JP6241325B2 - 堤体、堤体構成部材および堤体の施工方法 - Google Patents
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Description
現地での施工期間短縮のために堤体をプレキャスト化することが考えられ、現在一部で施工されつつある。
この堤体は、鋼管杭と、該鋼管杭に支持されたフーチングと、該フーチングの上方に配置され、面内方向に貫通する壁体貫通孔を有し、該壁体貫通孔の内面には壁体さや管を有するプレキャスト壁体とを備えた堤体であって、前記フーチングは厚さ方向に貫通するフーチング貫通孔を有し、該フーチング貫通孔の内面にはフーチングさや管が備えられ、該フーチングさや管は前記フーチングの上面よりも上方の位置まで延伸し、該フーチングさや管に前記鋼管杭が差し込まれ、前記フーチングさや管は前記プレキャスト壁体の前記壁体さや管に差し込まれ、前記フーチングさや管と該フーチングさや管に差し込まれた前記鋼管杭との間隙にはグラウト材が充填されている。
また、前記構成において、鋼管杭が壁体さや管に差し込まれてプレキャスト壁体の天端付近まで達している場合もある。
このため、現場で前記プレキャスト壁体を用いて堤体を施工する際に運搬機械や施工機械が大型化し、施工が容易でないという問題がある。
また、比較的小型の汎用機で施工する場合、積み上げるプレキャスト壁体の段数を細分化することも考えられるが、施工性が悪くなるともに、上下に積み重ねられるプレキャスト壁体間の止水作業も増え、全体として施工が長期化するおそれがある。
この場合、フーチングさや管の上端開口から、当該フーチングさや管と鋼管杭との隙間にグラウト材を充填する必要があるため充填作業が容易でなく、さらに、グラウト材がフーチングさや管と鋼管杭との隙間に十分かつ確実に充填されているかどうかも、フーチングさや管の上端開口から確認する必要があるため確認作業も容易でない。このため、グラウト材充填の施工および施工管理が容易でなかった。
また、鋼製縦材としては例えばH形鋼、溝形鋼、鋼管等の鋼材が挙げられるが、これらに限定されるものではない。プレキャスト壁体の側端部が鋼製縦材に係合されるので、当該鋼製縦材には、プレキャスト壁体に側端部を係合可能な凹所が鋼製縦材の長手方向に沿って設けられていればよい。
したがって、プレキャスト壁体の重量を従来に比して軽減できるので、施工性がよく全体として施工の短縮化を図ることができる。
また、鋼製縦材にプレキャスト壁体の側端部を係合しているので、堤体の曲線部においては、プレキャスト壁体の鋼製縦材に対する角度を変えて当該プレキャスト壁体の側端部を係合したり、2本の鋼製縦材を隣接させるとともに、これら鋼製縦材を所定の角度をもって配置し、これら鋼製縦材にそれぞれプレキャスト壁体の側端部を係合することによって、隣り合うプレキャスト壁体の接続角度を容易に変更できるので、堤体の曲線部を容易に施工できる。この場合、隣り合うプレキャスト壁体の接合部は被覆部材によって被覆できるので、止水性も容易に確保できる。
また、被覆部材が型枠となるので、別途型枠を用意する必要もなく、さらに、被覆部材が充填材を介してプレキャスト壁体や鋼製縦材に密着するので、被覆部材の固定強度や止水性を十分に確保できる。
また、前記鋼製杭頭接合部材の外周面と、筒部の内周面との少なくともいずれか一方にずれ止め用の突起を設けるのが好ましい。この突起としてはリング状やスパイラル状のものが好適である。
したがって、被覆コンクリートは、従来のフーチングを構成するコンクリートに比して十分に薄くできるので、フーチング部の重量を従来に比して軽減できる。したがって、このフーチング部をプレキャスト部材とする場合でも、施工や運搬が容易となる。
また、被覆コンクリートに設けられた貫通孔を通して充填材が前記筒部に充填されるとともに前記貫通孔に充填されているので、筒部と鋼製杭頭接合部材との間に容易かつ確実に充填材を充填して筒部と鋼製杭頭接合部材とを容易に一体化できるとともに、施工の際に貫通孔を通して、筒部と鋼製杭頭接合部材との間に確実に充填材が充填されているかを確認できる。したがって、充填材の施工および施工管理を容易に行える。
ここで、前記被覆部材を型枠としてその内側に、コンクリート、モルタル、樹脂等の充填を充填するのが好ましい。
したがって、プレキャスト壁体の重量を従来に比して軽減できるので、施工性がよく全体として施工の短縮化を図ることができる。
また、鋼製縦材にプレキャスト壁体の側端部を係合しているので、堤体の曲線部においては、プレキャスト壁体の鋼製縦材に対する角度を変えて当該プレキャスト壁体の側端部を係合したり、2本の鋼製縦材を隣接させるとともに、これら鋼製縦材を所定の角度をもって配置し、これら鋼製縦材にそれぞれプレキャスト壁体の側端部を係合することによって、隣り合うプレキャスト壁体の接続角度を容易に変更できるので、堤体の曲線部を容易に施工できる。この場合、隣り合うプレキャスト壁体の接合部は被覆部材によって被覆できるので、止水性も容易に確保できる。
そして、鋼製立上部に鋼製縦材を接合し、次に、この鋼製縦材にプレキャスト壁体の側端部を係合することで、鋼製縦材を介して隣り合う前記プレキャスト壁体を横方向に接合し、その後、隣り合うプレキャスト壁体の接合部を被覆部材によって鋼製縦材ごと被覆することによって、堤体を容易に施工できる。
また、被覆コンクリートに設けられた貫通孔を通して充填材を筒部に充填するとともに貫通孔に充填するので、筒部と鋼製杭頭接合部材との間に容易かつ確実に充填材を充填して筒部と鋼製杭頭接合部材とを容易に一体化できるとともに、施工の際に貫通孔を通して、筒部と鋼製杭頭接合部材との間に確実に充填材が充填されているかを確認できる。したがって、充填材の施工および施工管理を容易に行える。
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態における堤体の概略構成を示す斜視図、図2は堤体構成部材の概略構成を杭とともに示す斜視図、図3は堤体構成部材の概略構成を示す斜視図、図4はプレキャスト壁体の接合部を示す平断面図である。なお、図2では、図示を分かりやすくする都合上、本来見えない内部構造を実線で記載している箇所もある。
図1において符号1は堤体、符号2は杭、符号3はフーチング部、符号4はプレキャスト壁体を示す。
鋼管杭2の上端部は後述する鋼製杭頭接合部材6が挿入される筒部2aとなっており、この筒部2aの内周面にはずれ止め用の突起2bが設けられている。この突起2bは円形のリング状に形成され、筒部2aの下部に軸方向に所定間隔で複数設けられている。
鋼製横材5の両端部には下方に突出する鋼製杭頭接合部材6がそれぞれ接合されている。この鋼製杭頭接合部材6は断面四角形の角筒状の鋼材によって構成されているが、これに限ることなく、H形鋼等の鋼材で構成してもよい。この鋼製杭頭接合部材6の下端部の外周面にはずれ止め用の突起6bが設けられている。この突起6bは四角形のリング状に形成され、鋼製杭頭接合部材6の下部に軸方向に所定間隔で複数設けられている。
鋼製杭頭接合部材6と筒部2aとの間にはコンクリート等からなる充填材が充填されており、これによって鋼製杭頭接合部材6と筒部2aとが一体化されている。また、突起2b,6bに充填材を介して軸力が作用し、これによって筒部2aに対する鋼製杭頭接合部材6のずれ止めや抜け止めがなされている。
図2および図3では鋼製立上部7および鋼製縦材8はそれぞれ四角筒状に図示しているが、本実施の形態では実際は鋼製立上部7および鋼製縦材8はそれぞれH形鋼によって構成されている。なお、鋼製立上部7の高さは適宜設定されるが、プレキャスト壁体4の下端部の側端部が係合されるので、鋼製縦材8の下端部を構成するものである。
そして、図3に示すように、鋼製横材5を有するフーチング部3と、鋼製杭頭接合部材6と、鋼製立上部7とによって堤体構成部材11が構成されている。
鋼製縦材8はH形鋼によって構成されているので、図4に示すように、そのフランジ8a,8aとウエブ8bによって構成される凹溝状の係合部12にプレキャスト壁体4の側端部が嵌め込まれることによって、当該係合部12にプレキャスト壁体4の側端部が係合されている。係合部12の幅つまりフランジ8a,8a間の距離は、プレキャスト壁体4の厚さとほぼ等しいか、所定の寸法だけ大きくなっている。なお、係合部12の幅がプレキャスト壁体4の厚さとほぼ等しくなっており、この係合部12にプレキャスト壁体4の側端部が隙間なく係合する場合には、後述する充填材16を充填しなくてもよい場合がある。
この被覆部材15は断面コ字形に形成された鉄筋コンクリート製のプレキャスト部材であり、その両端部がプレキャスト壁体4,4の側端部の表面に当接されている。被覆部材15には、その裏面から突出するフック部材15aが設けられており、このフック部材15aが鋼製縦材8のフランジ8aに設けられた図示しない係止部に係止されることで、被覆部材15はプレキャスト壁体4,4に固定されている。
そして、このようにして固定された被覆部材15,15を型枠としてその内側のコンクリート等の充填材16が充填されている。
まず、堤体1を施工する地盤に鋼管杭2を所定間隔で2列、例えば圧入や中堀工法等の適宜の方法で施工する。鋼管杭2の並列方向におけるピッチはプレキャスト壁体4の幅寸法とほぼ等しく設定する。また、鋼管杭2の列間のピッチ(距離)は堤体構成部材11の鋼製杭頭接合部材6,6間の距離とほぼ等しく設定する。
このような堤体構成部材11の設置を全ての鋼管杭2に対して同様にして行うことによって、堤体構成部材11を所定間隔で設置する。
次に、隣り合う鋼製縦材8,8間にプレキャスト壁体4をクレーン等によって吊り下げて配置するともに、当該プレキャスト壁体4の両側端部をそれぞれ鋼製縦材8,8の対向する係合部12,12に上方から吊り降ろしながら嵌め込んで係合することによって、鋼製縦材8を介して隣り合うプレキャスト壁体4を横方向に接合する。
この場合、図4に示すように、鋼製縦材8を介して隣り合うプレキャスト壁体4,4どうしを連結部材13によって連結した後、被覆部材15の両端部をプレキャスト壁体4,4の側端部の表面に当接するとともに、被覆部材15の裏面から突出するフック部材15aを鋼製縦材8のフランジ8aに設けられた図示しない係止部に係止することによって、被覆部材15をプレキャスト壁体4,4に固定する。
そして、このようにして固定された被覆部材15,15を型枠としてその内側にコンクリート等の充填材16を充填する。この充填材16が固化することによって、プレキャスト壁体4と鋼製縦材8、さらには被覆部材15が一体化して、連続した堤体1となる。
被覆部材15Aは曲線部の施工に対応させて複数種類を用意しておくことで、容易に対処できる。
なお、堤体1の曲線部を施工する場合、それに対応させて鋼管杭2を施工するとともに、当該鋼管杭2に前記と同様にして堤体構成部材11を設置する。
なお、図5(b)および(c)においては、被覆部材15等は図示を省略してある。
2本の鋼製縦材8,8を使用する場合、鋼製縦材8,8の配置角度を変更することによって、プレキャスト壁体4,4の接続角度を容易に変更できるという利点がある。
したがって、プレキャスト壁体4の重量を従来に比して軽減できるので、施工性がよく全体として施工の短縮化を図ることができる。
また、鋼製縦材8の係合部12にプレキャスト壁体4の側端部を係合しているので、堤体1の曲線部においては、プレキャスト壁体4の鋼製縦材8に対する角度を変えて当該プレキャスト壁体4の側端部を係合部12に係合することによって、隣り合うプレキャスト壁体4,4の接続角度を容易に変更できるので、堤体1の曲線部を容易に施工できる。この場合、隣り合うプレキャスト壁体4,4の接合部は被覆部材15Aによって被覆できるので、止水性も容易に確保できる。
また、隣り合うプレキャスト壁体4,4どうしが連結部材13によって連結されているので、地震時の揺れによって、隣り合うプレキャスト壁体4,4どうしが離れるのを防止できる。したがって、この点においても、隣り合うプレキャスト壁体4,4の接合部の破損や目開きを抑制できる。
また、被覆部材15(15A)が型枠となるので、別途型枠を用意する必要もなく、さらに、被覆部材15(15A)が充填材16を介してプレキャスト壁体4や鋼製縦材8に密着するので、被覆部材15(15A)の固定強度や止水性を十分に確保できる。
また、鋼管杭2の上方から堤体構成部材11を吊り降ろして筒部2aに鋼製杭頭接合部材6を挿入したうえで、貫通孔10を通して充填材を筒部2aに充填するとともに貫通孔10に充填することで、鋼管杭2とフーチング部3とを容易に接合できる。
そして、鋼製立上部7に鋼製縦材8を接合し、次に、この鋼製縦材8の係合部12にプレキャスト壁体4の側端部を係合することで、鋼製縦材8を介して隣り合うプレキャスト壁体4,4を横方向に接合し、その後、隣り合うプレキャスト壁体4,4の接合部を被覆部材15(15A)によって鋼製縦材8ごと被覆し、被覆部材15(15A)を型枠としてその内側に充填材16を充填することによって、堤体1を容易に施工できる。
第1変形例〜第3変形例の堤体構成部材11A〜11Cが図3に示す堤体構成部材11と異なる点は、鋼製立上部および当該鋼製立上部と鋼製縦材8との接合構造であるので、以下ではこの点について説明し、堤体構成部材11と共通の構成部分には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
そして、立上プレート7a,7aに鋼製縦材8の下端部を挿入して、当該立上プレート7aと鋼製縦材8のフランジを図示しないボルトによってボルト接合することによって、鋼製立上部7Aに鋼製縦材8を現場で接合するようになっている。
このような堤体構成部材11Aでは、現場での鋼製立上部7Aと鋼製縦材8との接合が鋼製立上部7と鋼製縦材8との接合より容易であるという利点がある。
そして、鋼管(鋼製立上部)7Bに鋼製縦材8の下端部を挿入したうえで、現場で鋼管7Bにコンクリート等の充填材を充填することによって鋼製立上部7Bに鋼製縦材8を現場で接合するようになっている。
このような堤体構成部材11Bでは、鋼製縦材8の断面形状に拘らず鋼製縦材8と鋼製立上部7Bの接合が容易であるという利点がある。
なお、第2変形例では、鋼製立上部7Bの内周面や鋼製縦材8の下端部外周面にリング状やスパイラル状のずれ止め用の突起を設けてもよい。
すなわち、現場で円筒状の鋼管7Cを鋼製立上部7に外挿したうえで、現場で鋼管7Cにコンクリート等の充填材を充填することによって鋼製立上部7に鋼製縦材8を現場で接合するようになっている。鋼管7Cの高さは鋼製立上部7より高くなっており、当該鋼管7Cの下端開口はフーチング部3の上面に当接されて塞がれている。したがって、鋼管7Cの上端開口から充填材を充填しても、当該充填材が下端開口から漏れ出ることはない。
このような堤体構成部材11Cでは、鋼製縦材8の断面形状に拘らず鋼製縦材8との接合が容易であるともに、溶接接合より施工が容易であるという利点がある。
なお、第3変形例では、鋼製縦材8の下端部外周面、鋼製立上部7の外周面や鋼管7Cの内周面にリング状やスパイラル状のずれ止め用の突起を設けてもよい。
第1変形例および第2変形例の接合構造が前記第1の実施の形態の接合構造と異なる点はプレキャスト壁体4,4の連結構造および被覆部材15の接合構造であるので、以下ではこの点について説明し、第1の実施の形態における接合構造と共通部分には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
一方、プレキャスト壁体4の側端面には断面T字形の溝4aがプレキャスト壁体4の高さ方向に沿って形成されており、当該溝4aはプレキャスト壁体4の上端面および下端面に開口している。
そして、溝4aに連結部材20が嵌合されることによって、隣り合うプレキャスト壁体4,4が連結されている。
溝4aに連結部材20を嵌合する場合、立設されている鋼製縦材8にプレキャスト壁体4の下端面に開口している溝4aを嵌め込みながら下方にスライドするようにして行う。
一方、被覆部材15の端面には凹部15bが被覆部材15の高さ方向に沿って、あるいは高さ方向に所定間隔で設けられている。
そして、凸部4bに凹部15bが嵌合されることによって、被覆部材15がプレキャスト壁体4の表面に位置決め固定されている。
また、凸部4bに凹部15bが嵌合されることによって、被覆部材15の位置決めを容易かつ確実に行うことができるという利点もある。
一方、プレキャスト壁体4の表面には溝4cがプレキャスト壁体4の高さ方向に沿って形成されており、当該溝4cはプレキャスト壁体4の上端面および下端面に開口している。
そして、溝4cに連結部材21が嵌合されることによって、隣り合うプレキャスト壁体4,4が連結されている。
溝4cに連結部材21を嵌合する場合、立設されている鋼製縦材8にプレキャスト壁体4の下端面に開口している溝4cを嵌め込みながら下方にスライドするようにして行う。
そして、凸部4d,4d間に被覆部材15の端部が嵌合されることによって、被覆部材15がプレキャスト壁体4の表面に位置決め固定されている。
また、凸部4d,4d間に被覆部材15の端部が嵌合されることによって、被覆部材15の位置決めを容易かつ確実に行うことができるという利点もある。
図11および図12は第2実施の形態を示すもので、図11は堤体の概略構成を示す斜視図、図12は堤体構成部材の概略構成を杭とともに示す斜視図である。なお、図12では、図示を分かりやすくする都合上、本来見えない内部構造を実線で記載している箇所もある。
図11および図12に示す堤体1が図1および図2に示す堤体1と異なる点は、フーチング部3に対するプレキャスト壁体4の位置であるので、以下ではこの点について説明し、図1および図2に示す堤体1と共通構成部分には同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
図12に示すように、本実施の形態の堤体1を構成する堤体構成部材31では、2本ある鋼製杭頭接合部材6,6のうち一方の鋼製杭頭接合部材6を上方に延出させて、この延出した部分を鋼製立上部32としている。
そして、鋼製立上部32に第1の実施の形態と同様にして鋼製縦材8が現場で溶接接合されるようになっている。
さらに、本実施の形態では、フーチング部3を被覆コンクリート9を有する構成としたが、鋼製横材5、鋼製杭頭接合部材6および鋼製立上部7等に防錆処理が施されていれば、必ずしも被覆コンクリート9は設けなくてもよい。
図13および図14は第3実施の形態を示すもので、図13は堤体の概略構成を示す斜視図、図12は鋼製縦材を杭によって支持した状態を示す斜視図である。なお、図14では、図示を分かりやすくする都合上、本来見えない内部構造を実線で記載している箇所もある。
図13および図14において符号1Aは堤体、符号2は杭、符号4はプレキャスト壁体を示す。
鋼管杭2の上端部は鋼製縦材8の下端部が挿入される筒部2aとなっており、この筒部2aの内周面にはずれ止め用の突起2bが設けられている。この突起2bは円形のリング状に形成され、筒部2aの下部に軸方向に所定間隔で複数設けられている。
鋼製縦材8の下端部の外周面にはずれ止め用の突起8cが設けられている。この突起8cは鋼製縦材8のフランジ8aの外面に鋼製縦材8の軸方向と直交して形成され、鋼製縦材8の下端部に軸方向に所定間隔で複数設けられている。なお、突起8cを鋼製縦材8のウエブにも設けてもよい。
鋼製縦材8の下端部と筒部2aとの間にはコンクリート等からなる充填材が充填されており、これによって鋼製縦材8と筒部2aとが一体化されている。また、突起2b,8cに充填材を介して軸力が作用し、これによって筒部2aに対する鋼製縦材8のずれ止めや抜け止めがなされている。
鋼製縦材8はH形鋼によって構成されており、図4に示すように、そのフランジ8a,8aとウエブ8bによって構成される凹溝状の係合部12にプレキャスト壁体4の側端部が嵌め込まれることによって、当該係合部12にプレキャスト壁体4の側端部が係合されている。
また、係合部12の構成、隣り合うプレキャスト壁体4,4どうしを連結部材13によって連結する構成、隣り合うプレキャスト壁体4,4に、これらの接合部を鋼製縦材8ごと覆う被覆部材15を設ける構成、被覆部材15,15を型枠としてその内側のコンクリート等の充填材16が充填されている構成等は、第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
このような鋼製縦材8の設置を全ての鋼管杭2に対して同様にして行うことによって、鋼製縦材8を所定間隔で設置する。
この被覆部材15による被覆は第1の実施の形態と同様にして行い、最後に、被覆部材15,15を型枠としてその内側にコンクリート等の充填材16を充填する。この充填材16が固化することによって、プレキャスト壁体4と鋼製縦材8、さらには被覆部材15が一体化して、連続した堤体1Aとなる。
また、堤体1Aの曲線部の施工は第1の実施の形態と同様にして行う。
したがって、プレキャスト壁体4の重量を従来に比して軽減できるので、施工性がよく全体として施工の短縮化を図ることができる。
また、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
2 鋼管杭(杭)
3 フーチング部
4 プレキャスト壁体
5 鋼製横材
6 鋼製杭頭接合部材
7,7A,7B 鋼製立上部
8 鋼製縦材
9 被覆コンクリート
10 貫通孔
11,11A,11B,11C 堤体構成部材
15 被覆部材
16 充填材
31 堤体構成部材
32 鋼製立上部
Claims (8)
- 杭と、
この杭に支持されたフーチング部と、
このフーチング部の上方に配置されたプレキャスト壁体とを備えた堤体であって、
前記フーチング部は鋼製横材を有し、
この鋼製横材に鋼製縦材が接合され、
前記プレキャスト壁体の側端部が前記鋼製縦材に係合されることで、当該鋼製縦材を介して隣り合う前記プレキャスト壁体が横方向に接合され、
前記鋼製横材に下方に突出する鋼製杭頭接合部材が接合され、
前記杭は少なくとも上端部に筒部を有しており、
この筒部に前記鋼製杭頭接合部材が挿入され、
前記フーチング部は前記鋼製横材と前記鋼製縦材の下端部を覆う被覆コンクリートとを有しており、
この被覆コンクリートに上下に貫通する貫通孔が設けられ、この貫通孔に前記鋼製杭頭接合部材の上端部が配置され、前記貫通孔を通して、前記鋼製杭頭接合部材が挿入されている前記筒部に充填材が充填されるとともに前記貫通孔に前記充填材が充填されていることを特徴とする堤体。 - 杭と、
この杭に支持されたフーチング部と、
このフーチング部の上方に配置されたプレキャスト壁体とを備えた堤体であって、
前記フーチング部は鋼製横材を有し、
この鋼製横材に鋼製立上部が接合され、この鋼製立上部に鋼製縦材が接合され、
前記プレキャスト壁体の側端部が前記鋼製縦材に係合されることで、当該鋼製縦材を介して隣り合う前記プレキャスト壁体が横方向に接合され、
前記鋼製立上部の下端側から前記被覆コンクリートの下方に延出する鋼製杭頭接合部材が設けられ、
前記杭は少なくとも上端部に筒部を有しており、
この筒部に前記鋼製杭頭接合部材が挿入され、
前記フーチング部は前記鋼製横材を覆う被覆コンクリートとを有しており、
この被覆コンクリートに上下に貫通する貫通孔が設けられ、この貫通孔に前記鋼製杭頭接合部材が配置され、前記貫通孔を通して、前記鋼製杭頭接合部材が挿入されている前記筒部に充填材が充填されるとともに前記貫通孔に前記充填材が充填されていることを特徴とする堤体。 - 隣り合う前記プレキャスト壁体の接合部を前記鋼製縦材ごと被覆する被覆部材を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の堤体。
- 前記被覆部材を型枠としてその内側に充填材が充填されていることを特徴とする請求項3に記載の堤体。
- 隣り合う前記プレキャスト壁体どうしが連結部材によって連結されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の堤体。
- 前記連結部材が前記鋼製縦材に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の堤体。
- 杭に接合されるとともに隣り合うプレキャスト壁体に係合して前記プレキャスト壁体を横方向に接合する鋼製縦材に接合される堤体構成部材であって、
鋼製横材を有するフーチング部と、前記鋼製横材に接合されて、上方に立ち上がるとともに、前記鋼製縦材が接合される鋼製立上部と、前記鋼製横材に接合されて、下方に突出する鋼製杭頭接合部材とを有し、
前記フーチング部は前記鋼製横材と前記鋼製立上部の下端部を覆う被覆コンクリートとを有し、
この被覆コンクリートに上下に貫通する貫通孔が設けられ、この貫通孔に前記鋼製杭頭接合部材の上端部が配置されることにより、
少なくとも上端部に筒部を有する前記杭の前記筒部に前記鋼製杭頭接合部材を挿入した状態で前記貫通孔を通して充填材を前記筒部および前記貫通孔に充填可能となっていることを特徴とする堤体構成部材。 - 請求項7に記載の堤体構成部材を用いて堤体を施工する堤体施工方法であって、
少なくとも上端部に筒部を有する杭を地盤に施工しておき、前記杭の上方から前記堤体構成部材を吊り降ろして前記筒部に前記鋼製杭頭接合部材を挿入したうえで、前記貫通孔を通して充填材を前記筒部に充填するとともに前記貫通孔に充填することで、前記杭と前記フーチング部とを接合し、
次に、前記鋼製立上部に鋼製縦材を接合し、
次に、前記鋼製縦材にプレキャスト壁体の側端部を係合することで、前記鋼製縦材を介して隣り合う前記プレキャスト壁体を横方向に接合することを特徴とする堤体施工方法。
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---|---|---|---|
JP2014045436A JP6241325B2 (ja) | 2014-03-07 | 2014-03-07 | 堤体、堤体構成部材および堤体の施工方法 |
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