JP5423134B2 - 基礎構造 - Google Patents
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Description
この発明では、フーチングの周辺を剛性の大きい矢板で締め切り、剛性の大きい矢板をフーチングに合体した状態で残置する構造としたから、地震時にフーチングに水平方向の荷重が作用しても、その水平荷重は矢板で受け止められ、受働抵抗を大きく採ることができ、水平荷重に対するフーチングの移動量を小さくでき、耐震性を向上させることができる。さらに、施工に要する面積も小さくできるとしている。
このような構造では、地上或いは地表近傍の構造物と固化体とが鋼矢板により連結され、複数の杭が固化体により深さ方向地中部において拘束され、これにより複数の杭の剛性は高められ、例えば、地震などにより地盤に液状化現象が生じても、杭と構造物の結合部で生じる曲げひずみは大幅に抑制されるとしている。
また、慣用の高圧噴射工法と比較して施工コストを格段に抑制することが可能になり、固化体は地中における隔壁内側に限定的に構築されるものであるため充分な品質確保が可能になるとしている。
この発明は、隣り合う杭と杭の間に鋼矢板を備え、杭と鋼矢板を嵌合させ、連結材を介してフーチングと一体化させる事で、地震が発生した際には、杭の先端支持力、杭と鋼矢板の周面摩擦力、及び杭と鋼矢板の受働抵抗により、地震により発生した応力に抵抗することができる。さらに、基礎を小型化でき、必要な用地を小さくすることができ、コンクリート等の経時硬化性材料の打設量も少なくすみ、地震時の水平力による回転に対して、基礎を構成する杭の本数、径、及び躯体強度を増大させること無く、また水平力、曲げモーメントによる杭体に発生する応力も減るため杭の板厚を低減でき、低コストで確実性の高い耐震性を発揮させることができるとしている。
<特許文献1の発明>
特許文献1に開示された発明においては、矢板とフーチングを構成する鉄筋を連結して一体化させるとしているが、具体的な記述が無く、どのようにして行うかが不明である。さらに、大きな曲げモーメントが作用する橋脚下部とフーチングの結合部に従来と変わらず工夫が無く、基礎部の水平荷重に対する剛性は向上しているが、橋脚を含めた全体挙動として耐震性が向上しているとはいえない。全体の耐震性を向上させるには、橋脚を大きくして、それに伴いフーチングも大きくする必要があり、コストがかかり、施工スペースも増大する。
特許文献2に開示された発明においては、薬液注入することを必須の要件としているが、薬液を注入した場合、地盤によっては所定の強度を得られないなど不確定要素が大きく、鋼矢板にリブなどを設けないと改良体との一体化を図るのは難しい。
また、薬液注入は、地下水汚染などの懸念も生じる。さらに、特許文献1と同様に、橋脚基部の剛性をあげるためには、フーチングを大きくする必要があり、コストがかかり、施工スペースも増大する。
特許文献3に開示された発明においては、杭と鋼矢板を継手で接続しているが、この継手は、両者を一体化して耐震性を有するに十分な剛性や強度が必要である。このような剛性や強度を得るために継手部にモルタル等を充填することも考えられるが、モルタル等を充填するのは非常に手間であり、またコストもかかる。また、鋼矢板に取り付けた連結材でフーチングとの一体化はできるが、橋脚とフーチングの接合構造は従来通りであり、特許文献1と同じ問題点を有する。
特許文献4〜6の発明においては、孔あき鋼板の孔にJ字形のアンカー鉄筋を掛着するとしているが、フーチングコンクリートにはコンクリートの割裂を防止するために多量のアンカー鉄筋が必要となる。
特許文献4〜6の発明は、そもそも杭との連成を想定しない直接基礎を対象としている。そのため、杭基礎に対応するためには、杭および鋼矢板の力学的役割および杭、鋼矢板、フーチング間の力の伝達機構を明確化した上で、力学的に成立する構成を考える必要がある。例えば、杭をフーチング内に定着させるためには、別途、接合のための多量の鉄筋およびずれ止めが必要となる。単純に足し算で付加すれば、鉄筋量が多くなって輻輳しコンクリートの施工性が悪くなり、結果として、フーチングの大型化にも繋がる。
前記鋼製矢板の内面に設けた係止部材と、該係止部材に係止して前記鋼製矢板の内周方向に沿うように設けられ、前記各鋼製矢板の連結を強化する連結強化部材とを備えたことを特徴とするものである。
以下、各構成を詳細に説明する。
鋼管杭3は、図1、図2に示すように、所定の間隔を離して4本施工されている。なお、図1、図2に示す例では鋼管杭3の数は4本であるが、その数や配置はフーチングに適合させる等により適宜変更できる。
鋼管杭3の支持形態としては、先端を強固な支持層や中間層に止めてもよく、摩擦杭として軟弱層に止めてもよい。
また、鋼管杭は本発明の杭の一態様であるが、本発明の杭の種類としては、鋼管杭の他、場所打ち杭、既製コンクリート杭などどのような種類の杭を適用してもよい。
鋼矢板5は、図3に示すように、ハット形のもので両端部に継手5aを有している。そして、両端部の継手5aを連結することによって、図2に示すように、平面視で略円形になっている。なお、鋼矢板5同士を連結するに際して、一般的な鋼矢板5に形成されている継手5a同士を連結してもよいが(図4参照)、鋼矢板5を連結して形成する形状によって、一般的な鋼矢板5に形成されている継手5aと継手5aの間に別途継手5a相互を連結する付属的な継手を介在させてもよい。
なお、鋼矢板5は本発明の鋼製矢板の一態様であるが、本発明の鋼製矢板は鋼矢板5の他に鋼管矢板を含む。
孔あき鋼板ジベル9は、図2に示すように、各鋼矢板5を円形に連結したときに内面側になる面に接合されている。孔あき鋼板ジベル9は、図1、図3に示すように、矩形状の板材からなり、縦方向に複数の孔11が形成されている。
各孔あき鋼板ジベル9の孔11の位置は、縦方向に少しずつずらして設けられており、孔11に挿通するパラレルワイヤー13を螺旋状に設置できるようにしている。
もっとも、各鋼矢板5に設置する各孔あき鋼板ジベル9は、すべて同じ位置に孔11を設けてもよく、その場合には、パラレルワイヤー13を同じ高さ位置の孔11に挿通させてリング状にすればよい。
孔あき鋼板ジベル9の孔11の周壁に通路12を設け、かつ隣接して設置されるもの同士で上下方向に少しずつずらして設けるようにしておけば、以下のようにパラレルワイヤー13の設置を極めて簡単に行うことが可能になる。
螺旋状に巻かれたパラレルワイヤー13を、円形に連結された鋼矢板5の内面側に挿入する。そして、パラレルワイヤー13を螺旋と反対方向に捻ることで、螺旋の径を広げ、その状態で、パラレルワイヤー13を、通路12を介して孔11に入れていく。このようにすることで、施行が容易で、かつ孔11に入れた状態ではパラレルワイヤー13が縮まろうとすることで、各鋼矢板5を拘束する。
なお、孔あき鋼板ジベル9は、パラレルワイヤー13を止める係止部材としての機能に加えて、フーチングコンクリート7と鋼矢板5とを接合するジベル(ずれ止め)として機能するので、より好ましい。
パラレルワイヤー13は、孔あき鋼板ジベル9の孔11に螺旋状に挿通されて(図6参照)各鋼製矢板の連結を強化するものである。パラレルワイヤー13は、図7に示すように、複数本の鋼線が束ねられてなるものであり、通常のワイヤーのように捩られていないので、張力が作用したときにも緩みが少ない。そのため、鋼矢板5で囲まれた空間にフーチングコンクリート7を打設したときに、鋼矢板5で形成された円筒体が膨らもうとしたときに、それに対して効果的に抵抗し、結果としてフーチングコンクリート7に対する拘束力が高い。
なお、鉄筋17を用いる場合においては、鉄筋17は周方向に連続したものでなくてもよい。例えば複数の鉄筋17を繋ぎ目で所定長さ重なるように配置すれば、重なり合う鉄筋同士がフーチングコンクリート7を介して接続され、鉄筋17自体が連続しているのと同様の効果が得られる。
パラレルワイヤー13は螺旋状に設置してもよいし、リング状に設置してもよい。
また、鋼矢板5とフーチングコンクリート7とは、孔あき鋼板ジベル9とこの孔11に挿通させたパラレルワイヤー13がシアコネクタの役目を兼ねるにより、一体化される。その結果、フーチングコンクリート7は深さ方向にも拘束され、フーチングコンクリート7の周方向のひび割れも抑制される。なお、鋼矢板5もフーチングコンクリート7と一体化されるため、座屈耐荷力が向上する。
鋼管橋脚1は外径2.5mで板厚25mm、フーチングの外径は6.2m、フーチングの厚さは3.8m、4本の鋼管杭3は外径1.2mで板厚40mm、鋼矢板5の形状は幅900mm高さ230mm板厚10.8mmである。
鋼矢板5に設置する孔あき鋼板ジベル9は150mm×25mmの断面で、孔径50mmが200mmピッチで設けられている。フーチングの厚さは3.8mで鋼管橋脚1が3.75m、鋼管杭3が1.8mフーチング内に埋め込まれている。パラレルワイヤー13はPWS19である。コンクリートは、鋼矢板5で囲まれた円筒内、および鋼管杭内(杭頭部のみ)、ならびに鋼管橋脚内地上2mより下方に充填している。
地中に鋼管杭3と鋼管杭3を囲むように鋼矢板5を施工する(図9参照)。そして、鋼矢板5で囲まれた略円筒内の土壌19をフーチング底面位置まで掘削する(図10参照)。
土壌19を掘削すると、鋼矢板5に設置された孔あき鋼板ジベル9がフーチング厚さの範囲に現れる。土壌掘削後、孔あき鋼板ジベル9の孔11にパラレルワイヤー13を挿通させて鋼矢板5が周方向に膨らまないように拘束する(図11参照)。このときパラレルワイヤー13一束を螺旋状に各鋼矢板5の孔あき鋼板ジベル9の孔11に挿通させる、あるいはパラレルワイヤー13を複数段リング状に各鋼矢板5の孔あき鋼板ジベル9の孔11に挿通させる。
その後、略円筒中央に鋼管橋脚1を建て込み、コンクリートを鋼矢板5で囲まれた略円筒内、および鋼管杭3内、ならびに鋼管橋脚1内に充填する(図12参照)。
最後に、フーチング上に土壌19を被せる(図13参照)。
5a 継手 7 フーチングコンクリート 9 孔あき鋼板ジベル
11 孔 13 パラレルワイヤー 17 鉄筋
Claims (2)
- 杭と該杭の上部を囲むように設置された複数の鋼製矢板とを備え、該鋼製矢板で囲まれた空間にフーチングコンクリートを打設してなる基礎構造であって、
前記各鋼製矢板の内面に設けた係止部材と、該各係止部材に係止して前記鋼製矢板の内周方向に沿うように設けられ、前記各鋼製矢板の連結を強化する連結強化部材とを備えてなり、
前記係止部材は、縦方向に複数の孔を有する孔あきジベルであり、前記連結強化部材は前記孔あきジベルの孔に挿通された螺旋状に巻かれたパラレルワイヤーであり、
前記各孔あきジベルの孔が縦方向に少しずつずらして設けてあり、かつ前記孔の周壁側から前記孔へ前記パラレルワイヤーの挿入を可能にする通路を有していることを特徴とする基礎構造。 - 鋼製矢板で形成される基礎構造の平面形状が円形であることを特徴とする請求項1に記載の基礎構造。
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