JP2019084840A - 車両用空調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧縮機停止時における吹出空気温度の上昇を抑制する。【解決手段】ケーシング10に風向変更部材50を設ける。風向変更部材50は、空調用空気が所定風量以上の場合に空気導入口24から導入された空調用空気の主流がエバポレータ2の上下方向中間部に達するように配置される一方、空調用空気の風量が所定風量未満の場合に空気導入口24から導入された空調用空気の主流がエバポレータ2の下側に達するように配置される。【選択図】図10
Description
本発明は、例えば車両に搭載される車両用空調装置に関し、特に、冷却用熱交換器としてエバポレータを備えた構造の技術分野に属する。
従来より、車両用空調装置は、空調用空気を冷却するための冷却用熱交換器と、空調用空気を加熱するための加熱用熱交換器と、これら熱交換器を収容するケーシングとを備えている。ケーシングの内部には、冷風量と温風量との比率を調整するエアミックスダンパや、吹出方向を切り替えるための吹出方向切替用ダンパ等が収容されている(例えば、特許文献1〜3参照)。ケーシングに導入された空調用空気は、エアミックスダンパの動作によって温度調節されて調和空気となり、吹出方向切替用ダンパの動作によって車室の所望箇所に供給される。また、一般的に、冷却用熱交換器としてヒートポンプ装置のエバポレータ(蒸発器)が使用される場合が多く、この場合には、エバポレータの表面温度を検知し、ある温度以下になると圧縮機を停止させ、その後、エバポレータの表面温度が上昇すると圧縮機を再び作動させるように構成されている。圧縮機はエンジンの動力によって駆動される。
また、燃費向上や排気ガス低減等の目的で、車両が信号待ち等で停止したときに、車両に搭載されたエンジンを自動停止(アイドリング停止)させることが知られている(例えば、特許文献4、5参照)。このような車両では、例えばブレーキペダルの踏み込み操作がなされかつ車速が0になる等といった所定のエンジン停止条件が成立したときにエンジンを自動停止させるとともに、その後に、例えばブレーキペダルの踏み込みが解放されたりアクセルペダルが踏み込まれたりする等といった所定のエンジン再始動条件が成立したときに、該自動停止させたエンジンを再始動させるようにしている。
上記の如くエンジンが自動停止した場合には圧縮機が停止し、自動停止が長時間続くと空調性能が低下して乗員に対し不快感を与えてしまうので、空調装置を制御する空調制御装置が空調装置から車室内に吹き出す空気の温度と車室内の空調状態とを比較して、車室内の空調を行う必要があるときには、エンジンを再始動させるようにエンジン制御装置に信号を出力し、エンジンを再始動させる。これにより、必要な空調能力を確保して快適な空調を実現可能にしている。
ところで、エバポレータの表面温度がある温度以下になって圧縮機が停止するとエバポレータへの冷媒の流入が止まることになる。冷媒の流入が止まると、エバポレータの内部では蒸発前の液冷媒が重力の影響によって該エバポレータの下部に溜まることになる。こうなると、エバレータの下部を除いた部分、即ち上下方向中間部から上部にかけて表面温度が下部よりも上昇し易くなる。
ここで、ケーシングには送風機から空調用空気が導入されるのであるが、送風機から導入される空調用空気の流れは、流れができるだけスムーズになるように、一般的には上や下に片寄らないように、ケーシングの上下方向中間部に向けて流す。このため、ケーシングに流入する空調用空気の主流は上下方向中間部に位置することになる。
上記の如く圧縮機停止後のエバポレータの表面温度は、上下方向中間部から上部が下部に比べて高くなり易い状況なので、空調用空気の主流が通過する部分の表面温度がちょうど高くなる。このため、空調装置からの吹出温度が上昇し易くなり、乗員の快適性が損なわれる。
このことに対して、圧縮機の作動開始温度を低くすることが考えられるが、そのようにすると、エバポレータの下部では液冷媒によって温度が低い状態にあるので、凝縮水が凍結して通風の妨げになってしまう。
また、エンジンが自動停止して圧縮機が停止した場合も上記の如くエバポレータの表面温度は、上下方向中間部から上部が下部に比べて高くなり易いので、空調装置からの吹出温度が上昇し易くなる。その結果、空調制御装置は車室内の空調状態が悪化したと判断してエンジンを再始動させるようにエンジン制御装置に信号を出力し、エンジンを再始動させる。このため、アイドリングの自動停止時間が短くなり、燃費の悪化を招く。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、圧縮機停止時における吹出空気温度の上昇を抑制することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、ケーシングに導入された空調用空気の主流をエバポレータの下側に向けることができるようにした。
第1の発明は、空調用空気を冷却するためのエバポレータと、上記エバポレータを収容するとともに、空調用空気を導入する空気導入口及び調和空気が吹き出す吹出口を有するケーシングとを備えた車両用空調装置において、上記エバポレータは空気通過面が上下方向に延びるように配設され、上記ケーシングには、空調用空気が所定風量以上の場合に上記空気導入口から導入された空調用空気の主流が上記エバポレータの上下方向中間部に達するように配置される一方、空調用空気の風量が所定風量未満の場合に上記空気導入口から導入された空調用空気の主流が上記エバポレータの下側に達するように配置される風向変更部材が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、空調用空気の風量が所定風量未満の場合には、空気導入口からケーシングの内部に導入された空調用空気の主流がエバポレータの下側に達するように、風向変更部材が配置される。これにより、圧縮機の停止時にエバポレータの下部に液冷媒が溜まっていてエバポレータの下部の表面温度が相対的に低い場合に、空調用空気がエバポレータの下部において冷却されるので、圧縮機停止時における吹出空気温度の上昇が抑制される。これにより、乗員の快適性が良好に保たれる。また、アイドリング停止時間が長くなる。
また、空調用空気が所定風量以上の場合には、空気導入口から導入された空調用空気の主流がエバポレータの上下方向中間部に達するように、風向変更部材が配置される。空調用空気が所定風量以上の場合というのは、風量が多い場合であり、この場合には、空調用空気の主流がエバポレータの上下方向中間部に達したとしても、エバポレータの下部においても風量が多くなっている。よって、圧縮機の停止時にエバポレータの下部に液冷媒が溜まっていてエバポレータの下部の表面温度が相対的に低くなっていても、空調用空気がエバポレータの下部においても十分に冷却されるので、圧縮機停止時における吹出空気温度の上昇が抑制される。
第2の発明は、第1の発明において、上記風向変更部材は、上記空気導入口から導入される空調用空気の流れと対向するように配置されて上下方向に延びる板状部と、該板状部の上端部に設けられ、上記ケーシングに対して回動可能に支持された支軸部とを有していることを特徴とする。
この構成によれば、空調用空気の風量が所定風量未満の場合には、板状部の自重によって該板状部が上下方向に延びる姿勢になるので、板状部によって空調用空気の主流が下方に案内される。一方、空調用空気が所定風量以上の場合には、板状部が風圧によって水平に近い姿勢になるので、空調用空気の主流がエバポレータの上下方向中間部に達するようになる。従って、風向変更部材を駆動するための駆動装置を別途設けることなく、重力及び空調用空気の風圧を利用して風向変更部材の姿勢を変更することができる。
第3の発明は、第1の発明において、上記風向変更部材は、上記空気導入口から導入される空調用空気の流れと対向するように配置され、上下方向に延びる板状部と、該板状部に設けられ、上記ケーシングに対して回動可能に支持された支軸部とを有し、上記車両用空調装置は、上記支軸部に連結され、該支軸部を回動する駆動装置を有していることを特徴とする。
この構成によれば、駆動装置によって風向変更部材を積極的に駆動することで板状部の姿勢が狙い通りに制御される。すなわち、空調用空気が所定風量以上の場合には、空気導入口から導入された空調用空気の主流がエバポレータの上下方向中間部に達するように、板状部の姿勢を制御することが可能になり、また、空調用空気の風量が所定風量未満の場合には、空気導入口から導入された空調用空気の主流がエバポレータの下側に達するように、板状部の姿勢を制御することが可能になる。
第4の発明は、第2または3の発明において、上記板状部の縁部は、上記ケーシングの内面から離れていることを特徴とする。
この構成によれば、空調用空気が板状部の縁部とケーシングの内面との間から下流側へ流通し易くなるので、特に大風量時の通風抵抗の悪化が抑制される。
第5の発明は、第3の発明において、上記駆動装置は、ステッピングモータを有していることを特徴とする。
この構成によれば、板状部の姿勢が複数通りに正確に切り替えられるようになる。
第6の発明は、第1から5のいずれか1つの発明において、上記ケーシングは、車幅方向一側へ突出する空気導入ダクト部を有し、該空気導入ダクト部の上流端に上記空気導入口が開口し、上記空気導入ダクト部に上記風向変更部材が設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、空気導入ダクト部の内部で空調用空気の主流の向きを変えることが可能になる。
第7の発明は、第1から6のいずれか1つの発明において、上記吹出口は、上記ケーシングの上部に形成され、車両のフロントウインドガラスの内面に向けて調和空気を吹き出すデフロスタ吹出口と、上記ケーシングの下部に形成され、乗員の足下近傍に向けて調和空気を吹き出すヒート吹出口とが形成され、上記車両用空調装置は、上記デフロスタ吹出口及び上記ヒート吹出口に同時に調和空気を吹き出す吹出モードを選択可能に構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、ケーシングのデフロスタ吹出口及びヒート吹出口に同時に調和空気を吹き出す吹出モードが選択されていて、かつ、空調用空気の風量が所定風量未満の場合には、空調用空気の主流がエバポレータの下側に達するように、風向変更部材が配置される。これにより、デフロスタ吹出口から吹き出す調和空気の温度が低くなり過ぎるのを回避することができる。
第8の発明は、第1から7のいずれか1つの発明において、上記ケーシングにおける上記風向変更部材の下側には、上記車両用空調装置が有する送風ユニットの風量を制御する制御装置が配設されていることを特徴とする。
第1の発明によれば、空気導入口からケーシングの内部に導入された空調用空気の主流がエバポレータの下側に達するように風向変更部材によって風向を変更することができる。これにより、圧縮機停止時における吹出空気温度の上昇を抑制することができる。
第2の発明によれば、風向変更部材を駆動するための駆動装置を別途設けることなく、風向変更部材の姿勢を変更することができる。
第3の発明によれば、駆動装置によって風向変更部材を積極的に駆動することで板状部の姿勢を狙い通りに制御することができる。
第4の発明によれば、大風量時の通風抵抗の悪化を抑制できる。
第5の発明によれば、ステッピングモータを使用することで板状部の姿勢を複数通りに正確に切り替えることができる。
第6の発明によれば、ケーシングの空気導入ダクト部に風向変更部材を設けたので、空調用空気の主流の向きを空気導入ダクト部の内部で変えてエバポレータに向けて流すことができる。
第7の発明によれば、ケーシングのデフロスタ吹出口及びヒート吹出口に同時に調和空気を吹き出す吹出モードが選択されていて、かつ、空調用空気の風量が所定風量未満の場合には、空調用空気の主流がエバポレータの下側に達するように、風向変更部材を配置することができるので、デフロスタ吹出口から吹き出す調和空気の温度が低くなり過ぎるのを回避することができる。
第8の発明によれば、風向変更部材の下方に制御装置を配設することで、制御装置へ向けて流れる風を風向変更部材が阻害することはなく、制御装置の冷却性の悪化を回避できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1〜図5は、本発明の実施形態に係る車両用空調装置1の空調ユニットAを示すものである。この車両用空調装置1は、乗用自動車の車室の前端部に搭載されているインストルメントパネル(図示せず)の内部に配設されている。このインストルメントパネルの車幅方向略中央部には、車両用空調装置1を操作するための操作パネル(図示せず)が配設されている。そして、インストルメントパネルの車両後方における車両右側には、運転席(図示せず)が配設され、その車両左側には、助手席(図示せず)が配設されている。また、運転席及び助手席の後方には、後部座席が配設されている。
また、この車両には、燃費向上や排気ガス低減等の目的で、車両が信号待ち等で停止したときに、車両に搭載されたエンジンを自動停止(アイドリング停止)させるアイドリングストップ機能が搭載されている。例えばブレーキペダルの踏み込み操作がなされかつ車速が0になる等といった所定のエンジン停止条件が成立したときにエンジンを自動停止させるとともに、その後に、例えばブレーキペダルの踏み込みが解放されたりアクセルペダルが踏み込まれたりする等といった所定のエンジン再始動条件が成立したときに、該自動停止させたエンジンを再始動させるようにしている。
図示しないが、インストルメントパネルの上面の前端部には、上記車室内におけるフロントウインドガラスの内面に向けて、車両用空調装置1で生成された調和空気が吹き出すデフロスタ口が開口している。また、インストルメントパネルの上面の車幅方向両端部には、上記車室内におけるサイドウインドガラスの内面に向けて、上記調和空気が吹き出すデミスタ口がそれぞれ開口している。さらに、インストルメントパネルの車幅方向略中央部には、上記車室内における乗員の上半身に向けて、上記調和空気が吹き出すセンタベント口が開口しているとともに、インストルメントパネルの車幅方向両端部にも、上記車室内における乗員の上半身に向けて、上記調和空気が吹き出すサイドベント口が開口している。
尚、この実施形態の説明では、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」といい、車幅方向左側を単に「左」といい、車幅方向右側を単に「右」というものとする。また、この実施形態では車両用空調装置1を車両に搭載した状態であると仮定して前後左右を定義する。
車両用空調装置1は、図示しないが、ヒートポンプ装置と送風ユニットも備えている。ヒートポンプ装置は、後述するエバポレータ(蒸発器)と、冷媒を圧縮するための圧縮機、凝縮器(車室外熱交換器)、膨脹弁、受液器等を備えており、これら機器は冷媒配管によって接続されて冷凍サイクルを構成している。圧縮機は、図示しないが、車両のエンジンルームに搭載されているエンジンによって駆動される。圧縮機から吐出された冷媒が凝縮器によって凝縮され、凝縮された冷媒が膨脹弁を流通して膨張した後、気液二相状態でエバポレータに流入するようになっている。このヒートポンプ装置は、従来から周知の構成のものである。
また、図示しないが、車両には、車室外の温度を検出する外気温度センサ、車室内の温度を検出する内気温度センサ、日射量を検出する日射センサ、冷却用熱交換器2の表面温度を検出する温度センサ等が配設されており、これらセンサも車両用空調装置1の構成要素となっている。また、これらセンサは、後述する空調制御装置101に接続されている。
(送風ユニットの構成)
送風ユニットは、車室外の空気(外気)と車室内の空気(内気)との一方または両方を導入して送風することができるように構成された周知のものである。すなわち、図示しないが、送風ユニットは、送風ケーシングと、内外気切替ダンパと、シロッコファン等からなる遠心式の送風ファンと、送風ファンを駆動するためのファン駆動モータ100とを備えている。ファン駆動モータ100に印加される電圧によって送風ファンの回転数が増減され、これによって送風量の変更が行われる。図12に示すように、ファン駆動モータ100は空調制御装置101に接続されている。
送風ユニットは、車室外の空気(外気)と車室内の空気(内気)との一方または両方を導入して送風することができるように構成された周知のものである。すなわち、図示しないが、送風ユニットは、送風ケーシングと、内外気切替ダンパと、シロッコファン等からなる遠心式の送風ファンと、送風ファンを駆動するためのファン駆動モータ100とを備えている。ファン駆動モータ100に印加される電圧によって送風ファンの回転数が増減され、これによって送風量の変更が行われる。図12に示すように、ファン駆動モータ100は空調制御装置101に接続されている。
送風ケーシングには、ダクト等を介して車室外に連通する外気導入口と、車室内に連通する内気導入口とが形成されるとともに、送風ファンを収容するファンハウジングとを有している。この送風ケーシングの内部に内外気切替ダンパが配設されている。内外気切替ダンパの動作により、車室外の空気のみを導入する外気導入モードと、車室内の空気のみを導入する内気循環モードと、車室外の空気及び車室内の空気を同時に導入する内外気二層流モードとのうち、任意のモードに切り替えることができる。内外気切替ダンパは、内外気切替用アクチュエータによって駆動される。内外気二層流モードでは、上層に車室外の空気が流通し、下層に車室内の空気が流通するように構成されている。
尚、送風ユニットは、上記インストルメントパネルの内部において助手席側に配置することができる。また、送風ユニットは、内外気二層流モードに切り替えられないように構成されていてもよく、この場合は、外気導入モードと内気循環モードとの一方にのみ切り替えられる。
(空調ユニットAの構成)
例えば、図6に示すように、車両用空調装置1の空調ユニットAは、空調用空気を冷却する冷却用熱交換器(エバポレータ)2と、空調用空気を加熱する加熱用熱交換器3及び電気ヒータ4と、冷却用熱交換器2により冷却された冷風と加熱用熱交換器3及び電気ヒータ4により加熱された温風との混合比を決定する上側エアミックスダンパ5及び下側エアミックスダンパ6と、冷却用熱交換器2、加熱用熱交換器3、電気ヒータ4及びエアミックスダンパ5、6を収容する空調ケーシング10(図1等に示す)とを備えている。空調ユニットAは、インストルメントパネルの内部において左右方向中央部近傍に配設される。従って、空調ユニットAと送風ユニットとは左右方向に並ぶように配設されることになり、空調ユニットAの空調ケーシング10には、送風ユニットから送られた空調用空気が左から流入する。
例えば、図6に示すように、車両用空調装置1の空調ユニットAは、空調用空気を冷却する冷却用熱交換器(エバポレータ)2と、空調用空気を加熱する加熱用熱交換器3及び電気ヒータ4と、冷却用熱交換器2により冷却された冷風と加熱用熱交換器3及び電気ヒータ4により加熱された温風との混合比を決定する上側エアミックスダンパ5及び下側エアミックスダンパ6と、冷却用熱交換器2、加熱用熱交換器3、電気ヒータ4及びエアミックスダンパ5、6を収容する空調ケーシング10(図1等に示す)とを備えている。空調ユニットAは、インストルメントパネルの内部において左右方向中央部近傍に配設される。従って、空調ユニットAと送風ユニットとは左右方向に並ぶように配設されることになり、空調ユニットAの空調ケーシング10には、送風ユニットから送られた空調用空気が左から流入する。
図2〜図5等にも示すように、空調ケーシング10は、前後方向の中間部において分割可能に構成されている。空調ケーシング10の前側部分は、上下方向の中間部において分割可能に構成されていて、上側ケーシング構成部材11と、下側ケーシング構成部材12とを有している。図1に示すように、空調ケーシング10の後側部分は、左右方向の中間部において分割可能に構成されていて、右側ケーシング構成部材13と、左側ケーシング構成部材14とを有している。上側ケーシング構成部材11、下側ケーシング構成部材12、右側ケーシング構成部材13及び左側ケーシング構成部材14は樹脂材からなるものであり、互いに締結部材等によって締結されて一体化されている。尚、空調ケーシング10の分割構造は上記した構造に限られるものではなく、例えば、3つの部材で構成されていてもよい。
図6に示すように、上側ケーシング構成部材11及び下側ケーシング構成部材12の内部に冷却用熱交換器2が収容されている。右側ケーシング構成部材13及び左側ケーシング構成部材14の内部に加熱用熱交換器3、電気ヒータ4及びエアミックスダンパ5、6が収容されている。
また、車両用空調装置1は、デフロスタダンパ20、ベントダンパ21、ヒートダンパ70及び後席ベント用ダンパ23を有しており、デフロスタダンパ20、ベントダンパ21、ヒートダンパ70及び後席ベント用ダンパ23は右側ケーシング構成部材13及び左側ケーシング構成部材14の内部に収容されている。デフロスタダンパ20、ベントダンパ21、ヒートダンパ70及び後席ベント用ダンパ23は、空調ケーシング10内部を流れる空気流を制御することによって調和空気の吹出方向を切り替えるための吹出方向切替ダンパである。「空気流を制御する」とは、例えば空気の流れを止めたり、空気の流れる方向及び空気の流量を変更したりすることである。
つまり、車両用空調装置1は、上側エアミックスダンパ5及び下側エアミックスダンパ6によって決定された混合比となるように温風及び冷風を混合して調和空気を生成し、生成された調和空気を、デフロスタダンパ20、ベントダンパ21、ヒートダンパ70及び後席ベント用ダンパ23の動作に応じて車室の各部に供給するように構成されている。
図1等に示すように、空調ケーシング10の上壁部(空調ケーシング10の上側)には、調和空気が吹き出すデフロスタ吹出口25が形成されている。このデフロスタ吹出口25は左右方向に長い形状となっている。デフロスタ吹出口25から吹き出す調和空気は、車両のフロントウインドガラス(図示せず)の内面に向けて供給される。デフロスタ吹出口25には、インストルメントパネルのデフロスタ口に連通するデフロスタダクト(図示せず)の上流端部を接続することができる。
空調ケーシング10の上壁部におけるデフロスタ吹出口25よりも後側には、左側ベント吹出口26aと、右側ベント吹出口26bと、センターベント吹出口26cとが形成されている。左側ベント吹出口26aは、空調ケーシング10の左側部分に開口しており、左側ベント吹出口26aから吹き出す調和空気は、前席の左側に着座している乗員の上半身に向けて供給される。右側ベント吹出口26bは、空調ケーシング10の右側部分に開口しており、右側ベント吹出口26bから吹き出す調和空気は、前席の右側に着座している乗員の上半身に向けて供給される。センターベント吹出口26cは、空調ケーシング10の上部における車幅方向中央部、即ち、左側ベント吹出口26aと、右側ベント吹出口26bとの間に開口している。センターベント吹出口26cから吹き出す調和空気は、主に前席に着座している乗員の上半身に向けて供給される。左側ベント吹出口26a、右側ベント吹出口26bには、インストルメントパネルの左右のサイドベント口にそれぞれ連通する左右のサイドベントダクト(図示せず)の上流端部を接続することができる。センターベント吹出口26cには、インストルメントパネルのセンタベント口に連通するセンタベントダクト(図示せず)の上流端部を接続することができる。
図6に示すように、空調ケーシング10の後壁部には、上下方向の中間部にフロントヒート吹出口27aと、リヤヒート吹出口27bとが上下方向に互いに離れて形成されている。フロントヒート吹出口27aから吹き出す調和空気は、車両の前席乗員の足下近傍において運転席側及び助手席側にそれぞれ供給される。リヤヒート吹出口27bから吹き出す調和空気は、車両の後席乗員の足下近傍において左右両側にそれぞれ供給される。フロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bには、ヒートダクト(図示せず)を接続することができる。また、フロントヒート吹出口27aはリヤヒート吹出口27bの上方に形成されている。
空調ケーシング10の後壁部におけるフロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bよりも下側には、後席用吹出口28が形成されている。後席用吹出口28から吹き出す調和空気は、後席に着座している乗員(後席乗員)の例えば上半身に供給される。後席用吹出口28は左右方向に長い形状とされており、空調ケーシング10の左右方向中央部に位置している。後席用吹出口28には、後席近傍まで延びる後席用ダクト(図示せず)を接続することができる。
空調ケーシング10の内部には、冷却用熱交換器2が配置される冷却用熱交換器配置通路30と、上側温風通路R1と、下側温風通路R2と、上側冷風通路32と、下側冷風通路33と、デフロスタ通路34と、ベント通路35と、ヒート通路36と、後席用通路37とが形成されている。冷却用熱交換器配置通路30は、送風ユニットにより送風された空調用空気を冷却用熱交換器2に送るための空気通路である。
また、図1や図2に示すように、空調ケーシング10の左側壁部の前部には、左側へ突出する空気導入ダクト部15が形成されている。空気導入ダクト部15の縦断面は上下方向に長い形状とされている。また、空気導入ダクト部15の上流端(左端)に、空調用空気を空調ケーシング10の内部に導入するための空気導入口24が開口している。空気導入口24も上下方向に長い形状とされている。空気導入口24には、送風ユニットが接続されている。また、この空気導入口24は、冷却用熱交換器配置通路30と連通している。空調用空気は、空気導入ダクト部15の内部をその左側から右側に向けて流れる。
ここで、空調用空気の流れは、流れができるだけスムーズになるように、空気導入ダクト部15の上や下に片寄らないように、空気導入ダクト部15の上下方向中間部に向けて流れるようになっている。このため、空気導入ダクト部15に流入する空調用空気の主流は、空気導入ダクト部15上下方向中間部に位置することになる。
空気導入ダクト部15の後壁部15aの下側には、送風ユニットの風量を制御する制御装置Cが配設されている。制御装置Cは、送風ユニットの送風ファンを駆動するためのファン駆動モータに印加する電圧を制御するためのものであり、空調制御装置101の一部とすることができる。
冷却用熱交換器配置通路30は、上層通路(上側空間)30aと下層通路(下側空間)30bとからなり、上層通路30aと下層通路30bとの間には左右方向及び前後方向に延びる仕切板(図示せず)を配設することができるが、この仕切板は省略してもよい。上層通路30aには、送風ユニットから送風された上層空気が導入され、下層通路30bには、送風ユニットから送風された下層空気が導入される。つまり、空調ケーシング10の内部には、送風ユニットから送風された空気が左側から右側に流れなら、上下二層流状態で導入される場合があり、この導入モードを内外気二層流モードと呼ぶことができる。尚、送風ユニットが有する内外気ダンパの切り替え動作により、上記内外気二層流モードの他、上述したように、上層通路30aと下層通路30bに車室外の空気が導入される外気導入モードや、上層通路30aと下層通路30bに車室内の空気が導入される内気循環モードにも切り替えられる。
冷却用熱交換器配置通路30は、空調ケーシング10の内部において前部に形成されている。この冷却用熱交換器配置通路30の上流端に空気導入口24が連通するようになっており、送風ユニットから送風された空調用空気は全量が冷却用熱交換器配置通路30に導入されるようになっている。冷却用熱交換器配置通路30の縦断面は、空調ケーシング10の上部から下部に亘るとともに、空調ケーシング10の左側から右側に亘っており、広い断面となっている。
冷却用熱交換器配置通路30に配置されている冷却用熱交換器2は、上記ヒートポンプ装置のエバポレータで構成されている。冷却用熱交換器2は、空気通過面が上下方向に延びる姿勢とされている。冷却用熱交換器2の上部は上側ケーシング構成部材11に保持される一方、冷却用熱交換器2の下部は下側ケーシング構成部材12に保持されている。基本的には、上層通路30aの空気は冷却用熱交換器配置通路30の上側を流通して冷却用熱交換器2の上側を通過し、下層通路30bの空気は冷却用熱交換器配置通路30の下側を流通して冷却用熱交換器2の下側を通過することになるが、空気の流れは、後述する風向変更部材50の動作によって変更可能になっている。
冷却用熱交換器2に流入した冷媒と空調用空気とが熱交換することによって空調用空気が冷却されるようになっている。空調用空気の冷却時に発生した凝縮水は、冷却用熱交換器2の表面を下方へ流れて下側ケーシング構成部材12に形成されたドレン部(図示せず)から空調ケーシング10の外部に排出されるようになっている。
冷却用熱交換器2は、図7に示すように、上側ヘッダタンク200と、下側ヘッダタンク201と、複数のフィン202と、複数のチューブ203と、エンドプレート204とを有している。上側ヘッダタンク200は冷却用熱交換器2の上部に配設されており、図6に示すように上側ヘッダタンク200が上側ケーシング構成部材11に保持される。下側ヘッダタンク201は冷却用熱交換器2の下部に配設されており、図6に示すように下側ヘッダタンク201が下側ケーシング構成部材12に保持される。チューブ203は上下方向に延びており、左右方向に並ぶように設けられている。チューブ203の上端部が上側ヘッダタンク200に接続され、チューブ203の下端部が下側ヘッダタンク201に接続されている。フィン202は、左右方向に隣合うチューブ203の間に設けられている。図7における符号205は、上側ヘッダタンク200の端部に接続された冷媒配管の一部を示している。
この実施形態では、他の一般的な車両用空調装置と同様に、冷却用熱交換器2の表面温度がある温度以下になると、圧縮機が停止するように制御される。圧縮機が停止すると、冷却用熱交換器2への冷媒の流入が止まることになる。冷媒の流入が止まると、冷却用熱交換器2の内部では蒸発前の液冷媒が重力の影響によって該冷却用熱交換器2の下部に溜まることになる。こうなると、冷却用熱交換器2の下部を除いた部分、即ち上下方向中間部から上部にかけて表面温度が下部よりも上昇し易くなる。
図6に示す上側温風通路R1及び下側温風通路R2は、加熱用熱交換器3により加熱された温風が流通する通路であり、この実施形態では下側温風通路R2には電気ヒータ4によって加熱された温風も流通するが、上側温風通路R1には電気ヒータ4によって加熱された温風が流通しないようになっている。電気ヒータ4の配設位置は図示した位置に限られるものではない。
上側温風通路R1及び下側温風通路R2は、空調ケーシング10の内部において上下方向中間部に形成されており、前後方向に延びている。上側温風通路R1の縦断面及び下側温風通路R2の縦断面を合わせた面積は、冷却用熱交換器配置通路30の縦断面の面積よりも狭く設定されている。上側温風通路R1は、本発明の上側空間に相当しており、冷却用熱交換器配置通路30の上層通路30aの下流端と連通している。下側温風通路R2は、本発明の下側空間に相当しており、冷却用熱交換器配置通路30の下層通路30bの下流端と連通している。
加熱用熱交換器3は、車両に搭載されたエンジン(図示せず)の冷却水が流れるヒータコアで構成されている。加熱用熱交換器3を流れるエンジンの冷却水と空調用空気とが熱交換することによって空調用空気が加熱されるようになっている。上層通路30aの空気は加熱用熱交換器3の上側を通過し、下層通路30bの空気は加熱用熱交換器3の下側を通過することになる。
また、電気ヒータ4は、例えば車両のバッテリ(図示せず)等から電力を供給することによって発熱する発熱素子(図示せず)を有しており、この発熱素子が発した熱によって空調用空気が加熱されるようになっている。尚、電気ヒータ4は、省略してもよい。また、加熱用熱交換器3の代わりに、電気ヒータ4を用いてもよいし、冷媒を凝縮する冷媒凝縮器を用いてもよい。また、これら熱源は任意に組み合わせて用いることができ、例えば、冷媒凝縮器と電気ヒータ4とを併用することもできる。電気自動車の場合には、エンジンが無いので、冷媒凝縮器や電気ヒータ4を使用することができる。
上側冷風通路32は、空調ケーシング10の内部において上側温風通路R1の上方に設けられている。上側冷風通路32は、前後方向に延びており、上流端は冷却用熱交換器配置通路30の下流端における上部に連通している。
下側冷風通路33は、空調ケーシング10の内部において下側温風通路R2の下方に設けられている。下側冷風通路33は、前後方向に延びており、上流端は冷却用熱交換器配置通路30の下流端における下部に連通している。下側冷風通路33は、空調ケーシング10の底壁部に沿って後方へ延びた後、上方へ屈曲している。
上側冷風通路32及び下側冷風通路33には、冷却用熱交換器2により冷却された冷風が流通する。上側冷風通路32及び下側冷風通路33を流通した冷風は、上側温風通路R1及び下側温風通路R2をバイパスして流れることになる。
デフロスタ通路34は、空調ケーシング10の内部において上側冷風通路32の上方に設けられ、上下方向に延びている。デフロスタ通路34の上流端(下端部)は、上側冷風通路32の上流端近傍に位置している。デフロスタ通路34の下流端(上端部)は、デフロスタ吹出口25に接続されている。
ベント通路35は、空調ケーシング10の内部において上側冷風通路32の上方に設けられ、上下方向に延びている。ベント通路35の上流端(下端部)は、上側冷風通路32の上流端近傍に位置している。ベント通路35の下流端(上端部)は、左側ベント吹出口26aと、右側ベント吹出口26bと、センターベント吹出口26cとに接続されている。
後席用通路37は、空調ケーシング10の下部に設けられており、後席乗員へ調和空気を供給するための通路である。後席用通路37は前後方向に延びている。後席用通路37の上流端(前端部)は、下側冷風通路33の下流端近傍に位置している。後席用通路37の下流端(後端部)は、後席用吹出口28に接続されている。
ヒート通路36は、空調ケーシング10の内部において上側冷風通路32の下方であって、かつ、下側冷風通路33の上方に設けられている。つまり、ヒート通路36は、後席用通路37の上方に設けられている。そして、ヒート通路36は、乗員の足下近傍へ調和空気を供給するためのものである。
空調ケーシング10の内部には、加熱用熱交換器3よりも前側に離れた部分に、上下方向に延びる中間縦壁部10bが形成されている。また、空調ケーシング10の内部には、中間縦壁部10bから上側に離れた部分に、上下方向に延びる上側縦壁部10cが形成されている。さらに、空調ケーシング10の内部には、中間縦壁部10bから下側に離れた部分に、上下方向に延びる下側縦壁部10dが形成されている。
そして、上側縦壁部10cの下端部と中間縦壁部10bの上端部との間には上側開口部10eが形成され、また、下側縦壁部10dの上端部と中間縦壁部10bの下端部との間には下側開口部10fが形成されている。上側エアミックスダンパ5は、上側開口部10e内で動作し、冷却用熱交換器配置通路30から上側冷風通路32に流入する冷風量と、冷却用熱交換器配置通路30から上側温風通路R1の上側に流入する冷風量との比率を変更する。
すなわち、上側エアミックスダンパ5は、左右方向に延びる回動軸5aと、回動軸5aの径方向に延びる板部5bとを有している。回動軸5aは空調ケーシング10の左側壁部及び右側壁部に対して回動可能に支持されている。上側エアミックスダンパ5が回動軸5a周りに上方へいっぱいまで回動すると、冷却用熱交換器配置通路30から上側冷風通路32に流入する冷風量が0となり、冷却用熱交換器配置通路30の冷風は上側開口部10eから上側温風通路R1に流入する。一方、上側エアミックスダンパ5が回動軸5a周りに下方へいっぱいまで回動すると、冷却用熱交換器配置通路30から上側温風通路R1に流入する冷風量が0となり、冷却用熱交換器配置通路30の冷風は上側開口部10eから上側冷風通路32に流入する。
上側エアミックスダンパ5が中間の回動位置にあるときには、冷却用熱交換器配置通路30の冷風は上側開口部10eから上側冷風通路32及び上側温風通路R1の両方に流入する。上側エアミックスダンパ5の回動位置によって上側冷風通路32に流入する冷風量と、上側温風通路R1に流入して加熱されることになる冷風量との比率が変更される。つまり、上側エアミックスダンパ5は、冷却用熱交換器2により冷却された冷風と、加熱用熱交換器3により加熱された温風との混合比を決定するためのものである。
また、下側エアミックスダンパ6は、下側開口部10f内で動作し、冷却用熱交換器配置通路30から下側冷風通路33に流入する冷風量と、冷却用熱交換器配置通路30から下側温風通路R2の下側に流入する冷風量との比率を変更する。
すなわち、下側エアミックスダンパ6は、左右方向に延びる回動軸6aと、回動軸6aの径方向に延びる板部6bとを有している。回動軸6aは空調ケーシング10の左側壁部及び右側壁部に対して回動可能に支持されている。下側エアミックスダンパ6が回動軸6a周りに下方へいっぱいまで回動すると、冷却用熱交換器配置通路30から下側冷風通路33に流入する冷風量が0となり、冷却用熱交換器配置通路30の冷風は下側開口部10fから下側温風通路R2に流入する。一方、下側エアミックスダンパ6が回動軸6a周りに上方へいっぱいまで回動すると、冷却用熱交換器配置通路30から下側温風通路R2に流入する冷風量が0となり、冷却用熱交換器配置通路30の冷風は下側開口部10fから下側冷風通路33に流入する。
下側エアミックスダンパ6が中間の回動位置にあるときには、冷却用熱交換器配置通路30の冷風は下側開口部10fから下側冷風通路33及び下側温風通路R2の両方に流入する。下側エアミックスダンパ6の回動位置によって下側冷風通路33に流入する冷風量と、下側温風通路R2に流入して加熱されることになる冷風量との比率が変更される。つまり、下側エアミックスダンパ6は、冷却用熱交換器2により冷却された冷風と、加熱用熱交換器3(及び電気ヒータ4)により加熱された温風との混合比を決定するためのものである。
空調ケーシング10の内部には、加熱用熱交換器3よりも空気流れ方向上流側に、中間縦壁部10bの上下方向中間部から後側へ向けて延びる中間板部10gが形成されている。この中間板部10gは左右方向に延びている。中間板部10gよりも上側が、送風ユニットから送風された上層の空気が流通する上側温風通路R1となり、中間板部10gよりも下側が、送風ユニットから送風された下層の空気が流通する下側温風通路R2となり、中間縦壁部10bは空調ケーシング10内部を上下に仕切る仕切板として作用する。中間縦壁部10bは加熱用熱交換器3の空気流れ方向上流側の面近傍まで延びている。
また、空調ケーシング10の内部には、加熱用熱交換器3よりも空気流れ方向下流側に、下流側仕切板17が設けられている。下流側仕切板17は、加熱用熱交換器3の空気流れ方向下流側の面近傍から後側へ延びている。下流側仕切板17の高さは、中間板部10gの高さと略等しく設定されており、下流側仕切板17よりも上側が、送風ユニットから送風された上層の空気が流通する上側温風通路R1となり、下流側仕切板17よりも下側が、送風ユニットから送風された下層の空気が流通する下側温風通路R2となる。下流側仕切板17よりも下側に電気ヒータ4が配置される。
下流側仕切板17は、加熱用熱交換器3の空気流れ方向下流側の面に対して所定の間隔をあけた状態で対向するように配置されている。下流側仕切板17と加熱用熱交換器3の空気流れ方向下流側の面との間の隙間は、加熱用熱交換器3を通過した空気が流出し易いように広く設定されている。
デフロスタ通路34には、該デフロスタ通路34を開閉するためのデフロスタダンパ20が配設されている。デフロスタダンパ20は、左右方向に延びる回動軸20aと、回動軸20aの径方向に延びる板部20bとを有している。回動軸20aは空調ケーシング10の左側壁部及び右側壁部に対して回動可能に支持されている。デフロスタダンパ20が回動軸20a周りに回動することによってデフロスタ通路34が開閉される。
ベント通路35には、ベント通路35を開閉するためのベントダンパ21が配設されている。ベントダンパ21は、左右方向に延びる回動軸21aと、回動軸21aから径方向に離れた状態で該回動軸21aに支持される板部21bとを有している。回動軸21aは空調ケーシング10の左側壁部及び右側壁部に対して回動可能に支持されている。ベントダンパ21が回動軸21a周りに回動することによってベント通路35が開閉される。
後席用通路37には、後席用通路37を開閉するための後席ベント用ダンパ23が配設されている。後席ベント用ダンパ23は、左右方向に延びる回動軸23aと、回動軸23aから径方向に延びる板部23bとを有している。回動軸23aは空調ケーシング10の左側壁部及び右側壁部に対して回動可能に支持されている。後席ベント用ダンパ23が回動軸23a周りに回動することによって後席用通路37が開閉される。
ヒートダンパ70は、空気流を制御することにより、ヒート通路36に空気を流入させる状態と、流入させない状態とに切り替えるための部材である。図6にも示すように、ヒートダンパ70は、左右方向に延びる回動軸71、71と、回動軸71、71から径方向に離れて該回動軸71と一体に設けられ、ヒート吹出口27a、27bを開閉する開閉板部72と、空気案内板部75とを備えており、いわゆるロータリダンパで構成されている。ヒートダンパ70の回動軸71、開閉板部72及び空気案内板部75を樹脂材により一体成形することで、空気案内板部75をヒートダンパ70に一体成形することが可能になる。尚、ヒートダンパ70の回動軸71、開閉板部72及び空気案内板部75を別々に成形した後、組み立てて一体化するようにしてもよい。また、ヒートダンパ70の縁部には、例えば発泡ウレタン等の弾性材からなるシール材(図示せず)が設けられている。
ヒートダンパ70の左側に位置する回動軸71は左側へ突出しており、空調ケーシング10の左側壁部に回動可能に支持されている。ヒートダンパ70の右側に位置する回動軸71は右側へ突出しており、空調ケーシング10の右側壁部に対して回動可能に支持されている。
尚、空調ケーシング10には該空調ケーシング10の一部を構成する中間プレート(図示せず)を設けることができる。中間プレートが設けられている場合には、ヒートダンパ70の右側に位置する回動軸71は中間プレート対して回動可能に支持することができる。この中間プレートは、空調ケーシング10の内部を左側と右側とに区画するための部材であり、空調ケーシング10の内部において前後方向及び上下方向に延びている。空調ケーシング10の内部において中間プレートよりも右側の空間は、車室の右側領域に供給する調和空気を生成する空間となり、空調ケーシング10の内部において中間プレートよりも左側の空間は、車室の左側領域に供給する調和空気を生成する空間となる。つまり、中間プレートを設けることで、左右独立温度コントロールタイプの車両用空調装置1にすることができる。この場合、ヒートダンパ70を左右それぞれ設ければよい。左右独立温度コントロールタイプの車両用空調装置1にしない場合には、中間プレートを省略してもよい。
ヒートダンパ70の回動軸71には、図示しない電動アクチュータの駆動力が入力されるようになっているが、これに限らず、乗員による操作力が入力されるように構成してもよい。右端板部73と左端板部74とは、回動軸71の径方向に延びており、開閉板部72を回動軸71に連結するための部分である。また、開閉板部72と空気案内板部75とは、回動軸71の径方向に互いに離れて配置されるとともに、回動軸71方向に延びている。
車両用空調装置1は、ベントモード、ヒートモード、バイレベルモードの他にも、デフロスタモードやデフ/ヒートモード等の吹出モードにも切り替えられるように構成されている。吹出モードの切り替えは、デフロスタダンパ20、ベントダンパ21、ヒートダンパ70及び後席ベント用ダンパ23を作動させることによって行われるのであるが、これらダンパの作動は従来から周知のリンク機構や個別に設けられたアクチュエータ等によってなされるものであることから駆動機構の詳細についての説明は省略する。
(ベントモード)
図6に示すベントモードは、デフロスタダンパ20を閉状態にし、かつ、ベントダンパ21を全開状態にし、さらに、ヒートダンパ70を全閉状態にして調和空気(温風)を、左側ベント吹出口26a、右側ベント吹出口26b及びセンターベント吹出口26cに流すモードである。また、ベントモードでは、後席ベント用ダンパ23が開いた状態になる。
図6に示すベントモードは、デフロスタダンパ20を閉状態にし、かつ、ベントダンパ21を全開状態にし、さらに、ヒートダンパ70を全閉状態にして調和空気(温風)を、左側ベント吹出口26a、右側ベント吹出口26b及びセンターベント吹出口26cに流すモードである。また、ベントモードでは、後席ベント用ダンパ23が開いた状態になる。
ベントモードでは、ヒートダンパ70の開閉板部72がフロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bを閉じた状態になる。この状態では、ヒートダンパ70が回動軸71周りに後側へいっぱいまで回動し、ヒートダンパ70の開閉板部72が、上下方向に延びる姿勢とされてヒート通路36の入口を閉塞し、これにより、フロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bが閉じられる。
ヒートダンパ70がフロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bを閉じた状態でベント吹出口26a、26b、26cから調和空気を供給するベントモード時には、ベント吹出口26a、26b、26cが空調ケーシング10の上側に形成されているので、空調ケーシング10の内部における空気導入ダクト部15よりも下流側の空気の流れは上側へ向かう流れになる。このベントモード時には、ヒートダンパ70の空気案内板部75が空調ケーシング10の上側へ向かって延びるように配置される。これにより、空調ケーシング10の内部の空気を空気案内板部75によってベント吹出口26a、26b、26c方向へ案内することが可能になるので、ベント吹出口26a、26b、26cから吹き出す風量を十分に確保できる。
また、ベントモード時には、ヒートダンパ70の開閉板部72がフロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bを閉じるので、上下方向に延びる姿勢となる。そして、空気案内板部75も上下方向に延びる姿勢となり、この空気案内板部75は開閉板部72から前側に離れて配置される。従って、下側温風通路R2及び下側冷風通路33を流通した空気は、主に、空気案内板部75と開閉板部72との間から上側へ流れていく。また、空気案内板部75は、加熱用熱交換器3から後側に離れて配置される。
(デフロスタモード)
図示しないが、デフロスタモードは、デフロスタダンパ20を全開状態にし、かつ、ベントダンパ21を全閉状態にし、さらに、ヒートダンパ70を全閉状態にして調和空気(温風)をデフロスタ吹出口25に流すモードである。このデフロスタモードでも、空調ケーシング10の内部の空気の流れは上側へ向かう流れになるとともに、ヒートダンパ70の空気案内板部75が空調ケーシング10の上側へ向かって延びるように配置される。これにより、空調ケーシング10の内部の空気を空気案内板部75によってベント吹出口26a、26b、26c方向へ案内することが可能になるので、デフロスタ吹出口25から吹き出す風量を十分に確保できる。
図示しないが、デフロスタモードは、デフロスタダンパ20を全開状態にし、かつ、ベントダンパ21を全閉状態にし、さらに、ヒートダンパ70を全閉状態にして調和空気(温風)をデフロスタ吹出口25に流すモードである。このデフロスタモードでも、空調ケーシング10の内部の空気の流れは上側へ向かう流れになるとともに、ヒートダンパ70の空気案内板部75が空調ケーシング10の上側へ向かって延びるように配置される。これにより、空調ケーシング10の内部の空気を空気案内板部75によってベント吹出口26a、26b、26c方向へ案内することが可能になるので、デフロスタ吹出口25から吹き出す風量を十分に確保できる。
(ヒートモード)
図示しないが、ヒートモードは、デフロスタダンパ20をわずかに開いた状態にし、かつ、ベントダンパ21を全閉状態にし、さらに、ヒートダンパ70を全開状態にして調和空気(温風)を、デフロスタ吹出口25、フロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bに流すモードである。また、ヒートモードでは、後席ベント用ダンパ23が閉じた状態になる。
図示しないが、ヒートモードは、デフロスタダンパ20をわずかに開いた状態にし、かつ、ベントダンパ21を全閉状態にし、さらに、ヒートダンパ70を全開状態にして調和空気(温風)を、デフロスタ吹出口25、フロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bに流すモードである。また、ヒートモードでは、後席ベント用ダンパ23が閉じた状態になる。
ヒートモードでは、ヒートダンパ70の開閉板部72がフロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bを開いた状態になる。この状態では、ヒートダンパ70が回動軸71周りに前側へいっぱいまで回動し、ヒートダンパ70の開閉板部72が、前後方向に延びる姿勢とされてヒート通路36の入口を開放し、これにより、フロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bが開かれる。
ヒートダンパ70がフロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bを開いた状態にあるときには、空気案内板部75の前端部が下流側仕切板17の前側仕切部17aの後端部近傍に位置し、空気案内板部75が前側仕切部17aを後側へ延長するように配置される。このとき、空気案内板部75は後側へ行くほど下に位置するように位置付けられるので、前側仕切部17aよりも下側の空間の空気が上側の空間に向かって流れるのが抑制される。また、ヒートダンパ70がフロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bを開いた状態にあるときに、空気案内板部75が下側温風通路R2の上部に配置される。
(バイレベルモード)
図示しないが、バイレベルモードは、デフロスタダンパ20を閉状態にし、かつ、ベントダンパ21を開いた状態にし、さらに、ヒートダンパ70を開いた状態にして調和空気(温冷風混流)をデフロスタ吹出口25、左側ベント吹出口26a、右側ベント吹出口26b、センターベント吹出口26c、フロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bに流すモードである。また、ヒートモードでは、後席ベント用ダンパ23が開いた状態になる。
図示しないが、バイレベルモードは、デフロスタダンパ20を閉状態にし、かつ、ベントダンパ21を開いた状態にし、さらに、ヒートダンパ70を開いた状態にして調和空気(温冷風混流)をデフロスタ吹出口25、左側ベント吹出口26a、右側ベント吹出口26b、センターベント吹出口26c、フロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bに流すモードである。また、ヒートモードでは、後席ベント用ダンパ23が開いた状態になる。
バイレベルモードでは、ヒートダンパ70がヒートモード時に比べて後側へ回動する。これにより、ヒートダンパ70の開閉板部72と、下流側仕切板17の後側仕切部17bとの間に隙間が形成され、下側温風通路R2及び下側冷風通路33を流通した空気がその隙間を通って上側へ流れていく。また、空気案内板部75の前端部が下流側仕切板17の前側仕切部17aの後端部近傍に位置し、空気案内板部75が前側仕切部17aを後側へ延長するように配置される。このとき、空気案内板部75は後側へ行くほど下に位置するように位置付けられるので、前側仕切部17aよりも下側の空間の空気が上側の空間に向かって流れるのが抑制される。
(デフ/ヒートモード)
図示しないが、デフ/ヒートモードでは、デフロスタダンパ20を開状態にし、かつ、ベントダンパ21を全閉状態にし、さらに、ヒートダンパ70を全開状態にして調和空気(温風)を、デフロスタ吹出口25、フロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bに流すモードである。つまり、デフロスタ吹出口25、フロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bに同時に調和空気を吹き出す吹出モードである。
図示しないが、デフ/ヒートモードでは、デフロスタダンパ20を開状態にし、かつ、ベントダンパ21を全閉状態にし、さらに、ヒートダンパ70を全開状態にして調和空気(温風)を、デフロスタ吹出口25、フロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bに流すモードである。つまり、デフロスタ吹出口25、フロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bに同時に調和空気を吹き出す吹出モードである。
例えば暖房時のように、内外気二層流モードに切り替えられているときには、車室外の空気及び車室内の空気がそれぞれ空調ケーシング10の上側空間及び下側空間に導入されて熱交換器2、3によって温度調節された後、吹出モードに応じて各吹出口25、26a、26b、26c、27a、27b、28から車室の各部に供給される。暖房時には、通常、フロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bが開かれているので、空調ケーシング10の下側空間に導入された車室内の空気は空調ケーシング10の下側に形成されているフロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bから乗員の足下近傍に供給されることになる。このとき、ヒートダンパ70はフロントヒート吹出口27a及びリヤヒート吹出口27bを開いた状態にあり、空調ケーシング10の下側空間の空気が上側空間に向かって流れるのがヒートダンパ70の空気案内板部75によって抑制される。従って、吹出モードに応じて動作するような別部材等を設けることなく、ヒートダンパ70を利用して空調ケーシング70の下側空間の空気が上側空間に向かって流れるのを抑制することができ、暖房時の効率を高めることができる。
(風向変更部材50の構成)
図8及び図9に示すように、空調ケーシング10の空気導入ダクト部15には、該空調ケーシング10とは別部材で構成された樹脂製の風向変更部材50が設けられている。風向変更部材50は、空調ケーシング10の空気導入ダクト部15の空気導入口24に流入する空調用空気が所定風量以上の場合に、空気導入口24から導入された空調用空気の主流が冷却用熱交換器2の上下方向中間部に達するように配置される一方、空調用空気の風量が所定風量未満の場合に空気導入口24から導入された空調用空気の主流が冷却用熱交換器2の下側に達するように配置される部材である。風向変更部材50の形状や寸法は様々に設定することができ、図示しているのは一例である。空調ケーシング10における風向変更部材50の下側に、上記制御装置Cが配設されている。
図8及び図9に示すように、空調ケーシング10の空気導入ダクト部15には、該空調ケーシング10とは別部材で構成された樹脂製の風向変更部材50が設けられている。風向変更部材50は、空調ケーシング10の空気導入ダクト部15の空気導入口24に流入する空調用空気が所定風量以上の場合に、空気導入口24から導入された空調用空気の主流が冷却用熱交換器2の上下方向中間部に達するように配置される一方、空調用空気の風量が所定風量未満の場合に空気導入口24から導入された空調用空気の主流が冷却用熱交換器2の下側に達するように配置される部材である。風向変更部材50の形状や寸法は様々に設定することができ、図示しているのは一例である。空調ケーシング10における風向変更部材50の下側に、上記制御装置Cが配設されている。
具体的には、風向変更部材50は、板状部51と、該板状部51に設けられ、空調ケーシング10に対して回動可能に支持された支軸部52とを有している。板状部51と支軸部52とは一体成形してもよいし、別部品として組み立てることによって風向変更部材50としてもよい。板状部51は、空調ケーシング10の空気導入ダクト部15の空気導入口24に流入する空調用空気が所定風量未満(低風量時)であるときには、図10に示すように、空気導入口24から導入される空調用空気の流れと対向するように配置される。この状態では、板状部51が上下方向かつ前後方向に延びる姿勢となり、この姿勢が低風量姿勢である。低風量姿勢では、板状部51の下縁部が、空気導入ダクト部15の内面から上方に離れており、板状部51の下縁部と、空気導入ダクト部15の内面との間に空調用空気が流通可能になっている。また、板状部51が空気導入ダクト部15の上側に偏位しているので、空気導入ダクト部15の内部の空調用空気は下に向けて流れ易くなる。
板状部51は、空調ケーシング10の空気導入ダクト部15の空気導入口24に流入する空調用空気が所定風量以上(高風量時)であるときには、図8に示すように、空気導入口24から導入される空調用空気の流れに沿うように、即ち、右側へ向けて延びるように配置される。この姿勢が高風量姿勢である。高風量姿勢のときには、板状部51が傾斜する姿勢であってもよいし、水平であってもよい。
板状部51には、切り欠き部(図示せず)を設けることができる。切り欠き部は、板状部51の前側部分や下側部分等を切り欠くことによって形成することができる。尚、切り欠き部は省略してもよいし、板状部51に複数箇所設けるようにしてもよい。
支軸部52は、低風量姿勢時にある板状部51の上端部に位置するように設けられていて、前後方向に延びている。支軸部52の前端部は、板状部51の前縁部よりも前側へ突出し、空気導入ダクト部15の前壁部15bに回動可能に支持されている。支軸部52の後端部は、板状部51の後縁部よりも後側へ突出し、空気導入ダクト部15の後壁部15aに回動可能に支持されている。支軸部52の後端部には、該支軸部52を回動させるための駆動装置Eが連結されている。この駆動装置Eは、車両用空調装置1を構成する部材である。
駆動装置Eは、樹脂製のケースE1(図1等に示す)、ステッピングモータE2(図12に示す)、ステッピングモータE2の出力軸の回転速度を減速するための歯車減速機等を有しており、従来から周知の電動アクチュエータ等で構成することができる。ステッピングモータE2及び歯車減速機は、ケースE1に収容されている。駆動装置Eは、空気導入ダクト部15の後壁部15aに対してビス等の締結部材によって固定されている。
車両用空調装置1は、図12に示す空調制御装置101を備えている。空調制御装置101には、駆動装置Eが接続されている。空調制御装置101は、例えば外気温度や日射量、内気温度、乗員による風量調整等に基づいて要求風量を算出し、その要求風量となるようにファン駆動モータ100に印加する電圧を決定する。そして、決定された電圧をファン駆動モータ100に印加する。電圧は例えば5〜7段階程度に設定することができ、例えば、低風量側の2段階を所定風量未満とすることができ、高風量側の2段階を所定風量以上とすることができる。また、空調制御装置101は、例えば外気温度や日射量、内気温度、乗員による風量調整等に基づいて目標吹出空気温度を算出し、その目標吹出空気温度となるようにエアミックスアクチュエータ(図示せず)を制御して上側エアミックスダンパ5及び下側エアミックスダンパ6を回動させるように構成されている。
また、空調制御装置101は、ファン駆動モータ100に印加される電圧が低めの電圧であり、かつ、空調用空気の風量が所定風量未満の場合には、風向変更部材50が低風量姿勢となるように、駆動装置Eに制御信号を出力する。すると、駆動装置Eが風向変更部材50を回動させて風向変更部材50が図10に示す低風量姿勢になる。
一方、空調制御装置101は、ファン駆動モータ100に印加される電圧が高めの電圧であり、かつ、空調用空気の風量が所定風量以上の場合には、風向変更部材50が高風量姿勢となるように、駆動装置Eに制御信号を出力する。すると、駆動装置Eが風向変更部材50を回動させて風向変更部材50が図8に示す高風量姿勢になる。風向変更部材50が高風量姿勢にあるときには、板状部51が空気導入ダクト部15の延びる方向に沿うように配置される。
また、エンジンが自動停止した場合にはヒートポンプ装置の圧縮機が停止し、エンジンの自動停止が長時間続くと空調性能が低下して乗員に対し不快感を与えてしまう。エンジンが自動停止した状態では、空調制御装置101が空調装置1から車室内に吹き出す空気の温度と車室内の空調状態とを比較して、車室内の空調を行う必要があると判断したときには、エンジンを再始動させるようにエンジン制御装置(図示せず)に信号を出力し、エンジンを再始動させる。これにより、必要な空調能力を確保して快適な空調を実現可能にしている。
(実施形態の作用効果)
この実施形態に係る車両用空調装置1によれば、空調用空気の風量が所定風量未満の場合には、風向変更部材50が低風量姿勢になる。風向変更部材50が低風量姿勢になると、空気導入口24から空調ケーシング10の内部に導入された空調用空気の主流が板状部51によって下側に導かれることになる。つまり、空気導入口24から空調ケーシング10の内部に導入された空調用空気の主流が冷却用熱交換器2の下側に達するように、風向変更部材50が配置される。これにより、圧縮機の停止時に冷却用熱交換器2の下部に液冷媒が溜まっていて下部の表面温度が相対的に低い場合に、空調用空気が冷却用熱交換器2の下部において冷却されるので、圧縮機停止時における吹出空気温度の上昇が抑制される。これにより、乗員の快適性が良好に保たれる。また、アイドリング停止時間が長くなる。
この実施形態に係る車両用空調装置1によれば、空調用空気の風量が所定風量未満の場合には、風向変更部材50が低風量姿勢になる。風向変更部材50が低風量姿勢になると、空気導入口24から空調ケーシング10の内部に導入された空調用空気の主流が板状部51によって下側に導かれることになる。つまり、空気導入口24から空調ケーシング10の内部に導入された空調用空気の主流が冷却用熱交換器2の下側に達するように、風向変更部材50が配置される。これにより、圧縮機の停止時に冷却用熱交換器2の下部に液冷媒が溜まっていて下部の表面温度が相対的に低い場合に、空調用空気が冷却用熱交換器2の下部において冷却されるので、圧縮機停止時における吹出空気温度の上昇が抑制される。これにより、乗員の快適性が良好に保たれる。また、アイドリング停止時間が長くなる。
また、空調用空気が所定風量以上の場合には、風向変更部材50が高風量姿勢になる。風向変更部材50が高風量姿勢になると、空気導入口24から導入された空調用空気の主流が冷却用熱交換器2の上下方向中間部に達するように、風向変更部材50が配置される。空調用空気が所定風量以上の場合というのは、風量が多い場合であり、この場合には、空調用空気の主流が冷却用熱交換器2の上下方向中間部に達したとしても、冷却用熱交換器2の下部においても風量が多くなっている。よって、圧縮機の停止時に冷却用熱交換器2の下部に液冷媒が溜まっていて下部の表面温度が相対的に低くなっていても、空調用空気が冷却用熱交換器2の下部でも冷却されるので、圧縮機停止時における吹出空気温度の上昇が抑制される。
(他の実施形態)
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
上記実施形態では、駆動装置Eによって風向変更部材50を駆動するようにしているが、これに限らず、駆動装置Eを省略してもよい。この場合、空調用空気の風量が所定風量未満の場合には、板状部51の自重によって風向変更部材50が低風量姿勢となり、一方、空調用空気が所定風量以上の場合には、風圧によって風向変更部材50が高風量姿勢となる。板状部51の重さによって風向変更部材50の姿勢の切替タイミングを設定することができる。
また、上記実施形態では、車両用空調装置1が内外気二層流モードに切り替えられる場合について説明したが、これに限らず、本発明は、車両用空調装置1が内外気二層流モードに切り替えられない場合にも適用することができる。
以上説明したように、本発明は、エバポレータを備えた空調装置に適用することができる。
1 車両用空調装置
2 冷却用熱交換器(エバポレータ)
10 空調ケーシング
24 空気導入口
25 デフロスタ吹出口
26a 左側ベント吹出口
26b 右側ベント吹出口
26c センターベント吹出口
27a フロントヒート吹出口
27b リヤヒート吹出口
50 風向変更部材
51 板状部
52 支軸部
C 制御装置
E 駆動装置
E2 ステッピングモータ
2 冷却用熱交換器(エバポレータ)
10 空調ケーシング
24 空気導入口
25 デフロスタ吹出口
26a 左側ベント吹出口
26b 右側ベント吹出口
26c センターベント吹出口
27a フロントヒート吹出口
27b リヤヒート吹出口
50 風向変更部材
51 板状部
52 支軸部
C 制御装置
E 駆動装置
E2 ステッピングモータ
Claims (8)
- 空調用空気を冷却するためのエバポレータと、
上記エバポレータを収容するとともに、空調用空気を導入する空気導入口及び調和空気が吹き出す吹出口を有するケーシングとを備えた車両用空調装置において、
上記エバポレータは空気通過面が上下方向に延びるように配設され、
上記ケーシングには、空調用空気が所定風量以上の場合に上記空気導入口から導入された空調用空気の主流が上記エバポレータの上下方向中間部に達するように配置される一方、空調用空気の風量が所定風量未満の場合に上記空気導入口から導入された空調用空気の主流が上記エバポレータの下側に達するように配置される風向変更部材が設けられていることを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項1に記載の車両用空調装置において、
上記風向変更部材は、上記空気導入口から導入される空調用空気の流れと対向するように配置されて上下方向に延びる板状部と、該板状部の上端部に設けられ、上記ケーシングに対して回動可能に支持された支軸部とを有していることを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項1に記載の車両用空調装置において、
上記風向変更部材は、上記空気導入口から導入される空調用空気の流れと対向するように配置され、上下方向に延びる板状部と、該板状部に設けられ、上記ケーシングに対して回動可能に支持された支軸部とを有し、
上記車両用空調装置は、上記支軸部に連結され、該支軸部を回動する駆動装置を有していることを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項2または3に記載の車両用空調装置において、
上記板状部の縁部は、上記ケーシングの内面から離れていることを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項3に記載の車両用空調装置において、
上記駆動装置は、ステッピングモータを有していることを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項1から5のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、
上記ケーシングは、車幅方向一側へ突出する空気導入ダクト部を有し、該空気導入ダクト部の上流端に上記空気導入口が開口し、
上記空気導入ダクト部に上記風向変更部材が設けられていることを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項1から6のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、
上記吹出口は、上記ケーシングの上部に形成され、車両のフロントウインドガラスの内面に向けて調和空気を吹き出すデフロスタ吹出口と、上記ケーシングの下部に形成され、乗員の足下近傍に向けて調和空気を吹き出すヒート吹出口とが形成され、
上記車両用空調装置は、上記デフロスタ吹出口及び上記ヒート吹出口に同時に調和空気を吹き出す吹出モードを選択可能に構成されていることを特徴とする車両用空調装置。 - 請求項1から7のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、
上記ケーシングにおける上記風向変更部材の下側には、上記車両用空調装置が有する送風ユニットの風量を制御する制御装置が配設されていることを特徴とする車両用空調装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017211711A JP2019084840A (ja) | 2017-11-01 | 2017-11-01 | 車両用空調装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2017211711A JP2019084840A (ja) | 2017-11-01 | 2017-11-01 | 車両用空調装置 |
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JP2019084840A true JP2019084840A (ja) | 2019-06-06 |
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JP2017211711A Pending JP2019084840A (ja) | 2017-11-01 | 2017-11-01 | 車両用空調装置 |
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JP (1) | JP2019084840A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019172027A (ja) * | 2018-03-28 | 2019-10-10 | 株式会社ケーヒン | 車両用空調装置 |
-
2017
- 2017-11-01 JP JP2017211711A patent/JP2019084840A/ja active Pending
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JP7075258B2 (ja) | 2018-03-28 | 2022-05-25 | マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 車両用空調装置 |
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