JP6704254B2 - メタクリル系樹脂組成物、その製造方法及び成形体 - Google Patents
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Description
特に、近年では車両用途、導光板、液晶ディスプレイ用フィルム等の光学材料等以外の生活製品への使用が進んでおり、その形状が複雑化、薄物長尺化していることから、従来のメタクリル系樹脂組成物では成形加工が困難になる傾向にある。
従来から耐衝撃性を向上させるために、メタクリル系樹脂にアクリル系のゴム質重合体をブレンドする技術が知られている。しかし、この場合、耐衝撃性は向上する一方で、透明性、耐熱性、流動性が低下する傾向にあり、バランスのとれた物性を発現することは非常に困難である。
また、ゴム質重合体を含有したメタクリル系樹脂組成物の流動性を向上させるために、比較的粘度の低いポリマーをさらにブレンドする技術が知られているが、この場合、ブレンドする低粘度ポリマーとゴム質重合体との粘度差が大きくなるにつれて、ゴム質重合体の分散性が悪化する傾向にあるという問題を有している。
また、アクリル系樹脂とゴム質重合体からなり、ピーク分子量(Mp)の1/5以下の分子量成分比率を規定することにより、流動性、耐衝撃性、及び耐熱性を改良したアクリル系樹脂組成物を得る技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
また、特許文献2の技術により得られるアクリル系樹脂組成物は、流動性、耐衝撃性、耐熱性のバランスは良好であるが、各々の物性値は必ずしも高いレベルであるとは言えず、さらにはゴム質重合体の分散性が不十分なため、透明性や機械強度等の物性値のバラつきが懸念されるという問題を有している。
所定の重量平均分子量を有し、特定の分子量範囲のメタクリル系樹脂を所定量含有するメタクリル系樹脂と、所定のゴム質重合体とからなるメタクリル系樹脂組成物が、透明性が高く、流動性、耐熱性に優れ、かつ耐衝撃性のバラつきが少ないものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
メタクリル酸エステル単量体単位70〜100質量%、及びメタクリル酸エステルに共重合可能な、少なくとも一種の他のビニル単量体単位0〜30質量%からなるメタクリル系樹脂(A)と、
平均粒子径が0.04〜1.0μmであるゴム質重合体(B)と、
を含有し、
前記メタクリル系樹脂(A):前記ゴム質重合体(B)の配合量が、30:70〜74:26質量%であり、
下記(I)〜(III)の条件を満足する、メタクリル系樹脂組成物:
(I)テトラヒドロフラン(THF)に溶解した成分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)が40000〜300000である;
(II)GPC溶出曲線から得られる微分分子量分布曲線において、分子量が15000〜30000である範囲のエリア面積が、微分分子量分布曲線から得られるエリア全面積比率にして10〜70%である;
(III)透過型電子顕微鏡を用いて、50000倍で前記メタクリル系樹脂組成物の任意の10視野を観察した場合、
前記ゴム質重合体(B)を複数個含む凝集体が存在し、
複数の前記凝集体中には、凝集体αが含まれており、ここで、当該凝集体α内において、周囲を他のゴム質重合体により完全に覆われているゴム質重合体(Bα)が0個以上10個以下存在し、
10視野中、1視野あたりの、前記ゴム質重合体(Bα)の平均個数が0個以上10個以下である。
〔2〕
前記ゴム質重合体(B)が、アクリル系ゴム質重合体である、〔1〕に記載のメタクリル系樹脂組成物。
〔3〕
前記ゴム質重合体(B)が、二層構造以上の多層構造を有する、〔1〕又は〔2〕に記載のメタクリル系樹脂組成物。
〔4〕
〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載のメタクリル系樹脂組成物の製造方法であって、
重量平均分子量(Mw)が40000〜350000であるメタクリル系樹脂と、ゴム質重合体(B)とを溶融混練し、混合物を得る工程と、
重量平均分子量(Mw)が5000〜40000であるメタクリル系樹脂を、前記混合物に添加する工程と、
を有するメタクリル系樹脂組成物の製造方法。
〔5〕
〔1〕乃至〔4〕のいずれかに記載のメタクリル系樹脂組成物を含む成形体。
〔6〕
射出成形体である、〔5〕に記載の成形体。
〔7〕
押出成形体である、〔5〕に記載の成形体。
〔8〕
光学用部品、電気・電子用部品、雑貨、車両用部品からなる群より選ばれるいずれかである、〔5〕乃至〔7〕のいずれかに記載の成形体。
〔9〕
長辺が100mm以上であり、厚さが3mm以下の、薄物長尺部品である、〔5〕乃至〔8〕のいずれかに記載の成形体。
なお、本明細書中、重合前のモノマー成分のことを「〜単量体」といい、「単量体」を省略することもある。また、重合体を構成する構成単位のことを「〜単量体単位」という。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、メタクリル酸エステル単量体単位70〜100質量%、及びメタクリル酸エステルに共重合可能な、少なくとも一種の他のビニル単量体単位0〜30質量%からなるメタクリル系樹脂(A)と、平均粒子径が0.04〜1.0μmであるゴム質重合体(B)と、を含有し、前記メタクリル系樹脂(A):前記ゴム質重合体(B)の配合量が、30:70〜74:26質量%である。さらに、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、下記(I)〜(III)の条件を満足する:
(I) テトラヒドロフラン(THF)に溶解した成分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)が40000〜300000である;
(II) GPC溶出曲線から得られる微分分子量分布曲線において、分子量が15000〜30000である範囲のエリア面積が、微分分子量分布曲線から得られるエリア全面積比率にして10〜70%である;
(III) 透過型電子顕微鏡を用いて、50000倍で前記メタクリル系樹脂組成物の任意の10視野を観察した場合、
前記ゴム質重合体(B)を複数個含む凝集体が存在し、
複数の前記凝集体中には、凝集体αが含まれており、ここで、当該凝集体α内において、周囲を他のゴム質重合体により完全に覆われているゴム質重合体(Bα)が0個以上10個以下存在し、
10視野中、1視野あたりの、前記ゴム質重合体(Bα)の平均個数が0個以上10個以下である。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物に含有されているメタクリル系樹脂(A)は、メタクリル酸エステル単量体単位:70〜100質量%と、前記メタクリル酸エステル単量体に共重合可能な、少なくとも1種の他のビニル単量体単位:0〜30質量%からなる。
メタクリル系樹脂(A)中のメタクリル酸エステル単量体単位を形成するためのメタクリル酸エステル単量体としては、本発明の効果を達成できるものであれば特に限定されないが、例えば、下記一般式(1)で示される単量体が、好ましい例として挙げられる。
また、R2は炭素原子が1〜18個からなる炭化水素基であって、炭素上の水素原子が水酸基やハロゲン基によって置換されていてもよい。
メタクリル酸エステル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸(2−エチルヘキシル)、メタクリル酸(t−ブチルシクロヘキシル)、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸(2,2,2−トリフルオロエチル)等が挙げられる。
取扱い性や入手のし易さの観点から、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル等が好ましく、メタクリル酸メチルがより好ましい。
上記メタクリル酸エステル単量体は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
メタクリル系樹脂(A)を構成する、上述したメタクリル酸エステル単量体に共重合可能な他のビニル単量体としては、本発明の効果を達成できるものであれば特に限定されないが、例えば、下記一般式(2)で表されるアクリル酸エステル単量体が、好ましい例として挙げられる。
また、R4は炭素原子が1〜18個からなる炭化水素基であって、炭素上の水素原子が水酸基やハロゲン基によって置換されていてもよい。
前記一般式(2)で表されるアクリル酸エステル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(t−ブチルシクロヘキシル)、アクリル酸ベンジル、アクリル酸(2,2,2−トリフルオロエチル)等が挙げられる。
取り扱い性や入手のし易さの観点より、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル等が好ましく、アクリル酸メチルがより好ましい。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物におけるメタクリル系樹脂(A)の含有量は、メタクリル系樹脂(A)とゴム質重合体(B)の合計量を100質量%としたとき、30〜74質量%であるものとし、30〜72質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましく、32〜69質量%がさらに好ましく、35〜69質量%がさらにより好ましく、40〜68質量%が一層好ましく、45〜67質量%がより一層好ましい。
メタクリル系樹脂(A)の含有量を74質量%以下にすることにより、メタクリル系樹脂組成物の流動性や耐熱性のバランスが良好となり、30質量%以上にすることにより、透明性が良好となる。
本実施形態のメタクリル系樹脂(A)は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合法、及び乳化重合法からなる群より選ばれるいずれかの方法により重合でき、好ましくは、塊状重合、溶液重合及び懸濁重合法であり、より好ましくは溶液重合、懸濁重合法である。
重合温度は、重合方法に応じて適宜最適の重合温度を選択すればよいが、好ましくは50℃以上100℃以下であり、より好ましくは60℃以上90℃以下である。
重合開始剤としては、以下に限定されるものではないが、ラジカル重合を行う場合は、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2'−アゾビス−4−メトキシ−2,4−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等のアゾ系の一般的なラジカル重合開始剤が挙げられる。
これらの重合開始剤は、一種のみを単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの重合開始剤及び/又はレドックス系開始剤の使用量は、メタクリル系樹脂(A)の重合の際に使用する全単量体の総量100質量部に対して、0〜1質量部の範囲とすることが一般的であり、重合を行う温度と重合開始剤の半減期を考慮して適宜選択することができる。
また、メタクリル系樹脂(A)を、90℃以上の高温下で溶液重合法により重合する場合には、10時間半減期温度が80℃以上で、かつ用いる有機溶媒に可溶である過酸化物、アゾビス開始剤等を重合開始剤として用いることが好ましい。
メタクリル系樹脂(A)の分子量を制御する方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アルキルメルカプタン類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤;ジチオカルバメート類、トリフェニルメチルアゾベンゼン、テトラフェニルエタン誘導体等のイニファータ等を用いることによって分子量の制御を行う方法が挙げられる。
また、これらの添加量を調整することにより、分子量を調整することも可能である。
前記連鎖移動剤としては、取扱性や安定性の観点から、アルキルメルカプタン類が好ましく、当該アルキルメルカプタン類としては、以下に限定されるものではないが、例えば、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)等が挙げられる。
これらは、目的とするメタクリル系樹脂(A)の分子量に応じて適宜添加することができるが、一般的には、メタクリル系樹脂(A)の重合の際に使用する全単量体の総量100質量部に対して0.001質量部〜5質量部の範囲で用いられる。
これらの分子量制御方法は、一種の方法のみを単独で用いてもよく、二種以上の方法を併用してもよい。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、ゴム質重合体(B)を含有する。
ゴム質重合体(B)としては、特に限定されるものではなく、例えば、一般的なブタジエン系ABSゴム;アクリル系、ポリオレフィン系、シリコン系、フッ素ゴム等の有機ゴム粒子を使用することができる。
さらに、二層構造のゴム粒子よりも三層構造以上の多層構造を有するゴム粒子を用いることにより、成形加工時の熱劣化や、加熱によるゴム粒子の変形が抑制され、成形体の耐熱性の維持や熱変形が抑制される傾向にあり、特に好ましい。
例えば、ゴム質重合体(B)が三層構造のアクリル系ゴムにより形成されている場合の、最内層(b−i)を形成する共重合体中のアクリル酸エステル単量体単位としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−へキシルが好適なものとして挙げられる。
これらは、一種又は二種以上を併用して用いることができる。
上記化合物の中でも特に好ましいのは、(メタ)アクリル酸アリルである。
中央層(b−ii)を形成する共重合体を構成する単量体としてアクリル酸エステル単量体単位を有する場合、当該アクリル酸エステル単量体としては、特に限定されないが、好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル等が挙げられる。これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
特に、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−へキシルが好ましい。
前記中央層(b−ii)を形成する共重合体中に、共重合性多官能単量体単位を含む場合、当該共重合性多官能単量体単位としては、上述した最内層(b−i)で用いられる共重合性多官能単量体と同様のものを用いることができ、その含有量としては、0.1質量%以上5質量%以下であると、良好な架橋効果を有し、かつ、架橋が適度でゴム弾性効果が大きくなる傾向にあるため好ましい。
メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体単位としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−へキシルが好ましいものとして挙げられる。
ゴム質重合体の平均粒子径が0.04μm以上であると、十分な衝撃強度が得られる傾向にあり、1μm以下であると、ある一定以上(アセトン不溶部が65質量%以上となる量)の量を配合しないことにより、十分なゴム弾性体としての特性を発現でき、最終的に得られるメタクリル系樹脂組成物の成形体の表面の外観性が良好になり、鏡面外観性が得られる。更に、加熱して成形した場合に、延伸された部分においても、表面光沢の低下を防止でき、優れた透明性を維持できる。
(1)メタクリル系樹脂組成物の一部を丸鋸にて切り出した後、RuO4(ルテニウム酸)染色超薄切片法による観察用の試料を作製し、TEM(透過型電子顕微鏡)を使用して染色されたゴム質重合体(B)の粒子断面を観察後、撮影を行う。高倍率にプリントした代表的な粒子10個の直径をスケールにて測定し、粒子の直径の平均値を求めることで、平均粒子径を求める。
(2)ゴム質重合体の乳化液をサンプリングして、固形分500ppmになるように水で希釈して、UV1200V分光光度計(株式会社島津製作所製)を用いて波長550nmでの吸光度を測定し、この値から、TEM(透過型電子顕微鏡)写真より粒子径を計測したサンプルについて、同様に吸光度を測定して作成した検量線を用いて平均粒子径を求める。
上記具体例においては、いずれもほぼ同等の粒子径測定値を得ることができる。
ゴム質重合体(B)の製造方法としては、特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及び乳化重合等の公知重合法を適用でき、特に、乳化重合により得ることが好ましい。
ゴム質重合体(B)を三層構造のアクリル系ゴム粒子により形成する場合、乳化剤、重合開始剤の存在下で、初めに最内層(b−i)の単量体混合物を添加し重合を完結させ、次に中央層(b−ii)の単量体混合物を添加して重合を完結させ、次いで最外層(b−iii)の単量体混合物を添加して重合を完結させることにより、容易に多層構造粒子をラテックスとして得ることができる。
ゴム質重合体(B)は、前記ラテックスから塩析、噴霧乾燥、凍結乾燥等の公知の方法により粉体として回収できる。
また、各層の単量体の添加量、重合時間、重合温度等の各種重合条件を調整することにより、ゴム質重合体(B)の平均粒子径を0.04〜1.0μmに制御することができる。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物におけるゴム質重合体(B)の含有量は、メタクリル系樹脂(A)とゴム質重合体(B)の合計量100質量%に対し、26〜70質量%であるものとし、28〜70質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましく、31〜68質量%さらに好ましく、31〜65質量%がさらにより好ましく、32〜60質量%が一層好ましく、33〜57質量%がより一層好ましい。
ゴム質重合体(B)の含有量を、70質量%以下にすることにより、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物の流動性や耐熱性のバランスが良好となり、26質量%以上にすることにより、耐衝撃性が良好となる。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物におけるゴム質重合体(B)の含有量の測定方法の一例を以下に説明する。
ゴム質重合体(B)の含有量は、例えば、メタクリル系樹脂組成物のアセトン不溶部の量を測定することにより求めることができる。
まず、メタクリル系樹脂組成物を精秤する(質量(W1))。
このメタクリル系樹脂組成物を遠沈管に入れ、その後、アセトンを加えて溶解し、アセトン可溶部を除去する。
真空乾燥機にて溶媒を飛ばし、冷却後、残留物であるアセトン不溶部を秤量する(質量(W2))。
下記の式により、アセトン不溶部の含有量(質量%)(X)=ゴム質重合体(B)の含有量を算出する。
アセトン不溶部の含有量(X)=(W2/W1)×100(質量%)
(メタクリル系樹脂組成物の重量平均分子量、分子量分布)
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物の重量平均分子量及び分子量分布について説明する。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、テトラヒドロフラン(THF)に溶解した成分を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定した重量平均分子量(Mw)が40000〜300000である。
なお、前記重量平均分子量は、実質的には、メタクリル系樹脂(A)の重量平均分子量である。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物の前記重量平均分子量(Mw)が40000以上であると、優れた機械的強度及び耐溶剤性が得られ、50000以上が好ましく、60000以上がより好ましい。
また、重量平均分子量(Mw)が300000以下であると、良好な流動性が得られ、250000以下が好ましく、200000以下がより好ましく、180000以下がさらに好ましい。
メタクリル系樹脂の分子量分布が1.8以上6.0以下であることにより、成形加工流動と機械強度とのバランスが優れたものとなる
メタクリル系樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができ、具体的には、後述する〔実施例〕に記載の方法により測定することができる。
具体的には、あらかじめ単分散の重量平均分子量が既知で試薬として入手可能な標準メタクリル系樹脂と、高分子量成分を先に溶出する分析ゲルカラムを用い、溶出時間と重量平均分子量から検量線を作成しておき、続いて得られた検量線を元に、所定の測定対象のメタクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を求めることができ、これらにより分子量分布を算出することができる。
なお、数平均分子量(Mn)とは、単純な分子1本あたりの分子量の平均であり、系の全重量/系中の分子数で定義される。重量平均分子量(Mw)とは、重量分率による分子量の平均で定義される。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、そのGPC溶出曲線から得られる微分分子量分布曲線において、分子量が15000〜30000の範囲であるエリア面積が、GPC溶出曲線から得られる微分分子量分布曲線のエリア全面積比率にして10〜70%である。
メタクリル系樹脂組成物の流動性、及びゴム質重合体(B)の分散性の観点から、分子量が15000〜30000の範囲であるエリア面積が、GPC溶出曲線から得られる微分分子量分布曲線のエリア全面積比率にして、10〜70%であるものとし、12〜65%であることが好ましく、14〜60%であることがより好ましく、15〜55%であることがさらに好ましく、15〜50%であることがさらにより好ましい。
ここで、前記分子量が15000〜30000の範囲であるエリア面積の比率(%)とは、GPC溶出曲線から得られる微分分子量分布曲線のエリア全面積を100%とした場合の分子量が15000〜30000の範囲のエリア面積の割合であり、後述する〔実施例〕に記載する方法により測定することができる。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物における分子量が15000〜30000の範囲であるエリア面積の比率(%)が10%以上であることより、良好な成形流動性が得られる。また、70%以下であることより、ゴム分散性が良好な樹脂組成物が得られる。
図1のグラフの縦軸をRI(示差屈折)検出強度(mV)、グラフの横軸を溶出時間(分)とする。
まず、GPC測定で得られた溶出時間とRI(示差屈折検出器)による検出強度から得られるGPC溶出曲線に対し、測定機器により自動で引かれるベースライン2とGPC溶出曲線1とが交わる点Aと点Bとを定める。
点Aは、溶出時間初期のGPC溶出曲線1とベースライン2とが交わる点である。
点Bは、溶出時間終期のGPC溶出曲線1とベースライン2とが交わる点である。
点Aと、点Bとの間のGPC溶出曲線と、線分ABとで囲まれた斜線部分がGPC溶出曲線におけるエリアである。
当該エリア内の面積が、GPC溶出曲線におけるエリア面積である。
高分子量成分から溶出されるカラムを用いることにより、溶出時間初期に高分子量成分が観測され、溶出時間終期に低分子量成分が観測される。
図2のグラフの縦軸をdW/d(logM)、グラフの横軸をlogM(M:分子量)としたとき、dW/d(logM)は、図1のGPC溶出曲線測定グラフを規格化した微分分子量分布曲線3であり、GPC測定の実測値を規格化し、検量線を反映させたグラフを意味する。
このとき、図1の点Aは図2の点A’に相当し、点Bは図2の点B’に相当し、GPC溶出曲線から得られる微分分子量分布曲線におけるエリア全面積100%は、図2において、点A’と点B’との間の微分分子量分布曲線3と線分A’ B’とで囲まれた面積となる。
ここで、GPC溶出曲線から得られた微分分子量分布曲線におけるエリア面積全体に対する分子量15000〜30000のエリア面積(%)とは、図2の斜線部分の囲まれた面積となる。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、TEM(透過型電子顕微鏡)にて50000倍条件で任意の10視野を観察した場合、複数の平均粒子径0.04〜1.0μmのゴム質重合体(B)により形成された凝集体を有しており、複数の前記凝集体中には、当該凝集体内において周囲を他のゴム質重合体により完全に覆われているゴム質重合体(Bα)が0個以上10個以下存在する凝集体が含まれており、10視野中、1視野あたりの、前記ゴム質重合体(Bα)の平均個数が0個以上10個以下であるものとする。
なお、所定のゴム質重合体の全表面が他のゴム質重合体によって接せられていることを意図するものではなく、周囲を覆う他のゴム質重合体に加え、さらにそれ以上の他のゴム質重合体が接し得ない状態であればよい。
また、前記所定のゴム質重合体の、3次元的な表面を想定した場合の全表面が他のゴム質重合体に覆われている必要はない。
図3(a)においては、凝集体内において周囲を他のゴム質重合体に完全に覆われているゴム質重合体(Bα)が1個存在する凝集体を示している。
図3(b)においては、凝集体内において周囲を他のゴム質重合体に完全に覆われているゴム質重合体(Bα)が2個存在する凝集体を示している。
図3(c)においては、凝集体内において周囲を他のゴム質重合体に完全に覆われているゴム質重合体(Bα)が0個である凝集体を示している。
例えば、図3(a)に示す凝集体が、1視野あたり11個ある場合、ゴム質重合体(Bα)の1視野あたりの平均個数は11個となる。
また、図3(b)に示す凝集体が、1視野あたり6個ある場合、ゴム質重合体(Bα)の1視野あたりの平均個数は6×2=12個となる。
さらに、図3(a)に示す凝集体が1視野あたり3個あり、図3(b)に示す凝集体が1視野あたり3個ある場合、ゴム質重合体(Bα)の1視野あたりの平均個数は、3+2×3個=9個となる。
さらにまた、図3(c)に示すように、ゴム質重合体(B)の粒子が連なっているが、周囲が完全に囲まれたゴム質重合体が無い構造の凝集体においては、当該凝集体においては、ゴム質重合体(Bα)の数は0個となる。
好適な測定方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
メタクリル系樹脂組成物の一部を丸鋸にて切り出した後、RuO4(ルテニウム酸)染色超薄切片法による観察用の試料を作製し、TEM(透過型電子顕微鏡)を使用して染色されたゴム質重合体の粒子断面を観察後、撮影を行う。
50000倍率で撮影した代表的なゴム質重合体の粒子10個の直径をスケールにて測定し、ゴム質重合体の粒子の直径の平均値を求めることで、ゴム質重合体(B)の一次粒子径の平均粒子径を求める。
この平均粒子径を判断基準として、50000倍率における任意10視野を撮影し、10視野における、ゴム質重合体(B)で完全に囲まれたゴム質重合体(Bα)の数を測定し、これを視野数で除することにより、1視野あたりの前記ゴム質重合体(Bα)の平均個数を求めることができる。
前記1視野あたりのゴム質重合体(Bα)の平均個数が10個以下であることより、ゴム質重合体(B)の分散性が良好なものとなり、衝撃強度等の物性値のバラつきを低減化することができる。
前記1視野あたりのゴム質重合体(Bα)の平均個数は、8個以下が好ましく、7個以下がより好ましく、6個以下がさらに好ましく、5個以下がさらにより好ましい。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述した(A)、(B)成分以外のその他の添加剤を含有させてもよい。
特に、熱安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、及び難燃剤等を添加することが好ましい。
熱安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系加工安定剤等の酸化防止剤等が挙げられ、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
熱安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N'−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド、3,3',3'',5,5',5''−ヘキサ−tert−ブチル−a,a',a''−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−о−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリン)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミン)フェノール等が挙げられ、ペンタエリスリトールテラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
これらは、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
紫外線吸収剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、フェノール系化合物、オキサゾール系化合物、マロン酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、ラクトン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンズオキサジノン系化合物等が挙げられ、好ましくはベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物である。
これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、紫外線吸収剤を添加する場合、成形加工性の観点から、20℃における蒸気圧(P)が1.0×10-4Pa以下であるものが好ましく、より好ましくは1.0×10-6Pa以下であり、さらに好ましくは1.0×10-8Pa以下である。
成形加工性に優れるとは、例えば射出成形時に、金型表面への紫外線吸収剤の付着が少ないことや、フィルム成形時に、紫外線吸収剤のロールへの付着が少ないこと等を示す。
ロールへ付着すると、例えば成形体表面へ付着し外観、光学特性を悪化させるおそれがあるため、成形体を光学用材料として使用する場合は好ましくない。
また、紫外線吸収剤の融点(Tm)は、耐熱性の観点から、80℃以上であることが好ましく、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは130℃以上、さらにより好ましくは160℃以上である。
前記紫外線吸収剤は、ブリードアウトの観点から、23℃から260℃まで20℃/minの速度で昇温した場合の質量減少率が50%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは15%以下、さらにより好ましくは10%以下、一層好ましくは5%以下である。
離型剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪酸アミド、脂肪酸アルキル、脂肪酸グリセリド及び脂肪族アルコールが挙げられる。
脂肪酸アミドは、通常炭素数10〜22程度の脂肪酸とアンモニアやアミノ化合物とが脱水縮合した構造を有する化合物であることができ、以下に限定されないが、例えば、ラウリル酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸アミドや、オレイン酸アミド、リノール酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド、そのほか、エチレンビスラウリル酸アミド、エチレンビスパルミチン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等のアミド類等が挙げられる。また、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。中でも、ステアリン酸アミドやエチレンビスステアリン酸アミドが好ましい。
脂肪酸アルキルは、通常炭素数10〜22程度の脂肪酸と炭素数1〜10程度の1価の脂肪族アルコールが脱水縮合した構造を有する化合物であることができ、以下に限定されないが、例えば、ラウリル酸メチル、ラウリル酸エチル、ラウリル酸ブチル、ラウリル酸オクチル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ベヘン酸メチル、ベヘン酸エチル、ベヘン酸ブチル、ベヘン酸オクチル等の飽和脂肪酸アルキルや、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸ブチル、オレイン酸オクチル、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸ブチル、リノール酸オクチル等の不飽和脂肪酸アルキル等が挙げられる。また、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。中でも、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル等のステアリン酸アルキルが好ましく、ステアリン酸メチルがより好ましい。
脂肪酸グリセリドは、通常炭素数10〜22程度の脂肪酸とグリセリンとが脱水縮合した構造を有する化合物であることができ、以下に限定されないが、例えば、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリドが挙げられる。また、具体例としては、ラウリル酸モノグリセリド、ラウリル酸ジグリセリド、ラウリル酸トリグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、パルミチン酸ジグリセリド、パルミチン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ベヘン酸モノグリセリド、ベヘン酸ジグリセリド、ベヘン酸トリグリセリド等の飽和脂肪酸グリセリドや、オレイン酸モノグリセリド、オレイン酸ジグリセリド、オレイン酸トリグリセリド、リノール酸モノグリセリド、リノール酸ジグリセリド、リノール酸トリグリセリド等の不飽和脂肪酸グリセリド等が挙げられる。また、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。中でも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリドのようなステアリン酸グリセリドが好ましく、ステアリン酸モノグリセリドがより好ましい。
脂肪族アルコールは、通常炭素数10〜22の脂肪族アルコールであることができ、1価アルコールであってもよく、多価アルコールであってもよい。脂肪族アルコールの具体例としては、以下に限定されないが、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の飽和脂肪族アルコールや、オレイルアルコール、リノリルアルコール等の不飽和脂肪族アルコール等が挙げられる。また、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。中でも、ステアリルアルコールが好ましい。
これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
難燃剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、環状窒素化合物、リン系難燃剤、シリコン系難燃剤、籠状シルセスキオキサン又はその部分開裂構造体、シリカ系難燃剤が挙げられる。
これらは、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、帯電防止性、剛性や寸法安定性等の各種の特性を付与する観点から、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤をさらに添加することができる。
当該その他の添加剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、フタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系等の可塑剤;ポリエーテル系、ポリエーテルエステル系、ポリエーテルエステルアミド系、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩等の帯電防止剤;酸化防止剤、光安定剤等の安定剤;難燃助剤、硬化剤、硬化促進剤、導電性付与剤、応力緩和剤、結晶化促進剤、加水分解抑制剤、潤滑剤、衝撃付与剤、摺動性改良剤、相溶化剤、核剤、強化剤、補強剤、流動調整剤、増感材、増粘剤、沈降防止剤、タレ防止剤、充填剤、消泡剤、カップリング剤、防錆剤、抗菌・防黴剤、防汚剤、導電性高分子等が挙げられる。
これらは、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
<光拡散性微粒子>
光拡散性微粒子としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化珪素、ガラスビーズ等の無機微粒子、スチレン架橋ビーズ、MS架橋ビーズ、シロキサン系架橋ビーズ等の有機微粒子等が挙げられる。
また、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、MS樹脂、環状オレフィン樹脂等の透明性の高い樹脂材料からなる中空架橋微粒子及びガラスからなる中空微粒子等も挙げられる。
好ましくは無機微粒子が挙げられ、より好ましくは、アルミナ及び酸化チタン等が挙げられる。
また、上記光拡散性微粒子は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ここで、光拡散性微粒子の屈折率は、好ましくは1.7〜3.0であり、より好ましくは1.7〜2.5、さらに好ましくは1.7〜2.0である。
光拡散性微粒子の屈折率が1.7以上であると十分な散乱性が得られ、3.0以下であると、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物を、例えば光源を具備する成形品の部品として用いる場合、当該光源近傍での散乱を実用上十分に抑制でき、その結果輝度ムラ及び出射光色調にムラを効果的に抑制できる。
なお、前記屈折率とは、D線(589nm)に基づく温度20℃での値である。
光拡散性微粒子の屈折率の測定方法としては、例えば、光拡散性微粒子を、屈折率を少しずつ変化させることのできる液体に浸し、液体の屈折率を変化させながら光拡散性微粒子界面を観察し、光拡散性微粒子界面が不明確になった時の液体の屈折率を測定するという方法が挙げられる。
なお、液体の屈折率の測定には、アッベの屈折計等を用いることができる。
また、メタクリル系樹脂(A)中に分散される光拡散性微粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1〜20μmであり、より好ましくは0.2〜15μm、さらに好ましくは0.3〜10μm、さらにより好ましくは0.4〜5μmである。平均粒子径が20μm以下であると、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物を表示装置の光拡散板として使用した場合に、後方反射等による光損失が抑えられ、入光した光を効率的に発光面側に拡散させることができるため好ましい。また、平均粒子径が0.1μm以上であると出射光を拡散させることが可能となり、所望の面発光輝度、拡散性を得ることができるため好ましい。
また、メタクリル系樹脂組成物中における光拡散性微粒子の含有量は、光拡散効果の発現、表示装置の光拡散板として使用した場合の面発光の均一性の観点から、好ましくはメタクリル系樹脂組成物100質量部に対して0.0001〜0.03質量部であり、より好ましくは0.0001〜0.01質量部である。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述した(A)、(B)成分の他、従来公知の樹脂を組み合わせて含有してもよい。
使用に供される樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来公知の硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が好適に使用される。
熱可塑性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シンジオタクテックポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系共重合体)、メタクリル系樹脂、AS系樹脂(アクリロニトリル−スチレン系共重合体)、BAAS系樹脂(ブタジエン−アクリロニトリル−アクリロニトリルゴム−スチレン系共重合体、MBS系樹脂(メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン系共重合体)、AAS系樹脂(アクリロニトリル−アクリロニトリルゴム−スチレン系共重合体)、生分解性樹脂、ポリカーボネート−ABS樹脂のアロイ、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。
特に、AS樹脂、BAAS樹脂は、流動性を向上させるために好ましく、ABS樹脂、MBS樹脂は耐衝撃性を向上させるために好ましく、また、ポリエステル樹脂は耐薬品性を向上させるために好ましい。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂等は難燃性を向上させる効果が期待できる。
また、硬化性樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、キシレン樹脂、トリアジン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、ケトン樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、スチリルピリジン樹脂、シリコン樹脂、合成ゴム等が挙げられる。
これらの樹脂は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物の製造方法は、重量平均分子量(Mw)が40000〜350000であるメタクリル系樹脂(A1)とゴム質重合体(B)とを溶融混練し、混合物を得る工程と、重量平均分子量(Mw)が5000〜40000であるメタクリル系樹脂(A2)を、前記混合物に添加する工程とを有することが好ましい。
メタクリル系樹脂(A1)、メタクリル系樹脂(A2)は、上述したメタクリル系樹脂(A)の製造方法により製造することが可能である。
なお、単量体の添加量、重合条件を調整することにより、メタクリル系樹脂(A1)、(A2)の重量平均分子量を上記範囲に制御することができる。
原料を一括で溶融混練する場合は、ゴム質重合体(B)の分散性を高める観点から、L/D=35を超える押出機を用いて溶融混練することが好ましい。
溶融混練方法としては、例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、ローラミキサー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練する方法が挙げられる。
その中でも押出機による混練が、生産性の観点から好ましい。
特に好ましい溶融混練方法としては、押出機を使用し、前記メタクリル系樹脂(A1)とゴム質重合体(B)をトップフィードで溶融混練し、次いで前記メタクリル系樹脂(A2)を押出機のサイドよりサイドフィードすることで、トップフィードした混合物と溶融混練を行い、メタクリル系樹脂組成物を得ることが好ましい。この際、単軸押出機又は二軸押出機のどちらを用いてもよいが、ゴム質重合体(B)の分散性の観点から、二軸押出機を用いることがより好ましい。
混練温度は、メタクリル系樹脂組成物の加工温度に従えばよく、目安としては140〜300℃の範囲、好ましくは180〜280℃の範囲である。
また、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物に種々の添加剤や他の樹脂と混合する場合の混練方法としては、従来公知の方法を用いることができ、特に限定されるものではない。
本実施形態の成形体は、上述した本実施形態のメタクリル系樹脂組成物を成形することにより得られる。
成形体の製造方法としては、射出成形、シート成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、インフレーション成形、Tダイ成型、プレス成形、押出成形、発泡成形、流延法によるフィルム成形等、公知の方法が適用でき、圧空成形、真空成形等の二次加工成形法も用いることができる。
また、型に注型し、熱プレスにより硬化させることもできる。
各成分を溶解させるための前記溶媒としては、メタクリル系樹脂組成物の材料を均一に混合することができ、かつ使用することによって本実施形態のメタクリル系樹脂組成物の特性を損なわないものであれば、特に限定されるものではない。溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、ジエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、メチルセルソルブ、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、n−ヘキサン、n−ペンタン等が挙げられる。
また、硬化方法は使用する硬化剤により異なるが、特に限定はされない。
例えば、熱硬化、光硬化、UV硬化、圧力による硬化、湿気による硬化等が挙げられる。
各成分を混合させる順序は、本発明の効果が達成できる方法であれば特に規定するものではない。
本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、家具類、家庭用品、収納・備蓄用品、壁・屋根等の建材、玩具・遊具、パチンコ面盤等の趣味用途、医療・福祉用品、OA機器、AV機器、電池電装用、照明機器、船舶、航空機の構造の車体部品、車両用部品に使用可能であり、特に車両用部品、光学用部品、電気・電子用部品、雑貨に好適に用いることができる。
車両部品としては、特に、透明で耐衝撃性が要求される外装部品として好適であり、以下に限定されるものではないが、例えば、バンパー、フロントグリル、ヘッドランプカバー、テールランプカバー、ボディ周辺部品(バイザー等)、タイヤ周辺部品等が挙げられる。
光学用部品としては、以下に限定されるものではないが、例えば、各種レンズ、タッチパネル等、また、太陽電池に用いられる透明基盤等が挙げられる。その他にも、光通信システム、光交換システム、光計測システムの分野において、導波路、光ファイバー、光ファイバーの被覆材料、LEDのレンズやレンズカバー、EL照明等のカバー等にも利用することができる。
電気・電子用部品としては、以下に限定されるものではないが、例えば、パソコン、ゲーム機、テレビ、カーナビ、電子ペーパー等のディスプレイ装置、プリンター、コピー機、スキャナー、ファックス、電子手帳やPDA、電子式卓上計算機、電子辞書、カメラ、ビデオカメラ、携帯電話、電池パック、記録媒体のドライブや読み取り装置、マウス、テンキー、CDプレーヤー、MDプレーヤー、携帯ラジオ・オーディオプレーヤー等が挙げられる。特に、テレビ、パソコン、カーナビ、電子ペーパー等の筐体の意匠性部品等が挙げられる。
雑貨としては、以下に限定されるものではないが、例えば、給水塔、衣装ケース、各種収納ケース、パチンコ面盤等が挙げられる。
医療用途としては、各種機器のカバーやユニット、検査用キット等が挙げられる。
特に、本実施形態のメタクリル系樹脂組成物は、高い流動性、機械強度を有しているため、長辺が100mm以上かつ3mm厚以下の各種薄物長尺部品に好適に使用することが可能である。
・メタクリル酸メチル(MMA):旭化成ケミカルズ製(重合禁止剤として中外貿易製2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール(2,4−di−methyl−6−tert−butylphenol)を2.5ppm添加されているもの)
・アクリル酸メチル(MA):三菱化学製(重合禁止剤として川口化学工業製4−メトキシフェノール(4−methoxyphenol)が14ppm添加されているもの)
・アクリル酸エチル(EA):三菱化学社製
・n−オクチルメルカプタン(n−octylmercaptan):アルケマ製
・2−エチルヘキシルチオグリコレート(2−ethylhexyl thioglycolate):アルケマ製
・ラウロイルパーオキサイド(lauroyl peroxide):日本油脂製
・第3リン酸カルシウム(calcium phosphate):日本化学工業製、懸濁剤として使用
・炭酸カルシウム(calcium calbonate):白石工業製、懸濁剤として使用
・ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate):和光純薬製、懸濁助剤として使用
(I.メタクリル系樹脂の組成分析、及びメタクリル系樹脂組成物の分子量測定)
<1.メタクリル系樹脂(A)の組成分析>
メタクリル系樹脂の組成分析を、熱分解ガスクロマトグラフィー及び質量分析方法で行った。
熱分解装置:FRONTIER LAB製Py−2020D
カラム:DB−1(長さ30m、内径0.25mm、液相厚0.25μm)
カラム温度プログラム:40℃で5min保持後、50℃/minの速度で320℃まで昇温し、320℃を4.4分保持
熱分解炉温度:550℃
カラム注入口温度:320℃
ガスクロマトグラフィー:Agilent製GC6890
キャリアー:純窒素、流速1.0mL/min
注入法:スプリット法(スプリット比1/200)
検出器:日本電子製質量分析装置Automass Sun
検出方法:電子衝撃イオン化法(イオン源温度:240℃、インターフェース温度:320℃)
サンプル:メタクリル系樹脂0.1gのクロロホルム10cc溶液を10μL
前記サンプルを、熱分解装置用白金試料カップに採取し、150℃で2時間真空乾燥後、試料カップを熱分解炉に入れ、上記条件でサンプルの組成分析を行った。
メタクリル酸メチル及びアクリル酸メチルのトータルイオンクロマトグラフィー(TIC)上のピーク面積と、以下の標準サンプルの検量線を元に、メタクリル系樹脂の組成比を求めた。
検量線用標準サンプルの作製:メタクリル酸メチル、アクリル酸メチルの割合が(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル)=(100質量%/0質量%)、(98質量%/2質量%)、(94質量%/6質量%)、(90質量%/10質量%)、(80質量%/20質量%)の、合計5種の溶液各50gに、ラウロイルパーオキサイド0.25質量%、n−オクチルメルカプタン0.25質量%を添加した。この各混合溶液を100mLのガラスアンプル瓶に入れて、空気を窒素に置換して封じ、ガラスアンプル瓶を作製した。
前記ガラスアンプル瓶を80℃の水槽に3時間、その後150℃のオーブンに2時間入れた。
室温まで冷却した後、ガラスを砕いて、中のメタクリル系樹脂を取り出し、組成分析を行った。
検量線用標準サンプルの測定によって得られた(アクリル酸メチルの面積値)/(メタクリル酸メチルの面積値+アクリル酸メチルの面積値)、及びアクリル酸メチルの仕込み比率とのグラフを検量線として用いた。
また、メタクリル系樹脂の原料としてアクリル酸エチルを用いた場合の割合も、上述したアクリル酸メチルを原料として用いた場合と同様の方法で組成を分析した。
メタクリル系樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)、分子量が15000〜30000の範囲のエリア面積比率を、下記の装置、及び条件で測定した。
測定装置:東ソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(HLC−8320GPC)
カラム:TSKgel SuperH2500 1本、TSKgel SuperHM−M 2本、TSKguardcolumn SuperH−H 1本、直列接続
本カラムでは、高分子量が早く溶出し、低分子量は溶出する時間が遅い。
検出器 :RI(示差屈折)検出器
検出感度 :3.0mV/min
カラム温度:40℃
サンプル :0.02gのメタクリル系樹脂のテトラヒドロフラン10mL溶液
注入量 :10μL
展開溶媒 :テトラヒドロフラン、流速;0.6mL/min
検量線用標準サンプルとして、単分散の重量ピーク分子量が既知で分子量が異なる以下の10種のポリメタクリル酸メチル(Polymethyl methacrylate Calibration Kit PL2020−0101 M−M−10)を用いた。
なお、検量線用標準サンプルに用いたポリメタクリル酸メチルは、それぞれ単ピークのものであるため、(Mp)をピーク分子量と表記し、ピークが複数ある場合の表記「ピークトップ分子量」と区別した。
ピーク分子量(Mp)
標準試料1 1,916,000
標準試料2 625,500
標準試料3 298,900
標準試料4 138,600
標準試料5 60,150
標準試料6 27,600
標準試料7 10,290
標準試料8 5,000
標準試料9 2,810
標準試料10 850
上記の条件で、メタクリル系樹脂組成物の溶出時間に対する、RI検出強度を測定した。
GPC溶出曲線におけるエリア面積と、3次近似式の検量線を基に、解析プログラムを用いて微分分子量分布曲線を作成し、メタクリル系樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)及び分子量が15000〜30000の範囲のエリア面積比率(%)を求めた。
<(1)ゴム質重合体(B)の平均粒子径測定>
ゴム質重合体の乳化液をサンプリングして、固形分の濃度が500ppmになるように水で希釈し、UV1200V分光光度計(株式会社島津製作所製)を用いて波長550nmでの吸光度を測定した。
この値から、透過型電子顕微鏡写真より粒子径を計測したサンプルについて、同様に吸光度を測定して作成した検量線を用いてゴム質重合体(B)の平均粒子径を求めた。
メタクリル系樹脂組成物の一部を丸鋸にて切り出した後、RuO4(ルテニウム酸)染色超薄切片法による観察用の試料を作製した。
(株)日立製作所製TEM(透過型電子顕微鏡):HT7700型を使用して、染色されたゴム粒子断面を観察後、撮影を行った。
50000倍率で撮影した、代表的な凝集体を構成しているゴム質重合体の粒子10個の直径をスケールにて測定し、当該ゴム質重合体の粒子の直径の平均値を求めることで、ゴム質重合体(B)の一次粒子径の平均粒子径を求めた。
その後、50000倍率で、メタクリル系樹脂組成物の任意の10視野を観察し、撮影し、所定の平均粒子径のゴム質重合体(B)から形成される凝集体において、周辺が完全にゴム質重合体(B)で囲まれたゴム質重合体(Bα)の、1視野あたりの平均個数を求めた。
メタクリル系樹脂組成物ペレットを、一昼夜(約80℃、約12時間以上)乾燥した。
その後、約1.0g精秤し(W1)、試料を得た後、遠沈管(金属製チューブ)に、当該試料を入れた。
その後に、アセトン20mLを加え、室温で約1日静置後、振とう機にて2時間振とうした。
次に、日立工機(株)製 真空式高速冷却遠心機 機種:CR26Hを使用し、5℃、24000rpmに条件設定し、1時間遠心分離した。
振とう後、上澄み液をデカンテーションして除いた後、新たにアセトン20mLを加え室温で1時間振とうした。
振とう後、5℃、24000rpmの条件にて1時間遠心分離した。
再度、同一方法及び条件で繰り返し合計3回行った。
上澄み液をデカンテーションして除き、一晩風乾した。
真空乾燥機を100℃に設定し、一昼夜(約12時間以上)真空乾燥後に取り出し、デシケーター内で室温まで冷却後、残留物の質量を秤量した(W2)。
次式により、アセトン不溶部(質量%)を算出した(X)。
アセトン不溶部(X)=[(W2)/(W1)]×100(質量%)
これにより、メタクリル系樹脂組成物中のゴム質重合体の含有量を算出した。
<1.成形加工性の評価>
断面積一定の、スパイラル状のキャビティを、後述する実施例及び比較例のメタクリル系樹脂組成物が流れた距離によって、相対的流動性を判定する試験を行った。
射出成形機:東芝機械株式会社製EC−100SX
測定用金型:金型の表面に、深さ2mm、幅12.7mmの溝を、表面の中心部からアルキメデススパイラル状に掘り込んだ金型
(射出条件)
設定温度:250℃
金型温度:60℃
射出圧力:75MPa
射出時間:20sec
金型表面の中心部に樹脂組成物を上記条件で射出した。
射出終了40sec後にスパイラル状の成形体を取り出し、スパイラル部分の長さを測定した。これを流動性評価の指標とした。
耐熱性の評価として、後述する実施例及び比較例のメタクリル系樹脂組成物のビカット軟化温度(VST)を、HDT試験装置 (ヒートディストーションテスター)(東洋精機製作所社製)を用いて、ISO 306 B50に準じて、4mm厚の成形体を用いて測定した。
透明性の評価として、後述する実施例及び比較例のメタクリル系樹脂組成物を用いて成形した3mm厚の成形体を用いて、23℃の温度条件下でのヘイズ(%)を、日本電色工業株式会社製型式NDH2000機器を用いて測定した。
耐衝撃性の評価として、後述する実施例及び比較例のメタクリル系樹脂組成物のシャルピー衝撃強度(ノッチ無)を、シャルピー衝撃試験機(東洋精機製作所社製)を用いて、ISO179/1eUに準じて測定した。
また、耐衝撃強度のバラつき評価として、80mm×10mm×4mmの成形品10本のシャルピー衝撃強度の平均値を算出し、以下の○〜×の評価を行った。
平均値に対して、±30%値の本数が2本以内:○
平均値に対して、±30%値の本数が3〜4本:△
平均値に対して、±30%値の本数が5本以上:×
色調の評価として、後述する実施例及び比較例のメタクリル系樹脂組成物を60mm×30mm×3mmtのプレートを射出成形し、黄色度差(ΔYI)の測定を行った。
黄色度差 ΔYI=YI−YI0
YI:成形品の黄色度
YI0:空気の黄色度
ΔYI測定は、日本電色工業株式会社製ASA−I型装置を用いて、プレートの60mm方向の値(測定光が通過する長さ=60mm)を測定した。
ΔYIは、成形体の黄色の度合いを示し、この値が小さいほど、着色が小さく、色調が良いことを示す。
(製造例1(A−1))
攪拌機を有する容器に、イオン交換水:2kg、第三リン酸カルシウム:65g、炭酸カルシウム:39g、ラウリル硫酸ナトリウム:0.39gを投入し、混合液(a)を得た。
次いで、60Lの反応器に、イオン交換水:26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(a)、及びメタクリル酸メチル:21.2kg、アクリル酸メチル:0.43kg、ラウロイルパーオキサイド:27g、n−オクチルメルカプタン:62gを投入した。
その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温し、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入後、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子(メタクリル系樹脂(A−1))の重量平均分子量(Mw)は、10.4万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.8であった。
また、構造単位はMMA/MA=98.0/2.0質量%であった。
攪拌機を有する容器に、水2kg、第三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム40g、ラウリル硫酸ナトリウム0.40gを投入し、混合液(b)を得た。
次いで、60Lの反応器に、水25kgを投入して80℃に昇温し、前記混合液(b)及びメタクリル酸メチル21.2kg、アクリル酸メチル0.25kg、ラウロイルパーオキサイド110g、2−エチルヘキシルチオグリコレート380gを投入した。
その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温した。そして、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入した。
次いで、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子(メタクリル系樹脂(A−2))の重量平均分子量(Mw)は、2.5万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.8であった。
また、構造単位はMMA/MA=99/1質量%であった。
攪拌機を有する容器に、水2kg、第三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム40g、ラウリル硫酸ナトリウム0.40gを投入し、混合液(c)を得た。
次いで、60Lの反応器に、水25kgを投入して80℃に昇温し、前記混合液(c)及びメタクリル酸メチル21.5kg、ラウロイルパーオキサイド110g、2−エチルヘキシルチオグリコレート430gを投入した。
その後、約75℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温した。そして、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入した。
次いで、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子(メタクリル系樹脂(A−3))の重量平均分子量(Mw)は、2.2万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.8であった。
また、構造単位はMMA=100質量%であった。
攪拌機を有する容器に、水2kg、第三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム40g、ラウリル硫酸ナトリウム0.40gを投入し、混合液(d)を得た。
次いで、60Lの反応器に、水25kgを投入して80℃に昇温し、前記混合液(d)及びメタクリル酸メチル21.1kg、アクリル酸エチル0.4kg、ラウロイルパーオキサイド40g、n−オクチルメルカプタン80gを投入した。
その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温した。そして、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入した。
次いで、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子(メタクリル系樹脂(A−4))の重量平均分子量(Mw)は、7.1万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.8であった。
また、構造単位はMMA/EA=98.2/1.8質量%であった。
攪拌機を有する容器に、イオン交換水:2kg、第三リン酸カルシウム:65g、炭酸カルシウム:39g、ラウリル硫酸ナトリウム:0.39gを投入し、混合液(e)を得た。
次いで、60Lの反応器に、イオン交換水:26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(e)及びメタクリル酸メチル:17.9kg、アクリル酸メチル:3.2kg、ラウロイルパーオキサイド:25g、n−オクチルメルカプタン:24gを投入した。
その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温し、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入後、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子(メタクリル系樹脂(A−5))の重量平均分子量(Mw)は、19.8万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.8であった。
また、構造単位はMMA/MA=84.9/15.1質量%であった。
攪拌機を有する容器に、水2kg、第三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム39g、ラウリル硫酸ナトリウム0.39gを投入し混合液(f)を得た。
次に、60Lの反応器に水26kgを投入して80℃に昇温し、前記混合液(f)、メタクリル酸メチル5.75kg、ラウロイルパーオキサイド59.31g、2−エチルヘキシルチオグリコレート122.06gの配合量で重合体(I)を製造するための原料を投入した。
その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、重合体(I)の原料を投入してから65分後に発熱ピークが観測された。
その後、30分間80℃の温度を保持した後、重合体(II)を製造するために、メタクリル酸メチル17.306kg、アクリル酸メチル445g、ラウロイルパーオキサイド14.23g、n−オクチルメルカプタン28.11gを反応器に投入し、引き続き約80℃を保って懸濁重合を行い、重合体(II)の原料を投入してから130分後に発熱ピークが観測された。
その後、約92℃に1℃/minの速度で昇温した後、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次に、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために20質量%硫酸を投入した。
次いで、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子(メタクリル系樹脂(A−6))の重量平均分子量(Mw)は、11.8万であり、分子量分布(Mw/Mn)は3.3であった。
また、構造単位はMMA/MA=98.1/1.9質量%であった。
攪拌機を有する容器に、イオン交換水:2kg、第三リン酸カルシウム:65g、炭酸カルシウム:39g、ラウリル硫酸ナトリウム:0.39gを投入し、混合液(g)を得た。
次いで、60Lの反応器に、イオン交換水:26kgを投入して80℃に昇温し、混合液(g)、及びメタクリル酸メチル:20.2kg、アクリル酸メチル:3.0kg、ラウロイルパーオキサイド:60g、n−オクチルメルカプタン:65gを投入した。
その後、約75℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温し、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入後、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子(メタクリル系樹脂(A−7))の重量平均分子量(Mw)は、9.5万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。
また、構造単位はMMA/MA=87.1/12.9質量%であった。
攪拌機を有する容器に、水2kg、第三リン酸カルシウム65g、炭酸カルシウム40g、ラウリル硫酸ナトリウム0.40gを投入し、混合液(h)を得た。
次いで、60Lの反応器に、水26kgを投入して80℃に昇温し、前記混合液(h)及びメタクリル酸メチル21.4kg、アクリル酸メチル0.1kg、ラウロイルパーオキサイド110g、n−オクチルメルカプタン1.0kgを投入した。
その後、約80℃を保って懸濁重合を行い、発熱ピークを観測後、92℃に1℃/minの速度で昇温した。そして、60分間熟成し、重合反応を実質終了した。
次いで、50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために、20質量%硫酸を投入後、重合反応溶液を、1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄脱水乾燥処理し、ポリマー微粒子を得た。
得られたポリマー微粒子(メタクリル系樹脂(A−8))の重量平均分子量(Mw)は、1.1万であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。また、構造単位はMMA/MA=99.6/0.4質量%であった。
(ゴム質重合体(B−1)の製造例)
内容積10Lの還流冷却器付反応器にイオン交換水:4600mL、乳化剤としてジオクチルスルホコハク酸ナトリウム:24gを投入し、250rpmの回転数で攪拌しながら、窒素雰囲気下80℃に昇温し、酸素の影響が事実上無い状態にした。
次いで、還元剤としてロンガリット還元剤:1.3gを加え均一に溶解した。
第一層として、メタクリル酸メチル:190g、アクリル酸ブチル:2.5g、アリルメタクリレート:0.2g、ジイソプロピルベンゼンハイドロパ−オキサイド:0.2gの単量体混合物(II−1)を加え80℃で重合した。約15分で重合反応は完了した。
次いで、第二層として、アクリル酸ブチル:1360g、スチレン:320g、ポリエチレングリコ−ルジアクリレート(分子量200):40g、アリルメタクリレート:7.0g、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド:1.6g、ロンガリット還元剤:1.0gの単量体混合物(II−2)を90分にわたって滴下し、重合した。滴下終了後40分で重合反応は完了した。
次に、第三層1段として、メタクリル酸メチル:190g、アクリル酸ブチル:2.3g、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド:0.2gの単量体混合物(II−3)を5分にわたって滴下し、重合した。滴下終了後、この段階の重合反応は約15分で完了した。
最後に、第三層2段として、メタクリル酸メチル:380g、メタクリル酸メチル:4.6g、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド:0.4g、n−オクチルメルカプタン:1.2gの単量体混合物(II−4)を、10分にわたって加えた。この段階は約15分で重合反応が完了した。
その後、温度を95℃に上げ、1時間保持し、重合体乳化液を得た。得られた重合体乳化液(ラテックス)を、0.5%塩化アルミニウム水溶液中に投入して重合体を凝集させ、温水で5回洗浄した。
その後、乾燥し、ゴム質重合体(B−1)を得た。
得られたゴム質重合体(B−1)の平均粒子径は0.1μmであった。
内容積10Lの還流冷却器付反応器にイオン交換水:6868mL、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム:13.7gを投入し、250rpmの回転数で攪拌しながら、窒素雰囲気下75℃に昇温し、酸素の影響が事実上無い状態にした。
メタクリル酸メチル:907g、アクリル酸ブチル:33g、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール:0.28g及びアリルメタクリレート:0.93gからなる混合物(I−1)のうち222gを一括添加し、5分後に過硫酸アンモニウム0.22gを添加した。
その40分後から、前記混合物(I−1)の残りの719gを20分間かけて連続的に添加し、添加終了後さらに60分間保持した。
次に、過硫酸アンモニウム1.01gを添加した後、アクリル酸ブチル:1067g、スチレン:219g、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール:0.39g、アリルメタクリレート:27.3gからなる混合物(I−2)を140分間かけて連続的に添加し、添加終了後さらに180分間保持した。
次に、過硫酸アンモニウム:0.30gを添加した後、メタクリル酸メチル:730g、アクリル酸ブチル:26.5g、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール:0.22g、n−オクチルメルカプタン:0.76gからなる混合物(I−3)を40分間かけて連続的に添加し、添加終了後、95℃に昇温し、30分間保持し、重合体乳化液を得た。
重合体乳化液(ラテックス)を、3質量%硫酸ナトリウム温水溶液中へ投入して、塩拆・凝固させ、次いで、脱水・洗浄を5回繰り返した後、乾燥し、ゴム質重合体(B−2)を得た。
得られたゴム質重合体(B−2)の平均粒子径は0.23μmであった。
210〜260℃に温度を設定した二軸押出機(φ30mm、L/D=35、150rpm)を用いて、表1に示す配合比率(質量%)に従い、まず、メタクリル系樹脂(A−1)及びゴム質重合体(B−1)を二軸押出機のトップから供給して溶融混練し、次いで、押出機のサイドよりメタクリル系樹脂(A−2)を供給して溶融混練を行い、メタクリル系樹脂組成物を得た。
実施例1と同様の二軸押出機を使用し、メタクリル系樹脂(A−1)と各種ゴム質共重合体(B)を二軸押出機のトップより供給し、溶融混練し、メタクリル系樹脂(A−3)を下記表1に示す配合比率(質量%)に従い、二軸押出機のサイドより供給して混合し、溶融混練を行い、メタクリル系樹脂組成物を得た。
実施例1と同様の二軸押出機を使用し、メタクリル系樹脂(A−5)とゴム質共重合体(B−1)を二軸押出機のトップより供給し、溶融混練し、メタクリル系樹脂(A−3)を下記表1に示す配合比率(質量%)に従い、二軸押出機のサイドより供給して混合し、溶融混練を行い、メタクリル系樹脂組成物を得た。
実施例1と同様の二軸押出機を使用し、メタクリル系樹脂(A−4)とゴム質共重合体(B−2)を二軸押出機のトップより供給し、溶融混練し、メタクリル系樹脂(A−3)を下記表1に示す配合比率(質量%)に従い、二軸押出機のサイドより供給して混合して、溶融混練を行い、メタクリル系樹脂組成物を得た。
210〜260℃に温度設定した二軸押出機(φ32mm、L/D=52、150rpm)を用いて、下記表1に示す配合比率(質量%)に従い、メタクリル系樹脂(A−1)、メタクリル樹脂(A−2)、及びゴム質重合体(B−1)をドライブレンド後、一括で押出機のトップから供給し、溶融混練を行い、メタクリル系樹脂組成物を得た。
実施例1と同様の二軸押出機を使用し、メタクリル系樹脂(A−4)とゴム質共重合体(B−2)を二軸押出機のトップより供給し、溶融混練し、メタクリル系樹脂(A−8)を下記表1に示す配合比率(質量%)に従い、二軸押出機のサイドより供給して混合して、溶融混練を行い、メタクリル系樹脂組成物を得た。
実施例1と同様の二軸押出機を使用し、メタクリル系樹脂(A−7)とゴム質共重合体(B−1)を二軸押出機のトップより供給し、溶融混練し、メタクリル系樹脂(A−2)を下記表1に示す配合比率(質量%)に従い、二軸押出機のサイドより供給して混合して、溶融混練を行い、メタクリル系樹脂組成物を得た。
実施例1と同様の二軸押出機を使用し、メタクリル系樹脂(A−7)とゴム質共重合体(B−1)及び(B−2)を二軸押出機のトップより供給し、溶融混練し、メタクリル系樹脂(A−3)を下記表1に示す配合比率(質量%)に従い、二軸押出機のサイドより供給して混合して、溶融混練を行い、メタクリル系樹脂組成物を得た。
実施例1と同様の二軸押出機を使用し、メタクリル系樹脂(A−1)とゴム質共重合体(B−1)を、二軸押出機のトップより供給し、溶融混練を行い、メタクリル系樹脂組成物を得た。
実施例1と同様の二軸押出機を使用し、メタクリル系樹脂(A−6)とゴム質共重合体(B−1)を二軸押出機のトップより供給し、溶融混練を行い、メタクリル系樹脂組成物を得た。
実施例1と同様の二軸押出機を使用し、メタクリル系樹脂(A−3)とゴム質共重合体(B−1)を二軸押出機のトップより供給し、溶融混練した。その後、メタクリル系樹脂(A−1)を下記表1に示す配合比率(質量%)にて、二軸押出機のサイドより供給し、溶融混練を行い、メタクリル系樹脂組成物を得た。
実施例8においては、メタクリル系樹脂組成物の重量平均分子量がやや低く、実施例5に比べ、ゴム質重合体の分散性がやや低下する傾向にあり、結果として、衝撃強度のバラつきにやや影響を与えたが、実用十分な物性が得られた。
実施例9においては、原料を一括混合後、溶融混練したため、物性バランスは良好であるが、実施例1に比べ、ゴム質重合体の分散性がやや低下する傾向にあり、衝撃強度のバラつきにやや影響を与えたが、実用上十分な物性が得られた。
実施例10においては、メタクリル系樹脂組成物のGPC溶出曲線から得られる微分分子量分布曲線における分子量が15000〜30000である範囲のエリア面積値がやや大きかったため、実施例1に比べ、ゴム質重合体の分散性がやや低下する傾向にあったが、高流動性かつ衝撃強度を有する物性が得られた。
2 ベースライン
3 GPC溶出曲線から得られた微分分子量分布曲線
4 ベースライン
Claims (8)
- メタクリル酸エステル単量体単位70〜100質量%、及びメタクリル酸エステルに共重合可能な、少なくとも一種の他のビニル単量体単位0〜30質量%からなるメタクリル系樹脂(A)と、
平均粒子径が0.04〜1.0μmであるゴム質重合体(B)と、
を含有し、
前記メタクリル系樹脂(A):前記ゴム質重合体(B)の配合量が、30:70〜74:26質量%であり、
下記(I)〜(III)の条件を満足し、
前記ゴム質重合体(B)が、アクリル系ゴム質重合体である、メタクリル系樹脂組成物:
(I)テトラヒドロフラン(THF)に溶解した成分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)が40000〜300000である;
(II)GPC溶出曲線から得られる微分分子量分布曲線において、分子量が15000〜30000である範囲のエリア面積が、微分分子量分布曲線から得られるエリア全面積比率にして10〜70%である;
(III)透過型電子顕微鏡を用いて、50000倍で前記メタクリル系樹脂組成物の任意の10視野を観察した場合、
前記ゴム質重合体(B)を複数個含む凝集体が存在し、
複数の前記凝集体中には、凝集体αが含まれており、ここで、当該凝集体α内において、周囲を他のゴム質重合体により完全に覆われているゴム質重合体(Bα)が0個以上10個以下存在し、
10視野中、1視野あたりの、前記ゴム質重合体(Bα)の平均個数が0個以上10個以下である。 - 前記ゴム質重合体(B)が、二層構造以上の多層構造を有する、請求項1に記載のメタクリル系樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載のメタクリル系樹脂組成物の製造方法であって、
重量平均分子量(Mw)が40000〜350000であるメタクリル系樹脂と、ゴム質重合体(B)とを溶融混練し、混合物を得る工程と、
重量平均分子量(Mw)が5000〜40000であるメタクリル系樹脂を、前記混合物に添加する工程と、
を有するメタクリル系樹脂組成物の製造方法。 - 請求項1又は2に記載のメタクリル系樹脂組成物を含む成形体。
- 射出成形体である、請求項4に記載の成形体。
- 押出成形体である、請求項4に記載の成形体。
- 光学用部品、電気・電子用部品、雑貨、車両用部品からなる群より選ばれるいずれかである、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の成形体。
- 長辺が100mm以上であり、厚さが3mm以下の、薄物長尺部品である、請求項4乃至7のいずれか一項に記載の成形体。
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