JP2016210963A - メタクリル系共重合体樹脂を含む光学部材 - Google Patents
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Abstract
Description
こうした光学部材と組み合わせて使用される光源として近年ではLEDが主流である。特に導光体においては、光源から発せられる光線の直進性が求められるため、LEDが好適に用いられる。なお直進性が求められる理由は、導光体の入光側端面からの光漏れを低減し、エネルギー効率を向上させるためである。
光漏れを防ぐため、LEDの発光面と導光体の入光側端面とは近接していればいるほど好適である。その一方でLEDの発熱に対するメタクリル系樹脂の耐熱性の問題から近接させるにも限界がある。更に近年、導光体の長光路設計化や輝度向上の要求の高まりより高出力LED(具体的には出力が1W以上であるLED)を使用した設計が増加しているが、高出力LEDは通常のLEDより発熱量が多いため、更に近接化は難しくなる。
以上の様に、導光体、とりわけ高出力LED用導光体、は従来よりも高温条件下に置かれる傾向がある。
そのため紫外線吸収剤の配合により耐候性を向上させることが行われているが、紫外線吸収剤の配合は光線透過率を下げることにつながり、前述の長光路設計化や輝度向上の要求に応えられなくなるという矛盾も抱えている。
そこで本発明では、前記4特性についてより一層の改善が図られ、かつ生産性、成形加工特性にも優れている、メタクリル系共重合体樹脂を含む光学部材を提供することを目的とする。
[1]メタクリル酸エステル単量体単位(A):70〜95質量%、及び、N−アルキルマレイミド及び/又はN−シクロアルキルマレイミドであるマレイミド系単量体に由来する単位(B):5〜30質量%を、少なくとも含有し、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が6万〜30万
であるメタクリル系共重合体樹脂を含む光学部材。
[2]前記メタクリル系共重合体樹脂のVICAT軟化点が114℃以上である、請求項1に記載の光学部材。
[3]前記マレイミド系単量体が、N−シクロヘキシルマレイミドである、[1]又は[2]に記載の光学部材。
[4]前記メタクリル系共重合体樹脂が、さらに、前記メタクリル酸エステル単量体単位(A)及び前記マレイミド系単量体に由来する単位(B)に共重合可能なその他のビニル系単量体単位(C)を含む、[1]乃至[3]に記載の光学部材。
[5]前記ビニル系単量体単位(C)が、スチレンである、[4]に記載の光学部材。
[6]前記メタクリル系共重合体樹脂が、前記メタクリル酸エステル単量体単位(A)と前記マレイミド系単量体に由来する単位(B)の合計量100質量部に対し、前記ビニル系単量体単位(C)を、1〜30質量部含有する、[4]または[5]に記載の光学部材。
[7]導光体である、[1]乃至[6]のいずれかに記載の光学部材。
[8]車両用導光体である、[7]に記載の導光体。
なお、以下において、共重合体を構成する構成単位のことを「〜単量体単位」という。
また、本実施形態の光学部材を構成するメタクリル系共重合体樹脂の構成材料として記載する場合は、「単位」を省略し、単に「〜単量体」と記載する場合もある。
本実施形態の光学部材は、メタクリル酸エステル単量体単位(A):70〜95質量%と、N−アルキルマレイミド及び/又はN−シクロアルキルマレイミドであるマレイミド系単量体に由来する単位(B):5〜30質量%を、少なくとも含有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が6万〜30万であるメタクリル系共重合体樹脂を含む。
また本実施形態で用いるメタクリル系共重合体樹脂は、高度な透明性(高い長光路透過率)を有しているので、特に光路長の長い(具体的には光路長さが10mmを超える)光学部材に好適である。具体的には、導光板・導光棒・ライトガイド等の導光体や、ヘッドライト内のインナーレンズに代表される厚肉のレンズ、に適している。
なお、前記導光体とは、光源から入光面を通って入射する光を、入光面から離れた場所へ送り届ける透明樹脂の成形体を本発明では意味する。
以下、本実施形態の光学部材に含まれるメタクリル系共重合体樹脂について詳細に説明する。
本実施形態に用いるメタクリル系共重合体樹脂は、メタクリル酸エステル単量体単位(A):70〜95質量%と、N−アルキルマレイミド及び/又はN−シクロアルキルマレイミドであるマレイミド系単量体に由来する単位(B):5〜30質量%を含有する。また、本実施形態に用いるメタクリル系共重合体樹脂には、本発明の効果を達成できる範囲で、これらと共重合可能な他の単量体単位を共重合させることもできる。
本実施形態に用いるメタクリル系共重合体樹脂は、耐熱性が求められる分野で使用されることから、恒温恒湿時の光学部材の熱安定性の観点から、そのVICAT軟化点(軟化温度)は好ましくは114℃以上であり、より好ましくは117℃以上であり、更に好ましくは120℃以上である。VICAT軟化温度は、ISO 306 B50に準拠して測定することができる。
マレイミド系単量体に由来する単位(B)の共重合割合を、上述した割合とすることで、成形加工性や透明性を保持したままで高い耐熱性を付与することができる。
以下に各単量体成分についての詳細に記載する。
本実施形態において用いるメタクリル系共重合体樹脂を構成するメタクリル酸エステル単量体単位(A)(以下、(A)成分と記載する場合がある。)としては、下記一般式(1)で示される単量体に由来する単位が好適に用いられる。
前記一般式(1)に示すメタクリル酸エステル単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸(2−エチルヘキシル)、メタクリル酸(t−ブチルシクロヘキシル)、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸(2,2,2−トリフルオロエチル)が挙げられ、入手しやすさ等の観点からメタクリル酸メチルが好ましい。
前記メタクリル酸エステル単量体は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
メタクリル酸エステル単量体単位は、後述するマレイミド系単量体に由来する単位(B)による耐熱性付与効果の観点から、本実施形態において用いるメタクリル系共重合体樹脂中に70〜95質量%含まれており、好ましくは74〜95質量%、より好ましくは75〜95質量%、さらに好ましくは75〜93質量%、さらにより好ましくは80〜90質量%含まれている。
メタクリル酸エステル単量体単位(A)の含有量は、メタクリル系共重合体樹脂の重合の際、原料のメタクリル酸エステル単量体の仕込み量により調整することができる。
また、メタクリル酸エステル単量体単位(A)の含有量は、メタクリル系共重合体樹脂をNMR法や熱分解ガスクロマトグラフィー法などの従来公知の方法により分析し、測定できる。
本実施形態において用いるメタクリル系共重合体樹脂を構成するマレイミド系単量体に由来する単位(B)(以下、(B)成分と記載する場合がある。)は、N−アルキルマレイミド及び/又はN−シクロアルキルマレイミドに由来する単位であり、下記一般式(2)で示される単量体に由来する単位が好適に用いられる。
マレイミド系単量体単位(B)を構成する単量体としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドが挙げられるが、本発明では特に、この中の特にN−シクロヘキシルマレイミドが入手のしやすさ、耐熱性付与、透過率の高さ、低い黄色度の観点から好ましく用いることができる。
マレイミド系単量体に由来する単位(B)の含有量は、メタクリル系共重合体樹脂の重合の際、原料のマレイミド系単量体の仕込み量により調整することができる。
また、マレイミド系単量体に由来する単位(B)の含有量は、メタクリル系共重合体樹脂を、NMR法、熱分解ガスクロマトグラフィー法などの従来公知の方法により分析することにより測定できる。
本実施形態において用いるメタクリル系共重合体樹脂においては、本発明の効果を損ねない範囲で、前記(A)成分及び(B)成分に共重合可能なその他のビニル系単量体単位(C)(以下、(C)成分と記載する場合がある。)を含有することができる。
前記(A)成分及び(B)成分に共重合可能なその他のビニル系単量体単位(C)を使用する場合の含有量は、(B)成分による耐熱性付与効果を発揮する観点から、(A)成分、(B)成分の合計量を100質量部とした場合に、30質量部以下であることが好ましく、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下、さらにより好ましくは18質量部以下である。含有量の下限値はないが、例えば、1質量部以上含有することができる。
その他のビニル系単量体単位(C)の含有量は、メタクリル系共重合体樹脂の重合の際、原料のビニル系単量体の仕込み量により調整することができる。
また、その他のビニル系単量体単位(C)の含有量は、メタクリル系共重合体樹脂を、NMR法や熱分解ガスクロマトグラフィー法などの従来公知の方法により分析することにより測定できる。
これらは、本実施形態において用いるメタクリル系共重合体樹脂において、要求される特性に応じて適宜選択する。上記の中でも、スチレン、イソプロペニルベンゼンが好ましく、流動性付与や、重合転化率の向上による未反応モノマー類の低減などの観点から、スチレンがより好ましい。
0.3≦(C)/(B)≦5
(C)/(B)は、良好な色調や耐熱性を保持する観点から、上限値は5以下であることが好ましく、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1以下である。また、残存モノマー低減の観点から0.3以上であることが好ましく、より好ましくは0.4以上である。
なお上述した、その他のビニル系単量体単位(C)は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において用いるメタクリル系共重合体樹脂は、重量平均分子量が6万〜30万である。重量平均分子量を前記範囲とすることにより、機械的強度及び耐溶剤性に優れ、かつ成形加工に際し、生産性、成形加工特性にも優れているメタクリル系共重合体樹脂が得られる。好ましくは10万〜30万であり、さらに好ましくは15万〜25万である。
なお、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量:Mw/Mn)は、流動性と機械的強度、耐溶剤性のバランスの観点から、1.5以上5以下であることが好ましい。より好ましくは1.5以上4.5以下、さらに好ましくは1.6以上3以下、さらにより好ましくは1.6以上2.5以下である。
本実施形態において用いるメタクリル系共重合体樹脂の重量平均分子量、数平均分子量、及びピーク分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される。
すなわち、予め単分散の重量平均分子量、数平均分子量、及びピーク分子量が既知で試薬として入手可能な標準メタクリル樹脂と、高分子量成分を先に溶出する分析ゲルカラムとを用い、溶出時間と重量平均分子量から検量線を作成しておく。次に、得られた検量線から、測定対象であるメタクリル系共重合体樹脂の試料の重量平均分子量、数平均分子量、及びピーク分子量を求めることができる。
具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
以下、本実施形態において用いるメタクリル系共重合体樹脂の製造方法について説明するが、以下に示す方法に限定されるものではない。
メタクリル系共重合体樹脂は、メタクリル酸エステル単量体(A)、マレイミド系単量体(B)、及び、必要に応じて上述した(A)及び(B)に共重合可能なその他のビニル単量体(C)を用い、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法により製造できる。好ましくは塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法が用いられ、より好ましくは溶液重合法、懸濁重合法であり、さらに好ましくは懸濁重合法が用いられる。
溶液重合法によりメタクリル系共重合体樹脂を製造する場合、メタクリル系共重合体樹脂中に残存するモノマーを除去する工程での除去効率を考慮すると、メタクリル系共重合体樹脂の良溶媒である有機溶媒を用いることが好ましい。
メタクリル系共重合体樹脂の溶解度を考慮して、前記有機溶媒の溶解度パラメーターδは、7.0〜12.0(cal/cm3)1/2であることが好ましく、より好ましくは8.0〜11.0、さらに好ましくは8.2〜10.5である。
溶解度パラメーターδの値や、値の求め方は、例えば、非特許文献「Journal of Paint Technology Vol.42、No.541、February 1970」中のP76−P118に投稿されているK.L.Hoy著「New Values of the Solubility Parameters From Vapor Pressure Data」や、J.Brandrup他著「Polymer Handbook Fourth Edition」P−VII/675−P714等を参考にすることができる。
なお、1(cal/cm3)1/2は、約0.489(MPa)1/2である。
溶液重合法で行う場合に有機溶媒の配合量は、具体的には、配合する単量体の総量を100質量部とした場合に、25質量部以上200質量部以下とすることが好ましい。より好ましくは50質量部以上200質量部以下、さらに好ましくは75質量部以上200質量部以下、さらにより好ましくは75質量部以上150質量部以下である。
重合反応を連続的に行う場合、反応系から回収される有機溶媒及び単量体をリサイクルして用いることがある。通常、重合溶液から加温により有機溶媒及び単量体を揮発させて、さらにこれを冷却することにより有機溶媒及び単量体を回収する。
冷却する場合、0℃以下、場合によっては−10℃以下の低温で行うが、使用する有機溶媒量が、配合した単量体総量を100質量部とした場合に25質量部未満である場合、未反応の単量体が析出するおそれがある。200質量部を超える場合、得られるポリマー量が少ないことから、生産性が低下する。
メタクリル系共重合体樹脂を溶液重合で製造する場合の重合温度は、重合が進行する温度であれば特に限定されるものではないが、生産性の観点から50℃以上200℃以下であることが好ましく、より好ましくは90℃以上200℃以下である。さらに好ましくは100℃以上200℃以下、さらにより好ましくは100℃以上180℃以下、よりさらに好ましくは110℃以上170℃以下、特に好ましくは120℃以上160℃である。
また、重合時間は、必要な重合度を得ることができる時間であれば特に限定されるものではないが、生産性等の観点から0.5時間以上6時間以下であることが好ましく、より好ましくは1時間以上5時間以下、さらに好ましくは1時間以上4時間以下である。
本実施形態において用いるメタクリル系共重合体樹脂を、有機懸濁重合法や無機懸濁重合法等の懸濁重合で製造する場合には、後述する攪拌装置を用いた重合工程、洗浄工程、脱水工程、乾燥工程を経て、粒子状のメタクリル系共重合体樹脂を製造する。通常、水を媒体として用いる水系の懸濁重合法が好適に用いられる。
後述する攪拌装置を用い、当該攪拌装置中に適宜原料となる単量体、懸濁剤、必要に応じて重合開始剤、その他の添加剤を供給して重合を行い、メタクリル系共重合体樹脂のスラリーを得る。
懸濁重合法によりメタクリル系共重合体樹脂を得るための重合工程で使用する撹拌装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、内部に傾斜パドル翼、平パドル翼、プロペラ翼、アンカー翼、ファウドラー翼(後退翼)、タービン翼、ブルマージン翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼、リボン翼、スーパーミックス翼、インターミグ翼、特殊翼、軸流翼等の撹拌翼を有する撹拌装置、内部にショベル羽根を有する撹拌装置、内部にチョッパー羽根を有する撹拌装置、内部に円盤型、切欠円盤型あるいはスクリュー型等の回転ディスクを有する撹拌装置等の公知の撹拌装置が挙げられる。
重合時の攪拌速度は、用いる攪拌装置の種類、攪拌翼の攪拌効率、重合槽の容量等にも依存するが、適当な粒子径を得ることができること、粒子径が0.15mm未満の成分含有量を低減することができること、重合安定性が得られること等を考慮すると、1〜500回転/分程度であることが好ましい。
高温であると、添加時に原料が揮散しやすくなることから、メタクリル系共重合体樹脂を構成する単量体単位の組成が変わってしまい、0℃未満の低温であると原料添加後の昇温に時間がかかるため、ある程度の温度で原料混合物の添加を行うことが好ましい。具体的には、0℃以上85℃以下であることが好ましく、より好ましくは10℃以上85℃以下、さらに好ましくは30℃以上85℃以下、さらにより好ましくは50℃以上80℃以下であり、よりさらに好ましくは60℃以上80℃以下である。
懸濁重合工程における温度は、生産性、凝集体の生成量を考慮すると、40℃以上90℃以下であることが好ましい。より好ましくは50℃以上85℃以下であり、さらに好ましくは60℃以上85℃以下、さらにより好ましくは65℃以上83℃以下である。
懸濁重合で製造する場合の重合時間は、重合時の発熱を効果的に抑制し、かつ、後述する凝集体発生の低減、残存モノモーの低減の観点から、好ましくは30分以上360分以下である。より好ましくは60分以上300分以下、さらに好ましくは60分以上240分以下である。
また、残存モノマーの低減化の観点から、上記重合工程後に、重合温度よりも高い温度に昇温し、一定時間保持することが好ましい。保持する際の温度は、重合度を高める観点から、重合温度より高い温度であることが好ましく、より高い温度とする場合は、重合温度より5℃以上昇温することが好ましい。昇温する場合は、得られる重合体の凝集を防ぐ観点から得られるメタクリル系共重合体樹脂のガラス転移温度以下であることが好ましい。具体的には120℃以下であることが好ましく、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以上100℃以下、さらにより好ましくは85℃以上100℃以下、よりさらに好ましくは88℃以上100℃以下、特に好ましくは90℃以上100℃以下である。
上述した重合温度と保持時間に従い重合を行うことにより、後述する乾燥工程を経た後、安息角の小さいポリマー粒子が生成できる。
昇温後に当該温度に保持する時間は、残存モノマーの低減効果を考慮すると、15分以上360分以下であることが好ましく、より好ましくは30分以上240分以下、さらに好ましくは30分以上180分以下、さらにより好ましくは30分以上150分以下、よりさらに好ましくは30分以上120分以下である。
上述の重合工程を経て得られたメタクリル系共重合体樹脂のスラリーは、懸濁剤除去のために、酸洗浄や水洗、アルカリ洗浄等の操作を行うことが好ましい。
これらの洗浄操作を行う回数は、作業効率と懸濁剤の除去効率から最適な回数を選べばよく、一回でも複数回繰り返してもよい。
洗浄を行う際の温度は、懸濁剤の除去効率や得られるメタクリル系共重合体樹脂の着色度合等を考慮して最適な温度を選べばよく、20〜100℃であることが好ましい。より好ましくは30〜95℃、さらに好ましくは40〜95℃である。
また、洗浄時の一回あたりの洗浄時間は、洗浄効率やポリマー粒子の安息角低減効果、工程の簡便さの観点から10〜180分であることが好ましく、より好ましくは20〜150分である。
洗浄時に使用する洗浄液のpHは、懸濁剤除去が可能な範囲であればよいが、好ましくはpH1〜12である。酸洗浄を行う場合のpHは、懸濁剤の除去効率や得られる共重合体の色調の観点からpH1〜5であることが好ましく、より好ましくはpH1.2〜4である。その際使用する酸としては、懸濁剤除去が可能なものであればよく、特に限定されないが、従来公知の無機酸、有機酸を使用することができる。好適に使用される酸の一例を挙げると、無機酸としては塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、硼酸等が挙げられ、それぞれ水等で希釈された希釈溶液で使用してもよい。有機酸としては、カルボキシル基やスルホ基、ヒドロキシ基、チオール基、エノールを有するものが挙げられる。懸濁剤の除去効果や得られる樹脂の色調を考慮すると、より好ましくは硝酸、硫酸、カルボキシル基を有する有機酸である。
アルカリ洗浄を行う場合のアルカリ溶液のpHはpH7.1〜12であることが好ましく、より好ましくはpH7.5〜11、さらに好ましくは7.5〜10.5である。
アルカリ洗浄に使用するアルカリ性成分は、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等が好適に用いられる。より好適にはアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物であり、さらに好ましくは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムであり、さらにより好ましくは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムであり、よりさらに好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。
これらのアルカリ性成分は、水等で希釈してpHを調整して使用することができる。
得られたメタクリル系共重合体樹脂の重合体スラリーから重合体粒子を分離する方法としては、従来公知の方法を適用できる。
例えば、遠心力を利用して水を振り切る遠心分離機を用いる脱水方法、多孔ベルト上や濾過膜上で水を吸引除去し、重合体粒子を分離する方法等が挙げられる。
上述した脱水工程を経て得られた含水状態の重合体は、公知の方法により乾燥処理を施し、回収することができる。
例えば、熱風機やブローヒーター等から槽内に熱風を送ることにより乾燥を行う熱風乾燥、系内を減圧した上で必要に応じて加温することで乾燥を行う真空乾燥、得られた重合体を容器中で回転させることにより水分を飛ばすバレル乾燥、遠心力を利用して乾燥させるスピン乾燥等が挙げられる。これらの方法は単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
得られるメタクリル系共重合体樹脂の含有水分量は、取扱性、色調等の観点から、0.01質量%〜1質量%であることが好ましく、より好ましくは0.05質量%〜1質量%、さらに好ましくは0.1質量%〜1質量%、さらにより好ましくは0.27質量%〜1質量%である。得られるメタクリル系共重合体樹脂の含有水分量は、カールフィッシャー法を用いて測定することができる。
メタクリル系共重合体樹脂の平均粒子径は、例えば、JIS−Z8801に基づく、篩(東京スクリーン製JTS−200−45−44(目開き500μm),34(目開き425μm),35(目開き355μm),36(目開き300μm),37(目開き250μm),38(目開き150μm),61(受け皿))を用いて篩い分け試験機TSK B−1を用いて振動力MAXにて10分間篩いを行ったときの各篩に残った粒子重量を測定し、重量が50%になるときの粒子径を求めることにより測定できる。
本実施形態において用いるメタクリル系共重合体樹脂を製造する各種重合方法、すなわち、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法における重合工程においては、製造する重合体の重合度を調整する目的で、重合開始剤を用いてもよい。
重合開始剤としては、ラジカル重合を行う場合は、特に限定されるものではないが、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等のアゾ系の一般的なラジカル重合開始剤を挙げることができる。
これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
これらの重合開始剤は、メタクリル系共重合体樹脂の重合の際に使用する全単量体の総量100質量部に対して、0〜1質量部の範囲で用いることが好ましく、重合を行う温度と開始剤の半減期を考慮して適宜選ぶことができる。
メタクリル系共重合体樹脂の重合方法として、塊状重合法やキャスト重合法、懸濁重合法を選択する場合、メタクリル系樹脂の着色を防止する観点から、重合開始剤としては、過酸化系開始剤のラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等を特に好適に用いることができ、ラウロイルパーオキサイドが特に好適に使用される。
また、メタクリル系共重合体樹脂の重合方法として、90℃以上の高温下で溶液重合法を行う場合には、10時間半減期温度が80℃以上で、かつ用いる有機溶媒に可溶である過酸化物、アゾビス開始剤等が好ましい。具体的には、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、シクロヘキサンパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等を挙げることができる。
本実施形態において用いるメタクリル系共重合体樹脂の重合工程においては、本発明の目的を損わない範囲で、製造する重合体の分子量の制御のため分子量調節剤を用いることができる。
例えば、アルキルメルカプタン類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤、ジチオカルバメート類、トリフェニルメチルアゾベンゼン、テトラフェニルエタン誘導体等のイニファータ等を用いることによって分子量の制御を行うことができ、さらには、これらの添加量を調整することにより、分子量を調整することが可能である。
これらの添加剤を用いる場合、取扱性や安定性の観点からアルキルメルカプタン類が好適に用いられ、特に限定されるものではないが、例えば、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)等が挙げられる。
これらは、メタクリル系共重合体樹脂の所望の分子量に応じて適宜添加することができるが、一般的には使用する全単量体の総量100質量部に対して0.001質量部〜3質量部の範囲で用いられる。
また、その他の分子量制御方法としては重合方法を変える方法、重合開始剤の量を調整する方法、重合温度を変更する方法等が挙げられる。
これらの分子量制御方法は、一種の方法だけを単独で用いてもよいし、二種以上の方法を併用してもよい。
本実施形態の光学部材は、前述のメタクリル系共重合体樹脂と、後述する所定のその他の樹脂や所定の添加剤と組み合わせたメタクリル系共重合体樹脂組成物を用いて作製することもできる。
メタクリル系共重合体樹脂に組み合わせることができる、前記その他の樹脂については、導光体用材料に求められる特性を発揮できるものであれば特に限定されるものではなく、公知の熱可塑性樹脂を使用することができる。
本実施形態において用いられるメタクリル系共重合体樹脂には、光学部材用材料に求められる特性を発揮できるものであれば特に限定されるものではなく、公知の添加剤を添加してもよい。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤;可塑剤(パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル)、帯電防止剤(例えば、ポリアミドエラストマー、四級アンモニウム塩系、ピリジン誘導体、脂肪族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩共重合体、硫酸エステル塩、多価アルコール部分エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、ポリアルキレングリコール誘導体、ベタイン系、イミダゾリン誘導体等)、導電性付与剤、応力緩和剤、離型剤(アルコール、及びアルコールと脂肪酸とのエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、シリコーンオイル等)、加水分解抑制剤、潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸、及びその金属塩、エチレンビスステアロアミド等の高級脂肪酸アミド類等)、衝撃付与剤、摺動性改良剤(低分子量ポリエチレン等の炭化水素系、高級アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸と脂肪族アルコールとのエステル、脂肪酸と多価アルコールとのフルエステル又は部分エステル、脂肪酸とポリグリコールとのフルエステル又は部分エステル、シリコーン系、フッ素樹脂系等)、相溶化剤、核剤、強化剤、流動調整剤、染料(ニトロソ染料、ニトロ染料、アゾ染料、スチルベンアゾ染料、ケトイミン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料、キノリン染料、メチン/ポリメチン染料、チアゾール染料、インダミン/インドフェノール染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、硫化染料、アミノケトン/オキシケトン染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、フタロシアニン染料等の染料)、増感剤、着色剤(酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄系顔料、群青、コバルトブルー、酸化クロム、スピネルグリーン、クロム酸鉛系顔料、カドミウム系顔料等の無機顔料、アゾレーキ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジアリリド顔料、縮合アゾ顔料等のアゾ系顔料、フタリシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料等の有機系顔料、リン片状のアルミのメタリック顔料、ウェルド外観を改良するために使用されている球状のアルミ顔料、パール調メタリック顔料用のマイカ粉、その他ガラス等の無機物の多面体粒子に金属メッキやスパッタリングで被覆したものなどのメタリック顔料等)、増粘剤、沈降防止剤、タレ防止剤、充填剤(ガラス繊維、炭素繊維等の繊維状補強剤、さらにはガラスビーズ、炭酸カルシウム、タルク、クレイ等)、消泡剤(シリコーン系消泡剤、界面活性剤やポリエーテル、高級アルコール等の有機系消泡剤等)、カップリング剤、光拡散性微粒子、防錆剤、抗菌・防カビ剤、防汚剤、導電性高分子等が挙げられる。
また、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、MS樹脂、環状オレフィン樹脂等の透明性の高い樹脂材料からなる中空架橋微粒子及びガラスからなる中空微粒子等も挙げられる。
無機微粒子においては、アルミナ及び酸化チタン等がより好ましい。
また光拡散性微粒子は、単独で使用してもよく、複数併用することもでき、何ら限定されるものではない。ここで、光拡散性微粒子の屈折率は、1.7〜3.0が好ましく、より好ましくは1.7〜2.5、さらに好ましくは1.7〜2.0である。屈折率が1.7未満であると散乱性が弱くなりすぎ、逆に3.0を超えるとランプ近傍での散乱が強くなりすぎ、その結果輝度ムラ及び出射光色調にムラが生じ易くなり好ましくない。
前記屈折率とは、D線(589nm)に基づく温度20℃での値である。微粒子の屈折率の測定方法としては、例えば、微粒子を、屈折率を少しずつ変化させることのできる液体に浸し、液体の屈折率を変化させながら微粒子界面を観察し、微粒子界面が不明確になった時の液体の屈折率を測定するという方法が挙げられる。なお、液体の屈折率の測定には、アッベの屈折計等を用いることができる。
また、光拡散性微粒子の平均粒子径は0.1〜20μmが好ましく、より好ましくは0.2〜15μm、さらに好ましくは0.3〜10μm、さらにより好ましくは0.4〜5μmである。平均粒子径が20μm以下であると後方反射等による光損失が抑えられ、入光した光を効率的に発光面側に拡散させることができるため好ましい。また、平均粒子径が0.1μm以上であると出射光を拡散させることが可能となり、所望の面発光輝度、拡散性を得ることができるため好ましい。
また、メタクリル系共重合体樹脂組成物中の光拡散性微粒子の含有量は、光拡散効果の発現、面発光の均一性の観点から、メタクリル系共重合体樹脂100質量部に対して0.0001〜0.03質量部、好ましくは0.0001〜0.01質量部である。
また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤として市販のフェノール系酸化防止剤を使用してもよく、このような市販のフェノール系酸化防止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、イルガノックス1010(Irganox 1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス1076(Irganox 1076:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス1330(Irganox 1330:3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−
t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレ
ゾール、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス3114(Irganox 3114:1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス3125(Irganox 3125、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、スミライザーBHT(Sumilizer BHT、住友化学製)、シアノックス1790(Cyanox 1790、サイテック製)、スミライザーGA−80(Sumilizer GA−80、住友化学製)、スミライザーGS(Sumilizer GS、住友化学製)、ビタミンE(エーザイ製)等が挙げられる。この中でも、特にイルガノックス1010、イルガノックス1076、スミライザーGS等を用いるのが好ましい。これらは単独で用いても、2種以上併用してもよい。
さらに、リン系酸化防止剤としては、市販のリン系酸化防止剤を使用してもよく、このような市販のリン系酸化防止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、イルガフォス168(Irgafos 168:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガフォス12(Irgafos 12:トリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガフォス38(Irgafos 38:ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、アデカスタブ329K(ADK STAB 329K、旭電化製)、アデカスタブPEP36(ADK STAB PEP36、旭電化製)、アデカスタブPEP−8(ADK STAB PEP−8、旭電化製)、Sandstab P−EPQ(クラリアント製)、ウェストン618(Weston 618、GE製)、ウェストン619G(Weston 619G、GE製)、ウルトラノックス626(Ultranox 626、GE製)、スミライザーGP(Sumilizer GP、住友化学製)等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上併用してもよい。
紫外線吸収剤は、メタクリル系共重合体樹脂組成物の良好な成形加工性を確保する観点から、20℃における蒸気圧(P)が1.0×10-4Pa以下であることが好ましく、1.0×10-6Pa以下であることがより好ましく、1.0×10-8Pa以下であることがさらに好ましい。また、紫外線吸収剤の融点(Tm)は、80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることがさらに好ましく、160℃以上であることがさらにより好ましい。
紫外線吸収剤は、23℃〜260℃まで20℃/minの速度で昇温した場合の重量減少率が50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、15%以下であることがさらに好ましく、10%以下であることがさらにより好ましく、5%以下であることがよりさらに好ましい。
紫外線吸収剤の配合量は、本発明の効果を発揮する量であればよく、特に限定されるものではないが、配合量が多すぎると加工時にブリードアウトする等の問題が発生するおそれもあるため、メタクリル系樹脂100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下、よりさらに好ましくは0.8質量部以下、さらにより好ましくは0.01質量部以上0.8質量部以下である。
メタクリル系共重合体樹脂を加工し、又は当該メタクリル系共重合体樹脂の種々の添加剤や、その他の樹脂と混合し、メタクリル系共重合体樹脂組成物を加工する方法としては、例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、ローラミキサー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練する方法が挙げられる。その中でも押出機による混練が、生産性の面で好ましい。
混練温度は、メタクリル系樹脂を構成する重合体や、混合する他の樹脂の好ましい加工温度に従えばよく、目安としては140〜300℃の範囲、好ましくは180〜280℃の範囲である。
上述したメタクリル系共重合体樹脂を単独で又はこれを含む前記メタクリル系共重合体樹脂組成物を成形することにより、所望の光学部材が得られる。光学部材の製造方法としては、射出成形、シート成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、インフレーション成形、Tダイ成形、プレス成形、押出成形、発泡成形等、公知の方法で成形することが可能である。また、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機等の混練機を用いて樹脂組成物を混練製造した後、冷却、粉砕し、さらにトランスファー成形、射出成形、圧縮成形等により成形を行う方法も一例として挙げることができる。
光学部材においては、高い耐熱性、透明性、耐候性を併せ持つことが必要である。光学部材の中でも導光体は、とりわけ高い透明性(高い長光路透過率)が必要とされる。
さらには、高い成形加工温度でもシルバー等の不具合が生じないことが必要である。
本実施形態の光学部材は、メタクリル系共重合体樹脂単独からなるもの、さらに光拡散材料を用いるものなど、必要に応じ種々の形態とすることができる。
本実施形態の光学部材は、導光板、導光棒、プリズム、レンズ等の各種用途に用いることができる。特に耐候性、耐熱性が必要とされる、屋外での用途に好適である。
例えば、自動車や二輪車用の車両用ヘッドランプまたはテールランプ内で使用される導光棒およびライトガイド、車両のフロントウインドウへの投影装置であるヘッドアップディスプレー用プリズム、ヘッドライト内のインナーレンズ、車両フロントグリル内の発光装飾部品内のライトガイド等の光路長の長い光学部材に好適に使用する事ができる。
〔測定法〕
実施例及び比較例において採用した物性等の測定方法及び評価方法について下記に示す。
(I.メタクリル系共重合体樹脂の重量平均分子量(Mw)測定)
メタクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)を下記の装置、及び条件で測定した。
測定装置として、東ソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(HLC−8320GPC) カラム:TSKguardcolumn SuperH−H 1本、TSKgel SuperHM−M 2本、TSKgel SuperH2500 1本を順に直列接続して使用した。本カラムでは、高分子量が早く溶出し、低分子量は溶出する時間が遅い。
検出器 :RI(示差屈折)検出器
検出感度 :3.0mV/min
カラム温度:40℃
サンプル :0.02gのメタクリル系樹脂のテトラヒドロフラン20mL溶液
注入量 :10μL
展開溶媒 :テトラヒドロフラン、流速;0.6mL/min
内部標準として、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)を、0.1g/L添加した。
重量ピーク分子量(Mp)
標準試料1 1,916,000
標準試料2 625,500
標準試料3 298,900
標準試料4 138,600
標準試料5 60,150
標準試料6 27,600
標準試料7 10,290
標準試料8 5,000
標準試料9 2,810
標準資料10 850
上記の条件で、メタクリル系樹脂の溶出時間に対する、RI検出強度を測定した。
GPC溶出曲線におけるエリア面積と、3次近似式の検量線を基にメタクリル系共重合体樹脂の重量平均分子量(Mw)を求めた。
<1.耐熱性;VICAT軟化温度の測定>
ISO 306 B50に準拠し、後述する実施例及び比較例で得られた樹脂ペレットを用いて成形した4mm厚試験片を用いて測定を行い、VICAT軟化温度(℃)を求め、耐熱性評価の指標とした。なお試験片は、比較例3を除き、樹脂温度260℃、金型温度80℃にて成形した。比較例3のみは、樹脂温度300℃にて同様に成形した。
VICAT軟化温度は、一般的な市販アクリル樹脂(PMMA)が持つ実力値である94〜109℃よりも高く、市場での耐熱導光体用途で求められるスペックでもある117℃以上であることが好ましい。
後述する実施例及び比較例で得られた樹脂ペレットを用いて3mm厚の試験片を射出成形にて成形し、JIS K7361−1規格に準拠して全光線透過率の測定を行った。一般的な市販アクリル樹脂(PMMA)と同等レベルである全光線透過率90%以上であることが好ましい。
また透過率と共に、本発明が対象とする導光体用途はその色彩も重要である。この確認のため、前出の3mm厚の試験片を用いてJIS K7373規格に準拠した透過測定法での黄色度の測定にて行った。評価の基準は、一般的な市販アクリル樹脂(PMMA)と同等レベルである黄色度1.0%以下である事とした。
後述する実施例及び比較例で得られた樹脂ペレットを用いて、3mm×20mm×長さ220mmの試験片3mm厚の試験片を射出成形にて成形した。その試験片を4枚重ねて測定検体とし、日本電色工業株式会社製 色差計「TC−8600A」を使用して、JIS T7105(プラスチックの光学的特性試験方法)に準拠して、220mmの長さ方向のY値を測定した。
耐候性評価の指標として、暴露試験前後の試料の色差(ΔE* ab)を測定した。
前出の3mm厚の試験片を用い、JIS K7350−4の手法を用いて曝露試験を行った。曝露条件は、ブラックパネルの温度設定が63±3℃、水の噴霧時間設定は(18±0.5)分間、噴霧停止時間設定は(102±0.5)分間とし、総曝露時間は2040時間とした。
試料片のセッティングは、前出の3mm厚の試験片の20mm×220mmの面が暴露面となるように行った。
なお、暴露後の試験片は、水洗したのち、その物体色を測定した。
色差としては、ΔE* ab(デルタイースターエービー)の値を用いた。その測定はJIS Z8730に従い、色差計を用いて、上記平板状の評価用試料の暴露面について行った。具体的には、暴露面から厚み方向への透過光の色差ΔE* abを計測した。2040時間曝露でΔE* abが3以下であることが好ましい。
次に、後述する実施例及び比較例において使用した原料について下記に示す。
(A)成分:メタクリル酸メチル(MMA):旭化成ケミカルズ(株)社製(重合禁止剤として中外貿易(株)社製2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール(2,4−di−methyl−6−tert−butylphenol)を2.5ppm添加されているもの)
(B−1):N−シクロヘキシルマレイミド(NCyMI):株式会社日本触媒製
(B−2):N−フェニルマレイミド(NPMI)::株式会社日本触媒製
ラウロイルパーオキサイド(lauroyl peroxide(LPO)):日本油脂(株)社製
(連鎖移動剤)
n−オクチルメルカプタン(n−octylmercaptan(NOM)):アルケマ(株)社製
(懸濁剤)
第三リン酸カルシウム(calcium phosphate):日本化学工業(株)社製
炭酸カルシウム(calcium calbonate):白石工業(株)社製
(懸濁助剤)
ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate):和光純薬(株)社製
4枚傾斜パドル翼を取り付けた攪拌機を有する容器に、水2kg、第三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム39g、ラウリル硫酸ナトリウム0.39gを投入し、混合液(a)を得た。
次に、3枚後退翼を取り付けた攪拌機を有する60Lの反応器に、水26kgを投入して80℃に昇温し、次いで、混合液(a)、及び下記表1に示す配合量で、メタクリル系共重合体樹脂の原料を投入した。約75℃に保って懸濁重合を行った。原料混合物を投入してから約120分後に発熱ピークが観測された。その後、93℃に1℃/minの速度で昇温した後、180分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次に、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために20質量%硫酸を投入した。
次に、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけ、
スケールすなわち正常な状態で懸濁重合できなかった、異常重合物の凝集物を除去した上で、水分を濾別し、得られたスラリーを脱水してビーズ状ポリマーを得、得られたビーズ状ポリマーを、水洗浄した後、上記と同様に脱水し、更にイオン交換水で洗浄、脱水を繰り返して洗浄し、ポリマー粒子を得た。
該水洗後のポリマー粒子を80℃の乾燥オーブンで12時間乾燥させ、得られたポリマー粒子を240℃に設定したφ30mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂ペレットを得た。その際の押出作業性は良好であることを確認した。得られたペレットを用いて、図1に示す形状の導光体を射出成形にて作製し、上記評価を行った。評価結果を下記表2に示す。
本発明の光学部材は、耐熱性に優れ、高熱に暴露後においても高い透明性を維持できるので、とりわけ高出力のLEDに組み合わせて使用する光学部材に適している。
2. 入光面
Claims (8)
- メタクリル酸エステル単量体単位(A):70〜95質量%、及び、N−アルキルマレイミド及び/又はN−シクロアルキルマレイミドであるマレイミド系単量体に由来する単位(B):5〜30質量%を、少なくとも含有し、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が6万〜30万であるメタクリル系共重合体樹脂を含む光学部材。 - 前記メタクリル系共重合体樹脂のVICAT軟化点が114℃以上である、請求項1に記載の光学部材。
- 前記マレイミド系単量体が、N−シクロヘキシルマレイミドである、請求項1又は2に記載の光学部材。
- 前記メタクリル系共重合体樹脂が、さらに、前記メタクリル酸エステル単量体単位(A)及び前記マレイミド系単量体に由来する単位(B)に共重合可能なその他のビニル系単量体単位(C)を含む、請求項1乃至3に記載の光学部材。
- 前記ビニル系単量体単位(C)が、スチレンである、請求項4に記載の光学部材。
- 前記メタクリル系共重合体樹脂が、前記メタクリル酸エステル単量体単位(A)と前記マレイミド系単量体に由来する単位(B)の合計量100質量部に対し、前記ビニル系単量体単位(C)を、1〜30質量部含有する、請求項4または5に記載の光学部材。
- 導光体である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光学部材。
- 車両用導光体である、請求項7に記載の導光体。
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