと7ミリメートルとの間の長さにわたって延在している。より具体的な実施形態によると、負極活性層704は、1以上の方向において、正極活性層702を超えて約1ミリメートルと2ミリメートルとの間の長さにわたって延在している。特定の実施形態によると、セパレータ706のエッジは、少なくとも負極活性層704の外側エッジを超えて延在し、負極と他の電池構成要素とを完全に電気的に絶縁する。
図7Bは、特定の実施形態に係る、本明細書で説明した電極を利用する電気化学セルを部分的に組み立てた場合の電極積層体700を示す断面図である。片側には正極活性層702aを持ち、反対側には正極活性層702bを持つ正の電流コレクタ703が設けられている。片側には負極活性層704aを持ち、反対側には負極活性層704bを持つ負の電流コレクタ705が設けられている。正極活性層702aと負極活性層704aとの間にはセパレータ706aが設けられている。シート状のセパレータ706aおよび706bは、正極活性層702aと負極活性層704aとの間を機械的に分離した状態を維持する機能を持ち、後に追加される液体電解質(不図示)を吸い上げるスポンジのように挙動する。電流コレクタ703、705の端部は、活性材料が設けられておらず、セルの適切な端末(不図示)に接続するために利用し得る。
電極層702a、704a、電流コレクタ703、705およびセパレータ706aは、一の電気化学セルユニットを形成していると言える。図7Bに示す完全な積層体700は、電極層702b、704b、および、追加のセパレータ706bを備えている。電流コレクタ703、705は、隣接するセル同士で共有し得る。このような積層体を複数繰り返し設けると、一のセルユニットよりも容量が大きい電池またはセルが得られる。
大容量の電池またはセルを製造する別の方法として、一の非常に大きなセルユニットを製造して、巻き回して複数の積層体を製造する方法がある。図8Aに示す概略断面図は、2つのシート状のセパレータと共に縦長の電極を巻き回して電池またはセルを形成する様子を示す。巻き回したものは、ジェリーロール800とも呼ばれる。ジェリーロールは、曲線状の筐体、通常は円筒状の筐体802の内側寸法に合った形状およびサイズを持つ。ジェリーロール800は、正極806および負極804を備える。電極間の白い部分はシート状のセパレータを表す。ジェリーロールは筐体802に挿入される。一部の実施形態によると、ジェリーロール800は、中心にマンドレル808が挿入されているとしてよく、マンドレル808によって最初に巻回する際の直径を画定して、内側の巻きが中央軸領域を形成しないようにする。マンドレル808は、導電材料を材料とするとしてよく、一部の実施形態では、セル端子の一部であってよい。図8Bは、正の電流コレクタ(不図示)から延伸している正極用タブ812および負の電流コレクタ(不図示)から延伸している負極用タブ814を備えるジェリーロール800を示す斜視図である。これらのタブは、電流コレクタに溶接されているとしてよい。
電極の長さおよび幅は、セル全体の寸法、ならびに、活性層および電流コレクタの厚みに応じて決まる。例えば、直径が18mmで長さが85mmである従来の18650電池は、電極の長さが約300mmと1000mmとの間であるとしてよい。低レート/高容量の目的に合わせて短くした電極では、厚みが大きく、巻き数が少なくなる。
電極がサイクル時に膨張して筐体に圧力をかける場合には特に、一部のリチウムイオン電池では円筒形状が用いられるとしてよい。セルにかかる圧力を十分なレベルに維持できる限りにおいて(安全面も十分に考慮しつつ)円筒形状の筐体を可能な限り薄くすることが有益である。角柱形状の(平坦な)セルも同様に巻回するとしてよいが、この場合は筐体が可撓性を持つので内圧に対応するべく長辺に沿って屈曲してしまう場合がある。また、セルの各部分で圧力が一定にならない場合があり、角柱形状のセルでは角が空いたままとなる場合もある。通常、リチウムイオン電池では空いた部分が存在しないようにすべきである。これは、電極が膨張するとこの空いた部分に不均一に押し込まれてしまうためである。また、電解質が空いた部分に集中して電極間に乾燥領域が出来てしまい、電極間のリチウムイオンの輸送に悪影響が出てしまう場合がある。しかし、矩形フォームファクターが支配的な所定の用途では、角柱形状のセルが適切である。一部の実施形態によると、角柱形状の電池は、矩形の電極およびシート状セパレータの積層体を利用して、巻回型の角柱形状の電池が持つ問題の一部を回避する。
図8Cは、巻回型の角柱形状のジェリーロール820を示す上面図である。ジェリーロール820は、正極824および負極826を備える。電極間の白い部分は、シート状のセパレータを表している。ジェリーロール820は、矩形角柱形状の筐体822内に収納されている。図8Aおよび図8Bに示す円筒形状のジェリーロールとは違って、角柱形状のジェリーロールは、ジェリーロールの中央にある平坦幅広部分から巻回を開始している。一実施形態によると、ジェリーロールは、中央にマンドレル(不図示)が配置され、マンドレルに電極およびセパレータを巻きつけるとしてもよい。
図9Aは、複数のセル(901a、901b、901c、901dおよび901e)を備えるセル積層体を示す断面図である。各セルは、正極(例えば、903a、903b)、正の電流コレクタ(例えば、902)、負極(例えば、905a、905b)、負の電流コレクタ(例えば、904)、および、電極間のセパレータ(例えば、906a、906b)を有する。各電流コレクタは、隣接するセル同士が共有する。セル積層体は、どのような形状でも製造することが可能であり、特に角柱形状の電池に適している。電流コレクタタブは通常、積層体から延伸して、電池端末につながっている。図9Bは、複数のセルを備えるセル積層体を示す斜視図である。
上述したように電極を配置すると、セルに電解質を充填する。リチウムイオン電池の電解質は、液体、固体、またはゲルであってよい。電解質が固体であるリチウムイオン電池は、リチウムポリマー電池とも呼ばれる。
通常の液体の電解質は、1以上の溶媒および1以上の塩を含み、そのうち少なくとも1つがリチウムを含む。最初の充電サイクル(形成サイクルとも呼ばれる)において、電解質に含まれる有機溶媒が部分的に負極表面上で分解されて、SEI層が形成される。この界面は通常、電気絶縁性であるがイオン伝導性は持ち、リチウムイオンは通過させることができる。この界面はさらに、その後の充電サブサイクルにおいて電解質が分解しないように抑制する。
一部のリチウムイオン電池に適した非水系の溶媒の例を幾つか挙げると、環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)およびビニルエチレンカーボネート(VEC))、ビニレンカーボネート(VC)、ラクトン(例えば、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)およびα−アンゲリカラクトン(AGL))、直鎖カーボネート(例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルブチルカーボネート(NBC)、および、ジブチルカーボネート(DBC))、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン、および、1,2−ジブトキシエタン)、亜硝酸塩(例えば、アセトニトリルおよびアジポニトリル)、直鎖エステル(例えば、プロピオン酸メチル、ピバル酸メチル、ピバル酸ブチルおよびピバル酸オクチル)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド)、有機リン酸塩(例えば、リン酸トリメチルおよびリン酸トリオクチル)、および、S=O基を含む有機化合物(例えば、ジメチルスルホンおよびジビニルスルホン)、ならびに、これらの組み合わせがある。
非水系の溶媒は、組み合わせて利用することができる。組み合わせの例を挙げると、環状カーボネート−直鎖カーボネート、環状カーボネート−ラクトン、環状カーボネート−ラクトン−直鎖カーボネート、環状カーボネート−直鎖カーボネート−ラクトン、環状カーボネート−直鎖カーボネート−エーテル、および、環状カーボネート−直鎖カーボネート−直鎖エステルといった組み合わせがある。一実施形態によると、環状カーボネートと直鎖エステルとを組み合わせるとしてよい。さらに、環状カーボネートと、ラクトンおよび直鎖エステルとを組み合わせるとしてよい。具体的な実施形態によると、環状カーボネートと直鎖エステルとの体積比率は、約1:9と10:0との間であり、2:8から7:3の間であることが好ましい。
液体状の電解質に用いられる塩は、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiCFSO、LiC(CFSO、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(CF、LiPF(iso−C、LiPF(iso−C)、環状アルキル基を含むリチウム塩(例えば、(CF(SO2xLiおよび(CF(SO2xLi))、ならびに、これらの組み合わせのうち1以上を含むとしてよい。一般的な組み合わせとしては、LiPFおよびLiBF、LiPFおよびLiN(CFSO、LiBFおよびLiN(CFSOが挙げられる。
一実施形態によると、非水系溶媒(1種類または複数種類の組み合わせ)における塩の総濃度は、少なくとも約0.3Mであり、より具体的な実施形態では、少なくとも約0.7Mである。濃度の上限は、溶解度の上限によって決まるとしてよいが、約2.5M以下になるとしてよい。より具体的な実施形態では、約1.5M以下である。
固体状の電解質は通常、セパレータとしても機能するので、セパレータを省略する。固体状の電解質は、電気絶縁性およびイオン伝導性を持ち、電気化学的に安定している。固体状の電解質を用いる構成の場合、上述した液体状の電解質を用いる電池と同様に、リチウム含有塩を用いるが、有機溶媒に溶解されるのではなく、固体ポリマー複合体の内部に保持される。固体ポリマー電解質の例としては、電解質の塩のリチウムイオンと結合可能で伝導時にリチウムイオンを移動させるために利用可能な孤立電子対を持つ原子を含むモノマーから用意されるイオン伝導性ポリマーが挙げられるとしてよく、例えば、フッ化ポリビニリデン(PVDF)または塩化ポリビニリデンまたはその派生物のコポリマー、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(エチレン−クロロトリフルオロ−エチレン)、または、ポリ(フッ素化エチレン−プロピレン)、酸化ポリエチレン(PEO)およびオキシメチレンが結合されたPEO、三官能性ウレタンで架橋されたPEO−PPO−PEO、ポリ(ビス(メトキシ−エトキシ−エトキシド))−ホスファゼン(MEEP)、二官能基ウレタンで架橋されたトリオール型PEO、ポリ((オリゴ)オキシエチレン)メタクリレート−コ−アルカリ金属メタクリレート、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PNMA)、ポリメチルアクリロニトリル(PMAN)、ポリシロキサンおよびこれらのコポリマーおよび派生物、アクリレートをベースにするポリマー、その他の同様の無溶媒ポリマー、上記のポリマーを凝縮または架橋して組み合わせて形成した別のポリマー、および、上記のポリマーのうち任意のものを物理的に混合したものが挙げられるとしてよい。これ以外にも比較的低導電性のポリマーを上記のポリマーと組み合わせて用いて、薄型積層体の強度を上げるとしてもよい。例えば、ポリエステル(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリカーボネート(PC)、硫化ポリフェニレン(PPS)、および、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)がある。
図10は、一実施形態に係る巻回型で円筒形状のセルを示す断面図である。ジェリーロールは、らせん状に巻き回した正極1002と、負極1004と、2つのシート状のセパレータ1006とを備える。ジェリーロールはセル筐体1016に挿入されており、キャップ1018およびガスケット1020を用いてセルを封止している。尚、所定の実施形態では、後続の処理を完了するまではセルを封止しないことに留意されたい。キャップ1018またはセル筐体1016が安全装置を有する場合がある。例えば、電池内で圧力が過剰な水準まで高まると壊れて開く安全弁または破裂弁を用いるとしてよい。所定の実施形態によると、一方向気体放出弁を設けて、正極材料が活性化される際に放出される酸素を放出する。また、正温度係数(PTC)装置をキャップ1018の導電経路に組み込んで、セルで短絡が発生した場合の損傷を低減するとしてよい。キャップ1018の外面を正の端子として利用するとしてよく、セル筐体1016の外面を負の端子として利用するとしてよい。別の実施形態によると、電池の極性を逆にして、キャップ1018の外面を負の端子として利用し、セル筐体1016の外面を正の端子として利用するとしてよい。タブ1008および1010は、正極および負極と、対応する端子との間を接続するために用いられるとしてよい。内部短絡の発生を阻止するべく、適切な絶縁性を持つガスケット1014および1012を挿入するとしてよい。例えば、内部絶縁のためにKapton(商標)膜を用いるとしてよい。製造時には、キャップ1018をセル筐体1016に圧着してセルを封止するとしてよい。しかし、この処理を実行する前に、電解質(不図示)を追加してジェリーロール体の多孔質空間を充填する。
リチウムイオン電池では剛性が高い筐体を利用するのが普通であるが、リチウムポリマー電池は可撓性の箔(ポリマー積層体)のような筐体内に収容するとしてよい。この筐体の材料としてはさまざまな材料を選択し得る。リチウムイオン電池の場合、Ti−6−4、その他のTi合金、Al、Al合金、および、300シリーズのステンレススチールが正側の導電筐体部分および終端キャップに適した材料であるとしてよく、市販の純チタン、Ti合金、Cu、Al、Al合金、Ni、Pbおよびステンレススチールが負側の導電筐体部分および終端キャップに適した材料であるとしてよい。
金属シリサイドは、上述した電池での利用に加えて、燃料電池(例えば、アノード、カソード、および、電解質)、へテロ接合太陽電池用活性材料、さまざまな形態の電流コレクタ、および/または、吸収性コーティングでも利用され得る。これらの用途には、金属シリサイド構造の広い表面積、シリサイド材料の高い導電率、および、高速且つ低コストの成膜技術といった特徴から利点を得るものもある。
上述した内容は明確に理解されるようある程度詳細に記載したが、特許請求の範囲内で変更および変形を実施し得ることは明らかである。本発明に係るプロセス、システムおよび装置を実施する多くの別の方法が存在することに留意されたい。したがって、上述した実施形態は、本発明を限定するものではなく例示するものと考えられたい。なお、本明細書に記載の発明は、以下の項目に記載の形態によっても実施され得る。
[項目1]
リチウムイオン電池で用いられる電極であって、
ナノ構造テンプレートと、
前記ナノ構造テンプレートをコーティングしている電気化学活性材料層と、
前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間に位置する第1の中間層と
を備える電極。
[項目2]
前記ナノ構造テンプレートはシリサイドナノワイヤを有する項目1に記載の電極。
[項目3]
前記電気化学活性材料層は、シリコン、スズ、ゲルマニウム、炭素、金属水素化物、シリサイド、リン化物、窒化物および酸窒化物から成る群から選択される1以上の材料を含み、
前記電気化学活性材料層の少なくとも一部分はさらに、リチオ化の際の前記電気化学活性材料層の膨張を抑制する抑制添加剤を含む項目1または2に記載の電極。
[項目4]
前記抑制添加剤のリチウム容量は、前記電気化学活性材料層のリチウム容量よりも小さい項目3に記載の電極。
[項目5]
前記抑制添加剤の濃度は、前記電気化学活性材料層において変化する項目4に記載の電極。
[項目6]
前記第1の中間層は、チタン、銅、鉄、ニッケルおよびクロムから成る群から選択される1以上の材料を含む項目1から5のいずれか一項に記載の電極。
[項目7]
前記第1の中間層は、厚みが約2ナノメートルと2マイクロメートルとの間である項目1から6のいずれか一項に記載の電極。
[項目8]
前記第1の中間層は、
前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間の接着性、
前記電極における電気伝導、および、
前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間の応力緩和
のうち1以上を促進する項目1から7のいずれか一項に記載の電極。
[項目9]
前記第1の中間層は、前記電気化学活性材料層および/または前記ナノ構造テンプレートに含まれる材料との間で化合物および/または合金を形成することによって、前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間の接着性を促進する項目8に記載の電極。
[項目10]
前記第1の中間層は、前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間の電気抵抗を低減することによって、前記電極における電気伝導を促進する項目8または9に記載の電極。
[項目11]
前記第1の中間層は、前記第1の中間層の弾性特性によって、前記電気化学活性材料層の拡張および収縮によって発生する応力の少なくとも一部を吸収し、全ての応力を前記ナノ構造テンプレートに伝えないので、前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間の応力緩和を促進する項目8から10のいずれか一項に記載の電極。
[項目12]
第2の中間層でコーティングされている基板をさらに備え、
少なくとも前記ナノ構造テンプレートは前記第2の中間層と接触している項目1から11のいずれか一項に記載の電極。
[項目13]
前記第2の中間層は、
前記ナノ構造テンプレートと前記基板との間の接着性、
前記電極中の電気伝導、および、
前記ナノ構造テンプレートと前記基板との間の応力緩和
のうち1以上を促進する項目12に記載の電極。
[項目14]
前記第2の中間層は前記第1の中間層と同一である項目12または13に記載の電極。
[項目15]
第1の面を持つ導電性基板と、
前記第1の面上に設けられているナノ構造テンプレートと、
前記ナノ構造テンプレートをコーティングしている電気化学活性材料層と、
前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間の第1の中間層と、
前記導電性基板の前記第1の面と前記ナノ構造テンプレートとの間に設けられている第2の中間層と
を備えるリチウムイオン電池で用いられる電極。
[項目16]
前記第1の面は、銅、金属酸化物、ステンレススチール、チタン、アルミニウム、ニッケル、クロム、タングステン、金属窒化物、金属炭化物、炭素、カーボンファイバ、グラファイト、グラフェン、カーボンメッシュおよび導電性ポリマーから成る群から選択される1以上を含む項目15に記載の電極。
[項目17]
前記導電性基板は、ベース基板と、前記ベース基板に取着されている薄い金属箔とを有し、
前記第1の面は、前記薄い金属箔を含む項目15または16に記載の電極。
[項目18]
前記薄い金属箔は、前記ベース基板とは異なる組成を持つ項目17に記載の電極。
[項目19]
前記第1の中間層は、
前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間の接着性、
前記電極中の電気伝導、および、
前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間の応力緩和
のうち1以上を促進する項目15から18のいずれか一項に記載の電極。
[項目20]
前記第2の中間層は、
前記ナノ構造テンプレートと前記導電性基板との間の接着性、
前記電極中の電気伝導、および、
前記ナノ構造テンプレートと前記導電性基板との間の応力緩和
のうち1以上を促進する項目15から19のいずれか一項に記載の電極。
[項目21]
前記電気化学活性材料層は、シリコン、スズ、ゲルマニウム、炭素、金属水素化物、シリサイド、リン化物および窒化物から成る群から選択される1以上の材料を含む項目15から20のいずれか一項に記載の電極。
[項目22]
前記電気化学活性材料層のうち少なくとも一部分はさらに、リチオ化の際の前記電気化学活性材料層の膨張を抑制する抑制添加剤を含む項目21に記載の電極。
[項目23]
前記抑制添加剤のリチウム容量は、前記電気化学活性材料層のリチウム容量よりも小さい項目22に記載の電極。
[項目24]
前記抑制添加剤は、酸素、チタン、スズ、ゲルマニウム、ニッケル、銅、炭素、窒素、アルミニウムおよびタングステンから成る群から選択される項目23に記載の電極。
[項目25]
前記抑制添加剤の濃度は前記電気化学活性材料層において変化する項目22から24のいずれか一項に記載の電極。
[項目26]
前記電気化学活性材料層における前記抑制添加剤の濃度は、前記電気化学活性材料層のうち前記導電性基板に隣接している領域において最も高い項目25に記載の電極。
[項目27]
リチウムイオン電池で用いられる電極であって、
導電性基板と、
前記導電性基板上に設けられているナノ構造テンプレートと、
前記ナノ構造テンプレートをコーティングする電気化学活性材料層と、
前記電気化学活性材料層の少なくとも一部分に含まれている抑制添加剤と
を備え、
前記抑制添加剤は、リチオ化において前記電気化学活性材料層の膨張を抑制し、
前記抑制添加剤は、濃度が前記電気化学活性材料層において変化する電極。
[項目28]
前記抑制添加剤の濃度は、前記電気化学活性材料層のうち前記ナノ構造テンプレートに隣接している領域において最も高くなる項目27に記載の電極。
[項目29]
前記抑制添加剤のリチウム容量は、前記電気化学活性材料層のリチウム容量よりも低い項目27または28に記載の電極。
[項目30]
前記抑制添加剤は、酸素、チタン、スズ、ゲルマニウム、ニッケル、銅、炭素、窒素、アルミニウムおよびタングステンから成る群から選択される項目29に記載の電極。
[項目31]
前記電気化学活性材料層は、外面を持ち、
前記電気化学活性材料層のうち前記外面に隣接している部分は、前記抑制添加剤が実質的に含まれていない項目30に記載の電極。
[項目32]
リチウムイオン電池で用いられる電極を製造する方法であって、
第1の面を持つ導電性基板を受け取る段階a)と、
前記導電性基板の前記第1の面を粗面化する段階b)と、
前記導電性基板の前記第1の面において、金属シリサイドを含むナノ構造テンプレートを形成する段階c)と、
少なくとも前記ナノ構造テンプレートの一部分の上に中間層を形成する段階d)と、
前記中間層の上方に電気化学活性材料層を形成する段階e)と
を備える方法。
[項目33]
前記段階b)の後、前記第1の面は、表面粗さが少なくとも約2マイクロメートルである項目32に記載の方法。
[項目34]
前記導電性基板は、ニッケル層を含む項目32または33に記載の方法。
[項目35]
前記導電性基板はさらに、前記ニッケル層を支持する銅層を含み、前記第1の面は、前記ニッケル層の一部である項目34に記載の方法。
[項目36]
前記段階b)において、前記第1の面を粗面化することは、化学エッチング、電気化学溶解、パルスメッキ、スパッタリング、シリサイド化、酸化および還元から成る群から選択される1以上の方法を含む項目32から35のいずれか一項に記載の方法。

Claims (35)

  1. リチウムイオン電池で用いられる電極であって、
    ナノワイヤを有するナノ構造テンプレートと、
    前記ナノ構造テンプレートをコーティングしている電気化学活性材料層と、
    前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間に位置する第1の中間層と
    を備え、
    前記第1の中間層は、前記電気化学活性材料層および/または前記ナノ構造テンプレートに含まれる材料との間で化合物および/または合金を形成することによって、前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間の接着性を提供する電極。
  2. 前記ナノ構造テンプレートはシリサイドナノワイヤを有する請求項1に記載の電極。
  3. 前記電気化学活性材料層は、シリコン、スズ、ゲルマニウム、炭素、金属水素化物、シリサイド、リン化物、窒化物および酸窒化物から成る群から選択される1以上の材料を含み、
    前記電気化学活性材料層の少なくとも一部分はさらに、リチオ化の際の前記電気化学活性材料層の膨張を抑制する抑制添加剤を含む請求項1または2に記載の電極。
  4. 前記抑制添加剤のリチウム容量は、前記電気化学活性材料層のリチウム容量よりも小さい請求項3に記載の電極。
  5. 前記抑制添加剤の濃度は、前記電気化学活性材料層において変化する請求項4に記載の電極。
  6. 前記第1の中間層は、チタン、銅、鉄、ニッケルおよびクロムから成る群から選択される1以上の材料を含む請求項1から5のいずれか一項に記載の電極。
  7. 前記第1の中間層は、厚みが2ナノメートルと2マイクロメートルとの間である請求項1から6のいずれか一項に記載の電極。
  8. 前記第1の中間層は、
    前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間の接着性、
    前記電極における電気伝導、および、
    前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間の応力緩和
    のうち1以上を提供する請求項1から7のいずれか一項に記載の電極。
  9. 前記第1の中間層は、前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間の電気抵抗を低減することによって、前記電極における電気伝導を提供する請求項8に記載の電極。
  10. 前記第1の中間層は、前記第1の中間層の弾性特性によって、前記電気化学活性材料層の拡張および収縮によって発生する応力の少なくとも一部を吸収し、全ての応力を前記ナノ構造テンプレートに伝えないので、前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間の応力緩和を提供する請求項8または9に記載の電極。
  11. 第2の中間層でコーティングされている基板をさらに備え、
    少なくとも前記ナノ構造テンプレートは前記第2の中間層と接触している請求項1から10のいずれか一項に記載の電極。
  12. 前記第2の中間層は、
    前記ナノ構造テンプレートと前記基板との間の接着性、
    前記電極中の電気伝導、および、
    前記ナノ構造テンプレートと前記基板との間の応力緩和
    のうち1以上を提供する請求項11に記載の電極。
  13. 前記第2の中間層の材料は前記第1の中間層の材料と同一である請求項11または12に記載の電極。
  14. 第1の面を持つ導電性基板と、
    ナノワイヤを有し、前記第1の面上に設けられているナノ構造テンプレートと、
    前記ナノ構造テンプレートをコーティングしている電気化学活性材料層と、
    前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間の第1の中間層と、
    前記導電性基板の前記第1の面と前記ナノ構造テンプレートとの間に設けられている第2の中間層と
    を備え、
    前記第1の中間層は、前記電気化学活性材料層および/または前記ナノ構造テンプレートに含まれる材料との間で化合物および/または合金を形成することによって、前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間の接着性を提供するリチウムイオン電池で用いられる電極。
  15. 前記第1の面は、銅、金属酸化物、ステンレススチール、チタン、アルミニウム、ニッケル、クロム、タングステン、金属窒化物、金属炭化物、炭素、カーボンファイバ、グラファイト、グラフェン、カーボンメッシュおよび導電性ポリマーから成る群から選択される1以上を含む請求項14に記載の電極。
  16. 前記導電性基板は、ベース基板と、前記ベース基板に取着されている薄い金属箔とを有し、
    前記第1の面は、前記薄い金属箔を含む請求項14または15に記載の電極。
  17. 前記薄い金属箔は、前記ベース基板とは異なる組成を持つ請求項16に記載の電極。
  18. 前記第1の中間層は、
    前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間の接着性、
    前記電極中の電気伝導、および、
    前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間の応力緩和
    のうち1以上を提供する請求項14から17のいずれか一項に記載の電極。
  19. 前記第2の中間層は、
    前記ナノ構造テンプレートと前記導電性基板との間の接着性、
    前記電極中の電気伝導、および、
    前記ナノ構造テンプレートと前記導電性基板との間の応力緩和
    のうち1以上を提供する請求項14から18のいずれか一項に記載の電極。
  20. 前記電気化学活性材料層は、シリコン、スズ、ゲルマニウム、炭素、金属水素化物、シリサイド、リン化物および窒化物から成る群から選択される1以上の材料を含む請求項14から19のいずれか一項に記載の電極。
  21. 前記電気化学活性材料層のうち少なくとも一部分はさらに、リチオ化の際の前記電気化学活性材料層の膨張を抑制する抑制添加剤を含む請求項20に記載の電極。
  22. 前記抑制添加剤のリチウム容量は、前記電気化学活性材料層のリチウム容量よりも小さい請求項21に記載の電極。
  23. 前記抑制添加剤はチタン、スズ、ゲルマニウム、ニッケル、銅、炭素アルミニウムおよびタングステンから成る群から選択される請求項22に記載の電極。
  24. 前記抑制添加剤の濃度は前記電気化学活性材料層において変化する請求項21から23のいずれか一項に記載の電極。
  25. 前記電気化学活性材料層における前記抑制添加剤の濃度は、前記電気化学活性材料層のうち前記導電性基板に隣接している領域において最も高い請求項24に記載の電極。
  26. リチウムイオン電池で用いられる電極であって、
    導電性基板と、
    ナノワイヤを有し、前記導電性基板上に設けられているナノ構造テンプレートと、
    前記ナノ構造テンプレートをコーティングする電気化学活性材料層と、
    前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間に位置する第1の中間層と、
    前記電気化学活性材料層の少なくとも一部分に含まれている抑制添加剤と
    を備え、
    前記抑制添加剤は、リチオ化において前記電気化学活性材料層の膨張を抑制し、
    前記抑制添加剤は、濃度が前記電気化学活性材料層において変化し、
    前記第1の中間層は、前記電気化学活性材料層および/または前記ナノ構造テンプレートに含まれる材料との間で化合物および/または合金を形成することによって、前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間の接着性を提供する電極。
  27. 前記抑制添加剤の濃度は、前記電気化学活性材料層のうち前記ナノ構造テンプレートに隣接している領域において最も高くなる請求項26に記載の電極。
  28. 前記抑制添加剤のリチウム容量は、前記電気化学活性材料層のリチウム容量よりも低い請求項26または27に記載の電極。
  29. 前記抑制添加剤はチタン、スズ、ゲルマニウム、ニッケル、銅、炭素アルミニウムおよびタングステンから成る群から選択される請求項28に記載の電極。
  30. 前記電気化学活性材料層は、外面を持ち、
    前記電気化学活性材料層のうち前記外面に隣接している部分は、前記抑制添加剤が含まれていない請求項29に記載の電極。
  31. リチウムイオン電池で用いられる電極を製造する方法であって、
    第1の面を持つ導電性基板を受け取る段階a)と、
    前記導電性基板の前記第1の面を粗面化する段階b)と、
    前記導電性基板の前記第1の面において、金属シリサイドのナノワイヤを含むナノ構造テンプレートを形成する段階c)と、
    少なくとも前記ナノ構造テンプレートの一部分の上に中間層を形成する段階d)と、
    前記中間層の上方に電気化学活性材料層を形成する段階e)と
    を備え、
    前記中間層は、前記電気化学活性材料層および/または前記ナノ構造テンプレートに含まれる材料との間で化合物および/または合金を形成することによって、前記ナノ構造テンプレートと前記電気化学活性材料層との間の接着性を提供する方法。
  32. 前記段階b)の後、前記第1の面は、表面粗さが少なくとも2マイクロメートルである請求項31に記載の方法。
  33. 前記導電性基板は、ニッケル層を含む請求項31または32に記載の方法。
  34. 前記導電性基板はさらに、前記ニッケル層を支持する銅層を含み、前記第1の面は、前記ニッケル層の一部である請求項33に記載の方法。
  35. 前記段階b)において、前記第1の面を粗面化することは、化学エッチング、電気化学溶解、パルスメッキ、スパッタリング、シリサイド化、酸化および還元から成る群から選択される1以上の方法を含む請求項31から34のいずれか一項に記載の方法。
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