JP7396514B2 - 熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、光拡散性および光透過性を有する熱可塑性樹脂組成物に関し、また、その熱可塑性樹脂組成物を用いた成形品に関する。
透明な熱可塑性樹脂は、光透過性を有することから電気・電子・OA、自動車などの分野において広範に使用されており、各分野ではそれぞれ求められる要求性能を満足する樹脂が選択され、使い分けがなされている。
特に、照明器具カバー、各種デバイスのスイッチ類、液晶テレビの直下型およびエッジライト型ユニット、自動車内外装意匠部品などの用途では、透明な熱可塑性樹脂を使用すると光を透過するため光源が透けて見えてしまう。そのため、樹脂成形品の背後にある光源の形状を認識させることなく、また光源の輝度をできるだけ損なわないような光拡散性を付与した材料が望まれている。
透明な熱可塑性樹脂として、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート、そしてメタクリル酸メチル-メタアクリル酸-スチレン共重合樹脂等が挙げられ、これらの樹脂に光拡散性を付与する目的で、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの無機系粒子や、アクリル系重合体粒子やシロキサン系重合体粒子などの有機系粒子を、単独でまたは混合して配合することが採用されてきた(例えば、特許文献1~3)。
日本国特開2015-158625号公報 日本国特開2009-126997号公報 日本国特開2006-335973号公報
しかし、アクリル樹脂を用いた材料は高吸水性を有するため、実使用環境下での成形品の反りが問題となっている。また、ポリカーボネート樹脂を用いた材料では、二色成形、フィルムインサート成形等の二次加工において、高温成形による一次側材料の溶融やフィルムのずれによる外観不具合が発生するため、加工方法や条件に制限があった。
また、高まる光学特性(光拡散性、光透過性)要求に対し、従来技術のみでは達成することが困難な状況にあった。
そこで、本発明は、使用環境や二次加工方法に制限を設けることなく、より一層高度な光学特性を有する熱可塑性樹脂組成物を提供すること、および、当該熱可塑性樹脂組成物を用いた成形品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ビニル系共重合体に粒子径(D50)の異なる2種の無機粒子を特定の組成で配合することで、使用環境や二次加工方法に制限を設けることなく、より一層高度な光学特性を有する熱可塑性樹脂組成物を得ることができることを見い出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の(1)~(7)で構成される。
(1) 屈折率が1.50~2.00のビニル系共重合体(I)を100質量部、粒子径(D50)が1.2~2.8μmの無機粒子(II-1)を2~3質量部、および粒子径(D50)が3.6~6.4μmの無機粒子(II-2)を1~7質量部含み、前記無機粒子(II-1)と無機粒子(II-2)の合計含有量が4~10質量部であり、前記無機粒子(II-1)と無機粒子(II-2)の配合比(II-2)/(II-1)が0.3以上4.0未満である熱可塑性樹脂組成物。
(2) 前記無機粒子の屈折率が1.50~2.00である(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(3) さらに、前記熱可塑性樹脂組成物の全光線透過率が55.0~65.0%であり、ヘーズが95~100%である(1)または(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(4) さらに、前記熱可塑性樹脂組成物の密度が1100~1140kg/mである(1)~(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(5) さらに、前記無機粒子が硫酸バリウムである(1)~(4)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(6) さらに、前記ビニル系共重合体(I)の重量平均分子量が80,000~150,000である(1)~(5)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(7) (1)~(6)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
本発明によれば、より一層高度な光学特性を有し、使用環境や二次加工方法に制限を設けることなく幅広く利用可能な透明性材料を提供することができる。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物とその成形品について、具体的に説明する。
[ビニル系共重合体(I)]
本発明に用いられるビニル系共重合体(I)は、芳香族ビニル系単量体(A)およびシアン化ビニル系単量体(B)の少なくとも一方を共重合して得られるビニル系共重合体であることが好ましい。芳香族ビニル系単量体(A)を共重合することで成形性が向上し好ましい。シアン化ビニル系単量体(B)を共重合することで靭性、耐薬品性が向上し好ましい。
共重合に際し単量体の割合として、芳香族ビニル系単量体(A)は60質量%以上100質量%以下、シアン化ビニル系単量体(B)は0質量%以上40質量%以下であることが好ましく、芳香族ビニル系単量体(A)は60質量%以上80質量%以下、シアン化ビニル系単量体(B)は20質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、芳香族ビニル系単量体(A)は65質量%以上80質量%以下、シアン化ビニル系単量体(B)は20質量%以上35質量%以下であることがさらに好ましい。
芳香族ビニル系単量体(A)が60質量%以上の場合には、流動性が向上する傾向があるため、好ましい。また、芳香族ビニル系単量体(A)が80質量%以下の場合には、機械強度が向上する傾向があるため、好ましい。
芳香族ビニル系単量体(A)としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、o-エチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ブロモスチレンなどが挙げられる。好ましくはスチレンが用いられる。これらは必ずしも1種類で使用する必要はなく、複数種併用して使用することもできる。これらの中で特にスチレンが好ましく採用される。
シアン化ビニル系単量体(B)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルおよびエタクリロニトリルなどが挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましく採用される。これらは必ずしも1種類で使用する必要はなく、複数種併用して使用することもできる。
また、ビニル系共重合体(I)において、本発明の効果を失わない程度に芳香族ビニル系単量体(A)およびシアン化ビニル系単量体(B)と共重合可能な他のビニル系単量体を用いても良い。他のビニル系単量体の具体例としては、N-フェニルマレイミド、N-メチルマレイミドおよびメタクリル酸メチルなどが挙げられ、それぞれの目的に応じて選択することができ、これらは単独でも複数でも用いることが可能である。耐熱性や難燃性をさらに向上させる意図があれば、N-フェニルマレイミドが好ましい。また、硬度向上を重視させるのであれば、メタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
本発明で用いられるビニル系共重合体(I)の屈折率は、1.50以上2.00以下の範囲内である。好ましくは1.50以上1.70以下の範囲内であり、より好ましくは1.50以上1.60以下の範囲である。ビニル系共重合体(I)の屈折率が、1.50未満または2.00を超える場合には、熱可塑性樹脂組成物の成形品において、十分な光拡散性を得ることができないおそれがある。
ここで、ビニル系共重合体(I)の屈折率は、JIS K 7142(2014)により測定される屈折率を意味する。
ビニル系共重合体(I)の重量平均分子量は、流動性の観点から好ましくは150,000以下であり、より好ましくは140,000以下、さらに好ましくは130,000以下である。特に重量平均分子量の下限は、耐衝撃性の観点から好ましくは80,000以上である。
ここで、ビニル系共重合体(I)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算値を言う。測定方法は、後述の実施例で記載の通りである。
ビニル系共重合体(I)として、例えばアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、メチルメタクリレート・アクリロニトリル・スチレン共重合体(MAS樹脂)、メチルメタクリレート・スチレン共重合体(MS樹脂)、スチレン共重合体(PS樹脂)等を挙げることができる。なかでもアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)が好ましい。
本発明において、ビニル系共重合体(I)の製造方法に関しては特に制限はなく、塊状重合、懸濁重合、塊状懸濁重合、溶液重合、乳化重合、沈殿重合およびこれらの組み合わせ等が用いられる。単量体の仕込み方法に関しても特に制限はなく、初期に一括添加してもよく、共重合体の組成分布を付けるため、あるいは防止するために添加方法は数回に分けて重合してもよい。
本発明において、ビニル系共重合体(I)の重合に使用される開始剤は、過酸化物またはアゾ系化合物などが好適に用いられ、これらを単独で用いても組み合わせて用いてもよい。
過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカルボネート、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーオクテート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、およびt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。なかでもクメンハイドロパーオキサイドおよび1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサンが好ましく用いられる。
アゾ系化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2-フェニルアゾ-2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル、2-シアノ-2-プロピルアゾホルムアミド、1,1’-アゾビスシクロヘキサン-1-カーボニトリル、アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビスイソブチレート、1-t-ブチルアゾ-1-シアノシクロヘキサン、2-t-ブチルアゾ-2-シアノブタン、および2-t-ブチルアゾ-2-シアノ-4-メトキシ-4-メチルペンタンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。なかでもアゾビスイソブチロニトリルが好ましく用いられる。
重合を行うに際しては、重合度調節を目的として、メルカプタンやテルペンなどの連鎖移動剤を使用することも可能である。連鎖移動剤の具体例としては、n-オクチルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、n-テトラデシルメルカプタン、n-オクタデシルメルカプタンおよびテルピノレンなどが挙げられる。なかでも、n-オクチルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタンおよびn-ドデシルメルカプタンが好ましく用いられる。これらの連鎖移動剤を使用する場合は、1種または2種以上を併用して使用される。
[無機粒子(II)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる無機粒子(II)は、異なる粒子径(D50)を有する2種類を併用する。光拡散性と光透過性の高位でのバランスのため、無機粒子(II-1)の粒子径(D50)は1.2μm以上2.8μm以下の範囲であり、好ましくは1.4μm以上2.6μm以下の範囲であり、より好ましくは1.4μm以上2.4μm以下の範囲である。無機粒子(II-2)の粒子径(D50)は3.6μm以上6.4μm以下であり、好ましくは3.8μm以上6.2μm以下の範囲であり、より好ましくは4.0μm以上6.0μm以下の範囲である。無機粒子(II)の粒子径(D50)が前記範囲外であった場合、光拡散性と光透過性のバランスが崩れ、光の濃淡(色むら)の発生や、輝度低下が発生するおそれがある。
なお、無機粒子(II)の粒子径はメジアン径(D50)を意味する。
無機粒子(II)の屈折率は、無機粒子(II-1)および無機粒子(II-2)共に好ましくは1.50以上2.00以下の範囲内であり、より好ましくは1.50以上1.80以下の範囲内であり、さらに好ましくは1.50以上1.70以下の範囲である。屈折率が、1.50以上2.00以下であることで、熱可塑性樹脂組成物成形品において十分な光拡散性を得ることができる。
なお、無機粒子(II)の屈折率は、文献から引用した(化学大辞典;共立出版株式会社、昭和37年7月31日初版第1刷発行)。
無機粒子(II)の具体例としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、ミルドファイバー、カオリンが挙げられる。これら無機粒子(II)の中でも光拡散性、光透過性の観点から硫酸バリウムが好ましい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物において、無機粒子(II)の含有量は、ビニル系共重合体(I)100質量部に対し、無機粒子(II-1)が2質量部以上3質量部以下、無機粒子(II-2)が1質量部以上7質量部以下である。無機粒子(II-2)について、より好ましく2質量部以上7質量部以下、さらに好ましくは3質量部以上7質量部以下である。
無機粒子の配合比(II-2)/(II-1)は0.3以上4.0未満であり、好ましくは1.0以上4.0未満であり、さらに好ましくは1.5以上4.0未満である。
また、無機粒子(II-1)と無機粒子(II-2)の合計含有量が4質量部以上10質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以上9質量部以下である。
無機粒子(II)の含有量や配合比が前記範囲内であることで、熱可塑性樹脂組成物および成形品において、光拡散性と光透過性のバランスに優れ、光の濃淡起因による色むらの発生や輝度低下発生を回避できる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、全光線透過率が55.0%以上65.0%以下であることが好ましく、57.0%以上63.0%以下であることがより好ましく、58.0%以上62.0%以下であることがさらに好ましい。全光線透過率が55.0%以上の場合には十分な光量が得られ光透過性が良好であり、65.0%以下の場合は均一に透過し光量濃淡が発生しにくいことから好ましい。
なお、熱可塑性樹脂組成物の全光線透過率は、熱可塑性樹脂組成物を溶融混錬してペレットを得て、射出成形により厚さ2mmの試験片を成形し、JIS K 7361-1(1997)に準拠して測定される。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ヘーズ(HAZE)が95%以上100%以下であることが好ましく、96%以上100%以下であることがより好ましく、97%以上100%以下であることがさらに好ましい。ヘーズが95%以上の場合は光拡散性が良好であり好ましい。なお、100%は理論上の最大値である。
なお、熱可塑性樹脂組成物のヘーズは、熱可塑性樹脂組成物を溶融混錬してペレットを得て、射出成形により厚さ2mmの試験片を成形し、JIS K 7136(2000)に準拠して測定される。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、密度が1100kg/m以上1140kg/m以下であることが好ましい。密度が1100kg/m以上の場合十分な光学特性が得られ、1140kg/m以下である場合は特に大型成形品に適用された際の軽量化につながるため好ましい。
なお、熱可塑性樹脂組成物の密度は、熱可塑性樹脂組成物を溶融混錬してペレットを得て、射出成形によりJIS K 7139(2009)に規定される多目的試験片タイプA1を成形し、これを切り出したタイプB2試験片を用いて、ISO1183(2010)に準拠して測定される。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、各種添加剤を含有できる。添加剤としては例えば、ヒンダードフェノール系、含硫黄化合物系、含リン有機化合物系などの酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系などの熱酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サクシレート系などの紫外線吸収剤、アクリル酸およびそのエステルや、メタクリル酸およびそのエステルからなる重合体または共重合体や変性ポリテトラフルオロエチレンなどの成形加工助剤、難燃剤・難燃助剤、銀系抗菌剤に代表される抗菌剤、抗カビ剤、離型剤、潤滑剤、顔料および染料などを添加することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、構成する各樹脂成分や無機成分を溶融混合して得ることができる。溶融混合方法に関しては、特に制限は無いが、加熱装置、ベントを有するシリンダーで単軸または二軸のスクリューを使用して溶融混合する方法などが採用可能である。溶融混合の際の加熱温度は、通常180~250℃の範囲から選択されるが、本発明の目的を損なわない範囲で、溶融混合時の温度勾配等を自由に設定することも可能である。また、二軸のスクリューを用いる場合は、互いに同方向回転でも異方向回転でも良い。また噛み合い型、非噛み合い型のスクリューのいずれでもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて成形品を製造する際の成形方法については特に限定されないが、例えば射出成形により好適に成形される。射出成形は、好ましくは210~250℃の通常、熱可塑性樹脂組を成形する温度範囲で実施することができる。また、射出成形時の金型温度は、好ましくは30~80℃の通常成形に使用される温度範囲である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ビニル系共重合体が樹脂の主成分であるため、成形品において吸湿による反りや二次加工時の外観不具合を抑えることができる。このため本発明の熱可塑性樹脂組成物は、使用環境に左右されず、多様な加飾方法を用いる成形品に好適に供せられる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、粒子径の異なる無機粒子を特定量かつ特定比率で含むため、成形品において光透過性および光拡散性を高いレベルで両立できる。
すなわち、本発明の樹脂組成物は、電気電子用途、OA機器用途、住宅・建材用途、自動車内外装などの光拡散性が必要な部品に好適に使用できる。
本発明をさらに具体的に説明するため、以下に実施例を挙げるが、これらの実施例は本発明を何ら制限するものではなく、種々の変形が可能である。
(1)粒子径(D50)
下記測定条件にて粒度分布を求め、小粒子側からの体積累積値が全粒子体積の50%になる粒径を粒子径(D50)とした。
装置:レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置(日機装社製、MT3300)
溶媒:0.2質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液
装置内の分散条件:装置内で40W、6分照射
(2)光学特性(光透過性):全光線透過率
各実施例および比較例により得られたペレットから、シリンダー温度を230℃、金型温度を60℃に設定した射出成形機を用いて、サイズ80mm×80mm×2mmの試験片を成形し、JIS K 7361-1(1997)に準拠して全光線透過率を測定した。
(3)光学特性(光拡散性):ヘーズ(HAZE)
前記全光線透過率測定と同様の試験片を用い、JIS K 7136(2000)に準拠してヘーズを測定した。
(4)流動性:メルトフローレート
各実施例、比較例により得られたペレットについて、ISO1133(2011年版)に準拠して、温度:220℃、荷重:10kg条件でメルトフローレートを測定した。
(5)密度
各実施例および比較例により得られたペレットから、シリンダー温度を230℃、金型温度を60℃に設定した射出成形機を用いて、JIS K 7139(2009)に規定される多目的試験片タイプA1を成形し、これを切り出したタイプB2試験片を用いて、ISO1183(2010)に準拠して密度を測定した。
(6)耐衝撃性:シャルピー衝撃強度
前記密度と同条件にて成形した多目的試験片タイプA1を切り出したタイプB2試験片を用いて、ISO179/1eA(2010)に準拠してシャルピー衝撃強度を測定した。
(7)耐熱性:荷重たわみ温度
前記密度と同条件にて成形した多目的試験片タイプA1を切り出したタイプB2試験片を用いて、ISO75-2(2013)(1.8MPa条件で測定)に準拠して測定した。
(8)ビニル系共重合体の屈折率
下記のより得られたビニル系共重合体(I-1)、(I-2)をそれぞれ80℃で3時間真空乾燥した後、220℃に設定した加熱プレスを用いて厚み約40μmのフィルム状サンプルを作製した。このフィルム状サンプルを試料としてアッベ屈折率計を用い、JIS K 7142(2014)に準拠して屈折率を測定した。なお、測定温度は23℃とした。
(9)無機粒子の屈折率
無機粒子の屈折率は、文献から引用した(化学大辞典;共立出版株式会社、昭和37年7月31日初版第1刷発行)。
(10)重量平均分子量
下記により得られたビニル系共重合体(I-1)、(I-2)をそれぞれ約0.03g秤量し、これをテトラヒドロフラン約15gに溶解させ、約0.2質量%の溶液を得た。当該溶液を用いてGPCクロマトグラムから、ポリスチレンを標準物質として換算することにより重量平均分子量を求めた。なお、GPC測定は下記条件により測定した。
・機器:Waters2695
・カラム温度:40℃
・検出器:RI2414(示差屈折率計)
・キャリア溶離液流量:0.3ml/分(溶媒:テトラヒドロフラン)
・カラム:TSKgel SuperHZM-M(6.0mmI.D.×15cm)
TSKgel SuperHZM-N(6.0mmI.D.×15cm)
直列(いずれも東ソー(株)製)。
・標準試料:東ソー製単分散ポリスチレン。
<ビニル系共重合体(I-1)の調製>
スチレン72質量%とアクリロニトリル28質量%からなる単量体混合物を懸濁重合して得られたスラリーを、洗浄・脱水・乾燥工程を経て、重量平均分子量100,000、屈折率1.57のビニル系共重合体(I)を調製した。
<ビニル系共重合体(I-2)の調製>
メタクリル酸メチル72質量%、スチレン24質量%、アクリロニトリル4質量%からなる単量体混合物を懸濁重合して得られたスラリーを、洗浄・脱水・乾燥工程を経て、重量平均分子量110,000、屈折率1.52のビニル系共重合体(I)を調製した。
<無機粒子(II)>
・無機粒子(II-1):硫酸バリウム、粒子径(D50)2μm、屈折率1.64
・無機粒子(II-2):硫酸バリウム、粒子径(D50)5μm、屈折率1.64
<その他添加剤(III)>
・リン系熱安定剤:商品名「アデカスタブPEP-36」、(株)ADEKA製
(実施例1~10、比較例1~8)
前記ビニル系共重合体(I)、無機粒子(II)、その他添加剤を下記表に示したとおりの質量比で配合し、スクリュー径30mmの同方向回転の二軸押出機(温度範囲:200~220℃)で溶融混練を行い、ペレットを得た。得られたペレットについて前述の評価を行った。評価結果を下記表1および表2に示す。
なお、全光線透過率は55.0~65.0%であれば良好である。ヘーズは95~100%であれば良好である。
Figure 0007396514000001
Figure 0007396514000002
実施例1~10の熱可塑性樹脂組成物は、全光線透過率とヘーズのバランスに優れ、十分な光学特性を有していることがわかる。一方、本発明の規定値を外れる範囲で無機粒子(II)を含有する比較例1~8の熱可塑性樹脂組成物では、十分な光学特性が得られていないことがわかる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2021年11月26日出願の日本特許出願(特願2021-192426)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明は、より一層高度な光学特性が得られる熱可塑性樹脂組成物であり、OA機器ではスイッチ類やデコレーションパネル、家電機器ではシーリングライトカバー、ダウンライトのセード、ペンダントライトのシェードなどの照明器具、液晶テレビの直下型およびエッジライト型ユニット、冷蔵庫・エアコン・洗濯機・炊飯器等の家電本体の光加飾部やスイッチ類、建材関係ではデコレーションパネルや案内表示板、自動車分野ではラジエータグリル、エンブレム、ガーニッシュ、ドアミラー、ルーフ、フェンダー、バンパーなどの自動車外装部品や、パワーウインドパネル、センターコンソール、センタークラスター、レバーコントローラー、コンソールボックス等の自動車内装用部品などの、光拡散性を必要とする用途全般に好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. 屈折率が1.50~2.00のビニル系共重合体(I)を100質量部、粒子径(D50)が1.2~2.8μmの無機粒子(II-1)を2~3質量部、および粒子径(D50)が3.6~6.4μmの無機粒子(II-2)を1~7質量部含み、
    前記無機粒子(II-1)と無機粒子(II-2)の合計含有量が4~10質量部であり、
    前記無機粒子(II-1)と無機粒子(II-2)の配合比(II-2)/(II-1)が0.3以上4.0未満である熱可塑性樹脂組成物であって、
    前記熱可塑性樹脂組成物の全光線透過率が55.0~65.0%であり、ヘーズが95~100%である熱可塑性樹脂組成物
  2. 前記無機粒子(II-1)および前記無機粒子(II-2)の屈折率が1.50~2.00である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記熱可塑性樹脂組成物の密度が1100~1140kg/mである請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記無機粒子が硫酸バリウムを含む請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記ビニル系共重合体(I)の重量平均分子量が80,000~150,000である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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