JP2021088182A - 二色成形体及びその製造方法 - Google Patents

二色成形体及びその製造方法 Download PDF

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Kazunori Ozawa
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Abstract

【課題】本発明の目的は、製品強度が高く、反りも抑制され、表面硬度や耐候性、外観に優れる二色成形体を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の二色成形体は、メタクリル系樹脂(A)を含む表層と、比重が1.08〜1.17である熱可塑性樹脂組成物(B)を含む下地層と、を有することを特徴としている。【選択図】図1

Description

本発明は、二色成形体及びその製造方法に関する。
従来、自動車の内外装部品向けに、ハードコート処理が施されたポリカーボネート系樹脂やABS樹脂、漆黒調に塗装されたASA、ABS樹脂等の成形品が用いられている。しかしながら、ハードコート処理(HC処理)では、コート斑発生による不良や生産性が低いといった問題があり、塗装では塗料に含まれる揮発性有機化合物(VOC)の問題が挙げられる。こういった問題を背景にコスト削減の観点から、HC処理や塗装をしない成形品が切望されており、コンパウンドによる樹脂への代替について、近年盛んに検討されている。
その中でも高外観材料としては、主にメタクリル系樹脂が検討されることが多くなっている。その理由は、メタクリル系樹脂が耐候性に優れることと、樹脂の中で最も表面硬度の高い部類に属し、外観に優れているためである。しかし、メタクリル系樹脂は機械強度が他の樹脂に比べて低い傾向にあり、特に自動車用の内装部材や外装部材としての、前方、側面の意匠部材としては、殆ど採用されていない現状にある。
成形体の表層にメタクリル系樹脂を使用し、下地層を異樹脂で補強する二色成形体が知られている。また、表層をメタクリル系樹脂にすることにより、艶のある高外観を発現することが可能である。しかしながら、下地層にポリカーボネート系樹脂やABS樹脂を用いた二色成形であっても、表層のメタクリル系樹脂に衝撃が加わった際に亀裂、割れ等のクラックが発生しやすい問題があった。また、二色成形を行うと、反りが発生する場合があった。反りがある部品を製品に設置する場合、無理やり反りを矯正して固定することになり、割れ、クラック等の不具合の原因となる。その場合、市場にて不具合が発生しやすい問題があった。
特許文献1には意匠部と枠部の二層を有する自動車窓の樹脂製パネル成形体の反りを小さくする方法が例示されている。また、特許文献2には、透明部と枠部の二層を有する自動車窓に関し、二層それぞれの材料の熱膨張係数の関係を特定し、温度が変化した際の透明部の変形を解決する手法が開示されている。
特開2008−94087号公報 特開2003−320548号公報
しかしながら、何れの特許文献も、実質的に開示するのは表層にポリカーボネート系樹脂を用いた成形体であり、表層にメタクリル系樹脂を用いた場合の強度向上に関する記述はない。また、表層に衝撃が加わった場合のクラック発生強度の向上については、その概念に関する記述もない。更にポリカーボネート系樹脂はメタクリル系樹脂より耐傷つき性や耐候性に劣るため、屋外用途などの高い耐候性が要求される用途や、表面傷を極力抑えたい用途では改善が求められている。
また、文献1、2ともに自動車窓枠に関する特許であり、製品全体に対して窓部の割合が大きいため、二層となっていない単層の透明部の面積が大きく、表層と下地層が重なっている枠部の面積が小さくなっている。二色成形品の反りは、それぞれの樹脂の伸縮に影響するため、二層が重なっている枠部の割合の少ない文献1、2の自動車窓枠は反りが発生しづらい形状となっている。すなわち、文献1、2では二層部の比較的少ない成形体に関するものであって、穴部のない成形体や穴部の割合が少ない二色成形体での反りの低減化について思い至っておらず、これらの反り改善の手法は本願で初めて成し得たものである。
更に特許文献1、2は何れも表層にポリカーボネート系樹脂を用いる技術であり、表面硬度が低いために耐傷つき性も必要な用途においてはハードコートなどの表面処理が必要となり成形品形状に制約を受けることになることから、より汎用性の高い成形体が求められている。
このように、強度に優れるだけでなく、幅広い形状の成形体においても反りが抑制され、さらには高い表面硬度により耐傷つき性を向上させ、高い耐候性、外観にも優れる二色成形体が求められている。
以上のような状況の中、本発明においては、上述の従来技術の問題点に鑑み、製品強度が高く、反りも抑制され、表面硬度や耐候性、外観に優れる二色成形体を提供することを目的とする。本実施形態の二色成形体は、塗装やHCレスで環境負荷が少ないことが好ましい。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、強度、反り、耐候性、表面硬度等に関する課題を解決できる二色成形体を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
メタクリル系樹脂(A)を含む表層と、
比重が1.08〜1.17である熱可塑性樹脂組成物(B)を含む下地層と、を有することを特徴とする、二色成形体。
[2]
前記熱可塑性樹脂組成物(B)が、ポリカーボネート系樹脂(b1)と、ABS系樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン・スチレン系共重合体)、MBS系樹脂(メチルメタクリレート、ブタジエン・スチレン系共重合体)、AAS系樹脂(アクリロニトリル、アクリルゴム、スチレン系共重合体)、ASA系樹脂(アクリロニトリル、スチレン、アクリルゴム系共重合体)、HIPS系樹脂(耐衝撃ポリスチレン系樹脂)、耐衝撃メタクリル系樹脂及びAES系樹脂(アクリロニトリル、エチレン・プロピレン・ジエン、スチレン系共重合体)からなる群より選ばれる1種以上である熱可塑性樹脂(b2)と、を含む、[1]に記載の二色成形体。
[3]
前記下地層に貫通孔が設けられ、
前記下地層の面積に対する前記貫通孔の面積の割合が25%以下である、[1]又は[2]に記載の二色成形体。
[4]
前記メタクリル系樹脂(A)が、メタクリル酸エステル単量体単位70〜99.9質量%、及びメタクリル酸エステルに共重合可能な少なくとも一種のビニル単量体単位0.1〜30質量%を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の二色成形体。
[5]
前記メタクリル系樹脂(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が50000〜300000であり、
前記メタクリル系樹脂(A)のGPC溶出曲線から得られるピークトップ分子量(Mp)の1/5以下の分子量を有する成分の割合が、前記メタクリル系樹脂(A)の前記GPC溶出曲線の総面積に対して、6〜50%である、[1]〜[4]のいずれかに記載の二色成形体。
[6]
前記二色成形体が自動車用の意匠材である、[1]〜[5]のいずれかに記載の二色成形体。
[7]
前記自動車用の意匠材が、センターコンソール、インストルメントパネル、エアコンパネル、オーディオパネル、ディスプレイ部品、テールランプガーニッシュ、フロントランプガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、フロントグリル、リアグリル、ライセンスガーニッシュ、又はナンバープレートガーニッシュである、[6]に記載の二色成形体。
[8]
前記二色成形体が、事務機器、家電機器、又は照明機器である、[1]〜[5]のいずれかに記載の二色成形体。
[9]
前記事務機器、前記家電機器、又は前記照明機器が、コピー機、プリンター、スキャナー、複合機、テレビ、DVDプレーヤー、オーディオ機器、パソコン、カーナビ、電子ペーパー又は照明カバーである、[8]に記載の二色成形体。
[10]
比重が1.08〜1.17である熱可塑性樹脂組成物(B)を含む下地層を形成する工程、メタクリル系樹脂(A)を含む表層を形成する工程、
をこの順で行うことを特徴とする、二色成形体の製造方法。
[11]
前記熱可塑性樹脂組成物(B)が、ポリカーボネート系樹脂(b1)と、ABS系樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン・スチレン系共重合体)、MBS系樹脂(メチルメタクリレート、ブタジエン・スチレン系共重合体)、AAS系樹脂(アクリロニトリル、アクリルゴム、スチレン系共重合体)、ASA系樹脂(アクリロニトリル、スチレン、アクリルゴム系共重合体)、HIPS系樹脂(耐衝撃ポリスチレン)、耐衝撃メタクリル系樹脂及びAES系樹脂(アクリロニトリル、エチレン・プロピレン・ジエン、スチレン)からなる群より選ばれる1種以上の熱可塑性樹脂(b2)と、を含む、[10]に記載の二色成形体の製造方法。
[12]
式(1)を満たす、[10]又は[11]に記載の二色成形体の製造方法。
S1−S2≧0・・・(1)
(S2:後から成形する熱可塑性樹脂の成形収縮率)
(S1:先に成形する熱可塑性樹脂組成物の成形収縮率)
[13]
前記先に成形する熱可塑性樹脂組成物として熱可塑性樹脂組成物(B)を用いて下地層を形成し、前記後から成形する熱可塑性樹脂としてメタクリル系樹脂(A)を用いて表層を形成する、[12]に記載の二色成形体の製造方法。
[14]
前記メタクリル系樹脂(A)が、メタクリル酸エステル単量体単位70〜99.9質量%、及びメタクリル酸エステルに共重合可能な少なくとも一種のビニル単量体単位0.1〜30質量%を含む、[10]〜[13]のいずれかに記載の二色成形体の製造方法。
[15]
前記メタクリル系樹脂(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が50000〜300000であり、
前記メタクリル系樹脂(A)のGPC溶出曲線から得られるピークトップ分子量(Mp)の1/5以下の分子量を有する成分の割合が、前記メタクリル系樹脂(A)の前記GPC溶出曲線の総面積に対して、6〜50%である、[10]〜[14]のいずれかに記載の二色成形体の製造方法。
本発明によれば、製品強度が高く、反りが抑制され、外観に優れる二色成形体を提供することができる。本実施形態の二色成形体は、塗装やHCレスで環境負荷が少ないことが好ましい。
実施例及び比較例において用いた評価用二色成形体の全体を示す斜視図である。 図1に示す評価用二色成形体をA−Aに沿う面により切断したときの断面図である。 実施例及び比較例において先に下地層を成形するときのピンゲート位置を示す斜視図である。 実施例及び比較例において後から表層を成形するときのサイドゲート:1点の場合のゲート位置を示す斜視図である。 実施例及び比較例において後から表層を成形するときのサイドゲート:2点の場合のゲート位置を示す斜視図である。 実施例及び比較例において先に表層を成形するときの1点サイドゲートのゲート位置を示す斜視図である。 実施例及び比較例において後から下地層を成形するときの1点サイドゲートのゲート位置を示す斜視図である。 実施例及び比較例において、耐候性評価用の穴付き下地層を成形するときのピンゲート位置を示す斜視図である。 実施例及び比較例において、耐候性評価用の穴付き下地層の外寸と穴寸法を示した図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について、詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施できる。
なお、本明細書において、重合前のモノマー成分のことを「〜単量体」といい、単に「単量体」と表記することもある。また、重合体を構成する構成単位のことを「〜単量体単位」といい、単に「〜単位」と表記することもある。
[二色成形体]
本実施形態の二色成形体は、メタクリル系樹脂(A)を含む表層と、比重が1.08〜1.17である熱可塑性樹脂組成物(B)を含む下地層と、を有する。上記熱可塑性樹脂組成物(B)は、ポリカーボネート系樹脂(b1)と、ABS系樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン・スチレン系共重合体)、MBS系樹脂(メチルメタクリレート、ブタジエン・スチレン系共重合体)、AAS系樹脂(アクリロニトリル、アクリルゴム、スチレン系共重合体)、ASA系樹脂(アクリロニトリル、スチレン、アクリルゴム系共重合体)、HIPS系樹脂(耐衝撃ポリスチレン系樹脂)、耐衝撃メタクリル系樹脂及びAES系樹脂(アクリロニトリル、エチレン・プロピレン・ジエン、スチレン系共重合体)からなる群より選ばれる1種以上である熱可塑性樹脂(b2)と、を含むことが好ましい。
本実施形態の二色成形体の表層は、表面硬さや耐候性に優れるメタクリル系樹脂(A)を用いることが好ましい。メタクリル系樹脂(A)の単層体の場合、表面硬さや耐候性に優れるが、強度が弱いため、強度を求められる部品には使用できない。上記表層中のメタクリル系樹脂の質量割合は、上記表層100質量%に対して、80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、特に好ましくは100質量%である。
二色成形体の強度を向上させるため、二色成形体の下地層には、熱可塑性樹脂組成物(B)のみを用いることが好ましく、耐衝撃性に優れる熱可塑性樹脂組成物(B)を用いることがより好ましい。また、その熱可塑性樹脂組成物(B)は、非結晶性樹脂を含むと、二色成形体の密着強度が高まるため、より好ましい。上記下地層中のポリカーボネート系樹脂(b1)と熱可塑性樹脂(b2)との合計質量割合は、上記下地層100質量%に対して、80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、特に好ましくは98質量%以上である。
なお、熱可塑性樹脂組成物(B)の下地層の単層体の場合は、強度は高いが表面硬度が低く、ハードコート処理が必要となる。そして、耐候性が悪いため、変色しやすく、好ましくない。下地層に熱可塑性樹脂組成物(B)を用いると二色成形体の強度が向上するので好ましい。
また、本実施形態の二色成形体において、熱可塑性樹脂(B)を用いた下地層の肉厚が厚いほど、強度が高くなる。
本実施形態の二色成形体の下地層に用いる熱可塑性樹脂組成物(B)の比重は、1.08〜1.17である。下地層に比重が1.08以上、1.17以下の熱可塑性樹脂組成物を用いると、衝撃試験時のクラック発生強度が低下するために好ましい。上記比重は、1.09〜1.16がより好ましく、さらに好ましくは1.10〜1.15である。
上記比重は、ISO1183のA法(水中置換法)、B法(ピクノメーター法)により測定することができる。なお、二色成形体の表層、下地層それぞれの比重を測定する場合、二色成形体をニッパ、ナイフ、等で切削して得たそれぞれの層の樹脂片について比重を測定する方法が考えられる。樹脂片の比重を測定する方法としては、B法(ピクノメーター法)で測定する。また、リブなど単層部がある場合は、A法(水中置換法)でも比重を測定することができる。
本実施形態の二色成形体の下地層に用いる熱可塑性樹脂組成物(B)は、ポリカーボネート系樹脂(b1)と熱可塑性樹脂(b2)とを含む。
上記熱可塑性樹脂(b2)としては、ゴム等で耐衝撃性を向上させる成分を含有した耐衝撃熱可塑性樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂(b2)として、ABS系樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン・スチレン系共重合体)、MBS系樹脂(メチルメタクリレート、ブタジエン・スチレン系共重合体)、AAS系樹脂(アクリロニトリル、アクリルゴム、スチレン系共重合体)、ASA系樹脂(アクリロニトリル、スチレン、アクリルゴム系共重合体)、HIPS系樹脂(耐衝撃ポリスチレン系樹脂)、耐衝撃メタクリル系樹脂及びAES系樹脂(アクリロニトリル、エチレン・プロピレン・ジエン、スチレン系共重合体)からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
本実施形態の二色成形体は、表層と下地層とを含んでよく、これらの層以外の別の層をさらに含んでもよい。中でも、本実施形態の二色成形体は、熱可塑性樹脂組成物(B)を含む下地層上に、メタクリル系樹脂(A)を含む表層が積層された2層の積層体であることが好ましい。上記表層と上記下地層との二色成形であれば、強度、硬さ、耐候性を高次元で併せ持つ製品を実現できる。
本実施形態の二色成形体は、下地層に貫通孔を設けられていてよい。上記貫通孔は、下地層のみを貫通していることが好ましく、表層は孔がないことが好ましい。
下地層の穴の割合が増えると反りが少なくなる傾向となるが、窓状穴が大きすぎると製品の強度が低下するので好ましくない。本実施形態の二色成形体は、下地層の穴の割合が少ないため、反りやすい製品形状でも反りを低減できる。
下地層に設けられた貫通孔の面積の下地層の面積に対する割合は、25%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは15%以下であり、最も好ましくは10%以下である。また、貫通孔の位置が製品中央付近にあるほうが、反りが少なくなる傾向にあるが、製品強度低下の影響が最も大きくなる位置であるため、好ましくない。
なお、下地層にリブが設けられている場合には、下地層の面積に計算においてリブは考慮したにものとする。下地層の面積に対する、リブの面積の割合は40%以下であることが好ましい。また、下地層にリブが設けられている場合でも、リブを除いた下地層の面積に対する貫通孔の面積の割合が上記範囲を満たすことが好ましい。
上記貫通孔の面積は、下地層の表層側の全表面積に対する、下地層の表層側の表面における貫通孔の合計面積の割合をいう。
上記貫通孔は、例えば、射出成形時、及び成形後の後加工により形成することができる。
上記貫通孔は、1個であってもよいし複数個であってもよいが、0〜10個(例えば、1〜10個)であることが好ましい。
上記貫通穴の形状に制約はないが、例えば、円形、楕円形、正方形、長方形等が挙げられる。また、複数穴がある場合、それぞれの穴の大きさの大小に制約はない。
上記貫通孔が複数ある場合、各貫通孔の下地層の表層側表面における孔径は1mm以上であることが好ましく、より好ましくは2mm以上である。
なお、貫通孔の孔径とは、下地層表面上の貫通孔全体を包含できる最小の円(最小包含円)の直径としてよい。
本実施形態の二色成形体の製造方法では、先に熱可塑性樹脂組成物(B)を用いて下地層を形成し、後からメタクリル系樹脂(A)を用いて表層を形成することが好ましく、上記下地層上に上記表層を形成することがより好ましい。メタクリル系樹脂(A)は熱可塑性樹脂組成物(B)より成形収縮率が低いため、先に熱可塑性樹脂組成物(B)、後からメタクリル系樹脂(A)を成形することで、反りを少なくすることができる。
以下、本実施形態の二色成形体の表層及び下地層を構成する各成分について説明する。
{メタクリル系樹脂(A)}
以下、表層に含まれるメタクリル系樹脂(A)の詳細について述べる。
上記メタクリル系樹脂(A)は、メタクリル酸エステル単量体単位(「メタクリル酸エステル単量体」に由来する単量体単位)からなる単独重合体であっても、メタクリル酸エステル単量体単位と、該メタクリル酸エステル単量体に共重合可能な他のビニル単量体単位(「他のビニル単量体」に由来する単量体単位)とを含む共重合体であってもよい。このなかでも、共重合体が好ましい。
(メタクリル酸エステル単量体)
上記メタクリル酸エステル単量体としては、本発明の効果を達成できるものであれば特に限定されないが、好ましい例としては、下記一般式(I)で示される単量体が挙げられる。
Figure 2021088182
(一般式(I)中、Rは炭素原子が1〜18個からなる炭化水素基であって、該炭化水素基の炭素上の水素原子は水酸基やハロゲン基によって置換されていてもよい。)
上記メタクリル酸エステル単量体としては、特に限定されないが、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸(2−エチルヘキシル)、メタクリル酸(t−ブチルシクロヘキシル)、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸(2,2,2−トリフルオロエチル)等が挙げられる。このなかでも、取扱いや入手のし易さの観点より、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル等がより好ましく、メタクリル酸メチルが特に好ましい。上記メタクリル酸エステル単量体は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
メタクリル系樹脂(A)が共重合体である場合、上記メタクリル酸エステル単量体単位の含有量は、メタクリル系樹脂(A)の総質量に対して、好ましくは70〜99.9質量%であり、より好ましくは80〜99.5質量%であり、さらに好ましくは85〜99質量%である。最も好ましくは90〜98質量%である。メタクリル酸エステル単量体単位の含有量が70質量%以上であることにより、耐熱性がより向上する傾向にある。また、メタクリル酸エステル単量体単位の含有量が99.9質量%以下であることにより流動性がより向上する傾向にある。
(他のビニル単量体)
上記他のビニル単量体としては、特に限定されないが、好ましい例としては、下記一般式(II)で表されるアクリル酸エステル単量体が挙げられる。
Figure 2021088182
(一般式(II)中、Rは炭素原子が1〜18個からなる炭化水素基であって、該炭化水素基の炭素上の水素原子が水酸基やハロゲン基によって置換されていてもよい。)
上記アクリル酸エステル単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(t−ブチルシクロヘキシル)、アクリル酸ベンジル、アクリル酸(2,2,2−トリフルオロエチル)等が挙げられる。このなかでも、取り扱いや入手のし易さの観点より、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル等がより好ましく、アクリル酸メチルが特に好ましい。
また、メタクリル酸エステル単量体に共重合可能な、一般式(II)で表されるアクリル酸エステル単量体以外の他のビニル単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸やメタクリル酸等のα,β−不飽和酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、桂皮酸等の不飽和基含有二価カルボン酸及びそれらのアルキルエステル;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、о−エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、イソプロペニルベンセン(α−メチルスチレン)等のスチレン系単量体;1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、1,1−ジフェニルエチレン、イソプロペニルトルエン、イソプロペニルエチルベンゼン、イソプロペニルプロピルベンゼン、イソプロペニルブチルベンゼン、イソプロペニルペンチルベンゼン、イソプロペニルヘキシルベンゼン、イソプロペニルオクチルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物類;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド等;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のエチレングリコール又はそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート等の2個のアルコールの水酸基をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール誘導体をアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化したもの;ジビニルベンゼン等の多官能モノマー;等が挙げられる。
一般式(II)で表される上記アクリル酸エステル単量体や、一般式(II)で表されるアクリル酸エステル単量体以外の他のビニル単量体等の他のビニル単量体は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
他のビニル単量体に由来する単量体単位の含有量は、メタクリル系樹脂(A)の総質量に対して、好ましくは0.1〜30質量%であり、より好ましくは0.5〜20質量%であり、さらに好ましくは1.0〜15質量%であり、特に好ましくは1.5〜12質量%である。最も好ましくは2.0〜10質量%である。他のビニル単量体に由来する単量体単位の含有量が0.1質量%以上であることにより、流動性及び耐熱性がより向上する傾向にある。また、他のビニル単量体に由来する単量体単位の含有量が20質量%以下であることにより、耐熱性がより向上する傾向にある。
メタクリル系樹脂(A)が共重合体は、流動性及び耐熱性に一層優れる観点から、一種の上記メタクリル酸エステル単量体単位(例えば、メタクリル酸メチル)と一種の他のビニル単量体単位(例えばアクリル酸メチル)とのみから構成されていてもよい。
メタクリル系樹脂(A)においては、耐熱性、加工性等の特性を向上させる目的で、上記例示したビニル単量体以外のビニル系単量体を適宜添加して共重合させてもよい。
(重量平均分子量及び分子量分布)
上記メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量及び分子量分布について説明する。
上記メタクリル系樹脂(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)は、50000〜300000であることが好ましい。メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が上記範囲内であることにより、流動性、機械的強度、及び耐溶剤性のバランスを図ることができ、良好な成形加工性が維持される傾向にある。特に、優れた機械的強度及び耐溶剤性を得る観点から、メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、50000以上が好ましく、60000以上がより好ましく、70000以上がさらに好ましく、80000以上がさらにより好ましく、90000以上がよりさらに好ましい。また、メタクリル系樹脂(A)が良好な流動性を示す観点から、メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は300000以下であることが好ましく、250000以下がより好ましく、230000以下がさらに好ましく、210000以下がさらにより好ましく、180000以下がよりさらに好ましい。
メタクリル系樹脂(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.6〜6.0であり、より好ましくは1.7〜5.0であり、さらに好ましくは1.8〜5.0である。メタクリル系樹脂(A)の分子量分布が上記範囲内であることにより成形加工流動と機械強度のバランスがより優れる傾向にある。ここで、Mwは重量平均分子量を表し、Mnは数平均分子量を表す。
メタクリル系樹脂(A)の分子量分布の制御方法としては、後述するメタクリル系樹脂(A)の製造時に連鎖移動剤やイニファータを段階的に添加する方法や、低分子量成分と高分子量成分を別々に重合して溶融ブレンドする方法等が挙げられる。
メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、GPCで測定することができ、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
具体的には、あらかじめ単分散の重量平均分子量が既知で試薬として入手可能な標準メタクリル系樹脂(A)と、高分子量成分を先に溶出する分析ゲルカラムを用い、溶出時間と重量平均分子量から検量線を作成しておき、続いて得られた検量線を元に、所定の測定対象のメタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を求めることができる。得られた重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)から分子量分布を算出することができる。数平均分子量(Mn)とは、単純な分子1本あたりの分子量の平均であり、系の全重量/系中の分子数で定義される。重量平均分子量(Mw)とは、重量分率による分子量の平均で定義される。
(ピークトップ分子量(Mp)の1/5以下の分子量を有する成分の割合)
耐溶剤性、流動性の観点から、メタクリル系樹脂(A)のGPC溶出曲線から得られるピークトップ分子量(Mp)の1/5以下の分子量を有する成分の割合は、メタクリル系樹脂(A)のGPC溶出曲線の総面積に対して、好ましくは6〜50%であり、より好ましくは7〜45%であり、さらに好ましくは8〜43%であり、よりさらに好ましくは9〜40%であり、さらにより好ましくは10〜38%である。メタクリル系樹脂(A)中のピークトップ分子量(Mp)の1/5以下の分子量を有する成分の割合が6%以上であることより、成形流動性がより向上し、反りが低減される傾向にある。また、メタクリル系樹脂(A)中のピークトップ分子量(Mp)の1/5以下の分子量を有する成分の割合が50%以下であることより、耐溶剤性がより向上する傾向にある。
ここで、「ピークトップ分子量(Mp)の1/5以下の分子量を有する成分の割合(%)」とは、GPC溶出曲線の全エリア面積を100%とした場合の、ピークトップ分子量(Mp)の1/5以下の分子量を有する成分に相当するエリア面積の割合であり、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。なお、「ピークトップ分子量(Mp)」とは、GPC溶出曲線においてピークを示す重量分子量を指す。GPC溶出曲線においてピークが複数存在する場合は、存在量が最も多い重量分子量が示すピークにおける分子量を、ピークトップ分子量(Mp)とする。
なお、重量平均分子量が500以下のメタクリル系樹脂成分は、成形時にシルバーと呼ばれる発泡様の外観不良の発生を防止するため、できる限り少ない方が好ましい。
(水分率)
メタクリル系樹脂(A)の水分率は、メタクリル系樹脂(A)100質量%に対して、0.01〜1.0質量%が好ましい。260℃で射出成形するため、初期の水分率は0.01〜0.1質量%程度である。また、夏場の高温高湿環境で放置した場合、メタクリル系樹脂(A)の水分率が1.0質量%程度まで増加する可能性あるが、反り変化が少ないので、好ましい。
また、メタクリル系樹脂(A)の成形前の水分率は0.01〜0.15質量%が好ましい。水分率が0.15質量%を超えると成形加工時にシルバー不良(フラッシュ状不良)が発生しやすいので、好ましくない。より好ましくは0.01〜0.1質量%である。
(スパイラル長さ)
メタクリル系樹脂(A)のスパイラル長さは、20〜55cmであることが好ましく、より好ましくは22〜50cmである。更に好ましくは24〜45cmである。メタクリル系樹脂(A)のスパイラル長さが20cm未満の場合、流動性が悪いために射出成形が困難となるため、好ましくない。メタクリル系樹脂(A)のスパイラル長さが55cmを超える場合は、流動性を高めるために分子量を下げる、あるいは耐熱性を下げる必要があり、製品の強度や耐熱特性を保てないため、好ましくない。
なお、スパイラル長さは、具体的には、下記手順に従って測定してよい。
・以下の成形条件で、一定の断面積を有しスパイラル形状を備えるキャビティを、メタクリル系樹脂(A)を流し、樹脂の流れた距離によって相対的流動性を判定する。
・射出条件
射出成形機:東芝機械製EC100SX
測定用金型:金型の表面に、深さ2mm、幅10mmの溝を、表面の中心部からアルキメデススパイラル状に掘り込んだ金型
樹脂温度:250±5℃
金型温度:60±5℃
射出圧力:75MPa
射出時間:10sec
冷却時間:20sec
金型表面の中心部に樹脂を上記条件で射出し、成形後にスパイラル状の成形品を取り出し、スパイラル部分の長さを測定する。
(メタクリル系樹脂(A)の製造方法)
メタクリル系樹脂(A)は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合法もしくは乳化重合法のいずれかの方法により製造することができる。このなかでも、好ましくは、塊状重合、溶液重合及び懸濁重合法であり、より好ましくは懸濁重合法である。
重合温度は、重合方法に応じて適宜最適の重合温度を選択すればよいが、好ましくは50℃以上100℃以下であり、より好ましくは60℃以上90℃以下である。
メタクリル系樹脂(A)を製造する際には、重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、特に限定されないが、ラジカル重合を行う場合は、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、シクロヘキサンパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等のアゾ系の一般的なラジカル重合開始剤;が挙げられる。これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらのラジカル開始剤と適当な還元剤とを組み合わせてレドックス系開始剤として用いてもよい。
これらのラジカル重合開始剤及び/又はレドックス系開始剤は、メタクリル系樹脂(A)の重合の際に使用する全単量体の総質量100質量部に対して、0〜1質量部の範囲で用いるのが一般的であり、重合を行う温度と重合開始剤の半減期を考慮して適宜選択することができる。
メタクリル系樹脂(A)の重合方法として、塊状重合法、キャスト重合法、又は懸濁重合法を選択する場合には、メタクリル系樹脂(A)の着色を防止する観点から、有機過酸化物を重合開始剤として用いて重合することが好ましい。このような有機過酸化物としては、上記と同様のものが挙げられ、このなかでもラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が好ましく、ラウロイルパーオキサイドがより好ましい。
また、メタクリル系樹脂(A)を、90℃以上の高温下で溶液重合法により重合する場合には、10時間半減期温度が80℃以上で、かつ用いる有機溶媒に可溶である有機過酸化物及びアゾビス開始剤等を重合開始剤として用いることが好ましい。このような有機過酸化物及びアゾビス開始剤としては、上記と同様のものが挙げられ、このなかでも1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、シクロヘキサンパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等が好ましい。
メタクリル系樹脂(A)を製造する際には、必要に応じて、メタクリル系樹脂(A)の分子量の制御を行ってもよい。メタクリル系樹脂(A)の分子量を制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、重合方法又は重合条件を変える方法、重合開始剤の選択、連鎖移動剤やイニファータ等の量を調整する方法等が挙げられる。これらの分子量制御方法は、一種の方法のみを用いてもよく、二種以上の方法を併用してもよい。
イニファータとしては、特に限定されないが、例えば、ジチオカルバメート類、トリフェニルメチルアゾベンゼン、テトラフェニルエタン誘導体等が挙げられる。
連鎖移動剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキルメルカプタン類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等が挙げられる。このなかでも、取扱性や安定性の観点から、アルキルメルカプタン類が好ましい。当該アルキルメルカプタン類としては、特に限定されないが、例えば、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)等が挙げられる。
連鎖移動剤及びイニファータは、目的とするメタクリル系樹脂(A)の分子量に応じて適宜添加することができ、連鎖移動剤及びイニファータの添加量を調整することにより、分子量を調整することが可能である。一般的には、メタクリル系樹脂(A)の重合の際に使用する全単量体の総質量100質量部に対して0.001質量部〜5質量部の範囲で用いられる。
また、GPC溶出曲線から得られるピークトップ分子量(Mp)の1/5以下の分子量を有する成分の割合が、1〜50%の範囲である。より好ましくは3〜45%であり、更に好ましくは6%〜40%である。1〜50%は分子量分布が広がることで流動性が向上するため、流動性と強度の両方を高次元でバランスさせたい場合に有効である。メタクリル系樹脂(A)を製造する方法としては、低分子量のメタクリル系樹脂(A)と高分子量のメタクリル系樹脂(A)とを溶融ブレンドする方法や、多段重合法により製造する方法等が挙げられる。上記のMpの1/5以下の分子量を有する成分の割合が1〜50%のメタクリル系樹脂(A)を製造する場合、その方法については特に限定されるものではないが、品質安定性の観点から多段重合法を使用することがより好ましい。
多段重合法を使用する場合、まず、1段目の重合において、メタクリル酸エステル単量体と他のビニル単量体とを重合し、GPCで測定した重量平均分子量が5000〜50000である重合体(i)を製造することが好ましい。次に、重合系内を1段目の重合温度よりも高い温度に一定時間保持する。その後、重合体(i)の存在下で、メタクリル酸エステル単量体と他のビニル単量体とをさらに重合し、重量平均分子量が60000〜350000である重合体(ii)を製造することが好ましい。なお、メタクリル系樹脂(A)が単独重合体である場合には、他のビニル単量体を用いずに、1段目及び2段目の重合において、単独重合を行う。また、メタクリル系樹脂(A)が単独重合体と共重合体の混合物であるような場合には、1段目の重合において単独重合を行い、2段目の重合において共重合を行うこともできる。
製造時の重合安定性及びメタクリル系樹脂(A)の流動性や樹脂成形体の機械的強度を向上させる観点そして成形体表面の分子配向緩和の観点から、重合体(i)の含有量は、メタクリル系樹脂(A)の総質量に対して、好ましくは5〜50質量%であり、重合体(ii)の含有量は、メタクリル系樹脂(A)の総質量に対して、好ましくは95〜50質量%である。重合安定性、流動性、成形体の機械的強度、成形体表面の分子配向緩和のバランスを考慮すると、重合体(i)/重合体(ii)の含有量比率は、より好ましくは7〜47質量%/93〜53質量%、さらに好ましくは10〜45質量%/90〜65質量%であり、さらにより好ましくは13〜43質量%/87〜57質量%であり、よりさらに好ましくは15〜40質量%/85〜60質量%である。
さらに、重合体(i)は、メタクリル酸エステル単量体単位80〜100質量%及び他のビニル単量体単位0〜20質量%を含む重合体であることが好ましく、メタクリル酸エステル単量体単位90〜100質量%及び他のビニル単量体単位0〜10質量%を含む重合体であることがより好ましく、メタクリル酸エステル単量体単位95〜100質量%及び他のビニル単量体単位0〜5質量%を含む重合体であることがさらに好ましい。重合体(i)を構成する単量体単位の比率は、多段重合の重合体(i)の重合工程において添加する単量体量を制御することにより調整することができる。重合体(i)は、他のビニル単量体の含有量が少ない方が好ましく、他のビニル単量体を含まなくてもよい。
また、成形時のシルバー等の不具合抑制、重合安定性、流動性の観点から、重合体(i)の重量平分均子量は、好ましくは5000〜50000であり、より好ましくは10000〜45000であり、さらに好ましくは18000〜42000であり、特に好ましくは20000〜40000である。重合体(i)の重量平均分子量は、上述したように、連鎖移動剤やイニファータを用いたり、これらの量を調整したり、重合条件を適宜変更することにより制御できる。重合体(i)の重量平分均子量は、上記同様、GPCで測定することができる。
重合体(ii)は、メタクリル酸エステル単量体単位80〜99.9質量%及び他のビニル単量体単位0.1〜20質量%を含む重合体であることが好ましく、メタクリル酸エステル単量体単位90〜99.9質量%及び他のビニル単量体単位0.1〜10質量%を含む重合体であることがより好ましく、メタクリル酸エステル単量体単位92.5〜99.8質量%及び他のビニル単量体単位0.2〜7.5質量%を含む重合体であることがさらに好ましい。重合体(ii)を構成する単量体単位の比率は、多段重合の重合体(ii)の重合工程において添加する単量体量を調整することにより制御することができる。
また、耐溶剤性、流動性の観点から、重合体(ii)の重量平分均子量は、好ましくは60000〜350000であり、より好ましくは100000〜320000であり、さらに好ましくは130000〜300000であり、よりさらに好ましくは150000〜270000である。重合体(ii)の重量平均分子量は、上述したように、連鎖移動剤やイニファータを用いたり、これらの量を調整したり、重合条件を適宜変更することにより制御できる。重合体(ii)の重量平分均子量は、上記同様、GPCで測定することができる。
上記多段重合法は、重合体(i)と重合体(ii)のそれぞれの組成を制御しやすく、重合時の重合発熱による温度上昇が抑えられ、系内の粘度も安定化できる。この場合、重合体(i)の重合が完了しないうちに重合体(ii)の原料組成混合物は一部重合が開始されている状態であってもよいが、一度90℃以上の温度に昇温して後重合を実施して重合をほぼ完了させた後に重合体(ii)の原料組成混合物を添加する方法が好ましい。
重合体(i)(ii)の重合温度は、本願の効果を得られる範囲で好ましい温度を適宜選択して製造すればよいが、好ましくは50℃以上100℃以下であり、より好ましくは60℃以上90℃以下である。重合体(i)及び重合体(ii)の重合温度は、同じであっても異なっていてもよい。
後重合の際に昇温させる温度は、重合体(i)(ii)の重合温度よりも5℃以上高くすることが好ましく、より好ましくは7℃以上、さらに好ましくは10℃以上である。さらに、後重合の際に昇温した温度で保持する時間は、10分間以上180分間以下が好ましく、より好ましくは15分間以上150分間以下である。
後重合のために反応系内を昇温するタイミングとしては、重合による発熱ピークが観測されるより前に開始する事が好ましい。ピーク温度を観測する前に昇温を開始することで、モノマーの重合転化率を向上させることができ、二色成形を実施した際の成形品の反りの低減を図ることができる。
重合体におけるモノマー転化率は好ましくは98.0%以上であり、より好ましくは99.0%以上、さらに好ましくは99.2%以上である。
(添加剤や着色剤の混練方法)
メタクリル系樹脂と後述の各種添加剤や着色剤とを混練してメタクリル系樹脂(A)を得る方法としては、例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、ローラミキサー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練製造する方法等が挙げられる。特に、押出機による混練が、生産性の面で好ましい。なお、メタクリル系樹脂(A)は、ペレットとしてもよい。
混練温度は、メタクリル系樹脂(A)の好ましい加工温度に従えばよく、目安としては150〜350℃の範囲である。
メタクリル系樹脂(A)を得た後、これを用いて二色成形等することにより二色成形体が得られる。メタクリル系樹脂(A)は、メタクリル系樹脂のみとしてもよいし、メタクリル系樹脂と添加剤や着色剤等との混合物としてもよい。
{熱可塑性樹脂組成物(B)}
下地層に用いる熱可塑性樹脂組成物(B)は、ポリカーボネート系樹脂(b1)と、ポリスチレン系樹脂、シンジオタクテックポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン・スチレン系共重合体)、AS系樹脂(アクリロニトリル、スチレン系共重合体)、MBS系樹脂(メチルメタクリレート、ブタジエン・スチレン系共重合体)、AAS系樹脂(アクリロニトリル、アクリルゴム、スチレン系共重合体)、ASA系樹脂(アクリロニトリル、スチレン、アクリルゴム系共重合体)、AES系樹脂(アクリロニトリル、エチレン・プロピレン・ジエン、スチレン系共重合体)、HIPS系樹脂(耐衝撃ポリスチレン系樹脂)、メタクリル系樹脂、耐衝撃メタクリル系樹脂、生分解性樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂からなる群より選ばれる1種以上である熱可塑性樹脂と、を含んでいてもよい。
中でも、ポリカーボネート系樹脂(b1)と、ABS系樹脂、MBS系樹脂、AAS系樹脂、ASA系樹脂、HIPS系樹脂、耐衝撃メタクリル系樹脂、及びAES系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である熱可塑性樹脂(b2)とを含むことが好ましい。上記熱可塑性樹脂(b2)は、ゴム等の耐衝撃性を向上させる成分を含む熱可塑性樹脂であってよい。上記熱可塑性樹脂(b2)は、耐衝撃性の観点で、ABS系樹脂、ASA系樹脂、AES系樹脂がより好ましい。これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記熱可塑性樹脂組成物(B)は、複数の樹脂を混合したポリマーアロイであってもよく、ポリカーボネート系樹脂とABS系樹脂とを含むポリマーアロイが好ましく、ポリカーボネート系樹脂とABS系樹脂とのみからなるポリマーアロイがより好ましい。
耐衝撃性を向上させる成分としては、ブタジエン系ゴム、アクリル系ゴム、シリコーン・アクリル複合ゴム、シリコーン系ゴム、ウレタン系ゴム、フッ素系ゴム、エチレンプロピレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ブチル系ゴム、ポリブタジエン、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂組成物(B)中のポリカーボネート系樹脂(b1)の質量割合としては、強度に一層優れる観点から、上記熱可塑性樹脂組成物(B)100質量%に対して、10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜80質量%である。また、熱可塑性樹脂(b2)の質量割合としては、強度に一層優れる観点から、上記熱可塑性樹脂組成物(B)100質量%に対して、90〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは80〜20質量%である。
上記熱可塑性樹脂組成物(B)に含まれる樹脂成分は、ポリカーボネート系樹脂(b1)と、熱可塑性樹脂(b2)とのみであることが好ましいが、他の成分を含んでも良い。
上記熱可塑性樹脂組成物(B)のVICAT軟化温度は、80℃以上であることが好ましく、より好ましくは85℃以上であり、さらに好ましくは90℃以上である。車両内外装に用いる場合は、直射日光等による熱での変形を防ぐため、95℃以上であることが好ましい。
なお、VICAT軟化温度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(熱可塑性樹脂組成物(B)の製造方法)
熱可塑性樹脂組成物(B)は、当技術分野における常法により、製造することができる。
(添加剤や着色剤の混練方法)
ポリカーボネート系樹脂(b1)と熱可塑性樹脂(b2)とを、後述の各種添加剤や着色剤とを混練して熱可塑性樹脂組成物(B)を得る方法としては、例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、ローラミキサー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練製造する方法等が挙げられる。特に、押出機による混練が、生産性の面で好ましい。なお、熱可塑性樹脂組成物(B)は、ペレットとしてもよい。
混練温度は、VICAT軟化温度が好適には80℃以上である熱可塑性樹脂(B)の好ましい加工温度に従えばよく、目安としては150〜350℃の範囲である。
ポリカーボネート系樹脂(b1)と熱可塑性樹脂(b2)を含む熱可塑性樹脂組成物(B)を得た後、これを用いて二色成形することにより二色成形体が得られる。熱可塑性樹脂組成物(B)を含む下地層は、熱可塑性樹脂のみとしてもよいし、熱可塑性樹脂と添加剤や着色剤等との混合物としてもよい。
{その他の添加剤}
本実施形態の二色成形体を構成するメタクリル系樹脂(A)及び熱可塑性樹脂組成物(B)には、必要に応じて、各種のその他の添加剤を添加してもよい。
上記添加剤としては、例えば、ポリエーテル系、ポリエーテルエステル系、ポリエーテルエステルアミド系、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩等の帯電防止剤;酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤等の安定剤;難燃剤;難燃助剤;硬化剤;硬化促進剤;導電性付与剤;応力緩和剤;結晶化促進剤;加水分解抑制剤;衝撃付与剤;相溶化剤;核剤;強化剤;補強剤;流動調整剤;増感剤;ゴム質重合体;増粘剤;沈降防止剤;タレ防止剤;充填剤;消泡剤;カップリング剤;防錆剤;抗菌・防黴剤;防汚剤;導電性高分子;等が挙げられる。
特に、熱安定剤、紫外線吸収剤及び難燃剤等を添加することが幅広い屋内外用途として、好ましい。また、応力緩和剤や衝撃付与剤として、ゴム質共重合体を添加してもよい。
(熱安定剤)
上記熱安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。本実施形態のメタクリル系樹脂(A)は、溶融押出や、射出成形、フィルム成形用途等、様々な用途で好適に使用される。加工の際に受ける熱履歴は加工方法により異なるが、押出機のように数十秒程度から、肉厚品の成形加工やシート成形のように数十分〜数時間の熱履歴を受けるものまで様々である。
長時間の熱履歴を受ける場合、所望の熱安定性を得るために、熱安定剤量添加量を増やす必要がある。熱安定剤のブリードアウト抑制やフィルム製膜時のフィルムのロールへの貼りつき防止の観点から、複数種の熱安定剤を併用することが好ましく、例えば、リン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤から選ばれる少なくとも一種とヒンダードフェノール系酸化防止剤とを併用することが好ましい。
これらの酸化防止剤は、1種又は2種以上を併用してしてもよい。
上記熱安定剤としては、空気中における熱安定性に一層優れる観点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤とを用いた二元系、又はヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを用いた二元系が好ましく、特に短期及び長期にわたって空気中における熱安定性に優れる観点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤との3種を用いた三元系がより好ましい。
熱安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリン)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミン)フェノール、アクリル酸2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニル、アクリル酸2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル等が挙げられる。
特に、ペンタエリスリトールテラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、アクリル酸2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルが好ましい。
また、上記熱安定剤としてのヒンダードフェノール系酸化防止剤は、市販のフェノール系酸化防止剤を使用してもよく、このような市販のフェノール系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、イルガノックス(登録商標)1010(Irganox 1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、BASF社製)、イルガノックス1076(Irganox 1076:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、BASF社製)、イルガノックス1330(Irganox 1330:3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、BASF社製)、イルガノックス3114(Irganox 3114:1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、BASF社製)、イルガノックス3125(Irganox 3125、BASF社製)、アデカスタブ(登録商標)AO−60(ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ADEKA社製)、アデカスタブAO−80(3、9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルキシオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ADEKA社製)、スミライザー(登録商標)BHT(Sumilizer BHT、住友化学製)、シアノックス(登録商標)1790(Cyanox 1790、サイテック製)、スミライザーGA−80(Sumilizer GA−80、住友化学製)、スミライザーGS(Sumilizer GS:アクリル酸2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニル、住友化学製)、スミライザーGM(Sumilizer GM:アクリル酸2−tert−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル、住友化学製)、ビタミンE(エーザイ製)等が挙げられる。
これらの市販のヒンダードフェノール系酸化防止剤の中でも、当該樹脂での熱安定性付与効果の観点から、イルガノックス1010、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−80、イルガノックス1076、スミライザーGS等が好ましい。
これらは1種のみを単独で用いても、2種以上併用してもよい。
また、上記熱安定剤としてのリン系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、テトラキス(2,4−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ジ−t−ブチル−m−クレジル−ホスフォナイト、4−[3−[(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン)−6−イルオキシ]プロピル]−2−メチル−6−tert−ブチルフェノール等が挙げられる。
さらに、リン系酸化防止剤として市販のリン系酸化防止剤を使用してもよく、このような市販のリン系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、イルガフォス(登録商標)168(Irgafos 168:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、BASF製)、イルガフォス12(Irgafos 12:トリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、BASF製)、イルガフォス38(Irgafos 38:ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、BASF製)、アデカスタブ329K(ADK STAB−329K、ADEKA製)、アデカスタブPEP−36(ADK STAB PEP−36、ADEKA製)、アデカスタブPEP−36A(ADK STAB PEP−36A、ADEKA製)、アデカスタブPEP−8(ADK STAB PEP−8、ADEKA製)、アデカスタブHP−10(ADK STAB HP−10、ADEKA製)、アデカスタブ2112(ADK STAB 2112、ADEKA社製)、アデカスタブ1178(ADKA STAB 1178、ADEKA製)、アデカスタブ1500(ADK STAB 1500、ADEKA製)Sandstab P−EPQ(クラリアント製)、ウェストン618(Weston 618、GE製)、ウェストン619G(Weston 619G、GE製)、ウルトラノックス626(Ultranox 626、GE製)、スミライザーGP(Sumilizer GP:4−[3−[(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン)−6−イルオキシ]プロピル]−2−メチル−6−tert−ブチルフェノール、住友化学製)、HCA(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド、三光株式会社製)等が挙げられる。
これらの市販のリン系酸化防止剤の中でも、当該樹脂での熱安定性付与効果、多種の酸化防止剤との併用効果の観点から、イルガフォス168、アデカスタブPEP−36、アデカスタブPEP−36A、アデカスタブHP−10、アデカスタブ1178が好ましく、アデカスタブPEP−36A、アデカスタブPEP−36が特に好ましい。
これらのリン系酸化防止剤は、1種のみを単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、上記熱安定剤としての硫黄系酸化防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,4−ビス(ドデシルチオメチル)−6−メチルフェノール(イルガノックス1726、BASF社製)、2,4−ビス(オクチルチオメチル)−6−メチルフェノール(イルガノックス1520L、BASF社製)、2,2−ビス{〔3−(ドデシルチオ)−1−オキソポロポキシ〕メチル}プロパン−1,3−ジイルビス〔3−ドデシルチオ〕プロピオネート〕(アデカスタブAO−412S、ADEKA社製)、2,2−ビス{〔3−(ドデシルチオ)−1−オキソポロポキシ〕メチル}プロパン−1,3−ジイルビス〔3−ドデシルチオ〕プロピオネート〕(ケミノックスPLS、ケミプロ化成株式会社製)、ジ(トリデシル)3,3’−チオジプロピオネート(AO−503、ADEKA社製)等が挙げられる。
これらの市販の硫黄酸化防止剤の中でも、当該樹脂での熱安定性付与効果、多種の酸化防止剤との併用効果の観点、取り扱い性の観点から、アデカスタブAO−412S、ケミノックスPLSが好ましい。
これらの硫黄系酸化防止剤は、1種のみを単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
熱安定剤の含有量は、熱安定性を向上させる効果が得られる量であればよく、含有量が過剰である場合、加工時にブリードアウトする等の問題が発生するおそれがあることから、メタクリル系樹脂(A)100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下、さらにより好ましくは0.8質量部以下であり、よりさらに好ましくは0.01〜0.8質量部、特に好ましくは0.01〜0.5質量部である。
また、樹脂の熱分解を抑制して、得られる成形体の色調悪化を抑制し、熱安定剤の揮散を抑制して成形加工時のシルバーストリークスの発生を抑制する観点から、上記メタクリル系樹脂(A)100質量部に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.01〜2質量部(好ましくは0.02〜1質量部)含み、且つリン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤を合計で0.01〜2質量部(好ましくは0.01〜1質量部)を含むことが好ましい。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、フェノール系化合物、オキサゾール系化合物、マロン酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、ラクトン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンズオキサジノン系化合物等が挙げられる。このなかでも、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物が好ましい。これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、優れた成形加工性を得る観点から、紫外線吸収剤の20℃における蒸気圧(P)は、好ましくは1.0×10−4Pa以下であり、より好ましくは1.0×10−6Pa以下であり、さらに好ましくは1.0×10−8Pa以下である。ここで、「優れた成形加工性」とは、例えば射出成形時に、金型表面への紫外線吸収剤等の付着が少ないことや、フィルム成形時に、紫外線吸収剤等のロールへの付着が少ないこと等を意味する。紫外線吸収剤がロールへ付着すると、最終的に目的とする成形体の表面に紫外線吸収剤が付着してしまい、外観性、光学特性を悪化させるおそれがあるため、成形体を光学用材料として使用する場合は特に上記成形加工性に優れていることが重要である。
また、ブリードアウト防止の観点から、紫外線吸収剤の融点(Tm)は、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは100℃以上であり、さらに好ましくは130℃以上であり、さらにより好ましくは160℃以上である。
さらに、ブリードアウト防止の観点から、23℃から260℃まで20℃/minの速度で昇温した場合の紫外線吸収剤の質量減少率は、好ましくは50%以下であり、より好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは15%以下であり、さらにより好ましくは10%以下であり、よりさらに好ましくは5%以下である。
紫外線吸収剤の含有量は、紫外線吸収効果を得るためにメタクリル系樹脂(A)100質量部に対し、0.01質量部以上であることが好ましく、0.02質量部以上であることがより好ましく、さらに好ましくは0.03質量部以上、さらにより好ましくは0.04質量部以上、特に好ましくは0.05質量部以上である。また、成形時のブリードアウトを抑制するために、紫外線吸収剤の含有量は、メタクリル系樹脂(A)100質量部に対し、0.5質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.3質量部以下、さらに好ましくは0.2質量部以下、さらにより好ましくは0.15質量部以下である。
(難燃剤)
難燃剤としては、特に限定されないが、例えば、環状窒素化合物、リン系難燃剤、シリコン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、籠状シルセスキオキサン又はその部分開裂構造体、シリカ系難燃剤、無機系難燃剤等が挙げられる。
種々な添加剤を混合する場合の混練方法としては、上述の方法等に従えばよく、特に限定されるものではない。
{着色剤}
本実施形態においては、着色剤を好適に用いることができる。
本実施形態において好適に使用される着色剤としては、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で熱天秤にて測定したときの質量減少開始温度が250℃以上である整色用色素から選ばれることが好ましい。ここで、熱天秤で測定したときの質量減少開始温度とは、JIS K−7120に記載の質量減少開始温度(T1)のことであり、着色剤が有している熱安定性の指標となる。該質量減少開始温度が250℃未満である場合、着色剤の熱安定性が不十分であることから最終的に得られる樹脂の着色の原因となり好ましくない。該質量減少開始温度は300℃以上であることが更に好ましい。また樹脂が溶融状態にある温度下で分解しないことが更に好ましい。
本実施形態においては、青色系色調整剤、赤色系着色剤、紫色系着色剤、橙色系着色剤、緑色系着色剤が好適に用いられる。ここで、青色系着色剤とは、一般に市販されている色調調整用色素の中で「Blue」と表記されているものであって、具体的には溶液中の可視光吸収スペクトルにおける最大吸収波長が580〜650nm程度にあるものを示す。同様に紫色系色調調整用色素とは市販されている色調調整用色素の中で「Violet」と表記されているものであって、具体的には溶液中の可視光吸収スペクトルにおける最大吸収波長が560〜580nm程度にあるものを示す。赤色系色調調整用色素とは市販されている色調調整用色素の中で「Red」と表記されているものであって、具体的には溶液中の可視光吸収スペクトルにおける最大吸収波長が480〜520nm程度にあるものである。橙色系色調調整用色素とは市販されている色調調整用色素の中で「Orange」と表記されているものである。
これらの色調調整用色素としては油溶染料が特に好ましく、具体的な例としては下記のものが挙げられる。
青色系色調調整用色素には、C.I.SolventBlue11、C.I.SolventBlue25、C.I.SolventBlue35、C.I.SolventBlue36、C.I.SolventBlue45(TelasolBlueRLS)、C.I.SolventBlue55、C.I.SolventBlue63、C.I.SolventBlue78、C.I.SolventBlue83、C.I.SolventBlue87、C.I.SolventBlue94(ダイヤレジンブルーN)、C.I.SolventBlue97(マクロレックスブルーRR)、C.I.SolventBlue104、C.I.SolventBlue122等が挙げられる。
紫色系色調調整用色素には、C.I.SolventViolet8、C.I.SolventViolet13(ダイヤレジンブルーG)、C.I.SolventViolet14、C.I.SolventViolet21、C.I.SolventViolet27、C.I.SolventViolet28、C.I.SolventViolet36(マクロレックスバイオレット3R)、C.I.SolventViolet37、C.I.SolventViolet49等が挙げられる。
赤色系色調調整用色素には、C.I.SolventRed24、C.I.SolventRed25、C.I.SolventRed27、C.I.SolventRed30、C.I.SolventRed49、C.I.SolventRed52、C.I.SolventRed100、C.I.SolventRed109、C.I.SolventRed111、C.I.SolventRed121、C.I.SolventRed135、C.I.SolventRed149、C.I.SolventRed168、C.I.SolventRed179、C.I.SolventRed195等が例示される。
橙色系色調調整用色素には、C.I.SolventOrange3、C.I.SolventOrange14、C.I.SolventOrange54、C.I.SolventOrange60、C.I.SolventOrange62、C.I.SolventOrange63、C.I.SolventOrange86、C.I.SolventOrange107等が挙げられる。
黄色系色調調整用色素には、C.I.DisperseYellow5、C.I.DisperseYellow42、C.I.DisperseYellow54、C.I.DisperseYellow64、C.I.DisperseYellow79、C.I.DisperseYellow82、C.I.DisperseYellow83、C.I.DisperseYellow93、C.I.DisperseYellow99、C.I.DisperseYellow100、C.I.DisperseYellow119、C.I.DisperseYellow122、C.I.DisperseYellow124、C.I.DisperseYellow126、C.I.DisperseYellow160、C.I.DisperseYellow184:1、C.I.DisperseYellow186、C.I.DisperseYellow198、C.I.DisperseYellow199、C.I.DisperseYellow204、C.I.DisperseYellow211、C.I.DisperseYellow224、C.I.DisperseYellow237等が挙げられる。
緑色系色調調整用色素には、C.I.SolventGreen3、C.I.SolventGreen5、C.I.SolventGreen7、C.I.SolventGreen28等が挙げられる。
その他着色剤として、カーボンブラック、ケッチェンブラック、ライオナイトブラック、カーボンナノチューブ、酸化チタン、タルク、カオリン、マイカ、ウォラストナイト、カーボンナノチューブ等を使用しても良い。
上記着色剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
着色剤の含有量は、着色効果が得られる量であればよく、含有量が過剰である場合、加工時にブリードアウトする等の問題が発生するおそれがあることから、樹脂成分100質量部に対して、2質量部以下であることが好ましく、より好ましくは1.5質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下、さらにより好ましくは0.9質量部以下であり、よりさらに好ましくは0.8質量部以上、特に好ましくは0.7質量部以上である。
上記のその他の添加剤や着色剤を含有した場合は、S1及びS2は、その他の添加剤や着色剤を含有したメタクリル系樹脂(A)、熱可塑性樹脂組成物(B)についての成形収縮率を用いるものとする。
なお、本実施形態の二色成形体に用いられるメタクリル系樹脂(A)、熱可塑性樹脂組成物(B)の成形収縮率は、JIS K7152−4に準拠して測定されてよい。
具体的には、下記手順に従って測定してよい。
・平板金型(100mm×100mm×3mmt、ゲート:100mm辺の中央部、サイドゲート)を以下の成形条件で成形する。
・射出条件
成形機 :EC100SX(東芝機械製)
金型温度:当該樹脂又は樹脂組成物のVICAT軟化温度−40±10℃(当該樹脂又は樹脂組成物のVICAT軟化温度が120℃未満である場合)
当該樹脂又は樹脂組成物のVICAT軟化温度−50±10℃(当該樹脂又は樹脂組成物のVICAT軟化温度が120℃以上である場合)
樹脂温度:当該樹脂又は樹脂組成物のVICAT軟化温度+150±10℃
充填速度:50±20mm/sec
保圧時間:10±3sec
冷却時間:20±5sec
成形サイクル:40±10sec
成形した平板を取り出し後、温度23±2℃のデシケータ内で1時間以上放置する。平板をデシケータから取り出し後、平板の四辺の寸法を測定する。金型寸法と平板の寸法から四辺それぞれの収縮率(%)を測定し、さらに四辺の成形収縮率の平均値を計算し、これを成形収縮率(%)とした。
より具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定してよい。
本実施形態の二色成形体の反りは、表層と下地層の成形収縮率の差に相関する。それぞれの線膨張係数の違いには相関しない。また、それぞれのVICAT軟化温度の差にも相関しない。
<二色成形体の製造方法>
本実施形態の二色成形体は、例えば、下記のようにして製造することができ、二色成形法により製造することが好ましい。
まず、必要に応じてペレットの形態である熱可塑性樹脂組成物(B)(例えば、VICAT軟化温度が80℃以上の熱可塑性樹脂組成物(B))を射出成形機の金型キャビティ内に投入することが好ましい。二色成形体を車両内外装に用いる場合は、直射日光等による熱での変形を防ぐため、VICAT軟化温度が95℃以上の熱可塑性樹脂組成物(B)を用いることがより好ましい。この際、金型としては成形体の形状に対する形状の金型キャビティを有し、樹脂の流動を高め、成形歪低減のために2点ゲート以上である金型を用いることがより好ましい。特に耐熱温度や機械強度が強い熱可塑性樹脂を成形する場合は、2点ゲート以上での成形が有効である。またゲート種類は、ピンゲート、サイドゲート等がより好ましい。
次いで、その射出成形機により所定の条件にて、表層としてメタクリル系樹脂(A)を射出成形する。この際、金型としては成形体の形状に対応する形状の金型キャビティを有し、かつ、表面のウエルド発生を抑制するために、1点ゲートである金型を用いることが好ましい。
また、その金型におけるゲートの位置は、最終的に得られる成形体において別部材によって覆われることで目視にて確認できなくなるような部分と接触する位置であると好ましく、ゲート種類は、サイドゲード、ファンゲート、タブゲート、ホットランナーバルブゲート等が好ましい。こうして本実施形態の二色成形体を得ることができる。
二色成形体の長さは100mm以上であることが長尺成形体を得るうえで、好ましい。110mm以上であることがさらに好ましく、120mm以上であることがさらにより好ましい。
本実施形態の二色成形体の製造方法は、本願の効果を発揮する範囲であれば特に規定はされないが、先に熱可塑性樹脂組成物(B)を用いて下地層を形成し、後からメタクリル系樹脂(A)を用いて表層を形成することが好ましい。
本実施形態の二色成形体の好ましい成形条件を以下に示すが、以下に限定されるものではなく、成形体の反りを抑制する観点から、下地層の成形温度や金型温度を熱可塑性樹脂組成物(B)の比重に相関させて設定することが好ましい。
(金型温度)
二色成形体の射出成形時の金型温度は、表層と下地層に用いる樹脂のVICAT温度を比較し、低い方の樹脂のVICAT軟化温度に対して、VICAT−100℃〜VICAT−5℃の範囲に調整することが好ましい。より好ましくは、VICAT−90℃〜VICAT−10℃の範囲であり、さらに好ましくは、VICAT−80℃〜VICAT−15℃の範囲であり、最も好ましくは、VICAT−70℃〜VICAT−20℃の範囲である。この範囲に調整することで、外観に優れた二色成形体を得ることができる。
また金型温度は、固定側と稼働側で異なる温度を設定してもよい。
本実施形態の二色成形体は、二色成形機を用いて連続的に成形することができる。そのため、金型温度は下地層、表層ともに同じ温度に設定することが好ましい。同じ金型温度であると、成形サイクルの短縮することが出来る。なお、サイクルが大幅に長くならない範囲で金型温度を調整することは可能である。
本実施形態の二色成形体を成形する時の金型温度は、次の式(10)から式(11)までの温度範囲に設定することが好ましい。すなわち、二色成形体の反りや変形不良を抑制の観点から、金型の温度は式(10)で示す温度かそれ以下であることが好ましい。また、反りや衝撃強度、成形面での剥離抑制等の観点から、金型温度は式(11)で示す温度以上であることが好ましい。
MAX温度(℃)=133×H−60 ・・・(10)
MIN温度(℃)=133×H−100・・・(11)
(H:熱可塑性樹脂組成物(B)の比重)
金型温度を式(10)より高くすると冷却が不十分となり、反り、変形不良が発生しやすくなる。反りや変形を抑えるためには成形サイクルを長くする必要があり、好ましくない。また、金型温度を式(11)より低くするとショートショット不良やヒケ不良(凹み不良)が発生しやすくなるため、好ましくない。
金型温度は、より好ましくは式(12)から(13)までの範囲内である。
MAX温度(℃)=133×H−65・・・(12)
MIN温度(℃)=133×H−95・・・(13)
上記金型温度は、更に好ましくは式(14)から(15)まで範囲内である。
MAX温度(℃)=133×H−70・・・(14)
MIN温度(℃)=133×H−90・・・(15)
(下地層の成形温度)
下地層に用いる熱可塑性樹脂組成物(B)の成形温度は、次の式(4)から式(5)までの範囲に設定することが好ましい。式(4)と式(5)の温度範囲で成形することで成形品の歪が最小化出来るので、反りの低減や耐衝撃性向上を図ることが出来る。
MAX温度(℃)=333×H−80 ・・・(4)
MIN温度(℃)=333×H−130・・・(5)
(H:熱可塑性樹脂組成物(B)の比重)
成形温度を式(4)より高くするとシルバー不良の発生や、材料の熱分解による強度低下となるため、好ましくない。また、成形温度を式(5)より低くすると流動性が低下し、ショートショット不良やヒケ不良(凹み不良)が発生しやすくなるため、好ましくない。
熱可塑性樹脂組成物(B)の成形温度は、より好ましくは式(6)から(7)までの範囲内である。
MAX温度(℃)=333×H−85 ・・・(6)
MIN温度(℃)=333×H−125・・・(7)
熱可塑性樹脂組成物(B)の成形温度は、更に好ましくは式(8)から(9)までの範囲内である。
MAX温度(℃)=333×H−90 ・・・(8)
MIN温度(℃)=333×H−120・・・(9)
(表層の成形温度)
表層に用いるメタクリル系樹脂(A)の成形温度は、240℃〜280℃が好ましい。この温度範囲で成形することで成形品の歪が最小化出来るので、反りの低減や耐衝撃性向上を図ることが出来る。成形温度を280℃より高くするとシルバー不良の発生や、材料の熱分解による強度低下となるため、好ましくない。更に、成形温度を280℃より高くすると下地層が溶融して外観不良となるため、好ましくない。また、成形温度を240℃より低くすると流動性が低下し、ショートショット不良やヒケ不良(凹み不良)が発生しやすくなるため、好ましくない。より好ましくは245℃〜275℃であり、更に好ましくは250℃〜270℃である。
(表層と下地層の成形温度差)
表層と下地層の成形温度が異なる場合でも、上記の成形温度、金型温度の温度範囲に入っていれば反りが少なく、耐衝撃性の高い成形品を得ることが出来る。
また、本実施形態の製造方法では、片側の層を成形後に可動側金型を回転させて、別の層を連続的に成形する二色成形の他、別途成形した層を備える成形体を金型にはめ込んで、別の層を追加的に成形するインサート成形も実施することができる。
本実施形態の二色成形体の製造方法は、式(1)を満たすことが好ましい。
S1−S2≧0・・・(1)
(S2:後から成形する熱可塑性樹脂の成形収縮率)
(S1:先に成形する熱可塑性樹脂組成物の成形収縮率)
すなわち、本実施形態では、先に成形する熱可塑性樹脂組成物の成形収縮率S1が、後から射出成形する熱可塑性樹脂の成形収縮率S2と同じであること、又は後から射出成形する熱可塑性樹脂の成形収縮率S2より大きいことが好ましい。
先に成形した成形品の反りはある程度、後から成形する樹脂に抑制されるため、最終的な製品の反りは、後から成形する樹脂の収縮率S2が小さいほうが反りを小さくなる。S1がS2より小さいと後に成形する成形品の反りが大きくなってしまう。
本発明の効果を得やすくする観点から、S1がS2より0.1〜2.0%大きいことが好ましい。また、S1がS2より0.1〜1.5%大きいことがさらに好ましい。さらに、S1がS2より0.1〜1.0%大きいことがよりさらに好ましい。もっとも好ましくは、S1がS2より0.1〜0.5%大きいことである。
[二色成形体の特性]
以下、本実施形態の二色成形体の特性について説明する。
(成形体の表層の厚さと下地層の厚さの関係)
本実施形態の二色成形体は、表層の厚さt1と下地層の厚さt2とが、式(3)で表される関係を満たすことが好ましい。
0.2≦t1/t2≦4・・・(3)
成形体が、上記式(3)で表される関係を有することにより、成形体の外観や機械強度に一層優れる。
なお、上記t1は表層の平均厚さをいい、上記t2は下地層の平均厚さをいうものとする。
t1/t2は、好ましくは0.3〜3.5であり、さらに好ましくは0.5〜2.5であり、最も好ましくは、0.7〜2.0である。t1/t2が1未満であると、表層のヒケやウエルドといった外観を向上させる傾向にあり、t1/t2が1を超えると、下地層の強度が保持できる傾向にある。また、t1/t2が0.2未満であると表層が薄すぎて流動末端まで樹脂を流動させることが難しくなるおそれがある。t1/t2が4を超えると下地層が薄すぎて強度が低下するおそれがある。
二色成形体の全体の厚みとしては、6.0mm以下であることが好ましく、5.0mm以下であることがより好ましく、4.0mm以下であることがさらにより好ましい。また、上記厚みは、2.5mm以上であることが好ましく、3.0mm以上であることがより好ましい。上記厚みの範囲とすることにより、二色成形体からなる各種部材の軽量化や材料コストを低減することができる。
(耐候性)
本実施形態の二色成形体は、サンシャインウェザーメーターで480時間暴露後の色変化として、色差ΔE*が3.0以下であることが好ましく、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.0以下、最も好ましくは0.7以下である。表層にポリカーボネート系樹脂を用いた場合は、480時間暴露の色差ΔE*が10以上となるため、好ましくない。
色差ΔE*は、例えば実施例に記載の方法で測定することができる。
[二色成形体の用途]
本実施形態の二色成形体は、表面硬度、高外観、耐衝撃性が要求される各種用途に好適に使用できる。このような用途としては特に限定されないが、例えば、家具類、家庭用品、収納・備蓄用品、壁・屋根等の建材、玩具・遊具、パチンコ面盤等の趣味用途、医療・福祉用品、家電機器、OA機器、AV機器、事務機器、電池電装用、照明機器、船舶、航空機の構造の車体部品、車両用部品等に使用可能であり、特に車体部品や車両用部品等の車両用途や、光学用途、電気・電子用途に好適に用いることができる。光学用途としては、例えば、各種レンズ、タッチパネル等、また、太陽電池に用いられる透明基盤等が挙げられる。
その他、光通信システム、光交換システム、光計測システムの分野において、導波路、光ファイバー、光ファイバーの被覆材料、LEDのレンズ、レンズカバーEL照明等のカバー等としても利用することができる。
電気・電子用途としては、例えば、パソコン、ゲーム機、テレビ、カーナビ、電子ペーパー等のディスプレイ装置、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス、複合機、電子手帳やPDA、電子式卓上計算機、電子辞書、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、電池パック、記録媒体のドライブや読み取り装置、マウス、テンキー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、DVDプレーヤー、携帯ラジオ・オーディオプレーヤー等が挙げられる。特に、コピー機、プリンター、スキャナー、複合機、テレビ、DVDプレーヤー、オーディオ機器、パソコン、カーナビ、電子ペーパー、照明カバー等の筐体の意匠性部品等に好適に用いることができ、テレビ、パソコン、カーナビ、電子ペーパーの筺体の意匠性部品がより好適である。
特に、自動車用の意匠材として用いられることが好ましい。自動車用の意匠材としては、例えば自動車外装用意匠材及び自動車内装用意匠材が挙げられる。本実施形態の自動車外装用意匠材としては、例えば、テールランプガーニッシュ、フロントランプガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、フロントグリル、リアグリル、ライセンスガーニッシュ及びナンバープレートガーニッシュが挙げられ、これらが好適である。本実施形態の自動車内装用意匠材としては、例えば、センターコンソール、インストルメントパネル、エアコンパネル、オーディオパネル、ディスプレイ部品等が挙げられ、これらが好適である。
本実施形態では、下地層に難燃性を備える樹脂又は樹脂組成物を用いることが内部からの燃焼を抑えることができるため好ましい。かかる形態の二色成形体としては、家電機器、事務機器、照明機器、空調機、自動車部品、船舶部品、航空機部品、遊技機、パチンコ台、ゲーム機、玩具、家具、建材等が挙げられ、事務機器、家電機器、又は照明機器が好ましく、特に、コピー機、プリンター、スキャナー、複合機等の事務機器、テレビ、DVDプレーヤー等のオーディオ機器、パソコン、カーナビ、電子ペーパー、照明カバー等の照明機器が好適である。
以下、実施例により本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態は、後述する実施例に限定されるものではない。
〔実施例及び比較例において用いた原料〕
二色成形体の製造に用いた原料は下記のとおりである。
(メタクリル系樹脂(A)の原料)
・メタクリル酸メチル(MMA):旭化成ケミカルズ製(重合禁止剤として中外貿易製2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール(2,4−di−methyl−6−tert−butylphenol)を2.5質量ppm添加されているもの)
・アクリル酸メチル(MA):三菱化学製(重合禁止剤として川口化学工業製4−メトキシフェノール(4−methoxyphenol)が14質量ppm添加されているもの)
・アクリル酸エチル(EA):三菱化学製
・n−オクチルメルカプタン(n−octylmercaptan):アルケマ製
・2−エチルヘキシルチオグリコレート(2−ethylhexyl thioglycolate):アルケマ製
・ラウロイルパーオキサイド(lauroyl peroxide):日本油脂製
・第三リン酸カルシウム(calcium phosphate):日本化学工業製、懸濁剤として使用
・炭酸カルシウム(calcium calbonate):白石工業製、懸濁剤として使用
・ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate):和光純薬製、懸濁助剤として使用
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤UVA(Phenol、2−(2H−benzotriazol−2−yl)−4−methyl):BASF製
(着色剤)
・C−A0:(三菱化学(株)製) 三菱カーボンブラック #2600
<製造例A1(メタクリル系樹脂(A−1)の製造)>
攪拌機を有する容器に、イオン交換水:2kg、第三リン酸カルシウム:65g、炭酸カルシウム:39g、ラウリル硫酸ナトリウム:0.39gを投入し、混合液(a)を得た。次いで、60Lの反応器に、イオン交換水:26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(a)、メタクリル酸メチル:21.2kg、アクリル酸メチル:0.43kg、ラウロイルパーオキサイド:27g、UVA:7g、及びn−オクチルメルカプタン:62gを投入した。
その後、約80℃を保って懸濁重合を行う。重合開始約100分後、重合終盤の発熱により重合液温度が上昇、重合液温度が81℃を超えたら92℃に1℃/minの速度で昇温し、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入後、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子を240℃に設定したφ30mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂ペレット(メタクリル系樹脂A−1)を得た。
得られた樹脂ペレットの重量平均分子量は10.2万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.85であった。また、構造単位はMMA/MA=98質量%/2質量%であった。ピークトップ分子量(Mp)の1/5以下の分子量を有する成分の割合は、4.6%であった。そしてスパイラル長さを測定した結果、27cmであった。水分率は0.09質量%であった。
<製造例A2(メタクリル系樹脂(A−2)の製造)>
攪拌機を有する容器に、イオン交換水:2kg、第三リン酸カルシウム:65g、炭酸カルシウム:39g、ラウリル硫酸ナトリウム:0.39gを投入し、混合液(b)を得た。
次いで、60Lの反応器に、イオン交換水:26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(b)及びメタクリル酸メチル:3.76kg、アクリル酸メチル:0.1kg、ラウロイルパーオキサイド:27g、UVA:1.3g、2−エチルヘキシルチオグリコレート:62gを投入した。
その後、約80℃を保って懸濁重合を行った。原料を投入してから約100分後に発熱を観測、81℃を超えたら92℃に1℃/minの速度で昇温した後、30分間92℃〜94℃の温度を保持した。その後、1℃/minの速度で80℃まで降温した後、次いで、メタクリル酸メチル:17.4kg、アクリル酸エチル:1.35kg、ラウロイルパーオキサイド:23g、UVA:6g、n−オクチルメルカプタン:35gを投入し、引き続き約80℃を保って懸濁重合を行った。原料を投入してから約100分後に発熱を観測、81℃を超えたら92℃に1℃/minの速度で昇温した後、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次に、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために20質量%硫酸を投入後、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子を230℃に設定したφ30mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂ペレット(A−2)を得た。得られたペレットの重量平均分子量は11.8万であり、ピークトップ分子量(Mp)は12.5万であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.45であった。そしてスパイラル長さを測定した結果、33cmであった。水分率は0.09質量%であった。
さらに、ピークトップ分子量(Mp)の1/5以下の分子量を有する成分の割合(%)は13.5%であった。
<製造例A3(メタクリル系樹脂(A−3)の製造)>
攪拌機を有する容器に、イオン交換水:2kg、第三リン酸カルシウム:65g、炭酸カルシウム:39g、ラウリル硫酸ナトリウム:0.39gを投入し、混合液(a)を得た。次いで、60Lの反応器に、イオン交換水:26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(a)、メタクリル酸メチル:21.2kg、アクリル酸メチル:0.43kg、ラウロイルパーオキサイド:27g、及びn−オクチルメルカプタン:62gを投入した。
その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、重合開始約100分後に発熱を観測、重合液温度が81℃を超えたら92℃に1℃/minの速度で昇温し、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入後、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子を240℃に設定したφ30mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂ペレット(メタクリル系樹脂A−3)を得た。
得られた樹脂ペレットの重量平均分子量は10.2万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.85であった。また、構造単位はMMA/MA=98質量%/2質量%であった。ピークトップ分子量(Mp)の1/5以下の分子量を有する成分の割合は、4.6%であった。そしてスパイラル長さを測定した結果、27cmであった。水分率は0.09質量%であった。
<製造例A4(メタクリル系樹脂(A−4)の製造)>
攪拌機を有する容器に、イオン交換水:2kg、第三リン酸カルシウム:65g、炭酸カルシウム:39g、ラウリル硫酸ナトリウム:0.39gを投入し、混合液(b)を得た。
次いで、60Lの反応器に、イオン交換水:26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(b)及びメタクリル酸メチル:3.76kg、アクリル酸メチル:0.1kg、ラウロイルパーオキサイド:27g、2−エチルヘキシルチオグリコレート:62gを投入した。
その後、約80℃を保って懸濁重合を行った。原料を投入してから100分後に発熱を観測、81℃を超えたら92℃に1℃/minの速度で昇温した後、30分間92℃〜94℃の温度を保持した。その後、1℃/minの速度で80℃まで降温した後、次いで、メタクリル酸メチル:17.4kg、アクリル酸エチル:1.35kg、ラウロイルパーオキサイド:23g、n−オクチルメルカプタン:35gを投入し、引き続き約80℃を保って懸濁重合を行った。原料を投入してから100分後に発熱を観測、81℃を超えたら92℃に1℃/minの速度で昇温した後、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次に、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために20質量%硫酸を投入後、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子を230℃に設定したφ30mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂ペレット(A−4)を得た。得られたペレットの重量平均分子量は11.8万であり、ピークトップ分子量(Mp)は12.5万であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.45であった。そしてスパイラル長さを測定した結果、33cmであった。水分率は0.09質量%であった。
さらに、ピークトップ分子量(Mp)の1/5以下の分子量を有する成分の割合(%)は13.5%であった。
<製造例A5(メタクリル系樹脂(A−5)の製造)>
製造例A1と同様の重合方法で、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子100質量部と着色剤としてC−A0:0.01質量部を予めブレンドし、製造例A1と同様の造粒方法で樹脂ペレット(メタクリル系樹脂A−5)を得た。
得られた樹脂ペレットの重量平均分子量は10.2万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.85であった。また、構造単位はMMA/MA=98質量%/2質量%であった。ピークトップ分子量(Mp)の1/5以下の分子量を有する成分の割合は、4.6%であった。そしてスパイラル長さを測定した結果、27cmであった。水分率は0.09質量%であった。
<製造例A6(メタクリル系樹脂(A−6)の製造)>
製造例A2と同様の重合方法で、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子100質量部と着色剤としてC−A0:0.01質量部を予めブレンドし、製造例A2と同様の造粒方法で樹脂ペレット(メタクリル系樹脂A−6)を得た。
得られたペレットの重量平均分子量は11.8万であり、ピークトップ分子量(Mp)は12.5万であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.45であった。そしてスパイラル長さを測定した結果、33cmであった。水分率は0.09質量%であった。
さらに、ピークトップ分子量(Mp)の1/5以下の分子量を有する成分の割合(%)は13.5%であった。
(熱可塑性樹脂組成物(B))
・PC−1:ユーピロンS−3000UR、色番9001(黒色)(三菱エンジニアリングプラスチック製)、VICAT軟化温度=148℃
・PC−2:ユーピロンS−3000UR、透明(三菱エンジニアリングプラスチック製)、VICAT軟化温度=148℃
・ABS−1:スタイラックABS220、色番S133ST(黒色)(旭化成製)、VICAT軟化温度=98℃
・PC/ABS−1:ユーピロンMB2213R、黒色(三菱エンジニアリングプラスチック製)、VICAT軟化温度=130℃
・PC/ABS−2:テクニエースPAX−1439、黒色(日本エイアンドエル製)、VICAT軟化温度=115℃
・PC/ABS−3:エクセロイ CK10、黒色(テクノポリマー)、VICAT軟化温度=110℃
・PC/AES−1:テクニエースW−101、黒色(日本エイアンドエル製)、VICAT軟化温度=115℃
・PC/ABS−4の製造
タンブラーにPC−1とABS−1のペレットを92:8の質量割合で投入し、回転させて混合分散させる。得られた混合ペレットを250℃に設定したφ30mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂ペレット(PC/ABS−4)を得た。
得られたPC/ABS−4のVICAT軟化温度は132℃であった。
・PC/ABS−5の製造
タンブラーにPC−1とABS−1のペレットを8:92の質量割合で投入し、回転させて混合分散させる。得られた混合ペレットを250℃に設定したφ30mmの二軸押出機にて溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂ペレット(PC/ABS−5)を得た。
得られたPC/ABS−5のVICAT軟化温度は108℃であった。
〔測定、評価方法〕
(I.メタクリル系樹脂(A)の分子量及び分子量分布の測定)
メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量、分子量分布を下記の装置、及び条件で測定した。
測定装置 :東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(HLC−8320GPC)
カラム :TSKgel SuperH2500 1本、TSKgel SuperHM−M 2本、TSKguardcolumn SuperH−H 1本、直列接続
本カラムでは、高分子量が早く溶出し、低分子量は溶出する時間が遅い。
検出器 :RI(示差屈折)検出器
検出感度 :3.0mV/min
カラム温度:40℃
サンプル :0.02gの樹脂のテトラヒドロフラン10mL溶液
注入量 :10μL
展開溶媒 :テトラヒドロフラン、流速;0.6mL/min
検量線用標準サンプルとして、単分散の重量ピーク分子量が既知で分子量が異なる以下の10種のポリメタクリル酸メチル(Polymethyl methacrylate Calibration Kit PL2020−0101 M−M−10)を用いた。
なお、検量線用標準サンプルに用いたポリメタクリル酸メチルは、それぞれ単ピークのものであるため、(Mp)をピーク分子量と表記し、ピークが複数ある場合の表記「ピークトップ分子量」と区別した。
ピーク分子量(Mp)
標準試料1 1,916,000
標準試料2 625,500
標準試料3 298,900
標準試料4 138,600
標準試料5 60,150
標準試料6 27,600
標準試料7 10,290
標準試料8 5,000
標準試料9 2,810
標準試料10 850
上記の条件で、メタクリル系樹脂(A)の溶出時間に対する、RI検出強度を測定した。
GPC溶出曲線におけるエリア面積と、3次近似式の検量線を基にメタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、GPCピーク分子量(Mp)及びGPCピークトップ分子量(Mp)の1/5以下の分子量を有する成分の割合(%)を求めた。
(II.成形収縮率の測定)
熱可塑性樹脂の成形収縮率測定は、JIS K7152−4に準拠して行った。
平板金型(100mm×100mm×3mmt、ゲート:100mm辺の中央部、サイドゲート)を以下の成形条件で成形した。
射出条件
成形機 :EC100SX(東芝機械製)
金型温度:70℃
充填速度:50mm/sec
保圧時間:10sec
冷却時間:20sec
成形サイクル:40sec
成形温度:メタクリル系樹脂(A);260℃、PC−1・2;300℃、PC/ABS−4;290℃、PC/ABS−1・2;280℃、PC/ABS−3;270℃、PC/ABS−5;260℃、ABS−1;250℃、PC/AES−1;280℃
成形した平板を取り出し後、温度23±2℃のデシケータ内で1時間以上放置した。平板をデシケータから取り出し後、平板の四辺の寸法を測定する。金型寸法と平板の寸法から四辺それぞれの収縮率(%)を測定し、さらに四辺の収縮率の平均値を計算し、これを成形収縮率(%)とした。
(III.線膨張係数の測定)
JIS K7197規格に準拠して測定を行い、メタクリル系樹脂(A)及び熱可塑性樹脂組成物(B)の線膨張係数を測定した。試験片は平板(100mm×100mm×3mmt、ゲート:100mm辺の中央部、サイドゲート)の単層成形品を用いた。
(IV.VICAT軟化温度の測定)
JIS K7206規格、試験法B50に準拠して測定を行い、メタクリル系樹脂(A)及び熱可塑性樹脂組成物(B)のVICAT軟化温度を測定した。試験片は平板(100mm×100mm×3mmt、ゲート:100mm辺の中央部、サイドゲート)の単層成形品を用いた。
(V.反り量の測定)
得られた二色成形体の長手方向の反りを確認し、中央部が凸になるように成形体を定板の上に置く。反りによって発生した定板と成形品中央部との隙間の最大値を隙間ゲージで測定し、反り量とした。
(VI.Dupont衝撃試験:破断強度の測定)
Dupont式落下衝撃試験機(東洋精機製、落下高さ最大1000mm、間隔25mm、直径12.7mmの撃ち型、直径12.7mmの受け台、落下ウエイト100〜1000gを使用)を用いて、JIS K7211−1(2006)に従い、温度23℃の雰囲気下において、50%衝撃破壊エネルギー衝撃強度を測定し、破断強度(kg・cm)とした。試験は二色成形体を用い、表層側より測定した。破断の判定は、亀裂、あるいは穴が貫通していることとした。衝撃強度の数値が大きいほど耐衝撃性に優れることを示す。試験面は、必ず表層側から衝撃を与えて評価した。
(VII.Dupont衝撃試験:クラック発生強度の測定)
Dupont式落下衝撃試験機(東洋精機製、落下高さ最大1000mm、間隔25mm、直径12.7mmの撃ち型、直径12.7mmの受け台、落下ウエイト100〜1000gを使用)を用いて、JIS K7211−1(2006)に従い、温度23℃の雰囲気下において、50%クラックが発生する強度を測定し、クラック発生強度(kg・cm)とした。試験は二色成形体を用い、表層側より測定した。クラックの判定は、表層に亀裂、割れ等のクラックが発生した場合とした。クラック発生強度の数値が大きいほど耐衝撃性に優れることを示す。試験面は、必ず表層側から衝撃を与えて評価した。
(VIII.比重の測定)
二色成形体の各層をニッパやナイフ等を用いて切り出し、各10g以上を採取した。切り出した樹脂組成物をピクノメーターに入る大きさ(粒状、粉状)にした。切り出した樹脂組成物を用いて、ISO1183のB法(ピクノメーター法)に準拠して比重を測定した。
(IX.表面鉛筆硬度の測定)
二色成形体の表層の硬さをJIS K5600規格に準拠して測定し、表面鉛筆硬度とした。
(X.耐候性の測定)
穴付き下地層での二色成形体の単層部(窓部)を用いて暴露試験前後の色変化で評価した。JIS B 7753規格に準拠した方法で暴露し、暴露前と480時間暴露後の色座標L*、a*、b*をJIS Z 8781−4規格に準拠した方法で測定し、色差ΔE*を算出して求めた。
−暴露条件−
・暴露機器:サンシャインウェザーメーター
・暴露温度:63℃
・降雨条件:18分間/120分中
・暴露時間:480時間
・試験片 :二色成形体の単層部(窓部)
−色変化測定方法−
・測定機器:色差計TC−1500MC(東京電色製)
・光源種類:C光源
・視野角度:10℃視野
・測定項目:L*、a*、b*
暴露前後のL*、a*、b*の差からΔE*を算出
(XI.波長350nm透過率の測定)
VU1200V分光光度計(島津製作所製)を用いて波長350nmの透過率を測定した。試験片は穴付き下地層での二色成形体の単層部(窓部)を用いて測定した。
〔実施例1〜16〕〔比較例1〜20〕
実施例及び比較例の詳細な条件を表1〜表4に示す。
〔二色成形体の製造方法〕
(射出成形)
メタクリル系樹脂(A)のペレットと熱可塑性樹脂組成物(B)のペレットとを二色射出成形機に投入し、二色成形体(図1及び図2に示すとおり、幅70mm×長さ150mmの平板の長辺に高さ5mmのリブを設置したもの。肉厚は、平板部分及びリブ部分共に、同じ肉厚である。表層の肉厚は1.5mmであり、下地層の肉厚は1.5mmである。)に成形し、評価用二色成形体とした。
図1は、実施例及び比較例において用いた評価用二色成形体の全体を示す斜視図である。図2は、図1に示す評価用二色成形体をA−Aに沿う面により切断したときの断面図である。
先に下地層を成形するときのゲートは、幅70mm×長さ150mmの中央部にピンゲート1点で設置した(図3参照)。また、耐候性評価用の穴付き下地層(穴の寸法:端から15mmの位置に30×40mm、図9参照)も同様に中央部にピンゲート1点を設置した(図8参照)。
図3は、実施例及び比較例において先に下地層を成形するときのピンゲート位置を示す斜視図である。
後から表層を成形するときのゲートは、長さ150mmの一方の端部、且つ幅70mmの中央部にサイドゲート1点(図4参照)、又は長さ150mmの一方の端部、且つ幅70mmの中央部、及び長さ150mmの他方の端部、且つ幅70mmの中央部に、サイドゲート2点で設置した。また、表層を成形するときのゲートは、1点ゲートと2点ゲートの両方を金型の駒を入れ替えることで選択できるようにした。
図4は、実施例及び比較例において後から表層を成形するときのサイドゲート:1点の場合のゲート位置を示す斜視図である。図5は、実施例及び比較例において後から表層を成形するときのサイドゲート:2点の場合のゲート位置を示す斜視図である。
また、成形する順序として、表層→下地層という順序と、下地層→表層という順序との両方を用いて成形するため、それぞれの組み合わせの金型を作製し、二色成形体の成形を行った。
なお、先に表層を成形するときのゲートは、長さ150mmの一方の端部、且つ幅70mmの中央部にサイドゲート1点(図6参照)とし、また、後から下地層を成形するときのゲートは、長さ150mmの他方の端部、且つ幅70mmの中央部にサイドゲート1点(図7参照)とした。
なお、成形条件は、下記のように設定した。
射出成形機:住友重機械工業製SE−280D−CI(型締め力280t、二色成形)
射出条件
金型温度:70℃
充填速度:100mm/s
保圧時間:10sec
冷却時間:20sec
各層の成形サイクル:50sec
下地層+表層の成形サイクル:100sec
成形温度、金型温度:表2〜4参照
〔単層成形体の製造方法〕
単層成形品は表層金型を用いて成形した。ゲートは、長さ150mmの一方の端部、且つ幅70mmの中央部にサイドゲート1点(図6参照)とした。
実施例及び比較例の詳細な結果を表1〜表4に示す。
実施例1〜6のクラック発生強度は、下地層がポリカーボネート系樹脂の比較例1、2やABS系樹脂の比較例3、4より高い。特に実施例1〜4のクラック発生強度は、比較例1〜4の2倍である。
下地層にポリカーボネート系樹脂とAES系樹脂を含有している熱可塑性樹脂組成物(B)を用いている実施例7、8は、実施例1〜4と同等のクラック発生強度となっている。
下地層にポリカーボネート系樹脂を92wt%含有しているPC/ABS−4を用いている比較例5、6と、ポリカーボネート系樹脂を8wt%含有しているPC/ABS−5を用いている比較例7、8は、実施例1〜6よりクラック発生強度が低い。
表層のメタクリリル系樹脂を先に成形した後、下地層の熱可塑性樹脂組成物(B)を成形すると、反りが大きくなる。
実施例11、12は表層を2点ゲート(図5参照)で成形した例である。表層1点ゲートの実施例3、4よりDupont衝撃破断強度、クラック発生強度が向上している。ただし、製品中央にウェルドが発生している。
表層に紫外線吸収剤を添加していない実施例13、14は、紫外線吸収剤を添加している実施例1〜10より少し色変化が大きい。
表層の黒色メタクリル樹脂を用いた実施例15、16は、透明メタクリル樹脂を用いた実施例3、4と反りやクラック発生強度、表面鉛筆硬度などが同等である。
表層にポリカーボネート系樹脂を用いた比較例12、13は、表層にメタクリル樹脂を用いた実施例より強度は大幅に向上しているが、表層鉛筆硬度や耐候性が劣っている。
実施例15、16では色剤を使用しているが、色剤を使用しても高い衝撃強度と表面硬度を保ちつつ、反りも改良されている。
金型温度を60℃、80℃で成形した実施例17〜20は、金型温度70℃の実施例3、4と比較して反りやクラック発生強度の差は少ない。
Figure 2021088182
Figure 2021088182
Figure 2021088182
Figure 2021088182
本実施形態の二色成形体の製造方法により製造される二色成形体は、環境負荷が少なく、製品強度が高く、反りが抑制され、表面硬度、耐候性、外観に優れる。そのため、低環境負荷が求められる用途、耐衝撃が求められる用途、高外観が求められる用途において、全般的に産業上利用可能性がある。さらに、下地層に難燃性を備える材料を用いる場合は、内部からの発火が抑えられ、難燃性が必要な用途(例えば、複合機等の事務機器や家電機器等)にも利用可能である。また、表面硬度が高いのでハードコートなしで製品化が出来る。更に屋外などの耐候性が必要な用途に使用できる。
1 :表層
2 :下地層
3 :リブ
4 :ランナー
5 :ピンゲート
6 :サイドゲート
7 :穴(窓部)
t1:表層の肉厚
t2:下地層の肉厚

Claims (15)

  1. メタクリル系樹脂(A)を含む表層と、
    比重が1.08〜1.17である熱可塑性樹脂組成物(B)を含む下地層と、を有することを特徴とする、二色成形体。
  2. 前記熱可塑性樹脂組成物(B)が、ポリカーボネート系樹脂(b1)と、ABS系樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン・スチレン系共重合体)、MBS系樹脂(メチルメタクリレート、ブタジエン・スチレン系共重合体)、AAS系樹脂(アクリロニトリル、アクリルゴム、スチレン系共重合体)、ASA系樹脂(アクリロニトリル、スチレン、アクリルゴム系共重合体)、HIPS系樹脂(耐衝撃ポリスチレン系樹脂)、耐衝撃メタクリル系樹脂及びAES系樹脂(アクリロニトリル、エチレン・プロピレン・ジエン、スチレン系共重合体)からなる群より選ばれる1種以上である熱可塑性樹脂(b2)と、を含む、請求項1に記載の二色成形体。
  3. 前記下地層に貫通孔が設けられ、
    前記下地層の面積に対する前記貫通孔の面積の割合が25%以下である、請求項1又は2に記載の二色成形体。
  4. 前記メタクリル系樹脂(A)が、メタクリル酸エステル単量体単位70〜99.9質量%、及びメタクリル酸エステルに共重合可能な少なくとも一種のビニル単量体単位0.1〜30質量%を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の二色成形体。
  5. 前記メタクリル系樹脂(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が50000〜300000であり、
    前記メタクリル系樹脂(A)のGPC溶出曲線から得られるピークトップ分子量(Mp)の1/5以下の分子量を有する成分の割合が、前記メタクリル系樹脂(A)の前記GPC溶出曲線の総面積に対して、6〜50%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の二色成形体。
  6. 前記二色成形体が自動車用の意匠材である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の二色成形体。
  7. 前記自動車用の意匠材が、センターコンソール、インストルメントパネル、エアコンパネル、オーディオパネル、ディスプレイ部品、テールランプガーニッシュ、フロントランプガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、フロントグリル、リアグリル、ライセンスガーニッシュ、又はナンバープレートガーニッシュである、請求項6に記載の二色成形体。
  8. 前記二色成形体が、事務機器、家電機器、又は照明機器である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の二色成形体。
  9. 前記事務機器、前記家電機器、又は前記照明機器が、コピー機、プリンター、スキャナー、複合機、テレビ、DVDプレーヤー、オーディオ機器、パソコン、カーナビ、電子ペーパー又は照明カバーである、請求項8に記載の二色成形体。
  10. 比重が1.08〜1.17である熱可塑性樹脂組成物(B)を含む下地層を形成する工程、メタクリル系樹脂(A)を含む表層を形成する工程、
    をこの順で行うことを特徴とする、二色成形体の製造方法。
  11. 前記熱可塑性樹脂組成物(B)が、ポリカーボネート系樹脂(b1)と、ABS系樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン・スチレン系共重合体)、MBS系樹脂(メチルメタクリレート、ブタジエン・スチレン系共重合体)、AAS系樹脂(アクリロニトリル、アクリルゴム、スチレン系共重合体)、ASA系樹脂(アクリロニトリル、スチレン、アクリルゴム系共重合体)、HIPS系樹脂(耐衝撃ポリスチレン)、耐衝撃メタクリル系樹脂及びAES系樹脂(アクリロニトリル、エチレン・プロピレン・ジエン、スチレン)からなる群より選ばれる1種以上の熱可塑性樹脂(b2)と、を含む、請求項10に記載の二色成形体の製造方法。
  12. 式(1)を満たす、請求項10又は11に記載の二色成形体の製造方法。
    S1−S2≧0・・・(1)
    (S2:後から成形する熱可塑性樹脂の成形収縮率)
    (S1:先に成形する熱可塑性樹脂組成物の成形収縮率)
  13. 前記先に成形する熱可塑性樹脂組成物として熱可塑性樹脂組成物(B)を用いて下地層を形成し、前記後から成形する熱可塑性樹脂としてメタクリル系樹脂(A)を用いて表層を形成する、請求項12に記載の二色成形体の製造方法。
  14. 前記メタクリル系樹脂(A)が、メタクリル酸エステル単量体単位70〜99.9質量%、及びメタクリル酸エステルに共重合可能な少なくとも一種のビニル単量体単位0.1〜30質量%を含む、請求項10〜13のいずれか一項に記載の二色成形体の製造方法。
  15. 前記メタクリル系樹脂(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が50000〜300000であり、
    前記メタクリル系樹脂(A)のGPC溶出曲線から得られるピークトップ分子量(Mp)の1/5以下の分子量を有する成分の割合が、前記メタクリル系樹脂(A)の前記GPC溶出曲線の総面積に対して、6〜50%である、請求項10〜14のいずれか一項に記載の二色成形体の製造方法。
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