JP6163874B2 - 回転角度検出装置、画像処理装置及び回転角度検出方法 - Google Patents

回転角度検出装置、画像処理装置及び回転角度検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、回転角度検出装置、画像処理装置及び回転角度検出方法に関し、詳細には、安価かつ正確に回転体の回転角度を検出する回転角度検出装置、画像処理装置及び回転角度検出方法に関する。
プリンタ装置、ファクシミリ装置、複写装置、スキャナ装置、複合装置等の画像処理装置においては、駆動モータによって駆動機構を駆動することで、画像読取動作や画像形成動作等の画像処理を行うのに必要な各部を所定速度で駆動させている。
そして、駆動モータ等の回転体を意図する速度で回転駆動するために、従来、回転体の回転角度に応じて正弦波状に変化する信号を出力するセンサを回転体の周囲に配置して、回転角度検出装置で、該センサの出力信号に基づいて回転体の回転角度の検出を行なっている。具体的には、センサとして、ホール素子等の磁気センサが用いられ、回転角度検出装置は、該磁気センサの出力信号から逐次探索アルゴリズムを用いて回転体の回転角度の検出を行っている。
ところが、磁気センサを用いた回転角度検出装置にあっては、従来、回転角度検出装置に用いられる磁気センサの感度の相違、磁気センサの回転体への組み付け時の誤差に起因する位相角のズレ、磁石の着磁ずれを原因とするセンサ出力信号に誤差が発生する。
したがって、高精度な回転体の回転角度の検出においては、高精度に回転体の回転角度を検出するためには、製造工程において、センサ出力信号を補正する校正作業工程が必要となる。
そして、従来、回転体の回転中心軸に対して所定の角度をなすように配置され、磁界の強さに応じた信号を出力する2つの磁気センサと、前記磁気センサが配置された位置に、前記回転体の回転に応じた強さの磁界を発生させる磁石と、前記2つの磁気センサからの出力信号を処理して前記回転体の回転角度を求める信号処理回路であって、前記回転体を予め定められた回転角度ずつ回転させて測定した前記出力信号の出力値により表現されるベクトルを前記回転角度に関してフーリエ級数展開したときのフーリエ係数を記憶した記憶手段と、前記記憶手段に記憶されたフーリエ係数を使用して前記回転角度を計算する計算手段とを有する信号処理回路とを備える回転角度センサが提案されている(特許文献1参照)。
すなわち、この従来技術は、回転角度検出装置を回転体に組み付けた後に、外部の校正装置に接続し、回転体を回転させて、角度検出装置内の磁気センサ出力信号を測定する。次いで、測定されたセンサ出力信号を回転角度に関してフーリエ級数展開したときのフーリエ係数を、回転角度を計算する際の補正値として回転角度検出装置の記憶手段に記憶させる。回転角度検出装置は、この補正値を基に回転角度検出動作時にセンサ出力信号を補正して回転角度を検出している。
しかしながら、上記公報記載の従来技術にあっては、回転角度検出装置を組み付けた後に、校正処理を行っており、回転角度検出装置を組み付けた後に校正工程を必要とし、コストが高くつくという問題があった。
そこで、本発明は、組付後の出力信号の校正処理を行うことなく、安価かつ正確に回転軸の回転角度を検出することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1記載の回転角度検出装置は、回転体の回転角度に応じて出力が変化するとともに、それぞれ位相の異なる検出信号を出力する状態で配設されている複数の回転検出手段の出力する複数の前記検出信号のうち、第1の検出信号に基づく信号のピーク値が第2の検出信号のピーク値と一致するように補正を行って補正信号として出力する振幅調整手段と、複数の前記補正信号のうち、2つを相互に加減算して、相互に直交する2つのベクトル成分信号を生成するベクトル生成手段と、つの前記ベクトル成分信号によって表されるベクトルに基づいて、前記回転体の回転角度を探索して検出角度を出力する回転角度探索手段と、を備えていることを特徴としている。
本発明によれば、組付後の出力信号の校正処理を行うことなく、安価かつ正確に回転軸の回転角度を検出することができる。
本発明の一実施例を適用した回転角度検出装置の回路構成図。 DCブラシレスモータの概略構成図。 理想のUVアナログホール信号の一例を示す図。 実際のUVアナログホール信号の一例を示す図。 第1自動振幅調整部の回路構成図。 第1振幅調整後アナログホール信号HUreal’と実際のアナログホール信号HUrealの関係を示す図。 ベクトル生成部におけるベクトル生成処理の説明図。 ベクトル生成部で直行変換されたベクトル成分の一例を示す図。 第2自動振幅調整部の回路構成図。 第2自動調整部の出力するベクトル成分の一例を示す図。 極座標上にプロットした回転しベクトルを示す図。 ベクトル回転演算部、角度探索部、2相パルス生成部及び回転行列係数出力部の回路構成図。 ベクトル回転演算部の抵抗ラダー方式乗算型DACを用いた乗算部の要部回路構成図。 ベクトルの回転と角度検出の関係を示す図。 変換ベクトルの不感帯に基づく基準ベクトルとの一致判定の説明図。 角度探索処理を示すフローチャート。 回転子初期回転時の角度探索の説明図。 トリガn+1回目の回転時における回転子ベクトルと変換ベクトルの説明図。 トリガn+2回目の回転時における回転子ベクトルと変換ベクトルの説明図。 単位回転角回転に伴う回転変換ベクトルの回転変換の説明図。 検出角度と2相パルス信号の関係を示す図。
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
図1〜図21は、本発明の回転角度検出装置、画像処理装置及び回転角度検出方法の第1実施例を示す図であり、図1は、本発明の回転角度検出装置、画像処理装置及び回転角度検出方法の第1実施例を適用した回転角度検出装置1の回路構成図である。
図1において、回転角度検出装置1は、差動部2、第1自動振幅調整部3、ベクトル生成部4、第2自動振幅調整部5、ベクトル回転演算部6、角度探索部7、2相パルス生成部8及び回転行列係数出力部9等を備えている。
差動部2には、図2に示すDCブラシレスモータ10に取り付けられている回転検出部11のホール素子(回転検出手段)11u、11v、11wが出力するU相、V相、W相の差動信号HU+/HU−、HV+/HV−、HW+/HW−のうち、U相差動信号HU+/HU−とV相差動信号HV+/HV−が入力される。
すなわち、回転駆動検出装置1は、DCブラシレスモータ10の回転軸である回転子12(図2参照)を検出対象の回転体として、該回転子12の回転角度を検出する。
そして、DCブラシレスモータ10は、図2に示すように、通常、相互に120度の位相差を有し、Y字結線されているU相、V相、W相の3相のコイル13と、該コイル13と対向するとともにS極とN極が交互に並ぶ状態で位置に配置されている永久磁石である回転子12とを備えている。DCブラシレスモータ10は、端子14からU相、V相、W相の駆動電流が、回転子12の角度に応じて適切に転流されることで、回転駆動される。なお、DCブラシレスモータ10は、回転子12を駆動するためには、ホール素子11u、11v、11wの検出する差動信号の出力方向及び磁束の方向に対して、垂直に電圧を印加する必要があるが、図2では、省略している。
この回転角度検出装置1及びDCブラシレスモータ10は、複合装置等の画像処理装置に適用され、回転子12の回転軸(図示略)には、画像処理装置の駆動機構が連結される。
そして、上記ホール素子11u、11v、11wは、回転子12の近傍の所定位置に固定配置されており、回転子12の磁界に応じて変化するU相、V相、W相の差動信号HU+/HU−、HV+/HV−、HW+/HW−をそれぞれ出力する。なお、本実施例では、ホール素子11u、11v、11wを用いて、コイル13の転流タイミングの検出のために、3相ホール信号のゼロクロス検出のみを行っている。この場合、電気角での分解能は60である。
回転角度検出装置1の差動部2には、本実施例では、上述のように、ホール素子11u、11v、11wのうち、ホール素子11uの出力するU相差動信号HU+/HU−と、ホール素子11vの出力するV相差動信号HV+/HV−のみが入力される。なお、他の異なる2相を用いてもよい。
差動部2は、2つの差動アンプ2aと差動アンプ2bを備えており、差動アンプ2aに、U相差動信号HU+/HU−が、差動アンプ2bに、V相差動信号HV+/HV−が、それぞれ入力される。
差動アンプ2aは、差動信号HU+、/HU−をシングルエンド化して、回転子12の回転角度に応じて正弦波状に変化するアナログホール信号HUrealを第1自動振幅調整部3へ出力する。
差動アンプ2bは、差動信号HV+、/HV−をシングルエンド化して、回転子12の回転角度に応じて正弦波状に変化するアナログホール信号HVrealを第1自動振幅調整部3及びベクトル生成部4へ出力する。
このアナログホール信号は、永久磁石である回転子12の着磁バラつきがなく、ホール素子11u、11vの感度にバラつきがなく、さらに、ホール素子11u、11vの取り付け誤差等の誤差要因がない理想的な場合には、図3に示すような理想のアナログホール信号HUideal、HVidealとなる。
アナログホール信号は、上述のように、ホール素子11u、11vから出力される差動信号HU+/HU−、HV+/HV−を、図1で示す差動部2を介して得られる信号(検出信号)である。アナログホール信号は、回転子12の回転角度に応じて正弦波状に変化する。DCブラシレスモータ10の構造から得られる理想のアナログホール信号HUideal、HVidealは、次式(1)で表わされる関係を有する信号である。
Figure 0006163874
なお、式(1)では、アナログホール信号HWidealについても記載されているが、本実施例では、取り扱わない。
また、本実施例の場合、DCブラシレスモータ10の回転子12の磁極数が「8」であるので、図3に示すアナログホール信号の正弦波は、回転子12の1回転当たり4周期であり、回転子12の1/4回転が図3に示す正弦波1周期に相当する。そこで、本実施例における角度は、アナログホール信号の正弦波1周期を360度として示し、この角度θを回転子角度とする。なお、本実施例では、検出対象のDCブラシレスモータ10の回転子12の磁極数を、「8」(4ペア)としているが、磁極数は、「8」に限られるものではない。また、なお、ホール素子11u、11v、11wを駆動させるためには、上記差動信号の出力方向及び検出する磁束の方向に対して垂直に電圧を印加する必要があるが、図3では省略している。
この理想のアナログホール信号HUideal、HVidealは、相互に振幅が同じであり、位相差が120度となっている。
そして、ホール素子11u、11v、11wから出される実際のアナログホール信号は、差動部2でシングルエンド化すると、図4に示すような波形の実際のアナログホール信号HUreal、HVrealとなる。これは、DCブラシレスモータ10の回転子12の着磁ずれ、ホール素子11u、11v、11wの感度バラつき、ホール素子11u、11v、11wの取付誤差に起因している。
実際のアナログホール信号HUreal、HVrealは、図4に示すように、U相アナログホール信号HUrealとV相アナログホール信号HVrealが、相互に振幅が異なり、位相差も120度ではなくなっている。
この実際のアナログホール信号HUreal、HVrealは、次式(2)で表される関係を有する信号である。
Figure 0006163874
式(2)で示されているAu、Avの振幅の差異は、回転子12の着磁ずれ、ホール素子11u、11vの感度誤差等に由来し、Δθの位相ずれは、ホール素子11u、11vの組付誤差等に由来している。
回転角度検出装置1は、後述するように、第1自動振幅調整部3、ベクトル生成部4、第2自動振幅調整部5で処理することで、振幅が異なり位相がずれか2つの正弦波信号から、振幅が等しく90度位相差を有する2つの正弦波信号を生成する。
そして、
後述するベクトル回転演算は、前提として、振幅が等しく90度の位相差を持った2つの正弦波信号をそれぞれ、回転子ベクトルのX成分、Y成分として行う。この前提となる正弦波信号からずれた信号を用いる限り、角度検出装置によって検出される角度は誤差を持つものとなる。
以降の処理部、第1自動振幅調整部3、ベクトル生成部4、第2自動振幅調整部5を通すことで、振幅が異なり、位相ずれを持った2つの正弦波信号から、振幅が等しく90度の位相差を持った2つの正弦波信号を生成する。
そして、第1自動振幅調整部(振幅調整手段)3は、図5に示すように回路構成されており、可変ゲインアンプ31、ピークホールド回路(P/H)32a、32b、比較器33等を備えている。
可変ゲインアンプ(信号振幅調整手段)31は、差動アンプ2aから実際のアナログホール信号HUrealが入力されるとともに、比較器33の出力する出力制御電圧ΔAuvがゲイン調整信号としてフィードバック入力されている。可変ゲインアンプ31は、アナログホール信号HUrealの振幅を、比較器33からのゲイン調整信号に基づいて振幅調整して、第1振幅調整後アナログホール信号(補正値)HUreal’として、ベクトル生成部4及びピークホールド回路32aへ出力する。
ピークホールド回路(ピークホールド手段)32aは、可変ゲインアンプ31の出力する第1振幅調整後アナログホール信号HUreal’のピークをホールドして、比較器33へ出力する。
第1自動振幅調整部3は、差動アンプ2bからの実際のアナログホール信号HVrealをベクトル生成部4へそのまま出力するとともに、ピークホールド回路32bへ取り込む。
ピークホールド回路(基準ピークホールド手段)32bは、差動アンプ2bからの実際のアナログホール信号HVrealのピークをホールドして、比較器33へ出力する。
比較器(調整値決定手段)33は、ピークホールド回路32aがホールドした第1振幅調整後アナログホール信号HUreal’のピーク値と、ピークホールド回路32bがホールドした実際のアナログホール信号HVrealのピーク値と、を比較する。比較器33は、これらの比較結果である出力制御電圧ΔAuvをゲイン調整信号(補正値)として、可変ゲインアンプ31へフィードバックする。
この比較器33の出力する出力制御電圧ΔAuvは、第1振幅調整後アナログホール信号HUreal´と実際のアナログホール信号HVrealの振幅の偏差の大きさを示しており、可変ゲインアンプ31にゲイン調整信号として出力される。したがって、可変ゲインアンプ31の可変ゲインは、制御電圧ΔAuvに応じて制御され、第1振幅調整後アナログホール信号HUreal´の振幅と実際のアナログホール信号HVrealの振幅を、図6に示すように、一致させることができる。
この場合、第1振幅調整後アナログホール信号HUreal´と実際のアナログホール信号HVrealは、次式(3)の関係にある。
Figure 0006163874
式(3)に示すように、この段階では、第1振幅調整後アナログホール信号HUreal´と実際のアナログホール信号HVrealは、振幅は一致しているが、位相差は、αで示す位相分だけ90度からずれていることがある。
なお、図5の第1自動振幅調整部3は、アナログホール信号HUrealの振幅が、アナログホール信号HVrealの振幅に一致するように調整しているが、アナログホール信号HVrealの振幅がアナログホール信号HUrealの振幅に一致するように調整してもよい。また、第1自動振幅調整部3は、アナログホール信号HUrealとアナログホール信号HVrealの双方の振幅を調整して、所定の振幅に一致するように調整してもよい。
ベクトル生成部(ベクトル生成手段)4は、減算アンプ4aと加算アンプ4bを備えており、それぞれに、振幅が一致している第1振幅調整後アナログホール信号HUreal´と実際のアナログホール信号HVrealが入力される。
減算アンプ4a及び加算アンプ4bは、以下に説明するように、第1振幅調整後アナログホール信号HUreal´と実際のアナログホール信号HVrealを相互に加減算処理を行ない、位相がちょうど90度ずれた信号Vxpreと信号Vypreを生成する。ただし、この時点では2つの信号Vxpreと信号Vypreの振幅は一致していない。
すなわち、上述のように、第1自動振幅調整部3において振幅調整された第1振幅調整後アナログホール信号HUreal´と実際のアナログホール信号HVrealは、振幅が一致しているため、これら2つの正弦波を加減算すると、90度位相差を有する正弦波となる。
具体的には、式(3)に示した第1振幅調整後アナログホール信号HUreal´と実際のアナログホール信号HVrealのうち、実際のアナログホール信号HVrealを加法定理を用いて変形すると、次式(4)のようになる。
Figure 0006163874
この式(4)で示されている2式を相互に加減算すると、次式(5)のようになる。
Figure 0006163874
この式(5)で示される2式に三角関数の合成公式を適用すると、次式(6)のようになる。
Figure 0006163874
式(6)で示されている角度φ1と角度φ2の値は、次式(7)のようになる。
Figure 0006163874
すなわち、角度φ1は、ベクトルA(1+cosα、sinα)とX軸がなす角度であり、角度φ2は、ベクトルB(1−cosα、−sinα)とX軸がなす角度として捉えることができる。そして、この2つのベクトルA、Bの内積をとると、次式(8)のようになる。
Figure 0006163874
すなわち、ベクトルAとベクトルBの内積が「0」となるため、ベクトルAとベクトルBのなす角度(φ1+φ2)は、90度である。
したがって、ベクトル生成部4によって、振幅が一致する正弦波である第1振幅調整後アナログホール信号HUreal´と実際のアナログホール信号HVrealを加減算処理することで、90度位相差を有する2つのベクトル成分信号Vxpre、Vypreとなる。
すなわち、図7に示すように、XY軸上で任意のそれぞれ異なる方向にU軸、V軸をとる。このU軸V軸上に長さ「1」の単位ベクトルU、Vを想定した場合、加算したベクトル(U+V)と、減算したベクトル(U−V)の内積は、U・U+(−V)・V=1−1=0となり、ベクトル(U+V)とベクトル(U−V)とは直角(90度)になる。すなわち、ひし形の対角線同士が必ず直角で交わることと同意である。
ところが、ベクトル生成部4によって生成されるベクトル成分信号Vxpreとベクトル成分信号Vypreは、図8に示すように、直交化されて位相差は90度となっているが、振幅が一致しないことがある。
そして、ベクトル生成部4は、上記生成したベクトルの成分を示すベクトル成分信号Vxpre、Vypreを、第2自動振幅調整部5へ出力する。
第2自動振幅調整部(振幅補正手段)5は、第2自動振幅調整部5aと第2自動振幅調整部5bを備えている。第2自動振幅調整部5aと第2自動振幅調整部5bは、それぞれ、可変ゲインアンプ51a、51b、ピークホールド回路52a、52b、比較器53a、53b及び基準振幅値出力部54a、54b等を備えている。
第2自動振幅調整部(振幅補正手段)5aは、図9(a)に示すように、その可変ゲインアンプ51aに、ベクトル生成部4の減算アンプ4aからベクトル成分信号Vxpreが入力されるとともに、比較器53aから出力制御電圧(補正値)ΔAxがゲイン調整信号としてフィードバック入力される。可変ゲインアンプ(信号振幅補正手段)51aは、ベクトル成分信号Vxpreの振幅を、比較器53aからのゲイン調整信号である出力制御電圧ΔAxに基づいて振幅調整して、ベクトル成分信号(補正後ベクトル成分信号)Vxとして、ベクトル回転演算部6及びピークホールド回路52aへ出力する。
ピークホールド回路(ピークホールド手段)52aは、可変ゲインアンプ51aの出力するベクトルX軸成分Vxのピーク値(補正後ピーク値)をホールドして、比較器53aへ出力する。
基準振幅値出力部54aは、基準振幅値を示す基準電圧Aを比較器53aへ出力する。
比較器(補正値決定手段)53aは、ピークホールド回路52aがホールドしたベクトル成分信号Vxのピーク値(補正後ピーク値)と、基準電圧Aと、を比較する。比較器53aは、これらの比較結果である出力制御電圧ΔAxをゲイン調整信号(補正値)として、可変ゲインアンプ51aへフィードバックする。
この比較器53aの出力する出力制御電圧ΔAxは、ベクトルX軸成分Vxpreの振幅と基準電圧Aの示す基準振幅の偏差の大きさを示しており、可変ゲインアンプ51aにゲイン調整信号として出力される。したがって、可変ゲインアンプ51aの可変ゲインは、制御電圧ΔAxに応じて制御され、ベクトルX軸成分Vxの振幅と基準電圧Aの示す基準振幅を、図10に示すように、一致させることができる。
また、第2自動振幅調整部(振幅補正手段)5bは、図9(b)に示すように、その可変ゲインアンプ51bに、ベクトル生成部4の加算アンプ4bからベクトル成分信号Vypreが入力されるとともに、比較器53bから出力制御電圧(補正値)ΔAyがゲイン調整信号としてフィードバック入力される。可変ゲインアンプ(信号振幅補正手段)51bは、ベクトル成分信号Vypreの振幅を、比較器53bからのゲイン調整信号である出力制御電圧ΔAyに基づいて振幅調整して、ベクトル成分信号(補正後ベクトル成分信号)Vyとして、ベクトル回転演算部6及びピークホールド回路52bへ出力する。
ピークホールド回路(ピークホールド手段)52bは、可変ゲインアンプ51bの出力するベクトルY軸成分Vyのピーク値(補正後ピーク値)をホールドして、比較器53bへ出力する。
基準振幅値出力部54bは、基準振幅値を示す基準電圧Aを比較器53bへ出力する。
比較器(補正値決定手段)53bは、ピークホールド回路52bがホールドしたベクトル成分信号Vyのピーク値(補正後ピーク値)と、基準電圧Aと、を比較する。比較器53aは、これらの比較結果である出力制御電圧ΔAyをゲイン調整信号(補正値)として、可変ゲインアンプ51bへフィードバックする。
この比較器53bの出力する出力制御電圧ΔAyは、ベクトルY軸成分Vypreの振幅と基準電圧Aの示す基準振幅の偏差の大きさを示しており、可変ゲインアンプ51bにゲイン調整信号として出力される。したがって、可変ゲインアンプ51bの可変ゲインは、制御電圧ΔAyに応じて制御され、ベクトルY軸成分Vyの振幅と基準電圧Aの示す基準振幅を、図10に示すように、一致させることができる。
そして、第2自動振幅調整部5aの基準振幅値出力部54aが出力する基準電圧Aと、第2自動振幅調整部5bの基準振幅値出力部54bが出力する基準電圧Aとは、同じ電圧値であるため、ベクトルX軸成分VxとベクトルY軸成分Vyの振幅値を、図10に示すように一致させることができる。また、これらのベクトルX軸成分VxとベクトルY軸成分Vyとは、図10に示すように、90度の位相差を有している。なお、この第2自動振幅調整部5aは、第1自動振幅調整部3と同様に、一方の振幅値を他方の振幅値に一致させるように調整してもよいし、双方の振幅値を所定の振幅値に一致するように調整してもよい。
上記ベクトルX軸成分Vx、ベクトルY軸成分Vyは、それぞれをX軸、Y軸として極座標上にプロットすると、図11に示すように表わされる。以下、このベクトルX軸成分Vx、ベクトルY軸成分Vyで表されるベクトルを、回転子ベクトルという。この回転子ベクトル(Vx、Vy)は、図11に示すように、回転子12の角度(以下、回転子角度という。)θの変化とともに、X−Y平面上を、半径Aの円を描いて回転する。なお、本実施例では、X軸を基準軸として、正方向のX軸と回転子ベクトル(Vx、Vy)のなす角を、回転子角度θとしている。
そして、ベクトル回転演算部6、角度探索部7、2相パルス生成部8及び回転行列係数出力部9は、図12に示すように回路構成されている。
ベクトル回転演算部6は、図12に示すように、乗算部61、符号調整スイッチ部62、加減算アンプ63、64等を備えている。ベクトル回転演算部6は、回転行列係数出力部9からの基準正弦波である正弦(sin)データ、余弦(cos)データ及び符号調整信号Signを用いて、ベクトルX軸成分Vx及びベクトルY軸成分Vyにより表わされるベクトル(以下、回転子ベクトルという。)を、後述する検出角度データθdの値に従って、次式(9)のベクトル演算を行うことで回転変換を施して、変換X軸成分Vx’及び変換Y軸成分Vy’(以下、(Vx’、Vy’)で表わされるベクトルを回転変換ベクトルという。)として出力する。
Figure 0006163874
回転行列係数出力部9は、データ整形演算部91、不揮発性メモリ92、符号調整信号生成部93等を備えており、後述する角度探索部7が出力する検出角度データθdが入力される。
不揮発性メモリ92は、ROM(Read Only Memory)等で構成され、正弦波1周期をn分割、例えば、64分割して、振幅を127[LSB]で表わす正弦のうち、振幅の絶対値がそれぞれ重複しない正弦、例えば、位相0度の正弦と、位相0〜90度の間の15個の正弦と、位相90度の正弦との合計17個の正弦が、正弦データとして予め格納されている。
データ整形演算部91は、検出角度データθdに従って、正弦、余弦の振幅の絶対値のデータを、不揮発性メモリ92に格納されている正弦データ(基準正弦波データ)に基づいて、整形して、正弦(sin)データと余弦(cos)データをベクトル回転演算部6の乗算部61に出力する。
符号調整信号生成部93は、角度探索部7の出力する検出角度データθdに従って符号調整信号Signを生成して、ベクトル回転演算部6の符号調整スイッチ部62に出力する。
そして、ベクトル回転演算部6は、その乗算部(回転ベクトル生成手段、乗算手段)61が、4つの抵抗ラダー方式乗算DAC(digital analog convertor)が並列に配設されたものであり、第2自動振幅生成部5aと第2自動振幅生成部5bからベクトルX軸成分VxとY軸成分Vyが入力される。
乗算部61は、データ整形演算部91から入力される正弦データsinと余弦データcosを元に、値に比例したアナログ値に変化させたアナログ正弦絶対値|sin|、アナログ余弦絶対値|cos|を、第2自動振幅生成部5a、5bからのベクトルX軸成分VxとY軸成分Vyに乗算して、乗算結果Vx*|sin|、Vx*|cos|、Vy*|sin|、Vy*|cos|を符号調整スイッチ部62に出力する。
符号調整スイッチ部(符号切替手段)62は、乗算部61からVx*|sin|、Vx*|cos|、Vy*|sin|、Vy*|cos|が入力されるとともに、符号調整信号生成部93からθd[5:4]に従って生成された符号調整信号Signが入力される。符号調整スイッチ部62は、この符号調整信号Signに従って、加減算アンプ63、64の正相、逆相入力端子に入力するVx*|sin|、Vx*|cos|、Vy*|sin|、Vy*|cos|を切り換える。符号調整スイッチ部62は、この切替動作を、検出角度データθdが90度位相変化する毎に行うことで、Vx´=Vx*cos+Vy*sin、Vy´=−Vx*sin+Vy*cosの演算を成立させることができる。
加減算アンプ(回転変換ベクトル生成手段)63は、乗算部61の乗算結果のVx*|cos|とVy*|sin|を加減算して、変換X軸成分Vx’として出力する。なお、加減算アンプ63は、上記加減算に、ゲインを乗じる構成であってもよい。
加減算アンプ(回転変換ベクトル生成手段)64は、乗算部61の乗算結果のVx*|sin|とVy*|cos|を加減算して、変換Y軸成分Vy’として出力する。なお、加減算アンプ64は、上記加減算に、ゲインを乗じる構成であってもよい。
なお、上記ベクトル回転演算部6の乗算部61は、上述のように、抵抗ラダー方式乗算型DAC回路が用いられており、この抵抗ラダー方式乗算型DAC回路は、図13に示すように、通常の抵抗ラダー方式乗算型DAC回路61aが用いられている。なお、図13では、Y軸成分Vyに対する乗算部61の1つの抵抗ラダー方式乗算型DAC回路61aが示されているが、乗算部61は、このような回路構成の抵抗ラダー方式乗算型DAC回路61aが、4つ並列に用いられている。
抵抗ラダー方式乗算型DAC回路61aは、抵抗値Rと抵抗値2Rの抵抗が規則的に、かつ、はしご状につながり、2Rの抵抗には、バイアス電圧Vbiasか、Vy(または、Vx)のいずれかに接続されるスイッチSW0〜SWn-2が設けられている。一般的に、このスイッチSW0〜SWn-2は、電子的なスイッチ(アナログスイッチ)が用いられる。
このような抵抗ラダー方式乗算型DAC回路61aを乗算部61に用いると、同じ抵抗値の抵抗R(2Rは、Rの抵抗Rを2個直列に接続)のみで構成されるため、モノリシックIC(Integrated Circuit:集積回路)を用いることで、精度の高い乗算処理を行うことができる。この抵抗ラダー方式乗算型DAC回路61aでの処理で得られる出力電圧Voutは、次式(10)で与えられる。
Figure 0006163874
式(10)において、D0〜Dn−2は、それぞれ抵抗ラダー方式乗算型DAC回路61aのスイッチ部SW0〜SWn-2のD0〜Dn−2に対応しており、「0」か、「1」が入力される。また、Vrefの係数は、「0」(Dが全て「0」)から2n−1−1/2n−1≒1(Dが全て「1」)の値を取りうる。
したがって、スイッチ部SW0〜SWn-2を切り換えることで、正弦、余弦の乗算を表現することができる。
ところが、抵抗ラダー方式乗算型DAC回路61aのみでは、正の乗数の乗算しか行うことができない。そこで、通常は、抵抗ラダー方式乗算型DAC回路61aにおいて4象限乗算を行うために、抵抗ラダー方式乗算型DAC回路61aの後段または前段に、加減算が必須となる場合には、符号調整スイッチ部62を設けて、加減算の対象を入れ替えることで、4象限乗算と同等の演算処理を行うことができる。
したがって、乗算部61において、1つの乗算器に対して、オペアンプ1つとラダー1bit分を削減することができ、コストを削減することができる。
そして、角度探索部7は、図12に示したように、比較器71、72及び繰り返しカウンタ73等を備えている。角度探索部7は、変換Y軸成分Vy’が、比較器71、72に入力されるとともに、トリガfsが、繰り返しカウンタ73に入力される。角度探索部7は、変換Y軸成分Vy’が所定の基準値(所定のベクトル)を横切るときの回転角、すなわち、回転子ベクトルを基準ベクトル(所定のベクトル)まで回転させたときの回転角を検出角度データθdとして探索して出力する。
比較器71、72は、それぞれ基準ベクトルを示す基準+α、−αが入力されるとともに、上記変換Y軸成分Vy’が入力される。比較器71、72は、これらの基準値+αと変換Y軸成分Vy’、基準値−αと変換Y軸成分Vy’をそれぞれ比較して、繰り返しカウンタ73へカウントアップ指令upとカウントダウン指令dnを出力する。
すなわち、比較器71、72は、Y´>+αのとき、比較器72が、カウントアップ指令upを出力し、Y´<−αのとき、比較器71が、カウントダウン指令dnを出力する。比較器71、72は、−α<Y´<+αのときには、何も出力しない。
繰り返しカウンタ73は、トリガfsが入力される毎に、比較器71からのカウントダウン司令dnと比較器72からのカウントアップ司令upに応じてカウント処理を行い、カウント値を、例えば、6ビットの検出角度データθdとして出力する。
上記ベクトル回転演算部6と角度探索部7は、全体として、回転子ベクトル生成手段としてのベクトル回転演算部6が生成した回転子ベクトル(Vx、Vy)に基づいて回転子12の回転角度を探索する回転角度探索手段として機能している。また、ベクトル回転演算部6の乗算部61は、乗算手段として機能し、加減算アンプ63、64は、該乗算部61による複数の乗算結果同士を加減算して、回転子ベクトル(Vx、Vy)を回転変換して回転変換ベクトル(Vx’、Vy’)を生成する回転変換ベクトル生成手段として機能している。さらに、角度探索部7は、該回転変換ベクトル生成手段の生成した回転変換ベクトル(Vx’、Vy’)、特に、変換Y軸成分Vy’と所定の基準ベクトル幅内に位置するまで、すなわち、変換Y軸成分Vy’が角度幅±αの不感帯内に入るまで回転させて、その回転の回転量を回転子12の回転角度として探索する探索手段として機能している。
そして、2相パルス生成部8は、図12に示したように、ビット取得部81とパルス生成部82を備えている。
ビット取得部81は、角度探索部7から検出角度データθdが入力され、検出角度データθdの下位2ビットを取得して、パルス生成部82に出力する。
パルス生成部82は、トリガfsが入力され、トリガfsが入力される毎に、検出角度データθdの下位2ビットを参照して、2相のパルス信号ENCA、ENCBを生成する。
次に、本実施例の作用について説明する。本実施例の回転角度検出装置1は、安価かつ正確に回転体の回転角度を検出する。
すなわち、従来の回転角度検出装置は、回転角度検出装置を組み付けた後に、校正処理を行っており、回転角度検出装置を組み付けた後に校正工程を必要とし、コストが高くつく。
すなわち、回転体である回転子12の回転を検出するホール素子11u、11vが出力して差動部2でシングルエンド化したアナログホール信号は、理想的には、図3に示したような振幅が一致し、120度の位相差を有する理想のアナログホール信号HUideal、HVidealを出力する。この場合には、回転角度検出装置1は、この理想のアナログホール信号HUideal、HVidealからベクトル生成部4でベクトルを生成して、生成したベクトルの成分を示すベクトル成分信号Vxpre、Vypreを出力する。回転角度検出装置1は、ベクトル回転演算部6で、ベクトル成分信号Vxpre、Vypreから該ベクトルをベクトル回転させた回転変換ベクトルの成分を示す変換X軸成分Vx’及び変換Y軸成分Vy’を生成する。回転角度検出装置1は、この回転変換ベクトルと該ベクトルとの角度を角度探索部7で探索することで、回転子12の回転角度を検出することができる。すなわち、ホール素子11u、11vの出力するアナログホール信号が、正確に振幅が一致し、かつ、位相差が90度のときには、上記処理を行うことで、正確に回転子12の回転角度を検出することができる。
ところが、ホール素子11u、11vが出力して差動部2でシングルエンド化したアナログホール信号は、実際には、図4に示したように、DCブラシレスモータ10の回転子12の着磁ずれ、ホール素子11u、11vの感度バラつき、ホール素子11u、11vの取付誤差に起因して、振幅が異なり、位相も120度ではなくなった実際のアナログホール信号HUreal、HVrealとなる。
このような振幅及び位相が異なった実際のアナログホール信号HUreal、HVrealに対して、上述のような処理を行っても、正確に回転子12の回転角度を検出することができない。
そこで、本実施例の回転角度検出装置1は、第1自動振幅調整部3で、差動部2の出力する実際のアナログホール信号HUreal、HVrealの振幅を一致させ、第1振幅調整後アナログホール信号HUreal´と実際のアナログホール信号HVrealをベクトル生成部4へ出力する。
そして、ベクトル生成部4は、振幅が一致する正弦波である第1振幅調整後アナログホール信号HUreal´と実際のアナログホール信号HVrealを加減算処理することで、90度位相差を有する2つのベクトル成分信号Vxpre、Vypreを生成する。
ところが、このベクトル生成部4によって生成されるベクトル成分信号Vxpreとベクトル成分信号Vypreは、図8に示したように、直交化されて位相差は90度となっているが、振幅が一致しないことがある。
そこで、回転角度検出装置1は、ベクトル生成部4によって生成されるベクトル成分信号Vxpreとベクトル成分信号Vypreを、第2自動振幅調整部5の第2自動振幅調整部5aと第2自動振幅調整部5bによって、振幅を一致させて、ベクトルX軸成分Vx及びベクトルY軸成分Vyとしてベクトル回転演算部6へ入力する。
そして、ベクトル回転演算部6は、回転行列係数出力部9からの正弦(sin)データ、余弦(cos)データ及び符号調整信号Signを用いて、ベクトルX軸成分Vx及びベクトルY軸成分Vyにより表わされる回転子ベクトルを、検出角度データθdの値に従って、式(9)で示したベクトル演算を行うことで回転変換を施して、回転変換ベクトルを表す変換X軸成分Vx’及び変換Y軸成分Vy’として出力する。
ベクトル回転演算部6は、この回転子ベクトルに対する回転演算において、検出可能な値が、ベクトルX軸成分VxとベクトルY軸成分Vyのみであり、高度な演算機能を有するプロセッサを用いるときには、検出角度θd=arctan(Y/X)を算出することで、回転子12の回転角度を求めることはできるが、それでは、回転角度検出装置1が高価なものとなってしまう。
そこで、本実施例の回転角度検出装置1は、ベクトル回転演算部6によって、上記式(9)に示した回転の一次変換式を利用して、図14に示すように、回転子ベクトル(Vx、Vy)を回転変換角度θr回転させた回転変換ベクトル(Vx’、Vy’)が、所定の基準ベクトル(本実施例では、正方向のX軸とする。)に一致するまで回転変換角度θrの値を変化させる。ベクトル回転演算部6は、回転変換ベクトル(Vx’、Vy’)が基準ベクトルと一致すると、回転子ベクトルθ=ベクトル回転変換角度θrであるとして、回転子角度を検出して、検出した回転子角度を検出角度データθdとする。すなわち、X軸を基準ベクトルとすると、X軸は、Y軸成分が「0」であるため、回転変換ベクトル(Vx’、Vy’)のY軸成分である変換Y軸成分Y’=0を判定するのみで、基準ベクトルとしてのX軸との一致を判定することができる。
ところが、実際に回転演算で乗算される上記正弦・余弦は、実装上の問題から、離散的なデータ(本実施例では、1周期を64分割している。)であるため、変換ベクトルとX軸が厳密に一致することは、極めて稀である。そこで、本実施例の回転角度検出装置1は、X軸周辺に±αの不感帯の領域を設け、角度探索部7が、変換ベクトルが±αの不感帯領域内にあると、X軸に一致した判定する。
すなわち、角度探索部7は、変換Y軸成分Vy’が、図12に示した比較器71、72に入力されるとともに、トリガfsが、繰り返しカウンタ73に入力される。角度探索部7は、変換Y軸成分Vy’が所定の基準値であるX軸正方向を横切るときの回転角、すなわち、回転子ベクトルを基準ベクトルまで回転させたときの回転角を検出角度データθdとして探索して出力する。すなわち、上述のように、比較器71、72は、それぞれ基準+α、−αが入力されるとともに、変換Y軸成分Vy’が入力され、これらの基準値+αと変換Y軸成分Vy’、基準値−αと変換Y軸成分Vy’をそれぞれ比較する。比較器71、72は、基準値+αと変換Y軸成分Vy’の比較結果及び基準値−αと変換Y軸成分Vy’の比較結果に基づいて、繰り返しカウンタ73へカウントアップ指令upとカウントダウン指令dnを出力する。繰り返しカウンタ73は、比較器71からのカウントダウン司令dnとカウントアップ司令upに応じてカウント処理を行い、カウント値を、例えば、6ビットの検出角度データθdとして出力する。
例えば、いま、回転変換角度θrが、図15に示すように、変化した場合、繰り返しカウンタ73は、以下のようにカウント処理する。
(a)Vy’>+αのとき(図15(a)のとき)、繰り返しカウンタ73は、比較器72からカウントアップ司令upが入力され、回転変換角度θrをカウントアップする。(回転変換は、時計回りに行われ、基準ベクトルであるX軸正方向に近づく。)
(b)−α<Vy’<+αのとき(図15(b)のとき)、繰り返しカウンタ73は、カウントアップ司令upとカウントダウン司令dnのいずれもが入力されず、回転変換角度θrを維持する。(回転変換は行わず、基準ベクトルであるX軸正方向にとどまる。)
(c)−α<Vy’のとき(図15(c)のとき)、繰り返しカウンタ73は、比較器71からカウントダウン司令dnが入力され、回転変換角度θrをカウントダウンする。(回転変換は、反時計回りに行われ、基準ベクトルであるX軸正方向に近づく。)
そして、回転角度検出装置1は、不感帯の角度幅αを、1LSB(Least Significant Bit)相当の回転角度より大きく設定することで、X軸近傍でベクトルがチャタリングすることを防止している。
すなわち、不感帯幅αは、次式(11)により、求めて設定される。
Figure 0006163874
なお、上記第2自動振幅調整部5において、振幅をある一定値に収束するように調整すると、不歓待の角度幅αの値を、予め決定することができ、角度幅αの値を個別に調整する必要がなくなる。
そして、角度探索部7は、図15に示すように、上記角度探索処理を行う。すなわち、角度探索部7は、ベクトル回転演算部6の加減算アンプ64から変換Y軸成分Vy’が入力されると、該変換Y軸成分Vy’を角度幅αと比較する(ステップS101)。角度探索部7は、図15(a)に示したように、変換Y軸成分Vy’が角度幅+αよりも大きいと(図16で、Vy’>+αのとき)、回転変換角度θr(n)に、「1」だけインクリメント(加算)して回転変換角度θr(n+1)とする(θr(n+1)=θr(n)+1)(ステップS102)。角度探索部7は、回転変換角度θr(n+1)を求めると、変数n(n:整数)を「1」だけインクリメントして(ステップS103)、所定周期で、ステップS101に戻る。
角度探索部7は、ステップS101で、変換Y軸成分Vy’が角度幅+αと角度幅−αとの間であると(図16で、−α<Vy’<+αのとき)、回転変換角度θr(n)に、加減算を行うことなく、回転変換角度θr(n)を回転変換角度θr(n+1)とする(θr(n+1)=θr(n))(ステップS104)。角度探索部7は、回転変換角度θr(n+1)を求めると、変数nを「1」だけインクリメントして(ステップS103)、所定周期で、ステップS101に戻る。
さらに、角度探索部7は、変換Y軸成分Vy’が角度幅−αよりも小さいと(図16で、Vy’<−αのとき)、回転変換角度θr(n)から、「1」だけディクリメント(減算)して回転変換角度θr(n+1)とする(θr(n+1)=θr(n)−1)(ステップS105)。角度探索部7は、回転変換角度θr(n+1)を求めると、変数nを「1」だけインクリメントして(ステップS103)、所定周期で、ステップS101に戻る。
角度探索部7は、上記角度探索処理を、実行処理信号としてのトリガfsが入力されるたびに、実行する。なお、回転変換角度θrは、離散カウント値であり、本実施例では、1周期を64分割しているので、θr=0〜63[LSB]となる。すなわち、θstep=1LSB360/64[deg]とする。
上記角度探索処理を行うことで、常に回転変換ベクトル(Vx’、Vy’)は、X軸近傍に維持され、(検出角度θd)=(回転変換角度θr)≒(回転子角度θ)となる。ただし、周期的処理の実行周期は、回転子ベクトルの回転速度に対して十分速くすること、及び、後述する回転子12の初期回転時における角度探索のため、角度検出装置1の適用されている画像処理装置の電源オン直後においては、回転子12を、停止(厳密に、停止状態である必要はなく、ほぼ停止)状態とする期間を設けること、が必要である。
すなわち、角度検出装置1は、回転子12の初期回転時においては、図17に示すように、角度探索部7が、トリガfsが入力されるたびに、θstepずつ回転変換を実行して、n回目のトリガfsで回転変換ベクトル(Vx’、Vy’)が角度幅±αの不感帯内に収まると、回転変換を停止する。このとき、回転変換角度θr=n*θstepとなる。
ところが、角度探索部7は、回転子12の初期回転時においては、変換Y軸成分Vy’の値だけでは、回転変換ベクトル(Vx’、Vy’)が、正方向のX軸である基準ベクトルに対して角度幅±αの不感帯内に存在するのか、180度ずれたX軸(負方向)に対して角度幅±αの不感帯内に存在するのかを区別することができない。
そこで、角度探索部7は、変換X軸成分Vx’と「0」を比較し、Vx’<0であると、回転変換ベクトル(Vx’、Vy’)が、負方向のX軸に対して角度幅±αの不感帯内にあると判断して、回転変換角度θrを増加させ続ける等の処理を行う。
そして、角度探索部7は、回転子12の回転時には、図18〜図20に示すように角度探索処理を行う。
すなわち、角度探索部7は、トリガfsが(n+1)回目のときに、図18に破線矢印と実線矢印で示すように、回転子ベクトル(Vx、Vy)が、(Vx(n)、Vy(n))から(Vx(n+1)、Vy(n+1))に回転する。この回転子ベクトル(Vx、Vy)の回転にともなって、回転変換ベクトル(Vx’、Vy’)が、トリガfsがn回目の回転位置である回転変換ベクトル(Vx’(n)、Vy’(n))からトリガfsが(n+1)回目の位置である回転変換ベクトル(Vx’(n+1)、Vy’(n+1))に回転する。
このトリガ(n+1)回目においては、図18の場合、変換Y軸成分Vy’は、角度幅±αの不感帯内(−α<Vy’(n+1)<+α)にあるので、角度探索部7は、上述のように、回転変換角度θr(n+1)に、加減算を行わず、回転角度が、θr(n+2)=θr(n+1)となる。
そして、トリガfsが(n+2)回目のとき、図19に破線矢印と実線矢印で示すように、回転子ベクトル(Vx、Vy)が、(Vx(n+1)、Vy(n+1))から(Vx(n+2)、Vy(n+2))に回転する。回転子ベクトル(Vx、Vy)の回転にともなって、回転変換ベクトル(Vx’、Vy’)が、トリガfsが(n+1)回目の回転位置である変換ベクトル(Vx’(n+1)、Vy’(n+1))からトリガfsが(n+2)回目の位置である回転変換ベクトル(Vx’(n+2)、Vy’(n+2))に回転する。
このトリガ(n+2)回目においては、図19の場合、変換Y軸成分Vy’は、角度幅±αの不感帯から+側に外れた位置(Vy’(n+2)>+α)にある。したがって、角度探索部7は、上述のように、回転変換角度θr(n+2)に、θstepを加算し、回転角度が、時計方向に回転させられて、θr(n+3)=θr(n+2)+θstepとなる。
そして、回転変換角度θrのインクリメントにともなって、回転変換ベクトル(Vx’、Vy’)は、図20に示すように回転する。すなわち、変換ベクトル(Vx’(n+2)、Vy’(n+2)):θr(n+2)は、回転変換角度θrの値がインクリメントされると、図20に示すように、θstepだけ回転し、変換ベクトル(Vx’(n+2)、Vy’(n+2)):θr(n+3)となる。
なお、回転変換角度θrは、その増加方法としては、順次増加させる方法に限るものではなく、例えば、360度を2のべき乗の区間に分割して、回転変換角度θrを、バイナリーサーチ(2進探索)によって求めてもよい。
そして、上述のように、2相パルス生成部8は、角度探索部7の繰り返しカウンタ73から入力される検出角度データθdの下位2ビットを参照して、2相のパルス信号ENCA、ENCBを生成して、DCブラシレスモータ10の端子14へ出力する。すなわち、2相パルス生成部8は、図21に示すように、検出角度データθdの下位2ビットが、(0、0)のとき、2相パルス信号ENCAが、「H(High)」、ENCBが、「L(Low)」、検出角度データθdの下位2ビットが、(0、1)のとき、2相パルス信号ENCAが、「H」、ENCBが、「H」、検出角度データθdの下位2ビットが、(1、0)のとき、2相パルス信号ENCAが、「L」、ENCBが、「H」、検出角度データθdの下位2ビットが、(1、1)のとき、2相パルス信号ENCAが、「L」、ENCBが、「L」である。
したがって、本実施例の回転角度検出装置1は、DCブラシレスモータ10にエンコーダを設けることなく、既存のホール素子11u、11v、11wの出力信号を利用して、また、組付後の出力信号の校正処理を行うことなく、安価かつ正確に回転子12の回転角度を検出することができ、エンコーダパルスと同等の1/4周期の位相差を有する2相パルス信号を生成することができる。
このように、本実施例の回転角度検出装置1は、回転子(回転体)12の回転角度に応じて出力が変化するとともに、それぞれ位相の異なる作動信号(検出信号)HU+/HU−、HV+/HV−を出力する状態で配設されている複数のホール素子(回転検出手段)11u、11vの出力する複数の作動信号HU+/HU−、HV+/HV−の振幅値を合わせる補正を行って第1振幅調整後アナログホール信号HUreal´と実際のアナログホール信号HVreal(補正信号)として出力する第1自動振幅調整部(振幅調整手段)3と、複数の第1振幅調整後アナログホール信号HUreal´と実際のアナログホール信号HVreal(補正信号)補正信号のうち、2つを相互に加減算して、相互に直交する2つのベクトル成分信号としてベクトル成分信号Vxpre、Vypreを生成するベクトル生成部(ベクトル生成手段)4と、2つの前記ベクトル成分信号Vxpre、Vypreの振幅を合わせる補正を行って補正後ベクトル成分信号としてベクトルX軸成分Vx、ベクトルY軸成分Vyを出力する第2自動振幅調整部(振幅補正手段)5と、2つの補正後ベクトル成分信号であるベクトルX軸成分Vx、ベクトルY軸成分Vyによって表されるベクトルに基づいて、回転子12の回転角度を探索して検出角度を出力する回転角度探索手段としてのベクトル回転演算部6と角度探索部7と、を備えている。
したがって、第1自動振幅調整部3と第2自動振幅調整部5を従来の回転角度検出装置に設けて、簡単な演算処理を行うことで、回転角度を検出することができ、組付後の出力信号の校正処理を行うことなく、安価かつ正確に回転軸の回転角度を検出することができる。
また、本実施例の回転角度検出装置1は、回転子12の回転角度を回転角度検出部で検出して該回転子12を回転制御し、該回転子12の回転を利用して駆動機構を駆動させて各種画像処理を施す複合装置等の画像処理装置において、前記回転角度検出部として、上記回転角度検出装置1を適用している。
したがって、簡単な演算処理を行うことで、回転角度を検出することができ、組付後の出力信号の校正処理を行うことなく、安価かつ正確に回転軸の回転角度を検出することができ、画像処理を安価かつ適切に行うことができる。
さらに、本実施例の回転角度検出装置1は、回転子(回転体)12の回転角度に応じて出力が変化するとともに、それぞれ位相の異なる作動信号(検出信号)を出力する状態で配設されている複数のホール素子(回転検出手段)11u、11vの出力する複数の前記作動信号の振幅値を合わせる補正を行って第1振幅調整後アナログホール信号HUreal´と実際のアナログホール信号HVreal(補正信号)として出力する振幅調整処理ステップと、複数の前記第1振幅調整後アナログホール信号HUreal´と実際のアナログホール信号HVreal(補正信号)のうち、2つを相互に加減算して、相互に直交する2つのベクトル成分信号Vxpre、Vypreを生成するベクトル生成処理ステップと、2つの前記ベクトル成分信号Vxpre、Vypreの振幅を合わせる補正を行って補正後ベクトル成分信号としてベクトルX軸成分Vx、ベクトルY軸成分Vyを出力する振幅補正処理ステップと、2つの前記補正後ベクトル成分信号としてベクトルX軸成分Vx、ベクトルY軸成分Vyによって表されるベクトルに基づいて、前記回転子12の回転角度を探索して検出角度を出力する回転角度探索処理ステップと、を有する回転角度検出方法を実行している。
したがって、簡単な演算処理を行うことで、回転角度を検出することができ、組付後の出力信号の校正処理を行うことなく、安価かつ正確に回転軸の回転角度を検出することができ、画像処理を安価かつ適切に行うことができる。
また、本実施例の回転角度検出装置1は、前記第1自動振幅調整部(振幅調整手段)3が、複数の実際のアナログホール信号HUrealのうち、1つの実際のアナログホール信号HUrealを基準検出信号として、該基準検出信号のピーク値をホールドして基準ピーク値として出力するピークホールド回路(基準ピークホールド手段)32bと、前記基準検出信号以外の実際のアナログホール信号HUrealの振幅を、ゲイン調整信号(調整値)に基づいて調整して第1振幅調整後アナログホール信号(調整後検出信号)HUreal’を出力する可変ゲインアンプ(信号振幅調整手段)31と、第1振幅調整後アナログホール信号HUreal’のピーク値をホールドして調整後ピーク値として出力するピークホールド回路(ピークホールド手段)32aと、前記基準ピーク値と第1振幅調整後アナログホール信号HUreal’のピーク値を比較して、その差分を前記調整値として、該第1振幅調整後アナログホール信号HUreal’に対応する可変ゲインアンプ31に出力する比較器(調整値決定手段)33と、を備えている。
したがって、ベクトルの回転演算を用いた角度検出を、回路規模の小さな回路で効率的に行うことができる。その結果、組付後の出力信号の校正処理を行うことなく、より安価かつ正確に回転軸の回転角度を検出することができる。
さらに、本実施例の回転角度検出装置1は、前記第2自動振幅調整部(振幅補正手段)5が、2つのベクトル成分信号Vxpre、Vypreの振幅を、所定の基準振幅出力制御電圧(基準電圧)Aに合わせる補正を行って、前記ベクトルX軸成分Vx、ベクトル成分信号Vy(補正後ベクトル成分信号)として出力する。
したがって、より一層簡単な回路構成で、ベクトル成分信号Vxpre、Vypreの振幅を合わせることができ、組付後の出力信号の校正処理を行うことなく、より安価かつ正確に回転軸の回転角度を検出することができる。
また、本実施例の回転角度検出装置1は、前記第2自動振幅調整部(振幅補正手段)5が、2つのベクトル成分信号Vxpre、Vypreの振幅を、それぞれ出力制御電圧(補正値)ΔAx、ΔAyに基づいて補正してベクトル成分信号(補正後ベクトル成分信号)Vx、Vyを出力する可変ゲインアンプ(信号振幅補正手段)51a、51bと、前記各ベクトル成分信号Vx、Vyのピーク値をホールドして補正後ピーク値として出力するピークホールド回路(ピークホールド手段)52a、52bと、基準電圧(基準振幅を示す基準振幅値)Aと前記各ベクトル成分信号Vx、Vyの補正後ピーク値を比較して、その差分である出力制御電圧ΔAx、ΔAyを前記ゲイン調整信号(補正値)として、該ベクトル成分信号Vx、Vyに対応する可変ゲインアンプ51a、51bに出力する比較器(補正値決定手段)53a、53bと、を備えている。
したがって、より一層簡単な回路構成で、ベクトル成分信号Vxpre、Vypreの振幅を合わせることができ、組付後の出力信号の校正処理を行うことなく、より安価かつ正確に回転軸の回転角度を検出することができる。
さらに、本実施例の回転角度検出装置1は、前記回転角度探索手段は、第2自動振幅調整部5の出力する2つのベクトル成分信号Vx、Vyによって表されるベクトルと基準正弦波である正弦(sin)データ、余弦(cos)データとを乗算するベクトル回転演算部(乗算手段)6と、複数の乗算結果同士を加減算することで前記ベクトルを回転変換して、変換X軸成分Vx’、変換Y軸成分Y’で表される回転変換ベクトルを生成するベクトル回転演算部(回転変換ベクトル生成手段)6と、前記回転変換ベクトル(Vx’、Vy’)を2つの基準ベクトル(X軸±α)で表される基準ベクトル幅内に位置するまで回転させて、該回転の回転量を前記回転子12の回転角度として探索して前記検出角度信号を出力する角度探索部(探索手段)7と、を備えている。
したがって、より一層簡単な回路構成で、回転子12の角度検出を行うことができ、組付後の出力信号の校正処理を行うことなく、より安価かつ正確に回転軸の回転角度を検出することができる。
また、本実施例の回転角度検出装置1は、ベクトル回転演算部6の乗算部(乗算手段)61が、抵抗ラダー方式乗算型DAC回路(R−2Rラダー方式乗算型デジタル/アナログ変換回路)61aであり、その回転変換ベクトル生成手段が、加減算アンプ(加減算増幅器)63、64である。
したがって、デジタル/アナログ変換と乗算処理を同時に行うことができ、コストを削減することができるとともに、抵抗ラダー方式乗算型DAC回路61aをIC化することで、高精度の演算処理を行うことができる。その結果、より安価かつより正確に回転軸の回転角度を検出することができる。
さらに、本実施例の回転角度検出装置1は、前記乗算部61の算出した前記乗算結果の符号を切り替えてベクトル回転演算部6に出力する符号調整スイッチ部(符号切替手段)62を、さらに備えている。
したがって、乗算部61における4象限乗算を簡単で安価な回路構成で行うことができ、より安価かつより正確に回転体の回転角度を検出することができる。
また、本実施例の回転角度検出装置1は、前記回転変換ベクトル生成手段であるベクトル回転演算部6が、前記ベクトルを予め設定されている最小設定角度ずつ回転変換させて変換X軸成分Vx’、変換Y軸成分Vy’を生成し、前記探索手段である角度探索部7が、変換X軸成分Vx’、変換Y軸成分Vy’が前記最小設定角度を有する2つの前記基準ベクトルであるX軸±αで表される基準ベクトル幅内に位置するまでベクトル回転演算部6によって回転させて、該回転の回転量を前記回転子12の回転角度として探索している。
したがって、角度検出におけるチャタリングの発生を防止しつつ、正確かつ容易に回転体の回転角度を検出することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
1 回転角度検出装置
2 差動部
2a、2b 差動アンプ
3 第1自動振幅調整部
4 ベクトル生成部
4a 減算アンプ
4b 加算アンプ
5 第2自動振幅調整部
5a、5b 第2自動振幅調整部
6 ベクトル回転演算部
7 角度探索部
8 2相パルス生成部
9 回転行列係数出力部
10 DCブラシレスモータ
11 回転検出部
11u、11v、11w ホール素子(回転検出手段)
12 回転子
13 コイル
14 端子
31 可変ゲインアンプ
32a、32b ピークホールド回路
33 比較器
51a、51b 可変ゲインアンプ
52a、52b ピークホールド回路
53a、53b 比較器
54a、54b 基準振幅値出力部
61 乗算部
61a 抵抗ラダー方式乗算型DAC回路
SW0〜SWn-2 スイッチ
62 符号調整スイッチ部
63、64 加減算アンプ
71、72 比較器
73 繰り返しカウンタ
81 ビット取得部
82 パルス生成部
91 データ整形演算部
92 不揮発性メモリ
93 符号調整信号生成部
clk クロック信号
fs トリガ
特開2004−325140号公報

Claims (10)

  1. 回転体の回転角度に応じて出力が変化するとともに、それぞれ位相の異なる検出信号を出力する状態で配設されている複数の回転検出手段の出力する複数の前記検出信号のうち、第1の検出信号に基づく信号のピーク値が第2の検出信号のピーク値と一致するように補正を行って補正信号として出力する振幅調整手段と、
    複数の前記補正信号のうち、2つを相互に加減算して、相互に直交する2つのベクトル成分信号を生成するベクトル生成手段と、
    つの前記ベクトル成分信号によって表されるベクトルに基づいて、前記回転体の回転角度を探索して検出角度を出力する回転角度探索手段と、
    を備えていることを特徴とする回転角度検出装置。
  2. 前記振幅調整手段は、
    複数の前記検出信号のうち、前記第2の検出信号を基準検出信号として、該基準検出信号のピーク値をホールドして基準ピーク値として出力する基準ピークホールド手段と、
    第1の検出信号の振幅を、調整値に基づいて調整して調整後検出信号を出力する信号振幅調整手段と、
    前記調整後検出信号のピーク値をホールドして調整後ピーク値として出力するピークホールド手段と、
    前記基準ピーク値と前記調整後検出信号の前記調整後ピーク値を比較して、その差分を前記調整値として、該調整後検出信号に対応する前記信号振幅調整手段に出力する調整値決定手段と、
    を備えていることを特徴とする請求項1記載の回転角度検出装置。
  3. 回転体の回転角度に応じて出力が変化するとともに、それぞれ位相の異なる検出信号を出力する状態で配設されている複数の回転検出手段の出力する複数の前記検出信号の振幅値を合わせる補正を行って補正信号として出力する振幅調整手段と、
    複数の前記補正信号のうち、2つを相互に加減算して、相互に直交する2つのベクトル成分信号を生成するベクトル生成手段と、
    2つの前記ベクトル成分信号のうち、第1のベクトル成分信号に基づく信号のピーク値が第2のベクトル成分信号のピーク値と一致するように振幅を合わせる補正を行って補正後ベクトル成分信号として出力する振幅補正手段と、
    2つの前記補正後ベクトル成分信号によって表されるベクトルに基づいて、前記回転体の回転角度を探索して検出角度を出力する回転角度探索手段と、
    を備えていることを特徴とする回転角度検出装置。
  4. 前記振幅補正手段は、
    2つの前記ベクトル成分信号の振幅を、それぞれ補正値に基づいて補正して前記補正後ベクトル成分信号を出力する信号振幅補正手段と、
    記補正後ベクトル成分信号のピーク値をホールドして補正後ピーク値として出力するピークホールド手段と、
    所定の基準振幅を示す基準振幅値と前記補正後ベクトル成分信号の前記補正後ピーク値を比較して、その差分を前記補正値として、該補正後ベクトル成分信号に対応する前記信号振幅補正手段に出力する補正値決定手段と、
    を備えていることを特徴とする請求項3記載の回転角度検出装置。
  5. 前記回転角度探索手段は、
    前記振幅補正手段の出力する2つの前記補正後ベクトル成分信号によって表されるベクトルと基準正弦波とを乗算する乗算手段と、
    前記乗算手段による複数の乗算結果同士を加減算することで前記ベクトルを回転変換して、回転変換ベクトルを生成する回転変換ベクトル生成手段と、
    前記回転変換ベクトルを2つの基準ベクトルで表される基準ベクトル幅内に位置するまで回転させて、該回転の回転量を前記回転体の回転角度として探索して前記検出角度を出力する探索手段と、
    を備えていることを特徴とする請求項3または請求項記載の回転角度検出装置。
  6. 前記回転角度検出装置は、
    前記乗算手段の算出した前記乗算結果の符号を切り替えて前記回転変換ベクトル生成手段に出力する符号切替手段を、さらに備えていることを特徴とする請求項記載の回転角度検出装置。
  7. 前記回転変換ベクトル生成手段は、
    前記ベクトルを予め設定されている最小設定角度ずつ回転変換させて前記回転変換ベクトルを生成し、
    前記探索手段は、
    前記回転変換ベクトルが前記最小設定角度を有する2つの前記基準ベクトルで表される基準ベクトル幅内に位置するまで前記回転変換ベクトル生成手段によって回転させて、該回転の回転量を前記回転体の回転角度として探索することを特徴とする請求項または請求項記載の回転角度検出装置。
  8. 前記回転体の回転角度を回転角度検出部で検出して該回転体を回転制御し、該回転体の回転を利用して駆動機構を駆動させて各種画像処理を施す画像処理装置において、
    前記回転角度検出部は、請求項1から請求項のいずれかに記載の回転角度検出装置であることを特徴とする画像処理装置。
  9. 回転体の回転角度に応じて出力が変化するとともに、それぞれ位相の異なる検出信号を出力する状態で配設されている複数の回転検出手段の出力する複数の前記検出信号の振幅値を合わせる補正を行って補正信号として出力する振幅調整処理ステップと、
    複数の前記補正信号のうち、2つを相互に加減算して、相互に直交する2つのベクトル成分信号を生成するベクトル生成処理ステップと、
    2つの前記ベクトル成分信号の振幅を合わせる補正を行って補正後ベクトル成分信号として出力する振幅補正処理ステップと、
    2つの前記補正後ベクトル成分信号によって表されるベクトルに基づいて、前記回転体の回転角度を探索して検出角度を出力する回転角度探索処理ステップと、
    を有していることを特徴とする回転角度検出方法。
  10. 回転体の回転角度に応じて出力が変化するとともに、それぞれ位相の異なる検出信号を出力する状態で配設されている複数の回転検出手段の出力する複数の前記検出信号の振幅値を合わせる補正を行って補正信号として出力する振幅調整ステップと、
    複数の前記補正信号のうち、2つを相互に加減算して、相互に直交する2つのベクトル成分信号を生成するベクトル生成ステップと、
    2つの前記ベクトル成分信号のうち、第1のベクトル成分信号に基づく信号のピーク値が第2のベクトル成分信号のピーク値と一致するように振幅を合わせる補正を行って補正後ベクトル成分信号として出力する振幅補正ステップと、
    2つの前記補正後ベクトル成分信号によって表されるベクトルに基づいて、前記回転体の回転角度を探索して検出角度を出力する回転角度探索ステップと、
    を有していることを特徴とする回転角度検出方法。
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