JP6221793B2 - 運動変換装置およびクラッチアクチュエータ - Google Patents

運動変換装置およびクラッチアクチュエータ Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、運動変換装置およびクラッチアクチュエータに関する。
従来、クラッチのレリーズ部材を動作させるクラッチアクチュエータがある(例えば、特許文献1)。この種のクラッチアクチュエータには、クラッチの完全継合状態(クラッチオン)でのダイヤフラムスプリングの押圧により、レリーズ部材(可動部材)からの逆駆動力が作用する。レリーズ部材からの逆駆動力に対抗してレリーズ部材の位置を保持する構成として、電動モータに通電して逆駆動力と釣り合うよう動力を生じさせるものが知られている。
特開2003−194101号公報
しかしながら、電動モータに通電してレリーズ部材の位置を保持する構成では、電力消費量が増えるという問題がある。このため、この種のクラッチアクチュエータでは、電力を用いずにレリーズ部材の位置を保持することが可能な新規な構成が望まれている。
実施形態の運動変換装置は、電動モータと、前記電動モータの回転運動を可動部材の直線運動に変換する変換機構と、を備え、前記変換機構は、前記電動モータの駆動力によって支軸回りに回転駆動される回転部材と、前記支軸とは異なる位置で前記回転部材に設けられ、軸方向が前記支軸の軸方向と平行な第一の連結軸と、軸方向が前記支軸の軸方向と平行な第二の連結軸と、ロッドと、を有し、前記ロッドは、前記第一の連結軸を介して前記回転部材に連結され、前記第一の連結軸回りに回転可能な第一の連結部と、前記第二の連結軸を介して前記可動部材に連結され、前記第二の連結軸回りに回転可能な第二の連結部と、を有し、前記電動モータへの通電が停止された場合に、規制位置に位置することにより前記可動部材の直線運動を規制し、前記規制位置は、前記支軸の軸方向の視線において、前記支軸の軸心と前記第一の連結軸の軸心と前記第二の連結軸の軸心とが同一直線上に位置した場合における前記ロッドの位置を含む。したがって、該運動変換装置によれば、電力を用いずに可動部材の位置を保持することができる新規な構成を得ることができる。
前記運動変換装置は、前記支軸の軸方向の視線において、前記支軸の軸心と前記第一の連結軸の軸心と前記第二の連結軸の軸心とが同一直線上に位置した場合における前記回転部材の位置、に向かう方向とは逆方向への前記回転部材の移動を、前記回転部材と当接して規制するストッパ部を備え、前記規制位置は、前記回転部材が前記ストッパ部に当接した状態での前記ロッドの位置を含む。したがって、該運動変換装置によれば、ストッパ部と回転部材との当接によって、電力を用いずに可動部材の位置を保持することができる。
前記運動変換装置では、前記変換機構は、前記電動モータに連結されたギヤを有し、前記回転部材は、前記ギヤを介して前記電動モータの駆動力が伝達されるフェースギヤである。したがって、該運動変換装置によれば、電動モータの駆動力がウォームギヤとウォームホイールとによって伝達される場合に比べて、電動モータの動力の伝達を高効率にしやすい。よって、該運動変換装置によれば、電動モータの小型化や変換機構のギヤ比を小さくしやすい。
前記運動変換装置では、前記変換機構は、前記電動モータに連結されたギヤを有し、前記回転部材は、前記ギヤを介して前記電動モータの駆動力が伝達されるヘリカルギヤである。したがって、該運動変換装置によれば、電動モータの駆動力がウォームギヤとウォームホイールとによって伝達される場合に比べて、電動モータの動力の伝達を高効率にしやすい。よって、該運動変換装置によれば、電動モータの小型化や変換機構のギヤ比を小さくしやすい。
実施形態のクラッチアクチュエータは、電動モータと、前記電動モータの回転運動をレリーズ部材の直線運動に変換する変換機構と、を備え、前記変換機構は、前記電動モータの駆動力によって支軸回りに回転駆動される回転部材と、前記支軸とは異なる位置で前記回転部材に設けられ、軸方向が前記支軸の軸方向と平行な第一の連結軸と、軸方向が前記支軸の軸方向と平行な第二の連結軸と、ロッドと、を有し、前記ロッドは、前記第一の連結軸を介して前記回転部材に連結され、前記第一の連結軸回りに回転可能な第一の連結部と、前記第二の連結軸を介して前記レリーズ部材に連結され、前記第二の連結軸回りに回転可能な第二の連結部と、を有し、前記電動モータへの通電が停止された場合に、規制位置に位置することにより前記レリーズ部材の直線運動を規制し、前記規制位置は、前記支軸の軸方向の視線において、前記支軸の軸心と前記第一の連結軸の軸心と前記第二の連結軸の軸心とが同一直線上に位置した場合における前記ロッドの位置を含む。したがって、該クラッチアクチュエータによれば、電力を用いずにレリーズ部材の位置を保持することができる。
図1は、第1の実施形態にかかるクラッチ装置の断面図である。 図2は、第1の実施形態にかかるクラッチアクチュエータの断面図である。 図3は、第1の実施形態にかかるクラッチアクチュエータの断面図であって、図2のIII−III線に対応した断面図である。 図4は、第1の実施形態にかかるクラッチアクチュエータの断面図であって、フェースギヤが当接位置に位置した状態を示す図である。 図5は、第2の実施形態にかかるクラッチアクチュエータの断面図である。 図6は、第2の実施形態にかかるクラッチアクチュエータの断面図であって、ヘリカルギヤが当接位置に位置した状態を示す図である。
以下、図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態および変形例には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
[第1の実施形態]
本実施形態では、図1に示すように、クラッチ装置1は、クラッチ2(クラッチ部、クラッチ機構)と、クラッチ2を駆動するクラッチアクチュエータ3(運動変換装置)と、を備えている。クラッチ装置1は、一例として、車両に設けられる。なお、クラッチ装置1は、船舶や発電装置等に設けられてもよい。
クラッチ2は、図示しないエンジンと変速機との間に設けられる。本実施形態では、クラッチ2は、乾式・単板・ダイヤフラムスプリング式の摩擦クラッチとして構成されている。詳細には、クラッチ2は、フライホイール4と、クラッチカバー5と、クラッチディスク6と、プレッシャープレート7と、ダイヤフラムスプリング8と、レリーズベアリング9と、を有している。なお、クラッチ2は、他の形式のものであってもよい。
フライホイール4は、エンジンのクランクシャフト(出力軸、図示せず)に固定され、クランクシャフトと一体に回転する。
クラッチカバー5は、フライホイール4のエンジンとは反対側の面を覆ってフライホイール4の外周部に固定され、フライホイール4およびクランクシャフトと一体に回転する。
クラッチディスク6は、両面に摩擦部材6aを有した摩擦板であり、エンジンの動力を変速機に伝達するものである。クラッチディスク6は、フライホイール4とプレッシャープレート7との間に位置している。クラッチディスク6は、該クラッチディスク6の中央部にて変速機の入力軸に連結されている。クラッチディスク6は、変速機の入力軸と相対回転不能である。また、クラッチディスク6は、変速機の入力軸に対して軸方向への移動が可能である。
プレッシャープレート7は、クラッチディスク6をフライホイール4側に押す。これにより、プレッシャープレート7は、クラッチディスク6をフライホイール4とで挟み込む。これにより、クラッチディスク6がフライホイール4と摩擦係合する。この摩擦係合によって、クラッチディスク6がフライホイール4と一体に回転する。プレッシャープレート7は、ストラップ(図示せず)によりクラッチカバー5と連結されて、クラッチカバー5の回転に伴って回転する。ストラップは、積層された複数枚の板ばねを有している。ストラップの一端部は、クラッチカバー5に固定されている。ストラップの他端部は、プレッシャープレート7に固定されている。ストラップは、フライホイール4からプレッシャープレート7が離間する方向に、プレッシャープレート7を付勢している。
ダイヤフラムスプリング8は、弾性を有し放射状に配置された複数の板部材を有している。また、ダイヤフラムスプリング8は、外端部がクラッチカバー5の支持部(図示せず)に支持されて、揺動可能となっている。また、ダイヤフラムスプリング8は、中間部がプレッシャープレート7をフライホイール4側に押圧可能となっている。また、ダイヤフラムスプリング8は、内端部がレリーズベアリング9をフライホイール4とは反対側に押圧する。ダイヤフラムスプリング8は、内端部がレリーズベアリング9によってフライホイール4側に押されることにより、中間部がプレッシャープレート7をフライホイール4側に押す。また、ダイヤフラムスプリング8は、内端部に対するレリーズベアリング9による押圧が解除されることで、中間部によるプレッシャープレート7の押圧を解除する。以上の動作によって、クラッチ装置1は、クラッチディスク6とフライホイール4との摩擦係合およびその解除の操作を行うことができる。
レリーズベアリング9(可動部材、レリーズ部材)は、ボールベアリングによって構成されている。レリーズベアリング9は、軸方向に沿って直線運動可能(往復動可能に)に設けられている。詳細には、レリーズベアリング9の内輪は、変速機の入力軸の外周を囲んだ状態で変速機のケースに支持されたスリーブに、軸方向に沿った直線移動可能に支持されている。一方、レリーズベアリング9の外輪は、ダイヤフラムスプリング8の内周部と当接してダイヤフラムスプリング8と一体に回転する。このような構成のレリーズベアリング9は、ダイヤフラムスプリング8の内周部をフライホイール4側に押圧してクラッチ2を継合状態にする。
また、本実施形態では、図1に示すように、クラッチアクチュエータ3は、筐体10と、電動モータ11と、電動モータ11の回転運動をレリーズベアリング9(可動部材)の直線運動に変換する変換機構12(クランク機構)と、を備えている。
本実施形態では、図2に示すように、筐体10は、電動モータ11が取り付けられたモータ取付部10aを有している。また、筐体10の内部には、変換機構12の少なくとも一部を収容した収容部10bが設けられている。また、収容部10bには、ストッパ部10cが設けられている。また、筐体10は、複数の部品(分割体)が組み合わせられて構成されている。筐体10は、車体に固定される。
電動モータ11は、直流モータである。電動モータ11は、制御装置からの給電に応じて出力軸11a(出力軸)が正逆方向に回転(回転運動)する。出力軸11aの先端部は、筐体10の収容部10b内に位置している。
変換機構12は、図1,2に示すように、入力ギヤ13(ギヤ)と、フェースギヤ14(ギヤ、回転部材)と、ロッド15と、レリーズフォーク16と、を有している。
入力ギヤ13は、螺子状に捩れた歯部13aを有した棒状(軸状)のヘリカルギヤである。入力ギヤ13は、電動モータ11の出力軸11aと同軸上に位置した状態で、筐体10の収容部10bに収容されている。本実施形態では、入力ギヤ13は、棒状部材の一部に歯部13aが設けられた構成となっている。入力ギヤ13は、両端部が軸受17によって回転可能に支持されるとともに一端部が出力軸11aに結合されて、出力軸11aと一体に回転する。すなわち、入力ギヤ13は、電動モータ11によって回転駆動される。
フェースギヤ14は、図2,3に示すように、概略扇状の板状の外形を有している。ここで、図3は、図2のIII−III線に対応した断面図である。フェースギヤ14は、支軸18回りに回転可能に支軸18に支持されている。支軸18の軸方向(軸方向)は、電動モータ11の出力軸11aの軸方向と直交している。また、フェースギヤ14は、支軸18回りに設けられた扇状部14aを有し、この扇状部14aの一面に歯部14bが設けられている。フェースギヤ14は、入力ギヤ13と噛み合っている。フェースギヤ14は、入力ギヤ13を介して伝達された電動モータ11の駆動力によって、支軸18回りに回転駆動される。また、本実施形態では、支軸18回りの方向での扇状部14aの端部14c(当接部)が、筐体10のストッパ部10cと接離可能となっている。フェースギヤ14は、入力ギヤ13とともに、減速機構を構成している。
ロッド15は、図2,3に示すように、長手方向の一端部が筐体10の収容部10bの内部に位置し、長手方向の他端部が収容部10bの外部に位置している。また、ロッド15は、フェースギヤ14における入力ギヤ13とは反対側に位置している。ロッド15は、両端部に連結部15a,15bを有している。連結部15a(第一の連結部)には、連結軸19(第一の連結軸、軸)が貫通しており、連結部15aは、連結軸19を介して、フェースギヤ14に連結されている。連結部15aは、連結軸19回りに回転可能である。連結軸19は、支軸18とは異なる位置でフェースギヤ14に連結されている。詳細には、連結軸19は、フェースギヤ14の歯部14bと支軸18との間で扇状部14aを貫通して、フェースギヤ14から入力ギヤ13とは反対側に突出している。連結軸19は、フェースギヤ14に固定または相対回転可能に連結されている。連結軸19の軸方向は、支軸18の軸方向と平行である。一方、連結部15b(第二の連結部)は、連結軸20(第二の連結軸)およびレリーズフォーク16を介してレリーズベアリング9に連結されている。
レリーズフォーク16(連結部材)は、図1に示すように、概略棒状の外形を有している。レリーズフォーク16は、筐体10の外部で、ロッド15とレリーズベアリング9との間に介在している。レリーズフォーク16は、長手方向の両端部に連結部16a,16bを有している。連結部16a(第三の連結部)には、連結軸20が貫通しており、連結部16aは、連結軸20を介してロッド15の連結部15bに連結されている。連結軸20の軸方向は、支軸18の軸方向と平行である。連結部16aおよびロッド15の連結部15bは、連結軸20回りに回転可能である。一方、連結部16bは、レリーズベアリング9に連結されている。具体的には、連結部16bは、レリーズベアリング9に設けられた凹状の連結部9aに摺動可能に嵌められている。また、レリーズフォーク16は、連結部16aと連結部16bとの間の部分(中間部)で、支軸21に回転可能に支持されている。支軸21の軸方向は、支軸18の軸方向と平行である。支軸21は、変速機のケースに支持されている。レリーズフォーク16は、連結部16a(連結軸20)を力点、支軸21を支点、連結部16b(連結部9a)を作用点とした梃子として動作する。
上記構成のクラッチアクチュエータ3では、フェースギヤ14は、図4に示す第一の位置(当接位置)と、図1に二点鎖線で示す第二の位置との間で揺動可能となっている。また、ロッド15およびレリーズフォーク16は、図4に示す第一の位置と、図1に二点鎖線で示す第二の位置との間で往復動可能となっている。第一の位置と第二の位置との間には、死点が含まれる(図1の実線の位置、図2の位置)。死点は、支軸18の軸心18aと連結軸19の軸心19aと連結軸20の軸心20aとが、支軸18の軸方向の視線で同一直線L上に位置した場合の、変換機構12(フェースギヤ14、ロッド15およびレリーズフォーク16)の位置である。本実施形態では、死点は、連結軸19の軸心19aと連結軸20の軸心20aとの間に支軸18の軸心18aが位置する下死点である。本実施形態では、支軸18の軸心18aと連結軸20の軸心20aとの間に連結軸19の軸心19aが位置する上死点には、フェースギヤ14およびロッド15は移動しないように構成されている。第一の位置は、フェースギヤ14の端部14cがストッパ部10cに当接する位置であって、クラッチ2が完全継合状態となる位置である。ロッド15およびレリーズフォーク16が第一の位置に位置した場合、連結軸19の軸心19aは、支軸18の軸方向の視線で直線Lの一側方(図1,4での下側)に位置する。一方、第二の位置は、クラッチ2が断状態となる位置である。フェースギヤ14は、第一の位置に位置した状態から、ストッパ部10cから離れる方向に回転することで、第二の位置に移動する。ロッド15およびレリーズフォーク16が第二の位置に位置した場合、フェースギヤ14の端部14cは、ストッパ部10cから離れている。また、ロッド15およびレリーズフォーク16が第二の位置に位置した場合、連結軸19の軸心19aは、支軸18の軸方向の視線で直線Lの他側方(図1,4での上側)に位置する。また、ロッド15が死点(図2)から第一の位置(図4)までの範囲に位置している場合、クラッチ2に滑りが生じない、つまり、完全継合状態が維持される。ロッド15が死点(図2)から第一の位置(図4)までの範囲に位置している場合には、連結軸19の軸心19aは、支軸18の軸方向の視線で直線L上、または支軸18の軸方向の視線で直線Lの他側方(図1,4での下側)に位置する。
また、本実施形態では、フェースギヤ14およびロッド15は、電動モータ11への通電が停止された状態で死点を含む範囲に位置する。死点を含む範囲は、死点から第一の位置までの範囲である。本実施形態では、電動モータ11への通電が停止されたときの初期位置として、フェースギヤ14およびロッド15は、第一の位置(図4の位置)に位置する。フェースギヤ14およびロッド15が初期位置(第一の位置)に位置した状態から、電動モータ11が一方向に回転(正回転)するように電動モータ11に通電がなされると、入力ギヤ13から電動モータ11の動力が伝達されたフェースギヤ14が第二の位置(図1の二点鎖線の位置)へ移動する。そして、このフェースギヤ14の動作がロッド15を介してレリーズフォーク16に伝達される。レリーズフォーク16は、レリーズベアリング9をフライホイール4とは反対側(図1での右側)へ押圧する(移動させる)。これにより、クラッチディスク6とフライホイール4との摩擦係合が解除され、クラッチ2が断状態となる。また、クラッチ2の断状態から、電動モータ11が他方向に回転(逆回転)する通電がなされると、入力ギヤ13から電動モータ11の動力が伝達されたフェースギヤ14が初期位置(図4の位置)に復帰する。このフェースギヤ14の動作がロッド15を介してレリーズフォーク16に伝達される。レリーズフォーク16は、レリーズベアリング9をフライホイール4側(図1での左側)へ押圧する(移動させる)。これにより、クラッチディスク6とフライホイール4とがダイヤフラムスプリング8の押圧力によって摩擦係合し、クラッチ2が完全継合状態となる。
また、本実施形態では、上述したように、ロッド15が、死点から第一の位置までの範囲に位置した場合、クラッチ2は完全継合状態となる。ロッド15が死点から第一の位置までの範囲に位置している場合には、連結軸19の軸心19aは、支軸18の軸方向の視線で直線L上、または支軸18の軸方向の視線で直線Lの他側方に位置する。本実施形態では、電動モータ11への通電が停止された場合、フェースギヤ14およびロッド15が初期位置(図4の位置)に位置する。この場合のクラッチアクチュエータ3の状態を、以後、初期状態ともいう。そして、クラッチアクチュエータ3の初期状態で、クラッチ2からリーズフォーク16を介してロッド15に荷重が入力されると、ロッド15によるフェースギヤ14を揺動させるモーメントが生じる。例えば、連結部15bから連結部15aに向かう方向(図4での略右方向)へロッド15に荷重が入力された場合、ロッド15およびフェースギヤ14が死点に向かう方向へのモーメントが生じる。これにより、ロッド15およびフェースギヤ14は、死点に向かって移動する。死点では、ロッド15によるフェースギヤ14を揺動させるモーメントが生じないため、死点に到達したロッド15およびフェースギヤ14は、動かなくなり、死点で停止する。これにより、レリーズベアリング9の移動が規制される。また、クラッチアクチュエータ3の初期状態で、例えば、連結部15aから連結部15bに向かう方向(図4での略左方向)へロッド15に荷重が入力された場合、ロッド15によるフェースギヤ14を揺動させるモーメントが生じる。この場合のモーメントは、フェースギヤ14がストッパ部10cを押す方向へのモーメントである。この場合には、フェースギヤ14の端部14cがストッパ部10cに当接しているので、第一の位置から死点へ向かう方向とは逆方向へのフェースギヤ14およびロッド15の移動が規制される。これにより、レリーズベアリング9の移動が規制される。以上のように、本実施形態では、ロッド15は、電動モータ11への通電が停止された場合に、死点または第一の位置に位置することによりレリーズベアリング9の直線運動を規制する。本実施形態では、死点および第一の位置が規制位置に相当する。
以上説明したとおり、実施形態では、変換機構12は、フェースギヤ14と、連結軸19,20と、ロッド15と、を有している。フェースギヤ14は、電動モータ11の駆動力によって支軸18回りに回転駆動される。連結軸19は、支軸18とは異なる位置でフェースギヤ14に設けられている。連結軸19,20の軸方向は、支軸18の軸方向と平行である。ロッド15は、連結部15a,15bを有している。連結部15aは、連結軸19を介してフェースギヤ14に連結されている。連結部15aは、連結軸19回りに回転可能である。連結部15bは、連結軸20を介してレリーズベアリング9に連結されている。連結部15bは、連結軸20回りに回転可能である。そして、ロッド15は、電動モータ11への通電が停止された場合に、規制位置に位置することによりレリーズベアリング9の直線運動を規制する。規制位置は、支軸18の軸方向の視線において、支軸18の軸心18aと連結軸19の軸心19aと連結軸20の軸心20aとが同一直線上に位置した場合におけるロッド15の位置を含む。したがって、本実施形態によれば、電力を用いずにレリーズベアリング9の位置を保持することができる。よって、車両の燃費の向上や、制御装置の発熱の抑制を図ることができる。また、電動モータ11への通電が停止された状態で、レリーズベアリング9の移動を規制することができるので、電動モータ11の動力を伝達するギヤとして、動力伝達効率が高いギヤ(フェースギヤ14)を採用することができ、ひいては、電動モータ11の小型化や変換機構12のギヤ比を小さくしやすいとともに、クラッチアクチュエータ3の低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態では、変換機構12は、ストッパ部10cを備えている。ストッパ部10cは、支軸18の軸方向の視線において、支軸18の軸心18aと連結軸19の軸心19aと連結軸20の軸心20aとが同一直線上に位置した場合におけるフェースギヤ14の位置、に向かう方向とは逆方向へのフェースギヤ14の移動を、フェースギヤ14と当接して規制する。規制位置は、フェースギヤ14がストッパ部10cに当接した状態でのロッド15の位置を含む。したがって、本実施形態によれば、ストッパ部10cとフェースギヤ14との当接によって、電力を用いずにレリーズベアリング9の位置を保持することができる。
また、本実施形態では、変換機構12は、電動モータ11に連結された入力ギヤ13を有し、フェースギヤ14は、入力ギヤ13を介して電動モータ11の駆動力が伝達される。したがって、本実施形態によれば、電動モータ11の駆動力がウォームギヤとウォームホイールとによって伝達される場合に比べて、電動モータ11の動力の伝達を高効率にしやすい。よって、本実施形態によれば、電動モータ11の小型化や変換機構12の減速比を小さくしやすい。本実施形態では、入力ギヤ13とフェースギヤ14との動力伝達効率は、上記ウォームギヤとウォームホイールとの動力伝達効率よりも高くなっている。ここで、ウォームギヤとウォームホイールとの動力伝達効率は、40%〜50%程度であり、ウォームギヤとウォームホイールとで電動モータ11の動力を伝達する場合には、大出力の電動モータが必要であったり、変換機構の減速比を大きくする必要があるため、クラッチアクチュエータが大型化してしまう。
また、本実施形態では、クラッチ2の完全継合状態で電動モータ11への通電が停止される。クラッチ2は、変速機のギヤチェンジが行われる際に、断状態とされる。したがって、完全継合状態の時間の方が断状態の時間よりも長い(頻度が高い)ので、クラッチ2の完全継合状態で通電が停止されることにより、より車両の燃費の向上を図ることができる。
[第一の変形例]
本変形例では、ロッド15は、電動モータ11への通電が停止された場合、初期位置として、死点(図2の位置)と第一の位置(当接位置、図4の位置)との間の中間位置(図示せず)に位置する。つまり、クラッチアクチュエータ3の初期状態では、ロッド15が死点と第一の位置との間の中間位置に位置する。そして、クラッチアクチュエータ3の初期状態で、クラッチ2からリーズフォーク16を介してロッド15に荷重が入力されると、ロッド15によるフェースギヤ14を揺動させるモーメントが生じる。例えば、連結部15bから連結部15aに向かう方向(図4での略右方向)にロッド15に荷重が入力された場合、ロッド15およびフェースギヤ14が死点に向かう方向へのモーメントが生じる。これにより、ロッド15およびフェースギヤ14は、死点に向かって移動する。死点では、ロッド15によるフェースギヤ14を揺動させるモーメントが生じないため、死点に到達したロッド15およびフェースギヤ14は、動かなくなり、死点で停止する。よって、レリーズベアリング9の位置が保持される。また、クラッチアクチュエータ3の初期状態で、連結部15aから連結部15bに向かう方向にロッド15に荷重が入力された場合、ロッド15によるフェースギヤ14を揺動させるモーメントが生じる。この場合のモーメントは、フェースギヤ14およびロッド15が第一の位置(図4の位置)に向かう方向へのモーメントである。これにより、ロッド15およびフェースギヤ14は、第一の位置に向かって移動する。そして、第一の位置で、フェースギヤ14の端部14cがストッパ部10cと当接して、フェースギヤ14およびロッド15の移動が規制される。よって、レリーズベアリング9の位置が保持される。
[第二の変形例]
本変形例では、フェースギヤ14およびロッド15が、初期位置として、死点に位置する。つまり、クラッチアクチュエータ3の初期状態では、ロッド15が死点に位置する。クラッチアクチュエータ3の初期状態では、連結部15bから連結部15aに向かう方向またはその逆方向にロッド15に荷重が入力されたとしても、ロッド15によるモーメントは、生じない。このため、ロッド15およびフェースギヤ14は、移動しない。よって、レリーズベアリング9の位置が保持される。なお、フェースギヤ14の位置を検出するセンサを設けて、通電が停止された場合に、フェースギヤ14が初期位置で止まらなかったときには、センサの検出結果を用いてフェースギヤ14を初期位置に戻してよい。
なお、上記実施形態および変形例では、レリーズベアリング9によってダイヤフラムスプリング8の内端部をフライホイール4側に押圧することで、クラッチ2を完全接合状態とした例を説明したが、これに限るものではない。例えば、レリーズベアリング9によってダイヤフラムスプリング8の内端部をフライホイール4側に押圧することで、クラッチ2を断状態とする構成(図示せず)であってもよい。この場合、ダイヤフラムスプリング8は、外端部と内端部との中間部がクラッチカバー5の支持部(図示せず)に支持されて、クラッチカバー5の支持部を支点に揺動可能となっており、外端部でプレッシャープレート7をフライホイール4側に押圧する。また、この場合、レリーズフォーク16は、連結部16a(連結軸20)が力点、連結部16b(連結部9a)が支点、支軸21が作用点となるように、連結部16bと支軸21との位置を入れ替えてよい。
[第2の実施形態]
本実施形態は、図5,6に示すように、クラッチアクチュエータ3Aが、電動モータ11に連結された入力ギヤ13Aが、円盤(車)の外周部に歯部13aAを有するヘリカルギヤ(第一のヘリカルギヤ)である点と、入力ギヤ13Aに噛み合うギヤが円盤(車)の外周部に歯部14bAを有するヘリカルギヤ14A(第二のヘリカルギヤ)である点とが、第一の実施形態に対して異なる。以上の構成の本実施形態によれば、電動モータ11の駆動力がウォームギヤとウォームホイールとによって伝達される場合に比べて、電動モータの動力の伝達を高効率にしやすい。よって、本実施形態によれば、電動モータ11の小型化や変換機構12のギヤ比を小さくしやすい。本実施形態では、入力ギヤ13とフェースギヤ14との動力伝達効率は、上記ウォームギヤとウォームホイールとの動力伝達効率よりも高くなっている。
以上、本発明の実施形態および変形例を例示したが、上記実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、表示要素等のスペック(構造、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。例えば、ロッドが、電動モータへの通電が停止された状態で下死点を含む範囲に位置し、可動部材の移動を規制する構成であってもよい。また、例えば、運動変換装置を、車両のスライドドアを駆動するアクチュエータに適用してもよい。また、クラッチアクチュエータは、複数のクラッチを駆動してもよい。
3,3A…クラッチアクチュエータ(運動変換装置)、9…レリーズベアリング(可動部材、レリーズ部材)、10c…ストッパ部、11…電動モータ、12…変換機構、13,13A…入力ギヤ(ギヤ)、14…フェースギヤ(回転部材)、14A…ヘリカルギヤ、15…ロッド、15a…連結部(第一の連結部)、15b…連結部(第二の連結部)、18…支軸、18a…軸心、19…連結軸(第一の連結軸)、19a…軸心、20…連結軸(第二の連結軸)、20a…軸心、L…直線。

Claims (5)

  1. 電動モータと、
    前記電動モータの回転運動を可動部材の直線運動に変換する変換機構と、を備え、
    前記変換機構は、
    前記電動モータの駆動力によって支軸回りに回転駆動される回転部材と、
    前記支軸とは異なる位置で前記回転部材に設けられ、軸方向が前記支軸の軸方向と平行な第一の連結軸と、
    軸方向が前記支軸の軸方向と平行な第二の連結軸と、
    ロッドと、を有し、
    前記ロッドは、
    前記第一の連結軸を介して前記回転部材に連結され、前記第一の連結軸回りに回転可能な第一の連結部と、
    前記第二の連結軸を介して前記可動部材に連結され、前記第二の連結軸回りに回転可能な第二の連結部と、を有し、前記電動モータへの通電が停止された場合に、規制位置に位置することにより前記可動部材の直線運動を規制し、
    前記規制位置は、前記支軸の軸方向の視線において、前記支軸の軸心と前記第一の連結軸の軸心と前記第二の連結軸の軸心とが同一直線上に位置した場合における前記ロッドの位置を含む、運動変換装置。
  2. 前記支軸の軸方向の視線において、前記支軸の軸心と前記第一の連結軸の軸心と前記第二の連結軸の軸心とが同一直線上に位置した場合における前記回転部材の位置、に向かう方向とは逆方向への前記回転部材の移動を、前記回転部材と当接して規制するストッパ部を備え、
    前記規制位置は、前記回転部材が前記ストッパ部に当接した状態での前記ロッドの位置を含む、請求項1に記載の運動変換装置。
  3. 前記変換機構は、前記電動モータに連結されたギヤを有し、
    前記回転部材は、前記ギヤを介して前記電動モータの駆動力が伝達されるフェースギヤである請求項1または2に記載の運動変換装置。
  4. 前記変換機構は、前記電動モータに連結されたギヤを有し、
    前記回転部材は、前記ギヤを介して前記電動モータの駆動力が伝達されるヘリカルギヤである請求項1または2に記載の運動変換装置。
  5. 電動モータと、
    前記電動モータの回転運動をレリーズ部材の直線運動に変換する変換機構と、を備え、
    前記変換機構は、
    前記電動モータの駆動力によって支軸回りに回転駆動される回転部材と、
    前記支軸とは異なる位置で前記回転部材に設けられ、軸方向が前記支軸の軸方向と平行な第一の連結軸と、
    軸方向が前記支軸の軸方向と平行な第二の連結軸と、
    ロッドと、を有し、
    前記ロッドは、
    前記第一の連結軸を介して前記回転部材に連結され、前記第一の連結軸回りに回転可能な第一の連結部と、
    前記第二の連結軸を介して前記レリーズ部材に連結され、前記第二の連結軸回りに回転可能な第二の連結部と、を有し、前記電動モータへの通電が停止された場合に、規制位置に位置することにより前記レリーズ部材の直線運動を規制し、
    前記規制位置は、前記支軸の軸方向の視線において、前記支軸の軸心と前記第一の連結軸の軸心と前記第二の連結軸の軸心とが同一直線上に位置した場合における前記ロッドの位置を含む、クラッチアクチュエータ。
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