以下、本発明を添付図面に基づいて説明する。図1には本実施形態の水栓装置1が設けられた流し台2が示されている。なお、以下では水栓装置1を流し台2に設置した状態における方向を基準に説明し、流し台2から見て利用者が立つ側を前方として説明する。
流し台2の上部には、流し台2の上方に開口するシンク20が設けられている。シンク20の底部上面は略水平である。水栓装置1は流し台2の上方よりシンク20に水を吐出するものであって、この水は水受部となるシンク20の底部によって受けられる。利用者は前記シンク20に吐出された水を利用してシンク20内で食器や調理器具、食材等の被洗浄物を洗浄することができる。
図4に示されるように水栓装置1が備える吐水系統は、シンク20に水を吐出する吐水部3、吐水部3に水を供給する配管系4、及び配管系4に設けられた弁50〜52を有している。また、水栓装置1は、物体検知手段、センサー部、表示部34(図1参照)、及び制御部7を備えている。
水栓装置1の本体を構成する吐水部3は、図1に示されるようにシンク20後方の流し台2の上面部に設けられている。吐水部3は、流し台2の上面から立ち上がる縦長のベース30と、ベース30の上端面から立ち上がるスパウト31を有している。なお、図示例の吐水部3は流し台2の上面に設けられているが、その他の箇所、例えばシンク20の上端部より後方に突出したフランジ部上等に設けられてもよい。
ベース30は吐水部3の突出基部を構成している。スパウト31は側面視逆U字状に湾曲した管状に形成されており、ベース30から上方に突出した後に前側において下方に折り返されている。スパウト31は平面視において後方からシンク20の槽部の上方に向かって突出している。スパウト31の先端部には下方に開口する吐水口310が設けられている。
吐水口310はベース30の前側で且つシンク20の上方に位置している。吐水部3の内部には吐水口310に水を供給する吐水路(不図示)が形成されている。
図4に示される配管系4は流し台2の内部に設けられている。配管系4は、水道管から水道水が供給される給水管40、給湯器から湯が供給される給湯管41、及び水供給管42を有している。給水管40の下流端と給湯管41の下流端は水供給管42の上流側端部に接続されている。水供給管42には給水管40の水と給湯管41の湯が供給される。
水供給管42はその下流端が吐水部3の前記吐水路の上流端に接続されている。給水管40の水と給湯管41の湯を混合して得られた混合水は水供給管42から前記吐水路を介して吐水口310に供給され、この吐水口310から下方のシンク20に吐出される。
配管系4に設けられた弁50〜52のうち、弁50は給水管40に設けられた給水流量調整用の電動弁である。弁50の開度を変えることで給水管40から水供給管42に供給される水の流量が変更される。弁51は給湯管41に設けられた給湯流量調整用の電動弁である。弁51の開度を変えることで給湯管41から水供給管42に供給される湯の流量が変更される。
前記のように弁50及び弁51の開度を調節することで、給水管40及び給湯管41から水供給管42に供給される湯水の混合比を調節して、吐水口310から吐出される水の温度を変更することができる。すなわち、弁50及び弁51は吐水部3の吐水温度を変更するための吐水温度変更手段を構成している。また、弁50及び弁51の開度を調節することで、給水管40及び給湯管41から水供給管42に供給される水の量を調節して、吐水口310から吐出される水の量を変更することができる。すなわち、弁50及び弁51は吐水部3の吐水量を変更するための吐水量変更手段を構成している。
弁52は水供給管42に設けられた電磁弁であって、開閉することで水供給管42に供給された水を吐水口310に供給するか否か、すなわち、吐水口310からの吐水の有無を切り替えられるようになっている。すなわち、弁52は吐水部3の吐水の有無を切り替える吐水切替手段を構成している。
水栓装置1は吐水モードとして自動吐水モード(節水モード)を備えている。自動吐水モードでは、常時又は間欠的に吐水口310下側の検知エリア65(吐水領域)に手や皿等の物体が存在するか否かを検知する。そして、検知エリア65に物体が存在する場合には自動で吐水状態とされ、検知エリア65に物体が存在しない場合には自動で吐水停止状態とされる。すなわち、自動吐水モードでは吐水口310下側の検知エリア65に物体が存在する場合にのみ水が吐出される。
図1に示されるように吐水部3のベース30の上面には操作部33が設けられている。水栓装置1は、操作部33として、吐水量変更釦330(図6参照)、吐水温度変更釦331(図7参照)、及び自動吐水モード入切釦332(図8参照)を有している。
図6に示される吐水量変更釦330は、吐水部3の吐水量、すなわち、吐水口310から吐出される水の量を設定するための釦である。吐水量変更釦330が操作されて複数段階ある吐水量の中から任意の吐水量が選択されると、制御部7は設定された吐水量に応じて弁51の開度と弁52の開度を調節する。これにより吐水口310から設定された吐水量の水が吐出されるようになる。なお、この吐水量変更釦330によって設定された吐水量は、自動吐水モード以外での利用時だけでなく、自動吐水モードでの利用時においても採用されるが、自動吐水モード以外での利用時のみ、又は自動吐水モードでの利用時のみ採用されるものであってもよい。
図7に示される吐水温度変更釦331は、吐水部3の吐水温度、すなわち、吐水口310から吐出される水の温度を設定するための釦である。吐水温度変更釦331が操作されて複数段階ある吐水温度の中から任意の吐水温度が選択されると、制御部7は設定された吐水温度に応じて弁51の開度と弁52の開度を調節する。これにより吐水口310から設定された吐水温度の水が吐出されるようになる。この吐水温度変更釦331によって設定された吐水温度は、自動吐水モード以外での利用時だけでなく、自動吐水モードでの利用時においても採用されるが、自動吐水モード以外での利用時のみ、又は自動吐水モードでの利用時のみ採用されるものであってもよい。
図8に示される自動吐水モード入切釦332は自動吐水モードの入切(ON/OFF)を切り替えるための釦である。すなわち、制御部7は自動吐水モード入切釦332が操作される度に自動吐水モードの入切を切り替える。
ベース30の上面には、表示部として、吐水量表示部340(図6参照)、吐水温度表示部341(図7参照)、節水モード入切表示部342(図8参照)が設けられている。図6に示される吐水量表示部340は複数の発光部の中から選択された発光部を発光させることで、現在設定されている吐水量を表示する。図7に示される吐水温度表示部341は複数の発光部の中から選択された発光部を発光させることで、現在設定されている吐水温度を表示する。図8に示される節水モード入切表示部342は、発光部の発光状態の変化(発光の有無も含む)により、現在の節水モードが「入り」(ON)又は「切り」(OFF)のいずれの状態にあるかを表示する。
水栓装置1が備える物体検知手段は吐水口310の下側の検知エリア65に物体が存在するか否かを非接触で検知する。この物体検知手段は図2に示されるセンサー60〜62を有している。
センサー60〜62は吐水部3に設けられている。センサー60〜62は自動吐水モードでの利用時において用いられる。図2には各センサー60〜62の投光領域や受光領域が二点鎖線で示されている。これらセンサー60〜62により構成される物体検知手段の検知エリア65は、吐水口310とシンク20の底部の間における上部であって、物体検知手段はこの検知エリア65に物体が存在するか否かを検知する。なお、ここで言う物体には、人体の一部の他、食器や調理器具、食材等も含まれる。以下、センサー60〜62を区別するため、センサー60を第一センサー60、センサー61を第二センサー61、センサー62を第三センサー62と記載する場合がある。
第一センサー60は、三角測距方式で対象物までの距離を測定する測距センサーであって、詳しくは測距反射型光電センサー(距離設定型光電センサー)である。第一センサー60は、第一投光部600(図2参照)と第一受光部601(図3(a)参照)を有している。第一投光部600及び第一受光部601はベース30に設けられている。
第一投光部600は、照射光として赤外線又は可視光を照射する投光素子で構成されている。第一投光部600の光照射方向は、検知エリア65及びシンク20の底部のある前斜め下方に設定されている。このため、第一投光部600から照射した光は、検知エリア65を通過してシンク20の底部の上面に到達するように設定されている。
第一受光部601は、位置検出素子(例えばPSD素子(Position Sensiteive Detector)で構成されており、検知エリア65及びシンク20の底部上面から来た光を受けるように設定されている。第一投光部600から照射された光は、検知エリア65に存在する物体やシンク20の底部等の対象物で反射した後、第一受光部601に到達するように設定されている。
図3(a)に二点鎖線で示されるように、検知エリア65に物体が存在する場合、第一投光部600から照射した光は、例えば物体で反射した後に矢印a1で示すように第一受光部601に到達する。この時、第一受光部601には第一投光部600側の位置に光スポットが形成される。他方、検知エリア65に物体が存在しない場合、第一投光部600から照射した光は、シンク20の底部の上面で反射した後に矢印a2で示すように第一受光部601に到達する。このとき、第一受光部601には第一投光部600から離れた位置に光スポットが形成される。すなわち、第一受光部601に形成される光スポットの位置は、第一投光部600から対象物までの距離に応じて変化する。従って、第一センサー60は、第一受光部601に形成された光スポットの位置を検出し、これにより対象物までの距離を測定することができる。
第二センサー61は限定反射型光電センサーで構成されている。限定反射型光電センサーは、強い受光出力を得るために投受光の指向角度を小さくしたものである。また、限定反射型光電センサーは、投光軸と受光軸が比較的大きな角度で交差する。このため、限定反射型光電センサーの動作領域は、投光光芒と受光光芒が交差する限られた距離範囲のみの領域(限定領域)に限定されている。
第二センサー61は、図2に示される第二投光部610と第二受光部611を有している。スパウト31の先端部にはセンサー設置部32が設けられている。センサー設置部32は逆U字状のスパウト31の下方に折り返した前部から後方に突出して設けられている。第二投光部610はセンサー設置部32に設けられている。第二投光部610は、照射光としての赤外線又は可視光線を下方に向けて照射する投光素子で構成されている。
第二受光部611は受光素子で構成されている。第二受光部611は吐水部3のベース30に設けられている。第二受光部611は、第二投光部610の後側に位置する。第二受光部611の受光方向はシンク20の底部のある前斜め下方に設定されている。このため、第二投光部610から照射された光は、シンク20の底部の上面で反射した後、第二受光部611に到達するようになっている。
第二投光部610の投光軸と第二受光部611の受光軸は、シンク20の底部の上面で交差するように設定されている。すなわち、第二センサー61の動作領域は第二投光部610から見て検知エリア65よりも遠方となるシンク20底部の上面付近に限定されている。また、第二投光部610の照射光は検知エリア65を通過して反射物であるシンク20の底部の上面で反射し、この後、第二受光部611側に進行するように設定されている。
図3(b)に二点鎖線で示されるように、検知エリア65に物体が存在する場合、第二投光部610から照射された光は物体によって遮られ、シンク20の底部の上面に到達し難い。このため、第二受光部611には第二投光部610の照射光が到達し難くなる。他方、検知エリア65に物体が存在しない場合、第二投光部610の照射光は、検知エリア65を通過してシンク20の底部に至る。このため、当該照射光は、シンク20の底部において矢印a3に示す方向に反射して第二受光部611に到達し易くなっている。すなわち、第二センサー61は、第二受光部611の受光量の変化を検出することにより、検知エリア65における物体の有無を区別できる。
第三センサー62は第二センサー61と同様に限定反射型光電センサーで構成されている。第三センサー62は、図2に示される第三投光部620と第三受光部621を有している。第三投光部620はセンサー設置部32に設けられている。第三投光部620は第二投光部610の後方に位置している。
第三投光部620は、照射光である赤外線又は可視光線を前斜め下方に向けて照射する投光素子で構成されている。第三投光部620の照射光は、検知エリア65を通過し、シンク20の底部上面において、第二投光部610の照射光が照射される領域の前側に当該領域と一部重複して照射するように設定されている。
第三受光部621は第三投光部620の照射光を受ける受光素子で構成されている。第三受光部621は吐水部3のベース30に設けられている。第三受光部621は第三投光部620の後側に位置する。第三受光部621の受光方向は検知エリア65のある前斜め下方に設定されている。
第三投光部620の投光軸と第三受光部621の受光軸は、検知エリア65で交差するように設定されている。すなわち、第三センサー62の動作領域は検知エリア65に限定され、検知エリア65に存在する物体を反射物体として第三投光部620から照射された照射光が第三受光部621側に反射するように設定されている。
図3(c)に二点鎖線で示されるように、検知エリア65に物体が存在する場合、第三投光部620から照射された光は、矢印a4に示すように物体で反射する。このため、第三受光部621には当該照射光が到達し易い。一方、検知エリア65に物体が存在しない場合、第三投光部620から照射した光は、検知エリア65を通過してシンク20の底部に至る。このため、第三受光部621には第三投光部620から照射した光が到達し難い。すなわち、第三センサー62は第三受光部621の受光量の変化を検出することで、検知エリア65における物体の有無を区別できるようになっている。
制御部7は、自動吐水モードが「入り」であるときに、常時または間欠的に、第一投光部600からシンク20の底部に向けて光を照射し、同時に第一受光部601の出力から得た測定結果を監視する。また、制御部7は、自動吐水モードが「入り」であるときに、前記第一投光部600からの光照射と同時に又は極短時間ずらして、第二投光部610からシンク20の底部に向けて光を照射し、同時に第二受光部611の受光の出力を監視する。また、制御部7は、自動吐水モードが「入り」であるときに、前記第二投光部610からの光照射と同時に又は極短時間ずらして、第三投光部620から検知エリア65に向けて光を照射し、同時に第三受光部621の受光の出力を監視する。そして、制御部7は、自動吐水モードが「入り」であるときに、前記第一センサー60により測定した対象物までの距離、及び第二受光部611の受光の出力並びに第三受光部621の受光の出力に基づき、検知エリア65における物体の有無を判定する。なお、自動吐水モード以外の利用時にあっては、前記センサー60〜62による物体の検知は行われない。
表1に制御部7による検知エリア65における物体の有無の判定基準を示す。
表1における「有」は、センサー60〜62がその検知エリア65に物体が有る場合の出力値を示したときの状態を表している。また、表1における「無」は、センサー60〜62がその検知エリア65に物体が無い場合の出力値を示したときの状態を表している。
すなわち、制御部7は、第一センサー60で測定した対象物までの距離が所定距離以下になり、且つ、第二受光部611の出力が第一の所定値以下になった場合に、検知エリア65に物体が有ると判定する。また、制御部7は、第三受光部621の出力が第二の所定値を超える値になった場合に、検知エリア65に物体が有ると判定する。また、制御部7は、前記二例以外の場合は、検知エリア65に物体が無いと判定する。
前記所定距離は、第一投光部600からシンク20の底部までの距離よりも短く且つ第一投光部600から検知エリア65までの距離よりも長い値に設定されている。また、前記第一の所定値は、第二投光部610の照射光がシンク20の底部の上面で反射したときの第二受光部611の出力よりも小さい値に設定されている。また、この第一の所定値は、第二投光部610の照射光が検知エリア65に存在する物体で反射したときの第二受光部611の出力よりも大きくなる値に設定されている。また、前記第二の所定値は、第三投光部620の照射光が検知エリア65に存在する物体で反射したときの第三受光部621の出力よりも小さい値に設定されている。また、この第二の所定値は、第三投光部620の照射光が検知エリア65を通過してシンク20の底部に到達したときの第三受光部621の出力よりも大きい値に設定されている。
制御部7は、自動吐水モードが「入り」であるときに前記物体の有無の判定結果に基づいて、吐水部3の吐水の有無を切り替える。この切り替えは弁52の開閉を切り替えることで行われる。すなわち、制御部7は、自動吐水モードが「入り」であるときに検知エリア65に物体が有ると判定した場合、弁52を開いて吐水口310からシンク20に水を吐出する。これにより、吐水口310から吐出された水を吐水口310の下方に差し入れた手や皿等の物体に当てて洗うことができる。また、制御部7は、検知エリア65に物体が無いと判定した場合、弁52を閉じて吐水口310からの吐水を停止する。
水栓装置1が備えるセンサー部は、図1に示されるように吐水部3に設けられたセンサー63、64を有している。センサー63、64はスパウト31の上面部に設けられている。センサー63は、吐水部3からの吐水の有無を切り替える際、吐水部3の吐水量を変更する際、及び自動吐水モードを「入り」にする際に用いられる。また、センサー64は自動吐水モードの入切を切り替える際に用いられる。
センサー63は測距センサーであって、図示しない投光部と受光部を有している。なお、センサー63は第一センサー60と同様の測距センサーであり、第一センサー60と同様の構成については説明を省略する。
センサー63の測定領域630はスパウト31の上面部に対向する領域、すなわち、スパウト31の上側領域である。センサー63は前記三角測距方式により測定領域630に存在する物体までの距離を測定する。
制御部7は自動吐水モードが「切り」であるとき、常時または間欠的にセンサー63の投光部から光を照射し、同時にセンサー63の受光部の出力から得た測定結果を監視する。ここで、制御部7は、センサー63で測定された物体までの距離が予め設定された閾値より小さくなったとき測定領域630に物体が有ると判定し、前記閾値以上となったときに測定領域630に物体が無いと判定する。すなわち、センサー63の測定結果に基づいて測定領域630に物体が存在するか否かが検知される。
そして、制御部7はセンサー63の前記測定結果に基づいて吐水の有無を切り替える。具体的に制御部7は、吐水口310から水を吐出していない状態でセンサー63の測定結果に基づいて測定領域630に物体が存在することを検知したときには、弁52を開いて吐水口310からの水の吐出を開始する。このときの吐水量は、前記測定領域630に物体があることを検知した時に設定されている吐水量である。すなわち、この吐水量は、吐水量変更釦330を用いて予め設定されている吐水量、あるいは後述のセンサー63の測定結果に基づいて予め設定されている吐水量である。また、前記測定領域630に物体が存在することを検知した後に、センサー63の測定結果に基づいて、当該物体が測定領域630から外れ、この後、測定領域630に物体が存在することを検知したときには、弁52を閉じて吐水口310からの吐水を停止する。
前記により、利用者は自動吐水モードが「切り」の状態にあるときには、図1に示されるようにスパウト31のセンサー63が設けられた箇所の上側に手をかざすことで、吐水口310から水を吐出できる。また、この後、再度センサー63に手をかざすことで吐水口310からの吐水を停止できる。なお、本実施形態では、センサー63を用いた前記吐水の有無の切り替えを自動吐水モードが「切り」の状態にあるときにのみ可能としたが、自動吐水モードが「入り」にあるときにも前記センサー63を用いた吐水の有無の切り替えを行えるようにしてもよい。
また、制御部7は、前記のように測定領域630に物体が存在することを検知した後に、予め設定された所定時間内において当該測定領域630に存在する物体の距離の変化があったことを検知した際、吐水口310の吐水量を変更する。ここで、前記の物体の距離の変化はセンサー63の測定結果に基づいて検知される。また、この吐水量の変更は吐水口310から水が吐出された状態で吐水量変更手段を構成する弁50及び弁51の開度を調節することで行われる。また、この吐水量の変更は前記所定時間内において物体の距離の変化を検知する度に行われる。
具体的に制御部7は、前記のように測定領域630で検知された物体からセンサー63までの距離が短くなったときに吐水量を増加させる。この増加量は前記所定時間内における物体までの距離の減少量が大きくなる程大きくなる。また、制御部7は前記のように測定領域630で検知された物体からセンサー63までの距離が長くなったときに吐水量を減少させる。この減少量は前記所定時間内における物体までの距離の増加量が大きくなる程大きくなる。なお、前記吐水量の変更は、物体からセンサー63までの距離が長くなったときに吐水量を増加させ、物体からセンサー63までの距離が短くなったときに吐水量を減少させるものであってもよい。また、前記吐水量の変更は、センサー63の測定結果に基づいて、測定領域630に物体が存在することを検知してから所定時間経過時点での物体の距離の変化量に応じて行ってもよい。
また、制御部7は、センサー63の測定結果に基づいて測定領域630に物体が存在することを検知し、この後、この物体が測定領域630から物体が外れたことを検知した際、この物体が測定領域630から外れた時の吐水量を以後の吐水量として設定する。すなわち、測定領域630に物体が存在することが検知された後に吐水量が変更され、この後、センサー63の測定結果に基づいて測定領域630にある物体が測定領域630から外れたことを検知した場合、以後の吐水量は前記変更された吐水量に設定される。また、測定領域630に物体が存在することが検知された後、吐水量が変更されずにセンサー63の測定結果に基づいて測定領域630にある物体が測定領域から外れたことを検知した場合、予め設定されていた吐水量が以後の吐水量として設定される。このように測定領域630にある物体が測定領域630から外れたことを検知した場合に設定された吐水量は、以後再び吐水量が変更されるまで固定される。また、この設定された吐水量は、以後の吐水において自動吐水モードが「入り」又は「切り」のいずれの状態にあるときにも採用される。
前記制御により、利用者はスパウト31のセンサー63にかざした手を図5(b)に示されるようにセンサー63の測定領域630から外れた位置に移動させることで、以後の吐水量を設定することが可能になる。
図1に示されるセンサー64は限定反射型光電センサーであって、図示しない投光部と受光部を有している。なお、センサー64は第二センサー61や第三センサー62と同様の限定反射型光電センサーであり、第二センサー61や第三センサー62と同様の構成については説明を省略する。
センサー64はスパウト31の上面部においてセンサー63の後側に設けられており、センサー63と前後方向に並んでいる。センサー64の検知領域640はセンサー63の測定領域630の後方にあり、検知領域640は測定領域630とは異なる領域である。すなわち、スパウト31の上面部に対向する領域において、センサー64の検知領域640はセンサー63の測定領域630の直ぐ後側に存在する。
制御部7は、センサー63、64を有するセンサー部が物体の特定動作を検知した際に自動吐水モードに入る制御を行う。具体的には、前記のように測定領域630から物体が外れて吐水量の設定がなされた後、所定時間内にセンサー64の検知結果に基づいて検知領域640に物体が存在することを検知した場合、自動吐水モードを「入り」にする。同時に弁52を閉じて吐水口310からの吐水を停止する。
前記自動吐水モードへの移行及び吐水の停止は、センサー63の検知領域630に物体が存在すること、この物体が検知領域630から外れたこと、及び検知領域630から物体が外れた後の所定時間内に検知領域640に物体が存在することが条件となる。ここで、本実施形態では単にセンサー64により検知領域640に物体が存在することが検知された場合には、自動吐水モードを「入り」にする制御は行われない。しかし、自動吐水モードが「切り」であるときにセンサー64により検知領域640に物体が存在することを検知した場合に自動吐水モードを「入り」にするようにしてもよい。
また、制御部7は自動吐水モードが「入り」であるときにセンサー64により検知領域640に物体が存在することを検知した場合、自動吐水モードを「切り」に切り替える。
前記制御により利用者はセンサー63に手をかざした後、この手をセンサー63の測定領域630から外れた後側(利用者から見た奥側)のセンサー64をかざす位置まで移動させるという特定動作をすることで、自動吐水モードを「入り」にすることが可能になる。また、自動吐水モードが「入り」であるときに、センサー64に手をかざすことで自動吐水モードを「切り」にすることが可能になる。なお、センサー部の検知結果に基づいて検知される物体の特定動作は前記動作に限定されるものではない。また、センサー部は、センサー63のみの検値結果、あるいは従来から知られているセンサー64以外のセンサーとセンサー63の検知結果に基づいて特定動作を検知するものであってもよい。
以上説明した水栓装置1は、スパウト31の上面部に設けられてその測定領域630に存在する物体までの距離を測定するセンサー63(測距センサー)を有するセンサー部を備えている。そして、センサー部(センサー63)の測定により測定領域630に物体が存在し且つ当該物体までの距離が変化したことを検知した際に、吐水口310の吐水量を変更する。この構成により、利用者はスパウト31の上面部に設けられたセンサー63に手をかざし、この手をセンサー63に近づけたり遠ざけたりすることで、吐水口310の吐水量を変更できる。また、この場合、利用者は吐水部3に触れることなく吐水量を変更できる。このため、利用者の手に付いた油や洗剤、水等が吐水部3に付着し難くなる。また、本実施形態ではスパウト31の上面部にセンサー63を設けたので、吐水量を調節するにあたって吐水口310の下側(検知エリア65)に手を出す必要がない。このため、吐水量を調節するにあたって吐水口310から吐出された水が手に当たって水跳ねが生じるといった事態が生じ難くなる。
また、センサー部(センサー63)の測定により測定領域630に物体が存在し、この後、この測定領域630に存在する物体が測定領域630から外れたことを検知した際に、この物体が測定領域630から外れた時における吐水量を以後の吐水量として設定する。このため、利用者はセンサー63にかざした手を測定領域630から外れた位置に移動するだけで吐水量を速やかに設定することができる。
また、本実施形態では、センサー部(センサー63)の測定により測定領域630に物体が存在することを検知した際に吐水口310から水を吐出する。このため、利用者は、センサー63に手をかざすことで、手動により吐水口310から水を吐出することができる。また、この後の所定時間内において、制御部7はセンサー63の測定により測定領域630に存在する物体までの距離が変化することを検知する度に吐水量を変更する。このため、センサー63にかざした手を動かして行う吐水量の変更を、実際に吐水口310から吐出された水の量の変化を確認しながら行うことができる。
また、水栓装置1は、吐水口310の下側の検知エリア65に物体が存在するか否かを非接触で検知する物体検知手段(センサー60〜62)を備えている。また、自動吐水モードを備えている。自動吐水モードは、物体検知手段によって検知エリア65の物体の存在を検知している状態では吐水口310から水を吐出し、物体検知手段によって検知エリア65の物体の存在を検知していない状態では吐水口310からの吐水を停止する。このため、検知エリア65に手や皿等を差し入れるだけで吐水することができる。また、検知エリア65に入れた手や皿等を検知エリア65の外側に移動させるだけで、吐水口310からの吐水を停止できる。
また、制御部7は、センサー部が物体の特定動作を検知した際に、自動吐水モードを「入り」にする。このため、利用者は特定動作をするだけで、吐水部3に触れることなく自動吐水モードを「入り」にすることができる。
具体的には、センサー部は、センサー63に加え、スパウト31の上面部に設けられて測定領域630とは異なる領域を検知領域640として検知領域640に物体が存在するか否かを非接触で検知するセンサー64(物体検知センサー)を有している。そして、制御部7は、センサー63の測定により測定領域630に存在する物体までの距離が変化したことを検知し、この後、センサー64により検知領域640に物体が存在することを検知した際に自動吐水モードを「入り」にする。このため、センサー63に手をかざして吐水量を調節した後に、この手をセンサー64をかざす位置まで移動させるだけで、吐水部3に触れることなく自動吐水モードを「入り」にすることができる。
また、センサー部(センサー63)の測定により測定領域630に物体が存在することを検知した際に吐水口310から水を吐出する。そして、この吐水状態において、センサー部(センサー63)の測定により測定領域630に物体が存在しないことを検知し、この後、測定領域630に再び物体が存在することを検知した際に、吐水口310からの吐水を停止する。このため、利用者はセンサー63に手をかざして吐水口310から水を吐出し、この水を利用した後に、再びセンサー63に手をかざして吐水口310からの吐水を停止することができる。
なお、本実施形態では、センサー63の測定により測定領域630に物体が存在し且つ当該物体までの距離が変化したことを検知した際に、吐水口310の吐水量を変更するようにしている。しかし、以下の第二の実施形態に示すように前記吐水量に代えて、センサー63の測定により測定領域630に物体が存在し且つ当該物体までの距離が変化したことを検知した際に、吐水口310の吐水温度を変更するようにしてもよい。なお、以下に説明する実施形態は、前記実施形態においてセンサー63、64によって制御される吐水量を吐水温度に代えたものであり、同様の構成については説明を省略する。
制御部7は、測定領域630に物体が存在することを検知した後に、予め設定された所定時間内に当該測定領域630に存在する物体の距離の変化があったことを検知した場合、前記距離の変化量に応じて吐水口310の吐水温度を変更する。この吐水温度の変更は吐水口310から水が吐出された状態で吐水温度更手段を構成する弁50及び弁51の開度を変更することで行われる。
具体的に制御部7は、前記のように測定領域630で検知された物体からセンサー63までの距離が短くなったときに吐水温度を上昇させる。この上昇量は物体までの距離が短くなる程大きくなる。また、制御部7は前記のように測定領域630で検知された物体からセンサー63までの距離が長くなったときに吐水温度を低下させる。この低下量は物体までの距離が長くなる程大きくなる。
また、制御部7は、センサー63の測定結果に基づいて測定領域630に物体が存在することを検知した後にこの物体が測定領域630から物体が外れたことを検知した際、この物体が測定領域630から外れた時の吐水温度を以後の吐水温度として設定する。
前記制御により、利用者はスパウト31のセンサー63にかざした手を図5(b)に示されるようにセンサー63の測定領域640から外れた位置に移動させることで、以後の吐水温度を設定することが可能になる。
以上説明した本実施形態の水栓装置1は、センサー63の測定により測定領域630に物体が存在し且つ当該物体までの距離が変化したことを検知した際に、吐水口310の吐水温度を変更する。このため、利用者はスパウト31の上面部に設けられたセンサー63に手をかざし、この手をセンサー63に近づけたり遠ざけたりすることで、吐水口310の吐水温度を変更できる。また、この場合、利用者は吐水部3に触れることなく吐水温度を変更できる。このため、利用者の手に付いた油や洗剤、水等が吐水部3に付着し難くなる。また、例えば吐水温度を制御するにあたって手を吐水口の下方に差し出すものにあっては、この手に吐水口から吐出された水が勢い良くあたって水跳ねが生じる恐れがある。また、利用者の意図しない温度の水が手にかかる恐れもある。しかし、本実施形態ではスパウト31の上面部にセンサー63を設けたので、このような事態が生じ難くなる。
また、本実施形態ではセンサー63の測定により測定領域630に物体が存在し、この後、測定領域630に存在する物体が測定領域630から外れたことを検知した際に、この物体が測定領域630から外れた時における吐水温度を以後の吐水温度として設定する。このため、利用者はセンサー63にかざした手を測定領域630から外れた位置に移動するだけで吐水温度を速やかに設定することができる。
また、本実施形態でも、センサー63の測定により測定領域630に存在する物体までの距離が変化したことを検知した後に、センサー64により検知領域640に物体が存在することを検知した際には自動吐水モードに入る。このため、センサー63に手をかざして吐水温度を調節した後に、この手をセンサー64をかざす位置まで移動させるだけで、吐水部3に触れることなく自動吐水モードに入ることができる。
なお、前記各実施形態ではセンサー60〜62で吐水口310の下側の検知エリア65に物体が存在するか否かを検知する物体検知手段を構成した。しかし、センサー60〜62のうちのいずれか一つのセンサーを用いて物体検知手段を構成してもよい。また、従来から知られている他のセンサーを用いて物体検知手段を構成してもよい。また、水栓装置1は、物体検知手段や自動吐水モードを備えないものであってもよい。また、前記各実施形態ではスパウト31の上面部にセンサー64、65を設けたが、センサー64、65はスパウト31の前面部に設けてもよいし、スパウト31の前面部から上面部に跨るように設けてもよい。また、本発明の水栓装置1は流し台2に限られず洗面台等の従来から水栓が用いられるその他の箇所にも設置して利用してもよい。また、本発明は前記し且つ図面に示した実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施可能である。