JP6187522B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用空調装置に関し、特に、車室のセンタコンソール内に設けられた後席用の空調装置に関する。
従来、自動車等の車両は、車室内の温度を調節するために、車両前方のインストルメントパネル内に空調ユニットを搭載している。この空調ユニットは、一般に、モータによって駆動されるブロアによって取り込んだ空気をエバポレータやヒータコア等の熱交換器によって冷却または加熱し、冷風、暖風またはこれらの混合風として、インストルメントパネルに設けられた吐気口から車室内に送風するように構成されている。
一方で、近年、例えばSUV(Sport Utility Vehicle)等の大きな車体を持つ車両が広く使われている。このような車両は、室内空間が大きいので後席までは空調が行き届き難い。
これに関連して、例えば特許文献1には、インストルメントパネル内の空調ユニットのエバポレータとヒータコアの間に、後席空調用ダクトの端部を接続し、ヒータコアを通過前の冷風を後部空調用ファンを介して後席に導くことによって、後席を効率良く冷房できるようにした空調装置が開示されている。また、例えば特許文献2には、エバポレータが略垂直状に配置された空調ユニットにおいて、車両用冷温蔵庫への通路が開口する位置を工夫することで、インストルメントパネル内の空調ユニットを小型化する技術が開示されている。
特開2008−081024号公報 特開2006−088842号公報
しかしながら、特許文献1に開示された空調装置では、インストルメントパネル内の空調ユニットの熱交換器を前席と後席で共用しており、一般に熱交換器はサイズが大きいほど冷却または加熱能力が高いので、インストルメントパネル内の限られたスペースに配置可能なサイズの熱交換器を有する空調ユニットでは、SUV等の車体の大きな車両の場合には、後席への空調風の温度を十分に調整することが難しい。
このような場合にも後席への空調風の温度を十分に調整可能とするためには、インストルメントパネル内に配設される空調ユニットとは別に、熱交換器を備えた後席用の空調ユニットをインストルメントパネルから車両後方に延びるセンタコンソール内に設けることが考えられる。
しかし、一般にセンタコンソールは、左右をシートに挟まれ、下方の車体フロア面にはセンタトンネルが上方に隆起し、上面にはシフトレバーやスイッチ類、物入れ、アームレスト等の様々なものが併設されている。そのため、センタコンソール内に空調ユニットを単に配設するだけでは、これを収容するセンタコンソールが大型化して車室内の居住性が低下するおそれがある。
そこで、センタコンソール内に空調ユニットをコンパクトに収容する必要があるが、特許文献2に開示された空調ユニットでは、エバポレータが略垂直状に配置されているので、エバポレータのサイズがセンタコンソール内の空間の高さに制限され、その冷房性能が低下するおそれがある。
また、空調ユニットは、これに設けられた複数の固定部を介して車体フロア面に固定することが考えられるが、この固定部が空調ユニットから車幅方向に大きく突設していると、この空調ユニット全体を内部に収容するセンタコンソールが車幅方向に広くなり、運転席及び助手席の居住性が低下するおそれがある。さらに、空調ユニットの固定部を設ける位置が適切でないと、その固定が不安定になり、ブロアやその駆動用モータの振動が空調ユニットから車体に伝達して車室内の騒音となったり、エンジン音や路面からの走行音等の騒音が車体フロア面との密着が不十分な部分から車室内に侵入するおそれがある。
そこで、本発明は、前席の居住性を低下させず、車室内の騒音を抑制しながら、後席への空調風の温度を十分に調整することができる空調ユニットを備えた車両用空調装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明は、
車体フロア面に設けられたトンネル部の上面に車両前後方向に延びるように配設され、かつ、ブロアと該ブロアを駆動するモータとが車幅方向に互いに対向して設けられると共に、前記ブロア及び前記モータの後方に熱交換器が設けられた空調ユニットを有する車両用空調装置であって、
前記空調ユニットは、車体に固定するための複数の固定部を備え、
前記固定部は、前記モータ側の側部における前記モータと前記熱交換器との間に設けられた第1固定部と、前記モータ側の側部における後端部に設けられた第2固定部と、前記ブロア側の側部に設けられた第3固定部と、を有し、
前記空調ユニットの熱交換器には、前記トンネル部の上面に設けられた開口部を通るパイプが接続される共に、
前記開口部の周囲には、シール部材が配設されており、
該シール部材は、前記第1固定部または前記第2固定部の少なくともいずれか一方と前記第3固定部における車体への固定により、前記空調ユニットの底面と前記トンネル部の上面との間に挟み付けられた
ことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の車両用空調装置において、
前記開口部は、前記第1乃至第3固定部を結ぶ領域内に中心が位置するように設けられた
ことを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、
車体フロア面に設けられたトンネル部の上面に車両前後方向に延びるように配設され、かつ、ブロアと該ブロアを駆動するモータとが車幅方向に互いに対向して設けられると共に、前記ブロア及び前記モータの後方に熱交換器が設けられた空調ユニットを有する車両用空調装置であって、
前記空調ユニットは、車体に固定するための複数の固定部を備え、
前記固定部は、前記モータ側の側部における前記モータと前記熱交換器との間に設けられた第1固定部と、前記モータ側の側部における後端部に設けられた第2固定部と、前記ブロア側の側部に設けられた第3固定部と、を有し、
前記熱交換器より後方の通風路は、前記熱交換器より前方の通風路に対し、前記ブロア側の側面が前記モータ側にオフセットされており、
前記第3固定部は、前記熱交換器より後方の前記ブロア側の側面に設けられた
ことを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の車両用空調装置において、
前記ブロアから前記熱交換器までの通風路は、前記モータ側の側面がブロアから熱交換器に向けてモータ側に拡大するように設けられた
ことを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の車両用空調装置において、
前記空調ユニットにおける前記熱交換器より後方の前記ブロア側の側面には、エアミックスドアを駆動するための駆動機構と、空調ユニットに対する流体給排出用のパイプと、が配設された
ことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、前記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両用空調装置において、
前記空調ユニットは、前記モータ側の側部における前記モータと前記熱交換器との間に設けられた凹設部を備え、
前記第1固定部は、前記凹設部に設けられている
ことを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車両用空調装置において、
前記固定部は、空調ユニットにおける前記モータ側の側部の前端部に設けられた第4固定部をさらに有し、
前記第1、第2、第4固定部及び前記モータは、車幅方向の略同一位置に設けられた
ことを特徴とする。
上記の構成により、本願の請求項1及び請求項3に記載の発明によれば、空調ユニットは、車体に空調ユニットを固定するための固定部として、空調ユニットのモータ側の側部におけるモータと熱交換器との間に設けられた第1固定部と、空調ユニットのモータ側の側部における後端部に設けられた第2固定部と、空調ユニットのブロア側の側部に設けられた第3固定部と、を有するので、空調ユニットにおいて比較的質量が大きく、その回転が振動発生源となり得るモータの近接位置を第1〜3固定部、特に第1固定部で固定することで、空調ユニット全体の振動をより効果的に抑制することができる。
したがって、本発明によれば、車室内の騒音を抑制しながら、この空調ユニットに設けられた後席空調用の熱交換器によって、後席への空調風の温度を十分に調整することができる。
また、請求項1に記載の発明によれば、空調ユニットの熱交換器には、トンネル部の上面に設けられた開口部を通るパイプが接続されている共に、開口部の周囲には、シール部材が配設されており、シール部材は、ブロア側の固定部とモータ側の固定部における空調ユニットの車体への固定により、空調ユニットの底面とトンネル部の上面との間に挟み付けられているので、空調ユニットを車体へ上方からボルト締結等によって固定する際に、シール部材の組付けも同時に行うことができ、空調ユニットの組付け作業性が向上する。
また、請求項2に記載の発明によれば、開口部は、第1乃至第3固定部を結ぶ領域内に中心が位置するように設けられているので、第1乃至第3固定部における固定により、該開口部の周囲にあるシール部材を全周に渡って圧縮することができ、開口部の周囲をより確実にシールすることができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、熱交換器より後方の通風路は、ブロア側の側面が熱交換器より前方の通風路の対応する側面に対して車幅方向のモータ側にオフセットされており、第3固定部は、空調ユニットにおける熱交換器より後方のブロア側の側面に設けられているので、第3固定部が空調ユニット本体のブロア側の側面から車幅方向に突出せず、熱交換器より後方部分の車幅方向寸法の増大を抑制することができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、ブロアから熱交換器までの通風路は、モータ側の側面がブロアから熱交換器に向けてモータ側に拡大するように設けられているので、ブロアから熱交換器までの通風路によって、熱交換器より後方の通風路のオフセットに対応した気流を形成することができる。
また、請求項5に記載の発明によれば、空調ユニットにおける熱交換器より後方のブロア側の側面には、エアミックスドアを駆動するための駆動機構と、空調ユニットに対する流体給排出用のパイプと、が配設されているので、熱交換器より後方部分の車幅方向寸法の増大を抑制することができる。
請求項6に記載の発明によれば、第1固定部が凹設部に設けられており、空調ユニット本体のモータ側の側面から車幅方向に突出しないので、熱交換器より前方部分の車幅方向寸法の増大を抑制することができる。
また、請求項7に記載の発明によれば、固定部は、空調ユニットにおけるモータ側の側部の前端部に設けられた第4固定部をさらに有し、第1、第2、第4固定部及びモータは、車幅方向で略同一位置に設けられているので、第4固定部が空調ユニット本体のブロア側の側面から車幅方向及び前側の側面から車両前方向に突出せず、空調ユニットの車幅方向及び車両前後方向の寸法増大を抑制することができる。
本発明の実施形態に係る車両用空調装置が設けられたセンタコンソールの斜視図である。 センタコンソールの車両前後方向での縦断面図である。 空調ユニットの主要な構成を示す車両前後方向の縦断面図である。 同空調ユニットの右側面図である。 同空調ユニットの平面図である。 同空調ユニットの底面図である。 同空調ユニット下方の車体フロア面の平面図である。
以下、本発明を適用した車両用空調装置の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、図中に適宜記す矢印F、Rは車両前後方向の前方向、後方向をそれぞれ示す。
本実施形態の車両用空調装置は、FR(フロントエンジン−リヤドライブ)車または四輪駆動車等の乗用車における車室内のセンタコンソール内に設けられるものであり、このセンタコンソールの構造を図1に示す。
車室内には、左右前席の運転席と助手席(図示しない)を隔てるように、前方のダッシュボード(図示しない)の下部から後方(図中矢印R)に向かって延びるセンタコンソール1が設けられている。
本実施形態の場合、図1に示すように、車体フロア面2の車幅方向中央部には、車両前後方向に延びるプロペラシャフトや排気管等(図示しない)を内側に収容するためのセンタトンネル3が上側に凸状をなして設けられており、センタコンソール1は、このセンタトンネル3に沿ってその上部に設けられている。
センタコンソール1は、下方に開口し、センタトンネル3の上面との間に空間を備えた箱状の収納部分である。
センタコンソール1の上面の前方(矢印F)には、車両の変速操作を行うことが可能なシフト装置4のシフトレバー部4aが突出して設けられており、該シフトレバー部4aの後方には、ナビゲーション等の車両搭載機器を操作するための操作スイッチ5が装着されている。
また、センタコンソール1の上面において、操作スイッチ5の後方には、カップやボトル等を収納するための左右2つのカップホルダ6が一体的に形成されている。
また、センタコンソール1の上面において、カップホルダ6の後方には、小物を収納するための前席用の小物入れ7が設けられている。この小物入れ7は、センタコンソール1の上面に一体的に形成された上方に開口する収納部7aと、センタコンソール1にヒンジ結合され、収納部7aの開口部を開閉するための開閉リッド7bと、を有している。開閉リッド7bは、閉じられた状態でその上面部が運転席または助手席に着座した前席乗員のアームレストとなるように構成されている。なお、図1、図2は、閉じられた状態の開閉リッド7bを示している。
さらに、小物入れ7の後方にあるセンタコンソール1の背面の上方には、後述する後席用のリヤ空調ユニット10を後席乗員が操作するためのリヤ空調スイッチ8が装着されており、該空調スイッチ8の下方には、リヤ空調ユニット10からの空調風が車室に吐出される吐出口9が設けられている。
図2に示すように、上述のセンタコンソール1の内部には、車体フロア面2に設けられたセンタトンネル3の上面に車両前後方向に延びるように設けられたリヤ空調ユニット10と、該リヤ空調ユニット10の空調風を後方へ案内する空調ダクト11、12と、が設けられている。
リヤ空調ユニット10は、その主要部を構成するユニット本体20を備える。ユニット本体20は、車室内から取り込んだ空気を下流に送風するための送風部20aと、送風された空気を冷却または加熱することにより、冷風、暖風またはこれらの混合風である空調風とする空調部20bと、空調風を後席に吐出するための吐出部20cと、により一体的に構成されている。
シフト装置4は、その下方においてセンタトンネル3上に設けられた台座部13によって支持され、該台座部13を介して車体フロア面2に固定されている。台座部13は、その下方の空間にリヤ空調ユニット10の送風部20aが収容されるように構成されている。
次に、リヤ空調ユニット10の内部構造について、図3から図6を参照しながら詳細に説明する。なお、図3は、図5のリヤ空調ユニット10のB−B断面での断面図を示す。
図3に示すように、リヤ空調ユニット10は、その車両前方(矢印F)にある送風部20aに、ブロア21と、該ブロア21を回転駆動するブロアモータ22と、を備えている。図5に示すように、ブロア21とブロアモータ22は、車幅方向に互いに対向して設けられている。なお、以下の説明では、車幅方向において、ブロア21が設けられている側を「ブロア側」、これと反対にブロアモータ22が設けられている側を「モータ側」という。
ブロア21は、車幅方向の軸周りを回転し、円周方向に多数のフィンが設けられ、該フィンの回転により半径方向に空気を押し出す遠心式ファン21aと、該ファン21aの外周及び一側面を覆う渦巻状のスクロールケース21bと、を備える。
ブロアモータ22は、ブロア21のスクロールケース21bの背面に取り付けられており、ファン21aの回転軸と同軸上に配置された出力軸(図示しない)を備え、該出力軸は、その回転トルクがファン21aに伝達されるように、スクロールケース21bの背面から内部に挿通され、ファン21aの回転軸と連結されている。また、ブロアモータ22は、略円柱状の外形を有し、ブロア21のスクロールケース21bよりも外径が小さい。さらに、ブロアモータ22は、空調スイッチ8の風量操作に応じて、その回転速度を制御できるように構成されている。
リヤ空調ユニット10は、送風部20aの後方の空調部20bに、液冷媒を霧状に噴射するエキスパンションバルブ23と、冷却用熱交換器として、エキスパンションバルブ23によって霧状に噴射された冷媒の気化熱によって空気を冷却するエバポレータ24と、を備えている。なお、特許請求の範囲における請求項1の「熱交換器」は、このエバポレータ24に相当する。
エバポレータ24は、その上端部24aが前上方に傾斜する、すなわち、その上端部24aが上流側(前方F)に、その下端部24bが下流側(後方R)に寄るように車両前後方向に傾いた姿勢で配置されている。
エバポレータ24の上端部24aと下端部24bには、注入された冷媒を各チューブに分流するための上方側及び下方側タンクが設けられ、これらタンクの間には、内部を冷媒が流通し、外表面に多数のフィン(図示しない)が接合された複数のチューブ(図示しない)が設けられており、エバポレータ24は、このフィン間を流通する空気が該チューブ内で蒸発する冷媒によって冷却されるように構成されている。
エキスパンションバルブ23は、コンプレッサ(図示しない)から高温高圧に圧縮された液冷媒を供給するための冷媒供給パイプ25と、冷媒を排出するための冷媒排出パイプ26と、が接続されている。また、エバポレータ24は、その冷媒流路の入口と出口がエキスパンションバルブ23と連結パイプ23a、23bを介してそれぞれ接続されている。
上述の構成によれば、コンプレッサから冷媒供給パイプ25を介してエキスパンションバルブ23に供給された液冷媒は、エキスパンションバルブ23によって霧状に噴射され、連結パイプ23aを介してエバポレータ24に供給される。エバポレータ24に供給された霧状の冷媒は、チューブ内で空気と熱交換することによって気化する。エバポレータ24のチューブ内で気化したガス冷媒は、連結パイプ23bと冷媒排出パイプ26を介してコンプレッサに戻され、コンプレッサで高温高圧に圧縮され、凝縮器(図示しない)で冷却及び液化されてレシーバ(図示しない)に一旦貯留される。貯留された液冷媒は、レシーバからエキスパンションバルブ23及びエバポレータ24へ再び供給される。
リヤ空調ユニット10は、エバポレータ24より前方に、スクロールケース21bの吹出口21dから吹き出された空気をエバポレータ24まで案内するための前方通風路27が設けられている。
図5に示すように、前方通風路27は、モータ側の側面27bがブロア21からエバポレータ24に向けてモータ側に拡大するように設けられている。
リヤ空調ユニット10は、エバポレータ24より後方に、エバポレータ24によって冷却された空気を後述するエアミックスドア34まで案内するための後方通風路29が設けられている。図5に示すように、後方通風路29は、そのブロア側の側面29aが、前方通風路27のブロア側の側面27bよりもモータ側にオフセットされている。
リヤ空調ユニット10は、エバポレータ24の下流側に、加熱用熱交換器として、内部を流通するエンジン冷却水との熱交換により、エバポレータ24を通過してきた空気を再加熱するためのヒータコア30を備えている。
ヒータコア30には、エンジン(図示しない)で暖められて温水となった冷却水をこのヒータコア30に供給するための給水パイプ31と、空気の加熱に用いた冷却水をヒータコア30からラジエータ側に排出するための排水パイプ32と、が接続されている。
リヤ空調ユニット10は、ヒータコア30の上方に、ヒータコア30を迂回して空気を下流側へ案内するためのバイパス通路33が形成されている。
リヤ空調ユニット10は、ヒータコア30を通過して加熱される温風と、ヒータコア30を迂回してバイパス通路33を通過する冷風との流量比率を調節するためのエアミックスドア34を備えている。
エアミックスドア34は、車幅方向の軸34aの周りを所定の角度範囲で回動可能な平板状の回動式ドアであり、その角度に応じて流量比率を変更することができる。
エアミックスドア34は、図4に示すように、リヤ空調ユニット10におけるエバポレータ24より後方のブロア側の側面に配設された駆動機構35によって所望の角度となるように回動される。駆動機構35は、空調スイッチ8での温度操作に応じて、その回動する角度が制御できるように構成されている。
リヤ空調ユニット10は、空調部20bの下流側にある吐出部20cに、空調風を後席の上方へ吐出するための上方吐出口36と、空調風を後席の下方へ吐出するための下方吐出口37と、上方吐出口36と下方吐出口37から吐出される空調風の流量比率を変更するためのモードドア38と、を備えている。
モードドア38は、車幅方向の軸38aの周りを回動可能な平板状の回動式ドアであり、その角度に応じて流量比率を変更することができる。図3に示すように、モードドア38が角度dを向くとき、上方吐出口36から吐出される空調風の流量比率が最大となり、角度eを向くとき、下方吐出口37から吐出される空調風の流量比率が最大となる。
図4に示すように、モードドア38は、リヤ空調ユニット10におけるエバポレータ24より後方のブロア側の側面に配設された駆動機構39によって所望の角度となるように回動される。駆動機構39は、空調スイッチ8における上方吐出口36から吹き出すフェイスモード、下方吐出口37から吹き出すフットモード等の吐出口モードの切り替え操作に応じて、その回動する角度が制御できるように構成されている。
次に、リヤ空調ユニット10の車体フロア面2への組付け構造について、図5を参照しながら説明する。
リヤ空調ユニット10は、ユニット本体20を車体フロア面2のセンタトンネル3の上面に固定するための複数の第1〜4固定部41〜44を備えており、これら固定部41〜44はユニット本体20に一体的に設けられている。
図5に示すように、ブロアモータ22の外径がブロア21のスクロールケース21bの外径よりも小さいので、平面視において、モータ側の側部におけるブロアモータ22とエバポレータ24との間には凹設部20dがあり、該凹設部20dに第1固定部41が設けられている。第1固定部41は、凹設部20dに設けられているので、ユニット本体20のモータ側の側面から車幅方向外側に向けて突出しないように構成されている。
また、第2固定部42は、モータ側の側部の後端部に設けられており、ユニット本体20のモータ側の側面から車幅方向外側に向けて突出しないように構成されている。
また、第3固定部43は、ブロア側の側部であって、車両前後方向において第1固定部41と第2固定部42の間、好ましくは、エバポレータ24より後方の通風路におけるブロア側の側面であって、エバポレータ24より前方の通風路の対応する側面に対して車幅方向のモータ側にオフセットされている部分に設けられている。
また、第4固定部44は、モータ側の側部の前端部に設けられており、ユニット本体20のモータ側の側面から車幅方向外側に向けて突出しないように構成されている。
上述の第1、第2、第4固定部41、42、44及びブロアモータ22は、車幅方向で略同一位置に設けられている。
図6に示すように、リヤ空調ユニット10のユニット本体20は、その底面20eに、ウレタン等の弾性部材からなるシート状のシール部材45を備えている。シール部材45には、各種パイプ25、26、28、31、32を通すための複数の貫通穴45a〜45dが形成されている。
ここで、車体フロア面2のセンタトンネル3の上面について、図7を参照しながら説明する。
図7に示すように、センタトンネル3の上面には、リヤ空調ユニット10を支持するための支持部材14〜17が立設して固定されている。各支持部材14〜17は、センタトンネル3の上面においてリヤ空調ユニット10の各固定部41〜44に対応する位置に設けられており、その中心線が鉛直方向を向いたスタッドボルト14a〜17aをそれぞれ有している。
また、センタトンネル3の上面において、リヤ空調ユニット10のシール部材45と対向するシール面部3aには、車室外に開口された複数の開口部3b〜3eが設けられている。各種パイプ25、26、28、31、32は、これら開口部3b〜3eを介して車室外に延びている。
上述のリヤ空調ユニット10は、各固定部41〜44と対応する支持部材14〜17とをナット等の締結手段46によって上方から固定することにより、センタトンネル3の上面に固定される。
リヤ空調ユニット10を支持部材14〜17を介してセンタトンネル3の上面に上方から固定すると、シール部材45は、リヤ空調ユニット10の底面20eとセンタトンネル3のシール面部3aとの間に挟み付けられる。このとき、センタトンネル3の上面の開口部3b〜3eの周囲にシール部材45が圧縮された状態で配設されているので、開口部3b〜3eの周囲はシールされた状態となる。
なお、センタトンネル3の上面の開口部3b〜3eは、シール性を向上させるため、支持部材17を開口部3b〜3eの側方に設け、平面視で支持部材14〜17のスタッドボルト14a〜17a(第1乃至第3固定部41〜43)の中心同士を直線で結んで囲まれた三角形の領域S内に、各開口部3b〜3eの中心が位置するように設けるのが好ましい。
次に、センタコンソール1内でのリヤ空調ユニット10の配置について、図2を参照しながら説明する。
図2に示すように、リヤ空調ユニット10は、センタトンネル3の上面と、シフト装置4、操作スイッチ5、カップホルダ6、小物入れ7及び操作スイッチ8の下面との間の空間Aに収容されるように構成されている。
本実施形態では、リヤ空調ユニット10のエバポレータ24は、その上端部24aが空調ユニット10の上面から上方に突出して設けられていると共に、その下端部24bがカップホルダ6の下方に設けられ、エバポレータ24全体として、その上端部24aが上流側(前方F)に、その下端部24bが下流側(後方R)に傾斜するように配置されている。この上端部24aは、車両前後方向において台座部13とカップホルダ6の間に配置されているので、カップホルダ6の下端部6aよりも上方に位置しているが、カップホルダ6の下端部6aとは干渉していない。また、上端部24aの上方には、比較的サイズが小さい操作スイッチ5が設けられている。
上述のように、ブロア21を台座部13の内方に格納し、エバポレータ24の上端部24aとカップホルダ6の前後方向の位置をずらして配置することで、エバポレータ24とカップホルダ6と小物入れ7の高さ方向のスペースを確保しながら、リヤ空調ユニット10を車両前後方向の長さの増加を抑えることができる。また、エバポレータ24を傾斜して配置しているので、冷却能力を高めるためにエバポレータ24を大型化しても、リヤ空調ユニット10の高さの増加を抑えることができる。さらに、エバポレータ24の上端部24aが前方に傾斜しているので、カップホルダ6及び小物入れ7をより前方の使い勝手がよい位置に配設することができる。
以上のように、本実施形態によれば、空調ユニット10は、モータ側の側部におけるブロアモータ22とエバポレータ24との間に設けられた凹設部20dを有すると共に、車体にリヤ空調ユニット10を固定するための固定部41〜44として、リヤ空調ユニット10の凹設部20dに設けられた第1固定部41と、リヤ空調ユニット10のモータ側の側部における後端部に設けられた第2固定部42と、リヤ空調ユニット10のブロア側の側部に設けられた第3固定部43と、を有するので、リヤ空調ユニット10において比較的質量が大きく、その回転が振動発生源となり得るブロアモータ22の近接位置を第1〜3固定部41〜43、特に第1固定部41で固定することで、リヤ空調ユニット10全体の振動をより効果的に抑制することができる。
また、本実施形態によれば、第1固定部41が凹設部20dに設けられており、ユニット本体20のモータ側の側面から車幅方向に突出しないので、エバポレータ24より前方部分の車幅方向寸法の増大を抑制することができる。
したがって、本実施形態によれば、前席の居住性を低下させず、車室内の騒音を抑制しながら、リヤ空調ユニット10に設けられた後席空調用のエバポレータ24及びヒータコア30によって、後席への空調風の温度を十分に調整することができる。
また、本実施形態によれば、リヤ空調ユニット10のエバポレータ24には、センタトンネル3の上面に設けられた開口部3b〜3eを通るパイプが接続されている共に、開口部3b〜3eの周囲には、シール部材45が配設されており、シール部材45は、ブロア側の固定部41、42、44とモータ側の固定部43におけるリヤ空調ユニット10の車体への固定により、リヤ空調ユニット10の底面とトンネル部の上面との間に挟み付けられているので、リヤ空調ユニット10を車体へ上方からボルト締結等によって固定する際に、シール部材の組付けも同時に行うことができる。よって、リヤ空調ユニット10の組付け作業性が向上する。
また、本実施形態によれば、開口部3b〜3eは、第1乃至第3固定部41〜43を結ぶ領域S内に中心が位置するように設けられているので、第1乃至第3固定部41〜43における固定により、該開口部3b〜3eの周囲にあるシール部材45を全周に渡って圧縮することができるので、開口部3b〜3eの周囲をより確実にシールすることができる。
また、本実施形態によれば、エバポレータ24より後方の後方通風路29は、ブロア側の側面29aがエバポレータ24より前方の前方通風路27の対応する側面27bに対して車幅方向のモータ側にオフセットされており、第3固定部43は、リヤ空調ユニット10におけるエバポレータ24より後方のブロア側の側面29aに設けられているので、第3固定部43がリヤ空調ユニット10本体のブロア側の側面から車幅方向に突出せず、エバポレータ24より後方部分の車幅方向寸法の増大を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、ブロア21からエバポレータ24までの前方通風路27は、モータ側の側面27bがブロア21からエバポレータ24に向けてモータ側に拡大するように設けられているので、前方通風路27によって後方通風路29のオフセットに対応した気流を形成することができる。
また、本実施形態によれば、リヤ空調ユニット10におけるエバポレータ24より後方のブロア側の側面29aには、風路切換用のエアミックスドア34を駆動するための駆動機構35と、リヤ空調ユニット10に対する冷却水の給排出用のパイプ31、32と、が配設されているので、エバポレータ24より後方部分の車幅方向寸法の増大を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、固定部41〜44は、リヤ空調ユニット10におけるモータ側の側部の前端部に設けられた第4固定部44をさらに有し、第1、第2、第4固定部41、42、44及びブロアモータ22は、車幅方向で略同一位置に設けられているので、第4固定部44がユニット本体20のブロア側の側面から車幅方向及び前側の側面から車両前方向に突出せず、リヤ空調ユニット10の車幅方向及び車両前後方向の寸法増大を抑制することができる。
なお、本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、車両用空調装置は乗用車に搭載されているが、これに限るものではなく、例えば、建設機械用車両、農業機械用車両等に搭載されてもよい。
また、本実施形態では、リヤ空調ユニット10は、車室内の空気を取り込んで空調を行うものであるが、これに限るものではなく、車室内または車室外の空気の少なくともいずれか一方を取り込んで空調を行うものであってもよい。
以上のように、本発明によれば、前席の居住性を低下させず、車室内の騒音を抑制しながら、後席への空調風の温度を十分に調整することができる空調ユニットを備えた車両用空調装置を提供できるので、車両用空調装置、またはこれを搭載する車両の製造技術分野において好適に利用される可能性がある。
2 車体フロア面
3 センタトンネル(トンネル部)
3b〜3e 開口部
10 リヤ空調ユニット(空調ユニット)
20d 凹設部
21 ブロア
22 ブロアモータ(モータ)
24 エバポレータ(熱交換器)
25、26、31、32 パイプ
27 前方通風路
29 後方通風路
34 エアミックスドア
35 駆動機構
41 第1固定部
42 第2固定部
43 第3固定部
44 第4固定部
45 シール部材
S 領域

Claims (7)

  1. 車体フロア面に設けられたトンネル部の上面に車両前後方向に延びるように配設され、かつ、ブロアと該ブロアを駆動するモータとが車幅方向に互いに対向して設けられると共に、前記ブロア及び前記モータの後方に熱交換器が設けられた空調ユニットを有する車両用空調装置であって、
    前記空調ユニットは、車体に固定するための複数の固定部を備え、
    前記固定部は、前記モータ側の側部における前記モータと前記熱交換器との間に設けられた第1固定部と、前記モータ側の側部における後端部に設けられた第2固定部と、前記ブロア側の側部に設けられた第3固定部と、を有し、
    前記空調ユニットの熱交換器には、前記トンネル部の上面に設けられた開口部を通るパイプが接続される共に、
    前記開口部の周囲には、シール部材が配設されており、
    該シール部材は、前記第1固定部または前記第2固定部の少なくともいずれか一方と前記第3固定部における車体への固定により、前記空調ユニットの底面と前記トンネル部の上面との間に挟み付けられた
    ことを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記開口部は、前記第1乃至第3固定部を結ぶ領域内に中心が位置するように設けられた
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 車体フロア面に設けられたトンネル部の上面に車両前後方向に延びるように配設され、かつ、ブロアと該ブロアを駆動するモータとが車幅方向に互いに対向して設けられると共に、前記ブロア及び前記モータの後方に熱交換器が設けられた空調ユニットを有する車両用空調装置であって、
    前記空調ユニットは、車体に固定するための複数の固定部を備え、
    前記固定部は、前記モータ側の側部における前記モータと前記熱交換器との間に設けられた第1固定部と、前記モータ側の側部における後端部に設けられた第2固定部と、前記ブロア側の側部に設けられた第3固定部と、を有し、
    前記熱交換器より後方の通風路は、前記熱交換器より前方の通風路に対し、前記ブロア側の側面が前記モータ側にオフセットされており、
    前記第3固定部は、前記熱交換器より後方の前記ブロア側の側面に設けられた
    ことを特徴とする車両用空調装置。
  4. 前記ブロアから前記熱交換器までの通風路は、前記モータ側の側面がブロアから熱交換器に向けてモータ側に拡大するように設けられた
    ことを特徴とする請求項3に記載の車両用空調装置。
  5. 前記空調ユニットにおける前記熱交換器より後方の前記ブロア側の側面には、エアミックスドアを駆動するための駆動機構と、空調ユニットに対する流体給排出用のパイプと、が配設された
    ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の車両用空調装置。
  6. 前記空調ユニットは、前記モータ側の側部における前記モータと前記熱交換器との間に設けられた凹設部を備え、
    前記第1固定部は、前記凹設部に設けられている
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両用空調装置。
  7. 前記固定部は、空調ユニットにおける前記モータ側の側部の前端部に設けられた第4固定部をさらに有し、
    前記第1、第2、第4固定部及び前記モータは、車幅方向の略同一位置に設けられた
    ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車両用空調装置。
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