JP6209482B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、トレッド部に、タイヤ周方向に延びる主溝が形成され、該主溝の溝底には、所定の高さで突出したタイバーが形成された空気入りタイヤに関する。
図11Aに示すように、トレッド部に、タイヤ周方向PDに延びる主溝1と、主溝1で区画される陸部2・2とを有する空気入りタイヤにおいて、トラクションを向上させるために、主溝1を挟んで隣り合う2つの陸部2・2の側面に、トレッド踏面に開口する凹部である対をなすノッチ3を互いに対面する位置に形成することが考えられる。
陸部にノッチが形成された構成では、図11Bの平面図に示すように、ノッチ3の踏込み側のエッジe1に作用するエネルギーと、蹴り出し側のエッジe2に作用するエネルギーに差が生じ、その結果、両者の摩耗量が偏るいわゆる偏摩耗が生じやすくなる。両エッジに作用するエネルギーの差を低減して偏摩耗を抑制するために、図11A及び図11Bに示すように、主溝1の溝底から所定高さで突出するタイバー4を設け、対をなすノッチ3・3の間をタイバー4で接続する構成が考えられる。
なお、目的が全く異なるが、特許文献1には、タイヤ摩耗による交換時期を示すためのウェアインジケータ(突起)が主溝の溝底に形成されたタイヤにおいて、ウェアインジケータによるゴム不足を解消するために、主溝側面に凹部を設け、当該凹部に対応するゴムをウェアインジケータに充填することが開示されている。主溝側面の窪みは、トラクションを得るために必要な長さを有していないと考えられる。
特開2010−234559号公報
しかしながら、上記一対のノッチの間をタイバーで接続する構成では、陸部におけるノッチ部分の剛性が他の部分に比べて高くなりすぎ、陸部の剛性バランスに起因する摩耗が生じることが判明した。したがって、摩耗低減を更に追求する余地があることが分かった。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、その目的は、耐摩耗性を向上させた空気入りタイヤを提供することである。
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。即ち、本発明に係る空気入りタイヤは、トレッド部に、タイヤ周方向に延びる主溝と、前記主溝で区画される陸部とを有する空気入りタイヤであって、前記主溝を挟んで隣り合う2つの陸部の側面に形成される凹部であって、トレッド踏面に開口すると共に互いに対面する対をなすノッチと、前記主溝の溝底から所定高さで突出し且つ前記対をなすノッチの間を接続するタイバーと、前記タイバーの幅方向中央に設けられるディンプルと、を備え、前記ディンプルは、前記タイバーのうち前記ノッチの壁面に囲まれるノッチ内領域に少なくとも配置されていることを特徴とする。
このように、少なくともノッチ内領域にディンプルが形成されていることで、ノッチ付近の剛性が上がり過ぎることを避け、耐摩耗性能を向上させることが可能となる。
さらに、耐摩耗性能を向上させるためには、前記ディンプルは、前記ノッチを構成する壁面のうち当該ノッチの凹側にある壁面から離れて配置されていることが好ましい。
本発明の好ましい適用例として、前記ノッチ及び前記タイバーは、前記陸部一つあたりに1箇所だけ設けられていることが挙げられる。
更に、前記ノッチ及びタイバーは、前記陸部をタイヤ周方向に三等分にした場合に中央領域に形成されており、前記陸部のトレッド踏面にはタイヤ幅方向に延びるサイプが形成されており、当該サイプは、前記陸部のトレッド踏面を三等分するように前記ノッチに対応して配置されていることが好ましい。
このように、サイプをブロック(陸部)がほぼ三等分になるように設定することで、各領域の剛性がほぼ等しくなり、偏摩耗が少なくなる。しかし、ノッチがない場合、三等分したときの真中の領域は、横溝に隣接する領域に比べ、両サイドにスリットがないので、摩耗で残りやすい。そこで、ブロックの中央領域にノッチを形成することで、トレッド踏面の中央領域の面積が両端の領域に比べて小さくなり、滑りやすい横溝側と、動きにくい中央側でブロックの前後方向の剛性を揃え、偏摩耗に強いパターンを提供することが可能となる。
本発明の空気入りタイヤにおけるトレッドパターンを示す平面図。 図1の実施形態のノッチ及びタイバーを示す拡大斜視図。 図1の実施形態のノッチ及びタイバーを示す拡大平面図。 図1の実施形態のノッチ及びタイバー周辺の領域に関する説明平面図。 本発明の他の実施形態のトレッドパターンを示す平面図。 図5の実施形態のノッチ及びタイバーを示す拡大平面図。 本発明の上記以外の実施形態のトレッドパターンを示す平面図。 図7の実施形態のノッチ及びタイバーを示す拡大平面図。 本発明の上記以外の実施形態のトレッドパターンの一例を示す平面図。 図9の実施形態のノッチ及びタイバーを示す拡大平面図。 従来の空気入りタイヤにおけるノッチ及びタイバーを示す拡大斜視図。 図11Aの実施形態のノッチ及びタイバーを示す拡大平面図。 比較例2のノッチ及びタイバーを示す拡大平面図。
以下、本発明の実施の形態について説明する。図において、「PD」はタイヤ周方向を意味し、「WD」はタイヤ幅方向を意味する。
本発明の空気入りタイヤは、図示を省略するが、通常の空気入りタイヤと同様に、一対のビードコアと、該ビードコアを巻回しトロイダル形状を成すカーカスと、該カーカスのクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置されたベルト層と、該ベルト層のタイヤ半径方向外側に配置されたトレッド部と、を備える。図1に示すように、該トレッド部には、少なくともタイヤ周方向PDに延びる主溝1が形成されている。本発明においては、タイヤ周方向に延びる主溝1とタイヤ幅方向に延びる横溝とがトレッド部に形成され、陸部としてブロックをトレッド部に備える。
主溝1は、図示のように、タイヤ周方向PDにジグザグ状に延びている。勿論、主溝1は、タイヤ周方向PDに沿って直線状に延びていてもよい。
図1〜図3に示すように、主溝1を挟んで隣り合う2つの陸部2・2の側面には、トレッド踏面に開口する凹部である対をなすノッチ3・3が形成されている。一対のノッチ3・3は互いに対面している。ノッチ3は、平面視にて矩形状又は台形状に形成されており、タイヤ周方向PDに交差する方向においてトラクションを得るために必要な長さのエッジ(e1,e2)を有する。エッジの長さは4mm以上あることが好ましい。
本実施形態では、前記対をなすノッチは、ブロックとしての陸部2をタイヤ周方向PDに三等分にした場合に中央領域に形成されている。また、本実施形態では、陸部2(トレッド踏面)にタイヤ幅方向WDに延びるサイプ6が形成されている。当該サイプ6は、陸部2(トレッド踏面)を三等分する位置にノッチに対応して配置されている。
対をなすノッチ3の間を接続する位置には、主溝1の溝底から所定高さで突出するタイバー4が形成されている。本実施形態では、タイバー4の高さは、主溝1の深さの15%に設定されているが、適宜変更可能である。タイバーの幅は、ブロック幅の26%である。これは、ブロックを三等分するように配置されたノッチに対応している。勿論、タイバーの幅は変更可能である。
タイバー4の幅方向中央には、トレッド踏面に開口するディンプル5が形成されている。ディンプル5は、タイバー4のうちノッチ3の壁面(3a、3b、3c)に囲まれるノッチ内領域Ar1(図4参照)に少なくとも配置されている。図1〜3の例では、ノッチ内領域Ar1に配置されると共に主溝領域Ar2(図4参照)にも配置されている。図1〜3に示すディンプル5は、タイバー4の長手方向両端を除き、一方のノッチ内領域Ar1から主溝領域Ar2を経て他方のノッチ内領域Ar1まで連続して配置されている。ディンプル5は、ノッチ3を構成する壁面(3a、3b、3c)のうちノッチ3の凹側にある壁面3cから離れて配置されている。これにより、タイバー4は、タイヤ周方向PDの一方にあるノッチ壁面3aとタイヤ周方向他方にあるノッチ壁面3bとを接続し、両者を支持する支持領域を有することになる。
ディンプル5を配置する位置は、ノッチ内領域Ar1に配置されていれば、適宜変更可能である。例えば、図5及び図6の例では、一方のノッチ3の凹側壁面3cから他方のノッチ3の凹側壁面3cまでディンプル5を配置している。図7及び図8の例では、各ノッチ3のノッチ内領域Ar1のみにディンプル5を配置している。図9及び図10の例では、ノッチ内領域Ar1及び主溝領域Ar2にそれぞれ独立したディンプル5を配置している。
ディンプル5の幅は、タイバー4の幅の25%に設定されているが、適宜変更可能である。ディンプル5の深さは、タイバー4の高さの50%の位置及び当該位置よりも深ければよい。
本発明の空気入りタイヤは、上記の如きノッチ3とタイバー4とディンプル5とを備える以外は、通常の空気入りタイヤと同等であり、従来公知の材料、形状、構造、製法などが何れも本発明に採用できる。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例などについて説明する。なお、「耐摩耗性」は、以下の方法により評価した。
実施例1〜4、及び比較例1〜2に係るタイヤを12000km走行させ、ブロックにおいてノッチを挟む蹴り出し側のエッジe2と踏込み側のエッジe1の摩耗量の比を算出し、比較例1を100として指数で表示した。数値が小さいほど、摩耗が少なく、好ましい。
比較例1
図11A及び図11Bに示すように、陸部2・2の側面に対のノッチ3・3を形成し、ノッチ3・3の間にタイバー4を配置した。タイバー4にディンプルは形成していない。
比較例2
図12に示すように、タイバー4の主溝領域Ar2(図4参照)にディンプル5を形成した。タイバー4のノッチ内領域Ar1(図4参照)にはディンプルを形成していない。それ以外は、比較例1と同じとした。
実施例1
図7及び図8に示すように、タイバー4の主溝領域Ar2(図4参照)にディンプルを形成せず、タイバー4のノッチ内領域Ar1(図4参照)のみにディンプル5を形成した。ディンプル5は、ノッチ3の凹側にある壁面3cから離れて配置されている。それ以外は、比較例1と同じとした。
実施例2
図9及び図10に示すように、実施例1のタイヤに対し、タイバー4の主溝領域Ar2にディンプル5を追加し、各々のディンプル5が独立するようにした。それ以外は、実施例1と同じとした。
実施例3
図1〜3に示すように、一方のノッチ内領域Ar1から他方のノッチ内領域Ar1に至るまでディンプル5を形成した。ディンプル5は、ノッチ3の凹側にある壁面3cから離れて配置されている。それ以外は、実施例1と同じとした。
実施例4
図5及び図6に示すように、一方のノッチ3の壁面3cから他方のノッチ3の壁面3cに至るまでディンプル5を形成した。それ以外は、実施例1と同じとした。
Figure 0006209482
表1の結果から、実施例1〜4のタイヤは、比較例1〜2に比して、耐摩耗性が改善していることが分かる。実施例1に対して実施例2〜4の耐摩耗性が改善しているのは、タイバーの主溝領域にディンプルを設けたことに起因すると考えられる。当該ディンプルによってタイバーの中央部(主溝領域)の剛性を下げ、タイバーのタイヤ周方向両側にある主溝の剛性とのバランスが良くなると考えられる。実施例4よりも実施例3の耐摩耗性が良好なのは、タイバーに、ノッチを挟むエッジ同士を支える領域が存在することが良いと考えられる。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1…主溝
2…陸部
3…ノッチ
3a,3b,3c…ノッチ壁面
4…タイバー
5…ディンプル
6…サイプ
Ar1…ノッチ内領域
PD…タイヤ周方向

Claims (4)

  1. トレッド部に、タイヤ周方向に延びる主溝と、前記主溝及び横溝で区画されるブロックとしての複数の陸部とを有する空気入りタイヤであって、
    前記主溝を挟んで隣り合う2つの陸部の側面に形成される凹部であって、トレッド踏面に開口すると共に互いに対面する対をなすノッチと、
    前記主溝の溝底から所定高さで突出し且つ前記対をなすノッチの間を接続するタイバーと、
    前記タイバーの幅方向中央に設けられるディンプルと、を備え、
    前記ディンプルは、前記タイバーのうち前記ノッチの壁面に囲まれるノッチ内領域に少なくとも配置されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ディンプルは、前記ノッチを構成する壁面のうち当該ノッチの凹側にある壁面から離れて配置されている請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ノッチ及び前記タイバーは、前記陸部一つあたりに1箇所だけ設けられている請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ノッチ及びタイバーは、前記陸部をタイヤ周方向に三等分にした場合に中央領域に形成されており、
    前記陸部のトレッド踏面にはタイヤ幅方向に延びるサイプが形成されており、当該サイプは、前記陸部のトレッド踏面を三等分するように前記ノッチに対応して配置されている請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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