JP7203622B2 - 熱可塑性樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents
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Description
[1]
メタクリル酸エステル単量体単位:70~97質量%、N-シクロヘキシルマレイミド系構造単位、及び/又はN-アリール基置換マレイミド系構造単位:3~30質量%、共重合可能なその他のビニル系単量体単位:0~25質量%を含むメタクリル系樹脂(A)を100質量部、ヒンダードフェノール系熱安定剤とヒンダードアミン系光安定剤とを含む安定剤(B)を0.01~5質量部含むことを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
[2]
前記ヒンダードフェノール系熱安定剤は環構造を3つ以上含んでいる、[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3]
前記ヒンダードアミン系光安定剤は環構造を3つ以上含んでいる、[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]
前記メタクリル系樹脂(A)100質量部に対して、紫外線吸収剤(C)を0.01~10質量部さらに含有する、[1]~[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5]
前記メタクリル系樹脂(A)中の前記N-シクロヘキシルマレイミド系構造単位及び/又は前記N-アリール基置換マレイミド系構造単位の含有量:a(質量%)、前記熱可塑性樹脂組成物中の前記ヒンダードフェノール系熱安定剤と前記ヒンダードアミン系光安定剤とを含む前記安定剤(B)の含有量:b(質量部)とした場合に、以下の式(i)を満
たす、[1]~[4]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
1≦a/b≦70・・(i)
[6]
[1]~[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形体。
[7]
[1]~[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を射出成形することにより得られることを特徴とする、成形体。
[8]
光学部材である、[6]又は[7]に記載の成形体。
[9]
車両部材である、[6]又は[7]に記載の成形体。
[10]
LED光源を有する装置に使用される、[6]~[8]のいずれかに記載の成形体。
[11]
前記車両部材が、メーターカバー、ヘッドライトカバー、フロントグリル、ライセンスガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、テールランプカバー、導光レンズ、導光棒、ヘッドライト用非球面レンズからなる群から選ばれる少なくとも一種である、[9]に記載の成形体。
なお、本明細書において、重合前のモノマー成分のことを「~単量体」といい、「単量体」を省略して称することもある。また、重合体を構成する構成単位のことを「~単量体単位」及び/又は「~構造単位」といい、単に「~単位」と表記することもある。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、
メタクリル酸エステル単量体単位:70~97質量%、N-シクロヘキシルマレイミド系構造単位、及び/又はN-アリール基置換マレイミド系構造単位:3~30質量%、共重合可能なその他のビニル系単量体単位:0~25質量%を含むメタクリル系樹脂(A)(以下、単に「メタクリル系樹脂(A)」又は「成分(A)と記載することもある)を100質量部、ヒンダードフェノール系熱安定剤とヒンダードアミン系光安定剤とを含む安定剤(B)(以下、単に「安定剤(B)」又は「成分(B)」と記載することもある)を0.01~5質量部含む熱可塑性樹脂組成物である。
メタクリル系樹脂(A)は、メタクリル酸エステル単量体単位:70~97質量%及び、N-シクロヘキシルマレイミド系構造単位、及び/又はN-アリール基置換マレイミド系構造単位:3~30質量%、共重合可能なその他のビニル系単量体単位:0~25質量%を含む。
メタクリル系樹脂(A)を構成するメタクリル酸エステル単量体としては、本発明の効果を達成できるものであれば特に限定されないが、好ましい例としては、下記一般式(1)で示される単量体が挙げられる。
メタクリル系樹脂(A)を構成する、N-シクロヘキシルマレイミド系構造単位、及び/又はN-アリール置換マレイミド系構造単位としては、本発明の効果を達成できるものであれば特に限定されないが、例えば、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-メチルフェニルマレイミド、N-エチルフェニルマレイミド、N-ブチルフェニルマレイミド、N-ジメチルフェニルマレイミド、N-ヒドロキシフェニルマレイミド、N-メトキシフェニルマレイミド、N-(o-クロロフェニル)マレイミド、N-(m-クロロフェニル)マレイミド、N-(p-クロロフェニル)マレイミド等が挙げられる。
耐熱性付与の観点から、好ましくは、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-メチルフェニルマレイミド、N-(o-クロロフェニル)マレイミド、N-(m-クロロフェニル)マレイミド、N-(p-クロロフェニル)マレイミが挙げられ、入手のしやすさ、初期光学特性や耐光性、耐光性後の物性低下の観点から、より好ましくはN-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミドが挙げられ、さらに好ましくはN-シクロヘキシルマレイミドである。
メタクリル系樹脂(A)を構成する、上述したメタクリル酸エステル単量体等と共重合可能なその他のビニル単量体としては、本発明の効果を達成できるものであれば特に限定されないが、好ましい例としては、下記一般式(2)で表されるアクリル酸エステル単量体が挙げられる。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物に含まれるメタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量及び分子量分布について説明する。
優れた機械的強度及び耐溶剤性を得るためには、メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、40000以上が好ましく、50000以上がより好ましく、60000以上がさらに好ましく、70000以上がさらにより好ましく、80000以上がよりさらに好ましい。
また、メタクリル系樹脂が良好な流動性を示すためには、メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は300000以下であることが好ましく、250000以下がより好ましく、230000以下がさらに好ましく、210000以下がさらにより好ましく、190000以下がよりさらに好ましい。
前記メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が40000~300000の範囲であることにより、流動性、機械的強度、及び耐溶剤性のバランスを図ることができ、良好な成形加工性が維持される。
具体的には、あらかじめ単分散の重量平均分子量が既知で試薬として入手可能な標準メタクリル系樹脂と、高分子量成分を先に溶出する分析ゲルカラムを用い、溶出時間と重量平均分子量から検量線を作成しておき、続いて得られた検量線を元に、所定の測定対象のメタクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を求めることができ、これらにより分子量分布を算出することができる。数平均分子量(Mn)とは、単純な分子1本あたりの分子量の平均であり、系の全重量/系中の分子数で定義される。重量平均分子量(Mw)とは、重量分率による分子量の平均で定義される。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物に含まれるメタクリル系樹脂(A)は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合法もしくは乳化重合法のいずれかの方法により重合でき、好ましくは、塊状重合、溶液重合及び懸濁重合法であり、より好ましくは溶液重合、懸濁重合法である。
また、キュアの際に昇温させる温度は、重合温度よりも5℃以上高くすることが好ましく、より好ましくは7℃以上、さらに好ましくは10℃以上である。
さらに、キュアの際に昇温した温度で保持する時間は、10分間以上180分間以下が好ましく、より好ましくは15分間以上150分間以下である。
重合開始剤としては、以下に限定されるものではないが、ラジカル重合を行う場合は、例えば、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシネオデカネート、t-ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル等のアゾ系の一般的なラジカル重合開始剤が挙げられる。これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのラジカル開始剤と適当な還元剤とを組み合わせてレドックス系開始剤として用いてもよい。
また、メタクリル系樹脂(A)を、90℃以上の高温下で溶液重合法により重合する場合には、10時間半減期温度が80℃以上で、かつ用いる有機溶媒に可溶である過酸化物、アゾビス開始剤等を重合開始剤として用いることが好ましい。
当該過酸化物、アゾビス開始剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、シクロヘキサンパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等が挙げられる。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、ヒンダードフェノール系熱安定剤及びヒンダードアミン系光安定剤とを含む安定剤(B)を、メタクリル系樹脂(A)を100質量部として、0.01~5質量部含む。
ここで、環構造を形成する原子数は、特に限定されず、例えば、3~6員環としてよく、5~6員環がより好ましい。環構造は、炭素原子やヘテロ原子を含んでいてよく、例えば、芳香族環、脂肪族環、芳香族複素環、非芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。また、1つの化合物中に2つ以上の環構造を有する場合、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。
ここで、環構造を形成する原子数は、特に限定されず、例えば、3~6員環としてよく、5~6員環が好ましい。環構造は、炭素原子やヘテロ原子を含んでいてよく、例えば、芳香族環、脂肪族環、芳香族複素環及び非芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。また、1つの化合物中に2以上の環構造を有する場合、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。
このうち、熱可塑性樹脂組成物中の、ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、メタクリル系樹脂(A)100質量部に対して0.01~4質量部が好ましく、0.02~3質量部がより好ましく、0.03~2質量部がさらにより好ましく、0.04~1質量部がさらにより好ましく、0.05~0.5質量部が特に好ましい。
ヒンダードフェノール系熱安定剤とヒンダードアミン系光安定剤との合計の含有量が0.01質量部以上であると、熱や光に対する耐性効果を発現でき、5質量部以下であると、成形不良の原因となるブリードアウト等を低減できる。
1≦a/b≦70・・(i)
また、a/bが70以下であることにより、熱可塑性組成物中のN-シクロヘキシルマレイミド系構造単位、及び/又はN-アリール基置換マレイミド系構造単位を含む単量体に由来する単位の量に対するヒンダードフェノール系熱安定剤とヒンダードアミン系光安定剤とを含む安定剤(B)の量が相対的に十分となり、高温環境下での滞留時の耐熱分解性や耐光性が良好となる傾向にある。
上記a/bは、5以上60以下であることがより好ましく、10以上50以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述した成分(A)、成分(B)以外のその他の添加剤を含有させてもよく、特に、紫外線吸収剤、無機充填剤、着色剤、難燃剤等を含むことが好ましい。
その他の添加剤の含有量は、メタクリル系樹脂(A)100質量部に対して、0.01~2質量部としてよく、0.01~1質量部であることが好ましい。
これらは、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで、「成形加工性に優れる」とは、例えば、射出成形時に金型表面への紫外線吸収剤の付着が少ないことや、フィルム成形時に紫外線吸収剤のロール表面への付着が少ないこと等を示す。金型やロールへ付着すると、例えば、成形体表面へ付着し、外観や光学特性を悪化させるおそれがあるため、成形体を光学用材料として使用する場合は好ましくない場合がある。
紫外線吸収剤(C)は、23℃から260℃まで20℃/minの速度で昇温した場合の重量減少率が50%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは15%以下、さらにより好ましくは10%以下、よりさらに好ましくは5%以下である。
含有量が0.01質量部以上であることにより紫外線吸収効果が発現し、含有量が10質量部以下であることにより初期光学特性の低下が抑制できる。
隠蔽性及び表面硬度等の観点から、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミナ、水酸化アルミニウム、二酸化亜鉛、二酸化ケイ酸、硫酸バリウム、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、グラファイト、カーボンナノチューブ等が含まれることが好ましい。
無機充填剤は、一種類のみを単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、これらの無機充填剤は、メタクリル系樹脂(A)とより馴染ませることを目的として、適宜表面処理を施してもよい。
隠蔽性の観点から、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸化カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ポリメチルシルセスキオキサン、ケッチェンブラック、カーボンブラック、アセチレンブラック及びファーネスブラック、流動パラフィン、シリコーンオイル等が好ましい。
着色剤は、一種類のみを単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム質共重合体としては、例えば、一般的なブタジエン系ABSゴム、アクリル系、ポリオレフィン系、シリコーン系、フッ素ゴム等の多層構造を有する有機ゴム粒子である。また、例えば、特公昭60-17406号公報、特開平8-245854公報に開示されているものが挙げられる。
ゴム質共重合体としては、平均粒子径が、例えば0.01~1μmであるものとしてよい。なお、平均粒子径は、具体的には、後述の実施例に記載する方法により測定することができる。
ゴム質共重合体が含まれる場合であっても、ゴム質共重合体の含有量は、メタクリル系樹脂(A)100質量部に対して、15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、7質量部以下がさらに好ましく、5質量部以下がさらにより好ましい。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、離型性、帯電防止性、剛性や寸法安定性等の他の特性を付与する観点から、本発明の効果を損なわない範囲で、上述のその他の添加剤以外の各種の添加剤をさらに添加することができる。
当該その他の添加剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系等の可塑剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸のモノ、ジ、又はトリグリセリド系等の離型剤、ポリエーテル系、ポリエーテルエステル系、ポリエーテルエステルアミド系、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩等の帯電防止剤、難燃助剤、硬化剤、硬化促進剤、導電性付与剤、応力緩和剤、結晶化促進剤、加水分解抑制剤、衝撃付与剤、相溶化剤、核剤、強化剤、補強剤、流動調整剤、増感材、増粘剤、沈降防止剤、タレ防止剤、消泡剤、カップリング剤、防錆剤、抗菌・防黴剤、防汚剤、導電性高分子等が挙げられる。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑が可能であれば、上述した成分(A)以外の従来公知の樹脂を組み合わせて含有してもよい。使用に供される樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂が好適に使用される。
その他の樹脂の含有量は、メタクリル系樹脂(A)100質量部に対して、0.01~15質量部としてよく、0.01~10質量部であることが好ましい。
特に、AS樹脂、BAAS樹脂は、流動性を向上させるために好ましく、ABS樹脂、MBS樹脂は、耐衝撃性を向上させるために好ましく、また、ポリエステル樹脂は、耐薬品性を向上させるために好ましい。また、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂等は、難燃性を向上させる効果が期待できるために好ましい。
これらの樹脂は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
これらの樹脂は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
なお、重量減少率は、作動型示差熱天秤装置により測定することができ、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、ビカット軟化温度は、ISO306 B50に準拠して測定することができ、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、全光線透過率は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を製造する際、各成分を混合させる順序は、本発明の効果が達成できる方法であれば、特に限定されるものではない。例えば、まず、上述したメタクリル系樹脂(A)、ヒンダードフェノール系熱安定剤とヒンダードアミン系光安定剤とを含む安定剤(B)を混練し、さらに、適宜、その他の添加剤、上述した各種の添加剤やその他の樹脂を混練して、熱可塑性樹脂組成物を製造してもよい。あるいは、熱可塑性樹脂組成物を構成するすべての化合物を同時に混練してもよい。
混練方法としては、従来公知の方法を用いることができ、特に限定されないが、例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、ローラミキサー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練製造することができる。特に、押出機による混練が、生産性の面で好ましい。
混練温度は、本実施形態の熱可塑性樹脂に含まれるメタクリル系樹脂及びその他の樹脂等の好ましい加工温度に従えばよく、目安としては140~300℃の範囲が好ましく、180~280℃の範囲がより好ましい。
本実施形態の成形体は、上記の本実施形態のメタクリル系樹脂組成物を含むことを特徴とする。
本実施形態においては、上述したように熱可塑性樹脂組成物を得た後、これを成形することにより成形体が得られる。
成形方法としては、特に限定されないが、例えば、射出成形、シート成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、インフレーション成形、Tダイ成型、プレス成形、押出成形等で成形する方法が挙げられ、圧空成形、真空成形等の二次加工成形法も用いることができる。これらのうち、射出成形により成形体を得ることが好ましい。
また、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機等の混練機を用いて熱可塑性樹脂組成物を混練製造した後、冷却、粉砕し、さらにトランスファー成形、射出成形、圧縮成形等により成形を行う方法も適用できる。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、特に限定されないが、成形することにより、家具、家庭用品、収納又は備蓄用品、壁又は屋根等の建材、玩具又は遊具、パチンコ面盤等の趣味用品、医療用品、福祉用品、OA機器、AV機器、電池電装用品、電気又は電子用品、照明機器、船舶部品、航空機の構造の車体部品、車両部品、光学部品に使用可能であり、特に好ましくは、車両用途や光学用途に用いることができる。
車両用途では、内外装部品として好適であり、ボディ周辺部品(バイザー等)、タイヤ周辺部品等の各種車両用部材に用いることが可能である。特に好ましくは、メーターカバー、ヘッドライトカバー、フロントグリル、ライセンスガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、テールランプカバー、導光レンズ、導光棒、ヘッドライト用非球面レンズ等のLED光源が想定される部材に利用することができる。
光学用途としては、例えば、各種レンズ、タッチパネル等、また、太陽電池に用いられる透明基盤等が挙げられる。その他にも、光通信システム、光交換システム、光計測システムの分野において、導波路、光ファイバー、光ファイバーの被覆材料、LEDレンズ、LED用レンズ(キャップ)カバー、各種LEDやEL照明等のカバー等にも利用することができる。特に好ましくは、光ファイバー、LEDレンズ、LED用レンズ(キャップ)カバー、各種LEDやEL照明等のカバーに利用することができる。
メタクリル系樹脂(A)の製造に用いた原料は下記のとおりである。
・メタクリル酸メチル(MMA):旭化成ケミカルズ製(重合禁止剤として中外貿易製2,4-ジメチル-6-t-ブチルフェノール(2,4-di-methyl-6-tert-butylphenol)を2.5ppm添加されているもの)
・アクリル酸メチル(MA):三菱化学製(重合禁止剤として川口化学工業製4-メトキシフェノール(4-methoxyphenol)が14ppm添加されているもの)
・n-フェニルマレイミド(PMI):日本触媒製
・n-シクロヘキシルマレイミド(CMI):日本触媒製
・スチレン(St):旭化成製
・n-オクチルメルカプタン(n-octylmercaptan):アルケマ製
・2-エチルヘキシルチオグリコレート(2-ethylhexyl thioglycolate):アルケマ製
・ラウロイルパーオキサイド(lauroyl peroxide):日本油脂製
・第3リン酸カルシウム(calcium phosphate):日本化学工業製、懸濁剤として使用
・炭酸カルシウム(calcium calbonate):白石工業製、懸濁剤として使用
・ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate):和光純薬製、懸濁助剤として使用
<I.メタクリル系樹脂(A)の分子量及び分子量分布の測定方法>
メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)(Mnは数平均分子量)を下記の装置、及び条件で測定した。
測定装置:東ソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(HLC-8320GPC)
・測定条件:
カラム:TSKgel SuperH2500 1本、TSKgel SuperHM-M 2本、TSKguardcolumn SuperH-H 1本を順に直列接続して使用した。本カラムでは、高分子量が早く溶出し、低分子量は溶出する時間が遅い。
検出器 :RI(示差屈折)検出器
検出感度 :3.0mV/min
カラム温度:40℃
サンプル :0.02gのメタクリル系樹脂のテトラヒドロフラン10mL溶液
注入量 :10μL
展開溶媒 :テトラヒドロフラン、流速;0.6mL/min、検量線用標準サンプルとして、単分散の重量ピーク分子量が既知で分子量が異なる以下の10種のポリメタクリル酸メチル(Polymethyl methacrylate Calibration Kit PL2020-0101 M-M-10)を用いた。
なお、検量線用標準サンプルに用いた標準試料のポリメタクリル酸メチルは、それぞれ単ピークのものであるため、それぞれに対応するピークをピーク分子量(Mp)と表記した。この点、一試料についてピークが複数ある場合に算出されるピークトップ分子量と区別した。
ピーク分子量(Mp)
標準試料1 1,916,000
標準試料2 625,500
標準試料3 298,900
標準試料4 138,600
標準試料5 60,150
標準試料6 27,600
標準試料7 10,290
標準試料8 5,000
標準試料9 2,810
標準試料10 850
上記の条件で、メタクリル系樹脂の溶出時間に対する、RI検出強度を測定した。
GPC溶出曲線におけるエリア面積と、3次近似式の検量線を基に、メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
1H-NMR測定により構造単位を同定し、その存在量(質量%)を算出した。
1H-NMR測定の測定条件は、以下のとおりである。
装置:JEOL-ECA500
溶媒:CDCl3-d1(重水素化クロロホルム)
試料:成分(A)15mgをCDCl3-d1 0.75mLに溶解し、測定用サンプルとした。
高温環境下の滞留時の耐熱分解性の評価として、TG-DTA8120(差動型示差熱天秤、理学社製)を使用し、8~15mgの測定サンプルを290℃、窒素雰囲気下において、30min間保持した(高温環境下で滞留した)際の重量減量率(%)を測定することで評価した。重量減量率の絶対値が小さいサンプルほど、耐熱分解性が良好といえる。測定サンプルとして、後述する実施例及び比較例で製造した熱可塑性樹脂組成物を用いた。
なお、表4においては「耐熱分解性」として、重量減少率の結果を記載した。
後述する射出成形体(3mm厚)において、白色の天板にLEDランプ(日亜化学工業(株)製のNFSW036B)を固定し、LEDランプを3000時間点灯した。なお、LEDランプ表面から成形体の表面までの距離は10mmになるように調整した。光照射前(0時間)の射出成形体、及び3000時間経過後の射出成形体について、株式会社島津製作所社製の分光光度計UV-3100PCにて、400nmにおける分光透過率(%)を測定し、耐光性の評価を行った。
測定サンプルである射出成形体(3mm厚)は、後述する実施例及び比較例で製造した熱可塑性樹脂組成物のペレットを射出成形機に投入し、
成形温度250℃、金型温度70℃の条件にて作製した、厚さ3mm×幅100mm×長さ100mmの試験片とした。
以下の基準で耐光性を評価した。
◎:0時間の透過率(%)-3000時間経過後の透過率(%)≦3
○:3<0時間の透過率(%)-3000時間経過後の透過率(%)≦5
△:5<0時間の透過率(%)-3000時間経過後の透過率(%)≦8
×:0時間の透過率(%)-3000時間経過後の透過率(%)>8
なお、表4においては「耐光性」として、◎~×の結果を記載した。
前述の射出成形体(3mm厚)の23℃の温度条件下での全光線透過率(%)を測定し、透明性の評価を行った。ISO13468-1規格に準拠した透過測定法で、日本電色工業株式会社製型式NDH2000機器を用いて、全光線透過率を測定した。
前述の射出成形体(3mm厚)の試験片を用いてJIS K7373規格に準拠した透過測定法で、日本電色工業株式会社製型式TC-8600A機器を用いてYI(黄色度)を測定した。
耐熱性の評価として、前述の射出成形体(3mm厚)のビカット軟化温度(VST)を、HDT試験装置3M-2(ヒートディストーションテスター)(東洋精機製作所社製)を用いて、ISO306 B50に準じて測定した。荷重は50Nとし、昇温速度は50℃/時間とした。
後述する実施例及び比較例で製造した熱可塑性樹脂組成物のペレットを射出成形機に投入し、成形温度250℃、金型温度70℃の条件にて作製した、厚さ4mm×幅100mm×長さ170mmのISOダンベルを試験片とした。
図1に、試験片を耐クリープ試験に供したときの様子を示す。
図1に示すように、引張試験治具2に試験片(ISOダンベル)1を設置(設置時のチャック間115mm)し、60℃環境下、10MPaの応力をかけて、ダンベルが撓んだ時点を基準とし、100時間経過後の歪(%)を測定した。
歪(%)は、以下の式で算出した。
歪(%)=(100時間経過後のチャック間距離(mm)-基準時のチャック間距離(mm))×100/基準時のチャック間距離(mm)
歪(%)が小さい値ほど、耐クリープ性に優れることを示す。
後述する実施例及び比較例で、熱可塑性樹脂組成物の構成成分として用いたメタクリル系樹脂(A)、ヒンダードフェノール系熱安定剤及びヒンダードアミン系光安定剤等の安定剤(B)、紫外線吸収剤(C)について、以下記載する。
メタクリル系樹脂(A)は、下記製造例A1~A4により製造した(A-1)~(A-4)のメタクリル系樹脂を使用した。
攪拌機を有する容器に、イオン交換水:2kg、第三リン酸カルシウム:65g、炭酸カルシウム:39g、ラウリル硫酸ナトリウム:0.39gを投入し、混合液(a)を得た。次いで、60Lの反応器に、イオン交換水:26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(a)、メタクリル酸メチル:16.8kg、フェニルマレイミド:2.1kg、スチレン:1.1kg、ラウロイルパーオキサイド:27g、及びn-オクチルメルカプタン:43gを投入した。その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温し、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入後、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子を260℃に設定したφ30mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂ペレット〔メタクリル系樹脂(A-1)〕を得た。
得られた樹脂ペレットの重量平均分子量は12.3万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.83であった。また、構造単位はMMA/PMI/St=85/10/5質量%であった。
攪拌機を有する容器に、イオン交換水:2kg、第三リン酸カルシウム:65g、炭酸カルシウム:39g、ラウリル硫酸ナトリウム:0.39gを投入し、混合液(b)を得た。次いで、60Lの反応器に、イオン交換水:26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(b)、メタクリル酸メチル:17.3kg、シクロヘキシルマレイミド:1.77kg、スチレン:1.88kg、ラウロイルパーオキサイド:27g、及びn-オクチルメルカプタン:50gを投入した。その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温し、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入後、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子を260℃に設定したφ30mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂ペレット〔メタクリル系樹脂(A-2)〕を得た。
得られた樹脂ペレットの重量平均分子量は10.6万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.93であった。また、構造単位はMMA/CMI/St=83/8/9質量%であった。
攪拌機を有する容器に、イオン交換水:2kg、第三リン酸カルシウム:65g、炭酸カルシウム:39g、ラウリル硫酸ナトリウム:0.39gを投入し、混合液(c)を得た。次いで、60Lの反応器に、イオン交換水:26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(c)、メタクリル酸メチル:18.5kg、シクロヘキシルマレイミド:1.6kg、ラウロイルパーオキサイド:30g、及びn-オクチルメルカプタン:45gを投入した。その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温し、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入後、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子を260℃に設定したφ30mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂ペレット〔メタクリル系樹脂(A-3)〕を得た。
得られた樹脂ペレットの重量平均分子量は12万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。また、構造単位はMMA/CMI=94/6質量%であった。
攪拌機を有する容器に、イオン交換水:2kg、第三リン酸カルシウム:65g、炭酸カルシウム:39g、ラウリル硫酸ナトリウム:0.39gを投入し、混合液(d)を得た。次いで、60Lの反応器に、イオン交換水:26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(d)、メタクリル酸メチル:21.2kg、アクリル酸メチル:0.43kg、ラウロイルパーオキサイド:27g、及びn-オクチルメルカプタン:62gを投入した。
その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温し、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入後、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子を240℃に設定したφ30mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂ペレット〔メタクリル系樹脂(A-4)〕を得た。
得られた樹脂ペレットの重量平均分子量は10.2万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.85であった。また、構造単位はMMA/MA=98/2質量%であった。
(ヒンダードフェノール系熱安定剤)
B-1;BASF社製、Irg1010(ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)
B-2;BASF社製、Irg1076(オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)
B-3;BASF社製、Irg1330(3,3’,3’’,5,5’,5’’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’’-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール)
B-4;BASF社製、Irg3114(1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン)
B-5;BASF社製、TinuvinPA144(ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート)
B-6;BASF社製、Tinuvin770DF(ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート)
B-7;BASF社製、Chimassorb2020FDL(ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミンとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物)
B-8;ADEKA社製、LA-68(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジオールとβ,β,β’,β’-テトラメチル-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジエタノールの反応物)
(ヒンダードフェノール系熱安定剤)
C-1;2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール
C-2;2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール
内容積10Lの還流冷却器付反応器にイオン交換水:6868mL、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム:13.7gを投入し、250rpmの回転数で攪拌しながら、窒素雰囲気下75℃に昇温し、酸素の影響が事実上無い状態にした。
メタクリル酸メチル:907g、アクリル酸ブチル:33g、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール:0.28g及びアリルメタクリレ-ト:0.93gからなる混合物(I-1)のうち222gを一括添加し、5分後に過硫酸アンモニウム0.22gを添加した。
その40分後から(I-1)の残りの719gを20分間かけて連続的に添加し、添加終了後さらに60分間保持した。
次に、過硫酸アンモニウム1.01gを添加した後、アクリル酸ブチル:1067g、スチレン:219g、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール:0.39g、アリルメタクリレ-ト:27.3gからなる混合物(I-2)を140分間かけて連続的に添加し、添加終了後さらに180分間保持した。
次に、過硫酸アンモニウム:0.30gを添加した後、メタクリル酸メチル:730g、アクリル酸ブチル:26.5g、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール:0.22g、n-オクチルメルカプタン:0.76gからなる混合物(I-3)を40分間かけて連続的に添加し、添加終了後95℃に昇温し30分間保持した。
重合乳化液(ラテックス)を3質量%硫酸ナトリウム温水溶液中へ投入して、塩拆・凝固させ、次いで、脱水・洗浄を5回繰り返したのち乾燥し、ゴム質共重合体を得た。得られたゴム質共重合体の平均粒子径は0.23μmであった。
なお、前記ゴム質共重合体の平均粒子径は、以下のようにして求めた。まず、得られたゴム質共重合体の乳化液をサンプリングして、固形分500質量ppmになるように水で希釈し、UV1200V分光光度計(株式会社島津製作所製)を用いて波長550nmでの吸光度を測定した。透過型電子顕微鏡写真より粒子径をあらかじめ計測したサンプルについて同様に吸光度を測定した値に基づいて作成した検量線を用い、上記ゴム質共重合体の乳化液の吸光度の測定値から平均粒子径を求めた。
メタクリル系樹脂(A)100質量部に、下記表1~3に示す配合比に従い、各種ヒンダードフェノール系熱安定剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤(B)、紫外線吸収剤(C)をタンブラーにてドライブレンドして予備混合後、230~270℃に設定したφ30mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断して熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
各熱可塑性樹脂組成物中のメタクリル系樹脂(A)、ヒンダードフェノール系熱安定剤とヒンダードアミン系光安定剤とを含む安定剤(B)、紫外線吸収剤(C)、ゴム質共重合体等の種類及び配合量(単位は「質量部」)を、下記表1~3に示す。また、各熱可塑性樹脂組成物の評価結果を表4に示す。
一方で、比較例1においては、安定剤(B)を混合していないため、耐熱分解性や耐光性評価の全てにおいて、性能が不十分であった。
比較例2においては、メタクリル系樹脂(A)がMMAとMAとの共重合体であったため、耐熱性が不十分となり、高温成形時の耐熱分解性や耐クリープ性も不十分であった。
比較例3においては、安定剤(B)として、ヒンダードフェノール系熱安定剤のみであったため、耐光性が不十分であった。
2 引張試験治具
Claims (8)
- メタクリル酸エステル単量体単位:70~97質量%、N-シクロヘキシルマレイミド系構造単位、及び/又はN-アリール基置換マレイミド系構造単位:3~30質量%、共重合可能なその他のビニル系単量体単位:0~25質量%を含むメタクリル系樹脂(A)を100質量部、環構造を3つ以上含んでいるヒンダードフェノール系熱安定剤と環構造を3つ以上含んでいるヒンダードアミン系光安定剤とを含む安定剤(B)を0.01~5質量部含み、前記メタクリル系樹脂(A)中の前記N-シクロヘキシルマレイミド系構造単位及び/又は前記N-アリール基置換マレイミド系構造単位の含有量:a(質量%)、熱可塑性樹脂組成物中の前記ヒンダードフェノール系熱安定剤と前記ヒンダードアミン系光安定剤とを含む前記安定剤(B)の含有量:b(質量部)とした場合に、以下の式(i)を満たす、熱可塑性樹脂組成物。
1≦a/b≦70・・(i) - 前記メタクリル系樹脂(A)100質量部に対して、紫外線吸収剤(C)を0.01~10質量部さらに含有する、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形体。
- 請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物を射出成形することにより得られることを特徴とする、成形体。
- 光学部材である、請求項3又は4に記載の成形体。
- 車両部材である、請求項3又は4に記載の成形体。
- LED光源を有する装置に使用される、請求項3~5のいずれか一項に記載の成形体。
- 前記車両部材が、メーターカバー、ヘッドライトカバー、フロントグリル、ライセンスガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、テールランプカバー、導光レンズ、導光棒、ヘッドライト用非球面レンズからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項6に記載の成形体。
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