JP6187964B2 - 速硬化性2液型環境対応ウレタン防水材組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、2液型環境対応ウレタン防水材組成物に関する。
わが国では、建築物の屋上に空調設備機器などの役物を設置する等多目的に使用している場合が多く、そのような不定形状および狭小部分の屋上への施工が容易でかつ経済性のあるウレタン防水材が防水材料として普及している。また、マンション等の集合住宅のベランダ防水についても、ベランダが不定形および狭小部分であるため、特に改修工事にはウレタン防水材が使用される場合が多く、今後も改修物件の増大とともにさらに使用場面が増加する傾向にある。2液型ウレタン防水材は、施工現場で2液を数分間混合してから金コテ、くしべラ、ゴムベラ等で塗布し施工されるが、その際2液を混合開始と同時に反応が始まり除々に粘度が上昇し、ある程度の施工しやすい低粘度状態の時間を経た後、施工しにくいほどの高粘度となる。2液混合後の施工が可能な時間を一般的に可使時間と称しており、通常23℃で粘度が60,000mPa・sになるまでの時間を指標として用いている。塗布作業上は、可使時間は長いほど良いが、可使時間を長くすると逆に硬化性が悪くなり翌日に塗膜材の上に乗れないという問題を生じる。一般的な施工では、可使時間が30分程度は必要とされており、夏季の施工では材料温度が35℃程度となり塗膜の反応性が高くなるため、30分の可使時間を確保するには相応の配合技術が必要となり、一方冬季には材料温度が5℃程度となり塗膜の反応性は低下するために可使時間確保については問題ないが、翌日までに塗膜材を硬化させるのにやはり相応の配合技術が必要となる。また、ウレタン防水材は材料自身の耐候性が良くないため、ウレタン塗膜材硬化後に耐候性のよいトップコートを塗布する工程が必須となっており、そのため翌日にはトップコートが塗布できるようにウレタン防水材が硬化することが必要であると同時に、塗布したトップコートについても塗布翌日にはしっかりとウレタン防水材と接着させて、軽歩行程度の作業では剥がれなくすることも必要となる。
そこで、2液型ウレタン防水材では夏と冬で配合の違う2種類を用意し、夏用は35℃近辺での可使時間確保を重要視した配合設計を行い、冬用は5℃近辺でも翌日にはできるだけ硬化することを重要視した配合設計とするのが一般的である。また、ウレタン防水材の性能はJIS規格(JIS A 6021)により、伸び率、引張り強度、耐熱性等の詳細な規格が制定されており、このJIS規格を満したものでないと、官公庁等には採用されないのは勿論、商品として認められないのが現状である。
また、近年ウレタン防水材は10年保証を要求されるのが一般的となってきており、初期性能だけでなく、耐久性能についても非常に重要視する必要がある。耐久性については紫外線劣化と熱・アルカリ劣化が主な劣化要因となるが、紫外線劣化についてはウレタン防水層の上に必ず塗布するトップコートにより保護されているため、トップコートの性能に依存するところが大きい。一方の熱・アルカリ劣化についてはウレタン防水材本体の性能に依存するため、ウレタン防水材を設計する上で非常に重要となる。熱劣化試験条件については、JIS A 6021では80℃で1週間、アルカリ劣化試験条件については、JIS A 6021では23℃で1週間の劣化処理と規定されているが、10年保証が要求されるのが当然となった昨今においては、より過酷な劣化試験条件での評価を行い実用上の安全性を考慮しているのが現状である。
現在2液型ウレタン防水材としては、夏季においても可使時間が確保しやすい穏やかな反応性を有していること、トップコートとの接着性が良好であること、またウレタン塗膜材のJISに適合した物性を得やすいことより、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン(以下「MOCA」ともいう。)を反応成分の主成分とした、MOCA架橋型防水材が汎用品として使用されている。MOCA架橋型防水材は、主剤としてトリレンジイソシアナート(以下「TDI」ともいう。)とポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを用い、硬化剤の反応成分としては前述の穏やかな反応性を有した芳香族ポリアミンであるMOCAを主成分とし、さらにポリオールを反応成分として併用し、ウレタン防水材に必要とされる伸び率や可使時間を調整したものである。しかし、MOCAの含有量が1質量%を超えた硬化剤については、以前より労働安全衛生法の特定化学物質として扱われ、施工時には作業主任者の選任および保護具の着用等が必要であり、さらにMOCAはIARC(国際がん研究機関)の発がん性評価ではグループ1(ヒトに対して発がん性を示す)に分類されるにいたっており、環境面からは使用を避けたい材料である。また、MOCA架橋型防水材では、硬化剤中の反応成分として末端2級アルコール(低反応性)であるポリプロピレンポリオール(以下「PPG」ともいう。)が併用されているが、ポリプロピレンポリオールを主剤のイソシアナート基と反応させるためには2−エチルヘキシル酸鉛のような有機鉛触媒が必要とされている。有機鉛触媒は低反応性である2級ポリオールとの反応を促進させ、水分との反応(炭酸ガス発生・発泡)をほとんど促進させないという選択性があり、夏季の高温多湿時においてもウレタン防水材の発泡性を抑制する効果が高いため、必須成分として常用されている。しかし、有機鉛触媒も世界的に使用が厳しく制限されつつある材料であり、化学物質排出把握管理促進法(通称PRTR法)の特定第一種指定化学物質となっており、環境面からはやはり使用を避けたい材料である。
一方、主剤は、分子中に2つのイソシアナート基を持ったTDIと、分子量400〜5000のポリプロピレンポリオールとをNCO/OH(当量比)が2.0〜2.2程度となるように配合し、100℃近辺に加熱して数時間反応させることにより生成される。TDIとしては、通常工業的に生産されている、2,4−TDIと2,6−TDIとが約80/20の質量比で存在するT−80(通称)を使用している。上記のような反応生成物は一般的にTDIプレポリマーと称しており、末端に反応性のイソシアナート基(NCO基)を3.3〜4.0質量%含有しており(NCO含有量)、未反応のTDIモノマー(遊離TDI)を2.0質量%程度含有するのが一般的である。従って、主剤についてもTDIモノマーが1質量%を超えて含有するため、労働安全衛生法上特定化学物質として扱われ、施工時には作業主任者の選任および保護具の着用等が必要となる。
以上のように、現在汎用的に使用されているMOCA架橋型防水材は多くの環境面での問題を抱えており、この問題を解決する防水材として、特許第3114557号公報に掲載されている、架橋剤として特定化学物質に該当しないジエチルトルエンジアミン(以下「DETDA」ともいう。)を主成分とするDETDA架橋型防水材も提案され、一部実用化されている。DETDA架橋型防水材は、MOCAよりもかなり反応性の高い芳香族アミンであるDETDAを架橋剤とするもので、冬季においても実質的には触媒を必要とせずに十分な硬化性を得ることが出来るという、MOCA架橋型防水材よりも優れた部分もある。しかし、DETDA架橋型防水材は、高反応性の芳香族ポリアミンを用いるため、本質的には夏季においての可使時間を確保することが難しく、汎用化の障害となっている。また、多量の可塑剤を配合することである程度可使時間を確保することはできるが、トップコートとの接着性低下や他材料への可塑剤の移行性が激しくなるといった問題が発生する。また、DETDA架橋型防水材は主剤に用いるTDIとして2,4−TDIがほぼ100質量%であるT−100(通称)を用いている。これはT−100より得られるプレポリマーの方がT−80を用いたものよりも可使時間を延長する効果があるためである。しかし、T−100は工業的には汎用TDIであるT−80の製造工程において分離・精製される特殊品であり、安定供給に問題がある。また、T−100の精製工程において副産物として2,4−TDIが約65質量%であるT−65(通称)も分別されるが、T−65自体の用途はあまりないのが現状である。
尚、特許第3445364号公報に掲載されている、高反応性であるDETDAと比較的穏やかな反応性の芳香族2級ポリアミンの4,4′−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン)(以下「エタキュア420」ともいう。)を併用し可使時間を確保するという技術もあるが、芳香族2級ポリアミンの使用は硬化性の低下と共に耐熱性や耐アルカリ性を極端に低下させ、機械的強度も低下させる傾向が知れており、多量に配合することは危険と思われている。尚、この技術もDETDAを主成分としているため、可使時間を延長させるために、主剤に用いるTDIは2,4−TDIが80質量%以上であることが好ましく、85%質量以上のものが最適であるとしており、特殊品であるT−100を主に用いる方法である。
特許第3114557号公報 特許第3445364号公報
本発明は、硬化剤中の反応成分としてDETDAを含む芳香族1級ポリアミンと芳香族2級ポリアミンを併用するウレタン防水材についてさらに検討を深めた結果、従来技術よりも芳香族2級ポリアミンの配合量が多い領域においても、耐熱性や耐アルカリ性に優れ、可使時間が確保できた上で速硬化性でもあり作業性に優れ、トップコートとの接着性も良好な、特定化学物質に該当しない汎用性のある2液型環境対応防水材を完成するに至った。
本発明は、トリレンジイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と、芳香族ポリアミンを反応成分として含む硬化剤とからなる2液型環境対応ウレタン防水材組成物であって、(1)主剤に含まれるポリオールの20当量%以上75当量%以下がジオールであり、(2)硬化剤に含まれる芳香族ポリアミンの25当量%以上60当量%未満がジエチルトルエンジアミンを含む芳香族1級ポリアミンであり、硬化剤に含まれる芳香族ポリアミンの40当量%超75当量%以下が一般式(1)
Figure 0006187964
〔式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜2の整数を示す。〕
で表される芳香族2級ポリアミンである、2液型環境対応ウレタン防水材組成物である。
本発明は、次の態様を含む。
[1]トリレンジイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と、芳香族ポリアミンを反応成分として含む硬化剤とからなる2液型環境対応ウレタン防水材組成物であって、(1)主剤に含まれるポリオールの20当量%以上75当量%以下がジオールであり、(2)硬化剤に含まれる芳香族ポリアミンの25当量%以上60当量%未満がジエチルトルエンジアミンを含む芳香族1級ポリアミンであり、硬化剤に含まれる芳香族ポリアミンの40当量%超75当量%以下が一般式(1)
Figure 0006187964
〔式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜2の整数を示す。〕
で表される芳香族2級ポリアミンである、2液型環境対応ウレタン防水材組成物。
[2]一般式(1)で表される芳香族2級ポリアミンが4,4′−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン)である、[1]に記載の2液型環境対応ウレタン防水材組成物。
[3]主剤のNCO含有率が2.0質量%以上3.5質量%未満であり、遊離トリレンジイソシアナート含有率が1質量%以下である、[1]または[2]に記載の2液型環境対応ウレタン防水材組成物。
[4]主剤に含まれるトリレンジイソシアナートの2,4−異性体含有率が65質量%以上85質量%未満である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の2液型環境対応ウレタン防水材組成物。
本発明の2液型環境対応ウレタン防水材は、トップコートとの接着性等ウレタン防水材に必要な性能と耐久性を備え、さらに十分な可使時間と速硬化性を有し施工性に優れており、使用原料面から汎用化が可能である。
先行技術では、硬化剤中の反応成分としてDETDAと一般式(1)で表される芳香族2級ポリアミンを併用した場合、DETDAの最適量は60〜90モル%であり、それよりも一般式(1)で表される芳香族2級ポリアミンが多くなると硬化性が遅くなりかつ塗膜がやや柔らかく強度が低下することが示唆されている。しかし、DETDAを60モル%以上使用した場合には、相当量の可塑剤を用いないと十分な可使時間を確保することは難しく、その結果としてトップコートとの接着性低下、物性低下、硬化性低下の傾向となってしまう。特に、主剤のイソシアネート成分として汎用品であるT−80を主に用いた場合には、可使時間が短くなる傾向があるため、さらに可使時間の確保が難しくなる。
この点についてさらに検討を深めた結果、以下の解決方法を見出すことができた。主剤として汎用TDIであるT−80を主に用いた場合には、DETDAを60当量%以上用いると可使時間の確保が難しくなり、60当量%未満とすることが必要となる。また、ウレタン防水材としての物性や耐久性を確保するためにはDETDAが25当量%以上であることが必要となり、物性面からは30当量%以上であることが好ましく、35当量%以上であることがより好ましい。
その場合、ウレタン防水材として必要とされる物性および耐熱性や耐アルカリ性といった耐久性を確保するためには、主剤のプレポリマーに用いるポリオールとしてジオールと官能基数が3以上のポリオールを、ジオールを20当量%以上75当量%以下の範囲で用いる必要があることが分かった。ジオールが75当量%超となると耐熱性や耐アルカリ性が低下し、ウレタン防水材に必要な耐久性が得られず、20当量%未満では防水材に必要とされる伸び率が得られない。尚、耐久性重視の面からはジオールが20当量%以上70当量%以下であることが好ましい。先行技術では、可使時間確保のためと思われるが主剤のプレポリマーに用いるポリオールとしてジオールを80当量%以上用いている。しかし、本発明のように主剤中の遊離TDIを1質量%以下にすることを目標にするためNCO含有量を比較的低く抑えた主剤を用いた場合には、従来技術のジオールを80当量%以上配合した主剤では耐熱性や耐アルカリ性といった耐久性が極端に低下してしまい実用が難しくなるため、官能基数が3以上のポリオールを多く配合して硬化物の網目構造を増やし、耐熱劣化や耐アルカリ劣化を防ぐ必要がある。
また、本発明では一般式(1)で表される芳香族2級ポリアミンを比較的多目に用いるため、可使時間を確保することは容易であるが、可使時間が長くとも速硬化性という特徴は損なわれない。この現象は一般式(1)で表される芳香族2級ポリアミンの使用量が多いほど効果的になる傾向があり、可使時間が80分程度でも10時間以内に硬化するという、非常に優れた作業性を得ることができる。さらに、一般式(1)で表される芳香族2級ポリアミンの配合量を多目にした配合により、トップコートの接着性が良好になることを見出した。トップコートとの接着性が悪いことは、DETDA架橋型防水材の大きな欠点であったが、本発明の範囲で一般式(1)で表される芳香族2級ポリアミンを用いることで良好にすることができる。その上、一般式(1)で表される芳香族2級ポリアミンを多目に用いることで可使時間を長くすることができるため、従来可使時間を延長させる目的で多量に用いてきた可塑剤を低減することができる。そのため、可塑剤の移行防止や他材料との接着性向上を達成することができる。
尚、可塑剤量は主剤中のプレポリマーに対し、20質量%〜90質量%の範囲で用いることが好ましく、20質量%未満では防水材としての物性のバランスをとることが難しく、90質量%を超えると可塑剤の移行性が激しくなりブリードアウト等も発生する。尚、可塑剤としては一般的にウレタン樹脂に用いる可塑剤を使用することができる。
一方、本発明では硬化剤に原則としてポリオール類を配合する必要はないが、微量のポリオール類により、物性の調整や湿潤性の調整等をすることはできる。また、本発明は触媒も原則として必要としないが、硬化性を調整するために使用することもできる。一般的な金属系触媒3級アミン系触媒、有機酸を使用することができるが、特に発泡性にあまり影響がなくウレア化を促進する効果があるオクチル酸等の有機酸化合物や、1−イソブチル−2−メチルイミダゾールのような1位と2位に置換基を有するイミダダゾール化合物が好ましく、硬化剤中に配合することができるし、施工現場で添加することもできる。尚、環境対応面より、有機酸鉛化合物を用いることは好ましくない。
本発明では、芳香族1級ポリアミンとしてDETDAを含む必要があるが、特定化学物質に該当しないその他の芳香族1級ポリアミンを併用することもできる。併用できる芳香族1級ポリアミンとしては、DETDAと同程度の高反応性で機械的強度が望める、イハラケミカル工業株式会社製のキュアハードMED(4,4′−メチレンビス(2−エチル−6−メチルアニリン))、日本化薬株式会社製のカヤハードAA(4,4′−メチレンビス(2−エチルアニリン))やカヤボンドC−300(4,4′−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン))等が使用できる。DETDA以外の芳香族1級ポリアミンを併用する場合、芳香族1級ポリアミンの少なくとも30質量%がDETDAであることが好ましく、より好ましくは少なくとも50質量%がDETDAであり、さらに好ましくは少なくとも75質量%がDETDAであり、最も好ましくは芳香族1級ポリアミンのすべてがDETDAである。また、DETDAには、2,4−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエン、2,6−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエンなどの異性体が存在するが、本発明においては、いずれの異性体を用いてもよく、またそれらの混合物を用いてもよい。工業品としては例えばアルベマール社製のエタキュア100(2,4−異性体/2,6−異性体の質量比約80/20)等の混合品が入手使用できる。
一般式(1)
Figure 0006187964
〔式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜2の整数を示す。〕
で表される芳香族2級ポリアミンとしては、具体的にはアルベマール社製のエタキュア420(4,4′−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン))(一般式(1)のR=sec−ブチル、n=0)や、日本化薬株式会社製のカヤボンドC−1100(4,4′−メチレンビス(N−メチルアニリン)主成分)(一般式(1)のR=メチル、n=0〜1)等が市販されているが、反応速度が穏やかであることよりエタキュア420が好ましい。
その他、ウレタン防水材に通常使用されている炭酸カルシウム等のフィラー類、湿潤剤、消泡剤、耐候性付与剤等の添加剤類を使用することができる。また、コロイダル炭酸カルシウム等の揺変剤を配合し、立面部用の防水材とすることもできる。
本発明は汎用性のある環境対応ウレタン防水材を目指すもので、主剤に汎用TDIであるT−80を用いることを中心に、遊離TDIを1質量%以下にして特定化学物質該当外することについて検討を行なった。その結果、主剤のNCO含有量を2.0質量%以上3.5質量%未満とすることが好ましく、2.2質量%以上3.3質量%以下とすることがより好ましいことが分かった。NCO含有率が3.5質量%以上では遊離TDIを1質量%以下とすることが難しくなり、2.0質量%未満ではウレタン防水材に必要とされる物性が得難くなる。さらに、主剤製造時のNCO/OH(当量比)を1.7〜2.1とすることが好ましく、1.8〜2.0の範囲とすることがより好ましい。2.1超では遊離TDI含有量を1質量%以下とすることが難しく、1.7未満では分子量が高くなり増粘するため施工性が悪くなる。また、イソシアナート基末端プレポリマーと遊離TDIの沸点差を利用して蒸留等の操作で遊離TDIを系外に除いて1質量%以下とすることも可能である。更に、溶剤あるいは可塑剤を配合し、プレポリマーを希釈した状態で遊離TDIを1質量%以下とすることでもかまわないが、この場合主剤中のプレポリマー含有量は施工面および物性面より90質量%以上であることが好ましい。
本発明において主剤プレポリマーに使用するTDIとしては、2,4−異性体含有率が65〜100質量%のものが使用できる。具体的には市販のT−100(2,4−異性体が約100質量%)、T−80(2,4−異性体が約80質量%)およびT−65(2,4−異性体が約65質量%)あるいはこれらの混合物が用いられる。一方、TDI中の2,4−異性体の含有率が65質量%未満になると可使時間の確保が難しくなるとともに、TDIプレポリマー中の遊離TDIを1質量%以下とすることが難しくなると思われ、現状は工業的にも入手できない。2,4−異性体由来のTDIプレポリマーは硬化剤中の活性水素との反応性が比較的穏やかであるため、可使時間を確保するためにはT−100が有利に使用できる。しかしながらT−100は汎用品ではない(T−80製造工程において分離・精製)ため、TDI中の2,4−異性体含有率について検討したところ、本発明の硬化剤と組み合わせることにより、意外にも2,4−異性体の含有率が65質量%〜85質量%未満の範囲のTDIを用いても十分な可使時間と速硬化性を有した、作業性に優れた環境対応型ウレタン防水材が得られることを見出した。具体的には市販のT−80およびT−65などが好ましく使用できる。さらにT−65も工業的には特殊品であるため、汎用化できる環境対応型ウレタン防水材組成物用のTDIとしては2,4−異性体の含有率が75質量%以上85質量%未満の範囲がより好ましく、具体的には市販のT−80が最も好ましい。
主剤プレポリマーに使用するポリオールとしてはポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、アルキルポリオール等従来使用されているポリオールを使用することができるが、可使時間確保の面からは低粘性のプレポリマーが提供できるポリオキシアルキレンポリオールを主成分とすることが好ましい。その中でも、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオールとポリオキシプロピレンポリオールの共重合物が好ましく、使用するポリオールの分子量の平均値は1500〜5000であることが好ましい。また、物性調整のために、サンニックスPP−400やニューポール(登録商標)BP−5Pのような比較的低分子量のポリオキシアルキレンポリオールあるいは、1,4−ブタンジオールや1,6−へキサンジオールのような低分子量ポリオールを配合することもでき、その中でも物性向上効果の面よりニューポール(登録商標)BP−5Pを用いることが好ましい。また、官能基数が3以上のポリオールとしては、グリセリンやトリメチロールプロパンを開始剤としてPOあるいはEOを付加した通常の3官能ポリオールやペンタエリスリトールやエチレンジアミン等を開始剤とした4官能ポリオール、ソルビトールを開始剤とした6官能ポリオール等が挙げられるが、伸び率保持の面より3官能ポリオールが好ましい。
尚、本発明では、23℃において、可使時間を50分以上確保した上で硬化時間が16時間以内であることを、可使時間が確保できしかも速硬化性の防水材であることの基準とした。23℃の可使時間が50分以上あれば、問題なく夏季の施工を行うことができ、硬化時間が16時間以内であれば夕方施工した場合でも翌朝には必ず硬化しているため、スムースに次工程に移れるという意味合いがある。
また、本発明の配合によるウレタン防水材は、比較的可使時間が長くとれて、より速硬化性の防水材となるため、常温において5時間前後で硬化させることも可能であり、1日に2回施工(重ね塗り)ができる防水材にもなる。また、5℃近辺の低温時においても翌朝には必ず硬化する防水材ともなるため、工期短縮に有効な施工性に優れた環境対応ウレタン防水材と言える。
尚、本発明では実用上の安全性を考慮し、JIS A 6021に規定されている劣化処理条件より厳しい試験条件で耐久性を評価した。具体的には、JIS A 6021に準じて、加熱処理の場合は80℃で1週間、アルカリ処理の場合は60℃(JIS A 6021では23℃)で1週間の劣化処理を実施した。そして、加熱処理後の引張強さ比が80%以上、破断時の伸び率が400%以上、アルカリ処理後の引張強さ比が60%以上、破断時の伸び率が400%以上であることを実用上十分な耐久性の基準とした。
原材料
以下の実施例および比較例で用いた原材料は、次のとおりである。
サンニックスGH−5000: ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量5054、OH価:33.3mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
サンニックスPP−2000: ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量1979、OH価56.7mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
ニューポールBP−5P: ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量537、OH価:209mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
コロネートT−80: 2,4−トリレンジイソシアナート/2,6−トリレンジイソシアナート=80/20(質量比)の混合物、NCO含有量48.3質量%、日本ポリウレタン工業株式会社製
コロネートT−100: コロネートT−100、2,4−トリレンジイソシアナート、NCO含有量48.3質量%、日本ポリウレタン工業株式会社製
MC−2000ソルベント: 石油系炭化水素溶剤、ノルマルパラフィン、イソパラフィン混合物、三協化学株式会社製
DETDA: エタキュア100、ジエチルトルエンジアミン、2,4−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエン/2,6−ジアミノ−3,5−ジエチルトルエン=80/20(質量比)の混合物、アルベマール社製
エタキュア420: 4,4′−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン)、芳香族2級ジアミン、アルベマール社製
DINP: サンソサイザーDINP、ジイソノニルフタレート、新日本理化株式会社製
ジオクチル錫ジラウレート: KS−1200A−1、共同薬品株式会社製
添加剤類: 楠本化成株式会社製
炭酸カルシウム: NS#100、NS#1000、日東粉化工業株式会社製
主剤の調製
製造例1(ジオール60当量%のイソシアナート基末端T−80系プレポリマー)
サンニックスPP−2000の202g、サンニックスGH−5000の459g、ニューポールBP−5Pの55g(当量比PP−2000/BP−5P/GH−5000=3/3/4)およびMC−2000ソルベントの72g(主剤の8質量%)にコロネートT−80の113g(当量比NCO/OH=1.90)を95℃〜105℃で8時間反応させ、NCO含有率が2.73質量%、遊離TDI含有率が0.87質量%のイソシアナート基末端TDI系プレポリマーを得た。
製造例2(ジオール50当量%のイソシアナート基末端T−80系プレポリマー)
サンニックスPP−2000の127g、サンニックスGH−5000の542g、ニューポールBP−5Pの52g(当量比PP−2000/BP−5P/GH−5000=2/3/5)およびMC−2000ソルベントの72g(主剤の8質量%)にコロネートT−80の106g(当量比NCO/OH=1.90)を95℃〜105℃で8時間反応させ、NCO含有率が2.59質量%、遊離TDI含有率が0.85質量%のイソシアナート基末端TDI系プレポリマーを得た。
製造例3(ジオール40当量%のイソシアナート基末端T−80系プレポリマー)
サンニックスPP−2000の118g、サンニックスGH−5000の604g、ニューポールBP−5Pの32g(当量比PP−2000/BP−5P/GH−5000=2/2/6)およびMC−2000ソルベントの45g(主剤の5質量%)にコロネートT−80の101g(当量比NCO/OH=1.95)を95℃〜105℃で8時間反応させ、NCO含有率が2.50質量%、遊離TDI含有率が0.68質量%のイソシアナート基末端TDI系プレポリマーを得た。
製造例4(ジオール80当量%のイソシアナート基末端T−80系プレポリマー)
サンニックスPP−2000の380g、サンニックスGH−5000の259g、ニューポールBP−5Pの62g(当量比PP−2000/BP−5P/GH−5000=5/3/2)およびMC−2000ソルベントの72g(主剤の8質量%)にコロネートT−80の127g(当量比NCO/OH=1.90)を95℃〜105℃で5.5時間反応させ、NCO含有率が3.11質量%、遊離TDI含有率が0.98質量%のイソシアナート基末端TDI系プレポリマーを得た。
製造例5(ジオール80当量%のイソシアナート基末端T−100系プレポリマー)
サンニックスPP−2000の380g、サンニックスGH−5000の259g、ニューポールBP−5Pの62g(当量比PP−2000/BP−5P/GH−5000=5/3/2)およびMC−2000ソルベントの72g(主剤の8質量%)にコロネートT−100の127g(当量比NCO/OH=1.90)を95℃〜105℃で3.5時間反応させ、NCO含有率が3.12質量%、遊離TDI含有率が0.98質量%のイソシアナート基末端TDI系プレポリマーを得た。
硬化剤の調製
表1および表2の配合に従って、金属容器に液物を仕込み、攪拌機(ディゾルバー羽根)で低速混合し均一にした後、炭酸カルシウムを配合し1500rpmで10分間混合して硬化剤を得た。
実施例1
DETDAの0.97質量部、エタキュア420の2.52質量部(当量比DETDA/エタキュア420=40/60)、DINPの27.84質量部に添加剤類2.07質量部および炭酸カルシウムNS#100の66.60質量部を加え、攪拌機(ディゾルバー羽根、1500rpm)で10分間混合して硬化剤を得た。この硬化剤と製造例1の方法で合成したジオール含有率60当量%、NCO含有率2.73質量%のイソシアナート基末端T−80系プレポリマー主剤を質量比2:1で混合しTDI系ウレタン防水材組成物を得た。
当該防水材組成物の23℃の可使時間は65分と十分に長く、23℃の硬化時間は8時間であり翌日施工が十分に可能であった。また硬化塗膜の初期物性、80℃1週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の物性、トップコート接着性はいずれも防水材として十分な性能を示した。
実施例2
DETDA、エタキュア420およびDINPを表1の配合量に変えた以外は実施例1と同様に行い、当量比DETDA/エタキュア420=40/60の硬化剤を得た。この硬化剤と製造例2の方法で合成したジオール含有率50当量%、NCO含有率2.59質量%のイソシアナート基末端T−80系プレポリマー主剤を質量比2:1で混合しTDI系ウレタン防水材組成物を得た。
当該防水材組成物の23℃の可使時間は64分、23℃の硬化時間は8.5時間であり実施例1と同等であった。硬化塗膜の初期物性は実施例1に比べてやや劣るものの、防水材として十分な性能を示した。更に、80℃1週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の引張強さ比は実施例1より向上しており、防水材として十分な性能を示した。
実施例3
DETDA、エタキュア420、DINP、添加剤類および炭酸カルシウムを表1の配合量に変えた以外は実施例1と同様に行い、当量比DETDA/エタキュア420=35/65の硬化剤を得た。この硬化剤と製造例3の方法で合成したジオール含有率40当量%、NCO含有率2.50質量%のイソシアナート基末端プレポリマー主剤を質量比2:1で混合しTDI系ウレタン防水材組成物を得た。
当該防水材組成物の23℃の可使時間は81分、23℃の硬化時間は7時間であり実施例1よりも可使時間が長く、硬化時間が短い作業性に優れた防水材が得られた。硬化塗膜の初期物性は防水材として十分な性能を示した。また、80℃1週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の引張強さ比は実施例1、2より向上しており、防水材として十分な性能を示した。
比較例1
DETDA、エタキュア420およびDINPを表1の配合量に変えた以外は実施例1と同様に行い、当量比DETDA/エタキュア420=40/60の硬化剤を得た。この硬化剤と製造例4の方法で合成したジオール含有率80当量%、NCO含有率3.11質量%のイソシアナート基末端プレポリマー主剤を質量比2:1で混合しTDI系ウレタン防水材組成物を得た。
当該防水材組成物の23℃の可使時間は65分、23℃の硬化時間は9.5時間であった。硬化塗膜の初期物性は、防水材として十分な性能を示したが、80℃1週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の引張強さ比は、実施例1に比べ劣化が激しく防水材としての耐久性能は不十分なものであった。
比較例2
製造例5の方法で合成したジオール含有率80当量%、NCO含有率3.12質量%のイソシアナート基末端T−100系プレポリマー主剤を使用した以外は比較例1と同様に行いTDI系ウレタン防水材組成物を得た。
当該防水材組成物の23℃の可使時間は77分、23℃の硬化時間は12時間であった。硬化塗膜の初期物性は、防水材として十分な性能を示したが、80℃1週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の引張強さ比は、実施例1に比べ劣化が激しく防水材としての耐久性能は不十分なものであった。
実施例4
DETDA、エタキュア420、ジオクチル錫ジラウレートの10質量%MC−2000溶液およびDINPを表2の配合量に変えた以外は実施例1と同様に行い、当量比DETDA/エタキュア420=30/70の硬化剤を得た。この硬化剤と製造例1の方法で合成したジオール含有率60当量%、NCO含有率2.73質量%のイソシアナート基末端プレポリマー主剤を質量比2:1で混合しTDI系ウレタン防水材組成物を得た。
硬化剤中のDETDA/エタキュア420当量比が実施例1の40/60から30/70となることにより、当該防水材組成物の23℃の可使時間は86分まで延長し、23℃の硬化時間は12時間とやや長くなるものの、翌日施工が十分に可能であった。硬化塗膜の初期物性、80℃1週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の引張強さ比は、実施例1に比べてやや劣るものの、防水材として十分な性能を示した。
実施例5
DETDA、エタキュア420、ジオクチル錫ジラウレートの10質量%MC−2000溶液およびDINPを表2の配合量に変えた以外は実施例1と同様に行い、当量比DETDA/エタキュア420=50/50の硬化剤を得た。この硬化剤と製造例1の方法で合成したジオール含有率60当量%、NCO含有率2.73質量%のイソシアナート基末端プレポリマー主剤を質量比2:1で混合しTDI系ウレタン防水材組成物を得た。
硬化剤中のDETDA/エタキュア420当量比が実施例1の40/60から50/50となることにより、当該防水材組成物の23℃の可使時間は52分とやや短くなるものの、23℃の硬化時間は7時間であり、翌日施工が十分に可能であった。硬化塗膜の初期物性、80℃1週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の物性は、防水材として十分な性能を示した。
比較例3
DETDA、エタキュア420、ジオクチル錫ジラウレートの10質量%MC−2000溶液およびDINPを表2の配合量に変えた以外は実施例1と同様に行い、当量比DETDA/エタキュア420=15/85の硬化剤を得た。この硬化剤と製造例1の方法で合成したジオール含有率60当量%、NCO含有率2.73質量%のイソシアナート基末端プレポリマー主剤を質量比2:1で混合しTDI系ウレタン防水材組成物を得た。
硬化剤中のDETDA/エタキュア420当量比が実施例1の40/60から15/85となることにより、当該防水材組成物の23℃の可使時間は129分と長くなるものの、23℃の硬化時間は15時間まで延長し、気温の低い冬季においては翌日施工が難しい硬化性となった。また、硬化塗膜の初期物性は引張強さおよび引裂き強さがJIS規格を満たしていなかった。更に、80℃1週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の引張強さ比は、実施例1に比べ劣化が激しく防水材としての耐久性能は不十分なものであった。
比較例4
DETDA、エタキュア420、ジオクチル錫ジラウレートの10質量%MC−2000溶液およびDINPを表2の配合量に変えた以外は実施例1と同様に行い、当量比DETDA/エタキュア420=70/30の硬化剤を得た。この硬化剤と製造例1の方法で合成したジオール含有率60当量%、NCO含有率2.73質量%のイソシアナート基末端プレポリマー主剤を質量比2:1で混合しTDI系ウレタン防水材組成物を得た。
硬化剤中のDETDA/エタキュア420当量比が実施例1の40/60から70/30となることにより、当該防水材組成物の23℃の可使時間は32分と短くなり気温の高い夏季などは作業性に問題が生ずると思われた。また、トップコート接着性も悪く防水材として不適であった。
なお、各評価項目の測定方法は次のとおりである。
[NCO(質量%)]
200mLの三角フラスコに主剤約1gを精秤し、これに0.5Nジ−n−ブチルアミン(トルエン溶液)10mL、トルエン10mLおよび適量のブロムフェノールブルーを加えた後メタノール約100mLを加え溶解する。この混合液を0.25N塩酸溶液で滴定する。NCO(質量%)は以下の式によって求められる。
NCO(質量%)=(ブランク滴定値−0.5N塩酸溶液滴定値)×4.202×0.25N塩酸溶液のファクター×0.25÷サンプル重量
[遊離TDI量(質量%)]
主剤をナス型フラスコに20g精秤し、イソアミル安息香酸を100mL加えて溶解させ、ロータリーエバポレーターによって蒸留する(イソアミル安息香酸とTDIを共沸させる)。蒸発がとまったところでイソアミル安息香酸を50mL追加してさらに蒸留する。回収した蒸留分に0.5Nジ−n−ブチルアミン(トルエン溶液)10mLとトルエン10mLを加え、0.25N塩酸溶液で滴定する。遊離TDI量は以下の式によって求められる。
遊離TDI量(質量%)=[(ブランク滴定値−回収した蒸留分の滴定値)×0.25N塩酸溶液のファクター×0.25÷(主剤重量×TDI1gあたりの当量)]×100
[可使時間(分)]
23℃、湿度50%の空気循環型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合開始から、BH型粘度計で2rpmにおける粘度が60,000mPa・sになるまでの時間を測定した。
[硬化性(23℃)]
23℃、湿度50%の空気循環式型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合した防水材を2kg/m塗布し、完全に硬化しており靴で歩行できる状態になるまでの時間を硬化時間とした。
[引張強さ(N/mm)]
JIS A 6021に基づいて測定を行った(JIS規格では引張強さは2.3N/mm以上)。
[破断時の伸び率(%)]
JIS A 6021に基づいて測定を行った(JIS規格では破断時の伸び率は450%以上)。
[引裂き強さ(N/mm)]
JIS A 6021に基づいて測定を行った(JIS規格では引張強さは14N/mm以上)。
[硬度(デュロメーター)]
JIS K 7312に基づいて測定を行った。
[加熱処理後の引張強さ比(%)と破断時の伸び率(%)]
JIS A 6021に基づいて行い、処理前に対する引張強さ比(%)および破断時の伸び率(%)を求めた。
[アルカリ処理後の引張強さ比(%)と破断時の伸び率(%)]
処理条件を60℃、1週間(JIS A 6021では23℃で1週間)に変えた以外は、JIS A 6021に基づいて行い、処理前に対する引張強さ比(%)および破断時の伸び率(%)を求めた。
[トップコート接着性]
23℃、湿度50%の空気循環型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合した防水材を2kg/m塗布した。その3日後、トップコート(OTコートQ、田島ルーフィング株式会社製)を0.15kg/m塗布した。さらにその翌日、接着性試験を行った。接着試験は、トップコート面を2mmの碁盤目(25マス)にカットした部分を、ゴムベラ先端を厚さ5mmにカットした角の部分で10往復(5cm巾で移動)こすった後のトップコートの剥れを観察するラビング試験で行った。
評価○:全く剥れない。
評価○△:10%以下剥れるが実用上問題ない。
評価△:一部分(30%以下)剥れる。
評価×:30%以上剥れる。
Figure 0006187964
Figure 0006187964
本発明の2液型環境対応ウレタン防水材組成物は、速硬化性防水材として、建築物の屋上やマンション等の集合住宅のベランダ等の防水に好適に使用することができる。

Claims (3)

  1. トリレンジイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と、芳香族ポリアミンを反応成分として含む硬化剤とからなる2液型環境対応ウレタン防水材組成物であって、(1)主剤に含まれるポリオールの20当量%以上75当量%以下がジオールであり、(2)硬化剤に含まれる芳香族ポリアミンの25当量%以上60当量%未満がジエチルトルエンジアミンを含む芳香族1級ポリアミンであり、硬化剤に含まれる芳香族ポリアミンの40当量%超75当量%以下が一般式(1)
    Figure 0006187964
    〔式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜2の整数を示す。〕
    で表される芳香族2級ポリアミンであり、主剤のNCO含有率が2.0質量%以上3.3質量%以下であり、主剤の遊離トリレンジイソシアナート含有率が1質量%以下である、2液型環境対応ウレタン防水材組成物。
  2. 一般式(1)で表される芳香族2級ポリアミンが4,4′−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン)である、請求項1に記載の2液型環境対応ウレタン防水材組成物。
  3. 主剤に含まれるトリレンジイソシアナートの2,4−異性体含有率が65質量%以上85質量%未満である、請求項1または2に記載の2液型環境対応ウレタン防水材組成物。
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