JP2009235318A - スチレン系樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 成形品の透明性、耐衝撃性、強度、剛性、表面硬度と摺動性と耐傷性とを兼ね備え、成形加工性にも優れたスチレン系樹脂組成物及びその成形品を提供すること。
【解決手段】 ゴム質重合体とスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体とからなるゴム変性スチレン系共重合体(I)と、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体とからなるスチレン系共重合体(II)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体の重合体であるアクリル系重合体(III−1)、又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体とビニル系単量体とからなるアクリル系共重合体(III−2)と、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体とからなる酸変性スチレン系共重合体(IV)と、有機ポリシロキサン(V)と、を含有するスチレン系樹脂組成物及びその成形品。
【選択図】 図1
【解決手段】 ゴム質重合体とスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体とからなるゴム変性スチレン系共重合体(I)と、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体とからなるスチレン系共重合体(II)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体の重合体であるアクリル系重合体(III−1)、又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体とビニル系単量体とからなるアクリル系共重合体(III−2)と、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体とからなる酸変性スチレン系共重合体(IV)と、有機ポリシロキサン(V)と、を含有するスチレン系樹脂組成物及びその成形品。
【選択図】 図1
Description
本発明は、各種のスチレン系樹脂と有機ポリシロキサンとを含有し、耐傷性、高表面硬度、耐衝撃性、加工性、透明性(着色時の色調)のバランスに優れるスチレン系樹脂組成物及びその成形品に関する。
家電製品や各OA機器等のハウジング材は耐衝撃性に優れていることが必要である。近年、意匠性向上の要求が高まっており、これに伴い、樹脂組成物の成形加工性が良好であること(微細な加工が可能となる)や、得られる成形品が高耐傷性であること、また色調にも優れることが要求されるようになり、更に廃棄物削減のため、家電製品等の長寿命化により、これらの物性の持続性も求められる様になってきた。色調は、各種着色剤等を配合することで調整するものであるが、基本とする樹脂組成物が不透明である場合には光沢や深みのある発色を実現させることが困難になるため、着色前の樹脂組成物は無色透明であることが必要である。又、この様なハウジング材は、優れた外観を維持するため高表面硬度、低摩擦係数(摺動性)を有し耐傷性に富むものが好ましく用いられる傾向がある。
優れた耐傷性と透明性とを有することで知られているポリメタクリル酸メチル(PMMA)は、耐衝撃性が低く、薄肉化した成形品や微細な加工を施した高意匠性の成形品等において強度を保持することができず、ハウジング材として用いることは困難である。
耐傷性と透明性とを兼備させる方法として、例えば、ゴム強化スチレン系グラフト共重合体(いわゆる透明ABS樹脂)とゴムを含有しないビニル系共重合体の混合物にポリオルガノシロキサンを配合する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、ABS樹脂は透明であるものの若干黄色を帯びる等の色相が不安定であり、ロット振れが大きいことが知られている。また射出成形や押出成形時の流れ性等の成形加工性も不足しており、微細加工がしにくいという問題がある。
また、強度、耐傷性、外観特性(透明性)を向上させる技術としてゴム変性メタクリルスチレン樹脂に有機ポリシロキサン(いわゆるシリコーンオイル)を配合する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、前記特許文献2で提案された組成物から得られる成形品は、剛性や硬度と耐衝撃性とのバランスが不充分であり、ハウジング材としての実用レベルに達していない。
一方、長期的な摺動性に優れ、動摩擦係数が小さい透明樹脂を提供する技術としては、透明樹脂に(メタ)アクリル酸アルキルエステルとラジカル重合性シリコーンマクロモノマーとの共重合物を配合する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、前記特許文献3では様々な公知の熱可塑性樹脂に対して前記共重合物を配合させることが記載されているのみであって、ハウジング材等に要求される耐衝撃性や表面硬度を向上させる方法についての記載や示唆はされていない。
さらに、透明性、耐衝撃性、耐熱性、加工性を向上させる技術としては、メタクリル酸で変性されたスチレン系共重合樹脂と、メチルメタクリレート系樹脂と、グラフト共重合ゴムとを配合する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、前記特許文献4では表面硬度や耐傷性についての記載や示唆がされていない。また、前記特許文献4で用いるグラフト共重合ゴムはゴム質重合体を多く含有しており、一般的にゴムラテックスを乳化重合して得られるため、最終形態は微粒子すなわち粉体であることが多い。組成物の透明性を維持するためには、溶融混練によってこのグラフト共重合ゴムをスチレン系共重合樹脂及びメチルメタクリレート系樹脂からなるマトリックス樹脂に微分散する必要があるが、ゴム質重合体の含有量が多いため加熱時に粒子間融着を起こしやすく、溶融混練してもゴム粒子が一部凝集して組成物の透明性レベルが低下するという問題がある。
このように、従来の透明樹脂組成物の分野では透明性と耐衝撃性と強度と剛性と持続的な摺動性と耐傷性及び表面硬度を同時に満足し、高品位なハウジング材等として好適に用いることができる樹脂組成物は見出されていない。
上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、得られる成形品の透明性(着色時の色調)、耐衝撃性、強度、剛性、表面硬度と持続的な摺動性と耐傷性とを兼ね備え、成形加工性にも優れたスチレン系樹脂組成物及びその成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、透明性を有するゴム変性スチレン系共重合体と特定のスチレン系共重合体、アクリル系共重合体とからなるスチレン系樹脂組成物に対して、有機ポリシロキサンを配合した樹脂組成物が加工性に優れ、且つ得られる成形品が高度な透明性を有すると共に、耐衝撃性、強度、剛性、表面硬度、持続的耐傷性のバランスに優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ゴム質重合体(a)とスチレン系単量体(b1)と(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c1)とからなり、前記ゴム質重合体(a)、前記スチレン系単量体(b1)及び前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c1)の使用割合(質量基準)が(a)/(b1)/(c1)=8〜20/20〜60/40〜80であるゴム変性スチレン系共重合体(I)と、
スチレン系単量体(b2)と(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c2)とからなり、前記スチレン系単量体(b2)及び前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c2)の使用割合(質量基準)が(b2)/(c2)=20〜60/40〜80であるスチレン系共重合体(II)と、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c3)の重合体であるアクリル系重合体(III−1)、又は
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c3)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c3)と共重合可能なビニル系単量体(d1)との合計100質量部中に、前記ビニル系単量体(d1)を20質量部以下で含有する単量体類を重合して得られるアクリル系共重合体(III−2)と、
スチレン系単量体(b3)と(メタ)アクリル酸系単量体(e)とからなり、前記スチレン系単量体(b3)及び前記(メタ)アクリル酸系単量体(e)の使用割合(質量基準)が(b3)/(e)=80〜95/5〜20である酸変性スチレン系共重合体(IV)と、
有機ポリシロキサン(V)と、
を含有することを特徴とするスチレン系樹脂組成物及びこれを用いて得られる成形品を提供するものである。
スチレン系単量体(b2)と(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c2)とからなり、前記スチレン系単量体(b2)及び前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c2)の使用割合(質量基準)が(b2)/(c2)=20〜60/40〜80であるスチレン系共重合体(II)と、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c3)の重合体であるアクリル系重合体(III−1)、又は
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c3)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c3)と共重合可能なビニル系単量体(d1)との合計100質量部中に、前記ビニル系単量体(d1)を20質量部以下で含有する単量体類を重合して得られるアクリル系共重合体(III−2)と、
スチレン系単量体(b3)と(メタ)アクリル酸系単量体(e)とからなり、前記スチレン系単量体(b3)及び前記(メタ)アクリル酸系単量体(e)の使用割合(質量基準)が(b3)/(e)=80〜95/5〜20である酸変性スチレン系共重合体(IV)と、
有機ポリシロキサン(V)と、
を含有することを特徴とするスチレン系樹脂組成物及びこれを用いて得られる成形品を提供するものである。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、加工性に優れ、得られる成形品は高度な透明性を有すると共に、耐衝撃性、強度、剛性、表面硬度、持続的耐傷性のバランスが良好であり、意匠性を重視した高品位の家電製品やOA製品のハウジング材等の材料として好適に用いることができる。
以下に本発明のスチレン系樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、透明性を有するゴム変性スチレン系共重合体(I)と、ゴム成分を含まないスチレン系共重合体(II)、アクリル系重合体(III−1)又はアクリル系共重合体(III−2)、及び酸変性スチレン系共重合体(IV)と、有機ポリシロキサン(V)とを配合してなる樹脂組成物である。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、透明性を有するゴム変性スチレン系共重合体(I)と、ゴム成分を含まないスチレン系共重合体(II)、アクリル系重合体(III−1)又はアクリル系共重合体(III−2)、及び酸変性スチレン系共重合体(IV)と、有機ポリシロキサン(V)とを配合してなる樹脂組成物である。
本発明で用いるゴム変性スチレン系共重合体(I)は、ゴム質重合体(a)の存在下でスチレン系単量体(b1)及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c1)をグラフト共重合させたものであり、前記ゴム質重合体(a)、前記スチレン系単量体(b1)及び前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c1)の使用割合(質量基準)が(a)/(b1)/(c1)=8〜20/20〜60/40〜80であることを必須とする。この様な比率で原料を用い、且つ後述するスチレン系共重合体(II)、アクリル系重合体(III−1)又はアクリル系共重合体(III−2)、酸変性スチレン系共重合体(IV)及び有機ポリシロキサン(V)を併用することで、得られる成形品の耐衝撃性、強度、剛性、表面硬度、透明性のバランスを取ることができる。
前記ゴム質重合体(a)としては特に制限は無いが、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン系ゴム等が使用できる。これらゴム質重合体(a)の具体例としては、例えば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体、ブタジエン−アクリル酸エチル共重合体、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン系共重合体、エチレン−イソプレン共重合体等が挙げられる。これらの中でも得られる成形品の耐衝撃性に優れる点から、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体が好適である。
前記ゴム質重合体(a)の平均粒子径には特に制限は無いが、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)を分散媒としてレーザ回析散乱式粒度分布装置で測定した際の平均粒子径が0.3〜0.8μmの範囲であることが、得られる成形品の耐衝撃性と透明性とを兼備させる点で好ましい。
また、ゴム質重合体(a)の使用割合としては、前述のようにスチレン系単量体(b1)と(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c1)との合計100質量部に対して、8〜20質量部用いるものである。8質量部未満では得られる成形品の耐衝撃性に劣り、20質量部を超えると表面硬度が低下して耐傷性に劣ることになる。
前記スチレン系単量体(b1)には特に制限は無く、具体例としてはスチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン等が挙げられるが、これらの中でもスチレン、α−メチルスチレンが好ましく、重合性の点で特にスチレンが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c1)には特に制限は無いが、炭素数1〜6のアルキル基もしくは置換アルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルが好ましい。具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−へキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等が挙げられ、中でもメタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチルが好適に用いられる。また、これらは2種以上を併用することもできる。
本発明で用いるゴム変性スチレン系共重合体(I)からゴム粒子を分離したマトリックス相を形成する共重合体(以下マトリックス樹脂と記載する。)の重量平均分子量(x)は10万〜20万であることが好ましく、耐衝撃性と剛性とのバランスの点で12万〜17万であることが特に好ましい。
ゴム変性スチレン系共重合体(I)に用いられる単量体の比率(質量基準)としては、スチレン系単量体(b1)/(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c1)が20〜60/40〜80であることが必要であるが、この様な割合で用いることによって、ゴム質重合体(a)を含んでいても、透明性を維持することができるものである。
ゴム変性スチレン系共重合体(I)の製造方法については特に制限は無く、ゴム質重合体(a)の存在下にスチレン系単量体(b1)及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c1)を塊状重合、溶液重合、懸濁重合など様々な方法によりグラフト共重合することで得ることができる。
特に攪拌式反応器と可動部分のない複数のミキシングエレメントが内部に固定されている管状反応器を組み込んだ連続塊状重合ライン中で、該管状反応器による静的な混合を行いながら連続的に塊状重合を行うと、ゴム粒子径が小さく、マトリックス樹脂を均一にコントロールでき、透明性と耐衝撃性に優れるゴム変性スチレン系樹脂を効率的に製造できる点で好ましい。
このようにして得られるゴム変性スチレン系共重合体(I)は、25℃でのトルエン不溶分含有率が4〜22質量%、トルエンによる膨潤指数が8〜19であることが望ましい。この数値範囲にある場合、ゴム質重合体(a)のグラフト化率と架橋とのバランスが良好となり、透明性と耐衝撃性が著しく向上する。
本発明で用いるスチレン系共重合体(II)はスチレン系単量体(b2)と(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c2)とからなり、前記スチレン系単量体(b2)及び前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c2)の使用割合(質量基準)が(b2)/(c2)=20〜60/40〜80であることを必須とする。
ここで用いるスチレン系単量体(b2)及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c2)としては、前述のゴム変性スチレン系共重合体(I)に関して例示したスチレン系単量体(b1)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c1)をいずれも用いることができ、好適なものも同一である。
スチレン系共重合体(II)に用いるスチレン系単量体(b2)と(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c2)は、前述のゴム変性スチレン系共重合体(I)で用いたものと同一の単量体を用いることは必ずしも必須ではなく、異なる原料単量体を用いて得られた共重合体(I)と共重合体(II)とを組み合わせて使用することができる。
このとき、得られる成形品の透明性の観点からは、アッベ屈折計を用いて測定したゴム変性スチレン系共重合体(I)及びスチレン系共重合体(II)の屈折率差が0.01以下になるように両者の屈折率を調節することが好ましい。
本発明で用いるスチレン系共重合体(II)の重量平均分子量(y)としては通常10万〜25万であり、耐衝撃性、剛性、加工性とを兼備できる点で13万〜22万であることが好ましい。10万未満では樹脂組成物の耐衝撃性が不足することがあり、25万を超えると流れ性の不足によって成形しにくくなることがある。
又、スチレン系共重合体(II)の製造方法については特に制限は無く、スチレン系単量体(b2)及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c2)を用いて塊状重合、溶液重合、懸濁重合など種々の方法で製造することができる。
本発明においては、成形品の耐衝撃性、剛性、表面硬度、加工性のバランスを取るために、前記ゴム変性スチレン系共重合体(I)を構成するマトリックス樹脂の重量平均分子量(x)よりも、スチレン系共重合体(II)の重量平均分子量(y)を高くすることが好ましい。通常、重合体の分子量を高くすることにより耐衝撃性や剛性は向上するが、一方で加工性が低下する。特にゴム変性スチレン系共重合体(I)のマトリックス樹脂を高分子量化した場合、溶融粘度の増加による加工性の低下が顕著であるため、(x)<(y)とすることにより、加工性の低下を抑制して耐衝撃性や剛性を維持することができる。
本発明で用いるアクリル系重合体(III−1)は(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c3)の重合体であり、同じくアクリル系重合体(III−2)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c3)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c3)と共重合可能なビニル系単量体(d1)との合計100質量部中に、前記ビニル系単量体(d1)を20質量部以下で含有する単量体類を重合して得られる共重合体である。
ここで用いる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c3)としては、前述のゴム変性スチレン系共重合体(I)に関して例示した、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c1)をいずれも好ましく用いることができるが、メタクリル酸メチルが透明性、硬度に優れる点で特に好ましい。また、複数の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体を併用することもでき、メタクリル酸メチルにアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル等を併用した組成が好ましく用いられる。
アクリル系共重合体(III−2)に用いる共重合可能なビニル系単量体(d)としては、特に制限されるものではないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c3)との共重合性に優れている点で、スチレン系単量体が好ましく、具体例としてはスチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
本発明で用いるアクリル系重合体(III−1)又はアクリル系共重合体(III−2)の重量平均分子量としては通常5万〜20万であり、強度、剛性、加工性とを兼備できる点で5万〜15万であることが好ましい。5万未満では樹脂組成物の剛性、強度が不足することがあり、20万を超えると流れ性の不足によって成形しにくくなることがある。
又、アクリル系重合体(III−1)又はアクリル系共重合体(III−2)の製造方法については特に制限は無く、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c3)及び共重合可能なビニル系単量体(d)を用いて塊状重合、溶液重合、懸濁重合など種々の方法で製造することができる。
本発明で用いる酸変性スチレン系共重合体(IV)は、スチレン系単量体(b3)と(メタ)アクリル酸系単量体(e)とからなり、前記スチレン系単量体(b3)及び前記(メタ)アクリル酸系単量体(e)の使用割合(質量基準)が(b3)/(e)=80〜95/5〜20であることを必須とする。
ここで用いるスチレン系単量体(b3)としては、前述のゴム変性スチレン系共重合体(I)に関して例示した、スチレン系単量体(b1)をいずれも用いることができ、好適なものも同一である。
酸変性スチレン系共重合体(IV)に用いる(メタ)アクリル酸系単量体(e)としては、特に制限されるものではないが、スチレン系単量体(b3)との共重合性に優れている点で、メタアクリル酸が好ましい。
本発明で用いる酸変性スチレン系共重合体(IV)の重量平均分子量としては通常15万〜35万であり、強度、剛性、加工性とを兼備できる点で18万〜33万であることが好ましい。15万未満では樹脂組成物の剛性、強度が不足することがあり、35万を超えると流れ性の不足によって成形しにくくなることがある。
又、酸変性スチレン系共重合体(IV)の製造方法については特に制限は無く、スチレン系単量体(b3)と(メタ)アクリル酸系単量体(e)を用いて塊状重合、溶液重合、懸濁重合など種々の方法で製造することができる。
これらスチレン系共重合体(II)、アクリル系重合体(III−1)又はアクリル系共重合体(III−2)、酸変性スチレン系共重合体(IV)に用いるスチレン系単量体(b2)、(b3)や(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c2)、(c3)は、前述のゴム変性スチレン系共重合体(I)で用いたものと同一の単量体を用いることは必ずしも必須ではなく、異なる原料単量体を用いて得られた共重合体(I)とスチレン系共重合体(II)、アクリル系重合体(III−1)又はアクリル系共重合体(III−2)、酸変性スチレン系共重合体(IV)と、を組み合わせて使用することができる。
本発明のスチレン系樹脂組成物におけるゴム変性スチレン系共重合体(I)と、スチレン系共重合体(II)、アクリル系重合体(III−1)又はアクリル系共重合体(III−2)、酸変性スチレン系共重合体(IV)との配合割合(質量基準)としては、(I)/[(II)+〔(III−1)又は(III−2)〕+(IV)]=30〜60/40〜70であり、かつ(II)+〔(III−1)又は(III−2)〕+(IV)の混合物の屈折率と、ゴム変性スチレン系共重合体(I)の屈折率との差が0.01未満であることが、得られる成形物の透明性に優れる点で好ましい。
スチレン系共重合体(II)とアクリル系重合体(III−1)又はアクリル系共重合体(III−2)と酸変性スチレン系共重合体(IV)は互いに相溶するため、混合物の屈折率には加成性が成り立つ。そのため、(II)+〔(III−1)又は(III−2)〕+(IV)の混合物とゴム変性スチレン系共重合体(I)との屈折率差が0.01未満とすることにより得られる成形物の透明性を発現させることが容易となる。ここで、(III)あるいは(IV)の一方のみを添加した場合、(I)との屈折率差が大きくなり透明性が低下する。さらに、(III)及び(IV)を併用することにより、互いに相溶して(I)及び(II)との親和性が向上するため、透明性に優れるだけでなく機械物性の低下も抑制することができる。
本発明のスチレン系樹脂組成物を用いて得られる成形物の耐衝撃性と表面硬度とのバランスの観点から、ゴム変性スチレン系共重合体(I)とスチレン系共重合体(II)、アクリル系重合体(III−1)又はアクリル系共重合体(III−2)、酸変性スチレン系共重合体(IV)との合計に対しゴム質重合体(a)の含有率が4〜10質量%になるよう用いることが好ましい。組成物中のゴム質重合体(a)の含有量が4質量%未満の場合は耐衝撃性が不十分になることがあり、10質量%を超えると表面硬度が低下しやすく、耐傷性に問題が生じることがある。
本発明で用いる有機ポリシロキサン(V)は、シロキサン基を含有する重合体であり、アルキルポリシロキサンや、反応性基を有するポリシロキサン(f)とビニル系単量体(d2)との共重合体が挙げられ、反応性基を有するポリシロキサン(f)とビニル系単量体(d2)との共重合体(V−1)であることが好ましい。前記共重合体(V−1)の中でも、特にポリシロキサン基を側鎖に有するグラフト共重合体であることが好ましく、該構造を有することにより成形した際にポリシロキサン基が成形品表面に配向し、より潤滑性や耐摩耗性を付与することができる上、主鎖の部分が前述のゴム変性スチレン系共重合体(I)、スチレン系共重合体(II)、アクリル系重合体(III−1)又はアクリル系共重合体(III−2)、酸変性スチレン系共重合体(IV)と相溶しやすい構造を有することから、拭き取り等による剥がれ落ちを防止することができる。
有機ポリシロキサン(V)としては、特に制限は無いが、ポリシロキサン基セグメントの含有率が20〜80質量%の範囲のポリシロキサン基含有共重合体であることが、成形品の透明性を損なわずに耐傷性・摺動性を発現させる点から好ましい。
また、前記有機ポリシロキサン(V)の重量平均分子量としては、3,000〜30,000の範囲であることが好ましい。この範囲であると、ゴム変性スチレン系共重合体(I)及び/又はスチレン系共重合体(II)への相溶性が良好で、透明性を損なうことが無く、且つ、容易に成形品への耐傷性・摺動性の持続性を付与することができる。また、シリコーンオイル等のシリコーン系化合物を配合することによりゴム変性樹脂の耐衝撃性が改良されることが知られているが、本発明においても、前記有機ポリシロキサン(V)の重量平均分子量が3,000以上であると、成形品への耐衝撃性の改良効果が大きくなる点からも好ましい。
前記共重合体(V−1)は、反応性基を有するポリシロキサン(f)とビニル系単量体(d2)とを乳化重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合など公知の重合法を用いて共重合させて得ることができる。
前記反応性基を有するポリシロキサン(f)としては、ビニル系単量体(d2)と共重合可能な反応性の基を有し、シロキサン結合を有するものであれば良い。例えば、特開平6−228316号公報等に記載される製造方法によって、容易に合成することができ、又、市販されているものを用いても良い。特に反応性基として(メタ)アクリロイル基、ビニルベンジル基を有するものは、ビニル系単量体(d2)との反応性に優れる点から、好ましく用いることができる。
前記ビニル系単量体(d2)としては、例えば、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体、アクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられ、単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。特にゴム変性スチレン系共重合体(I)及び/又はスチレン系共重合体(II)への相溶性が良好である点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c4)であることが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c4)としては、前述の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c1)として記載した単量体をいずれも好適に用いることができる。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c4)は必ずしも前述の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c1)、(c2)や(c3)と同一の単量体である必要はない。
有機ポリシロキサン(V)の使用割合としては、ゴム変性スチレン系共重合体(I)と、スチレン系共重合体(II)と、アクリル系重合体(III−1)又はアクリル系共重合体(III−2)と、酸変性スチレン系共重合体(IV)との合計100質量部に対して通常0.1〜10質量部であり、耐傷性・摺動性の付与・耐衝撃性の向上と、透明性とのバランスの観点から0.1〜5質量部の範囲で用いることが好ましい。
本発明のスチレン系樹脂組成物はゴム変性スチレン系共重合体(I)とスチレン系共重合体(II)とアクリル系重合体(III−1)又はアクリル系共重合体(III−2)及び酸変性スチレン系共重合体(IV)と有機ポリシロキサン(V)を配合してなるものであるが、その配合方法は特に制限されるものではない。これら全ての原料を、単軸あるいは二軸押出機にて溶融混練しても良いし、ゴム変性スチレン系共重合体(I)の重合工程中において、スチレン系共重合体(II)とアクリル系重合体(III−1)又はアクリル系共重合体(III−2)及び酸変性スチレン系共重合体(IV)と有機ポリシロキサン(V)とを溶融状態でライン内に導入することにより混合し、組成物を得ることもできる。
本発明のスチレン系樹脂組成物には、耐衝撃性、強度、剛性、透明性、持続的な耐傷性・摺動性及び表面硬度等の本発明の効果を阻害しない限りにおいて、ヒンダードフェノール系、リン系等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系等の光安定剤、高級脂肪酸やその金属塩等の滑剤、フタル酸エステル類、アジピン酸エステル類等の可塑剤、臭素化合物やリン酸エステル等の難燃剤、その他顔料、染料等の着色剤や各種の強化剤、充填剤を配合することもできる。
本発明のスチレン系樹脂組成物を成形して得られる成形品は耐衝撃性、透明性、表面硬度及び持続的な耐傷性・摺動性に優れるが、更なる耐傷性付与を目的としてUV樹脂などをコーティングしても良い。又、成形品の用途としては特に制限されるものではなく、特に薄膜化した家電・OA機器等のハウジング材や、微細加工を行なう各種ハウジング材等に好適に用いることができる。特に、カーボンブラック等の顔料の他にアントラキノン系、ペリミジン系等の染料を着色剤として適宜添加した組成物を成形して得られる成形品は、深みのある色調や光沢に優れ、家電を始めとするハウジング材に好適に用いられる。
本発明をさらに具体的に説明するため、以下に実施例を挙げるが、これらの実施例は本発明を何ら制限するものではない。
本実施例に用いた樹脂組成物の樹脂特性評価方法を記す。
(1)平均ゴム粒子径
ゴム変性スチレン系共重合体(I)の平均ゴム粒子径は、DMFを分散媒として堀場製作所製レーザ回析散乱式粒度分布装置を用いて測定したメジアン径を平均ゴム粒子径とした。
(1)平均ゴム粒子径
ゴム変性スチレン系共重合体(I)の平均ゴム粒子径は、DMFを分散媒として堀場製作所製レーザ回析散乱式粒度分布装置を用いて測定したメジアン径を平均ゴム粒子径とした。
(2)マトリックス樹脂の分離方法
ゴム変性スチレン系共重合体(I)1gをメチルエチルケトン/メタノール=10/2(質量比)からなる溶媒100mlに溶解した後、14,000rpmで20分間、遠心分離する。沈降したゴム成分を濾別し、乾燥することによりマトリックス樹脂を得ることができる。
ゴム変性スチレン系共重合体(I)1gをメチルエチルケトン/メタノール=10/2(質量比)からなる溶媒100mlに溶解した後、14,000rpmで20分間、遠心分離する。沈降したゴム成分を濾別し、乾燥することによりマトリックス樹脂を得ることができる。
(3)重量平均分子量
試料をテトラヒドロフランに溶解し、東ソー製高速GPC装置にて測定した。標準試料として東ソー株式会社製TSK標準ポリスチレンを用いた。
試料をテトラヒドロフランに溶解し、東ソー製高速GPC装置にて測定した。標準試料として東ソー株式会社製TSK標準ポリスチレンを用いた。
(4)屈折率
試料をTHFに溶解してガラス板上にキャストし、乾燥してフィルムを得る。このフィルムを用いてアタゴ製アッベ屈折計にて23℃での屈折率を測定した。
試料をTHFに溶解してガラス板上にキャストし、乾燥してフィルムを得る。このフィルムを用いてアタゴ製アッベ屈折計にて23℃での屈折率を測定した。
(5)シャルピー衝撃強さ
75℃で3時間予備乾燥した樹脂組成物のペレットをシリンダー温度230℃に設定した射出成形機で成形し、得られたダンベル型試験片をJIS K7111に準拠して測定した。
75℃で3時間予備乾燥した樹脂組成物のペレットをシリンダー温度230℃に設定した射出成形機で成形し、得られたダンベル型試験片をJIS K7111に準拠して測定した。
(6)曲げ強度及び曲げ弾性率
(5)と同様に成形して、得られたダンベル型試験片をJIS K7171に準拠して測定した。
(5)と同様に成形して、得られたダンベル型試験片をJIS K7171に準拠して測定した。
(7)全光線透過率及びヘーズ
75℃で3時間予備乾燥した樹脂組成物のペレットをシリンダー温度230℃に設定した射出成形機で成形し、得られた厚さ2mmのプレートを用いて日本電色工業株式会社製ヘーズメーターにてJIS K7105に準拠して全光線透過率及びヘーズを測定した。
75℃で3時間予備乾燥した樹脂組成物のペレットをシリンダー温度230℃に設定した射出成形機で成形し、得られた厚さ2mmのプレートを用いて日本電色工業株式会社製ヘーズメーターにてJIS K7105に準拠して全光線透過率及びヘーズを測定した。
(8)鉛筆硬度
(7)と同様にして成形したプレートを用い、JIS K5400に準拠して測定した。また、家電用ハウジング材として使用された際に、掃除等で使用される可能性が高いエタノールを浸したガーゼで成形品を拭き取り後、あらためて測定することにより持続的耐傷性を判定した。
(7)と同様にして成形したプレートを用い、JIS K5400に準拠して測定した。また、家電用ハウジング材として使用された際に、掃除等で使用される可能性が高いエタノールを浸したガーゼで成形品を拭き取り後、あらためて測定することにより持続的耐傷性を判定した。
(9)摩擦係数
(7)と同様にして成形したプレートを用い、JIS K7125に準拠して測定した。また、エタノールを浸したガーゼで成形品を拭き取り後、あらためて測定することにより持続的耐傷性を判定した。
(7)と同様にして成形したプレートを用い、JIS K7125に準拠して測定した。また、エタノールを浸したガーゼで成形品を拭き取り後、あらためて測定することにより持続的耐傷性を判定した。
(10)色調
着色した樹脂組成物を(7)と同様にして成形した。このプレートを用い、3波長形昼光色の蛍光灯下で色調を判定した。漆黒性に優れ白っぽく見えず、光沢にも優れた外観を○とした。
着色した樹脂組成物を(7)と同様にして成形した。このプレートを用い、3波長形昼光色の蛍光灯下で色調を判定した。漆黒性に優れ白っぽく見えず、光沢にも優れた外観を○とした。
[参考例1 ゴム変性スチレン系共重合体(I−1)の合成]
本参考例では第1図に示すように配列された装置を用いた。ゴム質重合体、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル及び溶媒を含む混合溶液を、プランジャーポンプ(1)によって20リットルの攪拌式反応器(2)へ送り、攪拌翼による動的混合下に初期グラフト重合した。次いでこの混合溶液をギアポンプ(3)によって循環重合ライン(I)に送る。循環重合ライン(I)は管状反応器(4)、(5)、(6)と混合溶液を循環させるためのギアポンプ(7)から構成されている。管状反応器(6)とギアポンプ(7)の間には非循環重合ライン(II)に続く出口が設けてあり、非循環重合ライン(II)には管状反応器(8)、(9)及び(10)とギヤポンプが直列に連結されている。
本参考例では第1図に示すように配列された装置を用いた。ゴム質重合体、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル及び溶媒を含む混合溶液を、プランジャーポンプ(1)によって20リットルの攪拌式反応器(2)へ送り、攪拌翼による動的混合下に初期グラフト重合した。次いでこの混合溶液をギアポンプ(3)によって循環重合ライン(I)に送る。循環重合ライン(I)は管状反応器(4)、(5)、(6)と混合溶液を循環させるためのギアポンプ(7)から構成されている。管状反応器(6)とギアポンプ(7)の間には非循環重合ライン(II)に続く出口が設けてあり、非循環重合ライン(II)には管状反応器(8)、(9)及び(10)とギヤポンプが直列に連結されている。
スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム(スチレン/ブタジエン=37/63質量%)12質量部、スチレン50質量部、メタクリル酸メチル45質量部、アクリル酸n−ブチル5質量部及びエチルベンゼン10質量部からなる混合溶液を調製し、さらに連鎖移動剤として単量体混合物100質量部に対して0.15質量部のn−ドデシルメルカプタン及び有機過酸化物として0.02質量部の2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを加え上記装置を用いて以下の条件下で連続的に塊状重合させた。
混合溶液の供給量:10リットル/時間
攪拌式反応器(2)での反応温度:115℃
循環重合ライン(I)での反応温度:130℃
循環重合ライン(II)での反応温度:140〜160℃
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で240℃にまで加熱し、50mmHgの減圧下で揮発性成分を除去した後、ペレット化してゴム変性スチレン系共重合樹脂を得た。得られたゴム変性スチレン系共重合体(I−1)の平均ゴム粒子径は0.55μm、マトリックス樹脂の重量平均分子量は14万、屈折率は1.540であった。
攪拌式反応器(2)での反応温度:115℃
循環重合ライン(I)での反応温度:130℃
循環重合ライン(II)での反応温度:140〜160℃
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で240℃にまで加熱し、50mmHgの減圧下で揮発性成分を除去した後、ペレット化してゴム変性スチレン系共重合樹脂を得た。得られたゴム変性スチレン系共重合体(I−1)の平均ゴム粒子径は0.55μm、マトリックス樹脂の重量平均分子量は14万、屈折率は1.540であった。
[参考例2 ゴム変性スチレン系共重合体(I−2)の合成]
スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム(スチレン/ブタジエン=5/95質量%)11質量部、スチレン25質量部、メタクリル酸メチル70質量部、アクリル酸n−ブチル5質量部及びエチルベンゼン14質量部からなる混合溶液を調製し、さらに連鎖移動剤として単量体混合物100質量部に対して0.25質量部のn−ドデシルメルカプタンを加えた他は参考例1と同条件にて連続的に塊状重合させた。得られたゴム変性スチレン系共重合体(I−2)の平均ゴム粒子径は0.65μm、マトリックス樹脂の重量平均分子量は11万、屈折率は1.515であった。
スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム(スチレン/ブタジエン=5/95質量%)11質量部、スチレン25質量部、メタクリル酸メチル70質量部、アクリル酸n−ブチル5質量部及びエチルベンゼン14質量部からなる混合溶液を調製し、さらに連鎖移動剤として単量体混合物100質量部に対して0.25質量部のn−ドデシルメルカプタンを加えた他は参考例1と同条件にて連続的に塊状重合させた。得られたゴム変性スチレン系共重合体(I−2)の平均ゴム粒子径は0.65μm、マトリックス樹脂の重量平均分子量は11万、屈折率は1.515であった。
[参考例3 ゴム変性スチレン系共重合体(I’−1)の合成]
スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム(スチレン/ブタジエン=50/50質量%)15質量部、スチレン65質量部、メタクリル酸メチル30質量部、アクリル酸n−ブチル5質量部及びエチルベンゼン10質量部からなる混合溶液を調製し、さらに連鎖移動剤として単量体混合物100質量部に対して0.1質量部のn−ドデシルメルカプタンを加えた他は参考例1と同条件にて連続的に塊状重合させた。得られたゴム変性スチレン系共重合体(I’−1)の平均ゴム粒子径は0.45μmであった。マトリックス樹脂の重量平均分子量は17万、屈折率は1.555であった。単量体の配合比において本発明の範囲から外れる。
スチレン−ブタジエンブロック共重合ゴム(スチレン/ブタジエン=50/50質量%)15質量部、スチレン65質量部、メタクリル酸メチル30質量部、アクリル酸n−ブチル5質量部及びエチルベンゼン10質量部からなる混合溶液を調製し、さらに連鎖移動剤として単量体混合物100質量部に対して0.1質量部のn−ドデシルメルカプタンを加えた他は参考例1と同条件にて連続的に塊状重合させた。得られたゴム変性スチレン系共重合体(I’−1)の平均ゴム粒子径は0.45μmであった。マトリックス樹脂の重量平均分子量は17万、屈折率は1.555であった。単量体の配合比において本発明の範囲から外れる。
[参考例4 ゴム変性スチレン系共重合体(I’−2)]
アクリロニトリル、スチレン、メタクリル酸メチル、スチレン−ブタジエン共重合体からなる東レ製「トヨラック920」を用いた。平均ゴム粒子径は0.35μmであった。単量体としてアクリロニトリルを用いて製造されており本発明の範囲から外れる。
アクリロニトリル、スチレン、メタクリル酸メチル、スチレン−ブタジエン共重合体からなる東レ製「トヨラック920」を用いた。平均ゴム粒子径は0.35μmであった。単量体としてアクリロニトリルを用いて製造されており本発明の範囲から外れる。
[参考例5 スチレン系共重合体(II−1)の合成]
スチレン50質量部、メタクリル酸メチル48質量部、アクリル酸n−ブチル2質量部及びエチルベンゼン10質量部からなる混合溶液を調製し、さらに連鎖移動剤として単量体混合物100質量部に対して0.1質量部のn−ドデシルメルカプタン及び有機過酸化物として0.02質量部の2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを加え参考例1と同様の装置を用いて以下の条件下で連続的に塊状重合させた。
スチレン50質量部、メタクリル酸メチル48質量部、アクリル酸n−ブチル2質量部及びエチルベンゼン10質量部からなる混合溶液を調製し、さらに連鎖移動剤として単量体混合物100質量部に対して0.1質量部のn−ドデシルメルカプタン及び有機過酸化物として0.02質量部の2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを加え参考例1と同様の装置を用いて以下の条件下で連続的に塊状重合させた。
混合溶液の供給量:10リットル/時間
攪拌式反応器(2)での反応温度:115℃
循環重合ライン(I)での反応温度:135℃
循環重合ライン(II)での反応温度:140〜160℃
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で240℃にまで加熱し、50mmHgの減圧下で揮発性成分を除去した後、ペレット化してスチレン系共重合体を得た。得られたスチレン系共重合体(II−1)の重量平均分子量は17万、屈折率は1.540であった。
攪拌式反応器(2)での反応温度:115℃
循環重合ライン(I)での反応温度:135℃
循環重合ライン(II)での反応温度:140〜160℃
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で240℃にまで加熱し、50mmHgの減圧下で揮発性成分を除去した後、ペレット化してスチレン系共重合体を得た。得られたスチレン系共重合体(II−1)の重量平均分子量は17万、屈折率は1.540であった。
[参考例6 スチレン系共重合体(II−2)の合成]
スチレン25質量部、メタクリル酸メチル70質量部、アクリル酸n−ブチル5質量部及びエチルベンゼン10質量部からなる混合溶液を調製し、さらに連鎖移動剤として単量体混合物100質量部に対して0.25質量部のn−ドデシルメルカプタン及び有機過酸化物として0.02質量部の2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを加えた他は参考例1と同条件にて連続的に塊状重合させた。得られたスチレン系共重合体(II−2)の重量平均分子量は13万、屈折率は1.515であった。
スチレン25質量部、メタクリル酸メチル70質量部、アクリル酸n−ブチル5質量部及びエチルベンゼン10質量部からなる混合溶液を調製し、さらに連鎖移動剤として単量体混合物100質量部に対して0.25質量部のn−ドデシルメルカプタン及び有機過酸化物として0.02質量部の2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを加えた他は参考例1と同条件にて連続的に塊状重合させた。得られたスチレン系共重合体(II−2)の重量平均分子量は13万、屈折率は1.515であった。
[参考例7 スチレン系共重合体(II’−1)の合成]
スチレン65質量部、メタクリル酸メチル33質量部、アクリル酸n−ブチル2質量部及びエチルベンゼン10質量部からなる混合溶液を調製し、さらに連鎖移動剤として単量体混合物100質量部に対して0.1質量部のn−ドデシルメルカプタン及び有機過酸化物として0.02質量部の2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを加えた他は参考例1と同条件にて連続的に塊状重合させた。得られたスチレン系共重合体(II’−1)の重量平均分子量は18万、屈折率は1.555であった。単量体の配合比において本発明の範囲から外れる。
スチレン65質量部、メタクリル酸メチル33質量部、アクリル酸n−ブチル2質量部及びエチルベンゼン10質量部からなる混合溶液を調製し、さらに連鎖移動剤として単量体混合物100質量部に対して0.1質量部のn−ドデシルメルカプタン及び有機過酸化物として0.02質量部の2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを加えた他は参考例1と同条件にて連続的に塊状重合させた。得られたスチレン系共重合体(II’−1)の重量平均分子量は18万、屈折率は1.555であった。単量体の配合比において本発明の範囲から外れる。
[参考例8 スチレン系共重合体(II’−2)の合成]
20リットルのオートクレーブを用い、アクリロニトリル5質量部、スチレン25質量部、メタクリル酸メチル70質量部を懸濁重合し、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行ってスチレン系共重合体(II’−2)を得た。得られたスチレン系共重合体(II’−2)の重量平均分子量は10万であった。単量体としてアクリロニトリルを用いて製造されており本発明の範囲から外れる。
20リットルのオートクレーブを用い、アクリロニトリル5質量部、スチレン25質量部、メタクリル酸メチル70質量部を懸濁重合し、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行ってスチレン系共重合体(II’−2)を得た。得られたスチレン系共重合体(II’−2)の重量平均分子量は10万であった。単量体としてアクリロニトリルを用いて製造されており本発明の範囲から外れる。
[参考例9 アクリル系重合体(III−1−1)の合成]
メタクリル酸メチル95質量部、アクリル酸n−ブチル5質量部及びエチルベンゼン12質量部からなる混合溶液を調製し、さらに連鎖移動剤として単量体混合物100質量部に対して0.5質量部のn−ドデシルメルカプタン及び有機過酸化物として0.01質量部のt−ブチルパーオキシベンゾエートを加え参考例1と同様の装置を用いて以下の条件下で連続的に塊状重合させた。
メタクリル酸メチル95質量部、アクリル酸n−ブチル5質量部及びエチルベンゼン12質量部からなる混合溶液を調製し、さらに連鎖移動剤として単量体混合物100質量部に対して0.5質量部のn−ドデシルメルカプタン及び有機過酸化物として0.01質量部のt−ブチルパーオキシベンゾエートを加え参考例1と同様の装置を用いて以下の条件下で連続的に塊状重合させた。
混合溶液の供給量:7リットル/時間
攪拌式反応器(2)には混合溶液を導入せず、直接循環重合ラインに導入した。
循環重合ライン(I)での反応温度:140℃
循環重合ライン(II)での反応温度:150〜160℃
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で240℃にまで加熱し、50mmHgの減圧下で揮発性成分を除去した後、ペレット化してスチレン系共重合体を得た。得られたアクリル系共重合体(III−1−1)の重量平均分子量は12万、屈折率は1.490であった。
攪拌式反応器(2)には混合溶液を導入せず、直接循環重合ラインに導入した。
循環重合ライン(I)での反応温度:140℃
循環重合ライン(II)での反応温度:150〜160℃
重合させて得られた混合溶液を熱交換器で240℃にまで加熱し、50mmHgの減圧下で揮発性成分を除去した後、ペレット化してスチレン系共重合体を得た。得られたアクリル系共重合体(III−1−1)の重量平均分子量は12万、屈折率は1.490であった。
[参考例10 アクリル系重合体(III−2−1)の合成]
メタクリル酸メチル95質量部、スチレン5質量部及びエチルベンゼン12質量部からなる混合溶液を調製し、さらに連鎖移動剤として単量体混合物100質量部に対して0.4質量部のn−ドデシルメルカプタン及び有機過酸化物として0.015質量部の2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを加えた他は参考例9と同条件にて連続的に塊状重合させた。得られたアクリル系重合体(III−2−1)の重量平均分子量は13万、屈折率は1.485であった。
メタクリル酸メチル95質量部、スチレン5質量部及びエチルベンゼン12質量部からなる混合溶液を調製し、さらに連鎖移動剤として単量体混合物100質量部に対して0.4質量部のn−ドデシルメルカプタン及び有機過酸化物として0.015質量部の2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンを加えた他は参考例9と同条件にて連続的に塊状重合させた。得られたアクリル系重合体(III−2−1)の重量平均分子量は13万、屈折率は1.485であった。
[参考例11 アクリル系重合体(III−1−2)]
メタクリル酸メチル95質量部とアクリル酸メチル5質量部からなる奇美実業製「CM203」を用いた。重量平均分子量は9万であった。
メタクリル酸メチル95質量部とアクリル酸メチル5質量部からなる奇美実業製「CM203」を用いた。重量平均分子量は9万であった。
[参考例12 酸変性スチレン系共重合体(IV−1)の合成]
重合容器に純水100質量部を仕込み、分散剤としてカルボキシメチルセルロースを1質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.05質量部仕込んで70℃に昇温する。スチレン85質量部及びメタクリル酸7.5質量部と、重合開始剤として単量体100質量部に対してベンゾイルパーオキシドを0.25質量部、さらに連鎖移動剤として0.05質量部のα−メチルスチレンダイマーを添加して90℃に昇温する。ここでメタクリル酸7.5質量部を6時間かけて連続添加しつつ重合を行い、その後115℃まで昇温して重合を完結させ酸変性スチレン系共重合体(IV−1)を得た。得られた酸変性スチレン系共重合体(IV−1)の重量平均分子量は23万、屈折率は1.580であった。
重合容器に純水100質量部を仕込み、分散剤としてカルボキシメチルセルロースを1質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.05質量部仕込んで70℃に昇温する。スチレン85質量部及びメタクリル酸7.5質量部と、重合開始剤として単量体100質量部に対してベンゾイルパーオキシドを0.25質量部、さらに連鎖移動剤として0.05質量部のα−メチルスチレンダイマーを添加して90℃に昇温する。ここでメタクリル酸7.5質量部を6時間かけて連続添加しつつ重合を行い、その後115℃まで昇温して重合を完結させ酸変性スチレン系共重合体(IV−1)を得た。得られた酸変性スチレン系共重合体(IV−1)の重量平均分子量は23万、屈折率は1.580であった。
[参考例13 酸変性スチレン系共重合体(IV−2)の合成]
単量体としてスチレン95質量部、メタクリル酸5質量部、重合開始剤として単量体100質量部に対してベンゾイルパーオキシドを0.2質量部、さらに連鎖移動剤として0.02質量部のα−メチルスチレンダイマーを用いた他は参考例11と同条件にて懸濁重合させ酸変性スチレン系共重合体(IV−2)を得た。得られた酸変性スチレン系共重合体(IV−2)の重量平均分子量は30万、屈折率は1.587であった。
単量体としてスチレン95質量部、メタクリル酸5質量部、重合開始剤として単量体100質量部に対してベンゾイルパーオキシドを0.2質量部、さらに連鎖移動剤として0.02質量部のα−メチルスチレンダイマーを用いた他は参考例11と同条件にて懸濁重合させ酸変性スチレン系共重合体(IV−2)を得た。得られた酸変性スチレン系共重合体(IV−2)の重量平均分子量は30万、屈折率は1.587であった。
[参考例14 酸変性スチレン系共重合体(IV’−1)の合成]
単量体としてスチレン75質量部、メタクリル酸25質量部、重合開始剤として単量体100質量部に対してベンゾイルパーオキシドを0.3質量部、さらに連鎖移動剤として0.08質量部のα−メチルスチレンダイマーを用いた他は参考例11と同条件にて懸濁重合させ酸変性スチレン系共重合体(IV’−1)を得た。得られた酸変性スチレン系共重合体(IV’−1)の重量平均分子量は18万、屈折率は1.574であった。
単量体としてスチレン75質量部、メタクリル酸25質量部、重合開始剤として単量体100質量部に対してベンゾイルパーオキシドを0.3質量部、さらに連鎖移動剤として0.08質量部のα−メチルスチレンダイマーを用いた他は参考例11と同条件にて懸濁重合させ酸変性スチレン系共重合体(IV’−1)を得た。得られた酸変性スチレン系共重合体(IV’−1)の重量平均分子量は18万、屈折率は1.574であった。
[参考例15 酸変性スチレン系共重合体(IV’−2)の合成]
単量体としてスチレン98質量部、メタクリル酸2質量部、重合開始剤として単量体100質量部に対してベンゾイルパーオキシドを0.2質量部、さらに連鎖移動剤として0.01質量部のα−メチルスチレンダイマーを用いた他は参考例11と同条件にて懸濁重合させ酸変性スチレン系共重合体(IV’−2)を得た。得られた酸変性スチレン系共重合体(IV’−2)の重量平均分子量は32万、屈折率は1.589であった。
単量体としてスチレン98質量部、メタクリル酸2質量部、重合開始剤として単量体100質量部に対してベンゾイルパーオキシドを0.2質量部、さらに連鎖移動剤として0.01質量部のα−メチルスチレンダイマーを用いた他は参考例11と同条件にて懸濁重合させ酸変性スチレン系共重合体(IV’−2)を得た。得られた酸変性スチレン系共重合体(IV’−2)の重量平均分子量は32万、屈折率は1.589であった。
[参考例16 有機ポリシロキサン(V−1−1)]
信越シリコーン製「X24−798A」(反応性基を有するポリシロキサンと(メタ)アクリル系単量体との共重合体。50質量%イソプロピルアルコール溶液、重量平均分子量15,000)を用いた。
信越シリコーン製「X24−798A」(反応性基を有するポリシロキサンと(メタ)アクリル系単量体との共重合体。50質量%イソプロピルアルコール溶液、重量平均分子量15,000)を用いた。
[参考例17 有機ポリシロキサン(V−1−2)]
重合容器にトルエン100質量部を仕込み、メタクリル酸メチル40質量部、メタクリル酸n−ブチル2.5質量部、アクリル酸−2−エチルヘキシル2.5質量部、分子末端にメタクリロイル基を導入したポリシロキサン55質量部からなる原料混合物のうち10質量部を仕込んだ後85℃に昇温する。重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート2.5質量部を添加して30分後に90℃に昇温し、残りの原料混合物90質量部を滴下しながら溶液重合を行い、ポリシロキサン基含有共重合体(V−1−2)を得た。得られたポリシロキサン基含有共重合体(V−1−2)の重量平均分子量は15,000であった。
重合容器にトルエン100質量部を仕込み、メタクリル酸メチル40質量部、メタクリル酸n−ブチル2.5質量部、アクリル酸−2−エチルヘキシル2.5質量部、分子末端にメタクリロイル基を導入したポリシロキサン55質量部からなる原料混合物のうち10質量部を仕込んだ後85℃に昇温する。重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート2.5質量部を添加して30分後に90℃に昇温し、残りの原料混合物90質量部を滴下しながら溶液重合を行い、ポリシロキサン基含有共重合体(V−1−2)を得た。得られたポリシロキサン基含有共重合体(V−1−2)の重量平均分子量は15,000であった。
[参考例18 有機ポリシロキサン(V−1−3)]
重合容器に脱イオン水200質量部、ポリビニルアルコール2.0質量部を仕込み、加熱溶解、窒素置換を行った後75℃に昇温する。重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を添加した後、メタクリル酸メチル45質量部、スチレン5質量部、アクリル酸n−ブチル10質量部、分子末端にビニルベンジル基を導入したポリシロキサン40質量部ならなる原料混合物を滴下しながら懸濁重合を行い、ポリシロキサン基含有共重合体(V−1−3)を得た。得られたポリシロキサン基含有共重合体(V−1−3)の重量平均分子量は12,000であった。
重合容器に脱イオン水200質量部、ポリビニルアルコール2.0質量部を仕込み、加熱溶解、窒素置換を行った後75℃に昇温する。重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を添加した後、メタクリル酸メチル45質量部、スチレン5質量部、アクリル酸n−ブチル10質量部、分子末端にビニルベンジル基を導入したポリシロキサン40質量部ならなる原料混合物を滴下しながら懸濁重合を行い、ポリシロキサン基含有共重合体(V−1−3)を得た。得られたポリシロキサン基含有共重合体(V−1−3)の重量平均分子量は12,000であった。
[参考例19 有機ポリシロキサン(V−1−4)]
原料として、メタクリル酸メチル70質量部、アクリル酸n−ブチル5質量部、分子末端にメタクリロイル基を導入したポリシロキサン25質量部の混合物を用いた他は参考例と同様にして共重合を行い、ポリシロキサン基含有共重合体(V−1−4)を得た。得られたポリシロキサン基含有共重合体(V−1−4)の重量平均分子量は10,000であった。
原料として、メタクリル酸メチル70質量部、アクリル酸n−ブチル5質量部、分子末端にメタクリロイル基を導入したポリシロキサン25質量部の混合物を用いた他は参考例と同様にして共重合を行い、ポリシロキサン基含有共重合体(V−1−4)を得た。得られたポリシロキサン基含有共重合体(V−1−4)の重量平均分子量は10,000であった。
[参考例20 有機ポリシロキサン(V−2)]
信越シリコーン製「KF−54」(メチルフェニルポリシロキサン)を用いた。
信越シリコーン製「KF−54」(メチルフェニルポリシロキサン)を用いた。
[参考例21 着色剤]
三菱化学株式会社製「三菱カーボンブラック#2600」を用いた。
三菱化学株式会社製「三菱カーボンブラック#2600」を用いた。
[実施例1〜12]
上記参考例で製造したゴム変性スチレン系共重合体(I)、スチレン系共重合体(II)、アクリル系重合体(III−1)又はアクリル系共重合体(III−2)、酸変性スチレン系共重合体(IV)、有機ポリシロキサン(V)を表1及び表2に示す配合割合としてタンブラーで予備混合した後、40mmφ2軸押出機により押出温度240℃でペレット化した。次いで、得られたペレットを75℃で3時間乾燥後、成形温度230℃、金型温度50℃で射出成形し、評価用の試験片を作製した。これらの試験片について各物性を評価した結果を表1及び表2に示す。
上記参考例で製造したゴム変性スチレン系共重合体(I)、スチレン系共重合体(II)、アクリル系重合体(III−1)又はアクリル系共重合体(III−2)、酸変性スチレン系共重合体(IV)、有機ポリシロキサン(V)を表1及び表2に示す配合割合としてタンブラーで予備混合した後、40mmφ2軸押出機により押出温度240℃でペレット化した。次いで、得られたペレットを75℃で3時間乾燥後、成形温度230℃、金型温度50℃で射出成形し、評価用の試験片を作製した。これらの試験片について各物性を評価した結果を表1及び表2に示す。
[比較例1〜6]
上記参考例で製造したゴム変性スチレン系共重合体、スチレン系共重合体、アクリル系重合体、酸変性スチレン系共重合体、有機ポリシロキサンを表3に示す配合割合としてタンブラーで予備混合した後、40mmφ2軸押出機により押出温度240℃でペレット化した。次いで、得られたペレットを75℃で3時間乾燥後、成形温度230℃、金型温度50℃で射出成形し、評価用の試験片を作製した。これらの試験片について各物性を評価した結果を表3に示す。
上記参考例で製造したゴム変性スチレン系共重合体、スチレン系共重合体、アクリル系重合体、酸変性スチレン系共重合体、有機ポリシロキサンを表3に示す配合割合としてタンブラーで予備混合した後、40mmφ2軸押出機により押出温度240℃でペレット化した。次いで、得られたペレットを75℃で3時間乾燥後、成形温度230℃、金型温度50℃で射出成形し、評価用の試験片を作製した。これらの試験片について各物性を評価した結果を表3に示す。
[実施例13、比較例7]
上記参考例で製造したゴム変性スチレン系共重合体(I)、スチレン系共重合体(II)、アクリル系重合体(III−1)、酸変性スチレン系共重合体(IV)、有機ポリシロキサン(V)を表5に示す配合割合としてタンブラーで予備混合した後、40mmφ2軸押出機により押出温度240℃でペレット化した。次いで、得られたペレットを75℃で3時間乾燥後、成形温度230℃、金型温度50℃で射出成形し、評価用の試験片を作製した。これらの試験片について各物性を評価した結果を表4に示す。
上記参考例で製造したゴム変性スチレン系共重合体(I)、スチレン系共重合体(II)、アクリル系重合体(III−1)、酸変性スチレン系共重合体(IV)、有機ポリシロキサン(V)を表5に示す配合割合としてタンブラーで予備混合した後、40mmφ2軸押出機により押出温度240℃でペレット化した。次いで、得られたペレットを75℃で3時間乾燥後、成形温度230℃、金型温度50℃で射出成形し、評価用の試験片を作製した。これらの試験片について各物性を評価した結果を表4に示す。
[実施例14、比較例8]
上記参考例で製造したゴム変性スチレン系共重合体(I)、スチレン系共重合体(II)又は(II’)、アクリル系重合体(III−1)、酸変性スチレン系共重合体(IV)、有機ポリシロキサン(V)と着色剤を表5に示す配合割合としてタンブラーで予備混合した後、40mmφ2軸押出機により押出温度240℃でペレット化した。次いで、得られたペレットを75℃で3時間乾燥後、成形温度230℃、金型温度50℃で射出成形し、評価用の試験片を作製した。これらの試験片について各物性を評価した結果を表5に示す。
上記参考例で製造したゴム変性スチレン系共重合体(I)、スチレン系共重合体(II)又は(II’)、アクリル系重合体(III−1)、酸変性スチレン系共重合体(IV)、有機ポリシロキサン(V)と着色剤を表5に示す配合割合としてタンブラーで予備混合した後、40mmφ2軸押出機により押出温度240℃でペレット化した。次いで、得られたペレットを75℃で3時間乾燥後、成形温度230℃、金型温度50℃で射出成形し、評価用の試験片を作製した。これらの試験片について各物性を評価した結果を表5に示す。
表1〜3より、本発明のスチレン系樹脂組成物は、透明性に加えて、強度、剛性、耐衝撃性、表面硬度、持続的な耐傷性・摺動性を有することは明らかである。また、表4より有機ポリシロキサンの耐傷性への効果も明らかである。さらに、表5より本発明のスチレン系樹脂組成物は色調にも優れ、着色剤を併用した成形品、特に家庭用や産業用として一般的に用いられる電気・電子機器用の各種の調色されたハウジング材としても好適であることが明らかである。
(1):プランジャーポンプ
(2):攪拌式反応器
(3)、(7):ギヤポンプ
(4)〜(6)、(8)〜(10):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
(2):攪拌式反応器
(3)、(7):ギヤポンプ
(4)〜(6)、(8)〜(10):静的ミキシングエレメントを有する管状反応器
Claims (8)
- ゴム質重合体(a)とスチレン系単量体(b1)と(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c1)とからなり、前記ゴム質重合体(a)、前記スチレン系単量体(b1)及び前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c1)の使用割合(質量基準)が(a)/(b1)/(c1)=8〜20/20〜60/40〜80であるゴム変性スチレン系共重合体(I)と、
スチレン系単量体(b2)と(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c2)とからなり、前記スチレン系単量体(b2)及び前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c2)の使用割合(質量基準)が(b2)/(c2)=20〜60/40〜80であるスチレン系共重合体(II)と、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c3)の重合体であるアクリル系重合体(III−1)、又は
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c3)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体(c3)と共重合可能なビニル系単量体(d1)との合計100質量部中に、前記ビニル系単量体(d1)を20質量部以下で含有する単量体類を重合して得られるアクリル系共重合体(III−2)と、
スチレン系単量体(b3)と(メタ)アクリル酸系単量体(e)とからなり、前記スチレン系単量体(b3)及び前記(メタ)アクリル酸系単量体(e)の使用割合(質量基準)が(b3)/(e)=80〜95/5〜20である酸変性スチレン系共重合体(IV)と、
有機ポリシロキサン(V)と、
を含有することを特徴とするスチレン系樹脂組成物。 - ゴム変性スチレン系共重合体(I)、スチレン系共重合体(II)、アクリル系重合体(III−1)又はアクリル系共重合体(III−2)、酸変性スチレン系共重合体(IV)の使用割合(質量基準)が、
(I)/[(II)+〔(III−1)又は(III−2)〕+(IV)]=30〜60/40〜70であり、かつ
(II)+〔(III−1)又は(III−2)〕+(IV)の混合物の屈折率と、ゴム変性スチレン系共重合体(I)の屈折率との差が0.01未満である請求項1記載のスチレン系樹脂組成物。 - ゴム変性スチレン系共重合体(I)のマトリックス相の重量平均分子量(x)が10万〜20万であり、スチレン系共重合体(II)の重量平均分子量(y)が13万〜25万であり、且つ(x)<(y)である請求項1又は2記載のスチレン系樹脂組成物。
- ゴム変性スチレン系共重合体(I)、スチレン系共重合体(II)、アクリル系重合体(III−1)又はアクリル系共重合体(III−2)、酸変性スチレン系共重合体(IV)の合計100質量部に対して有機ポリシロキサン(V)を0.1〜5質量部含有する請求項1〜3の何れか一項記載のスチレン系樹脂組成物。
- 有機ポリシロキサン(V)が、ビニル系単量体(d2)と、反応性基を含有するポリシロキサン(f)との共重合体(V−1)であり、且つ共重合体(V−1)の重量平均分子量が3,000〜30,000である請求項1〜4の何れか一項記載のスチレン系樹脂組成物。
- 更に着色剤を含有する請求項1〜5の何れか一項記載のスチレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物からなることを特徴とする成形品。
- 電気・電子機器ハウジング材である請求項7記載の成形品。
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JP2008086280A JP2009235318A (ja) | 2008-03-28 | 2008-03-28 | スチレン系樹脂組成物及びその成形品 |
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Cited By (3)
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JP2011178943A (ja) * | 2010-03-03 | 2011-09-15 | Nippon A&L Inc | 熱可塑性樹脂組成物 |
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WO2020188978A1 (ja) | 2019-03-15 | 2020-09-24 | 東レ株式会社 | スチレン系熱可塑性樹脂組成物、スチレン系熱可塑性樹脂組成物の製造方法、成形品及び成形品の製造方法 |
-
2008
- 2008-03-28 JP JP2008086280A patent/JP2009235318A/ja active Pending
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