JP6189449B2 - 樹脂組成物およびこれを含む成形品 - Google Patents

樹脂組成物およびこれを含む成形品 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂組成物およびこれを含む成形品に関する。
車両用ランプは、通常PMMA樹脂またはPC樹脂などの透明樹脂からなるレンズとハウジングとから構成されている。このような材料は、部分的に日光など外部環境に露出するため、耐候性を有することが要求されている。従来の車両用ランプハウジングは、PC/ABS樹脂または耐熱ABS樹脂が使用されてきたが、このような樹脂は満足する耐候性能を示していない。一方、最近は成形製品の軽量化や薄肉化が進行されて、高温成形または高温射出工程を通じて製品が成形されるため、金型汚染性が問題となっている。ひいては、樹脂組成物から成形された製品が良好な表面光沢を有することも要求されている。
本発明の一実施形態の目的は、優れた耐衝撃性などの物性と共に、向上した耐候性を有する樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の実施形態の目的は、前記樹脂組成物を含む成形品を提供することにある。
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、(A)(A−1)アクリル系ゴム質重合体に芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体がグラフトされたアクリル系グラフト共重合体と、(A−2)ジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体がグラフトされたジエン系グラフト共重合体とからなるグラフト共重合体と、(B)芳香族ビニル系共重合体と、(C)光安定剤と、(D)紫外線吸収剤とを含む樹脂組成物であって、前記ゴム質重合体のうち粒子直径が300nm以上である重合体は、前記ゴム質重合体の総重量を基準に15〜30重量%であり、前記(A)グラフト共重合体における前記ジエン系グラフト共重合体の含有量は、前記(A)グラフト共重合体の総重量を基準に10〜40重量%であり、前記アクリル系グラフト共重合体の含有量は60〜90重量%であり、前記光安定剤は、重量平均分子量が700〜3,000g/molであるヒンダードアミン系光安定剤(HALS)であり、前記紫外線吸収剤は、重量平均分子量が300〜700g/molであるベンゾトリアゾール系UV吸収剤(UVA)である。
前記樹脂組成物において、前記(A)グラフト共重合体と前記(B)芳香族ビニル系共重合体の総量を100重量部とした時、前記(A)グラフト共重合体の含有量は30〜50重量部であってもよく、(B)芳香族ビニル系共重合体の含有量は50〜70重量部であってもよく、前記(A)グラフト共重合体および前記(B)芳香族ビニル系共重合体100重量部に対して前記(C)光安定剤は0.05〜0.6重量部で含まれてもよく、前記(D)紫外線吸収剤は0.05〜0.6重量部で含まれてもよい。
前記樹脂組成物において、前記(B)芳香族ビニル系共重合体は、(B−1)シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体との共重合体、(B−2)N−(置換)マレイミドと芳香族ビニル単量体および/またはシアン化ビニル単量体との共重合体、またはこれらの組み合わせであってもよい。
前記(B−1)シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体との共重合体は、25〜40重量%のシアン化ビニル単量体、60〜75重量%の芳香族ビニル単量体からなってもよく、前記(B−2)N−(置換)マレイミドと芳香族ビニル単量体および/またはシアン化ビニル単量体との共重合体は、N−(置換)マレイミド20〜60重量%と、芳香族ビニル単量体および/またはシアン化ビニル単量体40〜80重量%とからなってもよい。
本発明の他の一実施形態は、前記熱可塑性樹脂組成物を含む成形品を提供する。
ジエン系ゴム質重合体のグラフト共重合体およびアクリル系ゴム質重合体のグラフト共重合体からなるグラフト共重合体において、ゴム質重合体の粒径の比率とジエン系ゴム質重合体のグラフト共重合体の含有量を特定範囲に調節することによって最終の樹脂組成物から製造された成形品の耐衝撃性と耐候性を共に向上させることができ、また、特定範囲の重量平均分子量を有する光安定剤および紫外線吸収剤を含ませながら耐熱成分としてマレイミド系共重合体を含ませて樹脂組成物における揮発ガスの放出を減少させることができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明は、これによって制限されず、特許請求の範囲のみによって定義される。
本明細書で、特別な言及がない限り、「(メト)アクリレート」という用語は、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
本明細書で、特別な言及がない限り、「アルキル」とは、C1〜C30アルキル基を意味し、具体的にはC1〜C20アルキル基を意味する。
本明細書で、別途の定義がない限り、「共重合」とは、ブロック共重合、ランダム共重合、グラフト共重合または交互共重合を意味し、「共重合体」とは、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体または交互共重合体を意味し得る。
本発明の一実施形態に係る前記熱可塑性樹脂組成物は、(A)(A−1)アクリル系ゴム質重合体に芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体がグラフトされたアクリル系グラフト共重合体と、(A−2)ジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体がグラフトされたジエン系グラフト共重合体とからなるグラフト共重合体と、(B)芳香族ビニル系共重合体と、(C)光安定剤と、(D)紫外線吸収剤とを含む。
(A)グラフト共重合体
前記樹脂組成物において、(A)グラフト共重合体は、(A−1)アクリル系ゴム質重合体に芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体がグラフトされたアクリル系グラフト共重合体と、(A−2)ジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体がグラフトされたジエン系グラフト共重合体とからなる。
前記(A−1)アクリル系グラフト共重合体は、アクリル系ゴム質重合体に芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体をグラフト重合させて製造されるコア−シェル構造の共重合体である。前記樹脂組成物で使用可能なアクリル系グラフト共重合体は、その種類に特別な制限はなく、必要に応じて適切に選択して用いることができる。
前記アクリル系グラフト共重合体は、当該技術分野における通常の技術者に知られた任意の方法により製造されてもよい。非制限的な例を挙げると、アクリル系ゴム質重合体を製造して1層以上のコアを形成し、ここに芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体をグラフト共重合させて1層以上のシェル層を形成する方法により製造することができる。
前記アクリル系ゴム質重合体は、アクリレート系単量体を主単量体として製造されてもよい。前記アクリレート系単量体は、炭素数2〜10のアルキルアクリレートから選択されてもよく、具体的な例を挙げると、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、およびヘキシルアクリレートからなる群より選択された1種以上が挙げられるが、これに制限されない。前記アクリレート系単量体は、スチレンなど1種以上のラジカル重合可能な他の単量体と共重合されてもよく、この場合、前記1種以上のラジカル重合可能な他の単量体の量は、前記アクリル系ゴム質重合体の総重量を基準に、5〜30重量%、具体的には10〜20重量%であってもよい。
シェル層に含まれる前記芳香族ビニル単量体は、スチレン、アルファ−メチルスチレン、またはこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。前記シアン化ビニル単量体は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、またはこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記アクリル系グラフト共重合体において、前記アクリル系ゴム質重合体の量は、40〜60重量%であり、グラフトされる前記芳香族ビニル単量体および前記シアン化ビニル単量体の混合物の量は、40〜60重量%であってもよい。前記芳香族ビニル単量体および前記シアン化ビニル単量体の混合物中で、前記芳香族ビニル単量体の含有量は60〜80重量%であり、前記シアン化ビニル単量体の含有量は20〜40重量%である。前記(A−2)ジエン系グラフト共重合体は、ジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体がグラフト共重合されたものである。
前記ジエン系ゴム質重合体は、ジエン系単量体を、単独であるいは選択によりこれと共重合可能な他の単量体と共に重合して製造する。ジエン系単量体の非制限的な例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどが挙げられる。ジエン系単量体と共重合可能な他の単量体の非制限的な例としては、メチル(メト)アクリレート、エチル(メト)アクリレートなどのアルキル(メト)アクリレート化合物、スチレンなどの芳香族ビニル単量体、およびアクリロニトリルなどシアン化ビニル単量体が挙げられ、その量は適切に選択することができる。
前記ジエン系ゴム質重合体にグラフトされる芳香族ビニル単量体の具体的な例は、スチレン、アルファ−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレンなどが挙げられるが、これに制限されない。これらは単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。
前記ジエン系ゴム質重合体にグラフトされるシアン化ビニル単量体の具体的な例は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、またはこれらの組み合わせであってもよいが、これに制限されない。
前記ジエン系グラフト共重合体は、ブタジエンゴムなどジエン系ゴム質重合体40〜60重量%、スチレンなど芳香族ビニル単量体およびアクリロニトリルなどシアン化ビニル単量体40〜60重量%からなる。前記芳香族ビニル単量体および前記シアン化ビニル単量体中で、前記芳香族ビニル単量体の含有量は60〜80重量%であり、前記シアン化ビニル単量体の含有量は20〜40重量%である。前記ジエン系グラフト共重合体の具体的な例としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレングラフト(g−ABS)共重合体が挙げられるが、これに制限されない。
前記ゴム質重合体中の粒径が300nm以上であるものは、ゴム質重合体の総重量を基準に15〜30重量%、具体的には17〜29重量%である。具体的に、前記ゴム質重合体中の粒径が300〜500nmであるものは、前記ゴム質重合体の総重量を基準に15〜30重量%である。粒径が100nm以上300nm未満であるゴム質重合体は、ゴム質重合体の総重量を基準に、70〜85重量%である。前記ゴム質重合体の粒子直径の分布が前述した条件を満足する場合、前記樹脂組成物から耐衝撃性と耐候性のすべてに優れた成形品を製造することができ、成形品の製造時における金型汚染の問題も低減することができる。
前記(A)グラフト共重合体中、前記ジエン系グラフト共重合体の含有量は10〜40重量%、より具体的には、12〜31重量%であり、前記アクリル系グラフト共重合体の含有量は60〜90重量%、より具体的には69〜88重量%である。前記ジエン系グラフト共重合体の含有量が前述した範囲に属する場合、耐衝撃性を優れた水準に維持しながらも耐候性を向上させることができる。
(B)芳香族ビニル系共重合体
前記樹脂組成物において、前記(B)芳香族ビニル系共重合体は、(B−1)シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体との共重合体、(B−2)N−(置換)マレイミドと芳香族ビニル単量体および/またはシアン化ビニル単量体との共重合体、またはこれらの組み合わせであってもよい。
シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体の具体的な例は、(A)グラフト共重合体と関連して羅列したとおりである。N−(置換)マレイミドの具体的な例としては、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどが挙げられるが、これに制限されない。
前記(B)芳香族ビニル系共重合体が(B−1)シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体との共重合体である場合、(B)芳香族ビニル系共重合体の総重量を基準にシアン化ビニル単量体25〜40重量%、芳香族ビニル単量体60〜75重量%からなってもよいが、これに制限されない。前記(B)芳香族ビニル系共重合体が(B−2)N−(置換)マレイミドと芳香族ビニル単量体および/またはシアン化ビニル単量体との共重合体である場合、N−(置換)マレイミド20〜60重量%、芳香族ビニル単量体および/またはシアン化ビニル単量体40〜80重量%からなってもよい。前記(B−2)N−(置換)マレイミドと芳香族ビニル単量体および/またはシアン化ビニル単量体との共重合体がN−(置換)マレイミド、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体からなる場合、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体間の比率は1:1〜1:5であってもよい。(B−2)N−(置換)マレイミドと芳香族ビニル単量体および/またはシアン化ビニル単量体との共重合体を用いる場合、通常の加工工程で優れた成形性を維持しながらも樹脂組成物の耐熱性を向上させることができる。
前記(B)芳香族ビニル系共重合体の重量平均分子量は特に制限されないが、非制限的な実施例において、(B−1)シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体との共重合体は、80,000〜140,000g/molの重量平均分子量を有することができる。(B−2)N−(置換)マレイミドと芳香族ビニル単量体および/またはシアン化ビニル単量体との共重合体は、80,000〜160,000g/molの重量平均分子量を有することができる。
前記樹脂組成物において、前記(A)グラフト共重合体と前記(B)芳香族ビニル系共重合体の総量を100重量部とした時、(A)グラフト共重合体の含有量は30〜50重量部であってもよく、(B)芳香族ビニル系共重合体の含有量は50〜70重量部であってもよい。(B)芳香族ビニル系共重合体として、(B−1)と(B−2)が共に用いられる場合、前記(B−1)シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体との共重合体は5〜45重量部であってもよく、残りは前記(B−2)N−(置換)マレイミドと芳香族ビニル単量体および/またはシアン化ビニル単量体とを含む共重合体であってもよい。
(C)光安定剤
前記樹脂組成物は、重量平均分子量が700〜3,000g/molであるヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を含んでもよい。前記樹脂組成物が前記光安定剤を含む場合、熱安定性が向上し、揮発ガスの発生が減少することができる。前記(A)グラフト共重合体と前記(B)芳香族ビニル系共重合体の総合計100重量部に対して、(C)光安定剤は0.05〜0.6重量部、具体的には0.1〜0.5重量部で含まれてもよい。重量平均分子量が700〜3,000g/molである前記ヒンダードアミン系光安定剤の具体的な例としては、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(CAS no. 64022−61−3;Mw 792g/mol)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(CAS no. 91788−83−9;Mw 847g/mol)、1,2,3−トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−4−トリデシルブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート(CAS no. 84696−72−0;Mw ca. 900g/mol)、1,2,3−トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−4−トリデシルブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート(CAS no. 84696−71−9;Mw ca. 900g/mol)および、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと、β,β,β’,β'−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物(Mw ca. 2,000g/mol)が挙げられる。前記ヒンダードアミン系光安定剤は、単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。
(D)紫外線吸収剤
前記樹脂組成物は、(D)紫外線吸収剤として重量平均分子量が300〜700g/molであるベンゾトリアゾール(benzotriazole)系UV吸収剤(UVA)を含んでもよい。前記紫外線吸収剤を含む場合、熱安定性が向上し、揮発ガスの発生が減少することができる。前記(A)グラフト共重合体と前記(B)芳香族ビニル系共重合体の総合計100重量部に対して、(D)紫外線吸収剤は、0.05〜0.6重量部、具体的には0.1〜0.5重量部で含まれてもよい。
前記重量平均分子量が300〜700g/molであるベンゾトリアゾール系UV吸収剤(UVA)は、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(Mw 323g/mol)、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール](Mw 659g/mol)、およびこれらの組み合わせであってもよい。
前記成分(A)〜(D)以外に、前記樹脂組成物は、射出成形性を向上させ、各物性間のバランスを合わせるために、あるいは前記樹脂組成物の最終の用途により必要な1種以上の添加剤をさらに含んでもよい。具体的に、前記添加剤としては、難燃剤、界面活性剤、核剤、カップリング剤、充填剤、可塑剤、衝撃補強剤、滑剤、抗菌剤、離型剤、酸化防止剤、無機物添加剤、着色剤、潤滑剤、静電気防止剤、顔料、染料、防炎剤などを用いることができ、これらは単独であるいは2種以上の組み合わせて用いることができる。
本発明の他の実施形態により、前記樹脂組成物を含む成形品が製造される。前記成形品は、前記樹脂組成物を用いて射出成形、ブロー成形、押圧成形、圧縮成形、またはカレンダー成形、インフレーション成形など、当該技術分野における公知の多様な方法で製造することができる。
前記成形品は、耐衝撃性など機械的物性および耐熱性に優れているだけでなく、向上した耐候性を確保することができるため、車両用部品、特に各種車両用ランプのハウジング、照明機器のハウジングなどの家電製品、OA機器のハウジング、インテリア部品などに用いることができるが、これに制限されない。
[実施例]
以下、本発明を実施例および比較例を通じてより詳細に説明するが、下記の実施例および比較例は説明の目的のためのものに過ぎず、本発明を制限しようとするものではない。
実施例1〜7
下記表1に示されたそれぞれの成分を下記表1に示された量で混合してヘンシェルミキサーで約3分間混合した後、240〜250℃でベント(vent)式二軸押出機で溶融/混練して樹脂組成物ペレット(pellet)を製造した。
比較例11〜16
下記表1に示された成分をそれぞれ下記表1に示された量で用いることを除いては、実施例1と同様な方法で樹脂組成物ペレットを製造した。
(A−1)g−ASA1:ゴム質重合体粒径1)が100nm以上および300nm未満のものは70重量%であり、300nm以上および500nm以下のものは30重量%であるアクリレート−スチレン−アクリロニトリルグラフト共重合体(ゴム質重合体含有量:50重量%、アクリロニトリル/スチレン単量体重量比率=33/77)
(A−1)g−ASA2:ゴム質重合体粒径1)が100nm以上および200nm以下からなるアクリレート−スチレン−アクリロニトリルグラフト共重合体(ゴム質重合体含有量:50重量%、アクリロニトリル/スチレン単量体重量比率=33/77)
(A−1)g−ASA3:ゴム質重合体粒径1)が100nm以上および300nm未満のものは60重量%であり、300nm以上および500nm以下のものは40重量%であるアクリレート−スチレン−アクリロニトリルグラフト共重合体(ゴム質重合体含有量:50重量%、アクリロニトリル/スチレン単量体重量比率=33/77)
(A−2)g−ABS:ゴム質重合体粒径1)が100nm以上および300nm未満のものは80重量%であり、300nm以上および500nm以下のものは20重量%であるアクリロニトリル−ブタジエン−スチレングラフト共重合体(ゴム質重合体含有量:50重量%、アクリロニトリル/スチレン単量体重量比率=30/70)
(B−1)SAN1:アクリロニトリル35重量%、スチレン65%からなる共重合体(Mw:85,000g/mol)
(B−1)SAN2:アクリロニトリル28重量%、スチレン72重量%からなる共重合体(Mw:125,000g/mol)
(B−2)HHSAN1:スチレン49重量%、N−フェニルマレイミド50重量%、マレイン酸無水物1重量%からなる共重合体(電気化学工業社製、商品名:Denka IP MS−NA、Mw:150,000g/mol)
(B−2)HHSAN2:アクリロニトリル15重量%、スチレン55重量%、N−フェニルマレイミド30重量%からなる共重合体(三菱レイヨン社製、商品名:AM−2、Mw:150,000g/mol)
(C)HALS1:1,2,3,4−テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル)ブタン(Mw:791g/mol、融点:125〜135℃、ADEKA社製、商品名:Adekastab LA−57)
(C)HALS2:1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと、β,β,β’,β'−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物(Mw:2,000g/mol、融点:85〜105℃、ADEKA社製、商品名:Adekastab LA−63P)
(C)HALS3:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート(Mw:481g/mol、融点:81〜85℃、BASF社製、商品名:TINUVIN770)
(D)UVA1:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(Mw:323g/mol、融点:103〜105℃、BASF社製、商品名:TINUVIN329)
(D)UVA2:2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール](Mw:659g/mol、融点:194〜200℃、ADEKA社製、商品名:Adekastab LA−31)
(D)UVA3:2−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール(Mw:225g/mol、融点:128〜132℃、BASF社製、商品名:TINUVINP)
注1)ゴム質重合体の粒径は、動的光散乱法(Dynamic Light scattering、DLS)で測定し、装置はZETASIZER Nano−ZS(MALVERN Instruments社製)を用いた。
物性試験
実施例1〜7および比較例11〜16で製造された樹脂組成物ペレットを用いて成形品試験片を240〜250℃の成形温度で射出成型機を用いて製作した。成形品試験片またはペレットに対して下記のようにノッチアイゾッド衝撃強度(Izod)、熱変形温度(HDT)、ビカット軟化温度(VST)、耐候性(ΔE)、霧特性(fogging)、熱分解特性(TGA)、光沢度(gloss)を測定し、その結果を表2に整理した。
1)ノッチアイゾッド衝撃強度(Izod)
ASTM D256に準拠して厚さ3.2mmの試片に対してノッチアイゾッド衝撃強度を測定した。
2)熱変形温度(HDT)
1.82MPa荷重で厚さ6.4mmの試片に対してASTM D648に準拠して測定した。
3)ビカット軟化温度(VST)
5kgf/50℃の条件でISO R306 B50に準拠して測定した。
4)耐候性(ΔE)
Xenon耐喉性試験機(weather−o−meter)を用いてSAE J1960に準拠して成形品試片の1,200KJ/m露出(exposure)前/後の色差(ΔE)をCM−3500dスペクトロフォトメーター(Konica minolta社製)で測定した。
ΔEが2.0以下である場合、「○」で表示し、ΔEが2.0超過である場合、「X」で表示した。
5)霧特性(fogging)
ペレット2gをガラス容器に入れ、上部をガラス板で覆った後、180℃のホットプレート(hot plate)で20時間加熱した。1時間後にガラス板のヘイズ(haze)値を測定し、ペレットから発生する揮発ガスの発生程度を比較した。ヘイズ値はNDH5000ヘーズメーター(日本電色工業社製)を用いて測定した。
6)熱分解特性
ペレット10mgを熱重量分析装置(TGA Q500、TA Instruments社製)で重量減少を測定し(窒素雰囲気、昇温速度10℃/分)、100℃と250℃の重量減少の差を求めた。
7)光沢度(gloss)
成形温度250℃、金型温度40℃で射出成形した成形品試験片を入射角、反射角20°で測定した。光沢度はVG7000(日本電色工業社製)を用いて測定した。
実施例1〜7の樹脂組成物の場合、ノッチアイゾッド衝撃強度に優れ、耐候性、霧特性、熱分解特性の面で満足した物性を示し、光沢度にも優れていることが分かる。反面、ジエン系グラフト共重合体の含有量が前述した範囲を外れる比較例11および比較例16の樹脂組成物の場合、耐候性が大きく落ちたり、あるいは耐衝撃性が急激に低下し、粒径が300nm以上のゴム質重合体の含有量が前述した範囲を外れる比較例12の樹脂組成物は、耐衝撃性が大きく落ちることが分かる。また、光安定剤または紫外線吸収剤の重量平均分子量が前述した範囲を外れる比較例13および14の樹脂組成物は、霧特性または熱分解特性が大きく落ちることが分かる。
以上で、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はこれに限定されず、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属する。

Claims (7)

  1. (A)(A−1)アクリル系ゴム質重合体に芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体がグラフトされたアクリル系グラフト共重合体と、(A−2)ジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体がグラフトされたジエン系グラフト共重合体とからなるグラフト共重合体と、
    (B)芳香族ビニル系共重合体と、
    (C)光安定剤と、
    (D)紫外線吸収剤と、
    を含む樹脂組成物であって、
    前記ゴム質重合体のうち粒子直径が300nm以上である重合体は、前記ゴム質重合体の総重量を基準に15〜30重量%であり、前記(A)グラフト共重合体における前記ジエン系グラフト共重合体の含有量は、前記(A)グラフト共重合体の総重量を基準に10〜40重量%であり、前記アクリル系グラフト共重合体の含有量は60〜90重量%であり、
    前記(C)光安定剤は、重量平均分子量が700〜3,000g/molであるヒンダードアミン系光安定剤(HALS)であり、前記(D)紫外線吸収剤は、重量平均分子量が300〜700g/molであるベンゾトリアゾール系UV吸収剤(UVA)である樹脂組成物。
  2. 前記(A)グラフト共重合体と前記(B)芳香族ビニル系共重合体の総量を100重量部とした時、前記(A)グラフト共重合体の含有量は30〜50重量部であり、(B)芳香族ビニル系共重合体の含有量は50〜70重量部であり、前記(A)グラフト共重合体および前記(B)芳香族ビニル系共重合体100重量部に対して前記(C)光安定剤は0.05〜0.6重量部であり、前記(D)紫外線吸収剤は0.05〜0.6重量部である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記(B)芳香族ビニル系共重合体は、(B−1)シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体との共重合体、(B−2)N−(置換)マレイミドと芳香族ビニル単量体および/またはシアン化ビニル単量体との共重合体、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の樹脂組成物。
  4. 前記(B−1)シアン化ビニル単量体と芳香族ビニル単量体との共重合体は、シアン化ビニル単量体25〜40重量%、芳香族ビニル単量体60〜75重量%からなり、前記(B−2)N−(置換)マレイミドと芳香族ビニル単量体および/またはシアン化ビニル単量体との共重合体は、N−(置換)マレイミド20〜60重量%、芳香族ビニル単量体および/またはシアン化ビニル単量体40〜80重量%からなる、請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. 前記光安定剤は、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3−トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−4−トリデシルブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート、1,2,3−トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−4−トリデシルブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと、β,β,β’,β'−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)ジエタノールとの縮合物、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の樹脂組成物。
  6. 前記紫外線吸収剤は、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物から製造された成形品。
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