以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
図1〜図20は、本発明の回転角度検出装置、画像処理装置及び回転角度検出方法の第1実施例を示す図であり、図1は、本発明の回転角度検出装置、画像処理装置及び回転角度検出方法の第1実施例を適用した回転角度検出装置1の回路構成図である。
図1において、回転角度検出装置1は、ベクトル成分生成部2、3、ベクトル回転演算部4、角度探索部5、2相パルス生成部6、信号生成部7及びクロック発生部8等を備えている。
ベクトル成分生成部2及びベクトル成分生成部3には、図2に示すDCブラシレスモータ(回転機構)10に取り付けられているホール素子(検出手段)11u、11v、11wの出力するU相、V相、W相の差動信号HU+/HU−、HV+/HV−、HW+/HW−が入力される。
すなわち、回転駆動検出装置1は、DCブラシレスモータ10の回転軸である回転子13(図2参照)を検出対象として、該回転子13の回転角度を検出する。
そして、DCブラシレスモータ10は、図2に示すように、通常、相互に120度の位相差を有し、Y字結線されているU相、V相、W相の3相のコイル12と、該コイル12と対向するとともにS極とN極が交互に並ぶ状態で位置に配置されている永久磁石である回転子13とを備えている。DCブラシレスモータ10は、端子14からU相、V相、W相の駆動電流が、回転子13の角度に応じて適切に転流されることで、回転駆動される。なお、DCブラシレスモータ10は、回転子13を駆動するためには、ホール素子11u、11v、11wの検出する差動信号の出力方向及び磁束の方向に対して、垂直に電圧を印加する必要があるが、図2では、省略している。
この回転角度検出装置1及びDCブラシレスモータ10は、複合装置等の画像処理装置に適用され、回転子13の回転軸(図示略)には、画像処理装置の駆動機構が連結される。
そして、上記ホール素子11u、11v、11wは、回転子13の近傍の所定位置に固定配置されており、回転子13の磁界に応じて変化するU相、V相、W相の差動信号HU+/HU−、HV+/HV−、HW+/HW−をそれぞれ出力する。ホール素子11u、11v、11wは、差動信号HU+、/HU−、HV+/HV−、HW+/HW−をシングルエンド化して、アナログ変換したアナログホール信号HAU、HAV、HAWが、相互に120度の位相差を持つ正弦波となる位置に固定配置されている。なお、本実施例では、検出対象のDCブラシレスモータ10の回転子13の磁極数を、「8」(4ペア)としているが、磁極数は、「8」に限られるものではない。
すなわち、差動信号HU+/HU−、HV+/HV−、HW+/HW−は、シングルエンド化(グラウンド(0V)を基準に電圧レベルで、「L」と「H」が決まる信号シングルエンド(single-ended)信号化)すると、図3に示すように、回転子13の回転角度に対して正弦波状に変化し、この差動信号HU+/HU−、HV+/HV−、HW+/HW−をアナログ変換したアナログホール信号HAU、HAV、HAWが、相互に120度の位相差を持つ正弦波状となる位置にホール素子11u、11v、11wが配置されている。なお、図2では、3相の振幅が等しく表示されている。
上記アナログホール信号HAU、HAV、HAWは、次式(1)により算出することができる。
いま、本実施例では、DCブラシレスモータ10の回転子13の磁極数を「8」としているため、図3に示す正弦波は、回転子13の1回転当たり4周期であり、回転子13の1/4回転が、図3に示す正弦波1周期に相当する。なお、以下の説明において、角度θは、正弦波1周期を、360度として示すものとし、また、この角度θを回転子13の角度として扱うものとする。
図1に戻って、クロック発生部8は、発振器81と分周器82等を備えており、クロック発生部8は、発振器81が、所定周波数のクロック信号clkを出力して、分周器82が、このクロック信号clkを分周してトリガfsを、角度探索部5、2相パルス生成部6等の回転角度検出装置1の必要な各部に出力する。
ベクトル成分生成部2は、減算アンプであり、U相用のホール素子11uからU相の差動信号HU+/HU−が入力される。ベクトル成分生成部2は、ホール素子11uから入力されるU相の差動信号HU+/HU−に対して、次式(2)の演算(Vyの演算)を行なって、シングルエンド化し、U相のアナログホール信号HAUを生成して、そのままベクトルのY軸成分Vyとして出力する。
また、ベクトル成分生成部3は、加減算アンプであって、V相とW相のホール素子11v、11wからの差動信号HV+/HV−、HW+/HW−に対して、次式(2)の演算(Vxの演算)を行って、シングルエンド化し、V相とW相のアナログホール信号HAV、HAWを生成して、ベクトルのX軸成分Vxを出力する。
回転角度検出装置1は、ベクトル成分生成部2とベクトル成分生成部3が、上記式(2)の演算によって、互いに90度の位相差を有する正弦波のX軸成分Vx、Y軸成分Vyを生成し、ベクトル成分生成部2及びベクトル成分生成部3は、複数のホール素子11u、11v、11wの出力する差動信号に基づいてDCブラシレスモータ10の回転子13の回転子ベクトルを生成する回転子ベクトル生成手段として機能している。
ベクトル回転演算部4は、乗算部41、符号調整スイッチ部42、加減算アンプ43、44等を備えており、信号生成部7からの正弦(sin)データ、余弦(cos)データ及び符号調整信号signを用いて、X軸成分Vx及びY軸成分Vyにより表わされるベクトル(以下、回転子ベクトルという。)を、後述する検出角度データθdの値に従って、次式(3)のベクトル演算することで回転変換を施して、変換X軸成分Vx’及び変換Y軸成分Vy’(以下、(Vx’、Vy’)で表わされるベクトルを変換ベクトルという。)として出力する。
信号生成部7は、データ整形演算部71、不揮発性メモリ72及び符号調整信号生成部73等を備えており、後述する角度探索部5の出力する検出角度データθdが入力される。
不揮発性メモリ72は、ROM(Read Only Memory)等で構成され、正弦波1周期をn分割、例えば、64分割して、振幅を127[LSB]で表わす正弦のうち、振幅の絶対値がそれぞれ重複しない正弦、例えば、位相0度の正弦と、位相0〜90度の間の15個の正弦と、位相90度の正弦との合計17個の正弦が、正弦データとして予め格納されている。したがって、不揮発性メモリ72は、1周期を4n等分(nは整数)する位相差を有し、その絶対値がそれぞれ重複しない正弦波を基準正弦波として、該基準正弦波の1/4周期分を記憶する正弦波データ記憶手段として機能している。
データ整形演算部71は、検出角度データθdに従って、正弦、余弦の振幅の絶対値のデータを、不揮発性メモリ72に格納されている正弦データ(基準正弦波データ)に基づいて、整形して、正弦(sin)データと余弦(cos)データをベクトル回転演算部4の乗算部41に出力する。このデータ整形演算部71は、不揮発性メモリ72の1/4周期分の前記正弦波データから残りの3/4周期分の正弦波データを算出して全周期分の基準正弦波の正弦波データを生成する正弦波データ生成手段として機能している。
符号調整信号生成部73は、角度探索部5の出力する検出角度データθdのうち、θd[5:4]に従って符号調整信号signを生成して、ベクトル回転演算部4の符号調整スイッチ部42に出力する。
そして、ベクトル回転演算部4は、その演算部41が、4つの抵抗ラダー方式乗算DAC(digital analog convertor)が並列に配設されたものであり、ベクトル成分生成部2とベクトル成分生成部3からX軸成分VxとY軸成分Vyが入力される。
演算部41は、データ整形演算部71から入力される正弦データと余弦データを元に、値に比例したアナログ値に変化させたアナログ正弦絶対値|sin|、アナログ余弦絶対値|cos|を、ベクトル成分生成部2、3からのベクトルのX軸成分VxとY軸成分Vyに乗算して、Vx*|sin|、Vx*|cos|、Vy*|sin|、Vy*|cos|を符号調整スイッチ部42に出力する。
符号調整スイッチ部42は、演算部41からVx*|sin|、Vx*|cos|、Vy*|sin|、Vy*|cos|が入力されるとともに、符号調整信号生成部62からθd[5:4]に従って生成された符号調整信号signが入力され、この符号調整信号signに従って、加減算アンプ43、44の正相、逆相入力端子に入力するVx*|sin|、Vx*|cos|、Vy*|sin|、Vy*|cos|を切り換える。
加減算アンプ43は、乗算部41の乗算結果のVx*|cos|とVy*|sin|を加減算して、変換X軸成分Vx’として出力する。なお、加減算アンプ43は、上記加減算に、ゲインを乗じる構成であってもよい。
加減算アンプ44は、乗算部41の乗算結果のVx*|sin|とVy*|cos|を加減算して、変換Y軸成分Vy’として出力する。なお、加減算アンプ44は、上記加減算に、ゲインを乗じる構成であってもよい。
角度探索部5は、コンパレータ51、52と繰り返しカウンタ53等を備えており、変換Y軸成分Vy’が、コンパレータ51、52に入力されるとともに、トリガfsが、繰り返しカウンタ53に入力されて、変換Y軸成分Vy’が所定の基準値(所定のベクトル)を横切るときの回転角、すなわち、回転子ベクトルを基準ベクトル(所定のベクトル)まで回転させたときの回転角を検出角度データθdとして探索して出力する。
コンパレータ51、52は、それぞれ基準+α、−αが入力されるとともに、変換Y軸成分Vy’が入力され、これらの基準値+αと変換Y軸成分Vy’、基準値−αと変換Y軸成分Vy’をそれぞれ比較して、繰り返しカウンタ53へカウントアップ指令upとカウントダウン指令dnを出力する。
繰り返しカウンタ53は、コンパレータ51からのカウントダウン司令dnとカウントアップ司令upに応じてカウント処理を行い、カウント値を、例えば、6ビットの検出角度データθdとして出力する。
上記ベクトル回転演算部4と角度探索部5は、全体として、回転子ベクトル生成手段としてのベクトル回転演算部4が生成した回転子ベクトル(Vx、Vy)に基づいて回転子13の回転角度を探索する回転角度探索手段として機能している。また、ベクトル回転演算部4の乗算部41は、複数の位相を有する所定の基準正弦波と前記回転子ベクトル生成手段であるベクトル成分生成部2、3の生成した前記回転子ベクトル(Vx、Vy)とを乗算する乗算手段として機能し、加減算アンプ43、44は、該乗算部41による複数の乗算結果同士を加減算して、回転子ベクトル(Vx、Vy)を回転変換して変換回転子ベクトル(Vx’、Vy’)を生成するベクトル回転手段として機能している。さらに、角度探索部5は、該ベクトル回転手段の生成した変換回転子ベクトル(Vx’、Vy’)、特に、変換Y軸成分Vy’と所定のベクトルとのなす角度が0度となるまで、すなわち、変換Y軸成分Vy’が角度幅±αの不感帯内に入るまで回転させた回転量を回転子13の回転角度として探索する探索手段として機能している。
2相パルス生成部6は、ビット取得部61とパルス生成部62等を有し、ビット取得部61には、角度探索部5の繰り返しカウンタ53から検出角度データθdが入力される。ビット取得部61は、検出角度データθdの下位2ビットを取得して、パルス生成部62に出力し、パルス生成部62は、検出角度データθdの下位2ビットを参照して、2相のパルス信号ENCA、ENCBを生成して、DCブラシレスモータ10の端子14へ出力する。したがって、2相パルス生成部6は、角度探索部5が探索した回転子13の回転角度に応じて変化するとともに、1/4周期の位相差を有する2相パルス信号を生成するパルス信号生成手段として機能している。
なお、本実施例においては、ベクトル回転演算部4の乗算部41が、4つの抵抗ラダー方式乗算型DACが並列に配設されたものであるが、1つの乗算器を時系列で交互に使い回す構成であってもよい。また、乗算部41は、アナログ回路を用いているが、X軸成分VxとY軸成分Vyをデジタル変換するA/D(アナログ/デジタル)変換回路とデジタル加算回路で構成されていてもよい。
そして、上記ベクトル成分生成部3は、例えば、図4または図5のように構成されている。
すなわち、ベクトル成分生成部3は、図4に示すように、3つの加減算アンプ31〜33、8個の抵抗R及びその抵抗値が抵抗Rの1/√3である2つの抵抗(1/√3)Rで構成されており、式(2)に示したように、加減算アンプ31によって、(HV+−HV−)を演算して、加減算アンプ32によって、(HW+−HW−)を演算して、アナログホール信号を生成する。ベクトル成分生成部3は、次に、加減算アンプ33によって、を演算して、加減算アンプ32による演算結果(HW+−HW−)から加減算アンプ31による演算結果(HV+−HV−)を減算して、√3で除算することで、ベクトルのX軸成分Vxを生成している。このベクトル成分生成部3を加えることにより、磁気センサをほぼ直角に配置することなく、角度検出を行うためのベクトルを生成することができる。
また、ベクトル成分生成部3は、図5に示すように、1つの加減算アンプ34と4つの抵抗R及びその抵抗値が抵抗Rの1/√3である2つの抵抗(1/√3)Rで構成されていてもよい。
図5の場合、差動信号HV+と差動信号HW−を、それぞれ抵抗Rを介して加減算アンプ34の逆相入力端子に入力し、差動信号HV−と差動信号HW+を、それぞれ抵抗Rを介して加減算アンプ34の正相入力端子に入力する。加減算アンプ34は、次式(4)で示す演算を順次実行して、結果的に、(HAW−HAV)/√3を演算することとなり、Vx=A*cosθというベクトルのX軸成分Vxを生成する。
したがって、ベクトル成分生成部3は、図5のように構成すると、図4の構成と比較すると、1つの加減算アンプ34で構成することができ、回路規模を小さくかつ安価にすることができる。従来技術の構成においても、ホール素子後段には差動アンプが存在するため、従来の構成からコストアップはしない。また、図5のベクトル成分生成部3は、加減算アンプ34の入力電圧オフセット等のアナログ回路素子の有する誤差要因を低減させることができ、回転角度検出精度を向上させることができる。すなわち、ベクトル成分生成部3は、ホール素子11u、11v、11wの出力する差動信号HV
+/HV
−、HW
+/HW
−のうち、2つずつの差動信号HV
+/HV
−、HW
+/HW
−の差分を算出する差分算出手段と、少なくとも2つの差動信号HV
+/HV
−、HW
+/HW
−同士を相互演算した演算結果と該差分算出手段として算出した該差分とに基づいて前記回転子ベクトルを生成するベクトル生成手段と、を有した構成となっている。
そして、ベクトル成分生成部3は、120度位相を持つUVW相のホール素子11u、11v、11wの信号を用いてベクトル生成の演算処理を行うが、このベクトル生成の演算処理は、図6に示すようなものとなっている。すなわち、図6に示すように、直交するXY平面上に、Y軸と同じ方向にU軸を、−120度の方向にV軸を、+120度軸の方向にW軸をとって、U軸、V軸、W軸の長さ1を、単位ベクトルU、V、Wとしたとき、ベクトルUは、Y軸上の単位ベクトルとなり、ベクトル(W−V)は、Y軸上の長さ√3のベクトルとなる。すなわち、ベクトル成分生成部3の実行する演算式(2)は、120度の角度差を持つUVW軸から、XY軸座標系への座標変換を示しており、変換後の長さを等しくするために、(HAW−HAV)に、1/√3を乗じている。なお、本実施例においては、ベクトル成分生成部3の演算対象が、120度位相を有する3つの正弦波状信号であるとしているが、演算対象の正弦波状信号は、120度の位相を有している信号に限るものではなく、どのような位相差を有した信号同士であってもよい。この場合、ゲインの値を変更することで、同じ振幅を有した、90度位相差を持つ2相信号を生成することができる。
そして、ベクトル成分生成部2、3の生成するベクトルのX軸成分Vx及びY軸成分Vyは、図7に示すように、同じ所定の振幅と周期を有した振動波形となる。このベクトルのX軸成分Vx及びY軸成分Vyは、極座標上にプロットすると、図8のように示され、ベクトル(Vx、Vy)は、回転子角度θの変化とともに、X−Y平面上を、半径Aの円を描いて回転する。なお、本実施例においては、X軸を基準軸として、正方向のX軸とベクトル(Vx、Vy)のなす角度を、回転子角度θとしている。
また、ベクトル回転演算部4の乗算部41は、上述のように、抵抗ラダー方式乗算型DACが用いられており、この抵抗ラダー方式乗算型DACは、図9に示すように、通常の抵抗ラダー方式乗算型DAC回路41aが用いられている。なお、図9では、Y軸成分Vyに対する乗算部41の1つの抵抗ラダー方式乗算型DAC回路41aが示されているが、乗算部41は、このような回路構成の抵抗ラダー方式乗算型DAC回路41aが、4つ並列に用いられている。
抵抗ラダー方式乗算型DAC回路41aは、抵抗値Rと抵抗値2Rの抵抗が規則的にはしご状につながり、2Rの抵抗には、バイアス電圧Vbiasか、Vy(または、Vx)のいずれかに接続されるスイッチSW0〜SWn−2が設けられている。一般的に、このスイッチSW0〜SWn−2は、電子的なスイッチ(アナログスイッチ)が用いられる。
このような抵抗ラダー方式乗算型DAC41aを乗算部41に用いると、同じ抵抗値の抵抗R(2Rは、Rの抵抗Rを2個直列に接続)のみで構成されるため、モノリシックICを用いることで、精度の高い乗算処理を行うことができる。この抵抗ラダー方式乗算型DAC41aでの処理で得られる出力電圧Voutは、次式(5)で与えられる。
式(5)において、D
0〜D
n−2は、それぞれ抵抗ラダー方式乗算型DAC回路41aのスイッチ部SW
0〜SW
n−2のD
0〜D
n−2に対応しており、「0」か、「1」が入力される。また、Vrefの係数は、「0」(Dが全て「0」)から2
n−1−1/2
n−1≒1(Dが全て「1」)の値を取りうる。
したがって、スイッチ部SW0〜SWn−2を切り換えることで、正弦、余弦の乗算を表現することができる。
ところが、抵抗ラダー方式乗算型DAC回路41aのみでは、正の乗数の乗算しか行うことができない。そこで、通常は、抵抗ラダー方式乗算型DAC回路41aにおいて4象限乗算を行うために、抵抗ラダー方式乗算型DAC回路41aの後段に、アンプを配置して、次式(6)の演算を施すことで、4象限乗算を行う。
ところが、本実施例の演算部41は、符号調整スイッチ部42を設けて加減算を入れ替えることで、式(6)の演算を行わせることで、4象限乗算と同等の動作を行わせている。したがって、乗算部41において、1つの乗算器に対して、オペアンプ1つとラダー1bit分を削減することができる。
そして、上述のように、演算部41は、演算に用いる正弦(sin)データ及び余弦(cos)データが、信号生成部7から入力される。
この正弦(sin)データ及び余弦(cos)データは、その絶対値が、図10(a)及び図10(b)のように示される。いま、正弦波1周期を4n(nは、整数)等分すると、0〜90度区間の正弦(sin)データの絶対値|sin|の値は、90度〜180度、180度〜270度、270度〜360度区間にも現れる。そこで、本実施例の回転角度検出装置1は、信号生成部7の不揮発性メモリ72に、0〜90度区間の|sin|のデータのみを記憶しておいて、90〜360度区間の|sin|のデータについては、不揮発性メモリ72の0〜90度区間の|sin|のデータをデータ整形演算部71で整形して用いている。具体的には、信号生成部7は、位相区間0〜90度(θd[3:0]相当)の正弦データを不揮発性メモリ72に記憶しており、90度毎の切り替わり(θd[5:4]相当)に従って、データ整形演算部71が整形したデータを|sin|、|cos|としてベクトル回転演算部4の乗算部41に出力する。
ただし、0度(θd=000000)と180度(θd=100000)の値、90度(θd=010000)と270度(θd=110000)の値は、180度位相毎にしか現れないため、θd[3:0]が0000となる場合のみ異なる処理を行う。
そして、回転角度検出装置1は、ベクトル回転演算部4において、乗算部41の乗算結果を、加減算アンプ43、44で加減算を行って、変換X軸成分Vx’及び変換Y軸成分Vy’を生成させるように、符号調整スイッチ部42を動作させる符号調整信号signを、信号生成部7の符号調整信号生成部73から符号調整スイッチ部42に出力する。
すなわち、符号調整信号生成部73は、図11及び図12に、それぞれ、変換X軸成分Vx’及び変換Y軸成分Vy’を生成させるための加減算マップを示すように、位相が、0度〜90度、90度〜180度、180度〜270度、270度〜360度の各区間において、sin関数、cos関数の符号関係が、sin関数とcos関数の項目に、Vx’=Vx*cos+Vy*sinの演算を成立させるためのVx*|cos|、Vy*|sin|の加減算アンプ43の入力先端子への相状態とVy’=−Vx*sin+Vy*cosの演算を成立させるためのVx*|cos|、Vy*|sin|の加減算アンプ44の入力先端子への相状態が、入力先端子の項目に、入力先を指定した場合の加減算結果が、加減算結果の項目に、それぞれ記載されている。
すなわち、ベクトル回転演算部4の乗算部41は、回転子ベクトル軸成分Vx、Vyとアナログ正弦、余弦の絶対値|sin|、|cos|の乗算を行うが、回転演算を行うためには、アナログ正弦、余弦の絶対値|sin|、|cos|ではなく、アナログ正弦、余弦sin、cosでの乗算を行う必要がある。
そこで、本実施例の回転角度検出装置1は、符号調整信号生成部73が、検出角度データθdに応じて、符号調整信号signを生成して、ベクトル回転演算部4の符号調整スイッチ部42に出力することで、乗算結果の加減算を切り替えて、絶対値|sin|、|cos|のアナログsin、cosへの変換を行なっている。
そして、加減算アンプ43は、X軸成分Vxとアナログ余弦値の絶対値|cos|の乗算結果と、Y軸成分Vyとアナログ正弦値の絶対値|sin|の乗算結果を、図11に示す加減算マップに従って加減算することで、変換X軸成分Vx’を生成する。
すなわち、加減算アンプ43は、正相端子(+端子)に入力された信号については加算、逆相端子(−端子)に入力された信号については減算処理を行う。例えば、図11に示すように、検出角度データθdが、θd=90〜180の場合、sin>0、cos<0であるため、Vx*|cos|は、加減算アンプ43の逆相入力端子へ、Vy*|sin|は、加減算アンプ43の正相入力端子へと入力され、加減算アンプ43は、−Vx*|cos|+Vy*|sin|=Vx’、すなわち、Vx*(−|cos|)+Vy*|sin|=Vx’を演算することとなって、Vx’の演算を行うことができる。
また、加減算アンプ44は、X軸成分Vxとアナログ正弦値の絶対値|sin|の乗算結果と、Y軸成分Vyのアナログ余弦値の絶対値|cos|の乗算結果を、図12に示す加減算マップに従って加減算することで、変換Y軸成分Vy’を生成する。
すなわち、加減算アンプ44は、加減算アンプ43と同様に、正相端子(+端子)に入力された信号については加算、逆相端子(−端子)に入力された信号については減算処理を行う。例えば、図12に示すように、検出角度データθdが、θd=90〜180の場合、sin>0、cos<0であるため、Vx*|sin|は、加減算アンプ44の逆相入力端子へ、Vy*|cos|は、加減算アンプ44の逆相入力端子へと入力され、加減算アンプ44は、−Vx*|sin|−Vy*|cos|=Vy’、すなわち、−Vx*|cos|+Vy*(−|sin|)=Vy’を演算することとなって、Vy’の演算を行うことができる。
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の回転角度検出装置1は、小型で安価に回転軸である回転子13の回転角度を検出する。
回転角度検出装置1は、以下に説明するように、差動信号HU+/HU−、HV+/HV−、HW+/HW−を出力するホール素子11u、11v、11wを備えているDCブラシレスモータ10の回転子13の回転角度を、該ホール素子11u、11v、11wの出力する差動信号から該回転子13の回転ベクトルを算出して、該回転ベクトルに基づいて該回転子13の回転角度を検出する。
すなわち、回転角度検出装置1は、ホール素子11u、11v、11wの設けられているDCブラシレスモータ10の該ホール素子11u、11v、11wに接続されており、そのベクトル成分生成部2に、U相のホール素子11uの出力する差動信号HU+/HU−が、そのベクトル成分生成部3に、V相及びW相の差動信号HV+/HV−、HW+/HW−が、それぞれ入力される。
ベクトル成分生成部2は、ホール素子11uから入力されるU相の差動信号HU+/HU−に対して、上記式(2)の演算(Vyの演算)を行なって、シングルエンド化し、U相のアナログホール信号HAUを生成して、そのまま回転ベクトルのY軸成分Vyとして出力する。
また、ベクトル成分生成部3は、ホール素子11v、11wからの差動信号HV+/HV−、HW+/HW−に対して、上記式(2)の演算(Vxの演算)を行って、シングルエンド化し、V相とW相のアナログホール信号HAV、HAWを生成して、回転ベクトルのX軸成分Vxを出力する。
そして、高度な演算機能を有するプロセッサを用いるときには、検出角度θd=arctan(Y/X)を算出することで、回転子13の回転角度を求めることはできるが、それでは、回転角度検出装置が高価なものとなってしまう。
そこで、本実施例の回転角度検出装置1は、ベクトル回転演算部4によって、上記式(3)に示した回転の一次変換式を利用して、図13に示すように、回転子ベクトル(Vx、Vy)を回転角度θr回転させた変換ベクトル(Vx’、Vy’)が、所定の基準ベクトル(本実施例では、正方向のX軸とする。)に一致するまで回転角度θrの値を変化させ、変換ベクトル(Vx’、Vy’)が基準ベクトルと一致すると、回転子ベクトルθ=ベクトル回転角度θrであるとして、回転子角度を検出して、検出した回転子角度を検出角度データθdとする。
具体的には、ベクトル回転演算部4は、4つの抵抗ラダー方式乗算DACが並列に配設された演算部41によって、ベクトル成分生成部2とベクトル成分生成部3から入力されるX軸成分VxとY軸成分Vyに対して、データ整形演算部71から入力される正弦データと余弦データを元に、値に比例したアナログ値に変化させたアナログ正弦絶対値|sin|、アナログ余弦絶対値|cos|を、乗算して、Vx*|sin|、Vx*|cos|、Vy*|sin|、Vy*|cos|を算出して、符号調整スイッチ部42に出力する。
符号調整スイッチ部42は、演算部41からのVx*|sin|、Vx*|cos|、Vy*|sin|、Vy*|cos|を、符号調整信号生成部62からの符号調整信号signに従って、加減算アンプ43、44の正相入力端子と逆相入力端子に切り替えて入力する。
加減算アンプ43は、乗算部41の乗算結果のVx*|cos|とVy*|sin|を加減算して、変換X軸成分Vx’として出力し、加減算アンプ44は、乗算部41の乗算結果のVx*|sin|とVy*|cos|を加減算して、変換Y軸成分Vy’として出力する。
そして、本実施例の回転角度検出装置1は、X軸正方向を基準ベクトルとしており、X軸は、Y軸成分が「0」であるため、変換ベクトルのY軸成分である変換Y軸成分Vy’=0を判定するのみで、X軸との一致を判定することができる。
ところが、実際に回転演算で乗算される上記正弦・余弦は、離散的なデータ(本実施例では、1周期を64分割している。)であるため、変換ベクトルとX軸が厳密に一致することは、極めて稀である。そこで、本実施例の回転角度検出装置1は、X軸周辺に±αの不感帯の領域を設け、角度探索部5が、変換ベクトルが±αの不感帯領域内にあると、X軸に一致した判定する。
すなわち、角度探索部5は、変換Y軸成分Vy’が、コンパレータ51、52に入力されるとともに、トリガfsが、繰り返しカウンタ53に入力されて、変換Y軸成分Vy’が所定の基準値であるX軸正方向を横切るときの回転角、すなわち、回転子ベクトルを基準ベクトルまで回転させたときの回転角を検出角度データθdとして探索して出力するが、コンパレータ51、52には、それぞれ基準+α、−αが入力されるとともに、変換Y軸成分Vy’が入力され、これらの基準値+αと変換Y軸成分Vy’、基準値−αと変換Y軸成分Vy’をそれぞれ比較して、繰り返しカウンタ53へカウントアップ指令upとカウントダウン指令dnを出力する。繰り返しカウンタ53は、コンパレータ51からのカウントダウン司令dnとカウントアップ司令upに応じてカウント処理を行い、カウント値を、例えば、6ビットの検出角度データθdとして出力する。
例えば、いま、回転角度θrが、図14に示すように、変化した場合、繰り返しカウンタ53は、以下のようにカウント処理する。
(a)Vy’>+αのとき(図14(a)のとき)、繰り返しカウンタ53は、コンパレータ52からカウントアップ司令upが入力され、回転角度θrをカウントアップする。(回転変換は、時計回りに行われ、基準ベクトルであるX軸正方向に近づく。)
(b)−α<Vy’<+αのとき(図14(b)のとき)、繰り返しカウンタ53は、カウントアップ司令upとカウントダウン司令dnのいずれもが入力されず、回転角度θrを維持する。(回転変換は行わず、基準ベクトルであるX軸正方向にとどまる。)
(c)−α<Vy’のとき(図14(c)のとき)、繰り返しカウンタ53は、コンパレータ51からカウントダウン司令dnが入力され、回転角度θrをカウントダウンする。(回転変換は、反時計回りに行われ、基準ベクトルであるX軸正方向に近づく。)
そして、回転角度検出装置1は、不感帯の角度幅αを、1LSB(Least Significant Bit)相当の回転角度より大きく設定することで、X軸近傍でベクトルがチャタリングすることを防止している。
すなわち、不感帯幅αは、次式(7)により、求めて設定される。
そして、角度探索部5は、図15に示すように、上記角度探索処理を行う。すなわち、角度探索部5は、ベクトル回転演算部4の加減算アンプ44から変換Y軸成分Vy’が入力されると、該変換Y軸成分Vy’を角度幅αと比較し(ステップS101)、図14(a)に示したように、変換Y軸成分Vy’が角度幅+αよりも大きいと(図15で、Vy’>+αのとき)、回転角度θr(n)に、「1」だけインクリメント(加算)して回転角度θr(n+1)とする(θr(n+1)=θr(n)+1)(ステップS102)。角度探索部5は、回転角度θr(n+1)を求めると、変数n(n:整数)を「1」だけインクリメントして(ステップS103)、所定周期で、ステップS101に戻る。
角度探索部5は、ステップS101で、変換Y軸成分Vy’が角度幅+αと角度幅−αとの間であると(図15で、−α<Vy’<+αのとき)、回転角度θr(n)に、加減算を行うことなく、回転角度θr(n)を回転角度θr(n+1)とする(θr(n+1)=θr(n))(ステップS104)。角度探索部5は、回転角度θr(n+1)を求めると、変数nを「1」だけインクリメントして(ステップS103)、所定周期で、ステップS101に戻る。
さらに、角度探索部5は、変換Y軸成分Vy’が角度幅−αよりも小さいと(図15で、Vy’<−αのとき)、回転角度θr(n)から、「1」だけディクリメント(減算)して回転角度θr(n+1)とする(θr(n+1)=θr(n)−1)(ステップS105)。角度探索部5は、回転角度θr(n+1)を求めると、変数nを「1」だけインクリメントして(ステップS103)、所定周期で、ステップS101に戻る。
角度探索部5は、上記角度探索処理を、実行処理信号としてのトリガfsがクロック発生部8から入力されるたびに、実行する。なお、回転角度θrは、離散カウント値であり、本実施例では、1周期を64分割しているので、θr=0〜63[LSB]となる。すなわち、θstep=1LSBとする。
上記角度探索処理を行うことで、常に変換ベクトル(Vx’、Vy’)は、X軸近傍に維持され、(検出角度θd)=(回転角度θr)≒(回転子角度θ)となる。ただし、周期的処理の実行周期は、回転子ベクトルの回転速度に対して十分速くすること、及び、後述する回転子13の初期回転時における角度探索のため、角度検出装置1の適用されている画像処理装置の電源オン直後においては、回転子13を、停止(厳密に、停止状態である必要はなく、ほぼ停止)状態とする期間を設けること、が必要である。
すなわち、角度検出装置1は、回転子13の初期回転時においては、図16に示すように、角度探索部5が、トリガfsが入力されるたびに、θstepずつ回転変換を実行して、n回目のトリガfsで変換ベクトル(Vx’、Vy’)が角度幅±αの不感帯内に収まると、回転変換を停止する。このとき、回転角度θr=n*θstepとなる。
ところが、角度探索部5は、回転子13の初期回転時においては、変換Y軸成分Vy’の値だけでは、変換ベクトル(Vx’、Vy’)が、正方向のX軸である基準ベクトルに対して角度幅±αの不感帯内に存在するのか、180度ずれたX軸(負方向)に対して角度幅±αの不感帯内に存在するのかを区別することができない。
そこで、角度探索部5は、変換X軸成分Vx’と「0」を比較し、Vx’であると、変換ベクトル(Vx’、Vy’)が、負方向のX軸に対して角度幅±αの不感帯内にあると判断して、回転角度θrを増加させ続ける等の処理を行う。
そして、角度探索部5は、回転子13の回転時には、図17〜図19に示すように角度探索処理を行う。
すなわち、角度探索部5は、トリガfsが(n+1)回目のときに、図17に破線矢印と実線矢印で示すように、回転子ベクトル(Vx、Vy)が、(Vx(n)、Vy(n))から(Vx(n+1)、Vy(n+1))に回転すると、回転子ベクトル(Vx、Vy)の回転にともなって、変換ベクトル(Vx’、Vy’)が、トリガfsがn回目の回転位置である変換ベクトル(Vx’(n)、Vy’(n))からトリガfsが(n+1)回目の位置である変換ベクトル(Vx’(n+1)、Vy’(n+1))に回転する。
このトリガ(n+1)回目においては、図17の場合、変換Y軸成分Vy’は、角度幅±αの不感帯内(−α<Vy’(n+1)<+α)にあるので、角度探索部5は、上述のように、回転角度θr(n+1)に、加減算を行わないため、回転角度が、θr(n+2)=θr(n+1)となる。
そして、トリガfsが(n+2)回目のとき、図18に破線矢印と実線矢印で示すように、回転子ベクトル(Vx、Vy)が、(Vx(n+1)、Vy(n+1))から(Vx(n+2)、Vy(n+2))に回転すると、回転子ベクトル(Vx、Vy)の回転にともなって、変換ベクトル(Vx’、Vy’)が、トリガfsが(n+1)回目の回転位置である変換ベクトル(Vx’(n+1)、Vy’(n+1))からトリガfsが(n+2)回目の位置である変換ベクトル(Vx’(n+2)、Vy’(n+2))に回転する。
このトリガ(n+2)回目においては、図18の場合、変換Y軸成分Vy’は、角度幅±αの不感帯から+側に外れた位置(Vy’(n+2)>+α)にあるので、角度探索部5は、上述のように、回転角度θr(n+2)に、「1」を加算して、回転角度が、時計方向に回転させられるθr(n+3)=θr(n+2)+1となる。
そして、回転角度θrのインクリメントにともなって、変換ベクトル(Vx’、Vy’)は、図19に示すように回転する。すなわち、変換ベクトル(Vx’(n+2)、Vy’(n+2)):θr(n+2)は、回転角度θrの値がインクリメントされると、図19に示すように、θstepだけ回転し、変換ベクトル(Vx’(n+2)、Vy’(n+2)):θr(n+3)となる。
なお、回転角度θrは、その増加方法としては、順次増加させる方法に限るものではなく、例えば、360度を2のべき乗の区間に分割して、回転角度θrを、バイナリーサーチ(2進探索)によって求めてもよい。
そして、上述のように、2相パルス生成部6は、角度探索部5の繰り返しカウンタ53から入力される検出角度データθdの下位2ビットを参照して、2相のパルス信号ENCA、ENCBを生成して、DCブラシレスモータ10の端子14へ出力する。すなわち、2相パルス生成部6は、図20に示すように、検出角度データθdの下位2ビットが、(0、0)のとき、2相パルス信号ENCAが、「H(High)」、ENCBが、「L(Low)」、検出角度データθdの下位2ビットが、(0、1)のとき、2相パルス信号ENCAが、「H」、ENCBが、「H」、検出角度データθdの下位2ビットが、(1、0)のとき、2相パルス信号ENCAが、「L」、ENCBが、「H」、検出角度データθdの下位2ビットが、(1、1)のとき、2相パルス信号ENCAが、「L」、ENCBが、「L」である。
したがって、DCブラシレスモータ10にエンコーダを設けることなく、既存のホール素子11u、11v、11wの出力信号を利用して、DCブラシレスモータ10の回転軸の回転角度を検出することができるとともに、DCブラシレスモータ10を回転駆動させるための1/4周期の位相差を有する2相パルス信号を生成することができる。
このように、本実施例の回転角度検出装置1は、回転子(回転軸)13の回転角度に応じて正弦波状に変化する差動信号を出力する複数のホール素子(検出手段)11u、11v、11wを備えるとともに、複数の該ホール素子11u、11v、11wが、該差動信号が相互に位相差を持つ状態で配設されているDCブラシレスモータ(回転機構)10の該回転子13の回転角度を検出する回転角度検出装置1であって、複数のホール素子11u、11v、11wの出力する前記差動信号に基づいて回転子13の回転子ベクトル(Vx、Vy)を生成するベクトル成分生成部(回転子ベクトル生成手段)2、3と、ベクトル成分生成部2、3の生成した回転子ベクトル(Vx、Vy)に基づいて回転子13の回転角度を探索する回転角度探索手段としてのベクトル回転演算部4と角度探索部5と、を備えている。
したがって、回転機構であるDCブラシレスモータ10及びDCブラシレスモータ10によって回転駆動される機構部に、DCブラシレスモータ10の回転軸である回転子13の回転角度を検出するためのセンサ等の検出手段を新たに設けることなく、本来、回転機構であるDCブラシレスモータ10に設けられている検出手段であるホール素子11u、11v、11wの出力する差動信号に基づいて、回転子13の回転角度を検出することができ、小型で安価に回転子13の回転角度を検出することができる。すなわち、磁気センサをほぼ直角に配置することなく、かつ、従来の構成からコストアップすることなく、小型で安価に回転子13の回転角度を検出することができる。
また、本実施例の回転角度検出装置1は、回転子13の回転角度を回転角度検出部で検出して該回転子13を回転制御し、該回転子13の回転を利用して駆動機構を駆動させて各種画像処理を施す画像処理装置に、適用している。
したがって、DCブラシレスモータ10等の回転機構を利用して画像形成動作や画像読み取り動作等の画像処理動作を行う場合の回転機構の回転角度を、小型で安価に検出することができる。
さらに、本実施例の回転角度検出装置1は、回転子13の回転角度に応じて正弦波状に変化する差動信号を出力する複数のホール素子11u、11v、11wを備えるとともに、複数の該ホール素子11u、11v、11wが、該差動信号が相互に位相差を持つ状態で配設されているDCブラシレスモータ10の該回転子13の回転角度を検出する回転角度検出方法であって、複数のホール素子11u、11v、11wの出力する前記差動信号に基づいて回転子13の回転子ベクトルを生成する回転子ベクトル生成処理ステップと、該回転子ベクトル生成処理ステップで生成された前記回転子ベクトルに基づいて回転子13の回転角度を探索する回転角度探索処理ステップと、を有している回転角度検出方法を実行している。
したがって、回転機構であるDCブラシレスモータ10及びDCブラシレスモータ10によって回転駆動される機構部に、DCブラシレスモータ10の回転軸である回転子13の回転角度を検出するためのセンサ等の検出手段を新たに設けることなく、本来、回転機構であるDCブラシレスモータ10に設けられている検出手段であるホール素子11u、11v、11wの出力する差動信号に基づいて、回転子13の回転角度を検出することができ、小型で安価に回転子13の回転角度を検出することができる。
また、本実施例の回転角度検出装置1は、前記回転子ベクトル生成手段であるベクトル成分生成部2、3が、複数のホール素子11u、11v、11wの出力する前記差動信号のうち、2つずつの該差動信号の差分を算出する差分算出手段と、少なくとも2つの前記差動信号同士を相互演算した演算結果と前記差分算出手段の算出した前記差分とに基づいて前記回転子ベクトルを生成するベクトル生成手段と、を備えた構成となっている。
したがって、DCブラシレスモータ10にエンコーダを設けることなく、既存のホール素子11u、11v、11wの出力信号を利用して、DCブラシレスモータ10の回転軸の回転角度を小型で安価に、かつ、正確に検出することができる。
さらに、本実施例の回転角度検出装置1は、前記回転角度探索手段が、複数の位相を有する所定の基準正弦波とベクトル成分生成部2、3の生成した前記回転子ベクトルとを乗算する演算部(乗算手段)41と、演算部41による複数の乗算結果同士を加減算して、前記回転子ベクトルを回転変換して変換回転子ベクトル(Vx’、Vy’)を生成するベクトル回転手段としての加減算アンプ43、44と、加減算アンプ43、44の生成した前記変換回転子ベクトル(Vx’、Vy’)と所定のベクトルとのなす角度が0度となるまで回転させた回転量を前記回転子13の回転角度として探索する角度探索部(探索手段)5と、を備えている。
したがって、逆正接(atan)等の複雑な演算を行う回路を用いることなく、簡単な回路構成で、回転子13の角度検出を行うことができ、DCブラシレスモータ10の回転軸の回転角度を、より一層安価に検出することができる。
また、本実施例の回転角度検出装置1は、ベクトル回転演算部4の乗算部(乗算手段)41が、R−2Rラダー方式乗算型デジタル/アナログ変換回路であり、加減算アンプ(ベクトル回転手段)が、加減算増幅器である。
したがって、簡単な回路構成で、複数のホール素子11u、11v、11wの出力する差動信号に基づいてDCブラシレスモータ10の回転子13の回転子ベクトルを生成することができ、DCブラシレスモータ10の回転軸の回転角度を、より一層安価に検出することができる。
さらに、本実施例の回転角度検出装置1は、前記回転角度探索手段としてのベクトル回転演算部4が、乗算部41の算出した前記乗算結果の符号を切り替えて加減算アンプ43、44に出力する符号調整スイッチ部(符号切り替え手段)42を備えている。
したがって、4象限乗算を逆正接(atan)等の複雑な演算を行う回路を用いることなく、簡単な回路構成で、回転子13の角度検出を行うことができ、DCブラシレスモータ10の回転軸の回転角度を、より一層安価に検出することができる。
また、本実施例の回転角度検出装置1は、1周期を4n等分(nは整数)する位相差を有し、その絶対値がそれぞれ重複しない正弦波を前記基準正弦波として、該基準正弦波の1/4周期分を記憶する不揮発性メモリ(正弦波データ記憶手段)72と、該不揮発性メモリ72の1/4周期分の正弦波データから残りの3/4周期分の正弦波データを算出して全周期分の基準正弦波の正弦波データを生成するデータ整形演算部(正弦波データ生成手段)71と、を備え、乗算部41が、データ整形演算部71の生成する正弦波データを前記基準正弦波として回転子ベクトル(Vx、Vy)と乗算している。
したがって、不揮発性メモリ72の記憶容量を削減しつつ、必要な正弦波データを生成して、簡単な回路構成で、回転子13の角度検出を行うことができ、DCブラシレスモータ10の回転軸の回転角度を、より一層安価に検出することができる。
さらに、本実施例の回転角度検出装置1は、角度探索部5が探索した回転子13の回転角度に応じて変化するとともに、1/4周期の位相差を有する2相パルス信号を生成する2相パルス生成部(パルス信号生成手段)6を、備えている。
したがって、光学エンコーダと互換性を有するパルス信号を生成することができ、利用正を向上させることができる。
図21から図23は、本発明の回転角度検出装置、画像処理装置及び回転角度検出方法の第2実施例を示す図であり、図21は、本発明の回転角度検出装置、画像処理装置及び回転角度検出方法の第2実施例を適用した回転角度検出装置100の回路構成図である。
なお、本実施例は、上記第1実施例の回転角度検出装置1と同様の回転角度検出装置100に適用したものであり、本実施例の説明においては、第1実施例の回転角度検出装置1と同様の構成部分には、同一の符号を付して、その説明を省略または簡略化する。
図21において、回転角度検出装置100は、第1実施例の回転角度検出装置1と同様のベクトル成分生成部2、3、角度探索部5、2相パルス生成部6、信号生成部7及びクロック発生部8を備えているとともに、符号調整スイッチ部101及びベクトル回転演算部102等を備えている。
符号調整スイッチ部(符号切り替え手段)101は、ホール素子11u、11v、11wの出力する差動信号HU+、/HU−、HV+/HV−、HW+/HW−が入力され、差動信号HU+/HU−を切り替えて、ベクトル成分生成部2へ、また、差動信号HV+/HV−と差動信号HW+/HW−を切り替えてベクトル成分生成部3へ、それぞれ入力する。
符号調整スイッチ部101は、UVW差動信号HU+/HU−、HV+/HV−、HW+/HW−のベクトル成分生成部2、3への入力先を切り換えることで、ベクトル成分生成部2、3の生成するベクトルのX軸成分VxとY軸成分Vyの符号の切り替えを行なっている。
ベクトル成分生成部2は、符号調整スイッチ部101から切り替えて入力されるU相の差動信号HU+/HU−に対して、上記式(2)の演算(Vyの演算)を行なって、シングルエンド化し、U相のアナログホール信号HAUを生成して、そのままベクトルのY軸成分Vyとしてベクトル回転演算部102へ出力する。
ベクトル成分生成部3は、符号調整スイッチ部101から切り替えて入力される差動信号HU+/HU−、HV+/HV−、HW+/HW−に対して、上記式(2)の演算(Vxの演算)を行って、シングルエンド化し、V相とW相のアナログホール信号HAV、HAUを生成して、ベクトルのX軸成分Vxをベクトル回転演算部102へ出力する。
また、ベクトル回転演算部102は、第1実施例と同様の乗算部41及び加減算アンプ43と加減算アンプ44を備えているとともに、符号調整スイッチ部(符号切り替え手段)111を備えている。
演算部41は、上記同様に、データ整形演算部71から入力される正弦データと余弦データを元に、値に比例したアナログ値に変化させたアナログ正弦絶対値|sin|、アナログ余弦絶対値|cos|を、ベクトル成分生成部2、3からのベクトルのX軸成分VxとY軸成分Vyに乗算して、Vx*|sin|、Vx*|cos|、Vy*|sin|、Vy*|cos|を、符号調整スイッチ部111及び加減算部44に出力する。
そして、上記符号調整スイッチ部101は、ベクトル回転演算部102の加減算部44において、変換Y軸成分Vy’の演算の符号が成立するように、図22に従ってベクトル軸成分の符号入れ替えを行う。
すなわち、図22の加減算マップには、変換X軸成分Vx’を生成させるための加減算マップが示されており、位相が、0度〜90度、90度〜180度、180度〜270度、270度〜360度の各区間において、sin関数とcos関数の項目に、sin関数、cos関数の符号関係が、入力先端子の項目に、Vx’=Vx*cos+Vy*sinの演算を成立させるためのVx*|cos|、Vy*|sin|の加減算アンプ43の入力先端子への相状態が、加減算結果の項目に、入力先を指定した場合の加減算結果が、それぞれ記載されている。
符号調整スイッチ部111は、変換X軸成分Vx’用の符号調整スイッチであり、変換Y軸成分Vy’の演算の符号が成立するように、符号調整スイッチ部101でベクトル軸成分の符号を調整した場合、変換X軸成分Vx’の演算が成立しなくなるため、図23に示す加減算マップに従って、その符号調整を行う。
すなわち、本実施例の回転角度検出装置100は、符号調整スイッチ部101が、ベクトル成分生成部2への差動信号HU+、/HU−の切り替え、及び、ベクトル成分生成部3への差動信号HV+/HV−、HW+/HW−の切り替えを、ベクトル回転演算部102の加減算部44における変換Y軸成分Vy’の演算の符号が成立するように行う。符号調整スイッチ部101は、検出手段であるホール素子11u、11v、11wの検出した差動信号HU+/HU−、HV+/HV−、HW+/HW−の符号を切り替えてベクトル成分生成部2、3に入力する符号切り替え手段として機能している。
すなわち、加減算アンプ43は、X軸成分Vxとアナログ余弦値の絶対値|cos|の乗算結果と、Y軸成分Vyとアナログ正弦値の絶対値|sin|の乗算結果を、図22に示す加減算マップに従って加減算することで、変換X軸成分Vx’を生成する。
具体的には、回転角度検出装置100は、例えば、検出角度データθdが、θd=90〜180のときに、加減算アンプ43における変換Y軸成分Vy’の演算が成立するためには、図22に示すように、X軸成分Vxの符号が、「−」、Y軸成分Vyの符号が、「+」となるように、符号調整スイッチ部101の切り替え処理を行う。
ところが、この符号状態のX軸成分VxとY軸成分Vyを用いて、図23の加減算マップの位相が90〜180度の加減算結果の項目に記載されている変換X軸成分Vx’を生成する演算する加減算演算(Vx’=Vx*(−|cos|)+Vy*|sin|)を行うためには、加減算アンプ44に対して、Vx*(−|cos|)を、正相入力(加算)端子へ、Vy*(−|sin|)を、逆相入力(減算)端子へ、入力させる必要がある。
そこで、本実施例の回転角度検出装置100は、ベクトル回転演算部102の変換X軸成分Vx’を生成する加減算アンプ43の前段に、符号調整スイッチ部111を配置して、この符号調整スイッチ部111の切り替えを、図23に示す加減算マップで示すように行う。
そして、符号調整スイッチ部111は、符号調整信号生成部73が、角度探索部5の出力する検出角度データθdのうち、θd[5:4]に従って90度移送毎に出力する符号調整信号signに基づいて、切り替えを行う。
なお、図21では、加減算アンプ43の前段に、符号調整スイッチ部111を配置しているが、符号調整スイッチ部111を加減算アンプ44の前段に配置して、X軸成分Vx、Y軸成分Vyの符号の切り換えによって変換X軸成分Vx’の演算を成立させて、変換Y軸成分Vy’の演算を符号調整スイッチ部111で切り換えるようにしてもよい。この場合、符号調整スイッチ部101、111の加減算マップは、図21及び図22とは、異なったものとなるが、図示は省略する。
なお、上記実施例においては、ベクトル成分生成部2として、減算アンプを用いて、式(2)に示すY軸成分Vyの演算を行い、ベクトル成分生成部3として、加減算アンプを用いて、式(2)似示すX軸成分Vxの演算を行なっている。
これらのベクトル成分生成部2及びベクトル成分生成部3は、上記図1、図4、図5に示した構成に限るものではなく、例えば、図24や図25に示すような回路構成であってもよい。図24は、図24(a)が、X軸成分Vxを生成するベクトル成分生成部3aの回路構成であり、図24(b)が、Y軸成分Vyを生成するベクトル成分生成部2aの回路構成である。図24(a)のベクトル成分生成部3は、差動信号HU−と差動信号HV+がそれぞれ抵抗Rを介して加減算アンプOP1の逆相入力端子に、差動信号HU+と差動信号HV−がそれぞれ抵抗Rを介して加減算アンプOP1の正相入力端子に入力され、正相入力端子が抵抗(1/√3)Rを介して接地されている。また、加減算アンプOP1は、その出力が帰還抵抗(1/√3)Rを介して逆相入力端子に接続されている。
したがって、図24(a)のベクトル成分生成部3は、アナログホール信号HAU、HAV、HAWを次式(8)のように設定したとき、次式(9)で示す演算を行なって、X軸成分Vxを生成する。
そして、図24(b)のベクトル成分生成部2は、差動信号HU
−と差動信号HV
−がそれぞれ抵抗Rを介して加減算アンプOP2の逆相入力端子に、差動信号HU
+と差動信号HV
+がそれぞれ抵抗Rを介して加減算アンプOP2の正相入力端子に入力され、正相入力端子が抵抗Rを介して接地されている。また、加減算アンプOP1は、その出力が帰還抵抗Rを介して逆相入力端子に接続されている。
したがって、図24(b)のベクトル生成正部2は、アナログホール信号HAU、HAV、HAWを式(8)のように設定したとき、次式(10)の演算を行なって、ベクトルのY軸成分Vyを生成する。
このように、図24のベクトル成分生成部2及びベクトル成分生成部3は、差動信号HW
+/HW
−を用いることなく、差動信号HU
+/HU
−、HV
+/HV
−同士を相互演算してベクトルのX軸成分VxとY軸成分Vyを生成している。
上記式(9)及び式(10)は、図25のように示すことができ、直行するXY平面上に、X軸に対して+60度の方向にU軸を、−60度の方向にV軸をとって、このU軸V軸上の長さ1の単位ベクトルU、Vを考えたとき、ベクトル(U+V)が、Y軸上の単位ベクトルになり、ベクトル(U−V)が、X軸上の長さ√3のベクトルになる。すなわち、式(9)及び式(10)は、120度の角をなすUV軸からXY軸座標系への座標変換を行っており、変換後の長さを等しくするために(HAU−HAV)に、1/√3を乗じている。
そして、上記図25のベクトル成分生成部2及びベクトル成分生成部3は、図25(a)と図25(b)の回路で、U相とV相の差動信号HU+/HU−、HV+/HV−をシングルエンド化してアナログホール信号HAU、HAVを生成し、この2つのアナログホール信号HAU、HAVを、図25(c)の回路と図25(d)の回路で、相互演算して、回転子ベクトルのX軸成分VxとY軸成分Vyを生成している。
すなわち、図25(a)は、アナログホール信号HAU生成回路であり、加減算アンプOP3の逆相入力端子と正相入力端子に、それぞれ抵抗Rを介して差動信号HU+/HU−が入力され、正相入力端子は、抵抗Rを介して接地されている。また、加減算アンプOP3の出力は、帰還抵抗Rを介して逆相入力端子に帰還されており、加減算アンプOP3は、差動信号HU+/HU−からアナログホール信号HAUを生成して、図25(C)の加減算アンプOP5の正相入力端子及び図25(d)の正相入力端子に、それぞれ抵抗Rを介して入力する。
図25(b)は、アナログホール信号HAV生成回路であり、加減算アンプOP4の逆相入力端子と正相入力端子に、それぞれ抵抗Rを介して差動信号HV+/HV−が入力され、正相入力端子は、抵抗Rを介して接地されている。また、加減算アンプOP4の出力は、帰還抵抗Rを介して逆相入力端子に帰還されており、加減算アンプOP4は、差動信号HV+/HV−からアナログホール信号HAVを生成して、図25(C)の加減算アンプOP5の逆相入力端子及び図25(d)の正相入力端子に、それぞれ抵抗Rを介して入力する。
図25(c)は、X軸成分Vxを生成するベクトル成分生成部であり、加減算アンプOP5の逆相入力端子に、抵抗Rを介してアナログホール信号HAVが、正相入力端子に、抵抗Rを介してアナログホール信号HAUが、それぞれ入力される。加減算アンプOP5は、その正相入力端子が、抵抗(1/√3)Rを介して接地され、その出力が、帰還抵抗(1/√3)Rを介して逆相入力端子に帰還されている。加減算アンプOP5は、アナログホール信号HAVとアナログホール信号HAUからベクトルのX軸成分Vxを生成する。
図25(d)は、Y軸成分Vyを生成するベクトル成分生成部であり、加減算アンプOP6の正相入力端子に、抵抗Rを介してアナログホール信号HAVとアナログホール信号HAUが、正相入力端子に入力され、その逆相入力端子が、抵抗Rを介して接地されている。加減算アンプOP6は、その出力が、帰還抵抗Rを介して逆相入力端子に帰還されている。加減算アンプOP6は、アナログホール信号HAVとアナログホール信号HAUからベクトルのY軸成分Vyを生成する。
このように、本実施例の回転角度検出装置100は、回転子ベクトル生成手段であるベクトル成分生成部2、3が、少なくとも2つの前記差動信号同士を相互演算した演算結果に基づいて前記回転子ベクトルを生成している。
したがって、回転機構であるDCブラシレスモータ10及びDCブラシレスモータ10によって回転駆動される機構部に、DCブラシレスモータ10の回転軸である回転子13の回転角度を検出するためのセンサ等の検出手段を新たに設けることなく、本来、回転機構であるDCブラシレスモータ10に設けられている検出手段であるホール素子11u、11v、11wの出力する差動信号に基づいて、回転子13の回転角度を検出することができ、小型で安価に回転子13の回転角度を検出することができる。
また、本実施例の回転角度検出装置100は、ホール素子11u、11v、11wの検出した前記差動信号の符号を切り替えてベクトル成分生成部2、3に入力する符号調整スイッチ部(符号切り替え手段)101を備えている。
したがって、複雑な演算を行う回路を用いることなく、簡単な回路構成で、回転子13の角度検出を行うことができ、DCブラシレスモータ10の回転軸の回転角度を、より一層安価に検出することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。